JP5244424B2 - インク組成物、インクジェット記録方法及び印刷物 - Google Patents

インク組成物、インクジェット記録方法及び印刷物 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録用として好適に用いられるインク組成物、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、前記インク組成物を用いて得られた印刷物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。中でもインクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出して被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット方式によれば、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の被記録媒体にも印字可能であるが、印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっており、印字後の液滴の乾燥、硬化に要する時間が、画像の鮮鋭度に大きく影響する性質を有している。
インクジェット方式の一つとして、活性放射線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、印字後直ちに放射線照射し、インク液滴を硬化させることで鮮鋭な画像を形成することができる。
このような硬化性インク組成物は、発色性に優れた高精細画像を形成することが求められている。
一方、透明インクにて無色透明な性質を要求される場合や、白色のインクにて高い白色度を要求される場合に、紫外線照射によって黄色に着色しやすい紫外線硬化インクを改良する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、少なくとも重合性化合物、光重合開始剤、重合促進剤、蛍光増白剤を含有し、光重合開始剤の吸収波長帯と蛍光増白剤の発光波長帯に重なり合う部分があることを特徴とするインク組成物が開示されている。
また、特許文献2には、着色剤、重合性化合物及び光重合開始剤を含有する、複数のインクからなるインクセットにおいて、該インクの少なくとも1つが白色顔料を含む白色インクであって、該白色インクが蛍光増白剤を含有することを特徴とするインクセットが開示されている。
特開2006−274025号公報 特開2005−126584号公報
特許文献1に記載のインク組成物は、蛍光増白剤の吸収と光重合開始剤の吸収の重なりによる感度低下を避けるために、長波長に光吸収を持つ開始剤を使用して、蛍光増白剤の発光波長と重なりを持つことを特徴としている。しかし、白色インクに高濃度の酸化チタンを使用した場合には、感度の低下を十分に抑制することができない。
また、特許文献2には、蛍光増白剤による光重合性の白色インクを含むインクセットによる白色インクの色味の改良が提案されているが、同様に、低感度化を十分に抑制することができない。
本発明が解決しようとする課題は、良好な色相を有し、かつ、活性放射線の照射により高感度で硬化し得る、白色顔料を含有するインク組成物、これを用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することである。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
<1> (A)白色顔料、(B)色相調整用の色素、(C)重合性化合物、及び、(D)重合開始剤を含有し、前記(A)白色顔料の重量に対する前記(B)色相調整用の色素の重量の比が0.0001以上0.1以下であることを特徴とするインク組成物、
<2> 前記(A)白色顔料が酸化チタンである、<1>に記載のインク組成物、
<3> 前記(A)白色顔料の含有量が、インク組成物の総量に対して10重量%以上である、<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4> 前記(B)色相調整用の色素の極大吸収波長が560nm以上である、<1>〜<3>いずれか1つに記載のインク組成物、
<5> ラジカル重合性又はカチオン重合性である、<1>〜<4>いずれか1つに記載のインク組成物、
<6> (a1)被記録媒体上に、<1>〜<5>いずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法、
<7> <6>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
本発明により、良好な色相を有し、かつ、活性放射線の照射により高感度で硬化し得る、白色顔料を含有するインク組成物、これを用いたインクジェット記録方法及び印刷物を提供することができた。
I.インク組成物
本発明のインク組成物は、(A)白色顔料、(B)色相調整用の色素、(C)重合性化合物、及び、(D)重合開始剤を含有し、前記(A)白色顔料の重量に対する前記(B)色相調整用の色素の重量の比が0.0001以上0.1以下であることを特徴とする。
以下、本発明のインク組成物について詳細に説明する。
なお、明細書中「10〜30重量%」等の数値範囲の記載は、特に断りのない限り「10重量%以上、30重量%以下」と同義である。
1.(A)白色顔料、及び、(B)色相調整用の色素
着色剤として白色顔料、特に白色顔料として酸化チタンを使用したインク組成物では、白色顔料が400nm以下、特に380nm以下の波長で吸収を有する。そのため、重合開始剤や増感剤は、380nmを超える波長での吸収を有する必要があるため、黄色の着色が問題となっていた。
一方、蛍光増白剤を使用して色相の改良を行うと、蛍光増白剤も重合開始剤と同様に380nmを超える波長での吸収を有するため、重合開始剤の光の吸収を阻害することとなり、感度の低下を招くという問題があった。
本発明は、好ましくは黄色の補色であり、より好ましくは極大吸収波長が560nm以上である(B)色相調整用の色素を所定量添加することにより、感度の低下を招くことなく黄色の着色を打ち消すものである。従って、本発明によれば蛍光増白剤を用いることなく黄色の着色を打ち消すことができるため、感度の低下を招くことなく白色のインク組成物を提供することができる。
本発明のインク組成物は、活性放射線の照射により硬化可能である。
本発明でいう「活性放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明において、インク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
(A)白色顔料
本発明のインク組成物は、白色顔料を含有する。
白色顔料としては、特に限定されず、例えば、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)、中空ポリマー粒子などが利用可能である。
なお、これらの白色顔料は、必要に応じて表面処理を行ってもよい。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく、化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
酸化チタンは特に限定されず、白色顔料として使用されている公知の酸化チタンから適宜選択して使用することができる。ルチル型二酸化チタン及びアナターゼ型二酸化チタンのいずれも使用することができるが、触媒活性能が低く、経時安定性に優れる点からルチル型二酸化チタンが好ましく使用される。
酸化チタンは上市されており、例えば、Tipaque CR60−2、Tipaque A−220(いずれも、石原産業(株)製)が例示できる。
本発明において、白色顔料のインク組成物への添加量は、インク組成物の総量に対して10重量%以上であることが好ましい。
従来の白色インク組成物では、白色顔料の添加量が多い場合には、活性放射線に対する感度の低下が生じていた。本発明のインク組成物は、蛍光増白剤を使用しないため、白色顔料のインク組成物への添加量が10重量%以上である場合でも、活性放射線に対する高感度を維持することができる。
白色顔料のインク組成物への添加量は、インク組成物の総量に対して10〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは12〜25重量%であり、さらに好ましくは15〜23重量%である。添加量が10重量%以上であると、優れた隠蔽性が得られる。また、添加量が30重量%以下であると、硬化性、特に硬化膜内部での硬化性が良好であるので好ましい。
白色顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
また、インク組成物に白色顔料を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、白色顔料100重量部に対し、1〜50重量部添加することが好ましい。
インク組成物において白色顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である後述する(C)重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、放射線硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、(C)重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低い重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
白色顔料の平均粒径は0.1〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3μmであり、さらに好ましくは0.15〜0.25μmである。また、最大粒径は1μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下である。最大粒径が上記範囲内となるように、白色顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、濾過条件を設定することが好ましい。また、遠心分離などの後処理によって大きな粒子を取り除くことも有効である。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性(特に沈降の抑止)、十分な隠蔽性及び硬化感度を維持することができる。
インク組成物中における白色顔料の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。
(B)色相調整用の色素
本発明のインク組成物は、(B)色相調整用の色素を含有する。
本発明に用いる(B)色相調整用の色素としては、重合開始剤による着色に対して補色となる波長範囲に極大吸収波長を有する色素を選択することが好ましい。
具体的には(B)色相調整用の色素は、560nm以上の波長範囲に極大吸収波長を有する色素であることが好ましく、560〜700nmの範囲に極大吸収波長を有する色素であることがより好ましく、580〜650nmの範囲に極大吸収波長を有する色素であることがさらに好ましい。上記の数値の範囲内であると、重合開始剤の使用による黄色の着色を打ち消すことができ、良好な色相の画像を得ることができる。
560nm以上の範囲に極大吸収波長を有する色素の中でも、560nm未満の範囲に別の極大吸収波長を有するものや、吸収スペクトルのすそが560nm未満にかかる色素でないものが好ましい。
(B)色相調整用の色素の極大吸収波長の測定方法としては、特に制限はなく、従来公知の測定機器を用いることができ、例えば、(株)島津製作所製の分光光度計UVIDFC−610、(株)日立製作所製の330型自記分光光度計、U−3210型自記分光光度計、U−3410型自記分光光度計、U−4000型自記分光光度計、ミノルタ社製CM−2022分光測色計等を用いて、吸光度スペクトルを測定し、極大吸収波長を求めることができる。
本発明に用いることができる(B)色相調整用の色素としては、公知の着色剤を用いることができ、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。本発明において好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない顔料を選択することが好ましい。
(顔料)
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される青又はシアン顔料等を好ましく用いることができ、例えばPigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60等が挙げられる。
(油溶性染料)
本発明で使用できる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に適用可能な前記油溶性染料のうち、(B)色相調整用の色素としてはシアン染料が好ましい。
シアン染料としては、インドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてシアンを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2、11、25、35、38、67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7等が挙げられる。
また、着色剤として油溶性染料を使用する際、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としてはC.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
これらの(B)色相調整用の色素は重合開始剤による着色に対する補色となるように、使用する重合開始剤に応じて1種又は2種以上を適宜選択して用いることが好ましい。
なお、インク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を(B)色相調整用の色素として使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、さらに好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性及び硬化感度を維持することができる。
(A)白色顔料の重量に対する(B)色相調整用の色素重量の比(すなわち「(B)色相調整用の色素の重量/(A)白色顔料の重量」)は、0.0001〜0.1であり、0.0001〜0.05であることが好ましく、0.001〜0.01がより好ましい。(A)白色顔料の重量に対する(B)色相調整用の色素の重量が0.1を超える場合には、色相調整用の色素による着色が生じ、色相に優れた画像が得られない。
