(実施形態1)
本実施形態のセンサモジュールについて図1を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサモジュールは、加速度センサモジュールであり、加速度センサチップからなるセンサ素子1と、センサ素子1の出力信号を信号処理する信号処理回路が形成されセンサ素子1と協働するICチップからなる矩形板状の半導体素子2と、一面が開放された箱状(矩形箱状)であって内底面にセンサ素子1が固着されたパッケージ3と、パッケージ3との間にセンサ素子1および半導体素子2を収納する形でパッケージ3の上記一面を閉塞する矩形板状の蓋体(図示せず)とを備えている。ここにおいて、本実施形態の加速度センサモジュールでは、半導体素子2の平面サイズがセンサ素子1の平面サイズよりも大きく、センサ素子1のパッド19を露出させてセンサ素子1に重なる形でパッケージ3内に配置されている。なお、上記蓋体は、パッケージ3の上記一面の周部に金属材料(例えば、コバール)により形成された枠状(矩形枠状)の取付部32に溶接されている。
以下、センサ素子1について図2を参照しながら詳細に説明してから、加速度センサモジュールについて具体的に説明する。
センサ素子1は、枠状(本実施形態では、矩形枠状)のフレーム部11を備え、フレーム部11の内側に配置される重り部12が一表面側(図2(b)における上面側)において可撓性を有する4つの短冊状の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。言い換えれば、センサ素子1は、枠状のフレーム部11の内側に配置される重り部12が重り部12から四方へ延長された4つの撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。ここにおいて、センサ素子1は、シリコン基板からなる支持基板10a上のシリコン酸化膜からなる絶縁層(埋込酸化膜)10b上にn形のシリコン層(活性層)10cを有するSOIウェハを加工することにより形成してあり、フレーム部11は、SOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成してある。これに対して、撓み部13は、SOIウェハにおけるシリコン層10cを利用して形成してあり、フレーム部11よりも薄肉となっている。
重り部12は、上述の4つの撓み部13を介してフレーム部11に支持された直方体状のコア部12aと、センサ素子1の上記一表面側から見てコア部12aの四隅それぞれに連続一体に連結された直方体状の4つの付随部12bとを有している。言い換えれば、重り部12は、フレーム部11の内側面に一端部が連結された各撓み部13の他端部が外側面に連結されたコア部12aと、コア部12aと一体に形成されコア部12aとフレーム部11との間の空間に配置される4つの付随部12bとを有している。つまり、各付随部12bは、センサ素子1の上記一表面側から見た平面視において、フレーム部11とコア部12aと互いに直交する方向に延長された2つの撓み部13,13とで囲まれる空間に配置されており、各付随部12bそれぞれとフレーム部11との間にはスリット14が形成され、撓み部13を挟んで隣り合う付随部12b間の間隔が撓み部13の幅寸法よりも長くなっている。ここにおいて、コア部12aは、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成し、各付随部12bは、SOIウェハの支持基板10aを利用して形成してある。しかして、センサ素子1の上記一表面側において各付随部12bの表面は、コア部12aの表面を含む平面からセンサ素子1の上記他表面側(図2(b)における下面側)へ離間して位置している。なお、センサ素子1の上述のフレーム部11、重り部12、各撓み部13は、マイクロマシニング技術を利用して形成すればよい。
ところで、図2(a),(b)それぞれの右下に示したように、センサ素子1の上記一表面に平行な面内でフレーム部11の一辺に沿った一方向をx軸の正方向、この一辺に直交する辺に沿った一方向をy軸の正方向、センサ素子1の厚み方向の一方向をz軸の正方向と規定すれば、重り部12は、x軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13と、y軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13とを介してフレーム部11に支持されていることになる。なお、上述のx軸、y軸、z軸の3軸により規定した直交座標では、センサ素子1において上述のシリコン層10cにより形成された部分の表面における重り部12の中心位置を原点としている。
