JPH1024592A - 液体吐出装置および液体吐出装置の回復方法 - Google Patents

液体吐出装置および液体吐出装置の回復方法

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JPH1024592A
JPH1024592A JP8183890A JP18389096A JPH1024592A JP H1024592 A JPH1024592 A JP H1024592A JP 8183890 A JP8183890 A JP 8183890A JP 18389096 A JP18389096 A JP 18389096A JP H1024592 A JPH1024592 A JP H1024592A
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liquid
flow path
discharge
liquid flow
ejection
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Hidehiko Kanda
英彦 神田
Masaya Uetsuki
雅哉 植月
Osamu Iwasaki
督 岩崎
Hiroshi Tajika
博司 田鹿
Toshio Kashino
俊雄 樫野
Yoshie Nakada
佳恵 中田
Shinya Matsui
真也 松井
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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Preventing or detecting of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/1652Cleaning of print head nozzles by driving a fluid through the nozzles to the outside thereof, e.g. by applying pressure to the inside or vacuum at the outside of the print head
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分離壁およびこの分離壁に連設された可動部
材により吐出液を有する第1の液流路と発泡液を有する
第2の液流路とが分離された構造の液体吐出ヘッドを有
する装置において、高い吐出エネルギー効率、吐出力を
得るとともに、長期間放置後でも良好な吐出を実現す
る。 【解決手段】 第1の液流路内および第2の液流路内の
回復を、各液流路内の吸引または/および加圧によっ
て、各液流路内の液体を排出させる場合に、流路抵抗が
高い方の液流路の加圧力または/および吸引力を、他方
の液流路の加圧力または/および加圧力より大きく設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用
いた液体吐出装置、および液体吐出装置の回復方法に関
する。
【0002】特に本発明は、気泡の発生を利用して変位
する可動部材を有する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッド
を用いた液体吐出装置、および液体吐出装置の回復方法
に関する。
【0003】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、
通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有す
るワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と
複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明
である。
【0004】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0005】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許第4,723,129号等の公報に開示されているよ
うに、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に
連通するインク流路と、インク流路内に配されたインク
を吐出するためのエネルギー発生手段としての発熱体
(電気熱変換体)が一般的に配されている。
【0006】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0007】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0008】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0009】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0010】この流路形状の内、流路構造として図48
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。この公報に記載されてい
る流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発
生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向
かう圧力、即ち、液室12へ向かう圧力)に着目した発
明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギ
ーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0011】図48(a),(b)に示す発明は、発熱
素子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発熱
素子2に関して吐出口11とは反対側に位置する弁10
を開示する。
【0012】図48(b)においては、この弁10は、
板材等を利用する製造方法によって、流路3の天井に貼
り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流
路3内へ垂れ下がるものとして開示されている。この発
明は、上述したバック波の一部を弁10によって制御す
ることでエネルギー損失を抑制するものとして開示され
ている。
【0013】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路3内部に、気泡が発生した際を
検討するとわかるように、弁10によるバック波の一部
を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なもので
ないことがわかる。
【0014】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
3内に発生した時点では、図48(a)に示すように、
気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路3から
液体を吐出可能状態にしている。従って、バック波のう
ち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に
大きな影響を与えないことは明らかである。
【0015】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生す
ることで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なイ
ンクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐
出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十
分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出す
べき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望
まれていた。
【0016】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、米国特許第4,4
80,259号等の公報に開示されている。これらの公
報では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴム
などの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接
しないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可
撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとってい
る。このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防
止や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0017】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下
してしまう虞があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的に従
来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成し
て液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来で
は考えられなかった観点から、従来では予想できない水
準に高めることを主たる課題とする。
【0019】発明者達の一部は、液滴吐出の原理に立ち
返り、従来では得られなかった気泡を利用した新規な液
滴吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく
鋭意研究を行った。このとき、流路中の可動部材の機構
の原理を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を
起点とする第1技術解析、及び気泡による液滴吐出原理
を起点とする第2技術解析、さらには、気泡形成用の発
熱体の気泡形成領域を起点とする第3解析を行うことに
した。
【0020】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0021】つぎに、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮するこ
とが吐出特性を格段に向上できる要因として最大である
との知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を
吐出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出
速度の向上をもたらすことも判明した。このことから、
発明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材
の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比べ極
めて高い技術水準に至った。
【0022】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る
中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
がわかった。
【0023】また、一方、可動部材の配置と液供給路の
構造を考慮することで、リフィル速度を大幅に向上する
ことができることがわかった。
【0024】本願出願人は、このように本発明者達の一
部による研究で得られた知見および総合的観点から優れ
た液体の吐出原理を既に出願しており、本発明はかかる
液体の吐出原理を前提に、さらに本発明者達のより好ま
しい着想により想起されたものである。
【0025】本発明者達が認識した点は、“前述の液体
吐出ヘッドでは、長期間放置後に吐出口部分を増粘イン
クやゴミ等が覆う可能性が考えられるが、そのような場
合では、吐出液体の良好な吐出が妨げられ、また、第2
の液流路の液中に析出気泡が生じ、液体の良好な吐出が
妨げられることも考えられる。このような場合を防止も
しくは即座に解消する必要がある。また、前述の液体吐
出ヘッドにおいて、吐出液と発泡液の2液を使用した場
合、非常に長時間放置した後に、若干ではあるが、混液
する場合がある。このような場合においては、良好な印
字に影響があると考えられ、防止もしくは即座に解消す
る必要がある。そして、これらの吐出障害の解消は、液
流路内の液体の加圧または/および吸引を行うことによ
りなすことになるが、その場合、各液流路の流路抵抗に
よって、不充分にならないように勘案することが大切で
ある。”ということである。
【0026】本発明の主たる目的は以下の通りである。
【0027】本発明の第1の目的は、高い吐出効率、吐
出力を得ることができ、かつ、長期間放置後でも良好な
吐出を行える強力な吐出力回復手段を備えた液体吐出方
法および装置を提供することにある。
【0028】本発明の第1の目的に加えて第2の目的
は、発生した気泡を根本的に制御することで極めて新規
な液体吐出原理を提供することにある。
【0029】本発明の第3の目的は、吐出効率、吐出力
の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に軽
減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図ること
で、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出方法、液体吐
出ヘッド等を提供することにある。
【0030】本発明の第4の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によって、メニスカス後退量を
低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピー
ド等を向上させた液体吐出ヘッド等を提供することにあ
る。
【0031】本発明の第5の目的は、発熱体上への堆積
物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広げること
ができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐出
方法、液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0032】本発明の第6の目的は、吐出する液体の選
択自由度を高くできる液体吐出方法、液体吐出ヘッド等
を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
【0034】吐出口に連通した第1の液流路と、液体に
熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発生領
域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前記気
泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有し、
前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基づい
て該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記圧力
を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材とを有す
る液体吐出ヘッドを具備してなり、前記第1の液流路内
および第2の液流路内を各々加圧で第1の液体を充填可
能な加圧装置と、前記第1の液流路内および第2の液流
路内を各々の液流路を開閉可能な開閉装置と、前記吐出
口から吸引することにより前記第1の液体を充填可能な
吸引装置を備え、これら各加圧装置、各開閉装置、吸引
装置が独立に制御可能であることを特徴とする液体吐出
装置である。
【0035】もしくは、液体を吐出するための複数の吐
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体
に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数
の発熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素
子基板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液
流路の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した
位置に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の
液流路側に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有
する液体吐出ヘッドを具備してなり、前記第1の液流路
内および第2の液流路内を各々加圧で第1の液体を充填
可能な加圧装置と、前記第1の液流路内および第2の液
流路内を各々の液流路を開閉可能な開閉装置と、前記吐
出口から吸引することにより前記第1の液体を充填可能
な吸引装置を備え、これら各加圧装置、各開閉装置、吸
引装置が独立に制御可能であることを特徴とする液体吐
出装置である。
【0036】もしくは、吐出口に連通した第1の液流路
と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
材とを有する液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐出装
置の回復方法であって、前記吐出口から前記第1の液流
路内の液体および前記第2の液流路内の液体を排出する
ことにより前記液体吐出ヘッドの吐出力を回復するに際
して、流路抵抗の大きい方の液流路へ印加する圧力を大
きくすることを特徴とする。
【0037】もしくは、吐出口に連通した第1の液流路
と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
材と、前記第2の液流路に連通し液体を排出するための
回復口とを有する液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐
出装置の回復方法であって、前記吐出口または/および
前記回復口から液体を排出することにより前記液体吐出
ヘッドの吐出力を回復するに際して、流路抵抗の大きい
方の液流路へ印加する圧力を大きくすることを特徴とす
る。
【0038】もしくは、液体を吐出するための複数の吐
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体
に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数
の発熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素
子基板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液
流路の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した
位置に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の
液流路側に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有
する液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐出装置の回復
方法であって、前記吐出口から前記第1の液流路内の液
体および前記第2の液流路内の液体を排出することによ
り前記液体吐出ヘッドの吐出力を回復するに際して、流
路抵抗の大きい方の液流路へ印加する圧力を大きくする
ことを特徴とする。
【0039】もしくは、液体を吐出するための複数の吐
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体
に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数
の発熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素
