JP3492079B2 - 液体吐出方法、液体吐出装置、階調記録方法、階調記録装置 - Google Patents

液体吐出方法、液体吐出装置、階調記録方法、階調記録装置

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JP3492079B2 JP10772696A JP10772696A JP3492079B2 JP 3492079 B2 JP3492079 B2 JP 3492079B2 JP 10772696 A JP10772696 A JP 10772696A JP 10772696 A JP10772696 A JP 10772696A JP 3492079 B2 JP3492079 B2 JP 3492079B2
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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
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    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギー等に
よる気泡の発生によって、所望の液体を吐出する液体吐
出方法、液体吐出へッド、該液体吐出へッドを用いたへ
ッドカートリッジ、該液体吐出へッドまたはへッドカー
トリッジを備える液体吐出装置、および該液体吐出装置
または該液体吐出方法を利用して得られた記録物、ヘッ
ドキット、液体吐出ヘッドの液体充填方法、記録方法お
よび液体の吐出速度を安定化する方法に関する。
【0002】特に、本発明は、気泡の発生を利用して変
位する可動部材を用いる液体吐出方法、液体吐出へッ
ド、液体吐出へッドを用いたへッドカートリッジ、およ
び液体吐出装置に関する。
【0003】また本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮革、
金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の
被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、通信
システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワ
ードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合
的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明であ
る。
【0004】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0005】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許No.4,723,129等の公報に開示されている
ように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口
に連通するインク流路と、インク流路内に配されたイン
クを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱
変換体が一般的に配されている。
【0006】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0007】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0008】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0009】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0010】このような流路形状が、特開昭63−19
9972号公報に記載されている。この公報に記載され
ている流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴っ
て発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向
へ向かう圧力、即ち、液室へ向かう圧力)に着目した発
明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギ
ーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0011】この公報は、発熱素子が形成する気泡の発
生領域よりも離れ且つ、発熱素子に関して吐出口とは反
対側に位置する弁を開示する。
【0012】この弁は、板材等を利用する製造方法によ
って、流路の天井に貼り付いたように初期位置を持ち、
気泡の発生に伴って流路内へ垂れ下がるものとして開示
されている。この発明は、上述したバック波の一部を弁
によって制御することでエネルギー損失を抑制するもの
として開示されている。
【0013】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路内部に、気泡が発生した際を検
討するとわかるように、弁によるバック波の一部を抑制
することは、液体吐出にとっては実用的なものでないこ
とがわかる。
【0014】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
内に発生した時点では、気泡のうち吐出に直接関係する
圧力はすでに流路から液体を吐出可能状態にしている。
従って、バック波のうち、しかもその一部を抑制したか
らといっても、吐出に大きな影響を与えないことは明ら
かである。
【0015】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生す
ることで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なイ
ンクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐
出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十
分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出す
べき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望
まれていた。
【0016】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、USP4,48
0,259号等の公報に開示されている。これらの公報
では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムな
どの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接し
ないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可撓
性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。
このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防止
や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0017】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下
してしまう虞があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のイン
クジェットヘッドとヘッド内に保有されているインクと
には互いに相手の条件を規制する相関関係があることが
知られており、結果的に吐出されるインクとヘッド内に
保有されているインクとは同一のものとなる。
【0019】本発明は、上記従来の技術水準に対して、
吐出されるインクに求められる条件を満足すると共にイ
ンクジェットヘッド内における液体の条件を緩和しよう
という新たな知見に基づいてなされたものである。言い
換えればインクジェットの吐出部において所望の条件と
しつつ、ヘッド内におけるインクの流動性やリフィル特
性或いは他の特性を満足できるという相反する目的を同
時に達成しようとする知見に基づいてなされたものであ
る。
【0020】化合部材の吐出口に連通する液流路側の液
体と、気泡を発生領域側の液体を共にまたは、混合した
ものを吐出口より吐出することで、液吐出動作における
気泡発生極めて高いレベルで安定させることが結果的に
可動部材の動作を安定させることができるという知見に
至った。
【0021】さらに、本発明は、上述したような安定性
を達成しつつ、吐出液の濃度階調による画像品位の格段
の向上や、記録画像の色味自身の改善をも実現すること
が可能となったということである。
【0022】さらに本発明は、吐出液体と、吐出ヘッド
との関係において、従来制約を受けていた吐出液体の物
性に対し、制約を受けることなく、幅広く選択すること
が可能な、画期的な技術である。
【0023】本発明は、極めて安定した吐出効率や吐出
圧力の向上を図りつつ、記録画像の品位を向上を実現し
た液体吐出方式およびヘッドを提供することにある。
【0024】加えて上記知見、目的を達成するために本
発明に最適に利用できる発明として、本発明者達の一部
は、先に、液滴吐出の原理に立ち返り、従来では得られ
なかった気泡を利用した新規な液滴吐出方法及びそれに
用いられるヘッド等を提供すべく鋭意研究を行った。こ
のとき、流路中の可動部材の機構の原理を解析すると言
った液流路中の可動部材の動作を起点とする第1技術解
析、及び気泡による液滴吐出原理を起点とする第2技術
解析、さらには、気泡形成用の発熱体の気泡形成領域を
起点とする第3解析を行うことにした。
【0025】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0026】つぎに、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮するこ
とが吐出特性を格段に向上できる要因として最大である
との知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を
吐出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出
速度の向上をもたらすことも判明した。このことから、
発明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材
の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比べ極
めて高い技術水準に至った。
【0027】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る
中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
がわかった。
【0028】また、一方、可動部材の配置と液供給路の
構造を考慮することで、リフィル速度を大幅に向上する
ことができることがわかった。
【0029】本発明の目的は、ヘッド内での機能分離を
可能としつつ、積極的に吐出液体の機能を総合的に優れ
たものにすることができる新規な液体吐出方法を提供す
ることである。
【0030】本発明の別の目的は、ヘッド内での新規な
吐出原理を与える1つの要素に対して安定化せしめるこ
とで吐出特性をより一層向上できる新規な液体吐出方法
を提供することである。
【0031】本発明の別の目的は、上記目的に加えて、
上述した新規なヘッドを用いることで、以下の第1〜第
5の目的をより好ましく達成することである。
【0032】即ち、第1の目的は、発生した気泡を根本
的に制御することで極めて新規な液体吐出方法を提供す
ることである。
【0033】本発明の第2の目的は、吐出効率、吐出圧
力の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に
軽減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図るこ
とで、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出方法、液体
吐出ヘッド等を提供することにある。
【0034】本発明の第3の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によって、メニスカス後退量を
低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピー
ド等を向上させた液体吐出方法等を提供することにあ
る。
【0035】本発明の第4の目的は、発熱体上への堆積
物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広げること
ができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐出
方法、液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0036】本発明の第5の目的は、吐出する液体の選
択自由度を高くできる液体吐出方法、液体吐出ヘッド等
を提供することにある。
【0037】
【0038】
【0039】また本発明の第8の目的は、濃度ムラが少
ない記録を行うことができる液体吐出装置等を提供する
ことにある。
【0040】また本発明の第9の目的は、階調記録を行
うことができる液体吐出装置等を提供することにある。
【0041】また本発明の第10の目的は、液体吐出口
から吐出する液体の吐出速度を安定化する方法を提供す
ることにある。
【0042】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、(A)液体吐出口に連通し、色材を含む第
1の液体を流通させるための第1の液流路と、(B)前
記第1の液流路に隣接して配され、色材を含まない第2
の液体を流通させるための第2の液流路と、(C)前記
第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前記
第2の液体に気泡を発生させる気泡発生手段と、(D)
前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配され、自
由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有する液体
吐出ヘッドから液体を吐出する方法であって、前記第2
の液流路に配置された気泡発生手段により気泡を発生さ
せ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記可動部材
の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当該可動部
材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路の吐出口
側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出する吐出
工程を有し、前記吐出工程では、前記可動部材の前記第
1の液流路側への変位により前記第1の液体に対して前
記第2の液体を10重量%以上混合し、当該混合した状
態の液体を前記液体吐出口から吐出することを特徴とす
るものである。
【0043】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し、顔料インクである第1の液体を流通させるための第
1の液流路と、(B)前記第1の液流路に隣接して配さ
れ、染料インクである第2の液体を流通させるための第
2の液流路と、(C)前記第2の液流路に配置され、熱
エネルギーを利用して前記第2の液体に気泡を発生させ
気泡発生手段と、(D)前記第1の液流路と前記第2
の液流路の間に配され、自由端を有する可動部材を有し
た分離壁と、を有する液体吐出ヘッドから液体を吐出す
る方法であって、前記第2の液流路に配置された気泡発
生手段により気泡を発生させ、前記気泡の発生による圧
力に基づいて前記可動部材の自由端を前記第1の液流路
側に変位させ、当該可動部材の変位によって前記圧力を
前記第1の液流路の吐出口側に導くことで前記液体吐出
口から液体を吐出する吐出工程を有し、前記吐出工程で
は、前記可動部材の前記第1の液流路側への変位により
前記第1の液体に対して前記第2の液体を10重量%以
上混合し、当該混合した状態の液体を前記液体吐出口か
ら吐出することを特徴とするものである。
【0044】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
(B)前記第1の液流路に隣接して配され、第2の液体
を流通させるための第2の液流路と、(C)前記第2の
液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前記第2の
液体に気泡を発生させる気泡発生手段と、(D)前記第
1の液流路と前記第2の液流路の間に配され、自由端を
有する可動部材を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘ
ッドから液体を吐出する方法であって、前記第2の液流
路に配置された気泡発生手段により気泡を発生させ、前
記気泡の発生による圧力に基づいて前記可動部材の自由
端を前記第1の液流路側に変位させ、当該可動部材の変
位によって前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導
くことで前記液体吐出口から液体を吐出する吐出工程を
有し、前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記
気泡が発生しやすい液体であり、前記吐出工程では、前
記可動部材の前記第1の液流路側への変位により前記第
1の液体に対して前記第2の液体を10重量%以上混合
し、当該混合した状態の液体を前記液体吐出口から吐出
することを特徴とするものである。
【0045】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
(B)前記第1の液流路に隣接して配され、第2の液体
を流通させるための第2の液流路と、(C)前記第2の
液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前記第2の
液体に気泡を発生させる熱エネルギー発生手段と、
