JP2012179900A - インクジェット記録方法、及び、印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光沢性が高く、画像筋ムラが目立たず、ノズル欠けによる白抜けがない優れた画像を得ることができる放射線硬化型インクジェット記録方法、及び、該インクジェット記録方法により作成された印刷物を提供する。
【解決手段】(成分A−1)式(1)で表される化合物、及び、(成分B)重合開始剤を含有し、25℃における表面張力が34.0〜39.0mN/mであるインク組成物を、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレート100を有するインクジェットヘッドから、被記録媒体上に吐出し画像を形成する画像形成工程、並びに、吐出された前記インク組成物に活性放射線を照射して硬化させる硬化工程、を含むインクジェット記録方法、及び、前記記録方法で印刷された印刷物。
Figure 2012179900

【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及び、印刷物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
中でも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インク組成物(放射線硬化型インクジェット記録用インク組成物)は、紫外線などの放射線の照射によりインク組成物の成分の大部分が硬化するため、溶剤系インク組成物と比べて乾燥性に優れ、また、画像がにじみにくいことから、種々の被記録媒体に印字できる点で優れた方式である。
放射線の照射により硬化可能な従来のインクジェット記録用インク組成物として、特許文献1及び2に記載されたインク組成物が挙げられる。
また、インク組成物の吐出に用いられる従来のインクジェットヘッドとして、特許文献3に記載されたインクジェットヘッドが挙げられる。
特開2010−70754号公報 特開2009−84441号公報 米国特許第7,011,396号明細書
前記放射線硬化型のインクジェット印刷により得た印刷物は、水性インクジェット、溶剤インクジェットにより得た印刷物に比べ、硬化膜の光沢性が低く、筋ムラが目立つ問題があった。また、インク組成物を吐出した場合、ノズル欠けによる印刷画像の白抜けをおこす問題があった。
本発明の目的は、光沢性が高く、画像筋ムラが目立たず、ノズル欠けによる白抜けがない優れた画像を得ることができる放射線硬化型インクジェット記録方法、及び、前記インクジェット記録方法により作成された印刷物を提供することである。
上記課題を解決し得た本発明のインクジェット記録方法は、(成分A−1)式(1)で表される化合物、及び、(成分B)重合開始剤を含有し、25℃における表面張力が34.0〜39.0mN/mであるインク組成物を、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドから、被記録媒体上に吐出し画像を形成する画像形成工程、並びに、吐出された前記インク組成物に活性放射線を照射して硬化させる硬化工程、を含むことを特徴とする。
Figure 2012179900
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表す。)
本発明において、前記インク組成物が(成分A−2)N−ビニルラクタム類を更に含有することや、前記インク組成物が(成分A−3)炭素数5〜10の炭化水素ジオールのジアクリレートを更に含有すること、前記画像形成工程におけるインク組成物の打滴体積が7pL以上100pL以下(より好ましくは7pL以上40pL以下)であることは、好ましい実施態様である。
また、本発明において、前記画像形成工程における吐出周波数が8〜80kHzであることや、前記画像形成工程における画像形成が打滴体積の異なる複数の前記インク組成物を組み合わせて吐出するグレースケール印刷であり、前記打滴体積を3段階〜8段階に可変させること、前記画像形成工程における画像形成がインクジェットヘッドを双方向に操作するシャトルスキャン方式で行われることも好ましい実施態様である。
また、本発明において、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、ダイアモンド状炭素、金属、半金属酸化物、金属酸化物、半金属窒化物、及び金属窒化物よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えることや、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金、鉄、ステンレス、チタン、タンタル、プラチナ、ロジウム、ニッケル、クロム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えること、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金、ステンレス、及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えること、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備えること、及び、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金により形成された層を備えることも好ましい実施態様である。
本発明には、上記に記載のインクジェット記録方法により記録された印刷物も包含される。
本発明によれば、光沢性が高く、画像筋ムラが目立たず、ノズル欠けによる白抜けがない優れた画像を得ることができる放射線硬化型インクジェット記録方法、及び、該インクジェット記録方法により作成された印刷物を提供することができた。
酸化ケイ素膜が形成されたノズルプレートの断面を表す概略図である。 酸化ケイ素膜を除去したノズルプレートの断面を表す概略図である。 保護層が形成されたノズルプレートの断面を表す概略図である。 金属層が形成されたノズルプレートの断面を表す概略図である。 金属層が形成されたノズルプレートのインク吐出側の面を表す概略図である。
本発明のインクジェット記録方法は、(成分A−1)式(1)で表される化合物、及び、(成分B)重合開始剤を含有し、25℃における表面張力が34.0〜39.0mN/mであるインク組成物を、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドから、被記録媒体上に吐出し画像を形成する画像形成工程、並びに、吐出された前記インク組成物に活性放射線を照射して硬化させる硬化工程、を含むことを特徴とする。
なお、明細書中、数値範囲を表す「X〜Y」の記載は「X以上Y以下」と同義である。また、前記「(成分A−1)式(1)の化合物」等を単に「成分A−1」等ともいう。以下、本発明について詳細に説明する。
I.インク組成物
まず、本発明に使用されるインク組成物(以下、「本発明のインク組成物」ともいう。)について詳述する。
(インクジェットインク組成物)
本発明のインクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(成分A−1)式(1)で表される化合物、及び、(成分B)重合開始剤を含有し、25℃における表面張力が、34.0〜39.0mN/mであることを特徴とする。
Figure 2012179900
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表す。)
本発明のインク組成物は、活性放射線により硬化可能な油性のインク組成物である。「活性放射線」とは、その照射によりインク組成物中に重合開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
また、放射線硬化型のインク組成物は、インク組成物を被記録媒体上に吐出後硬化させるため、高揮発性溶媒を含まず、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に高揮発性溶剤が残留すると、インク硬化膜の耐溶剤性が劣化したり、残留する高揮発性溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。
活性放射線硬化型のインクジェット印刷により得た印刷物は、水性インクジェット、溶剤インクジェットにより得た印刷物に比べ、硬化膜の光沢性が低く、筋ムラが目立つといわれている。これは、打滴されたインク組成物が着弾直後に活性放射線によって硬化されることで、インク組成物の着弾形状が保存されることが1つの要因と考えられる。
一方、本発明のインク組成物は、筋ムラが目立たず、光沢性に優れた印刷物を得ることができる。理由は定かではないが、吐出された成分A−1を含むインク組成物が、着弾直後の活性放射線照射によって、打滴されたインク組成物の内部から硬化するためであると推定される。
特に酸素溶存量が高いと推定される成分A−1の存在により、打滴されたインク組成物の最表面が酸素による重合阻害をうけ、初期反応速度を低下させることで、インク組成物の最表面が長時間液状に保たれ、インク組成物の最表面が濡れ広がり、インク組成物同士の合一が促進されると推定される。その結果、インク組成物がより平滑な平面を形成することとなり、高度な光沢性を有し、筋ムラの目立たない画像が得られると推定される。
特に、同一部分を重ね打ちにより印刷するマルチパスモードでの印刷では、重ね打ちの際に先に打滴されたインク組成物上に、後に打滴されたインク組成物が重なるケースが発生する。この際、先に打滴されたインク組成物の最表面が液状であると、後に打滴されたインク組成物の濡れ広がりが大きくなり、より高い光沢度が得られる。
打滴されたインク組成物の硬化状態のコントロールにあたっては、インク組成物のごく最表面のみが液状態を保持することが重要である。打滴されたインク組成物の内部までもが液状態を長時間保持してしまうと最終的に印刷物の表面がべとついたり、重ね打ち時に後から着弾したインク組成物が先に打滴されたインク組成物の内部に入り込み、印刷物にクレーター状のくぼみを形成してしまう。その結果、印刷物表面の平滑性を失う可能性がある。また、着弾したインク組成物内部の硬化性が低いと、着弾後の打滴干渉(打滴されたインク組成物の重なりにより着弾位置がずれること)を生じさせることで、筋ムラを目立たせてしまうことも考えられる。本発明では、成分A−1を組み合わせて用いるため、打滴されたインク組成物の内部の硬化性を高く保持できると推定される。
本発明によれば、成分A−1を組み合わせて用いるため、打滴されたインク組成物の内部の硬化性を強く促進しつつ、インク組成物の最表面のみが選択的に長時間液状に保たれることとなり、光沢性が高く、筋ムラの目立たない画像が得られたものと推定される。
インクジェット画像品質において、もう1つの重要な点は、ノズル欠けによる印刷画像の白抜けをおこさないことである。特に長時間連続して吐出した場合、連続吐出安定性を確保することが難しい。本発明においては、成分A−1を含み、且つ、表面張力が34.0〜39.0mN/mであるインク組成物を親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドを用いて印刷することで、長時間の連続吐出安定性に優れ、画像の白抜けを起こさない印刷物が安定して得られることが明らかとなった。
