JP3037512B2 - インクジェット記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置

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JP3037512B2 JP23205592A JP23205592A JP3037512B2 JP 3037512 B2 JP3037512 B2 JP 3037512B2 JP 23205592 A JP23205592 A JP 23205592A JP 23205592 A JP23205592 A JP 23205592A JP 3037512 B2 JP3037512 B2 JP 3037512B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に、インクと呼ば
れる記録液体を微細オリフィスから小滴として吐出、飛
翔させ、この小滴の被記録面への付着を以て記録を行う
インクジェット記録ヘッド、その製造方法、及び記録装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、種々のタイプの記録ヘッドがある
が、これらは高速記録或いは長時関連続記録を行う際に
インク液の吐出応答性、吐出効率、吐出安定性等が低下
することがある。その原因として、記録ヘッドの液室内
でインクが気泡を発生し、該気泡が微細な吐出オリフス
付近でインクの流動を妨げること、或いはピエゾ振動
子、発熱抵抗体等の吐出エネルギー発生手段によるイン
ク液滴吐出の原動力が、気泡に吸収され、応答性が低下
すること、信号に対応して安定に液滴が吐出されないこ
と等の不都合を生じる。このような悪影響を及ぼす気泡
が発生する原因としては、ピエゾ振動子を用いるヘッド
では、該振動子の機械的振動により液室容積を変化させ
インクに急激な圧力変化を発生させるために、インク中
にキャビテーションを生じることが挙げられる。
【0003】又、熱エネルギーの作用によりインクを吐
出させるヘッドでは、本質的に液滴吐出の原動力をイン
クの状態変化(殊に熱エネルギーによる気泡の発生)に
求めているためである。したがって、不要な気泡も発生
しやすくこれが特に吐出応答性、吐出効率、吐出安定性
等に大きな影響を与えやすいのである。
【0004】上記のような機構により一旦発生した不要
な気泡は、液室内で消失しにくく、又インク中の溶存気
体により不要な気泡の発生が助長されることがある。
【0005】従来からインク中に発生する不要な気泡の
除去法として種々の方法が採用されている。溶存気体量
を少なくする方法として、例えば気密性の貯蔵槽を用い
る方法、酸素吸収剤をインク中に添加する方法;記録ヘ
ッドの液室の上方に、該液室と連通する気泡消去のため
の流路を設け、気泡の浮力により、自然に気泡を上方の
流路に捕集する方法等が挙げられる。
【0006】しかしながらこれらの方法では、必ずしも
充分な効果が得られないことがある。例えば気密性材料
からなる貯蔵槽中にインクを収納しても、一定期間後に
は気密性の材料を気体(空気)が透過して、ほぼ溶存飽
和量に達すること、インク中に酸素吸収剤を添加する
と、該物性に悪影響を及ぼすことがあること等が挙げら
れる。又、特に熱エネルギーの作用によってインクを吐
出させる記録ヘッドの場合には、応答性、吐出効率等の
向上のために急激な状態変化を生ぜしめることが有利で
あり、積極的に気体を溶存させることがある。したがっ
て溶存気体をなくす方法が必ずしも最良の方法になると
は限らない。
【0007】或いは記録ヘッドの液室上方に気泡捕集用
の流路を設ける方法では、気泡の浮力のみで気泡が移動
するものであり、捕集用流路はかなり細いために、気泡
の除去がスムーズに行われないことがある。
【0008】又、より積極的に液室内の不要な気泡を除
去する方法として、特開昭55−12074では液室内
のインクを流動させる機構を設けたものが提案されてい
る。しかしこの方法は、大きな気泡は容易に除去される
ものの、微小な気泡を完全に取り除くには、その機構に
多くのコストがかかり、装置も大型化してしまうという
デメリットがあった。
【0009】又、吐出液滴を真直に、安定して吐出させ
るため、吐出口回りの材質の均一化、撥水性の付与、吐
出口形状の均一化を目的とし、吐出口面に撥水性の材料
で形成したオリフィスプレートを設けたインクジェット
記録ヘッドがある。このヘッドにおいては、該フェイス
面の裏面側も撥水性材料であるため、気泡が滞留しやす
い。不要な気泡が滞留すると不安定な吐出状態となり、
したがって良好な記録状態を維持できず、記録品位が低
下することにもなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明におい
ては、従来技術に見られた叙上の重大欠点を解消し、イ
ンク滴による常に安定した良好な記録を行う新規構成の
インクジェット記録ヘッドを提供することを主たる目的
とする。さらに詳しく言えば、本発明の目的は、高速記
録に能く適合すると共に、その際、印字欠損や、印字品
位の低下を起こすことのないインクジェット記録ヘッド
を提供することである。
【0011】又、本発明の別の目的は、記録インク滴が
安定した吐出状態を維持するまでの、所謂、記録立上り
が極めて短いインクジェット記録ヘッドを提供すること
である。
【0012】加えて、その保守管理が簡便であるインク
ジェット記録ヘッドを提供することも本発明の他の目的
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、インクを吐出する吐出口と、前記吐出口に
インク流路を介して連通するインク液室と、インク流路
の一部に設けられ前記インク流路内のインクを吐出させ
るための吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素
子とを有し、前記インク流路、インク液室を含むインク
接液部の少なくとも一部が親水処理されているインクジ
