JP6011183B2 - ポリマー組成物 - Google Patents

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Description

ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物に関する。
従来、複数のポリマーを混合することにより、熱的性質あるいは機械的性質において、それぞれの単独のポリマーとは異なる性質のポリマー組成物を生成することが知られている。例えば、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合することにより、ステレオコンプレックス型結晶を形成させて、それぞれの単独のポリマーよりも、融点が高く、機械的強度の向上したポリマー組成物を生成することが知られている。
ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物を製造する方法としては、例えば、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とをクロロホルムに溶解させ、溶液状態で混合する方法が開示されている(特許文献1参照)。ところが、この方法によりポリマー組成物を製造した場合には、混合後にクロロホルムなどの有機溶媒を乾燥させる処理が必要となる。また、この処理を行ってもポリマー組成物から有機溶媒を完全に除去することは困難であり、ポリマー組成物の安定性を低下させる場合がある。
有機溶媒を用いずに、ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物を製造する方法としては、例えば、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを、温度200℃で加熱溶融させて、押出し機で混合する方法が開示されている(特許文献2参照)。この場合、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを、それぞれ結晶化させておけば、それぞれのポリマーの融点程度の温度で加工できるとしている。
しかしながら、開環重合性モノマーを重合して得られるポリ乳酸などのポリマーにおいては、ポリマーと開環重合性モノマーとの間に平衡関係が成立する。このため、ステレオコンプレックス型結晶を形成する目的で複数のポリマーをそれぞれの融点程度に加熱して混合した場合には、解重合反応により開環重合性モノマーが生成する。これにより、混合して得られたポリマー組成物中には、開環重合性モノマーが残存するので、物性の低下を招くという課題が生じる。
請求項1に係る発明は、ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物であって、ガスクロマトグラフィ測定による有機溶媒の含有量が検出限界以下であり、残存開環重合性モノマー量が2モル%以下であり、下式で示されるステレオコンプレックス結晶化度が90%以上100%以下であり、重量平均分子量が14000以上240000以下であり、ポリ−D−乳酸成分、及びポリ−L−乳酸成分を含むことを特徴とするポリマー組成物である。
S=〔ΔH msc /(ΔH mh +ΔH msc )〕×100
式中のSはステレオコンプレックス結晶化度(%)を示し、ΔH msc はステレオコンプレックス型結晶の融解熱(J/g)であって、ΔH mh はステレオコンプレックス型結晶の形成に寄与しないホモ結晶の融解熱(J/g)である。
以上説明したように、本発明のステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物は、実質的に有機溶媒を含まず、残存開環重合性モノマー量が2モル%以下であり、加熱混合して得られる従来のポリマー組成物と比較して、残存開環重合性モノマー量が少ない。これにより、残存開環重合性モノマーの影響によるポリマー組成物の物性の低下を抑制できるという効果を奏する。
温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。 本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 複合体製造装置を示す模式図である。 重合反応装置を示す模式図である。 複合体製造装置を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態について詳しく説明する。本実施形態のポリマー組成物は、圧縮性流体、及び、触媒を用いて開環重合性モノマーを開環重合して得られた複数のポリマーを含み、これらの複数のポリマーを、圧縮性流体を用いて混合して得られる。
<<原材料>>
まず、ポリマー組成物の製造において原材料として用いられるモノマー等の成分について説明する。本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料であり、モノマーを含み、更に必要に応じて適宜選択した開始剤、添加剤などの任意成分を含む。
<モノマー>
本実施形態では、原材料のモノマーとして、第1の開環重合性モノマー(以下、第1のモノマーという)と、第2の開環重合性モノマー(以下、第2のモノマーという)と、を用いる。なお、開環重合性とは、開環重合し得ることを意味する。
(第1のモノマー)
第1のモノマーとしては、使用する圧縮性流体との組み合わせにもよるが、エステル結合などのカルボニル結合を環内に有するものが好ましい。カルボニル結合は、電気陰性度の高い酸素が炭素とπ結合して成り、π結合電子がひきつけられることにより酸素が負に分極し、炭素が正に分極しているため、反応性が高くなる。また、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、カルボニル結合が二酸化炭素の構造と似ていることから、二酸化炭素と生成したポリマーとの親和性は高くなると推測される。これらの作用により、圧縮性流体による、生成したポリマーの可塑化の効果は高くなる。カルボニル結合を環内に有する第1のモノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。カルボニル結合を環内に有する第1のモノマーを開環重合することにより、ポリエステルあるいはポリカーボネートなどのカルボニル結合を有する第1のポリマーが得られることになる。なお、本実施形態では、第1のモノマーとしては、光学異性体の一方(例えばL体)が用いられる。
環状エステルとしては、特に限定されないが、次の一般式(1)で表される化合物のL体又はD体を脱水縮合して得られる環状二量体が好適に用いられる。
R−C*−H(−OH)(−COOH) 一般式(1)
(一般式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「C*」は、不斉炭素を表す。)
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性、又は入手容易性の点から特に好ましい。これら環状二量体は単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能である。
一般式(1)以外の環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラクトンを挙げることができる。特にε−カプロラクトンが反応性・入手性の観点から好ましい。
また、環状カーボネートとしては、特に限定されないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの第1のモノマーは、一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(第2のモノマー)
本実施形態において第2のモノマーは、第1のモノマーの光学異性体である。例えば、第1のモノマーがL−ラクチドである場合、第2のモノマーはD−ラクチドである。これにより、第1のモノマーを開環重合して得られた第1のポリマーと、第2のモノマーを開環重合して得られた第2のポリマーとを混合することで、ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物が得られることになる。
(その他のモノマー)
本実施形態では、第1のモノマーあるいは第2のモノマーに加えて、その他のモノマーを用いても良い。この場合、第1のモノマーあるいは第2のモノマーによって構成されるブロックと、その他のモノマーによって構成されるブロックとを有するマルチブロック共重合体としてのポリマーが得られることになる。その他のモノマーとしては、特に限定されないが、上述の開環重合性モノマー以外に、イソシアネート化合物やグリシジル化合物も挙げることができる。イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなど、従来公知の多官能性イソシアネート化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。グリシジル化合物としては、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート等の従来公知の多官能グリシジル化合物が挙げられるが特に限定されるものではない。
<触媒>
本実施形態では、触媒が好適に用いられる。本実施形態で用いられる触媒は、目的に応じて適宜選択することができ、金属原子を含有する金属触媒であっても、金属原子を含有しない有機触媒であっても良い。
金属触媒としては、特に限定されず、オクチル酸スズ、ジブチル酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズなどのスズ系化合物、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミなどのアルミ系化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロオイキシドなどのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物、などの公知のものが用いられる。