すなわち、本発明により、光沢性が高く、筋ムラが目立たず、ノズル欠けによる白抜けがない高品質の印刷物が安定して得られることが見出された。
以下、本発明のインク組成物の各成分及び物性値等について、説明する。
<インク組成物の表面張力>
本発明のインク組成物において、25℃における表面張力は、34.0〜39.0mN/mであり、35.0〜38.5mN/mであることが好ましく、35.5〜38.0mN/mであることがより好ましい。25℃における表面張力が39.0mN/mを超えると、光沢性に優れた画像が得られない場合がある。また34.0mN/m未満であると、ノズル欠けによる白抜けが起こる場合がある。25℃における表面張力が、34.0〜39.0mN/mであれば、光沢性に優れ、白抜けのない印刷物が得られる。また、良好な連続吐出安定性が得られる。
インク組成物の表面張力の測定方法としては、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定する方法が例示できる。
本発明のインク組成物の25℃における表面張力が34.0〜39.0mN/mの範囲となるためには、本発明のインク組成物が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.01質量%未満であることが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、0.005質量%以下であることがより好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないことが特に好ましい。上記範囲であると、光沢性に優れる画像が得られる。特にマルチパス描画の際、先に描画されたインク組成物(ドット)上に重ね打ちされたインク組成物(ドット)の濡れ広がりが促進されるものと推定される。
(成分A−1)式(1)で表される化合物
本発明のインク組成物は、(成分A−1)式(1)で表される化合物を含有する。
Figure 2012179900
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表す。)
前記式(1)で表される化合物は、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、アクリレート化合物、すなわち、R1が水素原子であることが好ましい。
式(1)のXにおける二価の連結基としては、本発明の効果を大きく損なうものでない限り特に制限はないが、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、二価の炭化水素基、ポリ(アルキレンオキシ)基、又は、ポリ(アルキレンオキシ)アルキル基であることがより好ましい。また、前記二価の連結基の炭素原子数は、1〜60であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
式(1)におけるXとしては、単結合、二価の炭化水素基、又は、炭化水素基及びエーテル結合を組み合わせた二価の基であることが好ましく、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素基であることがより好ましく、炭素原子数1〜8の二価の炭化水素基であることが更に好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、以下に示す化合物(A−1)〜(A−1−4)を好ましく例示できるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2012179900
これらの中でも、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(Cyclic trimethylolpropane formal acrylate、A−1)及びサイクリックトリメチロールプロパンフォーマルメタクリレート(A−1−2)が好ましく、サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート(A−1)が特に好ましい。
本発明のインク組成物における式(1)で表される化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましく、15〜55質量%であることが更に好ましく、20〜50質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、印刷されたインク組成物内部の硬化を強く促進しつつ、表面のみを選択的に長時間液状に保つ硬化プロファイルが促進され、光沢性に優れ、筋ムラの少ない画像が得られる。
(成分B)重合開始剤
本発明のインク組成物は、(成分B)重合開始剤を含有する。
重合開始剤は、前記活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることができる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく挙げられ、光ラジカル重合開始剤がより好ましく挙げられ、具体的にはアシルフォスフィン化合物、芳香族ケトン類(IRGACURE184等)、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、及び、炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
上記重合開始剤の詳細については、当業者に公知であり、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されている。
重合開始剤として、ビスアシルフォスフィンオキサイド化合物、チオキサントン化合物、チオクロマノン化合物、及びα−アミノアルキルケトン類を少なくとも1種含有することが好ましい。
本発明のインク組成物は、好ましくは(成分B−1)α−アミノアルキルケトン化合物、(成分B−2)アシルフォスフィン化合物、並びに、(成分B−3)チオキサントン化合物及び/又はチオクロマノン化合物の少なくとも1種を含有することが好ましく、成分B−1〜成分B−3の複数種類を組み合わせて含有することがより好ましい。
以下、成分B−1〜成分B−3について説明する。
(成分B−1)α−アミノアルキルケトン化合物
本発明のインク組成物は、好ましくは(成分B−1)α−アミノアルキルケトン化合物を含有する。成分B−1は、式(b−1−1)で表されるα−アミノアルキルフェノン化合物であることが好ましい。
Figure 2012179900
式(b−1−1)中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立にヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、又は、置換基を有していてもよいアミノ基を表し、少なくとも1つはアミノ基を表す。Xは、水素原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。なお、R1、R2、R3、及びXの少なくとも1つがアミノ基である場合、互いに結合して複素環基を形成してもよい。
成分B−1としては、式(b−1−2)及び式(b−1−3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2012179900
式(b−1−2)中、R4、R5、R6、及びR7は、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R4とR5、及びR6とR7のいずれかが互いに結合して複素環基を形成してもよい。R1、R2、及び、置換基は、式(b−1−1)におけるものと同義である。
Figure 2012179900
式(b−1−3)中、R8は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。
1、R2は、式(b−1−1)におけるR1、R2と同義であり、R4及びR5は、式(b−1−2)におけるR4及びR5と同義である。
4及びR5が互いに結合して複素環基を形成する場合、特に制限はなく適宜選択することができるが、例えば、モルホリノ基が好ましい。
α−アミノアルキルフェノン化合物としては、例えば、市販品として、IRGACURE369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、IRGACURE907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)などが好適に挙げられる。
(成分B−1)α−アミノアルキルケトン化合物の含有量は、インク組成物中0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
(成分B−2)アシルフォスフィン化合物
本発明のインク組成物は、好ましくは(成分B−2)アシルフォスフィン化合物を含有する。
(成分B−2)アシルフォスフィン化合物としては、特開2009−096985号公報の段落0080〜0098に記載のアシルフォスフィンオキサイド化合物が好ましく挙げられ、中でも、化合物の構造中に式(b−2−1)で表されるモノアシルフォスフィンオキサイド、又は式(b−2−2)で表されるビスアシルフォスフィンオキサイド構造を有するものが好ましく、本発明の重合開始剤としては、ビスアシルフォスフィンオキサイド化合物がより好ましい。
Figure 2012179900
特に、アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、式(b−2−3)又は式(b−2−4)の化学構造を有するものが好ましく、式(b−2−4)のビスアシルフォスフィンオキサイドがより好ましい。
Figure 2012179900
(式(b−2−3)中、R6、R7、R8はメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
式(b−2−3)で表されるモノアシルフォスフィンオキサイド化合物としては、R6〜R8が、置換基としてメチル基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、R7及びR8がフェニル基であり、R6が1〜3個のメチル基を有するフェニル基であることがより好ましい。
中でも、式(b−2−3)で表されるモノアシルフォスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(DAROCUR TPO:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、LUCIRIN TPO:BASF社製)が好ましい。
Figure 2012179900
(式(b−2−4)中、R9、R10、R11はメチル基又はエチル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。)
式(b−2−4)で表されるビスアシルフォスフィンオキサイド化合物としては、R9〜R11が、置換基としてメチル基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、R11がフェニル基であり、R9及びR10が1〜3個のメチル基を有するフェニル基であることがより好ましい。
