JP2016169357A - ポリマー粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高結晶化度かつ残存モノマーが少ないポリマー粒子を安定的に製造することが可能な製造方法を提供すること。【解決手段】反応容器にモノマーを含む重合反応用原料及び圧縮性流体を供給する工程と、反応容器内で前記モノマーを重合させてポリマーを生成させる重合工程と、前記重合工程で得られたポリマーの流動体が固化した結晶化度以上に結晶化させながらせん断力を加えてポリマーを粒子化させる粒子化工程と、を含むことを特徴とするポリマー粒子の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー粒子の製造方法に関する。
従来、ポリマーは、その用途に応じて様々な種類のものが製造され、産業上用いられている。例えば、生分解性ポリマーは、微生物により水と二酸化炭素とに分解され、自然界の炭素サイクルに組み込まれる材料として知られている。このため、近年の環境保護への関心の高まりから、ポリ乳酸等の生分解性ポリマーの需要が増加してきている。生分解性ポリマー等のポリマーの重合方法として、溶融状態のモノマーを重合する方法が知られている。しかし、溶融状態のモノマーを重合する場合、熱による影響で、生成物の収率が低下するという課題がある。
前記課題を解決する手段の1つとして、例えば、反応槽と、該反応槽にヒドロキシカルボン酸の縮合物溶融物を供給する手段と、該反応槽に重合触媒を供給する手段と、これにより該反応槽内において前記ヒドロキシカルボン酸の縮合物を触媒との接触による解重合により環状二量体に変換し、これを開環重合することによりポリエステルを製造するポリエステル製造装置が提案されている(特許文献1参照)。
この提案の製造装置によると、縮合物溶融物の滞留量を測定する機器を設けた薄膜蒸発装置を有し、これにより縮合物溶融物の薄層化、解重合を実施することで、原材料のラクチドモノマーを生成する解重合時に、熱分解の影響を小さくすることができ、高収率でポリマーが得られるとされている。
しかしながら、特許文献1に開示された製造装置で、特に、高分子量のポリマーを製造した場合、高分子量化に伴う粘度上昇による装置内圧力上昇を起こし、装置稼動が不安定となるという問題がある。さらに、未反応物は化学平衡からも数%残留することがわかっており、これら未反応物を除去するために多大な設備コスト、ランニングコストがかかるという課題が残っている。
また、ポリマー粒子の製造方法としては、溶媒に溶解し溶解度差を与えることで析出させる方法などが知られている。しかし、これらの製造方法では、得られる粒子の結晶化度が低く、残留溶媒が残るなどの課題が残っている。さらに数平均分子量が50,000を超えるような場合には反応時間が長くなるという問題があった。
また、ポリグリコリドなどの環状エステル系モノマーを開環重合してポリマー合成する場合、得られるポリマーは未反応の残存モノマーが数%程度含まれることが知られている。残存モノマーが多く含んだポリマーは製品特性の劣化やバラツキを生じるため、様々検討が行われている(特許文献2〜4)。特許文献2,3のような高温下で溶融したポリマーから残存モノマーを除去するような場合、ポリマー末端で起こるバックバイティングなどの離脱反応でモノマーが生成するため残存モノマー量を一定値以下に下げることが困難である。特許文献4のような高温で重合されたポリマーを取り出した後に低温で処理する方法は、残存モノマーを十分に減らすことはできるが、固相での物質移動が極めて遅く、処理時間が長くなるため工業的な生産方式としては好ましくない。
本発明は、高結晶化度かつ残存モノマーが少ないポリマー粒子を安定的に製造することが可能なポリマー粒子の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明は以下に記載する通りのポリマー粒子の製造方法に係るものである。
反応容器にモノマーを含む重合反応用原料及び圧縮性流体を供給する工程と、
反応容器内で前記モノマーを重合させてポリマーを生成させる重合工程と、
前記重合工程で得られたポリマーの流動体が固化した結晶化度以上に結晶化させながらせん断力を加えてポリマーを粒子化させる工程と、
を含むことを特徴とするポリマー粒子の製造方法。
本発明によると、例えば、数平均分子量が50,000を超えるような高分子化合物であっても未反応物が少なく、結晶化度が高いポリマー粒子を得ることができる。
温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。 圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 本発明のポリマー連続製造装置の一態様を示す図である。 図3Aのポリマー連続製造装置の反応部について詳細に説明するための図である。 本発明のポリマー連続製造装置の他の態様を示す図である。 図4Aのポリマー連続製造装置の反応部について詳細に説明するための図である。 複合体製造システムを示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない限り、以下に挙げたものに限定されるものではない。
本発明のポリマー粒子の製造方法は、反応容器にモノマーを含む重合反応用原料及び圧縮性流体を供給する工程と、反応容器内で前記モノマーを重合させてポリマーを生成させる重合工程と、前記重合工程で得られたポリマーの流動体が固化した結晶化度以上に結晶化させながらせん断力を加えてポリマーを粒子化させる粒子化工程とを有する。
少なくとも粒子化工程において、圧縮性流体を含有させた反応工程で得られたポリマーの流動体が固化した結晶化度以上に結晶化させながらせん断力を加えて粒子化させることで高い結晶性をもつポリマー粒子が得られる。
圧縮性流体を加えない場合には融点以下であるとポリマーは固化するが、圧縮性流体を含有しているポリマーは圧縮性流体がポリマーに溶解することで融点が下がり、溶融状態を保つことができる。本発明における粒子化工程ではポリマーが結晶化することにより圧縮性流体の溶解度が低下し、ポリマーが固化する一方で溶解できなくなった圧縮性流体が発泡している状態にある。この時、せん断力を加えて攪拌することでポリマーが粉砕されて粒子化する。
また、熱に起因した反応生成物の着色あるいは変質などが低減されかつ、化学平衡が移動することによって未反応物が低減される。これに対し、圧縮性流体を含有させずに結晶化させた場合、流動体が固化する際に圧縮性流体による微細な穴が形成されず、ポリマーの流動体が密に固化しせん断力を加えても粒子化しないか、せん断力を加えることで回転部の変形や破損を伴うため機械的に極めて困難である。さらに結晶化度が低い状態で重合した場合は、化学平衡の影響で数%の未反応物が残留してしまう。
また、本発明は、前記の重合工程で得られたポリマーの流動体が固化した結晶化度以上に結晶化させながらせん断力を加えてポリマーを粒子化させて得られたポリマー粒子にモノマーを添加して重合させるモノマー添加重合工程を更に有するポリマー粒子の製造方法を実施の形態として含む。
以下、本発明のポリマー粒子の製造方法の一態様をポリマーがポリ乳酸である場合を例に挙げて説明する。
<原材料>
本実施形態において、原材料とは、ポリマーを製造するもとになる材料であって、ポリマーの構成成分となる材料であり、モノマーを少なくとも含み、触媒を含むことが好ましく、更に必要に応じて、開始剤、添加剤等のその他の成分を含んでなる。
<重合性モノマー>>
本実施形態で用いられる重合性モノマーは、使用する開環重合性モノマーと圧縮性流体との組み合わせにもよるが、開環重合性モノマーが好ましい。これらの中でも、エステル結合などのカルボニル骨格を環内に有するものが好ましい。前記カルボニル骨格は、電気陰性度の高い酸素が炭素とπ結合して成り、π結合電子がひきつけられることにより酸素が負に分極し、炭素が正に分極しているため、反応性が高くなる。また、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、カルボニル骨格が二酸化炭素の構造と似ていることから、二酸化炭素と生成したポリマーとの親和性は高くなると推測される。これらの作用により、圧縮性流体による生成したポリマーの可塑化の効果は高くなる。また、粒子化においては重合性モノマーにCOが溶解するが、ある程度結晶化することでCOの溶解度が落ちる重合性モノマーが好ましい。
前記開環重合性モノマーとしては、例えば、環状エステルなどが挙げられる。前記環状エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される化合物のL体及び/又はD体を脱水縮合して得られる環状二量体が好適に用いられる。
R−C*−H(−OH)(−COOH) ・・・ 一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、一般式(1)において、「C*」は、不斉炭素を表す。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、反応性及び入手容易性の点から、乳酸の鏡像異性体が特に好ましい。
前記一般式(1)以外の環状エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイド等の脂肪族のラクトンなどが挙げられる。これらの中でも、ε−カプロラクトンが反応性及び入手性の観点から好ましい。
<<触媒>>
本実施形態では、触媒が好適に用いられる。本実施形態で用いられる触媒は、目的に応じて適宜選択することができ、金属原子を含有する金属触媒であっても、金属原子を含有しない有機触媒であってもよい。
前記金属触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、オクチル酸スズ、ジブチル酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズ等のスズ系化合物;アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミニウム等のアルミニウム系化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系化合物;ジルコニウムイソプロオイキシド等のジルコニウム系化合物;三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物などが挙げられる。
本実施形態で用いられる触媒としては、生成物の安全性及び安定性を必要とする用途では、金属原子を含まない有機化合物(有機触媒)が好適に用いられる。本実施形態において、触媒として金属原子を含まない有機触媒を用いた場合、従来の製造方法で金属原子を含まない有機触媒を用いて開環重合性モノマーを開環重合させた場合と比較して、重合反応に要する時間を短くすることができ、ポリマー転化率に優れたポリマー粒子の製造方法を提供することができる点で好ましい。
本実施形態において、有機触媒は、開環重合性モノマーの開環重合反応に寄与し、開環重合性モノマーとの活性中間体を形成した後、アルコールとの反応で脱離、再生するものであればよい。
