JP3507390B2 - 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および流体素子 - Google Patents
液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および流体素子Info
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Description
体に作用させて気泡を発生させることによって液体を吐
出する液体吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドを用いた液体
吐出装置、および流体素子に関する。
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与す
ることだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を
付与することをも意味するものである。
て、流路中の液体インクに熱等のエネルギーを与えて気
泡を発生させ、それに伴う急峻な体積変化に基づく作用
力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒
体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録
方法、いわゆるバブルジェット記録方法が知られてい
る。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置に
は、米国特許第4,723,129号等に開示されてい
るように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出
口に連通する流路と、流路内に配されたインクを吐出す
るためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が一
般的に配されている。
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
製品に利用されるに従って様々な要求が高まっており、
例えば、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピ
ードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐
出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提
案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液
体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出
ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案され
ている。
せ、この気泡成長に伴い液体を吐出させるヘッドにおい
て、吐出口とは反対方向への気泡成長およびこれによる
液流が吐出エネルギー効率及びリフィル特性を低下させ
る要因として知られており、このような吐出エネルギー
効率及びリフィル特性を向上させる構造の発明がヨーロ
ッパ特許出願公開公報EP0436047A1に提案さ
れている。
気泡発生部との間にこれらを遮断する第1弁と、気泡発
生部とインク供給部との間にこれらを完全に遮断する第
2弁とを交互に開閉させるものである(EP04360
47A1の第4〜9図)。例えば同公報第7図の例で
は、図26に示すように、インク流路112の内壁を形
成する基板125上のインク槽116とノズル115と
の間のインク流路112のほぼ中央に発熱体110が設
けられている。発熱体110は、インク流路112内部
の、周囲を全て閉じた区画120内に在る。インク流路
112は、基板125と、基板125上に直接積層した
薄膜123,126と、閉止体としての舌状片113、
130とで構成されている。開放された舌状片は図26
では破線で示されている。基板125と平行な平面内に
延在してストッパ124で終結する別の薄膜123はイ
ンク流路112上を遮蔽する。インク中に気泡が発生す
ると、ノズル領域内の舌状片130の、静止状態でスト
ッパ126に密着してあるその自由端は、上に向かって
変位し、インク液は区画120からインク流路112中
へ、ついでノズル115を通じて射出される。このと
き、インク槽116の領域内に設けた舌状片113は静
止状態でストッパ124に密着しているため、区画12
0内のインク液はインク層116に向かうことはない。
インク中の気泡が消泡すると、舌状片130は下に向け
て変位し、ストッパ126に再び密着する。そして、舌
状片113はインク区画120内に倒れ落ち、これによ
りインク液が区画120中に流入する。
047A1に記載の発明は、吐出口近傍域と気泡発生部
とインク供給部の3つの部屋を2つづつに区分してしま
うために、吐出時には液滴に追従するインクが大きな尾
引きとなり、気泡成長・収縮・消泡を行う通常の吐出方
式に比べてサテライトドットがかなり多くなってしまう
(消泡によるメニスカス後退の効果を使えないと推定さ
れる)。また、気泡の吐出口側の弁は吐出エネルギーの
多大な損失を招く。さらに、リフィル時(ノズルへのイ
ンク補充時)は、気泡発生部に液体が消泡に伴って供給
されるが、吐出口近傍域には次の発泡が生じるまで液体
は供給できないので、吐出液滴のばらつきが大きいだけ
でなく、吐出応答周波数が極めて小さく、実用レベルで
はない。
長成分の抑制効率を向上し、これとは相反するリフィル
特性の高効率化を満足するための画期的な方法やヘッド
構成を見い出すべく新たな着想に基づいて吐出効率の向
上をも満足する発明を提案するものである。
成したノズル内で気泡を発生させ、この気泡成長に伴い
液体を吐出させる液体吐出ヘッドのノズル構造におい
て、特別な逆止弁の機能により、吐出口とは反対方向
(後方)への気泡成長を抑制し、後方への吐出エネルギ
ーを吐出口側に有効に利用できることを見い出した。そ
の上、特別な逆止弁の機能により後方への気泡成長成分
を抑制することで、吐出応答周波数が極めて高くできる
ことを見い出した。
用いたノズル構造や吐出方法により、吐出パワーの向上
と吐出周波数の向上とを同時に図り、従来達成し得なか
ったレベルの高速・高画質ヘッドを達成するための新規
吐出方式(構造)を確立することにある。
め、本発明の液体吐出方法は、液体を吐出するための複
数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が常に連通され、
液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する複数の液
流路と、前記気泡を発生し成長させるためのエネルギー