中でも、式(b−2−4)で表されるビスアシルフォスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)がより好ましい。
インク組成物中における(成分B−2)アシルフォスフィン化合物の含有量は、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
(成分B−3)チオキサントン化合物及び/又はチオクロマノン化合物
本発明のインク組成物は、好ましくは(成分B−3)チオキサントン化合物及び/又はチオクロマノン化合物を含有する。
<チオキサントン化合物>
チオキサントン化合物は、式(b−3−1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2012179900
(式(b−3−1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基(一置換及び二置換の場合を含む。)、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。)
前記アルキル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、及び、アシル基におけるアルキル部分の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
1〜R8は、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。これらの環構造は置換基を更に有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基及びスルホ基が挙げられる。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリドが例示できる。
これらの中でも、入手容易性及び硬化性の観点から、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及び、4−イソプロピルチオキサントンがより好ましく、例えば、SPEEDCURE ITX(LAMBSON社製)が挙げられる。
<チオクロマノン化合物>
チオクロマノン化合物としては、式(b−3−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2012179900
式(b−3−2)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基又はスルホ基を表す。上記アルキル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、及び、アシル基におけるアルキル部分の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。
1、R2、R3及びR4は、それぞれ隣接する2つが互いに連結、例えば、縮合して環を形成していてもよい。
これらが環を形成する場合の環構造としては、5又は6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。これらの環構造は置換基を更に有していてもよい。置換基としては、式(b−3−1)で前述したものが挙げられる。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
また、チオクロマノン化合物は、チオクロマノンの環構造上に少なくとも1つの置換基(アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシ基及びスルホ基等)を有する化合物であることが好ましい。上記置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基及びアシルオキシ基が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基及びハロゲン原子がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基及びハロゲン原子が更に好ましい。
また、チオクロマノン化合物は、芳香環上、及び、複素環上のそれぞれに、少なくとも1つの置換基を有する化合物であることがより好ましい。
チオクロマノン化合物の具体例としては、下記(I−1)〜(I−31)が好ましく例示できる。これらの中でも、(I−14)、(I−17)、及び、(I−19)がより好ましく、(I−14)が特に好ましい。
Figure 2012179900
Figure 2012179900
本発明のインク組成物中における(成分B−3)チオキサントン化合物及びチオクロマノン化合物のそれぞれの含有量について以下に説明する。
本発明のインク組成物中におけるチオキサントン化合物の含有量は、0.05〜8質量%が好ましく、0.5〜6質量%がより好ましく、1〜4質量%が更に好ましい。
本発明のインク組成物中におけるチオクロマノン化合物の含有量は、0.05〜10質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
本発明における(成分B)重合開始剤は、前記活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物だけでなく、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる、増感剤)も含まれる。
本発明に用いることができるインク組成物は、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させるため、増感剤を含有することが好ましい。
増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)等が挙げられる。
また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物における重合開始剤の総含有量は、硬化性、硬化膜内での硬化度の均一性の観点から、重合性化合物の総含有量に対して、0.01〜40質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、1.0〜25質量%が更に好ましい。
なお、成分B−1〜成分B−3は、{(成分B−1と成分B−2との総質量)≧(成分B−3の総質量)}の関係を満たすことが好ましい。上記の関係を満たすことにより、硬化性に優れたインク組成物が得られる。
本発明においては、硬化性の観点から、{(成分B−1と成分B−2との総質量):(成分B−3の総質量)}が、20:1〜1:1であることが好ましく、20:1〜1.5:1であることがより好ましく、15:1〜1.5:1であることが更に好ましい。
(成分A−2)N−ビニルラクタム類
本発明のインク組成物は、(成分A−2)N−ビニルラクタム類を更に含有することが好ましい。
成分A−2としては、式(A−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2012179900
式(A−2)中、nは2〜6の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、被記録媒体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、nは3〜5の整数であることが好ましく、nが3又は5であることがより好ましく、nが5である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の被記録媒体への密着性が得られるので好ましい。
成分A−2の複素環上のメチレン基の水素原子が他の置換基で置換されていてもよい。 成分A−2は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
成分A−2の含有量は、インク組成物の全質量に対し、1質量%以上35質量%以下であることが好ましく、8質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、12質量%以上25質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、印刷物内部の硬化性を強く促進しつつ、硬化膜最表面のみを選択的に長時間液状に保つ硬化プロファイルが促進され、光沢性が高く、筋ムラの目立たない印刷物が得られる。
(成分A−3)炭素数5〜10の炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート
本発明のインク組成物は、(成分A−3)炭素数5〜10の炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレートを含有してもよい。 成分A−3における炭素数5〜10の炭化水素ジオールは、直鎖炭化水素ジオールであっても、分岐構造を有する炭化水素ジオールであっても、環構造を有する炭化水素ジオールであってもよいが、直鎖炭化水素ジオール又は分岐構造を有する炭化水素ジオールであることが好ましく、分岐構造を有する炭化水素ジオールであることがより好ましい。
また、成分A−3における炭化水素ジオールの炭素数は、5〜10であり、5〜9であることが好ましく、5又は6であることがより好ましく、6であることが特に好ましい。 また、成分A−3としては、炭素数5〜9の炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数5又は6の炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数5又は6で分岐構造を有する炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレートが更に好ましく、炭素数6で分岐構造を有する炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
なお、本発明においては、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
成分A−3は、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、アクリレート化合物であることが好ましい。
成分A−3の具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、デカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
これらの中でも、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートが更に好ましく、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明のインク組成物における成分A−3の含有量は、インク組成物の全質量に対し、3〜35質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることが特に好ましい。上記範囲であると、印刷物内部の硬化性を強く促進しつつ、硬化膜最表面のみを選択的に長時間液状に保つ硬化プロファイルが促進され、光沢性が高く、筋ムラの目立たない印刷物が得られる。