前記有機触媒は、塩基性を有する求核剤として働く化合物が好ましく、塩基性を有する求核性の窒素原子を含有する化合物がより好ましく、塩基性を有する求核性の窒素原子を有する環状化合物が更に好ましい。なお、求核剤(性)とは、求電子剤と反応する化学種(及びその性質)である。
上記のような化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、環状モノアミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。なお、カチオン系の有機触媒は、上記の開環重合反応に用いられるが、ポリマー主鎖から水素を引き抜く(バック−バイティング)ため、分子量分布が広くなり高分子量の生成物を得にくい。
前記環状モノアミンとしては、例えば、キヌクリジンなどが挙げられる。
前記環状ジアミンとしては、例えば、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンなどが挙げられる。
前記アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネンなどが挙げられる。
前記グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物としては、例えば、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられる。
前記窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物としては、例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、ピロコリン、イミダゾール、ピリミジン、プリンなどが挙げられる。
前記N−ヘテロサイクリックカルベンとしては、例えば、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)などが挙げられる。
これらの中でも、立体障害による影響が少なく求核性が高い、或いは、減圧除去可能な沸点を有するという理由により、DABCO、DBU、DPG、TBD、DMAP、PPY、ITBUが好ましい。
前記有機触媒のうち、例えば、DBUは、室温で液状であって沸点を有する。このような有機触媒を選択した場合、得られたポリマーを減圧処理することで、ポリマー中から有機触媒をほぼ定量的に取り除くことができる。なお、有機溶媒の種類や除去処理の有無は、生成物の使用目的等に応じて決定される。
前記有機触媒の種類及び使用量は、後述の圧縮性流体と開環重合性モノマーの組み合わせによって変わるので一概に特定できないが、開環重合性モノマー100モル%に対して、0.01モル%〜15モル%が好ましく、0.1モル%〜1モル%がより好ましく、0.3モル%〜0.5モル%が更に好ましい。前記使用量が、0.01モル%未満では、重合反応が完了する前に有機触媒が失活して、目標とする分子量のポリマーが得られない場合がある。一方、前記使用量が、15モル%を超えると、重合反応の制御が難しくなる場合がある。
<<その他の成分>>
本実施形態のポリマー粒子の製造方法では、必要に応じて、前記その他の成分として、開始剤、各種添加剤などを用いることができる。
−開始剤−
本実施形態では、得られるポリマーの分子量を制御するために、開始剤が好適に用いられる。
前記開始剤としては、特に制限はなく、公知のものが使用でき、アルコール系であれば例えば、脂肪族アルコールのモノ、ジ、又は多価アルコールのいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれであっても構わない。
前記開始剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジアルコール;グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、トリエタノールアミン等の多価アルコール;乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
また、ポリカプロラクトンジオールやポリテトラメチレングリコールのような末端にアルコール残基を有するポリマーを開始剤に使用することもできる。これにより、ジブロック、又はトリブロック共重合体が合成される。
前記開始剤の使用量は、目標とするポリマーの分子量に応じて適宜調整すればよく、モノマー100モル%に対して、0.03モル%〜5モル%が好ましく、0.03モル%〜0.1モル%がより好ましい。なお、不均一に重合が開始されるのを防ぐために、前記開始剤は、モノマーが触媒に触れる前にあらかじめモノマーとよく混合しておくことが好ましい。
−添加剤−
開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものなどが挙げられる。 更に必要に応じて、重合反応後に重合停止剤(例えば、安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。
前記添加剤の添加量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、ポリマー生成物100質量部に対して、0質量部以上5質量部以下が好ましい。
前記界面活性剤としては、圧縮性流体に溶融し、かつ圧縮性流体と開環重合性モノマーの双方に親和性を有するものが好適に用いられる。このような界面活性剤を使用することで、重合反応を均一に進めることができ、分子量分布の狭い生成物が得られるとともに、粒子状のポリマーを得やすくなる等の効果を期待できる。前記界面活性剤を用いる場合、圧縮性流体に加えても、モノマーに加えてもよい。例えば、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、親二酸化炭素基と親モノマー基を分子内に持つ界面活性剤が使用される。このような界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
前記安定剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、カルボジイミドなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
前記防曇剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが挙げられる。
前記フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが挙げられる。
前記顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、群青などが挙げられる。
<圧縮性流体>
次に、図1及び図2を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの流体を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点から、二酸化炭素が好ましい。
前記二酸化炭素は、塩基性、求核性を有する物質と反応することから、従来、超臨界二酸化炭素を溶媒とする場合、リビングアニオン重合には適用できないとされていた。しかし、本発明者らは、従来の知見を覆し、超臨界二酸化炭素中でも、塩基性、求核性を有する有機触媒が安定的に開環性モノマーに配位し、これを開環させることで、短時間で定量的に重合反応が進行し、結果的に重合反応がリビング的に進行することを見出した。ここでいうリビング的とは、移動反応や停止反応などの副反応を伴わず、定量的に反応が進行し、得られたポリマーの分子量分布が比較的狭く単分散であることを意味する。
(重合反応装置)
[連続式重合反応装置]
最初に、図3A及び図3Bに基づいて、本発明の製造方法を実施するための連続式重合反応装置の一態様について説明する。
図3Aに示すように、重合反応装置100は、モノマーの一例としての開環重合性モノマー等の原材料を供給する供給ユニット100aと、供給ユニット100aによって供給された開環重合性モノマーを重合させる重合反応装置本体100bと、圧縮性流体を供給する供給ユニット100cとを有する。供給ユニット100aから供給された原材料等の供給物は、配管30を流れていく。
供給ユニット100aには、タンク(1,3,5,11)と、計量フィーダー(2,4)と、計量ポンプ(6,12)とが設けられている。また、供給ユニット100cには、タンク7及び計量ポンプ8が設けられている。
なお、タンク、計量フィーダー、及び計量ポンプ、それぞれの数や配置は必要に応じて適宜変更することが可能である。
重合反応装置本体100bにおいて、供給された原材料と圧縮性流体とが接触する接触部9と、モノマーの反応生成物が排出される排出口21との間には、図3Bに示すように、反応部14aと、該反応部14aよりも下流に設けられた圧縮性流体と接触させる接触部と、該接触部よりも下流に設けられた冷却部14bと該接触部よりも下流に設けられた結晶化部14cとを含む反応・結晶化部14が設けられている。
また、図3Aに示されるように、適宜、送液ポンプ10や、押出口金20等の開閉手段を設けてもよい。
本実施形態では、供給ユニット100aのタンク1には、開環重合性モノマーが貯蔵される。
貯蔵される開環重合性モノマーは粉末であっても液体の状態であってもよい。
また、タンク3には開始剤及び添加剤のうち固体(粉末又は粒状)のものが貯蔵され、タンク5には開始剤及び添加剤のうち液体のものが貯蔵される。タンク3に貯蔵される供給物とタンク5に貯蔵される供給物とは入れ替わってもよいし。また、タンク3とタンク5に貯蔵される供給物がいずれも固体であってもよいし、いずれも液体であってもよい。また、開始剤及び添加剤がいずれも固体の場合には、重合反応装置100は、タンク5及び計量ポンプ6を有していなくてもよい。
同様に、開始剤及び添加剤がいずれも液体の場合には、重合反応装置100は、タンク3及び計量フィーダー4を有していなくてもよい。タンク7には圧縮性流体が貯蔵される。なお、タンク7には、タンク内で圧縮性流体として存在するものの他、冷却部14bに供給される過程で圧縮性流体となる気体(ガス)、又は、固体を貯蔵しても良い。あるいは、タンク7には冷却部14bにおいて加熱もしくは加圧されることにより圧縮性流体となる気体(ガス)、又は固体を貯蔵しても構わない。この場合、タンク7に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、接触部9、13aにおいて図2の相図における(1)、(2)、又は(3)の圧縮性流体の状態となる。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。圧縮性流体の詳細な説明については、後述する。
計量フィーダー2は、モノマー含む原材料を供給する第一の供給部に設けられた供給手段の一例であり、タンク1に貯蔵された開環重合性モノマーを計量して接触部9に連続的に供給する。
計量フィーダー4は、タンク3に貯蔵された固体を計量して接触部9に連続的に供給する供給手段の一例である。
計量ポンプ6は、タンク5に貯蔵された液体を計量して接触部9に連続的に供給する供給手段の一例である。