子基板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液
流路の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した
位置に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の
液流路側に変位する可動部材とを具備した分離壁と、前
記第2の液流路に連通し液体を排出するための回復口と
を有する液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐出装置の
回復方法であって、前記吐出口または/および前記回復
口から液体を排出することにより前記液体吐出ヘッドの
吐出力を回復するに際して、流路抵抗の大きい方の液流
路へ印加する圧力を大きくすることを特徴とする。
【0040】上記の構成によると、第1の液流路内およ
び第2の液流路内の回復を、各液流路内の吸引または/
および加圧によって、各液流路内の液体を排出させる場
合に、流路抵抗が高い方の液流路の加圧力または/およ
び吸引力を、他方の液流路の加圧力または/および加圧
力より大きく設定するので、回復のために排出する必要
のある液体を確実かつ十分に各液流路から除去すること
ができる。換言すれば、本発明の主要な構成によれば、
長期間放置後の液体吐出ヘッドにおける吐出口部分に生
じる可能性がある増粘インクやゴミ等の除去、第1の液
流路の液体内に溜まる析出気泡の除去を、効率よく、充
分かつ確実に行うことができる。さらに、本発明の構成
によれば、吐出液と発泡液の2液を使用した場合におい
て、かなり長時間放置した後であっても、2液の混液を
効果的に防止もしくは即座に解消することができる。
【0041】また、気泡発生部側の液流路に外部に開口
する系路を設けた場合では、可動部材により隔てられた
二つの液路に存在している液体を、吸引手段もしくは加
圧手段により効率よく排出して、ヘッドの吐出力を迅速
に回復することができる。さらに、この構成では、両流
路内の液体の排出の回数、量、順序、タイミングを自由
に設定することができる。
【0042】また、吐出口からの吸引時に、流量調整手
段を開放して流量を増加させ、さらには、液流路内を加
圧することにより、増粘インク等の除去の更なる効率化
を図ることができる。
【0043】加えるに、上述したような、極めて新規な
吐出原理に基づく本発明に関わる液体吐出方法、ヘッド
等によると、発生する気泡とこれによって変位する可動
部材との相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体
を効率よく吐出できるため、従来のバブルジェット方式
の吐出方法、ヘッド等に比べて、吐出効率を向上でき
る。例えば本発明の最も好ましい形態においては2倍以
上という飛躍的な吐出効率の向上を達成できた。
【0044】また、本発明の他の特徴的な構成によれ
ば、低温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐
出になることを防止でき、仮に不吐出になっても、予備
吐出や吸引回復といった回復処理をわずかに行うだけで
正常状態に即座に復帰できる利点もある。なお、前記回
復処理は、本発明の重要要件であり、前述の通りであ
り、実施の形態において、さらに詳しく説明する。
【0045】具体的には64個の吐出口を持つ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0046】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0047】本発明のその他の効果については、各実施
の形態の記載から理解される。
【0048】なお、本発明の液体を排出するための「回
復口」とは、通常の吐出動作により生じるヘッド内の液
体の圧力変化では、液体の通過が阻止され、回復動作の
ための吸引または加圧では、液体の通過が可能となるよ
うな寸法および位置に形成された液体排出口を、意味し
ており、いわゆるローパス機能を持つように設定された
開口である。
【0049】また、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0050】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0051】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0052】さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
【0053】(本発明に係る液体吐出原理およびその態
様)以下、図面を参照して本発明に係る液体吐出原理の
第1の例を詳細に説明する。
【0054】まず、本例では液体を吐出するための、気
泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御する
ことで吐出力や吐出効率の向上を図る場合の例を説明す
る。
【0055】図1はこのような本例の液体吐出ヘッドを
液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図2は
この液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0056】本例の液体吐出ヘッドは、液体を吐出する
ための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネル
ギーを作用させる発熱体2(本例においては40μm×
105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設けら
れており、この素子基板上に発熱体2に対応して液流路
10が配されている。液流路10は吐出口18に連通し
ていると共に、複数の液流路10に液体を供給するため
の共通液室13に連通しており、吐出口から吐出された
液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取
る。
【0057】この液流路10の素子基板上には、前述の
発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有す
る材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31
が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液
流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニ
ングして形成した土台(支持部材)34等に固定されて
いる。これによって、可動部材は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0058】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程
度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材
との間が気泡発生領域となる。なお発熱体、可動部材の
種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述
するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状お
よび配置であればよい。なお、上述した液流路10は、
後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材31
を境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の
液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を
有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明す
る。
【0059】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体に米国特許第4,723,129号に記載され
ているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させる。気
泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的に作用
し、可動部材31は図1(b)、(c)もしくは図2で
示されるように支点33を中心に吐出口側に大きく開く
ように変位する。可動部材31の変位若しくは変位した
状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身
の成長が吐出口側に導かれる。
【0060】ここで、本発明の基本的な吐出原理の一つ
を説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、
気泡に対面するように配された可動部材が気泡の圧力あ
るいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1の位置から
変位後の位置である第2の位置へ変位し、この変位する
可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力や気泡自身
を吐出口18が配された下流側へ導くことである。
【0061】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図3と本発明の図4とを比較し
てさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への
圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をV
Bとして示した。
【0062】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1
〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を
向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼす
VA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V
4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧
力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出
速度等に直接寄与する重要な部分である。さらにV1は
吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆に
V4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0063】これに対して、図4で示される本発明の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側
(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するも
のであり、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よ
く吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向
自体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導か
れ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡
の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力
伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出
速度等の根本的な向上を達成することができる。
【0064】次に図1に戻って、本例の液体吐出ヘッド
の吐出動作について詳しく説明する。
【0065】図1(a)は、発熱体2に電気エネルギー
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が
熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可
動部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対
し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に
設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可
動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも
発熱体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通
って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで
可動部材31が配されている。
【0066】図1(b)は、発熱体2に電気エネルギー
等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0067】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。こ
こで重要なことは前述したように、可動部材31の自由
端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流
側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部材
の少なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下
流部分に対面させることである。
【0068】図1(c)は気泡40がさらに成長した状
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下
流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線
位置)を越えて大きく成長している。このように気泡4
0の成長に応じて可動部材31が徐々に変位して行くこ
とで気泡40の圧力伝搬方向や堆積移動のしやすい方
向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出口に均
一的に向かわせることができることも吐出効率を高める
と考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を吐出口方向へ
導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝
搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や
気泡の成長方向を制御することができる。
【0069】図1(d)は気泡40が、前述した膜沸騰
の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0070】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性によ
る復元力によって図1(a)の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側か
ら流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側から
流れのVcのように液体が流れ込んでくる。
【0071】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明の液
体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく説
明する。
【0072】図1を用いて本発明における液供給メカニ
ズムをさらに詳しく説明する。
【0073】図1(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出
口18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込
む。可動部材31を持たない従来の液流路構造において
は、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液
室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に
近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起
因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものであ
る。)。
【0074】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0075】これに対して本例は可動部材31を設けた
ため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境に上
側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消泡
時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカスの後
退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給は主
に第2流路16の流れVD2からの液供給によって成さ
れる。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対
応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対し
て、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量
に抑えることが可能になった。
【0076】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行
うことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0077】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本例の高速リフィルにおいては可動部材によ
って吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生領域
11との吐出口側での液体の流通が抑制されるためメニ
スカスの振動を極めて少なくすることができることであ
る。
【0078】このように本発明は、第2流路16の液供
給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述
したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィル
を達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、ま
た記録の分野に用いた場合、画質の向上や高速記録を実
現することができる。
【0079】本発明の構成においてはさらに次のような
有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生によ
る圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することで
ある。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室13側
(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側に
向かって液体を押し戻す力(バック波)になっていた。
このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移動
量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これらは
液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の妨げ
にもなっていた。本発明においては、まず可動部材31
によって上流側へのこれらの作用を抑えることでもリフ
ィル供給性の向上をさらに図っている。
【0080】次に、本例の更なる特徴的な構造と効果に
ついて、以下に説明する。
【0081】本例の第2液流路16は、発熱体2の上流