<他の重合性化合物>
本発明のインク組成物は、成分A−1〜A−3以外の、他の重合性化合物を含有していてもよい。
他の重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物が好ましい。
他の重合性化合物としては、公知の重合性化合物を用いることができ、成分A−1〜A−3以外の(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が例示できる。例えば、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
他の重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、アクリレート化合物であることがより好ましい。
他の重合性化合物の具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及び、イソボルニルアクリレート等が好ましく挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、その他の重合性化合物として、多官能重合性化合物を含有することが好ましく、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することがより好ましい。
他の重合性化合物としては、芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物の芳香族基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物が有していてもよい芳香環構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデン、フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェン、ビフェニル、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアデン、フラン、チオフェン、ピロリン、ピラゾリン、イミダゾリン、イソオキサゾリン、イソチアゾリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール及びテトラゾールよりなる群から選ばれた環構造が好ましく例示できる。
これらの中でも、芳香族基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましく例示できる。
他の重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
他の重合性化合物として具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
更に具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、(株)シーエムシー出版);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品又は業界で公知のラジカル重合性又は架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
他の重合性化合物の分子量は、80〜2,000であることが好ましく、80〜1,000であることがより好ましく、80〜800であることが更に好ましい。
他の重合性化合物として、単官能ビニルエーテル化合物を用いることができる。
好適に用いられる単官能ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
本発明のインク組成物が他の重合性化合物を含有する場合、本発明のインク組成物における他の重合性化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、1〜70質量%が好ましく、3〜55質量%がより好ましく、5〜25質量%が特に好ましい。
本発明のインク組成物は、他の重合性化合物として多官能ビニルエーテル化合物を含有することが好ましい。なお、「多官能」とは、2官能以上を意味する。2〜4官能ビニルエーテル化合物であることが好ましく、2官能ビニルエーテル化合物であることがより好ましい。
多官能ビニルエーテル化合物として、ジ又はトリビニルエーテル化合物を以下に例示する。
好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物が例示できる。
特にエチレングリコール鎖を有する2官能ビニルエーテル化合物が好ましく、この場合、硬化膜の柔軟性、画像の光沢性に優れる。ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテルが好ましく例示でき、トリエチレングリコールジビニルエーテルがより好ましく例示できる。
本発明のインク組成物における多官能ビニルエーテル化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、1〜15質量%が好ましく、1.5〜10質量%がより好ましく、2〜8質量%が更に好ましく、2.5〜5質量%が特に好ましい。上記範囲であると、硬化性、画像の光沢性に優れるインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物は、炭素数8〜13の鎖状炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物を含有することができる。該化合物における鎖状炭化水素基は、直鎖状炭化水素基であっても、分岐鎖状炭化水素基であってもよいが、分岐鎖状炭化水素基であることが好ましい。
該単官能(メタ)アクリレート化合物は、炭素数8〜13の鎖状炭化水素モノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、炭素数10〜13の鎖状炭化水素モノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルであることがより好ましい。
該単官能(メタ)アクリレート化合物は、アクリレート化合物であっても、メタクリレート化合物であってもよいが、アクリレート化合物であることが好ましい。
該単官能(メタ)アクリレート化合物として具体的には、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及び、トリデシル(メタ)アクリレート等が例示できる。これらの中でも、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及び、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましく、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、及び、トリデシル(メタ)アクリレートがより好ましく、イソデシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明のインク組成物における該単官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対し、1〜25質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%であることが更に好ましい。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加してもよい。
ただし、光沢性、筋ムラを抑制する観点から、前述したように、本発明のインク組成物は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の総含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.01質量%未満であることが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないか、又は、0.005質量%以下であることがより好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤を含有しないことが特に好ましい。
なお、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤も、含有しないか、又は、その含有量が、インク組成物の全質量に対し、0.01質量%未満であることが好ましく、含有しないか、又は、その含有量が、0.005質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
<オリゴマー>
本発明のインク組成物は、オリゴマーを含有することができる。
オリゴマーは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーが結合した重合体であり、オリゴマーと称される公知の化合物を任意に選択可能であるが、本発明においては、重量平均分子量が400〜10,000(より好ましくは500〜5,000)の重合体を選択することが好ましい。
前記オリゴマーは、ラジカル重合性基を有していてもよい。前記ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
本発明におけるオリゴマーとしては、いかなるオリゴマーでもよいが、例えば、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマー、ブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステルアクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)等を挙げることができる。この中で、オリゴエステル(メタ)アクリレートが好ましく、その中では、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートが更に好ましい。 ウレタン(メタ)アクリレートとしては、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく挙げられるが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートがより好ましく挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートは、4官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましく、2官能以下のウレタン(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを含有することにより、基材の密着性に優れ、硬化性に優れるインク組成物が得られる。
オリゴマーについて、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)も参照することができる。
