JP5334772B2 - インク組成物、及び、インクジェット記録方法 - Google Patents

インク組成物、及び、インクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5334772B2
JP5334772B2 JP2009216443A JP2009216443A JP5334772B2 JP 5334772 B2 JP5334772 B2 JP 5334772B2 JP 2009216443 A JP2009216443 A JP 2009216443A JP 2009216443 A JP2009216443 A JP 2009216443A JP 5334772 B2 JP5334772 B2 JP 5334772B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
ink composition
vinyl ether
viscosity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009216443A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010100833A (ja
Inventor
健次郎 荒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2009216443A priority Critical patent/JP5334772B2/ja
Publication of JP2010100833A publication Critical patent/JP2010100833A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5334772B2 publication Critical patent/JP5334772B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、インクジェット記録用として好適に用いられるインク組成物、及び、インクジェット記録方法に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。電子写真方式は、感光体ドラム上に帯電及び露光により静電潜像を形成するプロセスを必要とし、システムが複雑となり、結果的に製造コストが高価になるなどの問題がある。また熱転写方式は、装置は安価であるが、インクリボンを用いるため、ランニングコストが高く、かつ廃材が出るなどの問題がある。
一方、インクジェット方式は、安価な装置で、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率よく使用でき、ランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
また、特許文献1には、酸の存在下で重合する酸重合性化合物として、ビニルエーテル化合物とリモネンジオキサイドとを含有することを特徴とするカチオン硬化型反応性希釈剤が開示されている。
また、特許文献2には、重合性化合物を含む有機系分散媒、前記有機系分散媒に対して2重量%以上30重量%以下の割合で配合された平均粒子径200nm以下のブラック顔料、および樹脂分散剤を含有する顔料分散体と、イオン性化合物とを含有するインクジェットインクであって、前記有機系分散媒もしくは前記有機系分散媒のうち少なくとも1成分に対する前記ブラック顔料のゼータ電位は、−10mV以上+100mV以下であることを特徴とするインクジェットインクが開示されている。
特開2007−137923号公報 特開2006−232989号公報
本発明の目的は、酸化チタン高濃度含有での吐出安定性、保存安定性、硬化性及び柔軟性に優れ、かつ硬化して得られる画像の画質に優れるインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することである。
上記目的は、下記<1>又は<8>に記載の手段により達成された。好ましい実施態様である<2>〜<7>、<9>及び<10>と共に以下に示す。
<1>(A)酸化チタン、(B)光酸発生剤、及び、(C)カチオン重合性化合物を含有し、前記(A)酸化チタンの含有量が、35〜45重量%であり、前記(C)カチオン重合性化合物が、25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物又はビニルエーテル化合物を含み、前記25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物の総含有量が、前記(C)カチオン重合性化合物の全重量に対し、65〜100重量%であることを特徴とするインク組成物、
<2>前記25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物の総重量の60〜100重量%が、多官能性モノマーである上記<1>に記載のインク組成物、
<3>前記(C)カチオン重合性化合物が、炭素原子、水素原子及びエーテル性の酸素原子のみから構成される化合物である上記<1>又は<2>に記載のインク組成物、
<4>前記(C)カチオン重合性化合物が、オキシラン化合物、オキセタン化合物及び/又はビニルエーテル化合物のみからなる上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<5>粘度が7〜35mPa・sである上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<6>(D)アミン化合物を含む上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインク組成物、
<7>前記(D)アミン化合物が、ヒンダードアミン化合物である上記<6>に記載のインク組成物、
<8>(a1)被記録媒体上に、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法、
<9>前記吐出が、圧電素子の変形によりインク組成物を吐出するインクジェットヘッドを用いて行われる上記<8>に記載のインクジェット記録方法、
<10>前記吐出が、1〜10plの液滴量、かつ1,200×1,200〜4,800×4,800dpiで行われる上記<8>又は<9>に記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、酸化チタン高濃度含有での吐出安定性、保存安定性、硬化性及び柔軟性に優れ、かつ硬化して得られる画像の画質に優れるインク組成物、並びに、前記インク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
(1)インク組成物
本発明のインク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)は、(A)酸化チタン、(B)光酸発生剤、及び、(C)カチオン重合性化合物を含有し、前記(A)酸化チタンの含有量が、35〜45重量%であり、前記(C)カチオン重合性化合物が、25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物又はビニルエーテル化合物を含み、前記25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物の総含有量が、前記(C)カチオン重合性化合物の全重量に対し、65〜100重量%であることを特徴とする。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インク組成物として好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のインク組成物は、放射線により硬化可能なインク組成物であり、また、油性のインク組成物である。
本発明でいう「放射線」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させ得るエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物が好ましい。
(A)酸化チタン
本発明のインク組成物は、酸化チタンを含有する。
酸化チタンは、他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。
酸化チタンは、特に限定されず、白色顔料として使用されている公知の酸化チタンから適宜選択して使用することができる。ルチル型二酸化チタン及びアナターゼ型二酸化チタンのいずれも使用することができるが、触媒活性能が低く、経時安定性に優れる点から、ルチル型二酸化チタンが好ましく使用される。
酸化チタンは上市されており、例えば、Tipaque CR60−2、Tipaque A−220(いずれも、石原産業(株)製)や、KRONOS1001、1014、1071、1074、1075、1077、1078、1080、1171、2044、2047、2056、2063、2080、2081、2084、2087、2160、2190、2211、2220、2222、2225、2230、2233、2257、2300、2310、2450、2500、3000、3025(いずれも、KRONOS社製)等が例示できる。
また、酸化チタンは、必要に応じて表面処理を行ってもよい。具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、亜鉛、ジルコニア、有機物処理が行われ、処理方法によって耐候性や親油水性が異なる。本発明においてはアルミナ、亜鉛、ジルコニア、塩基性有機物処理されたものが好ましい。混合処理が行われた酸化チタンに関しては、アルミナ、亜鉛、ジルコニア、塩基性有機物による処理量が、粒子の全表面積に対し、50%以上であることが好ましい。もちろん、必要に応じて他の無機白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
酸化チタンは、特に限定されず、白色顔料として使用されている公知の酸化チタンから適宜選択して使用することができる。ルチル型二酸化チタン及びアナターゼ型二酸化チタンのいずれも使用することができるが、触媒活性能が低く、経時安定性に優れる点から、ルチル型二酸化チタンが好ましく使用される。
酸化チタンは上市されており、例えば、Tipaque CR60−2、Tipaque A−220(いずれも、石原産業(株)製)や、KRONOS1001、1014、1071、1074、1075、1077、1078、1080、1171、2044、2047、2056、2063、2080、2081、2084、2087、2160、2190、2211、2220、2222、2225、2230、2233、2257、2300、2310、2450、2500、3000、3025(いずれも、KRONOS社製)等が例示できる。
また、酸化チタンは、必要に応じて表面処理を行ってもよい。具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、亜鉛、ジルコニア、有機物処理が行われ、処理方法によって耐候性や親油水性が異なる。本発明においてはアルミナ、亜鉛、ジルコニア、塩基性有機物処理されたものが好ましい。
本発明において、酸化チタンのインク組成物への添加量は、インク組成物の全重量に対し、35〜45重量%であり、36〜45重量%であることが好ましく、36〜44重量%であることがより好ましい。
従来の白色インク組成物において、酸化チタンの添加量が多い場合には、活性放射線に対する感度の低下や、吐出安定性及び保存安定性の低下、さらには、硬化して得られる画像においてざらつきなどが見られ、画質に劣る場合が見られた。
本発明のインク組成物は、特定のカチオン重合性化合物を使用することにより、酸化チタンのインク組成物への添加量が、インク組成物の全重量に対し、35〜45重量%である場合でも、活性放射線に対する高感度を維持することができ、また、吐出安定性及び保存安定性に優れ、さらに、硬化して得られる画像の画質に優れる。
酸化チタンの分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
また、インク組成物に酸化チタンを添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。
分散助剤は、酸化チタン100重量部に対し、1〜50重量部添加することが好ましい。
インク組成物において酸化チタンなどの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である後述するカチオン重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、放射線硬化型のインク組成物であり、インク組成物を被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化された画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、カチオン重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低いカチオン重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
