〔インク組成物〕
本発明のインク組成物は、顔料および油溶性染料を含有することで、光硬化性が良好でありながら、従来の顔料のみを利用したインク組成物と比較して、高濃度化することが可能となり、かつコントラストも向上させることができる。
本発明のインク組成物は、放射線の照射により硬化が可能である。ここで、本発明で言う「放射線」とは、その照射により組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、重合性化合物と、重合開始剤と、顔料と、油溶性染料とを含有し、前記顔料と前記油溶性染料が同じL*a*b*値の範囲に含まれ、かつ
[1]前記顔料のL*値と前記油溶性染料のL*値との差の絶対値が34以下、
[2]前記顔料のa*値と前記油溶性染料のa*値との差の絶対値が50以下、
[3]前記顔料のb*値と前記油溶性染料のb*値との差の絶対値が50以下、
の関係を有することを特徴とする。
上記関係をより具体的に説明すると次のようになる。
[1]前記顔料のL*値をL1、前記油溶性染料のL*値をL2としたとき、当該2つのL*値の差の絶対値、すなわち、|L1−L2|が34以下、
[2]前記顔料のa*値をa1、前記油溶性染料のa*値をa2としたとき、当該2つのa*値の差の絶対値、すなわち、|a1−a2|が50以下、
[3]前記顔料のb*値をb1、前記油溶性染料のb*値をb2としたとき、当該2つのb*値の差の絶対値、すなわち、|b1−b2|が50以下、
である関係である。
同じL*a*b*値の範囲に含まれる顔料と油溶性染料とを併用することで、顔料分散性や光堅牢性の悪化を伴わずにインク濃度を向上することができる。さらに、インクの着色剤として顔料のみを用いた場合と比較して、微細な色調調整をし易い。一方、インクの着色剤として染料のみを用いた場合と比較して、光の遮蔽率をより高くすることができる。
また、顔料と油溶性染料の各々のL*値、a*値、及びb*値の差の絶対値を、それぞれ34以下、50以下、及び50以下とすることで、各色の色調を調整し易くなる。
本発明において、L*a*b*値は、CIE1976のL*a*b*表色空間における数値をいい、顔料、染料等の着色剤の色度を数値化したものである。前記CIE1976L*a*b*表色空間の詳細は、日本写真学会・日本画像学会編「ファインイメージングとカラーハードコピー」354ページ(1999年、コロナ社刊行)に詳記されている。また、この表色空間を用いる際の3色刺激値は、蛍光性反射物体のX、Y、Z座標の3刺激値測定方法を規定したJIS Z8717記載の方法に従って求められた値である。CIE1976L*a*b*表色空間上の色度は、基準となる白色の色度を標準昼光の国際標準である CIED65 (6504K)において測定する。
L*a*b*値を求めるための測定は、CIE1976L*a*b*表色空間上の色度を測定できるいずれの色度測定装置を用いてもよい。例えば、日立製作所社製C−2000カラーアナライザーおよび基準光源として CIE D65 (6504K)を用いて測定することができる。
以下、本発明を構成する各成分について説明する。まず、油溶性染料について説明する。
<油溶性染料>
油溶性染料は、併用する顔料のL*a*b*値の範囲と同じ範囲に含まれるL*a*b*値である染料を用いることができ、本発明においては、油溶性染料が、一般式(I−2)で表される化合物を含有し、L * a * b * 値が、70≦L * ≦104、−40≦a * ≦10、かつ、70≦b * ≦120であるもの〔条件(A)〕、または、油溶性染料が、下記一般式(IV-2)で表される化合物を含有し、前記L * a * b * 値が、30≦L * ≦64、55≦a * ≦105、−40≦b * ≦10であるもの〔条件(B)〕が用いられる。
本発明のインク組成物を、イエローインクとして用いる場合は、油溶性染料は、前記L*a*b*値が、70≦L*≦104、−40≦a*≦10、かつ、70≦b*≦120であることが好ましい。以下、前記L*a*b*値が、70≦L*≦104、−40≦a*≦10、かつ、70≦b*≦120である油溶性染料を「イエロー系染料」とも称する。
イエロー系染料のL*a*b*値の範囲は、75≦L*≦102、−35≦a*≦5、かつ、75≦b*≦115であることがより好ましく、80≦L*≦100、−30≦a*≦0、かつ、80≦b*≦110であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物を、マゼンタインクとして用いる場合は、油溶性染料は、前記L*a*b*値が、30≦L*≦64、55≦a*≦105、−40≦b*≦10であることが好ましい。以下、前記L*a*b*値が、30≦L*≦64、55≦a*≦105、−40≦b*≦10である油溶性染料を「マゼンタ系染料」とも称する。
マゼンタ系染料のL*a*b*値の範囲は、35≦L*≦64、60≦a*≦100、かつ、−35≦b*≦5であることがより好ましく、40≦L*≦62、65≦a*≦95、かつ、−30≦b*≦0であることが特に好ましい。
また、本発明のインク組成物を、シアンインクとして用いる場合は、油溶性染料は、前記L*a*b*値が、35≦L*≦69、−60≦a*≦−10、−70≦b*≦−20であることが好ましい。以下、前記L*a*b*値が、35≦L*≦69、−60≦a*≦−10、−70≦b*≦−20である油溶性染料を「シアン系染料」とも称する。
シアン系染料のL*a*b*値の範囲は、40≦L*≦67、−55≦a*≦−15、かつ、−65≦b*≦−25であることがより好ましく、45≦L*≦65、−50≦a*≦−20、かつ、−60≦b*≦−30であることが特に好ましい。
−イエロー系染料−
前記L*a*b*値が、30≦L*≦64、55≦a*≦105、−40≦b*≦10である油溶性染料としては、例えば、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などが挙げられる。中でも、溶解性、耐光性、置換基変更による吸収波長調整の容易性などの観点から、アゾ染料、アゾメチン染料、メチン染料が好ましく、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物のうち少なくとも1種の化合物を含有する染料であることがより好ましい。以下、下記一般式(I)、一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物を、「特定イエロー系染料」とも称する。
前記一般式(I)中、Y1、Y2、Z1、Z2、およびR1〜R5は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。X1およびX2は、各々独立に、ハメットのσp値が0.20以上の一価の電子吸引性基を表す。
前記一般式(II)中、R11、R13及びR14は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリール基を表し、R12及びR15は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。ここで、R13及びR14は互いに結合して5員複素環又は6員複素環を形成してもよい。Z1、Z2、Z3、及びZ4は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。ここで、Z1とZ2、Z3とZ4とが、それぞれ互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
前記一般式(III)中、R11、R12、R13、R14およびR15は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表わす。R16およびR17は各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換のヘテロアリール基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。
[一般式(I)で表される化合物]
まず、一般式(I)で表される化合物について説明する。
一般式(I)中、Y1、Y2、Z1、Z2、およびR1〜R5は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。X1およびX2は、各々独立に、ハメットのσp値が0.20以上の一価の電子吸引性基を表す。
1価の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、またはイミド基等を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。以下に前記1価の置換基を更に詳しく説明する。
ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。中でも塩素原子、または臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
アルキル基は、置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。更に置換基を有することが可能な基であるときの置換基の例としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
シクロアルキル基は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シクロアルキル基の例にはシクロヘキシル、シクロペンチル、または4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。
アラルキル基は、置換もしくは無置換のアラルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アラルキルの例にはベンジルおよび2−フェネチルを挙げることができる。
アルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。好ましくは炭素数2−30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテンー1−イル、2−シクロヘキセンー1−イルなどを挙げることができる。
アルキニル基は、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、またはプロパルギルを挙げることができる。
アリール基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、またはo−ヘキサデカノイルアミノフェニルである。置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
ヘテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。
置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
アルコキシ基は、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシなどを挙げることができる。
アリールオキシ基は、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることができる。
シリルオキシ基は、炭素数3から20のシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどを挙げることができる。
ヘテロ環オキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどを挙げることができる。
アシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルオキシ基の例には、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
カルバモイルオキシ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイルオキシ基の例には、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることができる。
アルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
アリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることができる。
アミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノなどを挙げることができる。
アシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルアミノ基の例には、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることができる。
アミノカルボニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノカルボニルアミノ基の例には、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることができる。
アルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
アリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
スルファモイルアミノ基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイルアミノ基の例には、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることができる。
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることができる。
アルキルチオ基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルチオ基の例には、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることができる。
アリールチオ基は炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールチオ基の例には、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどを挙げることができる。
ヘテロ環チオ基は、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環チオ基の例には、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどを挙げることができる。
