JP6515466B2 - ポリマー製造装置及びポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
前記課題を解決する手段の1つとして、例えば、反応槽と、該反応槽にヒドロキシカルボン酸の縮合物溶融物を供給する手段と、該反応槽に重合触媒を供給する手段と、これにより該反応槽内において触媒との接触による解重合により環状二量体に変換し、これを開環重合することによりポリエステルを製造するポリエステル製造装置が提案されている(特許文献1参照)。この提案の製造装置によると、縮合物溶融物の滞留量を測定する機器を設けた薄膜蒸発装置を有し、これにより縮合物溶融物の薄層化、解重合を実施することで、原材料のラクチドモノマーを生成する解重合時に、熱分解の影響を小さくすることができ、高収率でポリマーが得られるとされている。
本発明のポリマー製造装置は、モノマーを少なくとも含む原材料を供給する第一の供給部と、圧縮性流体を供給する第二の供給部とを含む供給部と、前記第一の供給部から供給された前記モノマーと前記第二の供給部から供給された前記圧縮性流体とを接触させる接触部と、前記モノマーの反応生成物を排出する排出口とを有している。
更に、前記接触部と前記排出口との間には、前記第二の供給部から供給された前記圧縮性流体の存在下、前記モノマーを重合反応させながら前記接触部側から前記排出口側に向けて流動させる反応部を有している。
前記反応部は、循環手段を少なくとも有しており、前記循環手段よりも排出口側に設けられた押出手段を有することが好ましく、また、前記循環手段は、前記接触部側から前記排出口側に向けて流体が流れる第一の配管と、前記流体を前記押出手段よりも上流側に設けられた戻し口から前記戻し口よりも上流側に設けられた導入口に戻すための第二の配管とを有している。
・前記第二の配管を流れる流体を冷却するための冷却装置が設けられていることを特徴とする。
・前記第一の配管は、前記第二の配管を流れる流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持つように配置されていることを特徴とする。
・前記第二の配管は、前記第二の配管を流れる流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持つように配置されていることを特徴とする。
本発明のポリマーの製造方法は、モノマーを含む原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させた前記モノマーを重合反応させながら上流から下流に向けて流すと共に、前記下流に流れて来た流体の少なくとも一部を前記下流から前記上流に向けて流すことによって循環させる工程を有することを特徴とする。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
最初に、図3A及び図3Bを用いて、本発明のポリマー製造装置の一態様について説明する。
ポリマー製造装置100には、モノマーの一例としての開環重合性モノマー等の原材料、及び圧縮性流体を供給する供給ユニット100aと、供給ユニット100aによって供給された開環重合性モノマーを重合させるポリマー製造装置本体100bとを有する。供給ユニット100aから供給された原材料等の供給物は、配管30を流れていく。
供給ユニット100aには、タンク(1,3,5,7,11)と、計量フィーダー(2,4)と、計量ポンプ(6,8,12)とが設けられている。なお、タンク、計量フィーダー、及び計量ポンプ、それぞれの数や配置は必要に応じて適宜変更することが可能である。
ポリマー製造装置本体100bにおいて、供給された原材料と圧縮性流体とが接触する接触部9と、モノマーの反応生成物が排出される排出口21との間には、循環部14aと該循環部よりも下流に設けられた押出部14bとを含む反応部14が設けられている。また、図3Aに示されるように、適宜、送液ポンプ10や、押出口金15等の開閉手段を設けてもよい。
また、タンク3には開始剤及び添加剤のうち固体(粉末又は粒状)のものが貯蔵され、タンク5には開始剤及び添加剤のうち液体のものを貯蔵されるが、タンク3に貯蔵される供給物とタンク5に貯蔵される供給物とは入れ替わってもよいし、タンク3と5に貯蔵される供給物がいずれも固体であってもよいし、タンク3と5に貯蔵される供給物がいずれも液体であってもよい。また、開始剤及び添加剤がいずれも固体の場合には、ポリマー製造装置100は、タンク5及び計量ポンプ6を有していなくてもよい。同様に、開始剤及び添加剤がいずれも液体の場合には、ポリマー製造装置100は、タンク3及び計量フィーダー4を有していなくてもよい。タンク7は圧縮性流体が貯蔵される。なお、タンク7には、タンク内で圧縮性流体として存在するものの他、接触部9に供給される過程で圧縮性流体となる気体(ガス)、又は、固体、又は接触部9において加熱もしくは加圧されることにより圧縮性流体となる気体(ガス)、又は固体を貯蔵しても構わない。この場合、タンク7に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、接触部9において図2の相図における(1)、(2)、又は(3)の圧縮性流体の状態となる。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。圧縮性流体の詳細な説明については、後述する。
計量フィーダー4は、タンク3に貯蔵された固体を計量して接触部9に連続的に供給する供給手段の一例である。
計量ポンプ6は、タンク5に貯蔵された液体を計量して接触部9に連続的に供給する供給手段の一例である。
計量ポンプ8は、圧縮性流体を供給する第二の供給部に設けられた供給手段の一例であり、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を一定の圧力及び流量で接触部9に連続的に供給する。
接触部9よりも下流には、圧縮性流体を更に供給するための導入口13aが設けられていてもよい。導入口13aから導入された圧縮性流体と、接触部9から流れてきた流体とが接触する部分を接触部13と呼ぶ。なお、図3Aでは接触部13に導入される圧縮性流体もタンク7から取得しているが、タンク7とは別の供給手段から供給しても構わない。
図3Aに示されるポリマー製造装置100では、タンク7からの圧縮性流体の供給は、接触部9と接触部13とに同時に行ってもよいし、どちらか一方に選択的に供給させることも可能である。図示はしてないが、流量の管理の点から、接触部9と接触部13のそれぞれに流量計と流量の調整ができるバルブがあることが好ましい。
