JPH08118656A - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録装置の画像品質を維持向
上する。 【構成】 インクジェットヘッド１のノズルプレート５
は、ノズルプレート本体８の表面に顕著な親水性（親イ
ンク性）を有するフッ化アルミニウム層９を形成してな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットヘッド
及びインクジェット記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式は、記録プロセ
スが非常に単純であることやカラー記録にも適すること
などから注目されており、現在では、記録信号が入力さ
れたときにのみインクを吐出する所謂ドロップオンデマ
ンド（ＤＯＤ）方式が主流になっている。そして、ＤＯ
Ｄ方式の中には、ヒータによる熱エネルギーによってイ
ンク中に発生するバブルを利用する所謂バブルジェット
方式（特公昭６１−５９９１３号等参照）と圧電素子を
用いるピエゾアクチュエータ方式（特公昭６０−８９５
３号公報等参照）がある。

【０００３】ところで、インクジェット記録方式は、上
述のようにヒータ、圧電素子等のエネルギー発生手段
（アクチュエータ）を駆動することによってノズルから
液滴化したインク（インク滴）を吐出飛翔させて記録を
行うため、ノズルの形状、精度等がインク滴の噴射特性
に影響を与えると共に、ノズルを形成しているノズル形
成部材の表面の少なくとノズルの周辺部の特性がインク
滴の噴射特性に影響を与える。例えば、インク吐出時に
起こる制御困難なインクサテライトやノズルからのイン
クの滲み出し等によってノズル形成部材表面のノズル周
辺部にインクが付着して不均一なインク溜り（所謂濡れ
ムラ）が発生すると、インク滴の吐出方向が曲げられた
り、インク滴の大きさにバラツキが生じたり、インク滴
の飛翔速度が不安定になる等の不都合が生じることが知
られている。なお、ノズルは、吐出口、ノズル孔、オリ
フィス、ノズルオリフィス等とも称されるので、本明細
書では、一応、「ノズル」と称することとし、適宜その
他の称呼を用いることとする。

【０００４】そこで、従来は、例えば特開昭６３−３９
６３号公報、特開平１４２９３９号公報等に記載されて
いるように、ノズル形成部材表面のノズル周辺部に撥イ
ンク性（撥水性や撥油性）処理を施して、インクがノズ
ル形成部材表面のノズル周辺部に付着すること防止する
ようにしたもの、あるいは逆に、特開昭５５−１０７４
８１号公報、特開平２−６３８４０号公報等に記載され
ているように、ノズル形成部材表面のノズル周辺部に親
インク性処理（インクに対して親和性を持つ処理）を施
して、インクがノズル形成部材表面のノズル周辺部に均
一に付着する、つまり均一な濡れ性を得るようにしたも
のなどがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ノズル
形成部材表面のノズル周辺部に撥インク性処理を施した
場合、初期においては所望の効果が得られるものの、経
時的に撥インク処理面にインクが固着して撥インク性が
低下するという不都合があることが知られている。ま
た、最近の記録装置のカラー化に対応するため、記録紙
への浸透度を高め、各色間の境界のにじみを防止するた
めに界面活性剤等を添加した低表面張力インクを用いる
と、界面活性剤がノズルプレートの撥インク処理面に付
着して、経時的に撥インク性能を劣化させてインクの噴
射特性の劣化を来すことが確認されている。

【０００６】一方、ノズル形成部材表面のノズル周辺部
に親インク性処理を施した場合でも、長時間インクに浸
漬された後の性能低下を避けることができず、インク薄
膜若しくはインク溜りが発生して、インク噴射特性に影
響を及ぼし、ときにはインク滴の吐出が不能になること
がある。

【０００７】このように、従来のインクジェットヘッド
及びインクジェット記録装置にあっては、長期間同一の
インク滴吐出性能を維持して、安定した画像品質を得る
ことが非常に困難であるという課題がある。

【０００８】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、インクジェットヘッドあるいはインクジェット
記録装置の画像品質を維持向上することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め請求項１のインクジェットヘッドは、エネルギー発生
手段を駆動することによってノズルからインク滴を吐出
させるインクジェットヘッドにおいて、前記ノズルを形
成するノズル形成部材の表面の少なくとも前記ノズルの
周辺部にフッ化アルミニウム層が形成されている。

【００１０】請求項２のインクジェット記録装置は、エ
ネルギー発生手段を駆動することによってノズルからイ
ンク滴を吐出させるインクジェットヘッドを備えたイン
クジェット記録装置において、前記インクジェットヘッ
ドのノズルを形成するノズル形成部材の表面が重力方向
と垂直をなす平面に対して傾いて配置されている。