(D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配さ
れ、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有す
る液体吐出ヘッドから液体を吐出する方法であって、前
記第2の液流路に配置された熱エネルギー発生手段によ
り気泡を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づい
て前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位さ
せ、当該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の
液流路の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体
を吐出する吐出工程を有し、前記第2の液体は、前記第
1の液体に比べ、前記熱エネルギ−発生手段への堆積物
が生じ難い液体であり、前記吐出工程では、前記可動部
材の前記第1の液流路側への変位により前記第1の液体
に対して前記第2の液体を10重量%以上混合し、当該
混合した状態の液体を前記液体吐出口から吐出すること
を特徴とするものである。
【0046】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し、色材を含む第1の液体を流通させるための第1の液
流路と、(B)前記第1の液流路に隣接して配され、色
材を含まない第2の液体を流通させるための第2の液流
路と、(C)前記第2の液流路に配置され、熱エネルギ
ーを利用して前記第2の液体に気泡を発生させる気泡発
生手段と、(D)前記第1の液流路と前記第2の液流路
の間に配され、自由端を有する可動部材を有した分離壁
と、を有する液体吐出ヘッドから液体を吐出する方法で
あって、前記第2の液流路に配置された気泡発生手段に
より発生する気泡を前記液体吐出口に向かう上流よりも
下流に大きく膨張させ、当該膨張により前記可動部材の
自由端を前記第1の液流路側に変位させて、前記液体吐
出口から液体を吐出する吐出工程を有し、前記吐出工程
では、前記可動部材の前記第1の液流路側への変位によ
り前記第1の液体に対して前記第2の液体を10重量%
以上混合し、当該混合した状態の液体を前記液体吐出口
から吐出することを特徴とするものである。
【0047】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し、顔料インクである第1の液体を流通させるための第
1の液流路と、(B)前記第1の液流路に隣接して配さ
れ、染料インクである第2の液体を流通させるための第
2の液流路と、(C)前記第2の液流路に配置され、熱
エネルギーを利用して前記第2の液体に気泡を発生させ
気泡発生手段と、(D)前記第1の液流路と前記第2
の液流路の間に配され、自由端を有する可動部材を有し
た分離壁と、を有する液体吐出ヘッドから液体を吐出す
る方法であって、前記第2の液流路に配置された気泡発
生手段により発生する気泡を前記液体吐出口に向かう上
流よりも下流に大きく膨張させ、当該膨張により前記可
動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させて、前
記液体吐出口から液体を吐出する吐出工程を有し、前記
吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側への
変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体を1
0重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前記液
体吐出口から吐出することを特徴とするものである。
【0048】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
(B)前記第1の液流路に隣接して配され、第2の液体
を流通させるための第2の液流路と、(C)前記第2の
液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前記第2の
液体に気泡を発生させる気泡発生手段と、(D)前記第
1の液流路と前記第2の液流路の間に配され、自由端を
有する可動部材を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘ
ッドから液体を吐出する方法であって、前記第2の液流
路に配置された気泡発生手段により発生する気泡を前記
液体吐出口に向かう上流よりも下流に大きく膨張させ、
当該膨張により前記可動部材の自由端を前記第1の液流
路側に変位させて、前記液体吐出口から液体を吐出する
吐出工程を有し、前記第2の液体は、前記第1の液体に
比べ、前記気泡が発生しやすい液体であり、前記吐出工
程では、前記可動部材の前記第1の液流路側への変位に
より前記第1の液体に対して前記第2の液体を10重量
%以上混合し、当該混合した状態の液体を前記液体吐出
口から吐出することを特徴とするものである。
【0049】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
(B)前記第1の液流路に隣接して配され、第2の液体
を流通させるための第2の液流路と、(C)前記第2の
液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前記第2の
液体に気泡を発生させる熱エネルギー発生手段と、
(D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配さ
れ、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有す
る液体吐出ヘッドから液体を吐出する方法であって、前
記第2の液流路に配置された熱エネルギー発生手段によ
り発生する気泡を前記液体吐出口に向かう上流よりも下
流に大きく膨張させ、当該膨張により前記可動部材の自
由端を前記第1の液流路側に変位させて、前記液体吐出
口から液体を吐出する吐出工程を有し、前記第2の液体
は、前記第1の液体に比べ、前記熱エネルギ−発生手段
への堆積物が生じ難い液体であり、前記吐出工程では、
前記可動部材の前記第1の液流路側への変位により前記
第1の液体に対して前記第2の液体を10重量%以上混
合し、当該混合した状態の液体を前記液体吐出口から吐
出することを特徴とするものである。
【0050】また、本発明は、(A)液体吐出口と、
(B)前記液体吐出口に連通し、色材を含む第1の液体
を流通させるための第1の液流路と、(C)前記第1の
液流路に隣接して配され、色材を含まない第2の液体を
流通させるための第2の液流路と、(D)前記第2の液
流路に配置され、熱エネルギーを利用して前記第2の液
体に気泡を発生させる気泡発生手段と、(E)前記第1
の液流路と前記第2の液流路の間に配され、自由端を有
する可動部材を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘッ
ドと、前記第2の液流路に配置された気泡発生手段によ
り気泡を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づい
て前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位さ
せ、当該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の
液流路の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体
を吐出させるために、前記液体吐出ヘッドに駆動信号を
供給する駆動信号供給手段を有し、前記駆動信号供給手
段は、前記可動部材の前記第1の液流路側への変位によ
り前記第1の液体に対して前記第2の液体を10重量%
以上混合した状態の液体を前記液体吐出口から吐出させ
るための駆動信号を供給することを特徴とするものであ
る。
【0051】また、本発明は、(A)液体吐出口と、
(B)前記液体吐出口に連通し、顔料インクである第1
の液体を流通させるための第1の液流路と、(C)前記
第1の液流路に隣接して配され、染料インクである第2
の液体を流通させるための第2の液流路と、(D)前記
第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前記
第2の液体に気泡を発生させる気泡発生手段と、(E)
前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配され、自
由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有する液体
吐出ヘッドと、前記第2の液流路に配置された気泡発生
手段により気泡を発生させ、前記気泡の発生による圧力
に基づいて前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側
に変位させ、当該可動部材の変位によって前記圧力を前
記第1の液流路の吐出口側に導くことで前記液体吐出口
から液体を吐出させるために、前記液体吐出ヘッドに駆
動信号を供給する駆動信号供給手段を有し、前記駆動信
号供給手段は、前記可動部材の前記第1の液流路側への
変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体を1
0重量%以上混合した状態の液体を前記液体吐出口から
吐出させるための駆動信号を供給することを特徴とする
ものである。
【0052】また、本発明は、(A)液体吐出口と、
(B)前記液体吐出口に連通し第1の液体を流通させる
ための第1の液流路と、(C)前記第1の液流路に隣接
して配され、第2の液体を流通させるための第2の液流
路と、(D)前記第2の液流路に配置され、熱エネルギ
ーを利用して前記第2の液体に気泡を発生させる気泡発
生手段と、(E)前記第1の液流路と前記第2の液流路
の間に配され、自由端を有する可動部材を有した分離壁
と、を有する液体吐出ヘッドと、前記第2の液流路に配
置された気泡発生手段により気泡を発生させ、前記気泡
の発生による圧力に基づいて前記可動部材の自由端を前
記第1の液流路側に変位させ、当該可動部材の変位によ
って前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導くこと
で前記液体吐出口から液体を吐出させるために、前記液
体吐出ヘッドに駆動信号を供給する駆動信号供給手段を
有し、前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記
気泡が発生しやすい液体であり、前記駆動信号供給手段
は、前記可動部材の前記第1の液流路側への変位により
前記第1の液体に対して前記第2の液体を10重量%以
上混合した状態の液体を前記液体吐出口から吐出させる
ための駆動信号を供給することを特徴とするものであ
る。
【0053】また、本発明は、(A)液体吐出口に連通
し、色材を含む第1の液体を流通させるための第1の液
流路と、(B)前記第1の液流路に隣接して配され、
材を含まない第2の液体を流通させるための第2の液流
路と、(C)前記第2の液流路に配置された気泡発生手
段と、(D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間
に配され、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、
を有する液体吐出ヘッドを用い、当該液体吐出ヘッドか
ら記録媒体に対して液体を吐出させて階調記録を行う方
法であって、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手
段により気泡を発生させ、前記気泡の発生による圧力に
基づいて前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側に
変位させ、当該可動部材の変位によって前記圧力を前記
第1の液流路の吐出口側に導くことで前記液体吐出口か
ら液体を吐出させる吐出工程を有し、 前記吐出工程で
は、前記可動部材の前記第1の液流路側への変位により
前記第1の液体に対して前記第2の液体を記録すべき階
調に応じた所望の混合割合に調整して前記液体吐出口か
ら吐出させることを特徴とするものである。また、本発
明は、(A)液体吐出口に連通し、色材を含む第1の液
体を流通させるための第1の液流路と、(B)前記第1
の液流路に隣接して配され、色材を含まない第2の液体
を流通させるための第2の液流路と、(C)前記第2の
液流路に配置された気泡発生手段と、(D)前記第1の
液流路と前記第2の液流路の間に配され、自由端を有す
可動部材を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘッド
を用い、当該液体吐出ヘッドから記録媒体に対して液体
を吐出させて階調記録を行う装置であって、 前記第2の
液流路に配置された気泡発生手段により気泡を発生さ
せ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記可動部材
の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当該可動部
材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路の吐出口
側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出させる吐
出制御手段を有し、 前記吐出制御手段は、前記可動部材
の前記第1の液流路側への変位により前記第1の液体に
対して前記第2の液体を記録すべき階調に応じた所望の
混合割合に調整して前記液体吐出口から吐出させること
を特徴とするものである。
【0054】上述したような、極めて新規な吐出原理に
基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等によると、発生
する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗効果
を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よく吐出で
きるため、従来のバブルジェット方式の吐出方法、ヘッ
ド等に比べて、吐出効率を向上できる。例えば本発明の
最も好ましい形態においては2倍以上という飛躍的な吐
出効率の向上を達成できた。
【0055】この発明の特徴的な構成によれば、低温や
低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出になるこ
とを低減でき、仮に不吐出になっても、予備吐出や吸引
回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態に
即座に復帰できる利点もある。
【0056】具体的には64個の吐出口を持つ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0057】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0058】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0059】特に、気泡の発生が行われる第2の液流路
とインクの吐出が行われる第1の液流路とを別に設ける
構成とすることにより、第2の液流路で発生した圧力
(圧力波)を集中して可動部材側に向けることができ
る。そして、この圧力を吐出口方向に可動部材によって
向けることができるため、さらに、吐出エネルギー効
率、吐出圧を高めることができる。また、この様な構成
の場合、第1の液流路に伝わる圧力波の多くが吐出方向
に向かう圧力であり第1の液流路内ではバック波そのも
のが始めから非常に少ないのでリフィルも良好である。
【0060】また、吐出液と発泡液として異なる液体を
用いた場合には、発熱体上への堆積物が低減でき、発泡
が生じない液体や発泡が困難である液体、加熱に弱い液
体等をも良好に吐出することができる。
【0061】また、2液を共に吐出し、発泡液の一部を
放出することで発泡液を良好な状態に維持できるととも
に吐出速度を安定化することができるので安定な吐出を
達成することができる。
【0062】また、濃度ムラが少ない画像を得ることが
できる。
【0063】また、品位の高い階調記録を行うことがで
きる。
【0064】また、良好な記録部画像の記録物を得るこ
とができる。
【0065】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0066】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0067】また、本明細書において「実質的に密閉」
とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前に可
動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜けな
い程度の状態を意味する。
【0068】さらに、本明細書において「分離壁」と
は、広義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域
とを区分するように介在する壁(可動部材を含んでもよ
い)を意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出
口に直接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域に
ある液体の混合を防止するものを意味する。
【0069】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に使
用される液体吐出ヘッドの液体吐出原理に関連する事項
について詳細に説明する。
【0070】まず液体を吐出するための、気泡に基づく
圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することで吐出
力や吐出効率の向上を図る場合の例を説明する。
【0071】図1は、液体吐出ヘッドを液流路方向で切
断した断面模式図を示しており、図2は、この液体吐出
ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0072】図1の液体吐出ヘッドは、液体を吐出する
ための吐出エネルギ発生素子として、液体に熱エネルギ
を作用させる発熱体2(図2においては、40μm×1
05μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設けられ
