JP5247251B2 - インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法および印刷物 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の目的は、上記インク組成物を用いて得られた印刷物を提供することにある。
<1> (a)下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるモノマー、(b)光開始剤、及び、(c)(a)モノマーとは構造が異なる重合性モノマー、を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
一般式(1)〜(3)中、L 1 、L 2 、及びL c は炭素数4〜20のフッ素化アルキレン基を表す。Xは重合性基を表し、Bは結合手を3つ以上有する分岐基を表し、Aは2価の直鎖状連結基を表す。また、n1は3以上の整数を表し、n2は2以上の整数を表す。
但し、一般式A−1〜A−10中、R 1 は、CH 2 =CH−(C=O)−、CH 3 −CH=CH−(C=O)−、又はCH 2 =CH−O−を表す。
吐出されたインクジェット記録用インク組成物に活性放射線を照射してインクジェット記録用インク組成物を硬化する工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
また、上記インク組成物を用いて得られた印刷物を提供することができる。
本発明のインクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、(a)前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるモノマー(以下、「フッ素含有多官能モノマー」と称す場合がある)、(b)光開始剤、及び、(c)(a)モノマーとは構造が異なる重合性モノマー(以下、「重合性モノマー」と称す場合がある)、を含有することを特徴とする
本発明で言う前記「活性放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、本発明のインク組成物としては、活性放射線(以下、単に「放射線」という。)として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物であることが好ましい。
以下、本発明のインク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
フッ素含有多官能モノマーは、2つ以上の重合性基とフッ素化アルキレン基とを分子内に含むモノマーであり、具体的には、(a1)フッ素化アルキレン基を含む鎖状構造と、該鎖状構造の末端に設けられた2つ以上の重合性基と、を分子内に含むモノマー、および、(a2)2つ以上の鎖状置換基を有し且つフッ素化アルキレン基を含む環状構造と、前記鎖状置換基の末端に設けられた2つ以上の重合性基と、を分子内に含むモノマー、からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであることが特に好ましい。
ここで、主鎖骨格が鎖状構造である場合、鎖状構造は直鎖状でも分岐状でもよい。鎖状構造が直鎖状の場合は、両末端に重合性基が設けられる。また、鎖状構造が分岐状の場合は、分子内に末端部が3つ以上存在するため、分子内に含まれる重合性基の数は2つ以上末端部の数以下の範囲で選択することができる。
なお、2価の連結基としては、−O−、−O−C=O−、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜12のアルキレンオキシ基が挙げられる。
この鎖状置換基としては、主鎖骨格が鎖状構造である場合、鎖状置換基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、好適な具体例としては、−CF3、−C2F5、−C2H4CF3を挙げることができる。
また、主鎖骨格が環状構造である場合、鎖状置換基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、鎖状置換基の末端には重合性基が含まれていてもよい。好適な具体例としては、−CH2O−X、−CH2OC=O−X−(但し、Xは重合性基を意味する)等を挙げることができる。
分子内に含まれる重合性基の数を2以上とすることにより、画像表面の耐擦過性を確保することができる。また、分子内に含まれる重合性基の数を8以下とすることは、入手の容易さ、柔軟性付与と、保存安定性の観点から好ましい。
カチオン重合性の重合性基としては、エポキシ基、オキセタン基、オキソラン基などの環状エーテル基を有する置換基が挙げられる。
環状エーテル基として具体的には、カチオン重合性の観点から、下記に示す環状エーテル基であることが特に好ましい。
ラジカル重合性の重合性基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基が挙げられ、ポリマー中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する置換基であればどのようなものでもよい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基の例としては、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基等の不飽和カルボン酸エステル基、およびスチレン基等のラジカル重合性基が挙げられる。中でも、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基が好ましい。
なお、フッ素化アルキレン基L1の鎖長は、炭素数(但し、当該炭素数とは、炭素原子をヘテロ原子で置き換えた場合において、ヘテロ原子も炭素数としてカウントした値を意味する)換算で4〜20が好ましく、6〜15が好ましい。
結合手を3つ以上有する分岐基の構造としては特に限定されないが、例えば、(1)3つの結合手を有するものとして、窒素原子、≡C−R1等が挙げられ、(2)4つの結合手を有するものとして、炭素原子(4級炭素)、=CR21−R3−CR22=等が挙げられ、(3)6つの結合を有するものとして、≡C−R4−C≡等が挙げられる。
なお、上記に例示した分岐基としては、結合手が3,4,6の場合のみを示したが、置換基や連結基を構成する水素原子やフッ素原子を取り除いて1つ以上の結合手をさらに設けることも可能である。
なお、一般式(3)は単環構造について示したものであり、一般式(3)の変形例としては、縮環構造や多環構造が挙げられる。この場合、n2は、分子全体で2以上であればよく、いずれか1つの環にのみ着目した場合は0又は1であってもよい。
なお、一般式(1)の具体例に相当するものとしては、一般式A−5、A−6が挙げられ、一般式(2)の具体例に相当するものとしては、一般式A−1、A−2、A−3、A−8、A−9が挙げられ、一般式(3)の具体例に相当するものとしては、一般式A−4、A−10が挙げられ、一般式(3)の変形例(縮環構造)に相当するものとしては、一般式A−7が挙げられる。
(a)フッ素含有多官能モノマーの含有量は、インク組成物の全固形分に対し、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは0.5〜15質量%である。
前記含有量が0.1質量%以上であると、優れた耐擦過性やブロッキング性を有する画像がより容易に形成できる点で好ましく、30質量%以下であると、優れた柔軟性を有する画像がより容易に形成できる点で好ましい。
本発明のインク組成物は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物等の、(a)フッ素含有多官能モノマーとは構造が異なる重合性モノマーを含有することを必須とする。
本発明に用いうるカチオン重合性化合物としては、後述する、放射線の照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物が好ましく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジまたはトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
Ra2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。また、Ra2は置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1〜6個のアルキル基、フッ素原子が挙げられる。
Ra5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、または、C(CH3)2を表す。
Ra6は、炭素数1〜4個のアルキル基、または、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、または、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基であり、mは0〜100の整数である。
特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に併用することができる。当該化合物は、同公報の段落番号[0022]乃至[0058]に詳細に記載されている。
また更に、カチオン重合性化合物の中でもカチオン重合性単官能モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましい。カチオン重合性単官能モノマーを上記範囲含有することにより、硬化膜の柔軟性をより向上させる効果が得られる。
また、本発明のインク組成物に用いうるラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明のインク組成物は光開始剤を含有することを必須とし、該光開始剤としては放射線の照射により酸を発生する化合物を含有することが好ましい。本発明においては、放射線の照射により発生した酸により、前記した重合性化合物の重合反応が生起し、硬化する。
