JP2013166944A - ポリマーの製造方法、及びポリマー連続製造装置 - Google Patents

ポリマーの製造方法、及びポリマー連続製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 溶媒として超臨界二酸化炭素を用い、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を用いてラクチドを重合した場合には、重合反応に長い時間するという課題があった。このため、この方法を用いて開環重合性モノマーを複数の段階に分けて重合させた場合には、ポリマー製造の効率性が低下するという課題があった。
【解決手段】 本発明のポリマーの製造方法は、少なくとも開環重合性モノマーと圧縮性流体とを連続的に接触させて、金属原子を含まない有機触媒の存在下、開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程を有する。これにより、開環重合反応に要する時間を短くすることができるので、開環重合性モノマーを複数の段階に分けて開環重合させるときに、短い時間で効率良くポリマーを製造できるという効果を奏する。
【選択図】図3

Description

本発明は、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを製造するポリマーの製造方法およびポリマー連続製造装置に関する。
従来、ブロック共重合体を得るなどの目的で、開環重合性モノマーを複数の段階に分けて重合させて、ポリマーを製造する方法が知られている。例えば、D−ラクチドを重合させてポリ−D−乳酸を得た後、このポリ−D−乳酸とL−ラクチドとを重合してポリ乳酸のステレオブロック共重合体を製造する方法が開示されている。(特許文献1参照)。開示された方法によると、D−ラクチドあるいはL−ラクチドを重合させるそれぞれの段階において、有機溶媒であるジクロロメタンが用いられている。ところが、有機溶媒を用いて重合を行った場合には、重合後に有機溶媒が廃液として残るという問題があった。
有機溶媒を用いずに開環重合性モノマーを重合させる方法としては、超臨界二酸化炭素中でL−ラクチドを重合させる方法が開示されている(非特許文献1参照)。開示された方法によると、触媒としてオクチル酸スズを用い、反応温度を80℃、圧力を207barとして、超臨界二酸化炭素中、L−ラクチドを重合させる。用いられた超臨界二酸化炭素は、重合後に常温、常圧に戻したときに気体に変わるため、廃液を発生させずに開環重合性モノマーを重合させることができる。ところが、この製造方法によりL−ラクチドを重合させた場合、触媒のオクチル酸スズが、生成物に残留するという問題があった。これは、触媒が金属原子を含むため生成物から容易に除去されないことによる。残留したオクチル酸スズは、生成物の耐熱性や安全性を低下させる。
金属原子を含む触媒を用いずに超臨界二酸化炭素中で開環重合性モノマーを開環重合させる方法としては、有機触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を用いた重合方法が開示されている(非特許文献2参照)。開示された方法によると、ラクチドと、DBUと、ベンジルアルコールとをオートクレーブに充填した後、二酸化炭素を加えて温度80℃、70気圧で攪拌し、更に二酸化炭素を加えて250気圧とする手順によりラクチドを重合させている。この方法では、16時間反応させることで、数平均分子量が1.0万程度のポリマーが得られる。
しかしながら、溶媒として超臨界二酸化炭素を用い、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を用いてラクチドを重合した場合には、重合反応に長い時間を要する。即ち、この方法を用いて開環重合性モノマーを複数の段階に分けて重合させた場合には、ポリマーの製造に長い時間を要し、効率性が低下するという課題があった。
請求項1に係る発明は、少なくとも開環重合性の第1のモノマーと、圧縮性流体とを連続的に接触させて、金属原子を含まない有機触媒の存在下、前記第1のモノマーを開環重合させる第1の重合工程と、前記第1のモノマーを開環重合させて得られた中間体と、前記第1のモノマーと同種または異種の第2のモノマーとを接触させて、前記中間体および前記第2のモノマーを重合させる第2の重合工程と、を有することを特徴とするポリマーの製造方法である。
以上説明したように、本発明のポリマーの製造方法は、少なくとも開環重合性の第1のモノマーと圧縮性流体とを連続的に接触させて、金属原子を含まない有機触媒の存在下、第1のモノマーを開環重合させる第1の重合工程を有する。これにより、開環重合反応に要する時間を短くすることができるので、開環重合性モノマーを複数の段階に分けて開環重合させるときに、短い時間で効率良くポリマーを製造できるという効果を奏する。
温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。 本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 重合工程の一例を示す系統図である。
以下、本発明の一実施形態について詳しく説明する。本実施形態のポリマーの製造方法は、少なくとも開環重合性の第1のモノマーと、圧縮性流体とを連続的に接触させて、金属原子を含まない有機触媒の存在下、第1のモノマーを開環重合させる第1の重合工程と、第1のモノマーを開環重合させて得られた中間体と、第2のモノマーとを接触させて、中間体および第2のモノマーを重合させる第2の重合工程と、を有する。
<<原材料>>
まず、上記の製造方法で原材料として用いられるモノマー、有機触媒などの成分について説明する。本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料である。
<モノマー>
本実施形態のポリマーの製造方法で用いられる第1のモノマーは、開環重合性のモノマー(開環重合性モノマー)である。開環重合性とは、環状重合することを意味する。一方、本実施形態のポリマーの製造方法で用いられる第2のモノマーは、開環重合性モノマーであっても、開環重合性モノマーでなくても良い。第1のモノマーと第2のモノマーとは、同種のモノマーであっても、異なる種類のモノマーであっても良い。同種のモノマーとは、化学的な組成および立体配置が同じモノマーであることを意味する。なお、化学的な組成が同じであっても、例えば、D−ラクチドおよびL−ラクチドのような光学異性体は、異種のモノマーと言うことができる。
本実施形態のポリマーの製造方法において、第2のモノマーとして、第1のモノマーと同種のモノマーを選択した場合、同種のモノマーが複数の段階に分けて重合されたポリマーが製造される。第2のモノマーとして、第1のモノマーの光学異性体(同種のモノマー)を選択した場合、ステレオブロック共重合体が製造される。また、第2のモノマーとして、第1のモノマーとは異なる種類のモノマーを選択した場合、ブロック共重合体が製造される。
−開環重合性モノマー−
本実施形態のポリマーの製造方法において、第1のモノマー、あるいは、第2のモノマーとして用いられる開環重合性モノマーとしては、エステル結合を環内に有するものが好ましい。このような、開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
環状エステルとしては、特に限定されないが、次の一般式(1)で表される化合物のL体及び/又はD体を脱水縮合して得られる環状二量体が好適に用いられる。
R−C*−H(−OH)(−COOH) 一般式(1)
(一般式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「*」は、不斉炭素を表す。)