【００１１】請求項３のインクジェット記録装置は、エ
ネルギー発生手段を駆動することによってノズルからイ
ンク滴を吐出させるインクジェットヘッドを備えたイン
クジェット記録装置において、前記インクジェットヘッ
ドのノズルを形成するノズル形成部材の表面の少なくと
も前記ノズルの周辺部に親インク性処理が施され、この
ノズル形成部材の表面に付着したインクを吸水する吸水
手段を備えている。

【００１２】請求項４のインクジェット記録装置は、上
記請求項２のインクジェット記録装置において、前記イ
ンクジェットヘッドのノズル形成部材の表面に付着した
インクを吸水する吸水手段を備えている。

【００１３】請求項５のインクジェット記録装置は、上
記請求項２又は４のインクジェット記録装置において、
前記インクジェットヘッドのノズルを形成するノズル形
成部材の表面の少なくとも前記ノズルの周辺部に親イン
ク性処理が施されている。

【００１４】請求項６のインクジェット記録装置は、上
記請求項２乃至５のいずれかのインクジェット記録装置
において、前記インクジェットヘッドのノズルを形成す
るノズル形成部材の表面の少なくとも前記ノズルの周辺
部にフッ化アルミニウム層が形成されている。

【００１５】請求項７のインクジェット記録装置は、上
記請求項２乃至５のいずれかインクジェット記録装置に
おいて、前記インクジェットヘッドのノズルを形成する
ノズル形成部材の表面の少なくとも前記ノズルの周辺部
がアルミ薄膜とフッ化アルミニウム層からなる。

【００１６】

【作用】請求項１のインクジェットヘッドは、ノズル形
成部材の表面の少なくともノズルの周辺部にフッ化アル
ミニウム層を形成しているので、ノズル形成部材の表面
のノズル周辺部（以下、この部分を「ノズル形成表面」
と称する。）が親インク性となり、かつノズル形成表面
に溜まったインク膜を払拭し易く、均一性の高いノズル
形成表面を形成できて、安定したインク滴吐出性能が得
られる。

【００１７】請求項２のインクジェット記録装置は、イ
ンクジェットヘッドのノズル形成部材の表面が重力方向
と垂直をなす平面に対して傾いて配置されているので、
ノズル形成表面に溜まったインクを容易に除去すること
ができ、均一性の高いノズル形成表面を形成できて、安
定したインク滴吐出性能が得られる。

【００１８】請求項３のインクジェット記録装置は、イ
ンクジェットヘッドのノズル形成部材の表面の少なくと
もノズルの周辺部に親インク性処理を施し、このノズル
形成部材の表面に付着したインクを吸水する吸水手段を
備えているので、ノズル形成表面に溜まったインクを容
易に除去することができ、均一性の高いノズル形成表面
を形成できて、安定したインク滴吐出性能が得られる。

【００１９】請求項４のインクジェット記録装置は、上
記請求項２のインクジェット記録装置において、インク
ジェットヘッドのノズル形成部材の表面に付着したイン
クを吸水する吸水手段を備えているので、ノズル形成表
面に溜まったインクを容易に除去することができ、均一
性の高いノズル形成表面を形成できて、安定したインク
滴吐出性能が得られる。

【００２０】請求項５のインクジェット記録装置は、上
記請求項２又は４のインクジェット記録装置において、
インクジェットヘッドのノズル形成部材の表面の少なく
ともノズルの周辺部に親インク性処理が施されているの
で、ノズル形成表面にインク溜りを形成させることがな
くなり、ノズル形成表面の均一性を常に保つことができ
て、安定したインク滴吐出性能が得られる。

【００２１】請求項６のインクジェット記録装置は、上
記請求項２乃至５のいずれかのインクジェット記録装置
において、インクジェットヘッドのノズル形成部材の表
面の少なくともノズルの周辺部にフッ化アルミニウム層
を形成しているので、ノズル形成表面にインク溜りを形
成させることがなくなり、ノズル形成表面の均一性を常
に保つことができて、安定したインク滴吐出性能が得ら
れる。

【００２２】請求項７のインクジェット記録装置は、上
記請求項２乃至５のいずれかインクジェット記録装置に
おいて、インクジェットヘッドのノズルを形成するノズ
ル形成部材の表面の少なくともノズルの周辺部がアルミ
薄膜とフッ化アルミニウム層からなるので、ノズル形成
部材の材料に制限を与えることなく、低コストで高精度
にノズルを形成できると共に、ノズル形成表面にインク
溜りを形成させることがなくなり、ノズル形成表面の均
一性を常に保つことができて、安定したインク滴吐出性
能が得られる。

