JP3619105B2 - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを液体に作用させて気泡を発生させることによって液体を吐出する液体吐出ヘッド、およびその液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置に関する。
【0002】
また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明である。
【0003】
なお、本発明における「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】
従来、プリンター等の記録装置において、流路中の液体インクに熱等のエネルギーを与えて気泡を発生させ、それに伴う急峻な体積変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特許第4,723,129号等に開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通する流路と、流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が一般的に配されている。
【0005】
このような記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができると共に、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンター、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0006】
このようにバブルジェット技術が多方面の製品に利用されるに従って様々な要求が高まっており、例えば、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案されている。
【0007】
このうち、ノズル内において気泡を発生させ、この気泡成長に伴い液体を吐出させるヘッドにおいて、吐出口とは反対方向への気泡成長およびこれによる液流が吐出エネルギー効率およびリフィル特性を低下させる要因として知られており、このような吐出エネルギー効率およびリフィル特性を向上させる構造の発明がヨーロッパ特許出願公開公報EP0436047A1に提案されている。
【0008】
この公報に記載の発明は、吐出口近傍域と気泡発生部との間にこれらを遮断する第1弁と、気泡発生部とインク供給部との間にこれらを完全に遮断する第2弁とを交互に開閉させるものである(EP436047A1の第4〜9図)。例えば同公報第7図の例では、図27に示すように、インク流路112の内壁を形成する基板125上のインク槽116とノズル115との間のインク流路112のほぼ中央に発熱体110が設けられている。発熱体110は、インク流路112内部の、周囲を全て閉じた区画120内に在る。インク流路112は、基板125と、基板125上に直接積層した薄膜123,126と、閉止体としての舌状片113、130とで構成されている。開放された舌状片は図27では破線で示されている。基板125と平行な平面内に延在してストッパ124で終結する別の薄膜123はインク流路112上を遮蔽する。インク中に気泡が発生すると、ノズル領域内の舌状片130の、静止状態でストッパ126に密着しているその自由端は、上に向かって変位し、インク液は区画120からインク流路112中へ、ついでノズル115を通じて射出される。このとき、インク槽116の領域内に設けた舌状片113は静止状態でストッパ124に密着しているため、区画120内のインク液はインク層116に向かうことはない。インク中の気泡が消泡すると、舌状片130は下に向けて変位し、ストッパ126に再び密着する。そして、舌状片113はインク区画120内に倒れ落ち、これによりインク液が区画120中に流入する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、EP0436047A1に記載の発明は、吐出口近傍域と気泡発生部とインク供給部の3つの部屋を2つづつに区分してしまうために、吐出時には液滴に追従するインクが大きな尾引きとなり、気泡成長・収縮・消泡を行う通常の吐出方式に比べてサテライトドットがかなり多くなってしまう(消泡によるメニスカス後退の効果を使えないと推定される)。また、気泡の吐出口側の弁は吐出エネルギーの多大な損失を招く。さらに、リフィル時(ノズルへのインク補充時)は、気泡発生部に液体が消泡に伴って供給されるが、吐出口近傍域には次の発泡が生じるまで液体は供給できないので、吐出液滴のばらつきが大きいだけでなく、吐出応答周波数が極めて小さく、実用レベルではない。
【0010】
本発明は、吐出口とは反対方向への気泡成長成分の抑制効率を向上し、これとは相反するリフィル特性の高効率化を満足するための画期的な方法やヘッド構成を見い出すべく新たな着想に基づいて吐出効率の向上をも満足する発明を提案するものである。
【0011】
本発明者達は鋭意研究の結果、直線状に形成したノズル内で気泡を発生させ、この気泡成長に伴い液体を吐出させる液体吐出ヘッドのノズル構造において、特別な逆止弁の機能により、吐出口とは反対方向(後方)への気泡成長を抑制し、後方への吐出エネルギーを吐出口側に有効に利用できることを見い出した。その上、特別な逆止弁の機能により後方への気泡成長成分を抑制することで、吐出応答周波数が極めて高くできることを見い出した。
【0012】
本発明の目的は、上記のような研究過程で得られた、新規な弁機能を有する液体吐出ヘッドにおいて、発熱体により発生した気泡によって弁を変位させてノズルからのインクを吐出させる際に、その気泡によるインクの吐出パワーのロスが少なく、吐出口率の高い液体吐出ヘッド、およびその液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、液体を吐出するための複数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生する気泡発生手段と、前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室に連通する複数の液体供給口と、前記液体供給口の前記液流路側の一部分に対して微小な隙間を隔てて設けられるとともに、支点が液体供給口側に位置し、自由端が気泡発生領域に対向して配置された可動部材とを有し、前記可動部材の前記自由端部およびそれに連続する両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対する開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドであって、前記可動部材が静止している状態で前記自由端が、前記気泡発生領域に対応する位置で前記液体供給口を形成するための部材を押圧することで、前記可動部材が前記液体供給口側に向かって弾性的に凸状に湾曲していると共に、前記可動部材の支点側の部分と前記液体供給口との間に微小な隙間を有していることにより、前記可動部材が高次振動モードで変位することを特徴とする。
【0017】