スルファモイル基は、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイル基の例には、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることができる。
アルキル及びアリールスルフィニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることができる。
アルキル及びアリールスルホニル基は、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルホニル基の例には、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることができる。
アシル基は、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどを挙げることができる。
アリールオキシカルボニル基は、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることができる。
アルコキシカルボニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニル基の例には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることができる。
カルバモイル基は、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイル基の例には、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることができる。
ホスフィノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィノ基の例には、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノなどを挙げることができる。
ホスフィニル基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニル基の例には、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどを挙げることができる。
ホスフィニルオキシ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルオキシ基の例には、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどを挙げることができる。
ホスフィニルアミノ基は、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルアミノ基の例には、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどを挙げることができる。
シリル基は、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基が好ましく、置換基の例としては、前述のアルキル基が更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シリル基の例には、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどを挙げることができる。
アゾ基は、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることができる。
イミド基は、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることができる。
R1およびR2は置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に2級または3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
R3およびR4は水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素原子数C1〜C8の直鎖アルキル基または分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、またはC1〜C8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
R5は置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、または置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基、ハロゲン原子、アリール基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が好ましく、その中でも、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基が好ましく、特にヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基が好ましく、アルキルオキシ基が最も好ましい。
Y1およびY2はヒドロキシル基またはアミノ基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
一般式(I)中、Z1およびZ2は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換アリール基、または置換基へテロ環基であり、その中でも特に置換アリール基が好ましい。
また、一般式(I)中、X1およびX2は各々独立にハメットのσp値0.20以上の一価の電子吸引性基を示す。
ここでいう電子吸引性基は、特にハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基であり、より好ましくは、σp値が0.30以上の電子吸引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子吸引性基である。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年 L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明に用いられる一般式(I)で表される化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
σp値が0.20以上の一価の電子吸引性基であるX1およびX2の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
X1およびX2の好ましいものとしては、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜18のアリールスルフィニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。
更に好ましくは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基である。
X1およびX2の特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、または炭素数0〜12のスルファモイル基であり、最も好ましいものは、シアノ基、または炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
一般式(I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
また、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(I-1)で表される化合物であることがより好ましい。以下、一般式(I-1)について詳細に説明する。
一般式(I-1)中、W、Y1、Y2およびR1〜R8は各々独立に、水素原子または1価の置換基を表す。
ただし、本発明においては、一般式(I−1)で表される化合物のうち、さらに、既述の一般式(I−2)で表されるものを用いる。
一般式(I-1)中、R1およびR2は、上述した一般式(I)におけるR1およびR2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(I-1)中、R3およびR4は、上述した一般式(I)におけるR3およびR4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(I-1)中、R5〜R8は、各々独立にハロゲン原子、カルボキシル基、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が好ましく、カルボキシル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基がさらに好ましく、カルボキシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基が特に好ましく、アルコキシカルボニル基が最も好ましい。また、優れた油溶性や光堅牢性が容易に得られる観点からは、エステル構造を有する基であることが好適である。
一般式(I-1)中、Y1およびY2は上述した一般式(I)におけるY1およびY2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(I-1)中、Wは、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数C4〜C12ヘテロ環基、アシル基、カルバモイル基、またはシリル基が好ましく、その中でも、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基、または置換もしくは無置換の総炭素数C6〜C18のアリール基が好ましく、特に水素原子または置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基が好ましく、置換もしくは無置換の総炭素数C1〜C12のアルキル基が最も好ましい。
一般式(I-1)中、X1およびX2は各々独立に、一価の電子吸引性基を示し、上述した一般式(I)におけるX1およびX2と同様であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(I-1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(I)、及び(I−1)で表される色素の具体例(例示色素DYE−A1〜DYE−A22)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。ただし、本発明に用いられる油溶性染料からは、DYE−A8〜DYE−A10、DYE−A15、DYE−A18、およびDYE−A19は除かれる。
前記具体例DYE−A1〜DYE−A22の中でも、重合性化合物に対する溶解性の観点から、DYE−A1〜DYE−A7、DYE−A11〜DYE−A14、DYE−A16、DYE−A17がより好ましく、DYE−A2〜DYE−A4、DYE−A6、DYE−A7、DYE−A11が更に好ましい。
[一般式(II)で表される化合物]
次に、一般式(II)で表される化合物について説明する。
前記一般式(II)中、R11、R13及びR14は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は、置換若しくは無置換のヘテロアリール基を表し、R12及びR15は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。ここで、R13及びR14は互いに結合して5員複素環又は6員複素環を形成してもよい。Z1、Z2、Z3、及びZ4は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。ここで、Z1とZ2、Z3とZ4とが、それぞれ互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
ここで、R12、R15、Z1、Z2、Z3、及びZ4で表される1価の置換基は、前述の一般式(I)において、R1〜R4で表される1価の置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(II)中、R11としては、溶解性および色調の点から、無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜C18のアリール基、または、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、特に、置換もしくは無置換のベンゼン環が好ましい。
一般式(II)中、R12としては、色調およびモル吸光度の点から、1価の置換基の中でも電子吸引性基が好ましい。なお、ここでいう電子吸引性基は、特にハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子吸引性基である。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、前記一般式(I)におけるX1およびX2に挙げた置換基が挙げられる。
一般式(II)中、R12の好ましいものとしては、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜18のアリールスルフィニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、σp0.20以上の他の電子吸引性基で2つ以上置換された炭素数7〜18のアリール基、及び、窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5員環〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。
一般式(II)中、R12として更に好ましくは、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜18のアリールスルフィニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基である。
一般式(II)中、R12として特に好ましいものは、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基であり、最も好ましいものは、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基である。
一般式(II)において、R13及びR14としては、合成原料入手性、色調および光堅牢性の点から、各々独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましい。
また、R13及びR14は互いに結合して5員複素環又は6員複素環を形成してもよい。形成される5員複素環又は6員複素環としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられる。
