JP2000062180A - 液体吐出ヘッド、液体吐出方法、および液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出方法、および液体吐出装置

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JP2000062180A
JP2000062180A JP23611898A JP23611898A JP2000062180A JP 2000062180 A JP2000062180 A JP 2000062180A JP 23611898 A JP23611898 A JP 23611898A JP 23611898 A JP23611898 A JP 23611898A JP 2000062180 A JP2000062180 A JP 2000062180A
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bubble
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Hiroyuki Sugiyama
裕之 杉山
Hiroyuki Ishinaga
博之 石永
Yoichi Tanetani
陽一 種谷
Satoshi Shimazu
聡 島津
Sadayuki Sugama
定之 須釜
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体吐出ヘッドの気泡の前方部分の成長から
収縮への段階において、後方部分が成長することによっ
て前方部分の変動段階を乱すことを防ぐ。 【解決手段】 液体の吐出口18に連通する液流路10
内の気泡発生領域11に、液体中に気泡を発生させるた
めの発熱体2と、気泡40の成長に伴い変位する可動部
材31と、可動部材31の変位を所望の範囲に規制する
ストッパ64とが設けられている。発熱体2の吐出口1
8側端から中心部までの範囲と吐出口18の中心とを結
ぶ領域には液体のみが存在し得る直線連通状態にある。
そして、可動部材31は待機状態において自由端32を
気泡発生領域11の中心部に対向した位置に有し、自由
端32がストッパ64に実質的に接触することで気泡発
生領域11よりも上流側の流路の最大流路抵抗を形成し
て最大気泡の上流側の成分を略一定化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用
いたヘッドカートリッジ及び液体吐出装置に関し、特
に、気泡の発生を利用して変位する可動部材を有する液
体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリ
ッジ及び液体吐出装置に関する。
【0002】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味する。
【0004】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許第4,723,129号等の公報に開示されているよ
うに、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に
連通するインク流路と、インク流路内に配されたインク
を吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変
換体が一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0007】高画質な画像を得るために、インクの吐出
スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なイン
ク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件
が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐出され
た液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体
吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案
されている。
【0008】このようなヘッドの他にも、気泡の発生に
伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の
方向へ向かう圧力)に着目し、吐出において損失エネル
ギーになるバック波を防止する構造の発明が特開平6−
31918号公報(特に第3図)に開示されている。こ
の公報に記載の発明は、三角形状の板状部材の三角形部
分を気泡を発生するヒーターに対して対向させたもので
ある。この発明では、板状部材によってバック波を一時
的に且つわずかには抑えられている。しかし、気泡の成
長と三角形部分との相関関係については全く触れていな
いし、その着想もないため、上記の発明は以下の問題点
を含んでいる。
【0009】すなわち、上記公報に記載の発明では、ヒ
ーターが凹部の底に位置しており吐出口との直線的連通
状態をとれないため、液滴形が安定できず、さらに気泡
の成長は三角形の頂点の部分の周囲から許容されている
ため、気泡は三角形の板状部材の片側から反対側全体ま
で成長し、結果的に板状部材が存在していないかのよう
に液中における通常の気泡の成長が完成してしまう。従
って、成長した気泡にとって板状部材の存在は何ら関係
のないものとなってしまう。逆に、板状部材の全体が気
泡に囲まれるために、気泡の収縮段階において、凹部に
位置するヒーターへのリフィルは乱流を生じせしめ、そ
の凹部内に微小気泡を蓄積する原因となり、成長気泡に
基づいて吐出を行う原理自体を乱すことになってしま
う。
【0010】他方、EP公開公報436047A1は、
吐出口近傍域と気泡発生部との間にこれらを遮断する第
1弁と、気泡発生部とインク供給部との間にこれらを完
全に遮断する第2弁とを交互に開閉させる発明を提案し
ている(EP436047A1の第4〜9図)。しか
し、この発明はこれら3つの部屋を2つづつに区分して
しまうために、吐出時には液滴に追従するインクが大き
な尾引きとなり、気泡成長・収縮・消泡を行う通常の吐
出方式に比べてサテライトドットがかなり多くなってし
まう(消泡によるメニスカス後退の効果を使えないと推
定される)。また、リフィル時は、気泡発生部に液体が
消泡に伴って供給されるが、吐出口近傍域には次の発泡
が生じるまで液体は供給できないので、吐出液滴のばら
つきが大きいだけでなく、吐出応答周波数が極めて小さ
く、実用レベルではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術とはま
ったく異なり液滴の吐出に関し有効に貢献できる可動部
材(自由端を支点よりも吐出口側に有する板状部材等)を
用いた発明が、本願出願人によって数多く提案されてい
る。その発明のうち、特開平9-48127号公報は上述した
可動部材の挙動がわずかに乱れることを防止すべく、可
動部材の変位の上限を規制する発明を開示している。ま
た、特開平9-323420号公報は、上記可動部材に対して、
上流における共通液室の位置を、上記可動部材の利点を
利用して可動部材の自由端側;つまり下流側にシフトさ
せてリフィル能力を高める発明を開示している。これら
は、発明が生み出される前提の想定に、気泡の成長を可
動部材で一時的に包み込んだ状態から一気に吐出口側に
開放する形態を採っていたため、気泡全体が液滴形成に
関わる個々の要素や、それらの相関関係については注目
されていない。
【0012】次の段階として、本願出願人は、特開平10
-24588号公報にて、液体吐出に関わる要素として圧力波
伝播による気泡成長に注目した発明(音響波)として、
気泡発生領域の一部を上記可動部材から開放する発明を
開示している。しかしながら、この発明においても液体
吐出時の気泡の成長のみに着目しているため、気泡全体
が液滴自体の形成に係わる個々の要素や、それらの相関
関係について注目されていない。
【0013】従来から知られている膜沸騰による気泡の
前方部分(エッヂシューター型)が吐出に大きな影響を与
えることは知られているものの、この部分をより効率よ
