JP2014046478A - インクジェット記録方法、及び、印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光沢ムラ及び粒状性が低減された画像を得ることができるインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列であり、かつ、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを吐出するN個(N≧4)のインク毎のノズル列を有し、各ノズル列は、第1の方向においてノズルがずらして配置されているインクジェットヘッド110を備えたインクジェット記録装置を準備する準備工程を含み、各インクの25℃における粘度が、いずれも10〜30mPa・sである。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及び、印刷物に関し、特に複数色のインクを吐出して画像を形成する技術に関する。
従来のインクジェット記録装置では、色毎のインクのドットの配置位置を共通化するため、主走査の同一ライン上に各色ヘッドのノズルを並べた配列が用いられていた。
また、特許文献1〜4に記載されたインクジェット記録装置やインクジェットヘッドが知られている。
これに対し、特許文献1には、光照射により硬化するインクを吐出する吐出口が配置されているインクジェット方式の記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置において、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数の記録ヘッドと、吐出されたインクを硬化させる光照射装置と、前記複数の記録ヘッドのうち一の記録ヘッドによって記録されるインクのドットの中心位置を他の複数の記録ヘッドにより記録されるインクのドットの中心位置とずらして記録させるように前記一の記録ヘッドの吐出制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置が開示されている。
また、特許文献2には、被記録部材に対して相対的に主走査方向と上記主走査方向と直交する副走査方向に移動されるインクジェットプリンタのヘッド装置において、それぞれN個のノズルを有し、上記N個のノズルは上記副走査方向に所定の解像度におけるK画素間隔でK/Nが既約分数となる値で配されている複数のプリントヘッドを備え、上記各プリントヘッドは、吐出するインクの色に応じて上記主走査方向に上記ノズルが沿うように配されるとともに、互いに上記副走査方向にL画素ずれて配されている、インクジェットプリンタのヘッド装置が開示されている。
更に、特許文献3には、色毎のインクジェットヘッドを異なる位置に配置し、透過率の最も低いインクを先行して印字及び硬化した後、その他のインクを順次印字することで、画質を改善する技術が記載されている。
また、特許文献4には、一定のノズルピッチで穿設された複数のノズル開口からなるノズル列を複数条横並びに配設してノズル列群を構成し、ノズル列毎にインクの種類を設定して吐出させるように構成したインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記ノズル列群を、ノズル開口の穿設位置をそれぞれ1/N(Nは4以上の自然数)ピッチずつノズル列方向にずらしたN条の高解像度ノズル列群によって構成したことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドが記載されている。
特開2005−262570号公報 国際公開第1997/037854号 特開2007−118409号公報 特開2002−67317号公報
主走査の同一ライン上に各色ヘッドのノズルを並べたノズル配置をUV硬化インク(紫外線硬化型インク)を用いたインクジェット記録装置に適用した場合、1回の主走査で同一ライン上に全色のインクのドットが並ぶため、このインクのドットが主走査方向に着弾干渉を起こし、凹凸の大きなライン状の表面形状を形成するという課題があった。この凹凸のわずかな形状差によって、光沢ムラが見え易くなる。
本発明の目的は、光沢ムラ及び粒状性が低減された画像を得ることができるインクジェット記録方法を提供することである。
上記目的は、下記<1>又は<11>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<10>と共に以下に示す。
<1>活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列であり、かつ、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを吐出するN個(N≧4)のインク毎のノズル列を有し、前記各ノズル列は、前記第1の方向においてノズルがずらして配置されているインクジェットヘッドと、前記ノズルから吐出され、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴に前記活性エネルギーを付与する活性エネルギー付与手段と、前記インクジェットヘッドと前記活性エネルギー付与手段とを前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置して保持する保持手段と、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第2の方向に相対的に走査させる走査手段と、前記走査手段による走査毎に、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第1の方向に相対的に移動させる移動手段と、前記保持手段により保持された前記インクジェットヘッド及び前記活性エネルギー付与手段を前記記録媒体の各領域に対して所定の回数だけ相対的に走査させながら前記記録媒体の記録面に画像を形成させる制御手段と、を備えたインクジェット記録装置を準備する準備工程、記録媒体上に、前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから少なくとも1種の前記インクを吐出する吐出工程、及び、前記活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与して、吐出された前記インクを硬化する硬化工程、を含み、前記各インクの25℃における粘度が、いずれも10〜30mPa・sであることを特徴とするインクジェット記録方法、
<2>前記各インクの25℃における粘度が、いずれも15〜25mPa・sある、上記<1>に記載のインクジェット記録方法、
<3>前記少なくとも1種のインクの25℃における表面張力が、23〜39mN/mである、上記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法、
<4>前記各インクの25℃における表面張力が、いずれも23〜39mN/mである、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<5>前記各インクの25℃における表面張力が、いずれも30〜39mN/mである、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<6>前記各ノズル列が、前記第1の方向において、ノズルがP/Nずつずらして配置されている、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<7>前記インクジェットヘッドのノズル密度が100npi以下であり、かつ吐出周波数が10kHz以上である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<8>前記吐出工程におけるインクジェットヘッドのスキャンスピードが0.9m/s以上である、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<9>前記各インクが、いずれもオリゴマーを含有する、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<10>前記オリゴマーが、ウレタン(メタ)アクリレートである、上記<9>に記載のインクジェット記録方法、
<11>上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物。
本発明によれば、光沢ムラ及び粒状性が低減された画像を得ることができるインクジェット記録方法を提供することができた。
本発明に好適に使用されるインクジェットヘッドの一例を示す拡大模式図である。 本発明に好適に使用されるインクジェットヘッドの他の一例を示す拡大模式図である。 本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置の一例の構成の概要を説明するための説明図である。 本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置の一例のシステム構成図である 本発明に好適に使用されるインクジェットヘッドの更に他の一例を示す拡大模式図である。 本発明のインクジェット記録方法の一例を示すフローチャートである。 本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置の他の一例の外観斜視図である。 図7に示すインクジェット記録装置における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。 図7に示すインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドと仮硬化光源及び本硬化光源の配置を示す平面透視図である。 本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置のインク供給系の構成の一例を示すブロック図である。 本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列であり、かつ、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを吐出するN個(N≧4)のインク毎のノズル列を有し、前記各ノズル列は、前記第1の方向においてノズルがずらして配置されているインクジェットヘッドと、
前記ノズルから吐出され、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴に前記活性エネルギーを付与する活性エネルギー付与手段と、
前記インクジェットヘッドと前記活性エネルギー付与手段とを前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置して保持する保持手段と、
前記保持手段と前記記録媒体とを前記第2の方向に相対的に走査させる走査手段と、
前記走査手段による走査毎に、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第1の方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記保持手段により保持された前記インクジェットヘッド及び前記活性エネルギー付与手段を前記記録媒体の各領域に対して所定の回数だけ相対的に走査させながら前記記録媒体の記録面に画像を形成させる制御手段と、を備えたインクジェット記録装置を準備する準備工程、
記録媒体上に、前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから少なくとも1種の前記インクを吐出する吐出工程、及び、
前記活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与して、吐出された前記インクを硬化する硬化工程、を含み、
前記各インクの25℃における粘度が、いずれも10〜30mPa・sであることを特徴とする。
本発明者等が詳細な検討を行った結果、インクの特性に応じたノズル配置を用い、更にインクの物性を精密に制御することによって、光沢ムラ及び粒状性が低減された画像を得ることができることを見出した。また、特に、硬化光源の光量が低下した場合であっても、粒状性が低減された画像を得ることができる。
<準備工程>
本発明のインクジェット記録方法は、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列であり、かつ、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを吐出するN個(N≧4)のインク毎のノズル列を有し、前記各ノズル列は、前記第1の方向においてノズルがずらして配置されているインクジェットヘッドと、前記ノズルから吐出され、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴に前記活性エネルギーを付与する活性エネルギー付与手段と、前記インクジェットヘッドと前記活性エネルギー付与手段とを前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置して保持する保持手段と、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第2の方向に相対的に走査させる走査手段と、前記走査手段による走査毎に、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第1の方向に相対的に移動させる移動手段と、前記保持手段により保持された前記インクジェットヘッド及び前記活性エネルギー付与手段を前記記録媒体の各領域に対して所定の回数だけ相対的に走査させながら前記記録媒体の記録面に画像を形成させる制御手段と、を備えたインクジェット記録装置を準備する準備工程を含む。
以下に本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置について、説明する。なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック等の各色インクについては、後述する。
−インクジェットヘッド−
本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置は、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列であり、かつ、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを吐出するN個(N≧4)のインク毎のノズル列を有し、前記各ノズル列は、前記第1の方向においてノズルがずらして配置されているインクジェットヘッドを備えている。
前記第1の方向は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)であることが好ましい。
前記インクジェットヘッドは、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを吐出するN個(N≧4)のインク毎のノズル列を有しており、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクと、少なくとも1色の淡インクとを吐出するN個(N≧5)のインク毎のノズル列を有していることが好ましく、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン及びライトマゼンタの6色のインクを吐出するN個(N≧6)のインク毎のノズル列を有していることがより好ましい。