酸化チタンの平均粒径は0.1〜0.5μmであることが好ましく、0.1〜0.3μmであることがより好ましく、0.15〜0.25μmであるさらに好ましい。また、最大粒径は1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。最大粒径が上記範囲内となるように、酸化チタン、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、濾過条件を設定することが好ましい。また、遠心分離などの後処理によって大きな粒子を取り除くことも有効である。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インク組成物の保存安定性(特に沈降の抑止)、十分な隠蔽性及び硬化感度を維持することができる。
インク組成物中における酸化チタンの粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。
(B)光酸発生剤
本発明のインク組成物は、光酸発生剤を含有する。
本発明に用いることのできる好ましい光酸発生剤(以下、「カチオン重合開始剤」ともいう。)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
本発明に用いることのできる光酸発生剤は、活性放射線の照射により酸を発生する化合物であることが好ましい。
本発明に用いることができる光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、活性放射線の照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。
これらの中でも、光酸発生剤としてオニウム塩を使用することが好ましい。
また、本発明に用いることができる活性放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,The,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、同第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、
J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第3,902,114号、同4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開平7−28237号、同8−27102号等に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill et al,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1986)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、
S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,3571(1965)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0,290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のO−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0,199,672号、同84515号、同044,115号、同第618,564号、同0,101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号、特開平2−71270号等に記載のジスルホン化合物、特開平3−103854号、同3−103856号、同4−210960号等に記載のジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、M.E.Woodhouse et al,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas et al,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo etal,Makromol.Chem.,Rapid Commun.,9,625(1988)、Y.Yamada etal,Makromol.Chem.,152,153,163(1972)、J.V.Crivello et al,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。たとえば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton et al,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
本発明に用いることができる好ましい光酸発生剤として、下記式(b1)、(b2)、又は、(b3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005334772
式(b1)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
-は、非求核性アニオンを表し、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 -、PF6 -、SbF6 -や以下に示す基などが好ましく挙げられる。また、炭素原子を有する有機アニオンであることが好ましい。
Figure 0005334772
好ましい有機アニオンとしては、下式に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 0005334772
Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基として炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rd1は、水素原子、アルキル基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基である。
Rc1、Rc3〜Rc5の有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフルオロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(b1−1)、(b1−2)、(b1−3)における対応する基を挙げることができる。
尚、式(b1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b1)で表される化合物のR201〜R203のうち少なくともひとつが、式(b1)で表される他の化合物におけるR201〜R203の少なくともひとつと直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
さらに好ましい(b1)成分として、以下に説明する化合物(b1−1)、(b1−2)、及び(b1−3)を挙げることができる。
化合物(b1−1)は、上記式(b1)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、すなわち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基が好ましく、さらに好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうち、いずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(b1−2)について説明する。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができ、直鎖、分岐2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができ、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
201〜R203の直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によってさらに置換されていてもよい。
化合物(b1−3)とは、以下の式(b1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルホニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 0005334772
式(b1−3)において、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)におけるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜20個、より好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cのシクロアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖状若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、さらに好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、溶剤溶解性がより向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制されるので好ましい。
x及びRyとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
x及びRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基、シクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、さらに好ましくは8個以上のアルキル基、シクロアルキル基である。
式(b2)、(b3)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。X-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)におけるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
また、R204とR205、R206とR207が結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R204とR205、R206とR207が結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
尚、式(b2)又は(b3)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b2)で表される化合物のR204又はR205が、式(b2)で表される他の化合物におけるR204又はR205と直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
光酸発生剤として、さらに、下記式(b4)、(b5)、(b6)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005334772
式(b4)〜(b6)中、Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206、R207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はシアノ基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
Ar3及びAr4、R206〜R208並びにAは置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
尚、式(b4)〜(b6)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b6)で表される化合物のR206〜R208のうち少なくともひとつが、式(b6)で表される他の化合物におけるR206〜R208の少なくともひとつと直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
前記光酸発生剤の中でも好ましいものとしては、式(b1)〜(b3)で表される化合物を挙げることができる。
本発明に用いることのできる光酸発生剤の好ましい化合物例〔(b−1)〜(b−96)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
また、特開2002−122994号公報の段落0029〜0030に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。
特開2002−122994号公報の段落0037〜0063に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用し得る。
光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物中の光酸発生剤の含有量は、インク組成物の0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。上記範囲であると、インク組成物を十分硬化させることができ、また、硬化度の均一性に優れる。
また、本発明において、インク組成物に後述する増感剤を用いる場合、重合開始剤の総使用量は、増感剤に対して、重合開始剤:増感剤の重量比で、200:1〜1:200であることが好ましく、50:1〜1:50であることがより好ましく、20:1〜1:5であることがさらに好ましい。