上記の通りの発明では、気泡発生手段により気泡発生領域で気泡を発生させて可動部材を変位させ、可動部材によって液流路の液体供給口をほぼ閉じることで液流路をほぼ密閉状態にしてから吐出口より液体を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、可動部材が静止している状態で、可動部材の吐出口側の部分が、液体供給口を形成するための部材に接触していることにより、気泡が発生してから液流路が吐出口を除いてほぼ密閉状態になるまでの時間が短くなり、液流路から液体供給口への液体の移動が最大限に抑えられる。これにより、吐出動作において液流路から液体供給口への液体の移動による吐出パワーのロスが減少し、液体吐出ヘッドの吐出効率が向上する。また、それと共に、気泡の等方的な成長から、気泡の吐出口側の部分が成長して気泡の液体供給口側の部分が収縮するという部分成長部分収縮期間に速く移行することが可能になる。さらに、可動部材が静止している定常状態において可動部材の支点側の部分と液体供給口との間に微小な隙間を有していたり、可動部材の支点側の部分における側部と、液体供給口を形成するための部材との間に微小な隙間を有していたりすることにより、可動部材の静止状態では、その微小な隙間を通して液体供給口と液流路とが連通している。これにより、吐出動作で吐出口内のメニスカスが完全に復帰する前に可動部材が静止したり、液流路への液体のリフィル時のオーバーシュートでメニスカスが吐出口から突き出た状態で可動部材が静止したりした場合でも、可動部材の支点部分と液体供給口との間の微小な隙間を通して液体が移動し、メニスカスが適切な位置に変位可能となる。
【0018】
また、可動部材が静止している状態で可動部材の吐出口側の部分が、液体供給口を形成するための部材を押圧して可動部材が液体供給口側に向かって弾性的に凸状に湾曲していることにより、発熱体により膜沸騰が起こり気泡が等方的に成長する際に、可動部材が液体供給口側へ凸状にさらに湾曲することで、液体供給口が可動部材によって塞がれ、液流路が吐出口を除いて実質的に密閉状態になる。この時、可動部材は、気泡が最大に成長する前に上流側に向かって凸状に弾性的に湾曲し、発熱体の発熱特性のばらつきや周囲の温度変化等による発泡状態のばらつきが可動部材の湾曲によって吸収される。その結果、発熱体による発泡状態のばらつきや周囲の温度変化等に起因する吐出量のばらつきが抑制される。また、この場合には、可動部材が高次振動モードで下方変位するために、可動部材の自由端の下方変位量は大きいが、可動部材は速く開き、速く閉じる。そのため、リフィル時間の短縮が可能となる。
【0019】
さらに、本発明の液体吐出装置は、上述したいずれかの液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液体を受け取る被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段とを備えている。
【0020】
具体的には上記の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッドからインクを吐出し、前記被記録媒体に該インクを付着させることで記録を行う。
【0021】
上記の液体吐出装置では、上述したような液体吐出ヘッドを備えたことにより、液体の吐出効率を高くすると共に吐出量のばらつきを抑制して記録を行うことができる。
【0022】
なお、本発明の説明で用いる「上流」「下流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、又はこの構成上の方向に関しての表現として表されている。
【0023】
また、気泡自体に関する「下流側」とは、気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気泡を意味する。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態および参考例について図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の参考例
図1は本発明の第1の参考例による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図、図2は図1のX−X'線断面図、図3は図1の吐出口中心からY1点で天板2側へシフトしたY−Y'線断面図である。
【0026】
図1〜図3に示す複数液路−共通液室形態の液体吐出ヘッドでは、素子基板1と天板2とが液路側壁10を介して積層状態で固着され、両板1,2の間には、一端が吐出口7と連通し他端が閉じられた液流路3が形成されている。この液流路3は1個のヘッドに多数設けられている。また、素子基板1には各々の液流路3に対し、液流路3に補充された液体に気泡を発生させる気泡発生手段としての電気熱変換素子等の発熱体4が配されている。発熱体4と吐出液との接する面の近傍領域には、発熱体4が急速に加熱されて吐出液に発泡が生じる気泡発生領域11が存在する。
【0027】
多数の液流路3の各々に、供給部形成部材5Aに形成された液体供給口5が配設され、各液体供給口5に連通する共通液体供給室6が設けられている。つまり、単一の共通液体供給室6から多数の液流路3に分岐した形状となっており、各液流路3と連通する吐出口7から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液体供給室6から受け取る。
【0028】
液体供給口5と液流路3との間には、可動部材8が液体供給口5の開口領域Sに対して微小な隙間を有して設けられている。可動部材8は素子基板1と平行に位置する。可動部材8の一端は、素子基板1の発熱体4側に位置する自由端8Bであり、その他端側は固定部材9に支持されている。この固定部材9によって液流路3の吐出口7と反対側端が閉じられている。
【0029】
図1に示すように可動部材8が静止した状態では、可動部材8の自由端8B側の先端部がその弾性力によって、液体供給口5を形成するための部材である供給部形成部材5Aに接触している。従って、供給部形成部材5Aの吐出口7側の部分が、可動部材8の自由端8B側の端部が当接して可動部材8によって押圧されるストッパ部5bとなっている。可動部材8の、ストッパ部5bに接触する部分と、固定部材9に固定された部分との間の部分は、液体供給口5から微小な間隔だけ離れており、可動部材8と液体供給口5との微小な隙間は、自由端8Bから支点8A側に向かって徐々に広くなっている。
【0030】
可動部材8の少なくとも自由端部およびそれに連続する両側部で囲まれる領域が液体供給口5の開口領域Sよりも大きくなっており(図3参照)、かつ、可動部材8の側部と両側の流路側壁10のそれぞれとの間は微小な隙間βを有する(図2参照)。前述した供給部形成部材5Aは、可動部材8に対して、図2に示すように隙間γを介している。隙間β、γは、流路のピッチによって異なるが、隙間γが大きければ可動部材8は開口領域Sを遮断し易く、隙間βが大きければ可動部材8は液体供給口5との隙間を介して位置する定常状態よりも消泡に伴って素子基板1側へ移動し易くなる。本参考例では、可動部材8の支点8Aと液体供給口5との隙間、すなわち図2に示される隙間αは3μm、隙間βは3μm、隙間γは4μmとした。
【0031】
また、可動部材8は、流路側壁10の間の幅方向で、上記開口領域Sの幅W2よりも大きい幅W1を有しており、開口領域Sを十分密閉できる幅を有している。可動部材8の支点8Aは、複数の可動部材が複数液路に交差する方向に関して連続している連続部の自由端側の端部延長線上で、液体供給口5の開口領域Sの上流側端部を規定する(図3参照)。本参考例では、図2および図3に示すように流路側壁10自体の厚みよりも、供給部形成部材5Aの、可動部材8に沿っている部分の厚みが小さく設定されており、流路側壁10に対して供給部形成部材5Aが積層されている。なお、供給部形成部材5Aの、可動部材8の自由端8Bよりも吐出口7側は、図3に示すように流路側壁10自体の厚みに対して同じ厚さに設定されている。
【0032】
以上により可動部材8は液流路3内で摩擦抵抗なく可動できる一方で、開口領域S側への変位は開口領域Sの周辺部で規制できる。これにより、開口領域Sを実質的に塞いで液流路3内部から共通液体供給室6への液流を防ぐことが可能となる一方で、気泡の消泡に伴って、液流路側へ実質密閉状態からリフィル可能状態へ移動可能となる。可動部材8が静止している状態では、上述したように可動部材8の自由端8B側の先端部が供給部形成部材5Aのストッパ部5bに接触すると共に、可動部材8の支点8A側の部分における側部と、供給部形成部材5Aとの間に微小な隙間があり、その微小な隙間を通して液体供給口5と液流路3とがわずかに連通している。
