JPH0235066B2 - Chojakutsutsujoamimono*orimonotonoragaeshisochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は筒状に編成或は織成された長尺の編
物、織物を晒或は染色、起毛する場合に、その編
物類を裏返すのに使用される裏返し装置に関す
る。

（従来技術） 従来編物類をパイプに掛け、加圧空気によつて
裏返すようにした装置が知られている（例えば実
公昭50−35198号、実公昭51−30480号）。それら
裏返し装置では、例えば外周が0.5〜2.5ｍ、長さ
が500ｍにも及ぶ長尺の筒状に編成されたメリヤ
ス生地を迅速に裏返せるようになつている。

ところが上記従来の構成では、乾燥した生地を
裏返すことは容易であるが、濡れた生地を裏返す
場合には、パイプに生地を掛け被せるときに滑ら
かに被せることができないため、自動的に行なう
ことは不可能に近い。又人手により補助しても生
地が水分を含んでいるため、大変な労力を要する
結果となつている。

近年衣服の発展に伴い素材の良質、高品質が要
求されるようになり、国内、海外共に染色の技術
研究が盛んに行なわれ、染めむらやすり傷、光択
の度合に一層厳密性を要するようになつている。
例えばメリヤス生地の高級品に於てはシルケツト
加工（メリヤス生地を毛焼して表面の羽毛立ちを
除去し、絹のような光沢を生じさせる加工）が行
なわれる。その行程には苛性槽に生地を浸漬し、
酸により苛性を中和し、水洗にて酸を洗い流す工
程が含まれている。従つてシルケツト加工を終え
た生地は濡れた状態にあることになる。ここで従
来の裏返し装置では濡れた生地の裏返しが行なえ
ないことから、一但脱水機にかけて充分脱水し、
乾燥機に入れて乾かした後、生地を裏返す必要が
ある。この裏返し工程は、生地のシルケツト加工
面を内側にして保護するために必要な工程であ
る。裏返された生地は晒槽に投入されて下晒がな
され、染色工程、水洗工程、脱水工程、乾燥工程
及び裏返し工程を経て仕上げられる。

以上の説明で明らかなように、従来の裏返し装
置では濡れたままの生地の裏返しができないた
め、生産工程中に余分の脱水工程及び乾燥工程を
入れなければならない不具合がある。

（発明の目的） 濡れたままの生地でも乾いた生地と同様に簡単
かつ迅速に裏返しの出来る裏返し装置を提供し、
余分な脱水工程や乾燥工程を省略できるようにし
て作業能率を上げ、生産コストを低減する。

（発明の構成） 本発明は前端が裏返し用加圧空気吐出口１６に
対向して開口した内パイプ２２を外パイプ２１内
に送風路２３用の間隙を隔てて嵌合すると共に内
パイプ前端部に外パイプ前端面と外パイプ前端部
外周面に対し間隙を隔てて外パイプ２１側に湾曲
した傘状部材３１を固定して外パイプ前端部と傘
状部材３１との間に上記送風路用間隙からの加圧
空気を外パイプ２１の表面に沿い後方に噴出させ
る風向逆転通路３２を形成し、内外パイプ間の間
隙からなる上記送風路２３の基端部と裏返し用加
圧空気吐出口１６へ至る送風管１３の基端部とを
切換弁８を介してブロアー２の加圧空気吐出口に
接続した長尺筒状編物、織物等の裏返し装置にお
いて、外パイプ外周面にパイプ長手方向に延びる
リブ３３を放射状に突出させたことを特徴とする
長尺筒状編物、織物等の裏返し装置である。