前記インクジェットヘッドの各ノズル列は、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列である。
ピッチPは、特に制限はなく、所望のピッチであればよいが、50dpi以上(約508μm以下)600dpi以下(約42μm以上)であることが好ましい。
また、前記インクジェットヘッドの各ノズル列は、前記第1の方向においてノズルがずらして配置されており、前記第1の方向において、ノズルがP/Nずつずらして配置されていることが好ましい。
前記各ノズル列のずらし方は、各ノズル列が少なくともずらされていれば特に制限はなく、階段状に各ノズルをずらしてもよいし、隣接するノズル列のずれがP/Nであっても、P/Nの整数倍であっても、任意のずれの大きさであってもよい。例えば、4色のノズル列の場合は、図1又は図2に示すようなずらし方が挙げられる。中でも、ノズルがP/Nずつずらして配置されている場合に、隣接するノズル列のずれができるだけP/Nでないようなずらし方が好ましく、5色以上のノズル列の場合は、隣接するノズル列のずれがいずれも(2×P/N)以上であるずらし方が特に好ましい。
前記インクジェットヘッドの各ノズル列は、第1の方向において、インクジェットヘッドに対する記録媒体の相対移動最上流側から、4色の場合、ブラックインク用ノズル列、イエローインク用ノズル列、シアンインク用ノズル列、マゼンタインク用ノズル列の順でずらして配置されていることが好ましい。また、4色並びにライトシアン及びライトマゼンタの計6色の場合、ブラックインク用ノズル列、イエローインク用ノズル列、ライトマゼンタインク用ノズル列、シアンインク用ノズル列、ライトシアンインク用ノズル列、マゼンタインク用ノズル列の順でずらして配置されていることが好ましい。
また、前記インクジェットヘッドの各ノズル列は、第1の方向において、インクジェットヘッドに対する記録媒体の相対移動最上流側に最も硬化感度の低いインクのノズルが配置されていることが好ましく、硬化感度の低いインクから順に、ノズルインクジェットヘッドに対する記録媒体の相対移動上流から下流にかけて配置されていることがより好ましい。上記態様であると、記録媒体の相対移動の上流側に配置されたノズルのインクほど記録媒体の記録面に近い層に配置して記録媒体の記録面に画像を形成させるようにしたので、最も硬化感度の低いインクを最も記録面に近い層に配置して表面層の状態を常に一定にすることができ、光沢ムラを低減することができる。
前記4色のインクのうち、最も硬化感度の低いインクは、ブラックインクである場合が多く、2番目に硬化感度の低いインクはイエローインクである場合が多い。
また、前記インクジェットヘッドは、淡インクとしてライトシアン及びライトマゼンタのインクをそれぞれ吐出するノズル列を有し、インクジェットヘッドの各ノズル列は、第1の方向にノズルがP/6ずつずらして配置され、かつシアンのノズルとマゼンタのノズルとの間、マゼンタのノズルとイエローのノズルとの間、又は、イエローのノズルとシアンのノズルとの間に、ライトシアン又はライトマゼンタのノズルが配置されていることが好ましい。
また、前記インクジェットヘッドは、ホワイトインク用ノズル列、及び/又は、クリアインク用ノズル列を有していてもよい。なお、ホワイトインク及びクリアインクは、画像の光沢ムラへの影響が少ないため、ホワイトインク用ノズル列、及び/又は、クリアインク用ノズル列は、他の各ノズル列とともに、前記第1の方向において、ノズルがずらして配置されていてもよいし、いなくともよい。
また、ホワイトインク用ノズル列、及び/又は、クリアインク用ノズル列は、前記シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック(好ましくは、更にライトシアン及び/又はライトマゼンタ)の各色のインクを吐出するN個のインク毎のノズル列の第2の方向における両側にそれぞれ1種ずつ配置されていることが好ましい。具体的には、例えば、後述する図9に示す配置などが挙げられる。
前記インクジェットにおけるノズル列の所定のピッチPで配置されたノズルの数は、2以上であれば特に制限はないが、4以上1,024以下であることが好ましく、8以上512以下であることがより好ましい。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサを含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、インクを含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pL、より好ましくは3〜42pL、更に好ましくは8〜30pLのマルチサイズドットを、好ましくは300×300〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインクジェット記録方法において使用されるインクジェットヘッドは、非撥液処理ノズルプレートを有するインクジェットヘッドであることが好ましい。
ピッチPで配置されたノズル列を有するノズルプレートとしては、公知のものを用いることができるが、例えば、米国特許第7,011,396号明細書、米国特許出願公開第2009/0290000号明細書等に記載されたインクジェットヘッドを好ましく用いることができる。ノズル解像度は150npi(npiとは2.54cmあたりのノズル数を表す。)以下が好ましく、100npi以下が特に好ましい。このような低密度にヘッドを用いることにより、ヘッドをずらす効果がより効力を発揮する。このようなノズルプレートは、例えば、FUJIFILM Dimatix社製のピエゾ駆動方式によるオンデマンド・インクジェットヘッドに搭載されている。その具体例として、S−class、Q−class Sapphireが挙げられる。
前記ノズルプレートは、少なくとも記録媒体に対向する側の面の一部が非撥液処理(親インク処理)されたものであることがより好ましい。非撥液処理方法としては、公知の方法を用いることができ、限定されないが、例えば(1)シリコン製のノズルプレートの表面を熱酸化して酸化ケイ素膜を形成する方法、(2)シリコンやシリコン以外の酸化膜を酸化的に形成する方法、若しくは、スパッタリングにより形成する方法、(3)金属膜を形成する方法、が挙げられる。これらの方法の詳細については、米国特許出願公開第2010/0141709号明細書を参照することができる。
本発明において、吐出されるインクを一定温度にすることが好ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる画像形成装置が好ましく使用される。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサを各配管部位に複数設け、インクの流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
−活性エネルギー付与手段−
本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置は、前記ノズルから吐出され、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴に前記活性エネルギーを付与する活性エネルギー付与手段を備えている。
前記活性エネルギー付与手段は、走査手段による1回の走査において、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴を不完全に硬化させる程度の活性エネルギーを付与することが好ましい。上記態様であると、光沢性を増すことができる。
本発明に用いられるインクジェット記録装置は、前記活性エネルギー付与手段によって活性エネルギーが付与されたインク滴に対して更に活性エネルギーを付与することでインク滴を本硬化させる第2の活性エネルギー付与手段を備えることが好ましい。上記態様であると、適切にインクを硬化させることができる。
前記活性エネルギー付与手段における活性エネルギー源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
本発明におけるインクの硬化には、紫外線を照射するための線源として、紫外線発光ダイオード(UV−LED)を使用することが好ましく、発光ピーク波長が300〜420nmの範囲である紫外線を発生する発光ダイオードを使用することがより好ましい。
UV−LEDとして、例えば、日亜化学工業(株)が、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。
前記活性エネルギー付与手段における紫外線の発光ピーク波長は、硬化性の観点から、増感剤の吸収特性にもよるが、300〜420nmであることが好ましく、350〜420nmがより好ましく、380〜420nmが更に好ましい。
活性エネルギーの付与条件及び基本的な付与方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているものが例示できる。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われることが好ましい。
このように、稼働部に設けられる活性エネルギー源として小型かつ軽量のUV−LEDを用いることにより、インクジェット記録装置の小型化及び省エネルギー化を図ることができ、高い生産性で画像を形成することができる。また、UV−LEDは、露光条件の可変性に優れているため、インクに応じて好適な露光条件を設定することができ、高い生産性で画像を形成することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、付与方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
−保持手段−
本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置は、前記インクジェットヘッドと前記活性エネルギー付与手段とを前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置して保持する保持手段を備えている。
前記第2の方向は、記録媒体の搬送方向に直交するインクジェットヘッド走査方向(主走査方向)であることが好ましい。また、前記第2の方向は、記録媒体の記録面に略平行であることが好ましい。
前記保持手段としては、特に制限はなく、例えば、インクジェットヘッドと活性エネルギー付与手段とを共に備えた部材であっても、インクジェットヘッドと活性エネルギー付与手段とを共に駆動させる機構であってもよい。
前記保持手段としては、前記のように、インクジェットヘッドと活性エネルギー付与手段との配置を保持する手段であれば特に制限はないが、少なくとも1つのインクジェットヘッドと少なくとも2つの活性エネルギー付与手段を保持する手段であることが好ましく、インクジェットヘッドの第2の方向における両隣に活性エネルギー付与手段を保持する手段であることがより好ましい。上記態様であると、インクを不完全に硬化させることが容易である。
また、前記保持手段は、記録媒体の相対移動の下流側に第2の活性エネルギー付与手段を保持することが好ましい。上記態様であると、適切にインクを完全に硬化させることができる。
第2の活性エネルギー付与手段における記録媒体表面における最高照度は、前記(第1の)活性エネルギー付与手段における記録媒体表面における最高照度より大きいことが好ましい。また、第2の活性エネルギー付与手段における記録媒体表面における積算光量は、前記(第1の)活性エネルギー付与手段における記録媒体表面における積算光量より大きいことが好ましい。
−走査手段、及び、移動手段−
本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置は、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第2の方向に相対的に走査させる走査手段と、前記走査手段による走査毎に、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第1の方向に相対的に移動させる移動手段とを備えている。
走査手段及び移動手段は、特に制限はなく、公知の手段を用いることができる。
走査手段としては、例えば、ガイドレール、駆動機構、駆動用モータ、及び、制御回路などが挙げられる。
移動手段としては、例えば、ニップローラ、プラテン、駆動機構、駆動用モータ、及び、制御回路などが挙げられる。
−制御手段−
本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置は、前記保持手段により保持された前記インクジェットヘッド及び前記活性エネルギー付与手段を前記記録媒体の各領域に対して所定の回数だけ相対的に走査させながら前記記録媒体の記録面に画像を形成させる制御手段を備えている。
制御手段としては、特に制限はなく、公知の手段を用いることができ、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えたコンピュータ等の制御装置が挙げられる。
制御装置には、例えば、記録媒体搬送制御部、キャリッジ駆動制御部、光源制御部、画像処理部、吐出制御部が挙げられ、これらの各部は、ハードウェア回路若しくはソフトウェア、又は、これらの組合せが挙げられる。
−その他の手段−
本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置は、必要に応じ、前記以外の公知の手段を備えていてもよい。例えば、インクジェット記録装置を操作する操作パネルや形成する画像を入力するインターフェース等の入力装置、インクジェット記録装置の現在の状態や入力操作や入力画像等を表示する表示装置などが挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置を、図面を参照して更に説明する。
図3は、インクジェット記録装置100の構成の概要を説明するための説明図である。また、図4は、インクジェット記録装置100のシステム構成図である。
インクジェット記録装置100は、インクジェットヘッド110、硬化光源116R、116L、これらインクジェットヘッド110及び硬化光源116R、116Lを搭載したキャリッジ118(保持手段の一例)、キャリッジ118を主走査方向(第2の方向に相当)に伸延されたガイド119に沿って走査可能に構成されたキャリッジ走査機構130(走査手段の一例)、上面に載置された記録媒体120を主走査方向に直交する副走査方向(第1の方向に相当)に移動可能に構成された記録媒体搬送機構132(移動手段の一例)、有線又は無線の通信インターフェースを介して画像データを取得する画像入力インターフェース134、入力された画像データに所望の画像処理を施す画像処理部136、インクジェット記録装置100を統括制御する制御部138等から構成される。
図5は、インクジェットヘッド110の拡大模式図である。インクジェットヘッド110は、6つのヘッド112K、112C、112M、112Y、112LC、112LM(ノズル列の一例)から構成されている。6つのヘッド112K、112C、112M、112Y、112LC、112LMは、紫外線硬化型インク(UV硬化インク、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクの一例)である黒インク(ブラックインク、Kインク)、シアンインク(Cインク)、マゼンタインク(Mインク)、イエローインク(Yインク)、ライトシアンインク(LCインク)、ライトマゼンタインク(LMインク)を吐出するための複数のノズル114K、114C、114M、114Y、114LC、114LMをそれぞれ有している。ここでLCインクはCインクと同色系であり、Cインクよりも着色剤濃度が低いインク(淡インク)である。同様に、LMインクはMインクと同系色であり、Mインクよりも着色剤濃度が低いインク(淡インク)である。