【0033】
なお、開口領域Sは、液体供給口5から液流路3に向かって液体を供給する実質的な領域であり、本参考例においては図1および図3に示すように液体供給口5の3辺と固体部材9の端部9Aで囲まれた領域である。
【0034】
また、図4に示すように本参考例においては、電気熱変換体としての発熱体4と吐出口7との間は弁のような障害物は無く、液流に対し直線的な流路構造を保っている「直線的連通状態」となっている。これは、より好ましくは、気泡の発生時に生じる圧力波の伝播方向とそれに伴う液体の流動方向と吐出方向とを直線的に一致させることで、吐出滴の吐出方向や吐出速度等の吐出状態をきわめて高いレベルで安定化させるという理想状態を形成することが望ましい。本発明では、この理想状態を達成、または近似させるための一つの定義として、吐出口7と発熱体4、特に気泡の吐出口7側に影響力を持つ発熱体4の吐出口7側(下流側)とが直接直線で結ばれる構成とすればよく、これは、液流路3内の流体がない状態であれば、吐出口7の外側から見て発熱体4、特に発熱体4の下流側が観察することが可能な状態である(図4参照)。
【0035】
次に、本参考例の液体吐出ヘッドにおける可動部材8の動きについて詳しく説明する。図5〜図8は図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドにおける可動部材8の動きを説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示すと共に、特徴的な現象を図5(a)〜図8(b)の8工程に分けて示したものである。
【0036】
図5(a)では、発熱体4に電気エネルギー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が熱を発生する前の状態を示す。この状態では、液体供給口5と液流路3との間に設けられた可動部材8における中央部から支点側の部分にかけて、液体供給口5の形成面との間には微小な隙間(10μm以下)が存在している。
【0037】
ここで重要なことは、可動部材8が、発熱体4の発熱によって発生する気泡に対し、この気泡の上流側ほぼ半分に対面する位置に設けられており、かつ、可動部材8の自由端部と供給部形成部材5Aのストッパ部5bとが気泡発生領域11の中央上方に配置されており、気泡発生前に液流路構造、可動部材8の配置位置、および可動部材8の弾性力により可動部材8がストッパ部5bに接触していることである。
【0038】
図5(b)では、液流路3を満たす液体の一部が発熱体4によって加熱され、発熱体4上に膜沸騰が起こり気泡21が等方的に成長した状態を示す。ここで、「気泡成長が等方的」とは、気泡表面の所々において気泡表面の垂線方向を向いた気泡成長速度がそれぞれほぼ等しい大きさである状態をいう。
【0039】
この気泡発生初期の、気泡21の等方的な成長過程において、可動部材8の、ストッパ部5bに接触する部分と支点8A近傍の部分との間の部分が液体供給口5側に変位することで可動部材8が液体供給口5の周辺部と密着して液体供給口5を塞ぎ、液流路3内が、吐出口7を除いて実質的に密閉状態になる。この時、可動部材8の支点近傍の部分が、液体供給口5側に最大変位する量をh1とする。
【0040】
参考例では、上述したように定常状態で可動部材8の自由端部がストッパ部5bに接触していることにより、定常状態で可動部材8の自由端部がストッパ部5bから離れている場合と比較して、気泡が発生してから可動部材8によって液体供給口5が塞がれるまでの時間が短くなり、液流路3から液体供給口5へのインクの移動が最大限に抑えられる。これにより、吐出動作において液流路3から液体供給口5へのインクの移動による吐出パワーのロスが減少し、液体吐出ヘッドの吐出効率が向上する。また、それと共に、気泡の等方的な成長から、後述するように気泡21の吐出口7側の部分が成長して気泡21の液体供給口5側の部分が収縮するという部分成長部分収縮期間に速く移行することが可能となっている。
【0041】
図6(a)は気泡21が成長し続けている状態を示す。この状態では、上述のように液流路3内が吐出口7を除いて実質的に密閉状態になっているので、液体の流れが液体供給口5側には行かない。そのため、気泡21は、吐出口7側へは大きく広がることができるが、液体供給口5側へはあまり広がらない。そして、気泡発生領域11の吐出口7側では気泡成長は続くが、逆に、気泡発生領域11の液体供給口5側では気泡成長が止まってしまう。つまり、この気泡成長停止状態が、気泡発生領域11の液体供給口5側では、最大発泡状態になっている。この時の発泡体積をVrとする。
【0042】
この時には、B領域の気泡成長が停止し、可動部材8を液体供給口5に押圧している力が弱まる。そうすると、可動部材8の弾性力によって、可動部材8の中央部付近が定常状態に向かって下方変位を開始しようとしている。
【0043】
ここで、図5(a),(b)および図6(a)における気泡の成長過程を図11に基づき詳述する。図11(a)に示すように発熱体4が加熱されると発熱体4上に初期沸騰が生じ、その後図11(b)に示すように発熱体4上を膜状の気泡が覆う膜沸騰に変化する。そして膜沸騰状態の気泡は図11(b)〜図11(c)に示すように等方的に成長し続ける(このように等方的に気泡成長している状態は半ピュロー状態と呼ばれる。)。ところが図5(b)に示したように液流路3内が、吐出口7を除いて実質的に密閉状態になると、上流側への液移動ができなくなるため、半ピュロー状の気泡において上流側(液体供給口5側)の気泡の一部があまり成長できなくなり、残りの下流側(吐出口7側)の部分が大きく成長する。この状態を表したのが、図6(a)や図11(d)、(e)である。ここで説明の便宜上、発熱体4を加熱しているとき、発熱体4上において気泡が成長しない領域をB領域とし、気泡が成長する吐出口7側の領域をA領域とする。なお、図11(e)に示すB領域では、発泡体積が最大となっており、このときの発泡体積をVrとした。
【0044】
次に図6(b)は、A領域では気泡成長が続いており、B領域では気泡収縮が始まっている状態を示す。この状態では、A領域では吐出口側に向けて気泡が大きく成長していく。そして、B領域における気泡の体積は減少し始める。これにより、可動部材8の、ストッパ部5bに接触する部分と、固定部材9に固定された部分との間の部分が、その剛性による復元力やB領域における気泡の消泡力で定常状態位置へと下方変位し始める。その結果、可動部材8の支点部近傍で液体供給口5が開き、可動部材8の支点部近傍の部分と液体供給口5との微小な隙間を通して共通液体供給室6と液流路3が連通状態となる。
【0045】
この時、可動部材8の中央部分が先に下方変位を始め、続いて可動部材8の自由端が下方変位する。このため、可動部材8は2次以上の高次振動モードで変位する。高次振動モードについては図9および図10を参照して後述する。
【0046】
図7(a)は、可動部材8の中央部分に続いて自由端8Bも下方変位を開始し、それに伴い、液体供給口5から液体の充填(リフィル)が開始した状態を示している。その液体のリフィルに伴って、B領域の気泡は収縮し始めているが、A領域の気泡はまだ成長を続けている。この時、可動部材8の振動は高次モードのため、自由端8Bの変位速度は大きい。
【0047】
ここで、高次振動モードについて図9および図10を用いて詳述する。片側が支持され、片側が自由端の片持ち梁の1次振動モードを図9に示し、2次振動モードを図10に示す。1次振動モードに比べて2次振動モードでは固有振動数が大きく、自由端の変位量も大きい、従って、本参考例において、可動部材8を2次振動モードで振動させることにより、可動部材8の自由端の変位量を大きくしながら、可動部材8の下方変位の時間を短くし、リフィルを短時間で完了することが可能となる。
【0048】
