JPH0671886A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JPH0671886A
JPH0671886A JP23205692A JP23205692A JPH0671886A JP H0671886 A JPH0671886 A JP H0671886A JP 23205692 A JP23205692 A JP 23205692A JP 23205692 A JP23205692 A JP 23205692A JP H0671886 A JPH0671886 A JP H0671886A
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JP
Japan
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ink
orifice plate
recording head
ion
ink jet
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JP23205692A
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English (en)
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Hirokazu Komuro
博和 小室
Keiichi Murakami
圭一 村上
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録ヘッドにおいて、微細且
つ高密度なインク吐出口を高精度に形成して、高密度且
つ高精度の画像を可能にする記録ヘッドを提供する。 【構成】 エネルギー発生素子を具備したインク流路を
有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与しイ
ンクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端に配し
たオリフィスプレート上に形成された吐出口からインク
の小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記録面への付着
を以て記録を行うインクジェット記録ヘッドに於いて、
前記オリフィスプレート上の吐出口がイオン加工法によ
り形成されたことを特徴とするインクジェット記録ヘッ
ド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを吐出口(オリ
フィス)から小滴として吐出、飛翔させ、この小滴の被
記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘ
ッドに関し、特にイオン加工法及びイオン注入法を応用
するオリフィスプレートの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録方式によ
るプリンタは、印字や画像が美しく、より精細であるこ
とが要求されている。そのため、高速度且つ高密度にイ
ンク吐出できるようにインク吐出口を小さく形成する方
法、マイクロリソグラフィ技術を用いた微細加工方式を
用いて多数の小さな吐出口を密接して製作する方法等が
実施されてきた。
【0003】図6はこのような方法により製造された従
来のインクジェット記録ヘッドの構成例を示す斜視図で
ある。図中、1はたとえばシリコンウエハー等上に蓄熱
層、ヒーター、電極、保護層などが形成されているイン
クジェット記録ヘッド用基板であり、2は電鋳、レーザ
ー加工などで50μm径の吐出口が形成されたオリフィ
スプレートであり、3は吐出口、4はインク供給管であ
る。
【0004】しかしながら、インクジェット記録方式に
おいては、さらなる吐出口の高密度化が要求され、概ね
吐出口径20μm以下の微細な吐出口形成技術が要求さ
れている。一方で、従来の吐出口密度をもつ記録ヘッド
においてもグラフィック用途等のため印字性能の向上を
目的とした吐出口の高精度化が要求されている。
【0005】一方、図7は図6に示すインクジェット記
録ヘッドの吐出口近傍の側断面を示し、インク7が吐出
されてインク滴8を形成する状態2例を示している。こ
こで、図7(A)は吐出口面9がインクに濡れることな
くインク滴が真直に吐出される状態、図7(B)は吐出
口面9の一部が吐出前にインクに濡れてしまうために曲
がった方向にインク滴が吐出されようとしている状態で
ある。
【0006】吐出口面9が濡れるのは、インク吐出時に
インクが濡れ広がる場合の他、キヤリッジにインクジェ
ット記録ヘッドを搭載して記録を行う状態の装置では、
ヘッドが印字を行いながら機械的に移動する際、あるい
はキヤリッジが記録媒体の端部に達して復帰動作を行う
際等に起こる機械的振動等によって、ノズル内のインク
7がノズル先端の吐出口面9へ溢れ出て該吐出口面を濡
らす場合等がある。
【0007】このように溢れ出て吐出口面9を濡らすイ
ンクが吐出口内に再び戻ってくる場合もしくは吐出口周
辺が均一に濡れる場合には、吐出口インク滴8の吐出方
向は図7(A)に示すように真直となり、吐出状態すな
わち記録状態は安定する。
【0008】しかしながら、従来のインクジェット記録
ヘッドでは、吐出口面9が不均一に濡れたり、あるい
は、一旦濡れた後に吐出口面9に不均一なインクの残留
状態が生じ、したがって図7(B)のような不安定な吐
出状態が生じることになる。
【0009】即ち、吐出口面の濡れと表面状態とは強い
関係があり、吐出口面の表面状態が適切でない場合には
不安定な吐出状態が生じることになり、したがって良好
な記録状態を維持できずに記録品位が低下することにも
なる。
【0010】このことは、図6に示したインクジェット
記録ヘッドのみならず他のインクジェット記録ヘッドに
おいても無論生じ得る問題であるが、図6に示したイン
クジェット記録ヘッドのようにインク吐出口が密接して
設けられている場合には、濡れは互いに隣接した吐出口
周辺で起こるので、濡れが隣接する吐出口同士で連結し
てしまいその影響はますます大きくなる。その結果、記
録された文字が歪んだり画像に乱れが起こるなど、記録
品位や画質に一層著しい悪影響を与えることになるの