(B)色相調整用の顔料は、(A)白色顔料と同様に、インク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用する重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散させた後、配合することが好ましい。あらかじめ分散させる場合には、(A)白色顔料と(B)色相調整用の顔料とを一緒に調製してもよく、別々に調製してもよい。
2.ラジカル重合性インク組成物、及び、カチオン重合性インク組成物
本発明のインク組成物は、上記(A)白色顔料及び(B)色相調整用の色素を所定の重量比で含有するものであればよく、ラジカル重合性インク組成物、又は、カチオン重合性インク組成物として用いることが可能であり、限定されない。以下、ラジカル重合性のインク組成物、カチオン重合性のインク組成物に用いる(C)重合性化合物、及び、(D)重合開始剤について詳細に説明する。
以下、それぞれのインク組成物を「本発明のラジカル重合性インク組成物」、「本発明のカチオン重合性インク組成物」ともいう。
2−1.ラジカル重合性インク組成物
本発明のラジカル重合性インク組成物は、前記(A)及び(B)の成分の他に、(C)重合性化合物、及び、(D)重合開始剤を含有する。
(C)重合性化合物
本発明のラジカル重合性インク組成物は重合性化合物を含有し、重合性化合物として、芳香族単官能エチレン性不飽和化合物を含有することが好ましく、さらに、N−ビニルラクタム類、脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物、及び、多官能エチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することがより好ましい。
なお、本発明のインク組成物は、重合性化合物として、他の重合性化合物を併用することもできる。以下、それぞれについて詳述する。
<芳香族単官能エチレン性不飽和化合物及び脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物>
脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物及び芳香族単官能エチレン性不飽和化合物は、以下の式(C1)で表される単官能エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。なお、脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物とは、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂環式炭化水素基を有する単官能エチレン性不飽和化合物であり、芳香族単官能エチレン性不飽和化合物とは芳香族基を有する単官能エチレン性不飽和化合物である。また、単官能エチレン性不飽和化合物は、ラジカル重合性モノマーであり、重合性のあるエチレン性不飽和結合を1つのみ有するモノマーである。重合性のあるエチレン性不飽和結合を有する基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が好ましく例示できる。
なお、本発明において、脂肪族環状構造を有するラジカル重合性モノマーは、脂肪族環状構造の他にエチレン性不飽和結合を有しており、脂肪族環状構造内に有するエチレン性不飽和結合は、重合性のあるエチレン性不飽和結合に該当しない。また、芳香族単官能エチレン性不飽和化合物は、芳香族基の他に、エチレン性不飽和結合を1つ有する化合物である。
Figure 0005244424
上記式(C1)において、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は、単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(―C(O)NH−、又は、−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)―)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた第2の二価の連結基が結合してもよく、第1の二価の連結基のみ又は第2の二価の連結基を有する場合はエーテル結合、エステル結合及び炭素数20以下のアルキレン基を有するものが好ましい。
Yは単環芳香族基及び多環芳香族基を含む芳香族基又は脂環式炭化水素基であり、前記芳香族基及び脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を有していてもよく、前記芳香族基又は脂環炭化水素基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
上記式(C1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
また、X1はエステル結合(−C(O)O−)を有するものであることが好ましい。
すなわち、本発明において、脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物及び芳香族単官能エチレン性不飽和化合物は、アクリレート(アクリル酸エステル)又はメタクリレート(メタクリル酸エステル)であることが好ましい。
〔芳香族単官能エチレン性不飽和化合物〕
芳香族単官能エチレン性不飽和化合物は、以下の式(C2)で表される重合性モノマーであることが好ましい。
Figure 0005244424
式(C2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、R5は置換基を表し、uは0〜5の整数を表し、また、u個存在するR5はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよく、複数のR5がお互いに結合して環を形成してもよく、その環は芳香環であってもよい。
式(C2)中、R1として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
1は式(C1)におけるX1と同義である。式(C2)におけるX1のビニル基と結合する端部は、X1のカルボニル炭素とビニル基とが結合するカルボン酸エステル基又はアミド基であることが好ましく、より好ましくはエステル結合である。特に、H2C=C(R1)−C(O)O−の構造を有するものであることが好ましい。その場合、芳香環と結合するX1の他の部分は、単結合であっても、前記の基から任意に選択したものであってもよい。
1及びX1を含むビニル部分(H2C=C(R1)−X1−)は、芳香環の任意の位置で結合することができる。また、(A)白色顔料との親和性を向上させるという観点から、式(C2)におけるX1の芳香環と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましく、式(C2)におけるX1は−C(O)O(CH2CH2O)p−(pは1又は2を表す。)であることがさらに好ましい。
u個存在するR5は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、又は、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基であることが好ましい。
式(C2)中、複数のR5は、お互いに結合して環を形成している場合には、芳香環を形成していることが好ましい。
すなわち、式(C2)中、芳香族基として好ましいものは、単環芳香族であるベンゼンから1つ以上の水素を除いた基(フェニル基、フェニレン基等)のほか、2〜4つの環を有する多環芳香族基であり、限定されるものではない。具体的には、ナフタレン、アントラセン、1H−インデン、9H−フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェニレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアンデン等から1つ以上の水素原子を除いた基が例示できる。
これらの芳香族基は、O、N、S等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基であってもよい。具体的には、フラン、チオフェン、1H−ピロール、2H−ピロール、1H−ピラゾール、1H−イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、2H−ピラン、2H−チオピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール等の単環芳香族複素環化合物から、少なくとも1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
また、チアントレン、イソベンゾフラン、イソクロメン、4H−クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピロリジン、等の多環芳香族複素環化合物から、少なくとも1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
上記の芳香族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を1又は2以上有していてもよい。例えば無水フタル酸や無水フタルイミドのように芳香族基が有する2以上の置換基でO、N、S等のヘテロ原子を含む環状構造を形成してもよい。
本発明において、多環芳香族基としてさらに好ましいものは、2〜3つの環を有する多環芳香族基であり、特に好ましいものは、ナフチル基である。
芳香族単官能エチレン性不飽和化合物の具体例として[L−1]〜[L−71]が好ましく挙げられるが、下記に限定されるものではない。
Figure 0005244424
Figure 0005244424
Figure 0005244424
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Figure 0005244424
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Figure 0005244424
<脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物>
脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物は、下記式(C3)で表されるノルボルネン骨格を有する化合物であることがより好ましい。
Figure 0005244424
式(C3)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、エーテル基(−O−)、エステル基(−C(O)O−若しくは−OC(O)−)、アミド基(−C(O)NR’−)、カルボニル基(−C(O)−)、窒素原子(−NR’−)、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキレン基、又は、これらを2つ以上組み合わせた二価の基であることが好ましい。なお、R’は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表す。R2は置換基を表し、rは0〜5の整数を表し、qは環状炭化水素構造を表し、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外にカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよく、r個存在するR2はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよく、また、ノルボルネン骨格中の一炭素原子をエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよい。
式(C3)中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
式(C3)におけるX1のビニル基と結合する端部は、X1のカルボニル炭素とビニル基とが結合するエステル基又はアミド基であることが好ましく、より好ましくはエステル結合である。特に、H2C=C(R1)−C(O)O−の構造を有するものであることが好ましい。その場合、ノルボルネン骨格と結合するX1の他の部分は、単結合であっても、前記の基から任意に選択したものであってもよい。
1及びX1を含むビニル部分(H2C=C(R1)−X1−)は、脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。なお、「各脂環式炭化水素構造上」とは、式(C3)におけるノルボルネン構造上及びqを含む環状炭化水素構造上を指す。
また、(A)白色顔料との親和性を向上させるという観点から、式(C3)におけるX1の脂環式炭化水素構造と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましく、式(C3)におけるX1は−C(O)O(CH2CH2O)p−(pは1又は2を表す。)であることがさらに好ましい。
式(C3)におけるR2はそれぞれ独立に置換基を表し、脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、r個存在するR2はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
r個存在するR2は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
2の置換数rは0〜5の整数を表す。
式(C3)におけるqは、環状炭化水素構造を表し、その両端はノルボルネン骨格の任意の位置で置換していてもよく、単環構造であっても、多環構造であってもよく、また、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外に、カルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。
前記式(C3)で表されるモノマーとしては、式(C4)又は式(C5)で表されるモノマーであることが好ましい。なお、式(C5)中の環状炭化水素構造中の不飽和結合は、ラジカル重合性が低く、本発明において、式(C5)で表される化合物は単官能エチレン性不飽和化合物である。
Figure 0005244424
式(C4)及び式(C5)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、s及びtはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR3及びt個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(C4)又は式(C5)におけるR1及びX1は、式(C3)におけるR1及びX1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(C4)又は式(C5)におけるR1及びX1を含むビニル部分は、式(C4)又は式(C5)における下記に示す各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。