図7(b)は、気泡21がほぼ最大に成長した状態を示す。この状態では、A領域において気泡が最大に成長し、液体供給口5からのリフィルによってB領域における気泡はほとんど消泡する。さらに、可動部材8の自由端の下方変位速度は小さくなり、その変位が停止しようとしているが、可動部材8の中央部分付近は既に上方変位を開始している。この時のA領域での最大気泡体積をVfとする。また、吐出口7から吐出しつつある吐出液は長い尾引の状態でメニスカスと未だ繋がっている。
【0049】
図8(a)は、気泡のA領域の消泡過程を示す図である。液体供給口5からの液体のリフィルと共に可動部材8の自由端8Bが素早く上方変位を開始し、可動部材8が定常状態へ復帰しようとしている。
【0050】
図8(b)は、気泡21の成長は止まり消泡工程のみの段階である。A領域で気泡成長から消泡に変わった直後は、気泡21の収縮エネルギーは全体バランスとして吐出口7近傍の液体を上流方向へ移動させる力として働く。従って、メニスカスはこの時点で吐出口7から液流路3内に引き込まれ、吐出液滴と繋がっている液柱を強い力ですばやく切り離すことになる。その一方で、気泡の収縮に伴い、共通液体供給室6から液体供給口5を介して液体が急速に大きな流れとなって液流路3内へ流れ込む。これにより、メニスカスを液流路3内へと急速に引き込む流れが急に低下するため、メニスカスは比較的低速で発泡前の位置へ戻り始めるので、本発明に係る可動部材を備えていない液体吐出方式に比べてメニスカスの振動の収束性が非常に良い。なお、可動部材8の自由端が、気泡発生領域11側に最大変位する量をh2(図7(b)参照)とする。
【0051】
最後に、気泡21が完全に消泡すると、可動部材8も図5(a)に示した定常状態位置に復帰する。この状態へは、可動部材8はその弾性力により上方変位する(図8(a)の実線の矢印A方向)。また、この状態では、メニスカスはすでに吐出口7近傍で復帰している。ここで、上述したように可動部材8の支点部分と液体供給口5との間には微小な隙間があり、可動部材8が完全に静止している状態でも、その微小な隙間を通して液体供給口5と液流路3とが連通している。これにより、メニスカスが完全に復帰する前に可動部材8が静止したり、液流路3へのインクのリフィル時のオーバーシュートでメニスカスが吐出口7から突き出た状態で可動部材8が静止したりした場合でも、可動部材8の支点部分と液体供給口5との間の微小な隙間を通してインクが移動し、メニスカスが適切な位置に変位可能となっている。
【0052】
次に、図5〜図8におけるA領域とB領域での気泡体積の時間変化と可動部材の挙動との相関関係を図12を参照して説明する。図12はその相関関係を表したグラフであり、曲線AはA領域における気泡体積の時間変化を示し、曲線BはB領域における気泡体積の時間変化を示す。
【0053】
図12に示すように、A領域での気泡の成長体積の時間変化は極大値をもつ放物線を描く。つまり、発泡開始されてから消泡までにおいて気泡体積は時間経過と共に増大して、ある時点で最大となり、その後減少する。一方、B領域については、A領域の場合と比べ、発泡開始されてから消泡までに要する時間が短く、また気泡の最大成長体積も小さく、最大成長体積に達する時間も短い。つまり、A領域とB領域とでは、発泡開始されてから消泡までに要する時間と気泡の成長体積変化とが大きく異なっていて、B領域の方が小さい。
【0054】
特に図12において、気泡の発生初期は同じ時間変化で気泡体積が増大するため、曲線Aと曲線Bが重なってる。つまり、気泡の発生初期は気泡が等方的に成長している(半ピュロー状の)期間が生じている。その後、曲線Aが極大点まで増大する曲線を描くものの、ある時点で曲線Bは曲線Aから分岐し、気泡体積が減少する曲線を描く。つまり、A領域では気泡の体積が増加するものの、B領域では気泡体積が減少する期間(部分成長部分収縮期間)が生じる。
【0055】
そして、上記のような気泡成長の仕方に基づき、図1に示したように発熱体の一部分を可動部材の自由端が覆った形態では、可動部材は次のような挙動を生じる。すなわち、図12の▲1▼の期間では可動部材の、自由端部と支点近傍の部分との間の部分が液体供給口に向かって上方変位している。同図▲2▼の期間では可動部材が液体供給口に密着し、液流路内が吐出口を除いて実質的に密閉状態となる。この密閉状態の開始は気泡が等方的に成長している期間で行われる。次に同図▲3▼の期間では、可動部材の、自由端部と支点近傍の部分との間の部分が定常状態位置に向かって下方変位している。この可動部材による液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開始から一定時間経過後に行われる。次に同図▲4▼の期間では、可動部材が定常状態からさらに下方変位している。次に同図▲5▼の期間では、可動部材の下方変位がほぼ停止し、可動部材が開放位置で平衡状態になっている。最後に同図▲6▼の期間では、可動部材が定常状態位置に向かって上方変位している。
【0056】
このような気泡成長と可動部材の挙動との相関関係は、可動部材と発熱体との相対位置に影響される。そこで、図13および図14を参照し、本形態と異なる相対位置の可動部材と発熱体を備えた液体吐出ヘッドにおける気泡成長と可動部材の挙動との相関関係を説明する。
【0057】
図13は、発熱体全体を可動部材の自由端が覆った形態における気泡成長と可動部材の挙動との相関関係を説明するための図で、(a)はその形態を、(b)はその相関関係のグラフを示している。図13の(a)で示す形態のように発熱体と可動部材が重なっている面積が大きいと、図13の▲1▼の期間が図1の形態の場合と比べて短時間となり、発熱体を加熱してから短時間で密閉状態になるので、より好ましい。なお、図13の▲1▼〜▲6▼の各期間の可動部材の挙動は図12に基づいて説明した挙動と同じである。また図13の形態をとると、可動部材が気泡の体積減少の影響を受けやすくなるため、同図▲3▼の期間開始時点から判るように、可動部材による液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開始から即座に行われる。つまり、可動部材の開放タイミングが図1の形態の場合と比べて早い。同様の理由で、可動部材8の振幅が大きくなる。
【0058】
また図14は、発熱体と可動部材が離れている形態における気泡成長と可動部材の挙動との相関関係を説明するための図で、(a)はその形態を、(b)はその相関関係のグラフを示している。図14の(a)で示す形態のように発熱体と可動部材とが離れていると、可動部材が気泡の体積減少の影響を受けにくいため、同図▲3▼の期間開始時点から判るように、可動部材による液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開始からかなり遅れて行われる。つまり、可動部材の開放タイミングが図1の形態の場合と比べて遅い。同様の理由で、可動部材の振幅が小さくなる。なお、図14の▲1▼〜▲6▼の各期間の可動部材の挙動は図12に基づいて説明した挙動と同じである。
【0059】
なお、上記可動部材8と発熱体4との位置関係は一般的な動作の説明をしたもので、可動部材の自由端の位置、可動部材の剛性等によって各動作は異なってくるものである。
【0060】
また、図12〜図14から判るように、気泡発生領域11の吐出口7側で成長する気泡(A領域の気泡)の最大時の体積をVfとし、気泡発生領域11の液体供給口5側で成長する気泡(B領域の気泡)の最大時の体積をVrとすると、Vf>Vrの関係が本発明のヘッドでは常に成り立っている。さらに、気泡発生領域11の吐出口7側で成長する泡(A領域の泡)のライフタイム(泡の発生から消泡までの時間)をTfとし、気泡発生領域11の液体供給口5側で成長する泡(B領域の泡)のライフタイムをTrとすると、Tf>Trの関係が本発明のヘッドでは常に成り立つ。そして、上記のような関係となるため、気泡の消泡点は、気泡発生領域11の中心付近より吐出口7側に位置することとなる。
【0061】