で、吐出口端面が一層厳格に管理される必要がある。
【0011】又、最近のインクジェット記録方式への要
求として用紙選択性が広いことが挙げられる。即ち、ど
んな紙でも印字ができることである。ところが、ある種
の紙では、紙カス、紙紛が発生しやすく、それがインク
ジェット記録ヘッドの吐出口面に付着して印字を悪化さ
せる原因となる。そこで、このような紙カス、紙紛を処
理する方法として、ブレードを吐出口面に定期的にあ
て、紙カス、紙紛を取る方法が実施されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の電鋳による吐出
口形成技術においては、吐出口精度はメッキレジストの
精度に依存し、更にメッキレジストの厚みの制御が難し
いため、口径50μm以下の微細な吐出口を正確且つ再
現性良く形成することは殆ど不可能であった。更に、メ
ッキレジストのアスペクト比がとれないため(1以上)
吐出口を小さくするためにメッキ厚を薄くしなけらばな
らずオリフィスプレートの強度がとれなかった。
【0013】また、エッチングによって吐出口を形成す
る方法は、オリフィスプレートの表裏での孔の大きさが
変化しないように形成することができず、吐出口はテー
パー状となる。そのため、微細な吐出口を精度よく作製
することは難しかった。また、吐出口の精度を向上させ
るために、エッチング材料を薄くする方法が考えられる
が、オリフィスプレートの強度が不足するため実用的で
はなかった。
【0014】あるいは、レーザー加工により吐出口を形
成する方法は、レーザー加工の際に生じる被加工材料の
カスが吐出口の回りにつき印字性能を低下させるという
問題点があった。特に高密度のインクジェット記録ヘッ
ドではこの傾向が顕著であった。
【0015】従って、上記問題点に鑑み、本発明は微細
で高密度、高精度な吐出口を得ることを目的とし、又そ
のような吐出口を形成する方法を提供することを目的と
するものである。
【0016】一方、高密度且つ高精細な画像を実現する
ために、吐出口面がインクをはじいて濡れないように、
該吐出口面に表面処理を施し、撥水性を持たせることが
従来より実施されている。
【0017】例えば、撥水性のあるフッ素樹脂等を塗布
して皮膜を形成する方法、又は、蒸着法もしくはスパッ
タリング法などにより撥水性のある有機高分子等をコー
ティングして皮膜を形成する方法などが従来より実施さ
れている。
【0018】しかしながら、これらの方法により形成さ
れた皮膜は吐出口面に対する密着性が不十分であり、こ
のため皮膜が吐出口面から剥離するという問題点があっ
た。
【0019】更に、吐出口面との密着性が不十分であ
り、且つ撥水材料により形成された皮膜の耐摩耗性が低
いために、吐出口面に付着した紙カス、紙粉等を取り除
くためのブレードの材料の選択に制約があった。したが
って、用紙選択性を広くすることに伴い、設計の自由度
を上げ、製造コストを低下させるために、ブレード材料
制約を低減することも要求される。そのためには、撥水
処理された吐出口面の耐摩耗性を向上することが要求さ
れる。
【0020】ところで、インクジェット記録ヘッドを具
備するプリンターには、ブレードにより除去することが
困難なゴミまたはインク固着物等を吐出口面から除去す
るため、もしくは、液室内またはノズル内に溜った気泡
を除去するために、回復系が一般に設けられている。回
復系には、接触型と非接触型の2種類があり、前者は後
者より回復効果は高い。しかしながら、接触型回復系は
回復手段と吐出口面とが接触することにより、吐出口面
に設けられた撥水皮膜を傷つけるため、従来のインクジ
ェット記録ヘッドにおいては、非接触型回復系が多かっ
た。既に説明したように従来技術により形成した撥水皮
膜は吐出口面との密着性が不十分であり、撥水皮膜の耐
摩耗性が低いので非接触型にせざるを得ないからであ
る。従って、撥水処理面に耐摩耗性を持たせ、接触型回
復系を採用して、回復効果を向上することも要求されて
いる。
【0021】また、上記の紙カス、紙紛等は吐出口面が
絶縁性であるとさらに付着しやいという性質を持つ。こ
れは、吐出口面が絶縁性の場合、帯電しやすく、その結
果、紙カス、紙紛が引き寄せられると推定される。した
がって、吐出口面に導電性を付与することも要求されて
いる。
【0022】本発明は、上記の問題点に鑑みなされたも
のであって、吐出口面に持続性のある撥水処理を施し
て、正確で安定したインク吐出を得ることを目的とす
る。
【0023】又、本発明は、該撥水処理面に耐摩耗性を
付与することにより、ブレード材料の選択の幅を広げる
こと、更に接触型回復系に好適なインクジェット記録ヘ
ッドを提供することも目的とする。
【0024】又、本発明は、該撥水処理面に導電性を付
与することにより、紙カス、紙粉等が付着しにくく、任
意の記録用紙に対して、正確で安定したインク吐出がで
きるインクジェット記録ヘッドを提供することも目的と
する。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、エネルギー発生素子を具備したインク流路を有
し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与しイン
クの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端に配した
オリフィスプレート上に形成された吐出口からインクの
小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記録面への付着を
以て記録を行うインクジェット記録ヘッドにおいて、前
記オリフィスプレート上の吐出口がイオン加工法により
形成されたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド
である。
【0026】又、本発明は、エネルギー発生素子を具備
したインク流路を有し、該インク流路内でインクにエネ
ルギーを付与しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク
流路の一端に配したオリフィスプレート上に形成された
吐出口からインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の