また、オリゴマーの市販品としては、以下に示すものが例示できる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、第一工業製薬(株)製のR1204、R1211、R1213、R1217、R1218、R1301、R1302、R1303、R1304、R1306、R1308、R1901、R1150等、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL230、270、4858、8402、8804、8807、8803、9260、1290、1290K、5129、4842、8210、210、4827、6700、4450、220)、又は、新中村化学工業(株)製のNKオリゴU−4HA、U−6HA、U−15HA、U−108A、U200AX等、東亞合成(株)製のアロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL770、IRR467、81、84、83、80、675、800、810、812、1657、1810、IRR302、450、670、830、870、1830、1870、2870、IRR267、813、IRR483、811等)、東亞合成(株)製のアロニックスM−6100、M−6200、M−6250、M−6500、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050等が挙げられる。
また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ(例えば、EBECRYL600、860、2958、3411、3600、3605、3700、3701、3703、3702、3708、RDX63182、6040等)等が挙げられる。
オリゴマーは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物におけるオリゴマーの含有量としては、インク組成物の全質量に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。
<着色剤>
本発明のインク組成物は、形成された画像部の視認性を向上させるため、好ましくは着色剤を含有する。着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用できる。着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、120、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26、白色顔料としては、Pigment White 6、18、21などが目的に応じて使用できる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては疎水性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、201、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット
33;C.I.ディスパーズブルー 56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
着色剤は、インク組成物に添加された後、適度に当該インク組成物内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分と共に直接添加してもよい。また、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用する重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散あるいは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化、及び、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、インク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.01〜30質量%であることが好ましい。
<分散剤>
本発明のインク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−111、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−182(BYKケミー社製);EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製);ソルスパース(SOLSPERSE)3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、22000、24000、26000、28000、32000、36000、39000、41000、71000などの各種ソルスパース分散剤(Noveon社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明のインク組成物は、必要に応じて、前記各成分以外に、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等を含んでいてもよい。これらその他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
また、本発明のインク組成物は、保存性、及び、ヘッド詰まりの抑制という観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤の含有量は、本発明のインク組成物の全質量に対し、200〜20,000ppmであることが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、又は、クペロンAl等が挙げられる。
<インク物性>
本発明においては、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用することが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、更に好ましくは7〜30mPa・sである。また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温(25℃)での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体(支持体)を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。更にインク組成物の液滴着弾時のインク滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
II.インクジェット記録方法
本発明のインクジェット記録方法は、(成分A−1)式(1)で表される化合物、及び、(成分B)重合開始剤を含有し、25℃における表面張力が34.0〜39.0mN/mであるインク組成物を、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドから、被記録媒体上に吐出し画像を形成する画像形成工程、並びに、吐出された前記インク組成物に活性放射線を照射して硬化させる硬化工程、を含むことを特徴とする。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録される。
<(a)工程:画像形成工程>
まず、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドから、インク組成物を被記録媒体上に吐出し画像を形成する画像形成工程について説明する。
本発明に使用される被記録媒体としては、特に限定されず、公知の被記録媒体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、ポリ塩化ビニル、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明における被記録媒体としては、非吸収性被記録媒体が好ましく、中でもプラスチックフィルム、紙がより好ましい。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク組成物供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。
本発明のインクジェット記録方法に使用されるインクジェットヘッドは、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドである。
ノズルプレートを有するインクジェットヘッドとしては、公知のものを用いることができ、限定されないが、例えば米国特許第7,011,396号明細書、米国特許出願公開第2009/0290000号明細書等に記載されたインクジェットヘッドを好ましく用いることができる。
インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドとしては、例えばFUJIFILM Dimatix社製のピエゾ駆動方式によるオンデマンド・インクジェットヘッドが挙げられる。その具体例として、S−class、Q−class Sapphireが挙げられる。
ノズルの形状は、図1に示すように、吐出口102がノズルプレート100のインク吐出側の面から突出していないものが好ましく、板状の部材に貫通孔を設けることにより形成されたノズルがより好ましい。ノズルの開口部の形状としては、角丸多角形、円形、楕円形、矩形、多角形等が挙げられ、中でも角丸多角形、円形、多角形が好ましい。また、ノズルとなる貫通孔の断面形状は、図1に示すように、インク吐出口に向かって狭まるテーパー状のものが好ましい。
前記ノズルプレートは、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートであり、インク吐出側の面の少なくとも一部が親インク処理されたものが好ましく、インク吐出側の面の全面が親インク処理されたものがより好ましい。
ここで、親インク処理されたノズルプレートの表面における接触角は、90°以下であることが好ましく、85°以下がより好ましく、80°以下が更に好ましい。上記の数値の範囲内であると、吐出が安定性するため好ましい。
ノズルプレートの表面における接触角は、基板ガラスをノズルプレートに変更し、純水を本発明におけるインク組成物に変更する以外は、「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」(JIS R3257)に規定された方法に従って測定される。
親インク処理の方法として、ノズルプレートの表面の少なくとも一部に非撥インク性の層を1層以上形成する方法が挙げられる。
具体的には、前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、ダイアモンド状炭素、金属、半金属酸化物、金属酸化物、半金属窒化物、及び金属窒化物よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成される層を備えることが好ましい。ここでいう半金属には、ケイ素、ゲルマニウム、ビスマス、ヒ素、アンチモン、ビスマス等が含まれ、中でもケイ素が好ましい。金属としては、金、鉄、チタン、タンタル、プラチナ、ロジウム、ニッケル、クロム等が好ましく、金、鉄がより好ましい。半金属酸化物としては、酸化ケイ素が好ましい。金属酸化物としては、酸化アルミニウムが好ましい。半金属窒化物としては、窒化ケイ素が好ましい。金属窒化物としては、窒化アルミニウムが好ましい。
