JP5998676B2 - ポリマーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを製造するポリマーの製造方法に関する。
従来、ラクチドやε−カプロラクトン等の開環重合性モノマーを開環重合させることにより、ポリマーを製造する方法が知られている。例えば、生分解性プラスチックとして知られるポリ乳酸は、乳酸のラクチドに金属触媒の一例としてのオクチル酸スズを添加し、不活性ガス雰囲気中、大気圧又は減圧下、約200℃で溶融重合させることにより製造される。
この製造方法によりポリマーを製造した場合、高温で溶融重合するため、多大なエネルギーを消費するだけでなく、多量の残留物が生じる。例えば、約200℃の高温でポリ乳酸を溶融重合した場合、ポリ乳酸中に数質量%のラクチドが残留する。これは、ポリ乳酸等の開環重合の反応系では平衡関係が成立し、高温で重合した場合には、開環重合反応の逆反応である解重合反応によって開環重合性モノマーが生じやすくなることによる。開環重合性モノマーは、生成物の加水分解触媒として機能したり、耐熱性を低下させたりする。このため、生成物から開環重合性モノマーを除去する処理が行われている。
例えば、重合系中の残存ラクチド量が15〜3質量%となるまで重合反応を進行させプレポリマーを製造する第一工程、並びにプレポリマーを溶融状態で減圧下におきラクチドを低減させる第二工程、からなる製造方法が開示されている(特許文献1参照)。ところが、これらの操作も工程及びエネルギー消費の増加、或いは収率低下の要因となる。
一方、実質的に金属を含まない化合物の存在下でポリ乳酸を製造する試みがなされている。例えば、グアニジン骨格を有する化合物の存在下、塩化メチレン溶媒中でラクチドの開環重合を行う方法が開示されている(特許文献2参照)。ところが、この製造方法によりポリ乳酸を製造した場合、塩化メチレンを高温で乾燥させて除去する必要がある。これにより、多大なエネルギーを消費するだけでなく、乾燥温度が高ければ解重合反応によって生じたラクチドをポリマー中に残存させることになる。
また、溶媒として超臨界二酸化炭素を用いる方法が提案されている(非特許文献1)。この提案の方法によると、溶媒である二酸化炭素を生成物から容易に除去することができる。ところが、この方法によると、反応時間が24時間以上と長時間であり、かつラクチドのポリ乳酸への転化率が85質量%であるため、そのまま成型加工等に使用することは困難であった。
また、溶媒として超臨界二酸化炭素を用い、有機触媒を原材料とともに仕込んで使用する方法が提案されている(非特許文献2)。この方法によると、重合時間が16時間と長時間であることと、数平均分子量が1.0万程度までであることから、実用的ではない。また、この方法によると、局所的に反応が進むことによって、高分子量体が得られにくくなる。また、この方法によると、不均一に反応が進むことによって、L体、D体のラセミ体を合成する場合、或いは、他の成分との共重合を行う場合に、目的とする物性を有するポリマーが得られない場合がある。
従来の開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを製造する製造方法によると、生成物としてのポリマーに有機溶剤が残留するので、生成物からこれを除去する必要が生じるという課題があった。また、二酸化炭素を溶媒に用いて重合した場合には、反応時間が長く、得られる樹脂の分子量も低く実用的ではなかった。
請求項1に係る発明は、圧縮性流体と開環重合性モノマーと開環重合開始剤とを接触させた後に、触媒を加えて、前記開環重合性モノマーを開環重合させる工程を有し、前記圧縮性流体が、超臨界二酸化炭素であり、前記開環重合性モノマーが、ラクチド、ε−カプロラクトン、ε−カプロラクタム、及びエチレンカーボネートから選択される一種以上であり、前記触媒が、DABCO、ITBU、DPG、TDB、DBU、DMAP、及びオクチル酸スズから選択される一種以上であり、前記開環重合開始剤が、水酸基を少なくとも一つ有する化合物であることを特徴とするポリマーの製造方法である。

以上説明したように、本発明のポリマーの製造方法によれば、圧縮性流体と開環重合性モノマーとを接触させた後に、触媒を加えて、開環重合性モノマーを開環重合させる。この製造方法によると、有機溶剤を用いずに開環重合性モノマーを重合できるので、生成物からこれを除去する必要がなくなる。また、この製造方法によると、従来の二酸化炭素を溶媒に用いる方法と比較して、反応時間が短縮されるという効果を奏する。
温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。 本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 本実施形態の製造方法における重合工程の一例を示す系統図である。 バッチ式の重合工程の一例を示す系統図である。
以下、本発明の一実施形態について詳しく説明する。本実施形態のポリマーの製造方法では、圧縮性流体と開環重合性モノマーとを接触させた後に、触媒を加えて、開環重合性モノマーを開環重合させる。
<<材料>>
まず、上記の製造方法で用いられる開環重合性モノマー、触媒、その他の原材料、及び、圧縮性流体について図を用いて説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。なお、本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料である。
<開環重合性モノマー>
本実施形態で用いられる開環重合性モノマーは、使用する開環重合性モノマーと圧縮性流体との組み合わせにもよるが、エステル結合などのカルボニル骨格を環内に有するものが好ましい。カルボニル骨格は、電気陰性度の高い酸素が炭素とπ結合して成り、π結合電子がひきつけられることにより酸素が負に分極し、炭素が正に分極しているため、反応性が高くなる。また、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、カルボニル骨格が二酸化炭素の構造と似ていることから、二酸化炭素と生成したポリマーとの親和性は高くなると推測される。これらの作用により、圧縮性流体による生成したポリマーの可塑化の効果は高くなる。開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
環状エステルとしては、特に限定されないが、次の一般式(1)で表される化合物のL体及び/又はD体を脱水縮合して得られる環状二量体が好適に用いられる。
R−C*−H(−OH)(−COOH) 一般式(1)
(一般式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「*」は、不斉炭素を表す。)
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性、又は入手容易性の点から特に好ましい。これら環状二量体は単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能である。
一般式(1)以外の環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラクトンを挙げることができる。特にε−カプロラクトンが反応性・入手性の観点から好ましい。また、環状カーボネートとしては、特に限定されないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
これらの開環重合性モノマーは、一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。なお、本実施形態の製造方法では、残存モノマーがほとんどなく反応が定量的に進むことから、数種類の開環重合性モノマーの加えるタイミングを適宜設定すれば、1ステップでブロックタイプの共重合体を合成することも可能である。