に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面が大
きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12を有
している。このような場合、気泡発生領域11および発
熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡発
生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように行わ
れる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀むことが
抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡で
きずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、また、
液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、よ
り安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができ
る。なお、本例では実質的に平坦な内壁を持つ液体供給
路12を持つもので説明したが、これに限らず、発熱体
表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を有する液供
給路であればよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の供
給に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0082】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行わ
れるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有
効に吐出口に導くために図1で示すように気泡発生領域
の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材
を用い、可動部材31が第1の位置へ復帰することで、
気泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い領域
との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、前述
のVD1から気泡発生領域11に向かっての液体の流れ
が妨げられる。しかし、本発明のヘッド構造において
は、気泡発生領域に液体を供給するための流れVD1が
あるため、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部材
31で気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を求
めた構造を取っても、液体の供給性能を落とすことがな
い。
【0083】ところで、可動部材31の自由端32と支
点33の位置は、例えば図5で示されるように、自由端
が相対的に支点より下流側にある。このような構成のた
め、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向
を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できる
のである。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や
効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れ
る液体に対する流抵抗を小さくしでき高速にリフィルで
きるという効果を達成している。これは図5に示すよう
に、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力により
吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行
われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流
路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対
し、逆らわないように自由端と支点33とを配置してい
るためである。
【0084】補足すれば、本例の図1においては、前述
のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を上流
側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱体の
面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交する
線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対し
て延在している。これによって発熱体の面積中心位置3
より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧
力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力及び気泡
を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根本
的に向上させることができる。
【0085】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0086】また、本例の構成においては可動部材31
の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていることも、液
体の吐出に対して有効に寄与している考えられる。
【0087】図6に本発明に係る液体吐出原理の第2の
例を示す。この図6において、Aは可動部材が変位して
いる状態を示し(気泡は図示せず)、Bは可動部材が初
期位置(第1位置)の状態を示し、このBの状態をもっ
て、発泡領域11を吐出口18に対して実質的に密閉し
ているとする。(ここでは、図示していないがA、B間
には流路壁があり流路と流路を分離している。) 図6における可動部材31は土台34を側部に2点設
け、その間に液供給路12を設けている。これにより、
可動部材の発熱体側の面に沿って、また、発熱体の面と
実質的に平坦もしくは、なだらかにつながる面を持つ液
供給路から液体の供給を成すことができる。
【0088】ここで、可動部材31の初期位置(第1位
置)では、可動部材31は発熱体2の下流側および横方
向に配された発熱体下流壁36と発熱体側壁37に近接
または密着しており、気泡発生領域11の吐出口18側
に実質的に密閉されている。このため、発泡時の気泡の
圧力、特に気泡の下流側の圧力を逃がさず可動部材の自
由端側に集中的に作用させることができる。
【0089】また、消泡時には、可動部材31は第1位
置に戻り、発熱体上への消泡時の液供給は気泡発生領域
31の吐出口側が実質的に密閉状態になるため、メニス
カスの後退抑制等、先の例で説明した種々の効果を得る
ことができる。また、リフィルに関する効果においても
先の例と同様の機能、効果を得ることができる。
【0090】また、本例においては、図2や図6のよう
に、可動部材31を支持固定する土台34を発熱体2よ
り離れた上流に設けると共に液流路10より、小さな幅
の土台34とすることで前述のような液供給路12への
液体の供給を行っている。また、土台34の形状のこれ
に限らず、リフィルをスムースに行えるものであればよ
い。
【0091】なお、本例においては可動部材31と発熱
体2の間隔を15μm程度としたが、気泡の発生に基づ
く圧力が十分に可動部材に伝わる範囲であればよい。
【0092】図7は、本発明の基本的な概念の一つを示
すもので、本発明に係る液体吐出原理の第3の例とな
る。図7は、一つの液流路中に気泡発生領域、そこで発
生する気泡および可動部材との位置関係を示していると
共に、本発明の液体吐出方法やリフィル方法をより分か
り易くした例である。
【0093】前述の例の多くは、可動部材の自由端に対
して、発生する気泡の圧力を集中して、急峻な可動部材
の移動と同時に気泡の移動を吐出口側に集中させること
を達成している。これに対して、本実施形態例は、発生
する気泡の自由度を与えながら、滴吐出に直接作用する
気泡の吐出口側である気泡の下流側部分を可動部材の自
由端側で規制するものである。
【0094】構成上で説明すると、図7では、前述の図
2(第1の例)に比較すると、図2の素子基板1上に設
けられた気泡発生領域の下流端に位置するバリヤーとし
ての凸部(図の斜線部分)が本例では設けられていな
い。つまり、可動部材の自由端領域および両側端領域
は、吐出口領域に対して気泡発生領域を実質的に密閉せ
ずに開放しており、この構成が本例である。
【0095】本例では、気泡の液滴吐出に直接作用する
下流側部分のうち、下流側先端部の気泡成長が許容され
ているので、その圧力成分を吐出に有効に利用してい
る。加えて少なくともこの下流側部分の上方へ向かう圧
力(図3のVB、VB、VBの分力)を可動部材の自由
端側部分が、この下流側先端部の気泡成長に加えられる
ように作用するため吐出効率を上述した例と同様に向上
する。前記の例に比較して本例は、発熱体の駆動に対す
る応答性が優れている。
【0096】また、本例は、構造上簡単であるため製造
上の利点がある。
【0097】本例の可動部材31の支点部は、可動部材
の面部に対して小さい幅の1つの土台34に固定されて
いる。従って、消泡時の気泡発生領域11への液体供給
は、この土台の両側を通って供給される(図の矢印参
照)。この土台は供給性を確保するものであればどのよ
うな構造でもよい。
【0098】液体の供給時におけるリフィルは、本例の
場合には、可動部材の存在によって気泡の消泡にともな
って上方から気泡発生領域へ流れ込む流れが制御される
ので、従来の発熱体のみの気泡発生構造に対して優れた
ものとなる。無論、これによって、メニスカスの後退量
を減じることもできる。
【0099】本第3の例の変形例としては、可動部材の
自由端に対する両側端(一方でも可)のみを気泡発生領
域11に対して実質的に密閉状態とすることは好ましい
ものとして挙げられる。この構成によれば、可動部材の
側方へ向かう圧力をも先に説明した気泡の吐出口側端部
の成長に変更して利用することができるので、一層吐出
効率が向上する。
【0100】前述した機械的変位による液体の吐出力を
さらに向上させた例を本例で説明する。図8はこのよう
なヘッド構造の横断面図である。図8においては、可動
部材31の自由端の位置が発熱体のさらに下流側に位置
するように、可動部材が延在している例を示している。
これによって自由端位置での可動部材の変位速度を高く
することができ、可動部材の変位による吐出力の発生を
さらに向上させることができる。
【0101】また、自由端が先の例に比較して吐出口側
に近づくことになるので気泡の成長をより安定した方向
成分に集中できるので、より優れた吐出を行うことがで
きる。
【0102】また、気泡の圧力中心部の気泡成長速度に
応じて、可動部材31は変位速度R1で変位するが、こ
の位置より支点33に対して、遠い位置の自由端32は
さらに速い速度R2で変位する。これにより、自由端3
2を高い速度で機械的に液体に作用せしめ液移動を起こ
させることで吐出効率を高めている。
【0103】また、自由端形状は、図7と同じように液
流れに対して垂直な形状をすることにより、気泡の圧力
や可動部材の機械的な作用をより効率的に吐出に寄与さ
せることができる。
【0104】図9(a)、(b)、(c)は本発明に係
る液体吐出原理を説明するための第5の例である。
【0105】本例の構造は先の例と異なり、吐出口と直
接連通する領域は液室側と連通した流路形状となってお
らず、構造の簡略化が図れるものである。
【0106】液供給は全て、可動部材31の発泡領域側
の面に沿った液供給路12からのみ行われるもので、可
動部材31の自由端32や支点33の吐出口18に対す
る位置関係や発熱体2に面する構成は前述の例と同様で
ある。
【0107】本例は、吐出効率や液供給性等、前述した
効果を実現するものであるが、特にメニスカスの後退を
抑制し消泡時の圧力を利用して、ほとんど全ての液供給
を消泡時の圧力を利用して、強制リフィルを行うもので
ある。
【0108】図9(a)は発熱体2により液体を発泡さ
せた状態を示しており、図9(b)は、前記発泡が収縮
しつつある状態で、このとき可動部材31の初期位置へ
の復帰とS3による液供給が行われる。
【0109】図9(c)では、可動部材が初期部材が初
期位置に復帰する際のわずかなメニスカス後退Mを、消
泡後に吐出口18付近の毛細管力によって、リフィルし
ている状態である。
【0110】以下、図面を参照して本発明に係る液体吐
出原理を説明するための他の例について説明する。
【0111】本例においても主たる液体の吐出原理につ
いては先の例と同じであるが、本例においては液流路を
複流路構成にすることで、さらに熱を加えることで発泡
させる液体(発泡液)と、主として吐出される液体(吐
出液)とを分けることができるものである。
【0112】図10は、本例の液体吐出ヘッドの流路方
向の断面模式図を示しており、図11はこの液体吐出ヘ
ッドの部分破断斜視図を示している。
【0113】本例の液体吐出ヘッドは、液体に気泡を発
生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設けら
れた素子基板1上に、発泡用の第2液流路16があり、
その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1液流
路14が配されている。
【0114】第1液流路の上流側は、複数の第1液流路
に吐出液を供給するための第1共通液室15に連通して
おり、第2液流路の上流側は、複数の第2液流路に発泡
液を供給するための第2共通液室に連通している。
【0115】但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場
合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0116】第1と第2の液流路の間には、金属等の弾
性を有する材料で構成された分離壁30が配されてお
り、第1液流路と第2の液流路とを区分している。な
お、発泡液と吐出液とができる限り混ざり合わない方が
よい液体の場合には、この分離壁によってできる限り完
全に第1液流路14と第2液流路16の液体の流通を分
離した方がよいが、発泡液と吐出液とがある程度混ざり
合っても、問題がない場合には、分離壁に完全分離の機
能を持たせなくてもよい。
【0117】発熱体の面方向上方への投影空間(以下吐
出圧発生領域という。;図10中のAの領域とBの気泡
発生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット3
5によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端
で、共通液室(15、17)側に支点33が位置する片
持梁形状の可動部材31となっている。この可動部材3
1は、気泡発生領域11(B)に面して配されているた
め、発泡液の発泡によって第1液流路側の吐出口側に向
けて開口するように動作する(図中矢印方向)。図11
においても、発熱体2としての発熱抵抗部と、この発熱
抵抗部に電気信号を印加するための配線電極5とが配さ
れた素子基板1上に、第2の液流路を構成する空間を介
して分離壁30が配置されている。
【0118】可動部材31の支点33、自由端32の配
置と、発熱体との配置の関係については、先の例と同様
にしている。
【0119】また、先の例で液供給路12と発熱体2と
の構造の関係について説明したが、本例においても第2
液流路16と発熱体2との構造の関係を同じくしてい
る。
【0120】次に図12を用いて本例の液体吐出ヘッド
の動作を説明する。
【0121】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給
される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。
【0122】発熱体2が発生した熱が、第2液流路の気
泡発生領域内の発泡液に作用することで、先の例で説明
したのと同様に発泡液にUSP4,723,129に記
載されているような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生
させる。
【0123】本例においては、気泡発生領域の上流側を
除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この気泡発
生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動部材6
側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなって可動部材
6が図12(a)の状態から図12(b)のように第1
液流路側に変位する。この可動部材の動作によって第1
液流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気泡の
発生に基づく圧力が第1液流路の吐出口側の方向(A方
向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のような可
動部材の機械的変位によって液体が吐出口から吐出され
る。
【0124】次に、気泡が収縮するに伴って可動部材3
1が図12(a)の位置まで戻ると共に、第1液流路1
4では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が
上流側から供給される。本例においても、この吐出液体
の供給は前述の例と同様に可動部材が閉じる方向である
ため、吐出液体のリフィルを可動部材で妨げることがな
い。
【0125】本例は、可動部材の変位に伴う発泡圧力の
伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止等に関する主要
部分の作用や効果については先の第1の例等と同じであ
るが、本例のような2流路構成をとることによって、さ
らに次のような長所がある。
【0126】すなわち、上述の例の構成によると、吐出
液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた圧力
によって吐出液を吐出することができる。このため従
来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不
十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液体
であっても、この液体を第1の液流路に供給し、発泡液
に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=4:6
の混合液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第2の液
流路に供給することで良好に吐出させることができる。
【0127】また、発泡液として、熱を受けても発熱体
の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択すること
で、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0128】さらに、本発明のヘッドの構造においては
先の例で説明したような効果をも生じるため、さらに高
吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐出するこ
とができる。
【0129】また、加熱に弱い液体の場合においてもこ
の液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の液
流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を供
給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることな
く、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出す
ることができる。
【0130】以上、本発明の液体吐出ヘッドや液体吐出
方法の要部の例について説明を行ったが、以下にこれら
の例に好ましく適用できる例について図面を用いて説明
する。但し、以下の説明においては前述の1流路形態の
例と2流路形態の例のいずれかを取り上げて説明する場
合があるが特に記載しない限り、両例に適用しうるもの
である。