(C)カチオン重合性化合物
本発明のインク組成物は、カチオン重合性化合物を含有する。
また、本発明のインク組成物中における前記カチオン重合性化合物は、25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物又はビニルエーテル化合物を含む。なお、上記における「25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物又はビニルエーテル化合物」とは、「25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキセタン化合物又は25℃における粘度が12mPa・s以下であるビニルエーテル化合物」と同義である。
また、本発明のインク組成物中における前記25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物の総含有量は、前記カチオン重合性化合物の全重量に対し、65〜100重量%である。
本発明に用いることができるカチオン重合性化合物としては、オキシラン環(「エポキシ環」ともいう。)を有する化合物(「オキシラン化合物」又は「エポキシ化合物」ともいう。)、オキセタン環を有する化合物(「オキセタン化合物」ともいう。)、ビニルエーテル化合物等の公知のカチオン重合化合物を特に制限はなく用いることができる。
本発明に用いることができるカチオン重合性化合物としては、後述するカチオン重合開始剤から発生するカチオン重合開始種により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。また、カチオン重合性化合物としては、例えば、カチオン重合系の光硬化性樹脂が知られており、最近では400nm以上の可視光波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も、例えば特開平6−43633号、特開平8−324137号の各公報等に公開されている。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、脂肪族エポキシドなどが挙げられ、芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロロヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン環又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いることのできる単官能及び多官能のエポキシ化合物を詳しく例示する。
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物の中でも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテルと多官能ビニルエーテルを詳しく例示する。
単官能ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明に使用できるオキセタン化合物は、少なくとも1つのオキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載されているような公知のオキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明のインク組成物に用いることができるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインク組成物の被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
分子内に1〜2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(1)〜(3)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0005334772
a1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
a2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。また、Ra2は置換基を有していてもよく、置換基としては、1〜6のアルキル基、フッ素原子が挙げられる。
a3は、線状又は分枝状アルキレン基、線状又は分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基又はカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、又は、以下に示す基を表す。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
Figure 0005334772
a3が上記多価基である場合、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表す。
a5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、又は、C(CH32を表す。
a6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又は、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基であり、mは0〜100の整数である。
Figure 0005334772
式(1)で表される化合物として、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(OXT−212:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(OXT−211:東亞合成(株)製)が挙げられる。式(2)で表される化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(OXT−121:東亞合成(株)製)が挙げられる。また、式(3)で表される化合物としては、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(OXT−221:東亞合成(株)製)が挙げられる。
分子内に3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005334772
式(4)において、Ra1は、前記式(1)におけるものと同義である。また、多価連結基であるRa9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
Figure 0005334772
上記Aにおいて、Ra10はメチル基、エチル基又はプロピル基を表す。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に用いることのできるオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記式(5)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005334772
式(5)において、Ra1及びRa8は前記式におけるものと同義である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217号公報の段落0021〜0084に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に用いることができる。
特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に使用することができる。特開2004−91556号公報の段落0022〜0058に詳細に記載されている。
本発明で使用するオキセタン化合物の中でも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
<低粘度化合物>
本発明においては、25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキセタン化合物、及び、25℃における粘度が12mPa・s以下であるビニルエーテル化合物を総称して、低粘度化合物ともいう。
本発明のインク組成物は、カチオン重合性化合物として、低粘度化合物を含む。
また、本発明のインク組成物における低粘度化合物の総含有量は、カチオン重合性化合物の全重量に対し、65〜100重量%である。
カチオン重合性化合物やインク組成物の25℃における粘度の測定方法としては、特に制限はないが、JIS Z8803に準拠した測定方法であることが好ましい。
また、粘度の測定装置としては、回転粘度計を使用することが好ましく、B形又はE形の回転粘度計を使用することが好ましい。
カチオン重合性化合物、及び、インク組成物の25℃における粘度の測定方法として具体的には、例えば、RE80型粘度計(東機産業(株)製)を用いて、液温25℃にてローターを2分間回転させて安定させた後に測定することが好ましい。
また、本発明のインク組成物中における前記低粘度化合物の60〜100重量%は多官能性モノマーであることが好ましく、前記低粘度化合物の65〜95重量%は多官能性モノマーであることがより好ましく、前記低粘度化合物の70〜80重量%は多官能性モノマーであることがさらに好ましい。上記範囲であると、硬化性に特に優れ、さらに柔軟性にも富んだインク組成物を得ることができる。
また、本発明のインク組成物中における前記25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物は、炭素原子、水素原子及びエーテル性の酸素原子のみから構成される化合物であることが好ましく、本発明のインク組成物中における全てのカチオン重合性化合物が、炭素原子、水素原子及びエーテル性の酸素原子のみから構成される化合物であることがより好ましい。上記態様であると、保存安定性に特に優れる。
前記25℃における粘度が12mPa・s以下であるオキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物の具体例としては、下記に示す(LM−1)〜(LM−18)が例示できる。また、下記具体例の右側に記載した粘度は、25℃における粘度(mPa・s)である。なお、本発明においては、化学構造式の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式する場合もある。
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
これらの中でも、(LM−1)〜(LM−13)を用いることが好ましい。
前記低粘度化合物の分子量としては、98〜300であることが好ましく、124〜294であることがより好ましい。
また、前記低粘度化合物は、芳香環を有しない脂肪族化合物であることが好ましい。
<高粘度化合物>
前記カチオン重合性化合物としては、25℃における粘度が12mPa・sを越えるオキシラン化合物、25℃における粘度が12mPa・sを越えるオキセタン化合物及び/又は25℃における粘度が12mPa・sを越えるビニルエーテル化合物(併せて、「高粘度化合物」ともいう。)を用いてもよい。
オキシラン化合物やオキセタン化合物、ビニルエーテル化合物が、例えば、芳香環を有していたり、ヒドロキシ基やアミノ基等の極性基を有していたりした場合、25℃における粘度が12mPa・sを越える化合物である場合が多い。
前記高粘度化合物の具体例としては、下記に示す(HM−1)〜(HM−17)が例示できる。また、下記具体例の右側に記載した粘度は、25℃における粘度(mPa・s)である。
Figure 0005334772
Figure 0005334772
前記カチオン重合性化合物は、オキシラン化合物及びオキセタン化合物を含有していることが好ましく、多官能オキシラン化合物及び多官能オキセタン化合物を含有していることがより好ましく、単官能オキセタン化合物、多官能オキシラン化合物及び多官能オキセタン化合物を含有していることがさらに好ましく、単官能オキセタン化合物、多官能オキシラン化合物及び多官能オキセタン化合物のみからなることが特に好ましい。
また、前記カチオン重合性化合物は、オキシラン化合物、オキセタン化合物及び/又はビニルエーテル化合物のみからなることが好ましく、オキシラン化合物及び/又はオキセタン化合物のみからなることがより好ましい。
インク組成物中のカチオン重合性化合物の含有量は、インク組成物の全固形分に対し、10〜95重量%が好ましく、30〜90重量%がより好ましく、50〜85重量%がさらに好ましい。
(D)アミン化合物
本発明のインク組成物は、アミン化合物を含有することが好ましい。
本発明に用いることのできるアミン化合物としては、従来公知のアミン化合物であれば特に制限なく使用することができる。
また、アミン化合物は、分子内に1個のアミン部位を有する化合物であっても、分子内に2個以上のアミン部位を有する化合物であってもよく、また、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等の置換基を有していてもよい。
本発明に用いることのできるアミン化合物は、安全性の観点から、標準大気圧において沸点が120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。
