JPH1024583A - 液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ、および液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ、および液体吐出装置

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JPH1024583A
JPH1024583A JP18303996A JP18303996A JPH1024583A JP H1024583 A JPH1024583 A JP H1024583A JP 18303996 A JP18303996 A JP 18303996A JP 18303996 A JP18303996 A JP 18303996A JP H1024583 A JPH1024583 A JP H1024583A
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JP
Japan
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liquid
movable member
flow path
discharge
heating element
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Application number
JP18303996A
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Tsutomu Abe
力 阿部
Toshio Kashino
俊雄 樫野
Yoshie Nakada
佳恵 中田
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
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    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
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    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14056Plural heating elements per ink chamber

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回復操作において大型で強力なポンプを必要
としない安価で、小型の液体吐出装置を作製できる液体
吐出ヘッドを提供する。 【解決手段】 液体吐出用の発熱体204が配されたノ
ズル201を複数有し、各ノズル201と共通して通じ
る共通液室203を有するヘッドにおいて、共通液室2
03内に発熱体210をさらに配置し、一端が固定端で
他端が自由端である可動部材211を支持部材212に
より発熱体210と対向するように支持し、かつ、可動
部材211の自由端211aを、共通液室203とノズ
ル201との連通部を塞ぐ固定泡208に配したもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用
いたヘッドカートリッジ及び液体吐出装置に関し、特
に、気泡の発生を利用して変位する可動部材を有する液
体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリ
ッジ及び液体吐出装置に関する。
【0002】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味する。
【0004】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許第4,723,129号等の公報に開示されているよ
うに、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に
連通するインク流路と、インク流路内に配されたインク
を吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変
換体が一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】一般的に液体を吐出し記録を行なう液体吐
出装置においては、印字開始前や印字中に定期的にヘッ
ドの吐出口と連通する液流路を負圧吸引したり、液体供
給側から加圧(循環)させたりといった回復操作を行な
い、印路中や待機中に液流路や共通液室内に留った気泡
を除去して吐出性能を安定化させる工夫を行なってい
る。
【0007】ところで近年、ヘッド生産技術の進化と世
の中の高速、高品位記録の要求とからヘッドのマルチノ
ズル化、即ちヘッドの長尺化が盛んに進められ、かつ実
用段階に来ている。この際、多くのノズルを安定的に高
い駆動周波数で吐出させるには、その駆動に見合うイン
ク供給を安定的に行なうことが必要である。その為に一
般的に長尺ヘッドでのインク流路(ノズル)は太く構成
されていて、インク供給時の圧力損失を小さくする工夫
がなされている。ところで、このインク流路が太いとい
う構成は、そのインク流路の回復操作を行なう時は回復
しにくい傾向になる。つまり、ノズル数が多い為、数本
のノズルの不吐出等が発生した場合、オリフィス(吐出
口)からの吸引や液室側からの加圧を行なっても不吐出
ノズルより抵抗の少ない正常ノズルからばかりインクが
排出され、不吐出ノズルにはインクが流れないことがあ
る。また、循環(加圧)回復操作等を行なっても流路断
面積が大きいと流路壁面の隅部の泡は動かずに動きやす
い部分ばかりインクが流れて本当に動かしたい部分に力
が働かないことが多い。それを力ずくで回復させようと
すると、大型のポンプで大量のインクを排出させること
となる。
【0008】このように従来、長尺化されたマルチノズ
ルタイプのヘッドでは、全てのノズルに液体が安定に供
給できる様に共通液室を含めた液体供給系は、流路断面
積を大きくし、液体の流抵抗が液体の安定供給に支障を
きたさない様に構成されている為、この様なタイプのヘ
ッドの回復を吸引もしくは加圧で行なう場合は、気泡を
除去する為の圧力もしくは流速を得るには非常に大型の
強力なポンプを必要とする。
【0009】例えば図38に示すような長尺ヘッドの場
合について、図39を参照して具体的に説明する。図3
9はバブルジェット方式のヘッド内の気泡の様子を示す
部分断面図である。
【0010】図39において、天板200の内部には液
流路であるノズル201が複数個並んでおり、各ノズル
201はそれぞれノズル列方向に延びた共通液室203
と連通している。各ノズル201は吐出口202を有し
ている。各ノズル201に1対1で対応したヒータ20
4の印加によってヒータ表面が加熱されて、インクが発
熱し、その発熱の力によってインクが吐出口202から
吐出して、インク滴206が得られる。また、発泡によ
って出来た泡が消泡する際、インク中の溶存ガスの一部
が残留気泡207となって取り残される。この残留気泡
207は共通液室203側に移動し、固定泡208とし
て共通液室内に蓄積されていく。
【0011】この泡がある大きさ以上になると、ノズル
後端209を塞いでしまい、インク供給不良となって不
吐出となってしまう。この状態から共通液室側を加圧回
復させた状態を図40に示す。
【0012】図40の(a)は共通液室とノズル後端に
て残留気泡が蓄積された状態を示す。図40の(b)で
回復操作を行なうと、共通液室203内にインクの流れ
が発生し、共通液室のインクの流れに当る領域の残留気
泡は引きちぎられて、符号208bに示す気泡のように
分離され、インクの流れと共に除去される。しかし、共
通液室は断面積が大きいため、符号208aに示す隅部
にある気泡はインクの流れを十分に受けられず、図40
の(c)に示すようにノズルを塞いだ状態で取り残され
る。その結果、回復操作が終了しても、符号208aに
示す隅部にある気泡で塞がれたノズルはインク供給が妨
げられて不吐出のままとなる。これを取り除くために
は、非常に強力なポンプと大量のインクが必要となる。
【0013】また、長尺ヘッドでカラー画像とバーコー
ドパターンを記録する場合を図41に示す。この場合、
バーコードを記録するブラック(Bk)吐出用ヘッドは
図41からも判るように、ヘッド全体の一部分のノズル
しか使わない。
【0014】この様な画像を連続で何枚も印字する場合
はヘッド内の気泡は図42に示す様になる。すなわち、
図42の(a)に示すようにヘッド内に散らばっていた
気泡は、バーコードパターンを記録するノズルで使われ
るインクの流れによって、記録を行なっているノズルの
方の寄ってくる。その結果、図42の(b)に示すよう
に長尺ヘッドでは記録を行なっているノズルの後方近く
の気泡だけでなく他のノズルの後方近辺の気泡までも
が、記録を行なっているノズルの後方に寄ってきて、泡
溜りができるため、インクの供給が疎外され、不吐出の
原因になる。この事はヘッドが長尺化されればされる
程、特定のノズルしか使わないような記録の場合大きな
問題となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、近年、
バブルジェット技術を用いてヘッドのマルチノズル化、
即ちヘッドの長尺化が盛んに進められつつあるが、これ
に対して様々な課題や要望が認識されている。即ち、ヘ
ッドの長尺化における課題及び要望は次のとおりであ
る。 (1).大型の強力なポンプが必要な為、装置のコスト増
やスペース増に繋がる。 (2).強力なポンプを使用する為、回復に消費されるイ
ンク量が多い。その結果、装置本体の、廃インクを捨て
るスペースが大きくなる、また、インクのランニングコ
ストが増大する。 (3).回復操作時間が長くなる。 (4)定期的な吐出回復の間隔を長くしたい。 (5).特定のノズルしか使用しないような連続記録で液
室内にもともと存在していた気泡が、記録を行なってい
るノズルの後方に集まることで、不吐出が発生するた
め、安定して記録を行なえる時間が短くなる。 (6).上記の(3)、(4)、(5)についてはフルマルチライン
ヘッドによる高速プリンタになればなる程、回復操作等
のメンテナンス時間を短くして印字速度を上げることが
望まれている。
【0016】一方、別の観点で、発明者達のうちの一部
は、液滴吐出の原理に立ち返り、従来では得られなかっ
た気泡を利用した新規な液滴吐出ヘッドを提供すべく鋭
意研究を行った。
【0017】その結果、液路中の可動部材の支点と自由
端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位置す
る関係にすること、また可動部材を発熱体もしくは、気
泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を制御す
る全く新規な技術を確立するに至った。
【0018】そして、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮するこ
とが吐出特性を格段に向上できる要因として最大である
との知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を
吐出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出
速度の向上をもたらすことも判明した。このことから、
発明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材
の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比べ極
めて高い技術水準に至った。
【0019】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る
中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
が判った。
【0020】また、可動部材の配置と液供給路の構造を
考慮することで、リフィル速度を大幅に向上することが
できることが判った。
【0021】このように一方で、本発明者達のうちの一
部は、前述した可動部材を用いた画期的な発明を出願し
ているが、本発明者達のうちの一部は、この発明による
可動部材を利用すれば、上述のヘッドの長尺化における
課題や要望を解決できることに着目した。
【0022】本発明の主たる目的は以下の通りである。
【0023】本発明の第1の目的は、回復操作において
大型で強力なポンプを必要としない安価で、小型の液体
吐出装置を作製できる液体吐出ヘッドを提供する。
【0024】上記目的に加え、本発明の第2の目的は、
回復処理で消費される廃インク量の軽減と、それに伴う
廃インクスペースの減少による装置本体の小型化並びに
インクランニングコストの軽減を達成できる液体吐出ヘ
ッド、およびこれを用いた液体吐出装置を提供する。
【0025】本発明の第3の目的は、回復操作時間の短
縮と、定期回復の間隔(インターバル)の延長により回
復に費やされる時間を短くし、印字速度の高速化を達成
できる液体吐出ヘッド、およびこれを用いた液体吐出装
置を提供する。
【0026】本発明の第4の目的は、吐出効率、吐出力
の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に軽
減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図ること
で、良好な液体の吐出を行ないうる液体吐出ヘッド、お
よびこれを用いた液体吐出装置を提供することにある。
【0027】本発明の第5の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によってメニスカス後退量を低
減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピード
等を向上させた液体吐出ヘッド、およびこれを用いた液
体吐出装置を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、液体を吐出する吐出口と、該吐出口と連通
し液体を吐出するための吐出用素子を備えた液流路と、
該液流路と連通し液体を保持するための共通液室と、該
共通液室内の液体又は気泡を拡散もしくは移動させるた
めの機構とを備え、前記機構は、電気熱変換体と、該電
気熱変換体により形成される気泡の発生成長及び収縮に
応じて変位する可動部材とを有してなる液体吐出ヘッド
である。
【0029】この液体吐出ヘッドは、前記共通液室と前
記液流路との連通部近傍に自由端が位置するように前記
可動部材が配置されていることや、前記共通液室と前記
液流路との連通部側に自由端より固定端が位置するよう
に前記可動部材が配置されていることを特徴とする。
【0030】また、上記の液体吐出ヘッドは、前記吐出
用素子は液体に気泡を発生させる気泡発生領域と、前記
気泡発生領域に面して配され、第1の位置と該第1の位
置よりも前記気泡発生領域から遠い第2の位置との間を
変位可能な第2の可動部材とを有し、該第2の可動部材
は、前記気泡発生部での気泡の発生に基づく圧力によっ
て、前記第1の位置から前記第2の位置へ変位すると共
に、前記第2の可動部材の変位によって前記気泡を吐出
口に向かう方向の上流よりも下流に大きく膨張させるこ
とで液体を吐出することを特徴とするものや、前記吐出
用素子は、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生
させる発熱体と、該発熱体に面して設けられ前記吐出口
側に自由端を有し前記気泡の発生による圧力に基づいて
前記自由端を変位させて前記圧力を前記吐出口側に導く
第2の可動部材とを有することを特徴とするものや、前
記吐出用素子は、前記液流路を、前記吐出口に連通した
第1の液流路と、液体に熱を加えることで該液体に気泡
を発生させる気泡発生領域を有する第2の液流路とに区
分し、前記吐出口側に自由端を有し、前記気泡発生領域
内での気泡の発生による圧力に基づいて該自由端を前記
第1の液流路側に変位させて前記圧力を前記第1の液流
路の吐出口側に導く第2の可動部材を有することを特徴
とするものが好ましい。
【0031】また上記の液体吐出ヘッドと、該液体吐出
ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを有する
ヘッドカートリッジや、前記液体吐出ヘッドと、前記液
体容器とは分離可能であるヘッドカートリッジも本発明
は属する。
【0032】さらに、上記の液体吐出ヘッドと、該液体
吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給
する駆動信号供給手段、あるいは該液体吐出ヘッドから
吐出された液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒
体搬送手段とを有する液体吐出装置も本発明に属する。
【0033】上記のとおりの発明では、発熱体による発
泡によって動く可動部材を共通液室内に配置し、回復時