一般式(II)において、R15としては、合成原料入手性および光堅牢性の点から、水素原子、又は、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、その中でも、水素原子、又は、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基或いは総炭素数1〜8の分岐のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
一般式(II)において、Z1、Z2、Z3、及びZ4としては、合成原料入手性および光堅牢性の点から、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、または、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、又は、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基或いは総炭素数1〜8の分岐のアルキル基が好ましく、特に、水素原子が好ましい。
また、Z1とZ2、Z3とZ4とが、それぞれ互いに結合して5員環又は6員環を形成してもよい。形成される5員環又は6員環としては、ナフタレン、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。
一般式(II)で表される化合物におけるR11〜R15及びZ1〜Z4の好ましい組み合わせについては、R11〜R15及びZ1〜Z4のうち少なくとも1つが、前記の好ましい例であることが好ましく、2つ以上が前記の好ましい例であることがより好ましく、全てが前記の好ましい例であることが最も好ましい。
前記一般式(II)で表される化合物の具体例(例示色素DYE−B1〜DYE−B25)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
前記具体例DYE−B1〜DYE−B25の中でも重合性化合物に対する溶解性の観点から、DYE−B1、DYE−B2、DYE−B6、DYE−B7、DYE−B11、DYE−B12、DYE−B20、及びDYE−B22がより好ましく、DYE−B1、DYE−B2、及びDYE−B12 が更に好ましい。
[一般式(III)で表される化合物]
次に、前記一般式(III)について説明する。
前記一般式(III)中、R11、R12、R13、R14およびR15は各々独立に、水素原子または1価の置換基を表わす。R16およびR17は各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、または置換若しくは無置換のヘテロアリール基を表し、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(III)中、R11、R12、R13、R14およびR15で表される一価の置換基としては、前記一般式(II)のZ1〜Z4で挙げた置換基と同様のものが挙げられる。また、R16およびR17で表される置換基としては、前記一般式(II)のR13およびR14で挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(III)中、R11、R12、R13、R14およびR15で表される一価の置換基としては、前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基が挙げられる。
一般式(III)中、R16およびR17で表される置換または無置換のアルキル基としては、炭素数1〜30の直鎖状、炭素数3〜30の分岐状、炭素数3〜30の環状のアルキル基が挙げられ、より好ましくは、炭素数2〜20の直鎖状、炭素数3〜20の分岐状、炭素数3〜20の環状のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素数2〜12の直鎖状、炭素数3〜12の分岐状、炭素数3〜12の環状のアルキル基である。
具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロデシルが挙げられ、エチル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルがより好ましくエチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルが更に好ましい。
上記アルキル基は、置換基を更に有していてもよく、導入可能な置換基としては前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基が挙げられる。
一般式(III)中、R16およびR17で表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が挙げられ、炭素数6〜18のアリール基がより好ましく、炭素数6〜12のアリール基が更に好ましい。
員数としては、6〜14が挙げられ、6〜10がより好ましく、6が更に好ましい。
環数としては1〜5が挙げられ、1〜3がより好ましく、1〜2が更に好ましい。また単環であっても、縮合環であってもよい。
上記アリール基は、置換基を更に有していてもよく、導入可能な置換基としては前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基が挙げられる。
一般式(III)中、R16およびR17で表されるヘテロアリール基としては、炭素数5〜30が挙げられ、炭素数6〜18がより好ましく、炭素数6〜12が更に好ましい。
員数としては、5〜14が挙げられ、6〜10がより好ましく、6が更に好ましい。
環数としては1〜5が挙げられ、1〜3がより好ましく、1〜2が更に好ましい。また単環であっても、縮合環であってもよい。
ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられる。
具体的には、例えばトリアゾール残基、イミダゾリル残基、ピリジニル残基等の含窒素芳香環基、チオフェン残基、チアゾール残基等の含硫黄芳香環基、フラン残基、オキサゾール残基等の含酸素芳香環基等が挙げられる。
上記ヘテロアリール基は、置換基を更に有していてもよく、導入可能な置換基としては前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基が挙げられる。
一般式(III)におけるR16およびR17は、互いに結合して環を形成することができるが、この場合、形成しうる環としては、5員環または6員環が好ましい。
一般式(III)における置換基の好ましい組合せとしては、R11〜R15はハロゲン原子、アルキル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、R16およびR17はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基である。
また溶解度の観点から、好ましくは一般式(III)で表される化合物のLogP値が6以上であることが好ましく、特にLogP値が8以上であることがより好ましい。
前記一般式(III)で表される色素の具体例(例示色素DYE−C1〜DYE−C26)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
前記具体例DYE−C1〜DYE−C26の中でも、耐光性及び重合性化合物に対する溶解性の観点から、DYE−C1、DYE−C3、DYE−C6、DYE−C8、DYE−C10、DYE−C13、DYE−C17、及びDYE−C24が好ましく、DYE−C1、DYE−C6、及びDYE−C10がより好ましい。
本発明のインク組成物において、特定イエロー系染料としては、上述の一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物の中でも、感度及び耐光性の観点から、一般式(I)で表される化合物が好ましい。
−マゼンタ系染料−
前記L*a*b*値が、30≦L*≦64、55≦a*≦105、−40≦b*≦10である油溶性染料(マゼンタ系染料)としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料などが挙げられる。
中でも、溶解性、耐光性、置換基変更による吸収波長調整の容易性などの観点から、アリールもしくはヘテリルアゾ染料、アゾメチン染料、メチン染料、縮合多環系染料が好ましく、下記一般式(IV)で表される化合物を含有する染料であることがより好ましい。以下、下記一般式(IV)で表される化合物を、「特定マゼンタ系染料」とも称する。
以下、一般式(IV)について詳細に説明する。
前記上記一般式(IV)中、Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。B1は窒素原子、または−CR1=を表し、B2は、窒素原子または−CR2=を表し、B1及びB2が同時に窒素原子であることはない。ここで、R1およびR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の置換基を表す。
R3およびR4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。各基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(IV)中、R1およびR2で表される1価の基とは、前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基が挙げられる。
各基は更に置換されていてもよい。
また、R1とR3、R3とR4が、それぞれ結合して5員環または6員環を形成してもよい。
aおよびeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、aおよびeが共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が2以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。
b、cおよびdは、各々独立に、B1におけるR1およびB2におけるR2同義であり、aとb、または、eとdで互いに縮環構造を形成していてもよい。
一般式(IV)において、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。該5員複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。なかでも、下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、またはトリアゾール環が好ましい。
上記一般式(a)から(g)において、Rm1〜Rm16は、一般式(IV)におけるR1およびR2と同義である。
一般式(IV)中、R3およびR4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)、芳香族基(フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基(アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基)、またはスルファモイル基を表す。好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、アシル基、カルバモイル基である。一般式(IV)中、R3およびR4で表される上記各基は、前記一般式(I)における置換基として説明した基と同様である。また、上記各基はさらに置換されていてもよく、その置換基は前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基と同様である。
B1は窒素原子または−CR1=を表し、B2は、窒素原子または−CR2=を表し、B1およびB2が同時に窒素原子であることはない。ピリジンカプラー骨格の形成による色素の酸化電位上昇の観点から、B1が−CR1=で、且つB2が−CR2=を表す場合において、より優れた性能を発揮できるため好ましい。
B1におけるR1およびB2におけるR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、およびアリールアミノ基)、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、R1とR3、あるいはR3とR4が結合して5員環または6員環を形成してもよい。各置換基の詳細は、前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基と同様である。
aおよびeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、aおよびeが共にアルキル基である場合は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が2以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。b、cおよびdは、各々独立に、B1におけるR1およびB2におけるR2と同義であり、aとb、または、eとdでそれぞれ互いに縮環構造を形成してもよい。
一般式(IV)に関して、好ましい置換基の組み合わせ例を以下に示す。Aは、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、またはベンゾチアゾール環(その中でも好ましくはピラゾール環)、B1は無置換炭素原子、B2は無置換またはアルキル置換された炭素原子、R3およびR4は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、またはアシル基、aおよびeは、アルキル基またはハロゲン原子が好ましく、aおよびeが共にアルキル基の時は無置換アルキル基であって、aおよびeの炭素数の合計が3以上(好ましくは5以下)であり、b、cおよびdは、各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基の場合が好ましい組み合わせである。
本発明では、一般式(IV)で表される化合物が、下記一般式(IV-1)で表される化合物であることが好ましい態様である。
以下、一般式(IV-1)で表される化合物について説明する。
上記一般式(IV-1)中、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。R1、R2、R3、R4、a、b、c、d及びeは、各々一般式(IV)の場合と同義である。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。上記Z1、Z2及びQの各基は、更に置換基を有していてもよい。
一般式(IV-1)において、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表し、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。具体的には前記一般式(I)におけるX1、X2に挙げた置換基が挙げられる。
