JP2013166943A - ポリマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の製造方法により超臨界二酸化炭素中で金属触媒を用いてラクチドを重合した場合には、重合反応に長い時間を要し、収率も低くなるというという課題があった。
【解決手段】 本発明のポリマーの製造方法は、開環重合性のモノマーを含む原材料と、圧縮性流体とを混合比で所定の混合比で接触させて、金属触媒の存在下、前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程を有する。これにより、超臨界二酸化炭素中で金属触媒を用いてL−ラクチドを開環重合させた場合と比較して、重合反応に要する時間を短く、高い収率でポリマーを製造することができるという効果を奏する。
【選択図】図3

Description

本発明は、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを製造するポリマーの製造方法に関する。
従来、金属触媒を用いて開環重合性モノマーを開環重合させることによりポリマーを製造する方法が知られている。例えば、ラクチドを主成分とする重合原料を溶融状態で反応させて重合し、ポリ乳酸を製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。開示された方法によると、金属触媒としてオクチル酸錫を用い、反応温度を195℃として、溶融状態でラクチドを反応させて重合させている。
ところが、この製造方法によりポリ乳酸を製造した場合、2%を超えるラクチドが生成物に残留する(特許文献1参照)。これは、ラクチド等の開環重合の反応系においては開環重合性モノマーとポリマーとの平衡関係が成立し、上記の反応温度のような高温で開環重合性モノマーを開環重合した場合には、解重合反応によって開環重合性モノマーが生じやすくなることによる。残留したラクチド(開環重合性モノマー)は、生成物の加水分解触媒として機能したり、耐熱性を低下させたりする。
低温で開環重合性モノマーを開環重合させる方法としては、有機溶媒中でラクチドの開環重合を行う方法が開示されている(特許文献2)。開示された方法によると、ジクロロメタン溶液中D−ラクチドを25℃で重合することにより、99.4%のモノマー転化率でポリ−D−乳酸を得ている。ところが、有機溶媒を用いて重合を行った場合には、重合後に有機溶媒を乾燥させる処理が必要となり、生産効率が低下するという問題があった。
低温で有機溶媒を使用せずに開環重合性モノマーを開環重合させる方法としては、超臨界二酸化炭素中で金属触媒を用いてL−ラクチドを重合させる方法が開示されている(非特許文献1参照)。開示された方法によると、金属触媒としてオクチル酸スズを用い、反応温度を80℃、圧力を207barとして、超臨界二酸化炭素に対し10w/v%のl−ラクチドを、47時間重合させることにより、85%の収率でポリ乳酸の微粒子を得ている。この場合、用いられた超臨界二酸化炭素は、重合後に常温、常圧に戻したときに気体に変わるため、重合後に溶媒を乾燥させる処理を必要としない。
しかしながら、従来の製造方法により超臨界二酸化炭素中で金属触媒を用いてラクチドを重合した場合には、重合反応に長い時間を要し、収率も低くなるというという課題があった。
請求項1に係る発明は、開環重合性モノマーを含む原材料と、圧縮性流体とを下式の混合比で接触させて、金属触媒の存在下、前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程を有することを特徴とするポリマーの製造方法である。
Figure 2013166943
以上説明したように、本発明のポリマーの製造方法は、開環重合性モノマーを含む原材料と、圧縮性流体とを所定の混合比で接触させて、金属触媒の存在下、開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程を有する。これにより、従来の製造方法により超臨界二酸化炭素中で金属触媒を用いてL−ラクチドを開環重合させた場合と比較して、重合反応に要する時間を短縮し、高い収率でポリマーを製造することができるという効果を奏する。
温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。 本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 重合工程の一例を示す系統図である。
以下、本発明の一実施形態について詳しく説明する。本実施形態のポリマーの製造方法は、開環重合性のモノマーを含む原材料と、圧縮性流体とを所定の混合比で接触させて、金属触媒の存在下、開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程を有する。本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料である。
<<材料>>
まず、上記の製造方法で原材料として用いられる開環重合性モノマー、金属触媒などの成分について説明する。
<開環重合性モノマー>
本実施形態で用いられる開環重合性モノマーは、エステル結合を環内に有するものが好ましい。このような、開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
環状エステルとしては、特に限定されないが、次の一般式(1)で表される化合物のL体及び/又はD体を脱水縮合して得られる環状二量体が好適に用いられる。
R−C*−H(−OH)(−COOH) 一般式(1)
(一般式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「*」は、不斉炭素を表す。)
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性、又は入手容易性の点から特に好ましい。これら環状二量体は単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能である。