に発熱体を駆動することにより、可動部材が動いてイン
クの淀み部分に流れが生じ、気泡の除去が可能となる。
従って、回復操作において大型で強力なポンプを必要と
しないで済む。
【0034】また、定期的な回復操作までの間において
は記録を行ないながら共通液室内の可動部材を動作させ
れば、発熱体の発泡〜消泡時に発生する残留気泡が、イ
ンク供給に支障をもたらす位置から影響のない位置まで
移動させることが可能である。その結果、定期的な回復
処理のインターバルを長くすることができる。
【0035】加えて、極めて新規な吐出原理に基づき、
吐出口と連通する液流路内に電気熱変換体とこれと対向
する可動部材を設けた本発明の液体吐出ヘッドによる
と、発生する気泡とこれによって変位する可動部材との
相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よ
く吐出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出方
法、ヘッド等に比べて、吐出効率を向上できる。例えば
本発明の最も好ましい形態においては2倍以上という飛
躍的な吐出効率の向上を達成できた。
【0036】この発明の特徴的な構成によれば、低温や
低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出になるこ
とを防止でき、仮に不吐出になっても、予備吐出や吸引
回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態に
即座に復帰できる利点もある。
【0037】具体的には64個の吐出口を持つ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0038】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0039】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0040】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0041】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0042】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0043】さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明の実施例について説明する
前に、本発明に適用可能な液体吐出ヘッドにおける液体
吐出原理について図面を参照して説明する。
【0045】(第1の実施の形態)まず、本形態では、
液体を吐出するための、気泡に基づく圧力の伝搬方向や
気泡の成長方向を制御することで吐出力や吐出効率の向
上を図る場合の例を説明する。
【0046】図1は、本発明の液体吐出ヘッドの一例を
示す模式断面図であり、図2は、本発明の液体吐出ヘッ
ドの部分破断斜視図である。
【0047】本形態の液体吐出ヘッドは、液体を吐出す
るための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネ
ルギーを作用させる発熱体2(本形態においては40μ
m×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設
けられており、素子基板1上に発熱体2に対応して液流
路10が配されている。液流路10は吐出口18に連通
していると共に、複数の液流路10に液体を供給するた
めの共通液室13に連通しており、吐出口18から吐出
された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受
け取る。
【0048】液流路10の素子基板1上には、発熱体2
に対向するように面して、金属等の弾性を有する材料で
構成され、平面部を有する板状の可動部材31が片持梁
状に設けられており、可動部材31の一端は液流路10
の壁や素子基板1上に感光性樹脂などをパターニングし
て形成した土台(支持部材)34等に固定されている。
これによって、可動部材31は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0049】可動部材31は、液体の吐出動作によって
共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側へ流
れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定端)3
3を持ち、支点33に対して下流側に自由端(自由端部
分)32を持つように、発熱体2に面した位置に発熱体
2を覆うような状態で発熱体2から15μm程度の距離
を隔てて配されている。発熱体2と可動部材31との間
が気泡発生領域11となる。なお、発熱体2及び可動部
材31の種類や形状および配置はこれに限られることな
く、後述するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しう
る形状および配置であればよい。また、上述した液流路
10は、後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動
部材31を境にして直接吐出口18に連通している部分
を第1の液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給
路12を有する第2の液流路16の2つの領域に分けて
説明する。
【0050】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体に米国特許4,723,129号公報に記載さ
れているような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生させ
る。気泡40の発生に基づく圧力と気泡40は可動部材
31に優先的に作用し、可動部材31は、図1(b),
(c)もしくは図2で示されるように支点33を中心に
吐出口18側に大きく開くように変位する。可動部材3
1の変位若しくは変位した状態によって気泡40の発生
に基づく圧力の伝搬や気泡40自身の成長が吐出口18
側に導かれる。
【0051】ここで、本発明における吐出原理の一つを
説明する。
【0052】本発明において重要な原理の1つは、気泡
40に対面するように配された可動部材31が気泡40
の圧力あるいは気泡40自体に基づいて、定常状態の第
1の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、
この変位する可動部材31によって気泡40の発生に伴
う圧力や気泡40自身を吐出口18が配された下流側へ
導くことである。
【0053】この原理を従来の液流路構造と比較してさ
らに詳しく説明する。
【0054】図3は、従来のヘッドにおける気泡からの
圧力伝搬を示す模式図であり、図4は、本発明のヘッド
における気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。な
お、ここでは吐出口方向への圧力の伝搬方向をVA、上
流側への圧力の伝搬方向をVBとして示した。
【0055】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1
〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を
向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼす
A方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4
即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力
伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速
度等に直接寄与する重要な部分である。さらにV 1は吐
出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4
はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0056】これに対して、図4で示される本発明の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側(吐
出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するもので
あり、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よく吐
出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体
も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上
流より下流で大きく成長する。このように、気泡の成長
方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方
向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度等
の根本的な向上を達成することができる。
【0057】次に図1に戻って、本形態の液体吐出ヘッ
ドの吐出動作について詳しく説明する。
【0058】図1(a)は、発熱体2に電気エネルギー
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体2
が熱を発生する前の状態である。
【0059】ここで重要なことは、可動部材31が、発
熱体2の発熱によって発生した気泡に対し、この気泡の
少なくとも下流側部分に対面する位置に設けられている
ことである。つまり、気泡の下流側が可動部材31に作
用するように、液流路構造上では少なくとも発熱体2の
面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通って流路
の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで可動部材
31が配されている。
【0060】図1(b)は、発熱体2に電気エネルギー
等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡40を発生させた状態である。
【0061】このとき、可動部材31は気泡40の発生
に基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出
口18方向に導くように第1位置から第2位置へ変位す
る。ここで重要なことは前述したように、可動部材31
の自由端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33
を上流側(共通液室側)に位置するように配置して、可
動部材31の少なくとも一部を発熱体2の下流部分すな
わち気泡40の下流部分に対面させることである。
【0062】図1(c)は、気泡40がさらに成長した
状態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部
材31はさらに変位している。発生した気泡40は、上
流より下流に大きく成長すると共に可動部材31の第1
の位置(点線位置)を越えて大きく成長している。この
ように、気泡40の成長に応じて可動部材31が徐々に
変位して行くことで気泡40の圧力伝搬方向や堆積移動
のしやすい方向、すなわち自由端側への気泡40の成長
方向を吐出口18に均一的に向かわせることができるこ
とも吐出効率を高めると考えられる。可動部材31は気
泡40や発泡圧を吐出口18方向へ導く際もこの伝達の
妨げになることはほとんどなく、伝搬する圧力の大きさ
に応じて効率よく圧力の伝搬方向や気泡40の成長方向
を制御することができる。
【0063】図1(d)は、気泡40が、前述した膜沸
騰の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状
態を示している。
【0064】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡40の収縮による負圧と可動部材31自身のば
ね性による復元力によって図1(a)の初期位置(第1
の位置)に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域
11での気泡40の収縮体積を補うため、また、吐出さ
れた液体の体積分を補うために上流側(B)、すなわち
共通液室13側から流れのVD1、VD2のように、また、
吐出口18側から流れのVcのように液体が流れ込んで
くる。
【0065】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に、本発明の
液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく
説明する。
【0066】図1を用いて本発明における液供給メカニ
ズムをさらに詳しく説明する。
【0067】図1(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域11に、第1液流路14の
吐出口18側と第2液流路16の共通液室側13から流
れ込む。可動部材31を持たない従来の液流路構造にお
いては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共
通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出
口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさ
に起因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものであ
る。)。
【0068】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0069】これに対して本形態においては、可動部材
31を設けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1
位置を境に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とし
た場合、消泡時に可動部材31が元の位置に戻った時点
でメニスカスの後退は止まり、その後残ったW2の体積
分の液体供給は主に第2流路16の流れVD2からの液供
給によって成される。これにより、従来、気泡Wの体積
の半分程度に対応した量がメニスカスの後退量になって
いたのに対して、それより少ないW1の半分程度のメニ
スカス後退量に抑えることが可能になった。
【0070】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路16の上流側(VD2)から強制的に
行うことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0071】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本形態の高速リフィルにおいては可動部材3
1によって吐出口18側の第1液流路14の領域と、気
泡発生領域11との吐出口18側での液体の流通が抑制
されるためメニスカスの振動を極めて少なくすることが
できることである。
【0072】このように本発明は、第2流路16の液供
給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述
したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィル
を達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、ま
た記録の分野に用いた場合、画質の向上や高速記録を実
現することができる。
【0073】本発明の構成においては、さらに次のよう
な有効な機能を兼ね備えている。
【0074】それは、気泡の発生による圧力の上流側へ
の伝搬(バック波)を抑制することである。発熱体2上
で発生した気泡の内、共通液室13側(上流側)の気泡
による圧力は、その多くが、上流側に向かって液体を押
し戻す力(バック波)になっていた。このバック波は、
上流側の圧力と、それによる液移動量、そして液移動に
伴う慣性力を引き起こし、これらは液体の液流路内への
リフィルを低下させ高速駆動の妨げにもなっていた。
【0075】本発明においては、まず可動部材31によ
って上流側へのこれらの作用を抑えることでもリフィル
供給性の向上をさらに図っている。
【0076】次に、本形態の更なる特徴的な構造と効果
について、以下に説明する。
【0077】本形態における第2液流路16は、発熱体
2の上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体
表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路