本実施形態において、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。また、「溶解」とは、原材料が圧縮性流体中に溶けることを意味する。開環重合性モノマーを溶解した場合には流体相、溶融した場合には溶融相が形成されるが、均一に反応を進めるために、溶融相又は流体相のいずれか一相が形成されていることが好ましい。また、圧縮性流体に対して原材料の比率が高い状態で反応を進行させるために、開環重合性モノマーを溶融させることが好ましい。なお、本実施形態では、原材料及び圧縮性流体を連続的に供給することにより、接触部9において、開環重合性モノマー等の原材料と圧縮性流体とを一定の濃度の比率で連続的に接触させることができる。これにより、原材料を効率的に溶融又は溶解させることができる。
特に、互いに噛み合う二軸又は多軸撹拌装置は、撹拌装置や容器への反応物の付着が少なく、セルフクリーニング作用があるので好ましい。接触部9が撹拌装置を有していない場合、接触部9は、耐圧性の配管30の一部によって構成される。なお、接触部9が本実施形態のように配管30によって構成される場合、接触部9内での各材料を確実に混合するため、接触部9に供給される開環重合性モノマーは予め液化されていることが好ましい。
本実施形態において各導入口(9a,9b,9c,9d,9e)は、接触部9において原材料などを供給するためのシリンダーあるいは配管30の一部などの管状の部材と、各原材料又は圧縮性流体を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどが挙げられる。また、接触部9には、供給された各原材料及び圧縮性流体を加熱するためのヒータ9fが設けられている。
タンク11には触媒が貯蔵されている。計量ポンプ12等の供給手段によりタンク11に貯蔵された触媒を計量して接触部9及び/又は接触部13に供給する。なお、本実施形態では、図3Aのように導入口9eを介してタンク11から接触部9に触媒が導入、導入口13bを介して接触部13に触媒が導入される系が示されており、接触部9及び/又は接触部13において触媒を供給しているが、接触部9及び/又は接触部13以外の他の箇所で触媒を供給しても構わない。例えば、タンク1内で予めモノマーと触媒とを混合しておいても構わない。
反応部14は、循環部14aと、該循環部14aよりも下流側(反応生成物の排出口21側)に設けられた押出部14bと有している。循環部14aには、配管30を通って接触部9及び/又は接触部13側から流れてきた流体が下流方向に流れる第一の配管31aと、第一の配管を流れてきた該流体を押出部14bよりも上流側に設けられた戻し口20aから上流側に設けられた導入口20bに戻すための第二の配管31bとから構成される循環手段を有している。
循環手段には、適宜、攪拌装置や、流体ポンプが設けられていることが好ましい。また、循環手段には、更に、第一の配管31aを流れる流体を加熱するためのヒータ、第二の配管31bを流れる流体の反応熱を下げ熱分解を防ぐための冷却装置等が設けられていることが好ましい。冷却装置としては、例えば、多管式熱交換器、二重管式熱交換器等の冷却装置を単独で用いる他、撹拌装置にこれらの冷却装置を備えた複合型の冷却装置等を用いることができる。攪拌装置と冷却装置とを組み合わせることにより、撹拌による反応の促進と共に反応熱による熱分解の抑制ができる。複合型の冷却装置としては、例えば、多管式熱交換器の伝熱管内にスタティックミキサーを設置した冷却装置が好ましい。
配管30を流れ反応部14に流入してくる流体は、流体に含まれている圧縮性流体成分とその他の成分(モノマーとその反応生成物とを含む成分)とが比重差に起因して上下二相に分離し易いという問題がある。二相に分離してしまった状態でモノマーの重合反応が進むと反応生成物の高分子量化によって粘度が上昇してしまい、目詰まりが生じる等の不具合が生じる。しかしながら、本発明のように、循環手段を設けることによって流体の二相分離を抑制することができ、その結果、圧縮性流体による可塑化効果が良好に発揮され、流体の粘度上昇を抑制することが可能となる。なお、循環手段は、流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持った流れとなるような系であることが好ましい。例えば、第一の配管及び/又は第二の配管において、流体が垂直方向(例えば、図7においてθ=90°の場合。)、斜め上方向(例えば、図7において0°<θ<90°の場合。)、あるいは斜め下方向(例えば、図7において0°<θ<−90°の場合。)に流れるように配置された配管部分が設けられていることが好ましい。なお、図7においてθは、30°≦|θ|≦90°が好ましく、より好ましくは、45°≦|θ|≦90°である。また、例えば、第一の配管及び/又は第二の配管において、流体が垂直方向にジグザグしながら流れるジグザグ状の配管部分を設けたり、螺旋状の配管部分(例えば、図8のような態様)が設けられたりしてもよい。また、配管の径については、特に限定はなく、管内で単一径としてもよいし、管内で径を変えても構わない。
循環部14a及び/又は押出部14bに設けられる攪拌手段としては、例えば、互いに噛み合うスクリュウ、2フライト(長円形)、3フライト(三角形様)等の撹拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の撹拌翼をもつ二軸又は多軸の駆動型撹拌装置が挙げられ、これらの攪拌手段はセルフクリーニングの観点から好ましい。また、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌手段として用いることができる。
前記静止型混合器としては、スタティックミキサー、及びそれらに類似する可動部を有さない混合装置が挙げられる。その他、例えば、特公昭47−15526号公報、特公昭47−15527号公報、特公昭47−15528号公報、特公昭47−15533号公報に開示されたもの(多層化混合器)、特開昭47−33166号公報などに開示されたもの(ケニックス型)のものも静止型混合器として用いることができる。なお、これら公報の記載内容は参照することにより本願明細書に含めるものとする。
なお、反応部14における前記撹拌装置と前記冷却装置と前記押出装置との組み合わせについては、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、表1に示した組み合わせ以外のものも適宜用いることができる。
*表1中、冷却装置とは、二重管式熱交換器である。
*表1中、チューブ型反応装置とは、撹拌機能も押出機能も特に設けられておらず、配管で構成された反応装置のことを指し、例えば、螺旋形状の配管であってもよいし、線状の配管であってもよい。
本実施形態では、計量フィーダー2(第一の供給部)から、押出口金15(排出部)に至るモノマー又は生成したポリマーの移送経路は、連通していることが好ましい。これにより、連続的に重合反応を進行させることができるので、重合反応の局所的な進行に起因して不均質な生成物が形成されてしまうことを防ぐことができる。
以下、本発明のポリマー製造装置を用いたポリマー製造の一態様について説明する。
本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料であり、モノマーを少なくとも含み、触媒を含むことが好ましく、更に必要に応じて、開始剤、添加剤等のその他の成分を含んでなる。
