JP2014159552A - ポリマー生成物及びその製造方法、並びにポリマー生成物製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】今までにない熱特性を有し、高い融点を有する高性能なポリマー生成物等の提供。
【解決手段】加熱前のポリマーの融点Tm0と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm1との融点差(Tm1−Tm0)が、3℃以上であるポリマー生成物、及び加熱前のポリマーの融点Tm2と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm3との融点差(Tm2−Tm3)が、0℃以上3℃未満であるポリマー生成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー生成物及びポリマー生成物の製造方法、並びにポリマー生成物製造装置に関する。
従来より、開環重合性モノマーを開環重合することにより各種のポリマーが製造されている。例えば、開環重合性モノマーの一例としてのラクチドを開環重合することによりポリ乳酸が製造されている。製造されたポリ乳酸は、例えば、縫合糸用の繊維、生体適合材料用のシート、化粧品用の粒子、或いは、レジ袋用のフィルムなどに用いられている。
このような開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを製造する方法としては、開環重合性モノマーを溶融状態で反応させる方法が知られている。例えば、ラクチドを開環重合してポリ乳酸を製造する方法としては、触媒としてオクチル酸錫を用い、反応温度を195℃として、溶融状態でラクチドを反応させて重合させる方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この提案の製造方法によりポリ乳酸を製造した場合、2質量%を超えるラクチドが生成物に残留する。これは、ラクチド等の開環重合の反応系においては開環重合性モノマーとポリマーとの平衡関係が成立し、上記の反応温度のような高温で開環重合性モノマーを開環重合した場合には、解重合反応によって開環重合性モノマーが生じやすくなることによる。残留したラクチド(開環重合性モノマー)は、生成物の加水分解触媒として機能したり、耐熱性を低下させたりする。この場合、ポリ乳酸を溶融状態で減圧下においてラクチドを低減させることが知られている(特許文献2参照)が、ポリ乳酸を溶融状態に保つことで着色が生じることがある。また、加水分解抑制剤を用いることが知られている(特許文献3参照)が、前記加水分解抑制剤の添加により成形加工性が低下し、得られる成形体の物性が低下することがある。
また、低い反応温度で開環重合性モノマーを開環重合させる方法としては、有機溶媒中でラクチドの開環重合を行う方法が提案されている(特許文献4参照)。この提案の方法によると、ジクロロメタン溶液中D−ラクチドを25℃で重合することにより、99.4%のモノマー転化率でポリ−D−乳酸を得ている。しかし、この提案のように有機溶媒を用いて重合を行った場合には、ポリマーを用いるときに、有機溶媒を乾燥させる処理が必要となるだけでなく、この処理を行っても生成物中から有機溶媒を完全に除去することは困難である。
また、有機溶媒を使用せずに開環重合性モノマーを開環重合させる方法としては、超臨界二酸化炭素中で金属触媒を用いてL−ラクチドを開環重合させる方法が開示されている(非特許文献1参照)。この開示された方法によると、金属触媒としてオクチル酸スズを用い、反応温度を80℃、圧力を207barとして、超臨界二酸化炭素に対し10w/v%のL−ラクチドを、47時間重合させることにより、ポリ乳酸の微粒子を得ている。ところが、この製造方法によりポリ乳酸を製造した場合、金属触媒のオクチル酸スズが、生成物に残留するという問題がある。これは、触媒が金属原子を含むため、生成物から容易に除去されないことによる。そして、残留したオクチル酸スズは、生成物の耐熱性や安全性を低下させる。
また、超臨界二酸化炭素を用いてラクチドを開環重合させる方法において、触媒として金属原子を含まない有機触媒を用いた方法が開示されている(非特許文献2参照)。この開示された方法によると、ラクチド、及び、有機触媒としての1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等をオートクレーブに充填した後、攪拌し、二酸化炭素を加えて250気圧とする手順によりラクチドを重合させている。この方法では、16時間反応させることで、数平均分子量が10,000程度のポリマーが得られている。
しかしながら、超臨界二酸化炭素などの圧縮性流体を用いて開環重合性モノマーを開環重合させる方法において、触媒として金属原子を含まない有機触媒を用いた場合には、長時間反応を継続させても、分子量が高く、高強度なポリマー生成物が得られなかった。また、低分子量成分の影響でポリマー生成物の耐久性や軟化温度が低下するという課題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、今までにない熱特性を有し、高い融点を有する高品質なポリマー生成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のポリマー生成物は、第1の形態では、加熱前のポリマーの融点Tm0と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm1との融点差(Tm1−Tm0)が、3℃以上である。
また、本発明のポリマー生成物は、第2の形態では、加熱前のポリマーの融点Tm2と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm3との融点差(Tm3−Tm2)が、0℃以上3℃未満である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、今までにない熱特性を有し、高い融点を有する高性能なポリマー生成物を提供することができる。
図1は、ポリマー生成物を200℃加熱した時の融点の変化を示すグラフである。 図2は、温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。 図3は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 図4は、連続式の重合工程の一例を示す系統図である。 図5は、連続式の重合工程の他の一例を示す系統図である。 図6Aは、第1の方法で用いられる製造システムを示す模式図である。 図6Bは、第1の方法で用いられる製造システムを示す模式図である。 図7は、第2の方法で用いられる製造システムを示す模式図である。 図8は、バッチ式の重合工程の一例を示す系統図である。 図9は、バッチ式の重合工程の他の一例を示す系統図である。
(第1の形態のポリマー生成物及び第1の形態のポリマー生成物の製造方法、並びに、第1の形態のポリマー生成物製造装置)
本発明のポリマー生成物は、第1の形態では、加熱前のポリマーの融点Tm0と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm1との融点差(Tm1−Tm0)が、3℃以上である。
本発明のポリマー生成物の製造方法は、第1の形態では、重合工程と、温度保持工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明のポリマー生成物製造装置は、第1の形態では、重合手段と、温度保持手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
<第1の形態のポリマー生成物>
本発明の第1の形態のポリマー生成物は、加熱前のポリマーの融点Tm0と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm1との融点差(Tm1−Tm0)が、3℃以上であり、5℃以上が好ましく、10℃以上が更に好ましい。
前記融点差(Tm1−Tm0)が、3℃未満であると、成型加工条件によっては多少の熱劣化を起こすことがある。
前記第1の形態のポリマー生成物は、低温で再溶融できるので、ポリマーの熱劣化(分解)を起こすことなく、成型加工でき、かつ得られた成型品は高い融点を有している。
前記第1の形態のポリマー生成物が、開環重合性モノマーとしてのラクチドを開環重合してなるポリ乳酸である場合には、前記ポリ乳酸の融点が160℃〜180℃であるため、170℃〜230℃で60分間加熱することが好ましく、具体的には、200℃で60分間加熱、などが挙げられる。
ここで、図1は、ポリマー生成物(ポリ乳酸)を200℃で所定の時間加熱した時の融点の変化を示すグラフである。
図1中、本発明品は、本発明の第1の形態のポリマー生成物(ポリ乳酸)であり、比較品1は、溶融重合(ポリ乳酸)、添加剤あり、比較品2は、溶融重合(ポリ乳酸)、添加剤なしである。
図1の結果から、本発明品は、200℃で1時間〜4時間加熱することにより、融点が3℃以上、最大で6℃上昇することがわかる。
これに対し、比較品1及び2は、200℃で1時間以上加熱すると、融点が低下した。 本発明品のポリマー生成物は、圧縮性流体(CO)を含むことでポリマーが可塑化する。このポリマー生成物を加熱溶融することで、ポリマー生成物中から圧縮性流体(CO)が抜け出ることにより、ポリマーの融点が上昇すると考えられる。
ここで、前記融点は、例えば、示差走査熱量分析装置(TAインスツルメンツ社製、Q2000)を使用し、JIS K 7121に基づき、DSC曲線から加熱前のポリマーの融点Tm0を求めることができる。
具体的には、示差走査熱量分析装置内は窒素雰囲気下になっており、サンプル量5mg程度をアルミパンに入れて蓋をして測定する。そのまま示差走査熱量分析計から取り出すことなく、冷却速度毎分10℃で−15℃まで冷却し、5分間保持する。加熱速度毎分10℃で200℃まで加熱し、60分間保持する。冷却速度毎分10℃で−15℃まで冷却し、5分間保持する。そのまま示差走査熱量分析装置から取り出すことなく、JIS K 7121に基づき、DSC曲線から、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm1を求めることができる。
前記第1の形態のポリマー生成物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量は、10,000以上300,000未満が好ましく、100,000以上300,000未満がより好ましい。
前記重量平均分子量が、10,000未満であると、機械的強度が低下することがあり、300,000以上であると、加工が困難となることがある。
前記第1の形態のポリマー生成物の重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0〜2.5が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。前記分子量分布(Mw/Mn)が、2.5を超えると、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー生成物の物性をコントロールすることが困難になることがある。
前記重量平均分子量及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、以下の条件で測定することができる。
・装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)
・流速:0.5mL/分間
濃度0.5質量%の試料を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマー生成物の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマー生成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
前記第1の形態のポリマー生成物の残存開環重合性モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100質量ppm以上20,000質量ppm以下(0.01質量%以上2質量%以下)が好ましく、100質量ppm以上1,000質量ppm以下がより好ましい。前記含有量が、20,000質量ppm(2質量%)を超えると、熱特性の低下により耐熱安定性が悪くなる場合があるのに加えて、残存開環重合性モノマーが開環した際に生ずるカルボン酸に加水分解を促進する触媒機能を有するため、ポリマー生成物の分解が進行しやすくなることがある。
前記残存開環重合性モノマーの含有量は、例えば、質量分率〔残存開環重合性モノマーの質量/開環重合性モノマーの総量(=残存開環重合性モノマーを含むポリマー生成物の質量)〕で表すことができる。また、残存開環重合性モノマーの含有量は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準,第3版改訂版,2004年6月追補,第3部,衛生試験法」に基づいて測定することができる。
前記第1の形態のポリマー生成物のイエローインデックス(YI)値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。前記YI値が、15を超えると、外観上好ましくなく、特に包装容器としての使用時に問題となることがある。
前記イエローインデックス(YI)値は、例えば、厚み2mmの樹脂ペレットを作製してJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機株式会社製)を用いて測定し、YI値を求めることができる。
前記第1の形態のポリマー生成物は、上述したように、今までにない熱特性を有し、高い融点を有する高品質なものである。前記ポリマー生成物は、後述する第1の形態のポリマー生成物の製造方法で説明するように、開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて、前記開環重合性モノマーを重合させて得られ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記開環重合性モノマーとしてラクチド等を用いて得られるポリエステルであることが好ましい。
また、前記第1の形態のポリマー生成物は、2種以上のポリマーセグメントを有する共重合体であることが好ましい。
また、前記ポリマー生成物は、ステレオコンプレックスであることが好ましい。
ここで、「ステレオコンプレックス」とは、ステレオコンプレックスポリ乳酸で例示すると、ポリD−乳酸成分及びポリL−乳酸成分とを含み、ステレオコンプレックス結晶を有するものであって、下記式(i)で表されるステレオコンプレックス結晶化度が90%以上であるポリ乳酸組成物を意味する。
ステレオコンプレックス結晶化度(S)は、示差走査熱量計(DSC)測定で、190℃未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱(ΔHmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱(ΔHmsc)より、下記式(i)により求めることができる。
