JPH07156403A - インクジェット記録ヘッド及び製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及び製造方法

Info

Publication number
JPH07156403A
JPH07156403A JP30370093A JP30370093A JPH07156403A JP H07156403 A JPH07156403 A JP H07156403A JP 30370093 A JP30370093 A JP 30370093A JP 30370093 A JP30370093 A JP 30370093A JP H07156403 A JPH07156403 A JP H07156403A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
recording head
ink jet
liquid chamber
jet recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30370093A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirokazu Komuro
博和 小室
Makoto Shibata
誠 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP30370093A priority Critical patent/JPH07156403A/ja
Publication of JPH07156403A publication Critical patent/JPH07156403A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液室内の圧力変動によりインク吐出が阻害さ
れることのないインクジェット記録ヘッドを提供する。 【構成】 インクジェット記録ヘッドの液室内の任意の
位置に気泡を安定的に保持する気泡トラップ構造を有す
るインクジェット記録ヘッドにおいて、前記気泡トラッ
プ構造内でインクに接する構造材料の一部がイオン注入
法により撥水性を付与されたことを特徴とするインクジ
ェット記録ヘッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッドの液室、またはインク供給系に安定的に気泡を保持
し、連続的なインクの吐出を安定して行うためのインク
ジェット記録ヘッドの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年コンピュータの普及に伴い各種の応
用機種の開発が盛んに行われている。特に複写機、ファ
クシミリ、ワードプロセッサその他のいわゆるパーソナ
ルコンピュータ等のオフィースオートメーション用の事
務機器の開発及び普及には著しいものがある。
【0003】これらの事務機器において、処理されたデ
ータあるいは文章等の出力用機器としてのいわゆるプリ
ンタが必須の装置である。
【0004】従来、このようなプリンタとしては、ワイ
ヤードットプリンタ等のインパクト方式のプリンタや、
静電複写方式を用いたレーザービームプリンタ、熱転写
プリンタ等のノンインパクト方式のプリンタが用いられ
ているが、インクジェット記録方式によるプリンタも近
年そのすぐれた特徴が注目されて各種の方式の開発が進
められている。
【0005】プリンタによる印字や画像が美しく精細で
あることが望ましいことは言うまでもないことで、これ
らのプリンタ技術の目標とする所もここにある。
【0006】そのためプリンタに搭載されるインクジェ
ット記録ヘッドとしては、インク吐出ノズルを小さく形
成し、インクを高速度かつ高密度に吐出させるようにし
たものがある。また、インク吐出ノズルを小さくかつ密
接して配置することが考えられ、そのためにいわゆるマ
イクロリソグラフィの技術を用いた微細加工方式を用い
て多数の吐出口を密接して製作する方法が知られてい
る。
【0007】図2はこのような方法により製造された従
来のインクジェットヘッドの構成例を示す。図におい
て、たとえばシリコン基板1上にヒータ2を形成し、そ
の上にノズル3、液室6を形成するための壁を感光性樹
脂で形成し、更に液室6、供給口が形成されているガラ
ス板5を接着し、最後にインクチューブ7を接着しイン
クジェットヘッドが形成される。ノズル3はたとえば3
60dpiのピッチで並んでいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】複数のノズルを有する
インクジェット記録ヘッドに於て、任意の1本のノズル
よりインクが吐出するとこのインク滴の運動エネルギー
の反作用として、このノズルの後方のインクは液室方向
に運動し、液室内の圧力変動を引き起こす。この圧力変
動は、インクの吐出していないノズルのメニスカスを振
動させる。このメニスカス振動において、たとえば、あ
るノズルのメニスカスがせり出している時、このノズル
よりインクを吐出させると、メニスカスが静止している
時よりインク滴が大きくなり、逆にメニスカスがへこん
でいる状態ではインク滴は小さくなる。
【0009】このように、インクの吐出によって生じる
液室内の圧力変動は、ヘッド全体のノズルに影響を及ぼ
し、連続的な安定な吐出を阻害し、印字品位を劣化させ
る。特にノズル数が多くなったり、駆動周波数を上げて
いくと、メニスカス振動の影響は大きくなり、ついには
連続的に吐出さえしなくなる。このメニスカス振動の対
策として、液室内の圧力変動をおさえるために次のよう
な対策が提案されている。
【0010】対策1:インク供給チューブをシリコンチ
ューブのような弾力性のあるものにして圧力振動を吸収
する。この方法では供給チューブがノズルの近傍にない
と効果はなく、設計上の自由度がない。また、ノズル数
が増えると供給チューブがノズルから離れてしまい、こ
の対策は利用できない。また、シリコンチューブはガス
透過性が良く、空気を透過してチューブ内に気泡を詰ま
らせ、インクの供給を阻害する。
【0011】対策2:液室内に気泡を入れて、圧力振動
を吸収する。気泡をトラップする空間を液室内に作り
