JP2014077051A - 粒子の製造方法、粒子、及び、粒子製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリマーの分子量が高い場合や、結晶性を有する場合には、ポリマーと圧縮性流体との親和性が低下するので、ポリマーと圧縮性流体とを混合し難くなる。その結果、ポリマーを高い温度に加熱して低粘度化させた後、圧縮性流体と混合する必要が生じるので、熱の影響により、得られた粒子のポリマーとしての物性が低下するという課題が生じる。
【解決手段】 本発明の粒子の製造方法によると、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させる工程を有する。この工程により、圧縮性流体と混合した状態のポリマーが得られる。この場合、ポリマーを高い温度に加熱して低粘度化させた後、圧縮性流体と混合するときと比較して、ポリマーに加える熱量を小さくできるので、得られた粒子のポリマーとしての物性の低下を抑制できるという効果を奏する。
【選択図】図4
【解決手段】 本発明の粒子の製造方法によると、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させる工程を有する。この工程により、圧縮性流体と混合した状態のポリマーが得られる。この場合、ポリマーを高い温度に加熱して低粘度化させた後、圧縮性流体と混合するときと比較して、ポリマーに加える熱量を小さくできるので、得られた粒子のポリマーとしての物性の低下を抑制できるという効果を奏する。
【選択図】図4
Description
本発明は、ポリマーを含有する粒子の製造方法、この製造方法により製造された粒子、及び、粒子製造装置に関する。
従来、ポリマーを粒子化することにより、医薬品、化粧品等の原料、あるいは、電子写真用トナー等の製品として用いることが知られている。
ポリマーを粒子化する方法としては、有機溶媒を用いてポリマーを乳化する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法によると、開環重合性モノマーであるラクチドを開環重合して得られたポリマーに、有機溶媒として塩化メチレンを加えて溶解させ、トリエチルアミンで中和した後、蒸留水を滴下混合することによりポリマーを転相乳化させて粒子化する。ところが、この方法を用いた場合、粒子に塩化メチレンが残留するため、有機溶媒の残留を嫌う用途での粒子の使用が制限されるという問題があった。
有機溶媒を用いずにポリマーを粒子化する方法としては、圧縮性流体を用いた方法が知られている(特許文献2参照)。この方法によると、ポリエステルを加熱して溶融させた後、圧縮性流体としての液化二酸化炭素を混合し、得られた混合物をノズルから排出して減圧膨張させることにより粒子化する。この場合、混合物中で高粘度のポリマーが局在すると、ノズル詰まりの原因となるため、開示された方法では、ポリエステルと圧縮性流体とをスタティックミキサーで排出前に混合させている。
しかしながら、ポリマーの分子量が高い場合や、結晶性を有する場合には、ポリマーと圧縮性流体との親和性が低下するので、ポリマーと圧縮性流体とを混合し難くなる。その結果、ポリマーを高い温度に加熱して低粘度化させた後、圧縮性流体と混合する必要が生じるので、熱の影響により、得られた粒子のポリマーとしての物性が低下するという課題が生じる。
請求項1に係る発明は、開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、前記重合工程で得られたポリマー及び前記第1の圧縮性流体を噴射して造粒する造粒工程と、を有することを特徴とする粒子の製造方法である。
本発明の粒子の製造方法によると、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させる工程を有する。この工程により、圧縮性流体と混合した状態のポリマーが得られる。この場合、ポリマーを高い温度に加熱して低粘度化させた後、圧縮性流体と混合するときと比較して、ポリマーに加える熱量を小さくできるので、得られた粒子のポリマーとしての物性の低下を抑制できるという効果を奏する。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態の粒子の製造方法は、開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、重合工程で得られたポリマー及び第1の圧縮性流体を噴射して造粒する造粒工程と、を有する。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態の粒子の製造方法は、開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、重合工程で得られたポリマー及び第1の圧縮性流体を噴射して造粒する造粒工程と、を有する。
<<原材料>>
まず、上記の製造方法で原材料として用いられる開環重合性モノマー等の成分について説明する。本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料である。原材料は、少なくとも開環重合性モノマーを含み、更に必要に応じて適宜選択した開始剤、添加剤などの任意成分を含む。
まず、上記の製造方法で原材料として用いられる開環重合性モノマー等の成分について説明する。本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料である。原材料は、少なくとも開環重合性モノマーを含み、更に必要に応じて適宜選択した開始剤、添加剤などの任意成分を含む。
<開環重合性モノマー>
本実施形態で用いられる開環重合性モノマーは、使用する圧縮性流体との組み合わせにもよるが、エステル結合などのカルボニル骨格を環内に有するものが好ましい。カルボニル骨格は、電気陰性度の高い酸素が炭素とπ結合して成り、π結合電子がひきつけられることにより酸素が負に分極し、炭素が正に分極しているため、反応性が高くなる。また、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、カルボニル骨格が二酸化炭素の構造と似ていることから、二酸化炭素と生成したポリマーとの親和性は高くなると推測される。これらの作用により、圧縮性流体による生成したポリマーの可塑化の効果は高くなる。このような、開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
本実施形態で用いられる開環重合性モノマーは、使用する圧縮性流体との組み合わせにもよるが、エステル結合などのカルボニル骨格を環内に有するものが好ましい。カルボニル骨格は、電気陰性度の高い酸素が炭素とπ結合して成り、π結合電子がひきつけられることにより酸素が負に分極し、炭素が正に分極しているため、反応性が高くなる。また、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、カルボニル骨格が二酸化炭素の構造と似ていることから、二酸化炭素と生成したポリマーとの親和性は高くなると推測される。これらの作用により、圧縮性流体による生成したポリマーの可塑化の効果は高くなる。このような、開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
環状エステルとしては、特に限定されないが、次の一般式(1)で表される化合物のL体又はD体を脱水縮合して得られる環状二量体が好適に用いられる。
R−C*−H(−OH)(−COOH) 一般式(1)
(一般式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「C*」は、不斉炭素を表す。)
R−C*−H(−OH)(−COOH) 一般式(1)
(一般式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「C*」は、不斉炭素を表す。)
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性、又は入手容易性の点から特に好ましい。これら環状二量体は単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能である。
一般式(1)以外の環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラクトンを挙げることができる。特にε−カプロラクトンが反応性・入手性の観点から好ましい。
また、環状カーボネートとしては、特に限定されないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの開環重合性モノマーは、一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
本実施形態の開環重合性モノマーは、重合により圧可塑性材料となるポリマーを生成するものであることが好ましい。本実施形態において、圧可塑性材料とは、圧力を加えることによりガラス転移温度(Tg)が低下する性質を有する材料であり、より具体的には、熱を加えなくても圧力を加えることにより可塑化する材料を意味する。図1を用いて圧可塑性材料について説明する。図1は、圧可塑性材料のガラス転移温度と圧力との関係を示す図である。圧可塑性材料は、例えば、圧縮性流体と接触させることによって圧力が加えられると、圧可塑性材料の大気圧でのガラス転移温度より低い温度で可塑化する。
<触媒>
本実施形態で用いられる触媒は、目的に応じて適宜選択することができ、金属原子を含有する金属触媒であっても、金属原子を含有しない有機触媒であっても良い。
本実施形態で用いられる触媒は、目的に応じて適宜選択することができ、金属原子を含有する金属触媒であっても、金属原子を含有しない有機触媒であっても良い。
金属触媒としては、特に限定されず、オクチル酸スズ、ジブチル酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズなどのスズ系化合物、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミなどのアルミ系化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロオイキシドなどのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物、などの公知のものが用いられる。
本実施形態で用いられる触媒としては、生成物の安全性及び安定性を必要とする用途では、金属原子を含まない有機化合物(有機触媒)が好適に用いられる。有機触媒は、開環重合性モノマーの開環重合反応に寄与し、開環重合性モノマーとの活性中間体を形成した後、アルコールとの反応で脱離、再生するものであればよい。
有機触媒は、塩基性を有する求核剤として働く化合物が好ましく、塩基性を有する求核性の窒素原子を含有する化合物がより好ましく、窒素原子を有する環状化合物がさらに好ましい。上記のような化合物としては、特に限定されないが、環状モノアミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。なお、カチオン系の有機触媒は、上記の開環重合反応に用いられるが、ポリマー主鎖から水素を引き抜く(バック−バイティング)ため、分子量分布が広くなり高分子量の生成物を得にくい。