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性、又は入手容易性の点から特に好ましい。これら環状二量体は単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能である。
一般式(1)以外の環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラクトンを挙げることができる。特にε−カプロラクトンが反応性・入手性の観点から好ましい。
また、環状カーボネートとしては、特に限定されないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの開環重合性モノマーは、一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
−その他のモノマー−
本実施形態において第2のモノマーとして用いられる開環重合性モノマー以外のその他のモノマーとしては、イソシアネート化合物やグリシジル化合物が挙げられる。イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなど、従来公知の多官能性イソシアネート化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。グリシジル化合物としては、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート等の従来公知の多官能グリシジル化合物が挙げられるが特に限定されるものではない。
<有機触媒>
本実施形態で用いられる有機触媒は、生成物の安全性及び安定性を確保するために金属原子を含まない。本実施形態において、有機触媒は、開環重合性モノマーの開環重合反応に寄与し、開環重合性モノマーとの活性中間体を形成した後、アルコールとの反応で脱離、再生するものであればよい。
有機触媒は、塩基性を有する求核剤として働く化合物が好ましく、塩基性を有する求核性の窒素原子を含有する化合物がより好ましく、窒素原子を有する環状化合物がさらに好ましい。上記のような化合物としては、特に限定されないが、環状モノアミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。なお、カチオン系の有機触媒は、上記の開環重合反応に用いられるが、ポリマー主鎖から水素を引き抜く(バック−バイティング)ため、分子量分布が広くなり高分子量の生成物を得にくい。
環状アミンの例としては、キヌクリジンが挙げられる。環状ジアミンの例としては、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンが挙げられる。アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物の例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネンが挙げられる。グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物の例としては、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物の例としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、ピロコリン、イミダゾール、ピリミジン、プリンが挙げられる。N−ヘテロサイクリックカルベンの例としては、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)などが挙げられる。これらの中でも、立体障害による影響が少なく求核性が高い、或いは、減圧除去可能な沸点を有するという理由により、DABCO、DBU、DPG、TBD、DMAP、PPY、ITBUが好ましい。
これらの有機触媒のうち、例えば、DBUは、室温で液状であって沸点を有する。このような有機触媒を選択した場合、得られたポリマーを減圧処理することで、ポリマー中から有機触媒をほぼ定量的に取り除くことができる。なお、有機溶媒の種類や除去処理の有無は、生成物の使用目的等に応じて決定される。
有機触媒の種類及び使用量は、後述の圧縮性流体と開環重合性モノマーの組み合わせによって変わるので一概に特定できないが、開環重合性モノマー100モル%に対して、0.01モル%以上15モル%以下が好ましく、0.1モル%以上1モル%以下がより好ましく、0.3モル%以上0.5モル%以下が更に好ましい。使用量が0.01モル%未満では、重合反応が完了する前に有機触媒が失活し、目標とする分子量のポリマーが得られない場合がある。一方、使用量が15モル%を超えると、重合反応の制御が難しくなる場合がある。
<任意成分>
本実施形態の製造方法では、上記の原材料の他、開環重合開始剤(開始剤)やその他の添加剤が任意成分として用いられる。
(開始剤)
本実施形態では、得られるポリマーの分子量を制御するために、開始剤が好適に用いられる。開始剤としては、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。開始剤としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;及び乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
また、ポリカプロラクトンジオールやポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマーを開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック、又はトリブロック共重合体が合成される。
開始剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜調整すればよく、好ましくは開環重合性モノマー100モル%に対して、0.05モル%以上5モル%以下である。不均一に重合が開始されるのを防ぐために、開始剤は、モノマーが重合触媒に触れる前にあらかじめモノマーとよく混合しておくことが望ましい。
(添加剤)
また、開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
界面活性剤としては、圧縮性流体に溶融し、かつ圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものが好適に用いられる。このような界面活性剤を使用することで、重合反応を均一に進めることができ、生成物の分子量分布を狭くしたり、粒子状のポリマーを得やすくなる等の効果を期待できる。界面活性剤を用いる場合、圧縮性流体に加えても、開環重合性モノマーに加えても良い。例えば、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、親二酸化炭素基と親モノマー基を分子内に持つ界面活性剤が使用される。このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤が挙げられる。
安定剤としては、エポキシ化大豆油、カルボジイミド等などが用いられる。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが用いられる。防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが用いられる。フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが用いられる。顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、群青等などが用いられる。
<<圧縮性流体>>