本実施形態で用いられる触媒としては、組成物の安全性及び安定性を必要とする用途では、金属原子を含まない有機触媒が好適に用いられる。本実施形態において、触媒として金属原子を含まない有機触媒を用いた場合、従来の製造方法で有機触媒を用いて開環重合性モノマーを開環重合させた場合と比較して、重合反応に要する時間を短くすることができ、ポリマー転化率の優れたポリマーの製造方法を提供することができる点で好ましい。本実施形態において、有機触媒は、開環重合性モノマーの開環重合反応に寄与し、開環重合性モノマーとの活性中間体を形成した後、アルコールとの反応で脱離、再生するものであればよい。
有機触媒は、塩基性を有する求核剤として働く化合物が好ましく、塩基性を有する求核性の窒素原子を含有する化合物(窒素化合物)がより好ましく、塩基性を有する求核性の窒素原子を有する環状化合物がさらに好ましい。なお、求核剤(性)とは、求電子剤と反応する化学種(及びその性質)である。上記のような化合物としては、特に限定されないが、環状モノアミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。なお、カチオン系の有機触媒は、上記の開環重合反応に用いられるが、ポリマー主鎖から水素を引き抜く(バック−バイティング)ため、分子量分布が広くなり高分子量の組成物を得にくい。
環状モノアミンの例としては、キヌクリジンが挙げられる。環状ジアミンの例としては、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンが挙げられる。アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物の例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネンが挙げられる。グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物の例としては、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物の例としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、ピロコリン、イミダゾール、ピリミジン、プリンが挙げられる。N−ヘテロサイクリックカルベンの例としては、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)などが挙げられる。これらの中でも、立体障害による影響が少なく求核性が高い、或いは、減圧除去可能な沸点を有するという理由により、DABCO、DBU、DPG、TBD、DMAP、PPY、ITBUが好ましい。
これらの有機触媒のうち、例えば、DBUは、室温で液状であって沸点を有する。このような有機触媒を選択した場合、得られたポリマーを減圧処理することで、ポリマー中から有機触媒をほぼ定量的に取り除くことができる。なお、有機溶媒の種類や除去処理の有無は、ポリマー組成物の使用目的等に応じて決定される。
有機触媒の種類及び使用量は、圧縮性流体と開環重合性モノマーの組み合わせによって変わるので一概に特定できないが、開環重合性モノマー100モル%に対して、0.01モル%以上15モル%以下が好ましく、0.1モル%以上1モル%以下がより好ましく、0.3モル%以上0.5モル%以下が更に好ましい。使用量が0.01モル%未満では、重合反応が完了する前に有機触媒が失活し、目標とする分子量のポリマーが得られない場合がある。一方、使用量が15モル%を超えると、重合反応の制御が難しくなる場合がある。
<任意成分>
本実施形態では、上記の各モノマーの他、開環重合開始剤(開始剤)やその他の添加剤が原材料の任意成分として用いられる。
(開始剤)
本実施形態では、得られるポリマーの分子量を制御するために、開始剤が好適に用いられる。開始剤としては、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。開始剤としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;及び乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
また、ポリカプロラクトンジオールやポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマーを開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック、又はトリブロック共重合体が合成される。
開始剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜調整すればよく、好ましくはモノマー100モルに対して、0.05モル以上5モル以下である。不均一に重合が開始されるのを防ぐために、開始剤は、モノマーが重合触媒に触れる前にあらかじめモノマーとよく混合しておくことが望ましい。
(添加剤)
また、開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
安定剤としては、エポキシ化大豆油、カルボジイミド等などが用いられる。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが用いられる。防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが用いられる。フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが用いられる。顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、群青等などが用いられる。
<<圧縮性流体>>
次に、図1及び図2を用いて本実施形態においてポリマーの製造で用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレンなどが挙げられる。これらの中でも二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
二酸化炭素は、塩基性、求核性を有する物質と反応することから、従来、超臨界二酸化炭素を溶媒とする場合、リビングアニオン重合には適用できないとされていた(非特許文献1参照)。しかし、本発明者らは、従来の知見を覆し、超臨界二酸化炭素中でも、塩基性、求核性を有する有機触媒が安定的に開環性モノマーに配位し、これを開環させることで、短時間で定量的に重合反応が進行し、結果的に重合反応がリビング的に進行することを見出した。ここでいうリビング的とは、移動反応や停止反応などの副反応を伴わず、定量的に反応が進行し、得られたポリマーの分子量分布が比較的狭く単分散であることを意味する。
<<製造装置>>
続いて、図3乃至図5を用いて、本実施形態のポリマー組成物の製造で好適に用いられる製造装置について説明する。図3は、複合体製造装置を示す模式図である。図4は、重合反応装置を示す模式図である。図5は、複合体製造装置を示す模式図である。本実施形態におけるポリマー組成物の製造は、連続式の工程で実行される。
<第1の製造装置>
まず、図3及び図4を用いて、第1の製造装置としての複合体製造装置300について説明する。複合体製造装置300は、モノマーを重合してポリマーを得る複数の重合反応装置100と、得られたポリマーを移送する配管31と、移送されたポリマーを混合する混合装置41と、混合して得られた複合体(ポリマー組成物)を排出する圧調整バルブ42とを有する。
図4を用いて、複合体製造装置300に複数設けられた重合反応装置100について説明する。なお、重合させるモノマーが第1のモノマーであるか第2のモノマーであるかという違いを除き、複数の重合反応装置100は同様の構成を有している。各重合反応装置100は、開環重合性モノマーなどの原材料および圧縮性流体を供給する供給ユニット100aと、供給ユニット100aによって供給された開環重合性モノマーを重合させる重合反応装置本体100bとを有する。
供給ユニット100aは、タンク(1,3,5,7,11)と、計量フィーダー(2,4)と、計量ポンプ(6,8,12)とを有する。
供給ユニット100aのタンク1は、第1のモノマーあるいは第2のモノマーとしての開環重合性モノマーを貯蔵する。貯蔵される開環重合性モノマーは粉末であっても液体であっても良い。タンク3は、開始剤および添加剤のうち固体(粉末又は粒状)のものを貯蔵する。タンク5は、開始剤および添加剤のうち液体のものを貯蔵する。なお、開始剤および添加剤の一部または全部を、予め開環重合性モノマーと混合しておき、その混合物をタンク1に貯蔵しても良い。タンク7は、圧縮性流体を貯蔵する。タンク11は、触媒を貯蔵する。なお、タンク7は、重合反応装置本体100bに供給される過程で、あるいは、重合反応装置本体100bで加熱または加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)、または、固体を貯蔵しても良い。この場合、タンク7に貯蔵される気体または固体は、加熱または加圧されることにより、重合反応装置本体100bで図2の相図における(1)、(2)、または(3)の状態となる。
計量フィーダー2は、タンク1に貯蔵された開環重合性モノマーを計量して重合反応装置本体100bに連続的に供給する。計量フィーダー4は、タンク3に貯蔵された固体を計量して重合反応装置本体100bに連続的に供給する。計量ポンプ6は、タンク5に貯蔵された液体を計量して重合反応装置本体100bに連続的に供給する。計量ポンプ8は、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力および流量で重合反応装置本体100bに連続的に供給する。計量ポンプ12は、タンク11に貯蔵された触媒を計量して重合反応装置本体100bに供給する。なお、本実施形態において連続的に供給するとは、バッチ毎に供給する方法に対する概念であって、開環重合させたポリマーが連続的に得られるよう供給することを意味する。即ち、開環重合させたポリマーが連続的に得られる限り、各材料は、断続的、或いは、間欠的に供給されても良い。また、開始剤および添加剤がいずれも固体の場合には、供給ユニット100aは、タンク5および計量ポンプ6を有していなくても良い。同様に、開始剤および添加剤がいずれも液体の場合には、供給ユニット100a、タンク3および計量フィーダー4を有していなくても良い。
