JP3372826B2 - 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド及び液体吐出装置

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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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    • B41J2/14048Movable member in the chamber

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な吐出原理に
よって所望の液体を吐出する液体吐出ヘッドに関し、、
特に、気泡の発生を利用して可動部材を変位させる構造
を有する液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
【0002】また、本発明の液体吐出ヘッドは、紙、
糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、
木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行うプ
リンター、複写機、通信システムを有するファクシミ
リ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さ
らには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録
装置に適用できる発明である。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許第4,723,129明細書に開示されているよう
に、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連
通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを
吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換
体が一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0007】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0008】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0009】この流路形状の内、流路構造として図22
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。この公報に記載されてい
る流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発
生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向
かう圧力、即ち、液室12へ向かう圧力)に着目した発
明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギ
ーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0010】図22、(a),(b)に示す発明は、発
熱素子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発
熱素子2に関して吐出口11とは反対側に位置する弁1
0を開示する。
【0011】図22(b)においては、この弁10は、
板材等を利用する製造方法によって、流路3の天井に貼
り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流
路3内へ垂れ下がるものとして開示されている。この発
明は、上述したバック波の一部を弁10によって制御す
ることでエネルギー損失を抑制するものとして開示され
ている。
【0012】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路3内部に、気泡が発生した際を
検討するとわかるように、弁10によるバック波の一部
を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なもので
ないことがわかる。
【0013】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
3内に発生した時点では、図22(a)に示すように、
気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路3から
液体を吐出可能状態にしている。従って、バック波のう
ち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に
大きな影響を与えないことは明らかである。
【0014】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生す
ることで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なイ
ンクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐
出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十
分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出す
べき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望
まれていた。
【0015】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、USP4,48
0,259号等の公報に開示されている。これらの公報
では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムな
どの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接し
ないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可撓
性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。
このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防止
や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0016】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下
してしまう虞があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的に従
来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成し
て液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来で
は考えられなかった観点から、従来では予想できない水
準に高めることを主たる課題とする。
【0018】発明者達の一部は、液滴吐出の原理に立ち
返り、従来では得られなかった気泡を利用した新規な液
滴吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく
鋭意研究を行った。このとき、流路中の可動部材の機構
の原理を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を
起点とする第1技術解析、及び気泡による液滴吐出原理
を起点とする第2技術解析、さらには、気泡形成用の発
熱体の気泡形成領域を起点とする第3解析を行うことに
した。
【0019】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0020】つぎに、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮するこ
とが吐出特性を格段に向上できる要因として最大である
との知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を
吐出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出
速度の向上をもたらすことも判明した。このことから、
発明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材
の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比べ極
めて高い技術水準に至った。
【0021】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る
中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
がわかった。
【0022】また、一方、可動部材の配置と液供給路の
構造を考慮することで、リフィル速度を大幅に向上する
ことができることがわかった。
【0023】本発明者達の一部及び出願人は、このよう
に研究で得られた知見および、総合的観点から優れた液
体の吐出原理を出願しているが、本発明者達はこの発明
を前提により好ましい着想を想起するに至った。
【0024】本発明者達が認識した点は、特に本発明で
は、発熱体と第2液路の配置関係を考慮することで、吐
出力を一層安定させつつ、高密度の液体吐出ヘッドを提
供するということである。
【0025】本発明の主たる目的は以下の通りである 第1の目的は、発生した気泡の成長を気泡発生領域と発
熱体の配置関係により、より集中的に効率よく上側ある
いは吐出口側へ向けて伝えることのできる液体吐出ヘッ
ド及び液体吐出装置を提供することにある。
【0026】本発明の第2の目的は、吐出効率、吐出圧
力の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に
軽減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図るこ
とで、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出ヘッド及び
液体吐出装置を提供することにある。
【0027】本発明の第3の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によって、メニスカス後退量を
低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピー
ド等を向上させた液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提
供することにある。
【0028】本発明の第4の目的は、発熱体上への堆積
物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広げること
ができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐出
ヘッド及び液体吐出装置を提供することにある。
【0029】本発明の第5の目的は、吐出する液体の選
択自由度を高くできる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
を提供することにある。
【0030】本発明の第6の目的は前述のような液体吐
出ヘッドの製造を容易に成しうる液体吐出ヘッド及び液
体吐出装置を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、 液体を吐出する吐出口と、該吐出口
に連通する液流路と、該液流路の一部であって液体に気
泡を発生させるための熱を発生する発熱体が設けられた