ここで、Kインク、Cインク、Mインク、Yインク、LCインク、LMインクの6色のインクのうち、硬化光源116R、116Lから照射される紫外線の波長(例えば385nm)に対して、Kインクの硬化感度が最も低く、Yインクの硬化感度が2番目に低い。更に、LMインク、Cインク、LCインク、Mインクの順に硬化感度が低い。
ここで、硬化感度とは、紫外線を照射してインク滴を硬化させる場合に、完全に硬化させるために必要なエネルギー量をいい、エネルギー量が小さいほど高感度である。したがって、硬化感度が最も低いとは、完全に硬化させるために必要なエネルギー量が最も大きいことをいう。
ヘッド112Kの複数のノズル114Kは、副走査方向に沿って等間隔に1列に配置されている。同様にヘッド112Cの複数のノズル114C、ヘッド112Mの複数のノズル114M、ヘッド112Yの複数のノズル114Y、ヘッド112LCの複数のノズル114LC、ヘッド112LMの複数のノズル114LMは、それぞれ副走査方向に沿って等間隔に1列に配置されている。ここでは、各色ヘッド112のノズル114のピッチは、全て100dpiである。
各色ヘッド112は、主走査方向左から112LM、112K、112C、112M、112Y、112LCの順に配置されている。
また、副走査方向には、記録媒体搬送方向の最上流側にノズル114Kが配置され、下流側に向かって114K、114Y、114LM、114C、114LC、114Mの順に等間隔で(600dpi(254μm÷6=約42μm)の間隔で)並ぶように各色ヘッド112がずらして配置されている。ここで、印字に使用されるノズル(有効ノズル)のうち最も上流側に配置されるノズルがノズル114Kであればよく、印字に使用されることのないノズル(無効ノズル)がノズル114Kよりも上流側に配置されていてもよい。
このように、各色ヘッド112は、ノズルピッチをP、ヘッド数(ノズル列数)をNとすると、副走査方向にP/Nずつずらして配置されている。なお、副走査方向にずらすとは、各色ヘッド112のノズル114のうち、最も記録媒体搬送方向上流側のノズル(1番ノズル)が基準とするインクの1番ノズルより前後に配置することをいう。1番ノズルとは、各色ヘッド112に設けられた複数のノズル114において、最も記録媒体搬送方向上流側にあるものに限らず、その作画モードで吐出に使用され、作画に寄与するノズルのうち最も上流側に位置するノズルをいう。
インクジェットヘッド110は、キャリッジ118の走査により主走査方向に往復走査されるとともに、制御部138の制御に従って各色ヘッド112のノズル114からインクを吐出することで、記録媒体120の記録面に各色インクのインク滴を打滴する。
記録媒体120は、インクジェットヘッド110が主走査方向に走査される度に、記録媒体搬送機構132により副走査方向に所定量だけ搬送(走査)される。なお、本明細書では、図3の上側を記録媒体120の搬送方向の上流側、図3の下側を記録媒体120の搬送方向の下流側と呼ぶ。
硬化光源116R、116L(活性エネルギー付与手段の一例)は、それぞれ複数個のUV−LEDを備えている。硬化光源116R、116Lは、制御部138により、キャリッジ118の主走査の上流側に位置するUV−LEDが消灯され、下流側に位置するUV−LEDが点灯される。この点灯されたUV−LEDにおいて、各色ヘッド112から記録媒体120に打滴された各色インクのインク滴に対して紫外線を照射し、不完全に硬化(半硬化)させる。
すなわち、キャリッジ118が図3の右方向に移動しながら各色ヘッド112のノズル114からインクを吐出する場合には、走査の下流側に位置する硬化光源116LのUV−LEDによりインク滴に紫外線を照射する。また、キャリッジ118が図3の左方向に移動しながら各色ヘッド112のノズル114からインクを吐出する場合には、走査の下流側に位置する硬化光源116RのUV−LEDによりインク滴に紫外線を照射する。
記録媒体120に打滴されたインク滴は、硬化光源116R、116Lによる1回の紫外線照射では完全には硬化せず、半硬化状態となる。ここで、半硬化状態とは、インクが硬化を開始してから本硬化状態に至るまでの間の硬化状態を指す。半硬化状態のインク滴は、その後、記録媒体120の搬送方向の下流側に配置された図示しない本硬化光源によって更に紫外線が照射されて本硬化状態となり、これにより記録媒体120の記録面に画像が記録される。なお、本硬化状態とは、記録媒体120のハンドリングを行っても画像劣化しない程度にインク滴が硬化している状態を指す。すなわち、本硬化とは必ずしも硬化反応が完了していることを意味するものではない。
なお、硬化光源116R、116Lの照射光量と本硬化光源の照射光量は別個に設定することができる。前述のように、半硬化時の照射光量を低減することで、記録画像の光沢性を増加させることができる。
〔データ処理方法〕
図5に示すように、副走査方向の各色ヘッド112(のノズル114)の位置がずらして配置されているため、ハーフトーン画像データとしては、ずれた位置のハーフトーンデータがラスター毎に切取られ、各色ヘッド112に転送されて、打滴されていく。
ハーフトーン化した画像データは、RIPソフト上で通常と同様に生成され、画像入力インターフェース134を介してインクジェット記録装置100に入力され、画像処理部136へ送られる。画像処理部136へは、画像の上端から副走査方向に1ドットずつずらして各色、例えばLM、K、C、M、Y、LCが連続した形式で送られ、蓄積される。
画像処理部136では、各色ヘッド112のずらし量に応じて、ある基準とする色データから、ずらし量に近い副走査方向にずれた点からの画像データを制御部138へ送る。ずらした配置に応じて、基準色のデータから副走査方向にずれた点からのデータを制御部138へ転送する。これによって、RIPソフトでは通常のハーフトーン処理を行いつつ、インクジェット記録装置100側では、各色ヘッド112のずらし位置に応じた出力が行われ、完成画像として各色ヘッド112配置のずらしの影響が小さな作画処理が実施される。
図4に示す実施形態では、画像入力インターフェース134からハーフトーン化された画像データが入力されているが、RGB画像等が入力され、画像処理部136において印刷用のドットデータに変換するように構成してもよい。
各色ヘッド112は、副走査方向に、112K、112Y、112LM、112C、112LC、112Mの順に配置されているため、硬化感度の最も低いKインクが最初に記録媒体120の表面に着弾し、次いで2番目に硬化感度の低いYインクが着弾する。以下、硬化感度の低い順であるLMインク、Cインク、LCインク、Mインクの順に着弾する。したがって、記録媒体表面からKインク、Yインク、LMインク、Cインク、LCインク、Mインクの順に上層に向かって配置される。
このように、本発明のインクジェット記録方法では、硬化感度の低いインクの順にノズルをずらして配置し(図6のステップS1)、硬化感度の低いインクほど下層に、高いインクほど上層に配置して(記録媒体搬送方向上流側に配置されたノズルのインクほど下層に配置して)画像を形成する(図6のステップS2)ことが好ましい。これにより、表面層の状態を常に一定にすることができ、光沢ムラをより低減することができる。
また、UV硬化インクでは、硬化時に記録媒体内部へ浸透せずに表面に立体的な形状を形成するため、打滴するインク量が多量となる4C(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、黒インク)からなる黒ベタ画像において、光沢ムラが顕著となる。その4種のインクからなる濃度の高い画像部分では、淡インクは殆ど用いられない。
したがって、図3に示す実施形態では、各色ヘッド112の副走査方向の配置として、濃インクであるYインク、Cインク、Mインクのノズルの間に淡インクのノズルを配置している。このように配置することで、濃インク同士の打滴干渉を低減することができ、光沢ムラを回避することができる。
この副走査方向のノズル順序において、各色ヘッド112のノズル114の間隔100dpiの中に各色ノズル114を600dpiで配置することが好ましい。これにより、半硬化用と本硬化用の光源が分離されたインクジェット記録装置において、半硬化光源の照度を低減することで光沢度が高く、かつ光沢ムラの目立たない画像が形成可能となる。
このように、各色ヘッド112の副走査方向の位置をインクの硬化感度を鑑みて低感度のインクのノズルほど記録媒体搬送方向の上流方向にずらし、かつ濃インクのノズル間に淡インクのノズルを入れることで、高濃度の画像を形成時に濃インクのドット間が開くので、半硬化用光源の光量をより低減でき、光沢を増すことと光沢ムラの回避を同時に実現することが可能となる。
なお、本実施形態では、淡インクとしてLCインクとLMインクの2色のインクを用いているが、淡インクは2色に限定されない。Kインクと同色系であってKインクよりも着色剤濃度が低いライトブラックインク(LKインク)や、Yインクと同色系であってYインクよりも着色剤濃度が低いライトイエローインク(LYインク)を用いて、1色〜4色の構成とすることも可能である。この場合も、各色ヘッド112の副走査方向の配置として、濃インクであるKインク、Yインク、Cインク、Mインクのノズルの間に淡インクのノズルを配置することで、濃インク同士の打滴干渉を低減することができる。
なお、本実施形態では、各色ヘッド112の副走査方向の位置を低感度のインクのノズルほど記録媒体搬送方向の上流方向にずらしたが、最も硬化感度の低いインクのノズルを最上流側に配置し、この最も硬化感度の低いインクを記録媒体に最も近い層に配置すれば、その他のインクの配置順が異なっていても光沢ムラの回避に対して一定の効果がある。
例えば、前記6色のインクを用いる場合、記録媒体120の搬送方向の最上流側に硬化感度の最も低いインクのノズル114Kを配置し、Kインクが最初に記録媒体120の表面に着弾(すなわち、記録媒体120の記録面に最も近い層に着弾)すればよい。その他のノズルについては、下流側に向かって114K、114C、114LM、114M、114LC、114Yの順や、114K、114M、114LC、114Y、114LM、114Cの順等でもよい。
また、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができる他のインクジェット記録装置について図を参照して説明するが、本実施形態はこれらに限定されないことはいうまでもない。
図7は、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができる他のインクジェット記録装置の外観斜視図である。このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンタである。ワイドフォーマットプリンタとは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」と呼ぶ。
インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド24と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段としてのガイド機構28及びキャリッジ30(走査手段の一例)が設けられている。
ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向、第1の方向)に直交し、かつプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向、第2の方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ30には、インクジェットヘッド24が搭載されるとともに、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源32A、32Bと、本硬化光源34A、34Bとが搭載されている。
仮硬化光源32A、32Bは、インクジェットヘッド24から吐出されたインク滴が記録媒体12に着弾した後に、隣接液滴同士が合一化しない程度にインクを仮硬化(半硬化)させるための紫外線を照射する光源である。本硬化光源34A、34Bは、仮硬化後に追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。
キャリッジ30上に配置されたインクジェットヘッド24、仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30と共に一体的に(一緒に)移動する。
記録媒体12は、後述にても説明するが、紙、不織布、塩化ビニル、合成化学繊維、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ターポリンなど、材質を問わず、また、浸透性媒体、非浸透性媒体を問わず、様々な媒体を用いることができる。記録媒体12は、装置の背面側からロール紙状態(図8参照)で給紙され、印字後は装置正面側の巻き取りローラ(図7中不図示、図8の符号44)で巻き取られる(移動手段の一例)。プラテン26上に搬送された記録媒体12に対して、インクジェットヘッド24からインク滴が吐出され、記録媒体12上に付着したインク滴に対して仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bから紫外線が照射される。
図7において、装置本体20の正面に向かって左側の前面に、インクカートリッジ36の取り付け部38が設けられている。インクカートリッジ36は、紫外線硬化型インクを貯留する交換自在なインク供給源(インクタンク)である。インクカートリッジ36は、本例のインクジェット記録装置10で使用される各色インクに対応して設けられている。色別の各インクカートリッジ36は、それぞれ独立に形成された不図示のインク供給経路によってインクジェットヘッド24に接続される。各色のインク残量が少なくなった場合にインクカートリッジ36の交換が行われる。
また、図示を省略するが、装置本体20の正面に向かって右側には、インクジェットヘッド24のメンテナンス部が設けられている。該メンテナンス部には、非印字時におけるインクジェットヘッド24を保湿するためのキャップと、インクジェットヘッド24のノズル面(インク吐出面)を清掃するための払拭部材(ブレード、ウエブ等)が設けられている。インクジェットヘッド24のノズル面をキャッピングするキャップには、メンテナンスのためにノズルから吐出されたインク滴を受けるためのインク受けが設けられている。
〔記録媒体搬送路の説明〕
図8は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。図8に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(「媒体支持面」という。)となる。プラテン26の近傍における記録媒体搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上でX方向へ移動させる。