<圧縮性流体>
本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上かつ臨界圧力以上の状態にある流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレンなどが挙げられる。これらの中でも二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
従来、超臨界二酸化炭素を溶媒とする場合、二酸化炭素は、塩基性、求核性を有する物質と反応するとされていることから、リビングアニオン重合には適用できないとされていた(非特許文献3参照)。
しかし、本発明者らは、従来の知見を覆し、超臨界二酸化炭素中でも、塩基性、求核性を有する有機触媒が安定的に開環性モノマーに配位し、これを開環させることで、定量的に重合反応が進行し、結果的に重合反応がリビング的に進行することを見出した。ここでいうリビング的とは、移動反応や停止反応などの副反応を伴わず、定量的に反応が進行し、得られたポリマーの分子量分布が溶融重合と比較して狭く、単分散であることを意味する。
<触媒>
本実施形態の製造方法で用いられる触媒は、金属原子を含む金属触媒であっても、金属原子を含有しない有機触媒であっても良い。
金属触媒としては、特に限定されず、オクチル酸スズ、ジブチル酸スズなどのスズ系化合物、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミなどのアルミ系化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロオイキシドなどのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物、などの公知のものが用いられる。
本実施形態で用いられる触媒としては、生成物の安全性及び安定性を必要とする用途では、金属原子を含まない有機化合物(有機触媒)が好適に用いられる。本実施形態において、有機触媒は、開環重合性モノマーの開環反応に寄与し、開環重合性モノマーとの活性中間体を形成した後、アルコールとの反応で脱離、再生するものであればよい。
カチオン系の有機触媒は、上記の開環重合反応に用いられるが、ポリマー主鎖から水素を引き抜く(バック−バイティング)ため、分子量分布が広くなり高分子量の生成物を得にくい。このため、有機触媒は、塩基性を有する求核剤として働く化合物が好ましく、塩基性を有する求核性の窒素原子を含有する化合物がより好ましく、窒素原子を有する環状化合物がさらに好ましい。上記のような化合物としては、特に限定されないが、環状モノアミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。
環状アミンの例としては、キヌクリジンが挙げられる。環状ジアミンの例としては、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンが挙げられる。アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物の例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネンが挙げられる。グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物の例としては、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)が挙げられる。
窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物の例としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、ピロコリン、イミダゾール、ピリミジン、プリンが挙げられる。N−ヘテロサイクリックカルベンの例としては、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)などが挙げられる。これらの中でも、立体障害による影響が少なく求核性が高い、或いは、減圧除去可能な沸点を有するという理由により、DABCO、DBU、DPG、TBD、DMAP、PPY、ITBUが好ましい。
これらの有機触媒のうち、例えば、DBUは、室温で液状であって沸点を有する。このような有機触媒を選択した場合、得られたポリマーを減圧処理することで、ポリマー中から有機触媒をほぼ定量的に取り除くことができる。なお、有機溶媒の種類や除去処理の有無は、生成物の使用目的等に応じて決定される。
有機触媒の種類及び使用量は、後述の圧縮性流体と開環重合性モノマーの組み合わせによって変わるので一概に特定できないが、開環重合性モノマー100モル%に対して、0.01モル%以上15モル%以下が好ましく、0.1モル%以上1モル%以下がより好ましく、0.3モル%以上0.5モル%以下がさらに好ましい。使用量が0.01モル%未満では、重合反応が完了する前に有機触媒が失活し、目標とする分子量のポリマーが得られない場合がある。一方、使用量が15モル%を超えると、重合反応の制御が難しくなる場合がある。
<開環重合開始剤>
本実施形態において、得られるポリマーの分子量を制御するために、開環重合開始剤が好適に用いられる。開環重合開始剤としては、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。開環重合開始剤としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;及び乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
また、ポリカプロラクトンジオールやポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマーを開環重合開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック、又はトリブロック共重合体が合成される。
また、本実施形態では、残存モノマーが少ないことを利用して、ポリマー(例えば、ポリ乳酸)のステレオコンプレックスを得ることも可能である。以下、ステレオコンプレックスの合成方法を二通り示す。
第一の方法は、開環重合性モノマー(例えば、L−ラクチド)の重合を行い、反応が定量的に終了した段階で別の光学異性体の開環重合性モノマー(例えば、D−ラクチド)を加え、さらに重合反応を行うことによって、ステレオブロック共重合体を得る方法である。この方法は、残存モノマーが少ないことや、融点以下で反応を進められることから、ラセミ化が非常に起こりにくく、かつ1段階の反応で得られるため非常に有用である。
第二の方法は、あらかじめL体、D体のポリマー(例えば、ポリ乳酸)を、圧縮性流体を用いてそれぞれ重合し、これらを圧縮性流体の存在下ブレンドする方法である。通常、残存モノマーが限りなく少ないポリマー(例えば、ポリ乳酸)でも、再度加熱溶解する際に、分解してしまう恐れが非常に高い。第二の方法では、圧縮性流体およびポリマーを含む低粘性の混合物を、融点以下でブレンドすることにより、第一の方法と同様にラセミ化や熱劣化を抑えることができるため有用である。
開環重合開始剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜調整すればよく、好ましくは開環重合性モノマー100モル%に対して、0.05モル%以上5モル%以下である。不均一に重合が開始されるのを防ぐために、開環重合開始剤は、モノマーが重合触媒に触れる前にあらかじめモノマーとよく混合しておくことが望ましい。
<その他成分>