【００２３】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して
説明する。図１は本発明を適用したインクジェットヘッ
ドの外観斜視図、図２は図１のＡ−Ａ線に沿う要部拡大
断面図、図３は本発明を適用した他のインクジェットヘ
ッドの外観斜視図、図４は本発明に係るインクジェット
記録装置の要部模式的構成図、図５は本発明を適用した
他のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの
外観斜視図、図６は本発明を適用した更に他のインクジ
ェット記録装置のインクジェットヘッドの外観斜視図で
ある。

【００２４】インクジェットヘッド１は、ヘッド基板２
上にアクチュエータ部３を設け、このアクチュエータ部
３上に液室形成部４を設けてなり、液室形成部４の前面
側にノズル形成部材であるノズルプレート５を設け、こ
のノズルプレート５には２列にインク滴を吐出する複数
のノズル６，６…を形成している。

【００２５】アクチュエータ部３には、ノズルプレート
５の複数のノズル６からインク滴を吐出させるためのエ
ネルギー発生手段である例えば圧電素子や気泡発生用ヒ
ータ等が設けられる。また、液室形成部４にはノズルプ
レート５のノズル６に連通する液室７が設けられてい
る。この液室形成部４はドライフィルムレジストからフ
ォトリソ法を用いて形成されたり、あるいは樹脂の成型
やガラス、樹脂等のエッチングで形成される。

【００２６】ノズルプレート５は、図２に示すようにノ
ズルプレート本体８の表面に顕著な親水性（親インク
性）を有するフッ化アルミニウム層９を形成したもので
ある。ノズルプレート本体８は、Ｎi（ニッケル）、Ｃ
ｒ（クロム）等のエレクトロフォーミング工法（電鋳）
によって形成したもの、樹脂、ガラス等をエキシマレー
ザーで加工して形成したもの、金属、樹脂、セラミック
ス等をパンチ加工して形成したもの、銅、Ｓi等のエッ
チング加工によって形成したものなど、数１０μｍ程度
の微細な孔加工が可能な方法で形成したものであれば、
どのようなものでもよい。

【００２７】そして、このように形成されるノズルプレ
ート本体８の表面にフッ化アルミニウム層９を形成する
が、その形成方法は、ノズルプレート本体８の形成材料
によって適宜選択することができる。例えば、水酸化カ
リウムを加えて弱酸性に調整したフッ化水素溶液にアル
ミニウム板を漬けると、その表面にフッ化アルミニウム
層が形成されることが一般的に知られている。そこで、
ノズルプレート本体８をアルミニウムで形成することに
より、これを上記のフッ化水素溶液に漬けることで直接
的にノズルプレート５の表面にフッ化アルミニウム層９
を形成することができる。

【００２８】また、アルミニウムに比べてノズル加工、
コスト面等で有利なその他の金属材料（例えばＮi、Ｓ
ＵＳなど）、あるいはガラス、エンジニアプラスチック
（例えばＰＥＳ、ＰＰＳ、ＰＥＥＫなど）等の樹脂、セ
ラミックス（チタバリ、アルミナなど）によってノズル
プレート本体８を形成した場合には、ノズルプレート本
体８の表面にスパッタ、蒸着等によってアルミ薄膜を成
膜した後、上記と同様にフッ化水素溶液に漬けること
で、ノズルプレート５の表面にフッ化アルミニウム層９
を形成することができる。

【００２９】このようにノズルプレート５の表面にフッ
化アルミニウム層９を形成することによって顕著な親イ
ンク性が得られるので、ノズル６からのインク滴の吐出
時等にノズルプレート５表面のノズル６の周辺部（ノズ
ル形成表面）にインクが付着したとき、このインクを瞬
時に１０μ程度の極めて薄いインク膜にする作用がある
と共に、表面に溜まったインク膜を容易に拭い取ること
ができ、均一性の高いノズル形成表面が得られ、安定し
たインク吐出性能を発揮することができる。

【００３０】そして、上記のようにノズルプレート５の
表面をアルミ薄膜とフッ化アルミニウム層９で形成する
ことによって、上記のような作用効果に加えて、ノズル
プレート５を形成する材料上の制限がなくなり、特に樹
脂をエキシマレーザーで加工したノズルプレートのよう
に高精度なノズルを形成する加工方法を採用することが
できるようになる。