重り部12のコア部12aからx軸の正方向に延長された撓み部13(図2(a)の右側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のゲージ抵抗Rx2,Rx4が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのゲージ抵抗Rz2が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからx軸の負方向に延長された撓み部13(図2(a)の左側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のゲージ抵抗Rx1,Rx3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのゲージ抵抗Rz3が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのゲージ抵抗Rx1,Rx2,Rx3,Rx4は、x軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図3における左側のブリッジ回路Bxを構成するように図示しない配線(センサ素子1に形成されている拡散層配線、金属配線など)によって接続されている。なお、ゲージ抵抗Rx1〜Rx4は、x軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
また、重り部12のコア部12aからy軸の正方向に延長された撓み部13(図2(a)の上側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のゲージ抵抗Ry1,Ry3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのゲージ抵抗Rz1が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからy軸の負方向に延長された撓み部13(図2(a)の下側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のゲージ抵抗Ry2,Ry4が形成されるとともに、フレーム部11側の端部に1つのゲージ抵抗Rz4が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのゲージ抵抗Ry1,Ry2,Ry3,Ry4は、y軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図3における中央のブリッジ回路Byを構成するように図示しない配線(センサ素子1に形成されている拡散層配線、金属配線など)によって接続されている。なお、ゲージ抵抗Ry1〜Ry4は、y軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
また、フレーム部11近傍に形成された4つのゲージ抵抗Rz1,Rz2,Rz3,Rz4は、z軸方向の加速度を検出するために形成されたものであり、図3における右側のブリッジ回路Bzを構成するように図示しない配線(センサ素子1に形成されている拡散層配線、金属配線など)によって接続されている。ただし、2つ1組となる撓み部13,13のうち一方の組の撓み部13,13に形成したゲージ抵抗Rz1,Rz4は長手方向が撓み部13,13の長手方向と一致するように形成されているのに対して、他方の組の撓み部13,13に形成したゲージ抵抗Rz2,Rz3は長手方向が撓み部13,13の幅方向(短手方向)と一致するように形成されている。
ここで、センサ素子1の基本的な動作の一例について説明する。
いま、センサ素子1に加速度がかかっていない状態で、センサ素子1に対してx軸の正方向に加速度がかかったとすると、x軸の負方向に作用する重り部12の慣性力によってフレーム部11に対して重り部12が変位し、結果的にx軸方向を長手方向とする撓み部13,13が撓んで当該撓み部13,13に形成されているゲージ抵抗Rx1〜Rx4の抵抗値が変化することになる。この場合、ゲージ抵抗Rx1,Rx3は引張応力を受け、ゲージ抵抗Rx2,Rx4は圧縮応力を受ける。一般的にゲージ抵抗は引張応力を受けると抵抗値(抵抗率)が増大し、圧縮応力を受けると抵抗値(抵抗率)が減少する特性を有しているので、ゲージ抵抗Rx1,Rx3は抵抗値が増大し、ゲージ抵抗Rx2,Rx4は抵抗値が減少することになる。したがって、図3に示した一対の入力端子VDD,GND間に外部電源から一定の直流電圧を印加しておけば、図3に示した左側のブリッジ回路Bxの出力端子X1,X2間の電位差がx軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。同様に、y軸方向の加速度がかかった場合には図3に示した中央のブリッジ回路Byの出力端子Y1,Y2間の電位差がy軸方向の加速度の大きさに応じて変化し、z軸方向の加速度がかかった場合には図3に示した右側のブリッジ回路Bzの出力端子Z1,Z2間の電位差がz軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。しかして、上述のセンサ素子1は、各ブリッジ回路Bx〜Bzそれぞれの出力電圧の変化を検出することにより、当該センサ素子1に作用したx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度を検出することができる。