本発明においては、金、鉄、ステンレス、チタン、タンタル、プラチナ、ロジウム、ニッケル、クロム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、金、ステンレス及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種がより好ましく、金及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種が更に好ましく、金より形成される層を備えることが最も好ましい。
親インク処理方法としては、公知の方法を用いることができ、限定されないが、例えば(1)シリコン製のノズルプレートの表面を熱酸化して酸化ケイ素膜を形成する方法、(2)シリコン若しくはシリコン以外の酸化膜を酸化的に形成する方法、又は、スパッタリングにより形成する方法、(3)金属膜を形成する方法、が挙げられる。これらの方法の詳細については、米国特許出願公開第2010/0141709号明細書を参照することができる。以下、(1)〜(3)の親インク処理方法について説明するが、これらに限定されるものではない。
(1)シリコン製のノズルプレートの表面を熱酸化して酸化ケイ素膜を形成する方法について説明する。
図1に示すように、酸化ケイ素膜101は、ノズルプレート100全体に熱酸化により形成される。酸化ケイ素膜101は、少なくともインク吐出側の面に形成されていればよく、吐出口102の周辺、インク吐出側の面103、吐出口102の内壁の少なくとも一部に形成されていることが好ましい。
図2に示すように、ノズルのエッジ104に丸みを帯びさせる場合には、酸化ケイ素膜101を、例えばフッ化水素酸により除去することもできる。ノズルのエッジに丸みを帯びさせることにより、吐出が安定化するため好ましい。この場合、酸化ケイ素膜を除去した後に再びノズルプレートを熱酸化することで、酸化ケイ素膜が再び形成される。また、鋭角なエッジ部を丸くするために、シリコン製のノズルプレートをエッチング液(例えば水酸化カリウム(KOH)水溶液)に任意の時間で浸漬させてもよい。
酸化ケイ素膜101は、ノズルプレート100の表面を800〜1,200℃の温度で加熱処理することによって形成される。
酸化ケイ素膜101の厚みは、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、1〜10μmが更に好ましく、2〜5μmが特に好ましい。
次に、(2)シリコン若しくはシリコン以外の酸化膜を酸化的に形成する方法、又は、スパッタリングにより形成する方法について説明する。
図3は、酸化ケイ素膜を一度除去した後、保護層105がノズルプレート表面に形成された例を示す。メンテナンス時又はインクジェット記録装置の作動時における損傷を防止する観点から、保護層105は、シリコン等の半導体層よりも耐久性が高く強度が高いものが好ましい。
保護層としては、無機物、非金属物質が挙げられ、酸化物、ダイアモンド状炭素、窒化物(窒化ケイ素、窒化アルミニウム)等が挙げられる。
保護層105としては、窒化ケイ素が好ましい。特に1,000℃以上の高温で形成された窒化ケイ素は、ケイ素又は酸化ケイ素と比べて耐久性及び耐候性に優れるため好ましい。高温で形成された窒化膜は、厚みがありピンホールが少ないため好ましい。
窒化物は酸化物よりも耐久性に優れるため、より薄く形成することが可能である。具体的には、窒化物の厚みは、0.5μm以下が好ましく、0.05〜0.2μmがより好ましい。
必要に応じて、窒化ケイ素は低温(例えば350〜1,000℃)で形成してもよい。例えば、ノズルプレートが熱感応性の部品、例えばキュリー温度以上で加熱すると物性が変化する圧電性のアクチュエーターに接続されている場合には、低温で形成することが必要となる。
保護層105を構成する材料は、吐出される液体に対する化学的な耐性の観点から選択されてもよい。保護層105が吐出される液体と反応しない場合には、化学的に耐性が高いといえる。すなわち、吐出される液体により、保護層105が損傷、腐食、分解しないことが好ましい。また、保護層105は、メンテナンス操作に対する耐久性の観点から選択されてもよい。ピンホールのない保護層105は、アルカリ性のインク組成物などの半導体を腐食させ得る液体から保護する。
保護層105の厚みは10nm以上が好ましく、10nm〜20μmがより好ましい。
保護層105は、ノズルプレート100表面の静電気による電場の発生を抑制するために、導電性物質(非金属製、又は、金属製)を有していてもよい。例えば、導電性物質は接地させることができる。導電性物質は、プリントヘッドにおけるガルバニック適合性(Galvanic compatibility)を改良するためにも使用される。導電性物質としては、酸化物が挙げられ、セシウム又は鉛でドープされた錫酸化物(ITO)が好ましく挙げられる。
次に、(3)金属膜を形成する方法について説明する。
前記(2)における保護層105は金属層であってもよい。金属層は、半導体物質(シリコン等)と比べて耐久性が高い点で好ましい。金属層に用いられる金属としては、例えば、チタン、タンタル、プラチナ、ロジウム、金、ニッケル、クロム及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは金属層は、インク吐出側の面に形成される。
図4に示すように、スパッタリングなどにより金属層(106、107)を形成した場合、ノズル内の金属層107は、インク吐出側の面のノズルプレート表面の金属層106よりも薄く形成されることがある。この場合、金属層(106、107)の厚みを均等にするために、ノズル内の金属層107(例えば約200Å以上のもの)に対して、更にスパッタリングするか、ノズル内の金属層107(例えば980nm以上のもの)に対して、第二の金属層を電気メッキにより形成する方法が挙げられる。
図4及び図5は、吐出口102とノズルプレートのインク吐出側の面103とに、金属層106が形成された例を示す。金属の酸化物層が金属層の表面に自然に形成されることがあるが、金属の酸化物層の厚みはオングストロームレベルのものであり、本発明の目的を達成する上では金属層とみなすことができる。いくつかの金属、例えばチタンでは、金属の酸化物層は不活性なものであり、吐出される液体に対する耐性がより高くなることがあるため好ましい。
化学的に耐性の高い金属の好ましい例として、チタン、金、プラチナ、ロジウム、タンタルが挙げられる。チタン又はタンタルの金属層は、アルカリ性の液体に対する耐性が高く、シリコン製のノズルプレートの吐出口の腐食を防止するために好ましく用いられる。
金属層の厚さは、0.1μm以上が好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、2〜2.5μmが更に好ましい。耐久性の観点から、金属層は、1μm以上が好ましく、1〜10μmがより好ましい。金属層を形成した場合には、ノズルプレートは導電性となり得る。ノズル内の金属層の耐久性をより高くする場合には、金属層に対して、真空蒸着(例えばスパッタリング)、又は、真空蒸着と電気メッキとを適用することができる。
非金属層及び金属層は、PVD、PECVDなどのCVD、又は、熱酸化物の場合には熱による成長により形成される。また、非金属層及び金属層を、酸化物層を除去した後に形成する場合には、除去された酸化物層の厚みと同じか、それ以下、又は、それ以上の厚みで形成してもよい。例えば、非金属層及び金属層の厚みは、0.1μm以上が好ましく、0.5〜20μmがより好ましい。
本発明において、親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドにより吐出されたインク組成物の体積(インク打滴体積)は、1以上100pL以下が好ましく、7以上100pL以下がより好ましく、7以上50pL以下が更に好ましく、7以上40pL以下が特に好ましい。本発明のインク組成物を用いた場合には、ノズルプレート表面のインク液膜の厚みが適切に制御されるため、上記範囲のような体積の小さいインク組成物であっても吐出安定性に優れる。
また、インクジェットヘッドは、好ましくは300×300〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpiの解像度で吐出できるよう駆動する。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
該インクジェットヘッドは200ng・kHz以上の生産性を有することが好ましい。 生産性は、インク組成物1ドットあたりの質量×ノズル数×周波数により算出され、1秒あたりに吐出されるインク組成物の質量を意味する。
本発明のインク組成物は、硬化感度が高く、短時間で硬化させることができるため、200ng・kHz以上の生産性を有する画像形成装置を用いたとしても、画質を低下させることなく画像を形成することが可能である。生産性は、200〜800ng・kHzがより好ましく、300〜600ng・kHzが更に好ましい。
なお、吐出周波数は、0.5〜80kHzが好ましく、1〜80kHzがより好ましく、8〜80kHzが更に好ましく、15〜80kHzがより更に好ましい。特に、15〜60kHzが好ましく、15〜50kHzがより好ましい。
1つのノズルプレートに形成されるノズル数は、10〜500個が好ましく、50〜400個がより好ましく、100〜300個が更に好ましい。
また、吐出されるインク組成物の体積に応じて、周波数を調整することが好ましい。
具体的には、インク組成物の体積が7pLを超え、20pL以下の場合には、周波数は25kHz以上、80kHz未満が好ましい。
インク組成物の体積が20pLを超え、40pL以下の場合には、周波数は15kHz以上、40kHz未満が好ましい。
インク組成物の体積が40pLを超え、70pL以下の場合には、周波数は10kHz以上、25kHz未満が好ましい。
インク組成物の体積が70pLを超え、100pL以下の場合には、周波数は8kHz以上、15kHz未満が好ましい。
生産性、及び、解像度のバランスの取れた印刷物を得るには、打滴サイズが7pL以上40pL以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、打滴体積の異なる複数のインク組成物を組み合わせて吐出するグレースケールモードで吐出することが好ましい。この場合、3段階〜8段階の異なる打滴体積で吐出することが好ましく、より好ましくは、3段階〜7段階であり、更に好ましくは、3段階〜4段階であり、特に好ましくは3段階である。上記範囲にて、特にグラデーション、及び淡色部分における粒状感が少なく、スムースな画像が得られ、かつ高い生産性を保持することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、同一エリアにおいて、インクの吐出を2〜16回繰り返すことにより、画像形成を行うことが好ましい。本発明のインクジェット記録方法における画像を形成する方法として、具体的には、インクジェットヘッドを被記録媒体の搬送方向と垂直に移動させてスキャンし、そのスキャン幅に応じた複数のパスを繰り返すことでドットを形成し画像を作成するマルチパス方式が例示できる。