本実施形態において、重合反応装置本体100bは、一端部に設けられた接触部9と、接触部9を通過した原材料を送液する送液ポンプ10と、他端部に設けられた反応部13および計量ポンプ14と、を有する。重合反応装置本体100bの各部あるいは装置は、原材料、圧縮性流体、あるいは生成したポリマーを移送する耐圧性の配管30によって、図4に示されたように接続されている。また、重合反応装置本体100bの各部あるいは装置は、上記の原材料等を通過させる管状の部材を有している。
重合反応装置本体100bの接触部9は、各タンク(1,3,5)から連続的に供給された開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの原材料と、タンク7から連続的に供給された圧縮性流体とを連続的に接触させる耐圧性の装置あるいは管などにより構成される。接触部9では、原材料と圧縮性流体とを接触させることにより、原材料は溶融または溶解する。本実施形態において、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。また、「溶解」とは、原材料が圧縮性流体中に溶けることを意味する。開環重合性モノマーを溶解した場合には流体相、溶融した場合には溶融相が形成されるが、均一に反応を進めるために、溶融相または流体相のいずれか一層が形成されていることが好ましい。また、圧縮性流体に対して原材料の比率が高い状態で反応を進行させるために、開環重合性モノマーを溶融させることが好ましい。なお、本実施形態では、原材料および圧縮性流体を連続的に供給することにより、接触部9において、開環重合性モノマーなどの原材料と圧縮性流体とを一定の濃度の比率で連続的に接触させることができる。これにより、原材料を効率的に溶融または溶解させることができる。
接触部9には、タンク型の攪拌装置、あるいは、筒型の攪拌装置が設けられていてもよいが、一端から原材料を供給し、他端から溶融相あるいは流体相などの混合物を取り出せる筒型の装置が好ましい。このような装置としては、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う二軸のスクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。特に、互いに噛み合う二軸又は多軸攪拌装置は、攪拌装置や容器への反応物の付着が少なく、セルフクリーニング作用があるので好ましい。接触部9に攪拌装置が設けられていない場合、接触部9は、耐圧性の配管30の一部によって構成される。なお、接触部9が配管30の一部によって構成される場合、接触部9内での各材料を確実に混合するため、接触部9に供給される開環重合性モノマーを融点以上に加熱して予め液体にしておくことが好ましい。
接触部9には、計量ポンプ8によってタンク7から供給された圧縮性流体を導入する導入口9aと、計量フィーダー2によってタンク1から供給された開環重合性モノマーを導入する導入口9bと、計量フィーダー4によってタンク3から供給された粉末を導入する導入口9cと、計量ポンプ6によってタンク5から供給された液体を導入する導入口9dとが設けられている。本実施形態において各導入口(9a,9b,9c,9d)は、継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。また、接触部9には、供給された各原材料および圧縮性流体を加熱するためのヒータ9eが設けられている。
重合反応装置本体100bの接触部9と反応部13との間には、送液ポンプ10が設けられている。送液ポンプ10は、接触部9で溶融または溶解した各原材料を反応部13に送液する。
重合反応装置本体100bの反応部13は、送液ポンプ10によって送液され、溶融または溶解した各原材料と、計量ポンプ12によって供給された触媒とを混合して、開環重合性モノマーを連続的に開環重合させるための耐圧性の装置あるいは管などにより構成されている。反応部13で開環重合性モノマーを開環重合させることにより、ポリマーが連続的に得られる。
反応部13には、タンク型の混合装置、あるいは、筒型の混合装置が設けられていてもよいが、デッドスペースが少ない筒型の装置が好ましい。反応部13に混合装置が設けられている場合、原材料と生成されたポリマーの密度差によって、ポリマーが沈降することを抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。このような装置としては、互いに噛み合うスクリュウや、2フライト(長円形)や3フライト(三角形様)などの攪拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の攪拌翼をもつ二軸又は多軸のものがセルフクリーニングの観点から好ましい。あらかじめ触媒を含む原材料が充分に混合されている場合には、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌装置に応用出来る。静止型混合器としては、特公昭47−15526、同47−15527、同47−15528、同47−15533などで開示されたもの(多層化混合器)、及び特開昭47−33166に開示されたもの(ケニックス型)、及びそれらに類似する可動部のない混合装置が挙げられる。反応部13が混合装置を有していない場合、反応部13は、耐圧性の配管30の一部によって構成される。この場合、配管30の形状は特に限定されないが、装置をコンパクト化するために、らせん状のものが好適に用いられる。
反応部13には、接触部9で溶解または溶融させた原材料を導入するための導入口13aと、計量ポンプ12によってタンク11から供給された触媒を導入するための触媒導入口の一例としての導入口13bとが設けられている。本実施形態において各導入口(13a,13b)は、継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、反応部13には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていても良い。また、反応部13には、送液された原材料を加熱するためのヒータ13cが設けられている。
図4では、反応部13が1つ設けられた例を示したが、2つ以上の反応部が設けられていても良い。2個以上の反応部を用いる場合、反応部毎の反応(重合)条件、すなわち温度、触媒濃度、圧力、平均滞留時間、攪拌速度などは、同一でもよいが、重合の進行にあわせて、それぞれ最適の条件を選ぶことが好ましい。なお、反応時間の増加や装置の煩雑化を招くため、あまり多くの反応部を多段的に結合することは得策でなく、段数は1以上4以下、特に1以上3以下が好ましい。
一般的には、反応部の少ない装置を用いて重合した場合、得られるポリマーの重合度や残存モノマー量が不安定で変動し易く、工業生産に適しないとされている。これは、溶融粘度数ポイズから数10ポイズ程度の原材料と、溶融粘度数1,000ポイズ程度の重合されたポリマーとが同一容器内に混在するための不安定さに起因するものと思われる。これに対し、本実施形態では、原材料と生成したポリマーとが溶融することによって反応部内(重合系ともいう)の粘度差を小さくすることが可能となるため、従来の重合反応装置より段数を減らしても、安定的にポリマーを製造することができる。
重合反応装置本体100bの計量ポンプ14は、反応部13で重合して得られたポリマーを、所定の供給速度で混合装置41へ送り出す。
続いて、図3を用いて、複合体製造装置300の混合装置41について説明する。混合装置41は、各重合反応装置100によって重合させて得られた第1のポリマーおよび第2のポリマーを混合することにより、ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物を得るための装置である。
混合装置41のポリマー導入口41aと、各重合反応装置100の計量ポンプ14とは、図3に示したように、配管31を介して接続されている。これにより、各重合反応装置100で生成されたポリマーを常圧に戻すことなく溶融した状態のまま混合装置41に供給することができる。その結果、各ポリマーは低粘度の溶融した状態を維持することができるので、混合装置41において、各ポリマーを低温で混合することが可能となる。なお、図3では、配管31が一つの継手31aを有することにより重合反応装置100を並列に二つ備えた例を示したが、複数の継手を設けることにより、重合反応装置100を並列に三つ以上備えていても良い。
混合装置41としては、各重合反応装置100から供給された複数のポリマーを混合可能なものであれば、特に限定されないが、攪拌装置を備えたものが好適に用いられる。攪拌装置としては、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う二軸のスクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。混合装置41で各ポリマーを混合させる際の温度(混合温度)は、各重合反応装置100の反応部13における重合反応温度と同様に設定することができる。なお、混合されるポリマーに、別途、圧縮性流体をするために、混合装置41には圧縮性流体の導入口が設けられていても良い。
混合装置41の端部には、圧調整バルブ42が設けられている。圧調整バルブ42は、混合装置41の内外の圧力差を利用することにより、混合装置41で混合して得られたポリマー組成物PPを混合装置41の外に送り出す。また、圧調整バルブ42は、その開度を調整することにより、混合装置41で得られたポリマー組成物PPの流量を調整する。
