JP5921286B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
なかでも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能な硬化性組成物を、インクジェット記録用インク組成物として用いることで、放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、樹脂フィルムなどのインク非浸透性の記録媒体など種々の記録媒体上に画像形成できるという利点を有する。
これまでに、種々の放射線硬化性インク組成物が提案されており、それらは通常、着色剤と重合性モノマーと重合開始剤とを含有する硬化性組成物からなり、記録媒体上にインク組成物を吐出して形成されたインク層に紫外線等を照射して硬化させ、硬化したインク画像を形成する。
現在、インクジェット記録方式により、プラスチックなどインク非浸透性の記録媒体にインクを打滴して印字する際の高速化、高画質化及び記録媒体への定着性が重要な課題となっている。
インク非吸収性記録媒体に画像形成する際の画質向上の観点から、例えば、重合開始剤と重合性モノマーとを含む活性光線硬化型インクを、フィルム表面に大気圧プラズマ処理を施してなる印字媒体に出射し、活性光線を照射するインクジェット記録方法が開示されております(例えば、特許文献1参照。)。また、ゴルフボール表面にインクジェット記録方式でマークを印字する際に、表面に大気圧ブラズマ照射やコロナ放電などの表面処理を行う方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−261799号公報 特許第3751996号公報
しかしながら、これらの表面処理は、樹脂表面を粗面化してインク組成物との接触面積を向上させることで、インクとの密着を図る技術であり、用いられる基材の樹脂材料によっては、基材の強度低下、基材の表面荒れに起因したインク組成物のにじみ、画像形成後の印画物を成形加工する際の加工性の低下などの種々の問題が生じるおそれがあった。
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、硬化性組成物が記録媒体表面に着弾する際のハジキやにじみが抑制され、高画質の画像が形成されるとともに、得られた印画物の加工適正に優れる画像形成方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、窒素雰囲気下での大気圧ラズマ処理により基材表面に、硬化性組成物と相互作用を形成する原子を導入することで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> (A)無極性基材を窒素雰囲気下で大気圧プラズマにより表面処理する基材表面処理工程と、(B)表面処理された前記無極性基材表面に、分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する重合性モノマー、重合開始剤、及び顔料を含有する硬化性組成物をインクジェット法により付与する硬化性組成物付与工程と、(C)付与された硬化性組成物にエネルギーを与えて硬化させる画像形成工程と、を含む画像形成方法。
<2> 前記基材表面処理工程における窒素雰囲気が、窒素分率90%以上の窒素雰囲気である<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記基材表面処理工程が、前記無極性基材表面に窒素原子を導入する工程である<1>又は<2>に記載の画像形成方法。
<4> 前記分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する重合性モノマーが、以下に詳述する式(a−1)で表される重合性モノマー及び式(a−2)で表される重合性モノマーから選ばれる少なくとも1つである<1>〜<3>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
<5> 前記無極性基材が、ポリプロピレン、及びポリエチレンから選ばれる樹脂からなる基材である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
<6> 前記無極性基材が、前記硬化性組成物を付与する側の最表面にポリプロピレン、及びポリエチレンから選ばれる樹脂からなる表面層を有する基材である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
本発明の画像形成方法の好ましい態様は以下の通りである。
<A> 前記大気圧ブラズマ処理が70kPa以上130kPa以下の条件で実施される<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
<B> 前記大気圧プラズマ処理が、有機アミンガス、アンモニア含有ガス、及び窒素ガスからなる群より選ばれた少なくとも1種の窒素含有ガスを、窒素分率が80%となるように含む条件下で実施される<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
<C> 前記大気圧ブラズマ処理におけるプラズマを含むガス供給ノズルから前記非極性基材表面までの距離が0.01mm〜100mmである<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
<D> 前記大気圧ブラズマ処理におけるプラズマ処理温度が、−21℃以上100℃以下である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
<E> 前記大気圧ブラズマ処理が、不活性ガス雰囲気下でプラズマ処理する第1のプラズマ処理と、窒素雰囲気下でプラズマ処理する第2のプラズマ処理とをこの順で実施する<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
<F> 前記顔料が、マゼンタ顔料である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像形成方法である。
本発明によれば、硬化性組成物が記録媒体表面に着弾する際のハジキやにじみが無く、高画質の画像が形成されるとともに、得られた印画物の加工適正に優れる画像形成方法を提供することができる。
また、本発明の画像形成方法によれば、加工適性、特に、打ち抜き加工性に優れた印画物を提供することができる。
本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置の一例を示す外観斜視図である。 図1に示すインクジェット記録装置の用紙搬送路を模式的に示す平面透視図である。 図1に示すインクジェットヘッド及び紫外線照射部の配置構成を示す平面透視図である。 図3に示す紫外線照射部を移動させる光源移動部の構成例を示す斜視図である。 本実施形態の仮硬化光源として用いる仮硬化光源ユニットの構成例を示す側面透視図である。 図5の仮硬化光源ユニットの平面透視図である。 インクジェット記録装置のインク供給系の構成を示すブロック図である。 インクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。 (A)は加工適性評価において、打ち抜き加工後の問題のない状態を示すモデル図であり、(B)打ち抜き加工後にインク画像剥離に起因するクラックが観察された状態を示すモデル図である。
以下に、本発明の画像形成方法及び本発明の画像形成方法により得られる印画物について詳述する。
以下に記載する本発明における構成要素の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、硬化性組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、(A)無極性基材を窒素雰囲気下で大気圧プラズマにより表面処理する基材表面処理工程〔以下、(A)表面処理工程又は(A)工程と称することがある〕と、(B)表面処理された前記無極性基材表面に、分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する重合性モノマー、重合開始剤、及び顔料を含有する硬化性組成物をインクジェット法により付与する硬化性組成物付与工程〔以下、(B)インク付与工程又は(B)工程と称することがある〕と、(C)付与された硬化性組成物にエネルギーを付与して硬化させる画像形成工程〔以下、(C)画像形成工程又は(C)工程と称することがある〕と、を含むことを特徴とする。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定している。
本発明の画像形成方法では、前記(A)表面処理工程を施すことにより、窒素を多く含むプラズマガスに起因して、無極性基材表面に窒素原子が導入され、これにより表面に付与される液状の硬化性組成物の濡れ性、即ち液状硬化性組成物との親和性が良好になり、着弾時の液状硬化性組成物のハジキや所望されない領域への濡れ拡がりが抑制され、滲みのない高品質な画像が形成されるものと推定している。
なお、基材を窒素雰囲気下で大気圧プラズマにより表面処理する場合、基材が無極性基材であることで、非極性基材を構成する樹脂のポリマー構造に大きな損傷を与えることなく、表面に窒素原子が有効量導入される。即ち、非極性基材はポリマー中のC−C結合の割合が高く、大気圧ブラズマ処理によってもポリマー主鎖の結合が切断されにくく、損傷を最小限に抑制しつつ、樹脂層表面に有効に窒素を導入できる。他方、極性が高い樹脂基材、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の基材を用いると、大気圧ブラズマ処理により、表面のC−O結合、C−Cl結合などの結合がプラズマにより切断され、ポリマー構造が損傷され、表面荒れが著しくなったり、基材強度が低下したりするという問題が生じる。
以下、本発明の画像形成方法について、工程順に説明する。
〔(A)無極性基材を窒素雰囲気下で大気圧プラズマにより表面処理する基材表面処理工程〕
(大気圧プラズマ処理)
(A)表面処理工程は、無極性基材表面を大気圧プラズマ処理する工程である。本発明において大気圧プラズマ処理は、大気圧近傍の条件下で生成された低温大気圧プラズマを利用する処理であることが好ましい。例えば、非平衡プラズマジェット、交流パルス放電による低温プラズマなどを用いることができ、いずれも大気圧近傍の条件下で生成されたプラズマを用いるのが好ましい。
本発明において「大気圧」或いは「大気圧近傍」とは、気圧が70kPa以上130kPa以下の範囲を指し、この条件下でプラズマ処理を行えばよい。より好ましくは、90kPa以上110kPa以下の条件でプラズマ処理が行われる。
また、本発明において「窒素雰囲気下でプラズマ処理する」とは、窒素ガス、有機アミンガスなどのように窒素を含有するガスを含む雰囲気下であって、窒素原子含有ガスが、窒素分率が80%以上となる条件で含まれる気体をプラズマガスとして用いてプラズマ処理することを指す。
なお、本明細書では、雰囲気中の気体を原子と仮定して、全原子中の窒素の重量%を「窒素分率」と定義する。
このため、窒素ガスを含んでいても窒素分率が70%前後である空気中でのプラズマ処理は、本発明における「窒素雰囲気下」でのプラズマ処理に包含されない。
プラズマ処理には、種々の大気圧プラズマ装置を用いることができる。例えば、誘電体で覆われた電極間に大気圧近傍の圧力の不活性気体を通じつつ間欠放電を行うことにより低温プラズマを発生させることができる装置等が好ましく、いずれの装置も用いることができ、使用目的等に応じて種々の変型例を選択できる。
より具体的には、特開2008−60115公報において、プラズマ処理に用いられる装置、特開2004−228136公報に記載の常圧プラズマ装置、特開2006−21972公報、特開2007−188690公報、及び国際公開WO2005/062338、WO2007/024134、WO2007/145513などの明細書に記載のプラズマ装置などが挙げられる。
また、大気圧プラズマ装置は市販品としても入手可能であり、例えば、アリオス(株)のATMP−1000、株式会社ハイデン研究所の大気圧プラズマ装置、(株)魁半導体のS5000型大気圧低温プラズマジェット装置、(株)ウェルのMyPL100、ILP−1500 、積水化学工業(株)のRD550 など、現在上市されている大気圧プラズマ装置もまた好適に使用しうる。これらのなかでも、プラズマの不均一な集中(ストリーマ)を避けて非極性基材へのダメージを軽減するという観点からは、例えば、WO/2005/062338およびWO2007/024134の各明細書に記載された、放電部への通電をパルス制御素子経由で行なうなどの電気回路の工夫をした装置を用いることが好ましい。
大気圧プラズマの生成時に用いられる放電ガス(プラズマガス)としては、窒素ガスなどの窒素原子を含むガスを、窒素分率が80%以上となる条件で含むことを要する他には特に制限はなく、窒素(N)ガスに加え、アンモニア、気体状態の有機アミンから選ばれる窒素原子含有ガス、及び、酸素、水素、二酸化炭素、ヘリウム、及びアルゴン等の窒素原子を含有しないガス、から選ばれるいずれかのガスを含んでもよく、これらの2種以上の混合ガスを、窒素分率が80%以上となる条件で適宜選択して利用することができる。
なかでも、不活性気体であるHe及びAr等の希ガスと窒素(N)ガスとの混合ガス、有機アミンガスと窒素ガスとの混合ガス等を用いることが好ましく、窒素ガスが特に好ましい。
なお、窒素分率が80%以上となる条件であればアンモにはガス、有機アミンガスなどを窒素ガスと供に用いてもよく、有機アミンガスとして使用しうる好適な有機アミンは、例示すれば比較的低沸点の構造、RNH、RNHR、及びHN−R−NHを有し、ここで、R及びRは、1〜8の炭素原子、好ましくは1〜4の炭素原子を有する1価の炭化水素基であり、Rは2〜8の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する2価の炭化水素基である第1及び第2アミンである。
好ましいアミンの例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、n−プロピルアミン、アリルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ブチルメチルアミン、n−アミルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、シクロヘキシルアミン、n−メチルシクロヘキシルアミン、エチレンイミン等が挙げられ、なかでも、窒素含率が高く、プラズマが発生しやすい観点から、併用ガスとしてはジメチルアミンが好ましい。
本発明における窒素雰囲気としては、窒素分率が80%以上となる条件で、窒素原子含有ガスを含む雰囲気を指し、窒素分率90%以上の窒素雰囲気であることが好ましく、窒素分率が99%以上であることがより好ましい。即ち、プラズマガスとして窒素分率90%以上となる条件で窒素原子含有ガスを用いることが本発明の最適な態様であり、窒素分率が90%以上であることで、大気圧ブラズマ処理した非極性基材表面に窒素原子がより効率的に、且つ、充分に導入され、後述する硬化性組成物液の表面濡れ性がより向上し、画像のにじみが抑制されるとともに、硬化された後の画像と基材との密着性もより向上する。
なお、プラズマガス中の窒素分率はガスクロマトグラフィー分析等の公知の方法で測定される。
非極性基材表面へのダメージを抑制するという観点からは、大気圧ブラズマ処理において、(i)プラズマ作用部位と放電部位とを離すこと、または、(ii)放電回路の工夫によりプラズマの局所的集中(ストリーマ)の発生を抑制して、均一なプラズマを発生させること、が有効であり、特に(ii)後者の方法をとることで、大面積にわたる均一なプラズマ処理ができる点で好ましい。