被記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録
ヘッドにおいて、前記オリフィスプレート上の吐出口が
イオン加工法により形成され、且つ前記オリフィスプレ
ートの吐出口を形成する面がイオン注入法により表面改
質されたことを特徴とするインクジェット記録ヘッドで
ある。
【0027】上記記録ヘッドは、エネルギー発生素子が
発熱抵抗層のもの及び/又は記録媒体の記録領域全幅に
わたってインク吐出口が複数設けられているフルライン
タイプのものを含むものである。
【0028】又、本発明は、記録媒体の被記録面に対向
してインク吐出口が設けられている上記のインクジェッ
ト記録ヘッドと、該ヘッドを載置するための部材とを少
なくとも具備することを特徴とするインクジェット記録
装置である。
【0029】又、本発明は、エネルギー発生素子を具備
したインク流路を有し、該インク流路内でインクにエネ
ルギーを付与しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク
流路の一端に配したオリフィスプレート上に形成された
吐出口からインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の
被記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録
ヘッドを製造する方法において、前記オリフィスプレー
ト上にイオン加工法により吐出口を形成することを特徴
とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0030】又、本発明は、エネルギー発生素子を具備
したインク流路を有し、該インク流路内でインクにエネ
ルギーを付与しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク
流路の一端に配したオリフィスプレート上に形成された
吐出口からインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の
被記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録
ヘッドを製造する方法において、前記オリフィスプレー
ト上にイオン加工法により吐出口を形成し、且つ前記オ
リフィスプレートの吐出口を形成する面をイオン注入法
により表面改質することを特徴とするインクジェット記
録ヘッドの製造方法である。
【0031】上記製造方法においては、イオン加工時の
イオン加速電圧が100乃至300keV、イオンビー
ム径が0.5乃至50μm、且つイオン電流が10乃至
10000pAであることが好ましい。
【0032】以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
【作用】本発明は、新規なイオン加工条件の組合せによ
り、イオン加工法によりオリフィスプレート上に吐出口
を形成することを可能とするものである。
【0034】ここで、本発明に係るイオン加工法につい
て説明する。
【0035】イオン加工装置としては、高輝度集束イオ
ンビーム装置(FIB;以下FIBと略記する)をもち
いる。図8はFIBの基本構造を示す模式図である。図
示の通り、FIBは、真空系の中に質量分析器、対物レ
ンズ、ビーム走査系、及び二次電子検出系を具備してな
るものである。二次電子検出系はFIB照射によって放
出される二次電子を検出して試料表面の観察、加工位置
検出などを行うものである。
【0036】このようなFIBをインクジェット記録ヘ
ッドの吐出口形成に適用するためには、従来の技術には
みられない新規加工条件の設定が必要である。以下、本
発明に係る加工条件について説明する。
【0037】加工イオン源としては、高揮度液体金属を
用いる。例えば、Ga、Al、Si−Au、Ge−Au
等の低融点金属又はそれらの合金を使用する。但し、合
金を使用する場合にも、蒸気圧及び融点が、それらの単
体金属と同程度に低いことが必要であることはいうまで
もない。
【0038】上記イオン源から得られるイオン種として
は、Ga+、Al+、Au+、Ge+等が好適である。
【0039】イオン加速電圧は、100〜300ke
V、好ましくは150〜200keVとする。300k
eVという数値は、FIBの性能限界によるものであ
り、又、これ以上加速電圧が大きくなると、基板温度が
上昇し過ぎる不都合が生じる。又、100keVという
数値は、加工可能な加速電圧の下限値である。
【0040】イオンビーム径は大きい方がビーム電流が
とれるためエッチング速度が早くなる反面精度が悪くな
る。したがって、要求性能に従いビーム径を決める必要
がある。従って、イオンビーム径は、0.5〜50μ
m、好ましくは1〜5μmとする。0.5μm以下で
は、充分なエッチング速度を得ることができず、50μ
m以上では、微細な吐出口を構成度に加工することが困
難になるからである。
【0041】イオン電流は、10〜10000pA、好
ましくは100〜5000pAとする。10pAより小
さい場合は、充分なエッチング速度を得ることができ
ず、10000pAより大きい場合は、イオンの安定性
が損なわれるからである。
【0042】イオン加工により吐出口を形成される材料
としては、構造材となるものであれば、特に限定しない
が、とりわけ、金属の中ではNi、SUS、無機化合物
の中ではSiガラス、樹脂の中ではポリサルフォン等が
好適である。
【0043】上記FIBを使用する本発明の特徴は、
(1)レジストなしでイオンエッチングができること、
(2)イオンの直進性が良いので加工断面形状が垂直に
なることである。
【0044】次に、本発明においては、イオン加工法に
より吐出口を形成したオリフィスプレートもしくはイオ
ン加工前のオリフィスプレートにイオン注入法により撥
水性を付与することを特徴とする。本発明においては、
イオン加工による吐出口の形成と、イオン注入による撥
水処理との順序は問わない。
【0045】ここでイオン注入法について説明する。
【0046】イオン注入法は、10〜数100keVに
加速されたイオンを固体表面に照射し、固体表面の物性
を制御する技術である。イオン注入法の適用例として