ェット記録ヘッドにおいて、該親水処理は、該インク接
液部を構成する材料のインク接液部形成面にイオン注入
法で、O + 、H + 、Au + の少なくともいずれか一つのイ
オンを注入されてなるように構成するものである。
【0014】又本発明は、吐出口を形成したオリフィス
プレートをインク流路の先端に設けると共に前記インク
流路の一部に設けられ前記インク流路内のインクを吐出
させるための吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発
生素子を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前
記オリフィスプレートを撥水性材料で形成されると共に
その吐出口形成面の裏面にイオン注入法で、O + 、H +
Au + の少なくともいずれか一つのイオンが注入されて
なるように構成するものである。
【0015】さらに、本発明は、インク吐出エネルギー
発生素子が電気エネルギーを与えることによって発熱
し、インクに状態変化を生ぜしめて吐出を行わせるため
の電気熱変換体であること、及び記録媒体の記録領域の
全幅にわたって吐出口が複数設けられているフルライン
タプのものであることを含む。
【0016】又、さらに本発明は、記録媒体の被記録面
に対向してインクを吐出するインク吐出口が設けられて
いる上記の記録ヘッドと、該記録ヘッドを載置するため
の部材とを少なくとも具備する記録装置である。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明においては、後述するようにインク
ジェット記録ヘッドの接液部又はオリフィスプレートの
吐出口形成面の裏面を親水処理することにより、当初の
目的を達成するものであるが、親水処理としては、イオ
ン注入法、プラズマ処理法及び親水性化合物の塗布法等
があるが、本発明においては、イオン注入法により行な
【0019】イオン注入法は、10〜数100KeVに
加速されたイオンを固体表面に照射し、固体表面の物性
を制御する技術である。イオン注入法の適用例として
は、半導体素子の不純物ドーピングによる拡散層の形成
やキャリヤ濃度の調整等に実用化されている。また、金
属表面の改良を狙って、(例えば、ドリルの刃等の硬度
の上昇や、摩耗性の向上))検討が進められている。
【0020】イオン注入装置の代表的な構造例を図4に
示す。イオンは、イオン源11で作製され引き出され
る。(例えば、ガスを10-3Torr程度導入しDCや
RF放電によって生じるプラズマ中より引き出す)引き
出されたイオンビームは、原子イオンや分子イオン、残
留ガスからのイオン等の種々の成分を含むため、質量分
析器12によって必要イオン種のみを取り出す。
【0021】質量分析器12は必ずしも必要なものでは
なく、金属表面の表面改質装置の場合は殆ど設置されて
いない。一方半導体素子用装置の場合には全て取り付け
てある。質量分析器12により選択された必要なイオン
種は、次いでビームスリット13、加速器14、レンズ
15、中性ビームトラップ、ゲート16を通過後、Yス
キャナ17、Xスキャナ18によってイオンビームはX
軸、Y軸にスキャニングされウエハ等の基板19に均一
に走査される。なお、20はビームトラップである。装
置によっては、試料台を回転させて均一注入を行う場合
もある。
【0022】このとき注入するイオンは、O + 、H + 又は
Au + である
【0023】れら単体で用いてもよいし、それらを
組み合わせて注入してもよい。
【0024】イオン注入の際のイオン加速エネルギー範
囲としては5〜100KeVが好ましく、特に10〜6
0KeVが望ましい。100KeVを越えると基板の温
度上昇が生じ、またイオンが内部深くに注入されるので
好ましくない場合がある。また5KeV未満の場合には
イオン加速安定性が減少し、不都合である。
【0025】ドーズ量としては、1×1014〜1×10
18cm-2が好ましく1×1015〜1×1017cm-2が特
に好ましい。
【0026】1×1018cm-2を越えると温度が上昇
し、また1×1014cm-2未満の場合には親水性付与効
果が充分でない場合がある。
【0027】図1(A)は上記親水処理を行うインクジ
ェット記録ヘッドの1態様を示す斜視図である。
【0028】図1(A)において、102は基板、10
6は吐出口、107はインク供給口である。又、図1
(B)は図1(A)のA−A面に沿う模式的断面図であ
る。図1(B)において103は吐出エネルギー発生素
子であるヒーターである。104は液室、109はイン
ク流路である。
【0029】本発明においては、インクジェット記録ヘ
ッドの接液部、すなわち天板105の液室104、イン
ク流路109等の少なくとも一部をイオン注入法により
親水処理するものである。
【0030】この場合、接液部の構成材料が、例えば、
半導体(Si等)、ガラス、セラミック、半導体の酸化
物、窒化物、炭化物、さらに、有機高分子等の有機化合
物や無機化合物であっても行える。
【0031】図2(A)は流路109の先端に、吐出口
106を形成したオリフィスプレート108を設けた記
録ヘッドの他の態様を示すもので、オリフィスプレート
108は撥水性材料で構成してある。前記プレート10
8の吐出口106の裏面120は上記方法で親水処理を
してあるため、天板105、及び基板102とオリフィ
スプレート108の接合部121で気泡が滞留すること
がないものである。
【0032】撥水性材料としてはカニフロンメッキのよ
うなテフロン微粒子と金属との共晶メッキ、テフロン、
サイトップ、ディフェンサなどのフッ素樹脂等が好まし
い。
【0033】
【実施例】
(実施例1)図1(A),(B)に示すように、シリコ
ンウェハー基板102上に下部層としてSiO2 を成膜
(図示せず)した。下部層の上に吐出エネルギー発生素
子103を形成した。次いで下部層上に感光性アクリル
樹脂を用いてフォトリソ技術でノズル壁111を形成し
た(図1(E))。一方、図1(C)に示すようにイン
