(実施形態1)
本実施形態のセンサ装置は、加速度センサであって、図1に示すように、第1の半導体基板10を用いて形成されたセンサ基板1と、第2の半導体基板20を用いて形成されセンサ基板1の一表面側(図1の上面側)に接合されたパッケージ用基板(以下、第1のパッケージ用基板と称す)2と、第3の半導体基板30を用いて形成されセンサ基板1の他表面側(図1の下面側)に接合されたパッケージ用基板(以下、第2のパッケージ用基板と称す)3とを備え、センサ基板1の側面と各パッケージ用基板2,3の側面とに跨ってセンサ基板1と各パッケージ用基板2,3との接合部位の気密性を高めるカバー層4が形成されている。ここで、本実施形態におけるカバー層4は、第2のパッケージ用基板3におけるセンサ基板1側とは反対側の表面にもカバー層4が連続して形成されている。
第1の半導体基板10としては、シリコン基板からなる支持基板10a上のシリコン酸化膜からなる絶縁層(埋込酸化膜)10b上にn形のシリコン層(活性層)10cを有するSOI基板を採用し、第2の半導体基板20としては、第1のシリコン基板を採用し、第3の半導体基板30としては、第2のシリコン基板を採用している。要するに、本実施形態では、各半導体基板10,20,30として、シリコン系の半導体基板を用いている。本実施形態では、SOI基板における支持基板10aの厚さを300μm〜500μm程度、絶縁層10bの厚さを0.3μm〜1.5μm程度、シリコン層10cの厚さを4μm〜10μm程度とし、また、第1のシリコン基板の厚さを200μm〜300μm程度、第2のシリコン基板の厚さを100〜300μm程度としてあるが、これらの数値は特に限定するものではない。また、SOI基板の主表面であるシリコン層10cの表面は(100)面としてある。なお、第1の半導体基板10としては、SOI基板に限らず、シリコン基板を採用してもよい。
センサ基板1は、枠状(本実施形態では、矩形枠状)のフレーム部11を備え、フレーム部11内側に配置される重り部12が上記一表面側において可撓性を有する2つの短冊状の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されており、各撓み部13にそれぞれ2つのピエゾ抵抗(図示せず)が形成され、これら4つのピエゾ抵抗がブリッジ回路を構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線など)によって接続されている。本実施形態では、各ピエゾ抵抗それぞれが、センサ基板1におけるセンシング部を構成し、センサ基板1のフレーム部11(つまり、センサ基板1の周部)と各パッケージ用基板2,3とで囲まれる気密空間内にセンサ基板1の重り部12と各撓み部13と各ピエゾ抵抗とで構成されるセンサ機能部が配置されており、上述の気密空間が減圧状態となっている。なお、センサ基板1の上述のフレーム部11、重り部12、各撓み部13は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成されており、重り部12の周囲には撓み部13を除いてフレーム部11との間にスリット14が形成されている。ここで、センサ基板1は、図1の右下に示したように、センサ基板1の上記一表面に平行な面内でフレーム部11の一辺に沿った一方向をx軸の正方向、この一辺に直交する辺に沿った一方向をy軸の正方向、センサ基板1の厚み方向の一方向をz軸の正方向と規定すれば、z軸方向の加速度を検出することができる。
また、センサ基板1は、上述のブリッジ回路の2つの入力端子および2つの出力端子が、上記一表面側(つまり、第1のパッケージ用基板2側)に第1の電気接続用金属層19として設けられており、第1のパッケージ用基板2に形成された貫通孔配線24と電気的に接続されている。すなわち、センサ基板1には、4つの第1の電気接続用金属層19が形成され、第1のパッケージ用基板2には、4つの貫通孔配線24が形成されている。なお、4つの第1の電気接続用金属層19は、フレーム部11上に形成されている。
また、センサ基板1のフレーム部11上には、フレーム部11よりも開口面積が大きな枠状(矩形枠状)の第1の封止用金属層18が形成されており、上述の4つの第1の電気接続用金属層19は、フレーム部11において第1の封止用金属層18よりも内側に配置されている。要するに、センサ基板1は、第1の封止用金属層18の幅寸法をフレーム部11の幅寸法に比べて小さく設定し、第1の封止用金属層18と各電気接続用金属層19とを同一平面上に形成してある。
ここにおいて、センサ基板1は、上記一表面側において上記シリコン層10c上にシリコン酸化膜からなる絶縁膜16が形成されており、第1の電気接続用金属層19および第1の封止用金属層18は絶縁膜16の同一レベル面上に同一厚さで形成されている。
また、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、接合用のAu膜と絶縁膜16との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、絶縁膜16の同一レベル面上に形成された下層のTi膜と当該Ti膜上に形成された上層のAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とは同一の金属材料により形成されているので、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを同時に形成することができるとともに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを同じ厚さに形成することができる。ここで、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、Ti膜の膜厚を30nm、Au膜の膜厚を200nmに設定してあるが、これらの数値は一例である。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。なお、センサ基板1は、各Au膜と絶縁膜16との間に密着性改善用の密着層として、Ti膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Ti、Ta、Ni、W、Zr、Hfなどの高融点金属、これら高融点金属の窒化物、炭化物などでもよい。