アミン化合物の分子量は、100〜1,000の範囲であることが好ましく、150〜800の範囲であることがより好ましく、200〜600の範囲であることがさらに好ましい。
また、本発明に用いることのできるアミン化合物は、一級、二級及び三級のアミン化合物のいずれでもよいが、重合性化合物との副反応や変色反応の抑制の観点から、三級のアミン化合物を使用することが好ましい。また、脂肪族アミン化合物であっても芳香族アミン化合物であってもよいが、酸の捕捉能の観点から、脂肪族アミン化合物であることが好ましい。
したがって、本発明において好適に使用できるアミン化合物は、標準大気圧下で180℃以上の沸点を有し、分子量が200〜600の範囲にある脂肪族の三級アミン化合物である。
本発明に用いることができるアミン化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、3−(ジ−n−ブチルアミノ)プロピルアミン、3−アミノ−1−フェニルブタン、N−t−ブチルピロリジン、2,6−ジメチルピペリジン、デカヒドロキノリン、デカヒドロイソキノリン、トロピン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドン、1−(2−ピリジル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ピロリジノピリジン、クミルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−メチルチオプロピルアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、N,N−ジ−n−プロピルアニリン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、N−ベンジル−2−メチル−1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリフェニル−1,3,5−トリアジン、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、N,N−ジメチルアニリン、1−エチルピロール、2,5−ジメチルピロール、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ジクロロピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジカルボン酸ジエチル、2,4,6−トリメチルピリジン、4−ビニルピリジン、3−アセチルピリジン、2−ベンゾイルピリジン、ニコチン酸メチル、2,2’−ビピリジル、2,2’:6’,2’’−ターピリジン、キノリン、イソキノリン、8−キノリノール、アクリジン、5−アミノインドール、カルバゾール、フェナントリジン、9(10H)−アクリドン、1,6−ナフチリジン、1,8−ナフチリジン、1,10−フェナントロリン、キナクリドン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン等が例示できる。
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
本発明に用いることができるアミン化合物としては、ヒンダードアミン化合物が特に好ましく例示でき、分子内に求核部位を持たないヒンダードアミン化合物が最も好ましく例示できる。
分子内に求核部位を持たないヒンダードアミン化合物(以下、「特定構造を有するヒンダードアミン化合物」ともいう。)は、立体障害の大きい塩基性窒素原子を除き、他の求核性部位を持たないことを特徴とする。ここで他の求核性部位とは、エステル基、エーテル基、水酸基、アミノ基、チオール基、チオカルボニル基、チオエステル基等の非共有電子対による求核性をもつ官能基を意味する。これら求核性部位は、カチオン重合反応時の生長カチオン末端と反応し、生長反応を阻害すると考えられ、感度低下を引き起こし易い。特定構造を有するヒンダードアミン化合物を使用することで、カチオン重合の生長反応を阻害することなく、暗反応により微量に発生する酸をトラップすることができるため、高感度を維持しながら、安定性を改善することができる。
市販されている光安定剤のHALS(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)やサノール(三共(株)製)は、分子内に求核性部位であるエステル構造を持つため、本発明における特定構造を有するヒンダードアミン化合物には含まれない。
特定構造を有するヒンダードアミン化合物は、カチオン重合反応時の生長カチオン末端との反応による生長反応の阻害を抑制するために、塩基性窒素原子の周りに立体的に嵩高い置換基を有する。この立体的に嵩高い置換基による立体反発により、塩基性窒素原子と生長カチオン末端との反応が抑制され、高感度を維持しながら、安定性を改善することができる。
本発明における特定構造を有するヒンダードアミン化合物は、暗反応よって発生する微量の酸をトラップするため、安定性を改善することができる。また、通常露光により硬化する際には、塩基性窒素原子の周りの立体的に嵩高い置換基による立体反発により、塩基性窒素原子と生長カチオン末端との反応を抑制し、カチオン重合反応の進行を阻害することがなく、高感度を維持することができると考えられる。
特定構造を有するヒンダードアミン化合物は、分子内に塩基性窒素原子以外の求核部位を持たないものであり、好ましくは炭素原子、水素原子及び窒素原子のみからなる化合物である。該特定構造を有するヒンダードアミン化合物は、下記式I〜VIIのいずれかにより表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0005334772
1は、炭素数3から8の分岐アルキル基、炭素数3から10の環状アルキル基、又は炭素数7から20のアラルキル基を表し、R2は炭素数1から4の直鎖アルキル基、炭素数3から6の分岐アルキル基、又は炭素数6から12のアリール基を表す。R3は、水素原子、炭素数1から20の直鎖アルキル基、炭素数3から6の分岐アルキル基、炭素数3から10の環状アルキル基、炭素数6から12のアリール基、炭素数7から20のアラルキル基、又は炭素数2から20のアルケニル基を表す。ここで1分子中に複数存在するR1及びR2は、同じでも互いに異なっていてもよく、それぞれが互いに結合して環構造を形成してもよい。Zは炭化水素からなる二価の有機基を表す。n及びmは1から3の整数を表す。
1で表される炭素数3から8の分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tertブチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基、2−メチル−1−エチルプロピル基又は2−メチル−2−エチルプロピル基などが挙げられ、イソプロピル基、イソブチル基、tertブチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基がより好ましい。
1で表される炭素数3から10の環状アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、などが挙げられ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、がより好ましい。
1で表される炭素数7から20のアラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α−エチルベンジル基、フェネチル基、α−メチルフェネチル基、β−メチルフェネチル基、α,α−ジメチルベンジル基、α,α−ジメチルフェネチル基、4−メチルフェネチル基、4−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、2−メチルベンジル基、4−エチルベンジル基、2−エチルベンジル基、4−イソプロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、2−tert−ブチルベンジル基、4−tert−ペンチルベンジル基、4−シクロヘキシルベンジル基、4−n−オクチルベンジル基、4−tert−オクチルベンジル基、4−アリルベンジル基、4−ベンジルベンジル基、4−フェネチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、4−(4’−メチルフェニル)ベンジル基、2−フルフリル基、ジフェニルメチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基などの置換又は未置換のアラルキル基、等が挙げられ、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α−エチルベンジル基、フェネチル基、α−メチルフェネチル基、がより好ましい。
2で表される炭素数1から4の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基が挙げられる。
2で表される炭素数3から6の分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tertブチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基、2−メチル−1−エチルプロピル基又は2−メチル−2−エチルプロピル基などが挙げられ、イソプロピル基、イソブチル基、tertブチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基がより好ましい。
2で表される炭素数6から12のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
3で表される炭素数1から20の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、等が挙げられ、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基がより好ましい。
3で表される炭素数2から20の直鎖アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチルアリル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチルアリル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基等が挙げられ、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、がより好ましい。
3で表される炭素数3から6の分岐アルキル基、炭素数3から10の環状アルキル基、炭素数6から12のアリール基、及び炭素数7から20のアラルキル基は、それぞれR1又はR2で表されるものとして上述した置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Zで表される炭化水素からなる二価の有機基としては、炭素数1から30の二価の有機基が好ましく挙げられる。前記二価の有機基には、脂肪族基及び芳香族基が包含される。また、脂肪族基には、鎖状又は環状の飽和もしくは不飽和の二価脂肪族炭化水素基が包含され、その炭素数は1〜30、好ましくは2〜22である。不飽和脂肪族基には、二重結合や三重結合を持ったものが包含される。二価の芳香族基には、1つのベンゼン環を有する単環芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)から誘導される二価炭化水素基及び2つ以上、通常2〜4個のベンゼン環を有する多環芳香族炭化水素(ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル等)から誘導される二価炭化水素基が包含される。
上述した各基は、置換基を導入可能な場合には、炭化水素からなる置換基を有してもよい。
以下に、本発明に好適に用いる特定構造を有するヒンダードアミン化合物として、具体的には以下の化合物〔(A−1)〜(A−50)〕が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
Figure 0005334772
上述した化合物(又は式I〜VII)の中でも、インクジェット吐出性と硬化速度の観点から、式IV、VI及びVIIがより好ましく、式VI及びVIIがさらに好ましく、A−26が特に好ましい。
本発明において、アミン化合物(好ましくは、特定構造を有するヒンダードアミン化合物)の添加量は、顔料分散物の全量に対し、1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましい。上記範囲であると、感度に優れ、高画質な印刷物を得ることが可能なインク組成物を得ることができる。
また、アミン化合物の添加量は、インク組成物の全量に対し、0.05〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.5〜10重量%がさらに好ましい。
本発明において、アミン化合物を1種のみ添加してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、他のヒンダードアミン化合物としては、以下に示す化合物が例示できる。