(i)前者の方法としては、放電により生じたプラズマを不活性気体の気流により非極性基材表面まで搬送して接触させる方法が好ましく、特にいわゆるプラズマジェット方式が好ましい。この場合、プラズマを含む不活性ガスを搬送する経路(導通管)は、ガラス、磁器、有機高分子などの誘電体であることが好ましい。
(ii)後者の方法としては、より具体的には、国際公開2005/062338号明細書および国際公開2007/024134号明細書に記載の、パルス制御素子経由で誘電体により覆われた電極に通電することによりストリーマが抑制された均一なグロープラズマを発生させる方法をとることが好ましい。
プラズマを含む不活性ガスの供給ノズルから非極性基材表面までの距離は0.01mm〜100mmであることが好ましく、1mm〜20mmであることがより好ましい。
プラズマ処理はバッチ方式でも、他の工程とつなげてインライン方式で行ってもよい。本発明においては、プラズマ処理は窒素雰囲気下で行われることを要するが、既述のような窒素分率の高い原子含有ガスによる搬送方式の場合でも、国際公開2009/096785号明細書に記載の方式と同様に、インライン方式でプラズマを非極性基材表面に適用しうる。即ち、(B)硬化性組成物層形成工程に非極性基材を供給する際に、非極性基材搬送ラインの、(B)工程の直前の領域に、窒素原子含有ガスとプラズマとを表面に適用しうる吹き出しノズルなどを設けることで、連続的に非極性基材表面の表面処理工程を実施することが可能となり、(A)工程において表面に窒素原子が導入された非極性基材に(B)工程において硬化性組成物層が形成される。
窒素雰囲気下で行われる本発明に係る大気圧プラズマ発生方式の場合、プラズマが直接非極性基材表面に働きかけることで、非極性基材表面に効率的に窒素原子が導入され、硬化性組成物、即ち、硬化性のインク組成物の濡れ性が改良され、滲み無い画像が形成され、硬化後の画像と基材との密着性が良好となるために、得られた硬化画像を打ち抜き加工した場合においても、打ち抜き金型の界面における剥離に起因するクラックが抑制されるという利点を有する。
プラズマ処理時の温度は、プラズマ処理される非極性基材の特性及び導入すべき窒素原子の量に応じて任意の温度を選択できるが、大気圧低温プラズマを照射することによってもたらされる温度上昇が小さいほうが、基材の軟化や変形を抑制できるため好ましい。非極性基材に対するプラズマ適用領域をプラズマ発生装置から離間させることで、基材への影響をより低減できる。
前記方法において、大気圧低温プラズマを選択して照射することで、プラズマからの熱エネルギーの供給を軽減でき、非極性基材の温度上昇を抑制することができる。プラズマ処理されることによる非極性基材の温度上昇は、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、20℃以下が特に好ましい。
プラズマ処理時の温度は、プラズマ処理される非極性基材の耐え得る温度以下であることが好ましく、一般的には、−196℃以上150℃未満が好ましく、−21℃以上100℃以下がより好ましい。特に好ましくは、環境温度雰囲気下である室温(25℃)近傍である。
また、プラズマ処理時のプラズマ発生装置の好ましい照射条件としては、電圧が110V〜190Vの範囲であることが好ましく、130V〜170Vであることがより好ましい。電流は1.1A〜1.9Aの範囲であることが好ましく、1.3A〜1.7Aであることがより好ましい。周波数は0.5kHz〜40kHzの範囲であることが好ましく、1kHz〜30kHzであることがより好ましい。
これらの条件を満たすことで、窒素原子含有ガス雰囲気下でのプラズマ処理により、基材の損傷を抑制しつつ、基材表面への効率的な窒素原子の導入か達成される。
プラズマ処理後の窒素原子含有ガスについては、プラズマの寿命が短時間であることから、特段の処理を行わず排気してもよいが、処理領域の近傍に吸気口を設けて処理済みの窒素含有ガスを回収してもよい。
(非極性基材)
本発明の方法に用いられる非極性基材とは、ESCA(X線光電子分析、島津製作所社製)測定にて表面元素分析を行った際に、炭素と水素の比率が90%以上の基材であり、好ましくは、炭素と水素の比率が95%以上の基材である。即ち、基材表面に存在する結合として炭素−炭素結合が大部分を占め、炭素原子とヘテロ原子との結合、例えば、アミド結合、エステル結合などに含まれるような、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合などの結合が存在しないか、或いは、存在割合が極めて少ない基材を用いる。
非極性基材を構成する非極性材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンや、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の、炭素と水素を主成分とする合成ゴム等が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等のC−O結合、C−N結合、C−Cl結合などを含む、比較的極性の高い樹脂基材は、大気圧ブラズマ処理により主鎖構造の結合が切断され、表面荒れや強度低下を生じる懸念があるため、本発明への適用は好ましくない。
非極性基材とは、前記PE、PP及びEPDMなどの非極性材料のみからなる基材であってもよく、また、重層構造であって最表面、即ちプラズマ処理される表面に非極性材料からなる層を有するものであってもよい。重層構造で、最表面に非極性材料からなる層を有する場合、ESCA測定にて表面元素分析を行った際に、炭素と水素の比率が90%以上であれば、本発明に好適な非極性基材となる。
非極性基材の厚さとしては、限定的ではないが、非極性材料のみからなる基材である場合、10μm〜500μmの範囲であることが好ましい。また、重層構造をとる場合の最表面における非極性基材からなる層の厚さも同様に、10μm〜500μmの範囲であることが好ましい。
なかでも、非極性基材としては、加工性、入手容易性の観点から、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)から選ばれる樹脂を用いたものが好ましい。
非極性基材が重層構造をとる場合には、最表面が非極性材料からなる層であれば、下層は、例えば、紙、織布、不織布、金属膜などであってもよく、また、表面からの大気圧ブラズマ処理の影響を受けない範囲においては、極性材料からなる樹脂層を基材の下層として使用することもできる。
窒素雰囲気下で、これらの非極性基材を大気圧ブラズマ処理した場合、PP、PE及びEPDM等の樹脂材料を用いた場合には、プロピレンの重合により生じる第3炭素に遊離基が生成されたり、合成及び天然ゴムを含む他の炭化水素エラストマーの場合には、イオン化アンモニアまたは有機アミンプラズマが、不飽和部位または他の部分に生成される遊離基と結合したりすることで、基材表面に窒素原子が導入される。
なお、(A)工程後に、基材表面に窒素原子が導入されたことは、ESCA(X線光電子分析装置、島津製作所)を用いた分析により確認される。また、このような反応により、基材表面に窒素原子が導入された後も、基材表面に表面荒れや損傷がないことは、基材表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察して確認できる。強度低下や表面荒れを引き起こすような損傷がある場合には、SEMで表面を観察した場合、処理前と比較して表面の荒れが生じていることが観察される。
ポリエチレン(PE)等の非極性基材を大気圧ブラズマ処理する場合には、前記窒素雰囲気下での1回の大気圧ブラズマ処理のみならず、例えば、非極性基材を、純粋または空気中の酸素、または酸素と例えばアルゴン(Ar)及びアンモニア(NH)等の1種以上の非還元性ガスとの混合物を含むプラズマガスを用いた第1のプラズマ処理と、窒素ガス、アンモニア含有ガス、低沸点有機アミン含有ガス、またはそれらの混合物からなる窒素含有プラズマガス存在下(即ち、本発明でいう窒素雰囲気下)での第2のプラズマ処理とを行う、2段階プラズマ処理を行ってもよい。なお、第1のプラズマ処理におけるArガスを含有させることで、Arガスが比較的重い質量を有し、基材表面に付加的な遊離ラジカルの生成をもたらす傾向があるために、第2のプラズマ処理における窒素原子の導入が促進され、表面処理効果向上の観点から好ましい処理法であるといえる。
また、プラズマ処理工程に先立って、前処理として、非極性基材表面を、有機溶媒によって脱脂する工程、洗浄剤溶液によって洗浄し、その後、水洗し、乾燥する洗浄工程などを行うことで、大気圧ブラズマ処理のための非極性基材表面が浄化され、不純物に起因する影響を低減させることができるため、これらの前処理を行うことが、表面処理効率を向上する観点から好ましい。
本発明の(A)工程の好ましい態様は、PP又はPEからなる非極性基材表面を、70kPa以上130kPaで、窒素分率90%以上の窒素原子含有プラズマガスを用いて、50℃以下の温度条件で10秒〜5分、プラズマ処理を行う態様である。
このような条件で表面処理された非極性基材は、表面に窒素原子が導入され、後述する硬化性組成物との親和性に優れた表面に改質される。
なお、表面処理された非極性基材は巻き取って、保存し、必要に応じて(B)工程に供してもよく、(A)工程終了後に、直ちに(B)工程に供してもよいが、処理の効果を最大限活かす観点からは、(A)工程後、直ちに(B)工程を行うことが好ましい。
〔(B)表面処理された前記無極性基材表面に、(a)重合性モノマー、(b)重合開始剤、及び(c)顔料を含有する硬化性組成物をインクジェット法により付与する硬化性組成物付与工程〕
(B)工程は、表面処理された非極性基材表面に、インクジェット記録装置を用いて硬化性組成物を付与する工程である。
本発明に係る硬化性組成物は、活性放射線により硬化可能な組成物である。ここで、「活性放射線」とは、その照射により硬化性組成物に含まれる重合開始剤を分解させてラジカルなどの開始種を発生させ得るエネルギーを付与する放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。なかでも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
本発明に係る硬化性組成物は、放射線硬化型であり、液状の硬化性組成物を前記表面処理された非極性基材に適用した後硬化させるため、揮発性溶剤を含まないか、或いは、溶剤を含む場合であっても極めて少量であることが好ましい。これは、硬化性組成物中に硬化に寄与しない成分の含有量を可能な限り低減することが好ましく、また、硬化物中に残存した溶剤に起因する硬化物表面のベタつきや、非極性基材への影響を低減するためである。
以下、本発明の画像形成方法に使用される硬化性組成物について詳細に説明する。
(硬化性組成物)
本発明に使用される硬化性組成物は、硬化性インク組成物として好適に用いられ、(a)重合性モノマー、(b)重合開始剤、及び(c)顔料を含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。本発明においては、(a)重合性モノマーとして、重合性モノマーの好ましい態様である分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する重合性モノマーを含有する。本発明の画像形成方法に使用される硬化性組成物を、以下、本発明の硬化性組成物と称することがある。
(a)重合性モノマー
本発明の硬化性組成物に用いられる重合性モノマーは、少なくとも1つの重合性基を有するモノマーであり、好ましい態様として、本発明においては、分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する重合性モノマーを含有する
本発明の重合性モノマーが有する重合性基は、ラジカル重合性基であっても、カチオン重合性基であってもよいが、ラジカル重合基が好ましく、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する態様が好ましい。即ち、重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物が好ましい態様である。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーの一例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよびこれらの塩;エチレン性不飽和基を有する無水物;アクリロニトリル;スチレン等が挙げられる。また、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタンなどの重合性基を有するマクロモノマー等も本発明における重合性モノマーとして使用してもよい。
なかでも、表面処理された非極性基材との濡れ性、親和性向上の観点からは、重合性モノマーとして、分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する重合性モノマーを含有する。重合性モノマーがアミド基やエーテル基を含むことで、これらの官能基が非極性基材表面に導入された窒素原子と相互作用を形成するため、非極性基材表面に硬化性組成物が着弾した際における液状硬化性組成物のハジキが抑制され、また、着弾時に相互作用を形成することで所望されないインクの拡がりに起因するにじみが抑制されて、本発明の効果がより向上するものと考えられる。
まず、本発明に使用される分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する重合性モノマーについて説明する。
(a−1)N−ビニル化合物
本発明に係る重合性モノマーの好ましい例として、N−ビニル化合物が挙げられる。
N−ビニル化合物としては、N−ビニルラクタム類が好ましく、下記式(a−1)で表される化合物がより好ましい。
前記式(a−1)中、nは1〜5の整数を表し、硬化性組成物が硬化した後の柔軟性、非極性基材との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは2〜4の整数であることが好ましく、nが2又は4であることがより好ましく、nが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、この重合性モノマーを用いることで、硬化性組成物が高感度で硬化しうるとともに、形成された硬化膜は非極性基材への密着性に優れる。
本発明の硬化性組成物において重合性モノマーとして前記式(a−1)で表される化合物を用いる場合の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、5質量%〜60質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15質量%〜35質量%である。含有量が5質量%以上であることで、硬化膜の非極性基材への密着性が向上し、また、含有量が60質量%以下であることで、硬化性組成物の保存安定性に優れる。
(a−2)下記式(a−2)で表される化合物
本発明に係る重合性モノマーとして、下記式(a−2)で表される化合物も好ましく用いられる。
下記式(a−2)で表される重合性モノマーは、表面張力が低く、硬化性組成物の着弾時の濡れ性を向上させ、ハジキを抑制するのに有用であると推測される。また、適度な極性を有しており、この重合性モノマーを含有する硬化性組成物は、表面硬化不良を生じ難く、密着性に優れる硬化物が得られる。
(前記式(a−2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、Xは単結合、又は二価の連結基を表す。)
としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
及びRとしては、それぞれ独立に水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましく、R及びRが共に水素原子であることが更に好ましい。
