JP6634733B2 - 環状ポリマーの製造方法及び環状ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

環状ポリマーの製造方法及び環状ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、環状ポリマーの製造方法及び環状ポリ乳酸樹脂組成物に関する。
石油由来のプラスチックの多くは軽く強靭で耐久性に優れ、容易に所望の形に成形できるので、量産されて我々の生活を多岐にわたって支えてきた。しかし、これらのプラスチックは、環境中に廃棄された場合、容易に分解されずに蓄積する。また、焼却の際に大量の二酸化炭素を放出するため、地球温暖化に拍車を掛けている。
よって、地球環境保護の目的から、非石油原料からなる樹脂、又は自然環境下で微生物等によって分解される生分解性樹脂が注目され、近年世界中で研究されている。現在検討されている生分解性樹脂のほとんどは、脂肪族カルボン酸エステル単位を有し、微生物により分解されやすい。その反面、熱安定性に乏しく、溶融紡糸、射出成形、溶融製膜などの高温に晒される成形工程における分子量低下、あるいは色相悪化が深刻である。
その中でもポリ乳酸は、原料である乳酸又はそのラクチド(環状ジエステル)が、天然物から製造可能である上に、耐熱性に優れ、色相、機械強度のバランスが取れたプラスチックであり、様々な用途に利用されている。
ポリ乳酸の中でも環状ポリ乳酸は、抗腫瘍剤(特許文献1)や消化管疾患の予防及び/又は治療剤(特許文献2)、微生物感染防御剤(特許文献3)、癌細胞の着床防止剤(特許文献4)、など樹脂用途以外の機能も有しており、幅広い応用が可能である。さらに環状ポリ乳酸は分解する過程で水素イオンを発生し、活性酸素除去による抗酸化作用を有するといわれることから生鮮食品や飲料品のパッケージなどへ応用することで鮮度維持ならびに品質向上が期待できる。
これまでの環状ポリ乳酸の製造方法としては、特許文献1に記載されている乳酸の脱水重縮合が例示されるが、重合転化率が低い上に、生成する直鎖状ポリ乳酸との分離が困難であり、ポリマーの高分子量化ができないという課題があった。
また、ポリ乳酸を高温で解重合し、ラクチド(二量体)を回収精製することが特許文献5、特許文献6などに開示されているが、この方法では高分子量の環状ポリ乳酸は得られない。
この課題に対して新たな環状ポリ乳酸の合成法と耐熱性の向上に関する報告が非特許文献1に記載されている。しかし、この方法はN−ヘテロサイクリックカルベンの触媒能を引き出すために精密な重合操作が必要であるため工業的ではなく、さらに有機溶剤の使用や重合転化率が低いことから、有機溶剤と残存モノマーの除去といった工程が必要となる。また溶液重合の場合、原料モノマー(L−ラクチド)に対してポリマーの光学純度が低下する(エピメリ化)といった品質低下の課題があった。ポリ乳酸の場合、光学純度が低下すると結晶性ポリマーから非晶質ポリマーへと変化し耐熱性が劣るようになる。
これらの課題は、工程の増加やエネルギーの増加、収率低下によるコストアップの要因となり、また耐熱性も低下することから、コスト面、品質面での課題解決が求められていた。
本発明は、金属触媒と有機溶剤を使用せず、開環重合性モノマーから1段階の工程で製造でき、残存モノマーが少なく、光学純度の高い環状ポリマーを高収率で製造できる環状ポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の環状ポリマーの製造方法は、圧縮性流体中で、金属原子を含まない有機触媒のみを用いて開環重合性モノマーを重合させ、環状ポリマーを製造する環状ポリマーの製造方法であって、前記開環重合性モノマーがラクチドであり、前記環状ポリマーが環状ポリ乳酸であり、前記有機触媒が、窒素原子を含有する環状化合物であることを特徴とする。
本発明によれば、金属触媒と有機溶剤を使用せず、開環重合性モノマーから1段階の工程で製造でき、残存モノマーが少なく、光学純度の高い環状ポリマーを高収率で製造できる環状ポリマーの製造方法を提供することができる。
温度と圧力に対する物質の状態を示す一般的な相図である。 本発明に係る圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 実施例2におけるTOF-MSの測定結果を示す図である。
以下、本発明に係る環状ポリマーの製造方法及び環状ポリ乳酸樹脂組成物について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。以下、詳細を説明する。
本発明の環状ポリマーの製造方法は、圧縮性流体中で、金属原子を含まない有機触媒を用いて、開環重合性モノマーを重合させ、環状ポリマーを製造することを特徴とする。
本発明によれば、ポリマーの熱安定性、安全性を著しく劣化させる原因となる金属触媒を使用せずに環状ポリマーを製造することができる。また、ポリマーの成形加工性、熱安定性を著しく劣化させる原因となる残存モノマー等の除去工程を必要とせず、開環重合性モノマーから、1段階の工程で環状ポリマーを製造することができる。さらに、残存モノマーが少なく、光学純度の高い環状ポリマーが高収率で得ることができる。
また、本発明の環状ポリマーの製造方法では、有機溶剤を必要としないため、有機溶剤の除去といった工程が不要となる。水酸基を有するアルコール類や乳酸メチル、乳酸エチル等を用いなくても環状ポリマーを製造することができる。
<圧縮性流体>
本発明における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)のいずれかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上かつ臨界圧力以上の状態にある流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本発明においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本発明においては、圧力が1/2Pc以上の高圧ガスを表す。