<第2の製造装置>
続いて、図5を用いて、第2の製造装置としての複合体製造装置400について説明する。図5に示すように複合体製造装置400は、図4のものと同様の重合反応装置100と、タンク(21,27)と、計量フィーダー22と、計量ポンプ28と、接触部29と、反応部33とを有する。
タンク21は、第2のモノマーとしての開環重合性モノマーを貯蔵する。貯蔵される開環重合性モノマーは粉末であっても液体であっても良い。タンク27は、圧縮性流体を貯蔵する。タンク27に貯蔵される圧縮性流体は、特に限定されないが、均一に重合反応を進めるために、タンク7に貯蔵される圧縮性流体と同種のものであることが好ましい。なお、タンク27は、接触部29に供給される過程で、あるいは、接触部29内で加熱または加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)、または、固体を貯蔵しても良い。この場合、タンク27に貯蔵される気体または固体は、加熱または加圧されることにより、接触部29内で図2の相図における(1)、(2)、または(3)の状態となる。
計量フィーダー22は、タンク21に貯蔵された第2のモノマーを計量して接触部29に連続的に供給する。計量ポンプ28は、タンク27に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力および流量で接触部29に連続的に供給する。
接触部29は、タンク21から供給された第2のモノマーと、タンク27から供給された圧縮性流体とを連続的に接触させ、第2のモノマーを溶融または溶解させるための耐圧性の装置あるいは管である。これにより、第2のモノマーを溶融または溶解させた状態で、反応部33に供給することができる。接触部29には、計量ポンプ28によってタンク27から供給された圧縮性流体を導入する導入口29aと、計量フィーダー22によってタンク21から供給された第2のモノマーを導入する導入口29bとが設けられている。本実施形態において、各導入口(29a,29b)は、継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、本実施形態において、接触部29の構成は、接触部9と同様のものが用いられるため、詳細な説明を省略する。
反応部33は、反応部13で得られ、溶融または溶解した状態の中間体としてのポリマーと、接触部29で溶融または溶解させた第2のモノマーとを接触させて、連続的に重合させるための耐圧性の装置あるいは管などのより構成されている。また、反応部33には、上記の中間体としてのポリマーを導入するための導入口33aと、上記の溶融または溶解させた第2のモノマーを導入するための導入口33bとが設けられている。
導入口33aと、重合反応装置100の計量ポンプ14とは、図5に示したように、配管30を介して接続されている。これにより、各重合反応装置100で生成されたポリマーを常圧に戻すことなく溶融した状態のまま反応部33に供給することができる。その結果、ポリマーは低粘度の溶融した状態を維持することができるので、反応部33において、ポリマー及び第2のモノマーを低温で更に重合することが可能となる。
本実施形態において各導入口(33a,33b)は、継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、本実施形態において、反応部33の構成は、反応部13と同様のものが用いられるため、詳細な説明を省略する。
反応部33の端部には、圧調整バルブ34が設けられている。圧調整バルブ34は、反応部33の内外の圧力差を利用することにより、反応部33で重合されたポリマー生成物Pを反応部33の外に送り出す。
<<製造方法>>
続いて、ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物の製造方法として、複合体製造装置300を用いた第1の製造方法、及び、複合体製造装置400を用いた第2の製造方法について説明する。なお、第1の製造方法は、第1のモノマーと第2のモノマーの重合をそれぞれ行い、得られた中間体としてのポリマー(ホモポリマー)を、続けて混合する方法である。また、第2の製造方法は、まず第1のモノマーの重合を行い、この第1のモノマーを消費した段階で、第2のモノマーを加えて重合を行うことで、ブロック共重合体を得る方法である。
<第1の製造方法>
第1の製造方法は、各重合反応装置100において、少なくとも開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを連続的に供給し、接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを連続的に得る重合工程を有する。更に、本実施形態の製造方法は、重合工程で得られた複数のポリマーを圧縮性流体の存在下、混合させることによって、ポリマー組成物PPを連続的に得る混合工程を有する。
(重合工程)
まず、本実施形態のポリマーの製造方法における重合工程について説明する。各計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6、計量ポンプ8を作動させる。これにより、各タンク(1,3,5,7)内の第1のモノマーとしての開環重合性モノマー、開始剤、添加剤、圧縮性流体を連続的に供給し、各導入口(9a,9b,9c,9d)から、接触部9の管内に導入させる。なお、固体(粉末又は粒状)の原材料は、液体の原材料と比較して計量精度が低い場合がある。この場合、固体の原材料を前もって融点以上に加熱して液体にしてタンク5に貯蔵しておき、計量ポンプ6によって接触部9の管内に導入させても良い。各計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6、計量ポンプ8を作動させる順序は、特に限定されないが、初期の原材料が圧縮流体に接触せずに反応部13に送られると、温度低下によって固化する恐れがあるため、先に計量ポンプ8を作動させることが好ましい。
計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6による各原材料の各供給速度は、開環重合性モノマー、開始剤、および添加剤の所定の量比に基づいて、一定の比率となるように調整される。計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6よって単位時間当たりに供給される各原材料の質量の合計(原材料の供給速度(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。同様に、計量ポンプ8よって単位時間当たりに供給される圧縮性流体の質量(圧縮性流体の供給速度(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。原材料の供給速度と圧縮性流体の供給速度との比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度、フィード比という)は、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。また、上記フィード比の上限値については、1000以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
上記のフィード比を1以上とすることにより、各原材料および圧縮性流体が反応部13に送液されたときに、原材料および生成したポリマーの濃度(いわゆる固形分濃度)が高い状態で反応が進行する。このときの重合系内の固形分濃度は、従来の製造方法で圧倒的な量の圧縮性流体に対して少量の開環重合性モノマーを溶解させて重合したときの重合系の固形分濃度とは大きく異なる。本実施形態の製造方法は、固形分濃度が高い重合系でも重合反応が効率的かつ安定して進行することに特徴がある。なお、本実施形態において、フィード比を1未満としても良いが、経済的な効率は劣ることになる。また、フィード比が1000を超えると、圧縮性流体が開環重合性モノマーを溶融させる能力が不十分となる恐れがあり、目的とする反応が均一に進まない場合がある。
各原材料および圧縮性流体は、接触部9の管内に連続的に導入されるので、それぞれが連続的に接触する。これにより、接触部9内で、開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの各原材料が溶融または溶解する。接触部9に攪拌装置が設けられている場合には、各原材料および圧縮性流体を攪拌しても良い。供給された圧縮性流体が気体に変わることを避けるため、接触部9の管内の温度および圧力は、少なくとも上記圧縮性流体の三重点以上の温度および圧力に制御される。この制御は、接触部9のヒータ9eの出力あるいは圧縮性流体の供給量を調整することにより行われる。本実施形態において、開環重合性モノマーを溶融させるときの温度は、開環重合性モノマーの常圧での融点以下の温度であっても良い。これは、圧縮性流体の存在下、接触部9内が高圧となり、開環重合性モノマーの融点が常圧での融点よりも低下することによると考えられる。このため、開環重合性モノマーに対する圧縮性流体の量が少ない場合であっても、接触部9内で開環重合性モノマーは溶融する。
各原材料が効率的に溶融または溶解するように、接触部9で各原材料および圧縮性流体に熱や攪拌を加えるタイミングを調整しても良い。この場合、各原材料と圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても、各原材料と圧縮性流体とを接触させながら、熱や攪拌を加えても良い。また、より確実に溶融させるため、例えば、あらかじめ開環重合性モノマーに融点以上の熱をかけてから、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させても良い。この場合、例えば接触部9に二軸の混合装置が設けられているときには、スクリュウの配列、各導入口(9a,9b,9c,9d)の配置、接触部9のヒータ9eの温度を適宜設定することにより実現される。