本発明のインクジェット記録方法は、同一エリアにおいて、インクの吐出を4〜8回繰り返すことにより、画像形成を行うことが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法は、同一エリアにおいて、インクジェット記録後、0.01〜1秒の間に少なくとも1回の活性線照射を行うことが好ましい。また、本発明のインクジェット記録方法は、同一エリアにおいて、インクジェット記録後、0.01〜1秒の間に少なくとも1回の活性線照射を行う工程を2〜16回繰り返すことにより、画像形成を行うことが好ましく、4〜8回繰り返すことにより、画像形成を行うことがより好ましい。
本発明において、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが好ましいことから、インク組成物供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる画像形成装置が好ましく使用される。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク組成物供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物として使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズ(打滴体積)の変化及び液滴(インク組成物)吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、設定温度の±5℃であることが好ましく、設定温度の±2℃であることがより好ましく、設定温度の±1℃であることが更に好ましい。
<(b)工程:硬化工程>
次に、(b)工程について説明する。
支持体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカルなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることが更に好ましい。
また、本発明のインク組成物の、光重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。したがって、露光面照度が、好ましくは100〜3,000mW/cm2、より好ましくは500〜2,000mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプ又はガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、LEDとして、米国特許番号第6,084,250号明細書に開示されている、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDが例示できる。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で好ましい活性放射線源はUV−LEDであり、特に好ましくは350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
本発明のインク組成物は、このような活性放射線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.01〜90秒、更に好ましくは0.01〜10秒照射されることが適当である。
また、本発明のインクジェット記録方法においては、インク組成物を吐出した後0.01〜10秒の間に、2,000mW/cm2以下の露光面照度で活性放射線を照射し、前記インク組成物を硬化させることが好ましい。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトルスキャン方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、支持体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な支持体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法又はコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な支持体に対しても、着弾したインク組成物のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の高い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の高いインク組成物から順に重ねることにより、下部のインク組成物まで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
本発明のインクジェット記録方法には、本発明のインク組成物を1つ以上含むインクセットを好適に使用することができる。吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高い着色インク組成物から支持体に付与することが好ましい。本発明のインク組成物として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインク組成物を使用する場合には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順で支持体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順で支持体上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、ライトシアン、ライトマゼンタのインク組成物とシアン、マゼンタ、ブラック、ホワイト、イエローの濃色インク組成物の計7色が少なくとも含まれるインクセットとしても使用することができ、その場合には、ホワイト、ライトシアン、ライトマゼンタ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの順で支持体上に付与することが好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、支持体表面に画像を形成することができる。
本発明のインク組成物を複数色そろえ、インクセットとして用いる場合、本発明のインク組成物を少なくとも1つ含み、本発明のインク組成物又は本発明以外のインク組成物とを組み合わせた2種以上のインク組成物を有するインクセットであれば、特に制限はないが、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト、ライトマゼンタ、及び、ライトシアンよりなる群から選択される色の本発明のインク組成物を少なくとも1つ含むことが好ましい。
また、本発明のインクセットは、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインク組成物を使用してフルカラー画像を得るためには、インクセットとして、少なくともイエロー、シアン、マゼンタ、及び、ブラックよりなる4色の濃色インク組成物を組み合わせたインクセットであることが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色の濃色インク組成物を組み合わせたインクセットであることがより好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、及び、ホワイトよりなる5色の濃色インク組成物と、ライトシアン、及び、ライトマゼンタよりなる2色のインク組成物とを組み合わせたインクセットであることが更に好ましい。
なお、本発明における「濃色インク組成物」とは、着色剤の含有量がインク組成物全体の1質量%を超えているインク組成物を意味する。前記着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤を用いることができ、顔料又は分散染料が例示できる。
本発明のインクセットが、少なくとも1つの濃色インク組成物、及び、少なくとも1つの淡色インク組成物を含んでおり、濃色インク組成物と淡色インク組成物とが同系色の着色剤を用いている場合、濃色インク組成物と淡色インク組成物との着色剤濃度の比が、濃色インク組成物:淡色インク組成物=15:1〜4:1であることが好ましく、12:1〜4:1であることがより好ましく、10:1〜4.5:1であることが更に好ましい。上記範囲であると、粒状感の少ない、鮮やかなフルカラー画像が得られる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示すものとする。
本発明で使用した成分は下記に示す通りである。
・IRGALITTE BLUE GLVO(シアン顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・NOVOPERM YELLOW 4G01(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
・SOLSPERSE32000(Noveon社製分散剤)
・SOLSPERSE41000(Noveon社製分散剤)
・V−CAP(N−ビニルカプロラクタム、ISP社製)
・SR9003(プロピレングリコール変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、Sartomer社製)
・SR506(イソボロニルアクリレート、Sartomer社製)
・SR531(サイクリックトリメチロールプロパンフォーマルアクリレート、Sartomer社製)
・SR339(フェノキシエチルアクリレート、Sartomer社製)
・HPPA: KAYARAD R128H(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、日本化薬(株)製)
・FIRSTCURE ST−1(重合禁止剤、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩(10質量%)とフェノキシエチルアクリレート(90質量%)との混合物、Chem First社製)
・LUCIRIN TPO(光重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製)
・IRGACURE819(光重合開始剤、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・IRGACURE184(光重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバガイギー社製)
・SpeedcureITX(光重合開始剤、イソプロピルチオキサントン、LAMBSON社製)
(シアンミルベースAの調製)
IRGALITTE BLUE GLVOを300質量部と、SR9003を600質量部と、SOLSPERSE32000を100質量部とを撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。なお、シアンミルベースAの調製は各成分を分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散して行った。