(S)=〔ΔHmsc/(ΔHmh+ΔHmsc)〕×100 ・・・(i)
本発明の第1の形態のポリマー生成物は、上述したように今までにない熱特性を有し、高い融点を有する高品質なものであり、かつ高強度であって、黄変が生じないので、例えば、粒子、フィルム、シート、成型品、繊維、発泡体等に形成して、例えば、日用品、工業用資材、農業用品、衛生資材、医薬品、化粧品、電子写真用トナー、包装材料、電気機器材料、家電筐体、自動車材料等の用途に幅広く用いられる。
本発明の第1の形態のポリマー生成物は、以下に説明する第1の形態のポリマー生成物の製造方法及び第1の形態のポリマー生成物製造装置により製造される。
<第1の形態のポリマー生成物の製造方法及び第1の形態のポリマー生成物製造装置)
本発明の第1の形態のポリマー生成物の製造方法は、重合工程と、温度保持工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の第1の形態のポリマー生成物製造装置は、重合手段と、温度保持手段とを少なくとも有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
以下、本発明の第1の形態のポリマー生成物の製造方法、及び第1の形態のポリマー生成物製造装置について、詳細に説明する。
<重合工程及び重合手段>
前記重合工程は、開環重合性モノマーと、圧縮性流体と、必要に応じてその他の成分とを、接触させて、前記開環重合性モノマーを開環重合させる工程であり、重合手段により実施される。
前記重合工程は、連続式で行ってもよいし、バッチ式で行ってもよい。
前記重合工程では、圧縮性流体を用いることで、低い温度での重合反応が可能となるため、従来の溶融重合と比して、大幅に解重合反応を抑制できる。これにより、ポリマー転化率を、96モル%以上、好ましくは98モル%以上とすることができる。前記ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマーを含有する生成物の熱特性が不十分になり、別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。なお、ポリマー転化率とは、原材料としての開環重合性モノマーに対する、ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの割合を意味する。ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの量は、生成したポリマーの量から未反応の開環重合性モノマーの量(残存開環重合性モノマーの量)を差し引くことにより得られる。
<<開環重合性モノマー>>
前記開環重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カルボニル基を環内に有する開環重合性モノマーが好ましい。前記カルボニル基は、電気陰性度の高い酸素が炭素とπ結合してなる。前記カルボニル基では、π結合電子がひきつけられることにより、酸素が負に分極し、炭素が正に分極している。そのため、前記カルボニル基は、反応性が高い。また、前記圧縮性流体が二酸化炭素の場合、前記カルボニル基が前記二酸化炭素の構造と似ていることから、前記二酸化炭素と生成したポリマー生成物との親和性は高くなると推測される。これらの作用により、前記圧縮性流体による、生成したポリマーの可塑化の効果は高くなる。前記カルボニル基を環内に有する開環重合性モノマーとしては、エステル結合を有する開環重合性モノマーがより好ましい。
前記開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
−環状エステル−
前記環状エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される化合物のL体及び/又はD体を脱水縮合して得られる環状二量体が好ましい。
R−C*−H(−OH)(−COOH) 一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表し、「C*」は、不斉炭素を表す。
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体、などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性、又は入手容易性の点から特に好ましい。
また、前記環状エステルとしては、例えば、脂肪族のラクトン、などが挙げられる。前記脂肪族のラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクタイド、などが挙げられる。これらの中でも、ε−カプロラクトンが、反応性及び入手性の観点から好ましい。
−環状カーボネート−
前記環状カーボネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。
これらの開環重合性モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<圧縮性流体>>
前記圧縮性流体について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図3は、前記圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。
前記「圧縮性流体」とは、物質が、図2で表される相図の中で、図3に示す(1)、(2)、及び(3)のいずれかの領域に存在するときの状態を意味する。
前記「圧縮性流体」とは、図2で表される相図の中で、図3に示す(1)、(2)、及び(3)のいずれかの領域に存在する状態のときの流体を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本発明においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本発明においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
前記圧縮性流体を構成する物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレン、などが挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
前記二酸化炭素は、塩基性及び求核性を有する物質と反応することから、従来、超臨界二酸化炭素を溶媒とする場合、リビングアニオン重合には適用できないとされていた(「超臨界流体の最新応用技術」、第173頁、2004年3月15日、株式会社エヌ・ティー・エス発行参照)。しかし、本発明者らは、従来の知見を覆した。即ち、本発明者らは、超臨界二酸化炭素中でも、塩基性及び求核性を有する触媒が安定的に開環重合性モノマーに配位し、これを開環させることで、短時間で定量的に重合反応が進行し、結果的に重合反応がリビング的に進行することを見出した。ここでいうリビング的とは、移動反応、停止反応などの副反応を伴わず、定量的に反応が進行し、得られたポリマー生成物の分子量分布が比較的狭く単分散であることを意味する。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、開始剤、触媒、添加剤、などが挙げられる。
−開始剤−
前記開始剤は、開環重合により得られるポリマー生成物の分子量を制御するために用いられる。
前記開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール系であれば、脂肪族アルコールのモノ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。
前記開始剤としては、例えば、モノアルコール、多価アルコール、乳酸エステルなどが挙げられる。前記モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、などが挙げられる。前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン、などが挙げられる。前記乳酸エステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマー生成物を開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック共重合体や、トリブロック共重合体などが合成される。
前記重合工程における前記開始剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜調整すればよく、前記開環重合性モノマー100モルに対して、0.1モル〜5モルが好ましい。不均一に重合が開始されるのを防ぐために、開環重合性モノマーが触媒に触れる前にあらかじめ開環重合性モノマーと開始剤とをよく混合しておくことが好ましい。
−触媒−
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機触媒、金属触媒、などが挙げられる。
−−有機触媒−−
前記有機触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属原子を含まず、前記開環重合性モノマーの開環重合反応に寄与し、前記開環重合性モノマーとの活性中間体を形成した後、アルコールとの反応で脱離、再生するものが好ましい。
例えば、エステル結合を有する開環重合性モノマーを重合する場合、前記有機触媒としては、塩基性を有する求核剤として働く(求核性の)化合物が好ましく、窒素原子を含有する化合物がより好ましく、窒素原子を含有する環状化合物が特に好ましい。前記のような化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、環状モノアミン、環状ジアミン(例えば、アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物など)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベン、などが挙げられる。なお、カチオン系の有機触媒は、開環重合に用いられるが、この場合、ポリマー生成物主鎖から水素を引き抜く(バック−バイティング)ため、分子量分布が広くなり高分子量の生成物を得にくい。
前記環状モノアミンとしては、例えば、キヌクリジンなどが挙げられる。
前記環状ジアミンとしては、例えば、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、などが挙げられる。
前記アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネン、などが挙げられる。
前記グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物としては、例えば、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)、などが挙げられる。
前記窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物としては、例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、ピロコリン、イミダゾール、ピリミジン、プリン、などが挙げられる。
前記N−ヘテロサイクリックカルベンとしては、例えば、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)、などが挙げられる。
これらの中でも、立体障害による影響が少なく求核性が高い、或いは、減圧除去可能な沸点を有するという理由により、DABCO、DBU、DPG、TBD、DMAP、PPY、ITBUが好ましい。
これらの有機触媒のうち、例えば、DBUは、室温で液状であって沸点を有する。このような有機触媒を選択した場合、得られたポリマー生成物を減圧処理することで、ポリマー生成物中から有機触媒をほぼ定量的に取り除くことができる。なお、有機触媒の種類や除去処理の有無は、生成物の使用目的等に応じて決定される。
−−金属触媒−−
前記金属触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スズ系化合物、アルミ系化合物、チタン系化合物、ジルコニウム系化合物、アンチモン系化合物、などが挙げられる。
前記スズ系化合物としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル酸錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ、などが挙げられる。
前記アルミ系化合物としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミニウム、などが挙げられる。
前記チタン系化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、などが挙げられる。
前記ジルコニウム系化合物としては、例えば、ジルコニウムイソプロオイキシド、などが挙げられる。
前記アンチモン系化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、などが挙げられる。
前記触媒の種類及び使用量は、前記圧縮性流体と前記開環重合性モノマーとの組合せによって変わるので一概には特定できないが、前記開環重合性モノマー100モルに対して、0.01モル〜15モルが好ましく、0.1モル〜1モルがより好ましく、0.3モル〜0.5モルが特に好ましい。前記使用量が、0.01モル未満であると、重合反応が完了する前に触媒が失活して、目標とする分子量のポリマー生成物が得られない場合がある。一方、前記使用量が、15モルを超えると、重合反応の制御が難しくなることがある
前記重合工程において用いられる触媒としては、生成物の安全性及び安定性を必要とする用途では、前記有機触媒(金属原子を含まない有機触媒)が好適に用いられる。
−添加剤−
前記重合工程においては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、酸化防止剤、などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、前記圧縮性流体に溶融し、かつ前記圧縮性流体と前記開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものが好適に用いられる。このような界面活性剤を使用することで、重合反応を均一に進めることができ、分子量分布の狭い生成物が得られるとともに、粒子状のポリマー生成物を得やすくなる等の効果を期待できる。前記界面活性剤を用いる場合、前記圧縮性流体に加えても、前記開環重合性モノマーに加えてもよい。例えば、前記圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、親二酸化炭素基と親モノマー基を分子内に持つ界面活性剤が使用される。このような界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
<温度保持手段及び温度保持工程>