ており、この素子基板上に発熱体2に対応して液流路1
0が配されている。液流路10は吐出口18に連通して
いると共に、複数の液流路10に液体を供給するための
共通液室13に連通しており、吐出口から吐出された液
体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取る。
【0073】この液流路10の素子基板上には、前述の
発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有す
る材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31
が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液
流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニ
ングして形成した土台(支持部材)34等に固定されて
いる。これによって、可動部材は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0074】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程
度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材
との間が気泡発生領域となる。なお、発熱体、可動部材
の種類や形状および配置はこれに限られることなく、後
述するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状
および配置であればよい。なお、上述した液流路10
は、後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材
31を境にして直接吐出口18に連通している部分を第
1の液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路1
2を有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明
する。
【0075】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体に米国特許第4,723,129号明細書に記
載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させ
る。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的
に作用し、可動部材31は図1(b)、(c)もしくは
図2で示されるように支点33を中心に吐出口側に大き
く開くように変位する。可動部材31の変位若しくは変
位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気
泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0076】ここで、本発明に適用される基本的な吐出
原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理
の一つは、気泡に対面するように配された可動部材が気
泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1
の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、こ
の変位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力
や気泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことで
ある。
【0077】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図3と本発明の図4とを比較し
てさらに詳しく説明する。なお、ここでは吐出口方向へ
の圧力の伝搬方向をVA,上流側への圧力の伝搬方向を
VBとして示した。
【0078】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1
〜V8のように気泡表面の垂直方向となり様々な方向を
向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼす
VA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V
4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧
力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出
速度等に直接寄与する重要な部分である。さらに、V1
は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆
にV4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0079】これに対して、図4で示される本発明の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側
(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するも
のであり、これにより気泡40の圧力が直接的効率よく
吐出に寄与することになる。
【0080】そして、気泡の成長方向自体も圧力伝搬方
向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流より下流
で大きく成長する。このように、気泡の成長方向自体を
可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を制御す
ることで、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根本的な
向上を達成することができる。
【0081】次に、図1に戻って、上述した液体吐出ヘ
ッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0082】図1(a)は、発熱体2に電気エネルギ等
のエネルギが印加される前の状態であり、発熱体が熱を
発生する前の状態である。ここで重要なことは、可動部
材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対し、
この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に設け
られていることである。つまり、気泡の下流側が可動部
材に作用するように、液流路構造上では少なくとも発熱
体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通って
流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで可動
部材31が配されている。
【0083】図1(b)は、発熱体2に電気エネルギ等
が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって気
泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、発生し
た熱によって気泡発生領域11内を満たす液体の一部を
加熱し、膜沸騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0084】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡の圧力の伝搬方向を吐出口方向
に導くように第1位置から第2位置へ変位する。ここで
重要なことは前述したように、可動部材31の自由端3
2を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流側
(共通液室)に位置するように配置して、可動部材の少
なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下流部
分に対面させることである。
【0085】図1(c)は気泡40がさらに成長した状
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下
流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線
位置)を越えて大きく成長している。
【0086】このように気泡40の成長に応じて可動部
材31が徐々に変位してゆくことで気泡40の圧力伝搬
方向や体積移動のしやすい方向、すなわち自由端側への
気泡の成長方向を吐出口に均一的に向かわせることがで
きることも吐出効率を高めると考えられる。可動部材は
気泡や発泡圧を吐出口方向へ導く際もこの伝達の妨げに
なることはほとんど伝搬する圧力の大きさに応じて効率
よく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することが
できる。
【0087】図1(d)は気泡40が、前述した膜沸騰
後、気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0088】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性によ
る復元力によって図1(a)の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側か
ら流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側から
流れのVcのように液体が流れ込んでくる。
【0089】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明に適
用可能な液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについ
て説明する。
【0090】図1(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出
口側と第2液流路16の共通液室13側から流れ込む。
可動部材31を持たない従来の液流路構造においては、
消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液室か
ら流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に近い
部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起因す
る(流路抵抗と液体の慣性に基づくものである)。
【0091】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量がおおきくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0092】これに対して本構成は可動部材31を設け
たため、気泡の体積Wを可動部材の第11位置を境に上
側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消泡
時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカスの後
退はとまり、その後残ったW2の体積分の液体供給は主
に第2流路16の流れVD2からの液供給によって成さ
れる。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対
応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対し
て、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量
に抑えることが可能になった。
【0093】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行
うことができるため、より速いリフィルを実現できた。
【0094】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本構成のリフィルにおいては可動部材によっ
て吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生領域1
1との吐出口側での液体の流通が抑制されるためメニス
カスの振動を極めて少なくすることができることであ
る。
【0095】このように本発明に適用される上述した構
成は、第2液流路16の液供給路12を介しての発泡領
域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や振動
の抑制によって高速リフィルを達成することで、吐出の
安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に用いた場
合、画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0096】本発明に適用される上述した構成において
は、さらに次のような有効な機能を兼ね備えている。そ
れは、気泡の発生による圧力の上流側への伝搬(バック
波)を抑制することである。発熱対2上で発生した気泡
の内、共通液室13側(上流側)の気泡による圧力は、
その多くが上流側に向かって液体を押し戻す力(バック
波)になっていた。このバック波は、上流側の圧力と、
それによる液移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き
起こし、これらは液体の液流路内へのリフィルを低下さ
せ高速駆動の妨げにもなっていた。本構成においては、
まず可動部材31によって上流側へのこれらの作用を抑
えることでもリフィル性の向上をさらに図っている。
【0097】次に、更なる特徴的な構造と効果につい
て、以下に説明する。
【0098】第2液流路16は、発熱体2の上流に発熱
体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面が大きく落
ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12を有してい
る。このような場合、気泡発生領域11および発熱体2
の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡発生領域
11に近い側の面に沿って、VD2のように行われる。
このため、発熱体2の表面上に液体が淀むことが抑制さ
れ、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡できずに
残った、いわゆる残留気泡が除去され易く、また、液体
への蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、より安
定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。
なお、本構成では、実質的に平坦な内壁を持つ液体供給
路12を持つもので説明したが、これに限らず、発熱体
表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を有する液供
給路であればよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の供
給に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0099】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行わ
れるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有
効に吐出口に導くために図1に示すように気泡発生領域
の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材
を用い、可動部材31が第1の位置への復帰すること
で、気泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い
領域との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、
前述のVD1から気泡発生領域11に向かっての液体の
流れが妨げられる。しかし、本構成のヘッド構造におい
ては、気泡発生領域に液体を供給するための流れVD1
があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部
材31で気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を
求めた構造を取っても、液体の供給性能を落とすことが
ない。
【0100】ところで、可動部材31の自由端32と支
点の位置は、例えば図5で示されるように、自由端が相
対的に支点より下流側にある。このような構成のため、
前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向を吐
出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できるので
ある。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や効果
のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れる液
体に対する流抵抗を小さくでき高速にリフィルできると
いう効果を達成している。これは図5に示すように、吐
出によって後退したメニスカスMが毛管力により吐出口
18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行われる
場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流路16
を含む)内を流れる流れS1、S2,S3に対し、逆ら
わないように自由端と支点33とを配置しているためで
ある。
【0101】補足すれば、本構成(図1)においては、
前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を
上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱
体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交す