Figure 0005244424
式(C4)又は式(C5)におけるR3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、式(C4)又は式(C5)における上記各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。R3及びR4における置換基は、式(C4)のR2における置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(C4)又は式(C5)におけるs及びtはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR3及びt個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(C3)で表されるモノマーとして、単官能アクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
Figure 0005244424
式(C3)で表されるモノマーとして、単官能メタクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
Figure 0005244424
式(C3)で表されるモノマーとして、単官能アクリルアミドの好ましい具体例を以下に示す。
Figure 0005244424
<N−ビニルラクタム類>
本発明において、重合性化合物として、N−ビニルラクタム類を使用することが好ましい。本発明に用いることができるN−ビニルラクタム類の好ましい例として、下記式(C6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005244424
式(C6)中、mは1〜5の整数を表し、インク組成物が硬化した後の柔軟性、支持体との密着性、及び、原材料の入手性の観点から、mは2〜4の整数であることが好ましく、mが2又は4であることがより好ましく、mが4である、すなわちN−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の支持体への密着性が得られるので好ましい。
また、上記N−ビニルラクタム類は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造を連結していてもよい。上記N−ビニルラクタム類はインク組成物中に1種のみ含有されていてもよく複数種含有されていてもよい。
<多官能モノマー>
ラジカル重合性モノマーとしてアクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニルオキシ基、及びN−ビニル基よりなる群から選択されるエチレン性不飽和二重結合基を2つ以上有する多官能モノマーをあわせて使用することもできる。多官能モノマーを含有することで、高い硬化膜強度を有するインク組成物が得られる。
多官能モノマーは具体的には、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、変性グリセリントリアクリレート、変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
中でも、環状構造を有していない非環状多官能モノマーが好ましい。
本発明に用いることができるラジカル重合性インク組成物の全体に対する重合性化合物の総量は40〜95重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、60〜85重量%含有することがさらに好ましい。上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適度であるため好ましい。
本発明において、重合性化合物として芳香族単官能エチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。
この場合、芳香族単官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、インク組成物全体の10〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜70重量%であり、さらに好ましくは20〜60重量%である。
本発明において、N−ビニルラクタム類を用いる場合は、インク組成物全体の5重量%〜50重量%含有することが好ましく、より好ましくは8重量%〜40重量%であり、さらに好ましくは、10重量%〜30重量%である。上記範囲において他の重合性化合物との良好な共重合性を示し、硬化性、耐ブロッキング性に優れるインク組成物が得られるので好ましい。
また、脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物を使用する場合には、インク組成物全体の5〜50重量%含有することが好ましく、8〜40重量%含有することがより好ましく、10〜35重量%含有することがさらに好ましい。
硬化膜の基材(被記録媒体)密着性を保持する観点で、多官能モノマーがインク組成物全体に占める割合は、50重量%以下であることが好ましい。より好ましくは45重量%以下である。特に柔軟な硬化膜を得るためには30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
重合性化合物の全体に対する脂肪族環状構造を有する単官能エチレン性不飽和化合物、N−ビニルラクタム類及び芳香族単官能エチレン性不飽和化合物の総量は15重量%以上であることが好ましい。
インク組成物における含有量が上記範囲内であると低粘度であり、硬化性が良好なインク組成物を得ることができるので好ましい。また、インク組成物を硬化させた硬化膜の表面のベタツキがなく柔軟性に優れた硬化膜を得ることができるので好ましい。
<その他の重合性化合物>
重合性化合物として、下記非環状単官能モノマーをあわせて使用することもできる。非環状単官能モノマーは比較的低粘度であり、例えば、インク組成物を低粘度化する目的においても好ましく使用できる。ただし、硬化膜のべとつきを抑えることや、成形加工時にキズ等を発生させない高い膜強度を与えるという観点で、下記非環状単官能モノマーがインク組成物全体に占める割合は、20重量%以下であることが好ましい。より好ましくは15重量%以下である。
具体的には、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリテトラエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン(メタ)アクリル系モノマーあるいはプレポリマー、エポキシ系モノマーあるいはプレポリマー、ウレタン系モノマーあるいはプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いられる。
具体例としては、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、n−セチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、n−トリデシルメタクリレート、n−セチルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート等が挙げられ、さらに具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
さらに、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。本発明においてビニルエーテル化合物は特に低粘度化の目的で好ましく使用されるが、添加量が多くなると硬化性の劣化や硬化膜表面のべたつきを引き起こすことがあり、ビニルエーテル化合物の添加量はインク組成物の全体に対して20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明においては、上述した重合性化合物として列挙されているモノマーは、反応性が高く、粘度が低く、また、記録媒体への密着性に優れる。
(D)重合開始剤
本発明のラジカル重合性インク組成物は、(D)重合開始剤を含有する。本発明において、重合開始剤(光重合開始剤)としては、公知のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。本発明に用いることができる重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤を併用することもでき、重合性化合物としてカチオン重合性化合物を併用する場合には、カチオン重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明に用いることのできる重合開始剤は、活性放射線の照射により重合開始種を生成する化合物である。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できるが、装置コストや操作上の安全性の観点から、紫外線又は可視光線が好ましい。
具体的な重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Review, 93, 435 (1993)や、R. S. Davidson著、Journal of Photochemistry and Biology A: Chemistry, 73. 81 (1993)や、J. P. Faussier, Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications: Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology (1998)や、M. Tsunooka et al., Prog. Polym. Sci., 21, 1 (1996)に多く記載されている。また、(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)に化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が多く記載されている。さらには、F. D. Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990)、G. G. Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993)、H. B. Shuster et al, JACS, 112, 6329 (1990)、I. D. F. Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、増感剤の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
本発明において、光重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド化合物及びα−アミノアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有することが好ましい。光重合開始剤として上記化合物を使用すると、特に高感度で硬化させることができるので好ましい。好ましく用いることができるアシルホスフィンオキサイド化合物及びα−アミノアセトフェノン化合物は以下の通りである。
<アシルホスフィンオキサイド化合物>
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、下記式(D1)又は下記式(D2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005244424
前記式(D1)中のR1及びR2は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、複素環基を表し、R3は、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表す。前記R1とR2は結合して5員環〜9員環を形成してもよい。前記環構造は、環構造中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環であってもよい。
前記R1、R2又はR3で表される脂肪族基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基がより好ましい。また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。また、鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、前記アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキル基の場合と同様である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
前記置換アルキル基の置換基としては、−COOH(カルボキシ基)、−SO3H(スルホ基)、−CN(シアノ基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、−OH(ヒドロキシ基)、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンは、陽イオンを形成し得る基であり、有機カチオン性化合物、遷移金属配位錯体カチオン(特許2791143号公報に記載の化合物等)又は金属カチオン(例えば、Na+、K+、Li+、Ag+、Fe2+、Fe3+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Al3+等)が好ましい。
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、前記アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30個が好ましく、2〜20個がより好ましい。また、前記アルケニル基は、置換基を有する置換アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、前記アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30個が好ましく、2〜20個がより好ましい。また、前記アルキニル基は、置換基を有する置換アルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル側鎖を有するアラルキル基が挙げられ、前記アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35個が好ましく、7〜25個がより好ましい。また、前記アラルキル基は、置換基を有する置換アラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。また、アラルキル基のアリール部分が置換基を有していてもよく、前記置換基としては前記アルキル基の場合と同様の置換基及び炭素数30以下の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が例示できる。