(今後この空間をバッファ室と呼ぶ)、最初にインクを
充填する時、そのバッファ室に気泡を入れても、今度は
気泡を安定的に保持することは難しく、実使用中にバッ
ファ室から液室へ気泡が移動して、バッファ室中に気泡
がなくなる。このように、液室内のインクの圧力振動を
他へ悪影響を与えず、更に恒久的に押さえる方法がなか
った。
【0012】ところで、対策2を恒久的にするために、
バッファ室内を撥水処理する方法が提案されている。バ
ッファ室内の一部を撥水処理することにより、撥水処理
された面と処理されなかった面との境界で、気泡の気−
液境界面が保持されるため、バッファ室内に気泡が安定
にトラップされる。しかしながら、従来の撥水処理は、
撥水材を塗布したり、蒸着したりして形成する方法であ
り、長期にインクに接していると撥水材が剥がれたり、
撥水材の撥水性が弱くなったりすることがあった。
【0013】本発明は上記の問題点にかんがみて、液室
内に気泡を安定的に保持しうるインクジェット記録ヘッ
ドを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、インクジェット記録ヘッドの液室内の任意の位置
に気泡を安定的に保持する気泡トラップ構造を有するイ
ンクジェット記録ヘッドにおいて、前記気泡トラップ構
造内でインクに接する一部又は全部の構造材料がイオン
注入法により撥水性を付与されたことを特徴とするイン
クジェット記録ヘッドである。
【0015】また、本発明は、インクジェット記録ヘッ
ドの液室内の任意の位置に気泡を安定的に保持する気泡
トラップ構造を有するインクジェット記録ヘッドの製造
方法において、この気泡トラップ構造内でインクに接す
る一部又全部の構造材料にイオン注入法により撥水性を
付与することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの
製造方法である。
【0016】
【作用】本発明においては、イオン注入法で構造材の表
面を撥水性に改質することにより、長期にわたってトラ
ップ構造内の撥水性を維持でき、長期使用後でも液室内
の圧力変動を押えることができ、長期にわたって良好な
印字が可能なインクジェット記録ヘッドを提供すること
ができる。
【0017】本発明において気泡トラップ構造として
は、液室内に気泡をトラップできるバッファ室を設ける
構造がとりわけ好適である。
【0018】またバッファ室内で撥水性をもたせる部位
はバッファ室内に撥水処理面と被処理面との境界が存在
し、該境界の存在により気泡の気−液境界面が安定に保
持されるものであれば、特に限定されない。
【0019】バッファ室を形成したときに、上記部位に
該当する構造材料は予め以下に示すイオン注入法により
撥水処理されることが好ましい。
【0020】以下に、イオン注入法の条件について述べ
る。
【0021】イオン源としてCF4 ,C2 6 ,CHF
3 など少なくともCとFを含む常圧、減圧下でガスであ
るものすべて及び、F2 +CH4 などFを含むガスとC
を含むガスの組み合わせなどがある。更に、イオン注入
する材料がCを含むときはFを含むガスのみでも良い。
【0022】イオン種としてはCF3 + ,C2 6 +
2 3 + イオンなど上記イオン源から発生するCとF
を含むイオン種すべて、及びF+ イオンとC+ イオンの
組み合わせが好ましい。更にイオン注入する材料がCを
含むときはF+ イオンのみでも良い。
【0023】イオン注入量はドーズ量1×1014cm-2
〜1×1018cm-2が好ましく、1×1015cm-2〜1
×1017cm-2が特に好ましい。ドーズ量が1×1014
cm -2よりも少ない場合には撥水効果が不十分の場合が
あり、またドーズ量が1×1018cm-2を越える場合は
温度上昇のため不都合の場合がある。
【0024】また、注入の際のイオン加速エネルギーと
しては5keV〜100keV、特に10keV〜60
keVが好ましい。100keVを越える場合は基板の
温度上昇を生じ、またイオンが内部に深くに注入される
ので好ましくない場合がある。また5keV未満の場合
にはイオン加速の安定性が悪い。
【0025】イオン注入の後、撥水作用を高めるために
熱処理を施しても良い。
【0026】尚、イオン注入により撥水性を付与できる
材料は、インクジェット記録ヘッドを構成するあらゆる
材料、例えば、半導体(Siなど)、ガラス、セラミッ
クス、半導体の酸化物等の無機化合物、有機高分子や有
機樹脂などの有機化合物である。
【0027】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置において、優れた効果をもたらすものである。
【0028】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいず
れにも適用可能である。
【0029】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じるよ
うな急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆
動信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。こ
のように液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆
動信号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオ
ンデマンド型の記録法には有効である。この気泡の成
長、収縮により吐出口を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行わ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第43
45262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明
の米国特許第4313124号明細書に記載されている
条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができ
る。