気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して配され、第
1の位置と該第1の位置よりも前記気泡発生領域から遠
い第2の位置との間を変位可能な可動部材とを有し、該
可動部材は、前記気泡発生部での気泡の発生に基づく圧
力によって、前記第1の位置から前記第2の位置へ変位
すると共に、前記可動部材の変位によって前記気泡を吐
出口に向かう方向の上流よりも下流に大きく膨張させる
ことで液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記発
熱体は該発熱体の周囲の発泡に関与しない非発泡有効領
域と該非発泡有効領域に囲まれた発泡に関与する発泡有
効領域とを有し、前記液流路における液体の流れ方向に
関して前記発熱体の幅中心と前記発泡有効領域の幅中心
とが等しく、かつ、前記発泡有効領域が前記気泡発生領
域内に存在し、 前記気泡発生領域の幅<前記発熱体の幅 であることを特徴とする液体吐出ヘッドにある。
【0032】また、本発明は、上記液体吐出ヘッドにお
いて、発熱体の幅−8μm≦気泡発生領域の幅、である
ことを特徴とする。
【0033】さらに、本発明は、上記液体吐出ヘッドに
おいて、液体の流れ方向を発熱体及び発泡有効領域の長
さ方向とすると、発泡有効領域の長さ≦気泡発生領域の
長さ≦発熱体の長さ、であることを特徴とする。
【0034】また、本発明は、上記液体吐出ヘッドにお
いて、発泡有効領域の面積≦可動部材の面積であって、
静止状態において可動部材は前記発泡有効領域を密閉す
ることを特徴とする。
【0035】本発明においては、発泡有効領域が気泡発
生領域内に存在し、かつ、気泡発生領域の幅<発熱体の
幅、とすることで、発生した気泡を上側あるいは吐出口
側へ成長させることができる。これにより、吐出力をよ
り安定にすることができる。また、高密度化することが
可能となり画像品位を向上できる。
【0036】加えて、上述したような、極めて新規な吐
出原理に基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等による
と、発生する気泡とこれによって変位する可動部材との
相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よ
く吐出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出方
法、ヘッド等に比べて、吐出効率を向上できる。例え
ば、本発明の最も好ましい形態においては、2倍以上と
いう飛躍的な吐出効率の向上を達成できた。
【0037】この発明のさらに特徴的な構成によれば、
低温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出に
なることを防止でき、仮に不吐出になっても、予備吐出
や吸引回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常
状態に即座に復帰できる利点もある。
【0038】具体的には64個の吐出口を持つ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0039】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0040】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0041】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0042】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0043】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0044】さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
【0045】さらに、本発明でいう可動部材の「自由端
部」とは、可動部材の下流側端部である自由端およびそ
の近傍を含み、また可動部材の下流側の角近傍を含むも
のを意味している。さらに、本発明でいう可動部材の
「自由端領域」とは、可動部材の下流側端部である自由
端自体、あるいは自由端近傍、自由端と側端を合わせた
領域のいずれかを意味している。
【0046】また、本発明でいう「可動部材に対する液
流路の抵抗」とは、可動部材が気泡の発生に伴って、気
泡発生領域から遠ざかる方向に移動する際に、液流路内
の液体が可動部材に与える抵抗を意味する。従って、本
発明は、この抵抗を変化させること、即ち抵抗勾配を持
たせたり、物理的なストッパによる抵抗や液体を介在さ
せての実質的なストッパによる抵抗等を用いることで、
可動部材の挙動を制御しようとする技術内容を全て含む
ものである。以下、この抵抗を単に「抵抗」または「流
抵抗」と表現する。
【0047】
【発明の実施の形態】
(吐出原理)新たな吐出原理による本発明に適用される
液体吐出ヘッドについて説明する。
【0048】まず、液体を吐出するための、気泡に基づ
く圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することで吐
出力や吐出効率の向上を図る場合の例を説明する。
【0049】図1はこのような本発明に適用される液体
吐出ヘッドを液流路方向で切断した断面模式図を示して
おり、図2はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示
している。
【0050】本発明に適用される液体吐出ヘッドは、液
体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、液
体に熱エネルギーを作用させる発熱体2(本実施例にお
いては40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が素
子基板1に設けられており、この素子基板上に発熱体2
に対応して液流路10が配されている。液流路10は吐
出口18に連通していると共に、複数の液流路10に液
体を供給するための共通液室13に連通しており、吐出
口から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室
13から受け取る。
【0051】この液流路10の素子基板上には、前述の
発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有す
る材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31
が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液
流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニ
ングして形成した土台(支持部材)34等に固定されて
いる。これによって、可動部材は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0052】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程
度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材
との間が気泡発生領域となる。なお発熱体、可動部材の
種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述
するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状お
よび配置であればよい。なお、上述した液流路10は、
後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材31
を境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の
液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を
有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明す
る。
【0053】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体に米国特許第4,723,129号明細書に記載
されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させ
る。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的
に作用し、可動部材31は図1(b)、(c)もしくは
図2で示されるように支点33を中心に吐出口側に大き
く開くように変位する。可動部材31の変位若しくは変
位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気
泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0054】ここで、本発明に適用される基本的な吐出
原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理
の1つは、気泡に対面するように配された可動部材が気
泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1
の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、こ
の変位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力
や気泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことで
ある。
【0055】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図3と本発明の図4とを比較し
てさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への
圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をVB
として示した。
【0056】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1
〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を
向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼす
A方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4
即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力
伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速
度等に直接寄与する重要な部分である。さらにV 1は吐
出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4
はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0057】これに対して、図4で示される本発明の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側(吐
出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するもので
あり、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よく吐
出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体
も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上