ロール・ツー・ロール方式の媒体搬送手段を構成する供給側のロール(「送り出し供給ロール」という。)42から送り出された記録媒体12は、印字部の入り口(プラテン26の記録媒体搬送方向の上流側)に設けられた一対のニップローラ40によって、X方向に間欠搬送される。インクジェットヘッド24の直下の印字部に到達した記録媒体12は、インクジェットヘッド24により印字が実行され、印字後に巻き取りローラ44に巻き取られる。印字部の記録媒体搬送方向の下流側には、記録媒体12のガイド46が設けられている。
印字部においてインクジェットヘッド24と対向する位置にあるプラテン26の裏面(記録媒体12を支持する面と反対側の面)には、印字中の記録媒体12の温度を調整するための温調部50が設けられている。印字時の記録媒体12が所定の温度となるように調整されると、記録媒体12に着弾したインク液滴の粘度や、表面張力等の物性値が所望の値になり、所望のドット径を得ることが可能となる。なお、必要に応じて、温調部50の上流側にプレ温調部52を設けてもよいし、温調部50の下流側にアフター温調部54を設けてもよい。
〔インクジェットヘッドの説明〕
図9は、キャリッジ30上に配置されるインクジェットヘッド24と仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bの配置形態の例を示す平面透視図である。
インクジェットヘッド24には、CL(クリア)、W(ホワイト)、LM、K、C、M、Y、LCの各色のインク毎に、それぞれインクを吐出するためのノズル列61CL、61W、61LM、61K、61C、61M、61Y、61LC、61CL、61Wが設けられている。図9では、ノズル列を点線により図示し、簡略化して記載しており、各ノズル列のずれ及びノズルの個別の図示は省略されている。また、以下の説明では、ノズル列61CL、61W、61LM、61K、61C、61M、61Y、61LC、61CL、61Wを総称して、符号61を付してノズル列を表すことがある。
インク色の種類(色数)や色の組合せについては、図9に示す態様に限定されない。例えば、LC、LMのノズル列を省略する形態、CLやWのノズル列を省略する形態、特別色のインクを吐出するノズル列を追加する形態などが可能である。また、色別のノズル列のY方向の配置順序も特に限定はない。
色別のノズル列61毎にヘッドモジュールを構成し、これらを並べることによって、カラー描画が可能なインクジェットヘッド24を構成することができる。例えば、ノズル列61CL、61W、61LM、61K、61C、61M、61Y、61LCをそれぞれ有する各ヘッドモジュール24CL、24W、24LM、24K、24C、24M、24Y、24LCを、キャリッジ30のY方向に並ぶように等間隔に配置する態様も可能である。
色別のヘッドモジュール24CL、24W、24LM、24K、24C、24M、24Y、24LCを、それぞれ「インクジェットヘッド」と解釈することも可能である。あるいはまた、1つのインクジェットヘッド24の内部で色別にインク流路を分けて形成し、1ヘッドで複数色のインクを吐出するノズル列を備える構成も可能である。
各ノズル列61は、複数個のノズルが一定の間隔でX方向に沿って1列に(直線的に)並んだものとなっている。本例のインクジェットヘッド24は、各ノズル列61を構成するノズルの配置ピッチ(ノズルピッチ)が254μm(100dpi)、1列のノズル列61を構成するノズルの数は256ノズル、ノズル列61の全長Lw(「ノズル列の長さ」に相当、「ノズル列幅」という場合がある。)は約65mm(254μm×255=64.8mm)である。
また、ノズル列61LM、61K、61C、61M、61Y、61LCは、各ノズルがX方向にそれぞれずらして配置されており(不図示)、メディア搬送方向上流側から最も硬化感度の低いKインクを吐出するノズル列61K、2番目に硬化感度の低いYインクを吐出するノズル列61Y、の順に並んでいる。また、濃インクであるYインク、Cインク、Mインクのノズルの間に淡インクであるLMインク、LCインクのノズルが配置されている(図5参照)。なお、硬化感度の低い濃インクほどメディア搬送方向上流側に配置してもよい。
また、吐出周波数は15kHzであり、駆動波形の変更によって10pl、20pl、30plの3種類の吐出液滴量を打ち分けることができる。すなわち、小ドット、中ドット、大ドットの3種類の大きさのドットを形成することができる。
インクジェットヘッド24のインク吐出方式としては、圧電素子(ピエゾアクチュエータ)の変形によってインク滴を飛ばす方式(ピエゾジェット方式)が採用されている。吐出エネルギー発生素子として、静電アクチュエータを用いる形態(静電アクチュエータ方式)の他、ヒータなどの発熱体(加熱素子)を用いてインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばす形態(サーマルジェット方式)を採用することも可能である。
〔紫外線照射装置の配置について〕
図9に示したように、インクジェットヘッド24の走査方向(Y方向)の左右両脇に、仮硬化光源32A、32Bが配置される。更に、インクジェットヘッド24の記録媒体搬送方向(X方向)の下流側に本硬化光源34A、34Bが配置されている。
インクジェットヘッド24のノズルから吐出されて記録媒体12上に着弾したインク滴には、その直後にその上を通過する仮硬化光源32A(又は32B)によって仮硬化のための紫外線が照射される。また、記録媒体12の間欠搬送に伴ってインクジェットヘッド24の印字領域を通過した記録媒体12上のインク滴には、本硬化光源34A、34Bにより本硬化のための紫外線が照射される。
なお、仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bは、インクジェット記録装置10の印刷動作中は常時点灯していてもよいし、必要に応じて適宜点灯と消灯を制御してもよい。
〔仮硬化光源の構成例について〕
図9に示したように、仮硬化光源32A、32Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子33が並べられた構造を有している。2つの仮硬化光源32A、32Bは、共通の構成である。本例では、仮硬化光源32A、32Bとして、X方向に沿って6個のUV−LED素子33が1列に並べたLED素子配列を例示したが、LED素子数及びその配列形態はこの例に限定されない。例えば、複数個のLED素子をX/Y方向にマトリクス状に配置した構成も可能である。
この6個のUV−LED素子33は、インクジェットヘッド24のノズル列幅Lwと同じ幅の領域に対して一度にUV照射を行うことができるように並べられている。
〔本硬化光源の構成例について〕
図9に示したように、本硬化光源34A、34Bは、それぞれ複数個のUV−LED素子35が並べられた構造を有している。2つの本硬化光源34A、34Bは、共通の構成である。図9の例では、本硬化光源34A、34Bとして、Y方向に6個、X方向に2個のUV−LED素子35がマトリクス状に配置されたLED素子配列(6×2)を例示している。
UV−LED素子35のX方向の配置は、後述するスワス幅と関連し、キャリッジ30の一度の走査において、ノズル列幅Lwのn分の1(nは正の整数)に対応する幅の領域に対して一度にUV照射を行うことができるように決められる。図9の例では、ノズル列幅Lwの1/2(n=2)の幅の領域を一度に照射可能にUV−LED素子35が配置されている。
なお、本硬化光源のLED素子数及びその配列形態は、図9の例に限定されない。また、仮硬化光源32A、32B、本硬化光源34A、34Bの発光源としては、UV−LED素子33、35に限らず、UVランプなどを用いることも可能である。
〔作画モードについて〕
上記のごとく構成されたインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードを選択することができる。
高生産モードでは、600dpi(主走査方向)×400dpiまたは500dpi(副走査方向)の解像度で印字が実行される。高生産モードの場合、主走査方向は2パス(2回の走査)によって600dpiの解像度が実現される。まず、1回目の走査(キャリッジ30の往路)では300dpiの解像度でドットが形成される。2回目の走査(復路)では、1回目の走査(往路)で形成されたドットの中間を300dpiで補間するようにドットが形成され、主走査方向について600dpiの解像度が得られる。
一方、副走査方向については、ノズルピッチが100dpiであり、1回の主走査(1パス)により副走査方向に100dpiの解像度でドットが形成される。したがって、4パス印字(4回の走査又は5回の走査)により補間印字を行うことで400dpi又は500dpiの解像度が実現される。
なお、本明細書では、主走査方向のパス数と副走査方向のパス数との積を、その作画モードにおけるパス数と呼ぶ。したがって、高生産モードのパス数は、主走査2パス印字×副走査4パス印字または5パス印字=8パスまたは10パス印字となる。
標準モードでは、900dpi×800dpiの解像度で印字が実行される。この解像度は、主走査方向は2パス印字、副走査方向は8パス印字とすることにより得られる。すなわち、標準モードのパス数は、主走査2パス印字×副走査8パス印字=16パスとなる。
また、高画質モードでは、1,200×1,200dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は4パス、副走査方向は12パスによりこの解像度を得ている。すなわち、高画質モードのパス数は、主走査4パス印字×副走査12パス印字=48パスとなる。
〔インク供給系の説明〕
図10は、インクジェット記録装置10のインク供給系の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクカートリッジ36に収容されているインクは、供給ポンプ70によって吸引され、サブタンク72を介してインクジェットヘッド24に送られる。サブタンク72には、内部のインクの圧力を調整するための圧力調整部74が設けられている。
圧力調整部74は、バルブ76を介してサブタンク72と連通される加減圧用ポンプ77と、バルブ76と加減圧用ポンプ77との間に設けられる圧力計78と、を具備している。
通常の印字時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを吸引する方向に動作し、サブタンク72の内部圧力及びインクジェットヘッド24の内部圧力が負圧に維持される。一方、インクジェットヘッド24のメンテナンス時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを加圧する方向に動作し、サブタンク72の内部及びインクジェットヘッド24の内部が強制的に加圧され、インクジェットヘッド24内のインクがノズルを介して排出される。インクジェットヘッド24から強制的に排出されたインクは、上述したキャップ(図示せず)のインク受けに収容される。
〔インクジェット記録装置の制御系の説明〕
図11はインクジェット記録装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、制御手段としての制御装置202が設けられている。制御装置202としては、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えたコンピュータ等を用いることができる。制御装置202は、図4に示した制御部138に該当し、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。制御装置202には、記録媒体搬送制御部204、キャリッジ駆動制御部206、光源制御部208、画像処理部210、吐出制御部212が含まれる。これらの各部は、ハードウェア回路又はソフトウェア、若しくはこれらの組合せによって実現される。
記録媒体搬送制御部204は、記録媒体12(図7参照)の搬送を行うための搬送駆動部214を制御する。搬送駆動部214は、図4に示した記録媒体搬送機構132に該当し、図8に示すニップローラ40を駆動する駆動用モータ、及びその駆動回路が含まれる。プラテン26(図7参照)上に搬送された記録媒体12は、インクジェットヘッド24による主走査方向の往復走査(印刷パスの動き)に合わせて、スワス幅単位で副走査方向へ間欠送りされる。
図11に示すキャリッジ駆動制御部206は、キャリッジ30(図7参照)を主走査方向に移動させるための主走査駆動部216を制御する。主走査駆動部216は、図4に示したキャリッジ走査機構130に該当し、キャリッジ30の移動機構に連結される駆動用モータ、及びその制御回路が含まれる。
光源制御部208は、LED駆動回路218を介して仮硬化光源32A、32BのUV−LED素子33の発光量を調整するとともに、LED駆動回路219を介して本硬化光源34A、34BのUV−LED素子35の発光量を調整する制御手段である。
LED駆動回路218は、光源制御部208からの指令に応じた電圧値の電圧を出力して、UV−LED素子33の発光量を調整する。また、LED駆動回路219は、光源制御部208からの指令に応じた電圧値の電圧を出力して、UV−LED素子35の発光量を調整する。LEDの発光量の調整は、電圧を変更するのではなく、PWM(Pulse Width Modulation)を用いて駆動波形のDuty比を変更することによって行ってもよいし、電圧値とDuty比の両方を変更してもよい。
制御装置202には、操作パネル等の入力装置220、表示装置222が接続されている。
入力装置220は、手動による外部操作信号を制御装置202へ入力する手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタンなど各種形態を採用し得る。表示装置222には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTなど、各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置220を操作することにより、作画モードの選択、印刷条件の入力や付属情報の入力・編集などを行うことができ、入力内容や検索結果等の各種情報は、表示装置222の表示を通じて確認することができる。
また、インクジェット記録装置10には、各種情報を格納しておく情報記憶部224と、印刷用の画像データを取り込むための画像入力インターフェース226が設けられている。画像入力インターフェースには、シリアルインターフェースを適用してもよいし、パラレルインターフェースを適用してもよい。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
画像入力インターフェース226を介して入力された画像データは、画像処理部210にて印刷用のデータ(ドットデータ)に変換される。このドットデータは、一般に、多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。
ハーフトーン処理の手段としては、誤差拡散法、ディザ法、閾値マトリクス法、濃度パターン法など、各種公知の手段を適用できる。ハーフトーン処理は、一般にM値(M≧3)の階調画像データをN値(N<M)の階調画像データに変換する。最も簡単な例では、2値(ドットのオンオフ)のドット画像データに変換するが、ハーフトーン処理において、ドットサイズの種類(例えば、大ドット、中ドット、小ドットなどの3種類)に対応した多値の量子化を行うことも可能である。
こうして得られた2値又は多値の画像データ(ドットデータ)は、各ノズルの駆動(オン)/非駆動(オフ)、更に、多値の場合には液滴量(ドットサイズ)を制御するインク吐出データ(打滴制御データ)として利用される。