る線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対
して延在している。これによって発熱体の面積中心位置
3より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧
力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力および気
泡を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根
本的に向上させることができる。
【0102】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。また、本構成においては、
可動部材31の自由端が瞬間的に機械的変位を行ってい
ることも、液体の吐出に対して有効に寄与していると考
えられる。
【0103】図6は、本構成の液体吐出ヘッドの流路方
向の断面模式図を示しており、図11はこの液体吐出ヘ
ッドの部分破断斜視図を示している。
【0104】本構成の液体吐出ヘッドは、液体に気泡を
発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設け
られた素子基板1上に、発泡用の第2液流路16があ
り、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1
液流路14が配されている。
【0105】第1液流路の上流側は、複数の第1液流路
に吐出液を供給するための第1共通液室15に連通して
おり、第2液流路の上流側は、複数の第2液流路に発泡
液を供給するための第2共通液室に連通している。
【0106】但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場
合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0107】第1と第2の液流路の間には、金属等の弾
性を有する材料で構成された分離壁30が配されてお
り、第1液流路と第2の液流路とを区分している。
【0108】発熱体の面方向上方への投影空間(以下吐
出圧発生領域という。;図6中のAの領域とBの気泡発
生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット35
によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端で、
共通液室(15、17)側に支点33が位置する片持梁
形状の可動部材31となっている。この可動部材31
は、気泡発生領域11(B)に面して配されているた
め、発泡液の発泡によって第1液流路側の吐出口側に向
けて開口するように動作する(図中矢印方向)。図11
においても、発熱体2としての発熱抵抗部と、この発熱
抵抗部に電気信号を印加するための配線電極5とが配さ
れた素子基板1上に、第2の液流路を構成する空間を介
して分離壁30が配置されている。
【0109】可動部材31の支点33、自由端32の配
置と、発熱体との配置の関係については、先の実施例と
同様にしている。
【0110】また、先の例で液供給路12と発熱体2と
の構造の関係について説明したが、本実施例においても
第2液流路16と発熱体2との構造の関係を同じくして
いる。
【0111】次に図8を用いて本実施例の液体吐出ヘッ
ドの動作を説明する。
【0112】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給
される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。
【0113】発熱体2が発生した熱が、第2液流路の気
泡発生領域内の発泡液に作用することで、先の実施例で
説明したのと同様に発泡液にUSP4,723,129に記載されて
いるような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生させる。
【0114】本構成においては、気泡発生領域の上流側
を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この気泡
発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動部材
6側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなって可動部
材6が図8(a)の状態から図8(b)のように第1液
流路側に変位する。この可動部材の動作によって第1液
流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気泡の発
生に基づく圧力が第1液流路の吐出口側の方向(A方
向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のような可
動部材の機械的変位によって液体が吐出口から吐出され
る。
【0115】次に、気泡が収縮するに伴って可動部材3
1が図8(a)の位置まで戻ると共に、第1液流路14
では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が上
流側から供給される。本構成においても、この吐出液体
の供給は前述の構成と同様に可動部材が閉じる方向であ
るため、吐出液体のリフィルを可動部材で妨げることが
ない。
【0116】本構成は、可動部材の変位に伴う発泡圧力
の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止等に関する主
要部分の作用や効果については先の第1実施例等と同じ
であるが、本実施例のような2流路構成をとることによ
って、さらに次のような長所がある。
【0117】すなわち、上述の構成によると、吐出液と
発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた圧力によ
って吐出液を吐出することができる。このため従来、熱
を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不十分で
あったポリエチレングリコール等の高粘度の液体であっ
ても、この液体を第1の液流路に供給し、発泡液に発泡
が良好に行われる液体(エタノール:水=4:6の混合
液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第2の液流路に
供給することで良好に吐出させることができる。
【0118】また、発泡液として、熱を受けても発熱体
の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択すること
で、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0119】さらに、本発明に適用されるヘッドの構造
においては先の構成で説明したような効果をも生じるた
め、さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体
を吐出することができる。
【0120】また、加熱に弱い液体の場合においてもこ
の液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の液
流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を供
給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることな
く、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出す
ることができる。
【0121】<その他の実施例>以上、本発明に適用さ
れる液体吐出ヘッドや液体吐出方法の要部の構成につい
て説明を行ったが、以下にこれらの構成に好ましく適用
できる実施態様例について図面を用いて説明する。
【0122】<液流路の天井形状>図9は本発明に適用
される液体吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第1
液流路13(若しくは図1における液流路10)を構成
するための溝が設けられた溝付き部材50が分離壁30
上に設けられている。本実施例においては可動部材の自
由端32位置近傍の流路天井の高さが高くなっており、
可動部材の動作角度θをより大きく取れるようにしてい
る。この可動部材の動作範囲は、液流路の構造、可動部
材の耐久性や発泡力等を考慮して決定すればよいが、吐
出口の軸方向の角度を含む角度まで動作することが望ま
しいと考えられる。
【0123】また、この図で示されるように吐出口の直
径より可動部材の自由端の変位高さを高くすることで、
より十分な吐出力の伝達が成される。また、この図で示
されるように、可動部材の自由端32位置の液流路天井
の高さより可動部材の支点33位置の液流路天井の高さ
の方が低くなっているため、可動部材の変位よる上流側
への圧力波の逃げがさらに有効に防止できる。
【0124】<第2液流路と可動部材との配置関係>図
10は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配
置関係を説明するための図であり、同図(a)は分離壁
30、可動部材31近傍を上方から見た図であり、同図
(b)は、分離壁30を外した第2液流路16を上方か
ら見た図である。そして、同図(c)は、可動部材6と
第2液流路16との配置関係を、これらの各要素を重ね
ることで模式的に示した図である。なお、いずれの図も
図面下方が吐出口が配されている前面側である。
【0125】本構成の第2の液流路16は発熱体2の上
流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体位
置、可動部材、第1流路を経て吐出口に向う大きな流れ
の中の上流側のことである。)に狭窄部19を持ってお
り、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容易に逃
げることを抑制するような室(発泡室)構造となってい
る。
【0126】なお、図10(C)で示されるように可動
部材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を覆
っており、このことで、可動部材31の第2液流路への
落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液
と発泡液との分離性をさらに高めることができる。ま
た、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さ
らに吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、
前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果
を高めることができる。
【0127】なお、図8(b)や図9においては、可動
部材6の第1の液流路14側への変位に伴って第2の液
流路4の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第1の液
流路14側に延在しているが、この様に気泡が延在する
ような第2流路の高さにすることで、気泡が延在しない
場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。
【0128】<可動部材および分離壁>図11は可動部
材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設け
られたスリットであり、このスリットによって、可動部
材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状で
あり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材
の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広く
なっており、可動部材の耐久性が向上する形状である。
動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図10
(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっ
ている形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流
路側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、
耐久性に優れた形状であればよい。
【0129】先の構成においては、板状可動部材31を
およびこの可動部材を有する分離壁5は厚さ5μmのニ
ッケルで構成したが、これに限られることなく可動部
材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液に対
して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するた
めの弾性を有し、微細なスリットが形成できるものであ
ればよい。
【0130】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラ
ミックおよびその化合物が望ましい。
【0131】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の
近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱
性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、
金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もし
くは表面にチタンや金をコーティングしたものが望まし
い。
【0132】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0133】本発明における可動部材としてはμmオー
ダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダー
の厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚
さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(W
μm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考
慮することが望ましい。
【0134】本発明の「実質的な密閉状態」を与えるス
リットとしては、このような数μmオーダであればより
確実である。
【0135】<素子基板>以下に液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0136】図12は液体吐出ヘッドの縦断面図を示し
たもので、図12(a)は後述する保護膜があるヘッ
ド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0137】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0138】素子基板1には、シリコン等の気体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウム
等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図7のようにパ
ターニングされている。この2つの配線電極104から
抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流し発熱
させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコンやチ
ッ化シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚で形成
し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテーション
層(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、インク等
の各種の液体から抵抗層105を保護している。
【0139】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0140】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく
その例を図12(b)に示す。このような保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル
−アルミ合金等が挙げられる。
【0141】このように、前述の各構成における発熱体
の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だけ
ででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもので
もよい。
【0142】本構成においては、発熱体として電気信号
に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するも
のを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐出
させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであれ
ばよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けるこ
とで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで
発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0143】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0144】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図13で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅
7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加
えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によっ