流より下流で大きく成長する。このように、気泡の成長
方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方
向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度等
の根本的な向上を達成することができる。
【0058】次に図1に戻って、本実施例の液体吐出ヘ
ッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0059】図1(a)は、発熱体2に電気エネルギー
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が
熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可
動部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対
し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に
設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可
動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも
発熱体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通
って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで
可動部材31が配されている。
【0060】図1(b)は、発熱体2に電気エネルギー
等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0061】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。こ
こで重要なことは前述したように、可動部材31の自由
端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流
側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部材
の少なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下
流部分に対面させることである。
【0062】図1(c)は気泡40がさらに成長した状
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下
流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線
位置)を越えて大きく成長している。このように気泡4
0の成長に応じて可動部材31が徐々に変位して行くこ
とで気泡40の圧力伝搬方向や堆積移動のしやすい方
向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出口に均
一的に向かわせることができることも吐出効率を高める
と考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を吐出口方向へ
導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝
搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や
気泡の成長方向を制御することができる。
【0063】図1(d)は気泡40が、前述した膜沸騰
の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0064】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性によ
る復元力によって図1(a)の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側か
ら流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側から流れ
のVCのように液体が流れ込んでくる。
【0065】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明に適
用される液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについ
て詳しく説明する。
【0066】図1を用いて本発明における液供給メカニ
ズムをさらに詳しく説明する。
【0067】図1(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出
口18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込
む。可動部材31を持たない従来の液流路構造において
は、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液
室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に
近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起
因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものであ
る。)。
【0068】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0069】これに対し、本構成は可動部材31を設け
たため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境に
上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消
泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカスの
後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給は
主に第2流路16の流れVD2からの液供給によって成さ
れる。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対
応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対し
て、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量
に抑えることが可能になった。
【0070】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行う
ことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0071】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本構成の高速リフィルにおいては可動部材に
よって吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生領
域11との吐出口側での液体の流通が抑制されるためメ
ニスカスの振動を極めて少なくすることができることで
ある。
【0072】このように本構成は、第2流路16の液供
給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述
したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィル
を達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、ま
た記録の分野に用いた場合、画質の向上や高速記録を実
現することができる。
【0073】本発明の構成においてはさらに次のような
有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生によ
る圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することで
ある。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室13側
(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側に
向かって液体を押し戻す力(バック波)になっていた。
このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移動
量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これらは
液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の妨げ
にもなっていた。本発明においては、まず可動部材31
によって上流側へのこれらの作用を抑えることでもリフ
ィル供給性の向上をさらに図っている。
【0074】次に、本構成の更なる特徴的な構造と効果
について、以下に説明する。
【0075】本構成の第2液流路16は、発熱体2の上
流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面が
大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12を
有している。このような場合、気泡発生領域11および
発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡
発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように行わ
れる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀むことが
抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡で
きずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、また、
液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、よ
り安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができ
る。なお、本構成では実質的に平坦な内壁を持つ液体供
給路12を持つもので説明したが、これに限らず、発熱
体表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を有する液
供給路であればよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の
供給に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0076】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行われ
るものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有効
に吐出口に導くために図1で示すように気泡発生領域の
全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材を
用い、可動部材31が第1の位置へ復帰することで、気
泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い領域と
の液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、前述の
D1から気泡発生領域11に向かっての液体の流れが妨
げられる。しかし、本発明に適用されるヘッド構造にお
いては、気泡発生領域に液体を供給するための流れVD1
があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部
材31で気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を
