JP2014139915A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池電圧が4.25Vを超えるように充電しても、負荷特性、充放電サイクル特性および貯蔵特性が良好なリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】正極、負極、非水電解液およびセパレータを有しており、使用前に4.25Vを超える終止電圧で定電流−定電圧充電が行われるリチウム二次電池であって、非水電解液に、下記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物を0.1〜5質量%含有し、かつ1,3−ジオキサンを0.1〜5質量%含有する。
Figure 2014139915

〔前記一般式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基であり、nは0〜6の整数である。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、電池電圧が4.25Vを超える高電圧領域で充電しても負荷特性、充放電サイクル特性および貯蔵特性が良好なリチウム二次電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノート型パソコンなどの携帯型電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴って、小型軽量でかつ高容量のリチウム二次電池が必要とされるようになってきた。
そして、リチウム二次電池には、その適用機器の広がりなどに伴って、高容量化と共に各種の電池特性を向上させることが求められている。
こうしたリチウム二次電池の電池特性の向上を達成する一手段として、リチウム二次電池の有する非水電解液に各種の添加剤を適用することが知られている。例えば、特許文献1には、特定構造のホスホノアセテート類化合物を添加した非水電解液を用いることで、リチウム二次電池の充放電サイクル特性や貯蔵特性を高め得ることが記載されている。
また、特許文献2には、1,3−ジオキサンとスルホン酸エステル化合物とを添加した非水電解液を用いることで、リチウム二次電池の充放電サイクル特性などを高め得ることが記載されている。
特開2008−262908号公報 特開2009−140919号公報
ところで、リチウム二次電池の高容量化にあたっては、充電電圧を高める手法が考えられる。例えば、現在のリチウム二次電池では、充電電圧の上限値を、電池電圧が4.25V程度となるようにすることが一般的であるが、前記の手法は、充電電圧を前記の値よりも高めることで、更なる高容量化を図るというものである。
しかしながら、従来のリチウム二次電池を、電池電圧が4.25Vを超えるように充電すると、負荷特性や充放電サイクル特性が低下しやすい。
例えば、前記の通り、特許文献1に記載の添加剤を含有させた非水電解液は、電池の充放電サイクル特性や貯蔵特性を向上させ得るものとして有効である。しかしながら、かかる添加剤によっても、電池電圧が4.25Vを超えるように充電した場合には、リチウム二次電池の負荷特性や充放電サイクル特性の低下を抑制することは容易ではない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池電圧が4.25Vを超えるように充電しても、負荷特性、充放電サイクル特性および貯蔵特性が良好なリチウム二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、非水電解液およびセパレータを有しており、使用前に4.25Vを超える終止電圧で定電流−定電圧充電が行われるリチウム二次電池であって、前記非水電解液に、下記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物を0.1〜5質量%含有し、かつ1,3−ジオキサンを0.1〜5質量%含有するものを使用したことを特徴とするものである。
Figure 2014139915
前記一般式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基であり、nは0〜6の整数である。
本発明によれば、電池電圧が4.25Vを超えるように充電しても、負荷特性、充放電サイクル特性および貯蔵特性が良好なリチウム二次電池を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に示す図で、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図である。 図1に示すリチウム二次電池の斜視図である。
前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物は、リチウム二次電池の非水電解液に添加されることで、例えば、電池電圧が4.25Vを超えるように充電した場合であっても、リチウム二次電池の膨れの発生を抑制でき、その貯蔵特性を高める作用を有しているが、その一方で、リチウム二次電池の負荷特性や充放電サイクル特性を損なう作用も有している。
前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物は、リチウム二次電池内において、負極表面で皮膜を形成する機能を有しているが、その皮膜が負極と接触による非水電解液の分解を防止して、それに伴うガス発生を抑えることで、リチウム二次電池の膨れを抑制できる。
しかしながら、電池電圧が4.25Vを超えるような状態となると、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物が正極と接触することで分解し、それに伴ってリチウム二次電池の負荷特性や充放電サイクル特性の低下が引き起こされるものと推測される。
そこで、本発明では、非水電解液の添加剤として、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物と共に、1,3−ジオキサンを使用することとした。1,3−ジオキサンはリチウム二次電池の非水電解液に添加されることで、正極表面に皮膜を形成する機能を有している。そして、正極表面に形成された1,3−ジオキサン由来の皮膜が、正極表面での前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物の分解を抑制するためか、その分解に伴うリチウム二次電池の負荷特性の低下が抑えられる。
また、リチウム二次電池は充電状態で高温環境下に貯蔵すると、その後の放電容量が、貯蔵前の容量よりも低下することが通常であるが、1,3−ジオキサンは、リチウム二次電池の非水電解液に添加されることで、高温貯蔵後の回復容量(充電状態のリチウム二次電池を高温下で貯蔵し、その後放電させた後に充放電したときの放電容量)の、貯蔵前容量からの低下を抑制する作用も有している。よって、本発明のリチウム二次電池では、1,3−ジオキサンのこの作用と、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物の高温貯蔵時の電池膨れの抑制作用とが相俟って、良好な貯蔵特性を確保することができる。