く吐出液滴の形成に貢献せしめることについて従来着目
したものはなく、本発明はこれらの技術的解明をすべく
本発明者たちは鋭意研究を行った。
【0014】本発明は、この吐出液滴形成という観点か
ら気泡の発生から消泡にいたる経過をより詳細に解析す
ることで、数多くの発明が生まれた中の一つであって、
特に、吐出口側に成長する気泡の成分部分に自由度を
与えつつ、吐出口側とは異なる方向への気泡の成長との
バランスに着目することで、吐出液滴の形成をより安定
したものにでき、かつ、応答周波数依存特性自体を改善
できる画期的な液体吐出方法やヘッド等を提供するもの
である。
【0015】本発明の主たる目的は以下の通りである。
【0016】本発明の第1の目的は、発生した気泡とそ
の吐出口側の液体及び供給側の液体を可動部材と液流路
全体の構造とによって抑制することで、極めて新規な液
体吐出原理を提供することにある。
【0017】本発明の第2の目的は、応答周波数によら
ない安定した液滴吐出を可能とする液体吐出ヘッドを提
供することにある。
【0018】本発明の第3の目的は、サテライトやメニ
スカスの変動による弊害を除去するための記録装置のシ
ステム上の負荷構成を軽減することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、液体中に気泡を発生させるための熱エネル
ギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分であ
る吐出口と、該吐出口に連通するとともに、液体に気泡
を発生させる気泡発生領域を有する液流路と、前記気泡
発生領域に設けられ前記気泡の成長に伴い変位する可動
部材と、前記可動部材の変位を所望の範囲に規制する規
制部とを備え、前記気泡発生時のエネルギーにより前記
吐出口から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドであっ
て、前記発熱体の吐出口側端から中心部までの範囲と前
記吐出口の中心とを結ぶ領域には前記液体のみが存在し
得る直線連通状態にあるとともに、前記可動部材は待機
状態において自由端を気泡発生領域の上記中心部に対向
した位置に有し、該自由端が前記規制部に実質的に接触
することで気泡発生領域よりも上流側の流路の最大流路
抵抗を形成して最大気泡の上流側の成分を略一定化した
状態を形成することを特徴とする。
【0020】また本発明は、液体中に気泡を発生させる
ための熱エネルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐
出する部分である吐出口と、該吐出口に連通するととも
に、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する液流
路と、前記気泡発生領域に設けられ前記気泡の成長に伴
い変位する可動部材と、前記可動部材の変位を所望の範
囲に規制する規制部とを備え、前記気泡発生時のエネル
ギーにより前記吐出口から前記液体を吐出する液体吐出
ヘッドを用いた液体吐出方法であって、前記液体吐出ヘ
ッドは、前記発熱体の吐出口側端から中心部までの範囲
と前記吐出口の中心とを結ぶ領域には液体のみが存在し
得る直線連通状態にあるとともに、前記可動部材は待機
状態において自由端を気泡発生領域の上記中心部に対向
した位置に有し、該自由端が前記規制部に実質的に接触
することで気泡発生領域よりも上流側の流路の最大流路
抵抗を形成して最大気泡の上流側の成分を略一定化した
状態で前記液体を吐出することを特徴とする。
【0021】さらには、前記可動部材が前記規制部に実
質的に接触して、前記上流方向への液体の移動及び気泡
成長によって上流方向へ引っ張られた形の応力を受けた
後、前記気泡の消泡を開始する工程をさらに有すること
を特徴とする。
【0022】さらには、前記可動部材が前記規制部に実
質的に接触したまま前記気泡が収縮する工程をさらに有
することを特徴とする。
【0023】さらには、前記可動部材が前記規制部に実
質的に接触したまま前記気泡が収縮する工程では、前記
気泡の収縮に伴う液体の移動の大部分を前記吐出口から
上流方向に向かわせ、前記吐出口内にメニスカスを急速
に引き込むことを特徴とする。
【0024】さらには、前記気泡収縮工程中に、前記可
動部材を前記規制部より離間させることにより前記気泡
発生領域に吐出口に向かう下流方向への液流を生じさ
せ、前記メニスカスの引き込みを急制動することを特徴
とする。
【0025】上記の構成によれば、気泡の前方部分の成
長から収縮への段階において、後方部分が成長すること
によって前方部分の変動段階を乱すという課題を解決で
き、気泡の成長から収縮への変化点の変化率を安定かつ
急速なものにでき液体のきれが良好でかつ安定してい
る。したがって、この要件を有する吐出方法や吐出ヘッ
ドを用いれば、画像品位が向上する。
【0026】本発明のその他の効果については、各実施
形態の記載から理解できよう。
【0027】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0028】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向
に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の
領域で発生する気泡を意味する。同様に、気泡自体に関
する「上流側」とは気泡の中心に対して、上記流れ方向
や上記構成上の方向に関する上流側、又は、発熱体の面
積中心より上流側の領域で発生する気泡を意味する。
【0029】また、本発明で用いる可動部材と規制部と
の「実質的な接触」とは両者の間に数μm程度の液体が
介在した近接状態であっても、直接接触した状態であっ
てもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明は、膜沸騰により成長する
気泡の前方部分に対して影響を与える後方部分の存在を
重視したもので、気泡の前方部分の成長から収縮に至る
過程において、後方部分の成長から収縮に至る変化が実
質的に一定化されることで、気泡の前方部分の成長から
収縮を、自由度が高くかつ、一定化した挙動を確保でき
るという技術内容に基づいている。
【0031】本発明は、後方部分の成長収縮が、従来の
液体吐出ヘッドでは、気泡の発生要因のばらつき要素が
重畳されて一層の不安定状態になっていることを見いだ
し、この後方部分が、気泡の吐出口側への前方部分の挙
動や移動速度或は速度変化に実質的な影響を及ぼしてい
ることを原因として見いだしたことに基づきなされたも
のである。
【0032】本発明は、従来では総合バランスで成立し
ている気泡の挙動を一部に着目した発明が多い中にあっ
て、部分機能と総合バランスとを有機的に一体化させつ
つ、従来からは予想できなかった新たな吐出原理及び吐
出方法、ヘッドを提供するものである。
【0033】以下、本発明の実施の形態について図面を
参照して説明する。
【0034】図1は本発明の液体吐出ヘッドの1つの実
施の形態を液流路方向で切断した断面図で示すととも
に、液流路内の特徴的な現象を(a)〜(f)の工程に
分けて示したものである。
【0035】本形態の液体吐出ヘッドでは、液体を吐出
するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エ
ネルギーを作用させる発熱体2が平滑な素子基板1に設
けられており、素子基板1上に発熱体2に対応して液流
路10が配されている。液流路10は吐出口18に連通
していると共に、複数の液流路10に液体を供給するた
めの共通液室13に連通しており、吐出口18から吐出
された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受
け取る。符号Mは吐出液が形成するメニスカスを表し、
メニスカスMは、吐出口18及びそれに連通する液流路
10の内壁によって発生する毛細管力によって通常負圧
である共通液室13の内圧に対して、吐出口18近傍で
つり合っている。
【0036】液流路10は、発熱体2を備えた素子基板
1と天板50が接合されることで構成されており、発熱
体2と吐出液との接する面の近傍領域には、発熱体2が
急速に加熱されて吐出液に発泡を生じさせる気泡発生領