は、半導体素子の不純物ドーピングによる拡散層の形成
やキャリヤ濃度の調整などに実用化されている。また、
金属表面の改良を狙って、(例えば、ドリルの刃などの
硬度の上昇や、摩耗性の向上)検討が進められている。
【0047】イオン注入装置の代表的な構造例を図10
に示す。イオンは、イオン源で作製され引き出される。
(例えば、ガスを10ー3Torr程度導入しDCやRF
放電によって生じるプラズマ中より引き出す)引き出さ
れたイオンビームは、原子イオンや分子イオン、残留ガ
スからのイオンなど種々の成分を含むため、質量分析器
によって必要イオン種のみを取り出す。
【0048】質量分析器は必ずしも必要なものではな
く、金属表面の表面改質装置の場合はほとんど設置され
ていない。一方半導体素子用装置の場合には全て取り付
けてある。イオンビームはX軸、Y軸にスキャニングさ
れウエハなどの基板に均一に走査される。装置によって
は、試料台を回転させて均一注入を行う場合もあるこの
ようなイオン注入法による撥水処理は、被加工材の表面
そのものの改質であるので、表面に皮膜を形成する方法
に比べて、密着性は良好である。また、注入するイオン
種を選択できるので、撥水性のみならず硬度アップ、導
電性付与なども容易にできる。
【0049】撥水性を付与するためのイオン源として
は、常圧及び減圧下でガス状であることが必要であり、
次のものが使用できる。
【0050】(1)CF4、C26、CHF3等の少なく
ともCとFとを含むガス、(2)フッ素ガスとメタンガ
スとの組合せに代表されるような、Fを含有するガス
と、Cを含有するガスとを併用する、(3)被イオン注
入材料がCを含有する場合は、フッ素ガスのみでもよ
い。
【0051】上記イオン源から引き出されるイオン種と
しては、次のものが使用できる。
【0052】(1)CF3 +、C26 +、C23 +等に代表
されるC及びFを含有するイオン種 (2)F+とC+との組合せ、 (3)被イオン注入材料がCを含有する場合は、F+
独でもよい。
【0053】又、吐出口表面の表面硬度を上げるための
イオン源としては、窒素ガス、SiF4もしくはSiC
4等のSi含有ガス、BCl3ガスとNH3ガスとの組
合せ、などが使用でき、これらは、いずれも常圧及び減
圧下でガス状を呈する。
【0054】上記イオン源から引き出されるイオン源と
しては、N+、Si+もしくはSiCl3 +等のSi含有イ
オン、B+とN+との組合せ等が使用できる。
【0055】又、導電性を付与するためのイオン源とし
ては、(C253Al、WF6、MoCl5 等の常圧及
び減圧下でガス状の金属化合物が使用できる。
【0056】上記イオン源から引き出されるイオン種と
しては、Al+、N+、Mo+ 等の金属イオンが使用でき
る。
【0057】イオン加速電圧は、5〜100keV、好
ましくは10〜60keVにする。被注入材料中におけ
る注入イオンの分布は、注入深度に対してガウス分布を
呈するため、上記範囲の中にイオン加速電圧の最適値が
存在する。5eVより小さい場合には、イオン加速の安
定性が失われ、100eVより大きい場合には、イオン
が被注入材料の奥深くまで進んでしまい、効率よく表面
改質を行うことができない。又、表面温度が上昇し過ぎ
る不都合もある。
【0058】ドーズ量は、1×1014〜1×1018cm
-2、好ましくは1×1015〜1×1017cm-2とする。
1×1014cm-2より小さい場合は、撥水性を充分に付
与することができず、1×1018cm-2より大きい場合
は、温度が上昇し過ぎる不都合があるためである。
【0059】尚、イオン注入による撥水性の付与は、イ
ンクジェット記録ヘッドを構成するあらゆる材料、例え
ば、半導体(Siなど)、ガラス、セラミックス、半導
体の酸化物、有機高分子や有機樹脂などの有機化合物、
また、無機化合物に対して行える。
【0060】更に、イオン注入の後に、撥水作用を高め
るために熱処理を施しても良い。
【0061】イオン注入により撥水処理を行う結果、本
発明は次の特徴を有する。 (3)イオン注入により、オリフィスプレート吐出口面
の表面改質を行って表面硬度を向上することができる。 (4)イオン注入により、オリフィスプレート吐出口面
に導電性を付与することができる。
【0062】ところで、本発明においては、イオン加工
装置とイオン注入装置は、共に高真空系であるのでイオ
ン注入装置のなかに集束イオンビーム装置の機能を追加
し、連続処理を行っても良い。即ち、イオン注入装置に
おけるビーム走査系、対物レンズの性能を向上させ、2
次電子検出系を装備することにより、イオン源を交換す
るだけで、1つの装置で、イオン加工とイオン注入とを
行うことができる。
【0063】このことから、本発明は、吐出口形成と撥
水処理とを同時に実施できる特徴を有することとなる。
【0064】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置において、優れた効果をもたらすものである。
【0065】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいず
れにも適用可能である。
【0066】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じるよ
うな急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆
動信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。こ
のように液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆
動信号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオ
ンデマンド型の記録法には有効である。この気泡の成
長、収縮により吐出口を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行わ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第43
45262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明