また、開環重合に際しては、必要に応じてその他添加物を添加してもよい。添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
界面活性剤としては、圧縮性流体に溶解し、かつ圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものが好適に用いられる。このような界面活性剤を使用することで、重合反応を均一に進めることができ、生成物の分子量分布を狭くしたり、粒子状のポリマーを得やすくなる等の効果を期待できる。界面活性剤を重合系に共存させる場合、圧縮性流体に加えても、開環重合性モノマーに加えても良い。例えば、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、親二酸化炭素基と親モノマー基を分子内に持つ界面活性剤が使用される。このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤が挙げられる。
安定剤としては、エポキシ化大豆油、カルボジイミド等などが用いられる。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが用いられる。防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが用いられる。フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが用いられる。顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、群青等などが用いられる。
<<重合方法>>
続いてポリマーの重合方法について説明する。本実施形態のポリマーの製造方法では、圧縮性流体と開環重合性モノマーとを接触させた後に、触媒を加えて、開環重合性モノマーを開環重合させる。
<重合反応条件>
従来、圧縮性流体を用い、開環重合性モノマーを開環重合する方法において、触媒を加えるタイミングについては検討がされていなかった。本実施形態においては、ポリマーの品質を安定化するために、触媒は、開環重合性モノマーと圧縮性流体とが接触し、開環重合性モノマーが溶解または溶融した後に加えられる。なお、本実施形態において、「溶解」とは、原材料が圧縮性流体中に溶けることを意味する。また、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。開環重合性モノマーを溶解した場合には流体相、溶融した場合には溶融相が形成されるが、均一に反応を進めるために、溶融相または流体相のいずれか一層が形成されていることが好ましい。本実施形態においては、圧縮性流体に対して原材料の比率が高い状態で反応を進行させるために、開環重合性モノマーを溶融させることが好ましい。開環重合性モノマーが溶解または溶融する前に触媒が加えられると、触媒によって局所的に重合が開始されてしまい、反応が不均一に進行することにより、重合反応の制御が難しくなる。特に、数種類のモノマーや光学異性体の開環重合性モノマーを使用し、ランダムに共重合したい場合にこの問題が大きくなる。
開環重合性モノマーを効率的に溶解または溶融させるために、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても良い。また、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させながら、熱や攪拌を加えても良い。より確実に溶解または溶融させるため、例えば、あらかじめ開環重合性モノマーに融点以上の熱をかけて溶融させてから、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させても良い。
上記の開環重合性モノマーを溶解または溶融させるときの温度、又は重合反応温度は、圧縮性流体の種類およびその圧力や、開環重合性モノマー及び触媒の組み合わせなどによって変わる。開環重合性モノマーを溶解または溶融させるときの温度、または重合反応温度の下限は、特に限定されないが、40℃、好ましくは50℃、より好ましくは60℃である。これらの温度が40℃未満であると、開環重合性モノマー種によっては、溶解または溶融に長い時間がかかったり、溶解または溶融が不十分であったり、触媒の活性が低くなったりする。これにより、重合時には反応速度が低下しやすくなり、定量的に重合反応を進めることができなくなる場合がある。
開環重合性モノマーを溶解または溶融させるときの温度、または重合反応温度の上限は、特に限定されないが、150℃、好ましくは120℃、より好ましくは100℃である。これらの温度が、150℃を超えると、開環重合の逆反応である解重合反応も平衡して起こりやすく、定量的に重合反応が進みにくくなる。
本実施形態の重合方法によれば、重合温度の上限は150℃となる。これにより、開環重合の逆反応である解重合を抑えることができる。結果として、従来公知の方法では得ることのできない、残存開環重合性モノマー量が少ないポリマーが得られる。
本実施形態において、重合反応時間(平均滞留時間)は、目標とする分子量に応じて設定される。他の条件にもよるが、連続式で重合を行う場合の重合反応時間は、10分〜6時間以内で完了する。これは、圧縮性流体中での開環重合性モノマーの重合では前例がない短時間である。また、バッチ式で重合を行う場合の重合反応時間は、目標とする分子量が3000〜100000である場合、例えば、2〜24時間とすることができる。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、液化ガス(図2の相図の(2))、高圧ガス(図2の相図の(3))状態でも問題ないが、特に圧縮性流体とモノマーとの親和性を高め、均一かつ定量的に重合反応を進めるためには、超臨界状態(図2の相図の(1))となる圧力が好ましい。圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、開環重合性モノマーの溶解または溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。圧縮性流体が二酸化炭素の場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、圧縮性流体の圧力は、3.7MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは臨界圧力の7.4PMa以上である。また、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、同様の理由により、その温度は25℃以上であることが好ましい。
重合反応系内の水分量は、開環重合性モノマー100モル%に対して、4モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.5モル%以下である。水分量が4モル%を超えると、目的とする分子量にもよるが、水分自体も開始剤として寄与するため分子量の制御が困難となる。重合反応系内の水分量を制御するために、必要に応じて、前処理として、開環重合性モノマー、その他原材料、圧縮性流体に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
超臨界二酸化炭素を用いた従来のポリマーの製造方法において、超臨界二酸化炭素はポリマーの溶解能が低いことから、多量の超臨界二酸化炭素を用いて開環重合性モノマーを重合させていた。本実施形態のポリマーの製造方法においては、圧縮性流体に対して従来にない高い混合比の開環重合性モノマーを開環重合させる。この場合、圧縮性流体の存在下、反応容器の内部の反応系が高圧となり、生成したポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する。これにより生成したポリマーが低粘度化するので、ポリマーの濃度が高くなった状態でも均一に開環重合反応が進行する。