一般式(1)以外の環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラクトンを挙げることができる。特にε−カプロラクトンが反応性・入手性の観点から好ましい。また、環状カーボネートとしては、特に限定されないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの開環重合性モノマーは、一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
<金属触媒>
本実施形態の製造方法で用いられる金属触媒は、金属原子を含む有機触媒である。このような金属触媒としては、特に限定されず、オクチル酸スズ、ジブチル酸スズなどのスズ系化合物、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミなどのアルミ系化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロオイキシドなどのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物などの公知のものが用いられる。
金属触媒の添加量は、金属触媒種、開環重合モノマー種などに応じて適宜調整すれば良い。例えば、オクチル酸スズを用いてラクチドを開環重合する場合、ラクチド100モル%に対して0.005〜0.5モル%、好ましくは0.01〜0.2モル%のオクチル酸スズを用いることが好ましい。
(開始剤)
本実施形態では、得られるポリマーの分子量を制御するために、開始剤が好適に用いられる。開始剤としては、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。開始剤としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;及び乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
また、ポリカプロラクトンジオールやポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマーを開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック、又はトリブロック共重合体が合成される。
開始剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜調整すればよく、好ましくは開環重合性モノマー100モル%に対して、0.05モル%以上5モル%以下である。不均一に重合が開始されるのを防ぐために、開始剤は、モノマーが重合触媒に触れる前にあらかじめモノマーとよく混合しておくことが望ましい。
(添加剤)
また、開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
界面活性剤としては、圧縮性流体に溶解し、かつ圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものが好適に用いられる。このような界面活性剤を使用することで、重合反応を均一に進めることができ、生成物の分子量分布を狭くしたり、粒子状のポリマーを得やすくなる等の効果を期待できる。界面活性剤を用いる場合、圧縮性流体に加えても、開環重合性モノマーに加えても良い。例えば、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、親二酸化炭素基と親モノマー基を分子内に持つ界面活性剤が使用される。このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤が挙げられる。
安定剤としては、エポキシ化大豆油、カルボジイミド等などが用いられる。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが用いられる。防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが用いられる。フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが用いられる。顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、群青等などが用いられる。
<<圧縮性流体>>
次に、図1及び図2を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレンなどが挙げられる。これらの中でも二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、一種を単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
<重合反応装置>
続いて、図3を用いて本実施形態で用いられる重合反応装置について図を用いて説明する。図3は、重合工程の一例を示す系統図である。本実施形態における重合反応の工程は、バッチ式の工程であっても、連続式の工程であっても良いが、以下、バッチ式の工程の例について説明する。
図3の系統図において、重合反応装置100は、タンク7と、計量ポンプ8と、添加ポット11と、反応容器13と、バルブ(21,22,23,24,25)とを有している。上記の各装置は耐圧性の配管30によって図3に示したように接続されている。また、配管30には、継手(30a,30b)が設けられている。
タンク7は、圧縮性流体を貯蔵する。なお、タンク7は、反応容器13に供給される供給経路あるいは反応容器13内で加熱、加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)または固体を貯蔵しても良い。この場合、タンク7に貯蔵される気体または固体は、加熱または加圧されることにより、反応容器13内で図2の相図における(1)、(2)、または(3)の状態となる。
計量ポンプ8は、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力および流量で反応容器13に供給する。添加ポット11は、反応容器13内の原材料に添加される金属触媒を貯蔵する。バルブ(21,22,23,24)は、それぞれを開閉させることにより、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を、添加ポット11を経由して反応容器13に供給する経路と、添加ポット11を経由せずに反応容器13に供給する経路などとを切り換える。