12を有している。このような場合、気泡発生領域11
および発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31
の気泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のよう
に行われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀む
ことが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、
消泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、
また、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従っ
て、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うこと
ができる。なお、本形態では実質的に平坦な内壁を持つ
液体供給路12を持つもので説明したが、これに限ら
ず、発熱体2表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁
を有する液供給路であればよく、発熱体2上に液体の淀
みや、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であれば
よい。
【0078】また、気泡発生領域11への液体の供給
は、可動部材31の側部(スリット35)を介してVD1
から行われるものもある。しかし、気泡発生時の圧力を
さらに有効に吐出口18に導くために図1で示すように
気泡発生領域11の全体を覆う(発熱体面を覆う)よう
に大きな可動部材31を用い、可動部材31が第1の位
置へ復帰することで、気泡発生領域11と第1液流路1
4の吐出口18に近い領域との液体の流抵抗が大きくな
るような形態の場合、前述のVD1から気泡発生領域11
に向かっての液体の流れが妨げられる。しかし、本発明
のヘッド構造においては、気泡発生領域11に液体を供
給するための流れVD1があるため、液体の供給性能が非
常に高くなり、可動部材31で気泡発生領域11を覆う
ような吐出効率向上を求めた構造を採っても、液体の供
給性能を落とすことがない。
【0079】図5は、本発明の液体の流れを説明するた
めの模式図である。
【0080】可動部材31の自由端32と支点33の位
置は、例えば図5で示されるように、自由端32が相対
的に支点33より下流側にある。このような構成のた
め、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向
を吐出口18側に導く等の機能や効果を効率よく実現で
きるのである。さらに、この位置関係は吐出に対する機
能や効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を
流れる液体に対する流抵抗を小さくしでき高速にリフィ
ルできるという効果を達成している。これは図5に示す
ように、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力に
より吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給
が行われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2
液流路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対
し、逆らわないように自由端32と支点33とを配置し
ているためである。
【0081】補足すれば、本形態図1においては、前述
のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を上流
側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱体の
面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交する
線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対し
て延在している。これによって発熱体2の面積中心位置
3より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧
力、又は気泡40を可動部材31が受け、この圧力及び
気泡40を吐出口18側に導くことができ、吐出効率や
吐出力を根本的に向上させることができる。
【0082】さらに、加えて気泡40の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0083】また、本形態の構成においては可動部材3
1の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていることも、
液体の吐出に対して有効に寄与している考えられる。
【0084】(第2の実施の形態)図6は、本発明の第
2の実施の形態における液体吐出ヘッドの部分破断斜視
図である。
【0085】図6において、Aは可動部材31が変位し
ている状態を示し(気泡は図示せず)、Bは可動部材3
1が初期位置(第1位置)の状態を示し、このBの状態
をもって、気泡発生領域11を吐出口18に対して実質
的に密閉しているとする(ここでは、図示していないが
A、B間には流路壁があり流路と流路を分離してい
る)。
【0086】図6における可動部材31は土台34を側
部に2点設け、その間に液供給路12を設けている。こ
れにより、可動部材31の発熱体2側の面に沿って、ま
た、発熱体2の面と実質的に平坦もしくは、なだらかに
つながる面を持つ液供給路から液体の供給を成すことが
できる。
【0087】ここで、可動部材31の初期位置(第1位
置)では、可動部材31は発熱体2の下流側および横方
向に配された発熱体下流壁36と発熱体側壁37に近接
または密着しており、気泡発生領域11の吐出口18側
に実質的に密閉されている。このため、発泡時の気泡の
圧力、特に気泡の下流側の圧力を逃がさず可動部材31
の自由端側に集中的に作用させることができる。
【0088】また、消泡時には、可動部材31は第1位
置に戻り、発熱体2上への消泡時の液供給は気泡発生領
域11の吐出口18側が実質的に密閉状態になるため、
メニスカスの後退抑制等、先の実施の形態で説明した種
々の効果を得ることができる。また、リフィルに関する
効果においても先の実施の形態と同様の機能、効果を得
ることができる。
【0089】また、本形態においては、図2や図6のよ
うに、可動部材31を支持固定する土台34を発熱体2
より離れた上流に設けると共に液流路10より、小さな
幅の土台34とすることで前述のような液供給路12へ
の液体の供給を行っている。また、土台34の形状のこ
れに限らず、リフィルをスムースに行えるものであれば
よい。
【0090】なお、本形態においては可動部材31と発
熱体2の間隔を15μm程度としたが、気泡の発生に基
づく圧力が十分に可動部材に伝わる範囲であればよい。
【0091】(第3の実施の形態)図7は、本発明の第
3の実施の形態における液体吐出ヘッドの部分破断斜視
図である。
【0092】図7は、一つの液流路中に気泡発生領域、
そこで発生する気泡および可動部材31との位置関係を
示していると共に、本発明の液体吐出方法やリフィル方
法をより分かり易くした図である。
【0093】前述の実施の形態の多くは、可動部材31
の自由端に対して、発生する気泡の圧力を集中して、急
峻な可動部材31の移動と同時に気泡の移動を吐出口1
8側に集中させることを達成している。
【0094】これに対して、本形態は、発生する気泡の
自由度を与えながら、滴吐出に直接作用する気泡の吐出
口18側である気泡の下流側部分を可動部材31の自由
端側で規制するものである。
【0095】構成上で説明すると、図7では、前述の図
2(第1の実施の形態)に比較すると、図2の素子基板
1上に設けられた気泡発生領域の下流端に位置するバリ
ヤーとしての凸部(図の斜線部分)が本形態では設けら
れていない。つまり、可動部材31の自由端領域および
両側端領域は、吐出口領域に対して気泡発生領域を実質
的に密閉せずに開放しており、この構成が本形態であ
る。
【0096】本形態では、気泡の液滴吐出に直接作用す
る下流側部分のうち、下流側先端部の気泡成長が許容さ
れているので、その圧力成分を吐出に有効に利用してい
る。加えて少なくともこの下流側部分の上方へ向かう圧
力(図3のV2,V3,V4の分力)を可動部材31の自
由端側部分が、この下流側先端部の気泡成長に加えられ
るように作用するため吐出効率を上述した実施の形態と
同様に向上する。前記実施の形態に比較して本形態は、
発熱体2の駆動に対する応答性が優れている。
【0097】また、本形態は、構造上簡単であるため製
造上の利点がある。
【0098】本形態施例の可動部材31の支点部は、可
動部材31の面部に対して小さい幅の1つの土台34に
固定されている。従って、消泡時の気泡発生領域11へ
の液体供給は、この土台の両側を通って供給される(図
の矢印参照)。この土台は供給性を確保するものであれ
ばどのような構造でもよい。
【0099】液体の供給時におけるリフィルは、本形態
の場合には、可動部材31の存在によって気泡の消泡に
ともなって上方から気泡発生領域へ流れ込む流れが制御
されるので、従来の発熱体のみの気泡発生構造に対して
優れたものとなる。無論、これによって、メニスカスの
後退量を減じることもできる。
【0100】本形態の変形例としては、可動部材31の
自由端に対する両側端(一方でも可)のみを気泡発生領
域11に対して実質的に密閉状態とすることは好ましい
ものとして挙げられる。この構成によれば、可動部材3
1の側方へ向かう圧力をも先に説明した気泡の吐出口1
8側端部の成長に変更して利用することができるので、
一層吐出効率が向上する。
【0101】(第4の実施の形態)前述した機械的変位
による液体の吐出力をさらに向上させた例を、本形態で
説明する。
【0102】図8は、本発明の第4の実施の形態におけ
る液体吐出ヘッドの断面図である。
【0103】図8においては、可動部材31の自由端3
2の位置が発熱体2のさらに下流側に位置するように、
可動部材31が延在している。これによって自由端32
位置での可動部材31の変位速度を高くすることがで
き、可動部材31の変位による吐出力の発生をさらに向
上させることができる。
【0104】また、自由端32が先の実施の形態に比較
して吐出口18側に近づくことになるので気泡40の成
長をより安定した方向成分に集中できるので、より優れ
た吐出を行うことができる。
【0105】また、気泡40の圧力中心部の気泡成長速
度に応じて、可動部材31は変位速度R1で変位する
が、この位置より支点33に対して、遠い位置の自由端
32はさらに速い速度R2で変位する。これにより、自
由端32を高い速度で機械的に液体に作用せしめ液移動
を起こさせることで吐出効率を高めている。
【0106】また、自由端形状は、図7と同じように液
流れに対して垂直な形状をすることにより、気泡40の
圧力や可動部材31の機械的な作用をより効率的に吐出
に寄与させることができる。
【0107】(第5の実施の形態)図9は、本発明の第
5の実施の形態における液体吐出ヘッドの模式断面図で
ある。
【0108】本形態の構造は先の実施の形態と異なり、
吐出口18と直接連通する領域は液室側と連通した流路
形状となっておらず、構造の簡略化が図れるものであ
る。
【0109】液供給は全て、可動部材31の発泡領域側
の面に沿った液供給路12からのみ行われるもので、可
動部材31の自由端32や支点33の吐出口18に対す
る位置関係や発熱体2に面する構成は前述の実施の形態
と同様である。
【0110】本形態は、吐出効率や液供給性等、前述し
た効果を実現するものであるが、特に、メニスカスの後
退を抑制し消泡時の圧力を利用して、ほとんど全ての液
供給を消泡時の圧力を利用して、強制リフィルを行うも
のである。
【0111】図9(a)は、発熱体2により液体を発泡
させた状態を示しており、図9(b)は、前記発泡が収
縮しつつある状態で、このとき可動部材31の初期位置
への復帰とS3による液供給が行われる。
【0112】図9(c)では、可動部材31が、初期部
材が初期位置に復帰する際のわずかなメニスカス後退M
を、消泡後に吐出口18付近の毛細管力によって、リフ
ィルしている状態である。
【0113】(第6の実施の形態)本形態においても主
たる液体の吐出原理については先の実施の形態と同じで
あるが、本形態においては、液流路を複流路構成にする
ことで、さらに熱を加えることで発泡させる液体(発泡
液)と、主として吐出される液体(吐出液)とを分ける
ことができるものである。
【0114】図10は、本発明の第6の実施の形態にお
ける液体吐出ヘッドの断面図であり、図11は、本発明
の第6の実施の形態における液体吐出ヘッドの部分破断
斜視図である。
【0115】本形態の液体吐出ヘッドは、液体に気泡を
発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設け
られた素子基板1上に、発泡用の第2液流路16があ
り、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1
液流路14が配されている。
【0116】第1液流路14の上流側は、複数の第1液
流路14に吐出液を供給するための第1共通液室15に
連通しており、第2液流路16の上流側は、複数の第2
液流路16に発泡液を供給するための第2共通液室17
に連通している。
【0117】但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場
合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0118】第1と第2の液流路の間には、金属等の弾
性を有する材料で構成された分離壁30が配されてお
り、第1液流路14と第2液流路16とを区分してい
る。なお、発泡液と吐出液とができる限り混ざり合わな
い方がよい液体の場合には、この分離壁30によって、
できる限り完全に第1液流路14と第2液流路16の液
体の流通を分離した方がよいが、発泡液と吐出液とがあ
る程度混ざり合っても、問題がない場合には、分離壁3
0に完全分離の機能を持たせなくてもよい。
【0119】発熱体2の面方向上方への投影空間(以
下、吐出圧発生領域という;図10中のAの領域とBの
気泡発生領域11)に位置する部分の分離壁30は、ス
リット35によって吐出口18側(液体の流れの下流
側)が自由端で、共通液室(15,17)側に支点33
が位置する片持梁形状の可動部材31となっている。こ
の可動部材31は、気泡発生領域11(B)に面して配
されているため、発泡液の発泡によって第1液流路14
側の吐出口18側に向けて開口するように動作する(図
中矢印方向)。図11においても、発熱体2としての発
熱抵抗部と、この発熱抵抗部に電気信号を印加するため
の配線電極5とが配された素子基板1上に、第2の液流
路16を構成する空間を介して分離壁30が配置されて
いる。
【0120】可動部材31の支点33、自由端32の配
置と、発熱体2との配置の関係については、先の実施の
形態と同様にしている。
【0121】また、先の実施の形態で液供給路12と発
熱体2との構造の関係について説明したが、本形態にお
いても第2液流路16と発熱体2との構造の関係を同じ
くしている。
【0122】次に、本形態の液体吐出ヘッドの動作につ
いて説明する。
【0123】図12は、可動部材の動作を説明するため
の図である。
【0124】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給
される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。発熱体2が発生した熱が、第2液流路16の気泡発
生領域内の発泡液に作用することで、先の実施の形態で
説明したのと同様に発泡液に米国特許4,723,12
9号公報に記載されているような膜沸騰現象に基づく気
泡40を発生させる。
【0125】本形態においては、気泡発生領域11の上
流側を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この
気泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動
部材31側に集中して伝搬し、気泡40の成長をともな
って可動部材31が図12(a)の状態から図12
(b)のように第1液流路14側に変位する。この可動
部材31の動作によって第1液流路14と第2液流路1
6とが大きく連通し、気泡40の発生に基づく圧力が第
1液流路14の吐出口側の方向(A方向)に主に伝わ
る。この圧力の伝搬と、前述のような可動部材31の機
械的変位によって液体が吐出口から吐出される。
【0126】次に、気泡が収縮するに伴って可動部材3
1が図12(a)の位置まで戻ると共に、第1液流路1