計量ポンプ8は、圧縮性流体を供給する供給部に設けられた供給手段の一例であり、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を一定の圧力及び流量で接触部9、13aに連続的に供給する。接触部9と接触部13aのどちらに供給するかは目的に応じて決定することが出来、両方に供給することもできる。
計量ポンプ12は、タンク11に貯蔵された液体を計量して接触部9、13に連続的に供給する供給手段の一例である。
なお、本明細書において連続的に供給するとは、バッチ毎に供給する方法に対する概念であり、反応系に供給され重合反応しながら配管を流れる流体の流動が停止されることなく、生成されたポリマーが排出口から連続的に得られるものをいう。生成されたポリマーが排出口から連続的に得られるように供給されている限り、断続的、或いは、間欠的に供給されてもよい。
接触部9は、各タンク(1,3,5,11)から供給された開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの原材料と、タンク7から供給された圧縮性流体とを連続的に接触させる耐圧性の装置あるいは管などにより構成される。接触部9では、原材料と圧縮性流体とを接触させることにより、原材料が溶融又は溶解する。
本実施形態において、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。また、「溶解」とは、原材料が圧縮性流体中に溶けることを意味する。開環重合性モノマーを溶解した場合には流体相、溶融した場合には溶融相が形成されるが、均一に反応を進めるために、溶融相又は流体相のいずれか一相が形成されていることが好ましい。また、圧縮性流体に対して原材料の比率が高い状態で反応を進行させるために、開環重合性モノマーを溶融させることが好ましい。なお、本実施形態では、原材料及び圧縮性流体を連続的に供給することにより、接触部9において、開環重合性モノマー等の原材料と圧縮性流体とを一定の濃度の比率で連続的に接触させることができる。これにより、原材料を効率的に溶融又は溶解させることができる。
接触部9は、タンク型の装置により構成されていても、筒型の装置により構成されていてもよいが、一端から原材料を供給し、他端から溶融相あるいは流体相などの混合物を取り出す筒型の装置(接触容器)であることが好ましい。更に、接触部9には、原材料、圧縮性流体などを撹拌する撹拌装置が設けられていてもよい。このような装置としては、撹拌翼を設置したタンクや一軸のスクリュー、互いに噛み合う二軸のスクリュー、互いに噛み合う又は重なり合う多数の撹拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の撹拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。
特に、互いに噛み合う二軸又は多軸撹拌装置は、撹拌装置や容器への反応物の付着が少なく、セルフクリーニング作用があるので好ましい。接触部9が撹拌装置を有していない場合、接触部9は、耐圧性の配管30の一部によって構成される。なお、接触部9が本実施形態のように配管30によって構成される場合、接触部9内での各材料を確実に混合するため、接触部9に供給される開環重合性モノマーは予め液化されていることが好ましい。
接触部9には、計量フィーダー2によってタンク1から供給された開環重合性モノマーを導入するモノマー導入口の一例としての導入口9aと、計量フィーダー4によってタンク3から供給された粉末を導入する導入口9bと、計量ポンプ6によってタンク5から供給された液体を導入する導入口9cと、計量ポンプ12によってタンク11から供給された液体を導入する導入口9dが設けられている。
本実施形態において各導入口(9a,9b,9c,9d)は、接触部9において原材料などを供給するためのシリンダーあるいは配管30の一部などの管状の部材と、各原材料又は圧縮性流体を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどが挙げられる。また、接触部9には、供給された各原材料を加熱するためのヒータ9eが設けられている。
送液ポンプ10は、接触部9で形成された溶融相あるいは流体相などの混合物を下流側に送液する。
タンク11には触媒が貯蔵されている。計量ポンプ12等の供給手段によりタンク11に貯蔵された触媒を計量して接触部9及び/又は接触部13に供給する。なお、本実施形態では、図3Aに示すように導入口9dを介してタンク11から接触部9に触媒が導入され、導入口13cを介して接触部13に触媒が導入される系が示されている。触媒は接触部9及び/又は接触部13において供給されているが、接触部9及び/又は接触部13以外の他の箇所で触媒を供給しても構わない。例えば、タンク1内で予めモノマーと触媒とを混合しておいても構わない。
接触部13には、原材料、圧縮性流体などを撹拌する撹拌装置が設けられていてもよい。このような装置としては、撹拌翼を設置したタンクや一軸のスクリュー、互いに噛み合う二軸のスクリュー、互いに噛み合う又は重なり合う多数の撹拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の撹拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。特に、スタティックミキサーは、構造が単純で可動部が無いため、撹拌装置内への反応物の付着が少ないので好ましい。接触部13が撹拌装置を有していない場合、接触部13は、耐圧性の配管30の一部によって構成される。なお、接触部13が配管30によって構成される場合、接触部13内での各材料を確実に混合するため、接触部13に供給される開環重合性モノマーは予め液化されていることが好ましい。また、接触部13には、送液された原材料を加熱するためのヒータ13dが設けられていることが好ましい。
次に、反応・結晶化部14について図3Bを用いて説明する。図3Bは、図3Aに記載した反応部・結晶化部14の具体的な構成を示したものである。
反応・結晶化部14は、反応部14aと、反応部14aよりも下流側に設けられた冷却部14bと、冷却部14bよりも下流側に設けられた結晶化部14cとを有している。この結晶化部14cにおいても重合反応は進行する。反応部14aには、配管30を通って接触部9及び/又は接触部13側から流れてきた流体が下流方向に流れる配管31aと、配管31aを流れてきた該流体を冷却部14bよりも上流側に設けられた戻し口20aから上流側に設けられた導入口20bに戻すための配管31bとから構成される循環手段を有していることが好ましい。図3B中のA、B及びCは配管31aによって形成された経路内に設けられる攪拌装置や冷却装置などの装置(装置A、装置B及び装置C)を示しており、更に装置を追加する場合は、追加する装置を装置D、装置Eという。これらの装置については後述する。
循環手段には、適宜、攪拌装置や、流体ポンプが設けられていることが好ましい。また、循環手段には、更に、配管31aを流れる流体を加熱するためのヒータ、配管31bを流れる流体の反応熱を下げ熱分解を防ぐための冷却装置等が設けられていることが好ましい。冷却装置としては、例えば、多管式熱交換器、二重管式熱交換器等の冷却装置を単独で用いる他、撹拌装置にこれらの冷却装置を備えた複合型の冷却装置等を用いることができる。攪拌装置と冷却装置とを組み合わせることにより、撹拌による反応の促進と共に反応熱による熱分解の抑制ができる。複合型の冷却装置としては、例えば、多管式熱交換器の伝熱管内にスタティックミキサーを設置した冷却装置が好ましい。
図3Bでは、導入口20bは装置Aよりも上流側に設けられているが、装置Aよりも下流側に設けられていても構わない。また、図3Bでは、戻し口20aは装置Bよりも下流側に設けられているが、装置Bよりも上流側に設けられていても構わない。但し、流体ポンプ16は、戻し口20aと導入口20bとの間に設けられていることが好ましく、このような構成とすることによって流体の循環が良好に行われる。装置Aや装置Bに押出機のような押出手段を有している装置を設置する場合は、ポンプ16を設置しなくても構わない。
なお、循環手段は、流体が垂直方向の方向ベクトル成分を持った流れとなるような系であることが好ましい。例えば、流体が垂直方向、斜め上方向、あるいは斜め下方向に流れるように配置された配管部分が設けられていることが好ましい。また、例えば、流体が垂直方向にジグザグしながら流れるジグザグ状の配管部分を設けたり、螺旋状の配管部分が設けられたりしてもよい。また、配管の径については、特に限定はなく、管内で単一径としてもよいし、管内で径を変えても構わない。
冷却部14bは、例えば、多管式熱交換器、二重管式熱交換器等の冷却装置を単独で用いる他、撹拌装置にこれらの冷却装置を備えた複合型の冷却装置等を用いることができる。攪拌装置と冷却装置とを組み合わせることにより、目的の反応温度にすばやく制御することが可能となるため反応が均一に行われる。複合型の冷却装置としては、例えば、多管式熱交換器の伝熱管内にスタティックミキサーを設置した冷却装置が好ましい。
結晶化部14cには、シリンジポンプ、ギヤポンプ等のポンプ式押出機の他、単軸型押出機、多軸型押出機、スクリュー式押出機のような特殊な型押出機等の押出手段が設けられている。これら押出装置の中でも、安定的な吐出が可能でかつ粒子化のために結晶化直後にポリマーに対するせん断を加えることができるため、単軸型押出機、多軸型押出機、スクリュー式押出機が好ましい。また、結晶化部14cには、押出手段の他、攪拌手段が設けられていてもよい。
反応部14a及び/又は結晶化部14cに設けられる攪拌手段としては、例えば、互いに噛み合うスクリュー、2フライト(長円形)、3フライト(三角形様)等の撹拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の撹拌翼をもつ二軸又は多軸の駆動型撹拌装置が挙げられ、これらの攪拌手段はセルフクリーニングの観点から好ましい。また、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌手段として用いることができる。
前記静止型混合器としては、スタティックミキサー、及びそれらに類似する可動部を有さない混合装置が挙げられる。その他、例えば、特公昭47−15526号公報、特公昭47−15527号公報、特公昭47−15528号公報、特公昭47−15533号公報に開示されたもの(多層化混合器)、特開昭47−33166号公報などに開示されたもの(ケニックス型)のものも静止型混合器として用いることができる。なお、これら公報の記載内容は参照することにより本願明細書に含めるものとする。
反応・結晶化部14において撹拌装置と冷却装置と押出装置とは、それぞれ複数設けられていてもよい。前記撹拌装置と前記冷却装置と前記押出装置の配置について、表1に適用可能な形態をNo.1〜No.10として示す。なお、表1中、装置A〜装置Eは、反応部14a、冷却部14b、結晶化部14cに記載された図3Bの符号A〜Eに対応する。装置Cを使用していないものは、装置Cの部分が配管となり第1反応部14aを形成している。