を発生する気泡発生手段と、前記複数の液流路にそれぞ
れ配設され、共通液体供給室と連通する複数の液体供給
口と、前記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙
間を隔てて支持された自由端を有する可動部材とを有
し、前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続
する両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に
対する開口領域よりも大きくなっており、前記可動部材
の自由端は前記液流路内を前記液体供給口側と前記気泡
発生手段側とに変位するようにされており、さらに、前
記可動部材の自由端の定常位からの変位量は前記液体供
給口側への変位量よりも前記気泡発生手段側への変位量
の方が大きくなっており、前記気泡発生手段によって気
泡の全体が略等方成長している期間内に、前記可動部材
が前記液体供給口を閉じて実質的に遮断し、前記液体供
給口を構成する部材の前記吐出口側の側面に、前記可動
部材が前記液体供給口を閉じている状態でも前記液体供
給口と前記液流路とを連通させる微少なスリットが形成
されている液体吐出ヘッドの液体吐出方法であって、前
記可動部材が前記液体供給口を閉じて実質的に遮断した
後、前記気泡発生手段によって発生した気泡のうちの前
記吐出口側の部分が成長し、前記液体供給口側の部分が
収縮している期間の初期に、前記液体供給口から前記ス
リットを通して前記液流路へ流れる前記液体の流れを生
じさせることを特徴とする。
記気泡発生領域における前記吐出口側と前記液体供給口
側とでは、気泡の成長体積変化と気泡の発生から消泡ま
での時間が大きく異なる構成としてもよい。
されない構成としてもよい。
吐出するための複数の吐出口と、前記各吐出口に一端部
が常に連通され、液体に気泡を発生させる気泡発生領域
を有する複数の液流路と、前記気泡を発生し成長させる
ためのエネルギーを発生する気泡発生手段と、前記複数
の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室と連通す
る複数の液体供給口と、前記液体供給口の前記液流路側
に対して微小な隙間を隔てて支持された自由端を有する
可動部材とを有し、前記可動部材の少なくとも自由端部
及びそれに連続する両側部で囲まれる領域が前記液体供
給口の液流路に対する開口領域よりも大きくなってお
り、前記可動部材の自由端は前記液流路内を前記液体供
給口側と前記気泡発生手段側とに変位するようにされて
おり、さらに、前記可動部材の自由端の定常位からの変
位量は前記液体供給口側への変位量よりも前記気泡発生
手段側への変位量の方が大きくなっており、前記気泡発
生手段によって気泡の全体が略等方成長している期間内
に、前記可動部材が前記液体供給口を閉じて実質的に遮
断する液体吐出ヘッドであって、前記液体供給口を構成
する部材の前記吐出口側の側面に、前記可動部材が前記
液体供給口を閉じている状態でも前記液体供給口と前記
液流路とを連通させる微少なスリットが形成されている
ことを特徴とする。
部材の自由端の変位量は、前記気泡の発生初期に前記液
流路内を前記液体供給口側に変位する量をh1とし、前
記気泡の消泡と共に前記液流路内を前記気泡発生手段側
に変位する量をh2とすると、常に、h1<h2の関係
を有している構成としてもよい。
体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液体
を受け取る被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段と
が備えられた液体吐出装置であって、前記液体吐出ヘッ
ド内の液体を前記吐出口から強制的に排出させる吸引回
復手段をさらに有することを特徴とする。
吐出ヘッドからインクを吐出し、前記被記録媒体に該イ
ンクを付着させることで記録を行う構成としてもよい。
由端部をストッパ側に移動して、前記ストッパと前記可
動部材の自由端部との間の液体の流れを略遮断する第1
の位置と、前記可動部材の自由端部が前記ストッパから
離れる方向に移動して、前記ストッパと前記可動部材の
自由端部との間の前記液体の流れを生じさせる第2の位
置と、の間を変位する機構を備えた流体素子において、
前記ストッパは、前記可動部材の自由端部が対向する部
分に形成された空隙部を有し、該空隙部は、前記第1の
位置では前記ストッパと前記可動部材の自由端部との間
の前記液体の流れを生じさせず、前記自由端部が前記第
1の位置から前記第2の位置へ移動する際に、前記スト
ッパと前記可動部材の自由端部との間の前記液体の流れ
を促進させることを特徴とする。
て気泡が発生した初期で気泡が略等方成長している期間
内に、直ちに液流路と液体供給口との連通状態が可動部
材によって遮断されるため、気泡発生領域での気泡成長
による圧力波が液体供給口側および共通液体供給室側に
伝播されず、その大部分が吐出口側に向けられ、吐出パ
ワーが飛躍的に向上する。また、記録紙などに高速に定
着させたり、黒とカラーの境界での滲みを解消するため
に、記録液に高粘度のものを使う場合でも、吐出パワー
の飛躍的向上により良好に吐出することができる。ま
た、記録時の環境変化、特に低温・低湿環境下では吐出
口においてインク増粘領域が増え、使用開始時に正常に
インクが吐出されない場合があるが、本発明では一発目
から良好に吐出できる。また、吐出パワーが飛躍的に向
上したので、気泡発生手段として用いる発熱体のサイズ
を縮小したりして、吐出のために投入するエネルギーを
減らすこともできる。
力波が液体供給口および共通液体供給室側に伝播されな
いことで、共通液体供給室側への液体の移動がほとんど
ないので、液滴吐出後の吐出口におけるメニスカスの後
退量が最小化できる。その結果、吐出後、メニスカスが
初期状態に復帰する時間が非常に早くなる、すなわち、
液流路への定量のインク補充(リフィル)が完了する時
間が早くなるので、高精度(定量)のインク吐出を実施
するにあたり吐出周波数(駆動周波数)をも飛躍的に向
上させることができる。
材の吐出口側の側面に、可動部材が液体供給口を閉じて
いる状態でも液体供給口と液流路とを連通させる微少な
スリットを備えており、気泡発生手段によって発生した
気泡のうちの吐出口側の部分が成長し、液体供給口側の
部分が収縮している期間(部分成長部分収縮期間)の初
期に、可動部材の自由端が液体供給口からわずかに開い
てスリット部近傍に先行して液体の流れを生じ始める。
そして、その流れの慣性力を利用することで、スリット
が形成されていない構成の液体吐出ヘッドに比べてより
早いタイミングで可動部材の変位を開始させることがで
きるため、リフィル速度をより向上させることができ
る。加えて、部分成長部分収縮期間から既に、スリット
を通って液体供給口から液流路に少しずつ液体をリフィ