環状モノアミンの例としては、キヌクリジンが挙げられる。環状ジアミンの例としては、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンが挙げられる。アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物の例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネンが挙げられる。グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物の例としては、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物の例としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、ピロコリン、イミダゾール、ピリミジン、プリンが挙げられる。N−ヘテロサイクリックカルベンの例としては、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)などが挙げられる。これらの中でも、立体障害による影響が少なく求核性が高い、或いは、減圧除去可能な沸点を有するという理由により、DABCO、DBU、DPG、TBD、DMAP、PPY、ITBUが好ましい。
これらの有機触媒のうち、例えば、DBUは、室温で液状であって沸点を有する。このような有機触媒を選択した場合、得られたポリマーを減圧処理することで、ポリマー中から有機触媒をほぼ定量的に取り除くことができる。なお、有機溶媒の種類や除去処理の有無は、生成物の使用目的等に応じて決定される。
有機触媒の種類及び使用量は、後述の圧縮性流体と開環重合性モノマーの組み合わせによって変わるので一概に特定できないが、開環重合性モノマー100モル%に対して、0.01モル%以上15モル%以下が好ましく、0.1モル%以上1モル%以下がより好ましく、0.3モル%以上0.5モル%以下が更に好ましい。使用量が0.01モル%未満では、重合反応が完了する前に有機触媒が失活して、目標とする分子量のポリマーが得られない場合がある。一方、使用量が15モル%を超えると、重合反応の制御が難しくなる場合がある。
<任意成分>
本実施形態の製造方法では、上記の開環重合性モノマーの他、開環重合開始剤(開始剤)やその他の添加剤が原材料の任意成分として用いられる。
本実施形態の製造方法では、上記の開環重合性モノマーの他、開環重合開始剤(開始剤)やその他の添加剤が原材料の任意成分として用いられる。
(開始剤)
本実施形態では、得られるポリマーの分子量を制御するために、開始剤が好適に用いられる。開始剤としては、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。開始剤としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;及び乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
本実施形態では、得られるポリマーの分子量を制御するために、開始剤が好適に用いられる。開始剤としては、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。開始剤としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;及び乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
また、ポリカプロラクトンジオールやポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマーを開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック、又はトリブロック共重合体が合成される。
開始剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜調整すればよく、好ましくは開環重合性モノマー100モル%に対して、0.05モル%以上5モル%以下である。不均一に重合が開始されるのを防ぐために、開始剤は、モノマーが重合触媒に触れる前にあらかじめモノマーとよく混合しておくことが望ましい。
(添加剤)
また、開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
また、開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
界面活性剤としては、圧縮性流体に溶融し、かつ圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものが好適に用いられる。このような界面活性剤を使用することで、重合反応を均一に進めることができ、分子量分布の狭い生成物が得られるとともに、粒子状のポリマーを得やすくなる等の効果を期待できる。界面活性剤を用いる場合、圧縮性流体に加えても、開環重合性モノマーに加えても良い。例えば、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、親二酸化炭素基と親モノマー基を分子内に持つ界面活性剤が使用される。このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤が挙げられる。
安定剤としては、エポキシ化大豆油、カルボジイミド等などが用いられる。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが用いられる。防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが用いられる。フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが用いられる。顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、群青等などが用いられる。
<<圧縮性流体>>
次に、図2及び図3を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図2は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図3は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。圧縮性流体は、物質移動や熱移動が早く、粘度が低いなどの性質を有すると共に、温度、圧力を変化させことによって、その密度、誘電率、溶解度パラメータ、自由体積などが連続的に大きく変化する性質を有する。圧縮性流体は、有機溶媒と比べて極めて界面張力が小さいため、微少な起伏(表面)であっても追随し、圧縮性流体で濡らすことができる。また、圧縮性流体は、常圧に戻すことにより、生成物からの分離も容易であり、回収再利用ができる。これにより、本実施形態の製造方法では、水や有機溶媒などを用いた方法と比較して、製造時の環境への負荷を低減することができる。
次に、図2及び図3を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図2は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図3は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。圧縮性流体は、物質移動や熱移動が早く、粘度が低いなどの性質を有すると共に、温度、圧力を変化させことによって、その密度、誘電率、溶解度パラメータ、自由体積などが連続的に大きく変化する性質を有する。圧縮性流体は、有機溶媒と比べて極めて界面張力が小さいため、微少な起伏(表面)であっても追随し、圧縮性流体で濡らすことができる。また、圧縮性流体は、常圧に戻すことにより、生成物からの分離も容易であり、回収再利用ができる。これにより、本実施形態の製造方法では、水や有機溶媒などを用いた方法と比較して、製造時の環境への負荷を低減することができる。
本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図2で表される相図の中で、図3に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
本実施形態において、圧縮性流体として用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、空気、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレン、アンモニア、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソブタン、クロロトリフロロメタンなどが挙げられる。これらの圧縮性流体は、2種類以上の物質を混合して用いてもよい。
本実施形態の製造方法において、重合工程で用いられる圧縮性流体(以下、第1の圧縮性流体とも言う)としては、特に限定されないが、容易に超臨界状態を作り出せると共に、不燃性で安全性が高く、トナーを製造する場合には疎水性表面のトナーが得られるため、二酸化炭素が好適に用いられる。
本実施形態では、第1の圧縮性流体とは別に、造粒工程において第2の圧縮性流体を用いても良い。第2の圧縮性流体は、ポリマーを噴射させるときに供給される。第2の圧縮性流体としては、特に限定されず前述した圧縮性流体として用いることができる物質が挙げられるが、最高逆転温度が800K以下の酸素、窒素などの物質であって、窒素を含む圧縮性流体が好適に用いられる。ここで、窒素を含むとは窒素分子を含むことを意味し、空気も窒素を含むと言える。窒素は、最高逆転温度が620Kであって、二酸化炭素(最高逆転温度1500K)などの物質と比較して最高逆転温度が低い。これにより、窒素の圧力を低下させたときのジュール・トムソン効果に基づく温度の低下は、二酸化炭素などの圧力を低下させた場合と比較して小さくなる。これに対し、二酸化炭素のように、第2の圧縮性流体の最高逆転温度が高すぎると、溶融体を噴射させたときにジュール・トムソン効果による冷却が過剰になり、溶融体が粒子化する前に固化することで、繊維状、あるいは合着した生成物が混入する場合がある。また、冷却が過剰になると、溶融体を噴射するノズルなどの内部で溶融体が固化してしまい、長時間にわたって粒度分布の狭い小粒径の粒子を製造することができなくなる。
また、本実施形態において、圧縮性流体を、エントレーナー(助溶剤)とともに用いることもできる。エントレーナーとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒が挙げられる。
また、本実施形態の製造方法により製造される粒子がトナーである場合、圧縮性流体に加え、他の流体を併用することもできる。他の流体としては、トナー組成物の溶解度をコントロールしやすいものが好ましい。具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン等が挙げられる。
<<<粒子製造装置>>>
続いて、本実施形態の粒子の製造方法に用いられる粒子製造装置について図面を用いて説明する。図4は、本実施形態の粒子の製造方法に用いられる粒子製造装置の一例を示す模式図である。本実施形態の粒子製造装置は、開環重合性モノマーあるいは生成したポリマーを通過させる経路の一端部に、開環重合性モノマーを導入するモノマー導入口と、圧縮性流体を導入する圧縮性流体導入口とを有する。また、粒子製造装置の他端部には、ポリマーを噴射するノズルが設けられ、一端部と他端部との間に触媒を導入する触媒導入口を有する。
続いて、本実施形態の粒子の製造方法に用いられる粒子製造装置について図面を用いて説明する。図4は、本実施形態の粒子の製造方法に用いられる粒子製造装置の一例を示す模式図である。本実施形態の粒子製造装置は、開環重合性モノマーあるいは生成したポリマーを通過させる経路の一端部に、開環重合性モノマーを導入するモノマー導入口と、圧縮性流体を導入する圧縮性流体導入口とを有する。また、粒子製造装置の他端部には、ポリマーを噴射するノズルが設けられ、一端部と他端部との間に触媒を導入する触媒導入口を有する。