本発明のインク組成物に用いることのできる光開始剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている光(400nm〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線またはイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
X-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 -、PF6 -、SbF6 -や以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
Rc1における有機基として炭素数1〜30個のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4個のパーフロロアルキル基である。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4個のパーフロロアルキレン基である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R6cおよびR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。
RxおよびRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、またはビニル基を表す。
R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、およびRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
RxおよびRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
R204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
R206、R207およびR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表す。
本発明に用いることのできる光開始剤の好ましい化合物例〔(b−1)〜(b−96)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用しうる。
インク組成物中の光開始剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%、更に好ましくは1質量%〜7質量%である。
本発明のインク組成物には、着色剤が含有されてもよい。
本発明に用いることのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料および油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。本発明のインク組成物に好適に使用し得る着色剤は、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しないことが好ましい。これは、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないためである。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料および無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
本発明に用いることのできる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基、長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基およびこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vs SCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vs SCE)以上のものが特に好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
以下に、必要に応じて本発明のインク組成物に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%であることが好ましい。
本発明には、光開始剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光開始剤に対し、電子移動機構またはエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。好ましくは、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレンなどの芳香族多縮環化合物、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーケトンなどの芳香族ケトン化合物、フェノチアジン、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物が挙げられる。添加量は目的に応じて適宜選択されるが、光開始剤に対し0.01モル%〜1モル%で用いることが好ましく、0.1モル%〜0.5モル%がより好ましい。
組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
本発明には、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式および化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
本発明には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
本発明には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、または「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
本発明には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録時の吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、25℃〜80℃、好ましくは25℃〜50℃)において、粘度が、好ましくは7mPa・s〜30mPa・sであり、より好ましくは7mPa・s〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25℃〜30℃)における粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物が好適に適用されるインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、上記した本発明のインク組成物を、被記録媒体(支持体、記録材料等)上にインクジェット記録装置により吐出する工程、および、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。硬化したインク組成物は、被記録媒体上に画像を形成する。
そのため、耐擦過性、ブロッキング性および柔軟性に優れた画像を有する印刷物となる。
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含むものが挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなるものが挙げられる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1pl〜100pl、好ましくは、8pl〜30plのマルチサイズドットを例えば、320dpi×320dpi〜4000dpi×4000dpi、好ましくは、400dpi×400dpi〜1600dpi×1600dpi、より好ましくは、720dpi×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
LEDの被記録媒体上での最高照度は10mW/cm2〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20mW/cm2〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50mW/cm2〜800mW/cm2である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法としては、特開昭60−132767号公報に開示される内容が適用できる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01秒〜0.5秒、好ましくは、0.01秒〜0.3秒、より好ましくは、0.01秒〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。
<<インク組成物の調整>>
(実施例1)
−インクA1−
下記成分を混合したものを目開き2μmのフィルターで濾過することによりインク組成物を得た。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
・フェノキシエチルアクリレート 36.0質量部
・Actilane 421
(Akcros社製、アクリレートモノマー) 16.0質量部
・n−ビニルカプロラクタム 18.0質量部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤)0.4質量部
・Cinquasia Mazenta RT−355D 3.6質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05質量部