前記モノマーとしては、重合性モノマーが好適に用いられる。
本実施形態で用いられる重合性モノマーは、使用する開環重合性モノマーと圧縮性流体との組み合わせにもよるが、開環重合性モノマーが好ましい。これらの中でも、エステル結合などのカルボニル骨格を環内に有するものが好ましい。前記カルボニル骨格は、電気陰性度の高い酸素が炭素とπ結合して成り、π結合電子がひきつけられることにより酸素が負に分極し、炭素が正に分極しているため、反応性が高くなる。また、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、カルボニル骨格が二酸化炭素の構造と似ていることから、二酸化炭素と生成したポリマーとの親和性は高くなると推測される。これらの作用により、圧縮性流体による生成したポリマーの可塑化の効果は高くなる。
前記開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「C*」は、不斉炭素を表す。
本実施形態では、触媒が好適に用いられる。本実施形態で用いられる触媒は、目的に応じて適宜選択することができ、金属原子を含有する金属触媒であっても、金属原子を含有しない有機触媒であってもよい。
上記のような化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、環状モノアミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。なお、カチオン系の有機触媒は、上記の開環重合反応に用いられるが、ポリマー主鎖から水素を引き抜く(バック−バイティング)ため、分子量分布が広くなり高分子量の生成物を得にくい。
前記環状ジアミンとしては、例えば、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンなどが挙げられる。
前記アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネンなどが挙げられる。
前記グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物としては、例えば、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられる。
前記N−ヘテロサイクリックカルベンとしては、例えば、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)などが挙げられる。
これらの中でも、立体障害による影響が少なく求核性が高い、或いは、減圧除去可能な沸点を有するという理由により、DABCO、DBU、DPG、TBD、DMAP、PPY、ITBUが好ましい。
本実施形態のポリマーの製造方法では、必要に応じて、前記その他の成分として、開始剤、各種添加剤などを用いることができる。
本実施形態では、得られるポリマーの分子量を制御するために、開始剤が好適に用いられる。
前記開始剤としては、特に制限はなく、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば、脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。
前記開始剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
また、ポリカプロラクトンジオールやポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマーを開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック、又はトリブロック共重合体が合成される。
開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものなどが挙げられる。
更に必要に応じて、重合反応後に重合停止剤(例えば、安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。
前記添加剤の添加量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、ポリマー生成物100質量部に対して、0質量部以上5質量部以下が好ましい。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
前記防曇剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが挙げられる。
前記フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが挙げられる。
前記顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、群青などが挙げられる。
次に、図1及び図2を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの流体を意味する。
次に、ポリマー製造装置100を用いた開環重合性モノマーの重合方法について、図3A及び図3Bを参照して説明する。本実施形態では、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを連続的に供給し、接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを連続的に得る。
まず、各計量フィーダー(2,4)、計量ポンプ6、計量ポンプ8、及び計量ポンプ12を作動させ、各タンク(1,3,5,7,11)内の開環重合性モノマー、開始剤、添加剤、圧縮性流体を連続的に供給する。これにより、各導入口(9a,9b,9c,9d,9e)から、接触部9の管内に原材料及び圧縮性流体が連続的に導入される。各計量フィーダー(2,4)、計量ポンプ6、計量ポンプ8、及び計量ポンプ12を作動させる順序は、特に限定されないが、初期の原材料が圧縮流体に接触せずに接触部9に送られると、温度低下によって固化する恐れがあるため、先に計量ポンプ8を作動させることが好ましい。なお、固体(粉末又は粒状)の原材料は、液体の原材料と比較して計量精度が低い場合がある。この場合、固体の原材料を前もって液体の状態にしてタンク5に貯蔵しておき、計量ポンプ6によって接触部9の管内に導入させてもよい。この時、原材料は、液化により送液ポンプ10で送液可能であるため、圧縮性流体は、接触部13の導入口13aから供給してもよいが、導入口9aと導入口13aに分配して連続供給してもよい。
前記触媒を除去する方式としては、ポリマー生成物を押出部14bから取り出した後に除去するバッチ方式でも、押出部14b内をそのまま連続処理する方式でも構わない。減圧留去する場合、減圧条件は触媒の沸点に基づいて設定される。例えば、減圧の際の温度は、100℃以上120℃以下が好ましく、ポリマー生成物が解重合する温度より低い温度で触媒を除去することが可能である。この抽出操作において有機溶媒を用いると、触媒を抽出後に有機溶媒を除去する工程が必要となる場合がある。このため、抽出操作においても溶媒として圧縮流体を用いることが好ましい。このような抽出操作としては、香料の抽出などの公知の技術が転用できる。