更に、1,3−ジオキサンは、リチウム二次電池の非水電解液に添加されることで、充放電サイクル特性を高める作用を有しているが、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物と共に非水電解液に添加された場合には、1,3−ジオキサン単独の充放電サイクル特性向上効果を超えて、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を高める作用が発揮されることも判明した。その理由は定かではないが、本発明のリチウム二次電池では、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物と1,3−ジオキサンとの併用によって、例えば、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物の分解の防止による充放電サイクル特性の低下抑制効果に留まらず、充放電サイクル特性を良好に向上させることもできる。
本発明のリチウム二次電池は、これらの作用によって、4.25Vを超える終止電圧で定電流−定電圧充電して使用することで高容量化を図りつつ、優れた負荷特性、充放電サイクル特性および貯蔵特性の確保を可能としている。
本発明のリチウム二次電池に係る非水電解液には、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液であって、前記一般式(1)で表わされるホスホノアセテート類化合物と1,3−ジオキサンとを含有するものを使用する。
ホスホノアセテート類化合物を表す前記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基(例えば、アルキル基)である。
前記一般式(1)で表わされるホスホノアセテート類化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
<前記一般式(1)においてn=0である化合物>
トリメチルホスホノフォルメート、メチルジエチルホスホノフォルメート、メチルジプロピルホスホノフォルメート、メチルジブチルホスホノフォルメート、トリエチルホスホノフォルメート、エチルジメチルホスホノフォルメート、エチルジプロピルホスホノフォルメート、エチルジブチルホスホノフォルメート、トリプロピルホスホノフォルメート、プロピルジメチルホスホノフォルメート、プロピルジエチルホスホノフォルメート、プロピルジブチルホスホノフォルメート、トリブチルホスホノフォルメート、ブチルジメチルホスホノフォルメート、ブチルジエチルホスホノフォルメート、ブチルジプロピルホスホノフォルメート、メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、エチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメートなど。
<前記一般式(1)においてn=1である化合物>
トリメチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテート、メチルジプロピルホスホノアセテート、メチルジブチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホノアセテート、エチルジプロピルホスホノアセテート、エチルジブチルホスホノアセテート、トリプロピルホスホノアセテート、プロピルジメチルホスホノアセテート、プロピルジエチルホスホノアセテート、プロピルジブチルホスホノアセテート、トリブチルホスホノアセテート、ブチルジメチルホスホノアセテート、ブチルジエチルホスホノアセテート、ブチルジプロピルホスホノアセテート、メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、エチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、2−プロピニル(ジエチルホスホノ)アセテートなど。
<前記一般式(1)においてn=2である化合物>
トリメチル−3−ホスホノプロピオネート、メチルジエチル−3−ホスホノプロピオネート、メチルジプロピル−3−ホスホノプロピオネート、メチルジブチル3−ホスホノプロピオネート、トリエチル−3−ホスホノプロピオネート、エチルジメチル−3−ホスホノプロピオネート、エチルジプロピル−3−ホスホノプロピオネート、エチルジブチル3−ホスホノプロピオネート、トリプロピル−3−ホスホノプロピオネート、プロピルジメチル−3−ホスホノプロピオネート、プロピルジエチル−3−ホスホノプロピオネート、プロピルジブチル3−ホスホノプロピオネート、トリブチル−3−ホスホノプロピオネート、ブチルジメチル−3−ホスホノプロピオネート、ブチルジエチル−3−ホスホノプロピオネート、ブチルジプロピル−3−ホスホノプロピオネート、メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネート、エチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネート、プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネート、ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネートなど。
<前記一般式(1)においてn=3である化合物>
トリメチル−4−ホスホノブチレート、メチルジエチル−4−ホスホノブチレート、メチルジプロピル−4−ホスホノブチレート、メチルジブチル4−ホスホノブチレート、トリエチル−4−ホスホノブチレート、エチルジメチル−4−ホスホノブチレート、エチルジプロピル−4−ホスホノブチレート、エチルジブチル4−ホスホノブチレート、トリプロピル−4−ホスホノブチレート、プロピルジメチル−4−ホスホノブチレート、プロピルジエチル−4−ホスホノブチレート、プロピルジブチル4−ホスホノブチレート、トリブチル−4−ホスホノブチレート、ブチルジメチル−4−ホスホノブチレート、ブチルジエチル−4−ホスホノブチレート、ブチルジプロピル−4−ホスホノブチレートなど。
前記例示のホスホノアセテート類化合物の中でも、エチルジエチルホスホノアセテート(EDPA)、2−プロピニル(ジエチルホスホノ)アセテート(PDEA)が特に好ましい。
リチウム二次電池に使用する非水電解液における前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物の含有量は、高電圧充電状態で、特に高温貯蔵した際の電池膨れを良好に抑制し、また、1,3−ジオキサンとの組み合わせによって電池の充放電サイクル特性を高める効果を確保する観点から、0.1質量%以上であり、0.5質量%以上であることが好ましい。一方、非水電解液中の前記ホスホノアセテート類化合物の量が多すぎると、電池の負荷特性や充放電サイクル特性、貯蔵特性を低下させる虞がある。よって、リチウム二次電池に使用する非水電解液における前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物の含有量は、5質量%以下であり、2.5質量%以下であることが好ましい。