域11が存在する。この気泡発生領域11を有する液流
路10に可動部材31の少なくとも一部が発熱体2と対
面するように配されている。この可動部材31は吐出口
18に向かう下流側に自由端32を有すると共に、上流
側に配置された支持部材34に支持されている。特に本
形態では、上流側へのバック波及び液体の慣性力に影響
する、気泡の上流側半分の成長を抑制するため、自由端
32が気泡発生領域11の中央付近に配されている。そ
して可動部材31は気泡発生領域11で発生する気泡の
成長に伴い、支持部材34に対して変位可能である。こ
の変位するときの支点33は支持部材34における可動
部材31の支持部となっている。
【0037】気泡発生領域11の中央上方にはストッパ
(規制部)64が位置していて、気泡の上流側半分の成
長を抑制するために可動部材31の変位をある範囲で規
制している。共通液室13から吐出口18への流れにお
いて、ストッパ64を境に上流側に、液流路10と比較
して相対的に流路抵抗の低い低流路抵抗領域65が設け
られている。この領域65における流路構造は上壁がな
かったり流路断面積が大きいことなどで、液の移動に対
し流路から受ける抵抗を小さくしている。
【0038】以上の構成により、変位した可動部材31
とストッパ64との接触によって、気泡発生領域11を
有する液流路10が吐出口18を除いて、実質的に閉じ
た空間になるという従来にない特徴的なヘッド構造を提
案している。
【0039】次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの吐出
動作について詳しく説明する。
【0040】図1(a)では、発熱体2に電気エネルギ
ー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体
が熱を発生する前の状態を示す。ここで重要なことは、
可動部材31が、発熱体2の発熱によって発生する気泡
に対し、この気泡の上流側半分に対面する位置に設けら
れており、かつ、可動部材31の変位を規制するストッ
パ64が気泡発生領域11の中央上方に設けられている
ことである。つまり、液流路構造と可動部材の配置位置
とによって、気泡の上流側半分が可動部材31に押え込
まれるようになっている。
【0041】図1(b)では、気泡発生領域11内を満
たす液体の一部が発熱体2によって加熱され、膜沸騰に
伴う気泡40がほぼ最大に成長した状態を示す。このと
き、気泡40の発生に基づく圧力波が液流路10内に伝
播し、それに伴い液体は気泡発生領域の中央領域を境に
下流側及び上流側に移動し、上流側においては気泡40
の成長に伴う液の流れにより可動部材31が変位し、下
流側においては吐出口18から吐出滴66が吐出しつつ
ある。ここで、上流側すなわち共通液室13方向への液
体の移動は、液体の移動に対し流路からの抵抗が下流側
に比較して低くなっていて液体流動がしやすい領域であ
る低流路抵抗領域65によって大きな流れとなるが、可
動部材31はストッパ64に接近または接触するまで変
位すると、それ以上の変位が規制されるため、上流方向
への液体の移動もそこで大きく制限される。それに伴い
気泡40の上流側への成長も可動部材31で制限され
る。これにより、流路の気泡発生領域よりも上流側にお
ける最大流路抵抗を形成し、気泡の上流側の成長を略一
定化している。この構成により、吐出液滴の形成をより
安定したものにでき、かつ、応答周波数依存特性自体を
改善できるようにしている。
【0042】また、この時、上流方向への液体の移動力
は大きいため、可動部材31は上流方向へ引っ張られた
形の応力を大きく受けている。さらに、可動部材31で
成長を制限された気泡40の一部は、液流路10を形成
する両側壁と可動部材31の側部との僅かな間隙を通
り、可動部材31の上面側に隆起している。この隆起し
た気泡を本明細書では「隆起気泡(41)」と呼ぶこと
とする。
【0043】この状態において、可動部材31に対して
吐出口側への液流路の全体形状は、上流側から下流側に
向かって広がってゆく構造となっている。
【0044】本発明においては図11に示すように、気泡
40の吐出口側の部分と吐出口との間は液流に対しまっ
すぐな流路構造を保っている「直線的連通状態」となっ
ている。これは、より好ましくは、気泡の発生時に生じ
る圧力波の伝播方向とそれに伴う液体の流動方向と吐出
方向とが直線的に一致させることで、吐出滴66の吐出
方向や吐出速度等の吐出状態をきわめて高いレベルで安
定化させるという理想状態を形成することが望ましい。
本発明では、この理想状態を達成、または近似させるた
めの一つの定義として、吐出口18と発熱体2、特に気泡
の吐出口側に影響力を持つ発熱体の吐出口側((下流側)
とが直接直線で結ばれる構成とすればよく、これは、流
路内の流体がない状態であれば、吐出口の外側から見て
発熱体、特に発熱体の下流側が観察することが可能な状
態である。
【0045】一方、前述したように気泡40の上流側の
部分は可動部材31の変位がストッパ64によって規制
されているため、上流側への液流の慣性力によって可動
部材31を上流側へ凸形状に湾曲させ応力をチャージさ
せるまでにとどまった状態で小さなサイズになってい
る。この部分全体としては、ストッパ部及び液流路仕切
壁101と可動部材31と支点33とで上流側の領域に
進入する量をほとんど無にしている。(ただし、可動部
材31と液流路仕切壁101との間隙で10μm以下の
スペースに対する部分隆起気泡は許容する。)
【0046】これによって、上流側への液流を大幅に規
制し、隣接したノズルへの流体クロストークや、後述す
る高速リフィルを阻害する供給路系における液の逆流や
圧力振動を防止する。
【0047】図1(c)では、前述した膜沸騰の後に気
泡内部の負圧が液流路内の下流側への液体の移動に打ち
勝って、気泡40の収縮が開始された状態を示す。この
時点では、気泡成長による液体の上流方向への力が大き
く残るため、気泡40の収縮開始後一定の間は可動部材
31は未だストッパ64に接触された状態であり、気泡
40の収縮の多くは吐出口18から上流方向への液移動
力を生じさせる。図1(b)の状態で、可動部材31は
上流側へ凸形状に湾曲した応力チャージ状態であったた
め、図1(c)では、可動部材自身としては応力を開放
する側すなわち上流側から液流を引き戻し上流方向に対
し凹形状になろうとする力が発生する。このため、ある
時点から前述した上流方向への液の移動力にこの上流方
向からの可動部材の引き戻し力が打ち勝ってわずかなが
らに上流側から吐出口側への流れを生じさせ始め、可動
部材31も撓みが減じ、上流方向に凹形状への変位が始
まる。すなわち、一時的に液流路内の液体がトータルと
して吐出口方向に一方的に向う流れが生じるという、気
泡40の上流側と下流側でのアンバランス状態が発生す
るのである。
【0048】その直後のタイミングでは、液流路内全体
としては、いまだ変位した可動部材31とストッパ64
との接触によって、気泡発生領域11を有する液流路1
0が吐出口18を除いて、実質的に閉じた空間になって
いるため、気泡40の収縮エネルギーは全体バランスと
して吐出口18近傍の液体を上流方向へ移動させる力と
して強く働く。したがって、メニスカスMはこの時点で
吐出口18から液流路10内に大きく引き込まれ、吐出
液滴66と繋がっている液柱を強い力ですばやく切り離
すことになる。その結果、図1(d)に示すように、吐
出口18の外側にとり残される液滴すなわちサテライト
(副滴)67が少なくなる。
【0049】図1(d)では、消泡工程がほぼ終了し吐
出液滴66とメニスカスMが分断された状態を示す。低
流路抵抗領域65では液体の上流方向の移動力に対し可
動部材31の反発力と気泡40の消泡による収縮力によ
って、可動部材31の下方変位とそれに伴う低流路抵抗
領域65での下流方向への流れとが開始され、可動部材
31とストッパ64との近接または接触状態が開放し始
める。これに伴い低流路抵抗領域65での下流方向への
流れは流路抵抗が小さい為、急速に大きな流れとなって
ストッパ64部分を介し液流路10へ流れ込む。これに
より、メニスカスMを液流路10内へと急速に引き込む
流れが急に低下するため、メニスカスMは吐出口18か
ら外側に残った、または吐出口18方向に凸になってい