における二価の連結基としては、本発明の効果を大きく損なうものでない限り特に制限はないが、二価の炭化水素基、又は、二価の炭化水素基とエーテル結合とを組み合わせてなる二価の基であることが好ましく、二価の炭化水素基、ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基であることがより好ましい。二価の連結基が有する炭素原子数は、1〜60であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
としては、単結合、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8の二価の炭化水素基であることが更に好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
以下に前記式(a−2)で表される重合性モノマーの具体例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されたものではない。なお、下記の具体例中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。
これらのなかでも、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマル(メタ)アクリレートが好ましく、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレートが特に好ましい。前記式(a−2)で表される重合性モノマーは市販品としても入手可能であり、例えば、SR531(商品名:SARTOMER社製)が挙げられ、このような市販品も本発明に好適に使用される。
形成された硬化物と非極性基材との密着性、硬化性組成物における硬化性向上の観点から、前記式(a−2)で表される重合性モノマーの硬化性組成物における含有量は、全固形分中1質量%〜70質量%が好ましく、3質量%〜65質量%がより好ましく、5質量%〜60質量%が更に好ましく、5質量%〜50質量%が最も好ましい。
(a−3)トリメチロールプロパントリアクリレート
本発明における好ましい重合性モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。重合性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレートを含有することにより、硬化性組成物の硬化性及び、形成された硬化膜の耐擦過性が向上する。
硬化性及び耐擦過性の向上の観点から、トリメチロールプロパントリアクリレートの含有量は、硬化性組成物に対して、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、0.2質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
(a−4)その他の単官能重合性モノマー
本発明の硬化性組成物は、前記アミド基、もしくは、エーテル基を有する重合性モノマーを含有することが好ましいが、アミド基、もしくは、エーテル基を有しない一般的な重合性モノマー(以下、他の重合性モノマーと称することがある)である汎用の単官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。
他の重合性モノマーとしては、(a−4−1)芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく例示できる。
(a−4−1)芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、分子量が500以下のものが好ましく、分子量が300以下のものがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、特開2009−096985号公報の段落番号〔0048〕〜〔0063〕に記載された、芳香族単官能ラジカル重合性モノマーが挙げられる。本発明における好ましい芳香族炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとして、下記式(a−4)で表される化合物が挙げられる。
(前記式(a−4)中、Rは水素原子、又はメチル基を表し、Xは二価の連結基を表し、Arは芳香族炭化水素基を表し、Rは置換基を表し、uは0〜5の整数を表し、uが2〜5を表す場合、複数存在するRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。)
式(a−4)中、Rとして好ましくは、水素原子である。
は二価の連結基を表し、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−若しくは−OC(O)−)、アミド結合(−C(O)NR’−若しくは−NR’C(O)−)、カルボニル基(−C(O)−)、イミノ基(−NR’−)、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキレン基、又は、これらを2以上組み合わせた二価の基であることが好ましい。なお、R’は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表す。置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
及びXを含む部分(HC=C(R)−C(O)O−X−)は、芳香族炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、着色剤との親和性を向上させるという観点から、Xの芳香族炭化水素基と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましい。式(a−4)におけるXは、*−(LO)−であることが好ましい。ここで、*は、式(a−4)のカルボン酸エステル結合との結合位置を示し、qは0〜10の整数であり、Lは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。qは0〜4の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、1又は2であることが更に好ましい。(LO)は、エチレンオキシド鎖又はプロピレンオキシド鎖であることが好ましい。
Arは芳香族炭化水素基を表す。芳香族炭化水素基としては、1〜4つの環を有する単環又は多環芳香族炭化水素基が挙げられ、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、1H−インデン、9H−フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェニレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアンデン等から1つ以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
なかでも、Arとしては、フェニル基、又はナフチル基が好ましく、単環芳香族炭化水素基であるフェニル基がより好ましい。
u個存在するRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシ基、炭素数1〜10
のアシル基、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、又は、更に置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基であることが好ましい。置換基としては、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
uは、0〜5の整数を表し、0であることが好ましい。uが0であるとは、芳香族炭化水素基Arが無置換であることを示す。
本発明に使用しうる前記式(a−4)で表される化合物の具体例として、以下に示す例示化合物[L−1]〜[L−9]が好ましく挙げられる。
本発明においては、前記式(a−4)で表される化合物としては、既述の通り、Arがフェニル基である化合物が好ましく、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートが更に好ましく、2−フェノキシエチルアクリレートが特に好ましい。
インクジェット吐出性、柔軟性の観点から、重合性モノマーとして前記式(a−4)で表される化合物を用いる場合の含有量は、硬化性組成物に対して固形分で1質量%〜50質量%が好ましく、3質量%〜45質量%がより好ましく、5質量%〜40質量%が更に好ましい。
本発明に係る硬化性組成物は、既述の(a−1)〜(a−4−1)重合性モノマー以外の単官能(メタ)アクリレート〔(a−4−2)〕を含有してもよい。
既述の重合性モノマー以外の(a−4−2)他の単官能重合性モノマーとしては、例えは、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソアミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロペンテニルアクリレート、シクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等が挙げられる。
なお、本発明において、好ましい重合性モノマーとして例示した前記式(a−1)で表される化合物、及び前記式(a−2)で表される化合物などを包含する単官能のラジカル重合性モノマーの合計含有量は、本発明の硬化性組成物に含まれる(a)重合性モノマーの総量に対して、50質量%〜90質量%となる範囲で含まれる態様が好ましい。言い換えれば、(a)重合性モノマー中に占める多官能重合性モノマーの含有量が10質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。なお、本明細書における単官能の重合性モノマーには、既述の(a−4−1)、(a−4−2)等の環構造を含む単官能重合性モノマーも包含されることは言うまでもない。
単官能重合性モノマーの含有量が上記範囲であると、硬化性組成物と非極性基材との密着性に優れ、加工適性に優れる画像が得られる。
単官能重合性モノマーの含有率は、(a)重合性モノマーの総量に対して55質量%〜90質量%であることがより好ましく、65質量%〜85質量%が更に好ましい。
(a−5)多官能(メタ)アクリレート
本発明に係る重合性モノマーとして、既述の単官能重合性モノマーのみならず、必要に応じて多官能重合性モノマーを含有してもよい。
インク組成物が多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することにより、高い硬化性が得られる。
本発明に用いうる(a−5)多官能重合性モノマーの具体例としては、例えば、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートのなかでも、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
(a−5)多官能(メタ)アクリレートを用いる場合の総含有量は、硬化性の観点から、硬化性組成物の全固形分に対して1質量%〜30質量%であることが好ましく、3質量%〜25質量%であることがより好ましく、5質量%〜20質量%であることが更に好ましく、5質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
本発明に係る硬化性組成物中における(a)重合性モノマーの総含有量は、65質量%〜99質量%が好ましく、70質量%〜90質量%がより好ましい。
(他の重合性化合物)
本発明に係る硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、硬化性向上などの種々の目的で、前記(a)重合性モノマーに包含されない他の重合性化合物を、さらに含有してもよい。例えば、重合性化合物として、モノマーよりも分子量が大きい重合性オリゴマー等を併用してもよい。重合性オリゴマーとしては、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好適に挙げられる。
この「オリゴマー」とは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーに基づく構成単位を有する重合体である。オリゴマーの質量平均分子量は400〜10,000が好ましく、500〜5,000がより好ましい。
オリゴマーとしては、官能基として(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
オリゴマーに含まれる官能基数は、柔軟性と硬化性のバランスの観点から、1分子あたり1〜15が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2が特に好ましい。
本発明におけるオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート系、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマーブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、(メタ)アクリレートオリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)、アミン変性ポリエステルオリゴマー等を挙げることができる。この中で、オリゴエステル(メタ)アクリレートが好ましく、その中では、ウレタンアクリル系、ポリエステル(メタ)アクリレート系が更に好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート系が、硬化性、密着性に優れたインク組成物が得られることから特に好ましい。オリゴマーは、一種単独で用いる以外に、複数種を併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート系としては、脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族系ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。詳しくは、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、化学工業日報社)を参照することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーとしては、新中村化学工業(株)製のU−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、U−324A、UA−122P、UA5201、UA−512等;サートマー社製のCN964A85、CN964、CN959、CN962、CN963J85、CN965、CN982B88、CN981、CN983、CN996、CN9002、CN9007、CN9009、CN9010、CN9011、CN9178、CN9788、CN9893、ダイセル・サイテック社製のEB204、EB230、EB244、EB245、EB270、EB284、EB285、EB810、EB4830、EB4835、EB4858、EB1290、EB210、EB215、EB4827、EB4830、EB4849、EB6700、EB204、EB8402、EB8804、EB8800−20R等が挙げられる。
アミン変性ポリエステルオリゴマーとして、ダイセル・サイテック社製のEB524、EB80、EB81、サートマー社製のCN550、CN501、CN551、Rahn
A.G.社製のGENOMER5275が挙げられる。
重合性オリゴマーを併用する際の含有量は、硬化性と密着性の両立という観点から、インク組成物の総質量に対して、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜8質量%がより好ましく、3質量%〜7質量%が更に好ましい。