て、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかし
ながら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発
泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であれば
よい。
【0145】<2流路構成のヘッド構造>以下に、第
1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入
でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする
液体吐出ヘッドの構造例について説明する。
【0146】図14は、このような液体吐出ヘッドの構
造を示す模式図であり、先の構成と同じ構成要素につい
ては同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省略
する。
【0147】本構成においては、溝付き部材50は、吐
出口18を有するオリフィスプレート51と、複数の第
1液流路14を構成する複数の溝と、複数の液流路14
に共通して連通し、各第1の液流路3に液体(吐出液)
を供給するための第1の共通液室15を構成する凹部と
から概略構成されている。
【0148】この溝付部材50の下側部分に分離壁30
を接合することにより複数の第1液流路14を形成する
ことができる。このような溝付部材50は、その上部か
ら第1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を
有している。また、溝付部材50は、その上部から分離
壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2
の液体供給路21を有している。
【0149】第1の液体(吐出液)は、図14の矢印C
で示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通
液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の
液体(発泡液)は、図14の矢印Dで示すように、第2
液体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで第2
液流路16に供給されるようになっている。
【0150】本構成では、第2液体供給路21は、第1
液体供給路20と平行して配されているが、これに限る
ことはなく、第1共通液室15の外側に配された分離壁
30を貫通して、第2共通液室17に連通するように形
成されればどのように配されてもよい。
【0151】また、第2液体供給路21の太さ(直径)
に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。
第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、
矩形状等でもよい。
【0152】また、第2共通液室17は、溝付部材50
を分離壁30で仕切ることによって形成することができ
る。形成の方法としては、図15で示す本構成の分解斜
視図のように、素子基板上にドライフィルムで共通液室
枠と第2液路壁を形成し、分離壁を固定した溝付部材5
0と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り合わせ
ることにより第2共通液室17や第2液流路16を形成
してもよい。
【0153】本構成では、アルミニュウム等の金属で形
成された支持体70上に、前述のように、発泡液に対し
て膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生する発
熱体としての電気熱変換素子が複数設けられた素子基板
1が配されている。
【0154】この素子基板1上には、第2液路壁により
形成された液流路16を構成する複数の溝と、複数の発
泡液流路に連通し、それぞれの発泡液路に発泡液を供給
するための第2共通液室(共通発泡液室)17を構成す
る凹部と、前述した可動壁31が設けられた分離壁30
とが配されている。
【0155】符号50は、溝付部材である。この溝付部
材は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1
液流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、そ
れぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共
通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、
第1共通液室に吐出液を供給するための第1供給路(吐
出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液を供
給するための第2の供給路(発泡液供給路)21とを有
している。第2の供給路21は、第1の共通液室15の
外側に配された分離壁30を貫通して第2の共通液室1
7に連通する連通路に繋がっており、この連通路によっ
て吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室1
5に供給することができる。
【0156】なお、素子基板1、分離壁30、溝付天板
50の配置関係は、素子基板1の発熱体に対応して可動
部材31が配置されており、この可動部材31に対応し
て吐出液流路14が配されている。また、本実施形態例
では、第2の供給路を1つ溝付部材に配した例を示した
が、供給量に応じて複数設けてもよい。さらに吐出液供
給路20と発泡液供給路21の流路断面積は供給量に比
例して決めればよい。
【0157】このような流路断面積の最適化により溝付
部材50等を構成する部品をより小型化することも可能
である。
【0158】以上説明したように本構成によれば、第2
液流路に第2液体を供給する第2の供給路と、第1液流
路に第1液体を供給する第1の供給路とが同一の溝付部
材としての溝付天板からなることにより部品点数が削減
でき、工程の短縮化とコストダウンが可能となる。
【0159】また第2液流路に連通した第2の共通液室
への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体を分離す
る分離壁を突き抜ける方向で第2液流路によって行なわ
れる構造であるため、前記分離壁と溝付部材と発熱体形
成基板との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが
向上すると共に、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐出
することができる。
【0160】また、第2液体は、分離壁を突き抜けて第
2液体共通液室へ供給されるため、第2液流路に第2液
体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、
安定した吐出が可能となる。
【0161】<吐出液体、発泡液体>先の構成で説明し
たように本発明においては、前述のような可動部材を有
する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い吐
出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することがで
きる。本実施例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を用
いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化せ
ずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにく
く、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うこと
が可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣
化させない液体であれば種々の液体を用いることができ
る。
【0162】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0163】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0164】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0165】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0166】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0167】<液体吐出ヘッドの製造>次に、本発明の
液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
【0168】図2で示したような液体吐出ヘッドの場合
には、素子基板1上に可動部材31を設けるための土台
34をドライフィルム等をパターニングすることで形成
し、この土台34に可動部材31を接着、もしくは溶着
固定した。その後、各液流路10を構成する複数の溝と
吐出口18と共通液室13を構成する凹部を有する溝付
部材を、溝と可動部材が対応するような状態で素子基板
1に接合することで形成した。
【0169】次に、図6や図15で示されるような2流
路構成の液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
【0170】大まかには、素子基板1上に第2液流路1
6の壁を形成し、その上に分離壁30を取り付け、さら
にその上に第1液流路14を構成する溝等が設けられた
溝付き部材50を取り付ける。もしくは、第2液流路1
6の壁を形成した後、この壁の上に分離壁30を取り付
けた溝付き部材50を接合することでヘッドの製造を行
った。
【0171】さらに第2液流路の作製方法について詳し
く説明する。
【0172】図16(a)〜(e)は、本発明の液体吐
出ヘッドの製造方法の第1の実施例を説明するための概
略断面図である。
【0173】本例においては、図16(a)に示すよう
に、素子基板(シリコンウエハ)1上に半導体製造工程
で用いるのと同様の製造装置を用いてハフニュウムボラ
イド(Hafnium boride)やチッ化タンタ
ル等からなる発熱体2を有する電気熱変換用素子を形成
した後、次工程における感光性樹脂との密着性の向上を
目的として素子基板1の表面に洗浄を施した。さらに、
密着性を向上させるには、素子基板表面に紫外線−オゾ
ン等による表面改質を行った後、例えばシランカップリ
ング剤(日本ユニカ製:A189)をエチルアルコール
で1重量%に希釈した液を上記改質表面上にスピンコー
トすることで達成される。
【0174】次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した
基板1上に、図16(b)に示すように、紫外線感光性
樹脂フィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディ
ルSY−318)DFをラミネートした。
【0175】次に、図16(c)に示すように、ドライ
フィルムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォト
マスクPMを介してドライフィルムDFのうち、第2の
流路壁として残す部分に紫外線を照射した。この露光工
程は、キヤノン(株)製:MPA−600を用いて行
い、約600mJ/cm2の露光量で行った。
【0176】次に、図16(d)に示すように、ドライ
フィルムDFを、キシレンとブチルセルソルブアセテー
トとの混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−
3)で現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化し
た部分を第2液流路16の壁部分として形成した。さら
に、素子基板1表面に残った残渣を酸素プラズマアッシ
ング装置(アルカンテック社製:MAS−800)で約
90秒間処理して取り除き、引き続き、150℃で2時
間、さらに紫外線照射100mJ/cm2を行って露光
部分を完全に硬化させた。
【0177】以上の方法により、上記シリコン基板から
分割、作製される複数のヒータボード(素子基板)に対
し、一様に第2の液流路を精度よく形成することができ
る。シリコン基板を、厚さ0.05mmのダイヤモンド
ブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密製:
AWD−4000)で各々のヒータボード1に切断、分
離した。分離されたヒータボード1を接着剤(東レ製:
SE4400)でアルミベースプレート70上に固定し
た(図19)。次いで、予めアルミベースプレート70
上に接合しておいたプリント配線基板71と、ヒータボ
ード1とを直径0.05mmのアルミワイヤ(図示略)
で接続した。
【0178】次に、このようにして得られたヒータボー
ド1に、図16(e)に示すように、上述の方法で溝付
部材50と分離壁30との接合体を位置決め接合した。
すなわち、分離壁30を有する溝付部材とヒータボード
1とを位置決めし、押さえバネ78により係合、固定し
た後、インク・発泡液用供給部材80をアルミベースプ
レート70上に接合固定し、アルミワイヤ間、溝付部材
50とヒータボード1とインク・発泡液用供給部材80
との隙間をシリコーンシーラント(東芝シリコーン製:
TSE399)で封止して完成させた。
【0179】以上の製法で、第2の液流路を形成するこ
とにより、各ヒータボードのヒータに対して位置ズレの
ない精度の良い流路を得ることができる。特に、溝付部
材50と分離壁30とをあらかじめ先の工程で接合して
おくことで、第1液流路14と可動部材31の位置精度
を高めることができる。
【0180】そして、これらの高精度製造技術によっ
て、吐出安定化が図られ印字品位が向上する。また、ウ
エハ上に一括で形成することが可能なため、多量に低コ
ストで製造することが可能である。
【0181】なお、本例では、第2の液流路を形成する
ために紫外線硬化型のドライフィルムを用いたが、紫外
域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂を用い、
ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第2の液流
路となる部分の樹脂を直接除去することによっても得る
ことが可能である。
【0182】図17(a)〜(d)は、本発明の液体吐
出ヘッドの製造方法の第2の実施例を説明するための概
略断面図である。
【0183】本例においては、図17(a)に示すよう
に、SUS基板100上に厚さ15μmのレジスト10
1を第2の液流路の形状でパターニングした。
【0184】次に、図17(b)に示すように、SUS
基板100に対して電気メッキを行ってSUS基板10
0上にニッケル層102を同じく15μm成長させた。
メッキ液としては、スルフォミン酸ニッケルに応力減少
剤(ワールドメタル社製:ゼロオール)とほう酸、ピッ
ト防止剤(ワールドメタル社製:NP−APS)、塩化
ニッケルを使用した。電着時の電界のかけ方としては、
アノード側に電極を付け、カソード側に既にパターニン
グしたSUS基板100を取り付け、メッキ液の温度を
50℃とし、電流密度を5A/cm2とした。
【0185】次に、図17(c)に示すように、上記の
ようなメッキを終了したSUS基板100に超音波振動
を与え、ニッケル層102の部分をSUS基板100か
ら剥離し、所望の第2の液流路を得た。
【0186】一方、電気熱変換用素子を配設したヒータ
ボードを、半導体と同様の製造装置を用いてシリコンウ
エハに形成した。このウエハを先の実施例と同様に、ダ
イシングマシンで各々のヒータボードに分離した。この
ヒータボード1を、予めプリント基板104が接合され
たアルミベースプレート70に接合し、プリント基板7
1とアルミワイヤ(図示略)とを接続することで電気的
配線を形成した。このような状態のヒータボード1上
に、図17(d)に示すように、先の工程で得た第2液
流路と位置決め固定した。この固定に際しては、後工程
で第1の実施例と同様に分離壁を固定した天板と押さえ
バネによって係合・密着されるため、天板接合時に位置
ズレが発生しない程度に固定されていれば十分である。
【0187】本例では、上記位置決め固定に紫外線硬化
型接着剤(グレースジャパン製:アミコンUV−30
0)を塗布し、紫外線照射装置を用い、露光量を100
mJ/cm2として約3秒間で固定を完了した。
【0188】本実施例の製法によれば、発熱体に対して
位置ズレのない精度の高い第2の液流路を得ることがで
きることに加え、ニッケルで流路壁を形成しているた
め、アルカリ性の液体に強く、信頼性の高いヘッドを提
供することが可能となる。
【0189】図18(a)〜(d)は、本発明の液体吐
出ヘッドの製造方法の第3の例を説明するための概略断
面図である。
【0190】本例においては、図18(a)に示すよう
に、アライメント穴あるいはマーク100aを有する厚
さ15μmのSUS基板100の両面にレジスト31を
塗布した。ここで、レジストとしては、東京応化製のP
MERP−AR900を使用した。
【0191】この後、図18(b)に示すように、素子
基板100のアライメント穴100aに合わせて、露光
装置(キヤノン(株)製:MPA−600)を用いて露
光し、第2の液流路を形成すべき部分のレジスト103
を除去した。露光は800mJ/cm2の露光量で行っ
た。
【0192】次に、図18(c)に示すように、両面の
レジスト103がパターニングされたSUS基板100
を、エッチング液(塩化第2鉄または塩化第2銅の水溶
液)に浸漬し、レジスト103から露出している部分を
エッチングした後、レジストを剥離した。
【0193】次に、図18(d)に示すように、先の製
造方法の例と同様に、ヒータボード1上に、エッチング
されたSUS基板100を位置決め固定して第2の液流
路4を有する液体吐出ヘッドを組み立てた。
【0194】本例の製法によれば、ヒータに対し位置ズ
レのない精度の高い第2液流路4を得ることができるこ
とに加え、SUSで流路を形成しているため、酸やアル
カリ性の液体に強く信頼性の高い液体吐出ヘッドを提供
することができる。
【0195】以上説明したように、本例の製造方法によ
れば、素子基板状に予め第2液流路の壁を配設すること
によって、電気熱変換体と第2液流路とが高精度に位置
決めすることが可能となる。また、切断、分離前の基板