【0131】(液流路の天井形状)図13は、本発明の
液体吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第1液流路
13(若しくは図1における液流路10)を構成するた
めの溝が設けられた溝付き部材50が分離壁30上に設
けられている。本例においては可動部材の自由端32位
置近傍の流路天井の高さが高くなっており、可動部材の
動作角度θをより大きく取れるようにしている。この可
動部材の動作範囲は、液流路の構造、可動部材の耐久性
や発泡力等を考慮して決定すればよいが、吐出口の軸方
向の角度を含む角度まで動作することが望ましいと考え
られる。
【0132】また、この図で示されるように吐出口の直
径より可動部材の自由端の変位高さを高くすることで、
より十分な吐出力の伝達が成される。また、この図で示
されるように、可動部材の自由端32位置の液流路天井
の高さより可動部材の支点33位置の液流路天井の高さ
の方が低くなっているため、可動部材の変位よる上流側
への圧力波の逃げがさらに有効に防止できる。
【0133】(第2液流路と可動部材との配置関係)図
14は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配
置関係を説明するための図であり、同図(a)は分離壁
30、可動部材31近傍を上方から見た図であり、同図
(b)は、分離壁30を外した第2液流路16を上方か
ら見た図である。そして、同図(c)は、可動部材6と
第2液流路16との配置関係を、これらの各要素を重ね
ることで模式的に示した図である。なお、いずれの図も
図面下方が吐出口が配されている前面側である。
【0134】本例の第2の液流路16は発熱体2の上流
側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体位
置、可動部材、第1流路を経て吐出口に向う大きな流れ
の中の上流側のことである。)に狭窄部19を持ってお
り、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容易に逃
げることを抑制するような室(発泡室)構造となってい
る。
【0135】従来のヘッドのように、発泡する流路と液
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側
に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を
設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮し
て、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない
構成を採る必要があった。
【0136】しかし、本例の場合、吐出される液体の多
くを第1液流路内の吐出液とすることができ、発熱体が
設けられた第2液流路内の発泡液はあまり消費されない
ようにできるため、第2液流路の気泡発生領域11への
発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述の狭窄部
19における間隔を数μm〜十数μmと非常に狭くでき
るため、第2液流路で発生した発泡時の圧力をあまり周
囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可動部材側
に向けることができる。そしてこの圧力を可動部材31
を介して吐出力として利用することができるため、より
高い吐出効率、吐出力を達成することができる。ただ、
第1液流路16の形状は上述の構造に限られるものでは
なく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動部材側に伝え
られる形状であれば良い。
【0137】なお、図14(c)で示されるように可動
部材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を覆
っており、このことで、可動部材31の第2液流路への
落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液
と発泡液との分離性をさらに高めることができる。ま
た、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さ
らに吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、
前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果
を高めることができる。
【0138】なお、図12(b)や図13においては、
可動部材6の第1の液流路14側への変位に伴って第2
の液流路4の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第1
の液流路14側に延在しているが、この様に気泡が延在
するような第2流路の高さにすることで、気泡が延在し
ない場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。
この様に気泡が第1の液流路14に延在するようにする
ためには、第2の液流路16の高さを最大気泡の高さよ
り低くすることが望ましく、この高さを数μm〜30μ
mとすることが望ましい。なお、本例においてはこの高
さを15μmとした。
【0139】(可動部材および分離壁)図15は、可動
部材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設
けられたスリットであり、このスリットによって、可動
部材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状
であり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部
材の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広
くなっており、可動部材の耐久性が向上する形状であ
る。動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図14
(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっ
ている形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流
路側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、
耐久性に優れた形状であればよい。
【0140】先の例においては、板状可動部材31をお
よびこの可動部材を有する分離壁5は厚さ5μmのニッ
ケルで構成したが、これに限られることなく可動部材、
分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液に対して
耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するための
弾性を有し、微細なスリットが形成できるものであれば
よい。
【0141】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラ
ミックおよびその化合物が望ましい。
【0142】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の
近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱
性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、
金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もし
くは表面にチタンや金をコーティングしたものが望まし
い。
【0143】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0144】なお、可動部材31を形成するためのスリ
ット35の幅は、本例では2μmとしたが、発泡液と吐
出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止したい
場合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形成
する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑制すれ
ばよい。例えば、発泡液として2cP(センチポアズ)
程度の液体を用い、吐出液として100cP以上の液体
を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液を防
止することができるが、3μm以下にすることが望まし
い。
【0145】本発明における可動部材としてはμmオー
ダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダー
の厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚
さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(W
μm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考
慮することが望ましい。
【0146】スリットを形成する可動部材の自由端ある
いは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚み
と同等の場合(図12、図13等)、スリット幅と厚み
の関係を製造のバラツキを考慮して以下のような範囲に
することで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制するこ
とができる。このことは限られた条件ではあるが設計上
の観点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して高粘
度インク(5cp、10cp等)を用いる場合、W/t
≦1を満足するようにすることで、2液の混合を長期に
わたって抑制することが可能な構成となった。本発明の
「実質的な密閉状態」を与えるスリットとしては、この
ような数μmオーダであればより確実である。
【0147】上述のように、発泡液と吐出液とに機能分
離させた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部材と
なる。この可動部材が気泡の生成に伴って移動する際に
吐出液に対して発泡液がわずかに混入することが見られ
る。画像を形成する吐出液は、インクジェット記録の場
合、色材濃度を3%乃至5%程度有するものが一般的で
あることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴に対して
20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化をもたら
さない。従って、このような混液としては、吐出液滴に
対して20%以下となるような発泡液と吐出液との混合
を本発明に含むものとする。
【0148】尚、上記構成例の実施では、粘性を変化さ
せても上限で15%の発泡液の混合であり、5cps以
下の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよる
が、10%程度を上限とするものであった。
【0149】特に、吐出液の粘度を20cps以下にす
ればする程、この混液は低減(例えば5%以下)でき
る。
【0150】次に、このヘッドにおける発熱体と可動部
材の配置関係について、図を用いて説明する。ただし、
可動部材と発熱体の形状および寸法,数は、以下に限定
されるものではない。発熱体と可動部材の最適な配置に
よって、発熱体による発泡時の圧力を吐出圧として有効
に利用することが可能となる。
【0151】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図1
6に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係
にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが
存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様
子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在し
ていることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の
約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
【0152】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材の可動領域で覆われるように、可動部
材を配置するのが効果的であると、言える。本例におい
ては、発泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上内側
としたが、発熱体の種類や形成方法によっては、これに
限定されるものではない。
【0153】図17に、58×150μmの発熱体2に
可動領域の総面積が異なる可動部材301((a)
図)、可動部材302((b)図)を配置したときの上
部から見た模式図を示す。
【0154】可動部材301の寸法は、53×145μ
mで、発熱体2の面積よりも小さいが、発熱体2の発泡
有効領域と同じ程度の寸法であり、該発泡有効領域を覆
うように、配置されている。一方、可動部材302の寸
法は、53×220μmで発熱体2の面積よりも大きく
(幅寸法を同じにした場合、支点〜可動先端間の寸法が
発熱体の長さよりも長い)、可動部材301と同じよう
に発泡有効領域を覆うように配置されている。上記2種
の可動部材301、302に対し、それらの耐久性と吐
出効率について測定を行った。測定条件は以下の通りで
ある。
【0155】 発泡液 : エタノール40%水溶液 吐出用インク : 染料インク 電圧 : 20.2V 周波数 : 3kHz この測定条件で実験を行った結果、可動部材の耐久性に
関しては、(a)可動部材301の方は、1×107
ルス印加したところで可動部材301の支点部分に損傷
が見られた。(b)可動部材302の方は、3×108
パルス印加しても、損傷は見られなかった。また、投入
エネルギーに対する吐出量と吐出速度からもとまる運動
エネルギーも約1.5〜2.5倍程度向上することが確
認された。
【0156】以上の結果から、耐久性、吐出効率の両面
からみても、発泡有効領域の真上を覆うように可動部材
を設け、該可動部材の面積が発熱体の面積よりも大きい
方が、優れていることがわかる。
【0157】図18に発熱体のエッジから可動部材の支
点までの距離と、可動部材の変位量の関係を示す。ま
た、図19に、発熱体2と可動部材31との位置関係を
側面方向から見た断面構成図を示す。発熱体2は40×
105μmのものを用いた。発熱体2のエッジから可動
部材31の支点33までの距離lが大きい程、変位量が
大きいことがわかる。したがって、要求されるインクの
吐出量や吐出液の流路構造および発熱体形状などによっ
て、最適変位量を求め、可動部材の支点の位置を決める
ことが望ましい。
【0158】また、可動部材の支点が発熱体の発泡有効
領域直上に位置する場合は、可動部材の変位による応力
に加え、発泡圧力が直接支点に加わるため可動部材の耐
久性が低下してしまう。本発明者の実験によると、発泡
有効領域の真上に支点を設けたものでは、1×106
ルス程度で、可動壁に損傷が生じており、耐久性が低下
してしまうことが分かっている。したがって、可動部材
の支点は、発熱体の発泡有効領域直上外に配置すること
で耐久性がそれ程高くない形状や材質の可動部材であっ
ても実用可能性が高くなる。ただし、前記発泡有効領域
直上に支点がある場合でも形状や材質を選択すれば、良
好に用いることができる。かかる構成において、高吐出
効率および耐久性に優れた液体吐出ヘッドが得られる。
【0159】(素子基板)以下に液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0160】図20は、本発明に係る液体吐出原理に従
う液体吐出ヘッドの縦断面図を示したもので、図20
(a)は後述する保護膜があるヘッド、同図(b)は保
護膜がないものである。
【0161】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0162】素子基板1には、シリコン等の気体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2 )、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウ
ム等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図11のよ
うにパターニングされている。この2つの配線電極10
4から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流
し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコ
ンやチッ化シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚
で形成し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテー
ション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、
インク等の各種の液体から抵抗層105を保護してい
る。
【0163】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0164】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく
その例を図20(b)に示す。このような保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル
−アルミ合金等が挙げられる。
【0165】このように、前述の各例における発熱体の
構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だけで
でもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むものでも
よい。
【0166】本例においては、発熱体として電気信号に
応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するもの
を用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐出さ
せるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであれば
よい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けること
で発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで発
熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0167】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0168】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図21で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各例の
ヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅7μ
sec、電流150mA、電気信号を6kHzで加える
ことで発熱体を駆動させ、前述のような動作によって、
吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかしなが
ら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液
を適正に発泡させることができる駆動信号であればよ
い。
【0169】(2流路構成のヘッド構造)以下に、第
1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入
でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする
液体吐出ヘッドの構造例について説明する。
【0170】図22は、このような液体吐出ヘッドの構
造を示す模式図であり、先の例と同じ構成要素について
は同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省略す
る。
【0171】本例においては、溝付き部材50は、吐出
口18を有するオリフィスプレート51と、複数の第1
液流路14を構成する複数の溝と、複数の液流路14に
共通して連通し、各第1の液流路3に液体(吐出液)を
供給するための第1の共通液室15を構成する凹部とか
ら概略構成されている。
【0172】この溝付部材50の下側部分に分離壁30
を接合することにより複数の第1液流路14を形成する
ことができる。このような溝付部材50は、その上部か
ら第1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を
有している。また、溝付部材50は、その上部から分離
壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2
の液体供給路21を有している。
【0173】第1の液体(吐出液)は、図22の矢印C
で示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通
液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の
液体(発泡液)は、図22の矢印Dで示すように、第2
液体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで第2
液流路16に供給されるようになっている。
【0174】本例では、第2液体供給路21は、第1液
体供給路20と平行して配されているが、これに限るこ
とはなく、第1共通液室15の外側に配された分離壁3
0を貫通して、第2共通液室17に連通するように形成
されればどのように配されてもよい。
【0175】また、第2液体供給路21の太さ(直径)
に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。
第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、
矩形状等でもよい。
【0176】また、第2共通液室17は、溝付部材50
を分離壁30で仕切ることによって形成することができ
る。形成の方法としては、図23で示す本例の分解斜視
図のように、素子基板上にドライフィルムで共通液室枠
と第2液路壁を形成し、分離壁を固定した溝付部材50
と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り合わせる
ことにより第2共通液室17や第2液流路16を形成し
てもよい。
【0177】本例では、アルミニュウム等の金属で形成
された支持体70上に、前述のように、発泡液に対して
膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生する発熱
体としての電気熱変換素子が複数設けられた素子基板1
が配されている。
【0178】この素子基板1上には、第2液路壁により
形成された液流路16を構成する複数の溝と、複数の発
泡液流路に連通し、それぞれの発泡液路に発泡液を供給
するための第2共通液室(共通発泡液室)17を構成す
る凹部と、前述した可動壁31が設けられた分離壁30
とが配されている。
【0179】符号50は、溝付部材である。この溝付部
材は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1
液流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、そ
れぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共
通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、
第1共通液室に吐出液を供給するための第1供給路(吐
出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液を供
給するための第2の供給路(発泡液供給路)21とを有
している。第2の供給路21は、第1の共通液室15の
外側に配された分離壁30を貫通して第2の共通液室1
7に連通する連通路に繋がっており、この連通路によっ
て吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室1
5に供給することができる。
【0180】なお、素子基板1、分離壁30、溝付天板
50の配置関係は、素子基板1の発熱体に対応して可動
部材31が配置されており、この可動部材31に対応し
て吐出液流路14が配されている。また、本例では、第
2の供給路を1つ溝付部材に配した例を示したが、供給
量に応じて複数設けてもよい。さらに吐出液供給路20
と発泡液供給路21の流路断面積は供給量に比例して決
めればよい。
【0181】このような流路断面積の最適化により溝付
部材50等を構成する部品をより小型化することも可能
である。
【0182】以上説明したように本例によれば、第2液
流路に第2液体を供給する第2の供給路と、第1液流路
に第1液体を供給する第1の供給路とが同一の溝付部材
としての溝付天板からなることにより部品点数が削減で
き、工程の短縮化とコストダウンが可能となる。
【0183】また第2液流路に連通した第2の共通液室
への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体を分離す
る分離壁を突き抜ける方向で第2液流路によって行なわ
れる構造であるため、前記分離壁と溝付部材と発熱体形
成基板との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが
向上すると共に、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐出
することができる。
【0184】また、第2液体は、分離壁を突き抜けて第
2液体共通液室へ供給されるため、第2液流路に第2液
体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、
安定した吐出が可能となる。
【0185】(吐出液体、発泡液体)先の例で説明した
ように、本発明においては、前述のような可動部材を有
する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い吐
出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することがで
きる。本例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を用いる
場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化せず
に、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにくく、
熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うことが可
能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣化さ
せない液体であれば種々の液体を用いることができる。
【0186】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0187】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0188】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0189】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0190】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0191】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができる記録液体として以下のような組成
のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によっ
てインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度
が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0192】 染料インク(粘度2cps)の組成 (C.I.フードブラック2)染料 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量% また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を
組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来
のヘッドでは吐出が困難であった十数cps粘度の液体
はもちろん150cPという非常に高い粘度の液体でさ
えも良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができ
た。
【0193】 発泡液1の組成 エタノール 40重量% 水 60重量% 発泡液2の組成 水 100重量% 発泡液3の組成 イソプロピルアルコール 10重量% 水 90重量% 吐出液1顔料インク(粘度約15cps)の組成 カーボンブラック 5重量% スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 1重量% (酸価140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25重量% グリセリン 69重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 16.75重量% 吐出液2(粘度55cps)の組成 ポリエチレングリコール200 100重量% 吐出液3(粘度150cps)の組成 ポリエチレングリコール600 100重量% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこ
れらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上
述の例の構成においては、気泡の発生を発泡液を用いる
ことで充分に、しかも安定して行うことができる。この
ことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定化を
図ることができ記録画像品位を著しく向上することがで
きた。
【0194】(液体吐出ヘッドの製造)次に、本発明に
係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘッドの製造工程につ
いて説明する。
【0195】図2で示したような液体吐出ヘッドの場合
には、素子基板1上に可動部材31を設けるための土台
34をドライフィルム等をパターニングすることで形成
し、この土台34に可動部材31を接着、もしくは溶着
固定した。その後、各液流路10を構成する複数の溝と
吐出口18と共通液室13を構成する凹部を有する溝付
部材を、溝と可動部材が対応するような状態で素子基板
1に接合することで形成した。
【0196】次に、図10や図23で示されるような2
流路構成の液体吐出ヘッドの製造工程について説明す
る。
【0197】大まかには、素子基板1上に第2液流路1
6の壁を形成し、その上に分離壁30を取り付け、さら
にその上に第1液流路14を構成する溝等が設けられた
溝付き部材50を取り付ける。もしくは、第2液流路1
6の壁を形成した後、この壁の上に分離壁30を取り付
けた溝付き部材50を接合することでヘッドの製造を行
った。
【0198】さらに第2液流路の作製方法について詳し
く説明する。
【0199】図24(a)〜(e)は、本発明に係る液
体吐出原理に従う液体吐出ヘッドの製造方法の第1の例
を説明するための概略断面図である。
【0200】本例においては、(a)に示すように、素
子基板(シリコンウエハ)1上に半導体製造工程で用い
るのと同様の製造装置を用いてハフニュウムボライドや
チッ化タンタル等からなる発熱体2を有する電気熱変換
用素子を形成した後、次工程における感光性樹脂との密
着性の向上を目的として素子基板1の表面に洗浄を施し
た。さらに、密着性を向上させるには、素子基板表面に
紫外線−オゾン等による表面改質を行った後、例えばシ
ランカップリング剤(日本ユニカ製:A189)をエチ
ルアルコールで1重量%に希釈した液を上記改質表面上
にスピンコートすることで達成される。
【0201】次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した
基板1上に、(b)に示すように、紫外線感光性樹脂フ
ィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディルSY
−318)DFをラミネートした。
【0202】次に、(c)に示すように、ドライフィル
ムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォトマスク
PMを介してドライフィルムDFのうち、第2の流路壁
として残す部分に紫外線を照射した。この露光工程は、
キヤノン(株)製:MPA−600を用いて行い、約6
00mJ/cm2 の露光量で行った。
【0203】次に、(d)に示すように、ドライフィル
ムDFを、キシレンとブチルセルソルブアセテートとの
混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−3)で
現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化した部分
を第2液流路16の壁部分として形成した。さらに、素
子基板1表面に残った残渣を酸素プラズマアッシング装
置(アルカンテック社製:MAS−800)で約90秒
間処理して取り除き、引き続き、150℃で2時間、さ
らに紫外線照射100mJ/cm2 を行って露光部分を
完全に硬化させた。
【0204】以上の方法により、上記シリコン基板から
分割、作製される複数のヒータボード(素子基板)に対
し、一様に第2の液流路を精度よく形成することができ
る。シリコン基板を、厚さ0.05mmのダイヤモンド
ブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密製:
AWD−4000)で各々のヒータボード1に切断、分
離した。分離されたヒータボード1を接着剤(東レ製:
SE4400)でアルミベースプレート70上に固定し
た(図27)。次いで、予めアルミベースプレート70
上に接合しておいたプリント配線基板71と、ヒータボ
ード1とを直径0.05mmのアルミワイヤ(図示略)
で接続した。
【0205】次に、このようにして得られたヒータボー
ド1に、図24(e)に示すように、上述の方法で溝付
部材50と分離壁30との接合体を位置決め接合した。
すなわち、分離壁30を有する溝付部材とヒータボード
1とを位置決めし、押さえバネ78により係合、固定し
た後、インク・発泡液用供給部材80をアルミベースプ
レート70上に接合固定し、アルミワイヤ間、溝付部材
50とヒータボード1とインク・発泡液用供給部材80
との隙間をシリコーンシーラント(東芝シリコーン製:
TSE399)で封止して完成させた。
【0206】以上の製法で、第2の液流路を形成するこ
とにより、各ヒータボードのヒータに対して位置ズレの
ない精度の良い流路を得ることができる。特に、溝付部
材50と分離壁30とをあらかじめ先の工程で接合して
おくことで、第1液流路14と可動部材31の位置精度
を高めることができる。
【0207】そして、これらの高精度製造技術によっ
て、吐出安定化が図られ印字品位が向上する。また、ウ
エハ上に一括で形成することが可能なため、多量に低コ
ストで製造することが可能である。
【0208】なお、本実施例では、第2の液流路を形成
するために紫外線硬化型のドライフィルムを用いたが、
紫外域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂を用
い、ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第2の
液流路となる部分の樹脂を直接除去することによっても
得ることが可能である。
【0209】図25(a)〜(d)は、本発明に係る液
体吐出原理に従う液体吐出ヘッドの製造方法の第2の例
を説明するための概略断面図である。
【0210】本例においては、(a)に示すように、S
US基板100上に厚さ15μmのレジスト101を第
2の液流路の形状でパターニングした。
【0211】次に、(b)に示すように、SUS基板1
00に対して電気メッキを行ってSUS基板100上に
ニッケル層102を同じく15μm成長させた。メッキ
液としては、スルフォミン酸ニッケルに応力減少剤(ワ
ールドメタル社製:ゼロオール)とほう酸、ピット防止
剤(ワールドメタル社製:NP−APS)、塩化ニッケ
ルを使用した。電着時の電界のかけ方としては、アノー
ド側に電極を付け、カソード側に既にパターニングした
SUS基板100を取り付け、メッキ液の温度を50℃
とし、電流密度を5A/cm2 とした。
【0212】次に、(c)に示すように、上記のような
メッキを終了したSUS基板100に超音波振動を与
え、ニッケル層102の部分をSUS基板100から剥
離し、所望の第2の液流路を得た。
【0213】一方、電気熱変換用素子を配設したヒータ
ボードを、半導体と同様の製造装置を用いてシリコンウ
エハに形成した。このウエハを先の実施例と同様に、ダ
イシングマシンで各々のヒータボードに分離した。この
ヒータボード1を、予めプリント基板104が接合され
たアルミベースプレート70に接合し、プリント基板7
1とアルミワイヤ(図示略)とを接続することで電気的
配線を形成した。このような状態のヒータボード1上
に、図25(d)に示すように、先の工程で得た第2液
流路と位置決め固定した。この固定に際しては、後工程
で第1の例と同様に分離壁を固定した天板と押さえバネ
によって係合・密着されるため、天板接合時に位置ズレ
が発生しない程度に固定されていれば十分である。
【0214】本例では、上記位置決め固定に紫外線硬化
型接着剤(グレースジャパン製:アミコンUV−30
0)を塗布し、紫外線照射装置を用い、露光量を100
mJ/cm2 として約3秒間で固定を完了した。
【0215】本例の製法によれば、発熱体に対して位置
ズレのない精度の高い第2の液流路を得ることができる
ことに加え、ニッケルで流路壁を形成しているため、ア
ルカリ性の液体に強く、信頼性の高いヘッドを提供する
ことが可能となる。
【0216】図26(a)〜(d)は、本発明に係る液
体吐出原理に従う液体吐出ヘッドの製造方法の第3の例
を説明するための概略断面図である。
【0217】本例においては、(a)に示すように、ア
ライメント穴あるいはマーク100aを有する厚さ15
μmのSUS基板100の両面にレジスト31を塗布し
た。ここで、レジストとしては、東京応化製のPMER
P−AR900を使用した。
【0218】この後、(b)に示すように、素子基板1
00のアライメント穴100aに合わせて、露光装置
(キヤノン(株)製:MPA−600)を用いて露光
し、第2の液流路を形成すべき部分のレジスト103を
除去した。露光は800mJ/cm2 の露光量で行っ
た。
【0219】次に、(c)に示すように、両面のレジス
ト103がパターニングされたSUS基板100を、エ
ッチング液(塩化第2鉄または塩化第2銅の水溶液)に
浸漬し、レジスト103から露出している部分をエッチ
ングした後、レジストを剥離した。
【0220】次に、(d)に示すように、先の製造方法
の例と同様に、ヒータボード1上に、エッチングされた
SUS基板100を位置決め固定して第2の液流路4を
有する液体吐出ヘッドを組み立てた。
【0221】本例の製法によれば、ヒータに対し位置ズ
レのない精度の高い第2液流路4を得ることができるこ
とに加え、SUSで流路を形成しているため、酸やアル
カリ性の液体に強く信頼性の高い液体吐出ヘッドを提供
することができる。
【0222】以上説明したように、本例の製造方法によ
れば、素子基板状に予め第2液流路の壁を配設すること
によって、電気熱変換体と第2液流路とが高精度に位置
決めすることが可能となる。また、切断、分離前の基板
上の多数の素子基板に対して第2の液流路を同時に形成
することができるので、多量に、かつ、低コストの液体
吐出ヘッドを提供することができる。