の米国特許第4313124号明細書に記載されている
条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができ
る。
【0067】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路または直角液流
路)の他に、米国特許第4558333号明細書、米国
特許第4459600号明細書に開示されているよう
に、熱作用部が屈曲する領域に配置された構成を持つも
のも本発明に含まれる。
【0068】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0069】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0070】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0071】また、本発明の記録装置に、記録ヘッドに
対する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせによ
る予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モー
ドを行う手段を付加することも安定した記録を行うため
に有効である。
【0072】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成したものか、複数個を組み合わせ
て構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色
カラーまたは、混色によるフルカラーの少なくとも一つ
を備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0073】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0074】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するかまたは、インクの蒸発防止を目的として放置
状態で固化するインクを用いることもできる。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化してインク液状として吐出するものや記録媒
体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0075】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部または貫通孔に液
状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体
に対して対向するような形態としても良い。
【0076】本発明において、上述した各インクに対し
て最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するも
のである。
【0077】図9は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0078】図9において、120はプラテン124上
に送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出
を行うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリ
ッジ(IJC)である。116はIJC120を保持す
るキャリッジHCであり、駆動モータ117の駆動力を
伝達する駆動ベルト118の一部と連結し、互いに平行
に配設された2本のガイドシャフト119Aおよび11
9Bと摺動可能とすることにより、IJC120の記録
紙の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0079】126はヘッド回復装置であり、IJC1
20の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構123を介したモータ
122の駆動力によって、ヘッド回復装置126を動作
せしめ、IJC120のキャッピングを行う。このヘッ
ド回復装置126のキャップ部126AによるIJC1
20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置1
26内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC120へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行い、インクを吐出口より強制
的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除去
する等の吐出回復処理を行う。また、記録終了時等にキ
ャッピングを施すことによりIJCが保護される。
【0080】130はヘッド回復装置126の側面に配
設され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材とし
てのブレードである。ブレード130はブレード保持部
材130Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復
装置126と同様、モータ122および伝動機構123
によって動作し、IJC120の吐出面との係合が可能
となる。これにより、IJC120の記録動作における
適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置126を
用いた吐出回復処理後に、ブレード130をIJC12
0の移動経路中に突出させ、IJC120の移動動作に
伴ってIJC120の吐出面における結露、濡れあるい
は塵埃等をふきとるものである。
【0081】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0082】図1は本発明インクジェット記録ヘッドの
1態様を示す斜視図である。図1において、1はたとえ
ばシリコンウエハー等上に蓄熱層、ヒータ、電極、保護
層などが形成されているインクジェット記録ヘッド用基