4では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が
上流側から供給される。本形態においても、この吐出液
体の供給は前述の実施の形態と同様に、可動部材31が
閉じる方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材
31で妨げることがない。
【0127】本形態は、可動部材31の変位に伴う発泡
圧力の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止等に関す
る主要部分の作用や効果については先の第1の実施の形
態等と同じであるが、本形態のような2流路構成をとる
ことによって、さらに次のような長所がある。
【0128】すなわち、上述の形態の構成によると、吐
出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた圧
力によって吐出液を吐出することができる。このため従
来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不
十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液体
であっても、この液体を第1の液流路に供給し、発泡液
に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=4:6
の混合液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第2の液
流路16に供給することで良好に吐出させることができ
る。
【0129】また、発泡液として、熱を受けても発熱体
の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択すること
で、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0130】さらに、本発明のヘッドの構造においては
先の実施の形態で説明したような効果をも生じるため、
さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐
出することができる。
【0131】また、加熱に弱い液体の場合においてもこ
の液体を第1の液流路14に吐出液として供給し、第2
の液流路16で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる
液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与える
ことなく、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で
吐出することができる。
【0132】(その他の実施の形態)以上、本発明の液
体吐出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施の形態につい
て説明を行ったが、以下に、これらの実施の形態に好ま
しく適用できる実施態様例について図面を用いて説明す
る。但し、以下の説明においては前述の1流路形態の実
施の形態と2流路形態の実施の形態のいずれかを取り上
げて説明する場合があるが特に記載しない限り、両形態
に適用しうるものである。
【0133】<液流路の天井形状>図13は、可動部材
と第1液流路の構造を説明するための図である。
【0134】図13に示すように、第1液流路13(若
しくは図1における液流路10)を構成するための溝が
設けられた溝付き部材50が分離壁30上に設けられて
いる。本形態においては、可動部材の自由端32位置近
傍の流路天井の高さが高くなっており、可動部材の動作
角度θをより大きく取れるようにしている。この可動部
材の動作範囲は、液流路の構造、可動部材の耐久性や発
泡力等を考慮して決定すればよいが、吐出口の軸方向の
角度を含む角度まで動作することが望ましいと考えられ
る。
【0135】また、この図で示されるように吐出口の直
径より可動部材の自由端の変位高さを高くすることで、
より十分な吐出力の伝達が成される。また、この図で示
されるように、可動部材の自由端32位置の液流路天井
の高さより可動部材の支点33位置の液流路天井の高さ
の方が低くなっているため、可動部材の変位よる上流側
への圧力波の逃げがさらに有効に防止できる。
【0136】<第2液流路と可動部材との配置関係>図
14は、可動部材と液流路の構造を説明するための図で
あり、(a)は分離壁30及び可動部材31近傍を上方
から見た図、(b)は分離壁30を外した第2液流路1
6を上方から見た図、(c)は可動部材6と第2液流路
16との配置関係をこれらの各要素を重ねることで模式
的に示した図である。なお、いずれの図も図面下方が吐
出口が配されている前面側である。
【0137】本形態の第2の液流路16は発熱体2の上
流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体位
置、可動部材、第1流路を経て吐出口に向う大きな流れ
の中の上流側のことである)に狭窄部19を持ってお
り、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容易に逃
げることを抑制するような室(発泡室)構造となってい
る。
【0138】従来のヘッドのように、発泡する流路と液
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側
に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を
設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮し
て、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない
構成を採る必要があった。
【0139】しかし、本形態の場合、吐出される液体の
多くを第1液流路内の吐出液とすることができ、発熱体
が設けられた第2液流路内の発泡液はあまり消費されな
いようにできるため、第2液流路の気泡発生領域11へ
の発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述の狭窄
部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に狭くで
きるため、第2液流路で発生した発泡時の圧力をあまり
周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可動部材
側に向けることができる。そしてこの圧力を可動部材3
1を介して吐出力として利用することができるため、よ
り高い吐出効率、吐出力を達成することができる。た
だ、第1液流路16の形状は上述の構造に限られるもの
ではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動部材側に
伝えられる形状であれば良い。
【0140】なお、図14(c)で示されるように、可
動部材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を
覆っており、このことで、可動部材31の第2液流路へ
の落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出
液と発泡液との分離性をさらに高めることができる。ま
た、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さ
らに吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、
前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果
を高めることができる。
【0141】なお、図12(b)や図13においては、
可動部材6の第1の液流路14側への変位に伴って第2
の液流路4の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第1
の液流路14側に延在しているが、この様に気泡が延在
するような第2流路の高さにすることで、気泡が延在し
ない場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。
この様に気泡が第1の液流路14に延在するようにする
ためには、第2の液流路16の高さを最大気泡の高さよ
り低くすることが望ましく、この高さを数μm〜30μ
mとすることが望ましい。なお、本形態においてはこの
高さを15μmとした。
【0142】<可動部材および分離壁>図15は、可動
部材の他の形状を説明するための図であり、(a)は長
方形の形状を示す図、(b)は支点側が細くなっている
形状で可動部材の動作が容易な形状を示す図、(c)は
支点側が広くなっており、可動部材の耐久性が向上する
形状を示す図である。
【0143】図15において、35は、分離壁に設けら
れたスリットであり、このスリットによって、可動部材
31が形成されている。動作の容易性と耐久性が良好な
形状として、図14(a)で示したように、支点側の幅
が円弧状に狭くなっている形態が望ましいが、可動部材
の形状は第2の液流路側に入り込むことがなく、容易に
動作可能な形状で、耐久性に優れた形状であればよい。
【0144】先の実施の形態においては、板状可動部材
31をおよびこの可動部材を有する分離壁5は厚さ5μ
mのニッケルで構成したが、これに限られることなく可
動部材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液
に対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作す
るための弾性を有し、微細なスリットが形成できるもの
であればよい。
【0145】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラ
ミックおよびその化合物が望ましい。
【0146】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の
近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱
性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、
金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もし
くは表面にチタンや金をコーティングしたものが望まし
い。
【0147】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0148】なお、可動部材31を形成するためのスリ
ット35の幅は本実施例では2μmとしたが、発泡液と
吐出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止した
い場合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形
成する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑制す
ればよい。例えば、発泡液として2cp(センチポア
ズ)程度の液体を用い、吐出液として100cp以上の
液体を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液
を防止することができるが、3μm以下にすることが望
ましい。
【0149】本発明における可動部材としてはμmオー
ダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダー
の厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚
さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(W
μm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考
慮することが望ましい。
【0150】スリットを形成する可動部材の自由端ある
いは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚み
と同等の場合(図12,図13等)、スリット幅と厚み
の関係を製造のバラツキを考慮して以下のような範囲に
することで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制するこ
とができる。このことは限られた条件ではあるが設計上
の観点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して高粘
度インク(5cp、10cp等)を用いる場合、W/t
≦1を満足するようにすることで、2液の混合を長期に
わたって抑制することが可能な構成となった。
【0151】本発明の「実質的な密閉状態」を与えるス
リットとしては、このような数μmオーダであればより
確実である。
【0152】上述のように、発泡液と吐出液とに機能分
離させた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部材と
なる。この可動部材が気泡の生成に伴って移動する際に
吐出液に対して発泡液がわずかに混入することが見られ
る。画像を形成する吐出液は、インクジェット記録の場
合、色材濃度を3%乃至5%程度有するものが一般的で
あることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴に対して
20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化をもたら
さない。従って、このような混液としては、吐出液滴に
対して20%以下となるような発泡液と吐出液との混合
を本発明に含むものとする。
【0153】尚、上記構成例の実施では、粘性を変化さ
せても上限で15%の発泡液の混合であり、5cp以下
の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよる
が、10%程度を上限とするものであった。
【0154】特に、吐出液の粘度を20cp以下にすれ
ばする程、この混液は低減(例えば5%以下)できる。
【0155】次に、このヘッドにおける発熱体と可動部
材の配置関係について、図を用いて説明する。ただし、
可動部材と発熱体の形状および寸法,数は、以下に限定
されるものではない。発熱体と可動部材の最適な配置に
よって、発熱体による発泡時の圧力を吐出圧として有効
に利用することが可能となる。
【0156】図16は、発熱体面積とインク吐出量の関
係を示す図である。
【0157】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図1
6に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係
にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが
存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様
子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在し
ていることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の
約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
【0158】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材の可動領域で覆われるように、可動部
材を配置するのが効果的であると言える。本形態におい
ては、発泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上内側
としたが、発熱体の種類や形成方法によっては、これに
限定されるものではない。
【0159】図17は、可動部材と発熱体との位置関係
を示す図であり、58×150μmの発熱体2に可動領
域の総面積が異なる可動部材301((a)図)、可動
部材302((b)図)を配置したときの上部から見た
模式図である。
【0160】可動部材301の寸法は、53×145μ
mで、発熱体2の面積よりも小さいが、発熱体2の発泡
有効領域と同じ程度の寸法であり、該発泡有効領域を覆
うように、配置されている。一方、可動部材302の寸
法は、53×220μmで発熱体2の面積よりも大きく
(幅寸法を同じにした場合、支点〜可動先端間の寸法が
発熱体の長さよりも長い)、可動部材301と同じよう
に発泡有効領域を覆うように配置されている。上記2種
の可動部材301、302に対し、それらの耐久性と吐
出効率について測定を行った。測定条件は以下の通りで
ある。
【0161】 発泡液 : エタノール40%水溶液 吐出用インク: 染料インク 電圧 : 20.2V 周波数 : 3kHz この測定条件で実験を行った結果、可動部材の耐久性に