前記温度保持工程は、前記重合工程で得られた重合物を前記重合工程における重合反応温度より低い温度に保持する工程であり、温度保持手段により行われる。
前記温度保持工程及び前記温度保持手段により、前記第1の形態のポリマー生成物中に圧縮性流体(CO)が含浸される。
前記温度保持手段としては、温度を一定に保持することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マントルヒーター、オイルヒーター、リボンヒーターなどにより温度を一定に保持された耐熱容器やフィーダーなどが挙げられる。
前記温度保持工程において、前記重合工程で得られた重合物を前記重合工程における重合反応温度より10℃以上低い温度に保持することが好ましく、50℃以上低い温度に保持することがより好ましい。
なお、圧力は、重合圧力よりも高くても低くてもよい。
前記温度保持工程において、前記低い温度を5分間以上保持することが好ましく、30分間以上保持することがより好ましい。
前記第1の形態のポリマー生成物が、ポリ乳酸である場合には、50℃〜160℃で10分間以上保持することが好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却工程、乾燥工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却手段、乾燥手段、などが挙げられる。
(第2の形態のポリマー生成物及び第2の形態のポリマー生成物の製造方法、並びに、第2の形態のポリマー生成物製造装置)
本発明のポリマー生成物は、第2の形態では、加熱前のポリマーの融点Tm2と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm3との融点差(Tm3−Tm2)が、0℃以上3℃未満である。
本発明のポリマー生成物の製造方法は、第2の形態では、重合工程と、加熱工程と、
を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明のポリマー生成物製造装置は、第2の形態では、重合手段と、加熱手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
<第2の形態のポリマー生成物>
前記第2の形態のポリマー生成物は、加熱前のポリマーの融点Tm2と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm3との融点差(Tm3−Tm2)が、0℃以上3℃未満であり、0℃以上2℃未満が好ましい。
前記融点差(Tm3−Tm2)が、3℃以上であると、成型加工条件設定が複雑となり制御しにくくなることがある。
前記第2の形態のポリマー生成物は、高い融点を有しており、ポリマーの熱劣化(分解)を起こすことなく、成型加工できる。
前記第2の形態のポリマー生成物が、開環重合性モノマーとしてのラクチドを開環重合してなるポリ乳酸である場合には、前記ポリ乳酸の融点が160℃〜180℃であるため、180℃〜230℃で60分間加熱することが好ましく、具体的には、200℃で60分間、などが挙げられる。
前記第2の形態のポリマー生成物は、予め加熱処理により、ポリマー生成物中に含まれる圧縮性流体(CO)の多くが除去されており、ポリマーの融点が上昇した状態である。このポリマーの融点が上昇した状態のポリマー組成物は、再度、加熱溶融しても圧縮性流体(CO)が大量に抜け出ることなく、残存開環重合性モノマーの含有量も少ないため、ポリマー生成物の融点が大きく変化せず、維持されるものと考えられる。
ここで、前記融点は、前記第1の形態のポリマー生成物の融点の測定方法と同様にして測定することができる。
前記第2の形態のポリマー生成物の重量平均分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10,000以上300,000未満が好ましく、100,000以上300,000未満がより好ましい。前記重量平均分子量が、10,000未満であると、機械的強度が低下することがあり、300,000以上であると、加工が困難となることがある。
前記第2の形態のポリマー生成物の重量平均分子量は、第1の形態のポリマー生成物の重量平均分子量と同様の方法により測定することができる。
前記第2の形態のポリマー生成物の残存開環重合性モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100質量ppm以上20,000質量ppm以下(0.01質量%以上2質量%以下)が好ましく、100質量ppm以上1,000質量ppm以下がより好ましい。前記含有量が、20,000質量ppm(2質量%)を超えると、熱特性の低下により耐熱安定性が悪くなる場合があるのに加えて、残存開環重合性モノマーが開環した際に生ずるカルボン酸に加水分解を促進する触媒機能を有するため、ポリマー生成物の分解が進行しやすくなることがある。
前記第2の形態の残存開環重合性モノマーの含有量は、前記第1の形態のポリマー生成物の残存開環重合性モノマーの含有量と同様の方法により測定することができる。
前記第2の形態のポリマー生成物のイエローインデックス(YI)値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。前記YI値が、15を超えると、外観上の問題となることがあり、特に、食品包装容器として使用したときは、この問題が顕著となることがある。
前記第2の形態のポリマー生成物のイエローインデックス(YI)値は、前記第1の形態のポリマー生成物のYI値と同様の方法により測定することができる。
前記第2の形態のポリマー生成物は、上述したように、今までにない熱特性を有し、高い融点を有する高性能なものである。前記ポリマー生成物は、後述する第2の形態のポリマー生成物の製造方法で説明するように、開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて、前記開環重合性モノマーを重合させて得られ、特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができるが、前記開環重合性モノマーとしてラクチド等を用いて得られるポリエステルであることが好ましい。
また、前記第2の形態のポリマー生成物は、2種以上のポリマーセグメントを有する共重合体であることが好ましい。
また、前記ポリマー生成物は、ステレオコンプレックスであることが好ましい。
ここで、「ステレオコンプレックス」とは、ステレオコンプレックスポリ乳酸で例示すると、ポリD−乳酸成分及びポリL−乳酸成分とを含み、ステレオコンプレックス結晶を有するものであって、下記式(i)で表されるステレオコンプレックス結晶化度が90%以上であるポリ乳酸組成物を意味する。
ステレオコンプレックス結晶化度(S)は、示差走査熱量計(DSC)測定で、190℃未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱(ΔHmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱(ΔHmsc)より、下記式(i)により求めることができる。
(S)=〔ΔHmsc/(ΔHmh+ΔHmsc)〕×100 ・・・(i)
本発明の第2の形態のポリマー生成物は、上述したように今までにない熱特性を有し、高い融点を有する高性能なものであり、かつ高強度であって、黄変が生じないので、例えば、粒子、フィルム、シート、成型品、繊維、発泡体等に形成して、例えば、日用品、工業用資材、農業用品、衛生資材、医薬品、化粧品、電子写真用トナー、包装材料、電気機器材料、家電筐体、自動車材料等の用途に幅広く用いられる。
本発明の第2の形態のポリマー生成物は、以下に説明する第2の形態のポリマー生成物の製造方法及び第2の形態のポリマー生成物製造装置により製造される。
<第2の形態のポリマー生成物の製造方法及び第2の形態のポリマー生成物製造装置)
本発明の第2の形態のポリマー生成物の製造方法は、重合工程と、加熱工程とを少なくとも含み、好ましくは温度保持工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の第2の形態のポリマー生成物製造装置は、重合手段と、加熱手段とを少なくとも有し、好ましくは温度保持手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
以下、本発明の第2の形態のポリマー生成物の製造方法、及び第2の形態のポリマー生成物製造装置について、詳細に説明する。
<重合工程及び重合手段>
前記重合工程は、開環重合性モノマーと、圧縮性流体と、必要に応じてその他の成分とを、接触させて、前記開環重合性モノマーを開環重合させる工程であり、重合手段により実施される。
前記重合工程は、連続式で行ってもよいし、バッチ式で行ってもよい。
本発明の第2の形態のポリマー生成物の製造方法、及び第2の形態のポリマー生成物製造装置において、前記重合工程及び前記重合手段の詳細については、本発明の第1の形態のポリマー生成物の製造方法、及び第1の形態のポリマー生成物製造装置の前記重合工程及び前記重合手段と同様である。
<温度保持工程及び温度保持手段>
前記温度保持工程は、前記重合工程で得られた重合物を前記重合工程における重合反応温度より低い温度に保持する工程であり、温度保持手段により行われる。
前記温度保持工程は、前記重合工程の後に連続して行われることが好ましい。
前記温度保持工程程は、連続式で行ってもよいし、バッチ式で行ってもよい。
本発明の第2の形態のポリマー生成物の製造方法、及び第2の形態のポリマー生成物製造装置において、前記温度保持工程及び前記温度保持手段の詳細については、本発明の第1の形態のポリマー生成物の製造方法、及び第1の形態のポリマー生成物製造装置の前記温度保持工程及び前記温度保持手段と同様である。
<加熱工程及び加熱手段>
前記加熱工程は、得られた重合物を、該重合物の融点より高い温度で加熱する工程であり、加熱手段により実施される。
前記加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マントルヒーター、オイルヒーター、リボンヒーターなどにより加熱される耐熱容器やフィーダー、などが挙げられる。なお、加熱工程で同時に成型してもよい。
前記加熱工程においては、得られた重合物の最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で10分間以上加熱することが好ましく、30分間以上がより好ましく、60分間以上が更に好ましい。
前記第2の形態のポリマー生成物が、ポリ乳酸である場合には、180℃〜230℃で10分間以上加熱することが好ましく、具体的には、200℃で60分間、などが挙げられる。
前記加熱により、第2の形態のポリマー生成物中の圧縮性流体(CO)が抜け出て融点が上昇する。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却工程、乾燥工程、などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷却手段、乾燥手段、などが挙げられる。
ここで、本発明の第1及び第2の形態のポリマー生成物を製造する製造装置について、図面を用いて説明する。
〔第1の実施形態〕
図4及び図5は、重合工程の一例を示す系統図である。図4の系統図において、重合反応装置100は、開環重合性モノマー、及び圧縮性流体を供給する供給ユニット100aと、供給ユニット100aによって供給された開環重合性モノマーを重合させるポリマー生成物製造装置の一例としての重合反応装置本体100bとを有する。供給ユニット100aは、タンク(1,3,5,7,11)と、計量フィーダー(2,4)と、計量ポンプ(6,8,12)と、を有する。重合反応装置本体100bは、重合反応装置本体100bの一端部に設けられた接触部9と、送液ポンプ10と、反応部13と、計量ポンプ14と、重合反応装置本体100bの他端部に設けられた押出口金15と、を有する。
供給ユニット100aのタンク1は、開環重合性モノマーを貯蔵する。貯蔵される開環重合性モノマーは粉末であっても液体の状態であってもよい。タンク3は、開始剤及び添加剤のうち固体(粉末又は粒状)のものを貯蔵する。タンク5は、開始剤及び添加剤のうち液体のものを貯蔵する。タンク7は、圧縮性流体を貯蔵する。なお、タンク7は、接触部9に供給される過程で、或いは、接触部9内で加熱又は加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)、又は、固体を貯蔵してもよい。この場合、タンク7に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、接触部9内で図3の相図における(1)、(2)、又は(3)の状態となる。
計量フィーダー2は、タンク1に貯蔵された開環重合性モノマーを計量して接触部9に連続的に供給する。計量フィーダー4は、タンク3に貯蔵された固体を計量して接触部9に連続的に供給する。計量ポンプ6は、タンク5に貯蔵された液体を計量して接触部9に連続的に供給する。計量ポンプ8は、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を一定の圧力及び流量で接触部9に連続的に供給する。なお、本実施形態において連続的に供給するとは、バッチ毎に供給する方法に対する概念であって、開環重合性モノマーを開環重合して得られるポリマー生成物が連続的に得られるように供給することを意味する。即ち、開環重合性モノマーを開環重合して得られるポリマー生成物が連続的に得られる限り、各材料は、断続的、或いは、間欠的に供給されてもよい。また、開始剤及び添加剤がいずれも固体の場合には、重合反応装置100は、タンク5及び計量ポンプ6を有していなくてもよい。同様に、開始剤及び添加剤がいずれも液体の場合には、重合反応装置100は、タンク3及び計量フィーダー4を有していなくてもよい。
本実施形態において、重合反応装置本体100bは、一端部に、開環重合性モノマーを導入するモノマー導入口を有し、他端部に、開環重合性モノマーを重合させて得られたポリマー生成物を排出する排出口を有する管状の装置である。また、重合反応装置本体100bの一端部には、圧縮性流体を導入する圧縮性流体導入口を更に有し、一端部と前記他端部との間には、触媒を導入する触媒導入口を有する。重合反応装置本体100b本体の各装置は、原材料、圧縮性流体、或いは生成したポリマー生成物を輸送する耐圧性の配管30によって、図4に示されたように接続されている。また、重合反応装置の接触部9、送液ポンプ10、及び反応部13の各装置は、上記の原材料等を通過させる管状の部材を有している。