前記R1、R2又はR3で表される芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30個が好ましく、6〜20個がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基及び炭素数30以下の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられる。
前記R1又はR2で表される脂肪族オキシ基としては、炭素数1〜30個のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシエトキシ基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
前記R1又はR2で表される芳香族オキシ基としては、炭素数6〜30個のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、メチルフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、オクチルオキシフェニルオキシ基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
前記R1、R2又はR3で表される複素環基としては、N、O又はS原子を含む複素環基が好ましく、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピロリル基等が挙げられる。
Figure 0005244424
前記式(D2)中のR4及びR6は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、複素環基を表し、R5は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環基を表す。
前記R4、R5又はR6で表される、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、前記式(D1)における場合と同様の置換基が挙げられる。
前記式(D2)におけるアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基としては、前記式(D1)における場合と同義である。
前記式(D1)で表される化合物は、下記式(D3)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0005244424
式(D3)中、R7及びR8はそれぞれ独立に、フェニル基、メトキシ基、又は、イソプロポキシ基を表し、R9は2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−メチルフェニル基(o−トルイル基)、イソブチル基、又は、t−ブチル基を表す。
前記式(D2)で表される化合物は、下記式(D4)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0005244424
式(D4)中、R10及びR12はそれぞれ独立に、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、又は、2,6−ジメトキシフェニル基を表し、R11はフェニル基、又は、2,4,4−トリメチルペンチル基を表す。
前記式(D1)又は(D2)で表されるアシルホスフィンオキサイド化合物としては、例えば、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることできる。
具体的なアシルホスフィンオキサイド化合物の例としては、以下に示す化合物(例示化合物(P−1)〜(P−26))が挙げられるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 0005244424
Figure 0005244424
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイド化合物及びビスアシルホスフィンオキサイド化合物等を使用することができ、モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、公知のモノアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することができる。例えば特公昭60−8047号公報、特公昭63−40799号公報に記載のモノアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、イソブチリル−メチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、o−トルイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、p−三級ブチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、o−トルイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、p−三級ブチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、3−ピリジルカルボニル−ジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−フェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイル−ビス−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、p−トルイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、4−(三級ブチル)−ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチル−シクロヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル及びピバロイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル等が挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては公知のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が使用できる。例えば特開平3−101686号、特開平5−345790号、特開平6−298818号の各公報に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−クロルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、本発明において、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE 819:チバスペシャルティケミカルズ社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(DAROCUR TPO:チバスペシャルティケミカルズ社製、LUCIRIN TPO:BASF社製)などが好ましい。
<α−アミノアセトフェノン化合物>
α−アミノアセトフェノン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用することもできる。
前記α−アミノアセトフェノン化合物としては下記の式(D5)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0005244424
式中X1は下記(a)、(b)又は(c)で表される基を表す。
Figure 0005244424
式中pは0又は1である。
Figure 0005244424
式中qは0〜3の整数であり、rは0又は1である。
Figure 0005244424
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子、OH基、炭素数1〜12個のアルキル基(なお、特に断りのない場合、アルキル基とは直鎖状又は分岐状のアルキル基を意味する。本発明において、以下、同様。)、炭素数1〜12個のアルコキシ基、芳香環基、又は、複素環基を表す。前記芳香環基としては、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく例示できる。また、前記複素環基としては、フリル基、チエニル基、又は、ピリジル基が好ましく例示できる。
Yにおけるアルキル基、アルコキシ基、芳香環基、及び、複素環基は置換基を有していてもよい。
Yにおけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、OH基、ハロゲン原子、−N(X102(X10は水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数3〜5個のアルケニル基、炭素数7〜9個のフェニルアルキル基、炭素数1〜4個のヒドロキシアルキル基、もしくはフェニル基を表す。)、炭素数1〜12個のアルコキシ基、−COOR(Rは炭素数1〜18個のアルキル基を表す。)、−CO(OCH2OCH2nOCH3(nは1〜20の整数を表す。)、又は、−OCOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)が挙げられる。
Yにおけるアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、−COOR(Rは炭素数1〜18個のアルキル基を表す。)、又は、−CO(OCH2CH2nOCH3(nは1〜20の整数を表す。)が挙げられる。
Yにおける芳香環基又は複素環基が有していてもよい置換基としては、−(OCH2CH2nOH(nは1〜20の整数を表す。)、−(OCH2CH2nOCH3(nは1〜20の整数を表す。)、炭素数1〜8個のアルキルチオ基、フェノキシ基、−COOR(Rは炭素数1〜18個のアルキル基を表す。)、−CO(OCH2CH2nOCH3(nは1〜20の整数を表す。)、フェニル基、又は、ベンジル基が挙げられる。
これら置換基は、可能であれば2以上有していてもよく、可能であれば、置換基をさらに置換していてもよい。
また、式中、X12は水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、又は、フェニル基を表す。X13、X14及びX15は互いに独立して水素原子、又は、炭素数1〜4個のアルキル基を表す。X13とX14とは架橋して炭素数3〜7個のアルキレン基を形成してもよい。
式中X2は前記X1と同じ基、炭素数5もしくは6のシクロアルキル基、炭素数1〜12個のアルキル基、又は、フェニル基を表す。
2におけるアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
2におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は、フェニル基が挙げられる。
2におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルキル基、又は、炭素数1〜4個のアルコキシ基が挙げられる。
これら置換基は、可能であれば2以上有していてもよく、可能であれば、置換基をさらに置換していてもよい。
また、式中X1とX2とは架橋して次式で表される基を形成してもよい。
Figure 0005244424
式中X3は水素原子、炭素数1〜12個のアルキル基、炭素数3〜5個のアルケニル基、炭素数5〜12個のシクロアルキル基、又は、炭素数7〜9個のフェニルアルキル基を表す。
3におけるアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及び、フェニルアルキル基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、OH基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、−CN、又は、−COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)が挙げられる。
式中X4は炭素数1〜12個のアルキル基、炭素数3〜5個のアルケニル基、炭素数5〜12個のシクロアルキル基、炭素数7〜9個のフェニルアルキル基、又は、フェニル基を表す。
4におけるアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
4におけるアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及び、フェニルアルキル基が有していてもよい置換基としては、OH基、炭素数1〜4個のアルコキシル基、−CN、又は、−COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)が挙げられる。また、X4におけるアルキル基が置換基を有する場合、置換されるアルキル基の炭素数は2〜4個であることが好ましい。
4におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、又は、−COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)が挙げられる。
ここで、X2とX4とは架橋して炭素数1〜7個のアルキレン基、炭素数7〜10個のフェニルアルキレン基、o−キシリレン基、2−ブテニレン基、又は、炭素数2もしくは3のオキサ−もしくはアザ−アルキレン基を形成してもよい。
また、X3とX4とは架橋して炭素数3〜7個のアルキレン基を形成してもよい。
3とX4とが架橋して形成するアルキレン基は、置換基として、OH基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、又は、−COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキルを表す。)を有していてもよく、また、結合中に−O−、−S−、−CO−、又は、−N(X16)−(X16は水素原子、炭素数1〜12個のアルキル基、又は、結合鎖中に1もしくは2以上の−O−、炭素数3〜5個のアルケニル基、炭素数7〜9個のフェニルアルキル基、炭素数1〜4個のヒドロキシアルキル基、−CH2CH2CN、−CH2CH2COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、炭素数2〜8個のアルカノイル基もしくはベンゾイル基を介在させた炭素数1〜12個のアルキル基を表す。)を介在させてもよい。