関しては、(a)可動部材301の方は、1×107
ルス印加したところで可動部材301の支点部分に損傷
が見られた。(b)可動部材302の方は、3×108
パルス印加しても、損傷は見られなかった。また、投入
エネルギーに対する吐出量と吐出速度からもとまる運動
エネルギーも約1.5〜2.5倍程度向上することが確
認された。
【0162】以上の結果から、耐久性、吐出効率の両面
からみても、発泡有効領域の真上を覆うように可動部材
を設け、該可動部材の面積が発熱体の面積よりも大きい
方が、優れていることがわかる。
【0163】図18は、発熱体のエッジから可動部材の
支点までの距離と、可動部材の変位量の関係を示す図で
あり、図19は、発熱体2と可動部材31との配置関係
を側面方向から見た断面構成図である。
【0164】発熱体2は40×105μmのものを用い
た。発熱体2のエッジから可動部材31の支点33まで
の距離lが大きい程、変位量が大きいことがわかる。し
たがって、要求されるインクの吐出量や吐出液の流路構
造および発熱体形状などによって、最適変位量を求め、
可動部材の支点の位置を決めることが望ましい。
【0165】また、可動部材の支点が発熱体の発泡有効
領域直上に位置する場合は、可動部材の変位による応力
に加え、発泡圧力が直接支点に加わるため可動部材の耐
久性が低下してしまう。本発明者の実験によると、発泡
有効領域の真上に支点を設けたものでは、1×106
ルス程度で、可動壁に損傷が生じており、耐久性が低下
してしまうことが分かっている。したがって、可動部材
の支点は、発熱体の発泡有効領域直上外に配置すること
で耐久性がそれ程高くない形状や材質の可動部材であっ
ても実用可能性が高くなる。ただし、前記発泡有効領域
直上に支点がある場合でも形状や材質を選択すれば、良
好に用いることができる。かかる構成において、高吐出
効率および耐久性に優れた液体吐出ヘッドが得られる。
【0166】<素子基板>以下に、液体に熱を与えるた
めの発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0167】図20は、本発明の液体吐出ヘッドの縦断
面図であり、(a)は後述する保護膜があるヘッドを示
す図、(b)は保護膜がないヘッドを示す図である。
【0168】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0169】素子基板1には、シリコン等の気体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウ
ム等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図11のよ
うにパターニングされている。この2つの配線電極10
4から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流
し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコ
ンやチッ化シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚
で形成し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテー
ション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、
インク等の各種の液体から抵抗層105を保護してい
る。
【0170】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0171】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく
その例を図20(b)に示す。このような保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル
−アルミ合金等が挙げられる。
【0172】このように、前述の各実施例における発熱
体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だ
けででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもの
でもよい。
【0173】本形態においては、発熱体として電気信号
に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するも
のを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐出
させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであれ
ばよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けるこ
とで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで
発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0174】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0175】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図21で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。
【0176】図21は、駆動パルスの形状を示す模式図
である。
【0177】前述の各形態のヘッドにおいては、それぞ
れ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150mA、
電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動させ、
前述のような動作によって、吐出口から液体であるイン
クを吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件はこれ
に限られることなく、発泡液を適正に発泡させることが
できる駆動信号であればよい。
【0178】<2流路構成のヘッド構造>以下に、第
1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入
でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする
液体吐出ヘッドの構造例について説明する。
【0179】図22は、本発明の液体吐出ヘッドの供給
路を説明するための断面図であり、先の実施の形態と同
じ構成要素については同じ符号を用いており、詳しい説
明はここでは省略する。
【0180】本形態においては、溝付き部材50は、吐
出口18を有するオリフィスプレート51と、複数の第
1液流路14を構成する複数の溝と、複数の液流路14
に共通して連通し、各第1の液流路3に液体(吐出液)
を供給するための第1の共通液室15を構成する凹部と
から概略構成されている。
【0181】この溝付部材50の下側部分に分離壁30
を接合することにより複数の第1液流路14を形成する
ことができる。このような溝付部材50は、その上部か
ら第1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を
有している。また、溝付部材50は、その上部から分離
壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2
の液体供給路21を有している。
【0182】第1の液体(吐出液)は、図22の矢印C
で示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通
液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の
液体(発泡液)は、図22の矢印Dで示すように、第2
液体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで第2
液流路16に供給されるようになっている。
【0183】本形態では、第2液体供給路21は、第1
液体供給路20と平行して配されているが、これに限る
ことはなく、第1共通液室15の外側に配された分離壁
30を貫通して、第2共通液室17に連通するように形
成されればどのように配されてもよい。
【0184】また、第2液体供給路21の太さ(直径)
に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。
第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、
矩形状等でもよい。
【0185】また、第2共通液室17は、溝付部材50
を分離壁30で仕切ることによって形成することができ
る。形成の方法としては、図23で示す本実施例の分解
斜視図のように、素子基板上にドライフィルムで共通液
室枠と第2液路壁を形成し、分離壁を固定した溝付部材
50と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り合わ
せることにより第2共通液室17や第2液流路16を形
成してもよい。
【0186】本形態では、アルミニュウム等の金属で形
成された支持体70上に、前述のように、発泡液に対し
て膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生する発
熱体としての電気熱変換素子が複数設けられた素子基板
1が配されている。
【0187】この素子基板1上には、第2液路壁により
形成された液流路16を構成する複数の溝と、複数の発
泡液流路に連通し、それぞれの発泡液路に発泡液を供給
するための第2共通液室(共通発泡液室)17を構成す
る凹部と、前述した可動壁31が設けられた分離壁30
とが配されている。
【0188】符号50は、溝付部材である。この溝付部
材は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1
液流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、そ
れぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共
通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、
第1共通液室に吐出液を供給するための第1供給路(吐
出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液を供
給するための第2の供給路(発泡液供給路)21とを有
している。第2の供給路21は、第1の共通液室15の
外側に配された分離壁30を貫通して第2の共通液室1
7に連通する連通路に繋がっており、この連通路によっ
て吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室1
5に供給することができる。
【0189】なお、素子基板1、分離壁30、溝付天板
50の配置関係は、素子基板1の発熱体に対応して可動
部材31が配置されており、この可動部材31に対応し
て吐出液流路14が配されている。また、本形態では、
第2の供給路を1つ溝付部材に配した例を示したが、供
給量に応じて複数設けてもよい。さらに吐出液供給路2
0と発泡液供給路21の流路断面積は供給量に比例して
決めればよい。
【0190】このような流路断面積の最適化により溝付
部材50等を構成する部品をより小型化することも可能
である。
【0191】以上説明したように本形態によれば、第2
液流路に第2液体を供給する第2の供給路と、第1液流
路に第1液体を供給する第1の供給路とが同一の溝付部
材としての溝付天板からなることにより部品点数が削減
でき、工程の短縮化とコストダウンが可能となる。
【0192】また第2液流路に連通した第2の共通液室
への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体を分離す
る分離壁を突き抜ける方向で第2液流路によって行なわ
れる構造であるため、前記分離壁と溝付部材と発熱体形
成基板との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが
向上すると共に、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐出
することができる。
【0193】また、第2液体は、分離壁を突き抜けて第
2液体共通液室へ供給されるため、第2液流路に第2液
体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、
安定した吐出が可能となる。
【0194】<吐出液体、発泡液体>先の実施の形態で
説明したように本発明においては、前述のような可動部
材を有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも
高い吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出するこ
とができる。本形態の内、発泡液と吐出液とに同じ液体
を用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣
化せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じに
くく、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うこ
とが可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を
劣化させない液体であれば種々の液体を用いることがで
きる。
【0195】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0196】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0197】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0198】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0199】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0200】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができる記録液体として以下のような組成
のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によっ
てインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度
が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0201】 染料インク粘度2cp:(C.I.フードブラック2)染料 3wt% ジエチレングリコール 10wt% チオジグリコール 5wt% エタノール 3wt% 水 77wt% また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を
組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来
のヘッドでは吐出が困難であった十数cp粘度の液体は
もちろん150cpという非常に高い粘度の液体でさえ
も良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができ
た。
【0202】 発泡液1 :エタノール 40wt% 水 60wt% 発泡液2 :水 100wt% 発泡液3 :イゾプロピルアルコール 10wt% 水 90wt% 吐出液1 :カーボンブラック5 5wt% 顔料インク スチレン−アクリル酸− (粘度約15cp) アクリル酸エチル共重合体 1wt% (酸化140,重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25wt% グリセリン 69wt% チオジグリコール 5wt% エタノール 3wt% 水 16.75wt% 吐出液2 :ポリエチレングリコール200 100wt% (粘度55cp) 吐出液3 :ポリエチレングリコール600 100wt% (粘度150cp) ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこ
れらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上
述の実施例の構成においては、気泡の発生を発泡液を用
いることで充分に、しかも安定して行うことができる。
このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定
化を図ることができ記録画像品位を著しく向上すること
ができた。
【0203】<液体吐出ヘッドの製造>次に、本発明の