第1のパッケージ用基板2は、センサ基板1側(図1における下面側)の表面に、センサ基板1の重り部12と各撓み部13とで構成される可動部の変位空間を確保する変位空間形成用凹部21が形成されるとともに、変位空間形成用凹部21の周部に厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、4つ)の貫通孔22が形成されており、厚み方向の両面と各貫通孔22の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成され、貫通孔配線24と貫通孔22の内面との間に絶縁膜23の一部が介在している。ここにおいて、貫通孔配線24の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Ni、Al、Al合金、Au、Agなどの低抵抗金属や、W、低抵抗Siなど、化学気相堆積法(CVD法)による貫通孔22内への埋込が容易な材料を採用してもよい。
また、第1のパッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面において変位空間形成用凹部21の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数(本実施形態では、4つ)の第2の電気接続用金属層29が形成されている。第1のパッケージ用基板2におけるセンサ基板1側の表面の周部には、全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用金属層28が形成されており、上述の4つの第2の電気接続用金属層29は、外周形状が細長の長方形状であり、第2の封止用金属層28よりも内側に配置されている。ここにおいて、第2の電気接続用金属層29は、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されて電気的に接続されており、他端側の部位がセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。要するに、第1のパッケージ用基板2の周方向において貫通孔配線24と当該貫通孔配線24に対応する第1の電気接続用金属層19との位置をずらしてあり、第2の電気接続用金属層29を、長手方向が第2の封止用金属層28の周方向に一致し且つ貫通孔配線24と第1の電気接続用金属層19とに跨る形で配置してある。
また、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、接合用のAu膜と絶縁膜23との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、絶縁膜23の同一レベル面上に形成された下層のTi膜と当該Ti膜上に形成された上層のAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とは同一の金属材料により形成されているので、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを同時に形成することができるとともに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを同じ厚さに形成することができる。ここで、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、Ti膜の膜厚を30nm、Au膜の膜厚を200nmに設定してあるが、これらの数値は一例である。ここにおいて、各Au膜の材料は、純金に限らず不純物を添加したものでもよい。なお、第1のセンサ基板1は、各Au膜と絶縁膜16との間に密着性改善用の密着層として、Ti膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Ti、Ta、Ni、W、Zr、Hfなどの高融点金属、これら高融点金属の窒化物、炭化物などでもよい。
また、第1のパッケージ用基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面には、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極25が形成されている。なお、各外部接続用電極25の外周形状は矩形状となっている。
第2のパッケージ用基板3は、センサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する所定深さ(例えば、5μm〜10μm程度)の凹部31を形成してある。ここにおいて、凹部31は、リソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して形成してある。なお、本実施形態では、第2のパッケージ用基板3におけるセンサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する凹部31を形成してあるが、重り部12のうち支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さを、フレーム部11において支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さに比べて、センサ基板1の厚み方向への重り部12の許容変位量分だけ薄くするようにすれば、第2のパッケージ用基板3に凹部31を形成しなくても、センサ基板1の上記他表面側には上記他表面に交差する方向への重り部12の変位を可能とする隙間が重り部12と第2のパッケージ用基板3との間に形成される。
また、カバー層4は、窒化シリコン膜により形成されているが、カバー層4の材料は無機材料であればよく、窒化シリコンに限定するものではなく、多結晶シリコン、非晶質シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、金属の群から選択される無機材料が望ましい。なお、カバー層4は、第1のパッケージ用基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面にも、外部接続用電極25を覆わないように形成してもよい。
ところで、上述の加速度センサにおけるセンサ基板1と第1のパッケージ用基板2とは、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とが直接接合されるとともに、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とが直接接合され、センサ基板1と第2のパッケージ用基板3とは、互いの対向面の周部同士が直接接合されている。また、本実施形態の加速度センサの製造にあたっては、例えば、図2(a)に示すように、センサ基板1と第2のパッケージ用基板3とを直接接合し、その後、図2(b)に示すように、センサ基板1と第1のパッケージ用基板2とを接合してから、図2(c)に示すように、センサ基板1の側面と各パッケージ用基板2,3の側面とに跨ってセンサ基板1と各パッケージ用基板2,3との接合部位の気密性を高めるカバー層4を形成すればよい。