（実施例） 第１図においてフレーム１内にはターボブロア
ー２が収納され、ブロアー２はモータ３によつて
駆動されるようになつている。ブロアー２の吸込
口４には開閉自在の吸込口シヤツタ５が設けら
れ、シヤツタ５はリンク機構を介してモータ６の
回動により吸込口４を開閉するようになつてい
る。ブロアー２に連通する送風管７の先端には切
換弁８が設けられ、弁８は主としてケース９と回
転子１０とによつて構成されている。ケース９に
は送風管７の加圧空気流入口ａ及び２つの流出口
ｂ，ｃが穿設されており、一方回転子１０にはＹ
字形の流路１１が形成されている。流路１１は流
出口ｄに対し分岐した２つの流入口ｅ，ｆを有し
ている。回転子１０はリンク機構を介してモータ
１２によつて回動させられるようになつている。

切換弁８の流出口ｂに後端が連通する送風管１
３は水平方向前方（矢印Ｆ方向）に延在し、管１
３の先端部は回動可能なジヨイント１４を介して
回動曲管１５の基部に連通している。曲管１５は
略Ｕ形の部材であり、上方に配置された吐出口１
６は後方に向けて開口している。又曲管１５には
グリツプ１７が固定されている他、制御用の押ボ
タンスイツチ１８が設置されている。

一方切換弁８の流出口ｃにはメインパイプ１９
に連通する送風管２０が連通している。メインパ
イプ１９は基部がフレーム１上端に固定され、前
方に水平方向に突出する部材であり、第２図に示
すように主として外パイプ２１と同心の内パイプ
２２（例えばステンレス製）とから構成されてい
る。送風管２０の上端は外パイプ２１に溶着さ
れ、加圧空気送風口２１′を介して外パイプ２１
と内パイプ２２との間に形成された円筒状の送風
路２３（間隙）に連通している。送風路２３のう
ち送風管２０よりも後方の位置には環状の縦壁２
４が設けられ、これにより送風路２３は閉塞され
ている。縦壁２４は外周部が外パイプ２１に溶着
されており、内周部には気密性を保持するための
Ｏリング２５を有している。

メインパイプ１９の前端部は第３図のように構
成されている。第３図において、両パイプ２１，
２２間には円周方向等間隔に４枚の支持板２６が
放射状に設けられ、両パイプ２１，２２を同心に
保持している。又メインパイプ１９の前端に配置
された傘状部材３１は略円筒形であり、外パイプ
２１に間隙を隔てて同心に嵌合し、両者間の間隙
が風向逆転通路３２を形成している。傘状部材３
１は前端部に断面略半円形の環状ガイド部３４を
有しており、ガイド部３４の内周端部は内パイプ
２２の前端に固着され、これによつて送風路２３
は前方に対して閉塞状態にある。又外パイプ２１
の前端は内パイプ２２の前端よりも後方に位置
し、従つて送風路２３の前端部は外パイプ２１の
前端と傘状部材３１の内周端面３５との間を通し
て風向逆転通路３２に連通している。第４図に示
すように外パイプ２１の外周面には、パイプ２１
の長手方向に延在する数枚（例えば10枚）のリブ
３３が放射状に固定されており、リブ３３の外周
側端部が傘状部材３１を貫通して外周方向に突出
している。又各リブ３３は上方のもののパイプ円
周方向の間隔が狭く、下方にゆくに従つて間隔が
広くなるように配置されている。

なおリブ３３は第１図に示すようにメインパイ
プ１９の長手方向に延在し、後端はフレーム１よ
りも前方に位置しており、各リブ３３は外パイプ
２１の外周面に半径方向同一高さで固定されてい
る。又第５図の方向に見て傘状部材３１とジヨイ
ント１４とは左右方向に偏倚した位置に配置され
ており、ジヨイント１４を中心に回動曲管１５を
矢印X₁方向に回転させて仮想線位置に配置した
とき曲線１５上端部の吐出口１６（第１図）が傘
状部材３１と同心の位置にくるようになつてい
る。ジヨイント１４に設けられたリミツトスイツ
チ３６は曲管１５の回動位置を検出するためのス
イツチである。