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(Ciba Specialty Chemicals社より“Tinuvin 765”の名で、また三共(株)より“サノール LS−765”の名で販売されている)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Ciba Specialty Chemicals社“Tinuvin 770”の名で、また三共(株)より“サノール LS−770”の名で販売されている)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート(三共(株)より“サノール LS−744”の名で販売されている)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(旭電化工業(株)より“アデカスタブ LA−82”の名で販売されている)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(旭電化工業(株)より“アデカスタブ LA−87”の名で販売されている)、1−〔2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共(株)より“サノール LS−2626”の名で販売されている)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−n−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート(Ciba Speciality Chemicals社より“Tinuvin 144”の名で販売されている)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)4−メトキシベンジリデンマロネート(Clariant社より“Sanduvor PR−31”の名で販売されている)、
2”,2”,6”,6”−テトラメチルシクロドデカンスピロ−2’−オキサゾリジン−5’−スピロ−4”−ピペラジン−4’−オン(また、1−オキサ−3,8−ジアザ−2−ウンデカメチレノ−4−オキソ−7,7,9,9−テトラメチルスピロ[4.5]デカンの名称が与えられることもある;Hoechst社より“Hostavin N 20”の名で販売されている)、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(三共(株)より“サノールLS−440”の名で販売されている)、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(旭電化工業(株)より“アデカスタブLA−52”の名で販売されている)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(旭電化工業(株)より“アデカスタブ LA−57”の名で販売されている)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(旭電化工業(株)より“アデカスタブ LA−62”の名で販売されている)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物(旭電化工業(株)より“アデカスタブ LA−67”の名で販売されている)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(旭電化工業(株)より“アデカスタブ LA−63”の名で販売されている)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物(旭電化工業(株)より“アデカスタブ LA−68”の名で販売されている)、
ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物(また、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル)−1−ピペリジノエタノール/スクシン酸コポリマーの名称が与えられることもある;Ciba Specialty Chemicals社より“Tinuvin 622”の名で販売されている)、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物(また、ポリ〔N,N’−ジ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミノ−N’−エチレン〕の名称が与えられることもある;Montefluos社より“Spinuvex A−36”の名で販売されている)ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕(Ciba Specialty Chemicals社より“Chimassorb 944”の名で販売されている)、ポリ〔(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕(American Cyanamid社より“Cyasorb UV 3346”の名で販売されている)など。
(E)分散剤
本発明のインク組成物は、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、(E)分散剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
高分子分散剤としては、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(BYKケミー社製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(エフカアディティブズ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース(Solsperse)3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,22000,24000,26000,28000,32000,36000,39000,41000,71000などの各種ソルスパース分散剤(アビシア社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成工業(株)製)、楠本化成(株)製「ディスパロン KS−860,873SN,874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、それぞれ0.05〜15重量%であることが好ましい。
本発明において、顔料に対する分散剤の重量比は、インク組成物中における顔料の重量をAと、インク組成物中における分散剤の重量Eとした場合、その重量比(E/A)が、0.01≦E/A≦5であることが好ましく、0.05≦E/A≦2.5であることがより好ましく、0.1≦E/A≦1であることがさらに好ましい。上記範囲であると、経時保存後の顔料の凝集・沈降、インク組成物の粘度上昇が生じず、インク組成物が経時保存安定性に優れ、また、インク組成物の粘度が低粘度であり、インク組成物が吐出安定性に優れる。
(F)その他の成分
本発明のインク組成物には、必要に応じて、前記成分以外の他の成分を添加することができる。
その他の成分としては、例えば、増感剤、強増感剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
<増感剤>
本発明において、特定の活性エネルギー線を吸収して、前記光酸発生剤の分解を促進させるためにインク組成物に増感剤を添加してもよい。
増感剤は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸又はカチオンを生成する。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
以下に本発明に好ましく使用できる増感剤を示す。
Figure 0005334772
また、好ましい増感剤の例としては、下記式(IX)〜(XIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005334772
式(IX)中、A1は硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、L2は隣接するA1及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
Figure 0005334772
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−又は−S−を表す。また、Wは式(IX)に示したものと同義である。
Figure 0005334772
式(XI)中、A2は硫黄原子又はNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
Figure 0005334772
式(XII)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−、−NR62−又は−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
Figure 0005334772
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子又は=NR67を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
式(IX)〜(XIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す(E−1)〜(E−20)が挙げられる。
Figure 0005334772
Figure 0005334772
本発明において、インク組成物中における増感剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
<強増感剤>
本発明のインク組成物は、強増感剤(「共増感剤」、又は、「強色増感剤」という場合もある。)を含有することも好ましい。本発明において強増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、又は、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な強増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著,Journal of Polymer Society,第10巻,3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられる。
具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
強増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられる。
具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−54735号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明のインク組成物中における強増感剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
界面活性剤としては、ポリジアルキルシロキサン類であることが好ましく、ポリエトキシ変性ポリジメチルシロキサンであることがより好ましい。
インク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、それぞれ0.0001〜1重量%であることが好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
<酸化防止剤>
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<褪色防止剤>
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<導電性塩類>
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
<溶剤>
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
<高分子化合物>
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
<塩基性化合物>
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤー(粘着付与剤)などを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
〔インク物性〕
本発明においては、吐出性を考慮し、インク組成物の25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましく、5〜40mPa・sであることがより好ましく、7〜30mPa・sであることがさらに好ましい。
〔インク物性〕
本発明においては、吐出性を考慮し、インク組成物の25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましく、5〜40mPa・sであることがより好ましく、7〜35mPa・sであることがさらに好ましい。
また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。さらにインク組成物の液滴着弾時におけるインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の25℃における表面張力は、20〜35mN/mであることが好ましく、23〜33mN/mであることがより好ましい。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点では、35mN/m以下が好ましい。