重合反応装置本体100b本体の接触部9は、各タンク(1,3,5)から供給された開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの原材料と、タンク7から供給された圧縮性流体とを連続的に接触させ、原材料を混合させる(例えば、開環重合性モノマー、及び開始剤は、溶融又は溶解させる)ための耐圧性の装置或いは管などにより構成される。本実施形態において、「溶融」とは、原材料又は生成したポリマー生成物が圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。また、「溶解」とは、原材料が圧縮性流体中に溶けることを意味する。開環重合性モノマーを溶解した場合には流体相、溶融した場合には溶融相が形成されるが、均一に反応を進めるために、溶融相又は流体相のいずれか一相が形成されていることが好ましい。また、圧縮性流体に対して原材料の比率が高い状態で反応を進行させるために、開環重合性モノマーを溶融させることが好ましい。なお、本実施形態では、原材料及び圧縮性流体を連続的に供給することにより、接触部9において、開環重合性モノマーなどの原材料と圧縮性流体とを一定の濃度の比率で連続的に接触させることができる。これにより、原材料を効率的に混合(例えば、開環重合性モノマー、及び開始剤は、溶融又は溶解)させることができる。
接触部9は、タンク型の装置により構成されていても、筒型の装置により構成されていてもよいが、一端から原材料を供給し、他端から溶融相或いは流体相などの混合物を取り出す筒型が好ましい。更に、接触部9は、原材料、圧縮性流体などを攪拌する攪拌装置を有していてもよい。接触部9が攪拌装置を有する場合、攪拌装置としては、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う二軸のスクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。特に、互いに噛み合う二軸又は多軸攪拌装置は、攪拌装置や容器への反応物の付着が少なく、セルフクリーニング作用があるので好ましい。接触部9が攪拌装置を有していない場合、接触部9としては、耐圧性の配管30の一部によって構成されることが好ましい。なお、接触部9が配管30によって構成される場合、接触部9内での各材料を確実に混合するため、接触部9に供給される開環重合性モノマーは予め液化されていることが好ましい。
接触部9には、計量ポンプ8によってタンク7から供給された圧縮性流体を導入する圧縮性流体導入口の一例としての導入口9aと、計量フィーダー2によってタンク1から供給された開環重合性モノマーを導入するモノマー導入口の一例としての導入口9bと、計量フィーダー4によってタンク3から供給された粉末を導入する導入口9cと、計量ポンプ6によってタンク5から供給された液体を導入する導入口9dとが設けられている。本実施形態において各導入口(9a,9b,9c,9d)は、接触部9において原材料などを供給するためのシリンダー或いは配管30の一部などの管状の部材と、各原材料又は圧縮性流体を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。また、接触部9は、供給された各原材料及び圧縮性流体を加熱するためのヒータ9eを有している。
送液ポンプ10は、接触部9で形成された溶融相或いは流体相などの混合物を反応部13に送液する。タンク11は、触媒を貯蔵する。計量ポンプ12は、タンク11に貯蔵された触媒を計量して反応部13に供給する。
反応部13は、送液ポンプ10によって送液された各原材料と、計量ポンプ12によって供給された触媒とを混合して、開環重合性モノマーを開環重合させるための耐圧性の装置或いは管などにより構成される。反応部13は、タンク型の装置により構成されていても、筒型の装置により構成されていてもよいが、デッドスペースが少ない筒型が好ましい。更に、反応部13は、原材料、圧縮性流体などを攪拌する攪拌装置を有していてもよい。反応部13の攪拌装置としては、互いに噛み合うスクリュウや、2フライト(長円形)や3フライト(三角形様)などの攪拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の攪拌翼をもつ二軸又は多軸のものがセルフクリーニングの観点から好ましい。あらかじめ触媒を含む原材料が充分に混合されている場合には、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌装置に応用できる。前記静止型混合器としては、特公昭47−15526号公報、特公昭47−15527号公報、特公昭47−15528号公報、特公昭47−15533号公報などで開示されたもの(多層化混合器)、及び特開昭47−33166号公報に開示されたもの(ケニックス型)、及びそれらに類似する可動部のない混合装置が挙げられる。反応部13が攪拌装置を有していない場合、反応部13は、耐圧性の配管30の一部によって構成される。この場合、配管の形状は特に限定されないが、装置をコンパクト化するために、らせん状のものが好適に用いられる。
反応部13には、接触部9で混合させた原材料を導入するための導入口13aと、計量ポンプ12によってタンク11から供給された触媒を導入する触媒導入口の一例としての導入口13bとが設けられている。本実施形態において各導入口(13a,13b)は、反応部13において原材料などを通過させるシリンダー或いは配管30の一部などの管状の部材と、各原材料又は圧縮性流体を供給するための各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、反応部13には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていてもよい。また、反応部13は、送液された原材料を加熱するためのヒーター13cを有している。
図4では、反応部13が1個の例を示したが、重合反応装置100は、2個以上の反応部13を有していてもよい。複数の反応部13を有する場合、反応部13毎の反応(重合)条件、即ち温度、触媒濃度、圧力、平均滞留時間、攪拌速度などは、同一でもよいが、重合の進行にあわせて、それぞれ最適の条件を選ぶことが好ましい。なお、反応時間の増加や装置の煩雑化を招くため、あまり多くの反応部13を多段的に結合することは得策でなく、段数は1以上4以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。
一般的には、反応部を1個だけで重合した場合、開環重合性モノマーが開環重合して得られるポリマー生成物の重合度や残存モノマー量が不安定で変動し易く、工業生産に適しないとされている。これは、溶融粘度数ポイズから数10ポイズ程度の原材料と、溶融粘度数1,000ポイズ程度の重合されたポリマー生成物とが混在するための不安定さに起因するものと思われる。これに対し、本実施形態では、原材料と生成したポリマー生成物とが溶融(液状化)することによって反応部13内(重合系ともいう)の粘度差を小さくすることが可能となるため、従来の重合反応装置より段数を減らしても、安定的にポリマー生成物を製造することができる。
計量ポンプ14は、反応部13で重合されたポリマー生成物Pを、押出口金15から、反応部13の外に送り出す。なお、反応部13の内外の圧力差を利用することにより、計量ポンプ14を用いずにポリマー生成物Pを反応部13内から送り出すこともできる。この場合、反応部13内の圧力やポリマー生成物Pの送り出し量を調整するために、計量ポンプ14に変えて、図5に示したように、圧調整バルブ16を用いることもできる。
[重合工程]
続いて、重合反応装置100を用いた開環重合性モノマーの重合工程について説明する。本実施形態では、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを連続的に供給し、接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマー生成物を連続的に得る。まず、各計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6、計量ポンプ8を作動させ、各タンク(1,3,5,7)内の開環重合性モノマー、開始剤、添加剤、圧縮性流体を連続的に供給する。これにより、各導入口(9a,9b,9c,9d)から、接触部9の管内に原材料及び圧縮性流体が連続的に導入される。なお、固体(粉末又は粒状)の原材料は、液体の原材料と比較して計量精度が低い場合がある。この場合、固体の原材料を前もって溶融させて液体の状態にしてタンク5に貯蔵しておき、計量ポンプ6によって接触部9の管内に導入させてもよい。各計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6、計量ポンプ8を作動させる順序は、特に限定されないが、初期の原材料が圧縮性流体に接触せずに反応部13に送られると、温度低下によって固化する恐れがあるため、先に計量ポンプ8を作動させることが好ましい。
計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6による各原材料の各供給速度は、開環重合性モノマー、開始剤、及び添加剤の所定の量比に基づいて、一定の比率となるように調整される。計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6によって単位時間当たりに供給される各原材料の質量の合計(原材料の供給速度、(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。同様に、計量ポンプ8によって単位時間当たりに供給される圧縮性流体の質量(圧縮性流体の供給速度、(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。圧縮性流体の供給速度と原材料の供給速度との比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度、フィード比という)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が特に好ましい。また、前記フィード比の上限値については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
前記フィード比を1以上とすることにより、各原材料及び圧縮性流体が反応部13に送液されたときに、原材料及び生成したポリマー生成物の濃度(いわゆる固形分濃度)が高い状態で反応が進行する。このときの重合系内の固形分濃度は、従来の製造方法で圧倒的な量の圧縮性流体に対して少量の開環重合性モノマーを溶解させて重合したときの重合系の固形分濃度とは大きく異なる。本実施形態の製造方法は、固形分濃度が高い重合系でも重合反応が効率的かつ安定して進行することに特徴がある。なお、本実施形態において、フィード比を1未満としてもよく、この場合であっても、得られるポリマー生成物の品質に問題はないが、経済的な効率は劣ることになる。また、フィード比が1,000を超えると、圧縮性流体が開環重合性モノマーを溶融させる能力が不十分となる恐れがあり、目的とする反応が均一に進まない場合がある。
各原材料及び圧縮性流体は、接触部9の管内に連続的に導入されるので、それぞれが連続的に接触する。これにより、接触部9内で、開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの各原材料が混合する。接触部9が攪拌装置を有する場合には、各原材料及び圧縮性流体を攪拌してもよい。導入された圧縮性流体が気体に変わることを避けるため、反応部13の管内の温度及び圧力は、少なくとも上記圧縮性流体の三重点以上の温度及び圧力に制御される。この制御は、接触部9のヒーター9eの出力或いは圧縮性流体の供給速度を調整することにより行われる。本実施形態において、開環重合性モノマーを溶融させるときの温度は、開環重合性モノマーの常圧での融点以下の温度であってもよい。これは、圧縮性流体の存在下、接触部9内が高圧となり、開環重合性モノマーの融点が常圧での融点よりも低下することによると考えられる。このため、開環重合性モノマーに対する圧縮性流体の量が少ない場合であっても、接触部9内で開環重合性モノマーは溶融する。
各原材料が効率的に混合するように、接触部9で各原材料及び圧縮性流体に熱や攪拌を加えるタイミングを調整してもよい。この場合、各原材料と圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても、各原材料と圧縮性流体とを接触させながら、熱や攪拌を加えてもよい。また、より確実に混合させるため、例えば、あらかじめ開環重合性モノマーに融点以上の熱をかけてから、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させてもよい。上記の各態様は、例えば、接触部9が二軸の混合装置である場合には、スクリュウの配列、各導入口(9a,9b,9c,9d)の配置、ヒーター9eの温度を適宜設定することにより実現される。
なお、本実施形態では、開環重合性モノマーとは別に、添加物を接触部9に供給しているが、開環重合性モノマーと共に、添加物を供給してもよい。また、重合反応後に添加物を供給してもよい。この場合、反応部13から、得られたポリマー生成物を取り出した後に添加物を混錬しながら添加することもできる。
接触部9で混合させた各原材料は送液ポンプ10によって送液され、導入口13aから反応部13に供給される。一方、タンク11内の触媒は、計量ポンプ12によって計量され、導入口13bから反応部13へ所定量供給される。触媒は室温でも作用しうるため、本実施形態では、原材料を圧縮性流体に混合させた後、触媒を添加している。従来、圧縮性流体を用いて開環重合性モノマーを開環重合する方法において、触媒を加えるタイミングについては検討されていなかった。本実施形態では、開環重合に際しては、触媒は、その活性の高さから、圧縮性流体によって開環重合性モノマーや開始剤等が十分溶解又は溶融した状態の反応部13中の重合系に添加される。開環重合性モノマーや開始剤等が十分溶解又は溶融していない状態で、触媒を加えると、反応が不均一に進む場合がある。
送液ポンプ10によって送液された各原材料及び計量ポンプ12によって供給された触媒は、必要に応じて反応部13の攪拌装置によって充分に攪拌され、或いは送液される間、ヒーター13cにより所定温度に加熱される。これにより、反応部13内で、触媒の存在下、開環重合性モノマーは開環重合する(重合工程)。
開環重合性モノマーを開環重合させる際の温度(重合反応温度)の下限は、特に限定されないが、40℃、好ましくは50℃、より好ましくは60℃である。重合反応温度が40℃未満であると、開環重合性モノマー種によっては、圧縮性流体による溶融に長い時間がかかったり、溶融が不十分であったり、触媒の活性が低くなったりする。これにより、重合時には反応速度が低下しやすくなり、定量的に重合反応を進めることができなくなる場合がある。
重合反応温度の上限は、特に限定されないが、100℃、又は、開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、好ましくは、90℃、又は、開環重合性モノマーの融点のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、より好ましくは、80℃、又は、開環重合性モノマーの融点より20℃低い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度が、開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度を超えると、開環重合の逆反応である解重合反応も平衡して起こりやすく、定量的に重合反応が進みにくくなる。室温で液状である開環重合性モノマーなどの融点が低い開環重合性モノマーを使用する場合においては、触媒の活性を高めるため、重合反応温度を融点より30℃高い温度としてもよい。この場合でも、重合反応温度を100℃以下とすることが好ましい。なお、重合反応温度は、反応部13に設けられたヒーター13c或いは反応部13の外部からの加熱等により制御される。