(b)重合開始剤
本発明の硬化性組成物は、重合開始剤を含有する。
本発明に用いうる重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができるラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
本発明に用いることのできる重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明における(b)重合開始剤としては、(b−1)ビスアシルホスフィン化合物、及び(b−2)モノアシルホスフィン化合物が好ましい。
(b−1)ビスアシルホスフィン化合物及び後述する(b−2)モノアシルホスフィン化合物としては、特開2009−096985号公報の段落番号〔0080〕〜〔0098〕に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物及びモノアシルホスフィン化合物が好ましく挙げられる。
(b−1)ビスアシルホスフィン化合物としては、化合物の構造中に下記式(b−1−1)で表される部分構造を有するものが好ましい。
(前記式(b−1−1)中、*は結合位置を表す。)
(b−1)ビスアシルホスフィン化合物としては、下記式(b−1−2)の化学構造を有するものが特に好ましい。
(前記式(b−1−2)中、R、R10、R11はメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
前記式(b−1−2)で表されるビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては、R〜R11が、置換基としてメチル基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、R11がフェニル基であり、R及びR10が1〜3個のメチル基を有するフェニル基であることがより好ましい。
なかでも、式(b−1−2)で表されるビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE819、商品名:BASF・ジャパン社製)が好ましい。
(b−2)モノアシルホスフィン化合物としては、化合物の構造中に下記式(b−2−1)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
(前記式(b−2−1)中、*は結合位置を表す。)
(b−2)モノアシルホスフィン化合物としては、式(b−2−2)の化学構造を有するものが特に好ましい。
前記式(b−2−3)中、R、R、Rはメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
前記式(b−2−3)で表されるモノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、R〜Rが、置換基としてメチル基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、R及びRがフェニル基であり、Rが1〜3個のメチル基を有するフェニル基であることがより好ましい。
なかでも、前記式(b−2−3)で表されるモノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur TPO:BASF・ジャパン社製、Lucirin TPO:BASF社製)が好ましい。
なお、後述する(C)工程において、活性放射線として紫外線を使用して硬化性組成物を硬化させる場合、(c)顔料としてマゼンタ顔料を用いる場合、紫外線透過性が低下して硬化性が充分に得られないことがある。そのような場合には、(b)重合開始剤として、前記(b−1)ビスアシルホスフィン化合物及び(b−2)モノアシルホスフィン化合物を含有することで、充分な硬化性が得られるため、上記重合性化合物は、特にマゼンタ顔料を含む硬化性組成物に有用である。
硬化性組成物に含まれる(b)重合開始剤の総量を100質量部としたとき、(b−1)及び(b−2)開始剤の総含有率が、20質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが更に好ましい。
また、(b−2)モノアシルホスフィン化合物は、優れた感度を有し、且つ、形成された画像の黄変が抑制されるために、白色や淡色の画像を形成するための硬化性組成物に特に有用である。
したがって、白色や淡色画像形成用の硬化性組成物の場合には、(b)重合開始剤の総量を100質量部としたとき、(b−2)モノアシルホスフィン化合物を50質量部以上含有することが好ましく、60〜100質量部含有することが好ましく、70〜100質量部含有することがより好ましい。
(b−3)チオキサントン化合物
本発明の硬化性組成物に用いられる(b)重合開始剤として、(b−3)チオキサントン化合物も好ましく挙げられる。(b−3)開始剤を用いることで、硬化性が向上する。
(b−3−1)チオキサントン化合物
チオキサントン化合物は、下記式(b−3−1)で表される化合物であることが好ましい。
(前記式(b−3−1)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基(一置換及び二置換の場合を含む。)、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。)
前記アルキル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、及び、アシル基におけるアルキル部分の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
〜Rは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。これらの環構造は置換基を更に有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基及びスルホ基が挙げられる。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリドが例示できる。
これらの中でも、入手容易性や硬化性の観点から、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及び、4−イソプロピルチオキサントンがより好ましい。
(b−4)その他の重合開始剤
本発明の硬化性組成物は、前記(b−1)〜(b−3−2)以外の(b−4)その他の重合開始剤を含有していてもよい。他の重合開始剤としては、(b−4−1)α−アミノアルキルフェノン化合物が好ましい。
(b−4−1)α−アミノアルキルフェノン化合物
本発明の硬化性組成物が含みうる、α−アミノアルキルフェノン化合物は、下記式(b−4−1)で表される化合物であることが好ましい。
前記式(b−4−1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立にヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は、置換基を有していてもよいアミノ基を表し、Xは、水素原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。なお、R、R、R、及びXがアミノ基である場合の置換基は、互いに結合して複素環基を形成してもよい。置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
また、(b−4)他の重合開始剤としては、下記式(b−4−2)及び下記式(b−4−3)のいずれかで表される化合物も好ましく挙げられる。
前記式(b−4−2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基を表し、RとR、及びRとRの少なくともいずれかが互いに結合して複素環基を形成してもよい。R、R、及び、置換基は、式(b−4−1)におけるR、R、及び、置換基とそれぞれ同義である。
前記式(b−4−3)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
、R、及び、置換基は、式(b−4−1)におけるR、R、及び、置換基と同義であり、R及びRは、式(b−4−2)におけるR及びRと同義である。
前記複素環基としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、例えば、モルホリノ基が好ましい。
前記(b−4−1)α−アミノアルキルフェノン化合物は市販品としても入手可能であり、例えば、IRGACURE369(BASF・ジャパン社製)、IRGACURE907(BASF・ジャパン社製)などが好適に挙げられる。
硬化性の観点から、(b−4−1)α−アミノアルキルフェノン化合物の含有量は、硬化性組成物中、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。
また、上記以外の(b−4)他の重合開始剤としては、更に、チオクロマノン化合物、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、及び、炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。上記重合開始剤の詳細については、当業者に公知であり、例えば、特開2009−185186号公報の段落番号〔0090〕〜〔0116〕に記載され、これらの重合開始剤も本発明に適用可能である。
本発明の硬化性組成物には、重合開始剤を1種のみ含んでもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物における重合開始剤の総含有量としては、硬化性組成物全量に対し、0.5質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
(c)顔料
本発明の硬化性組成物が着色画像形成を形成する目的で、形成される画像に応じて、(c)顔料を含有する。
着色剤として(c)顔料を含有することで、形成された画像は耐光性に優れるものとなる。
本発明に好ましく使用される(c)顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。更に、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C
.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(前記列挙した白色顔料以外の白色顔料)を使用してもよい。
着色剤としての顔料を硬化性組成物に適用する場合には、予め顔料分散物を調製して用いることが好ましい。
顔料の分散には、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際には、界面活性剤、高分子分散剤等の顔料分散剤を添加してもよい。
分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本明細書において「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
顔料分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、顔料100質量部に対して、10質量部〜50質量部の範囲であることが好ましい。
また、顔料分散物の調製に際しては、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記重合性モノマー化合物を分散媒として用いてもよい。
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化型の液体であるために、分散媒として、硬化に寄与する重合性モノマーを用い、溶剤は用いないか、或いは、各成分の可溶化等の目的で使用する場合も少量であることが好ましい。このような観点から、分散媒としては、重合性モノマーを用い、なかでも、粘度が低い重合性モノマーを選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
ここで用いる顔料の平均粒径は、微細なほど発色性に優れるが、微細になる程凝集が生じやすくなるため、発色性と分散安定性とのバランスを考慮すれば、0.01μm〜0.4μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02μm〜0.2μmの範囲である。最大粒径は好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下となるよう、着色剤、分散剤、分散媒の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、硬化性組成物をインクジェット法に適用する際のインクジェットヘッドノズルの詰まりを抑制し、且つ、硬化性組成物の保存安定性及び硬化感度を維持することができる。
着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
(c)顔料の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、画像濃度及び保存安定性の観点から、着色インク組成物全体の重量に対し、0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、1.0質量%〜20質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
また、白色画像を形成する際には、硬化性組成物において、白色顔料の含有量は、1質量%〜40質量%であることが好ましく、3質量%〜30質量%であることがより好ましく、5質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
(染料)
本発明の硬化性組成物は、顔料以外の着色剤として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、色相の調製などの目的で染料を用いてもよい。
染料としては、従来公知の染料から適宜選択して使用することができる。具体的には、特開2002−114930号公報の段落番号〔0023〕〜〔0089〕、特開2008−13646号公報の段落番号〔0136〕〜〔0140〕に記載の化合物などを挙げることができ、これらを本発明にも適用することができる。
(その他の成分)
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、前記各成分以外に、重合禁止剤、増感剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を含有することができる。これらは、特開2009−185186号公報に記載されており、本発明においても使用できる。
(d)重合禁止剤
本発明に係る硬化性組成物は、保存性を高める観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
本発明の画像形成方法では、硬化性組成物をインクジェット記録方式で、基材上に適用するが、吐出時には、25〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐために、重合禁止剤を添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、ヒンダードアミン等が挙げられ、なかでも、ニトロソ系重合禁止剤、ヒンダードアミン系重合禁止剤が好ましい。
本発明に好ましく使用されるニトロソ系重合禁止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