(2)インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用として好適に使用される。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性放射線を照射し、インクを硬化して画像を形成する方法である。
より具体的には、本発明のインクジェット記録方法は、(a1)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上記(a1)及び(b1)工程を含むことにより、被記録媒体上において硬化したインク組成物により画像が形成される。
また、本発明の印刷物は、本発明のインク組成物を使用して得られた印刷物であり、本発明のインクジェット記録方法によって記録された印刷物であることが好ましい。
前記吐出は、圧電素子の変形によりインク組成物を吐出するインクジェットヘッドを用いて行われることが好ましい。
また、前記吐出は、1〜10plの液滴量、かつ1,200×1,200〜4,800×4,800dpiで行われることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法における(a1)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置が用いることができる。
〔インクジェット記録装置〕
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法の(a1)工程における被記録媒体へのインクの吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは1〜10plのマルチサイズドットを、好ましくは300×300〜4,800×4,800dpi、より好ましくは1,200×1,200〜4,800×4,800dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
また、本発明のインクジェット記録方法においては、インクジェットヘッドとして、圧電素子の変形によりインク組成物を吐出するインクジェットヘッド、いわゆる、ピエゾ型のインクジェットヘッドを使用することが好ましい。
上述したように、本発明のインク組成物のように放射線硬化型インク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いて、本発明のインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物で使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、(b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、酸やカチオンなどの開始種を発生し、その開始種の機能にカチオン重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物の、カチオン重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。したがって、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、LED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源はUV−LEDであり、特に好ましくは350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、このような活性放射線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインク組成物のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインク組成物から順に重ねることにより、下部のインク組成物まで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明のインク組成物は、活性放射線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
本発明において、被記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の被記録媒体を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。また、本発明における被記録媒体として、非吸収性被記録媒体が好適に使用することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
<25℃における粘度の測定方法>
カチオン重合性化合物、及び、インク組成物の25℃における粘度の測定は、RE80型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、液温25℃にてローターを2分間回転させて安定させた後に測定した。
また、使用した市販品のうち、25℃における粘度の明示があるものは、その値を記載した。
実施例及び比較例で使用した化合物を、以下に示す。
(顔料)
KRONOS2300(アルミナ処理酸化チタン、KRONOS社製)
(分散剤)
DisperBYK−168(BYK168、BYK Chemie社製)
(多官能オキセタン化合物)
OXT−221(東亞合成(株)製、12.8cP(=12.8mPa・s))
Figure 0005334772
(多官能オキシラン化合物)
Cyracure UVR6105(Dow Chemical社製、220〜250cP)
セロキサイド3000(CEL3000、ダイセル化学工業(株)製、10cP)
Figure 0005334772
(単官能オキセタン化合物)
化合物A(LM−3)
化合物B(LM−1)
化合物C(LM−7)
Figure 0005334772
OXT−212(東亞合成(株)製、5cP)
OXT−101(東亞合成(株)製、22cP)
Figure 0005334772
(ビニルエーテル化合物)
トリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE−3、3cP)
Figure 0005334772
(重合開始剤)
ESACURE1064(Lamberti社製、下記2つの化合物の混合物)
Figure 0005334772
(増感剤)
Anthracure UVS−1331(9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)、川崎化成工業(株)製)
(界面活性剤)
BYK307(BYK Chemie社製)
(重合禁止剤)
化合物D(下記化合物)
Figure 0005334772
(分散剤)
ソルスパース36000(Avecia社製)
<白色ミルベースW1の調製>
KRONOS2300 600重量部
セロキサイド3000 360重量部
ソルスパース36000(Avecia社製) 40重量部
以下の成分を撹拌し、白色ミルベースW1を得た。なお、白色ミルベースW1の調整は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
<白色ミルベースW2の調製>
KRONOS2300 600重量部
セロキサイド3000 180重量部
LM−3 180重量部
ソルスパース36000(Avecia社製) 40重量部
以下の成分を撹拌し、白色ミルベースW2を得た。なお、白色ミルベースW2の調整は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
<白色ミルベースW3の調製>
KRONOS2300 600重量部
セロキサイド3000 180重量部
OXT−101 180重量部
ソルスパース36000(Avecia社製) 40重量部
以下の成分を撹拌し、白色ミルベースW3を得た。なお、白色ミルベースW3の調整は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
<インクの調整>
白色ミルベースW1〜W3、各重合性化合物、重合開始剤、添加剤をそれぞれ表1に示す処方で混合し、高速撹拌することで、各インク組成物をそれぞれ得た。
<インクジェット画像記録>
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に40℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜10plのマルチサイズドットを4,800×4,800dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度700mW/cm2に集光し、被記録媒体上にインク組成物の着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。紫外線ランプには、HAN250NLハイキュア水銀ランプ((株)ジーエス・ユアサ コーポレーション製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、エステルフィルムE5000(膜厚125μm、東洋紡績(株)製)を用いた。
<インクジェット画像の評価>
次いで、各形成した画像について、下記に記載の方法に準じて、画質、吐出安定性、保存安定性、硬化性、及び、柔軟性の評価を行った。
(画質)
上記インクジェット記録方法に従い、透明基材(エステルフィルムE5000)に対し、平均膜厚が4μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、ミクロとマクロとでの評価で表した。ミクロの評価は、電子顕微鏡観察による画像面の凹凸の有無により評価した。マクロの評価は、人の目による白色のざらつき加減の度合いにより評価した。
以上から、画質の評価は下記の基準で評価した。
5・・・凹凸が無く、滑らかな画面であり、全くざらつきがない
4・・・凹凸は少しあるが、ざらつきはない
3・・・凹凸があるが、ざらつきはほとんどない
2・・・凹凸があり、ざらつきが少しある
1・・・凹凸が多くあり、ざらつきがある
(吐出安定性)
インク組成物をインクジェットプリンター(ピエゾ型インクジェットヘッドKM512L(コニカミノルタ(株)製)を搭載しており、そのヘッドは25.4mmあたり150のノズル密度で、318ノズルを有する。)で60分連続印字した後、問題なく吐出できるものを5、ノズル欠が1〜2本を4、ノズル欠が3〜5本を3、ノズル欠が6〜10本を2、ノズル欠が10本以上を1とした。なお、5及び4は問題ないレベルであり、3は実用上問題にならないレベルであり、2及び1は実用上問題のあるレベルである。
(保存安定性)
作製したインク組成物を75%RH、60℃で3日保存した後、射出温度でのインク組成物の粘度を測定し、インク組成物の粘度の増加分を、保存後/保存前の粘度比で表した。
粘度が変化せず1.0に近いほうが、保存安定性が良好であり、1.5以上であると、射出時に目詰まりを起こす場合があり好ましくない。
保存安定性は以下の基準で評価した。
5・・・保存後/保存前の粘度比が1.0以上で1.10未満
4・・・保存後/保存前の粘度比が1.10以上で1.20未満
3・・・保存後/保存前の粘度比が1.20以上で1.30未満
2・・・保存後/保存前の粘度比が1.40以上で1.50未満
1・・・保存後/保存前の粘度比が1.50以上
(硬化性)
前記インクジェット記録方法に従い、平均膜厚が4μmのベタ画像の描画を行い、紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm2)を硬化感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
また、硬化感度は以下の基準で評価した。
5・・・150mJ/cm2未満
4・・・150mJ/cm2以上300mJ/cm2未満
3・・・300mJ/cm2以上600mJ/cm2未満
2・・・600mJ/cm2以上900mJ/cm2未満
1・・・900mJ/cm2以上
(柔軟性:硬化膜の耐折り曲げ性評価)
各インク組成物で最も低エネルギーで全く転写しなかった露光量で、前記インクジェット記録方法に従い、透明基材(エステルフィルムE5000)に対し平均膜厚が4μmのベタ画像の描画を行い、その画像を23℃、相対湿度60%の条件下で1日保管した後に画面中央部分を手で180°に折り曲げて硬化膜の割れの有無を観察し、次のように評価した。
5・・・20回以上折り曲げても変化なし
4・・・15回以上20回までに硬化膜に割れが生じる。
3・・・10回以上15回までに硬化膜に割れが生じる。
2・・・5回以上10回までに硬化膜に割れが生じる。
1・・・5回までに硬化膜に割れが生じる。
実施例1〜14及び比較例1〜5における評価結果を、以下の表1及び表2に示す。
なお、表1及び表2におけるカラーの記載Wは、ホワイト(白色)を表す。
Figure 0005334772
Figure 0005334772
なお、表1及び表2中において、12mPa・s以下のモノマーの割合は、カチオン重合性化合物の全重量に対する割合であり、12mPa・s以下のモノマーかつ2官能モノマーの割合は、12mPa・s以下のモノマーの全重量に対する割合であり、また、酸化チタン濃度は、インク組成物の全重量に対する濃度である。