【0030】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路または直角液流
路)の他に、米国特許第4558333号明細書、米国
特許第4459600号明細書に開示されているよう
に、熱作用部が屈曲する領域に配置された構成を持つも
のも本発明に含まれる。
【0031】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0032】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0033】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0034】また、本発明の記録装置に、記録ヘッドに
体する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱交換体あるいはこ
れとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせによ
る予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モー
ドを行う手段を付加することも安定した記録を行うため
に有効である。
【0035】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成したものか、複数個を組み合わせ
て構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色
カラーまたは、混色によるフルカラーの少なくとも一つ
を備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0036】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0037】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するかまたは、インクの蒸発防止を目的として放置
状態で固化するインクを用いることもできる。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化してインク液状として吐出するものや記録媒
体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0038】このようなインクは、特開昭54ー568
47号公報あるいは特開昭60ー71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部または貫通孔に液
状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体
に対して対向するような形態としても良い。
【0039】本発明において、上述した各インクに対し
て最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するも
のである。
【0040】図3は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装
着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示
す外観斜視図である。
【0041】図3において、120はプラテン124上
に送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出
を行うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリ
ッジ(IJC)である。116はIJC120を保持す
るキャリッジHCであり、駆動モータ117の駆動力を
伝達する駆動ベルト118の一部と連結し、互いに平行
に配設された2本のガイドシャフト119Aおよび11
9Bと摺動可能とすることにより、IJC120の記録
紙の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0042】126はヘッド回復装置であり、IJC1
20の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構123を介したモータ
122の駆動力によって、ヘッド回復装置126を動作
せしめ、IJC120のキャッピングを行う。このヘッ
ド回復装置126のキャップ部126AによるIJC1
20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置1
26内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC120へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行い、インクを吐出口より強制
的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除去
する等の吐出回復処理を行う。また、記録終了時等にキ
ャッピングを施すことによりIJCが保護される。
【0043】130はヘッド回復装置126の側面に配
設され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材とし
てのブレードである。ブレード130はブレード保持部
材130Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復
装置126と同様、モータ122および伝動機構123
によって動作し、IJC120の吐出面との係合が可能
となる。これにより、IJC120の記録動作における
適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置126を
用いた吐出回復処理後に、ブレード130をIJC12
0の移動経路中に突出させ、IJC120の移動動作に
伴ってIJC120の吐出面における結露、濡れあるい
は塵埃等をふきとるものである。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0045】図1に示す構成のインクジェット記録ヘッ
ドを以下の要領で作製した。