板、2はイオン加工により吐出口が形成されたオリフィ
スプレート、3はインクを吐出するための吐出口、4は
インク供給管である。
【0083】実施例1 まず図2に示すように、ポリサルフォン樹脂でできたオ
リフィスプレート表面にFIB(高輝度集束イオンビー
ム装置)を用いて、エッチングイオン種としてGa+
加速エネルギー200keVとし、ビーム径1μm、ビ
ーム電流500pAでエッチングを行い15μm径で3
0μmピッチの吐出口を形成した(図4)。
【0084】次に、ノズル壁等が形成されたインクジェ
ット記録ヘッド基板に前記オリフィスプレートを接着し
図1に示す構成のインクジェット記録ヘッドを得た。
【0085】実施例2 まず図2に示すように、ポリサルフォン樹脂でできたオ
リフィスプレート表面に撥水性付与イオンとしてC24
+ イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1×1
16cm-2の条件でオリフィスプレート表面に対して垂
直方向から注入した(図3)。
【0086】次にFIBを用いて、エッチングイオン種
をGa+ として加速エネルギー200keVとし、ビー
ム径1μm、ビーム電流500pAでエッチングを行い
15μm径で30μmピッチの吐出口を形成した(図
4)。
【0087】本実施例ではイオン注入とイオン加工は別
装置でおこなったが、前記説明のように同一装置内に両
装置を組み入れ、同一装置で両者を実施するほうが、量
産に有利である。
【0088】次に、ノズル壁等が形成されたインクジェ
ット記録ヘッド基板に前記オリフィスプレートを接着し
図1に示す構成のインクジェット記録ヘッドを得た。
【0089】実施例3 オリフィスプレート表面にC+ イオンを加速エネルギー
20keV、ドーズ量1×1016cm-2の条件でオリフ
ィスプレート表面に対して垂直方向から注入し吐出口を
形成した。次にF+ イオンを加速エネルギー20Ke
V、ドーズ量2×1016cm-2の条件で注入し、吐出口
表面に撥水性を付与した。その他は実施例1と同様にし
てインクジェット記録ヘッドを作製した。
【0090】実施例4 オリフィスプレート表面に撥水性付与イオンとしてC2
4 + イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1
×1016cm-2の条件でオリフィスプレート表面に対し
て垂直方向から注入した。次に表面硬度を向上させるた
め、N+ イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量
2×1016cm-2の条件で同様に注入した。その他は実
施例1と同様にしてインクジェット記録ヘッドを作製し
た。
【0091】実施例5 オリフィスプレート表面に撥水性付与イオンとしてC2
4 + イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1
×1016cm-2の条件でオリフィスプレート表面に対し
て垂直方向から注入した。次に導電性付与イオンとして
Al+ イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1
×1015cm-2の条件で同様に注入した。その他は実施
例1と同様にしてインクジェット記録ヘッドを作製し
た。
【0092】実施例6 オリフィスプレート表面に撥水性付与イオンとしてC2
4 +イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1×
1016cm-2 の条件でオリフィスプレート表面に対し
て垂直方向から注入した。次に表面硬度を向上させるた
めN+ イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1
×1016cm-2の条件で同様に注入した。さらに導電性
付与イオンとしてAl+ イオンを加速エネルギー20k
eV、ドーズ量1×1015cm-2の条件で注入した。そ
の他は実施例1と同様にしてインクジェット記録ヘッド
を作製した。
【0093】実施例7 以上作製したヘッドに対して、下記の条件 〈信号パルス条件〉 印加パルス幅 10μsec パルス周波数 3kHz 印加エネルギー 0.01mJ/パルス(発熱素子一個あた
り) 〈インク組成〉水 70% ジエチレングリコール 26% ダイレクトブラック 4% でインク吐出実験を行ったとき、30μmピッチの高密
度にもかかわらず109パルス以上にわたり安定した吐
出および着弾点精度の高いすぐれた記録を行うことがで
きた。
【0094】本実施例に関わる方法により処理された吐
出口面を有するインクジェット記録ヘッドでは、インク
吐出口面がインクにより不均一に濡れることがなく、イ
ンク滴の吐出方向が安定して、したがってすぐれた印字
品質、画質を得ることが可能となった。
【0095】また、吐出口の形成がイオン加工による高
精度の加工、また断面形状が垂直にできることにより良
好な吐出が出来良好な印字品質、画質を得ることができ
た。
【0096】更に、実施例2〜6のインクジェット記録
ヘッドをプリンターに搭載し、ブレード材料にウレタン
ゴム、シリコンゴム、ブチルゴムを用いて、これらブレ
ードにより吐出口面を複数回ワイピングして、印字性能
を評価するブレードワイピングテストを実施した。表1
にウレタンブレードによる試験結果を示す。
【0097】
【表1】 実施例A:実施例2、3、5 実施例B:実施例4、6 レベル1:ワイピング回数2000回 レベル2:ワイピング回数10000回 レベル3:ワイピング回数30000回 評価 ○:印字良好 ×:印字不良(ヨレが目立つ状態) 上記結果は、他のブレード材料においても同様であっ
た。記録ヘッドの撥水面の強度が向上し、耐摩耗性が向
上ことによるものと思われる。したがって、設計の自由
度が向上し、コストダウンにもなった。
【0098】更に、記録装置に搭載した記録ヘッドの吐
出口面に、スポンジを押し当ててこする回復操作を複数
回施し、印字性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0099】