ニトロソ系重合禁止剤の市販品として、FIRSTCURE ST−1(Chem First社製)等が挙げられる。ヒンダードアミン系重合禁止剤の市販品としてTINUVIN292、TINUVIN770DF、TINUVIN765、TINUVIN123が挙げられ、これらは本発明に係る硬化性組成物に好ましく使用される。
本発明に係る硬化性組成物中における重合禁止剤の含有量は、0.01質量%〜1.5質量%が好ましく、0.1質量%〜1.0質量%がより好ましく、0.2質量%〜0.8質量%が更に好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、感度の低下を引き起こすことなく、硬化性組成物の調製時及び保管時の所望されない重合反応を抑制でき、インクジェットノズルの詰まりが効果的に防止される。
(インクジェット方式に適用する硬化性組成物の物性)
本発明に係る硬化性組成物は、インクジェット法に適用する際の吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下となるように調製されることが好ましい。25℃におけるより好ましい粘度は5mPa・s〜40mPa・sの範囲であり、更に好ましくは7mPa・s〜30mPa・sの範囲である。
吐出は、常温(25℃)で行われてもよく、或いはインクジェットヘッド内やインクタンク内で加熱されて行われてもよいが、安定性の観点からは加熱温度(加熱した際の硬化性組成物の液温)は80℃以下とすることが好ましい。吐出温度(吐出時の液温)は、好ましくは25〜80℃であり、より好ましくは25〜50℃であるが、前記温度範囲における硬化性組成物の粘度が、3mPa・s〜15mPa・sであることが好ましく、3mPa・s〜13mPa・sであることがより好ましい。
本発明に係る硬化性組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、非極性基材上でのハジキが抑制され、インク液滴着弾時の所望されない滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
なお、本明細書における粘度は、東機産業(株)製のRE80型粘度計を用いて求めた値を採用しており、特に断らない場合には25℃で測定した粘度である。
RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10rpmの回転数にて測定を行った。但し、60mPa・sより高粘度なものについては、必要により回転数を5rpm、2.5rpm、1rpm、0.5rpm等に変化させて測定を行った。
なお、本発明の画像形成方法においては、(a)工程において表面処理された非極性基材を用いており、硬化性組成物と基材表面との親和性が改良されているため、上記好ましい範囲の粘度よりも低い場合においても、ハジキや滲みが抑制され、処方や加熱条件の自由度が高くなるという利点をも有する。
本発明に係る硬化性組成物の25℃における表面張力は、32mN/m〜40mN/mであることが好ましい。より好ましくは35mN/m〜38mN/mである。上記の範囲であると光沢性に優れる。
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられている表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で25℃にて測定した値である。
本発明に係る硬化性組成物において、着色剤である顔料の種類を選択することで所望の色相の硬化性インク組成物に適用することができる。
〔インクジェット記録方法〕
(B)工程では、前記着色硬化性組成物を、(A)工程で表面処理された非極性基材上に、インクジェット法により吐出して硬化性組成物層を形成する。
本発明の画像形成方法に適用しうるインクジェット記録方法について説明する。
本発明において、特に好ましく使用されるインクジェット記録方法は、硬化性組成物を吐出する複数のノズルが並べられた単数又は複数のノズル列を有するインクジェットヘッドを、記録媒体に対して第1方向に往復移動させる走査工程と、前記インクジェットヘッドに対して前記記録媒体を前記第1方向と平行でない第2方向に相対移動させる相対移動工程と、前記ノズル列を前記第2方向に複数の領域に分割し、前記分割された各分割ノズル領域の単位ごとに前記インクジェットヘッドのインク吐出を制御する吐出制御工程と、前記吐出制御工程によって前記インクジェットヘッドから吐出され、前記記録媒体上に付着したインクに対して活性光線を照射する活性光線照射工程と、を有し、前記活性光線照射工程が、前記各分割ノズル領域に対応して前記活性光線の照射範囲が複数の領域に分割され、当該分割された分割照射領域の光量を領域別に制御して前記活性光線の照射を行う工程である、インクジェット記録方法である。
以下、図面を参照して詳述する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
図1は本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置の一例を示す外観斜視図である。このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて前記表面処理された非極性基材12上にカラー画像を形成するプリンタである。
なお、以下、本発明に係る硬化性組成物を「硬化型インク(組成物)」と称し、「表面処理された非極性基材」を単に「記録媒体」と称することがある。即ち、以下、本発明の工程の説明において、「記録媒体」とは前記(A)工程において表面処理された非極性基材を指す。
インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド24と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段(走査手段)としてのガイド機構28及びキャリッジ30が設けられている。
ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向)に直交しかつプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ30には、インクジェットヘッド24が搭載されるとともに、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源(ピニング光源)32A,32Bと、本硬化光源(キュアリング光源)34A,34Bとが搭載されている。
仮硬化光源32A,32Bは、インクジェットヘッド24から吐出されたインク滴が記録媒体12に着弾した後に、隣接液滴同士が合一化しない程度にインクを仮硬化させるための紫外線を照射する光源である。本硬化光源34A,34Bは、仮硬化後に追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。詳細は後述するが、本硬化光源34A,34Bのいずれか一方又は両方は、インクジェットヘッド24及び仮硬化光源32A,32BとY方向について並ぶように、X方向へ移動可能に構成されている。
キャリッジ30上に配置されたインクジェットヘッド24、仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30とともに一体的に(一緒に)移動する。キャリッジ30の往復移動方向(Y方向)を「主走査方向」、記録媒体12の搬送方向(X方向)を「副走査方向」と呼ぶ場合がある。Y方向が「第1方向」に相当し、X方向が「第2方向」に相当する。
本発明の方法において使用される非極性媒体12は、少なくとも最表面がポリエチレン、ポリプロピレン等から選ばれる非極性基材層(好ましくはポリプロピレン)であり、表面が(A)工程におけるプラズマ処理により表面改質されている。記録媒体は最表面に前記非極性材料からなる層を有すればよく、単層の樹脂基材であってもよく、重層であってもよく、重層の場合には下層はプラズマ処理により損傷を受けない限り任意であり、紙、不織布、塩化ビニル、合成化学繊維、ポリエチレン、ポリエステル、ターポリンなど、材質を問わない。記録媒体12は、装置の背面側からロール紙状態(図1参照)で給紙され、印字後は装置正面側の巻き取りローラ(図1の符号44)で巻き取られる。プラテン26上に搬送された記録媒体12に対して、インクジェットヘッド24からインク滴が吐出され、記録媒体12上に付着したインク滴に対して仮硬化光源32A,32B、本硬化光源34A,34Bから紫外線が照射される。
図1において、装置本体20の正面に向かって左側の前面に、インクカートリッジ36の取り付け部38が設けられている。インクカートリッジ36は、紫外線硬化型インクを貯留する交換自在なインク供給源(インクタンク)である。インクカートリッジ36は、本例のインクジェット記録装置10で使用される各色インクに対応して設けられている。色別の各インクカートリッジ36は、それぞれ独立に形成された不図示のインク供給経路によってインクジェットヘッド24に接続される。各色のインク残量が少なくなった場合にインクカートリッジ36の交換が行われる。
また、図示を省略するが、装置本体20の正面に向かって右側には、インクジェットヘッド24のメンテナンス部が設けられている。該メンテナンス部は、非印字時におけるインクジェットヘッド24を保湿するためのキャップと、インクジェットヘッド24のノズル面(インク吐出面)を清掃するための払拭部材(ブレード、ウエブ等)が設けられている。インクジェットヘッド24のノズル面をキャッピングするキャップは、メンテナンスのためにノズルから吐出されたインク滴を受けるためのインク受けが設けられている。
(記録媒体搬送路の説明)
図2は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。図2に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(媒体支持面)となる。プラテン26の近傍における記録媒体搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上で記録媒体搬送方向へ移動させる。
本実施形態では、記録媒体12を供給する送り出し供給ロール42と、印字部の入り口に設けられた搬送用の一対のニップローラ40との間に、プラズマ処理装置43が備えられている。本実施形態におけるプラズマ処理装置43は放電により生じたプラズマを不活性気体の気流により記録媒体12表面まで搬送して接触させるプラズマジェット方式を採用しており、図示されない放電部において発生したプラズマが、窒素分率が80%以上の窒素原子を含有する窒素原子含有ガスとともに、図示されない導通管を通過して供給ノズルへ搬送され、記録媒体12表面へ適用される。図2では、プラズマ照射装置43は開放系の態様をとるが、間欠的に供給される記録媒体12の搬送条件に従って上流側と下流側とをエアーカーテンなどで閉鎖してなる閉鎖系のプラズマ処理装置であってもよく、直接的なプラズマ処理装置を適用してもよい。
ロール・ツー・ロール方式の媒体搬送手段を構成する供給側のロール(送り出し供給ロール)42から送り出された記録媒体12は、印字部の入り口(プラテン26の記録媒体搬送方向の上流側)に設けられた一対のニップローラ40によって、記録媒体搬送方向に間欠搬送される。このとき、送り出し供給ロール42から送り出された記録媒体12は、ニップローラ40の上流側に備えられたプラズマ処理装置を通過する際に、表面をプラズマ処理され、記録媒体12の印字面に側にプラズマ処理により窒素原子が導入され、インクとの親和性向上のための表面処理が施される。
ここで、基材に対して導入される窒素原子の量としては、効果の観点からは、基材に対する窒素導入率(N/C)が、0.16〜0.3の範囲であることが好ましく、0.18〜0.22の範囲であることがさらに好ましい。
表面プラズマ処理された記録媒体12は、一対のニップローラ40送により、直ちに印字部に搬送される。
インクジェットヘッド24の直下の印字部に到達した記録媒体12は、インクジェットヘッド24により印字が実行され、印字後に巻き取りロール44に巻き取られる。印字部の記録媒体搬送方向の下流側には、記録媒体12のガイド46が設けられている。
印字部においてインクジェットヘッド24と対向する位置にあるプラテン26の裏面(記録媒体12を支持する面と反対側の面)には、印字中の記録媒体12の温度を調整するための温調部50が設けられている。印字時の記録媒体12が所定の温度となるように調整されると、記録媒体12に着弾したインク液滴の粘度や、表面張力等の物性値が所望の値になり、所望のドット径を得ることが可能となる。なお、必要に応じて、温調部50の上流側にプレ温調部52を設けてもよいし、温調部50の下流側にアフター温調部54を設けてもよい。
(インクジェットヘッドの説明)
図3は、キャリッジ30上に配置されるインクジェットヘッド24と仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bの配置形態の例を示す平面透視図である。
なお、図3では、インクジェットヘッド24には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、クリア(透明)インク(CL)、ホワイト(白)インク(W)の各色のインクごとに、それぞれ色のインクを吐出するためのノズル列61Y、61M、61C、61K、61LC、61LM、61CL、61Wが設けられている態様を記載するが、ノズル数は印刷に必要な色相数に応じて適宜設けられるものであることはいうまでもない。図3ではノズル列を点線により図示し、ノズルの個別の図示は省略されている。また、以下の説明では、ノズル列61Y、61M、61C、61K、61LC、61LM、61CL、61Wを総称して符号61を付してノズル列を表すことがある。
インク色の種類(色数)や色の組合せについては本実施形態に限定されない。例えば、LC、LMのノズル列を省略する形態、CLのノズル列を省略する形態、メタルインクのノズル列を追加する形態、特別色のインクを吐出するノズル列を追加する形態などが可能である。また、色別のノズル列の配置順序も特に限定はない。ただし、複数のインク種のうち紫外線に対する硬化感度の低いインクを仮硬化光源32A又は32Bに近い側に配置する構成が好ましい。
色別のノズル列61ごとにヘッドモジュールを構成し、これらを並べることによって、カラー描画が可能なインクジェットヘッド24を構成することができる。例えば、イエローインクを吐出するノズル列61Yを有するヘッドモジュール24Yと、マゼンタインクを吐出するノズル列61Mを有するヘッドモジュール24Mと、シアンインクを吐出するノズル列61Cを有するヘッドモジュール24Cと、黒インクを吐出するノズル列61Kを有するヘッドモジュール24Kと、LC、LM、CL、Wの各色のインクを吐出するノズル列61LC、61LM、61CL、61Wをそれぞれ有する各ヘッドモジュール24LC、24LM、24CL、24Wとをキャリッジ30の往復移動方向(主走査方向、Y方向)に沿って並ぶように等間隔に配置する態様も可能である。色別のヘッドモジュール24Y、24M、24C、24K、24LC、24LMのモジュール群(ヘッド群)を「インクジェットヘッド」と解釈してもよいし、各モジュールをそれぞれ「インクジェットヘッド」と解釈することも可能である。あるいはまた、1つのインクジェットヘッド24の内部で色別にインク流路を分けて形成し、1ヘッドで複数色のインクを吐出するノズル列を備える構成も可能である。
各ノズル列61は、複数個のノズルが一定の間隔で記録媒体搬送方向(副走査方向、X方向)に沿って1列に(直線的に)並んだものとなっている。本例のインクジェットヘッド24は、各ノズル列61を構成するノズルの配置ピッチ(ノズルピッチ)が254μm(100dpi)、1列のノズル列61を構成するノズルの数は256ノズル、ノズル列61の全長Lw(ノズル列の全長)は約65mm(254μm×255=64.8mm)である。また、吐出周波数は15kHzであり、駆動波形の変更によって10pl、20pl、30plの3種類の吐出液滴量を打ち分けることができる。