る液柱部分をできるだけ分離させず取り込みながら比較
的低速で発泡前の位置へ戻り始める。特に、メニスカス
Mの復帰の流れと上流からのリフィルとが合流すること
で吐出口18〜ヒータ2間で流速がほとんどゼロの領域
を形成することでメニスカスの収束性が良い。これはイ
ンクの粘度や表面張力にもよるが、本発明によれば、こ
の液柱が分離しサテライトとなって印字物に付着し画品
位を低下させたり、オリフィス近傍に付着し吐出方向に
悪影響を及ぼしたり、吐出不良を引き起こしたりするも
のを激減させることができる。
【0050】また、メニスカスM自身も大きく液流路内
に引き込まれる以前に復帰を開始するので、液移動速度
自体はそれほど大きくなくても短時間で復帰を果たすた
め、メニスカスのオーバーシュート、すなわち吐出口1
8で停止せず吐出口18の外側への凸形状となる量を低
減し、オーバーシュートに引き続いて発生する吐出口1
8を収束点とした減衰振動現象を極めて短時間で終了さ
せることができる。この減衰振動現象も印字品位に悪影
響を及ぼすため、本発明は安定的な高速印字を可能とし
ている。
【0051】また、前述した可動部材31とストッパ6
4の間の部分を介した液流路10への流れ込みは図1
(d)に示すように天板50側の壁面での流速を高める
ため、この部分での微少泡などの残留も極めて少なく、
吐出の安定性に寄与している。
【0052】一方、吐出滴66に対し直後に存在するサ
テライト67の中には図1(c)における急速なメニス
カス引き込みによって吐出滴と極めて近接しているもの
もあり、吐出滴66の飛翔の後方に生じる空気の渦によ
り吐出滴に引き寄せられる力を受ける現象、いわゆるス
リップストリーム現象が発生する。
【0053】この現象について詳しく説明する。旧来か
らの液体吐出ヘッドでは吐出口から液体が吐出された瞬
間に液滴が球体を形成することはなく、先端に球状部を
持つ液柱に近い状態で吐出される。そして、尾引きの部
分が主滴とメニスカスの両方に引っ張られてメニスカス
より切り離されたときに尾引きの部分からサテライトド
ットが形成され、主滴と共に被記録体へ飛翔することが
知られている。サテライトドットは主滴よりも後から飛
翔するため、メニスカスにも引っ張られていた分だけ吐
出速度が低く、その着弾位置が主滴とずれて、印字品位
が劣化してしまう。本発明による液体吐出ヘッドでは、
前述のようにメニスカスを後退させる力が旧来の液体吐
出ヘッドよりも大きいため、主滴が吐出した後の尾引き
部分を引っ張る力が強く、尾引き部分とメニスカスを切
り離す力が強くなってこの切り離すタイミングも早くな
る。したがって、尾引き部分から形成されるサテライト
ドットが小さくなり、また主滴とサテライトドットとの
距離が短くなる。さらに、尾引き部分がいつまでもメニ
スカスに引っ張られ続けないため、吐出速度が低下せ
ず、吐出滴66の後方でいわゆるスリップストリーム現
象によりサテライト67が引き寄せられる。
【0054】図1(e)では図1(d)の状態がさらに
進んだ状態を示す。サテライト67はさらに吐出滴66
に近接し同時に引き寄せられ、スリップストリーム現象
による引き力も増大する。一方、上流側から吐出口18
方向への液体移動は、気泡40の消泡工程完了と可動部
材31の変位オーバーシュートで初期位置より下方に変
位することで上流側からの液体の引き込みと吐出口18
方向への液体の押し出し現象を生じさせる。しかも、ス
トッパ64が存在する液流路の断面積拡大によって吐出
口18方向への液流れが増大し、メニスカスMの吐出口
18への復帰が加速する。この事により、本形態におけ
るリフィル特性は飛躍的に向上する。
【0055】また、気泡の消滅時に発生するキャビテー
ション発生時は可動部材31の下方変位によって消泡点
と吐出口18が区分されるため、キャビテーションによ
る衝撃波が吐出口18に直接伝達されず可動部材31に
多く吸収されるため、キャビテーションによる衝撃波が
メニスカスに到達してメニスカスからマイクロドットと
呼ばれる微小液滴が発生するがほとんどなくなるため、
マイクロドットが印刷物に付着して画品位を低下させた
り、吐出口18近傍に付着して吐出を不安定にさせたり
する現象が激減するのである。
【0056】さらに、消泡によるキャビテーション発生
ポイントも可動部材31により支点33側にずれるた
め、ヒータ2に対するダメージが少なくなる。また、可
動部材31とヒーター2間での増粘インクの強制的な移
動を引き起こし、この閉域から排除することで吐出耐久
性が向上する。同時に、同現象によりこの領域でのヒー
タへのこげの付着も少なくなる為、吐出安定性が向上す
る。
【0057】図1(f)では、図1(e)の状態がさら
に進み、サテライト67が吐出滴66にとり込まれた状
態を示す。この吐出滴66とサテライト67の合体は他
の実施形態でも吐出毎に必ずしも起きる現象ではなく、
条件によって起きる場合と起きない場合がある。しか
し、サテライトの量を少なくとも減少または消滅させる
ことで、主滴とサテライトドットとの着弾位置が被記録
体上で殆どずれず印字品位に与える影響が極めて小さく
なる。すなわち、画像のシャープネスを高め印字品位を
向上させるとともに、ミストとなって印字媒体や記録装
置内を汚すなどの弊害を低減することができる。
【0058】一方、可動部材31はそのオーバーシュー
トの反動で再びストッパ64の方向への変位を生じる。
これは可動部材31の形状及びヤング率、液流路内の液
体の粘度、比重で決まる減衰振動により収束し、最終的
には初期位置で停止する。
【0059】可動部材31の上方変位によって共通液室
13側から吐出口18方向への液体の流れは制御され、
メニスカスMの動きは吐出口近傍ですみやかに収束す
る。よって、メニスカスのオーバーシュート現象など
の、吐出状態を不安定にし印字品位を低下する要因を大
きく低減することができる。
【0060】次に、本実施形態の更なる特徴的な効果に
ついて説明する。
【0061】図2は図1(b)に示した一部のヘッドの
透視斜視図であり、ノズルを透視して破線で示す以外は
基本的に図1(b)と同じ状態を示すものである。本実
施形態では、液流路10を構成する壁の両側壁面と可動
部材31の両側部には僅かながらにクリアランスが存在
し、可動部材31のスムーズな変位を可能にしている。
さらに、発熱体2による発泡の成長工程において、気泡
40は可動部材31を変位させるとともに、前記クリア
ランスを介し可動部材31の上面側へ隆起して低流路抵
抗領域65に若干侵入する。この侵入した隆起気泡41
は可動部材31の背面(気泡発生領域11と反対面)に
回り込むことで可動部材31のブレを抑え、吐出特性を
安定化する。
【0062】さらに、気泡40の消泡工程において、隆
起気泡41が低流路抵抗領域65から気泡発生領域11
への液流を促進させ、前述した、吐出口18側からの高
速なメニスカス引き込みと相まって、消泡をすみやかに
完了させる。特に、隆起気泡41が引き起こす液流によ
って可動部材31や液流路10のコーナーに気泡を蓄留
させることがほとんどない。
【0063】このように上記構成の液体吐出ヘッドで
は、気泡の発生によって吐出口から液体が吐出された瞬
間では吐出液滴は先端に球状部を持つ液柱に近い状態で
吐出される。この事は旧来のヘッド構造でも同じである
が、本発明では、気泡の成長工程によって可動部材が変
位し、この変位した可動部材が規制部に接触したとき、
気泡発生領域を有する液流路が吐出口を除いて、実質的
に閉じた空間が形成される。したがって、この状態で気
泡を消泡すれば、消泡によって可動部材が規制部より離
れるまでは上述の閉空間が保たれるため、気泡の消泡エ
ネルギーのほとんどが吐出口近傍の液体を上流方向へ移
動させる力として働くこととなる。その結果、気泡の消
泡開始直後においては、吐出口からメニスカスが液流路
内に急速に引き込まれ、吐出口の外側で吐出液滴と繋が
って液柱を形成している尾引き部分がメニスカスにより
強い力ですばやく切り離される。これにより、尾引き部
分から形成されるサテライトドットが小さくなり、印字
品位を向上させることができる。
【0064】さらに、尾引き部分がいつまでもメニスカ
スに引っ張られ続けないことで、吐出速度が低下せず、
また吐出滴とサテライトドットとの距離も短くなるの