本実施形態のポリマー生成物は、上記の製造方法により得られるポリマー生成物であって、残存開環重合性モノマー量が2モル%未満であり、数平均分子量が80,000以上であることが好ましい。
本実施形態のポリマーの製造方法によると、圧縮性流体を用いることで、上述の通り、低い温度での重合反応が可能となるため、従来の溶融重合と比して、大幅に解重合反応を抑制できる。これにより、ポリマー転化率を、96モル%以上、好ましくは98モル%以上とすることができる。前記ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマー生成物としての熱特性が不十分になり、別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。
前記ポリマー転化率とは、原材料としての開環重合性モノマーに対する、ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの割合を意味する。ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの量は、生成したポリマーの量から未反応の開環重合性モノマーの量(残存開環重合性モノマー量)を差し引くことにより得られる。
本実施形態により得られるポリマー生成物の重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した値(Mw/Mn)は、1.0以上2.5以下が好ましく、1.0以上2.0以下がより好ましい。この値(Mw/Mn)が、2.5を超えると、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難になることから好ましくない。
ここで、前記ポリマーの分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)により測定することができる。
前記イエローインデックス(YI)値は、例えば、厚み2mmの樹脂ペレットを作製してJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機株式会社製)を用いて測定し求めることができる。
したがって、本実施形態の粒子は、日用品、医薬品、化粧品、電子写真用トナー等の用途として幅広く適用される。なお、本実施形態において、金属触媒とは、開環重合に用いられる触媒であって金属を含むものである。また、実質的に金属原子を含まないとは、金属触媒由来の金属原子を含まないことを意味する。具体的には、ICP発光分析法、原子吸光分析法あるいは比色法などの公知の分析手法で、ポリマー生成物における金属触媒由来の金属原子の検出を試みた場合に、検出限界以下であるときに金属触媒由来の金属原子を含まないと言える。前記金属触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オクチル酸スズ、ジブチル酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ等のスズ系化合物、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミニウム等のアルミ系化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系化合物、ジルコニウムイソプロオイキシド等のジルコニウム系化合物、三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物などが挙げられる。前記金属触媒由来の金属原子としては、例えば、スズ、アルミ、チタン、ジルコニウム、アンチモンなどが挙げられる。
また、本実施形態において、有機溶媒とは、開環重合に用いられる有機物の溶媒であり、開環重合反応で得られるポリマーを溶解せしめるものである。開環重合反応で得られるポリマーがポリ乳酸(L体100%)である場合には、有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン溶媒やテトラヒドロフランなどが挙げられる。実質的に有機溶媒を含有しないとは、以下の測定方法により測定されるポリマー生成物中の有機溶媒の含有量が検出限界以下であることを言う。
測定対象となるポリマー生成物1質量部に2−プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日間以上保存し、ポリマー生成物中の有機溶媒を抽出する。上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC−14A、株式会社島津製作所製)で分析し、ポリマー生成物中の有機溶媒及び残留モノマーを定量することにより有機溶媒濃度を測定する。かかる分析時の測定条件は、以下の通りである。
・装置 :島津GC−14A
・カラム :CBP20−M 50−0.25
・検出器 :FID
・注入量 :1μL〜5μL
・キャリアガス :He 2.5kg/cm2
・水素流量 :0.6kg/cm2
・空気流量 :0.5kg/cm2
・チャートスピード:5mm/min
・感度 :Range101×Atten20
・カラム温度 :40℃
・Injection Temp :150℃
本実施形態の製造方法により得られたポリマー生成物は、金属触媒及び有機溶剤を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。従って、本実施形態の製造方法により得られたポリマー生成物は、電子写真の現像剤、印刷用インク、建築用塗料、化粧品、医療用材料などの各種用途に幅広く適用される。その際、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、結晶性、耐候性等を向上させる目的で、各種添加剤を使用してもよい。
前記実施の形態1の応用例としての実施の形態3について説明する。前記実施の形態1の製造方法では、残存モノマーがほとんどなく反応が定量的に進む。このことから、実施の形態3では、前記実施の形態1の製造方法で製造されたポリマー生成物を用い、数種類の開環重合性モノマーを加えるタイミングを適宜設定することにより、複合体生成物を合成する。なお、本実施形態において、複合体生成物とは、モノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマーセグメントを有する共重合体又はモノマーを複数の系列に分けて重合して得られる2種以上のポリマーの混合物を意味する。以下、複合体生成物の一例として、ステレオコンプレックスの合成方法を示す。