インクジェットヘッド24のインク吐出方式としては、圧電素子(ピエゾアクチュエータ)の変形によってインク滴を飛ばす方式(ピエゾジェット方式)が採用されている。吐出エネルギー発生素子として、静電アクチュエータを用いる形態(静電アクチュエータ方式)の他、ヒータなどの発熱体(加熱素子)を用いてインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばす形態(サーマルジェット方式)を採用することも可能である。ただし、紫外線硬化型インクは、一般に溶剤インクと比べて高粘度であるため、紫外線硬化型インクを使用する場合には、吐出力が比較的大きなピエゾジェット方式を採用することが好ましい。
(作画モードについて)
本例に示すインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードを選択することができる。
高生産モードでは、600dpi(dot per inch:2.54cm当たりのドット数)(主走査方向)×400dpi(副走査方向)の解像度で印字が実行される。高生産モードの場合、主走査方向は2パス(2回の走査)によって600dpiの解像度が実現される。一回目の走査(キャリッジ30の往路)では300dpiの解像度でドットが形成される。2回目の走査(復路)では一回目の走査(往路)で形成されたドットの中間を300dpiで補間するようにドットが形成され、主走査方向について600dpiの解像度が得られる。
一方、副走査方向については、ノズルピッチが100dpiであり、一回の主走査(1パス)により副走査方向に100dpiの解像度でドットが形成される。したがって、4パス印字(4回の走査)により補間印字を行うことで400dpiの解像度が実現される。なお、高生産モードのキャリッジ30の主走査速度は、1270mm/secである。
標準モードでは、600dpi×800dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は2パス印字、副走査は8パス印字により600dpi×800dpiの解像度を得ている。
高画質モードでは、1,200×1,200dpiの解像度で印字が実行され、主走査方向は4パス、副走査方向が12パスにより1,200dpi×1,200dpiの解像度を得ている。
〔(C)付与された硬化性組成物層にエネルギーを与えて硬化させ、画像形成する画像形成工程〕
(C)工程では、(B)工程において非極性基材上形成された硬化性組成物層(インク組成物からなる画像)に活性光線照射などによりエネルギーを付与して硬化させ、硬化された画像形成する。通常、(B)工程と(C)工程は、例えば、紫外線照射部を備えたインクジェット印刷装置を用いて連続して行われる。以下、吐出による硬化性組成物層の形成と紫外線照射による画像形成について順次説明する。
(紫外線照射部の配置)
図3に示すように、インクジェットヘッド24のキャリッジ移動方向(Y方向)の左右両脇に、仮硬化光源32A,32Bが配置される。更に、インクジェットヘッド24の記録媒体搬送方向(X方向)の下流側に本硬化光源34A,34Bが配置されている。本硬化光源34A,34Bは、インクジェットヘッド24からY方向に仮硬化光源32A,32Bよりも外側(更に遠くの位置)に配置される。本硬化光源34A,34Bは、記録媒体搬送方向と反対方向(−X方向)へ移動可能に構成されており、キャリッジ移動方向に沿って、仮硬化光源32A,32B及びインクジェットヘッド24と並ぶように配置を変更することができる。
インクジェットヘッド24の着色インク組成物(カラーインク)用のノズル(ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMに含まれるノズル)から吐出されて記録媒体12上に着弾したカラーインク滴は、その直後にその上を通過する仮硬化光源32A(又は32B)によって仮硬化のための紫外線が照射される。
また、記録媒体12の間欠搬送に伴ってインクジェットヘッド24の印字領域を通過した記録媒体12上のインク滴は、本硬化光源34A,34Bにより本硬化のための紫外線が照射される。このようにして、インク液滴を一旦仮硬化状態にすることで、着弾干渉を防止しつつ、ドットの展開時間(ドットが所定のサイズに広がる時間)を取ることができ、ドットの高さの均一化が図れると共に、液滴と媒体との相互作用を促進して、密着性を増す事ができる。
なお、本実施形態に示すようにホワイトインクにより形成されるホワイトインク層を、カラー画像層の上塗り層及び/又は下塗り層として設ける場合には、ホワイトインク層は、他のカラー画像層(硬化性組成物層)ほどのドット解像度は要求されない。
なお、仮硬化光源32A、32Bは、インクジェットヘッド24による印字動作中、2つ同時に点灯してもよいが、主走査方向のキャリッジ移動において後側となる仮硬化光源のみ点灯させることで光源の寿命を延ばすことを図ってもよい。また、本硬化光源34A、34Bは、インクジェット記録装置10の印刷動作中、2つ同時に点灯される。走査速度の遅い作画モードでは、片方を消灯することも可能であり、仮硬化光源32A、32Bと、本硬化光源34A、34Bの発光開始タイミングは、同時でもよいし、異なっていてもよい。
(本硬化光源の移動の説明)
図4は、本硬化光源34Aの移動機構(光源移動部)35の構成例を示す斜視図である。同図に示す光源移動部35は、ラックアンドピニオン方式の直線移動機構が適用される。すなわち、光源移動部35は、本硬化光源34Aの移動方向である記録媒体搬送方向に沿って固定配置されるシャフト35Aと、本硬化光源34Aのケースに取り付けられ、シャフト35Aに沿って歯状の凹凸が形成されたラック35Bと、回転軸にピニオンギア35Cが取り付けられた駆動モータ35Dと、ラックの端部に形成された検出片35Eを検出するための光学式のポジションセンサ35Fと、を備えている。
駆動モータ35Dの回転軸を回転させるとピニオンギア35Cが回転し、ピニオンギア35Cとラック35Bの歯のかみ合いによってラック35Bがシャフト35Aに沿って移動し、ラック35Bとともに本硬化光源34Aがシャフト35Aに沿って移動する。ラック35Bの先端に設けられた検出片35Eがポジションセンサ35Fの検出範囲に入り込むと、駆動モータ35Dの回転が停止され、本硬化光源34Aが所定位置に停止する。
なお、インクジェットヘッド24をはさんで本硬化光源34Aの反対側に位置する本硬化光源34Bにも同様の構成を有する移動機構を備えて、移動可能に構成してもよい。また、ポジションセンサ35Fを複数備えて、本硬化光源34Aを複数の位置に移動させるように構成してもよい。
(画像形成プロセスの説明)
本例に示すインクジェット記録装置10は、カラーインク(Y、M、C、K、LC、LMなど)により形成される着色硬化性組成物層形成の順番と該硬化性組成物の紫外線吸収特性(硬化特性)に応じて、紫外線照射量が制御される。
例えば、白色顔料を含むホワイトインク組成物は、顔料として酸化チタンや酸化亜鉛などを含有しているために、他の色相のカラーインクやクリアインクに比べて紫外線の透過性が劣り、カラーインクやクリアインクと単位体積あたり同量の紫外線を照射したときには硬化時間が長くなる。ホワイトインクと他の色相のカラーインクとの紫外線透過特性に起因する硬化特性の違いを解消するために、他の色相のカラーインクよりもホワイトインクに対する単位時間あたりの紫外線照射量が多くなるように紫外線照射が制御される。かかる画像形成の具体例は後述する。
なお、ブラックインク組成物は、紫外線透過性の観点によれば硬化時間が長くなるインクに分類されるが、カラー画像層の形成に用いられ、打滴直後に仮硬化させて打滴干渉を防止する必要があることからカラーインクに分類される。
打滴されたインク組成物を露光する際に、まずピニング光を照射する場合には、ピニング光として、単位面積あたり、1mJ/cm〜20mJ/cmが打滴直後に照射されることが望ましく、更には2mJ/cm〜8mJ/cmが好適である。
ピニング光は、インクの打滴直後に他のインクとの合一、干渉によって滴形状が崩れること、あるいは滴が移動することを回避するために、キャリッジ走査によって1回から複数回露光される。キュアリング光は画像形成されたインクを完全に硬化させる露光をいう。キュアリング光もキャリッジ走査によって、複数回に渡って照射される。1回から複数回のピニング露光と、複数回のキャリング露光によって、全ての積算の露光量は200mJ/cmから1,000〜3,000mJ/cmの光量に達する。紫外線硬化型インクに含まれる開始剤、増感剤の照射波長に対する感度とその含有量よって、インク感度の傾向が決定され、ラジカル重合、カチオン重合によってインクは硬化する。
本実施形態では、硬化性組成物層を形成する分割ノズル領域の描画範囲に対応して適切なピニング光を照射できるように、分割ノズル領域に合わせて仮硬化光源の照射領域が分割され、各領域の光量(照度分布)が調整される。詳細については後述する。
なお、ピニング光の照射は既述のように露光工程にて、インクの吐出直後に行ってもよいが、加熱乾燥工程において行ってもよく、両方の工程で行うこともできる。
乾燥工程においてピニング光の照射を行う場合には、インクを乾燥した後に、ピニング光の露光を行って硬化させることができる。
加熱の温度は30〜150℃が好ましく、更に好ましくは50〜120℃である。
(画像形成プロセスの詳細な説明)
本例に示すインクジェット記録装置10に適用される画像形成方法は、各ノズル列61が記録媒体搬送方向について複数の領域に分割され、分割されたいずれかの領域を用いてインク組成物が吐出され、カラー画像を形成しうる硬化性組成物層が形成される。ノズル列61の分割数は像形成層数Nである。なお、所望により、着色画像表面に着色剤を含まないインク組成物による透明層を形成してもよい。
また、記録媒体12はノズル列61の分割された領域の記録媒体搬送方向の長さをマルチパス数で除算した単位((ノズル列の全長Lw/像形成層数N)/マルチパス数で求められる単位)で一方向へ間欠送りされ、ノズル列61の記録媒体搬送方向上流側の領域から吐出されたインクの層の上に、同方向下流側の領域から吐出されたインクの層が積層されるように構成されている。ここで、「マルチパス数」とは、キャリッジ走査方向のパス数と記録媒体搬送方向のパス数の積で定義される。
なお、本実施形態では、本硬化光源34A,34Bの照射エリアの記録媒体搬送方向の長さと本硬化光源34A,34Bの記録媒体搬送方向の長さとは同一であるものとしているが、実際の本硬化光源34A,34Bの記録媒体搬送方向の長さは、照射エリアの広がりが考慮され、所定の照射エリアが得られるように決められればよい。
(仮硬化光源ユニットの構成例)
図5は本実施形態の仮硬化光源32A,32Bとして用いる仮硬化光源ユニットの構成例を示す側面透視図である。図6はその平面透視図である。図5及び図6に示す構成例に係る仮硬化光源ユニット210は略直方体の箱形状を成す。仮硬化光源ユニット210は、アルミ製のハウジング(囲い)212の中に、複数個の紫外線発光ダイオード素子(以下、「UV−LED素子」と記載する。)214が納められ、該ハウジング212の底面部に透過型の光拡散板216が配置された構造を有する。
LED素子214が実装された配線基板220は、LED実装面221を光拡散板216の方に向けた状態で(図5において、UV−LED素子214の発光面を下方に向けた状態)でハウジング212の上部に配置される。
配線基板220に実装されるUV−LED素子214の個数については、特に限定はないが、必要なUV照射幅とコストの観点から、なるべく少ない数とすることが好ましい。本例では、配線基板220上に6個のUV−LED素子214が一列に並んで配置されている。図3で説明したインクジェットヘッド24の記録媒体搬送方向(X方向)に沿ったノズル列幅Lwに対して一度にUV照射を行うことができるUV照射幅を得るために、6個のUV−LED素子214は、記録媒体搬送方向に並んで配置されている。図5の横方向が記録媒体搬送方向(X方向)であり、図5の右から左に向かって記録媒体12が搬送されるものとする。
配線基板220には放熱性・耐熱性が強化されたメタル基板が用いられている。メタル基板の詳細な構造は図示しないが、アルミや銅などのメタル板の上に絶縁層が形成され、該絶縁層の上にUV−LED素子214及びLED駆動用の配線回路(アノード配線、カソード配線)等が形成されている。なお、ベースメタル上に回路が形成されたメタルベース基板を用いてもよいし、基板内部にメタル板が埋め込まれたメタルコア基板を用いてもよい。
また、配線基板220におけるLED実装面221のLED素子214の周囲には、UV耐性のある高反射率の白色レジスト処理が施されている。この白色レジスト層(不図示)により、配線基板220の表面で紫外線を反射・散乱させることができ、UV−LED素子214が発生する光を効率良く仮硬化用のUV照射に利用することができる。
光拡散板216は、UV−LED素子214から発せられた光を透過しつつ拡散させる光学材料で形成された乳白色板である。例えば、光拡散板216には、白色顔料(光拡散物質)を分散した白色アクリル板が用いられる。白色アクリル板に限らず、ガラスなど透明な材料中に光拡散用の微粒子を分散混入させて成形した光学部材を使用することもできる。光拡散物質(白色顔料等)の含有量、平均粒径を変えることによって透過率や拡散特性が異なる光拡散板が得られる。
なお、透過型の光拡散板として、光を拡散させる手段は、このアクリル樹脂にシリカ粉体を分散させる手段に限らず、溶融石英からなる基板の表面をフロスト処理、曇りガラス処理、スリガラス処理することなどによっても容易に実現することができる。
このような透過型の光拡散板216は、配線基板220のLED実装面221に対向して、ハウジング212の下部に配置される。図5において光拡散板216の下面(符号217)は、記録媒体(不図示)に対面する光出射面である。全てのUV−LED素子214(本例の場合6個)を点灯させた場合に光拡散板216の光出射面217から記録媒体12上に、インクジェットヘッド24のノズル列幅Lw以上の光照射幅で紫外線が照射される。
本例の仮硬化光源ユニット210では、6個のUVLED素子214がX方向に並んだLED配列が2つの領域に分割されている。すなわち、X方向に沿って並ぶ複数個のUV−LED素子214は、記録媒体搬送方向(X方向)の上流側の領域224−1と、下流側の領域224−2の二領域に分割されており、各分割領域224−1、224−2にそれぞれ3個ずつのUV−LED素子214が含まれている。
ハウジング212の内部には、上記2分割されたLED素子列の領域を区画するための範囲規制部材として、遮光性のある仕切部材226が設けられており、一方の領域のUV−LED素子214の光が、他方の領域に進入しない構造となっている。一般に、UV−LED素子は照射範囲が広く、広がりながら伝搬する性質を持つが、本例のように、仕切部材226によってLED素子の周囲を覆う構造により、照射領域を分けることができる。
また、分割領域224−1、224−2ごとに、それぞれの領域内のUV−LED素子214の発光量を制御することができる。例えば、ホワイトインクによる層形成時には上流側の領域224−1に属する3つのUV−LED素子214がオフされ、下流側の領域224−2に属する3つのUV−LED素子214がオンされる。
このような仕切部材226による発光範囲の分割と、各領域224−1,224−2内に属するLED素子の発光制御との組合せによって、紫外線の照射領域を分割することができ、各分割照射領域の光量を個別に制御することが可能である。
すなわち、図5及び図6に示した構成例は、光源箱の上部にLED素子列を配置した上方照射型LED光源ユニットであり、LEDの照射点灯領域をインクジェットヘッド24のノズル列の分割領域に対応して分割点灯制御する構成となっている。発光量の制御には、電流値制御、パルス幅変調制御、オンオフ制御などが含まれる。電流値を制御する電流制御手段、パルス幅変調制御を行うパルス幅変調制御手段、オンオフ制御を行うオンオフ制御手段のいずれか、もしくはこれらの適宜の組合せを備える構成とする。