反応容器13には、重合を開始する前に予め開環重合性モノマーおよび開始剤が収容される。これにより、反応容器13は、予め収容された開環重合性モノマーおよび開始剤と、タンク7から供給された圧縮性流体と、添加ポット11から供給された金属触媒とを接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させるための耐圧性の容器である。なお、反応容器13には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていても良い。また、反応容器13は、原材料および圧縮性流体を加熱するためのヒータを有している。更に、反応容器13は、原材料、および圧縮性流体を攪拌する攪拌装置を有している。原材料と生成したポリマーとの密度差が生じたときに、攪拌装置の攪拌を加えることで生成したポリマーの沈降を抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。バルブ25は、重合反応終了後に開放されることにより反応容器13内の圧縮性流体と生成物(ポリマー)とを排出する。
<<重合方法>>
続いて、重合反応装置100を用いた開環重合性モノマーの重合方法について説明する。まず、計量ポンプ8を作動させ、バルブ(21、22)を開放することにより、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を添加ポット11を経由せずに反応容器13に供給する。これにより、反応容器13内で、予め収容された開環重合性モノマーおよび開始剤と、タンク7から供給された圧縮性流体と、が接触し、攪拌装置によって攪拌されて、開環重合性モノマーなどの原材料が溶融する。なお、本実施形態において、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。
この場合、反応容器13内での原材料と圧縮性流体流体との比(混合比)は、(i)式の範囲とする。
Figure 2013166943
なお、本実施形態において、上式における原材料には、開環重合性モノマーおよび開始剤が含まれる。上記混合比は、より好ましくは、0.65以上0.99以下、さらに好ましくは0.80以上、0.95以下である。混合比が0.5以下であると、圧縮性流体の使用量が増えることによって経済的ではないばかりか、開環重合性モノマーの密度が低くなるため、重合速度が低下する場合がある。なお、混合比の範囲は、バッチ式の工程であっても、連続式の工程であっても適用される。なお、連続式の工程の場合、上記の混合比の範囲は(ii)式で表される。
Figure 2013166943
反応容器13内で、開環重合性モノマーを溶融させるときの温度および圧力は、供給された圧縮性流体が気体に変わることを避けるため、少なくとも上記圧縮性流体の三重点以上の温度および圧力に制御される。この制御は、反応容器13のヒータの出力あるいはバルブ(21、22)の開閉度を調整することにより行われる。本実施形態において、開環重合性モノマーを溶融させるときの温度は、開環重合性モノマーの常圧での融点以下の温度であっても良い。これは、圧縮性流体の存在下、反応容器13内が高圧となり、開環重合性モノマーの融点が低下することによる。このため、圧縮性流体の量が少なく上記の混合比が大きい場合であっても、反応容器13内で開環重合性モノマーは溶融する。
また、各原材料が効率的に溶融するように、反応容器13で各原材料および圧縮性流体に熱や攪拌を加えるタイミングを調整しても良い。この場合、各原材料と圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても、各原材料と圧縮性流体とを接触させながら熱や攪拌を加えても良い。また、あらかじめ開環重合性モノマーに融点以上の熱を加えて溶融させてから、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを接触させても良い。
続いて、バルブ(23,24)を開き、添加ポット11内の金属触媒を、反応容器13内に供給する。反応容器13に供給された金属触媒は、必要に応じて反応容器13の攪拌装置によって充分に攪拌され、ヒータにより所定温度に加熱される。これにより、反応容器13内で、金属触媒の存在下、開環重合性モノマーが開環重合してポリマーが生成する。
開環重合性モノマーを開環重合させる際の温度(重合反応温度)の範囲は、開環重合性モノマーの融点よりも40℃低い温度以上であって、開環重合性モノマーの融点よりも40℃高い温度以下である。重合反応温度が、開環重合性モノマーの融点よりも40℃低い温度未満では反応速度が低下しやすく、定量的に重合反応を進めることができない場合がある。また、重合反応温度が、開環重合性モノマーの融点よりも40℃高い温度を超えると、解重合反応も平衡して起きるため、やはり定量的に重合反応が進みにくくなる。ただし、圧縮性流体、開環重合性モノマー及び金属触媒の組み合わせなどによっては、上記範囲以外の温度で開環重合性モノマーを開環重合させても良い。
超臨界二酸化炭素を用いた従来のポリマーの製造方法において、超臨界二酸化炭素はポリマーの溶解能が低いことから、多量の超臨界二酸化炭素を用いて開環重合性モノマーを重合させていた。本実施形態の重合法によれば、圧縮性流体を用いたポリマーの製造方法においては、従来にない高い混合比で開環重合性モノマーを開環重合させる。この場合、圧縮性流体の存在下、反応容器13内が高圧となり、生成したポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する。これにより生成したポリマーが低粘度化するので、ポリマーの濃度が高くなった状態でも均一に開環重合反応が進行する。