次に、図1及び図2を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレンなどが挙げられる。これらの中でも二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
二酸化炭素は、塩基性、求核性を有する物質と反応することから、従来、超臨界二酸化炭素を溶媒とする場合、リビングアニオン重合には適用できないとされていた(非特許文献3参照)。しかし、本発明者らは、従来の知見を覆し、超臨界二酸化炭素中でも、塩基性、求核性を有する有機触媒が安定的に開環性モノマーに配位し、これを開環させることで、短時間で定量的に重合反応が進行し、結果的に重合反応がリビング的に進行することを見出した。ここでいうリビング的とは、移動反応や停止反応などの副反応を伴わず、定量的に反応が進行し、得られたポリマーの分子量分布が比較的狭く単分散であることを意味する。
<<重合反応装置>>
続いて、図3を用いて、本実施形態で用いられる重合反応装置について説明する。図3は、重合工程の一例を示す系統図である。本実施形態における重合反応は、連続式の工程で実行される。図3の系統図において、重合反応装置100は、開環重合性モノマーなどの原材料および圧縮性流体を供給する供給ユニット100aと、供給ユニット100aによって供給された開環重合性モノマーを重合させる連続重合装置の一例としての重合反応装置本体100bとを有する。供給ユニット100aは、タンク(1,3,5,7,1121,27)と、計量フィーダー(2,4,22)と、計量ポンプ(6,8,12,28)と、溶融混合装置29とを有する。重合反応装置本体100bは、重合反応装置本体100bの一端部に設けられた溶融混合装置9と、送液ポンプ10と、反応容器(13,33)と、重合反応装置本体100bの他端部に設けられた圧調整バルブ34と、を有する。なお、本実施形態において、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。また、「溶融混合装置」とは、圧縮性流体と原材料を接触させて、原材料を溶融させる装置である。上記の各装置は、上記の原材料等を輸送する配管によって、図3に示されたように接続されている。
供給ユニット100aのタンク1は、第1のモノマーとしての開環重合性モノマーを貯蔵する。貯蔵される開環重合性モノマーは粉末であっても溶融状態であっても良い。タンク3は、開始剤および添加剤のうち固体(粉末又は粒状)のものを貯蔵する。タンク5は、開始剤および添加剤のうち液体のものを貯蔵する。なお、開始剤および添加剤の一部または全部を、予め開環重合性モノマーと混合しておき、開始剤、添加剤、および開環重合性モノマーの混合物をタンク1に貯蔵しても良い。タンク7は、圧縮性流体を貯蔵する。タンク21は、第2のモノマーを貯蔵する。タンク27は、圧縮性流体を貯蔵する。タンク27に貯蔵される圧縮性流体は、特に限定されないが、均一に重合反応を進めるために、タンク7に貯蔵される圧縮性流体と同種のものであることが好ましい。なお、タンク(7,27)は、溶融混合装置(9,29)に供給される過程で、あるいは、溶融混合装置(9,29)内で加熱または加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)、または、固体を貯蔵しても良い。この場合、タンク(7,27)に貯蔵される気体または固体は、加熱または加圧されることにより、溶融混合装置(9,29)内で図2の相図における(1)、(2)、または(3)の状態となる。
計量フィーダー2は、タンク1に貯蔵された開環重合性モノマーを計量して溶融混合装置9に連続的に供給する。計量フィーダー4は、タンク3に貯蔵された固体を計量して溶融混合装置9に連続的に供給する。計量ポンプ6は、タンク5に貯蔵された液体を計量して溶融混合装置9に連続的に供給する。計量ポンプ8は、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力および流量で溶融混合装置9に連続的に供給する。計量フィーダー22は、タンク21に貯蔵された第2のモノマーを計量して溶融混合装置29に連続的に供給する。計量ポンプ28は、タンク27に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力および流量で溶融混合装置29に連続的に供給する。なお、本実施形態において連続的に供給するとは、バッチ毎に供給する方法に対する概念であって、開環重合させたポリマーが連続的に得られるよう供給することを意味する。即ち、開環重合させたポリマーが連続的に得られる限り、各材料は、断続的、或いは、間欠的に供給されても良い。また、開始剤および添加剤がいずれも固体の場合には、重合反応装置100は、タンク5および計量ポンプ6を有していなくても良い。同様に、開始剤および添加剤がいずれも液体の場合には、重合反応装置100は、タンク3および計量フィーダー4を有していなくても良い。
溶融混合装置29は、タンク21から供給された第2のモノマーと、タンク27から供給された圧縮性流体とを連続的に接触させ、原材料を溶融させるための耐圧性の容器を有した装置である。溶融混合装置29の容器には、計量ポンプ28によってタンク27から供給された圧縮性流体を導入する導入口29aと、計量フィーダー22によってタンク21から供給された第2のモノマーを導入する導入口29bとが設けられている。本実施形態において各導入口(29a,29b)は、溶融混合装置29の容器と、各原材料または圧縮性流体を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、本実施形態において、溶融混合装置29の構成は、溶融混合装置9と同様のものが用いられるため、詳細な説明を省略する。
本実施形態において、重合反応装置本体100bの各装置は、原材料、圧縮性流体、あるいは生成したポリマーを輸送する耐圧性の配管30によって、図3に示されたように接続されている。また、重合反応装置本体100bの溶融混合装置9、送液ポンプ10、および反応容器(13,33)の各装置は、上記の原材料等を通過させる管状の部材を有している。
重合反応装置本体100bの溶融混合装置9は、各タンク(1,3,5)から供給された開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの原材料と、タンク7から供給された圧縮性流体とを連続的に接触させ、原材料を溶融させるための耐圧性の容器を有した装置である。なお、本実施形態では、開環重合性モノマーなどの原材料と圧縮性流体とを一定の濃度の比率で連続的に接触させることができるので、原材料を圧縮性流体に効率的に溶融させることができる。溶融混合装置9の容器の形は、タンク型でも筒型でもよいが、一端から原材料を供給し、他端から混合物を取り出す筒型が好ましい。溶融混合装置9の容器には、計量ポンプ8によってタンク7から供給された圧縮性流体を導入する導入口9aと、計量フィーダー2によってタンク1から供給された開環重合性モノマーを導入する導入口9bと、計量フィーダー4によってタンク3から供給された粉末を導入する導入口9cと、計量ポンプ6によってタンク5から供給された液体を導入する導入口9dとが設けられている。本実施形態において各導入口(9a,9b,9c,9d)は、溶融混合装置9の容器と、各原材料または圧縮性流体を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。また、溶融混合装置9は、供給された各原材料および圧縮性流体を加熱するためのヒータを有している。更に、溶融混合装置9は、原材料、圧縮性流体などを攪拌する攪拌装置を有していても良い。溶融混合装置9が攪拌装置を有する場合、攪拌装置としては、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う二軸のスクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。特に、互いに噛み合う二軸又は多軸攪拌装置は、攪拌装置や容器への反応物の付着が少なく、セルフクリーニング作用があるので好ましい。溶融混合装置9が攪拌装置を有していない場合、溶融混合装置9としては、耐圧配管が好適に用いられる。なお、溶融混合装置9が攪拌装置を有していない場合、溶融混合装置9内での各材料を確実に混合するため、溶融混合装置9に供給される開環重合性モノマーは溶融状態であることが好ましい。