リチウム二次電池に使用する非水電解液における1,3−ジオキサンの含有量は、高電圧で充電した際の電池の負荷特性および高温貯蔵後の容量回復性を高め、また、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物との組み合わせによって電池の充放電サイクル特性を高める効果を確保する観点から、0.1質量%以上であり、0.5質量%以上であることが好ましい。一方、非水電解液中の1,3−ジオキサンの量が多すぎると、電池の負荷特性や充放電サイクル特性、貯蔵特性を低下させる虞がある。よって、リチウム二次電池に使用する非水電解液における1,3−ジオキサンの含有量は、5質量%以下であり、2.5質量%以下であることが好ましい。
また、非水電解液には、ハロゲン置換された環状カーボネートも含有するものを使用することが好ましい。ハロゲン置換された環状カーボネートは、負極に作用して、負極と非水電解液成分との反応を抑制する作用を有している。よって、ハロゲン置換された環状カーボネートも含有する非水電解液を使用することで、より充放電サイクル特性の良好なリチウム二次電池とすることができる。
ハロゲン置換された環状カーボネートとしては、下記の一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2014139915
前記一般式(2)中、R、R、RおよびRは、水素、ハロゲン元素または炭素数1〜10のアルキル基を表しており、アルキル基の水素の一部または全部がハロゲン元素で置換されていてもよく、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つはハロゲン元素であり、R、R、RおよびRは、それぞれが異なっていてもよく、2つ以上が同一であってもよい。R、R、RおよびRがアルキル基である場合、その炭素数は少ないほど好ましい。前記ハロゲン元素としては、フッ素が特に好ましい。
このようなハロゲン元素で置換された環状カーボネートの中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)が特に好ましい。
リチウム二次電池に使用する非水電解液におけるハロゲン置換された環状カーボネートの含有量は、その使用による効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液中のハロゲン置換された環状カーボネートの含有量が多すぎると、貯蔵特性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、リチウム二次電池に使用する非水電解液におけるハロゲン置換された環状カーボネートの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
更に、非水電解液には、ビニレンカーボネート(VC)も含有するものを使用することが好ましい。VCは、負極(特に負極活物質として炭素材料を使用した負極)に作用して、負極と非水電解液成分との反応を抑制する作用を有している。よって、VCも含有する非水電解液を使用することで、より充放電サイクル特性の良好なリチウム二次電池とすることができる。
リチウム二次電池に使用する非水電解液におけるVCの含有量は、その使用による効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液中のVCの含有量が多すぎると、貯蔵特性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、リチウム二次電池に使用する非水電解液におけるVCの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましい。
非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbFなどの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩などを用いることができる。
このリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
非水電解液に用いる有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
また、リチウム二次電池に使用する非水電解液には、充放電サイクル特性の更なる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、無水酸、スルホン酸エステル、ジニトリル、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤(これらの誘導体も含む)を適宜加えることもできる。
更に、リチウム二次電池の非水電解液には、前記の非水電解液に、ポリマーなどの公知のゲル化剤を添加してゲル化したもの(ゲル状電解質)を用いることもできる。
本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、非水電解液およびセパレータを有しており、非水電解液に前記の非水電解液を使用していればよく、その他の構成および構造については特に制限はなく、従来から知られているリチウム二次電池で採用されている各種構成および構造を適用することができる。
リチウム二次電池に係る正極には、例えば、集電体の片面または両面に、正極活物質、バインダおよび導電助剤などを含有する正極合剤層を有する構造のものを使用することができる。
正極活物質には、LiCoOなどのリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物;LiCo1−xNiOなどの層状構造のリチウム含有複合酸化物;LiMn、Li4/3Ti5/3などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePOなどのオリビン構造のリチウム含有複合酸化物;前記の酸化物を基本組成とし各種元素で置換した酸化物;などを使用することができる。
これらのリチウム含有複合酸化物の中でも、より容量が大きいことから、下記一般組成式(3)で表されるものを使用することがより好ましい。
Li1+aNi1−b−c−dCoMn (3)
前記一般組成式(3)中、MはMg、Al、Ti、Fe、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Sn、W、B、P、BaおよびBiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、−0.15≦a≦0.15、0.05≦b≦0.4、0.005≦c≦0.4、0≦d≦0.03、およびb+c+d≦0.7である。