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
中でも二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で特に好ましい。
また、反応の効率化、ポリマー転化率等を考慮すると、圧縮性流体が二酸化炭素の場合、その温度は25℃以上であることが好ましく、圧力は5MPa以上であることが好ましい。より好ましくは超臨界流体の状態である。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、高圧ガス、液化ガス状態でも問題ないが、特に圧縮性流体へのモノマーの溶解性を高め、均一にかつ定量的に重合反応を進めるためには、超臨界状態となる圧力が好ましい。圧縮性流体が二酸化炭素の場合には、3.7MPa以上が必要であり、5MPa以上であることが好ましく、より好ましくは臨界圧力の7.4PMa以上である。
<開環重合性モノマー>
本発明で重合させることができる開環重合性モノマーとしては、エステル結合を環内に有するものであれば特に限定されるものではなく、環状エステル、環状カーボネートなどが挙げられる。
環状エステルとしては、公知のものを特に制限なく用いることができるが、特に好ましいモノマーとしては、下記一般式(1)で表される化合物のL体又はD体を脱水縮合して得られる環状2量体が挙げられる。
R−C*−H(−OH)(COOH) ・・・ 一般式(1)
(ただし、上記一般式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、乳酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシブタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシペンタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘキサン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシヘプタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシオクタン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシノナン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシウンデカン酸の鏡像異性体、2−ヒドロキシドデカン酸の鏡像異性体などが挙げられる。これらの中でも、乳酸の鏡像異性体が反応性・入手性の観点から特に好ましい。これら環状2量体は単独で、あるいは数種を混合して使用することも可能である。
上記一般式(1)で表される化合物以外の環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、グリコリッド、ラクタイドなどの脂肪族のラクトン等が挙げられる。特にε−カプロラクトンが反応性・入手性の観点から好ましい。
また、環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記開環重合性モノマーは単独で、あるいは数種を混合して用いることも可能である。
<有機触媒>
本発明で用いる金属原子を含まない有機触媒は、開環重合性モノマーの開環反応に寄与し、開環重合性モノマーとの活性中間体を形成した後、アルコールとの反応で脱離、再生するものであればよく、塩基性を有する求核剤として働く化合物が好ましい。より好ましくは、窒素原子を含有する環状化合物である。
上記のような化合物としては、環状モノアミン、環状ジアミン(アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)、グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物、窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物、N−ヘテロサイクリックカルベンなどが挙げられる。中でも、環状ジアミン、環状トリアミン及び複素環式化合物からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
環状アミンの例としては、キヌクリジン、環状ジアミンの例としては、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5;アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物の例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ジアザビシクロノネン;グアニジン骨格を有する環状トリアミン化合物の例としては、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG);窒素原子を含有する複素環式芳香族有機化合物の例としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、9−アザジュロリジン(9−AJ)、4−ピロリジノピリジン(PPY)、ピロコリン、イミダゾール、ピリミジン、プリン;N−ヘテロサイクリックカルベンの例としては、1,3−ジ−tert−ブチルイミダゾール−2−イリデン(ITBU)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、DMAP、TBD、DBU、9−AJ、DABCO、DPG、PPY、ITBUが好ましく、DMAP、TBD、DBU、9−AJがより好ましい。