上の多数の素子基板に対して第2の液流路を同時に形成
することができるので、多量に、かつ、低コストの液体
吐出ヘッドを提供することができる。
【0196】また、本例の製造方法の液体吐出ヘッドの
製造方法を実施することによって得られた液体吐出ヘッ
ドは、発熱体と第2液流路とが高精度に位置決めされて
いるので、電気熱変換体の発熱による発泡の圧力を効率
よく受けることができ、吐出効率に優れたものとなる。
【0197】<液体吐出ヘッドカートリッジ>次に、上
記実施形態例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0198】図19は、前述した液体吐出ヘッドを含む
液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であ
り、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッ
ド部200と液体容器80とから概略構成されている。
【0199】液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、
分離壁30、溝付部材50、押さえバネ78、液体供給
部材90、支持体70等から成っている。素子基板1に
は、前述のように発泡液に熱を与えるための発熱抵抗体
が、複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵
抗体を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられ
ている。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁3
0との間に発泡液路が形成され発泡液が流通する。この
分離壁30と溝付天板50との接合によって、吐出され
る吐出液体が流通する吐出流路(不図示)が形成され
る。
【0200】押さえバネ78は、溝付部材50に素子基
板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢
力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後
述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0201】支持体70は、素子基板1等を支持するた
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、
装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを
行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0202】液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給さ
れる、インク等の吐出液体と気泡を発生させるための発
泡液とを内部に区分収容している。液体容器90の外側
には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接続部
材を配置するための位置決め部94と接続部を固定する
ための固定軸95が設けられている。吐出液体の供給
は、液体容器の吐出液体供給路92から接続部材の供給
路84を介して液体供給部材80の吐出液体供給路81
に供給され、各部材の吐出液体供給路83,71,21
を介して第1の共通液室に供給される。発泡液も同様
に、液体容器の供給路93から接続部材の供給路を介し
て液体供給部材80の発泡液供給路82に供給され、各
部材の発泡液体供給路84,71,22を介して第2液
室に供給される。
【0203】以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおい
ては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給
を行いうる供給形態および液体容器で説明したが、吐出
液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と吐出
液の供給経路および容器を分けなくてもよい。
【0204】なお、この液体容器には、各液体の消費後
に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体
容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。又、液
体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよく、分離
可能としてもよい。
【0205】<液体吐出装置>図20は、前述の液体噴
射ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では特に吐出液体としてインクを用いたイ
ンク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置のキャ
リッジHCは、インクを収容する液体タンク部90と液
体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカートリッ
ジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送される記
録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動する。
【0206】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0207】また、本例の液体吐出装置においては、被
記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための駆動源
としてのモータ111、駆動源からの動力をキャリッジ
に伝えるためのギア112、113キャリッジ軸115
等を有している。この記録装置及びこの記録装置で行う
液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対して液体
を吐出することで良好な画像の記録物を得ることができ
た。
【0208】図21は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0209】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0210】またCPU302は前記画像データを記録
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モー
タを駆動するための駆動データを作る。画像データおよ
びモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、
モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動
モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミン
グで駆動され画像を形成する。
【0211】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0212】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0213】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液
としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体
を用いればよい。
【0214】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0215】図22は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した
長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルラ
イン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ
(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定の
間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0216】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0217】各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,
Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜204dのイ
ンク容器から供給されている。なお、符号204eは発
泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘ
ッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0218】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0219】符号206は、先の各例で説明したような
各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成する
搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ローラに
より所定の経路に引き回されており、モータドライバ3
05に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0220】本例のインクジェット記録システムにおい
ては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の処理
を行う前処理装置251および後処理装置252をそれ
ぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けている。
【0221】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0222】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0223】なお、本例では、ヘッドとしてフルライン
ヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述したよ
うな小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して記録
を行う形態のものであってもよい。
【0224】<ヘッドキット>以下に、本発明の液体吐
出ヘッドを有するヘッドキットを説明する。図23は、
このようなヘッドキットを示した模式図であり、このヘ
ッドキットは、インクを吐出するインク吐出部511を
有する本発明のヘッド510と、このヘッドと不可分も
しくは分離可能な液体容器であるインク容器520と、
このインク容器にインクを充填するためのインクを保持
したインク充填手段とを、キット容器501内に納めた
ものである。
【0225】インクを消費し終わった場合には、インク
容器の大気連通口521やヘッドとの接続部や、もしく
はインク容器の壁に開けた穴などに、インク充填手段の
挿入部(注射針等)531の一部を挿入し、この挿入部
を介してインク充填手段内のインクをインク容器内に充
填すればよい。
【0226】このように、本発明の液体吐出ヘッドと、
インク容器やインク充填手段等を一つのキット容器内に
納めてキットにすることで、インクが消費されてしまっ
ても前述のようにすぐに、また容易にインクをインク容
器内に充填することができ、記録の開始を迅速に行うこ
とができる。
【0227】なお、本例のヘッドキットでは、インク充
填手段が含まれるもので説明を行ったが、ヘッドキット
としては、インク充填手段を持たず、インクが充填され
た分離可能タイプのインク容器とヘッドとがキット容器
510内に納められている形態のものであってもよい。
【0228】また、この図23では、インク容器に対し
てインクを充填するインク充填手段のみを示している
が、インク容器の他に発泡液を発泡液容器に充填するた
めの発泡液充填手段をキット容器内に納めた形態のもの
であってもよい。
【0229】以下に、上述の流路構造をする液体吐出へ
ッド、へッドカートリッジ、液体吐出装置をさらに説明
する。
【0230】図24は複数の吐出口611とこれに連通
する液流路を有する液体吐出へッド616を示すもの
で、この液体吐出へッドは発熱体602が複数設けられ
た基板601と、前述の可動部材606を発熱体602
に対応して持つ分離壁605と、この分離壁上に設けら
れ複数の第1の液流路603となる溝を構成する流路壁
615が設けられた溝付天板614とで構成されてい
る。
【0231】図25は、図24で示した液体吐出へッド
616とこの液体吐出へッドに供給するための液体を保
持するインク容器とを有するへッドカートリッジ617
を示している。なお、このインク容器はインク消費後
に、インクを再充填して使用することが可能である。
【0232】図26は、本発明の被記録媒体680の記
録可能領域にわたって複数の吐出口が配されたいわゆる
フルラインヘッドおよび装置の概略図を示している。本
図では661がフルラインヘッドを示しており、被記録
媒体680に対し移行する位置に配されている。690
は披記録媒体搬送手段としての搬送ドラムである。
【0233】(実施例1)以下、本発明における吐出液
と発泡液との好適な混合割合につき説明する。
【0234】本発明においては、吐出液と発泡液を共に
吐出することによって安定な吐出を達成している。
【0235】本構成の液体吐出ヘッドにおいては、常に
安定した吐出を得るために可動部材を十分に吐出流路
(第1の液流路)側に変位させている。そして、吐出液
と発泡液とを、ある混合割合で吐出させるようにするに
は、前述の狭窄部の開口面積を調整すること、可動部材
の変位量を可動部材の材質や形状で調整すること、発熱
体に印加する信号のパルス幅や駆動周波数を変化させる
こと等により、行うことができる。本実施例ではパルス
幅を長くし、駆動周波数を高くすることで、両液の混合
割合を高くする方法を用いて実験を行った。以下に発泡
液と吐出液とが同時に吐出口から吐出する場合としない
場合との吐出特性を調べた結果を表1に示す。
【0236】このときの液体吐出ヘッドの形態は以下の
とおりである。
【0237】発熱体の大きさ:58μm×150μm 可動部材の大きさ:53μm×220μm 第2の液流路の高さ:15μm また、発熱体に印加する信号の電圧は23Vとした。
【0238】また、使用した吐出液(インク)の組成は
以下のとおりである。
【0239】 染料 3重量% エチレングリコール 6重量% グリセリン 4重量% 尿素 4重量% イソプロピルアルコール 5重量% 水 78重量%
【0240】さらに、使用した発泡液の組成は以下のと
おりである。
【0241】 エタノール 40重量% 水 60重量%
【0242】また、吐出速度の測定は、顕微鏡で吐出を
観察し、ストロボを同期させて発光さえたときの観察タ
イミングと吐出された液体の移動距離とに基づき算出す
ることで行った。
【0243】また、光学的濃度(OD)の値は、紙面上
にベタ印字を行い反射濃度計であるマクベス濃度計RD
−918(Adivision of kollmor
gen Corporation製)を用いてベタ部の
反射濃度を測定することで求めた。
【0244】また、吐出された液体の重量は以下の様に
測定した。
【0245】まず、発泡液と吐出液それぞれの供給タン
ク側にメスシリンダーを用い液体吐出時に消費される液
体の体積の変化量を測定しさらに各液体の比重を考慮し
て吐出された液体の重量を算出することで吐出液に対す
る発泡液の混合割合を求めた。
【0246】本実施例においては1ノズル当り2000
00発吐出させて消費されたおのおのの液体の重量を上
述した方法で測定した。
【0247】
【表1】 吐出安定性 △:吐出速度がばらつく ○:吐出速度のばらつき少ない ◎:吐出速度のばらつきがほとんどない
【0248】表1の結果から、吐出液に対する発泡液の
混合割合(発泡液の重量/吐出液の重量)は、0重量%
では長時間吐出させていると、13m/s〜17m/s
の間で吐出速度にばらつきが生じているものもあった
が、発泡液の吐出液に対する混合比率を高めるほど吐出
速度のばらつきが少なくなった。特に吐出速度の安定性
がより高いレベルで求められる場合には、発泡液の混合
割合を10重量%以上とすることが好ましく、20重量
%以上あるいは20重量%より大にすることがより好ま
しいことがわかった。
【0249】従来のバブルジェット記録ヘッドは、液体
を加熱発泡し、その発泡圧力で液体を吐出させる方法で
あるため、発泡時に加熱された液体がもとの温度に戻る
までには時間がかかり、液体の温度が上昇したまま次の
発泡を開始して、液体を吐出させると、吐出量が大きく
変化したり吐出特性が不安定になったりすることが知ら
れている。しかしながら本発明によれば、発泡液を吐出
液と共に吐出させることで温度上昇した発泡液を排出す
ることが出来るため、さらに新しい発泡液を補給するこ
とが出来、発泡液の温度上昇を抑え、吐出安定性を高め
ることが出来る。
【0250】また、発泡液中に空気等が溶存している場
合は、上述した加熱動作により気泡が析出することがあ
る。この発熱体上に析出した気泡は、発泡液の発泡をみ
だすことがある為、発泡が不安定となり、吐出量が変化
したり、吐出速度がばらついたりして吐出特性が不安定
になったりする場合がある。この場合も、上述した本発
明による吐出方法と同じように発泡液を吐出液と共に吐
出させ、発泡液の昇温を抑えることにより吐出安定性を
高めることが出来る。
【0251】さらに、発泡液の組成によっては、上述し
た加熱動作等により成分変化が起こる場合がある。発泡
液の成分変化が起こった場合、発泡状態が変化し、吐出
特性が不安定になったりする。この場合も、上述した本
発明による吐出方法と同じように、発泡液を吐出液と共
に吐出させて発泡液を排出することで新しい発泡液が補
給されるので発泡液の成分変化がほとんどない状態に保
つことが出来、吐出安定性を高めることができる。
【0252】また、表1の発泡液の吐出液に対する混合
割合と光学的濃度(OpticalDensity,以
下(OD)又はOD値と称す)の変化は、吐出液の染料
濃度が3重量%の場合、発泡液の混合割合が0重量%の
時の初期OD値に対し、発泡液を混合することにより、
多少のOD値低下はあるが、発泡液が50重量%までの