上記開環重合性モノマーを重合させたポリマーに対して、ウレタン結合やエーテル結合を導入することも可能である。このウレタン結合やエーテル結合は、開環重合性モノマーと同様に、イソシアネート化合物やグリシジル化合物を加えて圧縮性流体中で重付加反応させることにより導入できる。この場合、分子構造を制御するために、開環重合性モノマーの重合反応終了後に、別途上記化合物を加えて反応させる方法がより好ましい。
重付加反応で用いられるイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート化合物が挙げられる。グリシジル化合物としては、特に限定されないが、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート等の多官能グリシジル化合物が挙げられる。
<重合反応装置>
続いて、本実施形態で用いられる重合反応装置について図を用いて説明する。図3は、本実施形態の製造方法における重合工程の一例を示す系統図である。図4は、バッチ式の重合工程の一例を示す系統図である。本実施形態における重合反応は、バッチ式、連続式のいずれの工程でも採用できるが、バッチ式でポリマーを安定的に製造するためには原材料の仕込み量が制限される。このため、本実施形態では、圧縮性流体に対する原材料の量の比率を高め、反応速度を上げるために、連続式を用いることが好ましい。
(連続式の重合反応装置)
図3の系統図において、重合反応装置100は、開環重合性モノマーの一例としてのラクチド(粉末)を貯蔵するタンク1と、タンク1に貯蔵されたラクチドを計量して連続的に供給する計量フィーダー2と、開始剤成分や添加剤のうち粉末のものを貯蔵するタンク3と、タンク3に貯蔵された粉末を計量して連続的に供給する計量フィーダー4と、開始剤成分や添加剤のうち液体のものを貯蔵するタンク5と、タンク5に貯蔵された液体を計量して連続的に供給する計量ポンプ6と、圧縮性流体を貯蔵するタンク7と、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を計量して連続的に供給する計量ポンプ8と、各タンク1,3,5,7から送り出された材料を溶融混合する溶融混合装置9と、溶融混合された開環重合性モノマー等を送液する送液ポンプ10と、触媒を貯蔵するタンク11と、タンク11に貯蔵された触媒を計量して送り出す計量ポンプ12と、重合原料と触媒とを用いて重合反応を生じさせる反応容器13と、反応物を反応容器13から送り出す圧調整バルブ14と、を有する。なお、本実施形態において、圧縮性流体と原材料あるいはポリマーを混合して溶解または溶融させる装置を「溶融混合装置」と呼ぶこととする。また、本実施形態において連続的に供給するとは、開環重合させたポリマーが連続的に得られるよう供給することを意味する。即ち、開環重合させたポリマーが連続的に得られる限り、各材料は、断続的、或いは、間欠的に供給されても良い。
溶融混合装置9は、重合原料や添加物を圧縮性流体と混合させ、充分に溶解または溶融させるものである。溶融混合装置9の容器の形は、タンク型でも筒型でもよいが、一端から原料を供給し、他端から混合物を取り出す筒型が好ましい。溶融混合装置9が攪拌装置を有していない場合、溶融混合装置9としては、耐圧配管が好適に用いられる。溶融混合装置9が攪拌装置を有している場合、攪拌装置としては任意のものが用いられるが、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う二軸のスクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。特に、互いに噛み合う二軸又は多軸攪拌装置は、攪拌装置や容器への反応物の付着が少なく、セルフクリーニング作用があるので好ましい。
反応容器13の形状としては、タンク型でも筒型でもよいが、デッドスペースが少ない筒型が好ましい。反応容器13には、反応物を出し入れする出入口の他、添加剤を供給したり、蒸発物を除去等のための気体出入口を設けることが出来る。反応容器13が攪拌装置を有していない場合、反応容器13としては、耐圧配管が好適に用いられる。耐圧配管の形状は特に限定されないが、装置をコンパクト化するために、らせん状のものが好適に用いられる。反応容器13が攪拌装置を有している場合、攪拌装置は、溶融混合装置9から送り出された開環重合性モノマーや生成したポリマー等を攪拌する。
反応容器13の攪拌装置は、互いに噛み合うスクリュウや、2フライト(長円形)や3フライト(三角形様)などの攪拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の攪拌翼をもつ二軸又は多軸のものがセルフクリーニングの観点から好ましい。あらかじめ触媒を含む原料が充分に混合されている場合には、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌装置に応用出来る。
静止型混合器としては、特公昭47−15526、同47−15527、同47−15528、同47−15533などで開示されたもの(多層化混合器)、及び特開昭47−33166に開示されたもの(ケニックス型)、及びそれらに類似する可動部のない混合装置が挙げられる。
図3では、反応容器13が1個の例を示したが、2個以上の反応容器13を用いることもできる。複数の反応容器13を用いる場合、反応容器13毎の反応(重合)条件、すなわち温度、触媒濃度、圧力、平均滞留時間、攪拌速度などは、同一でもよいが、重合の進行にあわせて、それぞれ最適の条件を選ぶことが好ましい。なお、反応時間の増加や装置の煩雑化を招くため、あまり多くの容器を多段的に結合することは得策でなく、段数は1以上4以下、特に1以上3以下が好ましい。
一般的には、反応容器を1個だけで重合した場合、得られるポリマーの重合度や残存モノマー量が不安定で変動し易く、工業生産に適しないとされている。これは、溶融粘度数ポイズから数10ポイズ程度の重合原料と、溶融粘度数1,000ポイズ程度の重合されたポリマーとが同一容器内に混在するための不安定さに起因するものと思われる。これに対し、本実施形態では、原材料と生成したポリマーとを溶解または溶融することによって系内の粘度差を小さくすることが可能となるため、従来の重合反応装置より段数を減らすことが可能となる。
続いて、重合反応装置100における処理について説明する。重合反応装置100において、計量フィーダー2は、溶融混合装置9に、タンク1の中のラクチドを連続的に供給する。計量フィーダー4又は計量ポンプ6は、同様に、タンク3,5の中の開始剤成分や添加剤を所定の比率で溶融混合装置9に供給する。また、計量ポンプ8は、別途、タンク7の中の圧縮性流体を溶融混合装置9に供給する。これにより、ラクチド、開始剤、及び添加剤と圧縮性流体とが接触し、攪拌装置を有する場合にはこれらが攪拌されて、原材料が溶解または溶融する。
本実施形態において、圧縮性流体の供給速度は、特に限定されないが、圧縮性流体、開環重合性モノマー、および、生成物のポリマーを溶解または溶融可能な供給速度とすることが好ましい。この場合、反応容器13への原材料の供給速度と圧縮性流体流体の供給速度との比(フィード比)は、(i)式の範囲とすることができる。
Figure 0005998676
(i)式における原材料には、開環重合性モノマーおよび開始剤が含まれる。上記混合比は、より好ましくは、0.65以上0.99以下、さらに好ましくは0.80以上、0.95以下である。混合比が0.5以下であると、圧縮性流体の使用量が増えることによって経済的ではないばかりか、開環重合性モノマーの密度が低くなるため、重合速度が低下する場合がある。さらに、塩基性を有する有機触媒を用いた場合は塩を形成し反応活性が低下する場合がある。0.99以上であると、圧縮性流体による溶融および可塑化が十分でない場合がある。上記フィード比に従って原材料(開環重合性モノマー、開始剤等)および圧縮性流体を供給することにより、原材料と、圧縮性流体と、が接触し、開環重合性モノマーなどの原材料が溶融することにより、溶融相が形成される。