式中X5、X6、X7、X8、X9は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルキル基、炭素数5もしくは6のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、−OX17基、−SX18基、−SO−X18基、−SO2−X18基、−N(X19)(X20)基、−NH−SO2−X21基、又は、次式で表される基を表す。
Figure 0005244424
式中、Zは−O−、−S−、−N(X10)−X11−N(X10)−又は次式で表される基を表す。X1、X2、X3及びX4は前記式(D5)と同義である。
Figure 0005244424
式中X10は前記と同じ、X11は炭素数が2〜16個の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、又はこれらの鎖中に1以上の−O−、−S−、もしくは−N(X10)−が介在する炭素数が2〜16個の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基(X10は前記と同じ)を表す。
17は水素原子、炭素数1〜12個のアルキル基、−(CH2CH2O)nH(nは2〜20の整数)、炭素数2〜8個のアルカノイル基、炭素数3〜12個のアルケニル基、シクロヘキシル基、ヒドロシクロヘキシル基、フェニル基、炭素数7〜9個のフェニルアルキル基、又は、−Si(R4r(R53-r(R4は炭素数1〜8個のアルキル基、R5はフェニル基、rは1、2もしくは3)を表す。
17におけるアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
17におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、−CN、−OH、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数3〜6個のアルケニルオキシ基、−OCH2CH2CN、−CH2CH2COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、−COOH、又は、−COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)が挙げられる。また、X17におけるアルキル基が置換基を有する場合、置換されるアルキル基の炭素数は1〜6個であることが好ましい。
17におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルキル基、又は、炭素数1〜4個のアルコキシ基が挙げられる。
18は水素原子、炭素数1〜12個のアルキル基、炭素数3〜12個のアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、又は、炭素数7〜9個のフェニルアルキル基を表す。
18におけるアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
18におけるアルキル基が有していてもよい置換基は、−SH、−OH、−CN、−COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、炭素数1〜4個のアルコキシ基、−OCH2CH2CN、又は、−OCH2CH2COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキルを表す。)が挙げられる。
18におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルキル基、又は、炭素数1〜4個のアルコキシ基が挙げられる。
19及びX20は互いに独立して水素原子;炭素数1〜12個のアルキル基;炭素数2〜4個のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜10個のアルコキシアルキル基;炭素数3〜5個のアルケニル基;炭素数5〜12個のシクロアルキル基;炭素数7〜9個のフェニルアルキル基;フェニル基;ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルキル基もしくは炭素数1〜4個のアルコキシ基により置換されたフェニル基;又は炭素数2若しくは3のアルカノイル基;又はベンゾイル基を表す。また、X19とX20とは架橋して炭素数2〜8個のアルキレン基、又は、OH基、炭素数1〜4個のアルコキシ基もしくは−COOR(Rは炭素数1〜4個のアルキル)基により置換された炭素数2〜8個のアルキレン基;結合鎖中に−O−、−S−もしくは−N(X16)−を介在させた炭素数2〜8個のアルキレン基(X16は前記と同じ)を形成してもよい。
21は炭素数1〜18個のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;又は、ハロゲン原子、炭素数1〜12個のアルキル基もしくは炭素数1〜8個のアルコキシ基によって置換されたフェニル基もしくはナフチル基を表す。
式(D5)は式(d)で表されることがより好ましい。
Figure 0005244424
式(d)中、X1及びX2はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、又は、ベンジル基を表し、−NX34はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基又は、モルフォリノ基を表し、X5は、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数1〜8個のアルコキシ基、炭素数1〜8個のアルキルチオ基、ジメチルアミノ基、又は、モルフォリノ基を表す。これらの中でも−NX34はジメチルアミノ基、又は、モルフォリノ基であることがより好ましい。
さらに、α−アミノアセトフェノン化合物として、上記式(D5)で表される化合物の酸付加物塩を使用することもできる。
また、市販のα−アミノアセトフェノン化合物として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製からイルガキュア907(IRGACURE 907)、イルガキュア369(IRGACURE 369)、イルガキュア379(IRGACURE 379)の商品名で入手可能な重合開始剤が例示できる。
α−アミノアセトフェノン化合物として、具体的には、以下の化合物が例示できる。
例えば、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−エチルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(IRGACURE 369)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォルニル)フェニル]−1−ブタノン(IRGACURE 379)などが挙げられる。
<その他のラジカル重合開始剤>
本発明において、ラジカル重合開始剤として、その他のラジカル重合開始剤を含有することができる。その他のラジカル重合開始剤としてはα−ヒドロキシアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物が例示できる。
〔α−ヒドロキシアセトフェノン化合物〕
α−ヒドロキシアセトフェノン化合物は、下記式(D6)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005244424
式(D6)中、R1は水素原子、炭素数1〜10個のアルキル基、又は、炭素数1〜10個のアルコキシ基を表す。R2、R3は互いに独立して、水素原子、又は、炭素数1〜10個のアルキル基を表す。また、R2とR3は結合して炭素数4〜8個の環を形成していてもよい。
上記アルキル基、アルコキシ基、アルキル基及び炭素数4〜8個の環は、置換基を有していてもよく、置換基としては式(D1)で挙げた置換基を例示できる。
α−ヒドロキシアセトフェノン類としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCURE 1173)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルブタン−1−オン、1−(4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−カルボエトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959)などが挙げられる。
また、市販のα−ヒドロキシアセトフェノン化合物として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製からイルガキュア184(IRGACURE 184)、ダロキュア1173(Darocur 1173)、イルガキュア127(IRGACURE 127)、イルガキュア2959(IRGACURE 2959)の商品名で入手可能な重合開始剤も使用することができる。
〔オキシムエステル化合物〕
オキシムエステル化合物は、下記式(D7)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005244424
式中、Ar1は、ナフタレン構造、アントラセン構造、アントラキノン構造、ベンゾフェノン構造、チアントレン構造、フェノキサチアン構造、ジフェニルチオエーテル構造、チオキサントン構造、及びモルホリノベンゼン構造からなる群から選ばれる構造を表す。中でも、ナフタレン構造、アントラキノン構造、ベンゾフェノン構造、ジフェニルチオエーテル構造、チオキサントン構造、及びモルホリノベンゼン構造が好ましく、チオキサントン構造が特に好ましい。Ar2は、フェニル基を表す。これらの構造又は基は、メチル基、エチル基等のアルキル基、ハロゲン原子、−CN(シアノ基)等の置換基を有していてもよい。
nは、1又は2の整数を表す。nが1のとき、Mは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20個のアルキル基、シクロプロパン基、シクロヘキサン基等の炭素数5〜8個のシクロアルキル基、アセチルオキシ基、プロピノイルオキシ等の炭素数2〜20個のアルカノイル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル等の炭素数2〜12個のアルコキシカルボニル基、複数のポリメチレン基がエーテル結合によって連結された二価の基の1つの結合手にアルコキシ基が連結された一価の基、フェニル基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、フェノキシカルボニル基、炭素数7〜13個のアラルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜13個のアラルキルオキシカルボニル基、又は炭素数1〜6個のアルキルチオ基を表す。これらの中でも、Mが炭素数1〜20個のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
nが2のとき、Mは、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜12個のアルキレン基、テトラメチレン基等の炭素数3〜12個のポリメチレン基、オキシプロピレンオキシ基、オキシブチルオキシ基等の炭素数1〜12個のオキシアルキレンオキシ基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、−CO−O−A−O−CO−、−CO−O−(CH2CH2O)m−CO−、又は−CO−A−CO−を表し、Aは、炭素数2〜12個のアルキレン基を表し、mは、1〜20の整数を表す。これらの中でも、Mが炭素数1〜6個のアルキレン基、炭素数1〜6個のポリメチレン基、又はシクロヘキシレン基であることが好ましい。
オキシムエステル化合物として、具体的には、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
また、市販のオキシムエステル化合物として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製からイルガキュアOXE−01(1−(4−フェニルチオフェニル)−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム))、イルガキュアOXE−02(1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン−1−(O−アセチルオキシム))の商品名で入手可能な重合開始剤も使用することができる。
本発明のインク組成物において、重合開始剤の総使用量は、インク組成物に対して、好ましくは0.01〜35重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1.0〜15重量%の範囲である。0.01重量%以上であると、組成物を十分硬化させることができ、35重量%以下であると、硬化度が均一な硬化膜を得ることができる。
また、本発明において、重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することが好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物をインク組成物の総量に対して0.01〜35重量%使用することが好ましく、より好ましくは1〜25重量%であり、さらに好ましくは3〜20重量%である。
また、本発明のインク組成物に後述する増感剤を用いる場合、重合開始剤の総使用量は、増感剤に対して、重合開始剤:増感剤の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
2−2.カチオン重合性インク組成物
本発明のカチオン重合性インク組成物は、前記(A)及び(B)の成分の他に、(C)重合性化合物、及び、(D)重合開始剤を含有する。
以下、本発明に用いることができる、カチオン重合性の重合性化合物及び重合開始剤について説明する。
(C)重合性化合物
本発明のカチオン重合性インク組成物は、(C)重合性化合物として、カチオン重合性化合物を含む。
カチオン重合性化合物としては、放射線の照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物が好ましく、カチオン重合性化合物として知られる各種公知のカチオン重合性化合物を使用することができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドなどが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルケン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いることのできる単官能及び多官能のエポキシ化合物を詳しく例示する。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