で、吐出滴の後方でいわゆるスリップストリーム現象に
よりサテライトドットが引き寄せられる。その結果、吐
出滴とサテライトドットの合体も起こり得て、サテライ
トドットがほとんど無い液体吐出ヘッドを提供すること
が可能である。
【0065】さらに本発明は、上述したヘッドにおい
て、前記可動部材が、前記吐出口に向かう液体の流れに
関して上流方向に成長する気泡のみを抑制するために設
けられていることを特徴とする。より好ましくは、前記
可動部材の自由端が前記気泡発生領域の実質中央部に位
置している。この構成によれば、液体の吐出にとって直
接関係しない、気泡成長による上流側へのバック波及び
液体の慣性力を抑えるとともに、気泡の下流側への成長
成分を素直に吐出口方向に向けることが可能である。
【0066】さらに本発明は、上述したヘッドにおい
て、前記規制部を境界として前記吐出口とは反対側の液
流路の流路抵抗が低いことを特徴とする。この構成によ
れば、気泡の成長による上流方向への液体の移動が低流
路抵抗の液流路によって大きな流れとなるので、変位し
た可動部材が規制部に接触したとき、その可動部材が上
流方向へ引っ張られた形の応力を受けることとなる。そ
の結果、この状態で消泡を開始しても、気泡の成長によ
る上流方向への液体移動力が大きく残るため、この液体
移動力に対し可動部材の反発力が勝るまでの一定の間、
上述の閉空間を保つことができる。すなわち、この構成
によって、高速メニスカス引き込みがより確実なものと
なる。また、気泡の消泡工程が進み、気泡成長による上
流方向への液体移動力に対し可動部材の反発力が勝る
と、可動部材が初期状態に戻ろうと下方変位し、これに
伴い低流路抵抗領域でも下流方向への流れが生じる。低
流路抵抗領域での下流方向への流れは流路抵抗が小さい
為、急速に大きな流れとなって規制部を介し液流路へ流
れ込む。その結果、この吐出口に向かう下流方向への液
移動により、上述のメニスカスの引き込みを急制動さ
せ、メニスカスの振動を高速に収束させることができ
る。
【0067】なお、本発明における規制部は、最大気泡
の上流側の成分を略一定化した状態を形成できるもので
あれば、上述した実施例で示されるものに限定されるも
のではない。
【0068】(その他の実施の形態)以下、上述した液
体吐出方法を用いたヘッドに適用可能な様々な形態例を
説明する。
【0069】<可動部材>図3は可動部材31の他の形
状を示すものである。同図(a)は長方形の形状であ
り、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材の
動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広くな
っており、可動部材の剛性が向上する形状である。
【0070】先の実施形態においては、可動部材31は
厚さ5μmのニッケルで構成したが、これに限られるこ
となく可動部材を構成する材質としては吐出液に対して
耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するための
弾性を有しているものであればよい。
【0071】可動部材31の材料としては、耐久性の高
い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、
白金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およ
びその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、
スチレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等の
アミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキ
シル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基
を持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹
脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、
耐インク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッ
ケル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金およ
び耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングし
たもの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹
脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリ
エーテルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポ
リイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等
の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有
する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、
エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂
等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール
基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素、チ
ッ化珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。
本発明における可動部材31としてはμmオーダーの厚
さを対象にしている。
【0072】次に、発熱体と可動部材の配置関係につい
て説明する。発熱体と可動部材の最適な配置によって、
発熱体による発泡時の液の流れを適正し制御して有効に
利用することが可能となる。
【0073】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図4
に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係に
あるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが存
在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様子
から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在して
いることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の約
4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
【0074】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材に対し有効に作用する領域であるが、
本発明の場合、気泡発生領域のほぼ中央領域(実際には
中央から液の流れ方向に±約10μmの範囲)の上流側
と下流側の気泡の液路内の液流に対する作用を独立的に
作用せしめる段階と、総合的に作用せしめる段階とを区
分せしめることに着目し、該中央領域より上流側部分の
みが可動部材に対面するように、可動部材を配置するの
が極めて重要であると、言える。本実施例においては、
発泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上内側とした
が、発熱体の種類や形成方法によっては、これに限定さ
れるものではない。
【0075】<素子基板>次に、素子基板の構成につい
て説明する。
【0076】図5は本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図
を示したもので、図5(a)は後述する保護膜があるヘ