Claims (10)

  1. (A)酸化チタン、
    (B)光酸発生剤、及び、
    (C)カチオン重合性化合物を含有し、
    前記(A)酸化チタンの含有量が、35〜45重量%であり、
    前記(C)カチオン重合性化合物が、25℃における粘度が12mPa・s以下である、オキシラン化合物、オキセタン化合物又はビニルエーテル化合物を含み、
    前記25℃における粘度が12mPa・s以下である、オキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物の総含有量が、前記(C)カチオン重合性化合物の全重量に対し、65〜100重量%であることを特徴とするインク組成物。
  2. 前記25℃における粘度が12mPa・s以下である、オキシラン化合物、オキセタン化合物及びビニルエーテル化合物の総重量の60〜100重量%が、多官能性モノマーである請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記(C)カチオン重合性化合物が、炭素原子、水素原子及びエーテル性の酸素原子のみから構成される化合物である請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記(C)カチオン重合性化合物が、オキシラン化合物、オキセタン化合物及び/又はビニルエーテル化合物のみからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 25℃における粘度が7〜35mPa・sである請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. (D)アミン化合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 前記(D)アミン化合物が、ヒンダードアミン化合物である請求項6に記載のインク組成物。
  8. (a1)被記録媒体上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物を吐出する工程、及び、
    (b1)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化する工程、を含むインクジェット記録方法。
  9. 前記吐出が、圧電素子の変形によりインク組成物を吐出するインクジェットヘッドを用いて行われる請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記吐出が、1〜10plの液滴量、かつ1,200×1,200〜4,800×4,800dpiで行われる請求項8又は9に記載のインクジェット記録方法。
JP2009216443A 2008-09-26 2009-09-18 インク組成物、及び、インクジェット記録方法 Active JP5334772B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009216443A JP5334772B2 (ja) 2008-09-26 2009-09-18 インク組成物、及び、インクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008249172 2008-09-26
JP2008249172 2008-09-26
JP2009216443A JP5334772B2 (ja) 2008-09-26 2009-09-18 インク組成物、及び、インクジェット記録方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010100833A JP2010100833A (ja) 2010-05-06
JP5334772B2 true JP5334772B2 (ja) 2013-11-06