液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
【0204】図2で示したような液体吐出ヘッドの場合
には、素子基板1上に可動部材31を設けるための土台
34をドライフィルム等をパターニングすることで形成
し、この土台34に可動部材31を接着、もしくは溶着
固定した。その後、各液流路10を構成する複数の溝と
吐出口18と共通液室13を構成する凹部を有する溝付
部材を、溝と可動部材が対応するような状態で素子基板
1に接合することで形成した。
【0205】次に、図10や図23で示されるような2
流路構成の液体吐出ヘッドの製造工程について説明す
る。
【0206】図23は、本発明のヘッドの分解斜視図で
ある。
【0207】大まかには、素子基板1上に第2液流路1
6の壁を形成し、その上に分離壁30を取り付け、さら
にその上に第1液流路14を構成する溝等が設けられた
溝付き部材50を取り付ける。もしくは、第2液流路1
6の壁を形成した後、この壁の上に分離壁30を取り付
けた溝付き部材50を接合することでヘッドの製造を行
った。
【0208】さらに第2液流路の作製方法について詳し
く説明する。
【0209】図24は、本発明の液体吐出ヘッドの製造
方法を説明するための工程図である。
【0210】本形態においては、(a)に示すように、
素子基板(シリコンウエハ)1上に半導体製造工程で用
いるのと同様の製造装置を用いてハフニュウムボライド
やチッ化タンタル等からなる発熱体2を有する電気熱変
換用素子を形成した後、次工程における感光性樹脂との
密着性の向上を目的として素子基板1の表面に洗浄を施
した。さらに、密着性を向上させるには、素子基板表面
に紫外線−オゾン等による表面改質を行った後、例えば
シランカップリング剤(日本ユニカ製:A189)をエ
チルアルコールで1重量%に希釈した液を上記改質表面
上にスピンコートすることで達成される。
【0211】次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した
基板1上に、(b)に示すように、紫外線感光性樹脂フ
ィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディルSY
−318)DFをラミネートした。
【0212】次に、(c)に示すように、ドライフィル
ムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォトマスク
PMを介してドライフィルムDFのうち、第2の流路壁
として残す部分に紫外線を照射した。この露光工程は、
キヤノン(株)製:MPA−600を用いて行い、約6
00mJ/cm2の露光量で行った。
【0213】次に、(d)に示すように、ドライフィル
ムDFを、キシレンとブチルセルソルブアセテートとの
混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−3)で
現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化した部分
を第2液流路16の壁部分として形成した。さらに、素
子基板1表面に残った残渣を酸素プラズマアッシング装
置(アルカンテック社製:MAS−800)で約90秒
間処理して取り除き、引き続き、150℃で2時間、さ
らに紫外線照射100mJ/cm2を行って露光部分を
完全に硬化させた。
【0214】以上の方法により、上記シリコン基板から
分割、作製される複数のヒータボード(素子基板)に対
し、一様に第2の液流路を精度よく形成することができ
る。シリコン基板を、厚さ0.05mmのダイヤモンド
ブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密製:
AWD−4000)で各々のヒータボード1に切断、分
離した。分離されたヒータボード1を接着剤(東レ製:
SE4400)でアルミベースプレート70上に固定し
た(図27)。次いで、予めアルミベースプレート70
上に接合しておいたプリント配線基板71と、ヒータボ
ード1とを直径0.05mmのアルミワイヤ(図示略)
で接続した。
【0215】次に、このようにして得られたヒータボー
ド1に、図24(e)に示すように、上述の方法で溝付
部材50と分離壁30との接合体を位置決め接合した。
すなわち、分離壁30を有する溝付部材とヒータボード
1とを位置決めし、押さえバネ78により係合、固定し
た後、インク・発泡液用供給部材80をアルミベースプ
レート70上に接合固定し、アルミワイヤ間、溝付部材
50とヒータボード1とインク・発泡液用供給部材80
との隙間をシリコーンシーラント(東芝シリコーン製:
TSE399)で封止して完成させた。
【0216】以上の製法で、第2の液流路を形成するこ
とにより、各ヒータボードのヒータに対して位置ズレの
ない精度の良い流路を得ることができる。特に、溝付部
材50と分離壁30とをあらかじめ先の工程で接合して
おくことで、第1液流路14と可動部材31の位置精度
を高めることができる。
【0217】そして、これらの高精度製造技術によっ
て、吐出安定化が図られ印字品位が向上する。また、ウ
エハ上に一括で形成することが可能なため、多量に低コ
ストで製造することが可能である。
【0218】なお、本形態では、第2の液流路を形成す
るために紫外線硬化型のドライフィルムを用いたが、紫
外域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂を用
い、ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第2の
液流路となる部分の樹脂を直接除去することによっても
得ることが可能である。
【0219】また、この他の製造方法もある。
【0220】図25は、本発明の液体吐出ヘッドの製造
方法を説明するための工程図である。
【0221】本形態においては、(a)に示すように、
SUS基板100上に厚さ15μmのレジスト101を
第2の液流路の形状でパターニングした。
【0222】次に、(b)に示すように、SUS基板1
00に対して電気メッキを行ってSUS基板100上に
ニッケル層102を同じく15μm成長させた。メッキ
液としては、スルフォミン酸ニッケルに応力減少剤(ワ
ールドメタル社製:ゼロオール)とほう酸、ピット防止
剤(ワールドメタル社製:NP−APS)、塩化ニッケ
ルを使用した。電着時の電界のかけ方としては、アノー
ド側に電極を付け、カソード側に既にパターニングした
SUS基板100を取り付け、メッキ液の温度を50℃
とし、電流密度を5A/cm2とした。
【0223】次に、(c)に示すように、上記のような
メッキを終了したSUS基板100に超音波振動を与
え、ニッケル層102の部分をSUS基板100から剥
離し、所望の第2の液流路を得た。
【0224】一方、電気熱変換用素子を配設したヒータ
ボードを、半導体と同様の製造装置を用いてシリコンウ
エハに形成した。このウエハを先の実施例と同様に、ダ
イシングマシンで各々のヒータボードに分離した。この
ヒータボード1を、予めプリント基板104が接合され
たアルミベースプレート70に接合し、プリント基板7
1とアルミワイヤ(図示略)とを接続することで電気的
配線を形成した。このような状態のヒータボード1上
に、図25(d)に示すように、先の工程で得た第2液
流路と位置決め固定した。この固定に際しては、後工程
で第1の実施例と同様に分離壁を固定した天板と押さえ
バネによって係合・密着されるため、天板接合時に位置
ズレが発生しない程度に固定されていれば十分である。
【0225】本形態では、上記位置決め固定に紫外線硬
化型接着剤(グレースジャパン製:アミコンUV−30
0)を塗布し、紫外線照射装置を用い、露光量を100
mJ/cm2として約3秒間で固定を完了した。
【0226】本形態の製法によれば、発熱体に対して位
置ズレのない精度の高い第2の液流路を得ることができ
ることに加え、ニッケルで流路壁を形成しているため、
アルカリ性の液体に強く、信頼性の高いヘッドを提供す
ることが可能となる。
【0227】また、この他の製造方法もある。
【0228】図26は、本発明の液体吐出ヘッドの製造
方法を説明するための工程図である。
【0229】本形態においては、(a)に示すように、
アライメント穴あるいはマーク100aを有する厚さ1
5μmのSUS基板100の両面にレジスト31を塗布
した。ここで、レジストとしては、東京応化製のPME
RP−AR900を使用した。
【0230】この後、(b)に示すように、素子基板1
00のアライメント穴100aに合わせて、露光装置
(キヤノン(株)製:MPA−600)を用いて露光
し、第2の液流路を形成すべき部分のレジスト103を
除去した。露光は800mJ/cm2の露光量で行っ
た。
【0231】次に、(c)に示すように、両面のレジス
ト103がパターニングされたSUS基板100を、エ
ッチング液(塩化第2鉄または塩化第2銅の水溶液)に
浸漬し、レジスト103から露出している部分をエッチ
ングした後、レジストを剥離した。
【0232】次に、(d)に示すように、先の製造方法
の実施例と同様に、ヒータボード1上に、エッチングさ
れたSUS基板100を位置決め固定して第2の液流路
4を有する液体吐出ヘッドを組み立てた。
【0233】本形態の製法によれば、ヒータに対し位置
ズレのない精度の高い第2液流路4を得ることができる
ことに加え、SUSで流路を形成しているため、酸やア
ルカリ性の液体に強く信頼性の高い液体吐出ヘッドを提
供することができる。
【0234】以上説明したように、本形態の製造方法に
よれば、素子基板状に予め第2液流路の壁を配設するこ
とによって、電気熱変換体と第2液流路とが高精度に位
置決めすることが可能となる。また、切断、分離前の基
板上の多数の素子基板に対して第2の液流路を同時に形
成することができるので、多量に、かつ、低コストの液
体吐出ヘッドを提供することができる。
【0235】また、本形態の製造方法の液体吐出ヘッド
の製造方法を実施することによって得られた液体吐出ヘ
ッドは、発熱体と第2液流路とが高精度に位置決めされ
ているので、電気熱変換体の発熱による発泡の圧力を効
率よく受けることができ、吐出効率に優れたものとな
る。
【0236】<液体吐出ヘッドカートリッジ>次に、上
記実施の形態に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0237】図27は、液体吐出ヘッドカートリッジの
分解斜視図である。
【0238】図27に示すように、液体吐出ヘッドカー
トリッジは、主に液体吐出ヘッド部200と液体容器8
0とから概略構成されている。
【0239】液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、
分離壁30、溝付部材50、押さえバネ78、液体供給
部材90、支持体70等から成っている。素子基板1に
は、前述のように発泡液に熱を与えるための発熱抵抗体
が、複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵
抗体を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられ
ている。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁3
0との間に発泡液路が形成され発泡液が流通する。この
分離壁30と溝付天板50との接合によって、吐出され
る吐出液体が流通する吐出流路(不図示)が形成され
る。
【0240】押さえバネ78は、溝付部材50に素子基
板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢
力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後
述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0241】支持体70は、素子基板1等を支持するた
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、
装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを
行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0242】液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給さ
れる、インク等の吐出液体と気泡を発生させるための発
泡液とを内部に区分収容している。液体容器90の外側
には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接続部
材を配置するための位置決め部94と接続部を固定する
ための固定軸95が設けられている。吐出液体の供給
は、液体容器の吐出液体供給路92から接続部材の供給
路84を介して液体供給部材80の吐出液体供給路81
に供給され、各部材の吐出液体供給路83,71,21
を介して第1の共通液室に供給される。発泡液も同様
に、液体容器の供給路93から接続部材の供給路を介し
て液体供給部材80の発泡液供給路82に供給され、各
部材の発泡液体供給路84,71,22を介して第2液
室に供給される。
【0243】以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおい
ては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給
を行いうる供給形態および液体容器で説明したが、吐出
液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と吐出
液の供給経路および容器を分けなくてもよい。
【0244】なお、この液体容器には、各液体の消費後
に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体
容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。又、液
体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよく、分離
可能としてもよい。
【0245】<液体吐出装置>図28は、液体吐出装置
の概略構成図である。
【0246】本形態では特に吐出液体としてインクを用
いたインク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置
のキャリッジHCは、インクを収容する液体タンク部9
0と液体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカー
トリッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送さ
れる記録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動す
る。
【0247】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0248】また、本形態の液体吐出装置においては、
被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための駆動
源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャリッ
ジに伝えるためのギア112,113キャリッジ軸11
5等を有している。この記録装置及びこの記録装置で行
う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対して液
体を吐出することで良好な画像の記録物を得ることがで
きた。
【0249】図29は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0250】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0251】またCPU302は前記画像データを記録
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モー
タを駆動するための駆動データを作る。画像データおよ
びモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、
モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動
モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミン
グで駆動され画像を形成する。
【0252】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0253】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0254】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液
としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体
を用いればよい。
【0255】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0256】図30は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。
【0257】本形態における液体吐出ヘッドは、被記録
媒体150の記録可能幅に対応した長さに360dpi
の間隔で吐出口を複数配したフルライン型のヘッドであ
り、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),
ブラック(Bk)の4色に対応した4つのヘッドをホル
ダ202によりX方向に所定の間隔を持って互いに平行
に固定支持されている。
【0258】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0259】各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,
Bkの4色のインクがそれぞれ604a〜604dのイ
ンク容器から供給されている。なお、符号604eは発
泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘ
ッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0260】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ603
a〜603dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0261】符号606は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト606は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0262】本形態のインクジェット記録システムにお
いては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の処
理を行う前処理装置651および後処理装置652をそ
れぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けている。
【0263】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0264】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0265】なお、本形態では、ヘッドとしてフルライ
ンヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述した
ような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して記
録を行う形態のものであってもよい。
【0266】<ヘッドキット>以下に、本発明の液体吐
出ヘッドを有するヘッドキットを説明する。
【0267】図31は、ヘッドキットの模式図である。
【0268】図31に示すヘッドキットは、インクを吐
出するインク吐出部511を有する本発明のヘッド51
0と、このヘッドと不可分もしくは分離可能な液体容器
であるインク容器520と、このインク容器にインクを
充填するためのインクを保持したインク充填手段とを、
キット容器501内に納めたものである。
【0269】インクを消費し終わった場合には、インク
容器の大気連通口521やヘッドとの接続部や、もしく
はインク容器の壁に開けた穴などに、インク充填手段の
挿入部(注射針等)531の一部を挿入し、この挿入部
を介してインク充填手段内のインクをインク容器内に充
填すればよい。
【0270】このように、本発明の液体吐出ヘッドと、
インク容器やインク充填手段等を一つのキット容器内に
納めてキットにすることで、インクが消費されてしまっ
ても前述のようにすぐに、また容易にインクをインク容
器内に充填することができ、記録の開始を迅速に行うこ
とができる。
【0271】なお、本形態のヘッドキットでは、インク
充填手段が含まれるもので説明を行ったが、ヘッドキッ
トとしては、インク充填手段を持たず、インクが充填さ
れた分離可能タイプのインク容器とヘッドとがキット容
器510内に納められている形態のものであってもよ
い。
【0272】また、この図31では、インク容器に対し
てインクを充填するインク充填手段のみを示している
が、インク容器の他に発泡液を発泡液容器に充填するた
めの発泡液充填手段をキット容器内に納めた形態のもの
であってもよい。
【0273】
【実施例】以下に、上述の特徴的な液体吐出原理を奏す
る流路構造を適用可能な本発明の液体吐出ヘッドの実施
例について図面を参照して説明する。ここでは特に、上
述の実施形態で説明した可動部材を備えることにより、
吐出口側からの吸引や液室側からの加圧によってインク
流路内の流抵抗を除去する回復操作において有効的で、
かつヘッドの長尺化にも有利なヘッド構造について説明
する。
【0274】(第1実施例)図32は本発明の液体吐出
ヘッドの第1実施例を説明するための要部断面図であ
る。本実施例の液体吐出ヘッドは、液体吐出用の発熱体
204が配されたノズル201を複数有し、各ノズル2
01と共通して通じる共通液室203を有するヘッドに
おいて、共通液室203内に発熱体210をさらに配置
し、一端が固定端で他端が自由端である可動部材211
を支持部材212により発熱体210と対向するように
支持し、かつ、可動部材211の自由端211aを、共
通液室203とノズル201との連通部を塞ぐ固定泡
(固定状態の泡)208に配し、可動部材211を可動
させることで固定泡208を壊すようにしたものであ
る。尚、図32では可動部材211の固定端は自由端よ
りも共通液室内側に配されているが、この固定端の位置
は、吐出を妨げる固定泡が在る箇所に自由端が配されれ
ばどこでも構わない。
【0275】共通液室203の隅部にある気泡は図40
を用いて前述したとおり、加圧循環による回復操作を行
なってもインクの流れを受けにくく固定泡208として
残され易い。そこで、回復操作等に合わせて気泡除去用
の発熱体210を駆動することで、可動部材211が動
かされ、その動きによって急激な局部的なインクの流れ
が発生する。その結果、固定泡208は図32の(b)
に示すように細かい泡208’になって、インクの流れ
にしたがって動くことができる状態になる。また、泡を
細かくしないまでも可動部材211の動きによる液流に
よって固定泡208を動かすこともできる。
【0276】(第2実施例)図33は本発明の液体吐出
ヘッドの第2実施例を説明するための要部断面図であ
る。本実施例の液体吐出ヘッドは、液体吐出用の発熱体
204が配されたノズル201を複数有し、各ノズル2
01と共通して通じる共通液室203を有するヘッドに
おいて、共通液室203内に発熱体210をさらに配置
し、一端が固定端で他端が自由端である可動部材211
を支持部材212により発熱体210と対向するように
支持し、かつ、共通液室203とノズル201との連通
部側に固定端が位置するように可動部材211を配置
し、可動部材211を可動させることで残留気泡207
を吐出に影響しない部位に寄せるものである。
【0277】図33の(a)に示すように吐出用の発熱
体204の発泡〜消泡時に残留気泡207が発生する
が、その残留気泡207がノズル201の後端付近に溜
らないよう発熱体210を駆動することで可動部材21
1が動かされ、その動きによってインクの流れがノズル
側から共通液室側へと発生する。その結果、可動部材2
11の動きによる液流によって残留気泡207は図33
の(b)に示すように吐出に影響のない部位に移動し
て、ここで泡溜り213となる。
【0278】本実施例では気泡除去用の発熱体210の
駆動は、吐出用の発熱体204の駆動毎に行なっても良
いし、吐出用の発熱体204を所定の回数駆動したら気
泡除去用の発熱体210を何回か駆動するようにしても
良く、それはヘッドの性質や使われ方等の条件によって
適宜決定して実施すれば良い。
【0279】(第3実施例)図34は本発明の液体吐出
ヘッドの第3実施例を説明するための要部断面図であ
る。本実施例の液体吐出ヘッドは、第2実施例で説明し
た配置の可動部材、すなわち固定端をノズル側に配し自
由端211aを共通液室20側に配した可動部材211
を共通液室203内に複数個設置し、さらに共通液室2
03内に、可動部材211の動きによって残留気泡20
7が搬入されて泡溜り214として溜る気泡溜め部21
5を設けたものである。
【0280】気泡溜め部215には、残留気泡の一部で
も搬入できれば良く、搬入されなかったものは回復操作
によってヘッド外部へと排出される。この実施例の場合
でも、気泡除去用の発熱体210の駆動タイミングは吐
出用の発熱体に合わせても良いし、吐出用の発熱体の発
泡が所定の回数行なわれたときに所定の回数駆動させて
も良い。また、吐出の休止期間に行なっても良い。
【0281】(第4実施例)図35及び図36は本発明
の液体吐出ヘッドの第4実施例を説明するための図であ
る。本実施例のヘッドは、上述の第1乃至第3の実施例
で説明したような可動部材を共通液室内に配置した構成
に加え、吐出用の発熱体204に対向した位置に吐出用
の可動部材216を配置して上述の実施の形態で説明し
た吐出効率、吐出力、リフィル特性の向上をもたらすも
のとしても良い。
【0282】本例では、吐出用の可動部材216と気泡
除去用の可動部材211とは一枚の板材に共通の一体物
として形成されている。この構成によれば、部品点数の
削減、部品の位置合わせ工程の減少等が見込まれ、非常
にコスト面、信頼性面で利点のある構成となる。但し、
吐出用の可動部材216と気泡除去用の可動部材211
とは別々に構成しても良い。また、図35では気泡除去
用の可動部材211の自由端は共通液室側に向いている
が、第1の実施例のようにノズル後端付近側が自由端と
なっていても良い。
【0283】なお、第3実施例のように気泡除去用の可
動部材を共通液室内に複数個配置する場合、図36に示
すような一枚の板材に吐出用及び気泡除去用の可動部材
を設けた方が部品点数の削減、部品の位置合わせ工程の
減少等の点でより好ましい。
【0284】(第5実施例)図37は本発明の液体吐出
ヘッドの第5実施例を説明するための図である。ここで
は、図37を参照し、マルチノズル化(長尺化)された
ヘッドにて図41に示したバーコードパターンを含む様
なある特定ノズルのみしか駆動しない使い方をした場合
の例について説明する。また本例のヘッドは、各ノズル
の後端付近に図33に示したような配置の可動部材21
1を設けたものである。
【0285】ヘッド内に分散して存在する気泡は、図4
2に示した場合と同様、記録を行なっているノズルへの
インク供給の流れによって、記録を行なっているノズル
の方へと集まろうとする。ここで、可動部材211を駆
動することによってインクの流れを起こすことにより、
その気泡の集中を阻止する力が働き、ノズル後方を泡で
塞いでしまい不吐出となることを避けることができる。
また、これとは別に、記録を行なわない時期、例えば紙
と紙の間や別の色の記録を行なっているとき(図41に
示したカラー画像の領域を別のヘッドが記録していると
き)等に可動部材211を駆動することにより、集まっ
た気泡を拡散させることも可能である。
【0286】従って、ヘッドの使われ方によって、 (a).記録と同時に気泡除去用の可動部材を動かす (b).非記録時に気泡除去用の可動部材を動かす (c).(a)と(b)の動作を組み合せて行なう のいずれかを選択すれば良い。
【0287】また、ここでは記録を行なっているノズル
後端付近の可動部材を駆動したが、液室構造によっては
記録を行なっていない後端付近の可動部材も一緒に駆動
することで、より効率的に気泡づまりを阻止することが
可能となる。
【0288】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、発熱体に
よる発泡によって動く可動部材を共通液室内に配置し、
回復時に発熱体を駆動することにより、可動部材が動い
てインクの淀み部分に流れを生じさせるので、気泡の除
去が容易になる。
【0289】また、定期的な回復操作までの間において
は記録を行ないながら共通液室内の可動部材を動作させ
ることにより、発熱体の発泡〜消泡時に発生する残留気
泡が、インク供給に支障をもたらす位置から影響のない
位置まで移動させることができるので、定期的な回復処
理のインターバルを長くすることができる。
【0290】また、共通液室内の泡溜め室を設けておく
ことにより、この共通液室内の可動部材によって、吐出
の発泡によって発生する残留気泡を泡溜め室に導くこと
が可能である。
【0291】このように共通液室内に、発熱体による発
泡によって動く可動部材を配置することにより、回復操
作において大型で強力なポンプを必要としない安価で、
小型の液体吐出装置を作製できる。これに加え、回復処
理で消費される廃インク量の軽減と、それに伴う廃イン
クスペースの減少による装置本体の小型化並びにインク
ランニングコストの軽減を達成できる。さらには、回復
操作時間の短縮と、定期回復の間隔(インターバル)の
延長により回復に費やされる時間を短くし、印字速度の
高速化を達成できる。特にマルチノズル化(長尺化)さ
れたヘッドにおいても、全ノズルに安定的な吐出をもた
らすことができる。
【0292】また、上記の効果に加えて、可動部材を用
いる新規な吐出原理に基づく本発明の液体吐出方法によ
ると、発生する気泡とこれによって変位する可動部材と
の相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率
よく吐出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出
方法、ヘッド等に比べて吐出効率を向上できる。
【0293】また、本発明の特徴的な構成によれば、低
温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出にな
ることを防止でき、仮に不吐出になっても予備吐出や吸
引回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態
に即座に復帰できる利点もある。これに伴い、回復時間
の短縮や回復による液体の損失を低減でき、ランニング
コストも大幅に下げることが可能である。
【0294】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0295】また、2流路構成のヘッドにおいて発泡液
として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物(こ
げ等)が生じにくい液体を用いることで、吐出液の選択
の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液体、発
熱体上に体積物を生じやすい液体等、従来のバブルジェ
ット吐出方法で吐出することが困難であった液体につい
ても良好に吐出することができた。
【0296】さらに熱に弱い液体等も、この液体に熱に
よる悪影響を与えず吐出することができた。
【0297】また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法
によると、上述のような液体吐出ヘッドを精度良く製造
でき、また部品点数を少なく、安価に、しかも容易に製
造することができる。
【0298】また、本発明の液体吐出ヘッドを記録用の
液体吐出記録ヘッドとして用いることで、さらに高画質
な記録を達成することができた。
【0299】また、本発明の液体吐出ヘッドを用い、液
体の吐出効率等がさらに向上した液体吐出装置や記録シ
ステム等を提供することができた。
【0300】また、本発明のヘッドカートリッジやヘッ
ドキットを用いることで、ヘッドの利用、再利用を容易
に成すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面
図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であ
る。
【図3】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図である。
【図4】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を
示す模式図である。
【図5】本発明の液体の流れを説明するための模式図で
ある。
【図6】本発明の第2の実施の形態における液体吐出ヘ
ッドの部分破断斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における液体吐出ヘ
ッドの部分破断斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における液体吐出ヘ
ッドの断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態における液体吐出ヘ