送液ポンプ10は、溶融混合装置9で溶融した各原材料を反応容器13に送液する。タンク11は、有機触媒を貯蔵する。計量ポンプ12は、タンク11に貯蔵された有機触媒を計量して反応容器13に供給する。
反応容器13は、送液ポンプ10によって送液された溶融した各原材料と、計量ポンプ12によって供給された有機触媒とを混合して、開環重合性モノマーを開環重合させるための耐圧性の容器である。反応容器13の形状としては、タンク型でも筒型でもよいが、デッドスペースが少ない筒型が好ましい。反応容器13には、溶融混合装置9によって混合された各材料を容器内に導入するための導入口13aと、計量ポンプ12によってタンク11から供給された有機触媒を容器内に導入する導入口13bとが設けられている。本実施形態において各導入口(13a,13b)は、反応容器13と、各原材料を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、反応容器13には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていても良い。また、反応容器13は、送液された原材料を加熱するためのヒータを有している。更に、反応容器13は、原材料、圧縮性流体などを攪拌する攪拌装置を有していても良い。反応容器13が攪拌装置を有する場合、原材料と生成されたポリマーの密度差によって、ポリマー粒子が沈降することを抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。反応容器13の攪拌装置としては、互いに噛み合うスクリュウや、2フライト(長円形)や3フライト(三角形様)などの攪拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の攪拌翼をもつ二軸又は多軸のものがセルフクリーニングの観点から好ましい。あらかじめ触媒を含む原料が充分に混合されている場合には、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌装置に応用出来る。静止型混合器としては、特公昭47−15526、同47−15527、同47−15528、同47−15533などで開示されたもの(多層化混合器)、及び特開昭47−33166に開示されたもの(ケニックス型)、及びそれらに類似する可動部のない混合装置が挙げられる。反応容器13が攪拌装置を有していない場合、反応容器13としては、耐圧配管が好適に用いられる。
反応容器33は、反応容器13で開環重合性モノマーを開環重合させて得られ、圧縮性流体に溶融した状態の中間体としてのポリマーと、溶融混合装置29で圧縮性流体に溶融させた第2のモノマーとを重合させるための耐圧性の容器である。反応容器33には、上記の溶融した中間体としてのポリマーを容器内に導入するための導入口33aと、上記の溶融させた第2のモノマーを容器内に導入する導入口13bとが設けられている。本実施形態において各導入口(33a,33b)は、反応容器13と、各原材料を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、本実施形態において、反応容器33の構成は、反応容器13と同様のものが用いられるため、詳細な説明を省略する。圧調整バルブ34は、反応容器33の内外の圧力差を利用することにより、反応容器33で重合されたポリマーPを反応容器33の外に送り出す。
図3では、反応容器(13,33)が2個の例を示したが、3個以上の反応容器を用いることもできる。3個以上の反応容器を用いる場合、反応容器毎の反応(重合)条件、すなわち温度、触媒濃度、圧力、平均滞留時間、攪拌速度などは、同一でもよいが、重合の進行にあわせて、それぞれ最適の条件を選ぶことが好ましい。なお、反応時間の増加や装置の煩雑化を招くため、あまり多くの容器を多段的に結合することは得策でなく、段数は1以上4以下、特に1以上3以下が好ましい。
一般的には、反応容器を1個だけで重合した場合、得られるポリマーの重合度や残存モノマー量が不安定で変動し易く、工業生産に適しないとされている。これは、溶融粘度数ポイズから数10ポイズ程度の重合原料と、溶融粘度数1,000ポイズ程度の重合されたポリマーとが同一容器内に混在するための不安定さに起因するものと思われる。これに対し、本実施形態では、原材料と生成したポリマーとが圧縮性流体に溶融することによって反応容器内(重合系ともいう)の粘度差を小さくすることが可能となるため、従来の重合反応装置より段数を減らしても、安定的にポリマーを製造することができる。
<<重合方法>>
続いて、重合反応装置100を用いた開環重合性モノマーの重合方法について説明する。
〔第1の重合工程〕
まず、本実施形態のポリマーの製造方法における第1の重合工程について説明する。各計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6、計量ポンプ8を作動させ、各タンク(1,3,5,7)内の第1のモノマーとしての開環重合性モノマー、開始剤、添加剤、圧縮性流体を、各導入口(9a,9b,9c,9d)から、溶融混合装置9の容器内に連続的に導入させる。なお、固体(粉末又は粒状)の原材料は、液体の原材料と比較して計量精度が低い場合がある。この場合、固体の原材料を前もって溶融させて液体の状態にしてタンク5に貯蔵しておき、計量ポンプ6によって溶融混合装置9の容器内に導入させても良い。各計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6、計量ポンプ8を作動させる順序は、特に限定されないが、初期の原材料が圧縮流体に接触せずに反応容器13に送られると、温度低下によって固化する恐れがあるため、先に計量ポンプ8を作動させることが好ましい。
計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6による各原材料の各供給速度は、開環重合性モノマー、開始剤、および添加剤の所定の量比に基づいて、一定の比率となるように調整される。計量フィーダー(2,4)および計量ポンプ6よって単位時間当たりに供給される各原材料の質量の合計(原材料フィード量、(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。同様に、計量ポンプ8による圧縮性流体の供給速度(圧縮性流体フィード量、(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。圧縮性流体フィード量と原材料フィード量との比(原材料フィード量/圧縮性流体フィード量、フィード比という)は、1以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。また、上記フィード比の上限値については、1000以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
上記のフィード比を1以上とすることにより、各原材料および圧縮性流体が反応容器13に送液されたときに、原材料および生成したポリマーの濃度(いわゆる固形分濃度)が高い状態で反応が進行する。このときの重合系内の固形分濃度は、従来の製造方法で圧倒的な量の圧縮性流体に対して少量の開環重合性モノマーを溶解させて重合したときの重合系の固形分濃度とは大きく異なる。本実施形態の製造方法は、固形分濃度が高い重合系でも重合反応が効率的かつ安定して進行することに特徴がある。なお、本実施形態において、フィード比を1未満としてもよく、この場合であっても、得られるポリマーの品質に問題はないが、経済的な効率は劣ることになる。また、フィード比が1000を超えると、圧縮性流体が開環重合性モノマーを溶融させる能力が不十分となる恐れがあり、目的とする反応が均一に進まない場合がある。