金属原子を含まない有機触媒の種類及び使用量は、圧縮性流体と開環重合性モノマーの組み合わせによって変わるので、一概に特定できないが、開環重合性モノマー100モル%に対して、0.01〜15モル%が好ましく、より好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは0.3〜5モル%である。使用量が0.01モル%未満では、重合反応が完了する前に有機触媒が失活し、目標とする分子量のポリマーが得られない場合がある。一方、使用量が15モル%を超えると、重合反応の制御が難しくなる場合がある。
<重合反応>
重合反応温度については、圧縮性流体、開環重合性モノマー及び有機触媒の組み合わせなどによって変わるので、一概に特定できないが、通常の場合、重合反応温度は、40〜150℃程度とし、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜100℃とする。40℃未満では反応速度が低下しやすく、定量的に重合反応を進めることができない場合がある。また、150℃を超えると、解重合反応も平衡して起きるため、やはり定量的に重合反応が進みにくくなる。
重合反応時間は目標とする分子量に応じて適宜設定すればよいが、通常、1〜12時間である。また、重合反応を均一かつ定量的に進めるため、攪拌してもよい。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、高圧ガス、液化ガス状態でも問題ないが、特に圧縮性流体へのモノマーの溶解性を高め、均一にかつ定量的に重合反応を進めるためには、超臨界状態となる圧力が好ましい。圧縮流体が二酸化炭素の場合、3.7MPa以上、好ましくは7.4MPa以上である。
重合反応系内の水分量は、原料モノマーを加水分解する可能性があることから前記開環重合性モノマー100モル%に対して、4モル%以下であることが好ましい。より好ましくは1モル%以下、さらに好ましくは0.5モル%以下である。必要に応じて、前処理として、開環性モノマー、その他原材料に含まれる水分を除去する操作を加えてもよい。
従来の開環重合性モノマーの溶融重合法では、180℃以上と高温での反応のため、ポリマー中にある一定量の未反応のモノマーが残存していることが一般的であり、そのため未反応のモノマーを除去する工程が必要となる場合がある。また、溶液重合法においても、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となることから、いずれの方法でも、工程の増加や、収率低下によるコストアップが避けられない。
しかし、本発明を開環重合性モノマーからのポリマー製造に応用した場合、下記の理由(1)〜(4)により、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
(1)溶融重合法と比較して、低温で反応が進む。
(2)低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらず、加えた開環重合性モノマーに対して高収率でポリマーが得られる(すなわち未反応の開環重合性モノマーが少ない)。そのため、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーを得るための未反応モノマーの除去等の精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)ポリマーに金属触媒、残有機溶剤が含有されない。
(4)廃液等も発生せず、乾燥したポリマーが1段階の工程で得られることから、乾燥工程も簡略化又は省略できる。
また、本発明においては、開環重合性モノマーがラクチドであり、得られる環状ポリマーが環状ポリ乳酸であることが好ましい。この場合、従来技術よりも好適な環状ポリ乳酸の製造方法が得られる。
<物性>
本発明によって得られた環状ポリマーの鏡像体過剰率(ee%)は大きいことが好ましく、80%以上であることが好ましい。光学純度が低下すると、結晶性ポリマーから非晶質ポリマーへと変化し、耐熱性が劣る場合がある。
鏡像体過剰率の測定の例を以下に示す。得られたポリ乳酸を1M水酸化ナトリウム水溶液中で4時間加熱還流し、乳酸に加水分解する。この加水分解物をHPLC(High Performance Liquid Chromatography)測定し、L乳酸量及びD乳酸量を定量し、下記、鏡像体過剰率の式により算出する。
鏡像体過剰率(ee%)=(L乳酸量−D乳酸量)/(L乳酸量+D乳酸量)×100
[HPLC測定条件]
カラム:SUMICHIRAL OA5000
溶離液:2mM CuSO水溶液:2−プロパノール=95:5
流量 :1.0mL/min
温度 :30℃
検出器:UV254nm
また、前記開環重合性モノマーのポリマー転化率が、95モル%以上であることが好ましい。ポリマー転化率が95モル%以上の場合、残存モノマーの除去といった工程が不要となり好ましい。
ポリマー転化率の求め方の一例を説明する。ポリマー転化率は以下の式を用いて行う。
モノマーのポリマー転化率(モル%)=100−未反応モノマー量(モル%)
また、ポリ乳酸の場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製、核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98〜5.05ppm)として算出し、これを100倍したものである。
本発明によって得られた環状ポリマーについて、重量平均分子量Mwとしては1000〜100000が好ましく、数平均分子量Mnとしては1000〜100000が好ましく、分子量分布(Mw/Mn)としては1.5以下であることが好ましい。
GPC(gel permeationchromatography)により環状ポリマーの平均分子量を測定する場合の一例を以下に示す。
[GPC測定条件]