ッド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0077】液流路10、液流路10と連通する吐出口
18、低流路抵抗領域65および共通液室13を構成す
る溝を設けた天板50が素子基板1上に配されている。
【0078】素子基板1には、シリコン等の基体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体2を構
成するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タン
タル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気
抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュ
ウム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)を図
5(a)のようにパターニングしている。この配線電極
104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流
を流し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シ
リコンやチッ化シリコン等の保護層103を0.1〜
2.0μm厚で形成し、さらにそのうえにタンタル等の
耐キャビテーション層102(0.1〜0.6μm厚)
が成膜されており、インク等の各種の液体から抵抗層1
05を保護している。
【0079】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0080】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより、上述の抵抗層105に保護層103を必
要としない構成でもよくその例を図5(b)に示す。こ
のような保護層103を必要としない抵抗層105の材
料としてはイリジュウム−タンタル−アルミ合金等が挙
げられる。
【0081】このように、前述の発熱体の構成として
は、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だけででもよく、
また抵抗層を保護する保護層を含むものでもよい。
【0082】ここでは、発熱体として電気信号に応じて
発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するものを用い
たが、これに限られることなく、吐出液を吐出させるの
に十分な気泡を発泡液に生じさせるものであればよい。
例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けることで発熱
するような光熱変換体や高周波を受けることで発熱する
ような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0083】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0084】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図6で示されるような矩形パルスを印加し、配線電極
間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施形
態のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅
約4μsec、電流約100mA、電気信号を6kHz
以上で加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動
作によって、吐出口から液体であるインクを吐出させ
た。しかしながら、駆動信号の条件はこれに限られるこ
となく、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信
号であればよい。
【0085】<吐出液体>このような液体の内、記録を
行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブル
ジェット装置で用いられていた組成のインクを用いるこ
とができる。
【0086】また、従来吐出が困難であった発泡性が低
い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液
体等であっても利用できる。
【0087】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
吐出や発泡また可動部材の動作等を妨げるような液体で
ないことが望まれる。
【0088】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。
【0089】本発明においては、さらに吐出液に用いる
ことができる記録液体として以下のような組成のインク
を用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインク
の吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し
非常に良好な記録画像を得ることができる。
【0090】染料インク(粘度2cP)の組成 (C−1.フードブラック2)染料 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量%
【0091】<液体吐出ヘッド構造>図7は、本発明の
液体吐出ヘッドの全体構成を示した分解斜視図である。
【0092】アルミ等の支持体70上に発熱体2が複数
設けられた素子基板1が配されている。この上に各発熱
体2の共通液室13側の半分と対面するように可動部材
31を支持した支持部材34が設けられている。さら
に、この上に液流路10を構成する複数の溝と共通液室
13の凹溝とが設けられた天板50が設けられている。
【0093】<サイドシュータタイプ>ここでは、図1
及び図2を用いて説明した液体吐出原理を、発熱体と吐
出口が平行平面上で対面するサイドシュータタイプのヘ
ッドに適用したものを説明する。図8はこのサイドシュ
ータタイプのヘッドを説明するための図である。
【0094】図8において、素子基板1上の発熱体2と
天板50に形成された吐出口18とが相対するように配
設されている。吐出口18は発熱体2上を通る液流路1
0と連通している。発熱体2と液体との接する面の近傍
領域には気泡発生領域が存在する。そして素子基板1上
に2つの可動部材31が支持され、各々の可動部材は発
熱体の中心を通る面に対して面対称となるように形成さ
れており、各々の可動部材31の自由端は発熱体2上で
向き合うように位置している。また、各々の可動部材3
1は発熱体2への投影面積を等しくしており、各々の可
動部材31の自由端どうしは所望の寸法で隔てられてい
る。ここで、各可動部材は発熱体の中心を通る面の分割
壁で分割したと仮定した際、それぞれの分割された発熱
体の中心付近に可動部材の自由端が位置するように設け
られている。
【0095】天板50には各可動部材31の変位をある
範囲で規制するストッパ64が設けられている。共通液
室13から吐出口18への流れにおいて、ストッパ64
を境に上流側に、液流路10と比較して相対的に流路抵
抗の低い低流路抵抗領域65が設けられている。この領
域65における流路構造は液流路10よりも流路断面積
が大きいことで、液体の移動に対し流路から受ける抵抗
を小さくしている。
【0096】次に、本形態の構造による特徴的な作用・
効果を説明する。
【0097】図8(a)では、気泡発生領域11内を満
たす液体の一部が発熱体2によって加熱され、膜沸騰に
伴う気泡40が最大に成長した状態を示す。このとき、
気泡40の発生に基づく圧力により液流路10内の液体
が吐出口18方向に移動し、気泡40の成長により各可
動部材31が変位し、吐出口18から吐出滴66が飛び
出そうとしている。ここで、共通液室13方向への液体
の移動は各低流路抵抗領域65によって大きな流れとな
るが、2つの可動部材31は各々のストッパ64に接近
または接触するまで変位すると、それ以上の変位が規制
されるため、共通液室13方向への液体の移動もそこで