本実施形態において、重合反応時間は、目標とする分子量に応じて設定される。目標とする分子量が3000〜100000である場合、重合反応時間は2〜24時間である。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、タンク7から供給された圧縮性流体が液化ガス(図2の相図の(2))、または高圧ガス(図2の相図の(3))となる圧力でも良いが、超臨界流体(図2の相図の(1))となる圧力が好ましい。圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、開環重合性モノマーの溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。なお、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力は、3.7MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは臨界圧力の7.4PMa以上である。また、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、同様の理由により、その温度は25℃以上であることが好ましい。
反応容器13内の水分量は、開環重合性モノマー100モル%に対して、4モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.5モル%以下である。水分量が4モル%を超えると、水分自体も開始剤として寄与するため、分子量の制御が困難となる場合がある。重合反応系内の水分量を制御するために、必要に応じて、前処理として、開環重合性モノマー、その他原材料に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
上記開環重合性モノマーを重合させたポリマーに対して、ウレタン結合やエーテル結合を導入することも可能である。このウレタン結合やエーテル結合は、開環重合性モノマーと同様に、イソシアネート化合物やグリシジル化合物を加えて圧縮性流体中で重付加反応させることにより導入できる。この場合、分子構造を制御するために、開環重合性モノマーの重合反応終了後に、別途上記化合物を加えて反応させる方法がより好ましい。
重付加反応で用いられるイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート化合物が挙げられる。グリシジル化合物としては、特に限定されないが、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート等の多官能グリシジル化合物が挙げられる。
反応容器33内で開環重合反応を終えたポリマーPは、バルブ25から排出され、反応容器13の外へ送り出される。
本実施形態の製造方法において、開環重合性モノマーの開環重合によるポリマー転化率は、96モル%以上、好ましくは98モル%以上である。ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマーとしての熱特性が不十分であったり、また別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。なお、本実施形態においてポリマー転化率とは、原材料としての開環重合性モノマーに対する、ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの量の割合を意味する。ポリマーの生成に寄与したモノマーの量は、生成したポリマーの量から、未反応の開環重合性モノマーの量を差し引くことにより得られる。
本実施形態により得られるポリマーの数平均分子量は、開始剤の量によって調整が可能である。特に限定されるものではないが、数平均分子量は一般的に1.2万以上20万以下である。数平均分子量が20万より大きい場合、粘性の上昇に伴う生産性の悪化により経済的ではない場合がある。数平均分子量が1.2万より小さい場合、ポリマーとしての強度が不十分となり好ましくない場合がある。本実施形態により得られるポリマーの重量平均分子量を数平均分子量で除した値は、好ましくは1.0以上2.5以下の範囲であり、より好ましくは1.0以上2.0以下である。この値が2.0より大きい場合、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難になることから好ましくない。
<<ポリマーの用途>>
本実施形態の製造方法により得られたポリマーは、有機溶剤を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。従って、本実施形態の製造方法により得られたポリマーは、電子写真の現像剤、印刷用インク、建築用塗料、化粧品、医療用材料などの各種用途に幅広く適用される。
<<実施形態の効果>>
従来の開環重合性モノマーの溶融重合法では、一般的に、150℃以上の高温で反応させるため、ポリマー中に未反応のモノマーが残存する。そのため未反応のモノマーを除去する工程が必要となる場合がある。また、溶媒を用いて溶液重合した場合、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。即ち、従来のいずれの方法でも、工程の増加や、収率低下によるコストアップが避けられない。
本実施形態の重合方法によると、以下の理由により、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
(1)溶融重合法と比較して、低温で反応が進む。
(2)低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらず、加えた開環重合性モノマーに対して高収率でポリマーが得られる(すなわち未反応の開環重合性モノマーが少ない)。これにより、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーを得るための未反応の開環重合性モノマーの除去等の精製工程を簡略化又は省略できる。
以下、実施例及び比較例を示して本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られたポリマーの分子量及び残存モノマー量は次のようにして求めた。
<ポリマーの分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