吐出制御部212は、画像処理部210において生成されたドットデータに基づいて、ヘッド駆動回路228に対して吐出制御信号を生成する。また、吐出制御部212は、不図示の駆動波形生成部を備えている。駆動波形生成部は、インクジェットヘッド24の各ノズルに対応した吐出エネルギー発生素子(本例では、ピエゾ素子)を駆動するための駆動電圧信号を生成する手段である。
駆動電圧信号の波形データは、予め情報記憶部224に格納されており、必要に応じて使用する波形データが出力される。駆動波形生成部から出力された信号(駆動波形)は、ヘッド駆動回路228に供給される。なお、駆動波形生成部から出力される信号はデジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
ヘッド駆動回路228を介してインクジェットヘッド24の各吐出エネルギー発生素子に対して、共通の駆動電圧信号が印加され、各ノズルの吐出タイミングに応じて各エネルギー発生素子の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、対応するノズルからインクが吐出される。
情報記憶部224には、制御装置202のCPUが実行するプログラム、及び制御に必要な各種データなどが格納されている。情報記憶部224には、作画モードに応じた解像度の設定情報、パス数(スキャンの繰り返し数)、仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bの発光量情報などが格納されている。
エンコーダ230は、主走査駆動部216の駆動用モータ、及び搬送駆動部214の駆動用モータに取り付けられており、該駆動モータの回転量及び回転速度に応じたパルス信号を出力し、該パルス信号は制御装置202に送られる。エンコーダ230から出力されたパルス信号に基づいて、キャリッジ30の位置、及び、記録媒体12(図7参照)の位置が把握される。
センサ232は、キャリッジ30に取り付けられており、センサ232から得られたセンサ信号に基づいて記録媒体12の幅が把握される。
以上のように構成されたインクジェット記録装置10によれば、各色インクのヘッドをノズルピッチ内でそれぞれ記録媒体搬送方向にずらし、低感度のインクのヘッドほど記録媒体搬送方向上流側に配置し、低感度のインクほど下層に配置して記録することで、表面層の状態を常に一定にして光沢ムラを低減することができる。
上記の実施形態では、UV硬化インクを用いて画像を形成する例を用いて説明しているが、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを用いた場合に適用することができる。例えば、X線、分子線、又はイオンビーム等により硬化するインクを用いることができる。
<吐出工程>
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体上に、前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから少なくとも1種の前記インクを吐出する吐出工程を含む。
前記吐出工程は、前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから少なくとも2種の前記インクを吐出する工程であることが好ましく、前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色の前記インクを吐出する工程であることがより好ましい。上記態様であると、本発明の効果をより発揮できる。
また、前記吐出工程におけるインクジェットヘッドのスキャンスピードは、0.5m/s以上であることが好ましく、0.7m/s以上であることがより好ましく、0.9m/s以上であることが更に好ましい。また、3.5m/s以下であることが好ましく、3.0m/s以下であることがより好ましく、2.5m/s以下であることが更に好ましい。上記態様であると、画像における光沢ムラがより生じやすい態様であり、本発明の効果をより発揮することができる。
本発明において、記録媒体としては、特に限定されず、公知の記録媒体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
前記吐出工程におけるインクの吐出は、インクを、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インクの粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のような25℃におけるインクの粘度が10〜30mPa・sであるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
放射線硬化型インクは、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、インクの温度の制御幅は、設定温度の±5℃であることが好ましく、設定温度の±2℃であることがより好ましく、設定温度±1℃であることが更に好ましい。
<硬化工程>
本発明のインクジェット記録方法は、前記活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを照射して、吐出された前記インクを硬化する硬化工程を含む。
記録媒体上に吐出されたインクは、活性エネルギーを照射することによって硬化する。
前記活性エネルギー付与手段による記録媒体表面における最高照度は、画質及び生産性の観点から、10〜3,000mW/cm2であることが好ましく、50〜2,100mW/cm2がより好ましく、100〜1,600mW/cm2が更に好ましい。
前記活性エネルギー付与手段の前記発光ダイオードにより付与するエネルギー、すなわち紫外線の照射により記録媒体上のインクに付与するエネルギー(積算光量)は、100〜1,000mJ/cm2が好ましく、150〜800mJ/cm2がより好ましく、200〜700mJ/cm2が更に好ましい。上記範囲であると、生産性と硬化性を両立できる。
本発明のインジェット記録方法においては、活性エネルギーを、好ましくは0.1〜2秒、より好ましくは0.2〜1.5秒、更に好ましくは0.3〜1秒照射することが好ましい。
活性エネルギーの照射は、インクの着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることが好ましい。このようにインクの着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができる。
前述したように、本発明に用いられるインクジェット記録装置は、前記活性エネルギー付与手段によって活性エネルギーが付与されたインク滴に対して更に活性エネルギーを付与することでインク滴を本硬化させる第2の活性エネルギー付与手段を備えることが好ましい。
また、前記硬化工程が、前記活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを照射して、吐出された前記インクを不完全に硬化する(「半硬化」ともいう。)仮硬化工程、及び、前記仮硬化工程において不完全に硬化している前記インクを前記第2の活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを照射して完全に硬化する本硬化工程を含むことが好ましい。
なお、本発明における「完全硬化」とは、インクの内部及び表面が完全に硬化した状態をいう。具体的には、普通紙などの浸透媒体を押し当てて、浸透媒体にインクが転写したかどうかによって判断することができる。すなわち、全く転写しない場合を完全に硬化した状態という。
また、本発明における「半硬化」とは、インクが硬化を開始してから完全硬化に至るまでの間の状態をいう。
前記仮硬化工程における前記活性エネルギー付与手段の照度は、50〜1,000mW/cm2であることが好ましく、100〜500mW/cm2であることがより好ましい。上記範囲であると、打滴の濡れ広がりが特に促進され、光沢性に優れる印刷物が得られ、また、打滴干渉を起こしにくく、筋ムラの目立たない印刷物が得られる。
また、前記仮硬化工程においては、インクの吐出後0〜1.0秒の間に前記活性エネルギー付与手段により吐出されたインクに活性エネルギーを照射することが好ましく、インクの吐出後0〜0.7秒の間に照射することがより好ましく、インクの吐出後0〜0.5秒の間に照射することが更に好ましく、インクの吐出後0〜0.4秒の間に照射することが特に好ましい。
前記本硬化工程において、インクを吐出後から本硬化工程における活性エネルギーの照射までの経過時間の上限については、厳密に規定されることはないが、空気中の埃付着などのコンタミネーションを抑制するなどの観点で、1分以内が好ましく、30秒以内がより好ましく、10秒以内が特に好ましい。また、下限は、前記仮硬化工程の後であれば特に制限はない。
前記第2の活性エネルギー付与手段の照度は、生産性/即乾性と、打滴の濡れ広がりとのバランスの観点から、600〜3,000mW/cm2が好ましく、700〜2,100mW/cm2がより好ましく、800〜1,800mW/cm2が特に好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法は、必要に応じ、前記以外の工程を含んでいてもよい。
<インク>
本発明のインクジェット記録方法には、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを使用する。
また、本発明のインクジェット記録方法には、前記4色のインクだけでなく、他のインクを使用してもよく、例えば、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク等の淡色インク、ホワイトインク、クリアインク、オレンジインク、グリーンインク、バイオレットインク等が挙げられる。
中でも、本発明のインクジェット記録方法は、前記4色のインクに加え、少なくとも1種の淡色インクを使用することが好ましく、前記4色のインクに加え、ライトシアンインク及びライトマゼンタインクを使用することがより好ましい。
なお、ライトシアンインクとは、前記シアンインクよりも着色剤濃度が低いシアンインクであればよく、ライトマゼンタインクとは、前記マゼンタインクよりも着色剤濃度が低いマゼンタインクであればよい。また、淡色インクは、着色剤の含有量がインク組成物全体の2質量%以下のインクであることが好ましい。
また、クリアインクとは、実質的に着色剤を含有せず、透明なインク組成物である。クリアインクは、本発明のインクジェット記録方法において、下塗り層の形成に使用してもよく、また、オーバーコート層(保護層)の形成に使用してもよい。
本発明に用いられる前記4色のインクの25℃における粘度は、いずれも10〜30mPa・sであり、10〜25mPa・sであることが好ましい。上記範囲であると、光沢ムラ及び粒状性が低減された画像を得ることができる。
更に、本発明に用いられる全てのインクの25℃における粘度がいずれも、10〜30mPa・sであることが好ましく、10〜25mPa・sであることがより好ましい。上記範囲であると、光沢ムラ及び粒状性がより低減された画像を得ることができる。
なお、粘度は、25℃における粘度であり、東機産業(株)製のVISCOMETER TV−22LTを用いて測定した25℃における粘度であることが好ましい。
本発明に用いられる前記4色のインクのうち、少なくとも1種のインクの25℃における表面張力は、23〜39mN/mであることが好ましく、30〜39mN/mであることがより好ましい。上記の範囲であると、光沢ムラ及び粒状性がより低減された画像を得ることができる。
また、本発明に用いられる前記4色のインクの25℃における表面張力がいずれも、23〜39mN/mであることが好ましく、30〜39mN/mであることがより好ましい。上記範囲であると、光沢ムラ及び粒状性がより低減された画像を得ることができる。
更に、本発明に用いられる全てのインクの25℃における表面張力がいずれも、23〜39mN/mであることが好ましく、30〜39mN/mであることがより好ましい。上記範囲であると、光沢ムラ及び粒状性がより低減された画像を得ることができる。
なお、本発明におけるインクの表面張力は、一般的に用いられている表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計AUTOMATIC SURFACE TENSIOMETER CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で25℃にて測定した値である。
また、本発明に用いられるインクは、インクジェットインク組成物、すなわち、インクジェット記録用インク組成物である。
本発明に用いられるインク組成物は、油性のインク組成物であることが好ましく、また、活性エネルギー硬化性インク組成物であることが好ましい。
また、本発明に用いられるインク組成物は、高揮発性溶剤を含まず、無溶剤であることが好ましい。
本発明でいう「活性エネルギー」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させることができるエネルギーを付与することができる活性エネルギー線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明に用いられるインク組成物としては、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
以下、本発明のインクジェット記録方法に用いることができる各色インク組成物が含有する成分について説明する。
(成分A)重合性化合物
本発明に用いられるインクは、(成分A)重合性化合物を含有することが好ましい。
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物、及び、カチオン重合性化合物が挙げられるが、ラジカル重合性化合物を含有することがより好ましい。
また、ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物が好ましく、(メタ)アクリレート化合物及び/又はN−ビニル化合物がより好ましい。
本発明に用いられるインクは、ラジカル重合性化合物として、N−ビニル化合物を含有することが好ましい。
N−ビニル化合物としては、N−ビニルラクタム類が好ましく、式(a−1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2014046478
式(a−1)中、nは1〜5の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、記録媒体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは2〜4の整数であることが好ましく、nが2又は4であることがより好ましく、nが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の記録媒体への密着性が得られるので好ましい。
本発明に用いられるインクにおけるN−ビニル化合物の含有量は、インク組成物全体の質量に対して、5〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜35質量%である。含有量が5質量%以上であると、記録媒体への密着性に優れ、また、含有量が60質量%以下であると、保存安定性に優れる。
本発明に用いられるインクは、ラジカル重合性化合物として、式(a−2)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2014046478