混合であれば、O.Dは1.25が維持できた。
【0253】OD値が1.25以上であれば、様々な文
字や画像を印字したときに、視覚的に黒と認識され、薄
いと感じない為、O.Dが1.25以上となるように発
泡液の混合比率を50重量%以下に抑えれば、画像品位
も十分高いレベルで維持できる。よって、画像濃度の観
点からは、発泡液の混合割合は50重量%以下とするの
が好ましい。より好ましくは画像濃度のバラツキ等を考
慮すると30重量%以下である。
【0254】従って、本実施例によれば、印字品位の観
点からは発泡液の吐出液に対する混合割合を10〜30
重量%とするのがよく、吐出安定性や印字品位の総合的
観点からは発泡液の吐出液に対する混合割合が10重量
%以上が好ましく20重量%以上50重量%以下とする
のがより好ましいことがわかった。
【0255】本実施例では、染料濃度3重量%のインク
を用いたが、染料濃度3重量%以上の吐出液を用いれ
ば、発泡液を混合しても一定値以上のOD値を常に保ち
やすくなり、より安定した高画質な画像を得ることがで
きる。したがって、吐出特性や吐出信頼性等がそこなわ
れなければ、染料濃度が高いほど安定した濃度を得るこ
とが出来、染料濃度が5重量%より大である場合、発泡
液の混合割合が150重量%となっても良好な画像濃度
が得られる。逆に、発泡液の混合比を20重量%にして
おけば染料濃度は2.4重量%まで下げてもO.Dは
1.25を維持できる。さらに発泡液と吐出液との組み
合わせによっては、吐出時の混合により吐出液の吐出特
性を向上させ、印字品位を高めることも可能である。発
泡液と吐出液とを最適な混合割合で使用する場合は、発
泡圧、可動部材の形状変位量および第2流路の高さや、
第2液流路と第1液流路の境界部で可動部材の変位によ
って開口する開口面積の大きさ、形状等によって調整す
ることが可能である。ここで、色材濃度が3〜5重量%
の場合、前記混合割合は20〜50重量%が好ましく、
色材濃度が5重量%を越える場合は前記混合割合を20
〜150重量%とするのがよい。
【0256】また、気泡発生手段としての発熱体上への
堆積物(コゲ等)が生じにくい液体を吐出液と発泡液の
両方に用いる場合にも、上述の効果を得ることが出来
る。
【0257】(実施例2)本実施例においては、顔料分
散系の吐出液を用いて実施例1と同様の実験を行った。
この結果を表2に示す。
【0258】顔料分散系吐出液の組成は以下のとおりで
ある。
【0259】 カーボンブラック 3重量% グリセリン 10重量% チオジグリコール 6重量% イソプロピルアルコール 2重量% 水 74重量% 分散剤 1重量%
【0260】発泡液は実施例1と同様に、エタノール4
0重量%水溶液を用いた。
【0261】
【表2】
【0262】本実施例においても実施例1と同様の結果
が得られ吐出安定性が求められる場合には、発泡液の混
合割合が10重量%以上であることが好ましく、より好
ましくは20重量%以上にすることがよい。
【0263】また画像品位の観点からはOD値が1.2
5以上を維持する為に、発泡液の混合割合を50重量%
以下とするのがよい。
【0264】よって発泡液の混合割合が10重量%以
上、特に20重量%以上、50重量%以下とすることに
より、より安定した高画質の画像を得ることができる。
【0265】本実施例の場合も、実施例1と同様に、発
泡液と吐出液との組み合わせによっては、吐出時の混合
により吐出液の吐出特性を向上させ印字品位を高めるこ
とも可能である。
【0266】発泡液と吐出液との最適な混合割合は発泡
圧、可動部材の形状、変位量および第2流路の高さや、
第2流路と第1流路の境界部で可動部材の変位によって
開口する開口面積の大きさ、形状等によって調整するこ
とが可能である。
【0267】また、気泡発生手段としての発熱体上への
堆積物(コゲ等)が生じにくい液体を吐出液と発泡液の
両方に用いる場合にも、上述の効果は得ることが出来
る。
【0268】(実施例3)図27は本発明における第3
の実施例を説明するための色材濃度とOD値の関係を示
したものである。
【0269】図27より色材濃度とOD値との関係にお
いては、色材濃度が3重量%以上でOD値の変化率が小
さく、OD値が飽和状態になり、3重量%未満ではOD
値の変化率が大きくなる傾向がある。この絶対値は色材
やそれを溶し込む吐出液としての溶剤の成分や、画像を
記録する記録媒体や単位面積あたりに打ち込む液量によ
って差があるものであるが、相対的には同様な傾向を示
すものである。
【0270】このような特性カーブを利用し、本実施例
においては、色材濃度が1重量%のものを用い、色材濃
度によるOD値の変化率が大きくなる特性領域を用いて
濃度階調性を実現した。
【0271】使用した液体吐出ヘッドの形態は実施例1
で用いた形態と同様であるが第2液流路の高さは30μ
mのものを用いた。
【0272】使用した吐出液の組成は以下のとおりであ
る。
【0273】 染料 1重量% エチレングリコール 6重量% グリセリン 4重量% 尿素 4重量% イソプロピルアルコール 5重量% 水 80重量%
【0274】さらに使用した発泡液の組成は以下のとお
りである。
【0275】 エタノール 40重量% 水 60重量%
【0276】表3は本実施例として、上記1重量%の染
料の吐出液を用い、吐出液に対する発泡液の混合割合を
変化させたときの光学的濃度(OD)の変化を測定した
ものである。
【0277】
【表3】
【0278】表3の結果より染料濃度1重量%の吐出液
を用いて、発泡液の混合割合を変化させてOD値を大き
く変化させることで効率良く濃度階調を得ることが可能
であり、例えば発泡液を混合していない場合に比べて、
発泡液を300重量%混合した場合には、約50%OD
値を変化させることができた。
【0279】前記表3の結果に基づき発泡液の混合割合
と光学的濃度(OD値)との関係を示したものが図28
である。
【0280】このように、OD値の異なる液体を吐出さ
せることにより階調のある画像を得ることができる。
【0281】また、本発明の濃度階調制御は、図27の
色材濃度−OD値特性カーブから明らかなように吐出液
の染料濃度が3重量%以下であれば、濃度変化が急激に
高くなるため制御効果を高めることができる。さらに、
濃度階調を有効に行なうためには色材濃度0.3重量%
以上の領域を用いることが重要で、0.3重量%未満で
あると、濃い部分の光学的濃度が十分得られなくなる場
合がある。
【0282】また、色材は染料に限らず、実施例2のよ
うに顔料であってもよい。
【0283】(実施例4)本実施例においては、実施例
1と同様のヘッドを使用して吐出液には顔料インクとし
て、C.Iピグメントレッド57を含むインク、発泡液
には染料インクとしてC.Iダイレクトレッドを含むイ
ンクを用いた。
【0284】各インクには分散剤、水または水混和性有
機溶剤の混合系その他従来公知の粘度調整剤、表面張力
調整剤、PH調整剤、バインダーなどを添加した。
【0285】バブルジェットヘッドは、液体を加熱発泡
させ、その発泡圧力によって液体を吐出させる方法であ
る為、液体に顔料インクを用いた場合、前述の加熱によ
り長期間駆動した場合、染料インクよりも発熱体上堆積
物を生じ易く、吐出が不安定になるおそれがある。しか
しながら、本実施例によれば、発泡液に染料インクを用
いることにより染料インクと同等の発熱体表面状態を保
つことができ、吐出状態の長期安定性が向上する。
【0286】また、顔料インクによる記録画像は、耐水
性、耐光性等の耐候性関しては、染料インクより優れて
いるが、彩度等の色味の点で劣るものがあるが、本実施
によれば、顔料インクと染料インクの両方を吐出動作に
伴って、可動部材を介して、混合して吐出させること
で、顔料インクと染料インクの両方の特徴を生かした画
像すなわち、色再現性を向上させつつ耐候性の高い記録
画像を形成することができる。
【0287】しかも、本発明によれば、染料インクと顔
料インクを実質的に分離した状態で保持し、吐出時に混
合するため染料インクと顔料インクの組合せによって、
初めから混合された状態で長期間放置しておくことで、
顔料の粒子が凝集が進み、粒径が大きくなってしまい、
吐出が不安定になったり場合によっては目詰まり等を起
こし、不吐出になってしまうといったこともない。
【0288】吐出安定性や画像品位向上等にみられる顔
料インクと染料インクとの相乗効果が顕著に現れる組み
合わせとして、好ましい染料は、C.Iダイレクトレッ
ド2、20、31、46、75、83で示される直接染
料、C.Iアシッドレッド52、92、94、106、
133、154、155、249、265、274に示
される酸性染料、C.Iベーシックレッド1、2、1
2、13、14に示される塩基性染料が挙げられる。
【0289】同様に本発明に好適に使用される顔料は、
C.Iピグメントレッド5、11、48、49、57、
60、139、144、165、166で示されるアゾ
顔料、C.Iピグメントレッド122、209で示され
るキナクリドン系顔料、C.Iピグメントレッド123
で示されるペリレン系顔料などが挙げられる。
【0290】本実施例では実施例1、2で述べた吐出安
定性向上の効果に加えて染料インクの彩度の優れた点を
効果的に画像にいかす条件として、顔料インクに対する
染料インクの混合割合を10重量%以上とした。
【0291】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
発泡液を加熱発泡させ、発生した気泡によって自由端を
有する可動部材を変位させるヘッド構造において、吐出
液に対して、発泡液を所定の割合で混合して吐出させる
ことによって次のような効果を得ることができた。
【0292】すなわち、加熱発泡による発泡液の温度上
昇を低減することが出来る。また、発泡液中に析出した
気泡の排出や発泡液の成分の初期状態を保つことが出
来、より安定した液体の吐出状態を実現することができ
る。
【0293】また別な効果としては、OD値が変化しや
すい領域の色材濃度の吐出液を用いることにより、発泡
液の混合によるOD値の変化を大きく出来、濃度階調に
よる高画質記録を行うことができる。
【0294】さらに、本発明によれば可動部材の自由端
から吐出口に至る部分の流路で発泡液と吐出液が混合さ
れた状態で吐出されるため、均一性の高い濃度階調され
たドットが形成できる。
【0295】また、上述したような効果に加え、可動部
材を用いる新規な吐出原理に基づく液体吐出方法、ヘッ
ド等によると、発生する気泡とこれによって変位する可
動部材との相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液
体を効率よく吐出できるため、従来のバブルジェット方
式の吐出方法、ヘッド等に比べて吐出効率を向上でき
る。
【0296】また、低温や低湿で長期放置を行った場合
であっても不吐出になることを防止でき、仮に不吐出に
なっても予備吐出や吸引回復といった回復処理をわずか
に行うだけで正常状態に即座に復帰できる利点もある。
これに伴い、回復時間の短縮や回復による液体の損失を
低減でき、ランニングコストも大幅に下げることが可能
である。
【0297】また、リフィル特性が向上するので、連続
吐出時の応答性、気泡の安定成長、液滴の安定化を達成
して、高速液体吐出による高速記録また高画質記録を可
能にすることができる。
【0298】また、2流路構成のヘッドにおいて発泡液
として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物(こ
げ等)が生じにくい液体を用いることで、吐出液の選択
の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液体、発
熱体上に堆積物を生じやすい液体等、従来のバブルジェ
ット吐出方法で吐出することが困難であった液体につい
ても良好に吐出することができた。
【0299】さらに熱に弱い液体等も、この液体に熱に
よる悪影響を与えず吐出することができた。
【0300】また、上述の液体吐出ヘッドの製造方法に
よると、液体吐出ヘッドを精度良く製造でき、また部品
点数を少なく、安価に、しかも容易に製造することがで
きる。
【0301】また、上述の液体吐出ヘッドを記録用の液
体吐出記録ヘッドとして用いることで、さらに高画質な
記録を達成することができた。
【0302】また、上述の液体吐出ヘッドを用い、液体
の吐出効率等がさらに向上した液体吐出装置や記録シス
テム等を提供することができた。
【0303】
【0304】また、特に本発明においては、吐出液と共
に発泡液も吐出することで、発泡液の温度上昇を低減す
ること、発泡液に混じって生じる定常気泡の排出、発泡
液の成分変化の防止を達成することができ、安定な液体
の吐出を達成することができる。
【0305】また、高粘性であるため塗布等の方法でし
か付与できなかった液体を被記録媒体にドット単位で付
与することができるため、高品位の記録物を得ることが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面図であ
る。
【図2】液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図3】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図である。
【図4】液体吐出ヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を
示す模式図である。
【図5】液体の流れを説明するための模式図である。
【図6】液体吐出ヘッド(2流路)の断面図である。
【図7】液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図8】可動部材の動作を説明するための図である。
【図9】可動部材と第1液流路の構造を説明するための
図である。
【図10】可動部材と液流路の構造を説明するための図
である。
【図11】可動部材の他の形状を説明するための図であ
る。
【図12】液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図13】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図14】液体吐出ヘッドの供給路を説明するための断
面図である。
【図15】液体吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図16】液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための
工程図である。
【図17】液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための
工程図である。
【図18】液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための
工程図である。
【図19】液体吐出ヘッドカートリッジの分解斜視図で
ある。
【図20】液体吐出装置の概略構成図である。
【図21】装置ブロック図である。
【図22】液体吐出記録システムを示す図である。
【図23】ヘッドキットの模式図である。
【図24】複数の液流を有する液体吐出へッドの部分破
断斜視図である。
【図25】へッドカートリッジを説明するための図であ
る。
【図26】フルラインヘッドを説明するための図であ
る。
【図27】色材濃度とOD値の関係を示す図である。
【図28】OD値と発泡液の混合割合の関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 15 第1共通液室 16 第2液流路 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 36 気泡発生領域前壁 37 気泡発生領域側壁 40 気泡 45 液滴 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね 80 供給部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高出 文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 工藤 清光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−201024(JP,A) 特開 平5−112008(JP,A) 特開 平6−226990(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/01 B41J 2/05 B41J 2/175 B41J 2/205

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)液体吐出口に連通し、色材を含む
    第1の液体を流通させるための第1の液流路と、(B)
    前記第1の液流路に隣接して配され、色材を含まない第
    2の液体を流通させるための第2の液流路と、(C)前
    記第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前
    記第2の液体に気泡を発生させる気泡発生手段と、
    (D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配さ
    れ、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有す
    る液体吐出ヘッドから液体を吐出する方法であって、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    する吐出工程を有し、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  2. 【請求項2】 (A)液体吐出口に連通し、顔料インク
    である第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
    (B)前記第1の液流路に隣接して配され、染料インク
    である第2の液体を流通させるための第2の液流路と、
    (C)前記第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利
    用して前記第2の液体に気泡を発生させる気泡発生手段
    と、(D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に
    配され、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を
    有する液体吐出ヘッドから液体を吐出する方法であっ