<モノマーのポリマー転化率(モル%)=未反応モノマー量(モル%)>
日本電子社製核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、重クロロホルム中で生成物のポリ乳酸の核磁気共鳴測定を行った。この場合、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積(4.98〜5.05ppm)の比を算出し、これを100倍したものを未反応モノマー量(モル%)とした。ポリマー転化率は、100から算出した未反応モノマーの量を差し引いた値である。
〔実施例1〕
図3の重合反応装置100を用いて、L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(90/10)の開環重合を行った。重合反応装置100の構成を示す。
タンク7 :炭酸ガスボンベ
添加ポット11:1/4インチのSUS316の配管をバルブ23、24に挟んで
添加ポットとして使用した。
予め2−エチルヘキサン酸スズ4mgを充填した。
反応容器13 :100mlのSUS316製の耐圧容器
予め開環重合性モノマーとしての溶融状態のラクチド
(L−ラクチドおよびD−ラクチド混合物(重量比90/10))と、
開始剤としてのラウリルアルコールと、の混合物(モル比100/3)
108gを充填した。
計量ポンプ8を作動させ、バルブ(21、22)を開放することにより、タンク7に貯蔵された二酸化炭素を添加ポット11を経由せずに反応容器13に供給した。反応容器13内の空間を二酸化炭素で置換した後、反応容器13内の圧力が15MPaになるまで二酸化炭素を充填した。反応容器13の容器内を110℃まで昇温した後、バルブ(23,24)を開き、添加ポット11内の2−エチルヘキサン酸スズを、反応容器13内に供給した。その後、反応容器13内で、12時間ラクチドの重合反応を行った。反応終了後、バルブ25を開放し、徐々に反応容器13内の温度、圧力を常温、常圧まで戻し、3時間後に、反応容器13内のポリマー(ポリ乳酸)を取り出した。このポリマーについて前述の方法で求めた物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)を表1に示す。また、表1における混合比は、下式により算出した。
超臨界二酸化炭素の空間容積:100ml−108g/1.27(原材料の比重)=15ml
超臨界二酸化炭素の質量:15ml×0.303(110℃、15MPaでの二酸化炭素の比重)=4.5
混合比:108g/(108g+4.5g)=0.96
〔実施例2〜4〕
開始剤量を、表1の実施例2〜4の欄に示すように変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
〔実施例5〜7〕
混合比および反応温度を、表1の実施例5〜7の欄に示すように変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
〔実施例8〜10〕
混合比、開始剤量、及び、反応圧力を、表2の実施例8〜10の欄に示すように変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表2に示す。
〔実施例11〜14,比較例1〕
反応容器13内の原材料の充填量を90g(実施例11)、70g(実施例12)、50g(実施例13)、30g(実施例14)、10g(比較例1)とし、反応時間を表2の実施例11〜13の欄に示すように変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表2および表3に示す。
〔実施例15〜実施例17〕
反応温度および反応時間を表3に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表3に示す。
Figure 2013166943
Figure 2013166943
Figure 2013166943
7 タンク
8 計量ポンプ
11 添加ポット
13 反応容器
21,22,23,24,25 バルブ
100 重合反応装置
特開平8−259676号公報 特開2009−1614号公報
Ganapathy,H.S.;Hwang,H.S.;Jeong,Y.T.;LEE,W-T.;Lim,K.T.Eur Polym J.2007,43(1),119-126.

Claims (7)

  1. 開環重合性モノマーを含む原材料と、圧縮性流体とを下式の混合比で接触させて、金属触媒の存在下、前記開環重合性モノマーを開環重合させる重合工程を有することを特徴とするポリマーの製造方法。
    Figure 2013166943
  2. 前記開環重合性モノマーのポリマー転化率は、98モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  3. 前記ポリマーの数平均分子量は、12000以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマーの製造方法。
  4. 前記圧縮性流体は、二酸化炭素を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  5. 前記開環重合性モノマーは、エステル結合を環内に有するモノマーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  6. 前記重合工程で開環重合させる際の重合反応温度の下限は、前記開環重合性モノマーの融点よりも40℃低い温度であって、前記重合反応温度の上限は、前記開環重合性モノマーの融点よりも40℃高い温度であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
  7. 前記重合工程で開環重合させる際の重合反応温度の上限は100℃であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリマーの製造方法。
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