ここにおいて、センサ素子1は、上述の3つのブリッジ回路Bx,By,Bzに共通の2つの入力端子VDD,GNDと、ブリッジ回路Bxの2つの出力端子X1,X2と、ブリッジ回路Byの2つの出力端子Y1,Y2と、ブリッジ回路Bzの2つの出力端子Z1,Z2とを備えており、これらの各入力端子VDD,GNDおよび各出力端子X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2が、上記一表面側にパッド(外部接続用電極)19として設けられている。ここにおいて、8つのパッド19は、センサ素子1の1辺に沿って配置されている。なお、センサ素子1は、上記一表面側において上記シリコン層10c上にシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜からなる絶縁膜16が形成されており、パッド19および上記金属配線は絶縁膜16上に形成されている。
上述の各ゲージ抵抗(ピエゾ抵抗)Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4および上記各拡散層配線は、上記シリコン層10cにおけるそれぞれの形成部位に適宜濃度のp形不純物をドーピングすることにより形成され、上記金属配線は、絶縁膜16上にスパッタ法や蒸着法などにより成膜した金属膜(例えば、Al膜、Al合金膜など)をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることにより形成されている。なお、上記金属配線は絶縁膜16に設けたコンタクトホールを通して拡散層配線と電気的に接続されている。
また、上述の半導体素子2は、センサ素子1の出力信号を増幅する増幅回路、出力信号のオフセット(オフセット電圧)を調整するオフセット調整回路、出力信号の温度補償を行う温度補償回路などが集積化されたASIC(Application Specific IC)であり、シリコンウェハを用いて形成してある。
また、パッケージ3は、上述のように一面が開放された矩形箱状に形成されており、センサ素子1における矩形枠状のフレーム部11の3箇所が、球状の第1のスペーサ52が混合された第1のダイボンド材(例えば、弾性率が1MPa以下のシリコーン樹脂などのシリコーン系樹脂)51からなる第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着されている。ここにおいて、センサ素子1は、第1の仮想三角形の3つの頂点に対応する3箇所において、第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着されている。具体的には、センサ素子1は、外周形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)であり、パッド19の配列方向に沿った1辺の両端付近と、当該1辺に平行な1辺の中央付近との3箇所が第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着されている。
したがって、センサ素子1とパッケージ3の内底面3aとの間には、重り部12の変位を可能とする第1のギャップが形成され、当該第1のギャップのギャップ長は、第1のスペーサ52の直径により決まるので、センサ素子1とパッケージ3の内底面3aとのギャップ長の精度の向上を図れ、重り部12の過度な変位をより確実に規制することができる。ここで、第1のスペーサ52の直径は、例えば、3μm〜30μm程度の範囲内で適宜設定すればよい。ここにおいて、第1のスペーサ52をシリカもしくはシリコンにより形成すれば、プラスチックにより形成する場合に比べて、第1のスペーサ52の寸法精度を高めることができる。なお、第1のダイボンド材51における第1のスペーサ52の混合割合は1〜20%程度の範囲内で適宜設定すればよい。