溶融混合装置9内で、開環重合性モノマーを溶解または溶融させるときの温度および圧力は、供給された圧縮性流体が気体に変わることを避けるため、少なくとも上記圧縮性流体の三重点以上の温度および圧力に制御される。この制御は、溶融混合装置9のヒータの出力あるいは圧縮性流体の供給量を調整することにより行われる。本実施形態において、開環重合性モノマーを溶融または王有させるときの温度は、開環重合性モノマーの常圧での融点以下の温度であっても良い。これは、圧縮性流体の存在下、溶融混合装置9内が高圧となり、開環重合性モノマーの融点が低下することによる。このため、圧縮性流体の量が少なく上記の混合比が大きい場合であっても、溶融混合装置9内で開環重合性モノマーは溶解または溶融する。
なお、添加物は、重合反応開始前にモノマーと共に添加されても、重合反応後の後工程中で添加されても良い。また、得られた重合生成物を取り出した後に添加物を混錬しながら添加することもできる。なお、固体(粉末又は粒状)の重合原料は、計量精度がやや低いので、必要に応じ、前もって液化し計量ポンプによって送り出すようにしても良い。一方、原材料が圧縮性流体により粘度の低い溶融状態となる場合、従来の製造方法を用いた場合より反応性は高くなる。そのため、均一に反応を進めるためにも、原材料の混合工程と触媒添加後の重合工程は分けられている。
開環重合性モノマーが溶解または溶融した混合物は送液ポンプ10により送り出され、反応容器13に供給される。反応容器13は、攪拌又は混合装置を有し、内部の反応物を充分に攪拌しつつ所定温度に加熱する。計量ポンプ12は、タンク11の中の重合触媒を計量しつつ、反応容器13へ所定量供給する。反応容器13における、重合反応温度、圧力、重合反応時間、水分量としては、上記の各重合反応条件が好適に用いられる。
反応容器13の内部で所定の反応を終えたポリマーPは、圧調整バルブ14を通過して系外へ送り出される。図3の重合反応装置100において、圧縮性流体で満たされた系内の圧力を一定にして、安定な運転と均一な重合品を得るために、圧調整バルブ14から所定(一定)の送り出し量で反応物を送り出すことが好ましい。
そのため、圧調整バルブ14の背圧が一定となるよう反応容器13の内部の送液機構及び送液ポンプ10の送液量は、制御される。同様に、送液ポンプ10の背圧を一定にするように、溶融混合装置9内部の送液機構及び計量フィーダー2,4、及び計量ポンプ6,8などを制御することが好ましい。制御方式は、ON−OFF型つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の方がより好ましいことが多い。いずれにせよこのような制御によって、均一なポリマーを安定に得ることが出来る。
(バッチ式の重合反応装置)
図4の系統図において、重合反応装置200は、タンク21と、計量ポンプ22と、添加ポット25と、反応容器27と、バルブ(23,24,26,28,29)とを有している。上記の各装置は耐圧性の配管30によって図4に示したように接続されている。また、配管30には、継手(30a,30b)が設けられている。
タンク21は、圧縮性流体を貯蔵する。なお、タンク21は、反応容器27に供給される供給経路あるいは反応容器27内で加熱、加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)または固体を貯蔵しても良い。この場合、タンク21に貯蔵される気体または固体は、加熱または加圧されることにより、反応容器27内で図2の相図における(1)、(2)、または(3)の状態となる。
計量ポンプ22は、タンク21に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力および流量で反応容器27に供給する。添加ポット25は、反応容器27内の原材料に添加される触媒を貯蔵する。バルブ(23,24,26,29)は、それぞれを開閉させることにより、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を、添加ポット25を経由して反応容器27に供給する経路と、添加ポット25を経由せずに反応容器27に供給する経路とを切り換える。
反応容器27は、反応容器27内に予め収容された開環重合性モノマーおよび開始剤と、タンク21から供給された圧縮性流体と、を接触させて開環重合性モノマーを溶解または溶融させた後に、添加ポット25から供給された触媒を接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させるための耐圧性の容器である。なお、反応容器27には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていても良い。また、反応容器27は、原材料および圧縮性流体を加熱するためのヒータを有している。更に、反応容器27は、原材料、および圧縮性流体を攪拌する攪拌装置を有している。攪拌装置は、原材料と生成したポリマーとの密度差が生じたときに、攪拌を加えることで生成したポリマーの沈降を抑制する。これにより、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。バルブ28は、重合反応終了後に開放されることにより反応容器27内の圧縮性流体と生成物(ポリマー)とを排出する。
続いて、重合反応装置200を用いた開環重合性モノマーの重合方法について説明する。まず、計量ポンプ22を作動させ、バルブ(23、26)を開放することにより、タンク21に貯蔵された圧縮性流体を、添加ポット25を経由せずに反応容器27に供給する。これにより、予め収容された開環重合性モノマーおよび開始剤と、タンク21から供給された圧縮性流体と、反応容器27内で接触し、攪拌されて、開環重合性モノマーが溶解または溶融する。
この場合、反応容器13内での原材料と圧縮性流体流体との比(混合比)は、連続式の場合と同様であり、(ii)式の範囲とすることが好ましい。
Figure 0005998676
続いて、バルブ(24,29)を開き、添加ポット25内の金属触媒を、反応容器27内に供給する。反応容器27に供給された触媒は、必要に応じて反応容器27の攪拌装置によって充分に攪拌され、ヒータにより所定温度に加熱される。これにより、反応容器27内で、触媒の存在下、開環重合性モノマーが開環重合してポリマーが生成する。反応容器27における、反応温度、圧力、重合反応時間、水分量としては、上記の各重合反応条件を用いることができる。反応容器27内で開環重合反応を終えたポリマーPは、バルブ28から排出され、反応容器27の外へ送り出される。
(ポリマー物性)
本実施形態の製造方法において、開環重合性モノマーのポリマー転化率は、96モル%以上、好ましくは98モル%以上である。ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマーとしての熱特性が不十分であったり、また別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。なお、本実施形態においてポリマー転化率とは、加えた開環重合性モノマーに対し、未反応物を差し引いたものであり、ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの割合を意味する。