なお、本実施形態では、開環重合性モノマーとは別に添加物を接触部9に供給しているが、開環重合性モノマーと共に添加物を供給しても良い。また、重合反応後に添加物を供給しても良い。この場合、反応部13から得られたポリマーを取り出した後に添加物を混錬しながら添加することもできる。
接触部9で溶融または溶解させた各原材料は送液ポンプ10によって送液され、導入口13aから反応部13に供給される。一方、タンク11内の触媒は、計量ポンプ12によって計量され、導入口13bから反応部13へ所定量供給される。触媒は室温でも作用しうるため、本実施形態では、原材料を溶融または溶解させた後、触媒を添加している。従来、圧縮性流体を用いて開環重合性モノマーを開環重合する方法において、触媒を加えるタイミングについては検討されていなかった。本実施形態では、開環重合に際しては、触媒は、その活性の高さから、圧縮性流体によって開環重合性モノマーや開始剤等の原材料の混合物が十分溶融または溶解した状態の反応部13中の重合系に添加される。混合物が十分溶融または溶解していない状態で、触媒を加えると、反応が不均一に進む場合がある。
送液ポンプ10によって送液された各原材料および計量ポンプ12によって供給された触媒は、必要に応じて反応部13の混合装置によって充分に混合され、あるいは送液される間、ヒータ13cにより所定温度に加熱される。これにより、反応部13内で、触媒の存在下、開環重合性モノマーの開環重合反応が生じてポリマーが連続的に得られる。
開環重合性モノマーを開環重合させる際の温度(重合反応温度)の下限は、特に限定されないが、40℃、好ましくは50℃、より好ましくは60℃である。重合反応温度が40℃未満であると、開環重合性モノマー種によっては、圧縮性流体による溶融に長い時間がかかったり、溶融が不十分であったり、触媒の活性が低くなったりする。これにより、重合時には反応速度が低下しやすくなり、定量的に重合反応を進めることができなくなる場合がある。
重合反応温度の上限は、特に限定されないが、150℃、又は、開環重合性モノマーの融点より50℃高い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、好ましくは、100℃、又は、開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、より好ましくは、90℃、又は、開環重合性モノマーの融点のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、更に好ましくは、80℃、又は、開環重合性モノマーの融点より20℃低い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度が、開環重合性モノマーの融点より50℃高い温度を超えると、開環重合の逆反応である解重合反応も平衡して起こりやすく、定量的に重合反応が進みにくくなる。室温で液状である開環重合性モノマーなどの融点が低い開環重合性モノマーを使用する場合においては、触媒の活性を高めるため、重合反応温度を融点より50℃以上高い温度としても良い。この場合でも、重合反応温度を150℃以下とすることが好ましい。なお、重合反応温度は、反応部13に設けられたヒータ13cあるいは反応部13の外部からの加熱等により制御される。また、重合反応温度を測定する場合、重合反応によって得られたポリマーを用いても良い。
超臨界二酸化炭素を用いた従来のポリマーの製造方法において、超臨界二酸化炭素はポリマーの溶解能が低いことから、従来は、多量の超臨界二酸化炭素を用いて開環重合性モノマーを重合させていた。本実施形態によれば、圧縮性流体を用いたポリマーの製造方法においては、従来にない高濃度の開環重合性モノマーを開環重合させる。この場合、圧縮性流体の存在下、反応部13内が高圧となり、生成したポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する。これにより、生成したポリマーが低粘度化するので、ポリマーの濃度が高くなった状態でも均一に開環重合反応が進行する。
本実施形態において、重合反応時間(反応部13内の平均滞留時間)は、目標とする分子量に応じて設定されるが、通常、1時間以内が好ましく、45分以内がより好ましく、30分以内が更に好ましい。本実施形態の製造方法によると、重合反応時間を20分以内とすることもできる。これは、圧縮性流体を用いた開環重合性モノマーの重合では前例がない短時間である。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、タンク7から供給された圧縮性流体が液化ガス(図2の相図の(2))、または高圧ガス(図2の相図の(3))となる圧力でも良いが、超臨界流体(図2の相図の(1))となる圧力が好ましい。圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、開環重合性モノマーの溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。なお、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力は、3.7MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは臨界圧力の7.4PMa以上である。また、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、同様の理由により、その温度は25℃以上であることが好ましい。
反応部13内の水分量は、開環重合性モノマー100モル%に対して、4モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.5モル%以下である。水分量が4モル%を超えると、水分自体も開始剤として寄与するため、分子量の制御が困難となる場合がある。重合反応系内の水分量を制御するために、必要に応じて、前処理として、開環重合性モノマー、その他原材料に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
複合体製造装置300の他方の重合反応装置100では、第1のモノマーの光学異性体である第2のモノマーを重合させて第2のポリマーを連続的に得る。第2のモノマーを重合する方法は、第1のポリマーを重合する方法と同様であるので、説明を省略する。
(混合工程)
続いて、混合工程について説明する。各重合反応装置100で重合させて得られた第1のポリマーまたは第2のポリマーは、計量ポンプ14によって送液されて、配管31を経て、ポリマー導入口41aから混合装置41に導入される。混合装置41は、導入された各ポリマーを混合して、ポリマー組成物PPを生成する。混合装置41の内部の温度としては、ヒータ41cを用いて重合反応温度と同程度とすることが好ましい。ポリ乳酸などのポリマーを融点以上に加熱すると、解重合反応により開環重合性モノマーが生成する。ところが、本実施形態の混合工程では、圧縮性流体の存在下、常圧での融点よりも低い温度で、ポリマーを溶融させることができるので、解重合反応、ラセミ化、熱劣化等を抑えることができる。
混合装置41内で得られたポリマー組成物PPは、圧調整バルブ42から混合装置41の外へ送り出される。圧調整バルブ42からポリマー組成物PPを送り出す速度は、均一な重合品を得るために、一定とすることが好ましい。この場合、圧調整バルブ42における背圧が一定となるように、各反応部13の送液機構、各接触部9の送液機構、各計量フィーダー(2,4)、及び計量ポンプ(6,8)の供給速度は制御される。制御方式は、ON−OFF型つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の方がより好ましいことが多い。いずれにせよ、このような制御によって、安定的にポリマー組成物PPを得ることが出来る。
圧調整バルブ42から送り出されたポリマー組成物PPに含まれる圧縮性流体は、大気圧下、気化して除去される。また、ポリマー組成物PPに含まれる第1のポリマー及び第2のポリマーは共に室温に冷却されて、結晶化することにより、ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物が得られる。
本実施形態により得られるポリマー組成物に残存する触媒は、必要に応じて除去される。除去方法としては、特に限定するものではないが、例えば、沸点を有する化合物であれば減圧留去や、触媒を溶解させる物質をエントレーナーとして用いて触媒を抽出してこれを除去する方法や、カラムにより触媒を吸着して除去する方法などが挙げられる。この場合、触媒を除去する方式としては、ポリマー組成物を混合装置41から取り出した後に除去するバッチ方式でも、取り出さずそのまま連続処理する方式でもかまわない。減圧留去する場合、減圧条件は触媒の沸点に基づいて設定される。例えば、減圧の際の温度は、100℃以上120℃以下であり、ポリマー組成物が解重合する温度より低い温度で触媒を除去することが可能である。この抽出操作において有機溶媒を用いると、触媒を抽出後に有機溶媒を除去する工程が必要となる場合がある。このため、抽出操作においても溶媒として圧縮流体を用いることが好ましい。このような抽出操作としては、香料の抽出などの公知の技術を転用できる。
本実施形態の製造方法によると、圧縮性流体を用いることで、上述の通り、低い温度での重合反応が可能となるため、従来の重合方法と比して、大幅に解重合反応を抑制することができる。これにより、第1のモノマーおよび第2のモノマーのポリマー転化率を、98モル%以上、好ましくは99モル%以上、より好ましくは99.9モル%以上とすることができる。ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマー組成物としての熱特性が不十分になり、別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。なお、本実施形態においてポリマー転化率とは、原材料としての第1のモノマーおよび第2のモノマーの総量に対する、ポリマーの生成に寄与したモノマーの量の割合を意味する。ポリマーの生成に寄与したモノマーの量は、生成したポリマーの量から、ポリマーに残存する第1のモノマーと第2のモノマーとの和(残存開環重合性モノマー量)を差し引くことにより得られる。