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5重量%の試料を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出する。
<用途>
得られた環状ポリマー、特に環状ポリ乳酸は、汎用樹脂として各種プラスチック製品に使用できるだけでなく、抗菌性材料や健康食品、医薬品、医療用材料など各種用途に用いることができる。
その際、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、結晶性、耐候性等を向上させる目的で、各種添加剤、例えば、安定剤(エポキシ化大豆油、カルボジイミド等)、酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール等)、防曇剤(グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリル等)、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤効果を持つ無機添加剤(クレイ、タルク、シリカ等)、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料(酸化チタン、カーボンブラック、群青等)、滑剤、天然物等を添加し、ポリマー組成物として使用してもよい。
上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、ポリマー組成物100重量部に対して0〜5重量部である。
<環状ポリ乳酸樹脂組成物>
また、本発明によれば、本発明の環状ポリマーの製造方法によって製造された環状ポリ−L−乳酸及び環状ポリ−D−乳酸からなるステレオコンプレックスを含む環状ポリ乳酸樹脂組成物が得られる。この場合、示差走査熱量計測定(DSC測定)による結晶融解ピーク温度が190℃以上であることが好ましい。
本発明における光学純度の高い環状ポリマーを使用したステレオコンプレックスを含むことにより、耐熱性が向上した環状ポリ乳酸樹脂組成物を提供することができる。
また、環状ポリ−L−乳酸と環状ポリ−D−乳酸の割合は、結晶融解ピーク温度が190℃以上となる範囲で適宜変更が可能であるが、全体の環状ポリ乳酸に対して一方の環状ポリ乳酸が、30〜70重量%であることが好ましく、40〜60重量%であることがさらに好ましい。
示差走査熱量計測定(DSC測定)の例を以下に示す。示差走査熱量計としては、例えばTAインスツルメンツ社製、示差走査熱量計Q200を用いて、下記(1)〜(3)の温度ステップで測定を行う。下記(3)の昇温時に最大吸熱量を示すピーク温度を結晶融解ピーク温度とする。
[DSC測定の温度ステップ]
(1)昇温10℃/min(室温から230℃まで)
(2)降温10℃/min(230℃から−50℃まで)
(3)昇温10℃/min(−50℃〜230℃まで)
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
なお、下記実施例及び比較例で得られた環状ポリマーにおける平均分子量、ポリマー転化率、鏡像体過剰率、結晶融解ピーク温度は次のようにして求めた。
(測定方法)
<環状ポリマーの平均分子量>
まず、GPC(gel permeationchromatography)により以下の条件でポリマーの分子量を測定した。
[GPC測定条件]
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5重量%の試料を1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。分子量分布は前記MwをMnで除した値である。
<ポリマー転化率>
開環重合性モノマーのポリマー転化率は、以下の式を用いて求めた。
モノマーのポリマー転化率(モル%)=100−未反応モノマー量(モル%)
ポリ乳酸の場合、未反応モノマー量(モル%)は、重クロロホルム中、日本電子社製、核磁気共鳴装置JNM−AL300を使用し、ポリ乳酸由来の四重線ピーク面積比(5.10〜5.20ppm)に対するラクチド由来の四重線ピーク面積比(4.98〜5.05ppm)として算出し、これを100倍したものである。
<鏡像体過剰率>
得られたポリ乳酸を1M水酸化ナトリウム水溶液中で4時間加熱還流し、乳酸に加水分解する。この加水分解物をHPLC測定し、L乳酸量及びD乳酸量を定量し、下記、鏡像体過剰率の式により算出した。
鏡像体過剰率(ee%)=(L乳酸量−D乳酸量)/(L乳酸量+D乳酸量)×100
[HPLC測定条件]
カラム:SUMICHIRAL OA5000
溶離液:2mM CuSO水溶液:2−プロパノール=95:5
流量 :1.0mL/min
温度 :30℃
検出器:UV254nm
<結晶融解ピーク温度(DSC測定)>
まず、TAインスツルメンツ社製、示差走査熱量計Q200を用いて、下記(1)〜(3)の温度ステップで測定を行った。下記(3)の昇温時に最大吸熱量を示すピーク温度を結晶融解ピーク温度とした。
[DSC測定の温度ステップ]
(1)昇温10℃/min(室温から230℃まで)
(2)降温10℃/min(230℃から−50℃まで)
(3)昇温10℃/min(−50℃〜230℃まで)
<環状ポリマーの確認>
TOF-MSを用いてポリ乳酸の測定を行い、アシル基単位で切断されたイオンピークが観測されたことから環状ポリマーが製造されていることを確認した。下記の実施例2における測定結果を図3に示す。
(実施例1)
耐圧容器に、L−ラクチド100重量部とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)5.6重量部を仕込み、これに超臨界二酸化炭素を充填し、60℃、10MPaで5時間反応させた。反応終了後、常温、常圧まで戻し、ポリマーを回収した。このポリマーの示差走査熱量計測定(DSC測定)による結晶融解ピーク温度は129℃であった。結果を表1に示す。