大きく制限される。同時に気泡40の上流側への成長も
可動部材31で制限される。しかしながら、上流方向へ
の液体の移動力は大きいため、各可動部材31で成長を
制限された気泡40の一部は、液流路10を形成する側
壁と可動部材31の側部との間隙を通り、可動部材31
の上面側に隆起している。すなわち、隆起気泡41を形
成している。
【0098】かかる膜沸騰の後に気泡40の収縮が開始
された場合、この時点では液体の上流方向への力が大き
く残るため、各可動部材31は未だストッパ64に接触
された状態であり、気泡40の収縮の多くは吐出口18
から上流方向への液移動を生じさせる。したがって、メ
ニスカスはこの時点で吐出口18から液流路10内に大
きく引き込まれ、吐出液滴66と繋がっている液柱を強
い力ですばやく切り離す。その結果、吐出口18の外側
にとり残される液滴すなわちサテライトが少なくなる。
【0099】消泡工程がほぼ終了すると、各低流路抵抗
領域65では液体の上流方向の移動力に対し可動部材3
1の反発力(復元力)が勝り、可動部材31の下方変位
とそれに伴う低流路抵抗領域65での下流方向への流れ
とが開始される。これと同時に、低流路抵抗領域65で
の下流方向への流れは流路抵抗が小さい為、急速に大き
な流れとなってストッパ64部分を介し液流路10へ流
れ込む。図8(b)はこの気泡40の消泡工程における
液流をABで示したものである。液流Aは共通液室13
からの液体が可動部材31の上面(発熱体と反対面)側
を通って吐出口18方向に流れる成分を示し、液流Bは
可動部材31の両側と発熱体2上を通って流れる成分を
示している。
【0100】このように本形態では、吐出用液体を低流
路抵抗領域65より供給することで、リフィル性をより
高速に高めている。また、低流路抵抗領域65に隣接す
る共通液室13がさらに流路抵抗を小さくしているの
で、さらに高速リフィルを可能にしている。
【0101】さらに、気泡40の消泡工程において、隆
起気泡41が各低流路抵抗領域65から気泡発生領域1
1への液流を促進させ、前述した、吐出口18側からの
高速なメニスカス引き込みと相まって、消泡をすみやか
に完了させる。特に、隆起気泡41が引き起こす液流に
よって可動部材31や液流路10のコーナーに気泡を蓄
留させることがほとんどない。
【0102】<液体吐出装置>図9は、図1や図8で説
明した構造の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装置の
概略構成を示している。本実施形態では、特に吐出液体
としてインクを用いたインク吐出記録装置を用いて説明
する。液体吐出装置のキャリッジHCは、インクを収容
する液体タンク部90と、液体吐出ヘッド部200とが
着脱可能なヘッドカートリッジを搭載しており、被記録
媒体搬送手段で搬送される記録紙等の被記録媒体150
の幅方向に往復移動する。
【0103】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0104】また、本実施形態の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモーター111、駆動源からの動力をキ
ャリッジに伝えるためのギア112、113、キャリッ
ジ軸115等を有している。この記録装置およびこの記
録装置で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体
に対して液体を吐出することで良好な画像の記録物を得
ることができた。
【0105】図10は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドにおいてインク吐出記録を動作させるため
の装置全体のブロック図である。
【0106】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0107】また、CPU302は前記画像データを記
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モ
ータを駆動するための駆動データを作る。画像データお
よびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307
と、モータドライバ305を介し、ヘッド200および
駆動モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイ
ミングで駆動され画像を形成する。
【0108】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅等の
金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等
の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等
の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0109】また、上述の記録装置として、各種の紙や
OHPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コン
パクトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラス
チック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装
置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行
う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミ
ックス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対
して記録を行う記録装置、また布帛に記録を行う捺染装
置等をも含むものである。
【0110】また、これらの液体吐出装置に用いる吐出
液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0111】
【発明の効果】本発明による液体吐出ヘッド、液体吐出
方法によれば、気泡の前方部分の成長から収縮への段階
において、後方部分が成長することによって前方部分の
変動段階を乱すという課題を解決でき、気泡の成長から
収縮への変化点の変化率を安定かつ急速なものにでき液
体のきれが良好でかつ安定している。したがって、この
吐出方法や吐出方法や吐出ヘッドを用いれば画像品位が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの1つの実施の形態を
液流路方向で切断した断面図で示すとともに、液流路内
の特徴的な現象を(a)〜(f)の工程に分けて示した
ものである。
【図2】図1(b)に示した一部のヘッドの透視斜視図
であり、
【図3】図2に示した可動部材の他の形状を示すもので
ある。
【図4】発熱体面積とインク吐出量との相対関係を示す
グラフである。
【図5】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図を示したも
ので、(a)は保護膜があるもの、(b)は保護膜がな
いものである。
【図6】本発明に使用する発熱体を駆動する波形図であ
る。
【図7】本発明の液体吐出ヘッドの全体構成を示した分
解斜視図である。
【図8】本発明の液体吐出方法を適用したサイドシュー
タタイプのヘッドを説明するための図である。
【図9】図1や図8で説明した構造の液体吐出ヘッドを
搭載した液体吐出装置の概略構成を示す図である。
【図10】本発明の液体吐出方法および液体吐出ヘッド
においてインク吐出記録を動作させるための装置全体の
ブロック図である。
【図11】「直線的連通状態」を説明する流路の断面図