各原材料および圧縮性流体は、溶融混合装置9の容器内に連続的に導入されるので、それぞれが連続的に接触する。これにより、溶融混合装置9内で、開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの各原材料が溶融する。溶融混合装置9が攪拌装置を有する場合には、各原材料および圧縮性流体を攪拌しても良い。供給された圧縮性流体が気体に変わることを避けるため、反応容器13の容器内の温度および圧力は、少なくとも上記圧縮性流体の三重点以上の温度および圧力に制御される。この制御は、溶融混合装置9のヒータの出力あるいは圧縮性流体の供給量を調整することにより行われる。本実施形態において、開環重合性モノマーを溶融させるときの温度は、開環重合性モノマーの常圧での融点以下の温度であっても良い。これは、圧縮性流体の存在下、溶融混合装置9内が高圧となり、開環重合性モノマーの融点が常圧での融点よりも低下することによると考えられる。このため、開環重合性モノマーに対する圧縮性流体の量が少ない場合であっても、溶融混合装置9内で開環重合性モノマーは溶融する。
各原材料が効率的に溶融するように、溶融混合装置9で各原材料および圧縮性流体に熱や攪拌を加えるタイミングを調整しても良い。この場合、各原材料と圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても、各原材料と圧縮性流体とを接触させながら、熱や攪拌を加えても良い。また、より確実に溶融させるため、例えば、あらかじめ開環重合性モノマーに融点以上の熱をかけて溶融させてから、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させても良い。上記の各態様は、例えば溶融混合装置9が二軸の混合装置である場合には、スクリュウの配列、各導入口(9a,9b,9c,9d)の配置、溶融混合装置9のヒータの温度を適宜設定することにより実現される。
なお、本実施形態では、開環重合性モノマーとは別に添加物を溶融混合装置9に供給しているが、開環重合性モノマーと共に添加物を供給しても良い。また、重合反応後に添加物を供給しても良い。この場合、反応容器13から得られたポリマーを取り出した後に添加物を溶融混錬しながら添加することもできる。
溶融混合装置9で溶融させた各材料は送液ポンプ10によって送液され、導入口13aから反応容器13に供給される。一方、タンク11内の有機触媒は、計量ポンプ12によって計量され、導入口13bから反応容器13へ所定量供給される。有機触媒は室温でも作用しうるため、本実施形態では、原材料を圧縮性流体に溶融させた後、有機触媒を添加している。従来、圧縮性流体を用い開環重合性モノマーを開環重合する方法において、触媒を加えるタイミングについては検討されていなかった。本実施形態では、開環重合に際しては、有機触媒は、その活性の高さから、圧縮性流体によって開環重合性モノマーや開始剤等の原材料の混合物が十分溶融した状態の反応容器13中の重合系に添加される。混合物が十分溶融していない状態で、有機触媒を加えると、反応が不均一に進む場合がある。
送液ポンプ10によって送液された各材料および計量ポンプ12によって供給された有機触媒は、必要に応じて反応容器13の攪拌装置によって充分に攪拌され、ヒータにより所定温度に加熱される。これにより、反応容器13内で、有機触媒の存在下、開環重合性モノマーは開環重合されて中間体としてのポリマーが生成する。
開環重合性モノマーを開環重合させる際の温度(重合反応温度)の下限は、特に限定されないが、40℃、好ましくは50℃、より好ましくは60℃である。重合反応温度が40℃未満であると、開環重合性モノマー種によっては、圧縮性流体による溶融に長い時間がかかったり、溶融が不十分であったり、有機触媒の活性が低くなったりする。これにより、重合時には反応速度が低下しやすくなり、定量的に重合反応を進めることができなくなる場合がある。
重合反応温度の上限は、特に限定されないが、100℃、又は、開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、好ましくは、90℃、又は、開環重合性モノマーの融点のうちいずれか高い温度である。重合反応温度の上限は、より好ましくは、80℃、又は、開環重合性モノマーの融点より20℃低い温度のうちいずれか高い温度である。重合反応温度が、開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度を超えると、開環重合の逆反応である解重合反応も平衡して起こりやすく、定量的に重合反応が進みにくくなる。室温で液状である開環重合性モノマーなどの融点が低い開環性モノマーを使用する場合においては、有機触媒の活性を高めるため、重合反応温度を融点より30℃高い温度としても良い。この場合でも、重合反応温度を100℃以下とすることが好ましい。なお、重合反応温度は、反応容器13に設けられたヒータあるいは反応容器13の外部からの加熱等により制御される。また、重合反応温度を測定する場合、重合反応によって得られたポリマーを用いても良い。
超臨界二酸化炭素を用いた従来のポリマーの製造方法において、超臨界二酸化炭素はポリマーの溶解能が低いことから、多量の超臨界二酸化炭素を用いて開環重合性モノマーを重合させていた。本実施形態の重合法によれば、圧縮性流体を用いたポリマーの製造方法においては、従来にない高濃度の状態で開環重合性モノマーを開環重合させる。この場合、圧縮性流体の存在下、反応容器13内が高圧となり、生成したポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する。これにより、生成したポリマーが低粘度化するので、ポリマーの濃度が高くなった状態でも均一に開環重合反応が進行する。
本実施形態において、重合反応時間(反応容器13内の平均滞留時間)は、目標とする分子量に応じて設定されるが、通常、1時間以内が好ましく、45分以内がより好ましく、30分以内が更に好ましい。本実施形態の製造方法によると、重合反応時間を20分以内とすることもできる。これは、圧縮性流体中での開環重合性モノマーの重合では前例がない短時間である。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、タンク7から供給された圧縮性流体が液化ガス(図2の相図の(2))、または高圧ガス(図2の相図の(3))となる圧力でも良いが、超臨界流体(図2の相図の(1))となる圧力が好ましい。圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、開環重合性モノマーの溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。なお、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力は、3.7MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは臨界圧力の7.4PMa以上である。また、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、同様の理由により、その温度は25℃以上であることが好ましい。