Z1として好ましくはシアノ基、ニトロ基、またはハロゲン原子であり、ハロゲン原子、またはシアノ基がより好ましく、シアノ基が最も好ましい。
Z2としては水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、またはアシル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。各置換基はさらに置換されていてもよい。
ただし、R3とR4が共に水素原子であることはない。
Qは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、または複素環基を表し、これら各置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基の詳細は上記R1およびR2の場合と同じである。
Qとしては、電子吸引性基で置換された、アリール基または複素環基が好ましい。
Qの上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。具体的には前記一般式(I)におけるX1、X2に挙げた置換基が挙げられる。
一般式(IV-1)に関して、好ましい置換基の組み合わせ例を以下に示す。Z1はシアノ基;Z2は、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基(好ましくはt−ブチル基);R1は水素原子;R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基);R3、R4は各々水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、またはアシル基、好ましくは水素原子、複素環(好ましくはベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環)基またはアルキル置換されたフェニル基;aおよびeは、各々がアルキル基であって、a+eが炭素数2以上(好ましくは5以下)の置換されていてもよいアルキル基、好ましくは炭素数4以上5以下の無置換アルキル基;b、cおよびdは、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、;Qは、複素環(好ましくはベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環(好ましくはスルファモイル置換のベンゾオキサゾール環またはベンゾチアゾール環))基の場合が好ましい組み合わせである。
一般式(IV-1)に関して、Z1はシアノ基であり、Z2はイソプロピル基またはt−ブチル基であり、R1は水素原子であり、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、R3およびR4は各々独立にアルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基またはアシル基であり、aおよびeは各々がアルキル基であり、a+eが炭素数2以上(好ましくは5以下)の置換されていてもよいアルキル基であり、b、cおよびdは、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基であり、Qは複素環基である場合などが、特に溶解性が高い。さらに好ましくは一般式(IV-1)に関して、Z1はシアノ基であり、Z2はt−ブチル基であり、R1は水素原子であり、R2はメチル基またはエチル基であり、R3およびR4は各々独立にベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基またはアルキル置換されたフェニル基であり、aおよびeは各々がメチル基、エチル基またはイソプロピル基であり、b、cおよびdは、各々独立に水素原子またはアルキル基であり、Qはベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環基である場合が均一なインク組成物を得ることができる。
前記特定マゼンタ系染料〔一般式(IV)および一般式(IV-1)で表される化合物〕の好ましい具体例(例示色素DYE−D1〜DYE−D32)を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。ただし、本発明で用いるマゼンタ系染料は、一般式(IV-1)で表される化合物のうち、さらに既述の一般式(IV-2)で表されるものであり、例示色素DYE−D1〜DYE−D32中においては、DYE−D9、DYE−D11、およびDYE−D13〜DYE−D16が挙げられる。
上記例示色素の中でも、耐光性および重合性化合物に対する溶解性の観点から、DYE−D5、DYE−D9、DYE−D13、DYE−D14、DYE−D15、DYE−D16、DYE−D20、DYE−D21、DYE−D26、DYE−D28、及びDYE−D29がより好ましく、DYE−D9、DYE−D16、及びDYE−D29が更に好ましい。
−シアン系染料−
前記L*a*b*値が、35≦L*≦69、−60≦a*≦−10、−70≦b*≦−20である油溶性染料(シアン系染料)としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料が挙げられる。
中でも、溶解性、耐光性、置換基変更による吸収波長調整の容易性などの観点から、フタロシアニン染料が好ましく、下記一般式(V)で表される化合物、及び一般式(VI)で表される化合物の少なくとも1種を含有する染料であることがより好ましい。以下、一般式(V)又一般式(VI)で表される化合物を、「特定シアン系染料」とも称する。
前記一般式(V)中、Q1〜Q4、P1〜P4、W1〜W4、およびR1〜R4は、各々独立に、(=C(J1)−及び/または−N=)、(=C(J2)−及び/または−N=)、(=C(J3)−及び/または−N=)、(=C(J4)−及び/または−N=)を表す。J1〜J4は、各々独立に、水素原子及び/または置換基を表す。但し、(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の4つ全てが同時に芳香族環になることはない。しかし、その環の4つ全てが同時にピリジン環の場合は、Q1及びR1の何れか一方が窒素原子、Q2及びR2の何れか一方が窒素原子、Q3及びR3の何れか一方が窒素原子、及びQ4及びR4の何れか一方が窒素原子であるピリジン環は除く。さらに、その環の4つ全てが同時にピラジン環の場合は除く。
また、J1〜J4が置換基を表す場合は、更に置換基を有してもよい。J1〜J4のうち少なくとも1つは、あるいはJ1〜J4が有する置換基のうち少なくとも1つは炭素数2以上の置換基を有し、且つ、J1〜J4の置換基の炭素数の総和が8以上であり、分子中にイオン性親水性基を含まない。Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。
前記一般式(VI)および(VII)中、Mは水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表す。Pcは、(k+l+m+n)価の一般式(VII)で表されるフタロシアニン核を表す。X1、X2、X3、およびX4は各々独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR2R3、−CONR2R3、−CO2−R1、又はCO−R1を表し、かつ、フタロシアニン核中の4つのベンゼン環{一般式(VII)中のA、B、C、D}に、それぞれ少なくとも1個以上存在する。但し、X1、X2、X3およびX4がすべて同一であることはなく、かつ、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つは炭素数2以上の置換基であり、かつ、X1、X2、X3、及びX4で表される置換基の炭素数の総和が8以上であり、かつ、分子中にイオン性親水性基を含まない。R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。k、l、m、およびnは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表し、0≦m<8の整数を表し、0≦n<8の整数を表す。但し、k、l、m、およびnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数を表す。
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7およびY8は各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。この1価の置換基は、各々さらに置換基を有していてもよい。
[一般式(V)で表される化合物]
まず、一般式(V)で表される化合物について説明する。
一般式(V)中、Q1〜Q4、P1〜P4、W1〜W4、およびR1〜R4は、各々独立に、(=C(J1)−及び/または−N=)、(=C(J2)−及び/または−N=)、(=C(J3)−及び/または−N=)、(=C(J4)−及び/または−N=)を表す。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表す。
Mとして好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。なかでも、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、Cuが最も好ましい。
金属酸化物としては、VO、GeO等が好ましく挙げられる。また、金属水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が好ましく挙げられる。さらに、金属ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl2、GaCl、ZnCl等が挙げられる。
J1〜J4は各々独立に、水素原子または置換基を表す。
また、J1〜J4が置換基を表す場合は、更に置換基を有してもよい。但し、J1〜J4のうち少なくとも1つは、あるいJ1〜J4が有する置換基のうち少なくとも1つは炭素数2以上の親油性基を置換基として有する。
なお(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の4つ全てが同時に芳香族環になることはない。
しかしA環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)の4つ全てが同時にピリジン環の場合は、(Q1及びR1)且つ(Q2及びR2)且つ(Q3及びR3)且つ(Q4及びR4)の何れか一方が窒素原子であるピリジン環は除く。
また、A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)の4つ全てが同時にピラジン環の場合は除く。
(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つが、含窒素ヘテロ環であるものが好ましい。
(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つ)が芳香族環を表し、且つ、少なくとも1つがピリジン環及びまたはピラジン環を表すものがより好ましい。
(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つ)が、下記一般式(V-1)で表される芳香族環であるのが更に好ましい。
一般式(V-1)中Gは、−SO−Z1、−SO2−Z1、−SO2NZ1Z2、−CONZ1Z2、−CO2Z1、または−COZ1を表す。
特に、−SO2−Z1、−SO2NZ1Z2、−CONZ1Z2が好ましく、その中でも−SO2−Z1、−SO2NZ1Z2が好ましく、−SO2−Z1が最も好ましい。
Z1は、同一または異なっていてもよく、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜20ヘテロ環基が好ましく、その中でも置換もしくは無置換の総炭素数1〜12アルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、置換の総炭素数1〜12アルキル基が最も好ましい。
Z2は、同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の総炭素数2〜12のアルキニル基、置換もしくは無置換の総炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜20のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜20ヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のへテロ環基が好ましく、更に水素原子、置換の総炭素数1〜12アルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
なお、Z1及び/又はZ2は、置換基を更に有していてもよい。このような置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、およびアシル基が好ましい。これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。
なかでも、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、およびアルコキシカルボニル基が好ましく、特に、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、およびアルコキシカルボニル基が好ましく、スルファモイル基、およびスルホニル基が最も好ましい。
Z1及び/又はZ2の少なくとも一つが炭素数2以上(好ましくは炭素数50以下、より好ましくは30以下)の置換基を表し、且つ、Z1及び/又はZ2で表される置換基の炭素数の総和が8以上(好ましくは炭素数200以下、より好ましくは120以下)であることが好ましく、更に、Z1及び/又はZ2の少なくとも一つが炭素数2以上(好ましくは炭素数50以下、より好ましくは30以下)の置換基を表し、且つ、Z1及び/又はZ2で表される置換基の炭素数の総和が10以上(好ましくは炭素数200以下、より好ましくは120以下)であることが特に好ましく、Z1及び/又はZ2の少なくとも一つが炭素数2以上(好ましくは炭素数50以下、より好ましくは30以下)の置換基を表し、且つ、Z1及び/又はZ2で表される置換基の炭素数の総和が10以上(好ましくは炭素数120以下、より好ましくは100以下)であることが最も好ましい。
tは、0〜4の整数を表し、特に1〜2が好ましく、1が最も好ましい。
上記一般式(V-1)で表される芳香環の中でも、特に、下記一般式(V-2)で表される芳香環が好ましい。
