JP3517526B2 - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置

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JP3517526B2 JP20314996A JP20314996A JP3517526B2 JP 3517526 B2 JP3517526 B2 JP 3517526B2 JP 20314996 A JP20314996 A JP 20314996A JP 20314996 A JP20314996 A JP 20314996A JP 3517526 B2 JP3517526 B2 JP 3517526B2
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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
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    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
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    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/21Line printing

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッドおよびこの液体吐出ヘ
ッドを用いた液体吐出装置に関し、特に、気泡の発生を
利用して変位する可動部材を有する液体吐出ヘッドおよ
びこの液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置に関する。
【0002】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
などのプリント媒体に対し記録を行うプリンタ、複写
機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を
有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理
装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用する
ことができる。また、本発明における「プリント」と
は、文字や図形などの意味を持つ画像をプリント媒体に
対して付与することだけでなく、パターンなどの意味を
持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0003】
【従来の技術】熱などのエネルギーをインクに与えるこ
とで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状
態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によっ
て吐出口からインクを吐出し、これをプリント媒体上に
付着させて画像形成を行なうインクジェットプリント方
法、いわゆるバブルジェットプリント方法が従来知られ
ている。このバブルジェットプリント方法を用いるプリ
ント装置には、米国特許第4, 723, 129号明細書
などの公報に開示されているように、インクを吐出する
ための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、
インク流路内に配されてインクを吐出するためのエネル
ギー発生手段としての発熱体(電気熱変換体)とが一般
的に配されている。
【0004】このようなプリント方法によると、品位の
高い画像を高速、低騒音でプリントすることができると
共に、このプリント方法を行うヘッドではインクを吐出
するための吐出口を高密度に配置することができるた
め、小型の装置で高解像度のプリント画像、さらにカラ
ー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた
点を有している。このため、このバブルジェットプリン
ト方法は近年、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの
多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装
置などの産業用システムにまで利用されるようになって
きている。
【0005】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらに高まっている。
【0006】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0007】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法などを与えるための
駆動条件が提案されたり、また、高速プリントの観点か
ら、吐出された液体の液流路内への充填(リフィル)速
度の速い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良し
たものも提案されている。
【0008】この流路形状の内、流路構造として図34
(a),(b) に示すものが、特開昭63−199972号公
報などに記載されている。この公報に記載されている流
路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発生す
るバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向かう
圧力、即ち、液室12へ向かう圧力)に着目した発明で
ある。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギーで
ないため、損失エネルギーとして知られている。
【0009】図34(a),(b) に示す発明は、発熱素子2
が形成する気泡の発生領域よりも離れ、かつ発熱素子2
に関して吐出口11とは反対側に位置する弁10を開示
する。
【0010】図34(b) においては、この弁10は、板
材などを利用する製造方法によって、流路3の天井に貼
り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流
路3内へ垂れ下がるものとして開示されている。この発
明は、上述したバック波の一部を弁10によって制御す
ることでエネルギー損失を抑制するものとして開示され
ている。
【0011】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路3内部に、気泡が発生した際を
検討するとわかるように、弁10によるバック波の一部
を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なもので
ないことがわかる。
【0012】ところで、本件特許出願人は、プリント媒
体の幅に略対応して吐出口および電気熱変換体を配列さ
せたラインタイプの液体吐出ヘッドおよびこの吐出ヘッ
ドを用いた液体吐出装置をすでに特許出願している。こ
の出願に開示された液体吐出ヘッドは、複数の電気熱変
換体を設けた複数のヒータボードをベースプレート上に
精度よく並べ、この上に一端部に形成された複数のイン
ク吐出口と、これら吐出口の各々に連通し、かつ一端部
から他端部に向けて形成された複数の溝を有する一体の
天板を、これら複数の溝を塞ぐように複数の電気熱変換
体に対し接合することによって形成されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本件特許出願人が開示
したように、複数のヒータボードを配列した液体吐出ヘ
ッドでは、天板がノズル配列方向にずれ、隣接するヒー
タボードの継ぎ目にノズルが重なったりすると、隣接す
るヒータボードの継ぎ目に発泡パワーがリークする場合
がある。このように、発泡パワーがリークしたノズルの
部分では、その吐出量が減少するため、プリントされる
画像にいわゆる白すじが発生し、プリントの品質が低下
する虞がある。
【0014】また、上述のようなラインタイプの液体吐
出ヘッドでは、駆動順序などにより、後方クロストーク
の影響で吐出量がばらつき、むらが発生することがあ
り、吐出不良や不吐出、あるいはむらのない良好なプリ
ントを行うことが望まれる。
【0015】
【発明の目的】本発明の第1の目的は、ラインタイプの
液体吐出ヘッドにおいても高い吐出効率と吐出力とを得
ることができ、かつ画像に白すじのない良好なプリント
を得られる液体吐出ヘッドおよびこの液体吐出ヘッドを
用いた液体吐出装置を提供することにある。
【0016】本発明の第2の目的は、吐出効率、吐出力
の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に軽
減できると共に発熱体上の残留気泡の低減を図ること
で、良好な液体の吐出を行い得る液体吐出ヘッドおよび
この液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置を提供するこ
とにある。
【0017】本発明の第3の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によってメニスカス後退量を低
減させることでリフィル周波数を高め、印字スピードな
どを向上させた液体吐出ヘッドおよびこの液体吐出ヘッ
ドを用いた液体吐出装置を提供することにある。
【0018】本発明の第4の目的は、発熱体上への堆積
物を低減すると共に吐出用液の用途範囲を広げることが
でき、しかも吐出効率や吐出力が充分に高い液体吐出ヘ
ッドおよびこの液体吐出ヘッドを用いた液体吐出装置を
提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の形態は、
液体を吐出するための複数の吐出口,これら吐出口に直
接連通する第1の液流路をそれぞれ構成するための複数
の溝およびこれら複数の溝に連通して前記第1の液流路
に液体をそれぞれ供給する第1の共通液室を構成するた
めの凹部を有する一つの溝付き部材と、液体に熱を与え
ることでこの液体に気泡を発生させるための複数の発熱
体およびこれら発熱体毎に設けられる第2の液流路の壁
をそれぞれ有し、前記溝付き部材の前記吐出口の配列方
向に沿って配される複数の素子基板と、これら素子基板
と前記溝付き部材との間に配され、前記発熱体に面した
位置に可動部材をそれぞれ有する分離壁とを具えた液体
吐出ヘッドであって、前記分離壁は、前記吐出口の配列
方向に沿って前記可動部材を横切る位置において、隣接
する前記素子基板の継ぎ目を跨ぐ部分を有し、この跨ぐ
部分の前記吐出口の配列方向に沿った幅がここに接合さ
れる前記溝付き部材の部分の幅よりも広くなっており、
前記可動部材は、支点およびこの支点よりも下流側に位
置する自由端をそれぞれ有し、前記気泡の発生に基づく
圧力によって前記第1の液流路側にそれぞれ変位するこ
とを特徴とする液体吐出ヘッドにある。
【0020】なお、本明細書で記述した「分離壁」と
は、広義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域
とを区分するように介在する壁(可動部材を含んでい
る)を意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路と吐出
口に直接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域に
ある液体の混合を防止するものを意味する。
【0021】本発明の第2の形態は、上述した第1の形
態による液体吐出ヘッドと、この液体吐出ヘッドから液