粒子製造装置1には、配管Haによって接続されて第1の経路を構成する温度調節器付きモノマータンク11と、ポンプ12と、バルブ13とが設けられている。また、粒子製造装置1には、配管Hbによって接続されて第2の経路を構成するボンベ21と、ポンプ22と、バルブ23とが設けられている。また、粒子製造装置1には、配管Hcによって接続されて第3の経路を構成する温度調節器付き触媒タンク31と、ポンプ32と、バルブ33とが設けられている。また、粒子製造装置1には、配管Hdによって接続されて第4の経路を構成する温度調節器付き添加剤タンク41と、ポンプ42と、バルブ43とが設けられている。また、粒子製造装置1には、配管Hdによって接続されて第5の経路を構成するボンベ51と、ポンプ52と、背圧弁53とが設けられている。更に、粒子製造装置1には、配管Hfによって接続され第6の経路を構成する反応容器66と、背圧弁68と、ノズル69とが設けられている。なお、配管Hfは、開環重合性モノマー、あるいは、生成したポリマーを通過させる経路の一例である。
粒子製造装置1における、第1の経路、第2の経路、及び、第6の経路の各末端は、混合装置64によって接続されている。粒子製造装置1における、第3の経路と、第6の経路とは、図4に示したように混合装置65によって接続されている。粒子製造装置1における、第4の経路と、第6の経路とは、図4に示したように混合装置67によって接続されている。さらに、粒子製造装置1における、第5の経路と、第6の経路とは、図4に示したように接続されている。
本実施形態において配管(Ha,Hb,Hc,Hd,He,Hf)のうち任意の配管を示す場合には、「配管H」を用いる。配管Hは、各原材料、圧縮性流体、得られたポリマーを通過させることができるものであれば特に限定されないが、超高圧管が好適に用いられる。なお、配管Hは、ヒータ61にて温度調節されており、また、各ポンプ、バルブ、混合装置、反応容器も温度調節されている。
第1の経路上に設置された、モノマータンク11は、開環重合性モノマーを貯蔵、加熱溶融させるための装置である。貯蔵される開環重合性モノマーは、モノマータンク11に取り付けられた温度調節器による制御によって加熱溶融し液体となるものであれば、室温で固体であっても構わない。また、モノマータンク11には攪拌装置が取り付けられていても良く、これにより材料が溶融するスピードを早くすることができる。開始剤は予めモノマータンク11に添加しておくことができる。また、反応に関与しない添加剤を、予めモノマータンク11に添加しておいても構わない。ポンプ12は、モノマータンク11内の溶融した開環重合性モノマーに圧力を加えて送り出す装置である。バルブ13は、ポンプ12と混合装置64との間の経路を開閉して流量を調整したり遮断したりするための装置である。
第2の経路上に設置された、ボンベ21は混合装置64内で第1の圧縮性流体となる物質(二酸化炭素等)を貯蔵し供給するための耐圧容器である。ボンベ21に貯蔵される物質としては、コスト、安全性の理由により、空気、窒素、二酸化炭素が好ましく、二酸化炭素がより好ましい。尚、混合装置64に至る経路で加熱又は加圧されて第1の圧縮性流体となるものであればボンベ21に貯蔵される物質は気体や液体等の状態であっても良い。ポンプ22は、ボンベ21に貯蔵された物質に圧力を加えて送り出す装置である。バルブ23は、ポンプ22と混合装置64との間の経路を開閉して流量を調整したり遮断したりするための装置である。
混合装置64は、開環重合性モノマーを導入するためのモノマー導入口64aと、圧縮性流体を導入するための圧縮性流体導入口64bとを有する。これにより混合装置64は、第1の経路から供給された開環重合性モノマーおよび開始剤などの原材料と第2の経路から供給された第1の圧縮性流体とを接触させ、混合して第6の経路に送り出す。本実施形態において、混合装置64は、第1の圧縮性流体と圧縮性流体とを均質混合するために、乱流混合する機構を有している。このような混合装置64の具体的例としては、公知のT字型継手、スワール流れを積極的に利用したスワールミキサー、スタティックミキサー、そして混合部で2液が衝突する中心衝突型混合器などが挙げられる。また、第1の経路から供給された溶融状態の原材料の粘度が著しく高い場合は、動力源を持つ二軸攪拌装置でもかまわない。
混合装置64では、原材料と圧縮性流体とを接触させることにより、原材料が溶融または溶解する。原材料あるいは生成したポリマーと圧縮性流体との存在下において、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが、圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。また、「溶解」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体中に溶けることを意味する。開環重合性モノマーを溶融した場合には溶融相、溶解した場合には溶解相が形成されるが、均一に反応を進めるために、溶融相および流体相が並存せず、溶融相または流体相のいずれか一層が形成されていることが好ましい。更に、本実施形態では、圧縮性流体に対して原材料の比率が高い状態で反応を進行させるために、溶融相のみが形成された状態で反応を進行させることが好ましい。
第3の経路上に設置された、触媒タンク31は、触媒を貯蔵する。触媒タンク31には、温度調節器が取り付けられており、触媒が固体の場合はこれを加熱溶融させる。なお、触媒タンク31において、触媒に有機溶媒を添加し、もしくは圧縮性流体を接触させて液状化させることもできる。触媒が液体の場合、温度調節器は必要ない。また、触媒タンク31には攪拌装置が取り付けられていても良く、これにより触媒が液状化するスピードを早くすることができる。ポンプ32は、触媒タンク31内の液状化した触媒に圧力を加えて第6の経路に送り出す装置である。混合装置65は、第1の圧縮性流体を含む原材料と触媒を均質混合できるものであれば特に限定するものではなく、混合装置64と同じ混合装置であっても別の混合装置であってもかまわない。
反応容器66は、開環重合性モノマーを開環重合させるための耐圧性の容器である。反応容器66の形状としては、タンク型でも筒型でもよいが、デッドスペースが少ない筒型が好ましい。なお、反応容器66には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていても良い。また、反応容器66は、供給された原材料を加熱するためのヒータを有している。更に、反応容器66は、原材料、第1の圧縮性流体などを攪拌する攪拌装置を有していても良い。反応容器66が攪拌装置を有する場合、原材料と生成されたポリマーの密度差によって、ポリマー粒子が沈降することを抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。反応容器66の攪拌装置としては、互いに噛み合うスクリュウや、2フライト(長円形)や3フライト(三角形様)などの攪拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の攪拌翼をもつ二軸又は多軸のものがセルフクリーニングの観点から好ましい。あらかじめ触媒を含む原料が充分に混合されている場合には、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌装置に応用出来る。静止型混合器としては、特公昭47−15526、同47−15527、同47−15528、同47−15533などで開示されたもの(多層化混合器)、及び特開昭47−33166に開示されたもの(ケニックス型)、及びそれらに類似する可動部のない混合装置が挙げられる。反応容器66が攪拌装置を有していない場合、反応容器66としては、チューブリアクターや超高圧配管等が好適に用いられる。
図4では、反応容器が1個の例を示したが、2個以上の反応容器を用いることもできる。複数の反応容器を用いる場合、反応容器ごとの反応(重合)条件、すなわち温度、触媒濃度、圧力、平均滞留時間、攪拌速度などは、同一でもよいが、重合の進行にあわせて、それぞれ最適の条件を選ぶことが好ましい。なお、反応時間の増加や装置の煩雑化を招くため、あまり多くの容器を多段的に結合することは得策でなく、段数は1以上4以下、特に1以上3以下が好ましい。一般的には、反応容器を1個だけで重合した場合、得られるポリマーの重合度や残存モノマー量が不安定で変動し易く、工業生産に適しないとされている。これは、溶融粘度数ポイズから数10ポイズ程度の重合原料と、溶融粘度数1,000ポイズ程度の重合されたポリマーとが同一容器内に混在するための不安定さに起因するものと思われる。これに対し、本実施形態では、原材料と生成したポリマーとが溶融(液状化)することによって反応容器66内(重合系ともいう)の粘度差を小さくすることが可能となるため、従来の重合反応装置より段数を減らしても、安定的にポリマーを製造することができる。
第4の経路上に設置された、添加剤タンク41は、温度調節器を備え、添加剤を加熱溶融させるための装置である。また、添加剤タンク41には攪拌装置が取り付けられていても良く、これにより添加剤が溶融するスピードを早くすることができる。ポンプ42は、添加剤タンク41内の溶融した添加剤に圧力を加えて第6の経路に送り出す装置である。第4の経路は添加剤が必要ない場合は使用しなくても良い。
混合装置67は、反応容器66で生成したポリマーと添加剤とを均質混合できるものであれば特に限定するものではなく、混合装置64または65と同じ混合装置であっても別の混合装置であってもかまわない。
ボンベ51は第5の経路で第2の圧縮性流体となる物質を貯蔵し供給するための耐圧容器である。ボンベ51に貯蔵される物質としては、安全性の理由により、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素が好ましく、コスト等も考慮すると、空気、窒素、二酸化炭素がより好ましい。尚、第5の経路で加熱あるいは加圧されて第2の圧縮性流体となるものであれば、ボンベ51に貯蔵される物質の状態は気体や液体であっても良い。
ポンプ52は、ボンベ51に貯蔵された第2の圧縮性流体を第6の経路に送り出す装置である。背圧弁53は、ポンプ52と第6の経路との間を開閉して第2の圧縮性流体の流量を調整したり遮断したりするための装置である。ポンプ52と背圧弁53の間には必要に応じて蓄圧機を設置してもよい。尚、ヒータ61で加熱された圧縮性流体は、ジュール・トムソン効果によりノズル69の出口で冷却されることになることから、充分に加熱されて図3の相図における(1)の超臨界流体の状態となっていることが好ましい。
背圧弁68は、混合装置67とノズル69との間の経路を開閉して混合装置67で得られた溶融体の流量や圧力を調整したり遮断したりするための装置である。
粒子製造装置1のノズル69は、第1の圧縮性流体を含む溶融体に、第5の経路から供給された第2の圧縮性流体を供給しつつ噴射する装置である。溶融体に第2の圧縮性流体を供給することで、ノズル69から噴射される溶融体の圧力損失を防ぐ。これにより加工性が向上するので、樹脂の分子量が高い場合でも、粒子を製造することが可能となる。
ノズル69の種類としては、特に限定されないが、直射ノズルが好適に用いられる。ノズル69の径としては、噴射時の圧力を一定に維持できれば、特に制限はないが、大きすぎると噴射時の圧力が下がりすぎることで溶融体粘度が上昇し、微粒子を得ること困難になる場合がある。また、ノズル69内の圧力を維持するためにポンプ52等の大型化が必要となる場合がある。一方、ノズル径が小さすぎる場合は、溶融体がノズル69で詰まり易くなり、狙いとする微粒子を得ることが困難になる場合がある。よって、ノズル径には上限がなく、下限として、5μm以上であることが好ましく、より好ましくは、20μm以上であり、50μm以上であれば特に好ましい。
<<処理および動作>>
続いて、図4の粒子製造装置1を用いて粒子の一例としてのトナーを製造するときの処理および動作について説明する。本実施形態の粒子の製造方法は、開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、重合工程で得られたポリマー及び第1の圧縮性流体を噴射して造粒する造粒工程とを有する。