一般式(V-2)中、Z1は、上記一般式(V-1)中のZ1と同義であり、好ましい例も同じである。t1は、0〜2の整数を表す。*は、フタロシアニン骨格との結合位置を表す。
前記一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物として特に好ましい組み合わせは、 (イ)((Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つがヘテロ環を表すフタロシアニン化合物が好ましい。
(ロ)(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つが含窒素6員ヘテロ環を表すフタロシアニン化合物が好ましい。但し、A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)の4つ全てが同時にピリジン環の場合は、(Q1及びR1)且つ(Q2及びR2)且つ(Q3及びR3)且つ(Q4及びR4)の何れか一方が窒素原子であるピリジン環は除く。また、A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)の4つ全てが同時にピラジン環の場合は除く。
(ハ)(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つが芳香族環を表し、且つ、少なくとも1つがピリジン環及びまたはピラジン環を表すものが好ましい。その中でも特に、(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つが、炭素数2以上の置換基を有する、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基で置換された芳香族環を表すフタロシアニン化合物が好ましく、更に、(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:(D)}の少なくとも1つが、炭素数2以上の置換基を有する、スルホニル基、スルファモイル基で置換された芳香族環を表すフタロシアニン化合物が好ましく、(Q1、P1、W1、R1)、(Q2、P2、W2、R2)、(Q3、P3、W3、R3)、(Q4、P4、W4、R4)から成る環{A環:(A)、B環:(B)、C環:(C)、D環:D}}の少なくとも1つが、炭素数2以上の置換基を有する、スルホニル基で置換された芳香族環を表すフタロシアニン化合物が最も好ましい。
(ニ)Mは、水素原子、金属原子、またはその酸化物、水酸化物、及びハロゲン化物が好ましく、中でも、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
(ホ)前記一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物一分子中、炭素数2以上(好ましくは60以下、より好ましくは30以下)の親油性基を少なくとも1個有し、好ましくは、炭素数3以上の親油性基を少なくとも1個有することが好ましい、その中でも親油性基の炭素数の総和が、8以上(好ましくは240以下、より好ましくは120以下)有することがより好ましく、その中でも親油性基の炭素数の総和が10以上(好ましくは120以下、より好ましくは100以下)有することが特に好ましい。
一般式(V-2)においてZ1はそれぞれ独立に、−A1−L−A2−Qで表される基が好ましい。
A1、A2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のフェニレン、置換もしくは無置換のナフチレン、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。好ましくは、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のフェニレンであり、その中でも置換もしくは無置換のアルキレンが特に好ましい。
更に詳しくは、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキレン基{例えば、直鎖アルキレンの場合は−(CH2)n−:n=1〜18の整数を表す}が好ましく、特に炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖アルキレン基が好ましく、その中でも炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖アルキレン基が好ましい。
Lは二価の連結基を表し、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル(−CO−)、スルホニル基(−SO2−)、イミノ基(−NR−)、スルファモイル(−SO2NR−)、カルバモイル基(−CONR−)、アルコキシカルボニル基(−CO2−)、アシルアミノ基(−NRCO−)、スルホンアミド基(−NRSO2−)が好ましく、その中でもオキシ基(−O−)、スルファモイル(−SO2NR−)、カルバモイル基(−CONR−)、アルコキシカルボニル基(−CO2−)が好ましく、特にスルファモイル(−SO2NR−)、アルコキシカルボニル基(−CO2−)が好ましい。
ただし、上記Lを説明する連結基の具体例を表す式中Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基を表し、特に水素原子が好ましい。
Qは水素原子または置換基を表す。好ましい置換基の例としては、前述したZ1およびZ2が有することができる置換基として挙げた基と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
更に詳しくは、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、3−イソプロピルオキシ、2−メタンスルホニルエトキシなどの各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシなどの各基)が好ましく、特に炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ基が最も好ましく、その中でも炭素1〜8の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ基が最も好ましい。
一般式(V-2)で表される特に好ましい置換基Z1は、−A1−L−A2−Qで表される基であり、一般式(VI)は−SO2−Z1を少なくとも1つ(好ましくは1つ)有することが好ましい。
上記A1、A2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のフェニレン、置換もしくは無置換のナフチレン、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、好ましくは、置換もしくは無置換のアルキレン、置換もしくは無置換のフェニレンであり、その中でも炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキレン基{例えば、直鎖アルキレンの場合は−(CH2)n−:n=1〜18の整数を表す}が好ましく、特に炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖アルキレン基が好ましく、その中でも炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖アルキレン基が好ましい。
上記Lは二価の連結基を表し、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル(−CO−)、スルホニル基(−SO2−)、イミノ基(−NR−)、スルファモイル(−SO2NR−)、カルバモイル基(−CONR−)、アルコキシカルボニル基(−CO2−)、アシルアミノ基(−NRCO−)、スルホンアミド基(−NRSO2−)が好ましく、その中でもオキシ基(−O−)、スルファモイル(−SO2NR−)、カルバモイル基(−CONR−)、アルコキシカルボニル基(−CO2−)が好ましく、特にスルファモイル(−SO2NR−)、アルコキシカルボニル基(−CO2−)が好ましい。
ただし、上記Lを説明する連結基の具体例を表す式中Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基を表し、特に水素原子が好ましい。
上記Qは水素原子または置換基を表し、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、3−イソプロピルオキシなどの各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシなどの各基)が好ましく、特に炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ基が最も好ましく、その中でも炭素1〜8の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ基が最も好ましい。
尚、一般式(V)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(V)で表される化合物の具体例としては、特開2006−28321号公報に記載の化合物を挙げることができる。
中でも、101、102、103、107、112、117、が好ましく、101、102、103、107がより好ましい。
[一般式(VI)で表される化合物]
次に、一般式(VI)で表される化合物について説明する。
一般式(VI)および(VII)においてMは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物をあらわす。
Pcは、(k+l+m+n)価の一般式(VII)で表されるフタロシアニン核を表す。
一般式(VI)中、X1、X2、X3、X4は各々独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR2R3、−CONR2R3、−CO2−R1およびCO−R1から選ばれる置換基を表し、かつ該置換基はフタロシアニン核中の4つのベンゼン環{一般式(VII)中のA、B、C、D}にそれぞれ少なくとも1個有する。本発明の化合物は、異なる複数の置換基を有する染料を含有する染料混合物である。染料同士においてフタロシアニン核の中心金属は異なることはない。
前記置換基は、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR2R3から選ばれる置換基が好ましく、−SO2−R1と−SO2−R2との組、又は−SO2−R1と−SO2NR2R3との組がより好ましく、−SO2−R1と−SO2−R2との組が特に好ましい。
但し、X1、X2、X3およびX4がすべて同一であることはなく、その同一性(即ち、X1〜X4の同一の個数)は、溶解性、会合性等に応じて適宜変更することができる。
さらに、X1、X2、X3およびX4の少なくとも1つは炭素数2以上(好ましくは炭素数50以下、より好ましくは30以下)の置換基を有し、且つ、X1、X2、X3およびX4の置換基の炭素数の総和が8以上(好ましくは炭素数200以下、より好ましくは120以下)であるが、イオン性親水性基を含まない。
R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
R1、R2及びR3が表す置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
置換基の例としては、後述のR1、R2およびR3が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子を有していてもよい。
R1、R2及びR3が表す置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やイン安定性を高めるという理由から、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
置換基の例としては、後述のR1、R2およびR3が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子を有していてもよい。
R1、R2およびR3が表す置換もしくは無置換のアルケニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルケニル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性高めるという理由から、分岐のアルケニル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
置換基の例としては、後述のR1、R2およびR3が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子を有していてもよい。
R1、R2およびR3が表す置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜18のアラルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
置換基の例としては、後述のR1、R2およびR3が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子を有していてもよい。
R1、R2およびR3が表す置換もしくは無置換のアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。
置換基の例としては、後述のR1、R2およびR3が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも染料の酸化電位を貴とし堅牢性を向上させるので電子吸引性基が特に好ましい。中でも、ハロゲン原子、ヘテロ基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が更に好ましい。
R1、R2およびR3が表すヘテロ環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環基であっても非芳香族ヘテロ環基であってもよい。
以下にR1、R2およびR3で表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
中でも芳香族ヘテロ基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。
それらは置換基を有していてもよく、置換基の例としては、後述のR1、R2およびR3が更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
好ましい置換基は前記アリール基の置換基と、更に好ましい置換基は、前記アリール基の更に好ましい置換基とそれぞれ同じである。
R1、R2およびR3が更に置換基を有することが可能な基であるときは、前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げたような置換基を更に有してもよい。