さらに本ヘッド構成では、図5(b)および図7(b)からも判るように、気泡の発生初期に可動部材8の支点近傍の部分が液体供給口5側に最大変位する量h1よりも、気泡の消泡と共に可動部材8の自由端が気泡発生手段4側に最大変位する量h2の方が大きいという関係(h1<h2)にある。例えばh1は2μm、h2は10μmである。この関係が成り立つことにより、発泡初期での発熱体後方(吐出口に対して反対方向)への泡の成長を抑制し、発熱体前方(吐出口に向かう方向)への泡の成長をより促進させることができる。このことによって、発熱体で生じる発泡パワーを、液体が吐出口から飛翔する液滴の運動エネルギーへ変換させる効率を向上させることができる。
【0062】
参考例のヘッド構成および液体吐出動作について説明したが、このような形態によれば、気泡の下流側への成長成分と上流側への成長成分が均等ではなく、上流側への成長成分がほとんどなくなり上流側への液体の移動が抑制される。上流側への液体の流れが抑制されるため、上流側に気泡成長成分が損失することなくそのほとんどが吐出口の方向に向けられ、吐出力が格段に向上する。さらに、吐出後のメニスカスの後退量が減少し、その分リフィル時にメニスカスがオリフィス面よりも突出する量も減少する。そのためメニスカス振動が抑制されることとなり、低周波数から高周波数まであらゆる駆動周波数において安定した吐出を行うことができる。
【0063】
以上で説明したように、本参考例の液体吐出ヘッドでは、可動部材8が静止した状態で可動部材8の少なくとも自由端部が供給部形成部材5Aのストッパ部5bに接触している。これにより、気泡の発生から、可動部材8により液体供給口5を塞いで液流路3をほぼ密閉状態にするまでの間で、液流路3から液体供給口5へのインクの移動が最大限に抑えられる。その結果、インク吐出動作において液流路3から液体供給口5へのインクの移動による吐出パワーのロスが減少し、液体吐出ヘッドの吐出効率が向上する。また、それと共に、気泡の等方的な成長から、気泡21の吐出口7側の部分が成長して気泡21の液体供給口5側の部分が収縮するという部分成長部分収縮期間に速く移行することができる。
【0064】
さらに、可動部材8の振動が2次以上の高次振動モードになることにより、可動部材8の固有振動数が大きく、可動部材8が速く開閉すると共に下方変位量も大きい。その結果、短時間で大量のリフィルを可能にしている。
【0065】
(第の実施の形態)
図15は、本発明の第の実施の形態による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図であり、図16は、図1の吐出口中心からY1点で天板2側へシフトしたY−Y’線断面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは第1の参考例のものと比較して、可動部材が静止した初期状態において可動部材の自由端側の端部が液体供給口の周辺部を押圧して可動部材が湾曲している点が主に異なっている。図15および図16では、第1の参考例と同一の構成部品に同一の符号を付し、以下では、第1の参考例と異なる点を中心に説明する。
【0066】
図15に示すように本実施形態の液体吐出ヘッドでは、可動部材8が静止した初期状態で可動部材8の自由端8B側の先端部が供給部形成部材5Aに接触して供給部形成部材5Aを押圧すると共に、可動部材8が液体供給口5側に向かって弾性的に凸状に湾曲して応力をチャージさせるまでにとどまった状態にある。すなわち、可動部材8が静止した状態でも可動部材8がその弾性力によって供給部形成部材5Aに向かって力を加えていて、特に可動部材8の自由端8B側の先端部が液体供給口5側に向かって弾性的に凸状に湾曲している。
【0067】
この液体吐出ヘッドにおけるインクの吐出動作では、発熱体4上に膜沸騰が起こり気泡が等方的に成長した際に、可動部材8が液体供給口5側へ凸状にさらに湾曲する。可動部材8のさらなる湾曲に伴って、可動部材8の、ストッパ部5bに接触した部分と支点8Aの部分との間の部分が上方変位し、可動部材8が液体供給口5の周辺部と密着する。これにより、液体供給口5の開口領域Sが可動部材8によって塞がれ、液流路3内が、吐出口7を除いて実質的に密閉状態になる。この時、可動部材8は、気泡が最大に成長する前に上流側に向かって凸状に弾性的に湾曲するので、発熱体4の発熱特性のばらつきや周囲の温度変化等による発泡状態のばらつきが可動部材8の湾曲によって吸収される。その結果、発熱体4による発泡状態のばらつきや周囲の温度変化等に起因するインクの吐出量のばらつきが抑制される。
【0068】
本実施形態の液体吐出ヘッドの場合、発泡時には可動部材8の凸状の湾曲以外の変位が行われない。そのため、液流路3内へのインクのリフィル時には、可動部材8が下方変位するためのエネルギーとして可動部材31の復元力に気泡の消泡力が加わることになる。
【0069】
さらに、気泡等方成長時に可動部材8の中央部分の上方変位は第1の参考例に比較して大きいために、第1の参考例に比較して、より大きな高次振動モードで可動部材8が変位する。そのため、リフィル時間を短縮することが可能となる。
【0070】
これらによって、上流側への液流を大幅に規制し、隣接したノズルへの液体クロストークや、液流路3への高速なリフィルを阻害する供給路系における液の逆流や圧力振動を防止すると共に、吐出量の変動が抑えられている。
【0071】
このような構成の液体吐出ヘッドの場合では、通常のインクの吐出動作を行っても可動部材8の下方変位が小さく、可動部材8が定常状態の位置へと速く移行する。従って、液流路3内にリフィルするインクの量は少ないが、短時間で液流路3内へのインクのリフィルが完了する。これにより、可動部材8が静止している状態で可動部材8を弾性的に湾曲させている構成は、微少な吐出量のインクを吐出する液体吐出ヘッドには有効なものとなりうる。
【0072】
(第の実施の形態)
第1の参考例のヘッド構造においては図1および図3に示したように、可動部材8の、固定部材9に対して未接合となる(すなわち、屈曲して立ち上がる)位置が固定部材9の端部9Aとは同じでないため、開口領域Sは、液体供給口5の3辺と固体部材9の端部9Aで囲まれた領域となったが、図17および図18に示す形態のように、可動部材8の固定部材9からの屈曲立ち上がり位置を固定部材9の端部9Aとしてもよい。この形態の場合には、開口領域Sは図17および図18に示すように、液体供給口5の3辺と可動部材8の支点部8Aとで囲まれた領域となる。
【0073】
また、第1の参考例のヘッド構造において液体供給口5は図3に示したように4つの壁面で囲まれた開口としたが、図19および図20に示す形態のように、供給部形成部材5A(図1参照)のうち、吐出口7側とは反対の液体供給室6側の壁面が開放されていてもよい。この形態の場合には、第1の参考例と同様、開口領域Sは図19および図20に示すように、液体供給口5の3辺と固定部材9の端部9Aとで囲まれた領域となる。
【0074】
これらの構成の液体吐出ヘッドにおいても、図17および図19に示されるように、可動部材8が静止した状態で可動部材8の自由端8B側の先端部がその弾性力によって供給部形成部材5Aのストッパ部5bに接触している。これにより、インクの吐出動作において液流路3から液体供給口5へのインクの移動が最大限に抑えられるので、液流路3から液体供給口5へのインクの移動による吐出パワーのロスが減少し、液体吐出ヘッドの吐出効率が向上する。また、それと共に、気泡の等方的な成長から、気泡21の吐出口7側の部分が成長して気泡21の液体供給口5側の部分が収縮するという部分成長部分収縮期間に速く移行することができる。
【0075】
そして、図17および図18に示される液体吐出ヘッドや、図19および図20に示される液体吐出ヘッドに、第の実施形態における可動部材4を弾性的に湾曲させた構成を適用することによって、本発明の第2の実施形態の構成となる。そのようにすることにより、発熱体4による発泡状態のばらつきや周囲の温度変化等に起因するインクの吐出量のばらつきを抑制することができる。また、液流路3内にリフィルするインクの量が少なくとも、短時間で液流路3内へインクをリフィルすることができ、微少な吐出量のインクを吐出する液体吐出ヘッドを構成することができる。