求めた構造を取っても、液体の供給性能を落とすことが
ない。
【0077】ところで、可動部材31の自由端32と支
点33の位置は、例えば図5で示されるように、自由端
が相対的に支点より下流側にある。このような構成のた
め、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向
を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できる
のである。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や
効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れ
る液体に対する流抵抗を小さくしでき高速にリフィルで
きるという効果を達成している。これは図5に示すよう
に、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力により
吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行
われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流
路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対し、
逆らわないように自由端と支点33とを配置しているた
めである。
【0078】補足すれば、図1の例においては、前述の
ように可動部材31の自由端32が、発熱体2を上流側
領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱体の面
積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交する線)
より下流側の位置に対向するように発熱体2に対して延
在している。これによって発熱体の面積中心位置3より
下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧力、又
は気泡を可動部材31が受け、この圧力及び気泡を吐出
口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根本的に向
上させることができる。
【0079】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0080】また、本実施例の構成においては可動部材
31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていること
も、液体の吐出に対して有効に寄与している考えられ
る。
【0081】以上、新たな吐出原理による本発明の液体
吐出ヘッドについて説明を行ったが、以下に、この液体
吐出ヘッドに好ましく適用できる実施例について図面を
用いて説明する。但し、以下の説明においては前述の1
流路形態と2流路形態のいずれかを取り上げて説明する
場合があるが特に記載しない限り、両形態に適用しうる
ものである。
【0082】<液流路の天井形状>図6は本発明の液体
吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第1液流路14
(若しくは図1における液流路10)を構成するための
溝が設けられた溝付き部材50が分離壁30上に設けら
れている。本実施例においては可動部材31の自由端3
2位置近傍の流路天井の高さが高くなっており、可動部
材の動作角度θをより大きく取れるようにしている。こ
の可動部材の動作範囲は、液流路の構造、可動部材の耐
久性や発泡力等を考慮して決定すればよいが、吐出口の
軸方向の角度を含む角度まで動作することが望ましいと
考えられる。
【0083】また、この図で示されるように吐出口の直
径より可動部材の自由端の変位高さを高くすることで、
より十分な吐出力の伝達が成される。また、この図で示
されるように、可動部材の自由端32位置の液流路天井
の高さより可動部材の支点33位置の液流路天井の高さ
の方が低くなっているため、可動部材の変位よる上流側
への圧力波の逃げがさらに有効に防止できる。
【0084】<第2液流路と可動部材との配置関係>図
7は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配置
関係を説明するための図であり、同図(a)は分離壁3
0、可動部材31近傍を上方から見た図であり、同図
(b)は、分離壁30を外した第2液流路16を上方か
ら見た図である。そして、同図(c)は、可動部材31
と第2液流路16との配置関係を、これらの各要素を重
ねることで模式的に示した図である。なお、いずれの図
も図面下方が吐出口が配されている前面側である。
【0085】本実施例の第2の液流路16は発熱体2の
上流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体
位置、可動部材、第1流路を経て吐出口に向う大きな流
れの中の上流側のことである。)に狭窄部19を持って
おり、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容易に
逃げることを抑制するような室(発泡室)構造となって
いる。
【0086】従来のヘッドのように、発泡する流路と液
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側
に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を
設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮し
て、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない
構成を採る必要があった。
【0087】しかし、本実施例の場合、吐出される液体
の多くを第1液流路内の吐出液とすることができ、発熱
体が設けられた第2液流路内の発泡液はあまり消費され
ないようにできるため、第2液流路16の気泡発生領域
11への発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述
の狭窄部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に
狭くできるため、第2液流路で発生した発泡時の圧力を
あまり周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可
動部材側に向けることができる。そしてこの圧力を可動
部材31を介して吐出力として利用することができるた
め、より高い吐出効率、吐出力を達成することができ
る。ただ、第1液流路16の形状は上述の構造に限られ
るものではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動部
材側に伝えられる形状であれば良い。
【0088】なお、図7(c)で示されるように可動部
材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を覆っ
ており、このことで、可動部材31の第2液流路への落
ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液と
発泡液との分離性をさらに高めることができる。また、
気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さらに
吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、前述
の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果を高
めることができる。
【0089】なお、図1(c)や図6においては、可動
部材31の第1の液流路14側への変位に伴って第2の
液流路16の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第1
の液流路14側に延在しているが、この様に気泡が延在
するような第2流路の高さにすることで、気泡が延在し
ない場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。
この様に気泡が第1の液流路14に延在するようにする
ためには、第2の液流路16の高さを最大気泡の高さよ
り低くすることが望ましく、この高さを数μm〜30μ
mとすることが望ましい。なお、本実施例においてはこ
の高さを15μmとした。
【0090】<気泡発生領域と発熱体との配置関係> 〔参考例〕 図8は概念的な発熱体と気泡発生領域の配置関係を示
し、図9は発熱体と気泡発生領域の配置関係の参考例を
示す。図8における発熱体2の寸法は58×150μ
m、可動部材31の寸法は53×220μm、第2の液
流路16の高さを15μm、幅は62μmであり、図9
における発熱体2の寸法は58×150μm、可動部材
31の寸法は53×220μm、第2の液流路16の高
さを15μm、幅は58μmである。本実施例の図9
は、図8と比べ、第2の液流路の幅が異なり、発熱体の
幅と同じである。
【0091】図8において、気泡発生領域16で発生し
た気泡40の圧力伝搬方向をV1〜V4で示す。圧力は四
方に広がりながら可動部材31へ達する。
【0092】図9の例は、気泡発生領域16の幅の中心
と発熱体2の幅の中心は同じであり(以下の例も同
様)、(気泡発生領域の幅)=(発熱体の幅)の配置関
係である。図8においては、サイドに広がりをもった圧
力V3、V4が、また図9では第2液流路の壁により、よ
りストレートに上方向に伝わりやすい。そのため、発泡
による圧力は、ムダなく可動部材に伝わり吐出力に変換
されるため、吐出効率が向上する。
【0093】また、本参考例のような構造にすること
で、ノズルのピッチを高密度にすることが可能なり、画
像品位を著しく向上させることができる。
【0094】〔実施例1〕 図10は実施例1である発熱体と気泡発生領域の配置関
係を示す。図10における発熱体2の寸法は58×15
0μm、可動部材31の寸法は53×220μm、第2
の液流路16の高さを15μm、幅は50μmである。
実施例1は、参考例に比べ、第2の液流路の幅が、50
μmとせまくなっており、発熱体2と気泡発生領域16
の関係は、(気泡発生領域の幅)=(発熱体の幅)−8
μmである。
【0095】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図1
3に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係
にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが
存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様
子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在し
ていることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の
約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
【0096】したがって、横xμm、縦yμmのサイズ
の発熱体であれば、 (発泡有効面積)=(x−8)(y−8)μm2 の関係が成り立つ。
【0097】本実施例においては、発泡有効領域を発熱
体周囲から約4μm以上内側としたが、発熱体の種類や
形成方法によっては、これに限定されるものではない。
【0098】よって、本実施例は、図10の配置関係に
することで、気泡の圧力伝搬はよりムダなく吐出力に変
換されるため、吐出効率が向上する。
【0099】また、基本的に、発泡有効面積は同じであ
っても発熱体のサイズにより吐出効率は変化し、(横x
μm)=(縦yμm)が理想的である。
【0100】そのため、高密度化に関し、ノズルピッチ
から決まる発熱体の取り得る横サイズと吐出に必要な発
熱体面積から、限界と考えられていたノズルピッチよ