ルさせ始めることができるので、吐出液滴が切り離され
た後のメニスカスの後退量をより小さくすることができ
る。これにより、メニスカスの振動収束性が一層良好に
なり、リフィル周波数を向上させることができる。
口側に大きく成長し、液体供給口側への成長を抑制して
いることから、消泡点が気泡発生領域の中心付近から吐
出口側の部分に位置し、かつ、発泡パワーを維持しなが
ら、消泡力を低減できることにより、気泡発生領域の消
泡力による発熱体の機械的・物理的破壊寿命を大きく向
上させることができる。
形態の記載から理解できよう。
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向
に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の
領域で発生する気泡を意味する。
図面を参照して説明する。
の実施の形態による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向
に沿った断面図、図2は図1のX−X’線断面図、図3
は図1の吐出口中心からY1点で天板2側へシフトした
Y−Y’線断面図である。
の液体吐出ヘッドでは、素子基板1と天板2とが液路側
壁10を介して積層状態で固着され、両板1,2の間に
は、一端が吐出口7と連通した液流路3が形成されてい
る。この液流路3は1個のヘッドに多数設けられてい
る。また、素子基板1には各々の液流路3に対し、液流
路3に補充された液体に気泡を発生させる気泡発生手段
としての電気熱変換素子等の発熱体4が配されている。
発熱体4と吐出液との接する面の近傍領域には、発熱体
4が急速に加熱されて吐出液に発泡が生じる気泡発生領
域11が存在する。
5Aに形成された液体供給口5が配設され、各液体供給
口5に連通する共通液体供給室6が設けられている。つ
まり、単一の共通液体供給室6から多数の液流路3に分
岐した形状となっており、各液流路3と連通する吐出口
7から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液体
供給室6から受け取る。
部材8が液体供給口5の開口領域Sに対して微小な隙間
α(例えば10μm以下)を有して略平行に設けられて
いる。可動部材8の少なくとも自由端部及びそれに連続
する両側部で囲まれる領域が液体供給口5の開口領域S
よりも大きくなっており(図3参照)、かつ、可動部材
8の側部と両側の流路側壁10のそれぞれとの間は微小
な隙間βを有する(図2参照)。前述した供給部形成部
材5Aは、可動部材8に対して、図2に示すように隙間
γを介している。隙間β,γは、流路のピッチによって
異なるが、隙間γが大きければ可動部材8は開口領域S
を遮断し易く、隙間βが大きければ可動部材8は隙間α
を介して位置する定常状態よりも消泡に伴って素子基板
1側へ移動し易くなる。本実施形態では、隙間αは3μ
m、隙間βは3μm、隙間γは4μmとした。また、可
動部材8は、流路側壁10の間の幅方向で、上記開口領
域Sの幅W2よりも大きい幅W1を有しており、開口領
域Sを十分閉じられる幅を有している。可動部材8の支
持端8Aは、複数の可動部材が複数液路に交差する方向
に関して連続している連続部の自由端側の端部延長線上
で、液体供給口5の開口領域Sの上流側端部を規定する
(図3参照)。本実施形態では、図2及び図3に示すよ
うに液流路側壁10自体の厚みよりも、供給部形成部材
5Aの可動部材8に沿っている部分の厚みが小さく設定
しており、流路壁10に対して供給部形成部材5Aが積
層されている。なお、供給部形成部材5Aの可動部材の
自由端8Bよりも吐出口7側は、図3に示すように液流
路壁10自体の厚みに対して同じ厚さに設定されてい
る。以上により可動部材8は液流路3内で摩擦抵抗なく
可動できる一方で、開口領域S側への変位は開口領域S
の周辺部で規制できる。これにより、開口領域Sを実質
的に塞いで液流路3内部から共通液体供給室6への液流
を防ぐことが可能となる一方で、気泡の消泡に伴って、
液流路側へ実質閉じた状態からリフィル可能状態へ移動
可能となる。また本実施形態では、可動部材8は素子基
板1に対しても素子基板1に平行に位置する。そして可
動部材8の端部8Bは素子基板1の発熱体4側に位置す
る自由端であり、その他端側は固定部材9に支持されて
いる。また、この固定部材9によって液流路3の吐出口
7と反対側端を閉じている。
形成する供給部形成部材5Aの吐出口7側側面に、スリ
ットSLが形成されている。このスリットは、可動部材
8の自由端8Bが供給部形成部材5Aの縁に接触してい
る状態でも液体供給口5と液流路3とを連通させる微少
な隙間を構成するものである。
流路3に向かって液体を供給する実質的な領域であり、
本実施形態においては図1及び図3に示すように液体供
給口5の3辺と固定部材9の端部9Aで囲まれた領域で
ある。
ては、電気熱変換体としての発熱体4と吐出口7との間
は弁のような障害物は無く、液流に対し直線的な流路構
造を保っている「直線的連通状態」となっている。これ
は、より好ましくは、気泡の発生時に生じる圧力波の伝
播方向とそれに伴う液体の流動方向と吐出方向とが直線
的に一致させることで、吐出滴の吐出方向や吐出速度等
の吐出状態をきわめて高いレベルで安定化させるという
理想状態を形成することが望ましい。本発明では、この
理想状態を達成、または近似させるための一つの定義と
して、吐出口7と発熱体4、特に気泡の吐出口側に影響
力を持つ発熱体の吐出口側(下流側)とが直接直線で結ば
れる構成とすればよく、これは、流路内の流体がない状
態であれば、吐出口の外側から見て発熱体、特に発熱体
の下流側が観察することが可能な状態である(図4参
照)。
動作について詳しく説明する。図5〜図7は図1〜図3
に示した構造の液体吐出ヘッドの吐出動作を説明するた
めに、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示
すとともに、特徴的な現象を図5〜図7の6工程に分け
て示したものである。また図5〜図7において符号Mは
吐出液が形成するメニスカスを表している。
ー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体
が熱を発生する前の状態を示す。この状態では、液体供
給口5と液流路3との間に設けられた可動部材8と、液
体供給口5の形成面との間には微小な隙間(10μm以
下)が存在している。
一部が発熱体4によって加熱され、発熱体4上に膜沸騰
が起こり気泡21が等方的に成長した状態を示す。ここ
で、「気泡成長が等方的」とは、気泡表面の所々におい
て気泡表面の垂線方向を向いた気泡成長速度がそれぞれ
ほぼ等しい大きさである状態をいう。
成長過程において、可動部材8が液体供給口5の周辺部
と密着して液体供給口5を塞ぎ、液流路3内が、吐出口
7を除いて実質的に閉じた状態になる。この時、可動部