ここにおいて、本実施形態では、センサ基板1と各パッケージ用基板2,3との接合方法として、常温接合法を採用している。常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温下で接合する。本実施形態では、上述の常温接合法により、常温下で適宜の荷重を印加して、第1の封止用金属層18と第2の封止用金属層28とを常温接合するのと同時に、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを常温接合しており、また、上述の常温接合法により、常温下でセンサ基板1のフレーム部11と第2のパッケージ用基板3の周部とを常温接合している。
また、カバー層4は物理的気相堆積法(PVD法)の一種であるスパッタ法により形成しているが、スパッタ法に限らず、他のPVD法やCVD法により形成してもよい。なお、スパッタ法によれば、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを形成することができる。ここで、カバー層4の材料として窒化シリコンや窒化アルミニウムを採用する場合には、例えばアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスあるいは窒素ガスを用いたRFスパッタ法において基板温度を200℃以上とすれば緻密性の高い膜を形成することができ、カバー層4の材料として酸化アルミニウムを採用する場合には、例えばアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスあるいは酸素ガスを用いたRFスパッタ法において基板温度を200℃以上とすれば緻密性の高い膜を形成することができるが、スパッタ法はRFスパッタ法に限らず、他のスパッタ法でもよい。また、カバー層4の材料として多結晶シリコン、非晶質シリコン、窒化シリコン、酸化シリコンなどを採用する場合には、比較的低温で高品質な膜が形成可能なプラズマCVD法を利用することが好ましいが、他のCVD法を利用してもよい。
上述の加速度センサの製造方法では、センサ基板1と各パッケージ用基板2,3とを常温接合する常温接合工程と、常温接合工程の後にカバー層4を形成するカバー層形成工程とを備えており、常温接合工程においてセンサ基板1と各パッケージ用基板2,3とが常温接合されるので、センサ基板1と各パッケージ用基板2,3とが半田(例えば、AuSn、AuGe)などの低融点金属や樹脂などの有機材料の介在物が存在せず、介在物の融点などの特性により後工程のプロセス温度が制限されないから、すなわち、カバー層4の成膜温度の制約が少なくなるから、カバー層形成工程において形成するカバー層4の緻密性をより高めることが可能となり、気密性が高くて動作安定性および信頼性の高いセンサ装置を提供することが可能となる。
ところで、上述の加速度センサの製造にあたっては、常温接合工程が終了するまでの全工程をウェハレベルで行うようにしてウェハレベルパッケージ構造体を形成してから、センサ基板1のサイズに基づいて規定した所望のサイズにダイシング工程により分割し、その後、センサ基板1の側面と各パッケージ用基板2,3の側面とに跨ってセンサ基板1と各パッケージ用基板2,3との接合部位の気密性を高めるカバー層4を形成するようにすれば、各パッケージ用基板2,3とセンサ基板1とが同じ外形サイズとなり、小型のチップサイズパッケージを実現できるとともに、製造が容易になる。
以上説明した本実施形態のセンサ装置では、センサ基板1の側面と各パッケージ用基板2,3の側面とに跨ってセンサ基板1と各パッケージ用基板2,3との接合部位の気密性を高めるカバー層4が形成されているので、真空気密、耐湿気密を確保でき、動作安定性および信頼性の向上を図れる。なお、本実施形態のセンサ装置は、センサ基板1のフレーム部11(つまり、センサ基板1の周部)と各パッケージ用基板2,3とで囲まれる気密空間が減圧状態なので、カバー層4による動作安定性および信頼性の向上効果が大きい。
また、本実施形態では、カバー層4が、無機材料により形成されているので、カバー層4の材料として樹脂などの有機材料を採用する場合に比べて、カバー層4の緻密性を高めることができ、気密性、耐湿性を高めることが可能となる。ここで、上述の無機材料として、多結晶シリコン、非晶質シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、金属の群から選択される材料を用いることにより、カバー層4を半導体製造プロセスで一般的なCVD法やPVD法などの薄膜形成技術により形成することが可能となり、カバー層4を容易に再現性良く形成できるとともにバッチ処理による生産性の向上が図れ、製造コストの低コスト化が可能となる。
また、本実施形態の加速度センサでは、第1の封止用金属層18と第1の電気接続用金属層19とが、同一の金属材料により同一レベル面上に同一厚さで形成されるとともに、第2の封止用金属層28と第2の電気接続用金属層29とが、同一の金属材料により同一レベル面上に同一厚さで形成されているので、封止用金属層18,28同士の接合信頼性および電気接続用金属層19,29同士の接合信頼性を高めることが可能になるとともに、センサ基板1と第1のパッケージ用基板2との接合時の荷重の制御が容易になる。
また、本実施形態では、センサ基板1、第1のパッケージ用基板2、および第2のパッケージ用基板3がシリコン系の半導体基板10,20,30を用いて形成されているので、センサ基板1と各パッケージ用基板2,3との線膨張率差に起因した応力(センサ基板1における残留応力)が上記ブリッジ回路の出力信号に与える影響を低減でき、各パッケージ用基板2,3がセンサ基板1と異なる材料により形成されている場合に比べて、センサ特性のばらつきを低減することができる。
(実施形態2)
本実施形態のセンサ装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図3に示すように、カバー層4が形成されている範囲が相違するだけである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ところで、実施形態1のセンサ装置では、第1のパッケージ用基板2の側面にもカバー層4が形成されているので、貫通孔配線24の構造や材料などにより、カバー層形成工程における加熱温度や雰囲気が制限され、カバー層4の材料が制限されたり、成膜条件が制限を受けることもあり得る。
これに対して、本実施形態のセンサ装置は、カバー層4が、センサ基板1の側面と第2のパッケージ用基板3の側面と第2のパッケージ用基板3の表面とに跨って形成されている点では実施形態1と同じであるが、第1のパッケージ用基板2の側面には形成されていない点で相違している。