なお、反応・結晶化部14における前記撹拌装置と前記冷却装置と前記押出装置との組み合わせについては、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、表1に示した組み合わせ以外のものも適宜用いることができる。
Figure 2016169357
表1から、反応部14aにおいて、撹拌装置と冷却装置とは、冷却装置が撹拌装置よりも前に設けられていてもよいし、撹拌装置が冷却装置よりも前に設けられていてもよい。
また、冷却装置と撹拌装置とが交互に設けられていてもよい。
撹拌装置として静止型混合器を用いる場合、撹拌装置を、送液ポンプ16よりも下流側に配置した方が、静止型混合器の配置に伴う圧力損失が送液ポンプ16により補われるため好ましい。なお、撹拌装置を押出装置よりも上流側に配置することで、局所的な重合反応が進行する前に撹拌されるため、ポリマーの均質性を一層高めることができるという利点がある。
押出口金20は、反応・結晶化部14で得られたポリマーを排出する排出部の一例である。なお、反応・結晶化部14の内外の圧力差を利用することにより、ポリマー生成物Pを反応・結晶化部14内から送り出すこともできる。押出口金20からの送り出し量を調整するために、押出口金20の上流に圧力調整バルブや計量ポンプを用いることもできる。
本実施形態では、計量フィーダー2(第一の供給部)から、押出口金20(排出部)に至るモノマー又は生成したポリマーの移送経路は、連通していることが好ましい。これにより、連続的に重合反応を進行させることができるので、重合反応の局所的な進行に起因して不均質な生成物が形成されてしまうことを防ぐことができる。
次に前記の工程で得られた粒子にモノマーを添加し、さらに重合を進める実施形態において用いる連続式重合装置について説明する。本実施形態によれば数平均分子量50,000以上のポリ乳酸粒子も短い時間で製造することができる。
この場合、触媒は500重量ppm以上が好ましく、さらに好ましくは1000重量ppm、さらに好ましくは5000ppm以上である。
以下に前記の工程で得られた粒子にモノマーを添加し、さらに重合を進める場合の例について図4A及び図4Bに基づいて説明する。
図4Aに示されるように、反応・結晶化部14とモノマー添加部15との間に、圧力調節バルブ(17,18)が設けられており、反応・結晶化部14において、適宜、ポリマーを排出させることも出来る。
さらに、該結晶化部14cよりも下流に設けられたモノマーと接触させる接触部14dと、該接触部よりも下流に設けられた反応部15aと、該接触部よりも下流に設けられた冷却部15bと、該接触部よりも下流に設けられた結晶下部15cを含むモノマー添加重合部15が設けられている。
計量フィーダー19は、モノマー含む原材料を供給する第一の供給部に設けられた供給手段の一例であり、タンク1に貯蔵された開環重合性モノマーを計量して接触部13dに連続的に供給する。
反応部14aには、タンク型の混合装置、あるいは、筒型の混合装置が設けられていてもよいが、デッドスペースが少ない筒型の装置が好ましい。反応部14aに混合装置が設けられている場合、原材料と生成されたポリマーの密度差によって、ポリマー粒子が沈降することを抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。14aが混合装置を有していない場合、反応部14aは、耐圧性の配管30の一部によって構成される。この場合、配管30の形状は特に限定されないが、装置をコンパクト化するために、らせん状のものが好適に用いられる。
また、反応部14aにおいて、撹拌装置と冷却装置とは、冷却装置が撹拌装置よりも前に設けられていてもよいし、撹拌装置が冷却装置よりも前に設けられていてもよい。 また、冷却装置と撹拌装置とが交互に設けられていてもよい。
次に、モノマー添加重合部15について図4Aを用いて説明する。図4Bは、図4Aに記載したモノマー添加重合部15の具体的な構成を示したものである。
モノマー添加部15は、反応部15aと、反応部15aよりも下流側に設けられた冷却部15bと、冷却部15bよりも下流側に設けられた結晶化部15cと有している。反応部15aには、反応・結晶化部14を通って接触部14d側から流れてきた流体が下流方向に流れる配管31aと、配管31aを流れてきた該流体を冷却部15bよりも上流側に設けられた戻し口20aから上流側に設けられた導入口20bに戻すための配管31bとから構成される循環手段を有していることが好ましい。図4A中のA、B及びCは配管31aによって形成された経路内に設けられる攪拌装置や冷却装置などの装置(装置A、装置B及び装置C)を示しており、更に装置を追加する場合は、追加する装置を装置D、装置Eという。これらの装置については後述する。
結晶化部15cには、シリンジポンプ、ギヤポンプ等のポンプ式押出機の他、単軸型押出機、多軸型押出機、スクリュー式押出機のような特殊な型押出機等の押出手段が設けられている。これら押出装置の中でも、安定的な吐出が可能でかつ粒子化のために結晶化直後にポリマーに対するせん断を加えることができるため、単軸型押出機、多軸型押出機、スクリュー式押出機が好ましい。また、結晶化部15cには、押出手段の他、攪拌手段が設けられていてもよい。
反応部15a及び/又は結晶化部15cに設けられる攪拌手段としては、例えば、互いに噛み合うスクリュー、2フライト(長円形)、3フライト(三角形様)等の撹拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の撹拌翼をもつ二軸又は多軸の駆動型撹拌装置が挙げられ、これらの攪拌手段はセルフクリーニングの観点から好ましい。また、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌手段として用いることができる。
前記静止型混合器としては、スタティックミキサー、及びそれらに類似する可動部を有さない混合装置が挙げられる。その他、例えば、特公昭47−15526号公報、特公昭47−15527号公報、特公昭47−15528号公報、特公昭47−15533号公報に開示されたもの(多層化混合器)、特開昭47−33166号公報などに開示されたもの(ケニックス型)のものも静止型混合器として用いることができる。なお、これら公報の記載内容は参照することにより本願明細書に含めるものとする。
モノマー添加重合部15において撹拌装置と冷却装置と押出装置とは、それぞれ複数設けられていてもよい。前記撹拌装置と前記冷却装置と前記押出装置の配置について、表1に適用可能な形態をNo.1〜No.10として示す。なお、表1中、装置A〜装置Eは、反応部15a、冷却部15b、結晶化部15cに記載された図4Aの符号A〜Eに対応する。装置Cを使用していないものは、装置Cの部分が配管となり第1反応部15aを形成している。
なお、モノマー添加重合部15における前記撹拌装置と前記冷却装置と前記押出装置との組み合わせについては、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、表1に示した組み合わせ以外のものも適宜用いることができる。
表1から、反応部15aにおいて、撹拌装置と冷却装置とは、冷却装置が撹拌装置よりも前に設けられていてもよいし、撹拌装置が冷却装置よりも前に設けられていてもよい。
また、冷却装置と撹拌装置とが交互に設けられていてもよい。
撹拌装置として静止型混合器を用いる場合、撹拌装置を、送液ポンプ16よりも下流側に配置した方が、静止型混合器の配置に伴う圧力損失が送液ポンプ16により補われるため好ましい。なお、撹拌装置を押出装置よりも上流側に配置することで、局所的な重合反応が進行する前に撹拌されるため、ポリマーの均質性を一層高めることができるという利点がある。
押出口金20は、モノマー添加重合部15で得られたポリマーを排出する排出部の一例である。なお、モノマー添加重合部15の内外の圧力差を利用することにより、ポリマー生成物Pをモノマー添加重合部15内から送り出すこともできる。押出口金20からの送り出し量を調整するために、押出口金20の上流に圧力調整バルブや計量ポンプを用いることもできる。
本実施形態では、計量フィーダー2(第一の供給部)から、押出口金20(排出部)に至るモノマー又は生成したポリマーの移送経路は、連通していることが好ましい。これにより、連続的に重合反応を進行させることができるので、重合反応の局所的な進行に起因して不均質な生成物が形成されてしまうことを防ぐことができる。
[バッチ式重合反応装置]
続いて、バッチ式の工程で用いられる重合反応装置200について説明する。図5の系統図において、重合反応装置200は、タンク(121,131)と、計量ポンプ122と計量フィーダー132と、添加ポット125と、反応容器127と、バルブ(123,124,126,128,129)と、を有している。上記の各装置は耐圧性の配管130、及び配管140によって図5に示したように接続されている。また、配管130には、継手(130a,130b)が設けられている。
タンク121は、圧縮性流体を貯蔵する。なお、タンク121は、反応容器127に供給される供給経路或いは反応容器127内で加熱、加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)又は固体を貯蔵してもよい。この場合、タンク121に貯蔵される気体又は固体は、加熱又は加圧されることにより、反応容器127内で図2の相図における(1)、(2)、又は(3)の状態となる。
計量ポンプ122は、タンク121に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力及び流量で反応容器127に供給する。タンク131には開環重合性モノマーが貯蔵される。貯蔵される開環重合性モノマーは粉末であっても液体の状態であってもよい。添加ポット125は、反応容器127内の原材料に添加される触媒を貯蔵する。触媒は添加ポット125を用いて添加してもよいしモノマーなど同時に予め反応容器127に仕込んでもよい。計量フィーダー132は、モノマーを含む原材料を供給する第一の供給部に設けられた供給手段の一例であり、タンク131に貯蔵された開環重合性モノマーを計量して反応器127に供給する。バルブ(123,124,126,129)は、それぞれを開閉させることにより、タンク121に貯蔵された圧縮性流体を、添加ポット125を経由して反応容器127に供給する経路と、添加ポット125を経由せずに反応容器127に供給する経路などとを切り換える。
反応容器127には、重合を開始する前に予めモノマー、触媒、及び開始剤が収容される。反応容器127は、予め収容されたモノマー、触媒、及び開始剤と、タンク121から供給された圧縮性流体とを接触させて、モノマーを重合させるための耐圧性の容器である。なお、反応容器127には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていてもよい。また、反応容器127は、原材料及び圧縮性流体を加熱するためのヒータを有している。更に、反応容器127は、原材料、及び圧縮性流体を攪拌する攪拌装置を有している。