(実施例2〜5)
有機触媒を表1の実施例2〜5に示すように変更する以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
原料モノマーをL−ラクチドからD−ラクチドに変更する以外は、実施例1と同様に操作を行った。得られたポリマーの示差走査熱量計測定(DSC測定)による結晶融解ピーク温度は146℃であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
反応容器にL−ラクチド100重量部とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)5.6重量部を仕込み、これに脱水クロロホルムを加え、60℃、120時間、溶液重合を行った。反応終了後、溶媒を留去しポリマーを回収した。結果を表2に示す。
(比較例2〜5)
有機触媒と反応時間を表2の比較例2〜5に示すように変更する以外は、比較例1と同様に操作を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
原料モノマーをL−ラクチドからD−ラクチドに変更する以外は、比較例1と同様に操作を行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例1と実施例6で得られた環状ポリ乳酸をそれぞれ20重量部ずつ取り、これを塩化メチレンで溶解混合し、溶剤を留去して環状ポリ乳酸のステレオコンプレックスを作製した。得られたステレオコンプレックスの示差走査熱量計測定(DSC測定)を行った結果、結晶融解ピーク温度は192.5℃であった。
(実施例8)
実施例1と実施例6で得られた環状ポリ乳酸をそれぞれ20重量部ずつ取り、攪拌機のついた容器に20重量部ずつ取り、軽く混合した後、190℃、40rpmで加熱溶融混練を行い、環状ポリ乳酸のステレオコンプレックスを作製した。得られたステレオコンプレックスの示差走査熱量計測定(DSC測定)を行った結果、結晶融解ピーク温度は194℃であった。
(比較例7)
比較例1と比較例6で得られた環状ポリ乳酸をそれぞれ20重量部ずつ取り、これを塩化メチレンで溶解混合し、環状ポリ乳酸のステレオコンプレックス作製を試みたが、ステレオコンプレックスは得られなかった。また得られたポリマーの示差走査熱量計測定(DSC測定)を行った結果、結晶融解ピーク温度は認められなかった。
(比較例8)
比較例1と比較例6で得られた環状ポリ乳酸を攪拌機のついた容器に20重量部ずつ取り、軽く混合した後、190℃、40rpmで溶融混練を行い、環状ポリ乳酸のステレオコンプレックス作製を試みたが、ステレオコンプレックスは得られなかった。また得られたポリマーの示差走査熱量計測定(DSC測定)を行った結果、結晶融解ピーク温度は認められなかった。
上記得られた結果を表1、表2に示す。なお、表中の表記は以下の通りである。
「DMAP」:N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
「9−AJ」:9−アザジュロリジン
「DBU」:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
「TBD」:1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
WO2003/007937号公報 WO2002/055092号公報 WO2002/055090号公報 WO2001/054705号公報 特開2011−246479号公報 WO2002/014303号公報
E.J.Shin,A.E.Jones,R.M.Waymouth Macromolecules 2012,45,595−598

Claims (6)

  1. 圧縮性流体中で、金属原子を含まない有機触媒のみを用いて開環重合性モノマーを重合させ、環状ポリマーを製造する環状ポリマーの製造方法であって、
    前記開環重合性モノマーがラクチドであり、前記環状ポリマーが環状ポリ乳酸であり、
    前記有機触媒が、窒素原子を含有する環状化合物であることを特徴とする環状ポリマーの製造方法。
  2. 前記開環重合性モノマーのポリマー転化率が、95モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の環状ポリマーの製造方法。
  3. 前記圧縮性流体が、二酸化炭素からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の環状ポリマーの製造方法。
  4. 前記有機触媒が、環状ジアミン、環状トリアミン及び複素環式化合物からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環状ポリマーの製造方法。
  5. 前記有機触媒が、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)及び9−アザジュロリジン(9−AJ)からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項に記載の環状ポリマーの製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の環状ポリマーの製造方法によって製造された環状ポリ−L−乳酸及び環状ポリ−D−乳酸からなるステレオコンプレックスを含む環状ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法であって、
    示差走査熱量計測定による結晶融解ピーク温度が190℃以上であることを特徴とする環状ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
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