しかして、本実施形態のセンサ装置では、第1のパッケージ用基板2における貫通孔配線24の構造や材料などによってカバー層4の材料や成膜条件が制限されるのを防止することが可能となり(ただし、この場合には、センサ基板1と第2のパッケージ用基板3とを直接接合した後にカバー層4を形成してから、センサ基板1と第1のパッケージ用基板2とを直接接合する製造プロセスを採用することになる)、緻密性のより高いカバー層4の形成が可能となり、センサ基板1と第2のパッケージ用基板3との接合部位の気密性を高めることが可能となる。
(実施形態3)
本実施形態のセンサ装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、図4に示すように、カバー層4が形成されている範囲が相違するだけである。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ところで、実施形態1のセンサ装置では、カバー層4が第2のパッケージ用基板3におけるセンサ基板1側とは反対側の表面にも連続して形成されているので、カバー層4に応力が発生した場合、センサ装置全体に歪が発生し、センサ装置のセンサ特性やセンサ特性の再現性が低下してしまうことが考えられる。
これに対して、本実施形態のセンサ装置では、カバー層4が第2のパッケージ用基板3におけるセンサ基板1側とは反対側の表面に形成されていないので、カバー層4に応力が発生しても、センサ装置全体に発生する歪を低減することができ、センサ装置のセンサ特性およびセンサ特性の再現性の低下を防止することが可能となる。
(実施形態4)
図5に示す本実施形態のセンサ装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、カバー層4が、第1のパッケージ用基板2の外部接続用電極25と同一材料(金属などの導電性材料)により形成され且つ外部接続用電極25と同時に形成されている点に特徴がある。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるカバー層4は、第1のパッケージ用基板2におけるセンサ基板1側とは反対側の表面にも形成されており、1個の外部接続用電極25と連続し他の外部接続用電極25と分離されて電気的に絶縁されているが、第1のパッケージ用基板2の上記表面側において全ての外部接続用電極25と分離されて電気的に絶縁されるようにパターニングしてもよい。
ところで、実施形態1〜3のセンサ装置では、カバー層4と外部接続用電極25とで材料が異なっており、カバー層4を形成するカバー層形成工程と外部接続用電極25を形成する外部接続用電極形成工程とを別々に行う必要がある。
これに対して、本実施形態のセンサ装置では、カバー層4を第1のパッケージ用基板2の外部接続用電極25と同時に形成することができるので、製造プロセスの簡略化を図れ、低コスト化を図れる。
(実施形態5)
以下、本実施形態のセンサ装置について図6〜図13を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサ装置の基本構成は実施形態1と略同じであって、センサ基板1の構造などが相違する。すなわち、実施形態1の加速度センサは1軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサであるのに対して、本実施形態の加速度センサは3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサである点で相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
センサ基板1は、図9に示すように、枠状(本実施形態では、矩形枠状)のフレーム部11を備え、フレーム部11の内側に配置される重り部12が一表面側において可撓性を有する4つの短冊状の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。言い換えれば、センサ基板1は、枠状のフレーム部11の内側に配置される重り部12が重り部12から四方へ延長された4つの撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されている。
重り部12は、上述の4つの撓み部13を介してフレーム部11に支持された直方体状のコア部12aと、センサ基板1の上記一表面側から見てコア部12aの四隅それぞれに連続一体に連結された直方体状の4つの付随部12bとを有している。言い換えれば、重り部12は、フレーム部11の内側面に一端部が連結された各撓み部13の他端部が外側面に連結されたコア部12aと、コア部12aと一体に形成されコア部12aとフレーム部11との間の空間に配置される4つの付随部12bとを有している。つまり、各付随部12bは、センサ基板1の上記一表面側から見て、フレーム部11とコア部12aと互いに直交する方向に延長された2つの撓み部13,13とで囲まれる空間に配置されており、各付随部12bそれぞれとフレーム部11との間にはスリット14が形成され、撓み部13を挟んで隣り合う付随部12b間の間隔が撓み部13の幅寸法よりも長くなっている。ここにおいて、コア部12aは、上述のSOIウェハの支持基板10a、絶縁層10b、シリコン層10cそれぞれを利用して形成し、各付随部12bは、SOIウェハの支持基板10aを利用して形成してある。しかして、センサ基板1の上記一表面側において各付随部12bの表面は、コア部12aの表面を含む平面からセンサ基板1の他表面側(図6の下面側)へ離間して位置している。
ところで、図9(a),(b)それぞれの右下に示したように、センサ基板1の上記一表面に平行な面内でフレーム部11の一辺に沿った一方向をx軸の正方向、この一辺に直交する辺に沿った一方向をy軸の正方向、センサ基板1の厚み方向の一方向をz軸の正方向と規定すれば、重り部12は、x軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13と、y軸方向に延長されてコア部12aを挟む2つ1組の撓み部13,13とを介してフレーム部11に支持されていることになる。なお、上述のx軸、y軸、z軸の3軸により規定した直交座標では、センサ基板1において上述のシリコン層10cにより形成された部分の表面における重り部12の中心位置を原点としている。