原材料と生成したポリマー生成物との密度差が生じたときに、攪拌装置の攪拌を加えることで生成したポリマー生成物の沈降を抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。また、粒子化工程において圧縮性流体を溶解させたポリマー生成物に攪拌装置でせん断を加えることで造粒することが出来る。また、高濃度の触媒下でポリ乳酸粒子を得た場合、得られたポリ乳酸粒子にモノマーを添加し、重合させる事で反応時間が短縮される。バルブ128は、重合反応終了後に開放されることにより反応容器127内のポリマー粒子Pを排出する。
<重合方法>
次に、重合反応装置100を用いた開環重合性モノマーの重合方法について、図3A及び図3Bを参照して説明する。本実施形態では、開環重合性モノマーと圧縮性流体とを連続的に供給し、接触させて、開環重合性モノマーを開環重合させてポリマーを連続的に得る。
まず、各計量フィーダー(2,4)、計量ポンプ6、計量ポンプ8、及び計量ポンプ12を作動させ、各タンク(1,3,5,7,11)内の開環重合性モノマー、開始剤、添加剤、第一の圧縮性流体を連続的に供給する。これにより、各導入口(9a,9b,9c,9d)から、接触部9の管内に原材料及び圧縮性流体が連続的に導入される。各計量フィーダー(2,4)、計量ポンプ6、計量ポンプ8、及び計量ポンプ12を作動させる順序は、特に限定されない。しかしながら、初期の原材料が圧縮流体に接触せずに接触部13aに送られると、温度低下によって固化する恐れがあるため、先に計量ポンプ8を作動させることが好ましい。なお、固体(粉末又は粒状)の原材料は、液体の原材料と比較して計量精度が低い場合がある。この場合、固体の原材料を前もって液体の状態にしてタンク5に貯蔵しておき、計量ポンプ6によって接触部9の管内に導入させてもよい。
計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6による各原材料の各供給速度は、開環重合性モノマー、開始剤、及び添加剤の所定の量比に基づいて、一定の比率となるように調整される。計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6よって単位時間当たりに供給される各原材料の質量の合計(原材料の供給速度(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。同様に、計量ポンプ8よって単位時間当たりに供給される圧縮性流体の質量(圧縮性流体の供給速度(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。原材料の供給速度と圧縮性流体の供給速度との比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度、フィード比という)は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10〜20の間が特に好ましい。また、前記フィード比の上限値については、1,000以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
前記フィード比を1以上とすることにより、各原材料及び圧縮性流体が接触部13に送液されたときに、原材料及び生成したポリマーの濃度(いわゆる固形分濃度)が高い状態で反応が進行する。このときの重合系内の固形分濃度は、従来の製造方法で圧倒的な量の圧縮性流体に対して少量の開環重合性モノマーを溶解させて重合したときの重合系の固形分濃度とは大きく異なる。本実施形態の製造方法は、固形分濃度が高い重合系でも重合反応が効率的かつ安定して進行することに特徴がある。なお、本実施形態において、フィード比を1未満としてもよく、この場合であっても、得られるポリマー生成物の品質に問題はないが、経済的な効率は劣ることになる。また、前記フィード比が1,000を超えると、圧縮性流体が開環重合性モノマーを溶融させる能力が不十分となる恐れがあり、目的とする反応が均一に進まない場合がある。
各原材料は、接触部9の管内に連続的に導入されるので、それぞれが連続的に接触する。これにより、接触部9内で、開環重合性モノマー、開始剤、添加物などの各原材料が溶解又は溶融する。接触部9が撹拌装置を有する場合には、各原材料を撹拌してもよい。導入された各材料が固化するのを防ぐために各材料の融点以上に温度を制御される。この制御は、接触部9のヒータ9eの出力を調整することにより行われる。
各原材料が効率的に溶融するように、接触部9で各原材料に熱や撹拌を加えるタイミングを調整してもよい。より確実に溶融させるため、例えば、あらかじめ開環重合性モノマーに融点以上の熱をかけてから、開環重合性モノマーと各原材料とを接触させてもよい。上記の各態様は、例えば、接触部9が二軸の混合装置によって構成される場合には、スクリューの配列、各導入口(9a,9b,9c,9d)の配置、ヒータ9eの温度を適宜設定することにより実現される。
なお、本実施形態では、開環重合性モノマーとは別に添加物を接触部9に供給しているが、開環重合性モノマーと共に添加物を供給してもよい。また、重合反応後に添加物を供給してもよい。この場合、押出部20から得られたポリマー生成物を取り出した後に添加物を混錬しながら添加することもできる。
接触部9で溶融させた各原材料は送液ポンプ10によって送液され、導入口13bから接触部13に供給される。一方、タンク11内の触媒は、計量ポンプ12によって計量され、導入口13cから接触部13へ所定量供給される。本実施形態の触媒は室温でも作用しうるため、原材料を圧縮性流体に溶融させた後、触媒を添加している。従来、圧縮性流体を用いて開環重合性モノマーを開環重合する方法において、触媒を加えるタイミングについては検討されていなかった。本実施形態では、開環重合に際しては、触媒は、その活性の高さから、開環重合性モノマーや開始剤等の原材料の混合物が十分溶解又は溶融した状態に添加され、接触部9又は接触部13に添加する。添加する箇所は、1箇所に限定するものではなく、接触部9及び接触部13に分配して添加してもよい。
送液ポンプ10によって送液された各原材料及び計量ポンプ12によって供給された触媒は、必要に応じて接触部13の撹拌装置によって充分に撹拌され、あるいは送液される間、ヒータ13dにより所定温度に加熱される。これにより、反応部14内で、触媒の存在下、開環重合性モノマーは開環重合する(重合工程)。
反応工程での開環重合性モノマーを開環重合させる際の温度(重合反応温度)の下限は、特に制限はないが、反応生成物の融点をTm(℃)としたとき、[Tm−100](℃)以上であることが好ましい。前記重合反応温度が、[Tm−100](℃)未満であると、開環重合性モノマー種によっては、圧縮性流体による溶融に長い時間がかかったり、溶融が不十分であったり、触媒の活性が低くなったりする。これにより、重合時には反応速度が低下しやすくなり、定量的に重合反応を進めることができなくなる場合がある。
反応工程での重合反応温度の上限値は、特に制限はなく、Tm+30℃が好ましい。また、重合反応温度の下限値はTm−100℃が好ましい。重合反応温度がTm+30℃を超えると、開環重合の逆反応である解重合反応も平衡して起こりやすく、定量的に重合反応が進みにくくなる。
粒子化工程での結晶化温度の下限値は、特に制限はないが、60℃が好ましい。結晶化温度が、上記下限値を下回ると、十分に結晶化しなかったり触媒の活性が低くなったりすることで反応速度が低下しやすくなり、残存モノマーを十分に減らすことができなくなる場合がある。
粒子化工程での結晶化温度の上限値は、特に制限はなく、Tmが好ましい。結晶化温度が上記上限値を超えると、融点以上となるため結晶化が起きず、残存モノマーを十分に減らすことができなくなる場合がある。
ポリマーの融点は以下のようにして測定することができる。示差走査型熱量計(DSC)により測定した融解ピークを融点とする。
装置 :パーキンエルマー社製Pyrisl DSC
試料 :10mg
雰囲気 :窒素
昇温速度 :20℃/min
なお、重合反応温度及び結晶化温度は、反応・結晶化部14に設けられた冷却装置と反応・結晶化部14の外部からの加熱等により制御される。
反応部14内の送液ポンプ16によって冷却装置及び撹拌装置に反応物が供給され、循環される。この循環の流量により冷却及び撹拌が促進されるため、所定の冷却及び撹拌能力が得られる流量になるように送液ポンプ16の出力を調節する。
超臨界二酸化炭素を用いた従来のポリマーの製造方法において、超臨界二酸化炭素はポリマーの溶解能が低いことから、多量の超臨界二酸化炭素を用いて開環重合性モノマーを重合させていた。本実施形態の重合法によれば、圧縮性流体を用いたポリマーの製造方法においては、従来にない高い濃度で開環重合性モノマーを開環重合させる。この場合、圧縮性流体の存在下、反応部14内が高圧となり、生成したポリマーのガラス転移温度(Tg)が低下する。これにより、生成したポリマーが低粘度化するので、ポリマー生成物の濃度が高くなった状態でも均一に開環重合反応が進行する。
本実施形態において、重合反応時間(反応部14内の平均滞留時間)は、ポリマー種や目標とする分子量に応じて設定されるが、おおむね10時間以下であることが好ましい。10時間以上の場合は生産性が乏しく、触媒種の選定によって反応速度調整することが好ましい。
重合時の圧力、即ち、圧縮性流体の圧力は、タンク7から供給された圧縮性流体が液化ガス(図2の相図の(2))、又は高圧ガス(図2の相図の(3))となる圧力でもよいが、超臨界流体(図2の相図の(1))となる圧力が好ましい。圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、開環重合性モノマーの溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。なお、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力は、3.7MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましく、臨界圧力の7.4PMa以上が更に好ましい。また、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、同様の理由により、その温度は25℃以上が好ましい。
反応部14内の水分量は、開環重合性モノマー100モル%に対して、4モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、0.5モル%以下が更に好ましい。前記水分量が、4モル%を超えると、水分自体も開始剤として寄与するため、分子量の制御が困難となる場合がある。重合反応系内の水分量を制御するために、必要に応じて、前処理として、開環重合性モノマー、その他原材料に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
反応部14内で開環重合反応を終えたポリマー生成物Pは、送液ポンプ16により反応部14の外へ送り出される。ポリマー生成物Pを送り出す速度は、圧縮性流体で満たされた重合系内の圧力を一定にして、運転させ均一な重合品を得るために、一定とすることが好ましい。そのため、送液ポンプ16の吐出圧力が一定となるように、送液ポンプ10の送液量は制御される。同様に、送液ポンプ10の背圧が一定となるように、接触部9内部の送液機構及び計量フィーダー(2,4)、及び計量ポンプ(6,8)の供給速度は制御される。制御方式は、ON−OFF型つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の方がより好ましいことが多い。いずれにせよこのような制御によって、均一なポリマー生成物を安定に得ることができる。