【0223】また、本例の製造方法の液体吐出ヘッドの
製造方法を実施することによって得られた液体吐出ヘッ
ドは、発熱体と第2液流路とが高精度に位置決めされて
いるので、電気熱変換体の発熱による発泡の圧力を効率
よく受けることができ、吐出効率に優れたものとなる。
【0224】(液体吐出ヘッドカートリッジ)次に、上
記例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出ヘッドカ
ートリッジを概略説明する。
【0225】図27は、前述した液体吐出ヘッドを含む
液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であ
り、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッ
ド201と液体容器80とから概略構成されている。
【0226】液体吐出ヘッド201は、素子基板1、分
離壁30、溝付部材50、押さえバネ78、液体供給部
材90、支持体70等から成っている。素子基板1に
は、前述のように発泡液に熱を与えるための発熱抵抗体
が、複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵
抗体を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられ
ている。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁3
0との間に発泡液路が形成され発泡液が流通する。この
分離壁30と溝付天板50との接合によって、吐出され
る吐出液体が流通する吐出流路(不図示)が形成され
る。
【0227】押さえバネ78は、溝付部材50に素子基
板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢
力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後
述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0228】支持体70は、素子基板1等を支持するた
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、
装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを
行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0229】液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給さ
れる、インク等の吐出液体と気泡を発生させるための発
泡液とを内部に区分収容している。液体容器90の外側
には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接続部
材を配置するための位置決め部94と接続部を固定する
ための固定軸95が設けられている。吐出液体の供給
は、液体容器の吐出液体供給路92から接続部材の供給
路84を介して液体供給部材80の吐出液体供給路81
に供給され、各部材の吐出液体供給路83,71,21
を介して第1の共通液室に供給される。発泡液も同様
に、液体容器の供給路93から接続部材の供給路を介し
て液体供給部材80の発泡液供給路82に供給され、各
部材の発泡液体供給路84,71,22を介して第2液
室に供給される。
【0230】以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおい
ては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給
を行いうる供給形態および液体容器で説明したが、吐出
液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と吐出
液の供給経路および容器を分けなくてもよい。
【0231】なお、この液体容器には、各液体の消費後
に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体
容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。又、液
体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよく、分離
可能としてもよい。
【0232】
【発明の実施の形態】
(実施形態例1)〜液体吐出装置〜 図28は、前述の液体噴射ヘッド201を搭載した本発
明の液体吐出装置の第1実施形態例の概略構成を示して
いる。本実施例では特に吐出液体としてインクを用いた
インク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置のキ
ャリッジHCは、リードスクリュー85に沿って往復移
動可能であり、インクを収容する液体タンク部90と液
体吐出ヘッド201とが着脱可能なヘッドカートリッジ
を搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送される記録
紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動する。
【0233】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッド201から被記録媒体に対して
記録液体が吐出される。図28において符号86は、液
体吐出ヘッドの前面をキャップするキャップ部材であ
り、87は、このキャップ内を吸引する吸引手段であ
る。液体吐出ヘッドは、これらの手段により吸引回復処
理を受けることで、目詰まり等の防止がなされる。
【0234】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113キャリッジ軸
115等を有している。この記録装置及びこの記録装置
で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対し
て液体を吐出することで良好な画像の記録物を得ること
ができる。この液体吐出方法を長時間実施するか、ある
いは長期間実施せずに放置している場合には、液体吐出
ヘッドの吐出口部分が増粘インクやゴミ等により目詰ま
りを生じることが考えられ、その状態に至る前に所定の
タイミングで液体吐出ヘッドに対する吸引回復動作を行
う。なお、この吸引回復動作によって、該液体吐出ヘッ
ドが吐出液と発泡液の2液を使用したものの場合で、か
なり長時間放置した後であっても、2液の混液を効果的
に防止もしくは即座に解消することができる。
【0235】この吸引回復動作は、液体吐出ヘッドを搭
載したキャリッジHCが矢印a方向に移動してホームポ
ジションHに戻り、液体吐出ヘッドの吐出口を含むフェ
イス面に、後述の吸引回復装置のキャップ84が押し当
てられて吸引回復動作が行われる。
【0236】(実施形態例2)図29は、図28に示し
た液体吐出装置に搭載可能な吸引回復装置の一例を示す
概略斜視図である。
【0237】図29中の符号200は吸引回復装置であ
る。フレーム211上には吸引力を発生させる吸引ポン
プ213とこの吸引ポンプ213の駆動源としてのモー
タ212とが搭載されている。また、フレーム211上
には、液体吐出ヘッドに気密状態で押圧(密着)される
キャップ84が前進後退(図29中の矢印F方向)可能
に案内支持されている。キャップ84の前面(密着面)
には多孔質のインク吸収体215が配設されている。
【0238】上記キャップ84の内部と吸引ポンプ21
3とは吸引チューブ216で接続され、吸引ポンプ21
3の排出側には、吸引したインクを排出するための廃イ
ンクチューブ217が接続されている。さらに、フレー
ム211上には、キャップ84を前後方向(図29中の
矢印F方向)に駆動する内面カム218を有するキャッ
プ駆動ギア219と、吸引ポンプ213を駆動する端面
カム220を有するポンプ駆動ギア221とが軸支され
ており、これらのギア219、221はモータ212に
よりギア列を介して駆動される。上述のポンプ駆動ギア
221と吸引ポンプ213との間にはレバー222が軸
支されている。このポンプ駆動ギア221が回転すると
きに、その端面カム220でレバー222を揺動させ、
このレバー222の動きによって吸引ポンプ213を駆
動するように構成されている。
【0239】以上のように構成した吸引回復装置全体も
液体吐出ヘッドに対して接近、離反する方向へ駆動する
こともできる。
【0240】このように、インク吸引による回復動作
は、ホームポジションに戻った液体吐出ヘッドに対して
キャップ84を密着させている間に吸引ポンプ213を
駆動させることにより、その吸引力でインク供給系から
吐出口18を通してインクを吸い出すことにより行われ
る。
【0241】上述の液体吐出ヘッドにおいては、図10
に示すように、分離壁30により吐出液用の液流路14
と発泡液用の液流路16とが分離されており、分離壁3
0の可動部材31を第1の液流路14側に変位させるこ
とにより、発泡液を第1の液流路14内に流入させ、第
1の液流路14に連通する吐出口18を通って液体を排
出することが可能である。
【0242】本発明により実現される液体吐出ヘッド内
の液体排出によるヘッドの吐出力の回復は、大きく次の
二つの作用効果を有する。すなわち、第1の作用効果
は、第1の液流路内および第2の液流路内の回復を、各
液流路内の吸引または/および加圧によって各液流路内
の液体を排出させる場合に、流路抵抗が高い方の液流路
の加圧力または/および吸引力を、他方の液流路の加圧
力または/および加圧力より大きく設定するので、回復
のために排出する必要のある液体を確実かつ十分に各液
流路から除去することができることである。そして、第
2の作用効果は、吐出液と発泡液の2液を使用したヘッ
ドにおいて、かなり長時間放置した後であっても、液体
の排出により、2液の混液を効果的に防止もしくは即座
に解消することができることである。
【0243】以下の実施形態3ないし10は、吐出力回
復方法および該方法に好適な吐出ヘッドについての実施
形態例である。これらの実施形態例においても、上述の
本発明の作用効果は、同様に得られるので、個々の実施
形態例において、特にこれらの作用効果は、繰り返して
述べることはしない。
【0244】本発明の吐出力回復方法は、各液流路内の
液体を外部に排出することにより達成するものである
が、その排出を吐出口のみから行う場合と、発泡液を収
容している第2の液流路にヘッドの吐出方向前方に回復
経路および回復口を設けて、吐出液は吐出口から排出
し、発泡液は回復口から排出する場合がある。以下の実
施形態例において、吐出口のみから液体の排出を行う場
合が、実施形態例3から7であり、ヘッドの回復口を新
たに設けて、吐出口からは吐出液を排出し、回復口から
は発泡液を排出する場合が、実施形態例8から11であ
る。
【0245】また、本発明の吐出力回復方法の特徴は、
前述したように、第1の液流路内および第2の液流路内
の回復を、各液流路内の吸引または/および加圧によっ
て各液流路内の液体を排出させる場合に、流路抵抗が高
い方の液流路の加圧力または/および吸引力を、他方の
液流路の加圧力または/および加圧力より大きく設定す
ることにある。したがって、以下、各実施形態例の説明
に入る前に、吐出口のみが設けられた構成のヘッドを例
に挙げて、各液流路の流路抵抗の測定方法を示してお
く。
【0246】図30は、前述の吐出口のみを用いる方法
に対応する液体吐出ヘッドの一例を示す模式図である。
図中、前出の図に示したヘッドと同一の構成要素には同
一符号を付して説明を簡略化する。
【0247】図中、T1 は、第1の液流路14に吐出液
を供給する第1のタンクであり、T2 は、第2の液流路
16に発泡液を供給する第2のタンクであり、それぞれ
には、ポンプPU1 、ポンプPU2 が取り付けられ、供
給液体を加圧できるようになっている。これらタンクT
1 およびT2 から各液流と14および16に液体を通す
供給路14pおよび16pには、第1のバルブV1 およ
び第2のバルブV2 が設けられており、それぞれに下流
には、各液流路14および16内の液体の圧力を測定す
る圧力計P1 およびP2 が取り付けられている。
【0248】また、図中、符号230は、廃液溜めであ
り、前述のキャップ84に接続している排出管231の
末端に連結されている。前記排出管231の中程には第
3のバルブV3 が取り付けられ、その上流には圧力計P
3 が取り付けられ、下流には吸引ポンプPU3 が取り付
けられている。
【0249】前記構成のヘッドにおいて、各液流路1
4、16の流路抵抗の定義および測定方法を以下に説明
する。
【0250】(液流路内の抵抗の測定方法)まず、第1
の液流路14内の抵抗を測定するには、 (1)バルブV1 を開け、バルブV2 を閉める。
【0251】(2)第1の液流路14内をポンプPU3
またはポンプPU1 により吸引または加圧を行う。
【0252】(3)この時の圧力計P1 と圧力計P3
測定値(便宜上、測定値も同じ符号P1 、P3 で示す)
を求め、これらの差(圧力損失)Δp(=P1 −P3
を測定する。
【0253】(4)この圧力損失Δpが第1の液流路1
4の流路抵抗に相当する。
【0254】次に、第2の液流路内16の抵抗を測定す
るには、 (1)バルブV2 を開け、バルブV1 を閉める。
【0255】(2)第2の液流路16内をポンプPU3
またはポンプPU2 により吸引または加圧を行う。
【0256】(3)このときの圧力計P2 の測定値P2
と圧力計P3 の測定値P3 を求め、これらの差(圧力損
失)Δp=(P2 −P3 )を算出する。
【0257】(4)この圧力損失ΔPが第2の液流路1
6の流路抵抗に相当する。
【0258】(実施形態例3)本実施形態例は、図30
に示す構造の吐出ヘッドにおいて実施する吐出力回復方
法の一例を示すものであり、まず、第2の液流路16内
の液体を加圧により排出し、次に第1の液流路14内の
液体を吸引により排出し、吐出力を回復または維持する
構成を示す。すなわち、流路抵抗の大きい第2の液流路
16は、加圧により回復し、流路抵抗の小さな第1の液
流路14は、吸引により回復する。この回復の流れを図
31のフロー図に示す。
【0259】この回復の流れにおいて、後に行う第1の
液流路14内を回復させる吸引力P3 と、先に行う第2
の液流路16内を回復させる加圧力P2 との関係は、P
3 <P2 とすることが大切である。すなわち、流路内の
抵抗が高い方の液流路への印加圧力を高くすることが大
切である。このように、流路内の抵抗が低い第1の液流
路14側の回復は吸引、流路内の抵抗が高い第2の液流
路16側の回復は加圧で行うのは、吸引より加圧の方が
回復性が良いためである。また、キャップ84内からの
インク除去が、吸引ポンプPU3 を用いることで効率的
に除去できる。
【0260】(実施形態例4)本実施形態例は、図30
に示す構造の吐出ヘッドにおいて実施する吐出力回復方
法の一例を示すものであり、まず、第2の液流路16内
の液体を加圧により排出し、次に第1の液流路14内の
液体も加圧により排出し、吐出力を回復または維持する
構成を示す。すなわち、流路抵抗の大きい第2の液流路
16は、より強い加圧により回復し、流路抵抗の小さな
第1の液流路14は、より弱い加圧により回復する。こ
の回復の流れを図32のフロー図に示す。
【0261】この回復の流れにおいて、後に行う第1の
液流路14内を回復させる加圧力P1 と、先に行う第2
の液流路16内を回復させる加圧力P2 との関係は、P
1 <P2 とすることが大切である。すなわち、流路内の
抵抗が高い方の液流路への印加圧力を高くすることが大
切である。
【0262】まず、バルブV1 は閉め、バルブV2 を開
け、ポンプPU2 により加圧して、第2の液流路16の
リフィルを行う。
【0263】次に、バルブV2 は閉め、バルブV1 を開
け、ポンプPU1 により加圧して、第1の液流路14の
リフィルを行う。
【0264】この回復方法は、基本的に前述の実施例1
と同じ考えであるが、吸引を加圧にすることで回復性を
向上させている。なお、キャップ84内からの液体の除
去は、重力や毛管力等を用いても良い。
【0265】(実施形態例5)本実施形態例は、図30
に示す構造の吐出ヘッドにおいて実施する吐出力回復方
法の一例を示すものであり、まず、第2の液流路16内
の液体をより強い吸引により排出し、次に第1の液流路
14内の液体をより弱い吸引により排出し、吐出力を回
復または維持する構成を示す。すなわち、流路抵抗の大
きい第2の液流路16は、強い吸引力を印加して回復
し、流路抵抗の小さな第1の液流路14は、比較的弱い
吸引力を印加して回復する。この回復の流れを図33の
フロー図に示す。
【0266】この回復の流れにおいて、後に行う第1の
液流路14内を回復させる吸引力P31と、先に行う第2
の液流路16内を回復させる吸引力P32との関係は、P
31<P32とすることが大切である。すなわち、流路内の
抵抗が高い方の液流路への印吸引力を強くすることが大
切である。キャップ84内の吸引の後に行うワイピング
は、ヘッドフェイス面のインク残りを除去し、予備吐出
で押し込まれたインクを除去する。なお、回復を行う場
合、回復させたい液流路の反対側のバルブを閉めて回復
を行う。また、流路内の抵抗が高い第2の液流路16側
は、バルブを閉めた状態に近いため、流路内の抵抗が低
い第1の液流路14側にだけバルブを設けるようにして
も良い。
【0267】(実施形態例6)本実施形態例は、図30
に示す構造の吐出ヘッドにおいて実施する吐出力回復方
法の一例を示すものであり、まず、第2の液流路16内
の液体を加圧力と吸引力を同時に印加して強力に液体を
排出し、次に第1の液流路14内の液体を吸引のみによ
り排出し、吐出力を回復または維持する構成を示す。す
なわち、流路抵抗の大きい第2の液流路16は、加圧力
と吸引力とを同時に印加して回復し、流路抵抗の小さな
第1の液流路14は、吸引力のみを印加して回復する。
この回復の流れを図34のフロー図に示す。
【0268】この回復の流れにおいて、後に行う第1の
液流路14内を回復させる吸引力P31と、先に行う第2
の液流路16内を回復させる吸引力P32+加圧力P2
の関係は、|P31|<|P32|+|P2 |とすることが
大切である。すなわち、流路内の抵抗が高い方の液流路
への印加圧力(加圧力と吸引力とを絶対値加算した値)
を強くすることが大切である。本実施形態例では、加圧
力と吸引力を同時に印加することにより液体排出強制エ
ネルギーを大きくしている。 (実施形態例7)本実施形態例は、図30に示す構造の
吐出ヘッドにおいて実施する吐出力回復方法の一例を示
すものであり、まず、第2の液流路16内の液体をより
加圧力と吸引力を同時に印加して強力に液体を排出し、
次に第1の液流路14内の液体を加圧のみにより排出
し、吐出力を回復または維持する構成を示す。すなわ
ち、流路抵抗の大きい第2の液流路16は、加圧力と吸
引力とを同時に印加して回復し、流路抵抗の小さな第1
の液流路14は、加圧力のみを印加して回復する。この
回復の流れを図35のフロー図に示す。
【0269】この回復の流れにおいて、後に行う第1の
液流路14内を回復させる加圧力Pと、先に行う第
2の液流路16内を回復させる吸引力P32+加圧力P2
との関係は、|P1 |<|P32|+|P2 |とすること
が大切である。すなわち、流路内の抵抗が高い方の液流
路への印加圧力(加圧力と吸引力とを絶対値加算した
値)を強くすることが大切である。本実施形態例では、
加圧力と吸引力を同時に印加することにより液体排出強
制エネルギーを大きくしている。 (実施形態例8)図36は、本実施形態例8と続く実施
形態例9から11に示す吐出口と回復口とを用いる回復
方法に対応する液体吐出ヘッドの一例を示す模式図であ
る。図中、前出の図に示したヘッドと同一の構成要素に
は同一符号を付して説明を簡略化する。
【0270】図中、240は、第2の液流路16内の発
泡液を加圧または吸引により排出するための回復口であ
り、ヘッドの前面に開口している。この回復口240は
第2の液流路16に回復経路241を介して連通してい
る。
【0271】本実施形態例8は、図36に示す構造の吐
出ヘッドにおいて実施する吐出力回復方法の一例を示す
ものであり、まず、第2の液流路16内の液体を吸引に
より排出し、次に第1の液流路14内の液体も吸引によ
り排出し、吐出力を回復または維持する構成を示す。す
なわち、流路抵抗の大きい第2の液流路16は、より強
い吸引により回復し、流路抵抗の小さな第1の液流路1
4は、より弱い吸引により回復する。この回復の流れを
図37のフロー図に示す。
【0272】この回復の流れにおいて、後に行う第1の
液流路14内を回復させる吸引力P31と、先に行う第2
の液流路16内を回復させる吸引力P32との関係は、P
31<P32とすることが大切である。すなわち、流路内の