重り部12のコア部12aからx軸の正方向に延長された撓み部13(図9(a)の右側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx2,Rx4が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz2が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからx軸の負方向に延長された撓み部13(図9(a)の左側の撓み部13)は、コア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Rx1,Rx3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz3が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rx1,Rx2,Rx3,Rx4は、x軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図10における左側のブリッジ回路Bxを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4は、x軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
また、重り部12のコア部12aからy軸の正方向に延長された撓み部13(図9(a)の上側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry1,Ry3が形成されるとともに、フレーム部11近傍に1つのピエゾ抵抗Rz1が形成されている。一方、重り部12のコア部12aからy軸の負方向に延長された撓み部13(図9(a)の下側の撓み部13)はコア部12a近傍に2つ1組のピエゾ抵抗Ry2,Ry4が形成されるとともに、フレーム部11側の端部に1つのピエゾ抵抗Rz4が形成されている。ここに、コア部12a近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Ry1,Ry2,Ry3,Ry4は、y軸方向の加速度を検出するために形成されたもので、平面形状が細長の長方形状であって、長手方向が撓み部13の長手方向に一致するように形成してあり、図10における中央のブリッジ回路Byを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。なお、ピエゾ抵抗Ry1〜Ry4は、y軸方向の加速度がかかったときに撓み部13において応力が集中する応力集中領域に形成されている。
また、フレーム部11近傍に形成された4つのピエゾ抵抗Rz1,Rz2,Rz3,Rz4は、z軸方向の加速度を検出するために形成されたものであり、図10における右側のブリッジ回路Bzを構成するように配線(センサ基板1に形成されている拡散層配線、金属配線17など)によって接続されている。ただし、2つ1組となる撓み部13,13のうち一方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz1,Rz4は長手方向が撓み部13,13の長手方向と一致するように形成されているのに対して、他方の組の撓み部13,13に形成したピエゾ抵抗Rz2,Rz3は長手方向が撓み部13,13の幅方向(短手方向)と一致するように形成されている。
なお、図6〜図9では、センサ基板1における金属配線17のうち第1の電気接続用金属層19近傍の部位のみを図示してあり、拡散層配線の図示は省略してある。
ここで、センサ基板1の動作の一例について説明する。
いま、センサ基板1に加速度がかかっていない状態で、センサ基板1に対してx軸の正方向に加速度がかかったとすると、x軸の負方向に作用する重り部12の慣性力によってフレーム部11に対して重り部12が変位し、結果的にx軸方向を長手方向とする撓み部13,13が撓んで当該撓み部13,13に形成されているピエゾ抵抗Rx1〜Rx4の抵抗値が変化することになる。この場合、ピエゾ抵抗Rx1,Rx3は引張応力を受け、ピエゾ抵抗Rx2,Rx4は圧縮応力を受ける。一般的にピエゾ抵抗は引張応力を受けると抵抗値(抵抗率)が増大し、圧縮応力を受けると抵抗値(抵抗率)が減少する特性を有しているので、ピエゾ抵抗Rx1,Rx3は抵抗値が増大し、ピエゾ抵抗Rx2,Rx4は抵抗値が減少することになる。したがって、図10に示した一対の入力端子VDD,GND間に外部電源から一定の直流電圧を印加しておけば、図10に示した左側のブリッジ回路Bxの出力端子X1,X2間の電位差がx軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。同様に、y軸方向の加速度がかかった場合には図10に示した中央のブリッジ回路Byの出力端子Y1,Y2間の電位差がy軸方向の加速度の大きさに応じて変化し、z軸方向の加速度がかかった場合には図10に示した右側のブリッジ回路Bzの出力端子Z1,Z2間の電位差がz軸方向の加速度の大きさに応じて変化する。しかして、上述のセンサ基板1は、各ブリッジ回路Bx〜Bzそれぞれの出力電圧の変化を検出することにより、当該センサ基板1に作用したx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度を検出することができる。本実施形態では、重り部12と各撓み部13とで可動部を構成しており、各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4それぞれが、センサ基板1におけるセンシング部を構成し、重り部12と各撓み部13と各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4とでセンサ機能部を構成している。
ところで、センサ基板1は、図10に示すように、上述の3つのブリッジ回路Bx,By,Bzに共通の2つの入力端子VDD,GNDと、ブリッジ回路Bxの2つの出力端子X1,X2と、ブリッジ回路Byの2つの出力端子Y1,Y2と、ブリッジ回路Bzの2つの出力端子Z1,Z2とを備えており、これらの各入力端子VDD,GNDおよび各出力端子X1,X2,Y1,Y2,Z1,Z2が、上記一表面側(つまり、第1のパッケージ用基板2側)に第1の電気接続用金属層19として設けられており、第1のパッケージ用基板2に形成された貫通孔配線24と電気的に接続されている。すなわち、センサ基板1には、8つの第1の電気接続用金属層19が形成され、第1のパッケージ用基板2には、8つの貫通孔配線24が形成されている。なお、8つの第1の電気接続用金属層19は、外周形状が矩形状(本実施形態では、正方形状)であり、フレーム部11の周方向に離間して配置されている(矩形枠状のフレーム部11の4辺それぞれに2つずつ配置されている)。
また、センサ基板1のフレーム部11上には、フレーム部11よりも開口面積が大きな枠状(矩形枠状)の第1の封止用金属層18が形成されており、上述の8つの第1の電気接続用金属層19は、フレーム部11において第1の封止用金属層18よりも内側に配置されている。要するに、本実施形態においても、センサ基板1は、第1の封止用金属層18の幅寸法をフレーム部11の幅寸法に比べて小さく設定し、第1の封止用金属層18と各電気接続用金属層19とを同一平面上に同一の金属材料により同一厚さで形成してある。