ところで、前記一般組成式(3)で表わされるリチウム含有複合酸化物は、特にb+c+d≦0.3である場合、つまり、Ni含有率が高い場合には、高温における安定性が低下することが分かっている。これは、Niが熱に弱いことに由来している。しかしながら、本発明のリチウム二次電池は、前記一般組成式(3)においてb+c+d≦0.3であるリチウム含有複合酸化物のようなNi含有率の高い正極活物質を用いる場合においても、負荷特性、充放電サイクル特性は勿論のこと、高温での貯蔵特性についても大きく改善できるものである。
また、正極活物質には、前記一般組成式(3)で表されるリチウム含有複合酸化物(リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物)と、LiCoOや下記一般組成式(4)で表される酸化物などのリチウムコバルト酸化物とを併用することが、より好ましい。
Li1+oCo1−p−qMg (4)
前記一般組成式(4)中、MはAl、Ti、Fe、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Sn、W、B、PおよびBiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、−0.3≦o≦0.3、0.001≦p≦0.1、および0<q≦0.1である。
正極活物質に、前記のリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物と、前記のリチウムコバルト酸化物とを併用する場合、これらの合計100質量%中のリチウムコバルト酸化物の含有量を、50〜90質量%とすることが好ましい。
正極合剤層に係るバインダには、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが好適に用いられる。また、正極合剤層に係る導電助剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質、バインダおよび導電助剤などを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、正極は、前記の製造方法で製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法で製造したものであってもよい。
また、正極には、必要に応じて、リチウム二次電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を、常法に従って形成してもよい。
正極合剤層の厚みは、例えば、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましい。また、正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質の量が60〜95質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜15質量%であることが好ましく、導電助剤の量が3〜20質量%であることが好ましい。
正極の集電体は、従来から知られているリチウム二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。
リチウム二次電池に係る負極には、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤を含有する負極合剤からなる負極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、リチウムと合金化可能な金属(Si、Snなど)またはその合金、酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。
前記の負極活物質の中でも、特に電池の高容量化を図るには、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。以下、当該材料を「SiO」という)を用いることが好ましい。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
そして、SiOは、炭素材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOの表面が炭素材料で被覆されていることが望ましい。SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと炭素材料などの導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
SiOと炭素材料との複合体としては、前記のように、SiOの表面を炭素材料で被覆したものの他、SiOと炭素材料との造粒体などが挙げられる。
また、前記の、SiOの表面を炭素材料で被覆した複合体を、更に導電性材料(炭素材料など)と複合化して用いることで、負極において更に良好な導電ネットワークの形成が可能となるため、より高容量で、より電池特性(例えば、充放電サイクル特性)に優れたリチウム二次電池の実現が可能となる。炭素材料で被覆されたSiOと炭素材料との複合体としては、例えば、炭素材料で被覆されたSiOと炭素材料との混合物を更に造粒した造粒体などが挙げられる。
また、表面が炭素材料で被覆されたSiOとしては、SiOとそれよりも比抵抗値が小さい炭素材料との複合体(例えば造粒体)の表面が、更に炭素材料で被覆されてなるものも、好ましく用いることができる。前記造粒体内部でSiOと炭素材料とが分散した状態であると、より良好な導電ネットワークを形成できるため、SiOを負極活物質として含有する負極を有するリチウム二次電池において、重負荷放電特性などの電池特性を更に向上させることができる。
SiOとの複合体の形成に用い得る前記炭素材料としては、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などの炭素材料が好ましいものとして挙げられる。
前記炭素材料の詳細としては、繊維状またはコイル状の炭素材料、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。繊維状またはコイル状の炭素材料は、導電ネットワークを形成し易く、かつ表面積の大きい点において好ましい。カーボンブラック(アセチレンブラック,ケッチェンブラックを含む)、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、さらに、SiO粒子が膨張収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有している点において好ましい。
また、詳しくは後述するように、本発明においては、黒鉛を負極活物質としてSiOと共に使用することが好ましいが、この黒鉛をSiOと炭素材料との複合体に係る炭素材料として使用することもできる。黒鉛も、カーボンブラックなどと同様に、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、さらに、SiO粒子が膨張収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有しているため、SiOとの複合体形成に好ましく使用することができる。