また、半導体素子2は、センサ素子1の重り部12および撓み部13の過度な変位を規制するストッパを兼ねており、センサ素子1の上記一表面(主表面)との間に所定間隔のギャップが形成され、且つ、センサ素子1の上記一表面側の複数のパッド19が露出するようにセンサ素子1に重ねて配置されている。しかして、半導体素子2をセンサ素子1に固着した後で、センサ素子1の上記一表面側の各パッド19と半導体素子2の主表面側の一部のパッド29とをそれぞれボンディングワイヤ8を介して電気的に接続することができる。
ここにおいて、半導体素子2は、第2の仮想三角形の3つの頂点に対応する3箇所が、球状の第2のスペーサ62が混合された第2のダイボンド材(例えば、弾性率が1MPa以下のシリコーン樹脂などのシリコーン系樹脂)61からなる第2の接着部6によりセンサ素子1に固着されている。具体的には、半導体素子2は、外周形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)であって、各辺の寸法がセンサ素子1の各辺の寸法よりもやや大きくなっており、4辺のうちのセンサ素子1のパッド19の配列方向に沿った1辺と、当該1辺に隣り合う2辺との3辺それぞれに沿って複数のパッド29が配列されており、センサ素子1のパッド19の配列方向に沿った1辺の両端付近と、当該1辺に平行な辺の中央付近との3箇所が第2の接着部6によりセンサ素子1の上記一表面側の外周部(センサ素子1の上記一表面側においてフレーム部11)に固着されている。
したがって、センサ素子1と半導体素子2との間には、重り部12の変位を可能とする第2のギャップが形成され、当該第2のギャップのギャップ長は、第2のスペーサ62の直径により決まるので、センサ素子1と半導体素子2とのギャップ長の精度の向上を図れ、重り部12の過度な変位をより確実に規制することができる。第2のスペーサ62の直径は、例えば、3μm〜30μm程度の範囲内で適宜設定すればよい。ここにおいて、第2のスペーサ62をシリカもしくはシリコンにより形成すれば、プラスチックにより形成する場合に比べて、第2のスペーサ62の寸法精度を高めることができる。なお、第2のダイボンド材61における第2のスペーサ62の混合割合は1〜20%程度の範囲内で適宜設定すればよい。
ここで、本実施形態の加速度センサモジュールは、第1の接着部5と第2の接着部6とがセンサ素子1の厚み方向において重なる位置に配置されている。要するに、本実施形態では、上述の第1の仮想三角形と第2の仮想三角形とが同じ形状に設定されている。
また、パッケージ3は、内底面3aにおいてセンサ素子1と重複する領域とは異なる部位から突出する矩形枠状の突台部3bを備えており、突台部3bの先端面に、半導体素子2の複数のパッド29それぞれとボンディングワイヤ9を介して電気的に接続される複数の端子パターン36が露出している。ここにおいて、各端子パターン36は、パッケージ3の外部に露出した外部接続用電極部(図示せず)と電気的に接続されている。なお、本実施形態では、パッケージ3を、多層積層型セラミックパッケージ(積層セラミックパッケージ)により構成してあり、積層する複数枚のシートのうちパッケージ3の底壁に対応するシート上に積層するシートの厚み寸法を突台部3bの突出寸法に設定してある。また、半導体素子2は、センサ素子1の厚み方向において大部分がセンサ素子1に重なるように配置されているが、一部は突台部3bに重なっている。
以下、本実施形態の加速度センサモジュールの製造方法について図4を参照しながら説明する。
まず、パッケージ3の内底面3a上の3箇所に常温下で第1の接着剤5a(第1のスペーサ52が混合された第1のダイボンド材51)をディスペンサなどにより塗布することによって、図4(a)に示す構造を得る。なお、センサ素子1のチップサイズが1mm□〜10mm□、厚みが0.1mm〜1mm程度の場合、第1の接着剤5aはφ200μm〜φ1000μm程度の領域に塗布すればよい。
その後、センサ素子1を搭載して第1の接着剤5aを硬化させることでセンサ素子1を第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着することによって、図4(b)に示す構造を得る。ここにおいて、センサ素子1を搭載した後、第1の接着剤5aが硬化するように所定温度(例えば、150℃)に加熱するとパッケージ3の底壁が熱変形し、その後、常温になるとパッケージ3の底壁が熱変形のない状態に戻ろうとする。ここで、センサ素子1はパッケージ3の底壁が熱変形した状態で固定されていたが、パッケージ3の内底面3aに対して3箇所のみしか第1の接着部5により固着されていないので、常温に戻ったときに温度変化によるパッケージ3の底壁側の変形がセンサ素子1には当該センサ素子1の傾きとして伝わり、センサ素子1の表面を3点で決定でき、センサ素子1が変形して応力が発生するのを防止することができる。パッケージ3が常温に戻ったときにセンサ素子1は若干傾くが、高低差がナノメータレベルの傾きであり、特に問題ない。