体を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給
手段とを有することを特徴とする液体吐出装置にある。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の実施の形態】本発明による第1の形態におい
て、吐出口の数は、500以上であることが好ましく、
プリント媒体の搬送方向に対して交差するその幅方向に
沿ったプリント領域の全幅に亙って配列するものである
ことが好ましい。分離壁は、すべての素子基板に跨がっ
て延びる一枚の材料にて構成されていてもよい。同様
に、分離壁を複数具え、これら分離壁は隣接する2つの
素子基板に跨がって配設されるものであってもよい。ま
た、表面に素子基板が接合される一枚のベースプレート
をさらに具えることも有効であ
【0026】なお、本明細書で記述する「上流」とは、
液体の供給源から気泡発生領域(または可動部材)を経
て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、またはこ
の構成上の方向に関しての表現として表される。
【0027】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には、気泡の中心に対
して液体の流れ方向や上記構成上の方向に関する下流
側、または発熱体の面積中心より下流側の領域で発生す
る気泡を意味する。
【0028】
【0029】
【実施例】まず、本発明の実施例を説明する前に、本発
明が好適に適用される液体吐出ヘッドの形態、すなわち
液流路中に可動部材を設け、この可動部材により吐出
力,吐出効率およびリフィル供給性を向上させた液体吐
出ヘッドの形態を第1〜第6実施形態にて説明する。
【0030】<第1実施形態>この第1実施形態では、
液体を吐出するための、気泡に基づく圧力の伝搬方向や
気泡の成長方向を制御することで吐出力や吐出効率の向
上を図る場合の例を説明する。
【0031】図1は、このような第1実施形態による液
体吐出ヘッドを液流路方向で切断した断面模式図を示し
ており、図2は、この液体吐出ヘッドの部分破断斜視図
を示している。
【0032】本実施形態の液体吐出ヘッドは、液体を吐
出するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱
エネルギーを作用させる発熱体2(本実施形態において
は、40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子
基板1に設けられており、この素子基板1上に発熱体2
に対応して液流路10が配されている。液流路10は、
吐出口18に連通していると共に、複数の液流路10に
液体を供給するための共通液室13に連通しており、吐
出口18から吐出された液体に見合う量の液体をこの共
通液室13から受け取る。
【0033】この液流路10の素子基板1上には、前述
の発熱体2に対向するように面して、金属などの弾性を
有する材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材
31が片持ち梁状に設けられている。この可動部材31
の一端は液流路10の壁や素子基板1上に感光性樹脂な
どをパターニングして形成した土台(支持部材)34な
どに固定されている。これによって、可動部材31が保
持されると共に支点(支点部分)33を構成している。
【0034】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体2から15μm
程度の距離を隔てて配されている。この発熱体2と可動
部材31との間が気泡発生領域となる。なお、発熱体
2、可動部材31の種類や形状および配置は、これに限
られることなく、後述するように気泡の成長や圧力の伝
搬を制御し得る形状および配置であればよい。また、上
述した液流路10は、後に取り上げる液体の流れの説明
のため、図1(a),(d) に示される状態の可動部材31を
境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の液
流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を有
する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明する。
【0035】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、米国特許第4, 723, 129号明細書に記載され
ているような膜沸騰現象に基づく気泡を液体に発生させ
る。気泡の発生に基づく圧力と気泡は液体を介して可動
部材31に優先的に作用し、可動部材31は図1(b),
(c) および図2で示されるように、支点33を中心に吐
出口18側に大きく開くように変位する。可動部材31
の変位あるいは変位した状態によって気泡の発生に基づ
く圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口18側に導かれ
る。
【0036】ここで、本形態の基本的な吐出原理の一つ
を説明する。本形態において最も重要な原理の1つは、
気泡に対面するように配された可動部材31が気泡の成
長に伴い、気泡が可動部材31に接触する前に、気泡の
圧力に基づいて、定常状態の第1の位置から最大変位後
の位置である第2の位置へ変位し、可動部材31が最大
変位の第2位置から弾性により戻る期間の一部で成長途
上にある気泡に接触し、この戻り変位する可動部材31
によって気泡の発生に伴う圧力や気泡自身を吐出口18
が配された下流側へ導くことである。
【0037】この原理を可動部材31を用いない従来の
液流路構造を模式的に示した図3と本形態の図4とを比
較してさらに詳しく説明する。なお、ここでは吐出口1
8の方向への圧力の伝搬方向をVA 、上流側への圧力の
伝搬方向をVB として示した。