本発明に使用できるオキセタン化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載される如き、公知のオキセタン化合物を任意に選択して使用できる。本発明のインク組成物に使用し得るオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、インク組成物等に適用した場合において、硬化後の組成物と被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本発明のインク組成物に使用される分子内に1〜2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(1)〜(3)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0005244424
a1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
a2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。また、Ra2は置換基を有していてもよく、置換基としては、1〜6のアルキル基、フッ素原子が挙げられる。
a3は、線状又は分枝状アルキレン基、線状又は分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基又はカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシ基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、又は、以下に示す基を表す。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
Figure 0005244424
a3が上記多価基である場合、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシ基、カルボキシ基、又はカルバモイル基を表す。
a5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、又は、C(CH32を表す。
a6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又は、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。
a7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基であり、mは0〜100の整数である。
Figure 0005244424
式(1)で表される化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(OXT−212:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(OXT−211:東亞合成(株)製)が挙げられる。式(2)で表される化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(OXT−121:東亞合成(株)製)が挙げられる。また、式(3)で表される化合物としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン(OXT−221:東亞合成(株)製)が挙げられる。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005244424
式(4)において、Ra1は、前記式(1)におけるRa1と同義である。また、多価連結基であるRa9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
Figure 0005244424
上記Aにおいて、Ra10はメチル基、エチル基又はプロピル基を表す。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に使用し得るオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記式(5)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005244424
式(5)において、Ra8は前記式におけるRa8と同義である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、特開2003−341217号公報、段落番号[0021]〜[0084]に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に使用し得る。
特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に使用することができる。当該化合物は、同公報の段落番号[0022]〜[0058]に詳細に記載されている。
カチオン重合性インク組成物は、カチオン重合性化合物を50〜90重量%含有することが好ましく、60〜80重量%含有することがより好ましい。
また、カチオン重合性インク組成物は、オキセタン化合物を30〜60重量%含有することが好ましく、2官能以上のオキセタン化合物を10〜30重量%含有することがより好ましい。
上記のエポキシ化合物及びオキセタン化合物以外にもカチオン重合性の化合物としてビニルエーテル化合物を使用してもよい。
ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテルと多官能ビニルエーテルを詳しく例示する。
単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
(D)重合開始剤
本発明のカチオン重合性インク組成物は、放射線の照射により酸を発生するカチオン重合開始剤を含有する。本発明においては、放射線の照射により発生した酸により、前記したカチオン重合性化合物の重合反応が生起し、硬化する。
本発明のインク組成物に用いることのできる重合開始剤としては、光カチオン重合の光重合、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている光(200nm〜400nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
このような重合としては、放射線の照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。
また、その他の本発明に用いられる重合開始剤としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、同第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、
J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73 (1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivelloetal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivelloetal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第3,902,114号、同4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開平7−28237号、同8−27102号等に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill et al,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1986)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、
S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,3571(1965)、P.M.Collins et al,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、 欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のO−ニトロベンジル型保護基を有する重合開始剤、
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同第618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号、特開平2−71270号等に記載のジスルホン化合物、特開平3−103854号、同3−103856号、同4−210960号等に記載のジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、M.E.Woodhouse et al,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas et al,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo etal,Makromol.Chem.,Rapid Commun.,9,625(1988)、Y.Yamada etal,Makromol.Chem.,152,153,163(1972)、J.V.Crivello et al,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。たとえば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する重合開始剤、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton et al,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
本発明に用いることができる重合開始剤として好ましい化合物として、下記式(b1)、(b2)、(b3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005244424
式(b1)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオ
ン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 -、PF6 -、SbF6 -や以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
Figure 0005244424
好ましい有機アニオンとしては下式に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 0005244424
Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基として炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rd1は、水素原子、アルキル基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基である。
Rc1、Rc3〜Rc5の有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフルオロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(b1−1)、(b1−2)、(b1−3)における対応する基を挙げることができる。
なお、式(b1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b1)で表される化合物のR201〜R203のうち少なくともひとつが、式(b1)で表される他の化合物におけるR201〜R203の少なくともひとつと直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
さらに好ましい(b1)成分として、以下に説明する化合物(b1−1)、(b1−2)、及び(b1−3)を挙げることができる。
化合物(b1−1)は、上記式(b1)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、さらに好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうち、いずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(b1−2)について説明する。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができ、直鎖、分岐2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができ、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
201〜R203の直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によってさらに置換されていてもよい。
化合物(b1−3)とは、以下の式(b1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 0005244424
式(b1−3)に於いて、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cのシクロアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖状若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、さらに好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、溶剤溶解性がより向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制されるので好ましい。
x及びRyとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
x及びRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基、シクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、さらに好ましくは8個以上のアルキル基、シクロアルキル基である。