次に上記の工程で得られた粒子にモノマーを添加し、さらに重合を進める実施形態における連続式重合方法について図4A、図4Bに基づいて説明する。
反応・結晶化部14で得られたポリ乳酸粒子は接触部14dへと供給される。一方、タンク1内のモノマーは、計量フィーダー19によって計量され、接触部14dへ所定量供給される。計量フィーダー19による各原材料の各供給速度は、開環重合性モノマー、開始剤、及び添加剤の所定の量比に基づいて、一定の比率となるように調整される。計量フィーダー19によって単位時間当たりに供給される各原材料の質量の合計(原材料の供給速度(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。
反応・結晶化部14で得られたポリ乳酸粒子、及び計量フィーダー19によって供給されたモノマーは、必要に応じて接触部14dの撹拌装置によって充分に撹拌され、あるいは送液される間、ヒータ13dにより所定温度に加熱される。これにより、反応部15a内で、触媒の存在下、開環重合性モノマーは開環重合する。なお、重合反応温度は、モノマー添加重合部15に設けられた冷却装置と反応部15aの外部からの加熱等により制御される。モノマー添加重合部15内の送液ポンプ16によって冷却装置及び撹拌装置に反応物が供給され、循環される。この循環の流量により冷却及び撹拌が促進されるため、所定の冷却及び撹拌能力が得られる流量になるように送液ポンプ16の出力を調節する。
なお、重合反応温度、及び結晶化温度は、モノマー添加部15に設けられた冷却装置とモノマー添加重合部15の外部からの加熱等により制御される。
モノマー添加重合部15内で開環重合反応を終えたポリマー生成物Pは、送液ポンプ16によりモノマー添加重合部15の外へ送り出される。ポリマー生成物Pを送り出す速度は、圧縮性流体で満たされた重合系内の圧力を一定にして、運転させ均一な重合品を得るために、一定とすることが好ましい。そのため、送液ポンプ16の吐出圧力が一定となるように、送液ポンプ10の送液量は制御される。同様に、送液ポンプ10の背圧が一定となるように、接触部9内部の送液機構及び計量フィーダー(2,4)、及び計量ポンプ(6,8)の供給速度は制御される。制御方式は、ON−OFF型つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の方がより好ましいことが多い。いずれにせよこのような制御によって、均一なポリマー生成物を安定に得ることができる。
<<ポリマー生成物>>
本実施形態のポリマー生成物は、上記の製造方法により得られるポリマー生成物であって、残存開環重合性モノマー量が2モル%未満であり、数平均分子量が50,000以上であることが好ましい。
本実施形態のポリマーの製造方法によると、結晶化度が高くなると、結晶相には未反応モノマーを含むことが出来ず、アモルファス相に移ることで転化率の平衡がずれる。よって、従来の溶融重合と比して、大幅にポリマー転化率を向上することが出来る。これにより、ポリマー転化率を、96モル%以上、好ましくは98モル%以上とすることができる。前記ポリマー転化率が96モル%に満たない場合、ポリマー生成物としての熱特性が不十分になり、別途開環重合性モノマーを除去する操作が必要になる場合がある。別途開環重合性モノマーを除去する操作を行った場合、ポリマーに熱をかけている時間を長くする必要があり、イエローインデックスが高くなったり、熱分解による分子量低下を引き起こしたりする可能性がある。
前記ポリマー転化率とは、原材料としての開環重合性モノマーに対する、ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの割合を意味する。ポリマーの生成に寄与した開環重合性モノマーの量は、生成したポリマーの量から未反応の開環重合性モノマーの量(残存開環重合性モノマー量)を差し引くことにより得られる。
本実施形態により得られるポリマー生成物の数平均分子量は、開始剤の量によって調整が可能であるが、50,000以上が好ましく、50,000〜350,000がより好ましく、120,000〜350,000が更に好ましい。前記数平均分子量が、350,000を超えると、粘性の上昇に伴う生産性の悪化により経済的ではない場合がある。一方、前記数平均分子量が、50,000未満であると、ポリマーとしての強度が不十分となり好ましくない場合があり、250,000を超えると、ポリマー粘性の上昇に伴う生産性の悪化により経済的ではないことがある。
本実施形態により得られるポリマー生成物の重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した値(Mw/Mn)は、1.0以上2.5以下が好ましく、1.0以上2.0以下がより好ましい。この値(Mw/Mn)が、2.5を超えると、重合反応が不均一に行われている可能性が高く、ポリマー物性をコントロールすることが困難になることから好ましくない。
ここで、前記ポリマーの分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)により測定することができる。
前記ポリマーの製造方法により得られるポリマーは、イエローインデックス(YI)値が低い。前記ポリマーにおける前記YI値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。前記YI値が、5.0を超えると、外観上の問題となることがある。
前記イエローインデックス(YI)値は、例えば、厚み2mmの樹脂ペレットを作製してJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機株式会社製)を用いて測定し求めることができる。
本実施形態により得られるポリマー生成物は、残存開環重合性モノマー量は、4モル%未満(ポリマー転化率96モル%以上)が好ましく、2モル%未満(ポリマー転化率98モル%以上)がより好ましく、1000ppm以下とすることが更に好ましい。1,000ppm以下と極めて少なくすることにより、安全性、安定性に特に優れたものとなる。従って、本実施形態の粒子は、日用品、医薬品、化粧品、電子写真用トナー等の用途として幅広く適用される。
なお、本実施形態において、金属触媒とは、開環重合に用いられる触媒であって金属を含むものである。また、実質的に金属原子を含まないとは、金属触媒由来の金属原子を含まないことを意味する。具体的には、ICP発光分析法、原子吸光分析法あるいは比色法などの公知の分析手法で、ポリマー生成物における金属触媒由来の金属原子の検出を試みた場合に、検出限界以下であるときに金属触媒由来の金属原子を含まないと言える。
この金属触媒としては、特に限定されないが、オクチル酸スズ、ジブチル酸スズ、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズなどのスズ系化合物、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミなどのアルミ系化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロオイキシドなどのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物などの公知のものが挙げられる。金属触媒由来の金属原子としては、スズ、アルミ、チタン、ジルコニウム、アンチモンなどが挙げられる。また、本実施形態において、有機溶媒とは、開環重合に用いられる有機物の溶媒であり、開環重合反応で得られるポリマーを溶解せしめるものである。開環重合反応で得られるポリマーがポリ乳酸(L体100%)である場合には、有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン溶媒やテトラヒドロフランなどが挙げられる。実質的に有機溶媒を含有しないとは、以下の測定方法により測定されるポリマー生成物中の有機溶媒の含有量が検出限界以下であることを言う。
<モノマーのポリマー転化率>
モノマーのポリマー転化率は、以下の式により求めた。
モノマーのポリマー転化率(モル%)=100−未反応モノマー量(モル%)
ポリ乳酸の場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製の核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10ppm〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98ppm〜5.05ppm)として算出し、これを100倍して求めた。
<<ポリマー生成物の用途>>
本実施形態の製造方法により得られたポリマー生成物は、金属触媒及び有機溶剤を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。従って、本実施形態の製造方法により得られたポリマー生成物は、電子写真の現像剤、印刷用インク、建築用塗料、化粧品、医療用材料などの各種用途に幅広く適用される。その際、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、結晶性、耐候性等を向上させる目的で、各種添加剤を使用してもよい。
以下、実施例を示して本実施形態を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
以下では、ポリマー粒子としてポリ乳酸粒子を製造する場合を例にとって説明する。
なお、実施例及び比較例で得られたポリマーの分子量、モノマーのポリマー転化率、結晶化度、光学純度、粒径は次のようにして求めた。
<ポリマーの分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量
分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布はMwをMnで除した値である。
<モノマーのポリマー転化率>
モノマーのポリマー転化率は、以下の式により求めた。
モノマーのポリマー転化率(モル%)=100−未反応モノマー量(モル%)
ポリ乳酸の場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10ppm〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98ppm〜5.05ppm)として算出し、これを100倍して求めた。
<結晶化度>
ポリマーの結晶化度は以下のようにして測定することができる。示差走査型熱量計(DSC)により測定した160℃付近の融解熱容量を示すピーク面積から算出した。ここで、100%結晶化したポリ乳酸の融解熱容量を93.7J/gとして算出した。
装置:パーキンエルマー社製Pyrisl DSC