超臨界二酸化炭素を用いた従来のポリマー生成物の製造方法において、超臨界二酸化炭素はポリマー生成物の溶解能が低いことから、多量の超臨界二酸化炭素を用いて開環重合性モノマーを重合させていた。本実施形態の重合法によれば、圧縮性流体を用いたポリマー生成物の製造方法においては、従来にない高い濃度で開環重合性モノマーを開環重合させることができる。この場合、圧縮性流体の存在下、反応部13内が高圧となり、生成したポリマー生成物のガラス転移温度(Tg)が低下する。これにより、生成したポリマー生成物が低粘度化するので、ポリマー生成物の濃度が高くなった状態でも均一に開環重合反応が進行する。
本実施形態において、重合反応時間(反応部13内の平均滞留時間)は、目標とする分子量に応じて設定されるが、通常、1時間以内が好ましく、45分間以内がより好ましく、30分間以内が更に好ましい。本実施形態の製造方法によると、重合反応時間を20分間以内とすることもできる。これは、圧縮性流体中での開環重合性モノマーの重合では前例がない短時間である。
重合時の圧力、即ち、圧縮性流体の圧力は、タンク7から供給された圧縮性流体が液化ガス(図3の相図の(2))、又は高圧ガス(図3の相図の(3))となる圧力でもよいが、超臨界流体(図3の相図の(1))となる圧力が好ましい。圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、開環重合性モノマーの溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。なお、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力は、3.7MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは臨界圧力の7.4MPa以上である。また、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、同様の理由により、その温度は25℃以上であることが好ましい。
反応部13内の水分量は、開環重合性モノマー100モルに対して、4モル以下が好ましく、1モル以下がより好ましく、0.5モル以下が特に好ましい。水分量が4モルを超えると、水分自体も開始剤として寄与するため、分子量の制御が困難となる場合がある。重合系内の水分量を制御するために、必要に応じて、前処理として、開環重合性モノマー、その他原材料に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
反応部13内で開環重合反応を終えたポリマー生成物Pは、計量ポンプ14によって反応部13の外へ送り出される。計量ポンプ14がポリマー生成物Pを送り出す速度は、圧縮性流体で満たされた重合系内の圧力を一定にして、運転させ均一なポリマー生成物を得るために、一定とすることが好ましい。そのため、計量ポンプ14の背圧が一定となるように、反応部13の内部の送液機構及び送液ポンプ10の送液量は制御される。同様に、送液ポンプ10の背圧が一定となるように、接触部9内部の送液機構及び計量フィーダー(2,4)、及び計量ポンプ(6,8)の供給速度は制御される。制御方式は、ON−OFF型、つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の方がより好ましいことが多い。いずれにしても、このような制御によって、均一なポリマー生成物を安定に得ることができる。
本実施形態により得られるポリマー生成物に残存する触媒は、必要に応じて除去される。除去方法としては、特に限定するものではないが、例えば、沸点を有する化合物であれば減圧留去や、触媒を溶解させる物質をエントレーナーとして用いて触媒を抽出してこれを除去する方法や、カラムにより触媒を吸着して除去する方法などが挙げられる。この場合、触媒を除去する方式としては、ポリマー生成物を反応部13から取り出した後に除去するバッチ方式でも、取り出さずそのまま連続処理する方式でもかまわない。減圧留去する場合、減圧条件は触媒の沸点に基づいて設定される。例えば、減圧の際の温度は、100℃以上120℃以下であり、ポリマー生成物が解重合する温度より低い温度で触媒を除去することが可能である。この抽出操作において有機溶媒を用いると、触媒を抽出後に有機溶媒を除去する工程が必要となる場合がある。このため、抽出操作においても溶媒として圧縮性流体を用いることが好ましい。このような抽出操作としては、香料の抽出などの公知の技術が転用できる。
〔第2の実施形態〕(応用例)
続いて、第1の実施形態の応用例としての第2の実施形態について説明する。第1の実施形態の製造方法では、残存開環モノマーがほとんどなく反応が定量的に進む。このことから、第2の実施形態の第1の方法では、第1の実施形態の製造方法で製造されたポリマー生成物を用い、1種以上の開環重合性モノマーを加えるタイミングを適宜設定することにより、ポリマー生成物を合成する。また、第2の実施形態の第2の方法では、第1の実施形態の製造方法で製造されたポリマー生成物を含む、2種以上のポリマーを用いて、2種以上のポリマー生成物を前記圧縮性流体の存在下で連続的に混合させることにより、複合体を形成する。なお、本実施形態において、「複合体」とは、モノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマーセグメントを有する共重合体又はモノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマー生成物の混合物を意味する。
以下、複合体の一例として、ステレオコンプレックスの合成方法を二通り示す。
<第1の方法及び装置>
第2の実施形態の第1の方法は、前記重合工程(第1の重合工程)と、第1の重合工程で第1の開環重合性モノマーを開環重合させて得られた第1のポリマー生成物と、第2の開環重合性モノマーとを連続的に接触させて、前記第1のポリマー生成物及び前記第2の開環重合性モノマーを重合させる第2の重合工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
第2の実施形態の第1の装置である複合体製造装置は、前記ポリマー生成物製造装置と、圧縮性流体を流通させる第2の反応部とを有してなり、前記第2の反応部が、その上流側に、第2の開環重合性モノマーを導入する第2のモノマー導入口、及び前記ポリマー生成物製造装置の押出口金15から排出される第1のポリマー生成物を導入するポリマー生成物導入口と、前記第2のモノマー導入口よりも下流側に、第2の触媒を導入する第2の触媒導入口と、前記第2の触媒導入口よりも下流側に、前記第1のポリマー生成物と前記第2の開環重合性モノマーとを重合させて得られた複合体を排出する排出口とを有し、更に必要に応じてその他の部材を含む。
前記製造方法は、前記複合体製造装置により好適に実施することができる。
また、前記ポリマー生成物複合体製造装置は、前記第2の反応部が、一端部(前記上流側)に、第2の開環重合性モノマーを導入する第2のモノマー導入口、及び前記ポリマー生成物製造装置の押出口金15から排出される第1のポリマー生成物を導入する導入口を有し、他端部に、前記第1のポリマー生成物と前記第2の開環重合性モノマーとを重合させて得られた複合体を排出する排出口を有し、前記一端部と前記他端部との間に、第2の触媒を導入する第2の触媒導入口を有する管状の反応部であり、前記ポリマー生成物製造装置が、前記管状のポリマー生成物連続製造装置であり、かつ前記導入口(第1のポリマー生成物を導入する導入口)が、前記ポリマー生成物製造装置の前記押出口金15と接続した、管状のポリマー生成物複合体連続製造装置であることが好ましい。
前記第1の開環重合性モノマー及び第2の開環重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて前記開環重合性モノマーとして記載したものを選択することができる。互いに異なる種類の開環重合性モノマーであっても、同一種類であっても構わないが、例えば、互いに光学異性体を用いることによって、ステレオコンプレックス体を得ることも可能である。
前記第1の触媒及び第2の触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて前記触媒として記載したものを選択することができ、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
まず、図6A及び図6Bを用いて第1の方法について説明する。図6A及び図6Bは、第1の方法で用いられる複合体製造システムを示す模式図である。第1の方法では、第1の実施形態の製造方法で得られたポリマー生成物を、圧縮性流体の存在下、連続的に混合させる混合工程を有する。具体的には、図6Aの製造システム200における系列1(図6A中、符号201)で、第1の実施形態の製造方法でポリマー生成物を生成し、得られたポリマー生成物Pと、新たに導入された第2の開環重合性モノマーとを系列2(図6A中、符号202)で接触させて圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物PP(最終的なポリマー生成物)を製造する。なお、図6Aの製造システム200における系列2と同様の系列を直列に繰り返すことにより、3種以上のセグメントを有する複合体生成物PPを得ることもできる。
続いて、図6Bを用いて製造システム200の具体例について説明する。製造システム200は、第1の実施形態で用いたものと同様の重合反応装置100と、タンク(21,27)と、計量フィーダー22と、計量ポンプ28と、接触部29と、反応部33と、圧調整バルブ34と、を有する。
製造システム200において、反応部33は、一端部に、複数のポリマー生成物を導入するための導入口33aを有し、他端部に、複数のポリマー生成物を混合して得られたポリマー生成物の複合体を排出する複合体排出口を有する管又は管状の装置により構成される。反応部33の導入口33aは、耐圧性の配管31を介して重合反応装置100の排出口と接続している。ここで、重合反応装置100の排出口31dとは、反応部13における配管30或いはシリンダーの先端、計量ポンプ14(図4)、又は、圧調整バルブ16(図5)の排出口を意味する。いずれの場合でも、各重合反応装置100で生成されたポリマー生成物Pを常圧に戻すことなく反応部33に供給することができる。
タンク21は、第2の開環重合性モノマーを貯蔵する。なお、第1の方法において、第2の開環重合性モノマーは、タンク1に貯蔵される開環重合性モノマーの光学異性体である。タンク27は、圧縮性流体を貯蔵する。タンク27に貯蔵される圧縮性流体は、特に限定されないが、均一に重合反応を進めるために、タンク7に貯蔵される圧縮性流体と同種のものであることが好ましい。なお、タンク27は、接触部29に供給される過程で、或いは、接触部29内で加熱又は加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)、又は、固体を貯蔵してもよい。この場合、タンク27に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、接触部29内で図3の相図における(1)、(2)、又は(3)の状態となる。
計量フィーダー22は、タンク21に貯蔵された第2の開環重合性モノマーを計量して接触部29に連続的に供給する。計量ポンプ28は、タンク27に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力及び流量で接触部29に連続的に供給する。
接触部29は、タンク21から供給された第2の開環重合性モノマーと、タンク27から供給された圧縮性流体とを連続的に接触させ、原材料を溶解又は溶融させるための耐圧性の装置或いは管などにより構成される。接触部29の容器には、計量ポンプ28によってタンク27から供給された圧縮性流体を導入する導入口29aと、計量フィーダー22によってタンク21から供給された第2の開環重合性モノマーを導入する導入口29bとが設けられている。また、接触部29には、供給された第2の開環重合性モノマー及び圧縮性流体を加熱するためのヒーター29cが設けられている。なお、本実施形態において、接触部29としては、接触部9と同様のものが用いられる。
反応部33は、重合反応装置100で得られた、圧縮性流体に溶解又は溶融した状態の中間体としてのポリマー生成物Pと、接触部29で圧縮性流体に溶解又は溶融させた第2の開環重合性モノマーとを重合させるための耐圧性の装置或いは管などにより構成される。反応部33には、上記の溶解又は溶融した中間体としてのポリマー生成物Pを管内に導入するための導入口33aと、上記の溶解又は溶融させた第2の開環重合性モノマーを管内に導入する導入口33bとが設けられている。また、反応部33には、送液されたポリマー生成物P及び第2の開環重合性モノマーを加熱するためのヒーター33cが設けられている。なお、本実施形態において、反応部33として、反応部13と同様のものが用いられる。排出口の一例としての圧調整バルブ34は、反応部33の内外の圧力差を利用することにより、反応部33で重合された複合体生成物PPを反応部33の外に送り出す。
第1の方法では、反応部13で開環重合性モノマー(例えば、L−ラクチド)を重合し、反応が定量的に終了した後、第2の開環重合性モノマーの一例としての光学異性体の開環重合性モノマー(例えば、D−ラクチド)を反応部33に加え、更に重合反応を行う。これにより、ステレオブロック共重合体が得られる。この方法は、残存モノマーが少ない状体で開環重合性モノマーの融点以下で反応を進められることから、ラセミ化が非常に起こりにくく、かつ1段階の反応で得られるため非常に有用である。
<第2の方法及び装置>
第2の実施形態の第2の方法であるポリマー生成物の製造方法は、前記重合工程と、前記重合工程で得られたポリマー生成物を含む2種以上のポリマー生成物を、圧縮性流体の存在下、連続的に混合させる混合工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記2種以上のポリマー生成物が、第1の開環重合性モノマーを開環重合させて得られた第1のポリマー生成物と、第2の開環重合性モノマーを開環重合させて得られた第2のポリマー生成物を含み、前記第1の開環重合性モノマー及び前記第2の開環重合性モノマーが、互いに光学異性体であることが好ましい。
第2の実施形態の第2の装置である複合体製造装置は、前記ポリマー生成物製造装置を2以上有してなり、前記2以上のポリマー生成物製造装置における1の排出口と他の排出口とから排出される2種以上のポリマー生成物を混合する混合容器を更に有し、更に必要に応じてその他の部材を含む。
前記2以上のポリマー生成物製造装置において、1のポリマー生成物製造装置では、ポリマー生成物が製造され、他のポリマー生成物製造装置では、ポリマー生成物(前記開環重合性モノマーを前記圧縮性流体存在下で開環重合して得られるポリマー生成物)が製造される。