反応容器13内の水分量は、開環重合性モノマー100モル%に対して、4モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.5モル%以下である。水分量が4モル%を超えると、水分自体も開始剤として寄与するため、分子量の制御が困難となる場合がある。重合反応系内の水分量を制御するために、必要に応じて、前処理として、開環重合性モノマー、その他原材料に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
〔第2の重合工程〕
続いて、本実施形態のポリマーの製造方法における第2の重合工程について説明する。まず、計量フィーダー22および計量ポンプ28を作動させ、各タンク(21,27)内の第2のモノマーおよび圧縮性流体を、各導入口(29a,29b)から、溶融混合装置29の容器内に連続的に導入させる。第2のモノマーおよび圧縮性流体は、溶融混合装置29の容器内に連続的に導入されるので、それぞれが連続的に接触する。これにより、溶融混合装置29内で、第2のモノマーが溶融する。なお、第2の重合工程における第2のモノマーおよび圧縮性流体の導入の手順および条件は、第1の重合工程における開環重合性モノマーおよび圧縮性流体の導入の手順と同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、3段階以上に分けてモノマーを重合する場合には、第2の重合工程で用いた装置構成と同様のものを繰り返し設けることにより、第3(第4,第5,…)のモノマーを重合する第3(第4,第5,…)の重合工程を導入しても良い。
本実施形態において、第1の重合工程で計量フィーダー2によって供給される開環重合性モノマーの量と、第2の重合工程で計量フィーダー22によって供給される第2のモノマーの量との比は、特に限定されない。例えば、第1のモノマーと第2のモノマーとが異種である場合は、生成されるブロック共重合体において、各ブロックの目標とする分子量の比に基づいて各フィーダーで供給されるモノマーの量を決定すれば良い。
反応容器13内での開環重合反応によって生成し、圧縮性流体に溶融した状態の中間体としてのポリマーは、導入口33aから反応容器33へ所定量供給される。一方、溶融混合装置29で溶融させた第2のモノマーは、導入口33bから反応容器33に導入される。これにより、溶融した中間体としてのポリマーと、溶融した第2のモノマーとは、反応容器33内で連続的に接触する。中間体としてのポリマーと第2のモノマーとは、反応容器33の攪拌装置によって充分に攪拌され、ヒータにより所定温度に加熱される。これにより、反応容器33内で、中間体としてのポリマーに含まれる有機触媒の存在下、中間体としてポリマーおよび第2のモノマーは重合されて最終生成物としてのポリマーが得られる。
反応容器33で重合させる際の温度(重合反応温度)の下限は、特に限定されないが、40℃である。重合反応温度が40℃未満であると、開環重合性モノマー種によっては、圧縮性流体による溶融に長い時間がかかったり、溶融が不十分であったり、有機触媒の活性が低くなったりする。これにより、重合時には反応速度が低下しやすくなり、定量的に重合反応を進めることができなくなる場合がある。重合反応温度の上限は、特に限定されないが、100℃である。重合反応温度が100℃を超えると、開環重合の逆反応である解重合反応も平衡して起こりやすく、定量的に重合反応が進みにくくなる場合がある。
本実施形態において、反応容器33での重合反応時間(反応容器33への平均滞留時間)は、目標とする分子量に応じて設定されるが、通常、1時間以内が好ましく、45分以内がより好ましく、30分以内が更に好ましい。
反応容器33内の圧力(重合圧力)、すなわち圧縮性流体の圧力は、タンク(7,27)から供給された圧縮性流体が液化ガス(図2の相図の(2))、または高圧ガス(図2の相図の(3))となる圧力でも良いが、超臨界流体(図2の相図の(1))となる圧力が好ましい。
反応容器33内で開環重合反応を終えたポリマーPは、圧調整バルブ34から反応容器13の外へ送り出される。圧調整バルブ34からポリマーPを送り出す速度は、圧縮性流体で満たされた重合系内の圧力を一定にして、均一な重合品を得るために、一定とすることが好ましい。そのため、圧調整バルブ34における背圧が一定となるように、反応容器(13、33)の内部の送液機構、溶融混合装置(9,29)内部の送液機構、計量フィーダー(2,4,22)、及び計量ポンプ(6,8,28)の供給速度は制御される。制御方式は、ON−OFF型つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の方がより好ましいことが多い。いずれにせよこのような制御によって、均一なポリマーを安定に得ることが出来る。
本実施形態により得られるポリマーに残存する有機触媒は、必要に応じて除去される。除去方法としては、特に限定するものではないが、例えば、沸点を有する化合物であれば減圧留去や、有機触媒を溶解させる物質をエントレーナーとして用いて有機触媒を抽出してこれを除去する方法や、カラムにより有機触媒を吸着して除去する方法などが挙げられる。この場合、有機触媒を除去する方式としては、ポリマーを反応容器から取り出した後に除去するバッチ方式でも、取り出さずそのまま連続処理する方式でもかまわない。減圧留去する場合、減圧条件は有機触媒の沸点に基づいて設定される。例えば、減圧の際の温度は、100℃以上120℃以下であり、ポリマーが解重合する温度より低い温度で有機触媒を除去することが可能である。この抽出操作において有機溶媒を用いると、有機触媒を抽出後に有機溶媒を除去する工程が必要となる場合がある。このため、抽出操作においても溶媒として圧縮流体を用いることが好ましい。このような抽出操作としては、香料の抽出などの公知の技術が転用できる。
本実施形態の製造方法において、開環重合性モノマーの開環重合によるポリマー転化率は、96モル%以上、好ましくは98モル%以上である。ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマーとしての熱特性が不十分であったり、また別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。なお、本実施形態においてポリマー転化率とは、原材料としての開環重合性モノマーおよび第2のモノマーの総量に対する、ポリマーの生成に寄与した各モノマーの量の割合を意味する。ポリマーの生成に寄与したモノマーの量は、生成したポリマーの量から、未反応の開環重合性モノマーおよび第2のモノマーの量を差し引くことにより得られる。
本実施形態により得られるポリマーの数平均分子量は、開始剤の量によって調整が可能である。特に限定されるものではないが、数平均分子量は一般的に1.2万以上20万以下である。数平均分子量が20万より大きい場合、粘性の上昇に伴う生産性の悪化により経済的ではない場合がある。数平均分子量が1.2万より小さい場合、ポリマーとしての強度が不十分となり好ましくない場合がある。本実施形態により得られるポリマーの重量平均分子量を数平均分子量で除した値は、好ましくは1.0以上2.5以下の範囲であり、より好ましくは1.0以上2.0以下である。この値が2.0より大きい場合、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難になることから好ましくない。
本実施形態の製造方法では、残存モノマーがほとんどなく反応が定量的に進むことから、数種類の開環重合性モノマーおよび第2のモノマーを加えるタイミングを適宜設定すれば、ブロックタイプの共重合体を合成することができる。以下、ブロックタイプの共重合体の一例として、ステレオコンプレックス(ステレオブロック共重合体)の合成方法を示す。