材8の自由端が、液体供給口5側に最大変位する量をh
1とする。
状態を示す。この状態では、上述のように液流路3内
が、吐出口7を除いて実質的に閉じた状態になっている
ので、液体の流れは液体供給口5側にはほとんど行かな
い。そのため、気泡は、吐出口7側へは大きく広がるこ
とができるが、液体供給口5側へはあまり広がらない。
そして、気泡発生領域11の吐出口7側では気泡成長は
続くが、逆に、気泡発生領域11の液体供給口5側では
気泡成長が止まってしまう。つまり、この気泡成長停止
状態が、気泡発生領域11の液体供給口5側では、最大
発泡状態になっている。この時の発泡体積をVrとす
る。
Aの吐出口7側側面にスリットが形成されているので、
可動部材8が液体供給口5の周辺部と密着したときの略
閉じた状態での密閉度が低下して、気泡成長時に液体が
液流路3から液体供給口5へ移動し、吐出効率が低下し
てしまうことが懸念される。しかしながら、スリットの
大きさ(幅および長さ)を、スリットにおける流抵抗が
吐出口7における流抵抗よりも十分に大きくなるように
設定すれば、液流路3から液体供給口5への液体の移動
を無視できる程度に抑えることができるため、吐出効率
が低下することはない。また、本実施形態の構成では、
吐出口7が発熱体4から直線連通状態にある一方、スリ
ットは気泡の成長方向に関して液体供給口5と直線連通
状態にない。そのため、発熱体4上に発生した気泡の発
泡圧力波は吐出口7側には安定して伝搬するが、スリッ
トを通って液体供給口5側に伝搬することはほとんどな
い。このことからも、液流路3から液体供給口5への液
体の移動はほとんどなく、吐出効率が低下することはな
いと言える。
(a)における気泡の成長過程を図8に基づき詳述す
る。図8(a)に示すように発熱体が加熱されると発熱
体上に初期沸騰が生じ、その後図8(b)に示すように
発熱体上を膜状の気泡が覆う膜沸騰に変化する。そして
膜沸騰状態の気泡は図8(b)〜図8(c)に示すよう
に等方的に成長し続ける(このように等方的に気泡成長
している状態は半ピュロー状態と呼ばれる。)。ところ
が、図5(b)に示したように液流路3内が、吐出口7
を除いて実質的に閉じた状態になると、上流側への液移
動ができなくなるため、半ピュロー状の気泡において上
流側(液体供給口側)の気泡の一部があまり成長できな
くなり、残りの下流側(吐出口側)の部分が大きく成長
する。この状態を表したのが、図6(a)や図8
(d)、(e)である。
いるとき、発熱体4上において気泡が成長しない領域を
B領域とし、気泡が成長する吐出口7側の領域をA領域
とする。なお、図8(e)に示すB領域では、発泡体積
が最大となっており、このときの発泡体積をVrとし
た。
続いており、B領域では気泡収縮が始まっている状態
(部分成長部分収縮期間(図9参照))を示す。この状
態では、A領域では吐出口側に向けて気泡が大きく成長
していく。そして、B領域における気泡の体積は減少し
始める。そして、可動部材8の自由端は、その剛性によ
る復元力やB領域における気泡の消泡力で定常状態位置
へと下方変位し始める。これにより、まず、当該期間の
初期に、可動部材8の自由端が液体供給口5からわずか
に開いて、スリット部近傍で先行して液体の流れが生じ
始める。このようにスリット部において液体の流れを生
じさせ、その流れの慣性力を利用することで、スリット
が形成されていない構成の液体吐出ヘッドに比べてより
早いタイミングで可動部材8の変位を開始させることが
でき、その結果、リフィル速度を向上させることができ
る。
に説明する。
(いわゆるストッパ機能を持つもの)に接触(ここで
「接触」とは界在している液体が不動状態になっている
状態を含む)し、液体の流れが生じない略密閉状態にお
いて、可動部材8が接触している部材の可動部材8の自
由端8B近傍には、可動部材8が接触し閉じた状態にな
っている部分(接触部)と、微少な空隙を有している部
分(空隙部)とがある。接触部で可動部材8が接触して
いる状態では、その空隙部は、液体の流れがほとんど生
じないような微少な大きさ(目安として例えば2μm2
以下)となっている。次に、可動部材8が変位し、可動
部材8と可動部材8が接触していた他の部材とがわずか
な間隙を有して非接触状態に移行したとき、まだ接触部
と可動部材8との間隙は微少であるために、まだ液体の
流れが生じない。しかしながら、空隙部と可動部材8と
の間隙は、接触部と可動部材8との間隙より大きくなっ
ており、その部分から液体が流れ始める。一度液体の流
れが生じると液体の慣性力により可動部材8の変位速度
が増加し、さらに液体の流れが生じるようになる。
と接触させ、液体の流れが生じないような略密閉状態を
形成する場合に、可動部材8の自由端8Bが接触する部
分に接触部と空隙部とを形成することにより、略密閉状
態から可動部材8が変位し非接触状態に移行し液体の流
れが生じ始めるまでの時間が短くなる。
した状態を示す。この状態では、A領域において気泡が
最大に成長し、これに伴ってB領域における気泡はほと
んど無くなる。この時のA領域での最大気泡体積をVf
とする。また、吐出口7から吐出しつつある吐出滴22
は、長い尾引きの状態でメニスカスMと未だ繋がってい
る。
泡工程のみの段階であって、吐出滴22とメニスカスM
が分断された状態を示す。A領域で気泡成長から消泡に
変わった直後は、気泡21の収縮エネルギーは全体バラ
ンスとして吐出口7近傍の液体を上流方向へ移動させる
力として働く。したがって、メニスカスMはこの時点で
吐出口7から液流路3内に引き込まれ、吐出液滴22と
繋がっている液柱を強い力ですばやく切り離すことにな
る。その一方で、気泡の収縮に伴い、共通液体供給室6
から液体供給口5を介して液体が急速に大きな流れとな
って液流路3内へ流れ込む。この時に可動部材8の自由
端が気泡発生領域11側に最大変位する量をh2とす
る。これにより、メニスカスMを液流路3内へと急速に
引き込む流れが急に低下するため、メニスカスMは比較
的低速で発泡前の位置へ戻り始めるので、本発明に係る
可動部材を備えていない液体吐出方式に比べてメニスカ
スMの振動の収束性が非常に良い。加えて、本実施形態
によれば、気泡の部分成長部分収縮期間の初期から既
に、液体が供給部形成部材5Aの吐出口7側側面に形成
されたスリットを通って液体供給口5から液流路3に少
しずつリフィルされ始めているので、吐出液滴22が切
り離された後のメニスカスMの後退量をより小さくする
ことができる。これにより、メニスカスMの振動収束性
が一層良好になり、リフィル周波数を向上させることが
できる。
動部材8も図5(a)に示した定常状態位置に復帰す
る。この状態へは、可動部材8はその弾性力により上方
変位する(図7(b)の実線の矢印方向)。また、この
状態では、メニスカスMはすでに吐出口7近傍で復帰し
ている。
での気泡体積の時間変化と可動部材の挙動との相関関係