更に第１図に示すように、メインパイプ１９の
後方には内パイプ２２内の裏返された長尺編物等
を後方へ引取るために、左右方向（第１図と直角
方向）かつ水平の中心軸を有するロール３７，３
８が上下に配置され、両ロール３７，３８の対向
面はメインパイプ１９の中心と略同一高さに設定
されている。上側のロール３７はウオームギヤを
有するハンドル３９の操作により上下方向に可動
であり、又両ロール３７，３８はカウンタギヤ４
０及びチエン４１を介することによつて連結され
ている。ロール３７，３８の後方には前下りの姿
勢に配置されたチエンコンベヤ４２が設けられ、
コンベヤ４２の前端の回転軸４３がチエン４４を
介してロール３８に連結されている。

次に作動を説明する。第１図において、まずモ
ータ３を始動させターボブロアー２を駆動する。
初期状態においては吸込口４はシヤツタ５によつ
て閉じられており、ブロアー２は送風を行なわな
い。ここで行なう作業としては大きく分けて、メ
インパイプ１９に長尺筒状の生地５１を掛ける作
業と、生地５１を裏返す作業とに分けられる。

〔生地掛け作業〕

回動曲管１５を第５図の実線位置に配置する
と、リミツトスイツチ３６がその状態を検出し
て、第１図の回転子１０を図示の状態に保持す
る。回転子１０はリミツトスイツチ３６（第５
図）によつて制御されるクランク付モータ１２に
よつて回動させられる。次に押ボタンスイツチ１
８の操作によつてモータ６を回動させシヤツタ５
を上げて吸込口４を開ける。加圧空気は送風管
７、切換弁８、送風管２０、送風路２８（第２
図）、風向逆転通路３２（第３図）を通り、リブ
３３の間を外パイプ２１の外周面に沿い後方に向
けて勢い良く噴出する。

この状態で、濡れた生地５１の末端部をメイン
パイプ１９の前端部に掛けると、生地５１は噴出
する加圧空気によつて後方に送られ、この加圧空
気流によつて順次メインパイプ１９上に継続続し
て被せられる。このときリブ３８によつて生地５
１は支持されており、生地５１と外パイプ２１と
の間には間隙が常に確保され、空気の流通が防げ
られないので、生地５１が濡れている場合でも、
生地５１の送りはスムーズに行なわれる。生地５
１をメインパイプ１９に掛け終ると、第１図のよ
うにパイプ１９の前方突出部分全体にわたり生地
５１が被せられることになり、生地掛け作業は終
了する。ここで一旦吸込口４を閉じてもよい。

〔裏返し作業〕

生地５１の前方側末端部を束ね、傘状部材３１
を介して内パイプ２２（第３図）の前端部にその
束ねた部分を挿入する。次に回動曲管１５を第５
図の仮想線の位置に配置する。この配置の変更は
リミツトスイツチ３６により検出され、第１図の
モータ１２が作動して回転子１０を回動させ、流
入口ａと流入口ｆとが連通し、流出口ｂと流出口
ｄとが連通し、流出口ｃは閉じた状態となる。ス
イツチ１８の操作によつて吸込口４を開けると、
加圧空気は切換弁８、送風管１３、回動曲管１５
を介して、吐出口１６から内パイプ２２（第３
図）内で後方に向けて噴出する。

この加圧空気の噴出によつて、メインパイプ１
９に掛けられた生地５１は傘状部材３１の外側面
にガイドされながら順次内パイプ２（第３図）内
に裏返されつつ送り込まれ、メインパイプ１９の
後端より送り出される。パイプ１９より送り出さ
れた生地５１は回転するロール３７，３８間に挟
まれて更に後方に送られる。

ここで生地５１が濡れていても、リブ３３によ
つて外パイプ２１と生地５１の間には間隙が確保
されていることから、パイプ２１の表面に生地５
１がへばりついてしまつて生地５１の送込みが困
難になるといつた不具合が生じない。従つて生地
５１はリブ３３の外周側端部で支持されながら、
スムーズに前方に送られてゆく。

上記裏返し作業が順次行なわれ、生地５１の後
端が来たことをロール３７，３８近傍に設けられ
た図示しないリミツトスイツチが検出すると、モ
ータ６が作動してシヤツタ５を下げ、吸込口４を
閉じて送風を自動的に停止する。