【0076】
(その他の実施の形態)
以下、本発明の液体吐出原理を用いたヘッドに好適な様々な形態例を説明する。
【0077】
<サイドシュータタイプ>
図21はいわゆるサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドの断面図を示したものである。この説明において、第1の参考例と同一の構成要素には同一符号を用いる。この形態の液体吐出ヘッドは、図21に示すように発熱体4と吐出口7が平行平面上で対面し、液流路3が、吐出口7からの液体の吐出方向に沿った軸方向と直角に連通している点で、第1の参考例と異なっている。このような液体吐出ヘッドにおいても第1の参考例と同様の吐出原理に基づく効果を奏する。
【0078】
<可動部材>
上述の実施形態において、可動部材を構成する材質としては吐出液に対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するための弾性を有しているものであればよい。
【0079】
可動部材の材料としては、耐久性の高い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およびその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐インク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングしたもの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素、チッ化珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。本発明における可動部材としてはμmオーダーの厚さを対象にしている。
【0080】
次に、発熱体と可動部材の配置関係について説明する。発熱体と可動部材の最適な配置によって、発熱体による発泡時の液の流れを適正し制御して有効に利用することが可能となる。
【0081】
熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法の従来技術においては、図22の破線に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在していることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。これに対し、本発明の液体吐出ヘッドは、気泡発生手段を含む液流路が吐出口を除いて実質的に遮蔽されていることで最大の吐出量が規制されるため、図22の実線で示すように、発熱体面積や発泡パワーのばらつきが大きくても吐出量が変化しない領域があり、この領域を利用することにより大ドットの吐出量安定化が図れる。
【0082】
図23は本発明の液体吐出装置の要部の側断面図を示したもので、図23(a)は後述する保護膜があるヘッド、図23(b)は保護膜がないものである。
【0083】
素子基板1上には天板2が配され、素子基板1と天板2の間に液流路3が形成されている。
【0084】
素子基板1は、シリコン等の基体107に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体10を構成するハフニュウムボライド(HfB)、チッ化タンタル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)を図23(a)のようにパターニングしている。この配線電極104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層105に電流を流し発熱させる。配線電極104間の抵抗層105上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護膜103を0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテーション層102(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、インク等の各種の液体から抵抗層105を保護している。
【0085】
特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0086】
また、液体、流路構成、抵抗材料の組み合わせにより、上述の抵抗層105に保護膜103を必要としない構成でもよくその例を図23(b)に示す。このような保護膜103を必要としない抵抗層105の材料としてはイリジュウム−タンタル−アルミ合金等が挙げられる。
【0087】
このように、前述の各実施形態における発熱体4の構成としては、前述の電極104間の抵抗層105(発熱部)だけででもよく、また抵抗層105を保護する保護膜103を含むものでもよい。
【0088】
各実施形態においては、発熱体4として電気信号に応じて発熱する抵抗層105で構成された発熱部を有するものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであればよい。例えば、レーザ等の光を受けることで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0089】
なお、前述の素子基板1には、前述の発熱部を構成する抵抗層105とこの抵抗層105に電気信号を供給するための配線電極104で構成される発熱体10の他に、この発熱体4(電気熱変換素子)を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0090】
また、前述のような素子基板1に設けられている発熱体4の発熱部を駆動し、液体を吐出するためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介して図24に示されるような矩形パルスを印加し、配線電極104間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施形態のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によって、吐出口7から液体であるインクを吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であればよい。
【0091】
<吐出液体>
このような液体のうち、記録を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0092】
また、従来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用できる。
【0093】
ただし、吐出液の性質として吐出液自身、吐出や発泡または可動部材の動作等を妨げないような液体でないことが望まれる。
【0094】
記録用の吐出液体としては、高粘度インク等をも利用することができる。
【0095】
本発明においては、さらに吐出液に用いることができる記録液体として以下のような組成のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し非常に良好な記録画像を得ることができる。
【0096】
【表1】
Figure 0003619105
<液体吐出装置>