【表2】 実施例A:実施例2、3、5 実施例B:実施例4、6 レベル1:回復処理回数100回 レベル2:回復処理回数500回 レベル3:回復処理回数1000回 評価 ○:印字良好 ×:印字不良(ヨレが目立つ状態) 表2から判るように、接触型の回復系の実験でも撥水性
の低下がなく、回復系が吐出口面に接触するタイプが採
用できる。したがって確実に回復できる回復系が採用で
きた。
【0100】また、実施例の4〜6については、吐出口
面の撥水性に加え表面硬化性及び/又は導電性を付与し
たものであり、以下さらに説明を加える。
【0101】実施例4のヘッドにおいては、撥水性の付
与をC24 + イオンで行い、さらにN+ イオンを注入す
ることにより樹脂等で形成される吐出口面のノズル壁や
接着層、またオリフィスプレートなどの機械的強度が向
上する。したがって、実施例2乃至3以上に耐久性が向
上した。
【0102】更に、実施例2〜6において作製した記録
ヘッドの吐出口面の抵抗値を測定したところ、実施例
2、3、4の記録ヘッドにおいては、その値はいずれも
1013〜1014Ω/□の範囲にあった。一方、実施例5
及び6の記録ヘッドにおいては、いずれも108〜10
10Ω/□ の範囲にあった。
【0103】実施例5のヘッドにおいては、撥水性の付
与をC24 + イオンで行い、さらにAl+ イオンを注入
することにより吐出口面に導電性を付与させてある。こ
れにより、吐出口面が静電気による帯電がしにくく、紙
カス、紙紛が付着しにくくなり、長期にわたり良好な印
字が得られた。
【0104】実施例6のヘッドにおいては、実施例2、
4、及び5の組み合わせ効果を狙ったもので、印字性
能、耐久性共に向上した。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、吐出口をイオン加
工法により形成することによって、微細な吐出口を高密
度、高精度に形成することが可能になった。更にイオン
ビーム径を調整することによって、テーパーのない吐出
口を形成することも可能となるため、高密度のインクジ
ェット記録ヘッドでも高品位な印字ができるようになっ
た。
【0106】又、イオン注入法で吐出口面に撥水性をも
たせた本発明インクジェット記録ジェット記録ヘッド
は、常時所定の方向に実質的に均一な液体量を以て安定
した吐出を行うことが可能であり、高速記録に十分対応
できる。
【0107】又、イオン注入により、表面硬度の高い吐
出口面を形成することができるため、紙粉等を除去する
ブレードの材料選択の幅が広がり、更にブレードでは除
去できないゴミや不用なインク等を除去するための接触
型回復系にも充分適応するものとなった。
【0108】又、イオン注入によって、吐出口表面に導
電性を付与することにより、紙粉等が付着しにくくなる
と共に、除去回数も減少するので、長時間印字、高速印
字が可能となった。
【0109】その結果、インクジェット記録ヘッドとし
ての耐久性が向上すると共に、用紙選択性が広くなっ
た。
【0110】更に、本発明においては、同一装置を用い
て、イオン加工とイオン注入を連続して実施することも
可能であり、製造工程の大幅な簡略化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ヘッドの1態様を示す斜視図である。
【図2】本発明製造方法の1態様を説明する工程図であ
る。
【図3】本発明製造方法の1態様を説明する工程図であ
る。
【図4】本発明製造方法の1態様を説明する工程図であ
る。
【図5】イオン注入装置の基本的な構造を示す模式図で
ある。
【図6】従来ヘッドの1態様を示す斜視図である。
【図7】インク滴の吐出状態の説明図である。
【図8】集束イオンビーム装置(FIB)の基本的な構
造を説明する模式図である。
【図9】本発明の記録装置の1態様を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド用基板 2 オリフィスプレート 3 吐出口 4 インク供給管 7 インク 8 インク滴 9 吐出口面 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A,119B ガイドシャフト 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 ヘッド回復装置 126A キャップ部 130 ブレード 130A ブレード保持部材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギー発生素子を具備したインク流
    路を有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与
    しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端に
    配したオリフィスプレート上に形成された吐出口からイ
    ンクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記録面への
    付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘッドにおい
    て、前記オリフィスプレート上の吐出口がイオン加工法
    により形成されたことを特徴とするインクジェット記録
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 エネルギー発生素子を具備したインク流
    路を有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与
    しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端に
    配したオリフィスプレート上に形成された吐出口からイ
    ンクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記録面への
    付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘッドにおい
    て、前記オリフィスプレート上の吐出口がイオン加工法
    により形成され、且つ前記オリフィスプレートの吐出口
    を形成する面がイオン注入法により表面改質されたこと