続いて、図4の粒子製造装置1を用いて粒子の一例としてのトナーを製造するときの処理および動作について説明する。本実施形態の粒子の製造方法は、開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、重合工程で得られたポリマー及び第1の圧縮性流体を噴射して造粒する造粒工程とを有する。
<重合工程>
まず、ポンプ12、ポンプ22を作動させ、バルブ13、バルブ23を開き、混合装置64にて開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、混合して、第1の圧縮性流体の存在下開環重合性モノマーを溶融させることにより、溶融体Y1を得る。次に、ポンプ32を作動させ、バルブ33を開き、混合装置65にて溶融体Y1と触媒とを混合し溶融体Y2を得る。本実施形態では、原材料を第1の圧縮性流体の存在下溶融させた後、触媒を添加している。従来、圧縮性流体を用いて開環重合性モノマーを開環重合する方法において、触媒を加えるタイミングについては検討されていなかった。本実施形態では、開環重合に際しては、触媒は、その活性の高さから、混合装置64にて第1の圧縮性流体と開環重合性モノマーおよび開始剤等の原材料とを充分混合し、溶融体Y1が得られた後に添加する。溶融体Y1が十分溶融していない状態で、触媒を加えると、反応が不均一に進む場合がある。このとき、開環重合性モノマーや触媒などが常温で固体である場合はモノマータンク11、触媒タンク31で触媒を加熱などして溶融させる。加熱以外の方法として、触媒に有機溶媒を添加する方法、圧縮性流体を接触させる方法などがある。また混合装置64や混合装置65が攪拌装置を有する場合には、原材料および第1の圧縮性流体を攪拌しても良い。
まず、ポンプ12、ポンプ22を作動させ、バルブ13、バルブ23を開き、混合装置64にて開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、混合して、第1の圧縮性流体の存在下開環重合性モノマーを溶融させることにより、溶融体Y1を得る。次に、ポンプ32を作動させ、バルブ33を開き、混合装置65にて溶融体Y1と触媒とを混合し溶融体Y2を得る。本実施形態では、原材料を第1の圧縮性流体の存在下溶融させた後、触媒を添加している。従来、圧縮性流体を用いて開環重合性モノマーを開環重合する方法において、触媒を加えるタイミングについては検討されていなかった。本実施形態では、開環重合に際しては、触媒は、その活性の高さから、混合装置64にて第1の圧縮性流体と開環重合性モノマーおよび開始剤等の原材料とを充分混合し、溶融体Y1が得られた後に添加する。溶融体Y1が十分溶融していない状態で、触媒を加えると、反応が不均一に進む場合がある。このとき、開環重合性モノマーや触媒などが常温で固体である場合はモノマータンク11、触媒タンク31で触媒を加熱などして溶融させる。加熱以外の方法として、触媒に有機溶媒を添加する方法、圧縮性流体を接触させる方法などがある。また混合装置64や混合装置65が攪拌装置を有する場合には、原材料および第1の圧縮性流体を攪拌しても良い。
ポンプ12およびポンプ32の供給速度は、開環重合性モノマー、触媒の目標とする量比に基づいて、一定の比率となるように調整される。また、ポンプ12およびポンプ32によって単位時間当たりに供給される開環重合性モノマーおよび触媒の合計質量である原材料フィード量(質量部/分)は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。同様に、ポンプ22よって供給される第1の圧縮性流体のフィード量(質量部/分)は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。
原材料と第1の圧縮性流体との供給量比(原材料フィード量/第1の圧縮性流体フィード量)は、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。また、上記フィード比の上限値については、1000以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
フィード比を1以上とすることにより、反応容器66内では、原材料および生成したポリマーの濃度(いわゆる固形分濃度)が高い状態で反応が進行する。このときの重合系内の固形分濃度は、従来の製造方法で圧倒的な量の圧縮性流体に対して少量の開環重合性モノマーを溶解させて重合したときの重合系の固形分濃度とは大きく異なる。本実施形態の製造方法は、固形分濃度が高い重合系でも重合反応が効率的かつ安定して進行することに特徴がある。なお、本実施形態において、フィード比を1未満としてもよく、この場合であっても、得られるポリマーの品質に問題はないが、経済的な効率は劣ることになる。また、フィード比が1000を超えると、圧縮性流体が開環重合性モノマーを溶融させる能力が不十分となる恐れがあり、目的とする反応が均一に進まない場合がある。
混合装置65で得られた溶融体Y2は必要に応じて反応容器66の攪拌装置によって充分に攪拌され、ヒータにより所定温度に加熱される。これにより反応容器66内で、触媒の存在下、開環重合性モノマーは開環重合する。
開環重合性モノマーを開環重合させる際の温度(重合反応温度)は、特に限定されないが、40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上である。重合反応温度が40℃未満であると、開環重合性モノマー種によっては、圧縮性流体による溶融に長い時間がかかったり、溶融が不十分であったり、触媒の活性が低くなったりする。これにより、重合時には反応速度が低下しやすくなり、定量的に重合反応を進めることができなくなる場合がある。
重合反応温度の上限は、特に限定されないが、170℃、又は、開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、好ましくは、150℃、又は、開環重合性モノマーの融点のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、より好ましくは、130℃、又は、開環重合性モノマーの融点より20℃低い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度が、開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度を超えると、開環重合の逆反応である解重合反応も平衡して起こりやすく、定量的に重合反応が進みにくくなる。室温で液状である開環重合性モノマーなどの融点が低い開環重合性モノマーを使用する場合においては、触媒の活性を高めるため、重合反応温度を開環重合性モノマーの融点より30℃以上高い温度としても良い。この場合でも、特に限定されないが、重合反応温度を、生成されるポリマーの融点より低い温度とすることが可能であり、170℃以下とすることが好ましい。
なお、重合反応温度は、反応容器66に設けられたヒータあるいは反応容器66の外部からの加熱等により制御される。また、重合反応温度を測定する場合、重合反応によって得られたポリマーを用いても良い。
超臨界二酸化炭素を用いた従来のポリマーの製造方法において、超臨界二酸化炭素はポリマーの溶解能が低いことから、多量の超臨界二酸化炭素を用いて開環重合性モノマーを重合させていた。本実施形態によれば、圧縮性流体を用いたポリマーの製造方法においては、従来にない高い濃度で開環重合性モノマーを開環重合させることができる。この場合、圧縮性流体の存在下、反応容器66内が高圧となり、生成したポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する。これにより、生成したポリマーが低粘度化するので、ポリマーの濃度が高くなった状態でも均一に開環重合反応が進行する。また、本実施形態において、第1の圧縮性流体と開環重合性モノマーを連続的に接触させ、溶融させた場合には、反応系におけるポリマーの濃度のばらつきが生じにくくなる。
本実施形態において、重合反応時間(反応容器66内の平均滞留時間)は、目標とする分子量に応じて設定されるが、通常、1時間以内が好ましく、45分以内がより好ましく、30分以内が更に好ましい。本実施形態の製造方法によると、重合反応時間を20分以内とすることもできる。これは、圧縮性流体中での開環重合性モノマーの重合では前例がない短時間である。
重合時の圧力、すなわち第1の圧縮性流体の圧力は、ボンベ21から供給された第1の圧縮性流体が液化ガス(図3の相図の(2))、または高圧ガス(図3の相図の(3))となる圧力でも良いが、超臨界流体(図3の相図の(1))となる圧力が好ましい。第1の圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、開環重合性モノマーの溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。なお、二酸化炭素を第1の圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力は、3.7MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは臨界圧力の7.4PMa以上である。また、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、同様の理由により、その温度は25℃以上であることが好ましい。
反応容器66内の水分量は、開環重合性モノマー100モル%に対して、4モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.5モル%以下である。水分量が4モル%を超えると、水分自体も開始剤として寄与するため、分子量の制御が困難となる場合がある。重合反応系内の水分量を制御するために、必要に応じて、前処理として、開環重合性モノマー、その他原材料に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
反応容器66では、溶融したモノマーが反応することで、溶融した状態のポリマーが得られる。この場合、ポリマーと第1の圧縮性流体とを含む溶融体Y3の粘度は、ノズル69によって噴射することのできる粘度であれば特に限定されないが、低ければ低いほどノズル径を小さくしても噴射することが可能となり、微粒子化が容易である。
反応容器66で生成したポリマーには必要に応じて添加剤を添加することができる。添加剤が反応に関与する場合は、ポンプ42を作動させ、バルブ43を開き、混合装置67にて反応容器66で生成したポリマーおよび添加剤を混合する。添加剤が反応に関与しない場合は、予めモノマータンク11に開環重合性モノマーと同時に添加することもできる。ここで、添加剤が常温で固体である場合は、添加剤タンク41の温度調節器を作動させ添加剤を加熱などで溶融させても良い。加熱以外の方法として、有機溶媒を添加する方法、圧縮性流体を接触させる方法などがある。また混合装置67が攪拌装置を有する場合には、反応容器66で生成されたポリマーと添加剤を攪拌しても良い。
<造粒工程>
続いて、本実施形態の粒子の製造方法における造粒工程について説明する。この造粒工程は、重合工程で得られたポリマーの溶融体Y3に第2の圧縮性流体を供給しつつ、この溶融体Y3を噴射して造粒する工程である。
続いて、本実施形態の粒子の製造方法における造粒工程について説明する。この造粒工程は、重合工程で得られたポリマーの溶融体Y3に第2の圧縮性流体を供給しつつ、この溶融体Y3を噴射して造粒する工程である。