ッドの模式断面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態における液体吐出
ヘッド(2流路)の断面図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態における液体吐出
ヘッドの部分破断斜視図である。
【図12】可動部材の動作を説明するための図である。
【図13】可動部材と第1液流路の構造を説明するため
の図である。
【図14】可動部材と液流路の構造を説明するための図
である。
【図15】可動部材の他の形状を説明するための図であ
る。
【図16】発熱体面積とインク吐出量の関係を示す図で
ある。
【図17】可動部材と発熱体との配置関係を示す図であ
る。
【図18】発熱体のエッジと支点までの距離と可動部材
の変位量の関係を示す図である。
【図19】発熱体と可動部材との配置関係を説明するた
めの図である。
【図20】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図21】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図22】本発明の液体吐出ヘッドの供給路を説明する
ための断面図である。
【図23】本発明のヘッドの分解斜視図である。
【図24】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図25】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図26】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図27】液体吐出ヘッドカートリッジの分解斜視図で
ある。
【図28】液体吐出装置の概略構成図である。
【図29】装置ブロック図である。
【図30】液体吐出記録システムを示す図である。
【図31】ヘッドキットの模式図である。
【図32】本発明の液体吐出ヘッドの第1実施例を説明
するための図である。
【図33】本発明の液体吐出ヘッドの第2実施例を説明
するための図である。
【図34】本発明の液体吐出ヘッドの第3実施例を説明
するための図である。
【図35】本発明の液体吐出ヘッドの第4実施例を説明
するための図である。
【図36】本発明の液体吐出ヘッドの第4実施例を説明
するための図である。
【図37】本発明の液体吐出ヘッドの第5実施例を説明
するための図である。
【図38】長尺ヘッドの外観図である。
【図39】バブルジェット方式のヘッド内の気泡の様子
を示す部分断面図である。
【図40】ノズル後端を塞ぐ泡の発生状況を表す図であ
る。
【図41】長尺ヘッドでカラー画像とバーコードパター
ンを記録する場合を表した図である。
【図42】特定のノズルしか使用しない画像を記録する
際の、ヘッド内の気泡の様子を表した図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 15 第1共通液室 16 第2液流路 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 36 気泡発生領域前壁 37 気泡発生領域側壁 40 気泡 45 液滴 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね 80 供給部材 201 ノズル(液流路) 203 共通液室 204、210 発熱体 205 気泡 207 残留気泡 208 固定泡 208’ 泡 211、216 可動部材 212 可動部材 213、214 泡溜り 215 気泡溜め部

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出する吐出口と、該吐出口と連
    通し液体を吐出するための吐出用素子を備えた液流路
    と、該液流路と連通し液体を保持するための共通液室
    と、該共通液室内の液体又は気泡を拡散もしくは移動さ
    せるための機構とを備え、前記機構は、電気熱変換体
    と、該電気熱変換体により形成される気泡の発生成長及
    び収縮に応じて変位する可動部材とを有してなる液体吐
    出ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記共通液室と前記液流路との連通部近
    傍に自由端が位置するように前記可動部材が配置されて
    いる請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記共通液室と前記液流路との連通部側
    に自由端より固定端が位置するように前記可動部材が配
    置されている請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    液体吐出ヘッドにおいて、前記吐出用素子は液体に気泡
    を発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面し
    て配され、第1の位置と該第1の位置よりも前記気泡発
    生領域から遠い第2の位置との間を変位可能な第2の可
    動部材とを有し、該第2の可動部材は、前記気泡発生部
    での気泡の発生に基づく圧力によって、前記第1の位置
    から前記第2の位置へ変位すると共に、前記第2の可動
    部材の変位によって前記気泡を吐出口に向かう方向の上
    流よりも下流に大きく膨張させることで液体を吐出する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記第2の可動部材の変位によって、前
    記気泡の下流部分が前記可動部材より下流に成長する請
    求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記第2の可動部材は、支点と、該支点
    より下流側に位置する自由端とを有する請求項4に記載
    の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    液体吐出ヘッドにおいて、前記吐出用素子は、液体に熱
    を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と、該
    発熱体に面して設けられ前記吐出口側に自由端を有し前
    記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位さ
    せて前記圧力を前記吐出口側に導く第2の可動部材とを
    有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    液体吐出ヘッドにおいて、前記吐出用素子は、前記液流
    路を、前記吐出口に連通した第1の液流路と、液体に熱
    を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発生領域
    を有する第2の液流路とに区分し、前記吐出口側に自由
    端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
    力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
    て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く第2の
    可動部材を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記第2の可動部材に面した位置に発熱
    体が設けられており、該可動部材と該発熱体との間が前
    記気泡発生領域である請求項4又は請求項8に記載の液
    体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記第2の可動部材の自由端は、前記
    発熱体の面積中心より下流に位置する請求項7又は請求
    項9に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記気泡は前記発熱体が発生する熱に
    よって液体に膜沸騰を生じることで発生する気泡である
    請求項7又は請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記第1及び第2の可動部材は板状で
    ある請求項7又は請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記発熱体の有効発泡領域の総てが前
    記第2の可動部材に面している請求項12に記載の液体
    吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記発熱体の全面が前記第2の可動部
    材に面している請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記第2の可動部材の総面積が前記発
    熱体の総面積より大である請求項12に記載の液体吐出
    ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記第2の可動部材の支点が前記発熱
    体の直上から外れた位置に配されている請求項12に記
    載の液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記第2の可動部材の自由端は前記発
    熱体が配された液流路を実質的に直交する形状を有する
    請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記第2の可動部材の前記自由端は前
    記発熱体より吐出口側に配されている請求項31の液体
    吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記第2の可動部材は前記第1の液流
    路と第2の液流路との間に配された分離壁の一部として
    構成されている請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  20. 【請求項20】 前記分離壁は、金属材料で構成されて
    いる請求項19に記載の液体吐出ヘッド。
  21. 【請求項21】 前記金属材料は、ニッケル若しくは金
    である請求項20に記載の液体吐出ヘッド。
  22. 【請求項22】 前記分離壁は、樹脂で構成されている
    請求項19に記載の液体吐出ヘッド。
  23. 【請求項23】 前記分離壁は、セラミックスで構成さ
    れている請求項19に記載の液体吐出ヘッド。
  24. 【請求項24】 前記第1の液流路の複数に第1の液体
    を供給するための第1の共通液室と、前記第2の液流路
    の複数に第2の液体を供給するための第2の共通液室と
    が配されている請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  25. 【請求項25】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが同じ液体である
    請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  26. 【請求項26】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが異なる液体であ
    る請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  27. 【請求項27】 前記第2の液流路に供給される液体
    は、前記第1の液流路に供給される液体に比べ、低粘度
    性、発泡性、熱安定性の少なくとも1つの性質で優れて
    いる液体である請求項26に記載の液体吐出ヘッド。
  28. 【請求項28】 前記発熱体は電気信号を受けることで
    熱を発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体である請
    求項7又は請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  29. 【請求項29】 前記電気熱変換体は前記発熱抵抗体上
    に、保護膜を配したものである請求項28に記載の液体
    吐出ヘッド。
  30. 【請求項30】 前記素子基板上には前記電気熱変換体
    に電気信号を伝えるための配線と、前記電気熱変換体に
    選択的に電気信号を与えるための機能素子が配されてい
    る請求項28に記載の液体吐出ヘッド。
  31. 【請求項31】 前記気泡発生領域もしくは発熱体が配
    された部分の前記第2液流路の形状は室形状である請求
    項8に記載の液体吐出ヘッド。
  32. 【請求項32】 前記第2の液流路の形状は、気泡発生
    領域もしくは発熱体の上流で狭窄部を有する形状である
    請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  33. 【請求項33】 前記発熱体の表面から前記可動部材ま
    での距離が30μm以下である請求項7又は請求項9に
    記載の液体吐出ヘッド。
  34. 【請求項34】 前記吐出口から吐出される液体はイン
    クである請求項7又は請求項9に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  35. 【請求項35】 請求項4、請求項7又は請求項8のい
    ずれかに1項に記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘ
    ッドに供給される液体を保持する液体容器とを有するヘ
    ッドカートリッジ。
  36. 【請求項36】 前記液体吐出ヘッドと、前記液体容器
    とは分離可能である請求項35に記載のヘッドカートリ
    ッジ。
  37. 【請求項37】 前記液体容器には、液体が再充填され
    ている請求項35に記載のヘッドカートリッジ。
  38. 【請求項38】 前記液体容器には、液体を再充填する
    ための液体注入口が設けられている請求項35に記載の
    ヘッドカートリッジ。
  39. 【請求項39】 請求項8に記載の液体吐出ヘッドと、
    第1の液流路に供給される第1の液体と、第2の液流路
    に供給される第2の液体とを保持する液体容器とを有す
    るヘッドカートリッジ。
  40. 【請求項40】 請求項4、請求項7又は請求項8のい
    ずれかに1項に記載の液体吐出ヘッドと、 該液体吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号
    を供給する駆動信号供給手段と、を有する液体吐出装
    置。
  41. 【請求項41】 請求項4、請求項7又は請求項8のい
    ずれかに1項に記載の液体吐出ヘッドと、 該液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける被記録媒
    体を搬送する被記録媒体搬送手段と、を有する液体吐出
    装置。
  42. 【請求項42】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
    し、記録紙、布帛、プラスチック、金属、木材、もしく
    は皮革に記録液体を付着させることで記録を行う請求項
    40又は請求項41に記載の液体吐出装置。
  43. 【請求項43】 前記液体吐出ヘッドから複数色の記録
    液体を吐出し、被記録媒体に前記複数色の記録液体を付
    着させることでカラー記録を行う請求項40又は請求項
    41に記載の液体吐出装置。
  44. 【請求項44】 前記吐出口が被記録媒体の記録可能領
    域の全幅に渡って、複数配されている請求項40又は請
    求項41に記載の液体吐出装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1862311A1 (en) * 2006-05-30 2007-12-05 Mimaki Engineering Co., Ltd. Fluid ejection apparatus and fluid ejection apparatus assembly
JP2016159514A (ja) * 2015-03-02 2016-09-05 富士フイルム株式会社 液体吐出装置、及び液体吐出ヘッドの異物排出方法
EP3162568A4 (en) * 2014-06-27 2017-12-13 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Inkjet head and application device in which same is used

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