上述の各ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4および上記各拡散層配線は、上記シリコン層10cにおけるそれぞれの形成部位に適宜濃度のp形不純物をドーピングすることにより形成されており、上述の金属配線17は、絶縁膜16上にスパッタ法や蒸着法などにより成膜した金属膜(例えば、Al膜、Al合金膜など)をリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすることにより形成されており、金属配線17は絶縁膜16に設けたコンタクトホールを通して拡散層配線と電気的に接続されている。また、第1の電気接続用金属層19と金属配線17とは、第1の電気接続用金属層19における金属配線17との接続部位19b(図8(b)参照)が、第1のパッケージ用基板2におけるセンサ基板1との対向面に形成された後述の変位空間形成用凹部21内に位置する形で電気的に接続されている。
第1のパッケージ用基板2には、図11および図12に示すように、変位空間形成用凹部21の周部に8つの貫通孔配線24が当該第1のパッケージ用基板2の周方向に離間して形成されている。
また、第1のパッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面において変位空間形成用凹部21の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数(本実施形態では、8つ)の第2の電気接続用金属層29が形成されている。第1のパッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面の周部には、全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用金属層28が形成されており、上述の8つの第2の電気接続用金属層29は、外周形状が細長の長方形状であり、第2の封止用金属層28よりも内側に配置されている。ここにおいて、第2の電気接続用金属層29は、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されて電気的に接続されており、他端側の部位がセンサ基板1の金属配線17よりも外側でセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。要するに、第1のパッケージ用基板2の周方向において貫通孔配線24と当該貫通孔配線24に対応する第1の電気接続用金属層19との位置をずらしてあり、第2の電気接続用金属層29を、長手方向が第2の封止用金属層28の周方向に一致し且つ貫通孔配線24と第1の電気接続用金属層19とに跨る形で配置してある。
第2のパッケージ用基板3は、図6および図13に示すように、センサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する所定深さ(例えば、5μm〜10μm程度)の凹部31を形成してある。なお、本実施形態では、第2のパッケージ用基板3におけるセンサ基板1との対向面に、重り部12の変位空間を形成する凹部31を形成してあるが、重り部12のコア部12aおよび各付随部12bのうち支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さを、フレーム部11において支持基板10aを利用して形成されている部分の厚さに比べて、センサ基板1の厚み方向への重り部12の許容変位量分だけ薄くするようにすれば、第2のパッケージ用基板3に凹部31を形成しなくても、センサ基板1の上記他表面側には上記他表面に交差する方向への重り部12の変位を可能とする隙間が重り部12と第2のパッケージ用基板3との間に形成される。
以上説明した本実施形態のセンサ装置においても、実施形態1と同様、センサ基板1の側面と各パッケージ用基板2,3の側面とに跨ってセンサ基板1と各パッケージ用基板2,3との接合部位の気密性を高めるカバー層4が形成されているので、動作安定性および信頼性の向上を図れる。なお、カバー層4の形成部位は、必ずしも実施形態1と同様である必要はなく、他の実施形態2〜4のいずれかと同様でもよい。
(実施形態6)
以下、本実施形態のセンサ装置について図14〜図16を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサ装置である加速度センサの基本構成は実施形態1と略同じであり、センサ基板1に、CMOSを用いた集積回路(CMOS IC)であってセンシング部と協働する集積回路が形成されたIC領域部E2を設けてある点などが実施形態5と相違する。ここにおいて、上記集積回路は、実施形態5にて説明したブリッジ回路Bx,By,Bzの出力信号に対して増幅、オフセット調整、温度補償などの信号処理を行って出力する信号処理回路や、信号処理回路において用いるデータを格納したEEPROMなどが集積化されている。なお、実施形態5と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるセンサ基板1は、図14および図16に示すように、実施形態5にて説明したフレーム部11の一部、重り部12、各撓み部13、ピエゾ抵抗Rx1〜Rx4,Ry1〜Ry4,Rz1〜Rz4などが形成されたセンサ領域部E1と、上記集積回路が形成された上述のIC領域部E2と、実施形態5にて説明した第1の封止用金属層18などが形成された接合領域部E3とを備え、平面視において中央部に位置するセンサ領域部E1をIC領域部E2が囲み、IC領域部E2を接合領域部E3が囲むように各領域部E1〜E3のレイアウトが設計されている。ここで、本実施形態では、実施形態1におけるセンサ基板1のフレーム部11の外形寸法を大きくしてあり(言い換えれば、フレーム部11の幅寸法を大きくしてあり)、フレーム部11に上記集積回路を形成してある。
ところで、センサ基板1のIC領域部E2では、多層配線技術を利用してセンサ基板1における当該IC領域部E2の占有面積の縮小化を図っている。このため、センサ基板1のIC領域部E2では、シリコン層10c上のシリコン酸化膜と当該シリコン酸化膜上のシリコン窒化膜との積層膜からなる絶縁膜16の表面側に、層間絶縁膜やパッシベーション膜などからなる多層構造部41が形成され、上記パッシベーション膜の適宜部位を除去することにより複数のパッド42を露出させてあり、各パッド42が金属材料(例えば、Auなど)からなる引き出し配線43を介して接合領域部E3の絶縁膜16上の第1の電気接続用金属層19と電気的に接続されている。ここで、本実施形態では、引き出し配線43の材料と第1の電気接続用金属層19の材料とを同じとして、引き出し配線43と第1の電気接続用金属層19とが連続する形で形成されている。なお、IC領域部E2に形成された複数のパッド42には、信号処理回路を通してセンシング部と電気的に接続されるものと、信号処理回路を通さずにセンシング部と電気的に接続されるものがあるが、いずれにしても、第1のパッケージ用基板2の貫通孔配線24とセンシング部とが電気的に接続されることとなる。