反応容器13で第1のモノマーとしての開環重合性モノマー(例えば、L−ラクチド)を重合し、反応が定量的に終了した後、第2のモノマーとしての光学異性体の開環重合性モノマー(例えば、D−ラクチド)を溶融反応装置29から加える。反応容器13で重合された第1のモノマーの重合体(ポリ−L−乳酸)および第2のモノマー(D−ラクチド)を反応容器33でさらに重合させる。これにより、ステレオブロック共重合体(ポリ乳酸ステレオブロック共重合体)が得られる。この方法は、残存モノマーが少ない状体で開環重合性モノマーの融点以下で反応を進められることから、ラセミ化が非常に起こりにくく、かつ1段階の反応で得られるため非常に有用である。
<<ポリマーの用途>>
本実施形態の製造方法により得られたポリマーは、金属触媒及び有機溶剤を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。従って、本実施形態の製造方法により得られたポリマーは、電子写真の現像剤、印刷用インク、建築用塗料、化粧品、医療用材料などの各種用途に幅広く適用される。その際、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、結晶性、耐候性等を向上させる目的で、各種添加剤を使用しても良い。
<<実施形態の効果>>
本実施形態では、少なくとも開環重合性モノマーと、圧縮性流体とを連続的に接触させて、金属原子を含まない有機触媒の存在下、開環重合性モノマーを開環重合させる。これにより、従来の製造方法で金属触媒を用いずに開環重合性モノマーを開環重合させた場合と比較して、重合反応に要する時間を短くすることができる。この理由は明らかではないが、開環重合性モノマーと、圧縮性流体、続いて有機触媒とを連続的に接触させることにより、従来のバッチ方式と比較して、効率よく系内が均一になり反応が促進されたためと考えられる。
また、本実施形態の重合方法によると、以下の理由により、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
(1)高温(例えば150℃以上)で反応させる溶融重合法と比較して、低温で反応が進む。
(2)低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらず、加えた開環重合性モノマーに対して高収率でポリマーが得られる(すなわち未反応の開環重合性モノマーが少ない)。これにより、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーを得るための未反応の開環重合性モノマーの除去等の精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)ポリマーに金属触媒を含有しないので、その除去工程が不要である。
(4)有機溶媒を用いた重合法では、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。本実施形態の重合方法では、圧縮性流体を用いるため廃液等も発生せず、乾燥したポリマーが1段階の工程で得られることから、乾燥工程も簡略化又は省略できる。
(5)圧縮性流体を用いるため、有機溶剤を用いずに開環重合反応を行うことができる。なお、有機溶剤とは、開環重合性モノマーを溶かすために用いる液体の有機化合物を意味する。
(6)圧縮性流体中に開環重合性モノマーを溶融させた後に、有機触媒を加えて開環重合させるため、均一に反応が進む。このため、光学異性体や他のモノマー種との共重合体を得る場合に、好適に用いられる。
本実施形態のポリマーの製造方法において、第1の重合工程では、第1のモノマーとしての開環重合性モノマーに対して有機触媒の濃度が高い状態で重合反応が進行するため、重合反応が速やかに進行する。また、第2の重合工程では、第2のモノマーが導入させることから、中間体としてのポリマーおよび第2のモノマーに対して有機触媒の濃度が低い状態で重合反応が進行する。このため、ポリマーの高分子量化に適した条件で重合反応を進行させることができる。なお、第2のモノマーの導入速度を調整することにより、第2の重合工程における有機触媒の濃度を制御できる。これにより、最終生成物のポリマーの分子量の調整を容易に行うことができる。
以下、実施例及び比較例を示して本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られたポリマーの分子量及び残存モノマー量は次のようにして求めた。
<ポリマーの分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
<モノマーのポリマー転化率>
・ラクチドのポリマー転化率
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中で生成物のポリ乳酸の核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積(4.98〜5.05ppm)の比を算出し、これを100倍したものを未反応モノマー量(モル%)とした。ポリマー転化率は、100から算出した未反応モノマーの量を差し引いた値である。
・ラクチドおよびε−カプロラクトンのポリマー転化率
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中で生成物のポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体の核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積(4.98〜5.05ppm)の比を算出し、これを100倍したものをポリ乳酸における未反応ラクチドモノマー量(モル%)とした。また、ポリカプロラクトン由来の三重線ピーク面積(4.04〜4.08ppm)に対するカプロラクトン由来の三重線ピーク面積(4.22〜4.25ppm)の比を算出し、これを100倍したものをポリ乳酸における未反応カプロラクトンモノマー量(モル%)とした。ポリマー転化率は、100から算出した各未反応モノマーの量を差し引いた値である。
〔実施例1〕
図3の重合反応装置100を用いて、L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10)の開環重合を行った。重合反応装置100の構成を示す。
タンク1,計量フィーダー2:
日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、開環重合性モノマーとして溶融状態のラクチド
(L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10))と、
開始剤としてのラウリルアルコールと、の99:1(モル比)
混合物を充填した。
タンク3,計量フィーダー4:本実施例では使用しなかった。
タンク5,計量ポンプ6 :本実施例では使用しなかった。
タンク7 :炭酸ガスボンベ
タンク27 :炭酸ガスボンベ
タンク21,計量フィーダー22:
日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク21には、開環重合性モノマーとして溶融状態のラクチド
(L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10))
を充填した。
タンク11,計量ポンプ12:
日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ (PU-2080)
タンク11にはDBU(有機触媒)を充填した。
溶融混合装置9:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
溶融混合装置29:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
反応容器13 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
反応容器33 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