【0046】熱酸化SiO2 付きシリコンウエハ上に抵
抗体としてHfB2 、電極材料としてAlをスパッタリ
ングで順次積層し、フォトリソグラフィ技術により電
極、およびヒータを形成した。次にSiO2 、Taをス
パッタリングで積層して同様の技術で対キャビテーショ
ン膜、及び保護膜を形成した。
【0047】このようにして作成したヒーターボード上
にネガ型のドライフィルムでノズル壁、気泡トラップ構
造としてのバッファ室8の壁を形成し、更に液室の形成
された掘り込みのある天板ガラス5を接着して吐出エレ
メントを作成した。天板ガラスには予め、所定の領域9
(図中斜線部)にイオン注入法により撥水処理を施し
た。この領域9は撥水処理されることにより、バッファ
室内で気泡の気−液境界面を安定に保持しうる条件を満
足すれば形状、大きさ、位置はこの例に限定されない。
【0048】なお、イオン注入の条件はイオンとしてC
2 4 + イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量
1×1016cm-2の条件で領域9に注入した。領域9に
限定して注入する方法として、領域を限定して、イオン
打ち込みをスキャンできるイオン注入装置でおこなって
も良いし、レジストなどのマスクをもちいて注入しない
領域をカバーしてイオン注入し、後にマスクを除去して
もよい。
【0049】他の条件として、たとえばイオンとしてC
+ イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1×1
16cm-2の条件で注入し、イオンとしてF+ イオンを
加速エネルギー20keV、ドーズ量2×1016cm-2
の条件で注入した。
【0050】この吐出エレメントとドライバーICを搭
載したPCBは、アルミ製のベースプレート上にそれぞ
れ接着され、両者はワイヤーボンディングで接続され、
さらにインク供給系を天板ガラス上に接着してインクジ
ェット記録ヘッドが完成した。この時試作したヘッド
は、ノズル数256本、ノズル密度360dpiであ
る。
【0051】このようにして作製した、インクジェット
記録ヘッドにインクを詰め、長期にわたって印字をし
た。
【0052】インクを詰める時バッファ室内には気泡が
存在し、初期において高い周波数の駆動でも安定した吐
出性能が得られた。また、印字は良好であった。このイ
ンクジェットヘッドを長期にわたって印字を行ないその
後、バッファ室の気泡を観察したところ初期と同様な大
きさの気泡の存在が確認された。このヘッドの吐出を観
察したところ、高い周波数まで良好な吐出であった。そ
のヘッドを使用して印字したところ、良好な印字が確認
された。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、液室内の任意の位
置に気泡を安定的に保持しうる気泡トラップ構造を有
し、この気泡トラップ構造内でインクに接する一部又は
全部の構造材料をイオン注入法により撥水性を付与する
ことにより、液室内に気泡を安定的に長期に保持し、吐
出によって発生する液室内の圧力振動を吸収し、メニス
カスの振動を抑えることにより、安定な吐出を可能にし
た。したがって、長期にわたって、良好な印字を得るこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明インクジェット記録ヘッドの一態様を示
す模式図であり、(a)平面図、(b)A−B切断面を
矢印方向からみた断面図である。
【図2】従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示す
模式図であり、(a)平面図、(b)A−B切断面を矢
印方向からみた断面図である。
【図3】本発明に係わるインクジェット記録装置の一態
様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 熱発生部 3 ノズル 5 天板ガラス 6 液室 7 インク供給チューブ 8 バッファ開口部 9 イオン注入撥水領域 10 ワイヤーボンディングパット部 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A,119B ガイドシャフト 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 ヘッド回復装置 126A キャップ部 130 ブレード 130A ブレード保持部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェット記録ヘッドの液室内の任
    意の位置に気泡を安定的に保持する気泡トラップ構造を
    有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記気泡ト
    ラップ構造内でインクに接する構造材料の一部がイオン
    注入法により撥水性を付与されたことを特徴とするイン
    クジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 インクジェット記録ヘッドの液室内の任
    意の位置に気泡を安定的に保持する気泡トラップ構造を
    有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    この気泡トラップ構造内でインクに接する構造材料の一
    部にイオン注入法により撥水性を付与することを特徴と
    するインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 記録媒体の被記録面に対向してインクを
    吐出する吐出口が設けられている請求項1に記載のイン
    クジェット記録ヘッドと、該ヘッドを載置するための部
    材とを少なくとも具備することを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