また、本実施形態では、実施形態5と同様に、第2の半導体基板20を用いて形成された第1のパッケージ用基板2および第3の半導体基板30を用いて形成された第2のパッケージ用基板3がセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されており、本実施形態における第1のパッケージ用基板2は、実施形態5にて説明した変位空間形成用凹部21の開口面の投影領域内にセンサ領域部E1およびIC領域部E2が収まるように変位空間形成用凹部21の開口面積を実施形態5に比べて大きくしてあり、IC領域部E2の多層構造部41が変位空間形成用凹部21内に配置されるようになっている。
以上説明した本実施形態のセンサ装置においても、実施形態5と同様、センサ基板1の側面と各パッケージ用基板2,3の側面とに跨ってセンサ基板1と各パッケージ用基板2,3との接合部位の気密性を高めるカバー層4が形成されているので、動作安定性および信頼性の向上を図れる。なお、カバー層4の形成部位は、必ずしも実施形態5と同様である必要はなく、他の実施形態2〜4のいずれかと同様でもよい。
(実施形態7)
以下、本実施形態のセンサ装置について図17および図18を参照しながら説明する。
本実施形態のセンサ装置は、センサ基板1と、センサ基板1の一表面側に接合されたパッケージ用基板2とを備え、センサ基板1の側面とパッケージ用基板2の側面とに跨ってカバー層4が形成されている。ここにおいて、本実施形態のセンサ装置は、赤外線センサであり、センサ基板1に、センサ機能部としての熱型赤外線検出部113が形成されており、パッケージ用基板2は、センサ基板1の一表面側において熱型赤外線検出部113を囲みセンサ基板1との間にキャビティ130が形成される形で接合されている。センサ基板1およびパッケージ用基板2の外周形状は矩形状であり、パッケージ用基板2はセンサ基板1と同じ外形寸法に形成されている。また、本実施形態では、センサ基板1の基礎となる第1の半導体基板10として、シリコン基板を用いている。なお、実施形態6と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。また、図17は、図18をA−A’で階段状に切断し矢印の方向から見た場合の概略の断面図に対応するものである。
センサ基板1は、第1の半導体基板10と当該第1の半導体基板10の主表面上に形成されたシリコン窒化膜からなる絶縁膜16とで構成されるベース基板部112と、上述の熱型赤外線検出部113と、熱型赤外線検出部113とベース基板部112とを熱絶縁する断熱部114とを備えている。なお、本実施形態における断熱部114は、ベース基板部112の一表面から熱型赤外線検出部113が離間して配置されるように熱型赤外線検出部113を支持している。
断熱部114は、熱型赤外線検出部113を保持した保持部114aと、保持部114aとベース基板部112とを連結した2つの脚部114b,114bとを有している。なお、断熱部114については、後述する。
熱型赤外線検出部113は、温度に応じて電気抵抗値が変化するボロメータ形のセンシングエレメントであり、保持部114a側のTi膜と当該Ti膜上のTiN膜とからなるセンサ層で構成されている。ここで、TiN膜は、Ti膜の酸化防止膜として設けてある。なお、センサ層の材料としては、Tiに限らず、例えば、アモルファスSi、VOxなどを採用してもよい。また、熱型赤外線検出部113は、温度に応じて電気抵抗値が変化するセンシングエレメントに限らず、温度に応じて誘電率が変化するセンシングエレメント、サーモパイル型のセンシングエレメント、焦電型のセンシングエレメントなどを採用してもよく、いずれのセンシングエレメントを採用した場合でも、材料を適宜選択することで一般的な薄膜形成技術を利用して形成することができる。ここにおいて、温度に応じて誘電率の変化するセンシングエレメントの材料としては、例えば、PZT、BSTなどを採用すればよい。
熱型赤外線検出部113は、平面形状が蛇行した形状(ここでは、つづら折れ状の形状)に形成されており、両端部が断熱部114の脚部114b,114bに沿って延長された配線層115,115および当該配線層115,115に電気的に接続された引出し配線116,116を介してベース基板部112の周部の接合用領域部E3における絶縁膜16上の第1の電気接続用金属層19,19と電気的に接続されている。ここにおいて、本実施形態におけるセンサ基板1では、引き出し配線116の一端部が配線層115上に形成されるとともに、他端部が絶縁膜16上に形成された第1の電気接続用金属層19上に形成されている。要するに、本実施形態におけるセンサ基板1では、熱型赤外線検出部113および配線層115,115が形成された断熱部114の表面と接合用領域部E3との間に段差が形成され、この段差に沿って引き出し配線116が形成されている。本実施形態では、配線層115,115の材料として、熱型赤外線検出部113を構成するセンサ層と同じ材料を採用しており(ここでは、Ti膜とTiN膜との積層膜)、配線層115,115と熱型赤外線検出部113とを同時に形成している。また、引き出し配線116,116の膜厚が第1の電気接続用金属層19の膜厚よりも厚く設定してあるので、引き出し配線116,116の断線を防止することができる。
上述の断熱部114における脚部114b,114bは、ベース基板部112の上記一表面側において立設された支持ポスト部114b2,114b2と、支持ポスト部114b2,114b2の上端部と保持部114aとを連結した梁部114b1,114b1とで構成されており、保持部114aとベース基板部112との間に間隙117が形成されている。ここで、保持部114aの外周形状が矩形状であって、各梁部114b1,114b1は、保持部114aの一側縁の長手方向の一端部から当該一側縁に直交する方向に延長され更に当該一側縁の上記一端部から他端部に向う方向に沿って延長された平面形状に形成されており、保持部114aの厚み方向に沿った中心軸に対して回転対称性を有するように配置されている。なお、上述の配線層115,115の線幅は、当該配線層115,115を通した熱伝達を抑制するために梁部114b1,114b1の幅寸法よりも十分に小さく設定してある。また、支持ポスト部114b2,114b2は、引き出し配線116,116により補強されている。