(式(a−2)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又は、エチル基を表し、X2は単結合、又は、二価の連結基を表す。)
1としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
2及びR3としては、それぞれ独立に水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましく、R2及びR3が共に水素原子であることが更に好ましい。
2における二価の連結基としては、本発明の効果を大きく損なうものでない限り特に制限はないが、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、二価の炭化水素基、ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基であることがより好ましい。また、前記二価の連結基の炭素原子数は、1〜60であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
2としては、単結合、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8の二価の炭化水素基であることが更に好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
以下に式(a−2)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらの化合物に限定されるものではない。なお、下記の具体例中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。
Figure 2014046478
これらの中でも、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマル(メタ)アクリレートが好ましく、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートが特に好ましい。式(a−2)で表される化合物は、市販品であってもよく、市販品の具体例としては、SR531(サートマー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
記録媒体と画像との密着性、インク組成物の硬化性の観点から、式(a−2)で表される化合物の含有量は、インク組成物の総質量に対して1〜70質量%が好ましく、3〜65質量%がより好ましく、5〜60質量%が更に好ましく、5〜50質量%が最も好ましい。
本発明に用いられるインクは、ラジカル重合性化合物として、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。中でも、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
記録媒体と画像との密着性、インク組成物の硬化性の観点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総質量に対して1〜70質量%が好ましく、3〜65質量%がより好ましく、5〜60質量%が更に好ましい。
本発明に用いられるインクは、芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく例示できる。
芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、分子量が500以下のものが好ましく、分子量が300以下のものがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとして、特開2009−096985号公報の段落0048〜0063に記載された、芳香族単官能ラジカル重合性モノマーが挙げられる。本発明においては、芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、式(a−4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014046478
(式(a−4)中、R1は水素原子、又は、メチル基を表し、X1は二価の連結基を表し、Arは芳香族炭化水素基を表し、R5は置換基を表し、uは0〜5の整数を表し、また、u個存在するR5はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。)
式(a−4)中、R1として好ましくは、水素原子である。
1は二価の連結基を表し、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−若しくは−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NR’−若しくは−NR’C(O)−)、カルボニル基(−C(O)−)、イミノ基(−NR’−)、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキレン基、又は、これらを2以上組み合わせた二価の基であることが好ましい。なお、R’は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表す。置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
1及びX1を含む部分(H2C=C(R1)−C(O)O−X1−)は、芳香族炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、着色剤との親和性を向上させるという観点から、X1の芳香族炭化水素基と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましい。式(a−4)におけるX1は、*−(LO)q−であることが好ましい。ここで、*は、式(a−4)のカルボン酸エステル結合との結合位置を示し、qは0〜10の整数であり、Lは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。qは0〜4の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましい。(LO)qは、エチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖であることが好ましい。
Arは芳香族炭化水素基を表す。芳香族炭化水素基としては、1〜4つの環を有する単環又は多環芳香族炭化水素基が挙げられ、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、1H−インデン、9H−フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェニレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアンデン等から1つ以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
中でも本発明においては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、単環芳香族炭化水素基、すなわちフェニル基がより好ましい。
u個存在するR5は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシ基、炭素数1〜10のアシル基、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、又は、更に置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基であることが好ましい。置換基としては、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
uは、0〜5の整数を表し、0であることが好ましい。
式(a−4)で表される化合物としては、フェニル基を有する化合物が好ましく、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートが更に好ましく、2−フェノキシエチルアクリレートが特に好ましい。
インクジェット吐出性、柔軟性の観点から、芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総質量に対して1〜50質量%が好ましく、3〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%が更に好ましい。
上記以外の単官能(メタ)アクリレートとしては、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソアミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
インクにおける単官能ラジカル重合性化合物の合計含有量がラジカル重合性化合物の総量に対して、50〜90質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましく、65〜85質量%が更に好ましい。上記範囲であると、インク−インク間及びインク−記録媒体間の密着性に優れ、また、柔軟性に優れる画像が得られる。
本発明に用いられるインクは、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。インクが多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することにより、高い硬化性が得られる。
多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(トリメチロールプロパンエチレンオキサイド3モル付加物をトリ(メタ)アクリレート化した化合物)、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド3モル付加物をトリ(メタ)アクリレート化した化合物)、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシ化多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
多官能(メタ)アクリレートの総含有量は、硬化性の観点から、インク組成物の全質量に対して1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。
本発明に用いられるインクは、オリゴマーを含有することが好ましい。
この「オリゴマー」とは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーに基づく構成単位を有する重合体である。オリゴマーの重量平均分子量は400〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましい。
オリゴマーとしては、官能基として、重合性基を有しているものが好ましく、エチレン性不飽和基を有しているものがより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有するものが特に好ましい。
オリゴマーに含まれる官能基数は、柔軟性と硬化性のバランスの観点から、1分子あたり1〜15が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2が特に好ましい。
本発明におけるオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート系、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、(メタ)アクリレートオリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)、アミン変性ポリエステルオリゴマー等を挙げることができる。この中でもウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが更に好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートが、硬化性、密着性に優れたインク組成物が得られることから特に好ましい。オリゴマーは、1種単独で用いる以外に、複数種を併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族系ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。詳しくは、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)を参照することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、新中村化学工業(株)製のU−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、U−324A、UA−122P、UA5201、UA−512等;サートマー・ジャパン(株)製のCN964A85、CN964、CN959、CN962、CN963J85、CN965、CN982B88、CN981、CN983、CN996、CN9002、CN9007、CN9009、CN9010、CN9011、CN9178、CN9788、CN9893、ダイセル・サイテック(株)製のEB204、EB230、EB244、EB245、EB270、EB284、EB285、EB810、EB4830、EB4835、EB4858、EB1290、EB210、EB215、EB4827、EB4830、EB4849、EB6700、EB204、EB8402、EB8804、EB8800−20R等が挙げられる。
アミン変性ポリエステルオリゴマーとして、ダイセル・サイテック(株)製のEB524、EB80、EB81、サートマー・ジャパン(株)製のCN550、CN501、CN551、Rahn A.G.社製のGENOMER5275が挙げられる。
オリゴマーの含有量は、硬化性と密着性の両立という観点から、インク組成物の総質量に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%が更に好ましい。
インク組成物中における(成分A)重合性化合物全体の総含有量は、65〜99質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。
(成分B)重合開始剤
本発明に用いられるインクは、(成分B)重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、及び、カチオン重合開始剤が挙げられるが、ラジカル重合開始剤を含有することがより好ましい。
重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができる重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
本発明に用いることのできる重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性エネルギー線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性エネルギー線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