JP30370093A 1993-12-03 1993-12-03 インクジェット記録ヘッド及び製造方法 Pending JPH07156403A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30370093A JPH07156403A (ja) 1993-12-03 1993-12-03 インクジェット記録ヘッド及び製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30370093A JPH07156403A (ja) 1993-12-03 1993-12-03 インクジェット記録ヘッド及び製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07156403A true JPH07156403A (ja) 1995-06-20

Family

ID=17924198

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30370093A Pending JPH07156403A (ja) 1993-12-03 1993-12-03 インクジェット記録ヘッド及び製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07156403A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002144602A (ja) * 1999-12-13 2002-05-22 Canon Inc インクジェット記録ヘッドおよび記録装置
US8454148B2 (en) 2010-07-08 2013-06-04 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejection head
US9566785B2 (en) 2015-01-09 2017-02-14 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejection head

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002144602A (ja) * 1999-12-13 2002-05-22 Canon Inc インクジェット記録ヘッドおよび記録装置
US8454148B2 (en) 2010-07-08 2013-06-04 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejection head
US9566785B2 (en) 2015-01-09 2017-02-14 Canon Kabushiki Kaisha Liquid ejection head

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3408130B2 (ja) インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
EP0819532A2 (en) Liquid discharge head, recovery method and manufacturing method for liquid discharge head, and liquid discharge apparatus using liquid discharge head
JP2003175617A (ja) インクジェット記録装置及び複写装置
JP2000280479A (ja) 液体吐出ヘッド、該吐出ヘッドを用いた突然不吐出防止方法、および該吐出ヘッドの製造方法
CN1495026A (zh) 喷墨记录装置以及预喷射方法
JPH0623991A (ja) プリントヘッドのフロント面用コーティング
JPH1199649A (ja) インクジェットヘッド、その製造方法、及びインクジェット装置
KR100589575B1 (ko) 액체 토출 헤드 및 이를 사용한 화상 형성 장치
US6851779B2 (en) Liquid ejection method and liquid ejection head therefor
US6543876B2 (en) Ejection recovery system and ejection recovery method
JP2004090458A (ja) インクジェット記録装置および予備吐出方法
EP0819538A2 (en) Liquid discharging head, head cartridge, liquid discharging device, recording system, head kit, and fabrication process of liquid discharging head
JP3037512B2 (ja) インクジェット記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置
JPH07156403A (ja) インクジェット記録ヘッド及び製造方法
JP2000108383A (ja) 吐出回復装置および吐出回復方法
JP2766035B2 (ja) インクジェット記録方法
JP3032401B2 (ja) インクジェット記録ヘッド、その製造方法、及び記録装置
KR100232844B1 (ko) 잉크젯 프린터의 잉크 분사 장치
JP3025584B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクカセット
JP3563999B2 (ja) 液体吐出方法,液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP3432077B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法
JPH05293971A (ja) インクジェット記録装置
JPH07171969A (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JP3507390B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および流体素子
JP3535817B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置