前記例示の炭素材料の中でも、SiOとの複合体が造粒体である場合に用いるものとしては、繊維状の炭素材料が特に好ましい。繊維状の炭素材料は、その形状が細い糸状であり柔軟性が高いために電池の充放電に伴うSiOの膨張収縮に追従でき、また、嵩密度が大きいために、SiO粒子と多くの接合点を持つことができるからである。繊維状の炭素としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらの何れを用いてもよい。
なお、繊維状の炭素材料は、例えば、気相法にてSiO粒子の表面に形成することもできる。
SiOの比抵抗値が、通常、10〜10kΩcmであるのに対して、前記例示の炭素材料の比抵抗値は、通常、10−5〜10kΩcmである。
また、SiOと炭素材料との複合体は、粒子表面の炭素材料被覆層を覆う材料層(難黒鉛化炭素を含む材料層)を更に有していてもよい。
負極にSiOと炭素材料との複合体を使用する場合、SiOと炭素材料との比率は、炭素材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、SiO:100質量部に対して、炭素材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、前記複合体において、SiOと複合化する炭素材料の比率が多すぎると、負極合剤層中のSiO量の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、SiO:100質量部に対して、炭素材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
前記のSiOと炭素材料との複合体は、例えば下記の方法によって得ることができる。
まず、SiOを複合化する場合の作製方法について説明する。SiOが分散媒に分散した分散液を用意し、それを噴霧し乾燥して、複数の粒子を含む複合粒子を作製する。分散媒としては、例えば、エタノールなどを用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。前記の方法以外にも、振動型や遊星型のボールミルやロッドミルなどを用いた機械的な方法による造粒方法においても、同様の複合粒子を作製することができる。
なお、SiOと、SiOよりも比抵抗値の小さい炭素材料との造粒体を作製する場合には、SiOが分散媒に分散した分散液中に前記炭素材料を添加し、この分散液を用いて、SiOを複合化する場合と同様の手法によって複合粒子(造粒体)とすればよい。また、前記と同様の機械的な方法による造粒方法によっても、SiOと炭素材料との造粒体を作製することができる。
次に、SiO粒子(SiO複合粒子、またはSiOと炭素材料との造粒体)の表面を炭素材料で被覆して複合体とする場合には、例えば、SiO粒子と炭化水素系ガスとを気相中にて加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる。このように、気相成長(CVD)法によれば、炭化水素系ガスが複合粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素材料被覆層)を形成できることから、少量の炭素材料によってSiO粒子に均一性よく導電性を付与できる。
炭素材料で被覆されたSiOの製造において、気相成長(CVD)法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い炭素を含む被覆層を形成できるからである。
炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱い易いトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガスなどを用いることもできる。
また、気相成長(CVD)法にてSiO粒子(SiO複合粒子、またはSiOと炭素材料との造粒体)の表面を炭素材料で覆った後に、石油系ピッチ、石炭系のピッチ、熱硬化性樹脂、およびナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を、炭素材料を含む被覆層に付着させた後、前記有機化合物が付着した粒子を焼成してもよい。
具体的には、炭素材料で被覆されたSiO粒子(SiO複合粒子、またはSiOと炭素材料との造粒体)と、前記有機化合物とが分散媒に分散した分散液を用意し、この分散液を噴霧し乾燥して、有機化合物によって被覆された粒子を形成し、その有機化合物によって被覆された粒子を焼成する。
前記ピッチとしては等方性ピッチを、熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂などを用いることができる。ナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を用いることができる。
炭素材料で被覆されたSiO粒子と前記有機化合物とを分散させるための分散媒としては、例えば、水、アルコール類(エタノールなど)を用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。焼成温度は、通常、600〜1200℃が適当であるが、中でも700℃以上が好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い良質な炭素材料を含む被覆層を形成できるからである。ただし、処理温度はSiOの融点以下であることを要する。
本発明のリチウム二次電池に係る負極活物質にSiOを使用する場合には、更に黒鉛も負極活物質として使用することが好ましい。黒鉛を使用して負極活物質中のSiOの比率を下げることで、SiOの減量による高容量化効果の低下を可及的に抑制しつつ、電池の充放電に伴う負極(負極合剤層)の体積変化を抑えて、かかる体積変化によって生じ得る電池特性の低下を抑制することが可能となる。
SiOと共に負極活物質として使用する黒鉛としては、例えば、鱗片状黒鉛などの天然黒鉛;熱分解炭素類、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;などが挙げられる。
なお、本発明に係る負極においては、SiOを使用することによる高容量化の効果を良好に確保する観点から、負極活物質中におけるSiOの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、充放電に伴う負極の体積変化による問題をより良好に回避する観点から、負極活物質中におけるSiOの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
また、負極のバインダおよび導電助剤には、正極に使用し得るものとして先に例示したものと同じものが使用できる。
負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて使用される導電助剤を、NMPや水などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極は、前記の製造方法で製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法で製造したものであってもよい。