    て、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    する吐出工程を有し、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  3. 【請求項3】 (A)液体吐出口に連通し第1の液体を
    流通させるための第1の液流路と、(B)前記第1の液
    流路に隣接して配され、第2の液体を流通させるための
    第2の液流路と、(C)前記第2の液流路に配置され
    熱エネルギーを利用して前記第2の液体に気泡を発生さ
    せる気泡発生手段と、(D)前記第1の液流路と前記第
    2の液流路の間に配され、自由端を有する可動部材を有
    した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドから液体を吐出
    する方法であって、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    する吐出工程を有し、 前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記気泡が
    発生しやすい液体であり、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  4. 【請求項4】 (A)液体吐出口に連通し第1の液体を
    流通させるための第1の液流路と、(B)前記第1の液
    流路に隣接して配され、第2の液体を流通させるための
    第2の液流路と、(C)前記第2の液流路に配置され、
    熱エネルギーを利用して前記第2の液体に気泡を発生さ
    せる熱エネルギー発生手段と、(D)前記第1の液流路
    と前記第2の液流路の間に配され、自由端を有する可動
    部材を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドから液
    体を吐出する方法であって、 前記第2の液流路に配置された熱エネルギー発生手段に
    より気泡を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づ
    いて前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位
    させ、当該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1
    の液流路の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液
    体を吐出する吐出工程を有し、 前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記熱エネ
    ルギ−発生手段への堆積物が生じ難い液体であり、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  5. 【請求項5】 (A)液体吐出口に連通し、色材を含む
    第1の液体を流通させるための第1の液流路と、(B)
    前記第1の液流路に隣接して配され、色材を含まない第
    2の液体を流通させるための第2の液流路と、(C)前
    記第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前
    記第2の液体に気泡を発生させる気泡発生手段と、
    (D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配さ
    れ、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有す
    る液体吐出ヘッドから液体を吐出する方法であって、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により発生
    する気泡を前記液体吐出口に向かう上流よりも下流に大
    きく膨張させ、当該膨張により前記可動部材の自由端を
    前記第1の液流路側に変位させて、前記液体吐出口から
    液体を吐出する吐出工程を有し、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  6. 【請求項6】 (A)液体吐出口に連通し、顔料インク
    である第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
    (B)前記第1の液流路に隣接して配され、染料インク
    である第2の液体を流通させるための第2の液流路と、
    (C)前記第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利
    用して前記第2の液体に気泡を発生させる気泡発生手段
    と、(D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に
    配され、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を
    有する液体吐出ヘッドから液体を吐出する方法であっ
    て、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により発生
    する気泡を前記液体吐出口に向かう上流よりも下流に大
    きく膨張させ、当該膨張により前記可動部材の自由端を
    前記第1の液流路側に変位させて、前記液体吐出口から
    液体を吐出する吐出工程を有し、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  7. 【請求項7】 (A)液体吐出口に連通し第1の液体を
    流通させるための第1の液流路と、(B)前記第1の液
    流路に隣接して配され、第2の液体を流通させるための
    第2の液流路と、(C)前記第2の液流路に配置され
    熱エネルギーを利用して前記第2の液体に気泡を発生さ
    せる気泡発生手段と、(D)前記第1の液流路と前記第
    2の液流路の間に配され、自由端を有する可動部材を有
    した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドから液体を吐出
    する方法であって、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により発生
    する気泡を前記液体吐出口に向かう上流よりも下流に大
    きく膨張させ、当該膨張により前記可動部材の自由端を
    前記第1の液流路側に変位させて、前記液体吐出口から
    液体を吐出する吐出工程を有し、 前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記気泡が
    発生しやすい液体であり、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  8. 【請求項8】 (A)液体吐出口に連通し第1の液体を
    流通させるための第1の液流路と、(B)前記第1の液
    流路に隣接して配され、第2の液体を流通させるための
    第2の液流路と、(C)前記第2の液流路に配置され、
    熱エネルギーを利用して前記第2の液体に気泡を発生さ
    せる熱エネルギー発生手段と、(D)前記第1の液流路
    と前記第2の液流路の間に配され、自由端を有する可動
    部材を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドから液
    体を吐出する方法であって、 前記第2の液流路に配置された熱エネルギー発生手段に
    より発生する気泡を前記液体吐出口に向かう上流よりも
    下流に大きく膨張させ、当該膨張により前記可動部材の
    自由端を前記第1の液流路側に変位させて、前記液体吐
    出口から液体を吐出する吐出工程を有し、 前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記熱エネ
    ルギ−発生手段への堆積物が生じ難い液体であり、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を10重量%以上混合し、当該混合した状態の液体を前
    記液体吐出口から吐出することを特徴とする液体吐出方
    法。
  9. 【請求項9】 吐出される混合液体によって記録媒体上
    に記録される画像のOD値は1.25以上であることを
    特徴とする請求項1または5に記載の液体吐出方法。
  10. 【請求項10】 前記気泡発生手段は、電気信号に応じ
    て発熱する抵抗層を有する熱エネルギー発生手段である
    ことを特徴とする請求項1〜3、5〜7のいずれかに記
    載の液体吐出方法。
  11. 【請求項11】 前記第1の液体に対して前記第2の液
    体を50重量%以下混合した状態で前記液体吐出口から
    吐出することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方
    法。
  12. 【請求項12】 前記第1の液体に対して前記第2の液
    体を30重量%以下混合した状態で前記液体吐出口から
    吐出することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方
    法。
  13. 【請求項13】 前記第1の液体に対して前記第2の液
    体を20重量%以上混合した状態で前記液体吐出口から
    吐出することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方
    法。
  14. 【請求項14】 前記第1の液体に対して前記第2の液
    体を20重量%より大の割合で混合した状態で前記液体
    吐出口から吐出することを特徴とする請求項1に記載の
    液体吐出方法。
  15. 【請求項15】 (A)液体吐出口と、(B)前記液体
    吐出口に連通し、色材を含む第1の液体を流通させるた
    めの第1の液流路と、(C)前記第1の液流路に隣接し
    て配され、色材を含まない第2の液体を流通させるため
    の第2の液流路と、(D)前記第2の液流路に配置さ
    、熱エネルギーを利用して前記第2の液体に気泡を発
    生させる気泡発生手段と、(E)前記第1の液流路と前
    記第2の液流路の間に配され、自由端を有する可動部材
    を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドと、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    させるために、前記液体吐出ヘッドに駆動信号を供給す
    る駆動信号供給手段を有し、 前記駆動信号供給手段は、前記可動部材の前記第1の液
    流路側への変位により前記第1の液体に対して前記第2
    の液体を10重量%以上混合した状態の液体を前記液体
    吐出口から吐出させるための駆動信号を供給することを
    特徴とする液体吐出装置。
  16. 【請求項16】 (A)液体吐出口と、(B)前記液体
    吐出口に連通し、顔料インクである第1の液体を流通さ
    せるための第1の液流路と、(C)前記第1の液流路に
    隣接して配され、染料インクである第2の液体を流通さ
    せるための第2の液流路と、(D)前記第2の液流路に
    配置され、熱エネルギーを利用して前記第2の液体に気
    泡を発生させる気泡発生手段と、(E)前記第1の液流
    路と前記第2の液流路の間に配され、自由端を有する可
    動部材を有した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドと、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    させるために、前記液体吐出ヘッドに駆動信号を供給す
    る駆動信号供給手段を有し、 前記駆動信号供給手段は、前記可動部材の前記第1の液
    流路側への変位により前記第1の液体に対して前記第2
    の液体を10重量%以上混合した状態の液体を前記液体
    吐出口から吐出させるための駆動信号を供給することを
    特徴とする液体吐出装置。
  17. 【請求項17】 (A)液体吐出口と、(B)前記液体
    吐出口に連通し第1の液体を流通させるための第1の液
    流路と、(C)前記第1の液流路に隣接して配され、第
    2の液体を流通させるための第2の液流路と、(D)前
    記第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利用して前
    記第2の液体に気泡を発生させる気泡発生手段と、
    (E)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配さ
    れ、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有す
    る液体吐出ヘッドと、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    させるために、前記液体吐出ヘッドに駆動信号を供給す
    る駆動信号供給手段を有し、 前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記気泡が
    発生しやすい液体であり、 前記駆動信号供給手段は、前記可動部材の前記第1の液
    流路側への変位により前記第1の液体に対して前記第2
    の液体を10重量%以上混合した状態の液体を前記液体
    吐出口から吐出させるための駆動信号を供給することを
    特徴とする液体吐出装置。
  18. 【請求項18】 (A)液体吐出口と、(B)前記液体
    吐出口に連通し第1の液体を流通させるための第1の液
    流路と、(C)前記第1の液流路に隣接して配され、第
    2の液体を流通させるための第2の液流路と、(D)前
    記第2の液流路に配置され、熱エネルギーを利用して
    記第2の液体に気泡を発生させる熱エネルギー発生手段
    と、(E)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に
    配され、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を
    有する液体吐出ヘッドと、 前記第2の液流路に配置された熱エネルギー発生手段に
    より気泡を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づ
    いて前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位
    させ、当該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1
    の液流路の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液
    体を吐出させるために、前記液体吐出ヘッドに駆動信号
    を供給する駆動信号供給手段を有し、 前記第2の液体は、前記第1の液体に比べ、前記熱エネ
    ルギ−発生手段への堆積物が生じ難い液体であり、 前記駆動信号供給手段は、前記可動部材の前記第1の液
    流路側への変位により前記第1の液体に対して前記第2
    の液体を10重量%以上混合した状態の液体を前記液体
    吐出口から吐出させるための駆動信号を供給することを
    特徴とする液体吐出装置。
  19. 【請求項19】 (A)液体吐出口に連通し、色材を含
    む第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
    (B)前記第1の液流路に隣接して配され、色材を含ま
    ない第2の液体を流通させるための第2の液流路と、
    (C)前記第2の液流路に配置された気泡発生手段と、
    (D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配さ
    れ、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有す
    る液体吐出ヘッドを用い、当該液体吐出ヘッドから記録
    媒体に対して液体を吐出させて階調記録を行う方法であ
    って、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    させる吐出工程を有し、 前記吐出工程では、前記可動部材の前記第1の液流路側
    への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液体
    を記録すべき階調に応じた所望の混合割合に調整して前
    記液体吐出口から吐出させることを特徴とする階調記録
    方法。
  20. 【請求項20】 (A)液体吐出口に連通し、色材を含
    む第1の液体を流通させるための第1の液流路と、
    (B)前記第1の液流路に隣接して配され、色材を含ま
    ない第2の液体を流通させるための第2の液流路と、
    (C)前記第2の液流路に配置された気泡発生手段と、
    (D)前記第1の液流路と前記第2の液流路の間に配さ
    れ、自由端を有する可動部材を有した分離壁と、を有す
    る液体吐出ヘッドを用い、当該液体吐出ヘッドから記録
    媒体に対して液体を吐出させて階調記録を行う装置であ
    って、 前記第2の液流路に配置された気泡発生手段により気泡
    を発生させ、前記気泡の発生による圧力に基づいて前記
    可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位させ、当
    該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の液流路
    の吐出口側に導くことで前記液体吐出口から液体を吐出
    させる吐出制御手段を有し、 前記吐出制御手段は、前記可動部材の前記第1の液流路
    側への変位により前記第1の液体に対して前記第2の液
    体を記録すべき階調に応じた所望の混合割合に調整して
    前記液体吐出口から吐出させることを特徴とする階調記
    録装置。
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