(マゼンタミルベースBの調製)
CINQUASIA MAGENTA RT−355−Dを300質量部と、SR9003を600質量部と、SOLSPERSE32000を100質量部とを撹拌混合し、マゼンタミルベースBを得た。なお、マゼンタミルベースBの調製は各成分を分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散して行った。
(イエローミルベースCの調製)
NOVOPERM YELLOW 4G01を300質量部と、SR9003を600質量部と、SOLSPERSE32000を100質量部とを撹拌混合し、イエローミルベースCを得た。なお、イエローミルベースCの調製は各成分を分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで10時間分散して行った。
(ブラックミルベースDの調製)
SPECIAL BLACK 250を400質量部と、SR9003を500質量部と、SOLSPERSE32000を100質量部とを撹拌混合し、ブラックミルベースDを得た。なお、ブラックミルベースDの調製は各成分を分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで7時間分散して行った。
(ホワイトミルベースEの調製)
タイペークCR60−2を500質量部と、SR9003を440質量部と、SOLSPERSE41000を60質量部とを撹拌混合し、ホワイトミルベースEを得た。なお、ホワイトミルベースEの調製は各成分を分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散して行った。
(シアンミルベースFの調製)
IRGALITTE BLUE GLVOを300質量部と、SR531を600質量部と、SOLSPERSE32000を100質量部とを撹拌混合し、シアンミルベースFを得た。なお、シアンミルベースFの調製は各成分を分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散して行った。
<インク組成物の作製方法>
表1〜表3に記載の成分を混合、撹拌することで、実施例1〜17及び比較例1〜4の各インク組成物を得た。
インク組成物の表面張力の測定は、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した。
<インクジェット記録方法1>
ピエゾ型親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドQ−class Sapphire QS−256/10(FUJIFILM DIMATIX製、ノズル数256個、液滴量10pL〜30pL、周波数15kHz〜50kHz、ノズルプレートのインク吐出側の面の親インク処理:酸化ケイ素)
各色用に2つずつ計8つ有するヘッド走査型のインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、インクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温した。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、10〜30plのマルチサイズドット(10pL、20pL、30pLの3段階可変)で駆動し、インクジェットヘッドユニットは、支持体の搬送方向に対して垂直に両方向印刷するようシャトルスキャン駆動を行い、支持体は、シャトルスキャン方向に対して垂直に搬送し、それぞれ450×450dpiの解像度で印刷できるよう駆動した。紫外線ランプにはIntegration Technology社製SUB ZERO 085 H bulbランプユニットをヘッド走査ユニットの両端に設置した。インクジェットヘッドの中心間の距離は、8個とも、3.2cm間隔に配置し、ランプユニットの中心と最近接のインクジェットヘッドの中心との間の距離は、15cmに配置した。
両ランプとも、被記録媒体上にインク着弾から0.7秒以内に照射が始まるようランプ位置、主走査速度、及び、射出周波数を調整し、照射強度を750mW/cm2になるよう集光した。
画像は、単色のサイズ150cm×250cmのブロック画像を計10枚描画した。画像の余白部分にはノズルチェックパターンが描画されるように設定し、1パスごとに何本のノズルが欠けているかチェックできるようにした。
路面照度、積算露光量は、UV power Map (EIT instrumentation & Technology社製)を用い、いずれも、UVA、UVB及びUVC領域(波長240〜400nmの領域)の総和をそれぞれ路面照度、積算露光量とした。
<インクジェット記録方法2>
インクジェットヘッドを、Spectra SE−128 AA (FUJIFILM DIMATIX製、ノズル数128個、液滴量30pL、40kHz、ノズルプレートのインク吐出側の面の親インク処理:ゴールド(金))に変更した以外は、インクジェット記録方法1と同様な方法でインクジェット記録を行った。
<インクジェット記録方法3>
インクジェットヘッドを、Spectra GalaxyPH(FUJIFILM DIMATIX製、ノズル数256個、液滴量28pL、20kHz、ノズルプレートのインク吐出側の面の親インク処理:ステンレス)に変更した以外は、インクジェット記録方法1と同様な方法でインクジェット記録を行った。
<光沢性評価>
上記インクジェット記録方法によって得られた画像を用い、JIS Z8741に基づき、Sheen Instruments社製光沢度計を用い、測定角60°で測定を行った。評価基準は、以下の通りである。
4:光沢度20以上
3:光沢度15以上20未満
2:光沢度10以上15未満
1:光沢度10未満
評価3以上は実用上許容できる。
<筋ムラ評価>
上記インクジェット画像記録方法によって得られた画像の筋ムラを目視で評価した。評価基準は、以下の通りである。
4:画像から20cm離れた距離からでも筋ムラが認識できない。
3:画像から20cm離れた距離からでは筋ムラが認識できるが、1m離れた距離からは認識できない。
2:画像から1m離れた距離からでは筋ムラが認識できるが、2m離れた距離からは認識できない。
1:筋ムラが2m離れた位置からでも確認できる。
評価3以上は実用上許容できる。
<ノズル欠け評価>
計10枚描画されたサイズ150cm×250cmのブロック画像の各印刷物の総ノズル欠け数を平均し、以下の基準で評価した。
4:ノズル欠けが0〜2本
3:ノズル欠けが3〜5本
2:ノズル欠けが5〜10本
1:ノズル欠けが10本以上
評価3以上は実用上許容できる。
<比較例5>
実施例1で使用したインク組成物を、親インク処理されていないノズルプレートを有するインクジェットヘッドCA4(東芝テック(株)製)を有するインクジェット記録装置を用いて、吐出液滴を42pL、周波数6.2kHzに固定し、被記録媒体への記録を行い、インク粘度が9cPとなるようヘッド温度を調整し、1時間連続印字したときの、ドット抜け及びインクの飛び散りの有無を目視にて観察し、前記基準により評価した。その結果、ドット抜け、又は、インクの飛び散りが10本以上発生した。
Figure 2012179900
Figure 2012179900
Figure 2012179900
本発明のインクジェット記録方法によれば、光沢性が高く、画像筋ムラが目立たず、ノズル欠けによる白抜けがない優れた画像を得ることができる。
100:ノズルプレート
101:酸化ケイ素膜
102:吐出口
103:インク吐出側の面
104:エッジ
105:保護層
106:ノズルプレート表面の金属層
107:ノズル内の金属層

Claims (14)

  1. (成分A−1)式(1)で表される化合物、及び、(成分B)重合開始剤を含有し、25℃における表面張力が34.0〜39.0mN/mであるインク組成物を、インク吐出側の面が親インク処理されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドから、被記録媒体上に吐出し画像を形成する画像形成工程、並びに、
    吐出された前記インク組成物に活性放射線を照射して硬化させる硬化工程、
    を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
    Figure 2012179900
    (式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表す。)
  2. 前記インク組成物が(成分A−2)N−ビニルラクタム類を更に含有する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インク組成物が(成分A−3)炭素数5〜10の炭化水素ジオールのジアクリレートを更に含有する、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記画像形成工程におけるインク組成物の打滴体積が7pL以上100pL以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記画像形成工程におけるインク組成物の打滴体積が7pL以上40pL以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記画像形成工程における吐出周波数が8〜80kHzである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記画像形成工程における画像形成が打滴体積の異なる複数の前記インク組成物を組み合わせて吐出するグレースケール印刷であり、前記打滴体積を3段階〜8段階に可変させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記画像形成工程における画像形成がインクジェットヘッドを双方向に操作するシャトルスキャン方式で行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、ダイアモンド状炭素、金属、半金属酸化物、金属酸化物、半金属窒化物、及び金属窒化物よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金、鉄、ステンレス、チタン、タンタル、プラチナ、ロジウム、ニッケル、クロム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金、ステンレス、及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金及び酸化ケイ素よりなる群から選ばれた少なくとも1種により形成された層を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記ノズルプレートが、インク吐出側の面の少なくとも一部に、金により形成された層を備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法により記録された印刷物。
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