また、負極には、必要に応じて、リチウム二次電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を、常法に従って形成してもよい。
負極合剤層の厚みは、例えば、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましい。また、負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質を80.0〜99.8質量%とし、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。更に、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、負極合剤層における導電助剤の量を0.1〜10質量%とすることが好ましい。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
リチウム二次電池に係るセパレータには、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常のリチウム二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
セパレータの厚みは、例えば、10〜30μmであることが好ましい。
前記の正極と前記の負極と前記のセパレータとは、正極と負極との間にセパレータを介在させて重ねた積層電極体や、更にこれを渦巻状に巻回した巻回電極体の形態で本発明のリチウム電池に使用することができる。
本発明のリチウム二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
本発明のリチウム二次電池においては、前記の通り、使用前に4.25Vを超える終止電圧で定電流−定電圧充電が行われる。なお、本発明のリチウム二次電池において、使用される前に行われる定電流−定電圧充電の終止電圧は、4.35V以上であることが好ましく、また、5.00V以下であることが好ましく、4.80V以下であることがより好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、従来から知られているリチウム二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
LiCoOとLi1.0Ni0.5Co0.2Mn0.3とを8:2の割合(質量比)で混合した正極活物質100質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
前記正極合剤含有ペーストを、厚みが15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、正極合剤層の厚さおよび密度を調節し、アルミニウム箔の露出部にニッケル製のリード体を溶接して、長さ375mm、幅43mmの帯状の正極を作製した。得られた正極における正極合剤層は、片面あたりの厚みが55μmであった。
<負極の作製>
負極活物質である平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が10質量%)と、平均粒子径D50%が16μmである黒鉛とを、SiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量が3.75質量%となる量で混合した混合物:97.5質量部と、バインダであるSBR:1.5質量部と、増粘剤であるCMC:1質量部とに、水を加えて混合し、負極合剤含有ペーストを調製した。
前記負極合剤含有ペーストを、厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面に負極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、負極合剤層の厚さおよび密度を調節し、銅箔の露出部にニッケル製のリード体を溶接して、長さ380mm、幅44mmの帯状の負極を作製した。得られた負極における負極合剤層は、片面あたりの厚みが65μmであった。
<非水電解質の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とジエチルカーボネート(DEC)との容積比2:3:1の混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解させ、更にEDPA、1,3−ジオキサン、VCおよびFECを、それぞれ1質量%となる量で添加して、非水電解液を調製した。
<電池の組み立て>
前記帯状の正極を、厚みが16μmの微孔性ポリエチレンセパレータ(空孔率:41%)を介して前記帯状の負極に重ね、渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状巻回構造の電極巻回体とし、この電極巻回体をポリプロピレン製の絶縁テープで固定した。次に、外寸が厚さ4.0mm、幅34mm、高さ50mmのアルミニウム合金製の角形の電池ケースに前記電極巻回体を挿入し、リード体の溶接を行うとともに、アルミニウム合金製の蓋板を電池ケースの開口端部に溶接した。その後、蓋板に設けた注入口から前記非水電解質を注入し、1時間静置した後注入口を封止して、図1に示す構造で、図2に示す外観のリチウム二次電池を得た。
ここで図1および図2に示す電池について説明すると、図1の(a)は平面図、(b)はその部分断面図であって、図1(b)に示すように、正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角形(角筒形)の電池ケース4に非水電解質と共に収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や非水電解質などは図示していない。
電池ケース4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この電池ケース4は正極端子を兼ねている。そして、電池ケース4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、電池ケース4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は電池ケース4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池ケース4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている(従って、図1および図2の電池では、実際には、非水電解液注入口14は、非水電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、非水電解液注入口14として示している)。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって電池ケース4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、電池ケース4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は前記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図1では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図1においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