<第2の製造方法>
続いて、複合体製造装置400を用いた第2の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、少なくとも開環重合性の第1のモノマーと、圧縮性流体とを連続的に供給し、接触させて、第1のモノマーを開環重合させて中間体を連続的に得る第1の重合工程を有する。また、本実施形態の製造方法は、上記の中間体と、第2のモノマーとを接触させて、中間体および第2のモノマーを重合させる第2の重合工程を有する。
(第1の重合工程)
第2の製造方法における第1の重合工程は、第1の製造方法において、一方の重合反応装置100を用いて第1のモノマーを重合させる重合工程と同様である。このため、第1の重合工程の詳細な説明を省略する。
(第2の重合工程)
続いて、第2の製造方法における第2の重合工程について説明する。この工程では、まず、計量フィーダー22および計量ポンプ28を作動させ、各タンク(21,27)内の第2のモノマーおよび圧縮性流体を連続的に供給し、各導入口(29a,29b)から、接触部29の管内に導入させる。第2のモノマーおよび圧縮性流体は、接触部29の管内に連続的に導入されるので、それぞれが連続的に接触する。これにより、接触部29内で、第2のモノマーが溶融または溶解する。なお、第2の重合工程における第2のモノマーおよび圧縮性流体の導入の手順および条件は、第1の重合工程における開環重合性モノマーおよび圧縮性流体の導入の手順および条件と同様であるため、詳細な説明を省略する。
本実施形態において、第1の重合工程で計量フィーダー2によって単位時間当たりに供給される開環重合性モノマーの量(フィード量)と、第2の重合工程で計量フィーダー22によって単位時間当たりに供給される第2のモノマーの量(フィード量)との比は、特に限定されず、生成されるブロック共重合体において、各ブロックの目標とする分子量の比に基づいて各フィーダーで供給されるモノマーの量を決定すれば良い。
反応部13内で生成し、溶融または溶解した状態の中間体としてのポリマーは、導入口33aから反応部33へ連続的に供給される。一方、接触部29で溶融または溶解させた第2のモノマーは、導入口33bから反応部33に連続的に供給される。これにより、中間体としてのポリマーと、第2のモノマーとは、反応部33内で連続的に接触する。中間体としてのポリマーと第2のモノマーとは、反応部33の攪拌装置によって充分に攪拌され、ヒータ33cにより所定温度に加熱される。これにより、反応部33内で、中間体としてのポリマーに含まれる触媒の存在下、中間体としてポリマーおよび第2のモノマーは重合されて最終生成物としてのポリマーが得られる。反応部33で重合させる際の温度、時間、圧力などの条件は、特に限定されないが、反応部13における各条件と同様に設定される。
反応部33内で開環重合反応を終えたポリマー生成物Pは、圧調整バルブ34から反応部33の外へ送り出される。圧調整バルブ34からポリマー生成物Pを送り出す速度は、圧縮性流体で満たされた重合系内の圧力を一定にして、均一な重合品を得るために、一定とすることが好ましい。そのため、圧調整バルブ34における背圧が一定となるように、反応部(13、33)の内部の送液機構、接触部(9,29)内部の送液機構、計量フィーダー(2,4,22)、及び計量ポンプ(6,8,28)の供給速度は制御される。
第2の製造方法では、ステレオコンプレックス型結晶を有するブロックタイプの共重合体を合成することができる。この方法は、残存開環重合性モノマーが少ない状態で開環重合性モノマーの融点以下で反応を進められることから、ラセミ化が非常に起こりにくく、かつ連続的な反応で得られるため非常に有用である。
<<ポリマー組成物>>
上記の製造方法によって得られたポリマー組成物は、ステレオコンプレックス型結晶を有し、実質的に有機溶媒を含まず、残存開環重合性モノマー量が2モル%以下である。なお、「ステレオコンプレックス型結晶」とは、光学異性体となる一対の成分(例えば、ポリ−D−乳酸成分及びポリ−L−乳酸成分)を含む結晶である。本実施形態において、次式(i)で表されるステレオコンプレックス結晶化度(S)は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
(S)=〔△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)〕×100 (i)
なお、(i)式中の△Hmhは、ステレオコンプレックス型結晶の形成に寄与しないホモ結晶融解熱(J/g)であって、例えば、ポリ乳酸の場合190℃未満に観測される。また、△Hmscは、ステレオコンプレックス型結晶の融解熱(J/g)であって、例えば、ポリ乳酸の場合190℃以上に観測される。
なお、ステレオコンプレックス結晶化度が90%未満である場合には、使用する用途によっては、ホモ結晶に起因する融点の影響が無視できなくなる場合がある。上述の結晶化度のパラメーターを好適に満たすために、ポリマー組成物がポリ乳酸の場合、ポリD−乳酸成分とポリL−乳酸成分との質量比は90/10から10/90であることが好ましい。より好ましくは40/60〜60/40である。
本実施形態により得られるポリマー組成物は、有機溶媒を使用しない製法で製造されるため、実質的に有機溶媒が含まれず、残存開環重合性モノマー量も2モル%以下(ポリマー転化率98モル%以上)、好ましくは1モル%以下(ポリマー転化率99モル%以上)、より好ましくは1000モルppm以下(ポリマー転化率99.9モル%以上)と極めて少ないことから、安全性、安定性に優れている。従って、本実施形態の粒子は、日用品、医薬品、化粧品、電子写真用トナー等の用途として幅広く適用される。
なお、本実施形態において、有機溶媒とは、開環重合に用いられる有機物の溶媒であり、開環重合反応で得られるポリマーを溶解せしめるものである。ポリマー組成物がポリ乳酸のステレオコンプレックス型である場合には、有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン溶媒やテトラヒドロフランなどが挙げられる。実質的に有機溶媒を含有しないとは、以下の測定方法により測定されるポリマー組成物中の有機溶媒の含有量が検出限界以下であることを言う。
(残留有機溶媒の測定方法)
測定対象となるポリマー組成物1質量部に2−プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、ポリマー組成物中の有機溶媒を抽出する。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−14A,SHIMADZU)で分析し、ポリマー組成物中の有機溶媒および残存開環重合性モノマーを定量することにより有機溶媒濃度を測定する。かかる分析時の測定条件は、以下の通りである。
装置 :島津GC−14A
カラム :CBP20−M 50−0.25
検出器 :FID
注入量 :1〜5μl
キャリアガス :He 2.5kg/cm2
水素流量 :0.6kg/cm2
空気流量 :0.5kg/cm2
チャートスピード:5mm/min
感度 :Range101×Atten20
カラム温度 :40℃
Injection Temp :150℃
従来の製造方法により、モノマーを融点以上の高温に加熱して溶融させることによってポリマー組成物を得た場合、熱劣化が生じ、その結果、得られるポリマーが黄変するという課題があった。これに対し、本実施形態のポリマー組成物は、残存開環重合性モノマー量が少なく、低い温度で重合させて得られることから、主に黄変などの変色が抑えられ、白色となる。なお、黄変の程度については、厚さ2mm樹脂ペレットを作成してJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定したイエローインデックス値(YI値)で評価することができる。本実施形態において、ポリマー生成物が白色であるとは、YI値が5以下であることを意味する。
本実施形態により得られるポリマー組成物の重量平均分子量は、開始剤の量によって調整が可能である。特に限定されるものではないが、重量平均分子量は一般的に1.2万以上20万以下である。重量平均分子量が20万より大きい場合、粘性の上昇に伴う生産性の悪化により経済的ではない場合がある。重量平均分子量が1.2万より小さい場合、ポリマー組成物としての強度が不十分となり好ましくない場合がある。本実施形態により得られるポリマー組成物の重量平均分子量Mwを重量平均分子量Mnで除した値は、好ましくは1.0以上2.5以下の範囲であり、より好ましくは1.0以上2.0以下である。この値が2.0より大きい場合、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難になることから好ましくない。
本実施形態において、金属原子を含まない有機触媒を用いて重合を行った場合には、実質的に金属原子を含有しないポリマー組成物が得られる。実質的に金属原子を含まないとは、金属触媒由来の金属原子を含まないことを意味する。具体的には、ICP発光分析法、原子吸光分析法あるいは比色法などの公知の分析手法で、ポリマー組成物における金属触媒由来の金属原子の検出を試みた場合に、検出限界以下であるときに金属触媒由来の金属原子を含まないと言える。金属触媒由来の金属原子としては、スズ、アルミ、チタン、ジルコニウム、アンチモンなどが挙げられる。
<<ポリマー組成物の用途>>
本実施形態の製造方法により得られたポリマー組成物は、有機溶媒を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。従って、本実施形態の製造方法により得られたポリマー組成物は、電子写真の現像剤、印刷用インク、建築用塗料、化粧品、医療用材料などの各種用途に幅広く適用される。その際、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、結晶性、耐候性等を向上させる目的で、各種添加剤を使用しても良い。