ク供給口107を有し、液室104を形成するための掘
り込み部104’を有するガラス製天板105を用意し
た。次に、その掘り込み部104’にイオン注入法でO
+ イオンを加速電圧30KeV、ドーズ量5×1016
-2の条件でイオン注入した。次にガラス製の板105
をノズル壁111上に貼り合わせ接着した。最後に基板
102、ノズル壁111、ガラス天板105を同時に切
断し、吐出口106を形成した。
【0034】上記のようにして製造した記録ヘッドは、
液室内が親水処理してあるため、気泡の発生が少なく、
液室内に気泡が滞留せず、液室内に気泡が付着しなかっ
た。そして、インク吐出観察したところ、安定した吐出
が観察された。したがって安定して良好な印字が出来
た。
【0035】(実施例2)親水処理としてH+ イオンを
加速エネルギー20KeV、ドーズ量1×1016cm-2
の条件でイオン注入をした以外は実施例1と同じ条件で
記録ヘッドを製造した。
【0036】(実施例3)まず、オリフィスプレートを
製造した、図2(B)に示すようにステンレス板210
上にメッキレジストで吐出口に対応するパターン211
を形成した後、撥水性を示す無電解Niメッキをしてメ
ッキ層208’を形成した。この無電解Niメッキはカ
ニフロンメッキと呼ばれテフロン微粒子とNiの共晶メ
ッキである。
【0037】次にメッキレジスト211を溶剤で溶解し
メッキ層208’をステンレス板210からはがして、
図2(C)に示すようにオリフィスプレート208を形
成した。そして、図2(D)に示すように吐出口206
を有するフェイス面213とは反対側の面にイオン注入
法でO+ イオンを加速電圧30KeV、ドーズ量5×1
16cm-2の条件でイオン注入して親水処理部212を
形成した。
【0038】この親水処理をしたオリフィスプレート2
08を、イオン注入面(親水処理部212)が図2
(A)に示すように、ヘッド201のインク流路109
の先端122と対向し、かつインク流路と吐出口の位置
が合致するようにバネ(不図示)で先端122に固定し
た。なお、必要であれば、オリフィスプレートの固定
は、接着を行ってもよい。また天板の掘り込み部に対し
ては、実施例1と同様にO+イオンでイオン注入法で親
水化処理を行った。このようにしてできたインクジェッ
ト記録ヘッドのフェイス面は撥水性材料で形成されてい
るため、撥水性を有する。しかし内側はイオン注入法に
より親水化されている。
【0039】(実施例4)実施例3でイオン注入するイ
オンをH+ に変えた以外は全く同様にしてインクジェッ
ト記録ヘッドを作成した。
【0040】(実施例5)図3(A)に示すインクジェ
ット記録ヘッドを製造した。図3(B)は図3(A)の
A−A面に沿う模式的断面図である。
【0041】本実施例のインクジェット記録ヘッドで
は、インク流路309を流れてきたインクがインク吐出
エネルギー発生素子303(ヒーター)で加熱され、こ
れによりインク液滴がインク吐出口306から上方向に
飛翔するものである。
【0042】オリフィスプレート308は実施例3と同
様に形成した、イオン種としてはO + を用い、実施例3
と同一の条件で親水処理を行った。
【0043】このオリフスプレートを流路壁上にイオン
注入面が内側になるようにインク吐出口306とインク
吐出エネルギー発生素子303との位置合わせを行った
後、接着固定した。
【0044】(実施例6)実施例5でイオン注入するイ
オンをH+ に変えた以外は全く同様にしてインクジェッ
ト記録ヘッドを作成した。
【0045】(比較例1)実施例1でイオン注入を行わ
ずにインクジェット記録ヘッドを作成した。
【0046】(比較例2)実施例3でイオン注入を行わ
ずにインクジェット記録ヘッドを作成した。
【0047】(比較例3)実施例5でイオン注入を行わ
ずにインクジェット記録ヘッドを作成した。
【0048】以上作製したヘッドに対して下記の条件で
インク吐出実験を行った。
【0049】信号パルス条件 印加パルス幅: 10μsec パルス周波数: 10kHz インク組成 水 : 70重量部 ジエチレングリコール: 26重量部 ダイレクトブラック154: 4重量部 本実施例のインクジェット記録ヘッドは全て109 パル
スを越えても安定した吐出及び着弾点精度の高い優れた
記録を行うことができた。又、インク供給口から供給さ
れるインクに意図的に微気泡を混入させたものを供給
し、印字を行ったが、問題なくインクの吐出を行えた。
【0050】これに対し、比較例のインクジェット記録
ヘッドでは、吐出不良が度々発生した。このとき比較例
1のインクジェット記録ヘッドでは液室内の天板壁に微
小の気泡が付着しているのが観察された。又、比較例2
のインクジェット記録ヘッドでは、液室内の天板壁とオ
リフィスプレート内側に微小の気泡が付着しているのが
観察された。比較例3では、オリフィスプレート内側に
微小の気泡が付着しているのが観察された。
【0051】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0052】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれに
も適用可能である。
【0053】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様
な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この
様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信
号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオンデ
マンド型の記録法には有効である。この気泡の成長、収
縮により吐出孔を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれる
ので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成
でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国
特許第4313124号明細書に記載されている条件を
採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0054】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発
明に含まれる。
【0055】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0056】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0057】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0058】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別
の加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
手段を付加することも安定した記録を行なうために有効
である。
【0059】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0060】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0061】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0062】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に液状
又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対
して対向するような形態としても良い。
【0063】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0064】図5は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0065】図において、20はプラテン24上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行な
うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリッジ
(IJC)である。16はIJC20を保持するキャリ
ッジHCであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆
動ベルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された
2本のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能と
することにより、IJC20の記録紙の全幅にわたる往
復移動が可能となる。
【0066】26はヘッド回復装置であり、IJC20
の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する
位置に配設される。伝動機構23を介したモータ22の
駆動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、I
JC20のキャッピングを行なう。このヘッド回復装置
26のキャップ部26AによるIJC20へのキャッピ
ングに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜
の吸引手段によるインク吸引もしくはIJC20へのイ
ンク供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送
を行い、インクを吐出口より強制的に排出させることに
よりノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理
を行なう。また、記録終了時等にキャッピングを施すこ
とによりIJCが保護される。
【0067】30はヘッド回復装置26の側面に配設さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード31はブレード保持部材31
Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26
と同様、モータ22および伝動機構23によって動作
し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これに
より、IJC20の記録動作における適切なタイミング
で、あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理
後に、ブレード31をIJC20の移動経路中に突出さ
せ、IJC20の移動動作に伴なってIJC20の吐出
面における結露、濡れあるいは塵埃等をふきとるもので
ある。
【0068】
【発明の効果】以上詳細に説明したようにインクジェッ
ト記録ヘッドのインク接液部の少なくとも一部をイオン
注入法でイオンを注入し親水処理を行うことにより、
又、撥水性材料で形成されたオリフスプレートのフェイ
ス面の裏面側にイオン注入法でイオンを注入し親水処理
を行うことにより、 1)インクの長期的連続吐出に対して安定な吐出が得ら
れる。
【0069】2)インクジェット記録ヘッド内に不要な
気泡が滞留することがないので、それを取り除く手段を
特に必要としない。したがって安価なインクジェット記
録装置が提供できる。
【0070】3)上記効果は、特に高速周波数の印字に
対して顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ヘッドの一実施例の製造工程の説明図で
ある。
【図2】本発明ヘッドの他の実施例の製造工程の説明図
である。
【図3】本発明ヘッドのさらに他の実施例を示す概略構