【００３１】なお、本発明は図３に示すようなインクジ
ェットヘッド１１にも適用することができる。このイン
クジェットヘッド１１は、上記インクジェットヘッド１
のようなノズルプレート５を持たず、液室形成部４の液
室形成部材に細孔を加工形成してノズル６を形成し、あ
るいは複数枚の溝形成部材を積層することでノズル６を
形成したものであり、液室形成部４がノズル形成部材を
兼ねている。

【００３２】このようなインクジェットヘッド１１にお
いても、液室形成部４の表面４ａの少なくともノズル６
の周辺部にフッ化アルミニウム層９を形成することによ
って上記実施例と同様の作用効果が得られる。また、フ
ッ化アルミニウム層９を形成する部分は、ノズルプレー
ト５あるいは液室形成部４の表面全面である必要はない
が、少なくともノズル６の周辺部に形成する必要があ
る。

【００３３】次に、図４に示すインクジェット記録装置
２１は、ヘッドホルダ２２にインクジェットヘッド１及
びこのインクジェットヘッド１にインクを供給するため
のインクタンク２３を取付け、インクジェットヘッド１
のノズルプレート５のノズル６からインク滴２４を吐出
して、一対の搬送用ローラ２５、２６で搬送される記録
媒体２７に画像を記録するものである。

【００３４】このインクジェット記録装置２１において
は、インクジェットヘッド１をノズル６を形成したノズ
ルプレート５の表面が重力方向ａと垂直をなす平面ｂに
対して傾斜角θで傾斜した傾斜面ｃに沿うように傾けて
配置している。このときの傾斜角θは、インクの物性、
ノズルの数、配置等に応じて決定されるが、ノズルプレ
ート５の表面に溜まったインクが自然に流れ落ちる角度
に設定する。

【００３５】このようにすれば、ノズル形成表面である
ノズルプレート５の表面に溜まったインクが流れ落ちて
除去されるので、均一性の高いノズル形成表面を形成で
きて、安定したインク滴吐出性能が得られる。そして、
このインクジェット記録装置２１におけるインクジェッ
トヘッド１には、前述したようにノズルプレート５の表
面の少なくともノズル６の周辺部にフッ化アルミニウム
層９を形成しているので、一層均一性の高いノズル形成
表面を形成できて、安定したインク滴吐出性能が得られ
る。

【００３６】なお、このインクジェット記録装置２１に
おけるインクジェットヘッドには、上記のインクジェッ
トヘッド１に限らず、図３のインクジェットヘッド１
１、ノズルプレート５の表面をアルミ薄膜とフッ化アル
ミニウム層９で形成したインクジェットヘッド、その他
のノズルプレートの表面の少なくともノズル周辺部に親
インク性処理を施した、あるいは撥インク性処理を施し
た、若しくはこれらの処理を施していないインクジェッ
トヘッドなど、同一平面にノズルを有するいかなるイン
クジェットヘッドをも適用することができる。

【００３７】ただし、ノズルプレートや液室形成部表面
に撥インク処理を施した場合、インクが流れ落ちるまで
にある程度のインク溜りやインク層が生起されてから一
気に流れ落ちるという現象が生じるため、数１０μsec
単位でインク滴を吐出させた場合に、インク滴の不均一
性の要因になるので、インク溜りやインク層を形成しな
い親インク性処理の方が好ましい。

【００３８】ここで、ノズルプレートの表面の少なくと
もノズル周辺部に親インク性処理を施す方法としては、
上記実施例のフッ化アルミニウム層を形成する方法以外
に、例えばサンドブラスト、ドライエッチング等の物理
的粗面化処理を施す方法、酸化膜、窒化膜等を化学的処
理によって成膜する方法などを用いることができる。

【００３９】次に、図５に示すインクジェット記録装置
のインクジェットヘッドは、前記インクジェットヘッド
１のノズルプレート５の表面両側部に吸水手段である吸
水部材３２，３２を配置したものである。この吸水部材
３２は、ノズルプレート５表面のインクを吸着できるも
のであればよく、ここでは多数の細孔を有するスポンジ
で形成し、耐インク性を良くするためにフッ素系ウレタ
ンゴム等を用いている。