一般式(VI)中、k、l、mおよびnは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表し、0≦m<8の整数を表し、0≦n<8の整数を表す。
但し、k、l、mおよびnは4≦k+l+m+n≦8を満たす数を表す。
更に、k、l、m、nは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表し、0≦m<8の整数を表し、0=nが好ましく、特に0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表し、m=n=0が好ましく、その中でも特に0<k<4の整数を表し、0<l<4の整数を表し(k+l=4を満たす数を表す)、m=n=0が最も好ましい。
一般式(VII)中、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7およびY8は、各々独立に、水素原子又は一価の置換基を表す。この一価の置換基の例としては、具体的には前記一般式(I)におけるY1、Y2に挙げた置換基などが挙げられる。
中でも特に好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。また、この一価の置換基が有する炭素原子の数は2以上であることが好ましい。
Y1〜Y8は更に置換基を有していてもよく、その場合の置換基としては、上述したR1、R2およびR3が更に置換基を有する場合に挙げられた置換基と同様のものが挙げられる。
前記一般式(VI)及び(VII)で表される混合物として特に好ましい組み合わせは、
(イ)X1、X2、X3及びX4が、それぞれ独立に、−SO−R1、−SO2−R1、−SO2NR2R3、−CONR2R3、−CO2−R1、又はCO−R1が好ましく、更に−SO2−R1、−SO2NR2R3、−CONR2R3、−CO2−R1、又はCO−R1が好ましく、特に−SO2−R1又はSO2NR2R3が好ましく、−SO2−R1が最も好ましい。
(ロ)R1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、更に置換アルキル基、置換アリール基または置換へテロ環基が好ましく、その中でも水酸基を置換基として有する置換アルキル基が最も好ましい。
(ハ)R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、更に水素原子、置換アルキル基、置換アリール基または置換へテロ環基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
(ニ)R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、更に置換アルキル基、置換アリール基または置換へテロ環基が好ましく、その中でも水酸基を置換基として有する置換アルキル基が最も好ましい。
(ホ)Y1〜Y8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子がさらに好ましく、特に水素原子が最も好ましい。
(ヘ)Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
一般式(VI)で表される染料混合物中、フタロシアニン核1単位あたり炭素数2以上(好ましくは炭素数50以下、より好ましくは30以下)の置換基を少なくとも1個以上有するものが好ましく、特に、フタロシアニン核1単位あたり置換基の炭素数の総和が8以上(好ましくは炭素数200以下、より好ましくは120以下)有するのもが好ましく、その中でもフタロシアニン核1単位あたり置換基の炭素数の総和が10以上(好ましくは炭素数200以下、より好ましくは120以下)有するものが、最も好ましい。但しイオン性親水性基を含まない。
一般式(VI)で表される染料混合物は、フタロシアニン核1単位あたり少なくとも炭素数2以上の置換基を有するので、油性媒体中に対する溶解性、又は分散性が良好である。
本発明の一般式(VI)で表される染料混合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(VI)および(VII)で表される化合物の具体例としては、特開2006−28450号公報に記載の化合物を挙げることができる。
中でも、特開2006−28450号公報に記載の例示化合物番号101、102、104、110、114、120が好ましく、101、104、114がより好ましい。
本発明に用いられる油溶性染料の含有量は、インク組成物全量に対して、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜6質量%であることがより好ましく、0.2〜3質量%であることが更に好ましい。
<顔料>
本発明に使用できる顔料としては、インク組成物に含まれる油溶性染料のL*a*b*値の範囲と同じ範囲に含まれるL*a*b*値のものであれば、特に限定されない。
油溶性染料として、前記イエロー系染料を用いる場合は、L*a*b*値が、70≦L*≦104、−40≦a*≦10、かつ、70≦b*≦120である顔料(以下、「イエロー系顔料」ともいう)を用いる必要がある。イエロー系顔料のL*a*b*値のより好ましい範囲及び、特に好ましい範囲は、イエロー系染料のL*a*b*値のより好ましい範囲及び、特に好ましい範囲と、それぞれ同じ範囲である。
油溶性染料として、前記マゼンタ系染料を用いる場合は、L*a*b*値が、30≦L*≦64、55≦a*≦105、−40≦b*≦10である顔料(以下、「マゼンタ系顔料」ともいう)を用いる必要がある。マゼンタ系顔料のL*a*b*値のより好ましい範囲及び、特に好ましい範囲は、マゼンタ系染料のL*a*b*値のより好ましい範囲及び、特に好ましい範囲と、それぞれ同じ範囲である。
油溶性染料として、前記シアン系染料を用いる場合には、L*a*b*値が、35≦L*≦69、−60≦a*≦−10、−70≦b*≦−20である顔料(以下、「シアン系顔料」ともいう)を用いる必要がある。シアン系顔料のL*a*b*値のより好ましい範囲及び、特に好ましい範囲は、シアン系染料のL*a*b*値のより好ましい範囲及び、特に好ましい範囲と、それぞれ同じ範囲である。
このような顔料としては、例えば、カラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、例えば、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257,Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88,Pigment Orange 13,16,20,36、等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、等が挙げられる。
緑顔料としては、例えば、Pigment Green 7,26,36,50、等が挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、等が挙げられる。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7,28,26、等が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、PigmentWhite 6,18,21、等が挙げられる。
これらの顔料は、本発明のインク組成物に用いる顔料が、前記油溶性染料のL*a*b*値の範囲と一致する顔料となるように、適宜選択して使用できる。
顔料の含有量は、インク全量に対して、0.5質量%〜12質量%であることが好ましく、0.8質量%〜8質量%であることがより好ましい。
色材としての顔料および油溶性染料の総含有量は、インク全量に対して、0.6質量%〜15質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
インク組成物中における、顔料および油溶性染料の含有比率は、95:5〜50:50であり、より好ましくは、90:10〜55:45であり、更に好ましくは、85:15〜60:40である。
本発明のインク組成物において、顔料と油溶性染料の好ましい組み合わせは次のとおりである。
すなわち、本発明のインク組成物をイエローインクに用いる場合は、イエロー系顔料と特定イエロー系染料との組み合わせが好ましく、より好ましくは、
イエロー系顔料が、Pigment Yellow 74,93,97,110,120,138,139,154,155,180,185であり、
特定イエロー系染料が、前記一般式(I)〜(III)である組み合わせである。さらに好ましくは、
イエロー系顔料が、Pigment Yellow 120,155,180であり、
特定イエロー系染料が、一般式(I)で表されるDYE−A2〜DYE−A4、DYE−A6、DYE−A7、DYE−A11、一般式(II)で表されるDYE−B1、DYE−B2、DYE−B12、一般式(III)で表されるDYE−C1、DYE−C6、DYE−C10である組み合わせである。
本発明のインク組成物をマゼンタインクに用いる場合は、マゼンタ系顔料と特定マゼンタ系染料との組み合わせが好ましく、より好ましくは、
マゼンタ系顔料が、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:2,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,202,208,216,226,257,Pigment Violet 19,23であり、
特定マゼンタ系染料が、一般式(IV)で表される染料である組み合わせである。
さらに好ましくは、
マゼンタ系顔料が、Pigment Red 202、Pigment Violet 19であり、
特定マゼンタ系染料が、一般式(IV)のDYE−D9、DYE−D16、DYE−D29である組み合わせである。
本発明のインク組成物をシアンタインクに用いる場合は、シアン系顔料と特定シアン系染料との組み合わせが好ましく、より好ましくは、
シアン系顔料が、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60であり、
特定シアン系染料が、前記一般式(V)〜(VII) で表される染料である組み合わせである。
さらに好ましくは、
シアン系顔料が、Pigment Blue 15:3であり、
特定シアン系染料が、一般式(V)で表される化合物、特開2006−28321号公報に記載の例示化合物番号101、102、103、107、一般式(VI)で表される化合物、一般式(VII)で表される化合物、及び特開2006−28450号公報に記載の例示化合物番号101、104、114である組み合わせである。
<重合性化合物>
本発明のインク組成物は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物等の、重合性化合物を含有することを必須とする。
−カチオン重合性化合物−
本発明に用いうるカチオン重合性化合物としては、後述する、放射線の照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物が好ましく、光カチオン重合性化合物として知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドなどが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いることのできる単官能及び多官能のエポキシ化合物を例示する。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物の中でも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテルと多官能ビニルエーテルを例示する。
単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明に使用できるオキセタン化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載される如き、公知のオキセタン化合物を任意に選択して使用できる。本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となる。
本発明のインク組成物に使用される分子内に1〜2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(1)〜(3)で示される化合物等が挙げられる。
Ra1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
Ra2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。また、Ra2は置換基を有していてもよく、置換基としては、1〜6のアルキル基、フッ素原子が挙げられる。
Ra3は、炭素数1〜15の線状又は分枝状アルキレン基、線状又は分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基又はカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、又は、以下に示す基を表す。
アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
Ra3が上記多価基である場合、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表す。
Ra5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、又は、C(CH3)2を表す。
Ra6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又は、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基であり、mは0〜100の整数である。
式(1)で表される化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(OXT−212:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(OXT−211:東亞合成(株)製)が挙げられる。式(2)で表される化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(OXT−121:東亞合成(株))が挙げられる。また、式(3)で表される化合物としては、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(OXT−221:東亞合成(株))が挙げられる。
3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(4)で示される化合物が挙げられる。