まず、図4A及び図4Bを用いて第1の方法について説明する。図4A及び図4Bは、第1の方法で用いられる複合体製造システムを示す模式図である。第1の方法では、図4Aの複合体製造システム200における系列1で、実施の形態1の製造方法でポリマーを生成し、得られたポリマー生成物Pと、新たに導入された第2の開環重合性モノマーとを系列2で接触させて圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物PP(最終的なポリマー生成物)を製造する。なお、図4Aの複合体製造システム200における系列2と同様の系列を直列に繰り返すことにより、3種以上のセグメントを有する複合体生成物PPを得ることもできる。
なお、本実施形態において、この反応部33には、上述の接触部13、反応部14が含まれている。
続いて、図5を用いて第2の方法について説明する。この図5は、第2の方法で用いられる複合体製造システム300を示す模式図である。前記第2の方法では、実施の形態1の製造方法でそれぞれ製造された複数のポリマー生成物を圧縮性流体の存在下、連続的に混合させることによって、複合体生成物PPを製造する。複数のポリマー生成物は、互いに光学異性体の開環重合性モノマーをそれぞれ重合したものである。複合体製造システム300は、複数のポリマー製造装置100と混合装置41と圧力調整バルブ42とを有する。
図5では、配管131が一つの継手131aを有することによりポリマー製造装置100を並列に二つ備えた例を示したが、複数の継手を設けることにより、ポリマー製造装置100を並列に三つ以上備えていてもよい。
混合装置41で各ポリマー生成物を混合させる際の温度(混合温度)は、反応部(14,33)における重合反応温度と同様に設定することができる。なお、混合装置41は、混合されるポリマー生成物に、別途、圧縮性流体を供給する機構を有していてもよい。圧力調整バルブ42は、混合装置41でポリマー生成物が混合されて得られた複合体生成物PPの流量を調整するための装置である。
実施の形態4は、モノマー除去手段を有するポリマー製造装置を用いて、モノマー除去を行い、ポリマー生成物を製造する形態である。これにより、残存モノマーの含有量を極めて少なくすることができる。
モノマー分離装置400は、押出口金15から排出されたポリマー生成物からモノマー成分を分離する装置であり、用途に応じてポリマー生成物からモノマー成分を除去する必要がある場合に使用する。
押出口金15から排出されたポリマー生成物は、圧縮性流体の脱離と脱離時の断熱膨張による温度が低下により、急激に高粘度化する。
モノマー分離のため、高粘度状態のポリマー生成物を移動や撹拌させると大きなせん断エネルギーがかかり、分子鎖が切れ分解してしまう。
前記モノマー分離装置400では、押出口金15から排出された直後に真空ポンプ20によって真空状態にしたペレタイザー18で樹脂の切断を行い、ペレット化することで、ポリマー分解を抑制し、モノマーの分離を行う。分離させたモノマーは、モノマー回収装置19によって回収される。
前記残存モノマーの含有量は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準、第3版改訂版、2004年6月追補、第3部、衛生試験法、P13」記載のラクチド量の測定方法に従って求めることができる。
なお、実施例及び比較例で得られたポリマーの分子量、モノマーのポリマー転化率、残存モノマー含有量、フィード比、連続生産性、及びイエローインデックス値は次のようにして求めた。
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分間
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
例えば、図3A及び図3Bで示したようなポリマー製造装置の連続運転を行った後に押出機を分解しスクリュウ、単管やギヤ部分にゲル化物などが付着しているかどうかを目視評価し、下記基準で評価した。なお、ポリマーの均質性が悪い場合、装置内にゲル状の付着物が発生し、連続運転ができなくなる。
[評価基準]
◎:24時間以上連続運転を行ってゲル化物の付着が無い
○:12時間以上24時間未満連続運転を行ってゲル化物の付着が無い
×:12時間未満の連続運転を行ってゲル化物の付着があり
モノマーのポリマー転化率は、以下の式により求めた。
モノマーのポリマー転化率(モル%)=100−未反応モノマー量(モル%)
ポリ乳酸の場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10ppm〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98ppm〜5.05ppm)として算出し、これを100倍して求めた。
ポリカプロラクトンの場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリカプロラクトン由来の三重線ピーク面積比(4.04ppm〜4.08ppm)に対するカプロラクトン由来の三重線ピーク面積比(4.22ppm〜4.25ppm)として算出し、これを100倍して求めた。
ポリカーボネートの場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリカーボネート由来の四重線ピーク面積比(4.22ppm〜4.25ppm)に対するエチレンカーボネート由来の一重線ピーク面積比(4.54ppm)として算出し、これを100倍して求めた。
フィード比(混合比)は、原材料の供給速度と圧縮性流体の供給速度との比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度)である。例えば、図3Aに示すポリマー製造装置100において、原材料の送液ポンプ10及び圧縮性流体の計量ポンプ8の1分間あたりの供給量を、秤を用いて測定し、各回転数ごとの供給量を事前に調べた。原材料供給ポンプ、圧縮性流体供給ポンプの回転数をインバータにより調整し、所定のフィード比になるように調整した。
得られたポリ乳酸組成物等の脂肪族ポリエステル組成物の残存モノマーの含有量は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準、第3版改訂版、2004年6月追補、第3部、衛生試験法、P13」記載のラクチド量の測定方法に従って求めた。具体的には、ポリ乳酸組成物等の脂肪族ポリエステル組成物をジクロロメタンに均一に溶解し、アセトン/シクロヘキサン混合溶液を加えてポリ乳酸組成物の脂肪族ポリエステル組成物を再沈させた上澄み液を、水素炎検出器(FID)付ガスクロマトグラフ(GC)に供し、残存モノマー(ラクチド及びグリコリド等)を分離し、内部標準法により定量することによりポリ乳酸組成物等の脂肪族ポリエステル組成物中の残存モノマーの含有量を測定した。なお、GCの測定は以下の条件で行うことができる。各表中の「ppm」は質量分率を示す。