本発明に用いることができる重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。上記重合開始剤の詳細については、当業者に公知であり、例えば、特開2009−185186号公報に記載されている。
本発明における重合開始剤は1種単独又は2種以上の併用によって好適に用いられるが、2種以上を併用することが好ましく、3種以上を併用することがより好ましく、3〜5種併用することが更に好ましい。
本発明における重合開始剤として、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させるため、増感剤として機能する化合物(以下、単に「増感剤」ともいう。)を含有してもよい。
増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)等が挙げられる。
また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、ビスアシルホスフィン化合物、モノアシルホスフィン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、チオキサントン化合物、及び、チオクロマノン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することが好ましく、ビスアシルホスフィン化合物、モノアシルホスフィン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、チオキサントン化合物、及び、チオクロマノン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも2種の化合物を使用することがより好ましく、ビスアシルホスフィン化合物、モノアシルホスフィン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、チオキサントン化合物、及び、チオクロマノン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも3種の化合物を使用することが更に好ましく、ビスアシルホスフィン化合物、モノアシルホスフィン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、及び、チオキサントン化合物よりなる群から選ばれた少なくとも3種の化合物を使用することが特に好ましい。
ビスアシルホスフィン化合物及びモノアシルホスフィン化合物としては、特開2009−096985号公報の段落0080〜0098に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物及びモノアシルホスフィン化合物が好ましく挙げられる。
中でも、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが好ましい。
また、モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが好ましい。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
α−アミノケトン化合物としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
チオキサントン化合物としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及び、4−イソプロピルチオキサントンが好ましく挙げられる。
チオクロマノン化合物としては、下記(I−1)〜(I−31)が好ましく挙げられ、(I−14)、(I−17)、及び、(I−19)がより好ましく挙げられ、(I−14)が特に好ましく挙げられる。
Figure 2014046478
Figure 2014046478
本発明のインク組成物中における重合開始剤の含有量としては、インク組成物の総質量に対して、0.1〜20.0質量%であることが好ましく、0.5〜18.0質量%であることがより好ましく、1.0〜15.0質量%であることが更に好ましい。重合開始剤の添加量が上記範囲であると、硬化性に優れ、また、表面ベトツキ低減の観点から適切である。
また、重合開始剤と、それらと併用される重合性化合物との含有比(質量比)としては、それぞれ、重合開始剤:重合性化合物=0.5:100〜30:100であることが好ましく、1:100〜15:100であることがより好ましく、2:100〜10:100であることが更に好ましい。
(成分C)着色剤
本発明に用いられるインクは、各色に応じて、(成分C)着色剤を含有することが好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。中でも、着色剤としては特に耐光性に優れるとの観点から顔料であることが好ましい。
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。更に、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G'レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
着色剤の分散には、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
着色剤の分散を行う際には、界面活性剤等の分散剤を添加することができる。
また、着色剤を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種着色剤に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、着色剤100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
着色剤などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、インク組成物は、活性エネルギー線硬化型の液体であることが好ましく、インク組成物を被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク組成物から形成された画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低い重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
ここで用いる着色剤の平均粒径は、微細なほど発色性に優れるため、0.01〜0.4μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02〜0.2μmの範囲である。最大粒径は好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下となるよう、着色剤、分散剤、分散媒の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができる。本発明においては分散性、安定性に優れた前記分散剤を用いることにより、微粒子着色剤を用いた場合でも、均一で安定な分散物が得られる。
着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
インクが着色剤を含有する場合、着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、画像濃度及び保存安定性の観点から、インク全体の質量に対し、0.01〜40質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることが更に好ましく、0.2〜20質量%であることが特に好ましい。
本発明に用いられるインクには、必要に応じて、前記各成分以外に、重合禁止剤、分散剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を含有することができる。これらは、特開2009−185186号公報に記載されており、本発明においても使用できる。
本発明に用いられるインクは、保存性を高める観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
インクジェット記録においてインクは、25〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐために、重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤、ハイドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL(HO−TEMPO)、クペロンAl、ヒンダードアミン等が挙げられる。
本発明に好ましく使用されるニトロソ系重合禁止剤の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2014046478
ニトロソ系重合禁止剤の市販品として、FIRSTCURE ST−1(Chem First社製)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系重合禁止剤の市販品としてTINUVIN292、TINUVIN770DF、TINUVIN765、TINUVIN123が挙げられる。
中でも、重合禁止剤としては、クペロンAl(トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩、FIRSTCURE ST−1)、メトキシヒドロキノン、及び、HO−TEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ)よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。
本発明に用いられるインク中における重合禁止剤の含有量は、0.01〜1.5質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましく、0.2〜0.8質量%が更に好ましい。上記の数値の範囲内であると、インク組成物の調製時、保管時の重合を抑制でき、インクジェットノズルの詰まりを防止できる。
本発明に用いられるインクは、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Noveon社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましい。
本発明に用いられるインクは、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、前記界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(例えば、有機フルオロ化合物等)やシリコーン系界面活性剤(例えば、ポリシロキサン化合物等)を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。前記ポリシロキサン化合物としては、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部に有機基を導入した変性ポリシロキサン化合物であることが好ましい。変性の例として、ポリエーテル変性、メチルスチレン変性、アルコール変性、アルキル変性、アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、エポキシ変性、アミン変性、アミノ変性、メルカプト変性などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらの変性の方法は組み合わせて用いられてもかまわない。また、中でもポリエーテル変性ポリシロキサン化合物がインクジェットにおける吐出安定性改良の観点で好ましい。ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物の例としては、例えば、SILWET L−7604、SILWET L−7607N、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2161(日本ユニカー(株)製)、BYK306、BYK307、BYK331、BYK333、BYK347、BYK348等(BYK Chemie社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
これらの中でも、シリコーン系界面活性剤が好ましく挙げられる。
界面活性剤の含有量、特にフッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤の総含有量は使用目的により適宜選択されるが、光沢性、筋ムラを抑制する観点から、界面活性剤を含有しないか、又は、界面活性剤の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、0質量%を超え2質量%以下が好ましく、界面活性剤を含有しないか、又は、界面活性剤の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、0質量%を超え0.4質量%以下がより好ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
(イエローミルベースの調製)
・イエロー顔料:NOVOPERM YELLOW H2G(クラリアント社製)
30質量部
・SR9003(プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、サートマー・ジャパン(株)製) 30質量部
・BYK168(分散剤、BYK Chemie社製) 40質量部
上記の成分を撹拌し、イエローミルベースを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散することにより行った。
(マゼンタミルベースの調製)
・マゼンタ顔料:CINQUASIA MAGENTA RT−355D(チバ・ジャパン(株)製) 30質量部
・SR9003 30質量部
・BYK168 40質量部
上記の成分を、イエローミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、マゼンタミルベースを得た。
(シアンミルベースの調製)
・シアン顔料:IRGALITE BLUE GLVO(チバ・ジャパン(株)製)
30質量部
・SR9003 30質量部
・BYK168 40質量部
上記の成分を、イエローミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、シアンミルベースを得た。
(ブラックミルベースの調製)
・ブラック顔料:SPECIAL BLACK 250(チバ・ジャパン(株)製)
30質量部
・SR9003 30質量部
・BYK168 40質量部
上記の成分を、イエローミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、ブラックミルベースを得た。
<インク組成物の作製方法>
表1〜表6に記載の素材を混合、撹拌することで、各インク組成物を得た。なお、表中の数値は各成分の配合量(質量部)を表す。撹拌は、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて室温(25℃)で5,000回転/分にて20分の条件で行った。また、表中の粘度は、VISCOMETER TV−22LT(東機産業(株)製)を用い、25℃の条件下で測定したものである。また、表面張力は、AUTOMATIC SURFACE TENSIOMETER CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、25℃の条件下で測定したものである。