    を特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 エネルギー発生素子が発熱抵抗層である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 記録媒体の記録領域全幅にわたってイン
    ク吐出口が複数設けられているフルラインタイプのもの
    であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一に記
    載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 記録媒体の被記録面に対向してインク吐
    出口が設けられている請求項1乃至4いずれか一に記載
    のインクジェット記録ヘッドと、該ヘッドを載置するた
    めの部材とを少なくとも具備することを特徴とするイン
    クジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 エネルギー発生素子を具備したインク流
    路を有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与
    しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端に
    配したオリフィスプレート上に形成された吐出口からイ
    ンクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記録面への
    付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘッドを製造
    する方法において、前記オリフィスプレート上にイオン
    加工法により吐出口を形成することを特徴とするインク
    ジェット記録ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 エネルギー発生素子を具備したインク流
    路を有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与
    しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端に
    配したオリフィスプレート上に形成された吐出口からイ
    ンクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記録面への
    付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘッドを製造
    する方法において、前記オリフィスプレート上にイオン
    加工法により吐出口を形成し、且つ前記オリフィスプレ
    ートの吐出口を形成する面をイオン注入法により表面改
    質することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 イオン加速電圧が100乃至300ke
    V、イオンビーム径が0.5乃至50μm、且つイオン
    電流が10乃至10000pAである請求項6又は7に
    記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
JP23205692A 1992-08-31 1992-08-31 インクジェット記録ヘッド Pending JPH0671886A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23205692A JPH0671886A (ja) 1992-08-31 1992-08-31 インクジェット記録ヘッド
EP93113841A EP0585854B1 (en) 1992-08-31 1993-08-30 Ink jet head manufacturing method using ion machining and ink jet head manufactured thereby
AT93113841T ATE173197T1 (de) 1992-08-31 1993-08-30 Tintenstrahlkopfherstellungsverfahren mittels bearbeitung durch ionen und tintenstrahlkopf
DE69322025T DE69322025T2 (de) 1992-08-31 1993-08-30 Tintenstrahlkopfherstellungsverfahren mittels Bearbeitung durch Ionen und Tintenstrahlkopf
US08/531,903 US5649359A (en) 1992-08-31 1995-09-21 Ink jet head manufacturing method using ion machining and ink jet head manufactured thereby
US08/758,466 US5703630A (en) 1992-08-31 1996-12-02 Ink jet head manufacturing method using ion machining and ink jet head manufactured thereby

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010214654A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Fujifilm Corp 撥液処理方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010214654A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Fujifilm Corp 撥液処理方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器

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