（発明の効果） (a) 外パイプ２１の外周面にパイプ長手方向に延
在するリブ３３を放射状に突出させたので、濡
れたままの生地でも乾いた生地と同様に簡単か
つ迅速に裏返しを行うことができる。

(b) 従来加工工程途中で生地を裏返すだけのため
に脱水工程や乾燥工程を行なわなければならな
かつたのに比して、それらの工程を省略するこ
とができ、作業能率を上げ、生産コストを低減
することができる。もちろん省エネルギー対策
の観点からの効果も大である。

(c) 濡れた生地だけでなく乾いた生地も同様に裏
返せるので、両方に共用でき、経済的である。

(d) 濡れた生地の裏返しが行なえるという大きな
効果に対して、構成は複雑でなく、実用的価値
は極めて大きい。

（別の実施例） 本発明を実施するにあたり、次のような構成と
することもできる。

(a) 外パイプ２１に別部材のリブ３３を設ける構
成とせず、例えば外パイプ２１にパイプ長手方
向に延在する波をつけ、その突出部分をリブと
してもよい。

(b) 第６図、第７図に示すように、リブ３３を外
パイプ２１側リブ３３ａと傘状部材３１側リブ
３３ｂとに分け、リブ３３ａの外パイプ半径方
向の高さを部材３１の内径よりも内周側に設定
してもよい。この場合は風向逆転通路３２から
噴出する加圧空気の一部はリブ３３ａの部材３
１側端面にガイドされて外周面に流れが曲げら
れ、リブ３３ａの外周側を流れることになる。
リブ３３ａの部材３１側端面の形状としては、
第８図のようにパイプ２１の長手方向に対し直
角な面ａ、傾斜面ｂ或は円弧面ｃ，ｄ等、矢印
で示すように加圧空気が外周側へガイドされる
形状であればよい。この場合は加圧空気の流れ
が曲げられることから、生地５１は外パイプ半
径方向外方に向う力を受けるので、特に目の細
い薄手のメリヤス生地等を用いる場合でも、生
地５１が加圧空気の噴出流による吸引作用によ
つて傘状部材３１及びリブ３３ｂにへばりつく
ような不具合は生じない利点がある。」 (c) リブ３３の外周側端部の形状は矩形に限ら
ず、例えば円弧面としてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による裏返し装置の左側面略
図、第２図は第１図の部分の断面図、第３図は
第１図の部分の詳細図、第４図は第３図の矢
視図、第５図は第１図の矢視図、第６図は別の
実施例の第３図に相当する図、第７図は第６図の
矢視図、第８図は第６図の矢視部分のフイン
側面図である。１６……裏返し用加圧空気吐出
口、２１……外パイプ、２１′……加圧空気送風
口、２２……内パイプ、２３……送風路（間隙）、
３１……傘状部材、３２……風向逆転通路、３３
……リブ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 前端が裏返し用加圧空気吐出口１６に対向し
   て開口した内パイプ２２を外パイプ２１内に送風
   路２３用の間隙を隔てて嵌合すると共に内パイプ
   前端部に外パイプ前端面と外パイプ前端部外周面
   に対し間隙を隔てて外パイプ２１側に湾曲した傘
   状部材３１を固定して外パイプ前端部と傘状部材
   ３１との間に上記送風路用間隙からの加圧空気を
   外パイプ２１の表面に沿い後方に噴出させる風向
   逆転通路３２を形成し、内外パイプ間の間隙から
   なる上記送風路２３の基端部と裏返し用加圧空気
   吐出口１６へ至る送風管１３の基端部とを切換弁
   ８を介してブロアー２の加圧空気吐出口に接続し
   た長尺筒状編物、織物等の裏返し装置において、
   外パイプ外周面にパイプ長手方向に延びるリブ３
   ３を放射状に突出させたことを特徴とする長尺筒
   状編物、織物等の裏返し装置。