図5及び図6に例示した構成に限らず、例えば、ハウジング212の下面に、照射領域を決定する高反射率のアルミ板を設け、当該アルミ板の枠をずらすことで、上流側/下流側の照射領域を変えることも可能である。あるいはまた、高反射率のアルミ板の枠を交換することによって、照射領域を変更する態様も可能である。この場合、高反射率のアルミ板によって照射範囲が規制されるため、このアルミ板が「範囲規制部材」に相当する。その他、光照射範囲を制限するメカシャッターや液晶シャッターなどを設けて、照射領域を規制する態様も可能である。
(インク供給系)
図7は、インクジェット記録装置10のインク供給系の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクカートリッジ36に収容されているインクは、供給ポンプ70によって吸引され、サブタンク72を介してインクジェットヘッド24に送られる。サブタンク72には、内部のインクの圧力を調整するための圧力調整部74が設けられている。圧力調整部74は、バルブ76を介してサブタンク72と連通される加減圧用ポンプ77と、バルブ76と加減圧用ポンプ77との間に設けられる圧力計78と、を具備している。
通常の印字時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを吸引する方向に動作し、サブタンク72の内部圧力及びインクジェットヘッド24の内部圧力が負圧に維持される。一方、インクジェットヘッド24のメンテナンス時は、加減圧用ポンプ77がサブタンク72内のインクを加圧する方向に動作し、サブタンク72の内部及びインクジェットヘッド24の内部が強制的に加圧され、インクジェットヘッド24内のインクがノズルを介して排出される。インクジェットヘッド24から強制的に排出されたインクは、上述したキャップ(図示せず)のインク受けに収容される。
(インクジェット記録装置の制御系の説明)
図8はインクジェット記録装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、制御手段としての制御装置102が設けられている。制御装置102としては、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えたコンピュータ等を用いることができる。制御装置102は、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。制御装置102には、記録媒体搬送制御部104、キャリッジ駆動制御部106、光源制御部108、画像処理部110、吐出制御部112が含まれる。これらの各部は、ハードウエア回路又はソフトウエア、若しくはこれらの組合せによって実現される。
記録媒体搬送制御部104は、記録媒体12(図1参照)の搬送を行うための搬送駆動部114を制御する。搬送駆動部114は、図1に示すニップローラ40を駆動する駆動用モータ、及びその駆動回路が含まれる。プラテン26(図1参照)上に搬送された記録媒体12は、インクジェットヘッド24による主走査方向の往復走査(印刷パスの動き)に合わせて、スワス幅単位で副走査方向へ間欠送りされる。
図8に示すキャリッジ駆動制御部106は、キャリッジ30(図1参照)を主走査方向に移動させるための主走査駆動部116を制御する。主走査駆動部116は、キャリッジ30の移動機構に連結される駆動用モータ、及びその制御回路が含まれる。光源制御部108は、光源駆動回路118を介して仮硬化光源32A,32Bの発光を制御するとともに、光源駆動回路119を介して本硬化光源34A,34Bの発光を制御する制御手段である。仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bとして、UV−LED素子(紫外LED素子)やメタルハライドランプなどのUVランプが適用される。
制御装置102は、操作パネル等の入力装置120、表示装置122が接続されている。入力装置120は、手動による外部操作信号を制御装置102へ入力する手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタンなど各種形態を採用しうる。表示装置122には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTなど、各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置120を操作することにより、作画モードの選択、印刷条件の入力や付属情報の入力・編集などを行うことができ、入力内容や検索結果等の各種情報は、表示装置122の表示を通じて確認することができる。
また、インクジェット記録装置10には、各種情報を格納しておく情報記憶部124と、印刷用の画像データを取り込むための画像入力インターフェース126が設けられている。画像入力インターフェースには、シリアルインターフェースを適用してもよいし、パラレルインターフェースを適用してもよい。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
画像入力インターフェース126を介して入力された画像データは、画像処理部110にて印刷用のデータ(ドットデータ)に変換される。ドットデータは、一般に、多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置10で使用するインク各色の色データに変換する処理である。
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して、誤差拡散法や閾値マトリクス等の処理で各色のドットデータに変換する処理である。ハーフトーン処理の手段としては、誤差拡散法、ディザ法、閾値マトリクス法、濃度パターン法など、各種公知の手段を適用できる。ハーフトーン処理は、一般に3以上の階調値を有する階調画像データを元の階調値未満の階調値を有する階調画像データに変換する。最も簡単な例では、2値(ドットのオンオフ)のドット画像データに変換するが、ハーフトーン処理において、ドットサイズの種類(例えば、大ドット、中ドット、小ドットなどの3種類)に対応した多値の量子化を行うことも可能である。
こうして得られた2値又は多値の画像データ(ドットデータ)は、各ノズルの駆動(オン)/非駆動(オフ)、更に、多値の場合には液滴量(ドットサイズ)を制御するインク吐出データ(打滴制御データ)として利用される。
吐出制御部112は、画像処理部110において生成されたドットデータに基づいて、ヘッド駆動回路128に対して吐出制御信号を生成する。また、吐出制御部112は、不図示の駆動波形生成部を備えている。駆動波形生成部は、インクジェットヘッド24の各ノズルに対応した吐出エネルギー発生素子(本例では、ピエゾ素子)を駆動するための駆動電圧信号を生成する手段である。駆動電圧信号の波形データは、予め情報記憶部124に格納されており、必要に応じて使用する波形データが出力される。駆動波形生成部から出力された信号(駆動波形)は、ヘッド駆動回路128に供給される。なお、駆動波形生成部から出力される信号はデジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
ヘッド駆動回路128を介してインクジェットヘッド24の各吐出エネルギー発生素子に対して、共通の駆動電圧信号が印加され、各ノズルの吐出タイミングに応じて各エネルギー発生素子の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、対応するノズルからインクが吐出される。
情報記憶部124は、制御装置102のCPUが実行するプログラム、及び制御に必要な各種データなどが格納されている。情報記憶部124は、作画モードに応じた解像度の設定情報、パス数(スキャンの繰り返し数)、仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bの制御情報などが格納されている。
エンコーダ130は、主走査駆動部116の駆動用モータ、及び搬送駆動部114の駆動用モータに取り付けられており、該駆動モータの回転量及び回転速度に応じたパルス信号を出力し、該パルス信号は制御装置102に送られる。エンコーダ130から出力され
たパルス信号に基づいて、キャリッジ30の位置、及び記録媒体12の位置が把握される。
センサ132は、キャリッジ30に取り付けられており、センサ132から得られたセンサ信号に基づいて記録媒体12の幅が把握される。
制御装置102は、本硬化光源34A,34Bの光源移動部35の動作を制御する。例えば、入力装置120から画像形成プロセスの選択情報や本硬化光源34A,34Bの位置情報が入力されると、画像形成プロセスに対応する位置に本硬化光源34A(34B)を移動させる。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置及び画像形成方法によれば、ノズル列の分割領域に対応して、ピニング露光領域を分割制御できるため、インク層ごとに適切な硬化処理を実現できる。
具体的には、インク組成物は、打滴(記録媒体への着弾)直後に仮硬化光源32A,32Bから低光量の紫外線が照射され仮硬化状態とされ、ドット展開時間経過後、かつ、パイルハイトの均一化後に、本硬化光源34B(34A)から高光量の紫外線が照射され本硬化状態とされる。したがって、仮硬化から本硬化までの間にドット展開時間が取られることでドットのゲインをより大きく取ることが可能となり、更に、パイハイトの均一化の時間が取られることで画像の粒状性が向上する。即ち、(A)工程の処理によるインク組成物の濡れ性の向上効果と相俟って、本発明の方法では高品質の画像形成が実現する。
また、本硬化光源34A,34Bの少なくともいずれ一方を、記録媒体搬送方向に平行移動可能に構成するとともに、紫外線に対する感度が低く硬化の遅いインクの吐出位置に選択的に配置することができ、更に、紫外線に対する感度が低く硬化の遅いインクの吐出範囲(ノズル列の全長Lw/像形成層数(分割数)N)に対応して本硬化光源34A,34Bの照射エリアが決められるので、紫外線に対する感度が低く硬化の遅いインクのみに選択的に高光量の紫外線が照射され、インク間の硬化時間の差に起因する不具合を回避しうる。
本発明において、着色インク組成物を吐出するノズルの最小液滴体積は、5pL以上20pL未満であることが好ましい。
上述したように、インク組成物は、カラー画像を形成するために、高い解像度が要求される。そのような観点から、着色インク組成物を吐出するノズルの最小液滴体積は、6〜18pLであることがより好ましく、6〜15pLであることが更に好ましい。
本発明において、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが好ましいことから、インク組成物供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる画像形成装置が好ましく使用される。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク組成物供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
本発明に係る硬化性組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物として使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。よって、インク組成物の温度の制御幅は、設定温度の±5℃であることが好ましく、設定温度の±2℃であることがより好ましく、設定温度の±1℃であることが更に好ましい。
本発明に係る硬化性組成物は、このような紫外線に、好ましくは0.01〜2秒、より好ましくは0.1〜1.5秒、更に好ましくは0.3〜1秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01秒〜0.5秒、より好ましくは0.01秒〜0.3秒、更に好ましくは0.01秒〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の主旨を超えない限りにおいて、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
〔顔料分散物の調製〕
(調製例1:マゼンタミルベースの調製)
・マゼンタ顔料:CINQUASIA MAGENTA RT−355D
(BASF・ジャパン社製) 30質量部
・SR9003〔商品名:SARTOMER社製、プロポキシ化(2)ネオペンチル
グリコールジアクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド
2モル付加物)をジアクリレート化した化合物〕 30質量部
・BYK168(商品名:分散剤、BYK Chemie社製) 40質量部
上記の成分を撹拌し、マゼンタミルベースを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散することにより行った。
(調製例2:イエローミルベースの調製)
・イエロー顔料:NOVOPERM YELLOW H2G(クラリアント社製)
30質量部
・SR9003(商品名:SARTOMER社製) 30質量部
・BYK168商品名:BYK Chemie社製) 40質量部
上記の成分を、マゼンタミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、イエローミルベースを得た。
(調製例3:シアンミルベースの調製)
・シアン顔料:IRGALITE BLUE GLVO(BASF・ジャパン社製)
30質量部
・SR9003(商品名:SARTOMER社製) 30質量部
・BYK168商品名:BYK Chemie社製) 40質量部
上記の成分を、マゼンタミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、シアンミルベースを得た。
(調製例4:ブラックミルベースの調製)
・ブラック顔料:SPECIAL BLACK 250(BASF・ジャパン社製)
30質量部
・SR9003(商品名:SARTOMER社製) 30質量部
・BYK168商品名:BYK Chemie社製) 40質量部
上記の成分を、マゼンタミルベースの調製と同様の分散条件で撹拌し、ブラックミルベースを得た。
〔硬化性組成物の調製〕
(硬化性組成物1の調製)
<組成1>
・マゼンタミルベース(前記調製例1で得たもの) 13質量部
・NVC:N−ビニルカプロラクタム(V−CAP、ISP社製) 23質量部
・PEA(フェノキシエチルアクリレート(SR399S、Sartomer社製))
33.0質量部
・FA−512:ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート
(日立化成工業(株)製) 5質量部
・SR351S:トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer社製)
5質量部
・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(SR238F、
Sartomer社製) 3質量部
・CN962:ウレタンアクリレートオリゴマー(平均官能基数2、
サートマー・ジャパン(株)製) 3質量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)
−ブタン−1−オン(IRGACURE 369、BASF・ジャパン社製)
2質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
(IRGACURE 819、BASF・ジャパン社製) 3質量部
・イソプロピルチオキサントン(SPEEDCURE ITX、