<<実施形態の効果>>
本実施形態では、少なくとも開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを連続的に供給し、接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを連続的に得る。この場合、重合反応装置本体100bの反応部13の送液経路における上流側では反応の進行度が低いため系内の粘度が低くなり、下流側では反応の進行度が高いため系内の粘度が高くなる。これにより、局所的な粘度差は発生し難くなるので、反応が促進されて、従来のバッチ方式で反応させる場合と比較して、重合反応に要する時間を短くすることができる。
また、本実施形態の重合方法によると、以下の理由により、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマー組成物の提供が可能となる。
(1)高温(例えば150℃以上)で反応させる溶融重合法と比較して、低温で反応が進む。
(2)低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらず、加えた開環重合性モノマーに対して高収率でポリマー組成物が得られる(すなわち残存開環重合性モノマー量が少ない)。これにより、成形加工性、熱安定性に優れたポリマー組成物を得るための、残存開環重合性モノマーを除去する精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)触媒として金属触媒を含有しない有機触媒を選択できるため、特定の金属の含有を嫌う用途のポリマーを製造する場合に、その除去工程が不要である。
(4)有機溶媒を用いた重合法では、得られたポリマー組成物を固体で使用するためには有機溶媒を除去する処理が必要となる。また、有機溶媒を除去する処理を行っても、完全に有機溶媒を除去することは困難である。本実施形態の重合方法では、圧縮性流体を用いるため廃液等も発生せず、乾燥したポリマー組成物が1段階の工程で得られることから、有機溶媒を除去する工程も省略できる。
(5)圧縮性流体を用いるため、有機溶媒を用いずに開環重合反応を行うことができる。
(6)圧縮性流体によって開環重合性モノマーを溶融させた後に、触媒を加えて開環重合させるため、均一に反応が進む。このため、光学異性体や他のモノマー種との共重合体を得る場合に、好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例を示して本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られたポリマー組成物の各物性は次のようにして求めた。
<ポリマー組成物の分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマー組成物を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマー組成物の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマー組成物の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
<残存開環重合性モノマー量>
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中でポリマー組成物としてのポリ乳酸の核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積(4.98〜5.05ppm)の比を算出し、これを100倍したものを残存開環重合性モノマー量(モル%)とした。
<ステレオコンプレックス結晶化度>
TAインスツルメンツ社製の示差走査熱量計Q2000を用いて、窒素雰囲気下、ポリマー組成物の示差走査熱量測定を行った。サンプルとして、約5〜10mgのポリマー組成物を用い、アルミニウムパンに封入した。第一サイクルにおいて、窒素気流下、10℃/分で250℃まで昇温し、ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm*)およびステレオコンプレックス型結晶の融解熱(ΔHmsc:J/g)およびホモ結晶の融解熱(ΔHmh:J/g)を測定した。
<イエローインデックス(YI)値>
得られたポリマー組成物について、厚さ2mm樹脂ペレットを作成してJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定し、YI値を求めた。
〔実施例1〕
図3及び図4に示された複数の重合反応装置100を有する複合体製造装置300を用いてステレオコンプレックス型結晶を有するポリ乳酸を製造した。複合体製造装置300の構成を示す。
タンク1,計量フィーダー2:
日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、開環重合性モノマーとして溶融状態のラクチドを充填した。なお、一方の重合反応装置100のタンク1にはL−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)を充填し、他方の重合反応装置100のタンク1にはD−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)を充填した。
タンク3,計量フィーダー4:
日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU-2080)
タンク3には、開始剤としてラウリルアルコールを充填した。
タンク5,計量ポンプ6:本実施例では使用しなかった。
タンク7 :炭酸ガスボンベ
タンク11,計量ポンプ12:
日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ (PU-2080)タンク11には1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、製造会社名:東京化成工業株式会社)(有機触媒)を充填した。
接触部9:攪拌機能を有さない1/8インチの耐圧配管
反応部13 :攪拌機能を有さない1/8インチの耐圧配管
混合装置41 :互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
図4に示された重合反応装置100の計量フィーダー2を作動させて、タンク1内の第1のモノマーとしてのL−ラクチドを流速10g/分で接触部9の配管内に定量供給した。また、計量フィーダー4を作動させて、タンク3内のラウリルアルコールを、ラクチド99.5モルに対し0.5モルとなるように接触部9の配管内に定量供給した。更に、計量ポンプ8を作動させて、タンク7内の炭酸ガスを、単位時間当たりに供給される原材料100質量部に対して5質量部となるように、接触部9の配管内に連続的に供給した。すなわち、フィード比=〔原材料の供給速度(g/min)〕/〔圧縮性流体の供給速度(g/min)〕=100/5=20に設定した。なお、ここでの原材料とは、開環重合性モノマーであるラクチドおよび開始剤として加えているラウリルアルコールである。なお、原材料の供給速度は10g/minである。重合系内の圧力は、15MPaとなるように調整した。また、接触部9の原材料の導入口9a付近の設定温度を100℃、溶融混合した原材料の出口付近の設定温度を60℃とした。これにより、接触部9は、各タンク(1,3,7)から供給されたL−ラクチドおよびラウリルアルコールの原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させ、混合させ、溶融させた。
接触部9で溶融させた各原材料は、送液ポンプ10によって反応部13に送液される。タンク11に貯蔵された重合触媒(DBU)を計量ポンプ12によってラクチド99.9モルに対して0.1モルとなるように反応部13内に導入することにより、DBUの存在下L−ラクチドの開環重合を行った。反応部13の導入口13a付近の設定温度を60℃、先端部の設定温度を60℃とし、反応部13内の各原材料の平均滞留時間を約1200秒とした。
また、図4に示された他方の重合反応装置100を用い、第2のモノマーとしてのD−ラクチドの開環重合を行った。この操作は、一方の重合反応装置100においてL−ラクチドの開環重合を行う場合の操作と同様である。
各重合反応装置100で得られた各ポリマー(ポリ−L−ラクチド,ポリ−D−ラクチド)は、各計量ポンプ14によって、圧縮性流体の存在下、溶融した状態のまま、直接、混合装置41に連続的に供給される。供給された各ポリマーを、混合装置41で、表1に記載された条件により連続的に混合することにより、ステレオコンプレックス型結晶を有するポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で各物性値を測定した。結果を表5に示す。なお、表1中の系列1は一方の重合反応装置100を示し、系列2は他方の重合反応装置100を示す。
〔実施例2〜3〕
開始剤量を変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例4〜5〕
L体とD体のモノマーのフィード量の比率を変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表2に示す。
〔実施例6〜7〕
フィード比を変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表2に示す。
〔実施例8〕
触媒にジ(2−エチルヘキシル酸)スズを用いて、反応および混合に関する温度を変更した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表3に示す。なお、表3中の「スズ」は、ジ(2−エチルヘキシル酸)スズを示す。