計量フィーダー2は、タンク1内のラクチドおよびラウリルアルコールの混合物を流速4g/分(開環重合性モノマーフィード量)で溶融混合装置9の容器内に定量供給する。計量ポンプ8は、タンク7内の炭酸ガスを、計量フィーダー2によって供給される原材料(ラクチドおよびラウリルアルコール)100質量部に対して5質量部となるように、溶融混合装置9の容器内連続的に供給した。なお、ここでの原材料とは、開環重合性モノマーであるラクチドおよび開始剤として加えているラウリルアルコールである。これにより、溶融混合装置9内で、ラクチドおよびラウリルアルコールの各原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させるとともに、各原材料を溶融させた。
溶融混合装置9で溶融させた各原材料は、送液ポンプ10によって反応容器13に送液される。一方、タンク11に貯蔵された重合触媒(DBU)は、計量ポンプ12によってラクチドに対して99:1(モル比)となるように反応容器13内に供給される。これにより、反応容器13内でDBUの存在下ラクチドの開環重合を行った。
計量フィーダー22は、タンク21内の第2のモノマーとしてのラクチドを4g/分(開環重合性モノマーフィード量)で溶融混合装置29の容器内に定量供給する。計量ポンプ28は、タンク27内の炭酸ガスを、計量フィーダー22によって供給されるラクチド100質量部に対して5質量部となるように、溶融混合装置9の容器内連続的に供給した。これにより、溶融混合装置29内で、ラクチドと圧縮性流体とを連続的に接触させるとともに、ラクチドを溶融させた。
反応容器13で重合して得られた溶融状態の中間体としてのポリマー(ポリ乳酸)と、溶融混合装置29で溶融させたラクチドは、反応容器33に導入される。これにより、反応容器13内で、中間体としてのポリマーおよび第2のモノマーとしてのラクチドの重合反応を行った。
なお、実施例1において、溶融混合装置9、反応容器(13,33)内の圧力は、圧調整バルブ34の開閉度を調整することにより15MPaとした。溶融混合装置(9,29)の容器の温度は、入口で100℃、出口で60℃である。反応容器(13,33)のそれぞれの温度は、入口、出口ともに60℃である。また、溶融混合装置9、反応容器(13,33)内の各材料の平均滞留時間は、各溶融混合装置9、反応容器(13,33)の配管系および長さを調整することにより、1200秒とした。
反応容器33の先端には、圧調整バルブ34が取付けられており、この圧調整バルブ34から生成物としてのポリマー(ポリ乳酸)を連続的に送り出した。得られたポリマーについて上記の方法で物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例2〜4〕
原材料のフィード量を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
第1のモノマーとして、ε−カプロラクタムを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
第1のモノマーとしてL−ラクチドを用い、第2のモノマーとしてD−ラクチドを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
タンク27および計量ポンプ28を用いなかった点以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例8〜10〕
圧縮性流体フィード量(フィード比)を変更した点以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2013166944
1 タンク
2 計量フィーダー
3 タンク
4 計量フィーダー
5 タンク
6 計量ポンプ
7 タンク
8 計量ポンプ
9 溶融混合装置
9a 導入口(圧縮性流体導入口の一例)
9b 導入口(第1モノマー導入口の一例)
10 送液ポンプ
11 タンク
12 計量ポンプ
13 反応容器
13a 導入口
13b 導入口(有機触媒導入口の一例)
15 押出口金(ポリマー排出口の一例)
33 反応容器
33a 導入口
33b 導入口(第2モノマー導入口の一例)
34 圧調整バルブ
16 圧調整バルブ
100 重合反応装置
100b 重合反応装置(ポリマー連続製造装置の一例)
P ポリマー
特開2009−1614号公報
Ganapathy,H.S.;Hwang,H.S.;Jeong,Y.T.;LEE,W-T.;Lim,K.T.Eur Polym J.2007,43(1),119-126. Idriss Blakey, Anguang Yu, Steven M.Howdle, Andrew K.Whittakera and Kristofer J.Thurechta,Green Chemistry,2011,Advance Article 「超臨界流体の最新応用技術」、第173頁、2004年3月15日、株式会社エヌ・ティー・エス発行

Claims (9)

  1. 少なくとも開環重合性の第1のモノマーと、圧縮性流体とを連続的に接触させて、金属原子を含まない有機触媒の存在下、前記第1のモノマーを開環重合させる第1の重合工程と、
    前記第1のモノマーを開環重合させて得られた中間体と、前記第1のモノマーと同種または異種の第2のモノマーとを接触させて、前記中間体および前記第2のモノマーを重合させる第2の重合工程と、
    を有することを特徴とするポリマーの製造方法。
  2. 前記第1の重合工程で、前記開環重合性モノマーを含む原材料と前記圧縮性流体とを、下式の条件で供給して、供給された前記原材料と前記圧縮性流体とを連続的に接触させることを特徴とする請求項1に記載のポリマーの製造方法。
    Figure 2013166944
  3. 前記第1の重合工程で開環重合させる際の重合反応温度の下限は40℃であって、前記重合反応温度の上限は100℃、又は、前記開環重合性モノマーの融点より30℃高い温度のいずれか高い温度であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマーの製造方法。
  4. 前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーのポリマー転化率は、98モル%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  5. 前記ポリマーの数平均分子量は、12000以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  6. 前記圧縮性流体は、二酸化炭素を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  7. 前記有機触媒は、塩基性を有する求核性の窒素化合物であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  8. 前記第1のモノマーは、エステル結合を環内に有するモノマーであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  9. 一端部に、開環重合性の第1のモノマーを導入する第1モノマー導入口を有し、他端部に、前記第1のモノマーを重合させて得られたポリマーを排出するポリマー排出口を有する管状のポリマー連続製造装置であって、
    前記一端部に、圧縮性流体を導入する圧縮性流体導入口を更に有し、
    前記一端部と前記他端部との間に、金属原子を含まない有機触媒を導入する有機触媒導入口を有し、
    前記有機触媒導入口と前記他端部との間に、第2のモノマーを導入する第2モノマー導入口を有することを特徴とするポリマー連続製造装置。
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