ここでは、図4の粒子製造装置1を用いた一例について説明する。ボンベ51は、第2の経路で第2の圧縮性流体となる物質の一例として窒素を貯蔵している。ポンプ52は、ボンベ51に貯蔵された窒素を加圧し、背圧弁53を介して第6の経路に供給する。ポンプ52と背圧弁53の間には必要に応じて蓄圧機を設置してもよい。ポンプ52または蓄圧機によって付与される圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1MPa以上が好ましく、10MPa以上200MPa以下がより好ましく、31MPa以上100MPa以下が特に好ましい。圧縮性流体に付与される圧力が1MPaより小さいと、ポリマーが流動化しても造粒できる程の可塑化効果が得られないことがある。圧力はいくら高くても問題はないが、高圧になるほど装置が重厚になり設備コストは高くなる。
ポンプ52によって供給される窒素はヒータ61によって加熱されて圧縮性流体となる。ヒータ61の設定温度としては、供給された物質を圧縮性流体とすることができる温度であれば特に制限されない。
次に、背圧弁68を開放することにより、生成したポリマーおよび第1の圧縮性流体を含む溶融体Y3を、反応容器66からノズル69に供給する。これにより、反応容器66から供給された溶融体Y3と、ボンベ51から供給された第2の圧縮性流体とを連続的に接触させて、ノズル69から圧力差によって大気圧下に連続的に噴射される。このようにして、第2の圧縮性流体を供給しつつ、溶融体Y3をノズル69から噴射することができる。
この場合、第2の圧縮性流体の供給により噴射される溶融体の固形分濃度が下がるので、溶融体Y3の更なる低粘度化を達成できる。その結果、噴射される溶融体Y3の温度が一定に制御されるだけでなく、噴射速度(出口線速)も高くなり、出口線速向上による溶融体Y3への剪断力も大きくなる。また、第2の圧縮性流体として窒素を用いることにより、ノズル69近傍での圧力変化に伴う、ジュール・トムソン効果による温度の低下も緩和されるので、ノズル69の詰まりが発生しにくくなる。ノズル69から噴射された溶融体Y3は、粒子Pとなった後、固化する。この場合、溶融体の低粘度化、低固形分濃度化の相乗効果によって、合着のない均一な微粒子を長時間に渡って得ることができる。また、製造される粒子Pの形状も均一に安定化される効果が得られる。
本実施形態の製造方法によると、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させて開環重合性モノマーを開環重合させることで、開環重合性モノマーの融点程度の温度でポリマーの溶融体Y3を形成させることができる。これに対して、従来の方法のように、ポリマーを加熱して溶融させた後、圧縮性流体とを混合して造粒する場合には、ポリマーの融点以上の温度にポリマーを加熱しなければならない。本実施形態の製造方法によると、低い温度での造粒が可能となるため、従来の製造方法と比して、ポリマーの解重合反応を大幅に抑制できる。これにより、粒子Pにおける、開環重合性モノマーのポリマー転化率を、96モル%以上、好ましくは98モル%以上とすることができる。ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマーとしての熱特性が不十分になり、別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。なお、本実施形態においてポリマー転化率とは、原材料としての開環重合性モノマーに対する、ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの割合を意味する。ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの量は、生成したポリマーの量から未反応の開環重合性モノマー(残存開環重合性モノマー)の量を差し引くことにより得られる。
<<粒子>>
本実施形態により得られるポリマーの数平均分子量は、開始剤の量によって調整が可能である。特に限定されるものではないが、数平均分子量は一般的に1.2万以上20万以下である。数平均分子量が20万より大きい場合、粘性の上昇に伴う生産性の悪化により経済的ではない場合がある。数平均分子量が1.2万より小さい場合、ポリマーとしての強度が不十分となり好ましくない場合がある。本実施形態により得られるポリマーの重量平均分子量を数平均分子量で除した値は、好ましくは1.0以上2.5以下の範囲であり、より好ましくは1.0以上2.0以下である。この値が2.0より大きい場合、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難になることから好ましくない。
本実施形態により得られるポリマーの数平均分子量は、開始剤の量によって調整が可能である。特に限定されるものではないが、数平均分子量は一般的に1.2万以上20万以下である。数平均分子量が20万より大きい場合、粘性の上昇に伴う生産性の悪化により経済的ではない場合がある。数平均分子量が1.2万より小さい場合、ポリマーとしての強度が不十分となり好ましくない場合がある。本実施形態により得られるポリマーの重量平均分子量を数平均分子量で除した値は、好ましくは1.0以上2.5以下の範囲であり、より好ましくは1.0以上2.0以下である。この値が2.0より大きい場合、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難になることから好ましくない。
本実施形態により、金属触媒を使用せずに粒子を生成した場合、得られた粒子は実質的に金属触媒及び有機溶媒を含まず、残存モノマー量も極めて少ないことから、安全性、安定性に優れる。従って、本実施形態の粒子は、日用品、医薬品、化粧品、電子写真用トナー等の用途として幅広く適用される。なお、本実施形態において、金属触媒とは、開環重合に用いられる触媒であって金属を含むものである。実質的に金属触媒を含まないとは、例えばICP発光分析法、原子吸光分析法あるいは比色法などの公知の分析手法でポリマー中の金属触媒の含有量を検出したときに、検出限界以下であることを言う。また、本実施形態において、有機溶媒とは、開環重合に用いられる有機物の溶媒であり、開環重合反応で得られるポリマーを溶解せしめるものである。実質的に有機溶媒を含有しないとは、以下の測定方法により測定されるポリマー中の有機溶媒の含有量が検出限界以下であることを言う。
(残留有機溶媒の測定方法)
測定対象となるポリマー1質量部に2−プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、ポリマー中の有機溶媒を抽出する。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−14A,SHIMADZU)で分析し、ポリマー中の有機溶媒および残留モノマーを定量することにより有機溶媒濃度を測定する。かかる分析時の測定条件は、以下の通りである。
装置 :島津GC−14A
カラム :CBP20−M 50−0.25
検出器 :FID
注入量 :1〜5μl
キャリアガス :He 2.5kg/cm2
水素流量 :0.6kg/cm2
空気流量 :0.5kg/cm2
チャートスピード:5mm/min
感度 :Range101×Atten20
カラム温度 :40℃
Injection Temp :150℃
測定対象となるポリマー1質量部に2−プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、ポリマー中の有機溶媒を抽出する。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−14A,SHIMADZU)で分析し、ポリマー中の有機溶媒および残留モノマーを定量することにより有機溶媒濃度を測定する。かかる分析時の測定条件は、以下の通りである。
装置 :島津GC−14A
カラム :CBP20−M 50−0.25
検出器 :FID
注入量 :1〜5μl
キャリアガス :He 2.5kg/cm2
水素流量 :0.6kg/cm2
空気流量 :0.5kg/cm2
チャートスピード:5mm/min
感度 :Range101×Atten20
カラム温度 :40℃
Injection Temp :150℃
〔第2の実施形態〕(応用例)
続いて、第1の実施形態の応用例としての第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、数種類の開環重合性モノマーを加えるタイミングを適宜設定することにより、複合体を合成する。なお、本実施形態において、複合体とは、モノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマーセグメントを有する共重合体またはモノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマーの混合物を意味する。以下、複合体の一例として、ステレオコンプレックスの合成方法を二通り示す。
続いて、第1の実施形態の応用例としての第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、数種類の開環重合性モノマーを加えるタイミングを適宜設定することにより、複合体を合成する。なお、本実施形態において、複合体とは、モノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマーセグメントを有する共重合体またはモノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマーの混合物を意味する。以下、複合体の一例として、ステレオコンプレックスの合成方法を二通り示す。
<第1の方法>
まず、図5及び図6を用いて第1の方法について説明する。図5及び図6は、第1の方法で用いられる粒子製造装置を示す模式図である。第1の方法では、図5の粒子製造装置2における系列1で、第1の実施形態と同様の製造方法でポリマーを生成し、得られた中間体としてのポリマーと、新たに導入された第2の開環重合性モノマーとを系列2で接触させて第1の圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物(最終的なポリマー)の粒子PPを製造する。なお、図5の粒子製造装置2における系列2と同様の系列を直列に繰り返すことにより、3種以上のセグメントを有する複合体生成物を得ることもできる。
まず、図5及び図6を用いて第1の方法について説明する。図5及び図6は、第1の方法で用いられる粒子製造装置を示す模式図である。第1の方法では、図5の粒子製造装置2における系列1で、第1の実施形態と同様の製造方法でポリマーを生成し、得られた中間体としてのポリマーと、新たに導入された第2の開環重合性モノマーとを系列2で接触させて第1の圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物(最終的なポリマー)の粒子PPを製造する。なお、図5の粒子製造装置2における系列2と同様の系列を直列に繰り返すことにより、3種以上のセグメントを有する複合体生成物を得ることもできる。
続いて、図6を用いて粒子製造装置2の具体例について説明する。粒子製造装置2は、系列1として、第1の実施形態の粒子製造装置1におけるA部(図4参照)と同様の構成と、系列2として、C部と、第1の実施形態の粒子製造装置1におけるB部と同様の構成と、を有する。なお、粒子製造装置2におけるA部およびB部は、粒子製造装置1におけるA部およびB部と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
粒子製造装置2において、C部は、混合装置164と混合装置165の間にA部で生成された第1の圧縮性流体を含むポリマーとを混合する混合装置170を設けてある以外は、A部と同様の構成となっている。
系列2のC部において、モノマータンク111は、系列1のA部のモノマータンク11と同様の構成であるが、貯蔵される物質が第2の開環重合性モノマーである点で異なる。系列2のC部において、ボンベ121、触媒タンク131、添加剤タンク141は、系列1のA部のボンベ21、触媒タンク31、添加剤タンク41と同様の構成であり、貯蔵される圧縮性流体、触媒、添加剤は、それぞれA部のものと同じであっても異なるものであっても良い。系列2のC部において、ポンプ(112,122,132,142)、バルブ(113,123,133,143)、混合装置(164,165,167)、反応容器166は、それぞれ系列1のA部のポンプ(12,22,32,42)、バルブ(13,23,33,43)、混合装置(64,65,67)、反応容器66と同様の構成である。なお、混合装置164は、開環重合性モノマーを導入するためのモノマー導入口164aと、圧縮性流体を導入するための圧縮性流体導入口164bとを有する。