を図9を参照して説明する。図9はその相関関係を表し
たグラフであり、曲線AはA領域における気泡体積の時
間変化を示し、曲線BはB領域における気泡体積の時間
変化を示す。
体積の時間変化は極大値をもつ放物線を描く。つまり、
発泡開始されてから消泡までにおいて気泡体積は時間経
過とともに増大しある時点で最大となり、その後減少す
る。一方、B領域については、A領域の場合と比べ、発
泡開始されてから消泡までに要する時間が短く、また気
泡の最大成長体積も小さく、最大成長体積に達する時間
も短い。つまり、A領域とB領域とでは、発泡開始され
てから消泡までに要する時間と気泡の成長体積変化とが
大きく異なっていて、B領域の方が小さい。
時間変化で気泡体積が増大するため、曲線Aと曲線Bが
重なってる。つまり、気泡の発生初期は気泡が等方的に
成長している(半ピュロー状の)期間が生じている。そ
の後、曲線Aが極大点まで増大する曲線を描くものの、
ある時点で曲線Bは曲線Aから分岐し、気泡体積が減少
する曲線を描く。つまり、A領域では気泡の体積が増加
するものの、B領域では気泡体積が減少する期間(部分
成長部分収縮期間)が生じる。
づき、図1に示したように発熱体の一部分を可動部材の
自由端が覆った形態では、可動部材は次のような挙動を
生じる。すなわち、図9のの期間では可動部材が液体
供給口に向かって上方変位している。同図の期間では
可動部材が液体供給口に密着し、液流路内が吐出口を除
いて実質的に閉じた状態となる。この閉じた状態の開始
は気泡が等方的に成長している期間で行われる。次に同
図の期間では、可動部材が定常状態位置に向かって下
方変位している。この可動部材による液体供給口の開放
開始は部分成長部分収縮期間開始から一定時間経過後に
行われる。次に同図の期間では、可動部材が定常状態
からさらに下方変位している。次に同図の期間では、
可動部材の下方変位がほぼ停止し、可動部材が開放位置
で平衡状態になっている。最後に同図の期間では、可
動部材が定常状態位置に向かって上方変位している。
相関関係は、可動部材と発熱体との相対位置に影響され
る。そこで、図10および図11を参照し、本形態と異
なる相対位置の可動部材と発熱体を備えた液体吐出ヘッ
ドにおける気泡成長と可動部材の挙動との相関関係を説
明する。
が覆った形態における気泡成長と可動部材の挙動との相
関関係を説明するための図で、(a)はその形態を、
(b)はその相関関係のグラフを示している。図10の
(a)で示す形態のように発熱体と可動部材が重なって
いる面積が大きいと、図10のの期間が図1の形態の
場合と比べて短時間となり、発熱体を加熱してから短時
間で閉じた状態になるので、より好ましい。なお、図1
0の〜の各期間の可動部材の挙動は図9に基づいて
説明した挙動と同じである。また図10の形態をとる
と、可動部材が気泡の体積減少の影響を受けやすくなる
ため、同図の期間開始時点から判るように、可動部材
による液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開
始から即座に行われる。つまり、可動部材の開放タイミ
ングが図1の形態の場合と比べて早い。同様の理由で、
可動部材8の振幅が大きくなる。
いる形態における気泡成長と可動部材の挙動との相関関
係を説明するための図で、(a)はその形態を、(b)
はその相関関係のグラフを示している。図11の(a)
で示す形態のように発熱体と可動部材とが離れている
と、可動部材が気泡の体積減少の影響を受けにくいた
め、同図の期間開始時点から判るように、可動部材に
よる液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開始
からかなり遅れて行われる。つまり、可動部材の開放タ
イミングが図1の形態の場合と比べて遅い。同様の理由
で、可動部材の振幅が小さくなる。なお、図11の〜
の各期間の可動部材の挙動は図9に基づいて説明した
挙動と同じである。
関係は一般的な動作の説明をしたもので、可動部材の自
由端の位置、可動部材の剛性などによって各動作は異な
ってくるものである。
発生領域11の吐出口7側で成長する気泡(A領域の気
泡)の最大時の体積をVfとし、気泡発生領域11の液
体供給口5側で成長する気泡(B領域の気泡)の最大時
の体積をVrとすると、Vf>Vrの関係が本発明のヘ
ッドでは常に成り立っている。さらに、気泡発生領域1
1の吐出口7側で成長する泡(A領域の泡)のライフタ
イム(泡の発生から消泡までの時間)をTfとし、気泡
発生領域11の液体供給口5側で成長する泡(B領域の
泡)のライフタイムをTrとすると、Tf>Trの関係
が本発明のヘッドでは常に成り立つ。そして、上記のよ
うな関係となるため、気泡の消泡点は、気泡発生領域1
1の中心付近より吐出口7側に位置することとなる。
図7(b)からも判るように、気泡の発生初期に可動部
材8の自由端が液体供給口5側に最大変位する量h1よ
りも、気泡の消泡と共に可動部材8の自由端が気泡発生
手段4側に最大変位する量h2の方が大きいという関係
(h1<h2)にある。例えばh1は2μm、h2は1
0μmである。この関係が成り立つことにより、発泡初
期での発熱体後方(吐出口に対して反対方向)への泡の
成長を抑制し、発熱体前方(吐出口に向かう方向)への
泡の成長をより促進させることができる。この事によっ
て、発熱体で生じる発泡パワーを、液体が吐出口から飛
翔する液滴の運動エネルギーへ変換させる効率を向上さ
せることができる。
液体吐出動作について説明したが、このような形態によ
れば、気泡の下流側への成長成分と上流側への成長成分
が均等ではなく、上流側への成長成分がほとんどなくな
り上流側への液体の移動が抑制される。上流側への液体
の流れが抑制されるため、上流側に気泡成長成分が損失
することなくそのほとんどが吐出口の方向に向けられ、
吐出力が格段に向上する。さらに、吐出後のメニスカス
の後退量が減少し、その分リフィル時にメニスカスがオ
リフィス面よりも突出する量も減少する。そのためメニ
スカス振動が抑制されることとなり、低周波数から高周
波数まであらゆる駆動周波数に於て安定した吐出を行う
ことができる。
ヘッドの変形例の1つの液流路方向に沿った断面図、図
13は図12のX−X’線断面図、図14は図12の吐
出口中心からY1点で天板2側へシフトしたY−Y’線
断面図である。
部材5Aの吐出口7側側面に形成されたスリットの大き
さが、図1に示した液体吐出ヘッドと異なっている。本
変形例におけるスリットは、高さ方向(図12のX−
X’方向)に関して供給部形成部材5Aの下面から上面
にわたって突き抜けた状態に形成されており、図1に示
した液体吐出ヘッドにおけるスリットと比べて高さが高
くなっている。その一方で、本変形例のスリットの隙間
幅は図1のスリットに比べて狭くなっている。そのた
め、本変形例のスリットにおける流抵抗も、図1のスリ
ットにおける流抵抗と同程度となっている。なお、本変