式(b2)、(b3)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。X-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
使用してもよい活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、さらに、下記式(b4)、(b5)、(b6)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005244424
式(b4)〜(b6)中、Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206、R207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
重合開始剤のなかでも好ましいものとしては、式(b1)〜(b3)で表される化合物を挙げることができる。これらの重合開始剤の中でも、スルホニウム塩構造を有するものが好ましく、トリアリールスルホニウム塩構造を有するものがより好ましく、トリ(クロロフェニル)スルホニウム塩構造を有するものが特に好ましい。
本発明に用いることができるカチオン重合重合開始剤の好ましい具体例としては、特開2007−224149号公報に記載された(b−1)〜(b−96)等の化合物が挙げられる。トリ(クロロフェニル)スルホニウム塩構造を有する重合開始剤としては、化合物例(b−37)〜(b−40)が好ましく挙げられる。
また、特開2002−122994号公報、段落番号〔0029〕〜〔0030〕に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。
特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕〜〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用し得る。
重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物中の重合開始剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1重量%〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5重量%〜10重量%、さらに好ましくは1重量%〜7重量%である。
3.(E)その他の成分
本発明のインク組成物は、前記(A)〜(D)に加えて、増感剤、共増感剤、界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。
<増感剤>
本発明においては、重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、以下の化合物類に属しており、かつ350〜450nm域に吸収波長を有するものが好ましい。
増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)が挙げられる。
好ましくは、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレンなどの芳香族多縮環化合物、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーケトンなどの芳香族ケトン化合物、フェノチアジン、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物が挙げられる。
また、増感剤としては、下記式(IX)〜(XIII)で表される化合物がより好ましい。
Figure 0005244424
式(IX)中、A1は硫黄原子又は−NR50−を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA2及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。また、Wは式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
式(XII)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−又は−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と協働して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子又は−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67及びR64と、R65及びR67とは、それぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
式(IX)〜(XIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物(A−1)〜(A−20)などが挙げられる。
Figure 0005244424
Figure 0005244424
<共増感剤>
さらに、本発明のインク組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えてもよい。
このような共増感剤としては、アミン類、例えば、M. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号に記載の化合物等が挙げられ、より具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
他の共増感剤としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、より具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また他の共増感剤としては、例えば、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物には、例えば、インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤、重合禁止剤を添加することができる。
また、本発明のインク組成物には、さらに、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、射出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することができる。
また、本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。
また、本発明のインク組成物には、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる。
また、本発明のインク組成物には、この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
以下に、それぞれの添加剤について述べる。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
<重合禁止剤>
インク組成物の保存性を高める観点から添加され得る。また、本発明のインク組成物をインクジェット記録用インク組成物として使用する場合には、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。
<酸化防止剤>
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<褪色防止剤>
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<導電性塩類>
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
<溶剤>
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
<高分子化合物>
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシ基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
<塩基性化合物>
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
4.インク物性
本発明においては、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用することが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、さらに好ましくは7〜30mPa・sである。また吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。さらにインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の25℃における表面張力は、20〜35mN/mであることが好ましい。より好ましくは23〜33mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで35mN/m以下が好ましい。
II.インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として好適に使用される。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用インク組成物として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a1)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物である。
本発明のインクジェット記録方法における(a1)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上述したように、本発明のインク組成物のように放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いて、本発明のインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤ととも増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物の、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。したがって、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、LED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学工業(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源はUV−LEDであり、特に好ましくは350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、このような活性放射線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。
なお、本発明のインク組成物は、他色のインク組成物と組み合わせて、インクセットとして使用することもできる。例えば、シアン色のインク組成物、マゼンタ色のインク組成物、イエロー色のインク組成物とともに使用することが例示できる。また、ブラック色のインク組成物とともにインクセットとして使用することもできるし、ライトマゼンタ、ライトシアン等のインク組成物とともにインクセットとして使用することもできる。カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明のインクジェット記録方法には、本発明のインク組成物を含むインクセットを好適に使用することができる。吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の低い着色インク組成物から被記録媒体に付与することが好ましく、本発明のインク組成物(白色インク組成物)及びイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、本発明のインク組成物→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。さらに、本発明はこれに限定されず、ライトシアン、ライトマゼンタ色のインク組成物とシアン、マゼンタ、グレー、ブラック、ホワイト、イエローの濃色インク組成物の計7色が少なくとも含まれるインクセットをとして使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。
本発明において、被記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の被記録媒体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。また、本発明における被記録媒体として、非吸収性被記録媒体が好適に使用することができる。
(インクセット)
本発明のインク組成物を、インクセットとして用いる場合、本発明の白色インク組成物を少なくとも1つ含み、本発明以外のインク組成物とを組み合わせた2種以上のインク組成物を有するインクセットであれば、特に制限はないが、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトマゼンタ及びライトシアンよりなる群から選択される少なくとも一色のインク組成物と、本発明のインク組成物とを含むことが好ましい。
また、上記のインクセットは、本発明のインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
本発明のインク組成物を使用してフルカラー画像を得るためには、本発明のインク組成物と、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックよりなる4色の濃色インク組成物を組み合わせた、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色の濃色インク組成物であることが好ましい。また、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトよりなる5色の濃色インク組成物とライトシアン、ライトマゼンタのインク組成物を組み合わせたインクセットであることがさらに好ましい。
なお、本発明における「濃色インク組成物」とは、着色剤の含有量がインク組成物全体の1重量%を超えているインク組成物を意味する。前記着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤を用いることができ、顔料や油溶性染料が例示できる。
また、本発明のインクセットには、顔料以外の着色剤を1重量%以下で含有するインク組成物を含んでいてもよいことは言うまでもない。