【００４０】このように、インクジェットヘッド１のノ
ズル６を形成するノズルプレート５表面の少なくともノ
ズル周辺部に親インク性処理を施した上、このノズルプ
レート５表面に付着したインクを吸水する吸水手段であ
る吸水部材３２を備えることによって、ノズルプレート
５表面のインク膜を効率的に除去することができ、均一
性の高いノズル形成表面を形成でき、安定したインク吐
出性能が得られる。

【００４１】そして、このような吸水手段３２を設けた
インクジェットヘッド１を、図４で説明したインクジェ
ット記録装置２１のようにノズルプレート５の表面が重
力方向ａと垂直をなす平面ｂに対して傾斜角θで傾斜し
た傾斜面ｃに沿うように傾けて配置することによって、
一層インク膜の排除性が向上する。

【００４２】なお、吸水手段は上記実施例の吸水部材３
２に限られるものではなく、例えば図６に示すようにイ
ンクジェットヘッド１の側部に吸水口３３ａを形成した
吸水部材３３を設け、この吸水部材３３をチュービング
・ポンプなどの減圧手段に接続して、ノズルプレート５
表面のインク膜を除去するようにすることもでき、この
ようにすれば吸水部材の材質等が制限されることがなく
なる。また、このインクジェットヘッド１のノズル形成
部材であるノズルプレート５の親インク性処理は、フッ
化アルミニウム層を形成する処理に限らず、上述したよ
うな各種の親インク性処理を用いることができ、さら
に、図２に示すようなインクジェットヘッド１１に吸水
手段を設けることもできる。

【００４３】また、上記の実施例では吸水手段をインク
ジェットヘッドに設けているが、例えば非印字時のホー
ムポジションなどのインクジェットヘッドとは別個に配
置し、所定のタイミングでインクジェットヘッドが吸水
手段の設置場所まで移動して、吸水手段によってインク
ジェットヘッドの表面のインク膜を除去するように構成
することもできる。なお、この場合の外部の吸水手段
は、図５あるいは図６に示す吸水部材３２、３３のいず
れでもあるいはその組合わせでも、更にこれら以外のも
のであってもよい。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように請求項１のインクジ
ェットヘッドによれば、ノズル形成部材の表面の少なく
ともノズルの周辺部にフッ化アルミニウム層を形成して
いるので、ノズル形成部材の表面のノズル周辺部（ノズ
ル形成表面）が親インク性となり、かつノズル形成表面
に溜まったインク膜を払拭し易く、均一性の高いノズル
形成表面を形成できて、安定したインク滴吐出性能が得
られ、画像品質を維持向上できる。

【００４５】請求項２のインクジェット記録装置によれ
ば、インクジェットヘッドのノズル形成部材の表面が重
力方向と垂直をなす平面に対して傾いて配置しているの
で、ノズル形成表面に溜まったインクを容易に除去する
ことができ、均一性の高いノズル形成表面を形成でき
て、安定したインク滴吐出性能が得られ、画像品質を維
持向上できる。

【００４６】請求項３のインクジェット記録装置によれ
ば、インクジェットヘッドのノズル形成部材の表面の少
なくともノズルの周辺部に親インク性処理を施し、この
ノズル形成部材の表面に付着したインクを吸水する吸水
手段を備えたので、ノズル形成表面に溜まったインクを
容易に除去することができ、均一性の高いノズル形成表
面を形成できて、安定したインク滴吐出性能が得られ、
画像品質を維持向上できる。

【００４７】請求項４のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項２のインクジェット記録装置においてイ
ンクジェットヘッドのノズル形成部材の表面に付着した
インクを吸水する吸水手段を備えたので、ノズル形成表
面に溜まったインクを容易に除去することができ、均一
性の高いノズル形成表面を形成できて、安定したインク
滴吐出性能が得られ、、画像品質を維持向上できる。

【００４８】請求項５のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項２又は４のインクジェット記録装置にお
いてインクジェットヘッドのノズル形成部材の表面の少
なくともノズルの周辺部に親インク性処理を施したの
で、ノズル形成表面にインク溜りを形成させることがな
くなり、ノズル形成表面の均一性を常に保つことができ
て、安定したインク滴吐出性能が得られ、画像品質を維
持向上できる。

【００４９】請求項６のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項２乃至５のいずれかのインクジェット記
録装置においてインクジェットヘッドのノズル形成部材
の表面の少なくともノズルの周辺部にフッ化アルミニウ
ム層を形成しているので、ノズル形成表面にインク溜り
を形成させることがなくなり、ノズル形成表面の均一性
を常に保つことができて、安定したインク滴吐出性能が
得られ、画像品質を維持向上できる。