形例の液体吐出ヘッドのその他の構成は、図1に示した
ものと同じである。
1の液体吐出ヘッドと同様に、可動部材8の変位開始タ
イミングが早くなることによりリフィル速度が向上し、
また液滴吐出後のメニスカスMの後退量をより小さくす
ることができることにより、メニスカスMの振動収束性
が一層良好になり、リフィル周波数を向上させることが
できる。
供給部形成部材5Aの下面から上面にわたって突き抜け
た状態に形成されている。そのため、スリットの形成工
程においてスリットの高さを管理する必要がないので、
本変形例の液体吐出ヘッドは、スリットが所定の高さに
管理されている図1等の液体吐出ヘッドに比べて、製造
工程を簡素化することができるという利点がある。
ヘッド構造においては図1及び図3に示したように、可
動部材8の、固定部材9に対して未接合となる(すなわ
ち、屈曲して立ち上がる)位置が固定部材9の端部9A
とは同じでない為、開口領域Sは、液体供給口5の3辺
と固体部材9の端部9Aで囲まれた領域となったが、図
15及び図16に示す形態のように、可動部材8の固定
部材9からの屈曲立ち上がり位置を固定部材9の端部9
Aとしてもよい。この形態の場合には、開口領域Sは図
15及び図16に示すように、液体供給口5の3辺と可
動部材8の支点部8Aとで囲まれた領域となる。
いて液体供給口5は図3に示したように4つの壁面で囲
まれた開口としたが、図17及び図18に示す形態のよ
うに、供給部形成部材5A(図1参照)のうち、吐出口
7側とは反対の液体供給室6側の壁面が開放されていて
もよい。この形態の場合には、第1の実施の形態と同
様、開口領域Sは図17及び図18に示すように、液体
供給口5の3辺と固定部材9の端部9Aとで囲まれた領
域となる。
形態による液体吐出ヘッドを図19を参照して説明す
る。図19に示す形態の液体吐出ヘッドでは、素子基板
1と天板2とが接合され、両板1,2の間には、一端が
吐出口7と連通し他端が閉じられた液流路3が形成され
ている。
供給口5に連通する共通液体供給室6が設けられてい
る。
部材8が液体供給口5の開口領域に対して微小な隙間α
(例えば10μm以下)を有して略平行に設けられてい
る。可動部材8の少なくとも自由端部及びそれに連続す
る両側部で囲まれる領域が液体供給口5の液流路に対す
る開口領域Sよりも大きくなっており、かつ、可動部材
8の側部と液流路側壁10との間は微小な隙間βを有す
る。これにより可動部材8は液流路3内で摩擦抵抗なく
可動する一方で、開口領域側への変位は開口領域Sの周
辺部で規制され、液体供給口5を実質的に塞いで液流路
3から共通液体供給室6への液流を防ぐことが可能にな
る。また本実施形態では、可動部材8は素子基板1に対
向に位置する。そして可動部材8の一端は素子基板1の
発熱体4側に変位する自由端であり、その他端側は支持
部9Bに支持されている。
体吐出原理を用いたヘッドに好適な様々な形態例を説明
する。
るサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドの断面図を示
したものである。この説明において、第1の実施の形態
と同一の構成要素には同一符号を用いる。この形態の液
体吐出ヘッドは、図20に示すように発熱体4と吐出口
7が平行平面上で対面し、液流路3が、吐出口7からの
液体の吐出方向に沿った軸方向と直角に連通している点
で、第1の実施の形態と異なっている。このような液体
吐出ヘッドにおいても第1の実施の形態と同様の吐出原
理に基づく効果を奏する。
動部材を構成する材質としては吐出液に対して耐溶剤性
があり、可動部材として良好に動作するための弾性を有
しているものであればよい。
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素、チッ化
珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。本発
明における可動部材としてはμmオーダーの厚さを対象
にしている。
て説明する。発熱体と可動部材の最適な配置によって、
発熱体による発泡時の液の流れを適正し制御して有効に
利用することが可能となる。
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図2
1の破線に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比
例関係にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領
域Sが存在していることがわかる。また、発熱体上のコ
ゲの様子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に
存在していることがわかる。これらの結果から、発熱体
周囲の約4μm幅は、発泡に関与されていないとされて
いる。これに対し、本発明の液体吐出ヘッドは、気泡発
生手段を含む液流路が吐出口を除いて実質的に遮蔽され
ていることで最大の吐出量が規制されるため、図21の
実線で示すように、発熱体面積や発泡パワーのばらつき
が大きくても吐出量が変化しない領域があり、この領域
を利用することにより大ドットの吐出量安定化が図れ
る。
の発熱体10が設けられた素子基板1の構成について説
明する。
側断面図を示したもので、図22(a)は後述する保護
膜があるヘッド、図22(b)は保護膜がないものであ
る。素子基板1上には天板2が配され、素子基板1と天
板2の間に液流路3が形成されている。
絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ
化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体10を構
成するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タン
タル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気
抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュ
ウム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)を図
22(a)のようにパターニングしている。この配線電
極104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層10
5に電流を流し発熱させる。配線電極104間の抵抗層
105上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護
膜103を0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにその
うえにタンタル等の耐キャビテーション層102(0.