本発明のインク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に印字し、その後、好ましくは、印字されたインク組成物に活性放射線を照射して硬化することで、本発明の印刷物を得ることができる。本発明の印刷物は、画像形成に用いられるインクが色相及び感度に優れるため、発色性と鮮鋭度に優れた高品質な画像を有することから、広汎な分野に適用し得る。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。以下、特に断りのない限り「部」は「部」を、「%」は「重量%」を意味する。
本発明で使用した素材は下記に示す通りである。
(A)白色顔料
・Tipaque CR60−2(ホワイト顔料(ルチル型二酸化チタン)、平均粒子径0.21μm、石原産業(株)製)
(B)色相調整用の色素
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(C)重合性化合物
(ラジカル重合性化合物)
・ファンクリルFA−512A(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、例示化合物M−11に相当、日立化成工業(株)製)
・N−ビニルカプロラクタム(NVC、Aldrich社製)
・NKエステルAMP−10G(PEA、フェノキシエチルアクリレート、新中村化学工業(株)製)
・Actilane 421(プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、Akcros社製)
・KAYARAD DPCA−60(DPCA、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製)
・NKエステルA−TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学工業(株)製)
・DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、ダイセルUCB社製)
(カチオン重合性化合物)
・アロンオキセタンOXT−221(3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン、東亞合成(株)製)
・アロンオキセタンOXT−212(3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、東亞合成(株)製)
・セロキサイド3000(1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ダイセル化学工業(株)製)
(D)重合開始剤
・Darocur TPO(アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・IRGACURE 819(アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・IRGACURE 184(α−ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・IRGACURE 369(α−アミノケトン系光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・IRGACURE 907(α−アミノケトン系光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・CPI−100P(トリアリールスルホニウム塩系光酸発生剤、サンアプロ(株)製)
Figure 0005244424
(E)その他の成分
(分散剤)
・Solsperse 36000(分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・Solsperse 28000(分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・DISPERBYK−111(分散剤、BYK Chemie社製)
(増感剤)
・9,10−ジブトキシアントラセン(増感剤、川崎化成工業(株)製)
(重合禁止剤)
・TINUVIN 770DF(ヒンダードアミン系重合禁止剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・FIRSTCURE ST−1(ニトロソ系重合禁止剤、Chem First社製)
Figure 0005244424
(界面活性剤)
・KF−353(シリコーン系界面活性剤、信越化学工業(株)製)
・BYK−307(ノニオン系界面活性剤、BYK Chemie社製)
(蛍光増白剤)
・Kayalight OS(蛍光増白剤、Clariant GmbH社製)
I.ラジカル重合性インク組成物
1.ラジカル重合性インク組成物の調製
(1)ミルベースの調製
(ホワイトミルベースAの調製)
・Tipaque CR60−2 500部
・NKエステルAMP−10G 465部
・Solsperse 36000 35部
上記の成分を撹拌混合し、ホワイトミルベースAを得た。なお、ホワイトミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
(シアンミルベースBの調製)
・IRGALITE BLUE GLVO 300部
・Actilane421 670部
・DISPERBYK−111 30部
上記の成分を撹拌混合し、シアンミルベースBを得た。なお、シアンミルベースBの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
(2)インク組成物の調製
表1に記載の成分を高速水冷式撹拌機によって撹拌し、実施例1〜3、比較例1〜2のインク組成物を作製した。
Figure 0005244424
2.ラジカル重合性インク組成物の評価
<<インクジェット記録方法>>
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度1,630mW/cm2、に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を1,500mJ/cm2となるようにした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサ・コーポレーション社製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡績(株)製)を用いた。
(連続吐出性評価方法)
30分間連続して、線幅0.5ポイントのラインを印字し、印字したラインが途切れたり、かすれたり、ラインの周囲にミストが発生したか否かを観察して、下記の基準で評価した。
3:ラインの途切れ、かすれ、及びミストは全く見られなかった。連続吐出性が極めて良好。
2:ラインの途切れはないものの、かすれ気味の箇所がわずかに見られるか、若干のミストが生じている箇所がわずかに見られた。連続吐出性良好。
1:ラインの途切れた箇所が見られるか、または、ひどいミストが発生している箇所が見られた。連続吐出性不良。
(色相)
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面を目視観察して、白地部分の色相を下記の基準で評価した。観察にはX−Rite社製標準光源装置、Spectra Light IIIを用いて、D65の光源でUV光有り・なしの2条件で観察を行った。
3:UV光の有無に関わらず良好な白地であると観察される。
2:UV光有りにおいてのみ良好な白地であると観察される。
1:UV光の有無に関わらず黄色味が強い白地である。
(隠蔽性)
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、黒紙の上に白地画像を重ねた状態で目視観察し、下記の基準で評価した。
3:白地の黒紙を十分に隠蔽しており、十分な隠蔽性であると観察される。
2:白地の黒紙がわずかに透けて見えるものの、実用上問題ない隠蔽性であると観察される。
1:白地の黒紙が透けて見え、隠蔽性が不十分である。
得られたインク組成物を用いて、インクジェット記録を行った。評価の結果を表2に示す。
Figure 0005244424
II.カチオン重合性インク組成物
1.カチオン重合性インク組成物の調製
(1)ミルベースの調製
(ホワイトミルベースCの調製)
・Tipaque CR60−2 500部
・OXT−221 465部
・Solsperse 36000 50部
上記の成分を撹拌混合し、ホワイトミルベースCを得た。なお、ホワイトミルベースCの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
(シアンミルベースDの調製)
・IRGALITE BLUE GLVO 200部
・OXT−221 730部
・Solsperse 28000 70部
上記の成分を撹拌混合し、シアンミルベースDを得た。なお、シアンミルベースDの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
(2)インク組成物の調製
表3に記載の成分を高速水冷式撹拌機によって撹拌し、実施例4及び比較例3〜4のインク組成物を作製した。
Figure 0005244424
2.インク組成物の評価
<<インクジェット記録方法>>
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に25℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、6〜42plのマルチサイズドットを300×300dpiの解像度で射出できるよう調整した。本実施例では、メディアの搬送速90mm/sec、駆動周波数1.9kHzとすることにより、24plにインクと出漁を制御し10g/m2の打滴を行い、ベタ印字画像を得た。資料は打滴された後、露光部に搬送され紫外発光ダイオード(UV−LED)により露光される。本実施例では日亜化学工業(株)製NCCU033を用いた。本LEDは1チップから365nmの紫外光を出力するものであって、約500mA電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、メディア表面で0.3mW/cm2のパワーが得られる。着弾から露光までの時間は0.5秒とした。
(色相)
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が9μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面を目視観察して、白地部分の色相を下記の基準で評価した。観察にはX−Rite社製標準光源装置、Spectra Light IIIを用いて、D65の光源でUV光有り・なしの2条件で観察を行った。
3:UV光の有無に関わらず良好な白地であると観察される
2:UV光有りにおいてのみ良好な白地であると観察される。
1:UV光の有無に関わらず黄色味が強い白地である
(隠蔽性)
上記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が9μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、黒紙の上に白地画像を重ねた状態で目視観察し、下記の基準で評価した。
3:白地の黒紙を十分に隠蔽しており、十分な隠蔽性であると観察される。
2:白地の黒紙がわずかに透けて見えるものの、実用上問題ない隠蔽性であると観察される。
1:白地の黒紙が透けて見え、隠蔽性が不十分である。
得られたインク組成物を用いて、インクジェット記録を行った。評価の結果を表4に示す。
Figure 0005244424

Claims (11)

  1. (A)白色顔料、
    (B)色相調整用の色素、
    (C)重合性化合物、及び、
    (D)重合開始剤を含有し、
    前記(B)色相調整用の色素が青顔料、シアン顔料及びシアン染料よりなる群から選択され、
    前記(A)白色顔料の重量に対する前記(B)色相調整用の色素の重量の比が0.0001以上0.1以下であり、
    蛍光増白剤を含有しないことを特徴とする
    インク組成物。
  2. 前記(A)白色顔料の重量に対する前記(B)色相調整用の色素の重量の比が0.001以上0.01以下である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記(A)白色顔料が酸化チタンである、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記(A)白色顔料の含有量が、インク組成物の総量に対して10重量%以上である、請求項1〜3いずれか1つに記載のインク組成物。
  5. 前記(B)色相調整用の色素の極大吸収波長が560nm以上である、請求項1〜いずれか1つに記載のインク組成物。
  6. ラジカル重合性又はカチオン重合性である、請求項1〜いずれか1つに記載のインク組成物。
  7. ラジカル重合性であり、(C)重合性化合物として下記式(C2)で表される化合物を含有する、請求項1〜6いずれか1つに記載のインク組成物。
    Figure 0005244424
    (式(C2)中、R 1 は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X 1 は二価の連結基を表し、R 5 は置換基を表し、uは0〜5の整数を表し、また、u個存在するR 5 はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよく、複数のR 5 がお互いに結合して環を形成してもよく、その環は芳香環であってもよい。)
  8. ラジカル重合性であり、(C)重合性化合物として下記式(C6)で表される化合物を含有する、請求項1〜7いずれか1つに記載のインク組成物。
    Figure 0005244424
    (式(C6)中、mは1〜5の整数を表す。)
  9. ラジカル重合性であり、(C)重合性化合物として下記式(C3)で表される化合物を含有する、請求項1〜8いずれか1つに記載のインク組成物。
    Figure 0005244424
    (式(C3)中、R 1 は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X 1 は二価の連結基を表し、R 2 は置換基を表し、rは0〜5の整数を表し、qは環状炭化水素構造を表す。)
  10. (a1)被記録媒体上に、請求項1〜いずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
    (b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 請求項10に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
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