【0038】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため、気泡40の圧力伝搬方向はV
1 〜V8 のように気泡表面の法線方向となり、様々な方
向を向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及
ぼすVA 方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1
〜V4 、即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口18に近
い部分の圧力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐
出力、吐出速度などに直接寄与する重要な部分である。
さらに、V1 は吐出方向VA の方向に最も近いため効率
よく働き、逆にV4 は、VA に向かう方向成分は比較的
少ない。
【0039】これに対し、図4で示される本形態の場合
には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向を
向いていた気泡の圧力伝搬方向V1 〜V4 を戻り変位し
つつ下流側(吐出口18側)へ導き、VA の圧力伝搬方
向に変換するものであり、これにより気泡40の圧力が
直接的に効率よく吐出に寄与することになる。そして、
気泡の成長方向自体も圧力伝搬方向V1 〜V4 と同様に
下流方向に導かれ、上流より下流で大きく成長する。こ
のように、気泡の成長方向自体を可動部材31によって
制御し、気泡の圧力伝搬方向を制御することで、吐出効
率や吐出力また吐出速度などの根本的な向上を達成する
ことができる。
【0040】次に、図1に戻って、本実施形態の液体吐
出ヘッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0041】図1(a) は、発熱体2に電気エネルギーな
どのエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体2
が熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、
可動部材31が、発熱体2の発熱によって発生した気泡
に対し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位
置に設けられていることである。つまり、気泡の下流側
が可動部材31に作用するように、液流路構造上では少
なくとも発熱体2の面積中心3より下流(発熱体2の面
積中心3を通って流路の長さ方向に直交する線より下
流)の位置まで可動部材31が配されている。
【0042】図1(b) は、発熱体2に電気エネルギーな
どが印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0043】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、第1位置から変位を開始する。ここ
で重要なことは前述したように、可動部材31の自由端
32を下流側(吐出口18側)に配置し、支点33を上
流側(共通液室13側)に位置するように配置して、可
動部材31の少なくとも一部を発熱体2の下流部分すな
わち気泡の下流部分に対面させることである。
【0044】図1(c) は、気泡40がさらに成長を続
け、気泡40と可動部材31との間に液体が介在された
まま可動部材31が変位している状態を示す。気泡40
の発生に伴う圧力に応じて可動部材31はさらに変位
し、最大変位位置の第2位置まで変位する。発生した気
泡40は、上流より下流に大きく成長すると共に可動部
材31の第1の位置(点線位置)を越えて大きく成長し
続け、この気泡40と共に可動部材31が徐々に変位し
て行くことで気泡40の圧力伝搬方向や体積移動のしや
すい方向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出
口18に均一的に向かわせることができることも吐出効
率を高めると考えられる。可動部材31は、気泡や発泡
圧を吐出口18方向へ導くのに積極的に寄与し、効率よ
く圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することがで
きる。
【0045】図1(d) は、気泡40が、前述した膜沸騰
の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0046】可動部材31は、気泡の収縮による負圧と
可動部材31自身のばね性による復元力によって、図1
(a) の初期位置(第1の位置)に復帰する。また、消泡
時には、気泡発生領域11での気泡の収縮体積を補うた
め、また、吐出された液体の体積分を補うために上流側
(B)、すなわち共通液室13側からの流れVD1、VD2
のように、また、吐出口18側からの流れVC のように
液体が流れ込んでくる。
【0047】以上、気泡の発生に伴う可動部材31の動
作と液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明
の液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳し
く説明する。
【0048】図1を用いて本発明における液供給メカニ
ズムをさらに詳しく説明する。
【0049】図1(d) の後、気泡40が最大体積の状態
を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補う
体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出口
18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込
む。可動部材31を持たない従来の液流路構造において
は、消泡位置に吐出口18側から流れ込む液体の量と、