【００５０】請求項７のインクジェット記録装置によれ
ば、上記請求項２乃至５のいずれかインクジェット記録
装置においてインクジェットヘッドのノズルを形成する
ノズル形成部材の表面の少なくともノズルの周辺部がア
ルミ薄膜とフッ化アルミニウム層からなるので、ノズル
形成部材の材料に制限を与えることなく、低コストで高
精度にノズルを形成できると共に、ノズル形成表面にイ
ンク溜りを形成させることがなくなり、ノズル形成表面
の均一性を常に保つことができて、安定したインク滴吐
出性能が得られ、画像品質を維持向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したインクジェットヘッドの外観
斜視図

【図１】図１のＡ−Ａ線に沿う要部拡大断面図

【図３】本発明を適用した他のインクジェットヘッドの
外観斜視図

【図４】本発明に係るインクジェット記録装置の要部模
式的構成図

【図５】本発明を適用した他のインクジェット記録装置
のインクジェットヘッドの外観斜視図

【図６】本発明を適用した更に他のインクジェット記録
装置のインクジェットヘッドの外観斜視図

【符号の説明】

１，１１…インクジェットヘッド、２…ヘッド基板、３
…アクチュエータ部、４…液室形成部、５…ノズルプレ
ート（ノズル形成部材）、６…ノズル、７…液室、８…
ノズルプレート本体、９…フッ化アルミニウム層、３
２，３３…吸水部材。

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成７年２月１０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図面の簡単な説明

【補正方法】変更

【補正内容】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したインクジェットヘッドの外観
斜視図

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う要部拡大断面図

【図３】本発明を適用した他のインクジェットヘッドの
外観斜視図

【図４】本発明に係るインクジェット記録装置の要部模
式的構成図

【図５】本発明を適用した他のインクジェット記録装置
のインクジェットヘッドの外観斜視図

【図６】本発明を適用した更に他のインクジェット記録
装置のインクジェットヘッドの外観斜視図

【符号の説明】 １，１１…インクジェットヘッド、２…ヘッド基板、３
…アクチュエータ部、４…液室形成部、５…ノズルプレ
ート（ノズル形成部材）、６…ノズル、７…液室、８…
ノズルプレート本体、９…フッ化アルミニウム層、３
２，３３…吸水部材。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エネルギー発生手段を駆動することによ
   ってノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘ
   ッドにおいて、前記ノズルを形成するノズル形成部材の
   表面の少なくとも前記ノズルの周辺部にフッ化アルミニ
   ウム層が形成されていることを特徴とするインクジェッ
   トヘッド。
2. 【請求項２】 エネルギー発生手段を駆動することによ
   ってノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘ
   ッドを備えたインクジェット記録装置において、前記イ
   ンクジェットヘッドのノズルを形成するノズル形成部材
   の表面が重力方向と垂直をなす平面に対して傾いて配置
   されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
3. 【請求項３】 エネルギー発生手段を駆動することによ
   ってノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘ
   ッドを備えたインクジェット記録装置において、前記イ
   ンクジェットヘッドのノズルを形成するノズル形成部材
   の表面の少なくとも前記ノズルの周辺部に親インク性処
   理が施され、このノズル形成部材の表面に付着したイン
   クを吸水する吸水手段を備えていることを特徴とするイ
   ンクジェット記録装置。
4. 【請求項４】 請求項２に記載のインクジェット記録装
   置において、前記インクジェットヘッドのノズル形成部
   材の表面に付着したインクを吸水する吸水手段を備えて
   いることを特徴とするインクジェット記録装置。
5. 【請求項５】 請求項２又は４に記載のインクジェット
   記録装置において、前記インクジェットヘッドのノズル
   を形成するノズル形成部材の表面の少なくとも前記ノズ
   ルの周辺部に親インク性処理が施されていることを特徴
   とするインクジェット記録装置。
6. 【請求項６】 請求項２乃至５のいずれかに記載のイン
   クジェット記録装置において、前記インクジェットヘッ
   ドのノズルを形成するノズル形成部材の表面の少なくと
   も前記ノズルの周辺部にフッ化アルミニウム層が形成さ
   れていることを特徴とするインクジェット記録装置。
7. 【請求項７】 請求項２乃至５のいずれかに記載のイン
   クジェット記録装置において、前記インクジェットヘッ
   ドのノズルを形成するノズル形成部材の表面の少なくと
   も前記ノズルの周辺部がアルミ薄膜とフッ化アルミニウ
   ム層からなることを特徴とするインクジェット記録装
   置。