り、さらに一歩高密度化することが可能となった。
【0101】実施例1のヘッドを用いて、吐出効率につ
いて測定を行った。測定条件は以下の通りである。
【0102】 発泡液 : エタノール40%水溶液 吐出用インク : 染料インク 電圧 : 20.2V 周波数 : 3kHz
【0103】この測定条件で実験を行った結果、投入エ
ネルギーに対する吐出量と吐出速度からもとまる運動エ
ネルギーは、従来の可動部材のないヘッドと比べ、格段
に向上することが確認された。
【0104】〔実施例2〕 図11は実施例2の発熱体と気泡発生領域の配置関係を
示す。
【0105】図11における発熱体2の寸法は58×1
50μm、可動部材31の寸法は53×150μm、第
2の液流路16の高さを15μm、幅は50μmであ
る。
【0106】発熱体幅と気泡発生領域幅の関係は実施例
1と同じであるが、発熱体の長さと気泡発生領域の長さ
の関係が実施例1とは異なり、(気泡発生領域の長さ)
=(発熱体の長さ)−8μmである。
【0107】このような配置関係にすることで、気泡発
生領域の発泡室は有効発泡する発熱体のみで構成される
ことにより、発生した気泡の圧力伝搬はよりムダなく可
動部材に伝わって吐出力に変換されるため、吐出効率が
向上する。
【0108】また、吐出液が熱に弱く、発熱体上に堆積
物を生じやすいものであって、吐出液と発泡液が異なる
場合であっても、このような構造をとることで、可動部
材が変位している間、気泡発生領域は気泡で満たされて
いるため 吐出液と発泡液はが混合しにくい。また、可
動部材のサイズを気泡発生領域のサイズより大きくする
ことで、気泡発生領域の密閉性がよくなり、吐出液と発
泡液の混合を防止する。
【0109】<可動部材および分離壁>図12は可動部
材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設け
られたスリットであり、このスリットによって、可動部
材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状で
あり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材
の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広く
なっており、可動部材の耐久性が向上する形状である。
動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図7(a)
で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっている
形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流路側に
入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、耐久性
に優れた形状であればよい。
【0110】先の実施例においては、板状可動部材31
をおよびこの可動部材を有する分離壁20は厚さ5μm
のニッケルで構成したが、これに限られることなく可動
部材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液に
対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作する
ための弾性を有し、微細なスリットが形成できるもので
あればよい。
【0111】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラ
ミックおよびその化合物が望ましい。
【0112】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の
近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱
性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、
金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もし
くは表面にチタンや金をコーティングしたものが望まし
い。
【0113】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0114】なお、可動部材31を形成するためのスリ
ット35の幅は本実施例では2μmとしたが、発泡液と
吐出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止した
い場合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形
成する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑制す
ればよい。例えば、発泡液として2cp(センチポア
ズ)程度の液体を用い、吐出液として100cp以上の
液体を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液
を防止することができるが、3μm以下にすることが望
ましい。
【0115】本発明における可動部材としてはμmオー
ダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダー
の厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚
さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(W
μm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考
慮することが望ましい。
【0116】スリットを形成する可動部材の自由端ある
いは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚み
と同等の場合(図12、図6等)、スリット幅と厚みの
関係を製造のバラツキを考慮して以下のような範囲にす
ることで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制すること
ができる。このことは限られた条件ではあるが設計上の
観点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して高粘度
インク(5cp、10cp等)を用いる場合、W/t≦
1を満足するようにすることで、2液の混合を長期にわ
たって抑制することが可能な構成となった。
【0117】本発明の「実質的な密閉状態」を与えるス
リットとしては、このような数μmオーダであればより
確実である。
【0118】上述のように、発泡液と吐出液とに機能分
離させた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部材と
なる。この可動部材が気泡の生成に伴って移動する際に
吐出液に対して発泡液がわずかに混入することが見られ
る。画像を形成する吐出液は、インクジェット記録の場
合、色材濃度を3%乃至5%程度有するものが一般的で
あることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴に対して
20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化をもたら
さない。従って、このような混液としては、吐出液滴に
対して20%以下となるような発泡液と吐出液との混合
を本発明に含むものとする。
【0119】尚、上記構成例の実施では、粘性を変化さ
せても上限で15%の発泡液の混合であり、5cps以
下の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよる
が、10%程度を上限とするものであった。
【0120】特に、吐出液の粘度を20cps以下にす
ればする程、この混液は低減(例えば5%以下)でき
る。
【0121】次に、このヘッドにおける発熱体と可動部
材の配置関係について、図を用いて説明する。ただし、
可動部材と発熱体の形状および寸法,数は、以下に限定
されるものではない。発熱体と可動部材の最適な配置に
よって、発熱体による発泡時の圧力を吐出圧として有効
に利用することが可能となる。
【0122】先に述べたように、発熱体には周囲に非発
泡有効領域が存在しており、発熱体周囲の約4μm幅は
発泡に関与していないと考えられている。
【0123】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材の可動領域で覆われるように、可動部
材を配置するのが効果的であると、言える。
【0124】図14に、58×150μmの発熱体2に
可動領域の総面積が異なる可動部材301((a)
図)、可動部材302((b)図)を配置したときの上
部から見た模式図を示す。
【0125】可動部材301の寸法は、53×145μ
mで、発熱体2の面積よりも小さいが、発熱体2の発泡
有効領域と同じ程度の寸法であり、該発泡有効領域を覆
うように、配置されている。一方、可動部材302の寸
法は、53×220μmで発熱体2の面積よりも大きく
(幅寸法を同じにした場合、支点〜可動先端間の寸法が
発熱体の長さよりも長い)、可動部材301と同じよう
に発泡有効領域を覆うように配置されている。上記2種
の可動部材301、302に対し、それらの耐久性と吐
出効率について測定を行った。測定条件は以下の通りで
ある。
【0126】 発泡液 : エタノール40%水溶液 吐出用インク: 染料インク 電圧 : 20.2V 周波数 : 3kHz
【0127】この測定条件で実験を行った結果、可動部
材の耐久性に関しては、(a)可動部材301の方は、
1×107パルス印加したところで可動部材301の支
点部分に損傷が見られた。(b)可動部材302の方
は、3×108パルス印加しても、損傷は見られなかっ
た。また、投入エネルギーに対する吐出量と吐出速度か
らもとまる運動エネルギーも約1.5〜2.5倍程度向
上することが確認された。
【0128】以上の結果から、耐久性、吐出効率の両面
からみても、発泡有効領域の真上を覆うように可動部材
を設け、該可動部材の面積が発熱体の面積よりも大きい
方が、優れていることがわかる。
【0129】図15に発熱体のエッジから可動部材の支
点までの距離と、可動部材の変位量の関係を示す。ま
た、図16に、発熱体2と可動部材31との位置関係を
側面方向から見た断面構成図を示す。発熱体2は40×
105μmのものを用いた。発熱体2のエッジから可動
部材31の支点33までの距離lが大きい程、変位量が
大きいことがわかる。したがって、要求されるインクの
吐出量や吐出液の流路構造および発熱体形状などによっ
て、最適変位量を求め、可動部材の支点の位置を決める
ことが望ましい。
【0130】また、可動部材の支点が発熱体の発泡有効
領域直上に位置する場合は、可動部材の変位による応力
に加え、発泡圧力が直接支点に加わるため可動部材の耐
久性が低下してしまう。本発明者の実験によると、発泡
有効領域の真上に支点を設けたものでは、1×106
ルス程度で、可動壁に損傷が生じており、耐久性が低下
してしまうことが分かっている。したがって、可動部材
の支点は、発熱体の発泡有効領域直上外に配置すること
で耐久性がそれ程高くない形状や材質の可動部材であっ
ても実用可能性が高くなる。ただし、前記発泡有効領域
直上に支点がある場合でも形状や材質を選択すれば、良
好に用いることができる。かかる構成において、高吐出
効率および耐久性に優れた液体吐出ヘッドが得られる。
【0131】<素子基板>以下に液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0132】図17は本発明の液体吐出ヘッドの縦断面
図を示したもので、図17(a)は後述する保護膜があ
るヘッド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0133】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0134】素子基板1には、シリコン等の気体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウ
ム等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図17のよ
うにパターニングされている。この2つの配線電極10
4から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流
し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコ
ンやチッ化シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚
で形成し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテー
ション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、
インク等の各種の液体から抵抗層105を保護してい
る。
【0135】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0136】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく
その例を図17(b)に示す。このような保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル
−アルミ合金等が挙げられる。
【0137】このように、前述の各実施例における発熱
体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だ
けででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもの
でもよい。
【0138】本実施例においては、発熱体として電気信
号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有する
ものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐
出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであ
ればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受ける
ことで発熱するような光熱変換体や高周波を受けること
で発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0139】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0140】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て矩形パルスを印加し、配線電極間の抵抗層105を急
峻に発熱させる。前述の各実施例のヘッドにおいては、
それぞれ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150
mAの電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動
させ、前述のような動作によって、吐出口から液体であ
るインクを吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件
はこれに限られることなく、発泡液を適正に発泡させる
ことができる駆動信号であればよい。
【0141】<2流路構成のヘッド構造>以下に、第
1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入
でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする
液体吐出ヘッドの構造例について説明する。
【0142】図18は、このような液体吐出ヘッドの構
造を示す模式図であり、先の実施例と同じ構成要素につ
いては同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省
略する。
【0143】本実施例においては、溝付き部材50は、
吐出口18を有するオリフィスプレート51と、複数の
第1液流路14を構成する複数の溝と、複数の液流路1
4に共通して連通し、各第1の液流路14に液体(吐出
液)を供給するための第1の共通液室15を構成する凹
部とから概略構成されている。
【0144】この溝付部材50の下側部分に分離壁30
を接合することにより複数の第1液流路14を形成する
ことができる。このような溝付部材50は、その上部か
ら第1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を
有している。また、溝付部材50は、その上部から分離
壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2
の液体供給路21を有している。
【0145】第1の液体(吐出液)は、図18の矢印C
で示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通
液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の
液体(発泡液)は、図18の矢印Dで示すように、第2
液体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで第2
液流路16に供給されるようになっている。
【0146】本実施形態例では、第2液体供給路21
は、第1液体供給路20と平行して配されているが、こ
れに限ることはなく、第1共通液室15の外側に配され
た分離壁30を貫通して、第2共通液室17に連通する
ように形成されればどのように配されてもよい。
【0147】また、第2液体供給路21の太さ(直径)
に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。
第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、
矩形状等でもよい。
【0148】また、第2共通液室17は、溝付部材50
を分離壁30で仕切ることによって形成することができ
る。形成の方法としては、図19で示す本実施例の分解
斜視図のように、素子基板上にドライフィルムで共通液
室枠と第2液路壁を形成し、分離壁を固定した溝付部材
50と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り合わ
せることにより第2共通液室17や第2液流路16を形
成してもよい。
【0149】本実施形態例では、アルミニュウム等の金
属で形成された支持体70上に、前述のように、発泡液
に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生
する発熱体としての電気熱変換素子が複数設けられた素
子基板1が配されている。
【0150】この素子基板1上には、第2液路壁により
形成された液流路16を構成する複数の溝と、複数の発
泡液流路に連通し、それぞれの発泡液路に発泡液を供給
するための第2共通液室(共通発泡液室)17を構成す
る凹部と、前述した可動部材31が設けられた分離壁3
0とが配されている。
【0151】符号50は、溝付部材である。この溝付部
材は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1
液流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、そ
れぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共
通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、
第1共通液室に吐出液を供給するための第1供給路(吐
出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液を供
給するための第2の供給路(発泡液供給路)21とを有
している。第2の供給路21は、第1の共通液室15の
外側に配された分離壁30を貫通して第2の共通液室1
7に連通する連通路に繋がっており、この連通路によっ
て吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室1
5に供給することができる。
【0152】なお、素子基板1、分離壁30、溝付天板
50の配置関係は、素子基板1の発熱体に対応して可動
部材31が配置されており、この可動部材31に対応し
て吐出液流路14が配されている。また、本実施形態例
では、第2の供給路を1つ溝付部材に配した例を示した
が、供給量に応じて複数設けてもよい。さらに吐出液供
給路20と発泡液供給路21の流路断面積は供給量に比
例して決めればよい。
【0153】このような流路断面積の最適化により溝付
部材50等を構成する部品をより小型化することも可能
である。
【0154】以上説明したように、本実施例によれば、
第2液流路に第2液体を供給する第2の供給路と、第1
液流路に第1液体を供給する第1の供給路とが同一の溝
付部材としての溝付天板からなることにより部品点数が
削減でき、工程の短縮化とコストダウンが可能となる。
【0155】また第2液流路に連通した第2の共通液室
への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体を分離す
る分離壁を突き抜ける方向で第2液流路によって行なわ
れる構造であるため、前記分離壁と溝付部材と発熱体形
成基板との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが
向上すると共に、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐出
することができる。
【0156】また、第2液体は、分離壁を突き抜けて第
2液体共通液室へ供給されるため、第2液流路に第2液
体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、
安定した吐出が可能となる。
【0157】<吐出液体、発泡液体>先の実施例で説明
したように、本発明においては、前述のような可動部材
を有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高
い吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出すること
ができる。本発明の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を
用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化
せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにく
く、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うこと
が可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣
化させない液体であれば種々の液体を用いることができ
る。
【0158】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0159】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0160】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0161】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0162】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0163】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができる記録液体として以下のような組成
のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によっ
てインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度
が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0164】
【外1】
【0165】また、発泡液と吐出液に以下で示すような
組成の液体を組み合わせて吐出させて記録を行った。そ
の結果、従来のヘッドでは吐出が困難であった十数cp
s粘度の液体はもちろん150cpという非常に高い粘
度の液体でさえも良好に吐出でき、高画質な記録物を得
ることができた。
【0166】
【外2】
【0167】ところで、前述したような従来吐出されに
くいとされていた液体の場合には、吐出速度が低いため
に、吐出方向性のバラツキが助長され記録紙上のドット
の着弾精度が悪く、また吐出不安定による吐出量のバラ
ツキが生じこれらのことで、高品位画像が得にくかっ
た。しかし、上述の実施例の構成においては、気泡の発
生を発泡液を用いることで充分に、しかも安定して行う
ことができる。このことで、液滴の着弾精度向上とイン
ク吐出量の安定化を図ることができ記録画像品位を著し
く向上することができた。
【0168】<液体吐出装置>図20は、前述の液体噴
射ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では特に吐出液体としてインクを用いたイ
ンク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置のキャ
リッジHCは、インクを収容する液体タンク部90と液
体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカートリッ
ジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送される記
録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動する。
【0169】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0170】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113キャリッジ軸
115等を有している。この記録装置及びこの記録装置
で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対し
て液体を吐出することで良好な画像の記録物を得ること
ができた。
【0171】図21は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0172】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0173】またCPU302は前記画像データを記録
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モー
タを駆動するための駆動データを作る。画像データおよ
びモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、
モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動
モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミン
グで駆動され画像を形成する。
【0174】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0175】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0176】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液
としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体
を用いればよい。
【0177】
【発明の効果】これまでに説明したように、本発明の液
体吐出ヘッドにおいては、発泡有効領域が気泡発生領域
内に存在し、かつ、気泡発生領域の幅<発熱体の幅、と
することで、発生した気泡を上側あるいは吐出口側へ成
長させることができる。これにより、吐出力をより安定
にすることができる。また、高密度化することが可能と
なり画像品位を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用される液体吐出ヘッドの一例を示
す模式断面図
【図2】本発明に適用される液体吐出ヘッドの部分破断
斜視図
【図3】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図
【図4】本発明に適用される液体吐出ヘッドにおける気
泡からの圧力伝搬を示す模式図
【図5】本発明に適用される液体吐出ヘッドにおける液
体の流れを説明するための模式図
【図6】可動部材と第1液流路の構造を説明するための
【図7】可動部材と液流路の構造を説明するための図
【図8】概念的な発熱体と第2液流路の配置関係を示す
【図9】参考例の発熱体と第2液流路の配置関係を示す
【図10】実施例1の発熱体と第2液流路の配置関係を
示す図
【図11】実施例2の発熱体と第2液流路の配置関係を
示す図
【図12】可動部材の他の形状を説明するための図
【図13】発熱体面積とインク吐出量の関係を示す図
【図14】可動部材と発熱体との配置関係を示す図
【図15】発熱体のエッジと支点までの距離と可動部材
の変位量の関係を示す図
【図16】発熱体と可動部材との配置関係を説明するた
めの図
【図17】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図
【図18】本発明の液体吐出ヘッドの供給路を説明する
ための断面図
【図19】本発明のヘッドの分解斜視図
【図20】本発明の液体吐出装置の概略構成図
【図21】本発明の記録装置のブロック図
【図22】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造を説明す
るための図
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 15 第1共通液室 16 気泡発泡領域(第2液流路) 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 36 気泡発生領域前壁 37 気泡発生領域側壁 40 気泡 45 液滴 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 清光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 浅川 佳恵 長野県南安曇郡穂高町大字穂高8248−7 (56)参考文献 特開 平6−31918(JP,A) 特開 平8−118641(JP,A) 特開 平5−124189(JP,A) 特開 平5−169663(JP,A) 特公 昭59−43314(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/05 B41J 2/175

Claims (53)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連
    通する液流路と、該液流路の一部であって液体に気泡を
    発生させるための熱を発生する発熱体が設けられた気泡
    発生領域と、前記気泡発生領域に面して配され、第1の
    位置と該第1の位置よりも前記気泡発生領域から遠い第
    2の位置との間を変位可能な可動部材とを有し、該可動
    部材は、前記気泡発生部での気泡の発生に基づく圧力に
    よって、前記第1の位置から前記第2の位置へ変位する
    と共に、前記可動部材の変位によって前記気泡を吐出口
    に向かう方向の上流よりも下流に大きく膨張させること
    で液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、 前記発熱体は該発熱体の周囲の発泡に関与しない非発泡
    有効領域と該非発泡有効領域に囲まれた発泡に関与する
    発泡有効領域とを有し、前記液流路における液体の流れ
    方向に関して前記発熱体の幅中心と前記発泡有効領域の
    幅中心とが等しく、かつ、前記発泡有効領域が前記気泡
    発生領域内に存在し、 前記気泡発生領域の幅<前記発熱体の幅 であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体吐出ヘッドにおい
    て、 前記発熱体の幅−8μm≦前記気泡発生領域の幅 であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の液体吐出ヘッドにおい
    て、 液体の流れ方向を前記発熱体及び前記発泡有効領域の長
    さ方向とすると、 前記発泡有効領域の長さ≦前記気泡発生領域の長さ≦前
    記発熱体の長さ であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1または3記載の液体吐出ヘッド
    において、 前記発泡有効領域の面積≦前記可動部材の面積 であって、静止状態において前記可動部材は前記発泡有
    効領域を密閉することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記可動部材の変位によって、前記気泡
    の下流部分が前記可動部材より下流に成長する請求項1
    記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記可動部材は、支点と、該支点より下
    流側に位置する自由端とを有する請求項1記載の液体吐
    出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記可動部材は前記発熱体に面して設け
    られ、前記吐出口側に自由端を有し前記気泡の発生によ
    る圧力に基づいて前記自由端を変位させて前記圧力を吐
    出口側に導くことを特徴とする、請求項1ないし4のい
    ずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記可動部材の前記発熱体に面する面に
    沿った上流側から前記発熱体上に液体を供給する供給路
    をさらに有することを特徴とする、請求項1ないし4の
    いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 吐出口に連通した第1の液流路と、液体
    に気泡を発生させるための熱を発生する発熱体が設けら
    れた気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の
    液流路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に
    自由端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生によ
    る圧力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位
    させて前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可
    動部材とを有する液体吐出ヘッドであって、 前記発熱体は該発熱体の周囲の発泡に関与しない非発泡
    有効領域と該非発泡有効領域に囲まれた発泡に関与する
    発泡有効領域とを有し、前記液流路における液体の流れ
    方向に関して前記発熱体の幅中心と前記発泡有効領域の
    幅中心とが等しく、かつ、前記発泡有効領域が前記気泡
    発生領域内に存在し、 前記気泡発生領域の幅<前記発熱体の幅 であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の液体吐出ヘッドにおい