共通液室13から流れ込む液体の量とは、流路抵抗およ
び液体の慣性に基づき、気泡発生領域より吐出口18に
近い部分と共通液室13に近い部分との流れ抵抗の大き
さに対応する。
【0050】このため、吐出口18に近い側の流れ抵抗
が小さい場合には、多くの液体が吐出口18側から消泡
位置に流れ込み、メニスカスMの後退量が大きくなるこ
とになる。特に、吐出効率を高めるために吐出口18に
近い側の流れ抵抗を小さくして吐出効率を高めようとす
るほど、消泡時のメニスカスMの後退量が大きくなり、
リフィル時間が長くなって高速印字を妨げることとなっ
ていた。
【0051】これに対し、本実施形態は可動部材31を
設けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を
境に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場
合、消泡時に可動部材31が元の位置に戻った時点でメ
ニスカスMの後退は止まり、その後残ったW2の体積分
の液体供給は、主に第2流路16の流れVD2からの供給
によってなされる。これにより、従来、気泡Wの体積の
半分程度に対応した量がメニスカスMの後退量になって
いたのに対して、それより少ないW1の半分程度のメニ
スカスMの後退量に抑えることが可能になった。
【0052】さらに、W2の体積分の液体供給は、消泡
時の圧力を利用して可動部材31の発熱体2側の面に沿
って、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行
うことができるため、より速いリフィルを実現できた。
【0053】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を利用したリフィルを行った場合、メニスカ
スの振動が大きくなってしまい、画像品位の劣化につな
がっていたが、本実施形態の高速リフィルにおいては、
可動部材31によって吐出口18側の第1液流路14の
領域と、気泡発生領域11との吐出口18側での液体の
流通が抑制されるため、メニスカスの振動を極めて少な
くすることができることである。
【0054】このように、本形態は第2流路16の液体
供給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上
述したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィ
ルとを達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐
出、またプリントの分野に用いた場合、画質の向上や高
速プリントを実現することができる。
【0055】本発明の構成においては、さらに次のよう
な有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生に
よる圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制すること
である。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室13
側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側
に向かって液体を押し戻す力(バック波)になってい
た。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移
動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これら
は液体の液流路内へのリフィルを低下させ、高速駆動の
妨げにもなっていた。本発明においては、まず可動部材
31によって上流側へのこれらの作用を抑えることで、
リフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0056】次に、本実施形態の更なる特徴的な構造と
効果について、以下に説明する。
【0057】本実施形態の第2液流路16は、発熱体2
の上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体2
表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路
12を有している。このような場合、気泡発生領域11
および発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31
の気泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のよう
に行われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀む
ことが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、
消泡できずに残った、いわゆる残留気泡が除去され易
く、また、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。
従って、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行う
ことができる。なお、本実施形態では実質的に平坦な内
壁を持つ液体供給路12を持つもので説明したが、これ
に限らず、発熱体2表面となだらかに繋がり、なだらか
な内壁を有する液体供給路であればよく、発熱体2上に
液体の淀みや、液体の供給に大きな乱流を生じない形状
であればよい。
【0058】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材31の側部(スリット35)を介してVD1から行
われるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに
有効に吐出口18に導くため、図1で示すように気泡発