・Rapi−Cure DVE−3
(ISP Europe社製、ビニルエーテル) 8.0質量部
・Lucirin TPO(BASF社製光重合開始剤分) 8.5質量部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0質量部
・Irgacure 184 4.0質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05質量部
・フッ素含有多官能モノマー(化合物a−1:
一般式A−1で、R1がメタクリロイル基の化合物) 0.9質量部
−インクA2−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−2(一般式A−2で、R1がメタクリロイル基の化合物)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA3−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−3(一般式A−3で、R1がアクリロイル基の化合物)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA4−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−4(一般式A−4で、R1がアクリロイル基の化合物)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA5−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−5(一般式A−5で、R1がアクリロイル基の化合物)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA6−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−6(一般式A−6で、R1がメタクリロイル基の化合物)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA7−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−7(一般式A−7で、R1がメタクリロイル基の化合物)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA8−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−8(一般式A−8で、R1がアクリロイル基の化合物)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA9−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−9(一般式A−9で、R1がアクリロイル基の化合物。以下に具体的構造を示す。共栄社化学(株)製 商品名:LINC−3A)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクA10−
フッ素含有多官能モノマーとして化合物a−1の代わりに化合物a−10(一般式A−10で、R1がアクリロイル基の化合物。以下に具体的構造を示す。共栄社化学(株)製 商品名:LINC−102A)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクB1−
フッ素含有多官能モノマーを用いなかった以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
−インクB2−
フッ素含有多官能モノマーの代わりに、下記に示す多官能モノマー(化合物B−1)を用いた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調整した。なお、下記化合物B−1においてR1はメタクリロイル基からなる。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sの範囲内であった。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度100mW/cm2に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01〜15J/cm2の間で調整することができる。なお、照射時間は、紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなるまでとした。また、被記録媒体としては、軟質塩化ビニルシートを用いた。
この条件で、硬化感度、ブロッキング性、擦過性を評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中の各評価項目の測定・評価方法は以下の通りである。
紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm2)を硬化感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
紫外線照射後の形成した画像上に、PET(サイズ:縦横共に画像形成した軟質塩化ビニルシートと同サイズ、重さ:2g/枚)を500枚重ね載せ、一日放置し、PETへの転写を目視評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×で評価。
軟質塩化ビニルシートを消しゴム(ホシヤ製K−50 Plastic Eraser Keep)で擦り、消しゴムへの転写を評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×で評価。
《インクジェット画像記録》
評価には、実施例1で調整したインクA1と、比較例2で調整したインクB1とを用い、それぞれ実施例11、および比較例3とし、評価結果は表2にまとめた。
以下、評価方法を説明する。
また、被記録媒体として、下記エンボス加工テスト用にはHK31−WF(膜厚120μm、PET、東山フイルム社製)を用い、真空成形テスト用には、テフレックスFT−3(膜厚50μm、PET、帝人デュポン社製)を使用した。各サンプルともインク硬化膜の平均膜厚が12μmになるよう描画を行った。
(エンボス加工テスト)
25℃条件下、作成した印刷物を図1(A)に示すステンレス製凸金型と、図1(B)に示すステンレス製凹金型との間に挟み、プレス機MIZUHOA型ハンドパワー(松下電動工具社製)をもちいて、加重150kgを5秒間加え、エンボス加工を行った。画像のエンボスされた部分にひび割れ、白抜けが生じていないか、目視で観察を行った。ひび割れ、白抜けが生じていない場合を○、ひび割れ、白抜けが生じている場合を×で評価した。
真空成形装置フォーミング300X(成光産業社製)を用い、支持体の温度が90℃になるようにヒーターの温度を設定し、真空テーブルの中心に図2に示す木製型を設置し真空成形を行った。成形された印刷物にひび割れ、白抜けが生じていないか、目視で観察を行った。ひび割れ、白抜けが生じていない場合を○、ひび割れ、白抜けが生じている場合を×で評価した。結果を表2に示す。
Claims (7)
- (a)下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるモノマー、(b)光開始剤、及び、(c)(a)モノマーとは構造が異なる重合性モノマー、を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
一般式(1)〜(3)中、L 1 、L 2 、及びL c は炭素数4〜20のフッ素化アルキレン基を表す。Xは重合性基を表し、Bは結合手を3つ以上有する分岐基を表し、Aは2価の直鎖状連結基を表す。また、n1は3以上の整数を表し、n2は2以上の整数を表す。 - 前記(a)一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるモノマーが、前記一般式(2)又は(3)で表されるモノマーであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記(a)一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるモノマーが、3以上のラジカル重合性基を有するモノマーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記(a)一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるモノマーが、下記一般式A−1〜A−10のいずれかで表されるモノマーであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
但し、一般式A−1〜A−10中、R 1 は、CH 2 =CH−(C=O)−、CH 3 −CH=CH−(C=O)−、又はCH 2 =CH−O−を表す。 - 前記(c)重合性モノマーが、ラジカル重合性モノマーであり、インクジェット記録用インク組成物の全固形分に対する前記ラジカル重合性モノマーの含有量が、60質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物
- 被記録媒体上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、
吐出されたインクジェット記録用インク組成物に活性放射線を照射してインクジェット記録用インク組成物を硬化する工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 請求項6に記載のインクジェット記録方法によって記録されたことを特徴とする印刷物。
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