本実施形態により得られるポリマーの数平均分子量は、開始剤の量によって調整が可能である。数平均分子量は、用途に応じて適宜調整可能であり、特に限定されるものではないが、5千以上であり、好ましくは1.2万以上である。数平均分子量が5千より小さい場合、ポリマーとしての強度が不十分となり好ましくない場合がある。本実施形態により得られるポリマーの重量平均分子量を数平均分子量で除した値は、好ましくは1.0以上2.5以下の範囲であり、より好ましくは1.0以上2.0以下である。この値が2.0より大きい場合、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難であることから好ましくない。
<<ポリマーの用途>>
本実施形態の製造方法により得られたポリマーは、金属触媒及び有機溶剤を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。従って、本実施形態の製造方法により得られたポリマーは、電子写真の現像剤、印刷用インク、建築用塗料、化粧品、医療用材料などの各種用途に幅広く適用される。
その際、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、結晶性、耐候性等を向上させる目的で、各種添加剤、例えば、安定剤(エポキシ化大豆油、カルボジイミド等)、酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール等)、防曇剤(グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリル等)、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤効果を持つ無機添加剤(クレイ、タルク、シリカ等)、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料(酸化チタン、カーボンブラック、群青等)、滑剤、天然物等を添加し、ポリマー組成物として使用してもよい。
上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
<<実施形態の効果>>
従来の開環重合性モノマーの溶融重合法では、一般的に、150℃以上の高温で反応させるため、ポリマー中に未反応のモノマーが残存する。そのため未反応のモノマーを除去する工程が必要となる場合がある。また、溶媒を用いて溶液重合した場合、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。即ち、従来のいずれの方法でも、工程の増加や、収率低下によるコストアップが避けられない。
本実施形態の重合方法によると、圧縮性流体と開環重合性モノマーとを接触させた後に、触媒を加えて開環重合性モノマーを開環重合させる。この場合、以下の理由により、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
(1)圧縮流体を接触させることによって、開環重合性モノマーを低温で溶融させることにより、反応が低温で進む。
(2)低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらず、加えた開環重合性モノマーに対して高収率でポリマーが得られる(すなわち未反応の開環重合性モノマーが少ない)。これにより、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーを得るための未反応の開環重合性モノマーの除去等の精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)触媒として金属を含有しない有機化合物を選択できるため、特定の金属の含有を嫌う用途のポリマーを製造する場合に、その除去工程が不要である。
(4)乾燥したポリマーが1段階の工程で得られることから、乾燥工程も簡略化又は省略できる。
(5)圧縮性流体を用いるため、有機溶剤を用いずに開環重合反応を行うことができる。なお、有機溶剤とは、開環重合性モノマーを溶かすために用いる液体の有機化合物を意味する。
(6)圧縮性流体によって開環重合性モノマーを溶融させた後に、触媒を加えて開環重合させるため、均一に反応が進む。このため、光学異性体や他のモノマー種との共重合体を得る場合に、好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例を示して本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で得られたポリマーの分子量及び残存モノマー量は次のようにして求めた。
<ポリマーの分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%の試料を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
<モノマーのポリマー転化率(モル%)>
ポリ乳酸の場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98〜5.05ppm)として算出し、これを100倍したものである。ポリマー転化率は、100から算出した未反応モノマーの量を差し引いた値である。
ポリカプロラクトンの場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリカプロラクトン由来の三重線ピーク面積比(4.04〜4.08ppm)に対するカプロラクトン由来の三重線ピーク面積比(4.22〜4.25ppm)として算出し、これを100倍したものである。ポリマー転化率は、100から算出した未反応モノマーの量を差し引いた値である。
ポリカーボネートの場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリカーボネート由来の四重線ピーク面積比(4.22〜4.25ppm)に対するエチレンカーボネート由来の一重線ピーク面積比(4.54ppm)として算出し、これを100倍したものである。ポリマー転化率は、100から算出した未反応モノマーの量を差し引いた値である。
<残触媒量>
上記のGPC測定の結果、及び上記のNMR測定の結果に基づいて、以下の式により残触媒量を算出した。
残触媒量=(上記GPC測定結果から求めた分子量1000以下のピーク面積(wt%)) − (上記NMR測定結果から求めた未反応モノマー量(wt%))
<反応容器>
図4の100mlのバッチ式圧力容器を使用した。
〔実施例1−1〕
L−乳酸のラクチド90質量部、D−乳酸のラクチド10質量部、開始剤のラウリルアルコールをモノマー100モル%に対し1.00モル%として、系全体の質量を50gになるよう計量し、100mLの圧力容器27に加えた。それらを110℃に加熱し溶融させた後に、ポンプ22にて超臨界二酸化炭素(60℃、15MPa)を充填し、10分間攪拌しながら溶解させた。この場合、系内の温度を60℃に調整した。なお、系内の原材料の比重が1.25であること、および60℃、15MPaにおける圧縮性流体の比重が0.65であることから、モノマーおよび開始剤などの原材料と圧縮性流体としての二酸化炭素との比率とは1.26である。
つぎに、圧縮性流体の経路を添加ポット25経由に切り替えた。これにより、あらかじめ添加ポット25に仕込んだ有機触媒(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、2.0mol%)を、圧力容器27内の圧力より1MPa高い設定圧力で、添加ポット25から圧力容器27へ押し出して加えた。その後、2時間反応させた。反応終了後、排出バルブ28より圧縮性流体とポリマーとを減圧させながら抜き出し、ポリマー(ポリ乳酸)を得た。このポリマーについて上記の方法で物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率、残触媒量)を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例1−2〜1−4〕