試料:10mg
雰囲気:窒素
昇温速度:20℃/min
<光学純度>
ポリ乳酸樹脂の光学純度は「ポリオレフィン等合成樹脂製食品包装等に関する自主基準第3版改訂版 2004年6月追補3部衛生試験法 P12−13」に記載のD体含有量の測定方法によって求めることが出来る。すなわち、精製したポリ乳酸樹脂に水酸化ナトリウム/メタノールを加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、樹脂分が均一溶液になるまで加水分解を行い、さらに加水分解が完了したアルカリ溶液に希塩酸を加えて中和し、その分解溶液を純水にて定溶した後、一定容量をメスフラスコに分液して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液により希釈し、pHが3〜7の範囲になるように調整してメスフラスコを定量し、メンブレンフィルター(0.45μm)によりろ過する。HPLCにてこの調整溶液のD−乳酸、L−乳酸を定量することによってポリ乳酸樹脂の光学純度を求めることが出来る。
カラム :光学分割カラム(住化分析センター社製スミキラル0A6100(46mmΦ×150mm、5μm))
プレカラム :光学分割カラム(住化分析センター社製スミキラル0A6100(4mmΦ×10mm、5μm))
カラム温度 :25℃
移動相 :2.5%メタノール含有1.5mM硫酸銅水溶液
移動相流量 :1.0ml/分
検出器 :紫外線検出器(UV254μm)
注入量 :20μl
<粒径>
レーザー散乱式粒子径測定装置(堀場製作所LA−920)にて測定した。具体的には、酢酸エチル約200mLに10wt%界面活性剤を2mL加えた後、ポリマー粒子を透過率85±2%になるまで加え、超音波処理を1.75分間行い測定した。
(実施例I−1)
図5に示す重合反応装置200を用いて、L−ラクチドの開環重合を行った。重合反応装置の構成を以下に示す。
・タンク121 :炭酸ガスボンベ
・計量ポンプ122 :日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
・添加ポット125 :実施例I−1では使用しなかった。
・反応容器127
・攪拌装置:アンカー翼
・タンク131:実施例I−1では使用しなかった。
・計量フィーダー132:実施例I−1では使用しなかった。
まず、反応容器127には、開環重合性モノマーとして溶融状態のL−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)、オクチル酸スズをL−ラクチド99.9モルに対して0.1モルとなるように、また、開始剤としてラウリルアルコールをL−ラクチド99.85モルに対し0.15モルとなるように計量して充填した。このとき攪拌装置の電源を入れ回転数を10rpmとなるように攪拌を開始した。
次に、タンク121のボンベを開け反応容器127をボンベ圧まで昇圧させて、反応容器127のヒータにより180℃まで昇温し、L−ラクチドの開環重合を開始させた。このとき反応容器内が10MPaとなるように計量ポンプを使用して調整した。
約0.5時間反応させた後、反応容器127のヒータを130℃に設定し結晶化を開始させた。約1.0時間結晶化させた後、排出口128からポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子について、上記の方法でMn、Mw/Mn、ポリマー転化率、結晶化度、光学純度)を求め、質量平均粒径を評価した。結果を表2−1に示す。
また、表2−1には反応工程において排出口128からサンプリングした試料についてのMn、Mw/Mn、ポリマー転化率も示した。
(実施例I−2〜I−14)
実施例I−2〜I−14については、実施例I−1において、条件をそれぞれ表2−1、表2−2および表2−3に示すように変更した以外は実施例I−1と同様の操作を行い、実施例I−2〜I−14のポリマー生成物を得た。
Figure 2016169357
Figure 2016169357
Figure 2016169357
(実施例I−15)
図3A及び図3Bに示す重合反応装置100を用いて、L−ラクチドの開環重合を行った。重合反応装置の構成を示す。
・タンク1,計量フィーダー2:日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462、
タンク1には、開環重合性モノマーとして溶融状態のL−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)を充填した。
・タンク3,計量フィーダー4:日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU−2080)
タンク3には、開始剤としてラウリルアルコールを充填した。
・タンク5,計量ポンプ6:実施例I−15では使用しなかった。
・タンク7:炭酸ガスボンベ
・タンク11,計量ポンプ12:日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU−2080)
タンク11には、オクチル酸スズを充填した。
・導入部9e:実施例I−15では使用しなかった。
・反応・結晶化部14
・・装置A:スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド社製)
内径:21.2mm
長さ:2000mm
・・装置E: 単軸押出機
シリンダー径:30mm
回転速度:10rpm
装置Aと装置Eとは配管(配管31a)で接続されている。
・・装置B〜D:実施例I−15では使用しなかった。
・タンク7:炭酸ガスボンベ
・反応部14と排出口21とをつなぐ配管
内径:8.5mm
まず、計量フィーダー2を作動させて、タンク1内の溶融状態のL−ラクチドを接触部9の容器内に定量供給した。計量フィーダー4を作動させて、タンク3内のラウリルアルコールをL−ラクチドの供給量99.85モルに対し0.15モルとなるように接触部9の容器内に定量供給した。計量ポンプ8を作動させて、タンク7より圧縮性流体としての炭酸ガス(二酸化炭素)をフィード比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度)が10になるように供給した。接触部9の容器内の圧力が10MPaとなるように押出口20のバルブを調整した。次いで。計量ポンプ12を作動させて、タンク11のオクチル酸スズをL−ラクチド99.9モルに対して0.1モルとなるように導入口13cから定量供給した。これにより、タンクから供給されたL−ラクチド及びラウリルアルコール等の各原材料と、圧縮性流体と、オクチル酸スズとを連続的に接触させるとともに、撹拌翼で各原材料を混合し、L−ラクチドの開環重合を開始させた。
次に、導入口13cで重合が開始したポリマーは、送液ポンプ10によって180℃に設定した反応部14aに送液され、重合が進む。その後配管で接続され130℃に設定した結晶化部14cで再度重合させる。結晶化部14cと排出口21をつなぐ配管を通り押出口金20の排出口21から排出させた。この場合、反応・結晶化部14から排出までの材料の平均滞留時間は約1.0時間とした。得られたポリマー生成物について、上記の方法でMn、Mw/Mn、ポリマー転化率、結晶化度、光学純度)を求め、質量平均粒径を評価した。結果を表2−4に示す。
(実施例I−16〜I−19)
実施例I−16〜I−19については、実施例I−15において、条件をそれぞれ表2−4に示すように変更した以外は実施例I−15と同様の操作を行い、実施例I−16〜I−19のポリマー生成物を得た。
2軸押出機:互いに噛み合うスクリュー
シリンダー径:30mm
2軸同方向回転
回転速度:30rpm
Figure 2016169357
(比較例I−1〜I−4)
実施例I−1において、条件を表2−5に示すように変更した以外は、実施例I−1と同様の操作を行い、比較例I−1〜I−4のポリマー生成物を得た。比較例I−1〜I−4で得られたポリマー生成物について、実施例I−1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)を求めた。しかし、いずれの条件も粒子は得られなかった。結果を表2−5に示す。
Figure 2016169357
(実施例II−1)
実施例I−1で用いたと同様のポリマー製造装置を使用した。
まず、反応容器127には、開環重合性モノマーとして溶融状態のグリコリド(和光純薬社製)、オクチル酸スズ(和光純薬社製)をグリコリド99.9モルに対して0.1モルとなるように、開始剤としてラウリルアルコール(和光純薬社製)をグリコリド99.85モルに対し0.15モルとなるように計量して充填した。このとき攪拌装置の電源を入れ回転数を10rpmとなるように攪拌を開始した。
次に、タンク121のボンベを開け反応容器127をボンベ圧まで昇圧させて、反応容器127のヒータにより220℃まで昇温し、グリコリドの開環重合を開始させた。このとき反応容器内が15MPaとなるように計量ポンプを使用して調整した。
約1時間反応させた後、反応容器127のヒータを200℃に設定し結晶化を開始させた。約2時間結晶化させた後、排出口128からポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子について、上記の方法でMn、Mw/Mn、ポリマー転化率、結晶化度、光学純度)を求め、質量平均粒径を評価した。結果を表3に示す。
(実施例II−2〜II−8、比較例II−1〜II−4)
実施例II−2〜II−8、比較例II−1〜II−4については、実施例II−1において、条件をそれぞれ表3に示すように変更した以外は実施例II−1と同様の操作を行い、実施例II−2〜II−8、比較例II−1〜II−4のポリマー生成物を得た。
Figure 2016169357
(実施例III−1)
図5に示すポリマー製造装置200を用いて、L−ラクチドの開環重合を行った。ポリマー製造装置の構成を示す。
・タンク121:炭酸ガスボンベ
・計量ポンプ122:日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462
・添加ポット125:実施例III−1では使用しなかった。
・タンク131,計量フィーダー132
:日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462、タンク1には、開環重合性
モノマーとして溶融状態のL−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)を充填した。
・反応容器127
・攪拌翼:アンカー翼
まず、反応容器127には、開環重合性モノマーとして溶融状態のL−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)、オクチル酸スズをL−ラクチド98.2モルに対して1.8モルとなるように、開始剤としてラウリルアルコールをL−ラクチド99.85モルに対し0.15モルとなるように計量して充填した。このとき攪拌装置の電源を入れ回転数を10rpmとなるように攪拌を開始した。