実施例2〜5および比較例1〜4
EDPAおよび1,3−ジオキサンの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例6
EDPAに代えてPDEAを用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例7
LiCoOとLi0.98Ni0.87Co0.091Mn0.012Al0.012Mg0.012Ba0.0025とを8:2の割合(質量比)で混合した正極活物質100質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
そして、前記の正極合剤含有ペーストを用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例6と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例5
比較例1で調製したものと同じ非水電解液を用いた以外は、実施例7と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例1〜7および比較例1〜5の各リチウム二次電池に用いた非水電解液に添加した各添加剤とそれらの量を表1に示す。なお、表1の「参考例」は、比較例2の電池と同じものである(参考例の詳細については後述する)。
実施例1〜7および比較例1〜5の各リチウム二次電池について、下記の各評価を行った。これらの結果を表2に示す。
<初期容量測定>
実施例および比較例の各リチウム二次電池について、1.0Cの電流値で4.35Vまで定電流充電を行い、続いて4.35Vの電圧で定電圧充電を行った。なお、定電流充電と定電圧充電の総充電時間は2.5時間とした。その後、0.2Cの電流値で3.0Vまで放電を行い、初期容量を測定した。
なお、比較例2の電池については、参考例として、定電流充電の終止電圧および定電圧充電時の電圧を4.2Vとした以外は前記と同じ条件での充放電を行ったときの初期容量も測定した。
<負荷特性評価>
実施例および比較例の各リチウム二次電池について、初期容量測定時と同じ条件で定電流充電および定電圧充電を行い、続いて1.5Cの電流値で3.0Vまで放電を行って放電容量(1.5C放電容量)を求めた。そして、各電池の1.5C放電容量を初期容量で除した値を百分率で表して、容量維持率を求めた。すなわち、この容量維持率が高いほど、電池の負荷特性が優れていることを意味している。
なお、比較例2の電池については、参考例として、定電流充電の終止電圧および定電圧充電時の電圧を4.2Vとした以外は前記と同じ条件で1.5C放電容量も求め、この値と前記参考例の初期容量の値とを用いて容量維持率を求めた。
<充放電サイクル特性評価>
実施例および比較例の各リチウム二次電池(前記の各評価を行った物とは別の電池)について、初期容量測定時と同じ条件で定電流充電および定電圧充電を行い、続いて1.5Cの電流値で3.0Vまで放電を行う一連の操作を1サイクルとして、500サイクルの充放電を繰り返した。その後の各電池について、初期容量測定時と同じ条件で充電および放電を行って、500サイクル経過後の各電池の放電容量を測定し、これを初期容量で除した値を百分率で表して、容量維持率を求めた。この容量維持率が高いほど、電池の充放電サイクル特性が優れているといえる。なお、前記の充放電サイクル特性評価は、室温(25℃)の環境下と、45℃の環境下とで評価を行った。
なお、比較例2の電池については、参考例として、定電流充電の終止電圧および定電圧充電時の電圧を4.2Vとした以外は前記と同じ条件で、室温環境下および45℃環境下での、500サイクル後の放電容量も求め、これらの値と前記参考例の初期容量の値とを用いて容量維持率を求めた。
<高温貯蔵特性評価>
実施例および比較例の各リチウム二次電池(前記の各評価を行った物とは別の電池)について、初期容量測定時と同じ条件で定電流充電および定電圧充電を行った後に、85℃の環境下で4時間貯蔵し、貯蔵前後での電池の厚み変化(膨れ量)を求めた。
また、厚み測定後の各電池について0.2Cの電流値で3.0Vまで放電を行った後に、初期容量測定時と同じ条件で定電流充電および定電圧充電を行い、続いて0.2Cの電流値で3.0Vまで放電を行って高温貯蔵後の放電容量を求めた。高温貯蔵後の放電容量が初期容量に近いほど、高温貯蔵後の容量回復性が良好で、電池の高温貯蔵特性が優れているといえる。
なお、比較例2の電池については、参考例として、定電流充電の終止電圧および定電圧充電時の電圧を4.2Vとした以外は前記と同じ条件で、貯蔵前後での電池の厚み変化および高温貯蔵後の放電容量も求めた。
Figure 2014139915
Figure 2014139915
実施例1〜7のリチウム二次電池は、負極活物質に、SiOと炭素材料との複合体と黒鉛とを併用した例であるが、表1および表2に示す通り、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物と1,3−ジオキサンとを適正な量で含有する非水電解液を用いており、負荷特性評価時の容量維持率、並びに室温および45℃での500サイクル後の容量維持率のいずれもが高く、負荷特性、並びに室温および高温下での充放電サイクル特性が優れている。また、実施例1〜7のリチウム二次電池は、高温貯蔵時の膨れが抑えられており、更に高温貯蔵後の放電容量の初期容量からの低下が小さく、高温貯蔵特性も優れている。特に、実施例7のリチウム二次電池は、熱安定性の低いNi含有率の高い正極活物質を使用した例であるが、実施例1〜6のリチウム二次電池と同程度の高温貯蔵特性を確保できている。
これに対し、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物および1,3−ジオキサンを含有していない非水電解液を用いた比較例1、5の電池は、室温および45℃での500サイクル後の容量維持率が小さく充放電サイクル特性が劣っており、また、Ni含有率の高い正極活物質を使用した比較例5の電池は、高温貯蔵時の膨れ量が大きく、更に高温貯蔵後の放電容量の初期容量からの低下が大きく、高温貯蔵特性も劣っている。