開始剤量を、表1の実施例1−2〜1−4の欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
〔実施例1−5〜1−7〕
反応温度を、表2の実施例1−5〜1−7の欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表2に示す。
〔実施例1−8〜1−10〕
反応圧力を、表2の実施例1−8〜1−10欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表2に示す。
〔実施例1−11〜1−13〕
反応時間及び反応圧力を表2の実施例1−11〜1−13欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表2に示す。
〔実施例1−14〜1−16〕
触媒量を表3の実施例1−14〜1−16欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表3に示す。
〔実施例1−17〜1−19〕
開始剤にポリカーボネート(旭化成ケミカルズ社製デュラノールG3450J)、ポリカプロラクトン(ダイセル化学株式会社製プラクセル220)、ポリテトラメチレングリコール(デュポン社製テラタン2000)を用い、表4の実施例1−17〜1−19に示す量を加えた以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表4に示す。
〔実施例1−20〜1−22〕
触媒種、反応圧力、反応時間を表5の実施例1−20〜1−22欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表5に示す。
〔実施例1−23〜1−27、1−32〜1−34〕
開環性モノマー種、触媒種、反応圧力、反応温度、反応時間を表5の実施例1−23〜1−27、1−32〜1−34欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表5に示す。
〔実施例1−28〕
図3の重合反応装置100を用いて、L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10)の開環重合を行った。重合反応装置100の構成を示す。
タンク1,計量フィーダー2:
日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、開環重合性モノマーとして液化させた状態のラクチド
(L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(重量比90/10))
を充填した。
タンク3,計量フィーダー4:
日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ (PU-2080)
タンク3には、開始剤としてラウリルアルコールを充填した。
タンク5,計量ポンプ6:本実施例では使用しなかった。
タンク7 :炭酸ガスボンベ
タンク11,計量ポンプ12:
日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ (PU-2080)
タンク11にはDBU(有機触媒)を充填した。
溶融混合装置9:攪拌機能を有さない1/8インチの耐圧配管
反応容器13 :攪拌機能を有さない1/8インチの耐圧配管
計量フィーダー2は、タンク1内の液化させた状態のラクチドを流速4g/分で溶融混合装置9の容器内に定量供給する。計量フィーダー4は、タンク3内のラウリルアルコールを、ラクチド99.5モルに対し0.5モルとなるように溶融混合装置9の容器内に定量供給する。計量ポンプ8は、タンク7内の炭酸ガスを、単位時間当たりに供給される原材料100質量部に対して5質量部となるように、溶融混合装置9の容器内連続的に供給する。なお、ここでの原材料とは、開環重合性モノマーであるラクチドおよび開始剤として加えているラウリルアルコールである。なお、原材料のフィード量は4.26g/分である。更に、重合系内の圧力が15MPaとなるように、圧調整バルブ14の開度を調整した。また、溶融混合装置9の原材料導入部付近の設定温度を100℃、溶融混合した材料の出口付近の設定温度を60℃とした。これにより、溶融混合装置9は、各タンク(1,3,7)から供給されたラクチドおよびラウリルアルコールの原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させ、混合させ、溶融させた。
溶融混合装置9で溶融させた各材料は、送液ポンプ10によって反応容器13に送液される。タンク11に貯蔵された重合触媒(DBU)を計量ポンプ12によってラクチド99.9モルに対して0.1モルとなるように反応容器13内に導入することにより、DBUの存在下ラクチドの開環重合を行った。反応容器13における導入部付近の設定温度を60℃、先端部の設定温度を60℃とし、反応容器13内の各材料の平均滞留時間を約1200秒とした。圧調整バルブ14を通過して得られたポリマー生成物(ポリ乳酸)について上記の方法で物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)を求めた。結果を表6に示す。
〔実施例1−29〜1−31、1−35〜1−37〕
開始剤種、フィード比を、表6の実施例1−29〜1−31、1−35〜1−37欄に示すように変えた点以外は、実施例1−28と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表6に示す。
〔比較例1−1〜1−3〕
反応圧力、反応温度、及び反応時間を、表6の比較例1−1〜1−3欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。なお、比較例1−1〜1−3において、二酸化炭素は圧縮性流体とならない。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表7に示す。
〔比較例1−4〕
L−乳酸のラクチド90質量部、D−乳酸のラクチド10質量部、開始剤のラウリルアルコールをモノマー100モル%に対し1.00モル%、有機触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を2.0mol%として、系全体の質量を50gになるように計量し、100mLの耐圧容器に加えた。実施例1との違いは、有機触媒を加えるタイミングである。その後、超臨界二酸化炭素(60℃、15MPa)を充填し、系内の温度を60℃到達後、1時間、反応させた。反応終了後、排出バルブ28より圧縮性流体とポリマーとを減圧させながら抜き出し、ポリマー(ポリ乳酸)を得た。このポリマーについて前述の方法で求めた物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率、残触媒量)を表6に示す。
〔比較例1−5〜1−6〕
反応時間を表6の比較例1−5〜1−6欄に示すように変えた点以外は、比較例1−4と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表6に示す。
〔比較例1−7〕
触媒を用いず、反応温度を表6の比較例1−7欄に示すように変えた点以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表6に示す。
〔実施例2−1〜2−4〕
実施例1−1〜1−4で得られたポリマーを120℃で4時間真空乾燥を行った。得られたポリマーについて上記の方法で物性値を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0005998676
Figure 0005998676
Figure 0005998676