    て、 前記発熱体の幅−8μm≦前記気泡発生領域の幅 であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の液体吐出ヘッドにおい
    て、 液体の流れ方向を前記発熱体及び前記発泡有効領域の長
    さ方向とすると、 前記発泡有効領域の長さ≦前記気泡発生領域の長さ≦前
    記発熱体の長さ であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項9または11記載の液体吐出ヘ
    ッドにおいて、 前記発泡有効領域の面積≦前記可動部材の面積 であって、静止状態において前記可動部材は前記発泡有
    効領域を密閉することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記可動部材に面した位置に前記発熱
    体が設けられており、前記可動部材と前記発熱体との間
    が前記気泡発生領域である請求項1もしくは請求項9記
    載の液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記可動部材の自由端は、前記発熱体
    の面積中心より下流に位置する請求項7、請求項8もし
    くは請求項13記載の液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記発熱体に沿った該発熱体より上流
    から前記発熱体上に液体を供給するための供給路を有す
    る請求項13記載の液体吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記供給路は、前記発熱体より上流側
    に実質的に平坦、もしくはなだらかな内壁を有し、該内
    壁に沿って液体を前記発熱体上に供給する供給路である
    請求項7、請求項8もしくは請求項15記載の液体吐出
    ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記気泡は前記発熱体が発生する熱に
    よって液体に膜沸騰を生じることで発生する気泡である
    請求項7、請求項8もしくは請求項13記載の液体吐出
    ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記可動部材は板状である請求項7、
    請求項8若しくは請求項13記載の液体吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記発熱体の有効発泡領域の総てが前
    記可動部材に面している請求項18記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  20. 【請求項20】 前記発熱体の全面が前記可動部材に面
    している請求項18記載の液体吐出ヘッド。
  21. 【請求項21】前記可動部材の総面積が前記発熱体の総
    面積より大である請求項18記載の液体吐出ヘッド。
  22. 【請求項22】前記可動部材の支点が前記発熱体の直上
    から外れた位置に配されている請求項18記載の液体吐
    出ヘッド。
  23. 【請求項23】 前記可動部材の自由端は前記発熱体が
    配された液流路を実質的に直交する形状を有する請求項
    18記載の液体吐出ヘッド。
  24. 【請求項24】 前記可動部材の前記自由端は前記発熱
    体より吐出口側に配されている請求項18記載の液体吐
    出ヘッド。
  25. 【請求項25】 前記可動部材は前記第1流路と第2流
    路との間に配された分離壁の一部として構成されている
    請求項9記載の液体吐出ヘッド。
  26. 【請求項26】 前記分離壁は、金属材料で構成されて
    いる請求項25記載の液体吐出ヘッド。
  27. 【請求項27】 前記金属材料は、ニッケル若しくは金
    である請求項26記載の液体吐出ヘッド。
  28. 【請求項28】 前記分離壁は、樹脂で構成されている
    請求項25記載の液体吐出ヘッド。
  29. 【請求項29】 前記分離壁は、セラミックスで構成さ
    れている請求項25記載の液体吐出ヘッド。
  30. 【請求項30】 前記第1の液流路の複数に第1の液体
    を供給するための第1の共通液室と、前記第2の液流路
    の複数に第2の液体を供給するための第2の共通液室と
    が配されている請求項9記載の液体吐出ヘッド。
  31. 【請求項31】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第
    1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第
    1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構
    成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、 液体に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための
    複数の発熱体が配された素子基板と、 前記溝付き部材と該素子基板との間に配され、前記発熱
    体に対応した第2の液流路の壁の一部を構成すると共
    に、前記発熱体に面した位置に前記気泡の発生に基づく
    圧力によって前記第1の液流路側に変位する可動部材と
    を具備した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記発熱体により気泡が発生する前記発熱体と前記可動
    部材との間の部分を気泡発生領域とし、前記発熱体は該
    発熱体の周囲の発泡に関与しない非発泡有効領域と該非
    発泡有効領域に囲まれた発泡に関与する発泡有効領域と
    を有し、前記液流路における液体の流れ方向に関して前
    記発熱体の幅中心と前記発泡有効領域の幅中心とが等し
    く、かつ、前記発泡有効領域が前記気泡発生領域内に存
    在し、 前記気泡発生領域の幅<前記発熱体の幅 であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  32. 【請求項32】 請求項31記載の液体吐出ヘッドにお
    いて、 前記発熱体の幅−8μm≦前記気泡発生領域の幅 であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  33. 【請求項33】 請求項31記載の液体吐出ヘッドにお
    いて、 液体の流れ方向を前記発熱体及び前記発泡有効領域の長
    さ方向とすると、 前記発泡有効領域の長さ≦前記気泡発生領域の長さ≦前
    記発熱体の長さ であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  34. 【請求項34】 請求項31または33記載の液体吐出
    ヘッドにおいて、 前記発泡有効領域の面積≦前記可動部材の面積 であって、静止状態において前記可動部材は前記発泡有
    効領域を密閉することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  35. 【請求項35】 前記可動部材の自由端は前記発熱体の
    面積中心より下流側に位置する請求項31記載の液体吐
    出ヘッド。
  36. 【請求項36】 前記溝付き部材には、前記第1の共通
    液室に液体を導入するための第1導入路と、前記第2の
    共通液室に液体を導入するための第2導入路とを有する
    請求項31記載の液体吐出ヘッド。
  37. 【請求項37】 前記溝付き部材には、前記第2導入路
    が複数設けられている請求項36記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  38. 【請求項38】 前記第1導入路の断面積と前記第2導
    入路の断面積の比は、各液体の供給量に比例している請
    求項31記載の液体吐出ヘッド。
  39. 【請求項39】 前記第2導入路は、前記分離壁を貫通
    して前記第2の共通液室に液体を供給する導入路である
    請求項31記載の液体吐出ヘッド。
  40. 【請求項40】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが同じ液体である
    請求項9若しくは請求項31記載の液体吐出ヘッド。
  41. 【請求項41】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが異なる液体であ
    る請求項9若しくは請求項31記載の液体吐出ヘッド。
  42. 【請求項42】 前記第2の液流路に供給される液体
    は、前記第1の液流路に供給される液体に比べ、低粘度
    性、発泡性、熱安定性の少なくとも1つの性質で優れて
    いる液体である請求項41記載の液体吐出ヘッド。
  43. 【請求項43】 前記発熱体は電気信号を受けることで
    熱を発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体である請
    求項7、請求項8、請求項13もしくは請求項31記載
    の液体吐出ヘッド。
  44. 【請求項44】 前記電気熱変換体は前記発熱抵抗体上
    に、保護膜を配したものである請求項43記載の液体吐
    出ヘッド。
  45. 【請求項45】 前記素子基板上には前記電気熱変換体
    に電気信号を伝えるための配線と、前記電気熱変換体に
    選択的に電気信号を与えるための機能素子が配されてい
    る請求項43記載の液体吐出ヘッド。
  46. 【請求項46】 前記気泡発生領域もしくは発熱体が配
    された部分の前記第2液流路の形状は室形状である請求
    項9もしくは請求項31記載の液体吐出ヘッド。
  47. 【請求項47】 前記第2流路の形状は、気泡発生領域
    もしくは発熱体の上流で狭窄部を有する形状である請求
    項9もしくは請求項31記載の液体吐出ヘッド。
  48. 【請求項48】 前記発熱体の表面から前記可動部材ま
    での距離が30μm以下である請求項7、請求項8、請
    求項13もしくは請求項31記載の液体吐出ヘッド。
  49. 【請求項49】 前記吐出口から吐出される液体はイン
    クである請求項6、請求項8、請求項13もしくは請求
    項31記載の液体吐出ヘッド。
  50. 【請求項50】 請求項1ないし49のいずれかの1項
    に記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体
    を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手
    段と、を有する液体吐出装置。
  51. 【請求項51】 請求項1ないし49のいずれかの1項
    に記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出
    された液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬
    送手段と、を有する液体吐出装置。
  52. 【請求項52】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、記録紙、布帛、プラスチック、金属、木材、皮革
    を含む記録媒体に記録液体を付着させることで記録を行
    う請求項50もしくは請求項51記載の液体吐出装置。
  53. 【請求項53】 前記液体吐出ヘッドから複数色の記録
    液体を吐出し、被記録媒体に前記複数色の記録液体を付
    着させることでカラー記録を行う請求項50若しくは請
    求項51の液体吐出装置。
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