また、上述の断熱部114の脚部114b,114bおよび保持部114aは、電気絶縁性を有する多孔質材料により形成されている。ここで、断熱部114の脚部114b,114bおよび保持部114aの多孔質材料として、多孔質の酸化シリコンの一種であるポーラスシリカを採用しているが、多孔質の酸化シリコン系有機ポリマーの一種であるメチル含有ポリシロキサン、多孔質の酸化シリコン系無機ポリマーの一種であるSi−H含有ポリシロキサン、シリカエアロゲルなどを採用してもよく、多孔質材料として、多孔質の酸化シリコン、多孔質の酸化シリコン系有機ポリマー、多孔質の酸化シリコン系無機ポリマーの群から選択される材料を採用すれば、断熱部114の形成にあたっては、ゾルゲル溶液をベース基板部112の上記一表面側に回転塗布してから、乾燥させるプロセスを採用することができ、断熱部114を容易に形成することが可能となる。
ここにおいて、本実施形態における断熱部114は、多孔度が60%のポーラスシリカ膜(多孔質シリコン酸化膜)により構成してあるが、多孔度が小さ過ぎると十分な断熱効果が得られず多孔度が大き過ぎると機械的強度が弱くなって構造形成が困難となるので、ポーラスシリカ膜の多孔度は例えば10%〜80%程度の範囲内で適宜設定すればよい。
上述のセンサ基板1では、断熱部114における保持部114aが多孔質材料により形成されているので、保持部114aがSiO2やSi3N4などの非多孔質材料により形成されている場合に比べて、保持部114aの低熱容量化を図れ、応答速度のより一層の高速化を図れる。さらに、本実施形態におけるセンサ基板1では、断熱部114における脚部114bも多孔質材料により形成されているので、脚部114bがSiO2やSi3N4などの非多孔質材料により形成されている場合に比べて、脚部114bの熱コンダクタンスを小さくできて高感度化を図れるとともに脚部114bの熱容量を小さくできて応答速度の高速化を図れるから、高性能化を図れる。
ところで、センサ基板1の接合用領域部E3では、実施形態6と同様、上述の絶縁膜16上に、枠状(矩形枠状)の第1の封止用金属層18が形成されており、上述の複数の第1の電気接続用金属層19が第1の封止用金属層18よりも内側で絶縁膜16上に形成されている。要するに、センサ基板1は、第1の封止用金属層18と各電気接続用金属層19とが、絶縁膜16を下地層として同一レベル面上に同一厚さで形成されている。
一方、パッケージ用基板2は、センサ基板1とは別のシリコンウェハの一部からなる第2の半導体基板20dにおいて、センサ基板1側の表面である一表面に、熱型赤外線検出部113を熱絶縁する熱絶縁用凹部121が形成されている。また、パッケージ用基板2は、熱絶縁用凹部121の周部に、厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、2個)の貫通孔配線24が形成されている。ここにおいて、パッケージ用基板2は、熱絶縁用凹部121の開口面の投影領域内にセンサ基板1の熱型赤外線検出部113および断熱部114が収まるように熱絶縁用凹部121の開口面積を大きくしてある。なお、パッケージ用基板2における絶縁膜23は、熱絶縁用凹部121の開口面の投影領域内には形成されていない。
また、パッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面において熱絶縁用凹部121の周部に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の第2の電気接続用金属層29が形成されている。また、パッケージ用基板2は、センサ基板1側の表面の周部の全周に亘って枠状(矩形枠状)の第2の封止用金属層28が形成されており、上述の複数の第2の電気接続用金属層29が第2の封止用金属層28よりも内側に配置されている(ここで、第2の封止用金属層28と各電気接続用金属層29とは絶縁膜23の同一レベル面上に同一厚さで形成してある)。ここにおいて、第2の電気接続用金属層29は、外周形状が長方形状であり、長手方向の一端部が貫通孔配線24と接合されており、他端側の部位がセンサ基板1の第1の電気接続用金属層19と接合されて電気的に接続されるように配置してある。要するに、貫通孔配線24と当該貫通孔配線24に対応する第1の電気接続用金属層19との位置をずらしてあり、第2の電気接続用金属層29を、貫通孔配線24と第1の電気接続用金属層19とに跨る形で配置してある。なお、本実施形態の赤外線センサでは、センサ基板1とパッケージ用基板2とを真空中で接合しており、センサ基板1とパッケージ用基板2とで囲まれた空間が真空雰囲気となっている。
以上説明した本実施形態のセンサ装置では、センサ基板1の側面とパッケージ用基板2の側面とに跨ってセンサ基板1とパッケージ用基板2との接合部位の気密性を高めるカバー層4が形成されているので、動作安定性および信頼性の向上を図れる。なお、カバー層4の形成部位は、必ずしも実施形態5と同様である必要はなく、他の実施形態3,4のいずれかと同様でもよい。
ところで、上述の実施形態7で説明した赤外線センサは、センサ基板1とセンサ基板1の一表面側に接合されたパッケージ用基板2とで構成されているが、センサ基板1の構造によっては、センサ基板1の他表面側にも別途にパッケージ用基板を封着する構造としてもよいことは勿論である。
また、上述の実施形態7で説明した赤外線センサは、熱型赤外線検出部113を1つだけ設けた赤外線センサであるが、熱型赤外線検出部113をセンサ基板1の一表面側において2次元アレイ状(マトリクス状)に配列し各熱型赤外線検出部113それぞれが画素を構成するようにした赤外線画像センサでもよい。
なお、上述の実施形態1〜6では、センサ装置としてピエゾ抵抗形の加速度センサを例示し、実施形態7では、センサ装置として熱型の赤外線センサを例示したが、本発明の技術思想は、ピエゾ抵抗形の加速度センサや熱型の赤外線センサに限らず、例えば、容量形の加速度センサやジャイロセンサなど他のセンサにも適用でき、容量形の加速度センサやジャイロセンサでは、可動電極を設けた重り部や可動電極を兼ねる重り部などが可動部並びにセンサ機能部を構成し、固定電極と可動電極とによりセンシング部を構成することとなる。
また、上述の各実施形態1〜7では、センサ基板1とパッケージ用基板2,3との接合方法として常温接合法を採用し、Au−Auの組み合わせの常温接合やSi−Siの組み合わせの常温接合により直接接合しているが、Al−Al、Cu−Cu、Si−SiO2、SiO2−SiO2、Si−Si3N4、Si3N4−Si3N4などの組み合わせによる常温接合により直接接合するようにしてもよいし、Au、Ag、Al、または、これらの一つを成分とする合金を介在させてもよく、接合時に加熱を行う共晶接合やその他の接合方法により接合するようにしてもよい。