次に、タンク121のボンベを開け反応容器127をボンベ圧まで昇圧させて、反応容器127のヒータにより180℃まで昇温し、L−ラクチドの開環重合を開始させた。このとき反応容器内が10MPaとなるように計量ポンプを使用して調整した。
約10分間反応させた後、反応容器127のヒータを130℃に設定し結晶化を開始させた。約15分間結晶化させた後、計量フィーダー132を使用し、反応器に充填したL−ラクチドとの重量比が1:10となるように溶融状態のL−ラクチドを供給した。
反応容器127のヒータにより再び180℃まで昇温し、L−ラクチドの開環重合を開始させた。
約15分間反応させた後、反応容器127のヒータを130℃に設定し結晶化を開始させた。約20分間結晶化させた後、排出口128からポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子について、上記の方法でMn、Mw/Mn、ポリマー転化率、結晶化度、光学純度)を求め、質量平均粒径を評価した。結果を表4−1に示す。
(実施例III−2〜III−17)
実施例III−2〜III−17については、実施例III−1において、条件をそれぞれ表4−1、4−2、4−3に示すように変更した以外は実施例III−1と同様の操作を行い、実施例III−2〜III−17のポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子について、上記の方法でMn、Mw/Mn、ポリマー転化率、結晶化度、光学純度)を求め、質量平均粒径を評価した。結果を表4−1、4−2、表4−3に示す。
Figure 2016169357
Figure 2016169357
Figure 2016169357
(実施例III−18)
図4A及び図4Bに示すポリマー製造装置100を用いて、L−ラクチドの開環重合を行った。ポリマー製造装置の構成を示す。
・タンク1,計量フィーダー2,19
:日本精密社製 プランジャーポンプNP−S462、
タンク1には、開環重合性モノマーとして溶融状態のL−ラクチド(製造会社名:ピューラック社、融点:100℃)を充填した。
・タンク3,計量フィーダー4:日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU−2080)
タンク3には、開始剤としてラウリルアルコールを充填した。
・タンク5,計量ポンプ6:実施例III−18では使用しなかった。
・タンク7:炭酸ガスボンベ
・タンク11,計量ポンプ12:日本分光社製 インテリジェントHPLCポンプ(PU−2080)
タンク11には、オクチル酸スズを充填した。
・導入部9e:実施例III−18では使用しなかった。
・反応部14a:スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド社製)
内径:21.2mm
長さ:2000mm
・粒子化部14c: 単軸押出機
シリンダー径:30mm
回転速度:10rpm
・冷却部14b:実施例III−18では使用しなかった。
・タンク7:炭酸ガスボンベ
・反応部15a
・装置A:混合機/タンク撹拌装置(駆動型撹拌装置)
タンク内径:100mm
タンク長さ:200mm
タンク温度:100℃
回転速度:10rpm
・装置B:冷却装置/二重管式熱交換器
内径:14.3mm
ジャケット部内径:43.0mm
熱交換器長さ:150mm
装置Aと装置Bとは配管(第一の配管31aと第二の配管31b)で循環可能
に接続されており、装置Aと装置Bと配管とで反応部15aを形成している。
・モノマー添加重合部15と排出口21とをつなぐ配管
内径:8.5mm
まず、計量フィーダー2を作動させて、タンク1内の溶融状態のL−ラクチドを接触部9の容器内に定量供給した。計量フィーダー4を作動させて、タンク3内のラウリルアルコールをL−ラクチドの供給量99.85モルに対し0.15モルとなるように接触部9の容器内に定量供給した。計量ポンプ8を作動させて、タンク7より圧縮性流体としての炭酸ガス(二酸化炭素)をフィード比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度)が10になるように供給した。接触部9の容器内の圧力が10MPaとなるように押出口20のバルブを調整した。次いで。計量ポンプ12を作動させて、タンク11のオクチル酸スズをL−ラクチド98.2モルに対して1.8モルとなるように導入口13cから定量供給した。これにより、タンクから供給されたL−ラクチド及びラウリルアルコール等の各原材料と、圧縮性流体と、オクチル酸スズとを連続的に接触させるとともに、撹拌翼で各原材料を混合し、L−ラクチドの開環重合を開始させた。
次に、導入口13cで重合が開始したポリマーは、送液ポンプ10によって180℃に設定した反応部14aに送液され、重合が進む。その後配管で接続され130℃に設定した結晶化部14cで再度重合させる。結晶化部14cで粒子化されたポリ乳酸粒子は180℃に設定した反応部15aに送液さ、循環しながら重合が進む。反応時の過剰な発熱は冷却装置により冷却される。ポリマーは所定の時間循環させ、重合させる。その後配管で接続され130℃に設定した結晶化部15cで再度重合させ、排出口21をつなぐ配管を通り押出口金20の排出口21から排出させた。この場合、反応・結晶化部14からモノマー添加工程15までの材料の平均滞留時間は約0.3時間とし、モノマー添加工程15から排出までの材料の平均滞留時間は約0.4時間とした。得られたポリマー粒子について、上記の方法でMn、Mw/Mn、ポリマー転化率、結晶化度、光学純度)を求め、質量平均粒径を評価した。結果を表4−4に示す。
(実施例III−19〜III−24)
実施例III−19〜III−24については、実施例III−18において、モノマー添加部の条件をそれぞれ表4−4に示すように変更した以外は実施例III−18と同様の操作を行い、実施例III−19〜III−24のポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子について、上記の方法でMn、Mw/Mn、ポリマー転化率、結晶化度、光学純度)を求め、質量平均粒径を評価した。結果を表4−4に示す。
二軸押出機:互いに噛み合うスクリュー
シリンダー径:30mm
2軸同方向回転
回転速度:30rpm
Figure 2016169357
(比較例III−5〜III−8)
実施例III−1において、条件を表4−5に記載された条件とした以外は、実施例III−1と同様の操作を行い、比較例III−5〜III−8のポリマー生成物を得た。比較例III−5〜III−8で得られたポリマー生成物について、実施例III−1と同様にして、物性値(Mn、Mw/Mn、ポリマー転化率)を求めた。しかし、いずれの条件も粒子は得られなかった。結果を表4−5に示す。
Figure 2016169357
1、3、5、7、11、121、 131 タンク
2 計量フィーダー(第一の供給部の一例)
4 計量フィーダー
6、12、 122 計量ポンプ
8 計量ポンプ(第二の供給部の一例)
9 接触部(接触容器の一例)
9a 導入口(第一の圧縮性流体の導入口の一例)
9b 導入口(モノマーの導入口の一例)
9c 導入口
9d 導入口
9e ヒータ
10 送液ポンプ
13 接触部(接触容器の一例)
13a 導入口(圧縮性流体の導入口の一例)
13b 導入口
13c 導入口
13d ヒータ
14 反応・結晶化部(反応・結晶化装置の一例)
14a 反応部(反応・結晶化装置の一例)
14b 冷却部(反応・結晶化装置の一例)
14c 結晶化部 (反応・結晶化装置の一例)
14d 接触部(接触容器の一例)
15 モノマー添加重合部
15a 反応部(反応・結晶化装置の一例)
15b 冷却部(反応・結晶化装置の一例)
15c 結晶化部 (反応・結晶化装置の一例)
16 送液ポンプ
17 圧力調整弁
18 ポリマーの排出口(圧力調整弁)
19 計量フィーダー
20 押出口金(排出部の一例)
20a 戻し口
20b 導入口
21 排出口
23 排出口
30 配管
31 混合部
31a 配管
31b 配管
32 ポリマーの排出口(圧力調整弁)
62 計量ポンプ
100 重合反応装置
100a 供給ユニット
100b 重合反応装置本体
100c 圧縮性流体を供給する供給ユニット
121 タンク
122 計量ポンプ
123、124、126、128、129 バルブ
125 添加ポット
127 反応容器
130 配管
130a、130b 継手
200 重合反応装置
P ポリマー生成物(反応生成物)
A、B、C、D、E 反応部を構成する装置
特開2007−100011号公報 特開平3―14829号公報 特開平9−12690号公報 特開2005−5030585号公報

Claims (11)

  1. 反応容器にモノマーを含む重合反応用原料及び圧縮性流体を供給する工程と、
    反応容器内で前記モノマーを重合させてポリマーを生成させる重合工程と、
    前記重合工程で得られたポリマーの流動体が固化した結晶化度以上に結晶化させながらせん断力を加えてポリマーを粒子化させる粒子化工程と、
    を含むことを特徴とするポリマー粒子の製造方法。
  2. 前記ポリマーを粒子化させる工程で得られたポリマー粒子にモノマーを添加して重合するモノマー添加重合工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載のポリマー粒子の製造方法。
  3. 前記圧縮性流体は、二酸化炭素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリマー粒子の製造方法。
  4. 前記粒子化工程で、結晶化させながらせん断力を加えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー粒子の製造方法。
  5. 前記せん断力を、単軸又は2軸の押出機で加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー粒子の製造方法。
  6. 前記ポリマーがポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー粒子の製造方法。
  7. 前記ポリ乳酸の光学純度が95モル%以上であることを特徴とする請求項6に記載のポリマー粒子の製造方法。
  8. 前記粒子化工程で、60〜170℃で結晶化させながらせん断力を加えることを特徴とする請求項6又は7に記載のポリマー粒子の製造方法。
  9. 前記反応工程で、100〜200℃で反応させることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のポリマー粒子の製造方法。
  10. 前記モノマーのポリマーへの転化率が98%以上であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のポリマー粒子の製造方法。
  11. 前記ポリ乳酸の数平均分子量が50,000以上であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のポリマー粒子の製造方法。
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