生領域の全体を覆う、つまり発熱体2面を覆うように大
きな可動部材31を用い、可動部材31が第1の位置へ
復帰することで、気泡発生領域11と第1液流路14の
吐出口18に近い領域との液体の流れ抵抗が大きくなる
ような形態の場合、前述のVD1から気泡発生領域11に
向かっての液体の流れが妨げられる。しかし、本発明の
ヘッド構造においては、気泡発生領域に液体を供給する
ための流れVD1があるため、液体の供給性能が非常に高
くなり、可動部材31で気泡発生領域11を覆うような
吐出効率向上を求めた構造を取っても、液体の供給性能
を落とすことがない。
【0059】ところで、可動部材31の自由端32およ
び支点33の位置は、例えば図5で示されるように、自
由端32が支点33よりも相対的に下流側にある。この
ような構成のため、前述した発泡の際に、気泡の圧力伝
搬方向や成長方向を吐出口18側に導くなどの機能や効
果を効率よく実現できるのである。さらに、この位置関
係は吐出に対する機能や効果のみならず、液体の供給の
際にも液流路10を流れる液体に対する流れ抵抗を小さ
くでき、高速にリフィルできるという効果を達成してい
る。これは、図5に示すように、吐出によって後退した
メニスカスMが毛管力により吐出口18へ復帰する際
や、消泡に対しての液供給が行われる場合に、液流路1
0(第1液流路14、第2液流路16を含む)内を流れ
る流れS1、S2 、S3 に対し、逆らわないように自由
端32と支点33とを配置しているためである。
【0060】補足すれば、本実施形態の図1において
は、前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体
2を上流側領域と下流側領域とに二分する面積中心3
(発熱体2の面積中心(中央)を通り、液流路の長さ方
向に直交する線)より下流側の位置に対向するように、
発熱体2に対して延在している。これによって、発熱体
2の面積中心位置3より下流側で発生する液体の吐出に
大きく寄与する圧力、または気泡を可動部材31が受
け、この圧力および気泡を吐出口18側に導くことがで
き、吐出効率や吐出力を根本的に向上させることができ
る。
【0061】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0062】また、本実施形態の構成においては可動部
材31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていること
も、液体の吐出に対して有効に寄与している考えられ
る。
【0063】本発明の構成においては、さらに次のよう
な有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生に
よる圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制すること
である。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室13
側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側
に向かって液体を押し戻す力(バック波)になってい
た。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移
動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これら
は液体の液流路内へのリフィルを低下させ、高速駆動の
妨げにもなっていた。本発明においては、まず可動部材
31によって上流側へのこれらの作用を抑えることで、
リフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0064】次に、本実施例の更なる特徴的な構造と効
果について、以下に説明する。
【0065】本実施例の第2液流路16は、発熱体2の
上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体2表
面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路1
2を有している。このような場合、気泡発生領域11お
よび発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の
気泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように
行われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀むこ
とが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消
泡できずに残った、いわゆる残留気泡が除去され易く、
また、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従っ
て、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うこと
ができる。なお、本実施例では実質的に平坦な内壁を持
つ液体供給路12を持つもので説明したが、これに限ら
ず、発熱体2表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁
を有する液体供給路であればよく、発熱体2上に液体の
淀みや、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であれ
ばよい。
【0066】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材31の側部(スリット35)を介してVD1から行
われるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに
有効に吐出口18に導くため、図1で示すように気泡発