Family

ID=42291736

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009216443A Active JP5334772B2 (ja) 2008-09-26 2009-09-18 インク組成物、及び、インクジェット記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5334772B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2543707B2 (en) 2011-07-08 2020-09-02 Seiko Epson Corporation Photocurable ink composition for ink jet recording and ink jet recording method
CN107379803A (zh) 2012-03-28 2017-11-24 精工爱普生株式会社 喷墨记录方法、紫外线固化型油墨、喷墨记录装置
JP6191120B2 (ja) 2012-03-29 2017-09-06 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP6171312B2 (ja) * 2012-04-27 2017-08-02 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録装置、インクジェット記録方法
JP6135100B2 (ja) * 2012-04-25 2017-05-31 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
US10029483B2 (en) 2012-04-25 2018-07-24 Seiko Epson Corporation Ink jet recording method, ultraviolet-ray curable ink, and ink jet recording apparatus
JP6236768B2 (ja) 2012-04-27 2017-11-29 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP6142506B2 (ja) * 2012-05-29 2017-06-07 セイコーエプソン株式会社 インクジェットインク組成物、インク収容体、インクジェット記録方法
JP2014132083A (ja) * 2012-05-29 2014-07-17 Seiko Epson Corp インク収容体、インクジェット記録方法
JP2014025008A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Fujifilm Corp 白色インク組成物、複層形成用インクセット、画像形成方法及び印画物
JP6015913B2 (ja) 2012-09-14 2016-10-26 株式会社リコー インクジェット記録用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成方法、画像形成物
JP6488345B2 (ja) * 2017-09-26 2019-03-20 太陽インキ製造株式会社 プリント配線板用白色硬化型組成物、これを用いた硬化物及びプリント配線板

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5941370A (ja) * 1982-08-04 1984-03-07 Hitachi Ltd インクジエツト記録用白色インク組成物
JP4619480B2 (ja) * 1999-03-16 2011-01-26 セイコーエプソン株式会社 光硬化型インクジェット記録用インク組成物およびそれを用いたインクジェット記録方法
JP2003183551A (ja) * 2001-12-21 2003-07-03 Konica Corp インクジェット用白インク組成物
JP2005008691A (ja) * 2003-06-17 2005-01-13 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク及び印刷物
JP4710330B2 (ja) * 2005-01-25 2011-06-29 コニカミノルタエムジー株式会社 インクジェット用白インク組成物、それを用いた画像形成方法及びインクジェット記録装置
JP5044118B2 (ja) * 2005-12-27 2012-10-10 株式会社フジシールインターナショナル プラスチックラベル用コーティング剤及びプラスチックラベル
JP2007269888A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Fujifilm Corp インク組成物
JP2008189776A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Fujifilm Corp 活性放射線硬化型重合性組成物、インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の作製方法、及び平版印刷版

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010100833A (ja) 2010-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5334772B2 (ja) インク組成物、及び、インクジェット記録方法
EP2169018B1 (en) Ink composition and inkjet recording method
JP5244424B2 (ja) インク組成物、インクジェット記録方法及び印刷物
JP2007253401A (ja) インク洗浄液及びクリーニング方法
JP2007254550A (ja) インク洗浄液及びクリーニング方法
JP4757574B2 (ja) インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法、及び、平版印刷版
JP5147348B2 (ja) インク組成物
JP2007254546A (ja) インク洗浄液及びクリーニング方法
JP2007246692A (ja) 混合物、インク組成物の保存方法、インク容器及び画像形成方法
JP2006282875A (ja) インク組成物並びにこれを用いた画像形成方法及び記録物
JP2009235136A (ja) 硬化性組成物、インク組成物、インクジェット記録方法、及び硬化性組成物の調整方法
JP2010070665A (ja) インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物
JP2009233976A (ja) インクジェット記録による印刷物の作製方法
JP5461809B2 (ja) インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2010047737A (ja) インク組成物、及びインクジェット記録方法
JP2010235776A (ja) 顔料分散物、インクジェット記録用インク及びその製造方法、並びに、インクジェット記録方法
JP2010229169A (ja) インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2010209202A (ja) インク組成物及びインクジェット記録方法
JP5247251B2 (ja) インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法および印刷物
JP2008087252A (ja) 画像形成方法
JP2009203308A (ja) 放射線硬化性インク組成物及びその製造方法
JP2007224149A (ja) インク組成物、インクジェット記録方法、印刷物、平版印刷版の製造方法、及び、平版印刷版
JP2010229372A (ja) インク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2009262524A (ja) インクジェット記録装置
JP2010111713A (ja) インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法、および記録物

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100629

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100909

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100928

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130702

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130730

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5334772

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250