前記ポリマー生成物の製造方法は、前記複合体製造装置により好適に実施することができる。
また、前記複合体製造装置は、前記2以上のポリマー生成物製造装置が、各々前記管状のポリマー生成物連続製造装置であり、前記混合容器が、一端部(前記上流側)に、2種以上のポリマー生成物を導入するための2以上の導入口を有し、他端部に、前記2種以上のポリマー生成物を混合して得られた複合体を排出する複合体排出口を有する管状の混合容器であり、かつ、前記2以上の導入口が、前記2以上のポリマー生成物製造装置の2以上の排出口とそれぞれ接続した、管状の複合体連続製造装置であることが好ましい。
続いて、図7を用いて第2の方法について説明する。図7は、第2の方法で用いられる複合体製造システムを示す模式図である。第2の方法では、第1の実施形態の製造方法により得られたポリマー生成物と、モノマーとを連続的に接触させて、ポリマー生成物及びモノマーを重合させる第2の重合工程を有する。第2の方法では、第1の実施形態の製造方法でそれぞれ製造された複数のポリマー生成物を圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物PPを製造する。複数のポリマー生成物は、例えば、互いに光学異性体の開環重合性モノマーをそれぞれ重合したものである。製造システム300は、複数の重合反応装置100と混合装置41と圧調整バルブ42とを有する。
複合体製造システム300において、混合装置41のポリマー生成物導入口41dは、耐圧性の配管31を介して各重合反応装置100の排出口(31b,31c)と接続している。ここで、重合反応装置100の排出口とは、反応部13における配管30或いはシリンダーの先端、計量ポンプ14(図4)、又は、圧調整バルブ16(図5)の排出口を意味する。いずれの場合でも、各重合反応装置100で生成されたポリマー生成物Pを常圧に戻すことなく反応部33に供給することができる。その結果、圧縮性流体の存在下、各ポリマー生成物Pが低粘度化するので、混合装置41では、より低温で2種類以上のポリマー生成物Pを混合することが可能となる。なお、図7では、配管31が一つの継手31aを有することにより重合反応装置100を並列に二つ備えた例を示したが、複数の継手を設けることにより、重合反応装置100を並列に三つ以上備えていてもよい。
混合装置41としては、各重合反応装置100から供給された複数のポリマー生成物を混合可能なものであれば、限定されないが、攪拌装置を備えたものが挙げられる。攪拌装置としては、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う二軸のスクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。混合装置41で各ポリマー生成物を混合させる際の温度(混合温度)は、各重合反応装置100の反応部13における重合反応温度と同様に設定することができる。なお、混合装置41は、混合されるポリマー生成物に、別途、圧縮性流体を供給する機構を有していてもよい。複合体排出口の一例としての圧調整バルブ42は、混合装置41でポリマー生成物が混合されて得られた複合体生成物PPの流量を調整するための装置である。
第2の方法では、重合反応装置100であらかじめL体、D体のモノマー(例えば、ラクチド)を圧縮性流体中でそれぞれ重合する。更に、重合させて得られたポリマー生成物を圧縮性流体中でブレンドしてステレオブロック共重合体を得る(混合工程)。通常、ポリ乳酸などのポリマー生成物は、残存モノマーが限りなく少ない場合でも、再度融点以上に加熱すると、分解してしまうことが多い。第2の方法では、圧縮性流体で溶融させた低粘性のポリ乳酸を、融点以下でブレンドすることにより、第一の方法と同様にラセミ化や熱劣化を抑えることができるため有用である。
なお、第1の方法及び第2の方法では、互いに光学異性体の開環重合性モノマーをそれぞれ重合してステレオコンプレックスを製造する場合について説明した。しかしながら、本実施形態で用いられる開環重合性モノマーは互いに光学異性体である必要はない。また、第1の方法と第2の方法とを組み合わせることにより、ステレオコンプレックスを形成するブロック共重合体を混合することも可能である。
〔第3の実施形態〕
続いて、バッチ式の工程で用いられる重合反応装置400について説明する。図8の系統図において、重合反応装置400は、タンク121と、計量ポンプ122と、添加ポット125と、反応容器127と、バルブ(123,124,126,128,129)とを有している。上記の各装置は耐圧性の配管130によって図8に示したように接続されている。また、配管130には、継手(130a,130b)が設けられている。
タンク121は、圧縮性流体を貯蔵する。なお、タンク121は、反応容器127に供給される供給経路或いは反応容器127内で加熱、加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)又は固体を貯蔵してもよい。この場合、タンク121に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、反応容器127内で図3の相図における(1)、(2)、又は(3)の状態となる。
計量ポンプ122は、タンク121に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力及び流量で反応容器127に供給する。添加ポット125は、反応容器127内の原材料に添加される触媒を貯蔵する。バルブ(123,124,126,129)は、それぞれを開閉させることにより、タンク121に貯蔵された圧縮性流体を、添加ポット125を経由して反応容器127に供給する経路と、添加ポット125を経由せずに反応容器127に供給する経路などとを切り換える。
反応容器127には、重合を開始する前に予め開環重合性モノマー、及び開始剤が収容される。反応容器127は、予め収容された開環重合性モノマー、及び開始剤と、タンク121から供給された圧縮性流体と、添加ポット125から供給された触媒とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させるための耐圧性の容器である。なお、反応容器127には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていてもよい。また、反応容器127は、原材料及び圧縮性流体を加熱するためのヒーターを有している。更に、反応容器127は、原材料、及び圧縮性流体を攪拌する攪拌装置を有している。原材料と生成したポリマー生成物との密度差が生じたときに、攪拌装置の攪拌を加えることで生成したポリマー生成物の沈降を抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。バルブ128は、重合反応終了後に開放されることにより反応容器127内のポリマー生成物Pを排出する。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1−1−1)
図8に示すバッチ式の重合反応装置400を用いて、L−ラクチド及びD−ラクチド混合物(90/10(質量比率))の開環重合を行った。重合反応装置400の構成を以下に示す。
・タンク121 :炭酸ガスボンベ
・添加ポット125 :1/4インチのSUS316の配管をバルブ(124、129)に挟んで添加ポットとして使用した。予め、触媒としてオクチル酸スズを開環重合性モノマーに対して1mol%となるように充填した。
・反応容器127 :100mLのSUS316製の耐圧容器(耐圧68MPa)、予め開環重合性モノマーとして液体の状態のラクチド(L−ラクチド及びD−ラクチド混合物(質量比90/10))(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)と、開始剤としてのラウリルアルコールと、の混合物(モル比99/1)108gを充填した。
なお、温度保持及び加熱処理は、同じ反応容器127内で温度及び圧力を変更して行った。
計量ポンプ122を作動させ、バルブ(123、126)を開放することにより、タンク121に貯蔵された二酸化炭素を、添加ポット125を経由せずに反応容器127に供給した。反応容器127内の空間を二酸化炭素で置換した後、反応容器127内を150℃にし、圧力10MPaになるまで二酸化炭素を充填した。バルブ(124,129)を開き、添加ポット125内のオクチル酸スズを、反応容器127内に供給した。その後、反応容器127内で、2時間ラクチドの重合反応を行った。反応終了後、反応容器127内を100℃まで冷却した後、圧力が20MPaになるまで二酸化炭素を充填した。そのまま30分間温度を保持した後、バルブ128を開放し、徐々に反応容器127内の圧力を常圧まで戻し、反応容器127内のポリマー(ポリ乳酸)を取り出した。
<混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕>
混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕は、下式により算出した。
超臨界二酸化炭素の空間容積:100mL−108g/1.27(原材料の比重)=15mL
超臨界二酸化炭素の質量:15mL×0.481(100℃、20MPaでの二酸化炭素の比重)=9.1
混合比:108g/(108g+9.1g)=0.94
<重合密度>
前記重合密度は、文献「R.Span and W.Wagner “A New Equation of State for Carbon Dioxide coveringthe Fluid Region from the Triple Point Temperature to 1100 K at Pressures up to 800 MPa”J.Phys.Chem.Ref.Data 25,pp.1509−1596(1996)」を参照して求めた。
得られたポリマー生成物について、以下のようにして、残存開環重合性モノマーの含有量、分子量、分子量分布、融点、衝撃強度、及びYI値を評価した。結果を表1−1に示す。
<残存開環重合性モノマーの含有量>
得られたポリマー生成物の残存開環重合性モノマーの含有量は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準、第3版改訂版、2004年6月追補、第3部、衛生試験法、P13」記載のラクチド量の測定方法に従って求めた。具体的には、ポリ乳酸等のポリマー生成物をジクロロメタンに均一に溶解し、アセトン/シクロヘキサン混合溶液を加えてポリマー生成物を再沈させた上澄み液を、水素炎検出器(FID)付ガスクロマトグラフ(GC)に供し、残存開環重合性モノマー(ラクチド)を分離し、内部標準法により定量することによりポリマー生成物中の残存開環重合性モノマーの含有量を測定した。なお、GCの測定は以下の条件で行うことができる。各表中の「ppm」は質量分率を示す。
<<GC測定条件>>
・カラム :キャピラリーカラム(J&W社製、DB−17MS、長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・内部標準 :2,6−ジメチル−γピロン
・カラム流量:1.8mL/分間
・カラム温度:50℃で1分間保持。25℃/分間で定速昇温して320℃で5分間保持。
・検出器 :水素炎イオン化法(FID)
<ポリマー生成物の分子量>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:クロロホルム
・流速:1.0mL/分間
濃度0.5質量%の試料を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマー生成物の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマー生成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
<ポリマー生成物の加熱前の融点Tm0、Tm2、加熱後の融点Tm1、Tm3>
得られたポリマー生成物の融点は、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠し、示差走査熱量分析計(TAインスツルメンツ社製、Q2000)を用い、昇温速度10℃/minで測定を行った。
<イエローインデックス(YI値)>
得られたポリマー生成物について、厚み2mm樹脂ペレットを作製してJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機株式会社製)を用いて測定し、YI値を求めた。
<衝撃強度の評価>
厚み0.4mmのシートを作製(シート作製時の溶解温度はTm1又はTm3を算出時の加熱温度)し、200gの錘を落下させ、試験片が割れない最大高さを測定し、下記基準により衝撃強度を評価した。
〔評価基準〕
◎:300mm以上
○:150mm以上300mm未満
△:50以上150mm未満
×:50mm未満
(実施例1−1−2〜実施例1−1−23)
実施例1−1−1において、下記表1−1〜表1−6に示すように、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度、温度保持工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)、並びに加熱工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例1−1−1と同様にして、実施例1−1−2〜実施例1−1−23のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、原則後添加とし、実施例1−1−16〜1−1−17のみ、反応容器127に、開環重合性モノマー、開始剤、触媒を初めから入れて反応させた。
なお、実施例1−1−14〜1−1−15には、有機溶媒(エントレーナー)として、トルエンを開環重合性モノマーに対して1mol%添加した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1−1〜表1−6に示した。
<バッチ式、ラクチドホモ、金属触媒、その1>
<バッチ式、ラクチドホモ、金属触媒、その2>
<バッチ式、ラクチドホモ、金属触媒、その3>
<バッチ式、ラクチドホモ、金属触媒、その4>
<バッチ式、ラクチドホモ、有機分子触媒、その1>
<バッチ式、ラクチドホモ、有機分子触媒、その2>
(実施例1−2−1〜実施例1−2−18)
実施例1−1−1において、下記表2−1〜表2−5に示すように、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度、温度保持工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)、並びに加熱工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例1−1−1と同様にして、実施例1−2−1〜実施例1−2−18のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、後添加とした。