上述のようにセンサ素子1を第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着した後、センサ素子1のフレーム部11上の3箇所に常温下で第2の接着剤6a(第2のスペーサ62が混合された第2のダイボンド材61)をディスペンサなどにより塗布することによって、図4(c)に示す構造を得る。なお、センサ素子1のチップサイズが1mm□〜10mm□、厚みが0.1mm〜1mm程度の場合、第2の接着剤6aはφ200μm〜φ1000μm程度の領域に塗布すればよい。
その後、半導体素子2をセンサ素子1に搭載して第2の接着剤6aを硬化させることで半導体素子2を第2の接着部6によりセンサ素子1に固着することによって、図4(d)に示す構造を得る。
次に、センサ素子1のパッド19と半導体素子2のパッド29とをボンディングワイヤ8により電気的に接続し、半導体素子2のパッド29とパッケージ3の端子パターン31とをボンディングワイヤ9により電気的に接続することによって、図4(e)に示す構造を得て、その後、上記蓋体を所定雰囲気中(例えば、不活性ガス中)でパッケージ3の取付部32に溶接すればよい。
以上説明した本実施形態のセンサモジュールでは、センサ素子1が、第1の仮想三角形の3つの頂点に対応する3箇所において、球状の第1のスペーサ52を混合した第1の第1のダイボンド材51からなる第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着され、半導体素子2が、第2の仮想三角形の3つの頂点に対応する3箇所において、球状の第2のスペーサ62を混合した第2のダイボンド材61からなる第2の接着部6によりセンサ素子1に固着されているので、パッケージ3への実装時や実装後の温度変化に起因したセンサ素子1への応力を低減することが可能で、且つ、第1のスペーサ52の直径によりセンサ素子1とパッケージ3の内底面3aとの間のギャップ長を規定することができ、第2のスペーサ62の直径によりセンサ素子1と半導体素子2との間のギャップ長を規定することができ、センサ素子1の厚み方向の両側それぞれに所望のギャップ長を確保することが可能になる。また、本実施形態のセンサモジュールでは、第1の接着部5と第2の接着部6とがセンサ素子1の厚み方向において重なる位置に配置されているので、温度変化に起因してセンサ素子1に生じる応力をより低減することができる。ここで、本実施形態のセンサモジュールのようにセンサ素子1が上述のような加速度センサチップであれば、フレーム部11の4つの角部を固着した場合(つまり、4箇所で固着した場合)やフレーム部11を全周に亙って固着した場合に比べて、パッケージ3からセンサ素子1への応力が撓み部13に作用しにくく安定した精度の高い加速度測定が可能となる。
また、本実施形態では、第1のダイボンド材51としてエポキシ樹脂に比べて弾性率の低いシリコーン系樹脂を用いることにより、パッケージ3からセンサ素子1への応力の伝達を抑制する(つまり、応力を緩和する)ことができ、第2のダイボンド材61としてエポキシ樹脂に比べて弾性率の低いシリコーン系樹脂を用いることにより、半導体素子2からセンサ素子1への応力の伝達を抑制する(つまり、応力を緩和する)ことができる。
(実施形態2)
本実施形態のセンサモジュールの基本構成は実施形態1と略同じであって、図5に示すように、パッケージ3の内底面3aから半導体素子2までの設定高さよりも低い所定高さまで突出した突台部3bの先端面に半導体素子2の一部が第3のダイボンド材(弾性率が1MPa以下のシリコーン樹脂などのシリコーン系樹脂)からなる第3の接着部7により固着されている点が相違する。ここにおいて、半導体素子2は、突台部3bの先端面に重なる部分の大部分が第3の接着部7により突台部3bの先端面に固着されている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
以下、本実施形態のセンサモジュールの製造方法について図6を参照しながら説明するが、実施形態1と同様の工程については説明を適宜省略する。
まず、パッケージ3の内底面3a上の3箇所に常温下で第1の接着剤5a(第1のスペーサ52が混合された第1のダイボンド材51)をディスペンサなどにより塗布することによって、図6(a)に示す構造を得る。
その後、センサ素子1を搭載して第1の接着剤5aを硬化させることでセンサ素子1を第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着することによって、図6(b)に示す構造を得る。
次に、センサ素子1のフレーム部11上の3箇所に常温下で第2の接着剤6a(第2のスペーサ62が混合された第2のダイボンド材61)をディスペンサなどにより塗布することによって、図6(c)に示す構造を得る。