Lambson社製) 3質量部
・1:トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩
8質量%と、フェノキシエチルアクリレート92質量%との混合物
(重合禁止剤、FIRSTCURE ST−1、ChemFirst社製)
1質量部
前記組成1の各成分を攪拌、混合し、開口径5μmのフィルターでろ過してマゼンダインクとして使用される硬化性組成物1を得た。
(硬化性組成物2の調製)
前記硬化性組成物1において用いた重合禁止剤(ST−1、FIRSTCURE ST−1、ChemFirst社製)を用いなかった以外は同様にして、マゼンタインクとして使用される硬化性組成物2を得た。
(硬化性組成物3の調製)
<組成2>
・マゼンタミルベース(前記調製例1で得たもの) 13質量部
・CTFA(環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート) 30質量部
・PEA(フェノキシエチルアクリレート(SR399S、Sartomer社製))
33.0質量部
・FA−512:ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート
(日立化成工業(株)製) 5質量部
・SR351S:トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer社製)
5質量部
・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
(SR238F、Sartomer社製) 3質量部
・CN962:ウレタンアクリレートオリゴマー(平均官能基数2、
サートマー・ジャパン(株)製) 3質量部
・Irg369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノ
フェニル)−ブタン−1−オン(IRGACURE 369、
BASF・ジャパン社製) 2質量部
・Irg819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル
ホスフィンオキサイド(IRGACURE 819、BASF・ジャパン社製)
3質量部
・ITX:イソプロピルチオキサントン(SPEEDCURE ITX、
Lambson社製) 3質量部
・ST−1:トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)
アルミニウム塩8質量%と、フェノキシエチルアクリレート92質量%と
の混合物(重合禁止剤、FIRSTCURE ST−1、
Chem First社製) 1質量部
前記組成2の各成分を攪拌、混合し、開口径5μmのフィルターでろ過してマゼンダインクとして使用される硬化性組成物3を得た。
(硬化性組成物4の調製)
前記硬化性組成物3において用いたマゼンタミルベースを、調製例2で得たイエローミルベースと代えた以外は同様にして、イエローインクとして使用される硬化性組成物4を得た。
(硬化性組成物5の調製)
前記硬化性組成物1において用いたマゼンタミルベースを、調製例3で得たシアンミルベースと代えた以外は同様にして、シアンインクとして使用される硬化性組成物5を得た。
(硬化性組成物6の調製)
前記硬化性組成物2において用いたマゼンタミルベースを、調製例4で得たブラックミルベースと代えた以外は同様にして、ブラックインクとして使用される硬化性組成物6を得た。
(硬化性組成物7の調製)
<組成3>
・マゼンタミルベース(前記調製例1で得たもの) 13質量部
・PEA(フェノキシエチルアクリレート(SR399S、Sartomer社製))
63.0質量部
・ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート(FA−512:
日立化成工業(株)製) 5質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート(SR351S:Sartomer社製)
5質量部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
(SR238F、Sartomer社製) 3質量部
・ウレタンアクリレートオリゴマー(平均官能基数2、CN962:
サートマー・ジャパン(株)製) 3質量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)
−ブタン−1−オン(IRGACURE 369:BASF・ジャパン社製)
2質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
(IRGACURE 819、BASF・ジャパン社製) 3質量部
・イソプロピルチオキサントン(SPEEDCURE ITX、Lambson社製)
3質量部
・トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩8質量%と、
フェノキシエチルアクリレート92質量%との混合物
(重合禁止剤、FIRSTCURE ST−1、Chem First社製)
1質量部
前記組成3の各成分を攪拌、混合し、開口径5μmのフィルターでろ過してマゼンダインクとして使用される硬化性組成物7を得た。
〔実施例1〕
(非極性基材の表面処理)
ポリプレピレン基材(厚さ:200μm)を、株式会社魁半導体社製、S5000型大気圧低温プラズマジェット装置(放電ガス:窒素含有ガス)を用いて、大気圧Nプラズマを2分間照射し、表面を修飾した。
窒素含有ガスは、窒素ガスを主成分とし、窒素分率は99.9%である。(0.1%は不可避不純物である)
表面処理後のポリピロピレン基材をESCAで確認したところ、表面に窒素原子が導入されていることが確認された。
また、基材を観察したが、SEM(倍率:30,000倍)による観察では、表面に損傷は見られなかった。
<硬化性組成物層の形成と、硬化:インクジェット記録>
既述の構成のインクジェと記録装置を用いた。
インクジェットヘッドは、ピエゾ型インクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/10(FUJIFILM DIMATIX社製、ノズル数256個、最小液滴量10pL、50kHz)を用いた。
また、仮光源(ピニング光源)としては、図6に示されるように発光ダイオード(UV−LED、日亜化学工業(株)製NC4U134、波長385nm)を6個配置した光源を、インクジェットヘッドの左右に1つずつ(計2個)具備し、光源1つあたりの照度が780mW/cmの光源を使用した。
本硬化光源としては、発光ダイオード(UV−LED、日亜化学工業(株)製NC4U134、波長385nm)を10個配置した光源を左右に1つずつ(計2個)具備し、光源1つあたりの照度が1,500mW/cmの光源を使用した。
インク供給系は、インクパック、供給配管、脱気フィルターSEPAREL EF−G2(DIC株式会社製)、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、脱気フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、脱気フィルター部分では0.5気圧まで減圧した。
上記構成からなる装置を用い、硬化性組成物1(マゼンタインク)を用いて複数パスにより硬化性組成物1の吐出及び露光硬化を行い、硬化されたインク画像を有する印画物を形成した。
〔実施例2〜7〕
実施例1においてインク画像の形成に用いた硬化性組成物1を、それぞれ硬化性組成物2〜7に代えた以外は同様にして、実施例2〜5の画像形成方法により印画物を形成した。
〔実施例8〕
実施例1において、大気圧ブラズマ処理に用いた窒素ガスを、窒素ガス90%と酸素10%との混合ガス(窒素分率:90%)に代えた以外は同様にして、表面処理されたポリロピレン基材を得て、これを基材として用いた以外は実施例1と同様にして実施例8の画像形成方法により印画物を形成した。
表面処理後のポリロピレン基材をESCAで確認したところ、表面に窒素原子が導入されていることが確認された。
また、基材を観察したが、SEMによる観察では損傷は見られなかった。
〔実施例9〕
実施例1において、大気圧ブラズマ処理時間を2分間から30秒間に変えた以外は同様にして表面処理されたポリロピレン基材を得て、これを基材として用いた以外は実施例1と同様にして実施例9の画像形成方法により印画物を形成した。
表面処理後のポリロピレン基材をESCAで確認したところ、表面に窒素原子が導入されていることが確認された。
また、基材を観察したが、SEMによる観察では損傷は見られなかった。
〔比較例1〕
実施例1において、用いたポリプロピレン基材に代えて、極性基剤であるポリ塩化ビニル(表1中には:PVCと記載)に代えた以外は同様にして、大気圧ブラズマ処理表面処理されたPVC基材を得て、これを基材として用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の画像形成方法により印画物を形成した。
表面処理後のPVC基材をESCAで確認したところ、表面に窒素原子が導入されていることが確認された。
また、基材を観察したところ、SEMによる観察で表面荒れが見られた。
〔比較例2〕
実施例1において、用いたポリプロピレン基材に代えて、極性基剤であるポリ塩化ビニル(表1中には:PVCと記載)に代え、大気圧ブラズマ処理表面処理の際に用いた窒素ガスにかえて空気中でプラズマ処理行って表面処理されたPVC基材を得て、これを基材として用いた以外は実施例1と同様にして比較例2の画像形成方法により印画物を形成した。
表面処理後のPVC基材をESCAで確認したところ、表面に窒素原子が導入されていることが確認された。
また、基材を観察したところ、SEMによる観察で表面荒れが見られた。
〔比較例3〕
実施例1において、用いたポリプロピレン基材を大気圧ブラズマ処理表面することなく、基材として用いた以外は実施例1と同様にして比較例3の画像形成方法により印画物を形成した。
各画像形成方法により得られた印画物に対して、以下の評価を行った。
<加工適性の評価>
印画物のインク画像が形成された領域に、基材ごと直径6mmのパンチ穴を(パンチ No.9000:商品名、プラス(株)製)を用いて形成し、形成したパンチ穴周辺を、目視及び光学顕微鏡(BX60 商品名、オリンパス(株)製品)により、倍率10倍で観察し、以下の基準で評価した。結果を下記表に示す。
A:光学顕微鏡観察でパンチ穴周辺に異常は認められない。
B:目視による観察でパンチ穴周辺に異常は認められない。
C:目視による観察でパンチ穴周辺に基材とインク画像の剥離に起因するクラックが観察された。
なお、クラックが観察されない態様を図9(A),クラックが観察された態様を図9(B)に示す。
〔比較例4〕
ポリプピレン基材を、ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機を用い、支持体の両面を室温下において2m/分で処理した。表面処理された基板を用いた以外は、実施例1と同じように印画し、比較例4の画像形成方法により印画物を形成した。
<画質の評価>
印画物における画像を、光学顕微鏡(BX60 商品名、オリンパス(株)製品)により、倍率10倍で観察し、打滴部分の形状を以下の基準で評価した。なお、吐出は、設計値で半径1μmの円形ドットを形成するように行った。結果を下記表に示す。
A:打滴部分が円形で半径が1μm以上1.2μm以下の設計値どおりの画像である。
B:打滴部分は円形であるが、ハジキによる密着性の低下に起因し、半径が1μm未満の画像である。
C:打滴部分のハジキや滲みに起因して円形画像が形成されなかった。
表1に示すように、本発明の画像形成方法で得られた印画物は、何れの色相のインクを用いた場合でも、加工適性が高く、高品質の画像が形成された。
一方、非極性基材以外の基材を用いた比較例1〜2の画像形成方法により得られた印画物は、基材の荒れに起因して画質が劣り、非極性基材であっても窒素雰囲気下の大気圧ブラズマ処理を行わなかった基材を用いた比較例3の画像形成方法により得られた印画物では、インク組成物と基材との密着性が低く、加工適性、画質の何れも劣るものであった。また、公知の密着性向上加工であるコロナ放電処理を行った基材を用いた比較例4の画像形成方法により得られた印画物では、印字部の滲みが確認され、打ち抜き性も悪かった。これは、コロナ処理機では基材表面が荒らされてしまうため、にじみが発生し、また、コロナ処理では酸素の導入(=酸化反応)がメインとなり、窒素原子の導入が効率的に行われないため、インク部との相互作用性が低くなり、打ち抜き性が悪くなったものと考えられる。
10 インクジェット記録装置
12 記録媒体(非極性基材)
20 装置本体
22 支持脚
24 インクジェットヘッド
26 プラテン
28 ガイド機構
30 キャリッジ
32A,32B 仮硬化光源
34A,34B 本硬化光源
35 移動機構(光源移動部)
35A シャフト
35B ラック
35C ピニオンギア
35D 駆動モータ
35E 検出片
35F ポジションセンサ
36 インクカートリッジ
40 ニップローラ
42 供給側ロール
44 巻き取りロール
50 温調部
61,61C,61M,61Y,61K,61LC,61LM,61CL,61W ノズル列
70 供給ポンプ、
72 サブタンク
74 圧力調整部
102 制御装置
104 記録媒体搬送制御部
106 キャリッジ駆動制御部
108 光源制御部
110 画像処理部
112 吐出制御部
114 搬送駆動部
116 主走査駆動部
120 入力装置
124 情報記憶部
128 ヘッド駆動回路
130 エンコーダ
132 センサ

Claims (6)

  1. (A)無極性基材を窒素雰囲気下で大気圧プラズマにより表面処理する基材表面処理工程と、
    (B)表面処理された前記無極性基材表面に、分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する重合性モノマー、重合開始剤、及び顔料を含有する硬化性組成物をインクジェット法により付与する硬化性組成物付与工程と、
    (C)付与された硬化性組成物にエネルギーを与えて硬化させる画像形成工程と、
    を含む画像形成方法。
  2. 前記基材表面処理工程における窒素雰囲気が、窒素分率90%以上の窒素雰囲気である請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記基材表面処理工程が、前記無極性基材表面に窒素原子を導入する工程である請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記分子内にアミド基及びエーテル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有する重合性モノマーが、下記式(a−1)で表される重合性モノマー及び下記式(a−2)で表される重合性モノマーから選ばれる少なくとも1つである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成方法。


    式(a−1)中、nは1〜5の整数を表す。


    式(a−2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、Xは単結合、又は二価の連結基を表す。
  5. 前記無極性基材が、ポリプロピレン、及びポリエチレンから選ばれる樹脂からなる基材である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記無極性基材が、前記硬化性組成物を付与する側の最表面にポリプロピレン、及びポリエチレンから選ばれる樹脂からなる表面層を有する基材である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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