〔実施例9〜10〕
触媒の量を変更した以外は実施例8と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表3に示す。
〔比較例1〕
触媒の量、各温度を変更し、圧縮性流体を加えずに重合を行った以外は実施例8と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表3に示す。
Figure 0006011183
Figure 0006011183
Figure 0006011183
〔実施例2−1〕
図5の複合体製造装置400を用いて、L−ラクチドおよびD−ラクチドの逐次添加による開環重合によって、ステレオブロック共重合体を得た。複合体製造装置400の構成を示す。
タンク1,計量フィーダー2:日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、開環重合性モノマーとしてラクチド(L−ラクチド 製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)(第1のモノマー)と、開始剤としてのラウリルアルコールと、の99:1(モル比)混合物を充填した。なお、タンク1内でラクチドを融点以上に加熱することにより、液体の状態とした。
タンク3,計量フィーダー4:本実施例では使用しなかった。
タンク5,計量ポンプ6 :本実施例では使用しなかった。
タンク7 :炭酸ガスボンベ
タンク27 :炭酸ガスボンベ
タンク21,計量フィーダー22:
日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク21には、開環重合性モノマーとしてラクチド(D−ラクチド 製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)(第2のモノマー)を充填した。なお、タンク21内でラクチドを融点以上に加熱することにより、液体の状態とした。
タンク11,計量ポンプ12:
日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ (PU-2080)
タンク11には1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、製造会社名:東京化成工業株式会社)(有機触媒)を充填した。
接触部9:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
接触部29:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
反応部13 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
反応部33 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
計量フィーダー2を作動させて、タンク1内の原材料(L−ラクチドおよびラウリルアルコール)を10g/分の供給速度で接触部9の二軸攪拌装置に連続的に定量供給した。また、計量ポンプ8を作動させて、タンク7内の炭酸ガスを、原材料100質量部に対して5質量部となるように、接触部9の二軸攪拌装置に連続的に供給した。これにより、接触部9の二軸攪拌装置内で、ラクチドおよびラウリルアルコールの各原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させるとともに、各原材料を溶融させた。なお、接触部9におけるフィード比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度)は20である。
接触部9で溶融させた各原材料は、送液ポンプ10によって反応部13の二軸混練機に送液される。一方、計量ポンプ12を作動させて、タンク11に貯蔵された重合触媒(DBU)を、ラクチドに対して99:1(モル比)となるように反応部13内に供給した。これにより、反応部13内でDBUの存在下ラクチドの開環重合を連続的に行った。これにより、反応部13では中間体としてのポリマー(ポリ−L−乳酸)が連続的に得られる。
計量フィーダー22を作動させて、タンク21内の第2のモノマーとしてのD−ラクチドを供給速度10g/分で接触部29の二軸攪拌装置に連続的に定量供給した。また、計量ポンプ28を作動させて、タンク27内の炭酸ガスを、第2のモノマー100質量部に対して5質量部となるように、接触部29の二軸攪拌装置に連続的に供給した。これにより、接触部29内で、ラクチドと圧縮性流体とを連続的に接触させるとともに、ラクチドを溶融させた。なお、接触部29におけるフィード比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度)は20である。
反応部13で重合して得られた溶融状態の中間体としてのポリマー(ポリ−L−乳酸)と、接触部29で溶融させたD−ラクチドは、反応部33の二軸混練機に連続的に供給される。これにより、反応部33内で、中間体としてのポリ−L−乳酸および第2のモノマーとしてのD−ラクチドの重合反応を連続的に行った。
なお、実施例1において、接触部9、反応部13、反応部33内の圧力は、圧調整バルブ34の開閉度を調整することにより15MPaとした。接触部(9,29)の二軸攪拌装置における送液経路の温度は、入口で100℃、出口で60℃である。反応部13、反応部33の二軸混練機における送液経路の温度は、入口、出口ともに60℃である。また、接触部9、反応部13、反応部33内の原材料等の各平均滞留時間は、各接触部9、反応部13、反応部33の配管系および長さを調整することにより、1200秒とした。
反応部33の先端には、圧調整バルブ34が取付けられており、この圧調整バルブ34から生成物としてのポリマー(ポリ乳酸のステレオブロック共重合体)を連続的に送り出した。得られたポリマー生成物について上記の方法で物性値を求めた。結果を表4に示す。
〔実施例2−2〜2−3〕
開始剤量を変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表4に示す。
〔実施例2−4〜2−5〕
L体とD体のモノマーの流量比率を変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表4に示す。
〔実施例2−6〜2−7〕
フィード比を変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表4に示す。
〔実施例2−8〕
触媒にジ(2−エチルヘキシル酸)スズを用いて、送液経路の温度を変更した以外は実施例2−1と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表4に示す。なお、表4中の「スズ」は、ジ(2−エチルヘキシル酸)スズを示す。
〔実施例2−9〜2−10〕
開始剤の量を変更した以外は実施例2−8と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表5に示す。
〔比較例2−1〕
開始剤の量、送液経路の温度、圧縮性流体を加えずに重合を行った以外は実施例2−8と同様の操作を行うことにより、ポリ乳酸を得た。得られたポリ乳酸について、上記の方法で物性値を求めた。結果を表5に示す。
Figure 0006011183
Figure 0006011183
1 タンク
2 計量フィーダー
3 タンク
4 計量フィーダー
5 タンク
6 計量ポンプ
7 タンク
8 計量ポンプ
9 接触部
10 送液ポンプ
11 タンク
12 計量ポンプ
13 反応部
14 計量ポンプ
21 タンク
22 計量フィーダー
27 タンク
28 計量ポンプ
29 接触部
33 反応部
100 重合反応装置
100a 供給ユニット
100b 重合反応装置
300 複合体製造装置
PP ポリマー組成物
特公平5−48258号公報 特許第3610780号公報
「超臨界流体の最新応用技術」、第173頁、2004年3月15日、株式会社エヌ・ティー・エス発行

Claims (5)

  1. ステレオコンプレックス型結晶を有するポリマー組成物であって、
    ガスクロマトグラフィ測定による有機溶媒の含有量が検出限界以下であり、
    残存開環重合性モノマー量が2モル%以下であり、
    下式で示されるステレオコンプレックス結晶化度が90%以上100%以下であり、
    重量平均分子量が14000以上240000以下であり、
    ポリ−D−乳酸成分、及びポリ−L−乳酸成分を含む
    ことを特徴とするポリマー組成物。
    S=〔ΔH msc /(ΔH mh +ΔH msc )〕×100
    式中のSはステレオコンプレックス結晶化度(%)を示し、ΔH msc はステレオコンプレックス型結晶の融解熱(J/g)であって、ΔH mh はステレオコンプレックス型結晶の形成に寄与しないホモ結晶の融解熱(J/g)である。
  2. イエローインデックス値が5以下であることを特徴とする請求項に記載のポリマー組成物。
  3. 金属原子の含有量が検出限界以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
  4. 金属原子を含有しない有機触媒を有する請求項1乃至のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
  5. 前記有機触媒が、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、ジフェニルグアニジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、又は、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデンを含有することを特徴とする請求項に記載のポリマー組成物。
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