生領域の全体を覆う、つまり発熱体2面を覆うように大
きな可動部材31を用い、可動部材31が第1の位置へ
復帰することで、気泡発生領域11と第1液流路14の
吐出口18に近い領域との液体の流れ抵抗が大きくなる
ような形態の場合、前述のVD1から気泡発生領域11に
向かっての液体の流れが妨げられる。しかし、本発明の
ヘッド構造においては、気泡発生領域に液体を供給する
ための流れVD1があるため、液体の供給性能が非常に高
くなり、可動部材31で気泡発生領域11を覆うような
吐出効率向上を求めた構造を取っても、液体の供給性能
を落とすことがない。
【0067】ところで、可動部材31の自由端32およ
び支点33の位置は、例えば図5で示されるように、自
由端32が支点33よりも相対的に下流側にある。この
ような構成のため、前述した発泡の際に、気泡の圧力伝
搬方向や成長方向を吐出口18側に導くなどの機能や効
果を効率よく実現できるのである。さらに、この位置関
係は吐出に対する機能や効果のみならず、液体の供給の
際にも液流路10を流れる液体に対する流れ抵抗を小さ
くでき、高速にリフィルできるという効果を達成してい
る。これは、図5に示すように、吐出によって後退した
メニスカスMが毛管力により吐出口18へ復帰する際
や、消泡に対しての液供給が行われる場合に、液流路1
0(第1液流路14、第2液流路16を含む)内を流れ
る流れS1、S2 、S3 に対し、逆らわないように自由
端32と支点33とを配置しているためである。
【0068】補足すれば、本実施例の図1においては、
前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を
上流側領域と下流側領域とに二分する面積中心3(発熱
体2の面積中心(中央)を通り、液流路の長さ方向に直
交する線)より下流側の位置に対向するように、発熱体
2に対して延在している。これによって、発熱体2の面
積中心位置3より下流側で発生する液体の吐出に大きく
寄与する圧力、または気泡を可動部材31が受け、この
圧力および気泡を吐出口18側に導くことができ、吐出
効率や吐出力を根本的に向上させることができる。
【0069】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0070】また、本実施例の構成においては可動部材
31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていること
も、液体の吐出に対して有効に寄与している考えられ
る。
【0071】<第2実施例>図6に本発明の第2実施例
を示す。この図6において、Aは可動部材31が変位し
ている状態を示し(気泡は図示せず)、Bは可動部材3
1が初期位置(第1位置)の状態を示し、このBの状態
をもって、発泡領域11を吐出口18に対して実質的に
密閉しているとする。(ここでは、図示していないが、
A, B間には流路壁があり、流路と流路とを分離してい
る。) 図6における可動部材31は、土台34を側部に2点設
け、その間に液体供給路12を設けている。これによ
り、可動部材31の発熱体2側の面に沿って、また、発
熱体2の面と実質的に平坦もしくは、なだらかにつなが
る面を持つ液体供給路12から液体の供給をなすことが
できる。
【0072】ここで、可動部材31の初期位置(第1位
置)では、可動部材31は発熱体2の下流側および横方
向に配された発熱体下流壁36と発熱体側壁37に近接
または密着しており、気泡発生領域11の吐出口18側
に実質的に密閉されている。このため、発泡時の気泡の
圧力、特に気泡の下流側の圧力を逃がさず、可動部材3
1の自由端側に集中的に作用させることができる。
【0073】また、消泡時には、可動部材31は第1位
置に戻り、発熱体2上への消泡時の液供給は、気泡発生
領域11の吐出口18側が実質的に密閉状態になるた
め、メニスカスの後退抑制など、先の実施例で説明した
種々の効果を得ることができる。また、リフィルに関す
る効果においても、先の実施例と同様の機能および効果
を得ることができる。
【0074】また、本実施例においては、図2や図6の
ように、可動部材31を支持固定する土台34を発熱体
2より離れた上流に設けると共に液流路10より、小さ
な幅の土台34とすることで前述のような液体供給路1
2への液体の供給を行っている。また、土台34の形状
はこれに限らず、リフィルをスムースに行えるものであ
ればよい。
【0075】なお、本実施例においては、可動部材31
と発熱体2の間隔を15μm程度としたが、気泡の発生
に基づく圧力が十分に可動部材31に伝わる範囲であれ
ばよい。
【0076】<第3実施例>図7は、本発明の基本的な
概念の一つを示すもので、本発明の第3実施例となる。
図7は、一つの液流路中に気泡発生領域、そこで発生す
る気泡および可動部材31との位置関係を示していると
共に、本発明の液体吐出方法やリフィル方法をより分か
り易くした実施例である。
【0077】前述の実施例の多くは、可動部材31の自
由端に対して、発生する気泡の圧力を集中し、急峻な可
動部材31の移動と同時に気泡の移動を吐出口18側に
集中させることを達成している。これに対し、本実施例
は、発生する気泡の自由度を与えながら、液滴吐出に直
接作用する気泡の吐出口18側である気泡の下流側部分
を可動部材31の自由端側で規制するものである。
【0078】構成上で説明すると、図7では、前述の図
2(第1実施例)と比較すると、図2の素子基板1上に
設けられた気泡発生領域の下流端に位置するバリヤーと
しての凸部(図の斜線部分)が本実施例では設けられて
いない。つまり、可動部材31の自由端領域および両側
端領域は、吐出口18領域に対して気泡発生領域を実質
的に密閉せずに開放しており、この構成が本実施例であ
る。
【0079】本実施例では、気泡の液滴吐出に直接作用
する下流側部分のうち、下流側先端部の気泡成長が許容
されているので、その圧力成分を吐出に有効に利用して
いる。加えて、少なくともこの下流側部分の上方へ向か