式(4)において、Ra1は、前記式(1)におけるのと同義である。また、多価連結基であるRa9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
上記Aにおいて、Ra10はメチル基、エチル基又はプロピル基を表す。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に使用しうるオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記式(5)で示される化合物が挙げられる。
式(5)において、Ra1は、前記式(1)におけるのと同義であり、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、特開2003−341217号公報、段落番号[0021]乃至[0084]に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に使用しうる。
特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に併用することができる。当該化合物は、同公報の段落番号[0022]乃至[0058]に詳細に記載されている。
本発明に併用される他のオキセタン化合物の中でも、組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
本発明のインク組成物にカチオン重合性化合物が用られる場合、インク組成物の全固形分に対して60質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましい。尚、カチオン重合性化合物の添加量の上限としては、95質量%以下であることが好ましい。
また更に、カチオン重合性化合物の中でもカチオン重合性単官能モノマーを50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましい。カチオン重合性単官能モノマーを上記範囲含有することにより、硬化膜の柔軟性が向上する効果が得られる。
−ラジカル重合性化合物−
また、本発明のインク組成物に用いうるラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー、及びポリマーを用いることができる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物材料が知られており、これらも本発明のインク組成物に適用することができる。
更に、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明のインク組成物にラジカル重合性化合物が用られる場合、インク組成物全固形分中、ラジカル重合性化合物は60質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましい。尚、ラジカル重合性化合物の添加量の上限としては、95質量%以下であることが好ましい。
<重合開始剤>
本発明のインク組成物は重合開始剤を含有することを必須する。
使用する重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物であればよく、併用する重合性化合物の種類に応じて、適宜選択することができる。
本発明のインク組成物に用いることのできる重合開始剤としては、光カチオン重合の光重合開始剤、光ラジカル重合の光重合開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いはマイクロレジスト等に使用されている光(400nm〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
−放射線の照射により酸を発生する化合物−
本発明において、例えば、重合性化合物として、カチオン重合性化合物が用いられる場合、重合開始剤としては、放射線の照射により酸を発生する化合物を用いることが好ましい。これらの化合物を用いることにより、放射線の照射により発生した酸により、前記したカチオン重合性化合物の重合反応が生起し、硬化する。
このような重合開始剤としては、放射線の照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。
また、その他の活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同Re27,992号、特開平3−140140号各公報等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、同第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、
J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polymer Sci.,PolymerChem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第3,902,114号、同4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開平7−28237号、同8−27102号等に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill et al,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1986)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、
S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,3571(1965)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、 欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のO−ニトロベンジル型保護基を有する重合開始剤、
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同044,115号、同第618,564号、同0101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号、特開平2−71270号等に記載のジスルホン化合物、特開平3−103854号、同3−103856号、同4−210960号等に記載のジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
また、これらの光により酸を発生する基、或いは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、M.E.Woodhouse etal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas etal,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo etal,Makromol.Chem.,Rapid Commun.,9,625(1988)、Y.Yamada etal,Makromol.Chem.,152,153,163(1972)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。例えば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する重合開始剤、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
更にV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
本発明に用いることができる重合開始剤として好ましい化合物として、下記式(b1)、(b2)、(b3)で表される化合物を挙げることができる。
上記式(b1)〜(b3)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。また、R204、R205、R206、R207は各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
X−は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオ
ン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 −、PF6 −、SbF6 −や以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
好ましい有機アニオンとしては下式に示す有機アニオンが挙げられる。
Rc1は、有機基を表す。Rc1としては、炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rd1は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表し、Rc3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4のパーフロロアルキル基である。
また、Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
Rc1、Rc3〜Rc5の有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
R201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(b1−1)、(b1−2)、(b1−3)における対応する基を挙げることができる。
なお、前記式(b1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b1)で表される化合物のR201〜R203のうち少なくともひとつが、式(b1)で表される他の化合物におけるR201〜R203の少なくともひとつと直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(b1)成分として、以下に説明する化合物(b1−1)、(b1−2)、及び(b1−3)を挙げることができる。
化合物(b1−1)は、上記式(b1)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
R201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうち、いずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(b1−2)について説明する。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができ、直鎖、分岐2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
R201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができ、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
R201〜R203の直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
R201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(b1−3)とは、下記式(b1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
上記式(b1−3)において、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
Zc−は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
R1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
R1c〜R7cのシクロアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
R1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖状若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、溶剤溶解性がより向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制されるので好ましい。
Rx及びRyとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
Rx及びRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
Rx、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基、シクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基、シクロアルキル基である。
式(b2)、(b3)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。X−は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX−の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
R204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
R204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
R204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
使用してもよい活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、更に、下記式(b4)、(b5)、(b6)で表される化合物を挙げることができる。
式(b4)〜(b6)中、Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
R208、R209及びR210は、各々独立に、炭素数1〜16のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
A1は、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