混合装置170は、混合装置164から供給され、第2の開環重合性モノマーを含む溶融体Y1−2と、系列1のA部から供給された中間体としてのポリマーの溶融体Y3とを混合し、溶融体Y4を生成するための装置である。混合装置170は、第2の開環重合性モノマーを含む溶融体Y1−2と、系列1から供給され、第1の開環重合性モノマーを開環重合して得られたポリマーの溶融体Y3を均質質混合できるものであれば特に限定するものではなく、混合装置164と同じ混合装置であっても別の混合装置であってもかまわない。
第1の方法では、反応容器66で第1の開環重合性モノマー(例えば、L−ラクチド)を重合し、反応が定量的に終了した後、第2の開環重合性モノマーの一例としての光学異性体の開環重合性モノマー(例えば、D−ラクチド)を反応容器166に加え、さらに重合反応を行う。これにより、ステレオブロック共重合体が得られる。得られたステレオブロック共重合体を含む溶融体Y5は、第1の実施形態と同様の造粒工程を経て、複合体から構成される粒子PPとなる。この方法は、残存開環重合性モノマーが少ない状態で、開環重合性モノマーの融点以下で反応を進められることから、ラセミ化が非常に起こりにくく、かつ1段階の効率的な反応で粒子PPが得られるため非常に有用である。
<第2の方法>
続いて、図7を用いて第2の方法について説明する。図7は、第2の方法で用いられる粒子製造装置3を示す模式図である。第2の方法では、第1の実施形態の製造方法でそれぞれ製造された複数のポリマーを第1の圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物を製造する。複数のポリマーは、互いに光学異性体の開環重合性モノマーをそれぞれ重合したものである。粒子製造装置3は、第1の実施形態の粒子製造装置1におけるA部と同様の構成のものを並列に並べた重合部と、混合装置80と、第1の実施形態の粒子製造装置1におけるB部と同様の構成の造粒部と、を有する。
続いて、図7を用いて第2の方法について説明する。図7は、第2の方法で用いられる粒子製造装置3を示す模式図である。第2の方法では、第1の実施形態の製造方法でそれぞれ製造された複数のポリマーを第1の圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物を製造する。複数のポリマーは、互いに光学異性体の開環重合性モノマーをそれぞれ重合したものである。粒子製造装置3は、第1の実施形態の粒子製造装置1におけるA部と同様の構成のものを並列に並べた重合部と、混合装置80と、第1の実施形態の粒子製造装置1におけるB部と同様の構成の造粒部と、を有する。
混合装置80としては、各系列のA部から供給された複数のポリマーを混合可能なものであれば特に限定されないが、公知のT字型継手、スワール流れを積極的に利用したスワールミキサー、スタティックミキサー、そして混合部で2液が衝突する中心衝突型混合器などが挙げられる。また、混合装置80は、ヒータもしくはジャケットなどで温度管理ができることが望ましい。混合装置80で各ポリマーを混合させる際の温度(混合温度)は、各系列のA部の反応容器66における重合反応温度と同様に設定することができる。なお、混合装置80は、混合されるポリマーに、別途、圧縮性流体を供給する機構を有していても良い。
混合装置80のポリマー導入口は、耐圧性の超高圧管等を介して各系列のA部の排出口と接続している。ここで、A部の排出口とは、反応容器66、又は、混合装置67の排出口を意味する。いずれの場合でも、各系列のA部で生成されたポリマーを常圧に戻すことなく溶融した状態のまま混合装置80に供給することができる。その結果、圧縮流体の存在下、各ポリマーが低粘度化するので、混合装置80では、より低温で2種類以上のポリマーを混合することが可能となる。なお、図7では、超高圧配管等を有することによりA部を並列に二つ備えた例を示したが、複数の継手を設けることにより、A部を並列に三つ以上備えていても良い。
第二の方法では、あらかじめA部における各重合工程で、L体、D体のモノマー(例えば、ラクチド)を第1の圧縮性流体の存在下でそれぞれ重合する。さらに、重合により得られた各ポリマーを第1の圧縮性流体の存在下で混合して複合体を得る。通常、ポリ乳酸などのポリマーは、残存開環重合性モノマーが限りなく少ない場合でも、再度加熱溶解すると、分解してしまうことが多い。第二の方法では、第1の圧縮性流体の存在下で溶融させた低粘性のポリ乳酸を、融点以下で混合することにより、第一の方法と同様にラセミ化や熱劣化を抑えることができるため有用である。
なお、第1の方法および第2の方法では、互いに光学異性体の開環重合性モノマーをそれぞれ重合してステレオコンプレックスを製造する場合について説明した。しかしながら、本実施形態で用いられる開環重合性モノマーは互いに光学異性体である必要はない。また、第1の方法と第2の方法とを組み合わせることにより、ステレオコンプレックスを形成するブロック共重合体を混合することも可能である。
<<実施形態の効果>>
本実施形態の重合方法によると、以下の理由により、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
(1)高温(例えば150℃超)で反応させる溶融重合法と比較して、低温で反応が進む。
(2)低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらず、加えた開環重合性モノマーに対して高収率でポリマーが得られる(すなわち未反応の開環重合性モノマーが少ない)。これにより、成形加工性や熱安定性を低下させる未反応の開環重合性モノマーを除去するための精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)触媒として有機触媒を選択した場合には、ポリマーに金属触媒を含有しないので、その除去工程が不要である。
(4)有機溶媒を用いた重合法では、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。本実施形態の重合方法では、圧縮性流体を用いるため廃液等も発生せず、乾燥したポリマーが1段階の工程で得られることから、乾燥工程も簡略化又は省略できる。
(5)圧縮性流体を用いるため、有機溶媒を用いずに開環重合反応を行うことができる。
(6)圧縮性流体中に開環重合性モノマーを溶融させた後に、触媒を加えて開環重合させるため、均一に反応が進む。このため、光学異性体や他のモノマー種との共重合体を得る場合に、好適に用いられる。
本実施形態の重合方法によると、以下の理由により、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
(1)高温(例えば150℃超)で反応させる溶融重合法と比較して、低温で反応が進む。
(2)低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらず、加えた開環重合性モノマーに対して高収率でポリマーが得られる(すなわち未反応の開環重合性モノマーが少ない)。これにより、成形加工性や熱安定性を低下させる未反応の開環重合性モノマーを除去するための精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)触媒として有機触媒を選択した場合には、ポリマーに金属触媒を含有しないので、その除去工程が不要である。
(4)有機溶媒を用いた重合法では、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。本実施形態の重合方法では、圧縮性流体を用いるため廃液等も発生せず、乾燥したポリマーが1段階の工程で得られることから、乾燥工程も簡略化又は省略できる。
(5)圧縮性流体を用いるため、有機溶媒を用いずに開環重合反応を行うことができる。
(6)圧縮性流体中に開環重合性モノマーを溶融させた後に、触媒を加えて開環重合させるため、均一に反応が進む。このため、光学異性体や他のモノマー種との共重合体を得る場合に、好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例を示して本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例では、以下のとおり評価を行った。
<モノマーのポリマー転化率>
・ラクチドのポリマー転化率
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中で粒子を構成するポリマー生成物(ポリ乳酸)の核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積(4.98〜5.05ppm)の比を算出し、これを100倍したものを未反応モノマー量(モル%)とした。ポリマー転化率は、100から算出した未反応モノマー量を差し引いた値である。
・ε−カプロラクタムのポリマー転化率
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中で生成物のポリカプロラクトンの核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリカプロラクトン由来の三重線ピーク面積(4.04〜4.08ppm)に対するカプロラクトン由来の三重線ピーク面積(4.22〜4.25ppm)の比を算出し、これを100倍したものをポリ乳酸における未反応カプロラクトンモノマー量(モル%)とした。ポリマー転化率は、100から算出した各未反応モノマーの量を差し引いた値である。
・ラクチドのポリマー転化率
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中で粒子を構成するポリマー生成物(ポリ乳酸)の核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積(4.98〜5.05ppm)の比を算出し、これを100倍したものを未反応モノマー量(モル%)とした。ポリマー転化率は、100から算出した未反応モノマー量を差し引いた値である。
・ε−カプロラクタムのポリマー転化率
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中で生成物のポリカプロラクトンの核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリカプロラクトン由来の三重線ピーク面積(4.04〜4.08ppm)に対するカプロラクトン由来の三重線ピーク面積(4.22〜4.25ppm)の比を算出し、これを100倍したものをポリ乳酸における未反応カプロラクトンモノマー量(モル%)とした。ポリマー転化率は、100から算出した各未反応モノマーの量を差し引いた値である。
<溶融体粘度>
振動式粘度計(Hydramotion社製、XL/7)を用い、高圧セル内に粒子を構成するポリマー生成物をサンプルとして入れ、溶融体の噴射時の温度及び圧力(例えば、40℃で50MPa)の条件で、粘度を測定した。この場合、測定部にサンプルをセットし、温度及び圧力を、溶融体の噴射時の条件に制御し、粘度が一定になったところを、その温度及び圧力における溶融体Y3の噴射条件での粘度とした。
振動式粘度計(Hydramotion社製、XL/7)を用い、高圧セル内に粒子を構成するポリマー生成物をサンプルとして入れ、溶融体の噴射時の温度及び圧力(例えば、40℃で50MPa)の条件で、粘度を測定した。この場合、測定部にサンプルをセットし、温度及び圧力を、溶融体の噴射時の条件に制御し、粘度が一定になったところを、その温度及び圧力における溶融体Y3の噴射条件での粘度とした。