また、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物を含有する一方で、1,3−ジオキサンを含有していない非水電解液を用いた比較例2の電池は、負荷特性評価時の容量維持率、並びに室温および45℃での500サイクル後の容量維持率のいずれもが低く、負荷特性、並びに室温および高温下での充放電サイクル特性が劣っている。なお、比較例2の電池について、充電時の上限電圧を4.2Vとして各評価を行った参考例では、負荷特性、室温および高温下での充放電サイクル特性、および高温貯蔵特性のいずれもが実施例の各電池の評価結果と比べて遜色ないことから、本発明において解決している課題が、充電時の上限電圧を高めた場合、すなわち電池電圧が4.25Vを超えるようになる条件で充電した場合に生じるものであることが分かる。
また、1,3−ジオキサンを含有する一方で、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物を含有していない非水電解液を用いた比較例3の電池は、高温貯蔵時の膨れ量が大きく、更に高温貯蔵後の放電容量の初期容量からの低下が大きく、高温貯蔵特性が劣っている。
そして、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物および1,3−ジオキサンの量が多すぎる非水電解液を用いた比較例4の電池は、負荷特性、室温および高温下での充放電サイクル特性、並びに高温貯蔵特性のいずれもが劣っている。
なお、電池の充放電サイクル特性を高める作用を有する1,3−ジオキサンのみを含有する非水電解液を用いた比較例3の電池と、例えば実施例1の電池とについて、充放電サイクル特性を比較した場合、室温下、高温下のいずれにおいても、実施例1の電池の方が、比較例3の電池よりも優れている。実施例1の電池に係る非水電解液は、本来、電池の充放電サイクル特性を損なう作用を有していると考えられる前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物を含有していることに加えて、1,3−ジオキサンの含有量が比較例3の電池に係る非水電解液よりも少ないにも関わらず、充放電サイクル特性について、前記のような評価結果が得られていることから、実施例のリチウム二次電池においては、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物と1,3−ジオキサンとが相乗的に機能して、室温および高温下での充放電サイクル特性向上が達成されていることが分かる。
実施例8
負極活物質を前記の混合物に代えて実施例1で用いたものと同じ黒鉛のみとした以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例9
EDPAに代えてPDEAを用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例8と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例10
実施例7で作製したものと同じ正極を用いた以外は、実施例9と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例6
負極活物質を前記の混合物に代えて実施例1で用いたものと同じ黒鉛のみとした以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は比較例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例7
実施例7で作製したものと同じ正極を用いた以外は、比較例6と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例8〜10および比較例6、7のリチウム二次電池に用いた非水電解液に添加した各添加剤とそれらの量を表3に示す。
実施例8〜10および比較例6、7のリチウム二次電池について、実施例1の電池などと同様にして、前記の各評価を行った。これらの結果を表4に示す。
Figure 2014139915
Figure 2014139915
負極活物質に黒鉛のみを用いた実施例8〜10のリチウム二次電池においても、表3および表4に示す通り、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物と1,3−ジオキサンとを適正な量で含有する非水電解液を用いることで、負極活物質にSiOと黒鉛とを併用した実施例1〜7のリチウム二次電池と同様に、負荷特性、室温および高温下での充放電サイクル特性、並びに高温貯蔵特性のいずれもが、前記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物および1,3−ジオキサンを含有していない非水電解液を用いた比較例6、7の電池に比べて良好である。
また、Ni含有率が高く熱安定性が低い正極活物質を用いた実施例10のリチウム二次電池においても、Ni含有率の低い正極活物質を用いた実施例8、9のリチウム二次電池と同程度の高温貯蔵特性が確保できている。
1 正極
2 負極
3 セパレータ

Claims (7)

  1. 正極、負極、非水電解液およびセパレータを有しており、使用前に4.25Vを超える終止電圧で定電流−定電圧充電が行われるリチウム二次電池であって、
    前記非水電解液に、下記一般式(1)で表されるホスホノアセテート類化合物を0.1〜5質量%含有し、かつ1,3−ジオキサンを0.1〜5質量%含有するものを使用したことを特徴とするリチウム二次電池。
    Figure 2014139915
    〔前記一般式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基であり、nは0〜6の整数である。〕
  2. 負極は、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)を負極活物質として含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有するものである請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 負極の負極合剤層は、SiとOとを構成元素に含む材料と炭素材料との複合体を含有しており、前記複合体は、前記SiとOとを構成原子に含む材料の表面が、前記炭素材料で被覆されたものである請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  4. SiとOとを構成元素に含む材料と炭素材料との複合体の表面が、更に炭素材料で被覆されている請求項3に記載のリチウム二次電池。
  5. 負極の負極合剤層は、負極活物質として黒鉛を含有している請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  6. ハロゲン置換された環状カーボネートを更に含有する非水電解質を使用した請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  7. ビニレンカーボネートを更に含有する非水電解質を使用した請求項1〜6のいずれかに記載のリチウム二次電池。
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