なお、実施例1−2−7〜1−2−12には、有機溶媒(エントレーナー)として、トルエンを開環重合性モノマーに対して1mol%添加した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表2−1〜表2−5に示した。
<バッチ式、その他のモノマーホモ、金属触媒、その1>
<バッチ式、その他のモノマーホモ、金属触媒、その2>
<バッチ式、その他のモノマーホモ、金属触媒、その3>
<バッチ式、その他のモノマーホモ、有機分子触媒、その1>
<バッチ式、その他のモノマーホモ、有機分子触媒、その2>
(実施例1−3−1)
図9に示す重合反応装置500を用い、実施例1−1−1において、モノマー種を第1モノマーと第2モノマーに変えた以外は、実施例1−1−1と同様にして、実施例1−3−1のポリマー生成物を作製した。なお、図9の重合反応装置500は、添加ポット225と、バルブ(223,224,226,229)と、継手(230a,230b)が設けられた配管230を有する点を除き、図8の重合反応装置400と同様の構成である。
なお、温度保持及び加熱処理は、同じ反応容器127内で温度及び圧力を変更して行った。
触媒の添加は、前添加は、反応容器127に、開環重合性モノマー、開始剤、触媒を初めから入れて反応させた。後添加は、反応容器127に、開環重合性モノマー、及び開始剤入れて混合した後に、触媒を入れて反応させた。なお。圧力は、ポンプの流量を変えることにより制御した。
(実施例1−3−2〜実施例1−3−10)
実施例1−3−1において、下記表3−1〜表3−3に示すように、モノマー種、重合圧力、重合反応温度、密度、反応時間、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕を変えた以外は、実施例1−3−1と同様にして、実施例1−3−2〜実施例1−3−10のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、後添加とした。
なお、実施例1−3−5〜1−3−6には、有機溶媒(エントレーナー)として、トルエンを開環重合性モノマーに対して1mol%添加した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3−1〜表3−3に示した。
<バッチ式、L−ラクチドとD−ラクチドとの共重合体、金属触媒、その1>
<バッチ式、L−ラクチドとD−ラクチドとの共重合体、金属触媒、その2>
<バッチ式、L−ラクチドとD−ラクチドとの共重合体、有機分子触媒>
(実施例1−4−1〜実施例1−4−12)
実施例1−3−1において、下記表4−1〜表4−4に示すように、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度、温度保持工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)、並びに加熱工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例1−3−1と同様にして、実施例1−4−1〜実施例1−4−12のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、後添加とした。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表4−1〜表4−4に示した。
<バッチ式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、金属触媒、その1>
<バッチ式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、金属触媒、その2>
<バッチ式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、有機分子触媒、その1>
<バッチ式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、有機分子触媒、その2>
(比較例1−1〜1−8)
実施例1−1−1において、下記表5−1〜表5−2に示すように、温度保持工程及び加熱工程を行わず、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例1−1−1と同様にして、比較例1−1〜比較例1−8のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、原則後添加とし、比較例1−4及び比較例1−8のみ反応容器127に、開環重合性モノマー、開始剤、及び触媒を初めから入れて反応させた。
なお、比較例1−3及び比較例1−7には、有機溶媒(エントレーナー)として、トルエンを開環重合性モノマーに対して1mol%添加した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表5−1〜表5−2に示した。
<バッチ式、ラクチドホモ、金属触媒、比較例>
<バッチ式、ラクチドホモ、有機分子触媒、比較例>
(実施例2−1−1)
図4に示す連続式の重合反応装置100を用いて、表6−1に示す条件でL−ラクチド及びD−ラクチド混合物(質量比90/10)の開環重合を行った。重合反応装置100の構成を示す。
・タンク1,計量フィーダー2:
日本精密株式会社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、開環重合性モノマーとして溶融状態のラクチド
(L−ラクチド及びD−ラクチド混合物(質量比90/10、
ピューラック社製、融点:100℃))を充填した。
・タンク3,計量フィーダー4:
日本分光株式会社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU-2080)
タンク3には、開始剤としてラウリルアルコールを充填した。
・タンク5,計量ポンプ6:本実施例では使用しなかった。
・タンク7 :炭酸ガスボンベ
・タンク11,計量ポンプ12:
日本分光株式会社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU-2080)
タンク11には触媒としてオクチル酸スズを充填した。
・接触部9:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
シリンダー設定温度 100℃
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
・反応部13 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
シリンダー設定温度 原材料供給部100℃ 先端部80℃
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
・温度保持手段(圧縮性流体含浸手段)として、ヒーターを有したシリンダーを用いた。なお、温度保持手段は、反応部13と計量ポンプ14の間に設けられている(不図示)。
・加熱手段として、ヒーターを有したシリンダーを用いた。なお、加熱手段は、温度保持手段の下流に設けられている(不図示)。
接触部9の二軸攪拌装置及び反応部13の二軸混練機を上記の設定条件で作動させた。計量フィーダー2は、タンク1内の溶融状態のラクチドを二軸攪拌装置の容器内に定量供給した。計量フィーダー4は、タンク3内のラウリルアルコールを、ラクチドの供給量99.5モルに対し0.5モル(0.5mol%)となるように二軸攪拌装置の容器内に定量供給した。計量ポンプ8は、タンク7より圧縮性流体としての炭酸ガス(二酸化炭素)を二軸攪拌装置の容器内の圧力が15MPaとなるように供給した。これにより、二軸攪拌装置は、各タンク(1,3,7)から供給されたラクチド及びラウリルアルコールの各原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させるとともに、スクリュウで混合して、各原材料を溶融させた。
接触部9で溶融させた各原材料は、送液ポンプ10によって反応部13に送液された。計量ポンプ12は、タンク11の触媒としてのオクチル酸スズをラクチド99モルに対して1モル(1mol%)となるように反応部13としての二軸混練機の原料供給孔へ供給する。二軸混練機内で、送液ポンプ10によって送液された各原材料と、計量ポンプ12によって供給されたオクチル酸スズとを混合し、ラクチドを開環重合した。この場合、二軸混練機の各原材料の平均滞留時間は約1,200秒間とした。二軸混練機の先端には、計量ポンプ14、及び押出口金15が取付けられていた。計量ポンプ14の生成物としてのポリマー(ポリ乳酸)の送り速度は200g/minであった。
得られた実施例2−1−1のポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、結果を表6−1に示した。
(実施例2−1−2〜実施例2−1−20)
実施例2−1−1において、下記表6−1〜表6−5に示すように、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度、温度保持工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)、並びに加熱工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例2−1−1と同様にして、実施例2−1−2〜実施例2−1−20のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、原則後添加とし、実施例2−1−16〜2−1−17のみ、反応部13に、開環重合性モノマー、開始剤、触媒を初めから入れて反応させた。
なお、実施例2−1−14〜2−1−15には、有機溶媒(エントレーナー)として、トルエンを開環重合性モノマーに対して1mol%添加した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表6−1〜表6−5に示した。
<連続式、ラクチドホモ、金属触媒、その1>
<連続式、ラクチドホモ、金属触媒、その2>
<連続式、ラクチドホモ、金属触媒、その3>
<連続式、ラクチドホモ、有機分子触媒、その1>
<連続式、ラクチドホモ、有機分子触媒、その2>
(実施例2−2−1〜実施例2−2−18)
実施例2−1−1において、下記表7−1〜表7−5に示すように、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度、温度保持工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)、並びに加熱工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例2−1−1と同様にして、実施例2−2−1〜実施例2−2−18のポリマー生成物を作製した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表7−1〜表7−5に示した。
<連続式、その他のモノマーホモ、金属触媒、その1>
<連続式、その他のモノマーホモ、金属触媒、その2>
<連続式、その他のモノマーホモ、金属触媒、その3>
<連続式、その他のモノマーホモ、有機分子触媒、その1>
<連続式、その他のモノマーホモ、有機分子触媒、その2>
(実施例2−3−1)
図6A及び図6Bに示すポリマー生成物製造システム200を用いて、表8−1に示す条件で実施例2−3−1のポリマー生成物を製造した。図6Aの装置は、図4の連続式の重合反応装置100を2つ、系列1の重合装置及び系列2の重合装置として直列につなげた構成である。前記製造システム200の構成を以下に示す。
・タンク1,計量フィーダー2:
日本精密株式会社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、開環重合性モノマー(第1モノマー)として
溶融状態のL体のラクチドと、開始剤としてのラウリルアルコールと、
の99:1(モル比)混合物を充填した。
・タンク3,計量フィーダー4:本実施例では使用しなかった。
・タンク5,計量ポンプ6 :本実施例では使用しなかった。
・タンク7 :炭酸ガスボンベ
・タンク27 :炭酸ガスボンベ
・タンク21,計量フィーダー22:
日本精密株式会社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク21には、開環重合性モノマー(第2モノマー)として
溶融状態のD体のラクチドを充填した。
・タンク11,計量ポンプ12:
日本分光株式会社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU-2080)
タンク11にはオクチル酸スズを充填した。
・接触部9:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
・接触部29:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
・反応部13 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
・反応部33 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
・温度保持手段(圧縮性流体含浸手段)として、ヒーターを有したシリンダーを用いた。なお、温度保持手段は、反応部13と計量ポンプ14の間に設けられている(不図示)。
・加熱手段として、ヒーターを有したシリンダーを用いた。なお、加熱手段は、温度保持手段の下流に設けられている(不図示)。
計量フィーダー2を作動させて、タンク1内のL体のラクチド及びラウリルアルコールの混合物を流速4g/分間(原材料の供給速度)で接触部9の二軸攪拌装置の容器内に定量供給した。計量ポンプ8を作動させて、タンク7内の炭酸ガスを、原材料(L体のラクチド及びラウリルアルコール)の供給量100質量部に対して5質量部となるように、二軸攪拌装置の容器内に連続的に供給した。これにより、二軸攪拌装置内で、L体のラクチド及びラウリルアルコールの各原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させるとともに、各原材料を溶融させた。
二軸攪拌装置で溶融させた各原材料は、送液ポンプ10によって反応部13の二軸混練機に送液される。一方、計量ポンプ12を作動させて、タンク11に貯蔵された触媒としてのオクチル酸スズを、L体のラクチドの供給量に対して99:1(モル比)となるように二軸混練機内に供給した。これにより、二軸混練機内でオクチル酸スズの存在下L体のラクチドを開環重合させた。
更に、計量フィーダー22を作動させて、タンク21内の第2の開環重合性モノマーとしてのD体のラクチドを4g/分間(原材料の供給速度)で接触部29の二軸攪拌装置の容器内に定量供給した。また、計量ポンプ28を作動させて、タンク27内の炭酸ガスを、D体のラクチドの供給量100質量部に対して5質量部となるように、接触部29の二軸攪拌装置の容器内に連続的に供給した(フィード比=20)。これにより、二軸攪拌装置内で、D体のラクチドと圧縮性流体とを連続的に接触させるとともに、D体のラクチドを溶融させた。