・カラム :キャピラリーカラム(J&W社製、DB−17MS、長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・内部標準 :2,6−ジメチル−γピロン
・カラム流量:1.8mL/分間
・カラム温度:50℃で1分間保持、25℃/分間で定速昇温して320℃で5分間保持
・検出器 :水素炎イオン化法(FID)
得られたポリマー組成物について、厚み2mmの樹脂ペレットを作製してJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定し、YI値を求め、下記基準で評価した。
[評価基準]
◎:YI値が2.0以下
○:YI値が2.0未満5.0以下
×:YI値が5.0超
図3A及び図3Bに示すポリマー製造装置100を用いて、L−ラクチドの開環重合を行った。ポリマー製造装置の構成を示す。
・タンク1,計量フィーダー2:日本精密株式会社製プランジャーポンプNP−S462、
タンク1には、開環重合性モノマーとして溶融状態のL−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)を充填した。
・タンク3,計量フィーダー4:日本分光株式会社社製インテリジェントHPLCポンプ(PU−2080)
タンク3には、開始剤としてラウリルアルコールを充填した。
・タンク5,計量ポンプ6:実施例1では使用しなかった。
・タンク7:炭酸ガスボンベ
・タンク11,計量ポンプ12:日本分光株式会社製インテリジェントHPLCポンプ(PU−2080)
タンク11には、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、製造会社名:東京化成工業株式会社)(有機触媒)を充填した。
・導入部9e:実施例1では使用しなかった。
・反応部14
・・装置A:混合機/タンク撹拌装置(駆動型撹拌装置)
タンク内径:100mm
タンク長さ:200mm
タンク温度:100℃
回転速度:30rpm
・・装置B:冷却装置/二重管式熱交換器
内径:14.3mm
ジャケット部内径:43.0mm
熱交換器長さ:150mm
装置Aと装置Bとは配管(第一の配管31aと第二の配管31b)で循環可能に接続されており、装置Aと装置Bと配管とで循環部14aを形成している(表2の装置C:循環あり)。
・・装置C〜E:実施例1では使用しなかった。
実施例1では、駆動型撹拌装置(図3の装置A)及び冷却装置(図3の装置B)を上記の設定条件で作動させた(表2のNo.1)。
次に、導入口13cで重合が開始したポリマー(実施例1ではポリ乳酸)は、送液ポンプ10によって循環部14aに送液される。循環部14aでポリマーは循環されながら重合が進む。反応時の過剰な発熱は冷却装置により冷却される。ポリマーは所定の時間循環させたのち押出金具15の排出口21から排出させた。この場合、導入口13cから排出までの原材料の平均滞留時間は約60分間とした。得られたポリマー生成物について、上記の方法で物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表3に示す。
実施例2〜12については、実施例1において、反応部14に設けられる装置A〜装置E(撹拌装置、冷却装置、押出装置)の組み合わせを、それぞれ、下記表2のNo.2〜12に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜12のポリマー生成物を得た。
比較例1〜4については、実施例1において、反応部14に設けられる装置A〜装置E(撹拌装置、冷却装置、押出装置)の組み合わせを、それぞれ、下記表2のNo.13〜16に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1〜4のポリマー生成物を得た。
比較例5については、実施例1において、反応部14に設けられる装置A〜装置E(撹拌装置、冷却装置、押出装置)の組み合わせを、下記表2のNo.17に示すように変更し、フィード比が1,500になるように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例5のポリマー生成物を得た。
実施例1において、循環部14aを、図8に示す螺旋状の循環部14a(後述する循環部の形態D)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例13のポリマー生成物を得た。
・駆動型撹拌装置 :実施例1の装置Aと同様の装置
・冷却装置 :実施例1の装置Bと同様の装置
・ギヤポンプ :島津メクテム株式会社製SBJ50
吐出量50cc/rev
回転速度 ポンプ入口圧力が15MPaになるように調整
・二軸押出機 :株式会社日本製鋼所製TEX30
互いにかみ合うスクリュウ
シリンダー径:30mm
2軸同方向回転
回転速度:100rpm
・単軸押出機 :カワタ株式会社製MFC押出機
シリンダー径:30mm
回転数:100rpm
・二軸撹拌機 :互いに噛み合うスクリュウ
シリンダー径:30mm
2軸同方向回転
回転速度:30rpm
・スタティックミキサー :ノリタケカンパニーリミテッド株式会社社製N10ミキサー
エレメント数:12個
・二軸混練反応装置 :株式会社栗本鐵工所製KRCニーダー
互いにかみ合うスクリュウ
シリンダー径:25mm
2軸異方向回転
回転速度:60rpm
・チューブ型反応装置 :内径:14.3mm
・広径チューブ型反応装置:内径:32.9mm
<循環部の形態>
・A:図7においてθ=90°となるように第二の配管31bを設置したもの。
・B:図6のように図7においてθ=0°となるように第二の配管31bを設置したもの。
・C:図7においてθ=45°となるように第二の配管31bを設置したもの。
・D:図8に示すように第二の配管31bの一部が螺旋状となっているもの。
なお、図6〜8においては、図3B中の装置A、装置B、及び装置Cの記載を省略しているが、実際には、表2に基づいて装置A、装置B、及び装置Cが設けられている。
また、比較例1〜5で得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表12に示す。
実施例1において、触媒とモノマーを計量してモノマータンクで触媒とモノマーを混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマー生成物を得た。得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表6に示す。
実施例1において、反応温度を表6に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマー生成物を得た。得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表6に示す。
実施例1において、反応圧力を表6に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマー生成物を得た。得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表6に示す。