Figure 2014046478
Figure 2014046478
Figure 2014046478
Figure 2014046478
Figure 2014046478
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なお、上記表1〜表6に記載された各成分は以下の通りである。
・NVC:N−ビニルカプロラクタム(V−CAP、ISP社製)
・CTFA:サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(SR531、サートマー・ジャパン(株)製)
・EOTMPTA:エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(トリメチロールプロパンエチレンオキサイド3モル付加物をトリアクリレート化した化合物)(SR454 D NS、サートマー・ジャパン(株)製)
・IBOA:イソボニルアクリレート(IBXA、大阪有機化学工業(株)製)
・4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
・EOEOEA:エトキシエトキシエチルアクリレート(SR256、サートマー・ジャパン(株)製)
・2−MTA:2−メトキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
・CN964A85(ウレタンアクリレートオリゴマー、平均官能基数2、サートマー・ジャパン(株)製)
・Irg819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE 819、チバ・ジャパン(株)製)
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(DAROCUR TPO、チバ・ジャパン(株)製)
・Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製)
・ITX:イソプロピルチオキサントン(LAMBSON社製)
・ST−1:FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、Chem First社製)
・MEHQ:メトキシヒドロキノン(和光純薬工業(株)製)
・HO−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ((株)ADEKA製)
・F−552:フッ素系オリゴマー型界面活性剤(DIC(株)製)
<インクジェット記録方法>
−装置構成−
図9に示すように各色インクジェットヘッドを配置した装置を使用した。各色のヘッド位置の相対関係については後述する。また、各部の詳細は、以下の通りである。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタの各色ヘッドはそれぞれ、ピエゾ型インクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/10(FUJIFILM DIMATIX社製、ノズル数256個(100npi(nozzle per inch)、最小液滴量10pL、30kHz)を使用した。
光源は、仮硬化光源として図9に示されるように発光ダイオード(UV−LED、日亜化学工業(株)製NC4U134、波長385nm)を配置した光源を2個具備し、照度780mW/cm2であるものを使用し、本硬化光源として発光ダイオード(UV−LED、日亜化学工業(株)製NC4U134、波長385nm)を10個配置した光源を2個具備し、照度1,500mW/cm2であるものを使用した。
インク供給系は、インクパック、供給配管、脱気フィルターSEPAREL EF−G2(DIC(株)製)、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、脱気フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなり、脱気フィルター部分では0.5気圧まで減圧した。
−画像形成−
上記構成の装置を用い、画像形成を実施した。
描画条件は、以下の条件で行った。
スキャンスピード:1m/s
基材:UVグロスコート157(157g/cm2、UVGC760、グロス紙、桜井(株)製、厚さ150μm)
描画モード:1,200dpi×1,200dpi、12パス
画像A:4カラー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)にて300%の網パーセントのグレー
画像B:4カラーにて270%の網パーセントのグレー
仮硬化照度条件A:780mW/cm2
仮硬化照度条件B:390mW/cm2
各色のヘッド位置の相対関係A:走査の同一ライン上に各色ヘッドのノズルを並べた配列
各色のヘッド位置の相対関係B:図5に示す各色ヘッドのノズル配置
<評価方法>
−光沢バンディング(光沢ムラ)の評価−
画像Aの条件を出力し、50cmの距離からの印刷物を観察し、光沢バンディングの有無を評価した。なお、評価人数は10名とし、評価点数は10人の平均とした。なお、光沢バンディングとは、画像に筋状の光沢ムラが生じていることである。
5:光沢バンディングが認められない
4:光沢バンディングがわずかに認められるが気にならない
3:光沢バンディングが認められるが許容できる
2:光沢バンディングが気になる
1:光沢バンディングが非常に気になる
評価点3以上が許容範囲である。
−粒状性の評価−
画像Bの条件を出力し、50cmの距離からの印刷物を観察し、画像の粒状性、すなわち、画像のザラツキ具合を評価した。なお、評価人数は10名とし、評価点数は10人の平均とした。
5:ザラツキが認識できない
4:ザラツキがわずかに認識できるが気にならない
3:ザラツキが認められるが許容できる
2:ザラツキが気になる
1:ザラツキが非常に気になる
評価点3以上が許容範囲である。
(実施例1〜16、及び、比較例1〜20)
上記、画像A、Bの条件、仮硬化照度条件Bの条件にて、各色のヘッド位置の相対関係Aの条件で画像形成を行った結果を表7に示す(比較例1〜18)。
なお、インクの吐出に当たっては、吐出温度を調節して、吐出時の粘度の最適化を行った。また、吐出波形の最適化も実施した。その結果、いずれのインクも良好に吐出できることを確認した。
同様に、上記、画像A、Bの条件、仮硬化照度条件Bの条件にて、各色のヘッド位置の相対関係Bの条件で画像形成を行った結果を表8に示す(実施例1〜16、並びに、比較例19及び20)。
更に、画像A、Bの条件、仮硬化照度条件Aの条件にて、各色のヘッド位置の相対関係Bの条件で画像形成を行った。この場合は、実施例1〜16と同様のインクでも良好な光沢ムラ、粒状性の品質を示した。
Figure 2014046478
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表7から分かるように、各色ヘッド位置の相対関係が走査の同一ライン上に各色ヘッドのノズルを並べた配列である場合にはどのインクを用いても良好な粒状性を示したが、光沢バンディングが許容できないレベルであった。
それに対して表8から分かるように、本発明の各色のヘッド位置の相対関係にした場合には光沢バンディングは良好な結果を示す。しかしながら、インクの粘度が10mPa・s未満又は30mPa・sを超える値であった場合には大きな粒状性の悪化が観測される。一方、インクの粘度が10〜30mPa・sの範囲である場合には粒状性と光沢バンディングとが少ない良好な画像を得ることができた。
更には、粘度範囲が15〜25mPa・sである場合により粒状性が低減され良好な画像が得られることが分かり、表面張力は23〜39mN/mの範囲でより良好な結果が得られることが分かる。特に表面張力は30〜39mN/mの範囲で特に好ましい結果を与えることが分かる。
(実施例17)
ノズル密度を600npi、5kHzとした以外は実施例1と同様の実験を行った。各色のヘッド位置の相対関係が走査の同一ライン上に各色ヘッドのノズルを並べた配列である場合でも、実施例1におけるノズル配置、吐出周波数(100npi、30kHz)で行った場合と比較して、光沢バンディングが相対的に小さい。したがって、各色のヘッド位置の相対関係にした場合の効果は相対的には小さくなったが、本発明の効果、すなわち、粒状性と光沢バンディングとが少ない良好な画像を得られることは確認できた。
(実施例18)
インクジェットヘッドのスキャンスピードを0.8m/sとした以外は実施例1と同様の実験を行った。各色のヘッド位置の相対関係が走査の同一ライン上に各色ヘッドのノズルを並べた配列である場合でも、実施例1のスキャンスピード(1.0m/s)と比較して、光沢バンディングが相対的に小さい。したがって、各色のヘッド位置の相対関係にした場合の効果は相対的には小さくなったが、本発明の効果、すなわち、粒状性と光沢バンディングとが少ない良好な画像を得られることが確認できた。
(実施例19〜34、及び、比較例21〜40)
実施例1〜16、及び、比較例1〜20で使用した6色のインクのうち、ライトシアンインク及びライトマゼンタインクを用いず、また、各色のヘッド位置の相対関係を図1に示す各色ヘッドのノズル配置に変更した以外は、実施例1〜16、及び、比較例1〜20と同様に画像形成を行い、同様の評価を実施した。評価結果を表9及び表10に示す。
詳細には、前記画像A、Bの条件、仮硬化照度条件Bの条件にて、各色のヘッド位置の相対関係Aの条件で画像形成を行った結果を表9に示す(比較例21〜38)。
同様に、上記、画像A、Bの条件、仮硬化照度条件Bの条件にて、各色のヘッド位置の相対関係Bの条件で画像形成を行った結果を表10に示す(実施例19〜34、並びに、比較例39及び40)。
表9及び表10から、実施例19〜34、及び、比較例21〜40においても、実施例1〜16、及び、比較例1〜20と同様の結果が得られたことが分かる。
Figure 2014046478
Figure 2014046478
10:インクジェット記録装置、12:記録媒体、20:装置本体、22:支持脚、24:インクジェットヘッド、26:プラテン、28:ガイド機構、30:キャリッジ、32A,32B:仮硬化光源、33,35:UV−LED素子、34A,34B:本硬化光源、36:インクカートリッジ、38:取り付け部、40:ニップローラ、42:送り出し供給ロール、44:巻き取りローラ、46:ガイド、50:温調部、52:プレ温調部、54:アフター温調部、61:ノズル列、70:供給ポンプ、72:サブタンク、74:圧力調整部、76:バルブ、77:加減圧用ポンプ、78:圧力計、
100:インクジェット記録装置、110:インクジェットヘッド、112:ヘッド、114:ノズル、116:硬化光源、118:キャリッジ、119:ガイド、120:記録媒体、130:キャリッジ走査機構、132:記録媒体搬送機構、134:画像入力インターフェース、136:画像処理部、138:制御部、
202:制御装置、204:記録媒体搬送制御部、206:キャリッジ駆動制御部、208:光源制御部、210:画像処理部、212:吐出制御部、214:搬送駆動部、216:主走査駆動部、218,219:LED駆動回路、220:入力装置、222:表示装置、224:情報記憶部、226:画像入力インターフェース、228:ヘッド駆動回路、230:エンコーダ、232:センサ

Claims (11)

  1. 活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に所定のピッチPで配置されたノズル列であり、かつ、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクを吐出するN個(N≧4)のインク毎のノズル列を有し、前記各ノズル列は、前記第1の方向においてノズルがずらして配置されているインクジェットヘッドと、
    前記ノズルから吐出され、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴に前記活性エネルギーを付与する活性エネルギー付与手段と、
    前記インクジェットヘッドと前記活性エネルギー付与手段とを前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置して保持する保持手段と、
    前記保持手段と前記記録媒体とを前記第2の方向に相対的に走査させる走査手段と、
    前記走査手段による走査毎に、前記保持手段と前記記録媒体とを前記第1の方向に相対的に移動させる移動手段と、
    前記保持手段により保持された前記インクジェットヘッド及び前記活性エネルギー付与手段を前記記録媒体の各領域に対して所定の回数だけ相対的に走査させながら前記記録媒体の記録面に画像を形成させる制御手段と、を備えたインクジェット記録装置を準備する準備工程、
    記録媒体上に、前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドから少なくとも1種の前記インクを吐出する吐出工程、及び、
    前記活性エネルギー付与手段から活性エネルギーを付与して、吐出された前記インクを硬化する硬化工程、を含み、
    前記各インクの25℃における粘度が、いずれも10〜30mPa・sであることを特徴とする
    インクジェット記録方法。
  2. 前記各インクの25℃における粘度が、いずれも15〜25mPa・sである、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記少なくとも1種のインクの25℃における表面張力が、23〜39mN/mである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記各インクの25℃における表面張力が、いずれも23〜39mN/mである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記各インクの25℃における表面張力が、いずれも30〜39mN/mである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記各ノズル列が、前記第1の方向において、ノズルがP/Nずつずらして配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記インクジェットヘッドのノズル密度が100npi以下であり、かつ吐出周波数が10kHz以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記吐出工程におけるインクジェットヘッドのスキャンスピードが0.9m/s以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記各インクが、いずれもオリゴマーを含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記オリゴマーが、ウレタン(メタ)アクリレートである、請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法により得られた印刷物。
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