放射線の照射により酸を発生する化合物の中でも好ましいものとしては、式(b1)〜(b3)で表される化合物を挙げることができる。これらの中でも、スルホニウム塩構造を有するものが好ましく、トリアリールスルホニウム塩構造を有するものがより好ましく、トリ(クロロフェニル)スルホニウム塩構造を有するものが特に好ましい。トリ(クロロフェニル)スルホニウム塩構造を有する重合開始剤としては、例えば、重合開始剤の好ましい化合物例として以下に列挙される、化合物例(b−37)〜(b−40)が挙げられる。
本発明に用いることのできる重合開始剤(放射線の照射により酸を発生する化合物)の好ましい化合物例〔(b−1)〜(b−96)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、特開2002−122994号公報、段落番号〔0029〕乃至〔0030〕に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。
特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用しうる。
−ラジカル重合開始剤−
本発明において、例えば、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物が用いられる場合、以下に示すような従来公知のラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。これらの化合物を用いることにより、ラジカル重合開始剤から発生したラジカル等により、前記したラジカル重合性化合物の重合反応が生起し、硬化する。
ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等が一般的に知られ、中でも、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好ましく、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル ナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フィニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
さらにラジカル重合開始剤の他の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、後述する増感剤と併用してもよい。
また、光重合開始剤は、80℃まで熱分解を起こさないものであることが好ましい。80℃以下で熱分解を起こす開始剤を用いると、製品保存上問題があるため好ましくない。
重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物中の重合開始剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1質量%〜25質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜20質量%、更に好ましくは1質量%〜18質量%である。
<その他の成分>
以下に、必要に応じて本発明に用いることのできる種々の添加剤について述べる。
−紫外線吸収剤−
本発明においては、得られる硬化物の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%であることが好ましい。
−増感剤−
増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、重合開始剤と一緒に使用した場合に重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるもので、一般にアミン類が用いられる。アミン類の添加により硬化速度が速くなるのは、第1に、水素引き抜き作用により重合開始剤に水素を供給するためであり、第2に、生成ラジカルが大気中の酸素分子と結合して反応性が悪くなるのに対して、アミンが組成中に溶け込んでいる酸素を捕獲する作用があるためである。
増感剤として、具体的には、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
増感剤の使用量は、重合開始剤と増感剤の選定や組み合わせ、使用する重合性化合物等適宜選定でき、一般には、インク組成物に対し0〜10質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。
−酸化防止剤−
組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
−褪色防止剤−
本発明には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
−導電性塩類−
導電性塩類は、インク組成物に溶解させることで、導電性を向上させうる固体の化合物である。本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインク組成物として用いる場合、吐出物性の制御を目的として添加されることが好ましい。本発明においては、インク組成物の保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、インク組成物の液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで、溶解性が良好である場合には、適当量添加してもよい。導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
−溶剤−
本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインク組成物として用いる場合、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し、0質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0質量%〜3質量%の範囲である。
−高分子化合物−
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。
高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
−界面活性剤−
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
−貯蔵安定剤−
本発明のインク組成物は、貯蔵安定剤を含有していてもよい。
貯蔵安定剤は、インク組成物の保存中の好ましくない重合を抑制するもので、インク組成物に溶解できるものを用いる。例としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
貯蔵安定剤の使用量は用いる重合開始剤の活性や重合性化合物の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、インク組成物中に0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%が更に好ましい。添加量が少ないと保存安定性が劣り、添加量が多いと硬化が起こりにくいといった問題が生じる。
この他にも、必要に応じて、例えば、pH調整剤、レベリング添加剤、マット剤、消泡剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物は、着色成分として、顔料および油溶性染料(特定染料)を用いているが、顔料利用に伴う分散性悪化を考慮する必要がなく、インク組成物中により多くの染料を含有させることができる。また、特定染料は高い光堅牢性を有していることから、この特定染料を含有するインクは、良好な色調と高い光堅牢性を有することになる。
なお本発明では、同じ色、より具体的には、L*a*b*値の範囲が、顔料又は油溶性染料の一方のL*a*b*値の範囲に含まれる色の、顔料と油溶性染料を用いることで、色調の微調整や濃度の向上を達成しうるものである。シアン、マゼンタ、イエローの適用に有用である。
このような本発明のインク組成物は、紫外線などの放射線照射により硬化しており、その強度に優れると共に、高い光堅牢性を有し、膜厚の薄くとも鮮やかな発色が得られる。そのため、本発明のインク組成物は、画像形成のためのインク組成物や、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成や、コーティング材、シーリング材、エラストマーなど、種々の用途に適用することができる。
これらの中でも、得られた硬化物が発色性や光堅牢性に優れることから、インク組成物として用いられることが好ましい。
本発明のインク組成物は、公知の記録方法(印刷方法)、印刷装置などに適用することで画像を形成することができる。画像を形成する際の本発明のインク組成物の粘度は、使用される記録方法、印刷装置により適宜決定されるが、一般的に、5〜100mPa・sが好ましく、10〜80mPa・sがより好ましい。また、表面張力としては、20〜60mN/mが好ましく、30〜50mN/mがより好ましい。
本発明のインク組成物は、放射線照射により高感度で硬化し、得られた硬化物が発色性や光堅牢性に優れ、高画質の画像を形成できる点から、特に、インクジェット記録用インクとして用いられることが好ましい。このように、本発明のインク組成物をインクジェット記録用インクとして用いる場合には、該インク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に吐出し、その後、吐出されたインク組成物に放射線を照射して硬化させることで、記録を行う。
なお、本発明のインク組成物をインクジェット用インク組成物として使用する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40℃〜80℃、好ましくは25℃〜30℃)において、粘度が、好ましくは7mPa・s〜30mPa・sであり、より好ましくは7mPa・s〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25℃〜30℃)における粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化の重合性化合物の低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
また、本発明のインク組成物をインクジェット用インク組成物として使用する場合には、その表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/m、より好ましくは23mN/m〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインク組成物が好ましく適用されるインクジェット記録方法について、以下説明する。
本発明のインク組成物を適用したインクジェット記録方法は、以下の2工程を含むことを特徴とする。
即ち、本発明のインク組成物を、被記録媒体(支持体、記録材料等)上にインクジェット記録装置により吐出する工程、及び、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程である。これらの工程を経て得られた硬化物が画像となる。
本発明におけるインクジェット記録方法に適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
更に、本発明に適用しうる被記録媒体としては、平版印刷版の支持体も挙げられる。
なお、これらの被記録媒体は、インクジェット記録方法に関わらず、如何なる印刷方法にも適用することができる。
また、本発明におけるインクジェット記録方法に適用される活性放射線には、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線などが挙げられる。活性放射線のピーク波長は、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることが更に好ましい。また、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは、10〜2,000mJ/cm2であり、更に好ましくは、20〜1,000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50〜800mJ/cm2である。
特に、本発明のインクジェット記録方法では、放射線照射が、発光波長ピークが350〜420nmであり、且つ、前記被記録媒体表面での最高照度が10〜2,000mW/cm2となる紫外線を発生する発光ダイオードから照射されることが好ましい。
なお、これらの放射線照射については、インクジェット記録方法に関わらず、如何なる印刷方法にも適用することができる。
(インクジェット記録装置)
本発明におけるインクジェット記録方法に適用しうるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。
インクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、前述のような放射線放射が可能な活性放射線源を含むものが挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなるものが挙げられる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1pl〜100pl、好ましくは、8pl〜30plのマルチサイズドットを、例えば、320dpi×320dpi〜4000dpi×4000dpi、好ましくは、400dpi×400dpi〜1600dpi×1600dpi、より好ましくは、720dpi×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができることが好ましい。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
本発明のインクは、着色成分として、顔料および油溶性染料(特定染料)を用いているが、顔料利用に伴う分散性悪化を考慮する必要がなく、インク中により多くの染料を含有させることができる。また、特定染料は高い光堅牢性を有していることから、この特定染料を含有するインクは、良好な色調と高い光堅牢性を有することになる。
なお本発明では、同じ色、より具体的には、L*a*b*値の範囲が、顔料又は油溶性染料の一方のL*a*b*値の範囲に含まれる色の、顔料と油溶性染料を用いることで、色調の微調整や濃度の向上を達成しうるものである。シアン、マゼンタ、イエローの適用に有用である。
このような本発明のインク組成物は、紫外線などの放射線照射により硬化しており、その強度に優れると共に、高い光堅牢性を有し、膜厚の薄くとも鮮やかな発色が得られる。そのため、本発明のインクは、画像形成のためのインク組成物や、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成や、コーティング材、シーリング材、エラストマーなど、種々の用途に適用することができる。
これらの中でも、得られた硬化物が発色性や光堅牢性に優れることから、画像形成のためのインクとして用いられることが好ましい。