成図である。
【図4】本発明の実施で使用するイオン注入装置の一例
を示す構成図である。
【図5】本発明の記録装置の一例を示す概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
16 キャリッジ 17 駆動モータ 18 駆動ベルト 19A,19B ガイドシャフト 20 インクジェットヘッドカートリッジ 22 クリーニング用モータ 23 伝動機構 24 プラテン 26 キャップ部材 30 ブレード 30A ブレード保持部材 101,210,301 インクジェット記録ヘッド 102 基板 103 吐出エネルギー発生素子 104 液室 105 天板 106,206,306 吐出口 107 インク供給口 208,308 オリフィスプレート 109,209,309 インク流路 111 ノズル壁 120 裏面 121 接合部 122 先端 210 銅板 211 レジストパターン 212 親水処理部 213 フェイス面

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出する吐出口と、前記吐出口
    にインク流路を介して連通するインク液室と、インク流
    路の一部に設けられ前記インク流路内のインクを吐出さ
    せるための吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生
    素子とを有し、前記インク流路、インク液室を含むイン
    ク接液部の少なくとも一部が親水処理されているインク
    ジェット記録ヘッドにおいて、該親水処理は、該インク
    接液部を構成する材料のインク接液部形成面にイオン注
    入法で、O + 、H + 、Au + の少なくともいずれか一つの
    イオンを注入することでなされていることを特徴とする
    インクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 インクを吐出する吐出口と、前記吐出口
    にインク流路を介して連通するインク液室と、インク流
    路の一部に設けられ前記インク流路内のインクを吐出さ
    せるための吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生
    素子とを有し、前記インク流路、インク液室を含むイン
    ク接液部の少なくとも一部を親水処理するインクジェッ
    ト記録ヘッドの製造方法において、該親水処理は、該イ
    ンク接液部を構成する材料のインク接液部形成面にイオ
    ン注入法で、O + 、H + 、Au + の少なくともいずれか一
    つのイオンを注入するものであることを特徴とするイン
    クジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記インク流路およびインク液室は、前
    記インク流路およびインク液室の一部を形成する天板
    と、前記エネルギー発生素子を備える基板とを接合する
    ことで形成され、前記親水処理は該天板と基板との接合
    前に行なわれる請求項2記載のインクジェット記録ヘッ
    ドの製造方法
  4. 【請求項4】 前記親水処理は前記天板に対して行われ
    る請求項3記載のインクジェット記録ヘッドの製造方
  5. 【請求項5】 吐出口を形成したオリフィスプレートを
    インク流路の先端に設けると共に前記インク流路の一部
    に設けられ前記インク流路内のインクを吐出させるため
    の吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子を有
    するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記オリフィ
    スプレートが撥水性材料で形成されると共にその吐出口
    形成面の裏面にイオン注入法で、O + 、H + 、Au + の少
    なくともいずれか一つのイオンが注入されることで親水
    処理されてなるインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 吐出口を形成したオリフィスプレートを
    インク流路の先端に設けると共に前記インク流路の一部
    に設けられ前記インク流路内のインクを吐出させるため
    の吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子を有
    するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前
    記オリフィスプレートを撥水性材料で形成すると共にそ
    の吐出口形成面の裏面からイオン注入法で、O + 、H +
    Au + の少なくともいずれか一つのイオンを注入するこ
    とで親水処理をするインクジェット記録ヘッドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 インク吐出エネルギー発生素子が電気エ
    ネルギーを与えることによって発熱し、インクに状態変
    化を生ぜしめて吐出を行わせるための電気熱変換体であ
    る請求項1又は記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐
    出口が複数設けられているフルラインタイプのものであ
    ることを特徴とする請求項1又は記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 記録媒体の被記録面に対向してインクを
    吐出するインク吐出口が設けられている請求項1又は
    記載の記録ヘッドと、該記録ヘッドを載置するための部
    材とを少なくとも具備することを特徴とする記録装置。
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