その後、半導体素子2をセンサ素子1に搭載して第2の接着剤6aを硬化させることで半導体素子2を第2の接着部6によりセンサ素子1に固着することによって、図6(d)に示す構造を得る。
続いて、第3のダイボンド材を半導体素子2とパッケージ3の突台部3bの先端面との間の隙間に充填して硬化させることで半導体素子2の一部を第3の接着部7により突台部3bの先端面に固着することによって、図6(e)に示す構造を得る。
次に、センサ素子1のパッド19と半導体素子2のパッド29とをボンディングワイヤ8により電気的に接続し、半導体素子2のパッド29とパッケージ3の端子パターン31とをボンディングワイヤ9により電気的に接続することによって、図6(f)に示す構造を得て、その後、上記蓋体を所定雰囲気中(例えば、不活性ガス中)でパッケージ3の取付部32に溶接すればよい。
ところで、実施形態1にて説明したセンサモジュールでは、半導体素子2の4辺のうちのセンサ素子1のパッド19の配列方向に沿った1辺と、当該1辺に隣り合う2辺との3辺それぞれに沿って複数のパッド29が配列されており、パッド19の配列方向に沿った1辺の両端付近には第2の接着部6が位置しているので、当該1辺に沿った複数のパッド29へのワイヤボンディングは安定して行うことができるが、当該1辺に隣り合う2辺についてはそれぞれの一端側にしか第2の接着部6が位置していないので、当該2辺それぞれの他端側に近いパッド29へのワイヤボンディング時にボンディング不良が発生する懸念がある。
これに対して、本実施形態のセンサモジュールでは、センサ素子1との間に第2のスペーサ62の直径により規定されるギャップが形成される形で配置された半導体素子2へのワイヤボンディングを安定して行うことが可能になる。ここにおいて、本実施形態では、第3のダイボンド材にはスペーサを混合していないので、突台部3bの突出寸法のばらつきに起因して半導体素子2が傾くのを防止することができ、センサ素子1と半導体素子2との間のギャップ長の高精度化を図れる。また、第3のダイボンド材としてエポキシ樹脂に比べて弾性率の低いシリコーン系樹脂を用いることにより、パッケージ3から半導体素子2への応力の伝達を抑制することができる。
(実施形態3)
本実施形態のセンサモジュールの基本構成は実施形態2と略同じであって、図7に示すように、第3のダイボンド材からなる第3の接着部7が、半導体素子2の2つの角部に対応する箇所のみに設けられている点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
以下、本実施形態のセンサモジュールの製造方法について図8を参照しながら説明するが、実施形態2と同様の工程については説明を適宜省略する。
まず、パッケージ3の内底面3a上の3箇所に常温下で第1の接着剤5a(第1のスペーサ52が混合された第1のダイボンド材51)をディスペンサなどにより塗布することによって、図8(a)に示す構造を得る。
その後、センサ素子1を搭載して第1の接着剤5aを硬化させることでセンサ素子1を第1の接着部5によりパッケージ3の内底面3aに固着することによって、図8(b)に示す構造を得る。
次に、センサ素子1のフレーム部11上の3箇所に常温下で第2の接着剤6a(第2のスペーサ62が混合された第2のダイボンド材61)をディスペンサなどにより塗布することによって、図8(c)に示す構造を得る。
続いて、パッケージ3の突台部3bの先端面の2箇所に常温下で第3の接着剤7a(第3のダイボンド材)をディスペンサなどにより塗布することによって、図8(d)に示す構造を得る。
その後、半導体素子2をセンサ素子1に搭載して第2の接着剤6aおよび第3の接着剤7aを硬化させることで半導体素子2を第2の接着部6によりセンサ素子1に固着するとともに第3の接着部7によりパッケージ3の突台部3bの先端面に固着することによって、図8(e)に示す構造を得る。
次に、センサ素子1のパッド19と半導体素子2のパッド29とをボンディングワイヤ8により電気的に接続し、半導体素子2のパッド29とパッケージ3の端子パターン31とをボンディングワイヤ9により電気的に接続することによって、図8(f)に示す構造を得て、その後、上記蓋体を所定雰囲気中(例えば、不活性ガス中)でパッケージ3の取付部32に溶接すればよい。
以上説明した本実施形態のセンサモジュールでは、実施形態2に比べて、第3のダイボンド材の量を低減でき、第3のダイボンド材の収縮やパッケージ3からの応力伝達の影響を低減することができる。
なお、上記各実施形態では、センサ素子1として、加速度センサチップを例示したが、センサ素子1は、加速度センサチップに限らず、例えば、ジャイロセンサなどでもよい。