<連続生産性>
粒子製造装置(1,2,3)で8時間以上連続運転を行った後に混合装置64を分解し、単管部分やスクリュー等にゲル化物などが付着しているかどうかを目視評価した。目視評価の結果、ゲル化物の付着が無い場合「○」とし、ありの場合「×」とした。
粒子製造装置(1,2,3)で8時間以上連続運転を行った後に混合装置64を分解し、単管部分やスクリュー等にゲル化物などが付着しているかどうかを目視評価した。目視評価の結果、ゲル化物の付着が無い場合「○」とし、ありの場合「×」とした。
<粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、及び比(Dv/Dn)>
着色粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、及び比(Dv/Dn)を、粒度測定器(「コールターカウンターTAII」、コールターエレクトロニクス社製)を用いて測定した。
着色粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、及び比(Dv/Dn)を、粒度測定器(「コールターカウンターTAII」、コールターエレクトロニクス社製)を用いて測定した。
まず、電解水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、商品名ドライウェル)を0.1mL〜5mL加えた。ここで、電解液としては1級塩化ナトリウムを用い1質量%NaCl水溶液を調製したもの(ISOTON−II、コールター社製)を使用した。ここで、更に測定試料を2mg〜20mg加えた。前記試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1分間〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、着色粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出した。得られた分布から、着色粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dnを求めた。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。
<分子量>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
〔実施例1〕
実施例1では図4の粒子製造装置1を用いて、L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10)の開環重合により得られたポリマー生成物で構成される樹脂粒子を製造した。実施例1においては、ボンベ21として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、ボンベ51として窒素ボンベを用いた。なお、実施例1においては、添加剤タンク41、ポンプ42、混合装置67は使用しなかった。
実施例1では図4の粒子製造装置1を用いて、L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10)の開環重合により得られたポリマー生成物で構成される樹脂粒子を製造した。実施例1においては、ボンベ21として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、ボンベ51として窒素ボンベを用いた。なお、実施例1においては、添加剤タンク41、ポンプ42、混合装置67は使用しなかった。
開環重合性モノマーであるラクチド(L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(質量比90/10))を図4で示される粒子製造装置1のモノマータンク11に投入し、加熱溶融させ、開始剤としてラウリルアルコールをラクチド99モルに対して1モルとなるようにモノマータンク11に投入した。ポンプ22を作動させて、バルブ23を開放して、第1の圧縮性流体として二酸化炭素を40℃、50MPaになるように導入した。また、ポンプ12を作動させて、バルブ13を開放して、モノマータンク11内のラクチドおよびラウリルアルコールの混合物である原材料と第1の圧縮性流体とを連続的に接触させて混合装置64(スタティックミキサー)で混合して溶融体Y1を得た。このとき、原材料は190質量部/分で混合装置64へ供給し、第1の圧縮性流体は10質量部/分で混合装置64へ供給した。
次にポンプ32を作動させて、バルブ33を開放して、触媒タンク31に投入した触媒1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を、ラクチド99.9モルに対して0.1モルとなるように混合装置65(スタティックミキサー)へ供給し、溶融体Y1と混合して溶融体Y2を得た。得られた溶融体Y2を反応容器66(チューブリアクター)へ導入して、ラクチドの開環重合を行うことによりポリマー生成物を含む溶融体Y3を得た。反応容器66内での溶融体(Y2,Y3)の平均滞留時間は約20分とした。
次に、ポンプ52とヒータ61とを使用し、50MPa、40℃を維持するように、第2の圧縮性流体としての超臨界窒素を得られた溶融体Y3に供給しつつ、溶融体Y3をノズル径400μmのノズル69から連続的に噴射した。噴射した溶融体Y3は、粒子化した後、固化して、[樹脂粒子1]が得られた。
実施例1におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y3の粘度、連続生産性を表1に示す。また、[樹脂粒子1]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表1に示す。更に、[樹脂粒子1]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表1に示す。
〔実施例2〜9〕
開始剤量、触媒種、原材料供給量、第1の圧縮性流体供給量、処理温度、処理圧力、反応容器66内での溶融体(Y2,Y3)の平均滞留時間、及びノズル69のノズル径を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様に操作して、[樹脂粒子2〜9]を作製した。なお、各表におけるDMAPはN,N−ジメチル−4−アミノピリジンを示し、DABCOは1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタンを示し、ITBUは1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデンを示し、スズはジ(2−エチルヘキサン酸)スズを示す。
開始剤量、触媒種、原材料供給量、第1の圧縮性流体供給量、処理温度、処理圧力、反応容器66内での溶融体(Y2,Y3)の平均滞留時間、及びノズル69のノズル径を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様に操作して、[樹脂粒子2〜9]を作製した。なお、各表におけるDMAPはN,N−ジメチル−4−アミノピリジンを示し、DABCOは1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタンを示し、ITBUは1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデンを示し、スズはジ(2−エチルヘキサン酸)スズを示す。
実施例2〜9におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y3の粘度、連続生産性を表1に示す。また、[樹脂粒子2〜9]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表1に示す。更に、[樹脂粒子2〜9]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表1に示す。
〔実施例10〜12〕
ボンベ51を窒素ボンベから、実施例10では炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベに、実施例11では空気ボンベ変更した以外は、実施例2と同様に操作して、[樹脂粒子10〜11]を作製した。また、混合装置64および混合装置65をT字型継手に変更した以外は、実施例2と同様に操作して、[樹脂粒子12]を作製した。
ボンベ51を窒素ボンベから、実施例10では炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベに、実施例11では空気ボンベ変更した以外は、実施例2と同様に操作して、[樹脂粒子10〜11]を作製した。また、混合装置64および混合装置65をT字型継手に変更した以外は、実施例2と同様に操作して、[樹脂粒子12]を作製した。
実施例10〜12におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y3の粘度、連続生産性を表1に示す。また、[樹脂粒子10〜12]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表2に示す。更に、[樹脂粒子10〜12]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表2に示す。
〔比較例1〕
バルブ23を閉じ、ポンプ22を使用しない以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、充分に重合反応が進まなかった。なお、表2において、「−」は未反応モノマーが多く、測定が困難なことを示す。
バルブ23を閉じ、ポンプ22を使用しない以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、充分に重合反応が進まなかった。なお、表2において、「−」は未反応モノマーが多く、測定が困難なことを示す。
〔実施例20〕
開始剤量、触媒種、処理温度、ノズル径を表2に示したように変更した以外は、実施例1と同様に操作して、[樹脂粒子20]を作製した。なお、表中のスズは、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズを示す。
開始剤量、触媒種、処理温度、ノズル径を表2に示したように変更した以外は、実施例1と同様に操作して、[樹脂粒子20]を作製した。なお、表中のスズは、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズを示す。
実施例20におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y3の粘度、連続生産性を表2に示す。また、[樹脂粒子20]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表2に示す。更に、[樹脂粒子20]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表2に示す。
〔実施例13〕
実施例13では図6の粒子製造装置2を用いて、樹脂粒子を製造した。図6の粒子製造装置2は、図4の粒子製造装置1のA部と、C部とを直列につなげた構成である。実施例13においては、ボンベ21として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、ボンベ51として窒素ボンベを用いた。なお、実施例13においては、触媒タンク131、添加剤タンク(41,141)、ポンプ(42,132,142)、混合装置(67,165,167)は使用しなかった。