1〜0.6μm厚)が成膜されており、インク等の各種
の液体から抵抗層105を保護している。
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層102として用いられる。
わせにより、上述の抵抗層105に保護膜103を必要
としない構成でもよくその例を図22(b)に示す。こ
のような保護膜103を必要としない抵抗層105の材
料としてはイリジュウム−タンタル−アルミ合金等が挙
げられる。
熱体4の構成としては、前述の電極104間の抵抗層1
05(発熱部)だけででもよく、また抵抗層105を保
護する保護膜103を含むものでもよい。
気信号に応じて発熱する抵抗層105で構成された発熱
部を有するものを用いたが、これに限られることなく、
吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせ
るものであればよい。例えば、レーザ等の光を受けるこ
とで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで
発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層105に電気信
号を供給するための配線電極104で構成される発熱体
10の他に、この発熱体4(電気熱変換素子)を選択的
に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、
シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程
によって作り込まれていてもよい。
ている発熱体4の発熱部を駆動し、液体を吐出するため
には、前述の抵抗層105に配線電極104を介して図
23に示されるような矩形パルスを印加し、配線電極1
04間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実
施形態のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パル
ス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHz
で加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作に
よって、吐出口7から液体であるインクを吐出させた。
しかしながら、駆動信号の条件はこれに限られることな
く、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号で
あればよい。
を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブ
ルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いる
ことができる。
い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液
体などであっても利用できる。
吐出や発泡または可動部材の動作などを妨げないような
液体でないことが望まれる。
等をも利用することができる。
ことができる記録液体として以下のような組成のインク
を用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインク
の吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し
非常に良好な記録画像を得ることができる。
明した構造の液体吐出ヘッドを装着して適用することの
できる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装
置の概略構成を示している。図24に示されるインクジ
ェット記録装置600に搭載されたヘッドカートリッジ
601は、上述した構造の液体吐出ヘッドと、その液体
吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを有
するものである。ヘッドカートリッジ601は、図24
に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して
駆動力伝達ギヤ603および604を介して回転するリ
ードスクリュー605の螺旋溝606に対して係合する
キャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ60
2の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッ
ジ607ともとにガイド608に沿って矢印aおよびb
の方向に往復移動される。インクジェット記録装置60
0には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたイン
クなどの液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙
Pを搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられ
ている。その被記録媒体搬送手段によってプラテン60
9上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610
は、キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用
紙Pをプラテン609に対して押圧する。
は、フォトカプラ611および612が配設されてい
る。フォトカプラ611および612は、キャリッジ6
07のレバー607aの、フォトカプラ611および6
12の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転
方向の切り換えなどを行うためのホームポジション検知
手段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッド
カートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ
部材614を支持する支持部材613が備えられてい
る。
出などされてキャップ部材614の内部に溜まったイン
クを吸引するインク吸引手段615が備えられている。
このインク吸引手段615により、キャップ部材614
の開口部を介してヘッドカートリッジ601の吸引回復
が行われる。
ドの共通液体供給室6、液体供給口5および液流路3内
に溜まっているインクが吐出口7から強制的に排出され
る。これに伴って、液体吐出ヘッドの流路内、特に可動
部材8の下方の領域に滞留している気泡やごみが除去さ
れる。液体吐出ヘッドの流路内、特に液流路3内の可動
部材8の下方の領域に気泡が滞留していると、発熱体4
の上に発生した気泡の発泡パワーが残留気泡の圧縮に費
やされてしまい、液滴の吐出効率が低下してしまう。し
かし、本実施形態のように記録装置にインク吸引手段6
15を備えることにより、液体吐出ヘッドの流路内、特
に可動部材8の下方の領域に滞留している気泡を除去す
ることができ、液滴の吐出効率が低下することを防止す
ることができる。
持体619が備えられている。この本体支持体619に
は移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ6
07の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持さ
れている。移動部材618には、クリーニングブレード
617が取り付けられている。クリーニングブレード6
17はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニン
グブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段6
15による吸引回復操作にあたって吸引を開始するため
のレバー620が備えられており、レバー620は、キ
ャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移
動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換
えなどの公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカー
トリッジ601に設けられた発熱体に信号を付与した
り、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジ
ェット記録制御部は記録装置本体側に設けられており、
図24では示されていない。
装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラ
テン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘ
ッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわた
って往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給
手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給さ
れると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録
媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行
われる。
ンクジェット式記録を行なうための記録装置全体のブロ
ック図である。
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インターフェイス301に一時保存される
と同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、
ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU(中央処理装
置)302に入力される。CPU302はROM(リー
ド・オンリー・メモリー)303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM(ランダム・アクセス・メモリー)304
等の周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画
像データ)に変換する。
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙およびヘッドカートリッジ601を搭
載したキャリッジ607を移動する駆動用モータ602
を駆動するための駆動データを作る。画像データおよび
モータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、モ
ータドライバ305を介し、ヘッドカートリッジ601
および駆動用モータ602に伝達され、それぞれ制御さ
れたタイミングで駆動され画像を形成する。
の液体の付与が行われる被記録媒体150としては、各
種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等
に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅
等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合
板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポン
ジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、または布帛に記録を行う捺染装置
等をも含むものである。
液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