実施例1において、触媒の種類と反応温度を表6に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマー生成物を得た。得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表6に示す。
実施例1において、モノマー種を表6に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマー生成物を得た。得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表6に示す。
実施例1において、モノマー種を表6に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマー生成物を得た。得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表6に示す。
実施例1において、循環部14aを、図6に示す水平方向の方向ベクトルを含む循環部14a(循環部の形態B)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例20のポリマー生成物を得た。
得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表7に示す。
実施例1において、循環部14aを、図7に示すθ=45°の方向ベクトルを含む循環部14a(循環部の形態C)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例21のポリマー生成物を得た。
得られたポリマー生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表7に示す。
図9に示すモノマー除去装置400を有するポリマー製造装置を用いて、モノマー除去を行い、ポリマー生成物を合成した。
以下にモノマー除去装置400の構成を示す。
・ペレタイザー18:空中ホットカットペレタイザー
・モノマー回収装置:プレート式熱交換器2.0m2
・真空ポンプ:油回転式真空ポンプ
モノマー回収装置の冷却は、10℃の冷却水を使用した。ペレタイザーの真空度は、水銀式マノメーターを用い1.0Torr以下であることを確認した。
図5に示す複合体製造システム300を用いて、複合体を製造した。以下、複合体製造システム300における複数のポリマー製造装置100の一方を系列1のポリマー製造装置100と言い、他方を系列2のポリマー製造装置100と言う。
複合体製造システム300の構成を示す。
・ポリマー製造装置100(系列1,2):実施例1で用いたものと同様のポリマー製造装置を用いた。
・混合装置41:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 40mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表8に示す。
実施例23において、モノマー種及びモノマー送り速度を表8に記載された条件に変更した以外は、実施例23と同様の操作を行うことにより、複合体生成物を得た。
得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表8に示す。
実施例23において、触媒の種類と反応温度を表9に記載のとおり変更した以外は、実施例23と同様の操作を行うことにより、複合体生成物を得た。
得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表9に示す。
実施例25において、図10Bに示す複合体製造システムを用い、上記実施例22と同じモノマー除去装置400を用いてモノマー除去を行った以外は、実施例25と同様の操作を行うことにより、複合体生成物を得た。
得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表9に示す。
図4A及び図4Bに示す複合体製造システム200を用いて、複合体を製造した。図4Aの複合体製造システム200は、図3Aのポリマー製造装置を直列につなげた構成であり、図4Bにおけるポリマー製造装置100が図3Aのポリマー製造装置となる。複合体製造システム200の構成を以下に示す。
・タンク1、計量フィーダー2:日本精密株式会社製プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、開環重合性モノマーとして溶融状態のL−ラクチドと、開始剤としてのラウリルアルコールとの99.85:0.15(モル比)混合物を充填した。
・タンク3、計量フィーダー4:実施例27では使用しなかった。
・タンク5、計量ポンプ6:実施例27では使用しなかった。
・タンク7:炭酸ガスボンベ
・タンク127:炭酸ガスボンベ
・タンク121,計量フィーダー122:日本精密株式会社製プランジャーポンプNP−S462
タンク121には、第2の開環重合性モノマーとして溶融状態のD−ラクチドを充填した。
・タンク11,計量ポンプ12:日本分光株式会社製インテリジェントHPLCポンプ(PU−2080)
タンク11には、DBU(有機触媒)を充填した。
・接触部9:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
・接触部29:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
・導入口9e:実施例27では使用しなかった。
・反応部14:実施例1と同じものを用いた。
・反応部33:実施例1の反応部14と同じものを用いた。
得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表10に示す。
実施例27において、モノマー種を表10に記載された条件に変更した以外は、実施例27と同様の操作を行い、最終的なポリマー生成物としての複合体生成物を得た。得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表10に示す。
実施例27において、触媒の種類と反応温度を表11に記載のとおり変更した以外は、実施例27と同様の操作を行い、最終的なポリマー生成物としての複合体生成物を得た。得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表11に示す。
実施例29において、図10Aに示す複合体製造システムを用い、上記実施例22と同様のモノマー除去装置400を用いてモノマー除去を行った以外は、実施例29と同様の操作を行い、最終的なポリマー生成物としての複合体生成物を得た。
得られた複合体生成物について、実施例1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)及び残存モノマー含有量を求め、連続生産性及びイエローインデックスを評価した。結果を表11に示す。