図25は、上述の各種の実施形態で説明した構造の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置の概略構成を示している。図25に示されるインクジェット記録装置600に搭載されたヘッドカートリッジ601は、上述した構造の液体吐出ヘッドと、その液体吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを有するものである。ヘッドカートリッジ601は、図25に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギヤ603および604を介して回転するリードスクリュー605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ602の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッジ607ともとにガイド608に沿って矢印aおよびbの方向に往復移動される。インクジェット記録装置600には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたインク等の液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙Pを搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられている。その被記録媒体搬送手段によってプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610は、キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用紙Pをプラテン609に対して押圧する。
【0097】
リードスクリュー605の一端の近傍には、フォトカプラ611および612が配設されている。フォトカプラ611および612は、キャリッジ607のレバー607aの、フォトカプラ611および612の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向の切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ部材614を支持する支持部材613が備えられている。また、ヘッドカートリッジ601から空吐出等されてキャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引するインク吸引手段615が備えられている。このインク吸引手段615によりキャップ部材614の開口部を介してヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。
【0098】
インクジェット記録装置600には本体支持体619が備えられている。この本体支持体619には移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ607の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持されている。移動部材618には、クリーニングブレード617が取り付けられている。クリーニングブレード617はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニングブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段615による吸引回復操作にあたって吸引を開始するためのレバー620が備えられており、レバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカートリッジ601に設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は記録装置本体側に設けられており、図25では示されていない。
【0099】
上述した構成を有するインクジェット記録装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわたって往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給されると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行われる。
【0100】
図26は、本発明の液体吐出装置によりインクジェット式記録を行なうための記録装置全体のブロック図である。
【0101】
記録装置は、ホストコンピュータ300より印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装置内部の入力インターフェイス301に一時保存されると同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU(中央処理装置)302に入力される。CPU302はROM(リード・オンリー・メモリー)303に保存されている制御プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデータをRAM(ランダム・アクセス・メモリー)304等の周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0102】
また、CPU302は前記画像データを記録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同期して記録用紙およびヘッドカートリッジ601を搭載したキャリッジ607を移動する駆動用モータ602を駆動するための駆動データを作る。画像データおよびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、モータドライバ305を介し、ヘッドカートリッジ601および駆動用モータ602に伝達され、それぞれ制御されたタイミングで駆動され画像を形成する。
【0103】
このような記録装置に用いられ、インク等の液体の付与が行われる被記録媒体150としては、各種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0104】
また、この記録装置として、各種の紙やOHPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパクトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミックス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して記録を行う記録装置、または布帛に記録を行う捺染装置等をも含むものである。
【0105】
また、これらの液体吐出装置に用いる吐出液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせた液体を用いればよい。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、気泡により変位した可動部材によって液体供給口を閉じることで、吐出口を除いて液流路をほぼ密閉状態にしてから吐出口より液体を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、可動部材が静止している状態で、可動部材の吐出口側の部分が、液体供給口を形成するための部材に接触していることにより、吐出動作において液流路から液体供給口への液体の移動による吐出パワーのロスが減少し、液体吐出ヘッドの吐出効率が向上するという効果がある。また、それと共に、気泡の等方的な成長から、気泡の吐出口側の部分が成長して気泡の液体供給口側の部分が収縮するという部分成長部分収縮期間に速く移行できるという効果がある。さらに、可動部材が静止している定常状態において可動部材の支点側の部分の近傍に、液体供給口と液流路とが連通する微小な隙間があることにより、吐出動作で吐出口内のメニスカスが完全に復帰する前に可動部材が静止したり、液流路への液体のリフィル時のオーバーシュートでメニスカスが吐出口から突き出た状態で可動部材が静止したりした場合でも、その微小な隙間を通して液体が移動し、メニスカスが適切な位置に変位可能となる。
【0107】