反応部13で重合して得られた溶融状態の中間体としてのポリマー生成物(L−ポリ乳酸)と、接触部29で溶融させたD体のラクチドとは、反応部33の二軸混練機に導入される。これにより、二軸混練機内で、中間体としてのポリマー生成物(L−ポリ乳酸)及び第2の開環重合性モノマー(D体のラクチド)を重合させた。
反応部33の二軸混練機の先端には、圧調整バルブ34が取付けられており、この圧調整バルブ34から、ポリマー生成物(ステレオコンプレックスを形成したポリ乳酸)を連続的に送り出した。
得られた実施例2−3−1のポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表8−1に示した。
(実施例2−3−2〜実施例2−3−10)
実施例2−3−1において、下記表8−1〜表8−3に示すように、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度、温度保持工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)、並びに加熱工程(温度、圧力、密度、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕)の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例2−3−1と同様にして、実施例2−3−2〜実施例2−3−10のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、後添加とした。
なお、実施例2−3−5〜2−3−6には、有機溶媒(エントレーナー)として、トルエンを開環重合性モノマーに対して1mol%添加した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表8−1〜表8−3に示した。
<連続式、L−ラクチドとD−ラクチドとの共重合体、金属触媒、その1>
<連続式、L−ラクチドとD−ラクチドとの共重合体、金属触媒、その2>
<連続式、L−ラクチドとD−ラクチドとの共重合体、有機分子触媒>
(実施例2−4−1〜実施例2−4−12)
実施例2−3−1において、下記表9−1〜表9−4に示すように、モノマー種、重合圧力、重合反応温度、密度、反応時間、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕を変えた以外は、実施例2−3−1と同様にして、実施例2−4−1〜実施例2−4−12のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、後添加とした。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表9−1〜表9−4に示した。
<連続式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、金属触媒、その1>
<連続式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、金属触媒、その2>
<連続式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、有機分子触媒、その1>
<連続式、L−ラクチドとその他のモノマーとの共重合体、有機分子触媒、その2>
(実施例2−5−1〜実施例2−5−2)
実施例2−3−1において、下記表10−1に示すように、モノマー種、重合圧力、重合反応温度、密度、反応時間、混合比〔原材料/(圧縮性流体+原材料)〕を変えた以外は、実施例2−3−1と同様にして、実施例2−5−1〜実施例2−5−2のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、後添加とした。なお、これらの実施例は、開始剤(ポリカプロラクトン)が、第3のモノマーを兼ねているので、3種のモノマーを添加した実施例となる。
得られた各ポリマー生成物について、実施例1−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表10−1に示した。
<連続式、L−ラクチドとその他のモノマー(3種)との共重合体、金属触媒>
(比較例2−1〜2−8)
実施例2−1−1において、下記表11−1〜表11−2に示すように、温度保持工程及び加熱工程を行わず、触媒、重合開始剤の種類及び量、重合温度の少なくともいずれかを変えた以外は、実施例2−1−1と同様にして、比較例2−1〜比較例2−8のポリマー生成物を作製した。触媒の添加は、原則後添加とし、比較例2−4及び比較例2−8のみ反応部13に、開環重合性モノマー、開始剤、及び触媒を初めから入れて反応させた。
なお、比較例2−3及び比較例2−7には、有機溶媒(エントレーナー)として、トルエンを開環重合性モノマーに対して1mol%添加した。
得られた各ポリマー生成物について、実施例2−1−1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表11−1〜表11−2に示した。
<連続式、ラクチドホモ、金属触媒、比較例>
<連続式、ラクチドホモ、有機分子触媒、比較例>
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 加熱前のポリマーの融点Tm0と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm1との融点差(Tm1−Tm0)が、3℃以上であることを特徴とするポリマー生成物である。
<2> 残存開環重合性モノマーの含有量が、100質量ppm以上20,000質量ppm以下である前記<1>に記載のポリマー生成物である。
<3> イエローインデックス(YI)値が、15以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のポリマー生成物である。
<4> ポリエステルである前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリマー生成物である。
<5> 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、
前記重合工程で得られた重合物を、前記重合工程における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持工程と、
を含むことを特徴とするポリマー生成物の製造方法である。
<6> 前記温度保持工程において、前記重合工程で得られた重合物を、前記重合工程における重合反応温度より10℃以上低い温度に保持する前記<5>に記載のポリマー生成物の製造方法である。
<7> 前記温度保持工程において、低い温度を5分間以上保持する前記<5>から<6>のいずれかに記載のポリマー生成物の製造方法である。
<8> 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合手段と、
前記重合手段で得られた重合物を、前記重合手段における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持手段と、
を有することを特徴とするポリマー生成物製造装置である。
<9> 前記温度保持手段により、前記重合手段で得られた重合物を、前記重合手段における重合反応温度より10℃以上低い温度に保持する前記<8>に記載のポリマー生成物製造装置である。
<10> 前記温度保持手段により、低い温度を5分間以上保持する前記<8>から<9>のいずれかに記載のポリマー生成物製造装置である。
<11> 加熱前のポリマーの融点Tm2と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm3との融点差(Tm3−Tm2)が、0℃以上3℃未満であることを特徴とするポリマー生成物である。
<12> 残存開環重合性モノマーの含有量が、100質量ppm以上20,000質量ppm以下である前記<11>に記載のポリマー生成物である。
<13> イエローインデックス(YI)値が、15以下である前記<11>から<12>のいずれかに記載のポリマー生成物である。
<14> ポリエステルである前記<11>から<13>のいずれかに記載のポリマー生成物である。
<15> 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、
得られた重合物を、該重合物の融点より高い温度で加熱する加熱工程と、
を含むポリマー生成物の製造方法である。
<16> 前記重合工程で得られた重合物を、前記重合工程における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持工程を含む前記<15>に記載のポリマー生成物の製造方法である。
<17> 前記加熱工程において、前記重合物の最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で10分間以上加熱する前記<15>から<16>のいずれかに記載のポリマー生成物の製造方法である。
<18> 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合手段と、
得られた重合物を、該重合物の融点より高い温度で加熱する加熱手段と、
を有することを特徴とするポリマー生成物製造装置である。
<19> 前記重合手段で得られた重合物を、前記重合手段における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持手段を有する前記<18>に記載のポリマー生成物製造装置である。
<20> 前記加熱手段により、前記重合物の最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で10分間以上加熱する前記<18>から<19>のいずれかに記載のポリマー生成物製造装置である。
1 タンク
9 接触部
13 反応部
21 タンク
100 重合反応装置
125 添加ポット
127 反応容器
200 重合反応装置
300 重合反応装置
400 重合反応装置
P ポリマー生成物
特開平8−259676号公報 特開2008−63420号公報 特開2005−60474号公報 特開2009−1614号公報
Ganapathy,H.S.;Hwang,H.S.;Jeong,Y.T.;LEE,W−T.;Lim,K.T.Eur Polym J.2007,43(1),119−126. Idriss Blakey, Anguang Yu, Steven M.Howdle, Andrew K.Whittakera and Kristofer J.Thurechta,Green Chemistry,2011,Advance Article

Claims (20)

  1. 加熱前のポリマーの融点Tm0と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm1との融点差(Tm1−Tm0)が、3℃以上であることを特徴とするポリマー生成物。
  2. 残存開環重合性モノマーの含有量が、100質量ppm以上20,000質量ppm以下である請求項1に記載のポリマー生成物。
  3. イエローインデックス(YI)値が、15以下である請求項1から2のいずれかに記載のポリマー生成物。
  4. ポリエステルである請求項1から3のいずれかに記載のポリマー生成物。
  5. 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、
    前記重合工程で得られた重合物を、前記重合工程における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持工程と、
    を含むことを特徴とするポリマー生成物の製造方法。
  6. 前記温度保持工程において、前記重合工程で得られた重合物を、前記重合工程における重合反応温度より10℃以上低い温度に保持する請求項5に記載のポリマー生成物の製造方法。
  7. 前記温度保持工程において、低い温度を5分間以上保持する請求項5から6のいずれかに記載のポリマー生成物の製造方法。
  8. 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合手段と、
    前記重合手段で得られた重合物を、前記重合手段における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持手段と、
    を有することを特徴とするポリマー生成物製造装置。
  9. 前記温度保持手段により、前記重合手段で得られた重合物を、前記重合手段における重合反応温度より10℃以上低い温度に保持する請求項8に記載のポリマー生成物製造装置。
  10. 前記温度保持手段により、低い温度を5分間以上保持する請求項8から9のいずれかに記載のポリマー生成物製造装置。
  11. 加熱前のポリマーの融点Tm2と、窒素雰囲気下、ポリマーの最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で60分間加熱した後のポリマーの融点Tm3との融点差(Tm3−Tm2)が、0℃以上3℃未満であることを特徴とするポリマー生成物。
  12. 残存開環重合性モノマーの含有量が、100質量ppm以上20,000質量ppm以下である請求項11に記載のポリマー生成物。
  13. イエローインデックス(YI)値が、15以下である請求項11から12のいずれかに記載のポリマー生成物。
  14. ポリエステルである請求項11から13のいずれかに記載のポリマー生成物。
  15. 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程と、
    得られた重合物を、該重合物の融点より高い温度で加熱する加熱工程と、
    を含むポリマー生成物の製造方法。
  16. 前記重合工程で得られた重合物を、前記重合工程における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持工程を含む請求項15に記載のポリマー生成物の製造方法。
  17. 前記加熱工程において、前記重合物の最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で10分間以上加熱する請求項15から16のいずれかに記載のポリマー生成物の製造方法。
  18. 開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを接触させて前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合手段と、
    得られた重合物を、該重合物の融点より高い温度で加熱する加熱手段と、
    を有することを特徴とするポリマー生成物製造装置。
  19. 前記重合手段で得られた重合物を、前記重合手段における重合反応温度より低い温度に保持する温度保持手段を有する請求項18に記載のポリマー生成物製造装置。
  20. 前記加熱手段により、前記重合物の最高融点より10℃以上50℃以下高い温度で10分間以上加熱する請求項18から19のいずれかに記載のポリマー生成物製造装置。
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