<1> モノマーを少なくとも含む原材料を供給する第一の供給部と、圧縮性流体を供給する第二の供給部とを含む供給部と、前記第一の供給部から供給された前記モノマーと前記第二の供給部から供給された前記圧縮性流体とを接触させる接触部と、前記モノマーの反応生成物を排出する排出口とを有し、
前記接触部と前記排出口との間には、前記第二の供給部から供給された前記圧縮性流体の存在下、前記モノマーを重合反応させながら前記接触部側から前記排出口側に向けて流動させる反応部を有し、
前記反応部は、循環手段を少なくとも有しており、前記循環手段は、前記接触部側から前記排出口側に向けて流体が流れる第一の配管と、前記流体を前記押出手段よりも上流側に設けられた戻し口から前記戻し口よりも上流側に設けられた導入口に戻すための第二の配管とを有することを特徴とするポリマー製造装置である。
<2> 前記反応部が、前記循環手段よりも排出口側に設けられた押出手段を有していることを特徴とする前記<1>に記載のポリマー製造装置である。
<3> 前記第二の配管を流れる流体を冷却するための冷却装置が設けられていることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のポリマー製造装置である。
<4> 前記第一の配管は、前記第二の配管を流れる流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持つように配置されていることを特徴とする前記<1>乃至<3>のいずれか一項に記載のポリマー製造装置である。
<5> 前記第二の配管は、前記第二の配管を流れる流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持つように配置されていることを特徴とする前記<1>乃至<4>のいずれか一項に記載のポリマー製造装置である。
<6> 前記排出口の後に、真空下のペレタイザーによって構成されるモノマー除去手段を有することを特徴とする前記<1>乃至<5>のいずれか一項に記載のポリマー製造装置である。
<7> モノマーを含む原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させた前記モノマーを重合反応させながら上流から下流に向けて流すと共に、前記下流に流れて来た流体の少なくとも一部を前記下流から前記上流に向けて流すことによって循環させる工程を含むことを特徴とするポリマーの製造方法である。
<8> 得られたポリマー生成物を真空下のペレタイザーによってモノマー除去を行う工程を含むことを特徴とする前記<7>に記載のポリマー製造方法である。
2 計量フィーダー(第一の供給部の一例)
4 計量フィーダー
6、12 計量ポンプ
8 計量ポンプ(第二の供給部の一例)
9 接触部(接触容器の一例)
9a 導入口(圧縮性流体の導入口の一例)
9b 導入口(モノマーの導入口の一例)
9c 導入口
9d 導入口
9e 導入口
9f ヒータ
10 送液ポンプ
13 接触部(接触容器の一例)
13a 導入口(圧縮性流体の導入口の一例)
13b 導入口
13c 導入口
13d ヒータ
14 反応部(反応装置の一例)
14a 循環部(反応装置の一例)
14b 押出部(反応装置の一例)
15 押出口金(排出部の一例)
16 循環ポンプ
17 圧力調整バルブ
18 ペレタイザー
19 モノマー回収装置
20 真空ポンプ
20a 戻し口
20b 導入口
21 排出口
22 計量フィーダー
28 計量ポンプ
29 接触部
29a 導入口
29b 導入口
30 配管
31a 第一の配管
31b 第二の配管
33 反応部
33a 導入口
33b 導入口
34 圧力調整バルブ
41 混合装置
41a 導入口
42 圧力調整バルブ
100 ポリマー製造装置
100a 供給ユニット
100b ポリマー製造装置本体
121、127 タンク
131 配管
131a 継手
131b 排出口
131c 排出口
200 複合体製造システム
300 複合体製造システム
400 モノマー分離装置
P ポリマー生成物(反応生成物)
PP 複合体生成物
A、B、C、D、E 反応部を構成する装置
Claims (7)
- モノマーを少なくとも含む原材料を供給する第一の供給部と、圧縮性流体を供給する第二の供給部とを含む供給部と、前記第一の供給部から供給された前記モノマーと前記第二の供給部から供給された前記圧縮性流体とを接触させる接触部と、前記モノマーの反応生成物を排出する排出口とを有し、
前記接触部と前記排出口との間には、前記第二の供給部から供給された前記圧縮性流体の存在下、前記モノマーを重合反応させながら前記接触部側から前記排出口側に向けて流動させる反応部を有し、
前記反応部は、循環手段と、前記循環手段よりも排出口側に設けられた押出手段とを少なくとも有しており、前記循環手段は、前記接触部側から前記排出口側に向けて流体が流れる第一の配管と、前記流体を前記押出手段よりも上流側に設けられた戻し口から前記戻し口よりも上流側に設けられた導入口に戻すための第二の配管とを有することを特徴とするポリマー製造装置。 - 前記第二の配管を流れる流体を冷却するための冷却装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のポリマー製造装置。
- 前記第一の配管は、前記第二の配管を流れる流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持つように配置されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか一項に記載のポリマー製造装置。
- 前記第二の配管は、前記第二の配管を流れる流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持つように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリマー製造装置。
- 前記排出口の後に、真空下のペレタイザーによって構成されるモノマー除去手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリマー製造装置。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリマー製造装置を用いたポリマーの製造方法であって、
モノマーを含む原材料と圧縮性流体とを連続的に接触させた前記モノマーを重合反応させながら上流から下流に向けて流すと共に、前記下流に流れて来た流体の少なくとも一部を前記下流から前記上流に向けて流すことによって循環させる工程を含むことを特徴とするポリマーの製造方法。 - 得られたポリマー生成物を真空下のペレタイザーによってモノマー除去を行う工程を含むことを特徴とする請求項6に記載のポリマーの製造方法。
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