抵抗が高い方の液流路への印加吸引力を強くすることが
大切である。
【0273】この実施形態例8では、回復口240を持
たせることで、流路内の抵抗が高い第2の液流路16内
の回復性を向上できる。また、各液流路内の液体をを別
々の開口から排出できるので、バルブを持たなくても回
復が可能である。すなわち、第1の液流路14内を回復
させる場合は、吐出口18から吸引回復する。そして、
第2の液流路16内を回復させる場合は、回復口240
から吸引回復する。
【0274】この実施形態例8において、吐出口18と
回復口240を別々のキャップを用いて、吸引回復させ
ても良い。この場合、吸引ポンプが1つで各キャップへ
の吸引力の印加をバルブで切り替えるようにしても良
い。
【0275】(実施形態例9)本実施形態例は、図36
に示す構造の吐出ヘッドにおいて実施する吐出力回復方
法の一例を示すものであり、図38(a)(b)に示す
ようなフランジ部分が肉厚なキャップ841を用いて行
う。このキャップ841は、図に示すように、フランジ
部分が肉厚であり、その肉厚部分で吐出口18を塞いだ
ときは、回復口240が吸引可能となり、逆に肉厚部分
で回復口240を塞いだときは吐出口18がキャップ8
41内に開放されるように、設定されている。
【0276】まず、図38(a)に示すように、回復口
240をキャップ841の肉厚部分で塞ぐようにキャッ
プ841を吐出口18に被せ、第1の液流路14内の液
体を吸引して排出し、次に、図38(b)に示すよう
に、第1の液流路14内の液体を加圧力と吸引力を同時
に印加して排出し、吐出力を回復または維持する構成を
示す。すなわち、流路抵抗の大きい第2の液流路16
は、加圧力と吸引力とを同時に印加して回復し、流路抵
抗の小さな第1の液流路14は、吸引力のみを印加して
回復する。
【0277】この回復の流れにおいて、先に行う第1の
液流路14内を回復させる吸引力P31と、後に行う第2
の液流路16内を回復させる吸引力P32+加圧力P2
の関係は、|P31|<|P32|+|P2 |とすることが
大切である。すなわち、流路内の抵抗が高い方の液流路
への印加圧力(加圧力と吸引力とを絶対値加算した値)
を強くすることが大切である。本実施形態例では、加圧
力と吸引力を同時に印加することにより液体排出強制エ
ネルギーを大きくしている。
【0278】(実施形態例10)本実施形態例10は、
図36に示す構造の吐出ヘッドにおいて実施する吐出力
回復方法の一例を示すものであり、まず、第2の液流路
16内の液体を加圧により排出し、次に第1の液流路1
4内の液体も吸引により排出し、吐出力を回復または維
持する構成を示す。すなわち、流路抵抗の大きい第2の
液流路16は、加圧により回復し、流路抵抗の小さな第
1の液流路14は、吸引により回復する。この回復の流
れを図39のフロー図に示す。
【0279】この回復の流れにおいて、後に行う第1の
液流路14内を回復させる吸引力P31と、先に行う第2
の液流路16内を回復させる加圧力P2 との関係は、P
31<P2 とすることが大切である。すなわち、流路内の
抵抗が高い方の液流路への印加圧力を強くすることが大
切である。
【0280】この実施形態例10では、回復口240を
持たせることで、流路内の抵抗が高い第2の液流路16
内の回復性を向上できる。また、各液流路内の液体を別
々の開口から排出できるので、バルブを持たなくても回
復が可能である。
【0281】この実施形態例10において、吐出口18
と回復口240を別々のキャップを用いて、吸引回復さ
せても良い。この場合、吸引ポンプが1つで各キャップ
への吸引力の印加をバルブで切り替えるようにしても良
い。
【0282】(実施形態例11)本実施形態例は、図3
6に示す構造の吐出ヘッドにおいて実施する吐出力回復
方法の一例を示すものであり、図40に示すような吐出
口18と回復口240とを同時に覆うことができる大き
さのキャップ842を用いて行う。
【0283】図40に示すように、前述のキャップ84
2により回復口240と吐出口18とを同時に覆う。そ
して、吸引ポンプP3 を駆動して第1および第2の液流
路14および16を同時に吸引する。この時、同時に第
2の液流路16内をポンプPU2 により加圧する。
【0284】この回復の流れにおいて、第1の液流路1
4内を回復させる吸引力P31と、第2の液流路16内を
回復させる吸引力P32+加圧力P2 との関係は、|P31
|<|P32|+|P2 |とすることが大切である。すな
わち、流路内の抵抗が高い方の液流路への印加圧力(加
圧力と吸引力とを絶対値加算した値)を強くすることが
大切である。本実施形態例では、加圧力と吸引力を同時
に流路抵抗の大きな第2の液流路16内に印加すること
により液体排出強制エネルギーを大きくしている。
【0285】前述の各実施形態例において、加圧ポンプ
PU1 を動作させて、第1の液流路14内の増粘液体や
気泡を吐出口18から排出するとき、吸引ポンプPU3
につながっているキャップ84をヘッドに押し当て、吸
引ポンプPU3 を動作させ、吐出口18より排出された
吐出液を廃インク溜め230へ回収する。
【0286】この時、キャップ84とヘッドは完全密閉
状態である場合、加圧ポンプPU発生させた圧力P
と吸引ポンプPU3 で発生させた圧力P3 とで加圧
ポンプの圧力P1 の方が大きい場合が望ましい。P1
小さい場合、ヘッド内の可動部材31が開き、第2の液
流路16内の発泡液が第1の液流路14内に流れ込む場
合があるが、加圧ポンプPU1 の圧力P1 が大きい場
合、ヘッド内の可動部材31が閉じたまま、吐出液を流
することが容易となる。また、キャップ84とヘッドが
完全密閉でない場合は、例えば、図41に示すキャップ
843のようにフランジ部843aに切り欠き843b
を入れたり、図42に示すキャップ844のように吸引
管231から分岐した大気連通孔231aを設けたり、
図43に示すように、キャップ84をヘッドに対して傾
きをもって微小なすき間Gpを生じさせる場合などがあ
る。このような形態では、加圧ポンプPU1 の圧力P1
と吸引ポンプPU3 の圧力P3 の差は、どちらが大きく
てもかまわない。P3 が大きくても、加圧力P1で排出
された吐出液は、キャップによって、空気と一緒に吸引
されるため、第1の液流路14内に吸引力が作用して可
動部材31が開いてしまうことが無く、第2の液流路1
6内の発泡液が第1の液流路14内に流れこみにくい。
【0287】前述の各実施形態例に示した吐出力回復方
法および吐出ヘッドにおいて、図44に示すように、装
置全体の制御を行う制御部Cは、マイクロプロセッサ等
のCPU、CPUの制御プログラムや各種データを格納
しているROM、CPUのワークエリアとして使用され
るとともに、各種データの一時保存等を行うRAM等を
備えている。この制御部Cから発せられる制御信号によ
って、記録信号発生装置SG、回復加圧ポンプ駆動制御
回路PG1 を介して、記録ヘッド、第1及び第2の液流
路用回復ポンプPU1 及びPU2 の駆動制御が行われ、
回復吸引ポンプ駆動制御回路PG2 を介して、第3のポ
ンプ(吸引ポンプ)PU3 の駆動が制御される。
【0288】(実施形態例12)図45は、本発明の液
体吐出方法および液体吐出装置を適用したインク吐出記
録を動作させるための装置全体のブロック図である。
【0289】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0290】また、CPU302は、前記画像データを
記録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データ
に同期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用
モータを駆動するための駆動データを作る。画像データ
およびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307
と、モータドライバ305を介し、ヘッド201および
駆動モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイ
ミングで駆動され画像を形成する。また、CPU302
は、ヘッドの休止時等の吐出力回復動作を必要とする場
合には、回復動作指令を前述の吸引回復装置200に代
表される回復装置310に送る。吐出力回復指令を受け
た回復装置310は、その設定された吸引または加圧回
復シーケンスに基づき、ヘッドの吐出力を回復させる前
述の一連の動作を実行する。
【0291】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0292】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0293】また、これらの液体吐出装置に用いる吐出
液としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液
体を用いればよい。
【0294】(実施形態例13)〜記録システム〜 次に、本発明の液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして用い
被記録媒体に対して記録を行う、インクジェット記録シ
ステムの一例を説明する。
【0295】図46は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッド201は、被記録媒体150の記録可能幅に対
応した長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配した
フルライン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼン
タ(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対
応した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定
の間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0296】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0297】各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,
Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜204dのイ
ンク容器から供給されている。なお、符号204eは発
泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘ
ッドに発泡液が供給される構成になっている。これら容
器と各ヘッドを連結しているチューブの途中には、図に
示すように、加圧回復装置311e、311a、311
b、311c、311dが接続されている。これら加圧
回復装置の駆動手段は、加圧ポンプであり、ヘッドの吐
出力の回復が必要なときには、前述の図45のCPU3
02から加圧回復指令を受け、その設定された加圧回復
シーケンスに基づき、ヘッドの吐出力を回復させる一連
の動作を実行する。
【0298】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができ、ま
た、吸引することで、吐出力の回復を行う。
【0299】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0300】本実施例のインクジェット記録システムに
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置252および後処理装置253を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
【0301】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0302】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0303】なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラ
インヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述し
たような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して
記録を行う形態のものであってもよい。
【0304】(ヘッドキット)以下に、本発明の液体吐
出ヘッドに係わるヘッドキットを説明する。図47は、
このようなヘッドキットを示した模式図であり、このヘ
ッドキットは、インクを吐出するインク吐出部511を
有する本発明のヘッド510と、このヘッドと不可分も
しくは分離可能な液体容器であるインク容器520と、
このインク容器にインクを充填するためのインクを保持
したインク充填手段とを、キット容器501内に納めた
ものである。
【0305】インクを消費し終わった場合には、インク
容器の大気連通口521やヘッドとの接続部や、もしく
はインク容器の壁に開けた穴などに、インク充填手段の
挿入部(注射針等)531の一部を挿入し、この挿入部
を介してインク充填手段内のインクをインク容器内に充
填すればよい。
【0306】このように、本発明の液体吐出ヘッドと、
インク容器やインク充填手段等を一つのキット容器内に
納めてキットにすることで、インクが消費されてしまっ
ても前述のようにすぐに、また容易にインクをインク容
器内に充填することができ、記録の開始を迅速に行うこ
とができる。
【0307】なお、本実施例のヘッドキットでは、イン
ク充填手段が含まれるもので説明を行ったが、ヘッドキ
ットとしては、インク充填手段を持たず、インクが充填
された分離可能タイプのインク容器とヘッドとがキット
容器510内に納められている形態のものであってもよ
い。
【0308】また、この図47では、インク容器に対し
てインクを充填するインク充填手段のみを示している
が、インク容器の他に発泡液を発泡液容器に充填するた
めの発泡液充填手段をキット容器内に納めた形態のもの
であってもよい。
【0309】
【発明の効果】上記の構成によると、第1の液流路内お
よび第2の液流路内の回復を、各液流路内の吸引または
/および加圧によって、各液流路内の液体を排出させる
場合に、流路抵抗が高い方の液流路の加圧力または/お
よび吸引力を、他方の液流路の加圧力または/および加
圧力より大きく設定するので、回復のために排出する必
要のある液体を確実かつ十分に各液流路から除去するこ
とができる。換言すれば、本発明の主要な構成によれ
ば、長期間放置後の液体吐出ヘッドにおける吐出口部分
に生じる可能性がある増粘インクやゴミ等の除去、第1
の液流路の液体内に溜まる析出気泡の除去を、効率よ
く、充分かつ確実に行うことができる。さらに、本発明
の構成によれば、吐出液と発泡液の2液を使用した場合
において、かなり長時間放置した後であっても、2液の
混液を効果的に防止もしくは即座に解消することができ
る。
【0310】また、気泡発生部側の液流路に外部に開口
する系路を設けた場合では、可動部材により隔てられた
二つの液路に存在している液体を、吸引手段もしくは加
圧手段により効率よく排出して、ヘッドの吐出力を迅速
に回復することができる。さらに、この構成では、両流
路内の液体の排出の回数、量、順序、タイミングを自由
に設定することができる。
【0311】また、吐出口からの吸引時に流量調整手段
を開放して流量を増加させることにより、増粘インク等
の除去の更なる効率化を図ることができる。
【0312】さらに、各液体の吸引量を両液体間の水頭
圧差を利用して調整したり、あるいは各液体の流抵抗を
同一にして吸引したりすることも、増粘インク等の除去
の更なる効率化を図る上で有効である。また、可動部材
が第1の液流路側に変位している間に吸引する方法も極
めて有効である。
【0313】加えるに、可動部材を用いる新規な吐出原
理に基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等によると、
発生する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗
効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よく吐
出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出方法、
ヘッド等に比べて吐出効率を向上できる。
【0314】また、本発明の特徴的な構成によれば、低
温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出にな
ることを防止でき、仮に不吐出になっても予備吐出や吸
引回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態
に即座に復帰できる利点もある。これに伴い、回復時間
の短縮や回復による液体の損失を低減でき、ランニング
コストも大幅に下げることが可能である。
【0315】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができる。
【0316】また、2流路構成のヘッドにおいて発泡液
として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物(こ
げ等)が生じにくい液体を用いることで、吐出液の選択
の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液体、発
熱体上に体積物を生じやすい液体等、従来のバブルジェ
ット吐出方法で吐出することが困難であった液体につい
ても良好に吐出することができる。
【0317】さらに、熱に弱い液体等も、この液体に熱
による悪影響を与えず吐出することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘッ
ドの一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘッ
ドの部分破断斜視図である。
【図3】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図である。
【図4】本発明に係る液体吐出原理に従うヘッドにおけ
る気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図5】本発明に係る液体吐出原理に従う液体の流れを
説明するための模式図である。
【図6】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘッ
ドの他の例の部分破断斜視図である。
【図7】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘッ
ドのさらに他の例の部分破断斜視図である。
【図8】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘッ
ドのさらに他の例の断面図である。
【図9】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘッ
ドのさらに他の例の模式断面図である。
【図10】本発明に係る液体吐出原理に従う他の例の液
体吐出ヘッド(2流路)の断面図である。
【図11】本発明に係る液体吐出原理に従う他の例の液
体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図12】可動部材の動作を説明するための図である。
【図13】可動部材と第1液流路の構造を説明するため
の図である。
【図14】可動部材と液流路の構造を説明するための図
である。
【図15】可動部材の他の形状を説明するための図であ
る。
【図16】発熱体面積とインク吐出量の関係を示す図で
ある。
【図17】可動部材と発熱体との配置関係を示す図であ
る。
【図18】発熱体のエッジと支点までの距離と可動部材
の変位量の関係を示す図である。
【図19】発熱体と可動部材との配置関係を説明するた
めの図である。
【図20】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘ
ッドの縦断面図である。
【図21】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図22】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘ
ッドの供給路を説明するための断面図である。
【図23】本発明に係る液体吐出原理に従うヘッドの分
解斜視図である。
【図24】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘ
ッドの製造方法を説明するための工程図である。
【図25】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘ
ッドの製造方法を説明するための工程図である。
【図26】本発明に係る液体吐出原理に従う液体吐出ヘ
ッドの製造方法を説明するための工程図である。
【図27】液体吐出ヘッドカートリッジの分解斜視図で
ある。
【図28】本発明の液体吐出装置の第1の実施形態例の
概略構成図である。
【図29】図28に示した液体吐出装置に装着可能なイ
ンク回復装置の構成を示す斜視図である。
【図30】本発明の液体吐出装置における吸引回復方法
の一実施形態を説明するための装置の断面模式図であ
る。
【図31】図30に示した装置を用いて行う実施形態例
3における吸引回復工程を示す流れ図である。
【図32】図30に示した装置を用いて行う実施形態例
4における吸引回復工程を示す流れ図である。
【図33】図30に示した装置を用いて行う実施形態例
5における吸引回復工程を示す流れ図である。
【図34】図30に示した装置を用いて行う実施形態例
6における吸引回復工程を示す流れ図である。
【図35】図30に示した装置を用いて行う実施形態例
7における吸引回復工程を示す流れ図である。
【図36】本発明の液体吐出装置における吸引回復方法
の他の実施形態を説明するための装置の断面模式図であ
る。
【図37】図36に示した装置を用いて行う実施形態例
8における吸引回復工程を示す流れ図である。
【図38】本発明の液体吐出装置における吸引回復方法
の実施形態例9を説明するための装置の断面模式図であ
る。
【図39】図36に示した装置を用いて行う実施形態例
10における吸引回復工程を示す流れ図である。
【図40】本発明の液体吐出装置における吸引回復方法
の実施形態例11を説明するための装置の断面模式図で
ある。
【図41】本発明の液体吐出装置の回復方法に用いる吸
引キャップの変形例を示す斜視図である。
【図42】本発明の液体吐出装置の回復方法に用いる吸
引キャップの他の変形例を示す斜視図である。
【図43】本発明の液体吐出装置の回復方法における吸
引キャップの操作方法の変形例を示す模式図である。
【図44】本発明の装置全体の制御を示すブロック図で
ある。
【図45】装置ブロック図である。
【図46】液体吐出記録システムを示す図である。
【図47】ヘッドキットの模式図である。
【図48】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 15 第1共通液室 16 第2液流路 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 36 気泡発生領域前壁 37 気泡発生領域側壁 40 気泡 45 液滴 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね 80 供給部材 84、841、843、844 キャップ 230 回復口(開口) 231 第2の液流路用回復経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田鹿 博司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 樫野 俊雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 中田 佳恵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 松井 真也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出口に連通した第1の液流路と、液体
    に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発生
    領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前記
    気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有
    し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基
    づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記
    圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材とを
    有する液体吐出ヘッドを具備してなり、 前記第1の液流路内および第2の液流路内を各々加圧で
    第1の液体を充填可能な加圧装置と、前記第1の液流路
    内および第2の液流路内を各々の液流路を開閉可能な開
    閉装置と、前記吐出口から吸引することにより前記第1
    の液体を充填可能な吸引装置を備え、これら各加圧装
    置、各開閉装置、吸引装置が独立に制御可能であること
    を特徴とする液体吐出装置。
  2. 【請求項2】 液体を吐出するための複数の吐出口と、
    それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第1の
    液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第1の
    液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構成す
    る凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体に熱を与
    えることで液体に気泡を発生させるための複数の発熱体
    が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素子基板と
    の間に配され、前記発熱体に対応した第2の液流路の壁
    の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した位置に前
    記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の液流路側
    に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有する液体
    吐出ヘッドを具備してなり、 前記第1の液流路内および第2の液流路内を各々加圧で
    第1の液体を充填可能な加圧装置と、前記第1の液流路
    内および第2の液流路内を各々の液流路を開閉可能な開
    閉装置と、前記吐出口から吸引することにより前記第1
    の液体を充填可能な吸引装置を備え、これら各加圧装
    置、各開閉装置、吸引装置が独立に制御可能であること
    を特徴とする液体吐出装置。
  3. 【請求項3】 前記各加圧装置および吸引装置の圧力を
    可変制御可能であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の液体吐出装置。
  4. 【請求項4】 前記液体吐出ヘッドには、前記第2の液
    流路に連通し液体を排出するための回復口が、さらに設
    けられていることを特徴とする請求項1または2に記載
    の液体吐出装置。
  5. 【請求項5】 前記回復口から吸引で第2の液流路内の
    液体を充填可能な吸引装置を、さらに有することを特徴
    とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 【請求項6】 前記吐出口から吸引で第1の液流路内の
    液体を充填可能な吸引装置と、前記回復口から吸引で第
    2の液流路内の液体を充填可能な吸引装置とが同一であ
    り、吸引の圧力が可変制御可能である請求項5に記載の
    液体吐出装置。
  7. 【請求項7】 前記吸引装置は、前記吐出口または/お
    よび回復口をキャッピングするためのキャップを含む請
    求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出装置。
  8. 【請求項8】 前記吸引装置はポンプを含む請求項1な
    いし7のいずれかに記載の液体吐出装置。
  9. 【請求項9】 前記加圧装置はポンプを含む請求項1な
    いし8のいずれかに記載の液体吐出装置。
  10. 【請求項10】 前記液体吐出ヘッドから液体を吐出さ
    せるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段を、さ
    らに有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれ
    かに記載の液体吐出装置。
  11. 【請求項11】 前記液体吐出ヘッドから吐出された液
    体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
    を、さらに有することを特徴とする請求項1ないし10
    のいずれかに記載の液体吐出装置。
  12. 【請求項12】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
    し、記録紙にインクを付着させることで記録を行うこと
    を特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の液
    体吐出装置。
  13. 【請求項13】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、布帛に記録液体を付着させることで記録を行うこ
    とを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の
    液体吐出装置。
  14. 【請求項14】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、プラスチックに記録液体を付着させることで記録
    を行うことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか
    に記載の液体吐出装置。
  15. 【請求項15】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、金属に記録液体を付着させることで記録を行うこ
    とを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の
    液体吐出装置。
  16. 【請求項16】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、木材に記録液体を付着させることで記録を行うこ
    とを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の
    液体吐出装置。
  17. 【請求項17】 前記液体吐出ヘッドから記録液体を吐
    出し、皮革に記録液体を付着させることで記録を行うこ
    とを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の
    液体吐出装置。
  18. 【請求項18】 前記液体吐出ヘッドから複数色の記録
    液体を吐出し、被記録媒体に前記複数色の記録液体を付
    着させることでカラー記録を行う請求項1ないし17の
    いずれかに記載の液体吐出装置。
  19. 【請求項19】 前記吐出口が被記録媒体の記録可能領
    域の全幅に渡って、複数配されている請求項1ないし1
    8のいずれかに記載の液体吐出装置。
  20. 【請求項20】 吐出口に連通した第1の液流路と、液
    体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発
    生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前
    記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有
    し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基
    づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記
    圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材とを
    有する液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐出装置の回
    復方法であって、 前記吐出口から前記第1の液流路内の液体および前記第
    2の液流路内の液体を排出することにより前記液体吐出
    ヘッドの吐出力を回復するに際して、流路抵抗の大きい
    方の液流路へ印加する圧力を大きくすることを特徴とす
    る液体吐出装置の回復方法。
  21. 【請求項21】 吐出口に連通した第1の液流路と、液
    体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発
    生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前
    記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有
    し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基
    づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記
    圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材と、
    前記第2の液流路に連通し液体を排出するための回復口
    とを有する液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐出装置
    の回復方法であって、 前記吐出口または/および前記回復口から液体を排出す
    ることにより前記液体吐出ヘッドの吐出力を回復するに
    際して、流路抵抗の大きい方の液流路へ印加する圧力を
    大きくすることを特徴とする液体吐出装置の回復方法。
  22. 【請求項22】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第
    1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第
    1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構
    成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体に熱
    を与えることで液体に気泡を発生させるための複数の発
    熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素子基
    板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液流路
    の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した位置
    に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の液流
    路側に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有する
    液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐出装置の回復方法
    であって、 前記吐出口から前記第1の液流路内の液体および前記第
    2の液流路内の液体を排出することにより前記液体吐出
    ヘッドの吐出力を回復するに際して、流路抵抗の大きい
    方の液流路へ印加する圧力を大きくすることを特徴とす
    る液体吐出装置の回復方法。
  23. 【請求項23】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第
    1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第
    1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構
    成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体に熱
    を与えることで液体に気泡を発生させるための複数の発
    熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素子基
    板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液流路
    の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した位置
    に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の液流
    路側に変位する可動部材とを具備した分離壁と、前記第
    2の液流路に連通し液体を排出するための回復口とを有
    する液体吐出ヘッドを具備してなる液体吐出装置の回復
    方法であって、 前記吐出口または/および前記回復口から液体を排出す
    ることにより前記液体吐出ヘッドの吐出力を回復するに
    際して、流路抵抗の大きい方の液流路へ印加する圧力を
    大きくすることを特徴とする液体吐出装置の回復方法。
  24. 【請求項24】 前記第1および第2の液流路の内の流
    路抵抗の大きい方の液流路を加圧で回復し、流路抵抗の
    小さい方の液流路を吸引で回復することを特徴とする請
    求項20ないし23のいずれかに記載の液体吐出装置の
    回復方法。
  25. 【請求項25】 吸引で回復するのみ流路抵抗の大きい
    方の液流路の吸引力を、小さい方の液流路の吸引力より
    高くすることを特徴とする請求項20ないし23のいず
    れかに記載の液体吐出装置の回復方法。
  26. 【請求項26】 加圧で回復するのに流路抵抗の大きい
    方の液流路の加圧力を、小さい方の液流路の加圧力より
    高くすることを特徴とする請求項20ないし23のいず
    れかに記載の液体吐出装置の回復方法。
  27. 【請求項27】 流路抵抗が大きい方の液流路を加圧と
    吸引で回復し、小さい方の液流路を吸引で回復すること
    を特徴とする請求項20ないし23のいずれかに記載の
    液体吐出装置の回復方法。
  28. 【請求項28】 流路抵抗が大きい方の液流路を加圧と
    吸引で回復し、小さい方の液流路を加圧で回復すること
    を特徴とする請求項20ないし23のいずれかに記載の
    液体吐出装置の回復方法。
  29. 【請求項29】 流路抵抗が小さい方の液流路の回復動
    作の終了を、大きい方の液流路の回復動作の終了より後
    にすることを特徴とする請求項20ないし23のいずれ
    かに記載の液体吐出装置の回復方法。
  30. 【請求項30】 前記液体の排出は、前記吐出口をキャ
    ッピングするキャップを介して吸引装置を用いて前記吐
    出口から液体をヘッドの外部に吸引することにより、行
    うことを特徴とする請求項20または22に記載の液体
    吐出装置の回復方法。
  31. 【請求項31】 前記液体の排出は、前記吐出口または
    /および前記開口をキャッピングするキャップを介して
    吸引装置を用いて前記吐出口または/および回復から液
    体をヘッドの外部に吸引することにより、行うことを特
    徴とする請求項21または23に記載の液体吐出装置の
    回復方法。
  32. 【請求項32】 前記吸引装置は、ポンプを含むことを
    特徴とする請求項30または31に記載の液体吐出装置
    の回復方法。
  33. 【請求項33】 前記液体の排出は、加圧装置によりヘ
    ッド内の液体を加圧することにより、行うことを特徴と
    する請求項30または31に記載の液体吐出装置の回復
    方法。
  34. 【請求項34】 前記加圧装置は、ポンプを含むことを
    特徴とする請求項33に記載の液体吐出装置の回復方
    法。
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