生手段によって発生した気泡の全体が略等方成長してい
る期間内に、可動部材が液体供給口を閉じて実質的に遮
断するように構成されているので、気泡発生領域での気
泡成長による圧力波を液体供給口側および共通液体供給
室側に伝播させずに、その大部分を吐出口側に向けるこ
とで、吐出パワーを飛躍的に向上させることが可能にな
った。また、記録紙などに高速に定着させたり、黒とカ
ラーの境界での滲みを解消するために、記録液に高粘度
のものを使う場合でも、吐出パワーの飛躍的向上により
高粘度インクを良好に吐出することができる。また、記
録時の環境変化、特に低温・低湿環境下では吐出口にお
いてインク増粘領域が増え、使用開始時に正常にインク
が吐出されない場合があるが、本発明では一発目から良
好に吐出できる。また、吐出パワーが飛躍的に向上した
ので、気泡発生手段として用いる発熱体のサイズを縮小
したりして、吐出のために投入するエネルギーを減らす
こともできる。
力波が液体供給口および共通液体供給室側に伝播されな
いことで、共通液体供給室側への液体の移動がほとんど
ないため、液滴吐出後の吐出口におけるメニスカスの後
退量が最小化できる。その結果、吐出後、メニスカスが
初期状態に復帰する時間が非常に早い、すなわち、液流
路への定量のインク補充(リフィル)が完了する時間が
早いので、高精度(定量)のインク吐出を実施するにあ
たり吐出周波数(駆動周波数)をも飛躍的に向上させる
ことができる。
材の吐出口側の側面に、可動部材が液体供給口を閉じて
いる状態でも液体供給口と液流路とを連通させる微少な
スリットが形成されているので、部分成長部分収縮期間
の初期に、可動部材の自由端が液体供給口からわずかに
開いてスリット部近傍に先行して液体の流れを生じ始め
る。そして、その流れの慣性力を利用することで、より
早いタイミングで可動部材の変位を開始させることがで
きるため、リフィル速度をより向上させることができ
る。加えて、部分成長部分収縮期間から既に、スリット
を通って液体供給口から液流路に少しずつ液体をリフィ
ルさせ始めることができるので、吐出液滴が切り離され
た後のメニスカスの後退量をより小さくすることができ
る。これにより、メニスカスの振動収束性が一層良好に
なり、リフィル周波数を向上させることができる。
口側に大きく成長し、液体供給口側への成長を抑制して
いることから、消泡点が気泡発生領域の中心付近から吐
出口側の部分に位置し、かつ、発泡パワーを維持しなが
ら、消泡力を低減できることにより、気泡発生領域の消
泡力による発熱体の機械的・物理的破壊寿命を大きく向
上させることができる。
ドの1つの液流路方向に沿った断面図である。
ある。
出動作を説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向
に沿った切断図で示すとともに、特徴的な現象を分けて
示したものである。
吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したもので
ある。
吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したもので
ある。
である。
長の時間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグ
ラフである。
は異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
は異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
の液流路方向に沿った断面図である。
シフトしたY−Y’線断面図である。
る液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図で
ある。
る液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図で
ある。
ッドを示す図である。
ータタイプのヘッドの例を説明するための図である。
すグラフである。
もので、(a)は保護膜があるもの、(b)は保護膜が
ないものである。
である。
装置の概略構成を示す図である。
において液体吐出記録を行なうための装置全体のブロッ
ク図である。
子を示す断面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 液体を吐出するための複数の吐出口と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
と連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙間を隔
てて支持された自由端を有する可動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
る開口領域よりも大きくなっており、 前記可動部材の自由端は前記液流路内を前記液体供給口
側と前記気泡発生手段側とに変位するようにされてお
り、さらに、前記可動部材の自由端の定常位からの変位
量は前記液体供給口側への変位量よりも前記気泡発生手
段側への変位量の方が大きくなっており、 前記気泡発生手段によって気泡の全体が略等方成長して
いる期間内に、前記可動部材が前記液体供給口を閉じて
実質的に遮断し、 前記液体供給口を構成する部材の前記吐出口側の側面
に、前記可動部材が前記液体供給口を閉じている状態で
も前記液体供給口と前記液流路とを連通させる微少なス
リットが形成されている液体吐出ヘッドの液体吐出方法
であって、 前記可動部材が前記液体供給口を閉じて実質的に遮断し
た後、前記気泡発生手段によって発生した気泡のうちの
前記吐出口側の部分が成長し、前記液体供給口側の部分
が収縮している期間の初期に、前記液体供給口から前記
スリットを通して前記液流路へ流れる前記液体の流れを
生じさせることを特徴とする液体吐出方法。 - 【請求項2】 前記気泡発生領域における前記吐出口側
と前記液体供給口側とでは、気泡の成長体積変化と気泡
の発生から消泡までの時間が大きく異なる、請求項1に
記載の液体吐出方法。 - 【請求項3】 前記気泡発生領域が大気に開放されな
い、請求項1または2に記載の液体吐出方法。 - 【請求項4】 液体を吐出するための複数の吐出口と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
と連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙間を隔
てて支持された自由端を有する可動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
る開口領域よりも大きくなっており、 前記可動部材の自由端は前記液流路内を前記液体供給口
側と前記気泡発生手段側とに変位するようにされてお
り、さらに、前記可動部材の自由端の定常位からの変位
量は前記液体供給口側への変位量よりも前記気泡発生手
段側への変位量の方が大きくなっており、 前記気泡発生手段によって気泡の全体が略等方成長して
いる期間内に、前記可動部材が前記液体供給口を閉じて
実質的に遮断する液体吐出ヘッドであって、 前記液体供給口を構成する部材の前記吐出口側の側面
に、前記可動部材が前記液体供給口を閉じている状態で
も前記液体供給口と前記液流路とを連通させる微少なス
リットが形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッ
ド。 - 【請求項5】 前記可動部材の自由端の変位量は、前記
気泡の発生初期に前記液流路内を前記液体供給口側に変
位する量をh1とし、前記気泡の消泡と共に前記液流路
内を前記気泡発生手段側に変位する量をh2とすると、
常に、h1<h2の関係を有している、請求項4に記載
の液体吐出ヘッド。 - 【請求項6】 請求項4または5に記載の液体吐出ヘッ
ドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液体を受け取る
被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段とが備えられ
た液体吐出装置であって、 前記液体吐出ヘッド内の液体を前記吐出口から強制的に
排出させる吸引回復手段をさらに有することを特徴とす
る液体吐出装置。 - 【請求項7】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
し、前記被記録媒体に該インクを付着させることで記録
を行う、請求項6に記載の液体吐出装置。 - 【請求項8】 可動部材の自由端部をストッパ側に移動
して、前記ストッパと前記可動部材の自由端部との間の
液体の流れを略遮断する第1の位置と、前記可動部材の
自由端部が前記ストッパから離れる方向に移動して、前
記ストッパと前記可動部材の自由端部との間の前記液体
の流れを生じさせる第2の位置と、の間を変位する機構
を備えた流体素子において、 前記ストッパは、前記可動部材の自由端部が対向する部
分に形成された空隙部を有し、該空隙部は、前記第1の
位置では前記ストッパと前記可動部材の自由端部との間
の前記液体の流れを生じさせず、前記自由端部が前記第
1の位置から前記第2の位置へ移動する際に、前記スト
ッパと前記可動部材の自由端部との間の前記液体の流れ
を促進させることを特徴とする流体素子。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000037090A JP3507390B2 (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および流体素子 |
US09/781,442 US6435670B1 (en) | 2000-02-15 | 2001-02-13 | Liquid discharge head, liquid discharge method, liquid discharge apparatus, recovery method for liquid discharge head, and fluid structure body |
EP01103456A EP1125744A1 (en) | 2000-02-15 | 2001-02-14 | Liquid discharge head, liquid discharge method, liquid discharge apparatus and recovery method for liquid discharge head |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000037090A JP3507390B2 (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および流体素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001225472A JP2001225472A (ja) | 2001-08-21 |
JP3507390B2 true JP3507390B2 (ja) | 2004-03-15 |
Family
ID=18561030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000037090A Expired - Fee Related JP3507390B2 (ja) | 2000-02-15 | 2000-02-15 | 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および流体素子 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3507390B2 (ja) |
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