である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 10 液流路 11 気泡発生領域 13 共通液室 18 吐出口 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 40 気泡 41 隆起気泡 50 天板 64 ストッパ 65 低流路抵抗領域 66 吐出滴 67 サテライト 70 支持体 90 インクタンク 102 耐キャビテーション層 103 保護層 104 配線電極 105 抵抗層 106 チッ化シリコン膜 107 基体 111 モーター 112,113 ギア 115 キャリッジ軸 150 記録媒体 200 ヘッド 300 ホストコンピュータ 301 入出力インターフェイス 302 CPU 303 ROM 304 RAM 305 モータドライバ 306 駆動用モータ 307 ヘッドドライバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 種谷 陽一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 島津 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須釜 定之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA04 EA15 FA03 FB03 FB04 2C057 AF03 AF06 AF52 AF77 AG12 AG46 AG76 AJ03 AJ04 BA03 BA04 BA13

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体中に気泡を発生させるための熱エネ
    ルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分で
    ある吐出口と、該吐出口に連通するとともに、液体に気
    泡を発生させる気泡発生領域を有する液流路と、前記気
    泡発生領域に設けられ前記気泡の成長に伴い変位する可
    動部材と、前記可動部材の変位を所望の範囲に規制する
    規制部とを備え、前記気泡発生時のエネルギーにより前
    記吐出口から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記発熱体の吐出口側端から中心部までの範囲と前記吐
    出口の中心とを結ぶ領域には前記液体のみが存在し得る
    直線連通状態にあるとともに、前記可動部材は待機状態
    において自由端を気泡発生領域の上記中心部に対向した
    位置に有し、該自由端が前記規制部に実質的に接触する
    ことで気泡発生領域よりも上流側の流路の最大流路抵抗
    を形成して最大気泡の上流側の成分を略一定化した状態
    を形成することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記可動部材は、前記吐出口に向かう液
    体の流れに関して上流方向に成長する気泡のみを抑制す
    るために設けられていることを特徴とする請求項1に記
    載の液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記可動部材は自由端を有しており、該
    自由端は前記気泡発生領域の実質中央部に位置している
    ことを特徴とする請求請1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記可動部材の前記待機状態における前
    記液流路の流路抵抗は、前記規制部を境界として下流側
    よりも上流側のほうが低くなっていることを特徴とする
    請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記可動部材の前記規制部への接触は前
    記自由端近傍で行われることを特徴とする請求項3に記
    載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記規制部は前記液流路の前記可動部材
    からの距離を部分的に小さくすることにより形成されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  7. 【請求項7】 前記吐出口は前記発熱体の上方に設けら
    れることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】 前記可動部材は一つの発熱体に対して複
    数形成されており、該複数の可動部材は前記発熱体の発
    泡中心に対して対称となるように形成されていることを
    特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 液体中に気泡を発生させるための熱エネ
    ルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分で
    ある吐出口と、該吐出口に連通するとともに、液体に気
    泡を発生させる気泡発生領域を有する液流路と、前記気
    泡発生領域に設けられ前記気泡の成長に伴い変位する可
    動部材と、前記可動部材の変位を所望の範囲に規制する
    規制部とを備え、前記気泡発生時のエネルギーにより前
    記吐出口から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドを用い
    た液体吐出方法であって、 前記液体吐出ヘッドは、前記発熱体の吐出口側端から中
    心部までの範囲と前記吐出口の中心とを結ぶ領域には液
    体のみが存在し得る直線連通状態にあるとともに、前記
    可動部材は待機状態において自由端を気泡発生領域の上
    記中心部に対向した位置に有し、該自由端が前記規制部
    に実質的に接触することで気泡発生領域よりも上流側の
    流路の最大流路抵抗を形成して最大気泡の上流側の成分
    を略一定化した状態で前記液体を吐出することを特徴と
    する液体吐出方法。
  10. 【請求項10】 前記可動部材が前記規制部に実質的に接
    触して、前記上流方向への液体の移動及び気泡成長によ
    って上流方向へ引っ張られた形の応力を受けた後、前記
    気泡の消泡を開始する工程をさらに有することを特徴と
    する請求項9に記載の液体吐出方法。
  11. 【請求項11】 前記可動部材が前記規制部に実質的に接
    触したまま前記気泡が収縮する工程をさらに有すること
    を特徴とする請求項9に記載の液体吐出方法。
  12. 【請求項12】 前記可動部材が前記規制部に実質的に接
    触したまま前記気泡が収縮する工程では、前記気泡の収
    縮に伴う液体の移動の大部分を前記吐出口から上流方向
    に向かわせ、前記吐出口内にメニスカスを急速に引き込
    むことを特徴とする請求項11に記載の液体吐出方法。
  13. 【請求項13】 前記気泡収縮工程中に、前記可動部材を
    前記規制部より離間させることにより前記気泡発生領域
    に吐出口に向かう下流方向への液流を生じさせ、前記メ
    ニスカスの引き込みを急制動することを特徴とする請求
    項12に記載の液体吐出方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液
    体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液体
    を受け取る被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
    と、を備えた液体吐出装置。
  15. 【請求項15】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
    し、前記被記録媒体に該インクを付着させることで記録
    を行うことを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1177899A1 (en) 2000-07-31 2002-02-06 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet head with anti-cavitation film preventing kogation and erosion
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