Figure 0005998676
Figure 0005998676
Figure 0005998676
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〔実施例3−1〕
図4の重合反応装置200を用いて、L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10)の開環重合を行った。重合反応装置200の構成を示す。
ボンベ21 :炭酸ガスボンベ
添加ポット25:1/4インチのSUS316の配管をバルブ24、29の間に挟んで
添加ポットとして使用した。管内には予め
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
(DBU)0.5gを充填した。
反応容器27 :100mlのSUS316製の耐圧容器
開環重合性モノマーとして予め液化させた状態のラクチド
(L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(重量比90/10))と、
開始剤としてのラウリルアルコールと、の混合物(モル比100/3)
108gを予め充填した。
ポンプ22を作動させ、バルブ(23、26)を開放することにより、ボンベ21に貯蔵された二酸化炭素を、添加ポット25を経由せずに反応容器27に供給した。反応容器27内の空間を二酸化炭素で置換した後、反応容器27内の圧力が15MPaになるまで二酸化炭素を充填した。反応容器27の容器内を60℃まで冷却した後、バルブ(24,29)を開き、添加ポット25内の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を、反応容器27内に供給した。その後、反応容器27内で、12時間ラクチドの重合反応を行った。反応終了後、バルブ28を開放し、徐々に反応容器27内の温度、圧力を常温、常圧まで戻し、3時間後に、反応容器27内のポリマー(ポリ乳酸)を取り出した。このポリマーについて上記の方法で求めた物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)を表8に示す。また、表8における混合比は、下式により算出した。
超臨界二酸化炭素の空間容積:100ml−108g/1.27(原材料の比重)=15ml
超臨界二酸化炭素の質量:15ml×0.303(110℃、15MPaでの二酸化炭素の比重)=4.5
混合比:108g/(108g+4.5g)=0.96
〔実施例3−2〜3−4〕
開始剤量を、表8の実施例3−2〜3−4の欄に示すように変えた点以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表8に示す。
〔実施例3−5〜3−7〕
混合比および反応温度を、表8の実施例3−5〜3−7の欄に示すように変えた点以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表8に示す。
〔実施例3−8〜3−10〕
混合比、及び、反応圧力を、表9の実施例3−8〜3−10の欄に示すように変えた点以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表9に示す。
〔実施例3−11〜3−13,3−19,3−20〕
反応容器27内の原材料の充填量を90g(実施例3−11)、70g(実施例3−12)、50g(実施例3−13)、30g(実施例3−19)、10g(実施例3−20)とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表9および表10に示す。
〔実施例3−14〜実施例3−16〕
有機触媒を、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)(実施例3−14)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(実施例3−15)、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)(実施例3−16)に変更した以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表10に示す。
〔実施例3−17〜実施例3−18〕
開環重合性モノマーを、実施例3−17では、ε−カプロラクトンに、実施例3−18では、エチレンカーボネートに、それぞれ変えるとともに、使用する有機触媒を、実施例3−17では、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)に変えて、それぞれ2時間重合反応を行った点以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表10に示す。
Figure 0005998676
Figure 0005998676
Figure 0005998676
1 タンク
2 計量フィーダー
3 タンク
4 計量フィーダー
5 タンク
6 計量ポンプ
7 タンク
8 計量ポンプ
9 溶融混合装置
10 送液ポンプ
11 タンク
12 計量ポンプ
13 反応容器
14 圧調整バルブ
21 ボンベ
22 ポンプ
23 バルブ
24 バルブ
25 添加ポット
26 バルブ
27 反応容器
28 排出バルブ
29 バルブ
100 重合反応装置
200 重合反応装置
P ポリマー
特開2008−63420号公報 特開2009−1614号公報
Ganapathy,H.S.;Hwang,H.S.;Jeong,Y.T.;LEE,W−T.;Lim,K.T.Eur Polym J.2007,43(1),119−126. Idriss Blakey, Anguang Yu, Steven M.Howdle, Andrew K.Whittakera and Kristofer J.Thurechta,Green Chemistry,2011,Advance Article 「超臨界流体の最新応用技術」、第173頁、2004年3月15日、株式会社エヌ・ティー・エス発行

Claims (5)

  1. 圧縮性流体と開環重合性モノマーと開環重合開始剤とを接触させた後に、触媒を加えて、前記開環重合性モノマーを開環重合させる工程を有し、
    前記圧縮性流体が、超臨界二酸化炭素であり、
    前記開環重合性モノマーが、ラクチド、ε−カプロラクトン、ε−カプロラクタム、及びエチレンカーボネートから選択される一種以上であり、
    前記触媒が、DABCO、ITBU、DPG、TDB、DBU、DMAP、及びオクチル酸スズから選択される一種以上であり、
    前記開環重合開始剤が、水酸基を少なくとも一つ有する化合物である
    ことを特徴とするポリマーの製造方法。
  2. 前記圧縮性流体と前記開環重合性モノマーとを接触させることにより、前記開環重合性モノマーを溶融させた後に、前記触媒を加えることを特徴とする請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  3. 前記触媒は、金属を含有しない有機化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマーの製造方法。
  4. 下式の条件で前記開環重合性モノマーを含む原材料と前記圧縮性流体とを接触させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
    Figure 0005998676
  5. 前記開環重合性モノマーのポリマー転化率が98モル%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
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