また、可動部材が静止している状態で可動部材の吐出口側の部分が、液体供給口を形成するための部材を押圧して可動部材が液体供給口側に向かって弾性的に凸状に湾曲していることにより、発熱体による発泡状態のばらつきや周囲の温度変化等に起因する吐出量のばらつきを抑制することが可能になるという効果がある。また、この場合、可動部材を高次振動モードで変位させることにより、下方変位量を大きくすると共に下方変位期間を短くすることができる。このため、リフィル時間の短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考例による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図である。
【図2】図1のX−X’線断面図である。
【図3】図1のY−Y’線断面図である。
【図4】「直線的連通状態」を説明する流路の断面図である。
【図5】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの吐出動作を説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示すと共に、特徴的な現象を分けて示したものである。
【図6】図5の続きの吐出動作を説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したものである。
【図7】図6の続きの吐出動作を説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したものである。
【図8】図7の続きの吐出動作を説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したものである。
【図9】片側が自由端の片持ち梁の1次振動モードを示す図である。
【図10】片側が自由端の片持ち梁の2次振動モードを示す図である。
【図11】図5(b)の気泡の等方的な成長状態を示す図である。
【図12】図5〜図8におけるA領域とB領域での気泡成長の時間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフである。
【図13】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置とは異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフである。
【図14】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置とは異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフである。
【図15】本発明の第の実施の形態による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図である。
【図16】図15のY−Y’線断面図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態を説明するための液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図である。
【図18】図17のY−Y’線断面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態を説明するための液体吐出ヘッドの変形例の1つの液流路方向に沿った断面図である。
【図20】図19のY−Y’線断面図である。
【図21】本発明の液体吐出方法を適用したサイドシュータタイプのヘッドの例を説明するための図である。
【図22】発熱体面積とインク吐出量との相対関係を示すグラフである。
【図23】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図を示したもので、(a)は保護膜があるもの、(b)は保護膜がないものである。
【図24】本発明に使用する発熱体を駆動する波形の図である。
【図25】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示す図である。
【図26】本発明の液体吐出方法および液体吐出ヘッドにおいて液体吐出記録を行なうための装置全体のブロック図である。
【図27】従来の液体吐出ヘッドにおける可動部材の様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 素子基板
2 天板
3 液流路
4 発熱体(気泡発生手段)
5 液体供給口
5A 供給部形成部材
5b ストッパ部
6 共通液体供給室
7 吐出口
8 可動部材
8A 支点
8B 自由端
9 支持部材
9A 端部
10 流路側壁
11 気泡発生領域
21 気泡
102 耐キャビテーション層
103 保護膜
104 配線電極
105 抵抗層
106 チッ化シリコン膜
107 基体
201 シリコン基体
202 熱酸化膜
203 層間膜
204 抵抗層
205 配線
206 保護層
207 耐キャビテーション膜
208 熱作用部
300 ホストコンピュータ
301 入出力インターフェイス
302 CPU
303 ROM
304 RAM
305 モータドライバ
307 ヘッドドライバ
600 インクジェット記録装置
601 ヘッドカートリッジ
602 駆動モータ
603、604 駆動伝達ギア
605 リードスクリュー
606 螺旋溝
607 キャリッジ
607a レバー
608 ガイド
609 プラテン
610 紙押さえ板
611、612 フォトカプラ
613 支持部材
614 キャップ部材
615 インク吸引手段
617 クリーニングブレード
618 移動部材
619 本体支持体
620 レバー
621 カム
α、β、γ 隙間

Claims (3)

  1. 液体を吐出するための複数の吐出口と、
    前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、
    前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生する気泡発生手段と、
    前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室に連通する複数の液体供給口と、
    前記液体供給口の前記液流路側の一部分に対して微小な隙間を隔てて設けられるとともに、支点が液体供給口側に位置し、自由端が気泡発生領域に対向して配置された可動部材とを有し、
    前記可動部材の前記自由端部およびそれに連続する両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対する開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドであって、
    前記可動部材が静止している状態で前記自由端が、前記気泡発生領域に対応する位置で前記液体供給口を形成するための部材を押圧することで、前記可動部材が前記液体供給口側に向かって弾性的に凸状に湾曲していると共に、前記可動部材の支点側の部分と前記液体供給口との間に微小な隙間を有していることにより、前記可動部材が高次振動モードで変位することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液体を受け取る被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段と、を備えた液体吐出装置。
  3. 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出し、前記被記録媒体に該インクを付着させることで記録を行うことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
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