実施例13では図6の粒子製造装置2を用いて、樹脂粒子を製造した。図6の粒子製造装置2は、図4の粒子製造装置1のA部と、C部とを直列につなげた構成である。実施例13においては、ボンベ21として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、ボンベ51として窒素ボンベを用いた。なお、実施例13においては、触媒タンク131、添加剤タンク(41,141)、ポンプ(42,132,142)、混合装置(67,165,167)は使用しなかった。
第1のモノマーとして、開環重合性モノマーであるL−ラクチドを図6で示される粒子製造装置2のモノマータンク11に投入し、加熱溶融させ、開始剤としてラウリルアルコールをラクチド99モルに対して1.0モルとなるようにモノマータンク11に投入した。ポンプ22を作動させて、バルブ23を開放して、第1の圧縮性流体として二酸化炭素を120℃、60MPaになるように導入した。また、ポンプ12を作動させて、バルブ13を開放して、モノマータンク11内のL−ラクチドおよびラウリルアルコールの混合物である原材料と第1の圧縮性流体とを連続的に接触させて混合装置64(スタティックミキサー)で混合して溶融体Y1−1を得た。このとき、原材料は190質量部/分で混合装置64へ供給し、第1の圧縮性流体は10質量部/分で混合装置64へ供給した。
次にポンプ32を作動させて、バルブ33を開放して、触媒タンク31に投入した触媒DMAPをラクチド99.9モルに対して0.1モルとなるように混合装置65(スタティックミキサー)へ供給し、溶融体Y1−1と混合して溶融体Y2を得た。得られた溶融体Y2を反応容器66(チューブリアクター)へ導入して、L−ラクチドの開環重合を行うことにより溶融状態のポリマー中間体(溶融体Y3)を得た。反応容器66内での溶融体(Y2,Y3)の平均滞留時間は約20分とした。
その一方で、第2のモノマーとして、開環重合性モノマーであるD−ラクチドを図6で示される粒子製造装置2のモノマータンク111に投入し、加熱溶融させ、開始剤としてラウリルアルコールをラクチド99モルに対して1.0モルとなるようにモノマータンク111に投入した。ポンプ122を作動させて、バルブ123を開放して、第1の圧縮性流体として二酸化炭素を120℃、60MPaになるように導入した。また、ポンプ112を作動させて、バルブ113を開放して、モノマータンク111内のD−ラクチドおよびラウリルアルコールの混合物である原材料と第1の圧縮性流体とを連続的に接触させて混合装置164(スタティックミキサー)で混合して溶融体Y1−2を得た。このとき、原材料は190質量部/分で混合装置164へ供給し、第1の圧縮性流体は10質量部/分で混合装置164へ供給した。
A部で得られたポリマー中間体(溶融体Y3)および溶融体Y1−2をそれぞれ混合装置170(スタティックミキサー)へ供給し、両者を混合することにより溶融体Y4を得た。さらに、得られた溶融体Y4を反応容器166(チューブリアクター)へ導入して、ポリマー中間体および第2のモノマーであるD−ラクチドの重合反応を行うことによりポリマー生成物を含む溶融体Y5を得た。反応容器166内での溶融体(Y4,Y5)の平均滞留時間は約20分とした。
次に、ポンプ52とヒータ61とを使用し、60MPa、120℃を維持するように、第2の圧縮性流体としての超臨界窒素を、得られた溶融体Y5に供給しつつ、溶融体Y5をノズル径200μmのノズル69から連続的に噴射した。噴射した溶融体Y5は、粒子化した後、固化して、[樹脂粒子13]が得られた。
実施例13におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y5の粘度、連続生産性を表3に示す。また、[樹脂粒子13]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表3に示す。更に、[樹脂粒子13]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表3に示す。
〔実施例14〜16〕
開始剤種、開始剤量を表1に示したように変更した以外は、実施例13と同様に操作して、[樹脂粒子14〜16]を作製した。
開始剤種、開始剤量を表1に示したように変更した以外は、実施例13と同様に操作して、[樹脂粒子14〜16]を作製した。
実施例14〜16におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y5の粘度、連続生産性を表3に示す。また、[樹脂粒子14〜16]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表3に示す。更に、[樹脂粒子14〜16]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表3に示す。
〔実施例17〕
実施例17では図7の粒子製造装置3を用いて、樹脂粒子を製造した。図7の粒子製造装置3は、図4の粒子製造装置1のA部を並列に並べ、混合装置80を通してつなげた構成である。実施例17においては、ボンベ21として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、ボンベ51として窒素ボンベを用いた。なお、実施例17においては、系列1および系列2ともに添加剤タンク41、ポンプ42、混合装置67は使用しなかった。
実施例17では図7の粒子製造装置3を用いて、樹脂粒子を製造した。図7の粒子製造装置3は、図4の粒子製造装置1のA部を並列に並べ、混合装置80を通してつなげた構成である。実施例17においては、ボンベ21として炭酸ガス(二酸化炭素)ボンベを用いた。また、ボンベ51として窒素ボンベを用いた。なお、実施例17においては、系列1および系列2ともに添加剤タンク41、ポンプ42、混合装置67は使用しなかった。
開環重合性モノマーであるL−ラクチドを図7で示される粒子製造装置3の系列1のモノマータンク11に投入し、加熱溶融させ、開始剤としてラウリルアルコールをラクチド99.5モルに対して0.5モルとなるようにモノマータンク11に投入した。ポンプ22を作動させて、バルブ23を開放して、第1の圧縮性流体として二酸化炭素を120℃、60MPaになるように導入した。また、ポンプ12を作動させて、バルブ13を開放して、モノマータンク11内のL−ラクチドおよびラウリルアルコールの混合物である原材料と第1の圧縮性流体とを連続的に接触させて混合装置64(スタティックミキサー)で混合して溶融体Y1−1を得た。このとき、原材料は190質量部/分で混合装置64へ供給し、第1の圧縮性流体は10質量部/分で混合装置64へ供給した。
次にポンプ32を作動させて、バルブ33を開放して、触媒タンク31に投入した触媒DMAPをL−ラクチド99.9モルに対して0.1モルとなるように混合装置65(スタティックミキサー)へ供給し、溶融体Y1−1と混合して溶融体Y2−1を得た。得られた溶融体Y2−1を反応容器66(チューブリアクター)へ導入して、L−ラクチドの開環重合を行うことによりポリLラクチドの溶融体Y3−1を得た。
系列2では、開環重合性モノマーとしてD−ラクチドを用いて系列1と同様の操作を行うことによりポリDラクチドの溶融体Y3−2を得た。系列1より得られたポリLラクチドおよび系列2より得られたポリDラクチドを、それぞれ第1の圧縮性流体を含有した状態で混合装置80(スタティックミキサー)へ供給し、両者を充分に混合して溶融体Y6を得た。
次に、ポンプ52とヒータ61とを使用し、60MPa、120℃を維持するように、第2の圧縮性流体としての超臨界窒素を得られた溶融体Y6に供給しつつ、溶融体Y6をノズル径200μmのノズル69から連続的に噴射した。噴射した溶融体Y6は、粒子化した後、固化して、[樹脂粒子17]が得られた。
実施例17におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y6の粘度、連続生産性を表4に示す。また、[樹脂粒子17]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表4に示す。更に、[樹脂粒子17]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表4に示す。
〔実施例18〜19〕
モノマー種、原材料供給量を表1に示したように変更した以外は、実施例17と同様に操作して、[樹脂粒子18〜19]を作製した。
モノマー種、原材料供給量を表1に示したように変更した以外は、実施例17と同様に操作して、[樹脂粒子18〜19]を作製した。
実施例18〜19におけるモノマーのポリマー転化率、溶融体Y6の粘度、連続生産性を表4に示す。また、[樹脂粒子18〜19]の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、比(Dv/Dn)を表4に示す。更に、[樹脂粒子18〜19]を構成するポリマー生成物の数平均分子量Mn、分子量分布(Mw/Mn)を表4に示す。
なお、実施例1〜19では、有機溶媒を用いない製造方法により製造されるので、[樹脂粒子1〜19]は、実質的に有機溶媒を含有しない。
1,2,3 粒子製造装置
11,111 モノマータンク
12,22,32,42,52,112,122,132,142 ポンプ
13,23,33,43,113,123,133,143 バルブ
64,65,67,70,80,164,165,167 混合装置
66,166 反応容器
53,68 背圧弁
69 ノズル
21,51,121 ボンベ
31,131 触媒タンク
41,141 添加剤タンク
61 ヒータ
P 粒子(ポリマー生成物)
PP 粒子(複合体生成物)
11,111 モノマータンク
12,22,32,42,52,112,122,132,142 ポンプ
13,23,33,43,113,123,133,143 バルブ
64,65,67,70,80,164,165,167 混合装置
66,166 反応容器
53,68 背圧弁
69 ノズル
21,51,121 ボンベ
31,131 触媒タンク
41,141 添加剤タンク
61 ヒータ
P 粒子(ポリマー生成物)
PP 粒子(複合体生成物)
Claims (8)
- 開環重合性モノマーと第1の圧縮性流体とを接触させて、前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、
前記重合工程で得られたポリマー及び前記第1の圧縮性流体を噴射して造粒する造粒工程と、を有することを特徴とする粒子の製造方法。 - 前記造粒工程で、前記ポリマーに第2の圧縮性流体を供給しつつ、前記ポリマーを噴射することを特徴とする請求項1に記載の粒子の製造方法。
- 前記開環重合性モノマーを触媒の存在下、開環重合させることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子の製造方法。
- 前記開環重合性モノマーのポリマー転化率が98モル%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 前記開環重合性モノマーと前記第1の圧縮性流体とを接触させて、前記開環重合性モノマーを溶融させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
- 前記第1の圧縮性流体は、二酸化炭素を含み、
前記第2の圧縮性流体は、窒素を含むことを特徴とする請求項2に記載の粒子の製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の粒子の製造方法によって製造され、有機溶媒を実質的に含有しないことを特徴とする粒子。
- 開環重合性モノマーあるいは生成したポリマーを通過させる経路の一端部に、前記開環重合性モノマーを導入するモノマー導入口と、圧縮性流体を導入する圧縮性流体導入口とを有し、他端部に前記ポリマーを噴射するノズルを有し、前記一端部と前記他端部との間に触媒を導入する触媒導入口を有することを特徴とする粒子製造装置。
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