う圧力(図3のV2 、V3 、V4 の分力)を可動部材3
1の自由端側部分が、この下流側先端部の気泡成長に加
えられるように作用するため、吐出効率を上述した実施
例と同様に向上する。前記実施例に比較して本実施例
は、発熱体2の駆動に対する応答性が優れている。
【0080】また、本実施例は、構造上簡単であるた
め、製造上の利点がある。
【0081】本実施例の可動部材31の支点部は、可動
部材31の面部に対して小さい幅の1つの土台34に固
定されている。従って、消泡時の気泡発生領域11への
液体供給は、この土台34の両側を通って供給される
(図の矢印参照)。この土台34は供給性を確保するも
のであればどのような構造でもよい。
【0082】液体の供給時におけるリフィルは、本実施
例の場合には、可動部材31の存在によって気泡の消泡
に伴って上方から気泡発生領域へ流れ込む流れが制御さ
れるので、従来の発熱体のみの気泡発生構造に対して優
れたものとなる。無論、これによって、メニスカスの後
退量を減じることもできる。
【0083】この第3実施例の変形実施例としては、可
動部材31の自由端に対する両側端(一方でも可)のみ
を気泡発生領域11に対して実質的に密閉状態とするこ
とは好ましいものとして挙げられる。この構成によれ
ば、可動部材31の側方へ向かう圧力をも先に説明した
気泡の吐出口18側端部の成長に変更して利用すること
ができるので、一層吐出効率が向上する。
【0084】<第4実施例>前述した機械的変位による
液体の吐出力をさらに向上させた例を本実施例で説明す
る。図8は、このようなヘッド構造の横断面図である。
図8においては、可動部材31の自由端32の位置が発
熱体2のさらに下流側に位置するように、可動部材31
が延在している実施例を示している。これによって、自
由端位置での可動部材31の変位速度を高くすることが
でき、可動部材31の変位による吐出力の発生をさらに
向上させることができる。
【0085】また、自由端32が先の実施例に比較して
吐出口18側に近づくことになるので気泡の成長をより
安定した方向成分に集中できるので、より優れた吐出を
行うことができる。
【0086】また、可動部材31は、最大変位の第2位
置からその弾性復元力により戻り速度R1で戻り変位す
るが、この位置より支点33に対して、遠い位置の自由
端32はさらに速い戻り速度R2で戻り変位する。これ
により、成長中または成長完了後の気泡40に対して自
由端32を高い速度で機械的に作用せしめ、吐出口18
方向に気泡40より下流側の液に移動を起こさせること
で吐出の方向性を向上させ、吐出効率を高めている。
【0087】また、自由端形状は、図7と同じように液
体の流れに対して垂直な形状とすることにより、気泡4
0の圧力や可動部材31の機械的な作用をより効率的に
吐出に寄与させることができる。
【0088】<第5実施例>図9(a),(b),(c) は本発明
の第5実施例である。
【0089】本実施例の構造は先の実施例と異なり、吐
出口18と直接連通する領域は液室側と連通した流路形
状となっておらず、構造の簡略化が図れるものである。
【0090】液供給は全て、可動部材31の発泡領域側
の面に沿った液体供給路12からのみ行われるもので、
可動部材31の自由端32や支点33の吐出口18に対
する位置関係や発熱体2に面する構成は、前述の実施例
と同様である。
【0091】本実施例は、吐出効率や液供給性など、前
述した効果を実現するものであるが、特にメニスカスの
後退を抑制し、ほとんど全ての液供給を消泡時の圧力を
利用して強制リフィルを行うものである。
【0092】図9(a) は発熱体2により液体を発泡さ
せ、可動部材31の戻り過程で気泡に接触した状態を示
しており、図9(b) は、前記発泡が収縮しつつある状態
で、このとき可動部材31の初期位置への復帰とS3
よる液供給が行われる。
【0093】図9(c) では、可動部材31が初期部材が
初期位置に復帰する際のわずかなメニスカスMの後退
を、消泡後に吐出口18付近の毛細管力によって、リフ
ィルしている状態である。
【0094】<第6実施例>以下、図面を参照して本発
明の他の実施例について説明する。
【0095】本実施例においても、主たる液体の吐出原
理については先の実施例と同じであるが、本実施例にお
いては液流路を複流路構成にすることで、さらに熱を加
えることで発泡させる液体(発泡液)と、主として吐出
される液体(吐出液)とを分けることができるものであ
る。
【0096】図10は、本実施例の液体吐出ヘッドの流
路方向の断面模式図を示しており、図11はこの液体吐
出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0097】本実施例の液体吐出ヘッドは、液体に気泡
を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設
けられた素子基板1上に、発泡液用の第2液流路16が
あり、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第
1液流路14が配されている。
【0098】第1液流路14の上流側は、複数の第1液
流路14に吐出液を供給するための第1共通液室15に
連通しており、第2液流路16の上流側は、複数の第2
液流路16に発泡液を供給するための第2共通液室17
に連通している。
【0099】ただし、発泡液と吐出液を同じ液体とする
場合には、共通液室15, 17を一つにして共通化させ
てもよい。
【0100】第1と第2の液流路14, 16の間には、
金属などの弾性を有する材料で構成された分離壁30が
配されており、第1液流路14と第2液流路16とを仕
切っている。なお、発泡液と吐出液とができる限り混ざ
り合わない方がよい液体の場合には、この分離壁30に
よって、できる限り完全に第1液流路14の液体と、第
2液流路16の液体との流通を分離した方がよいが、発
泡液と吐出液とがある程度混ざり合っても問題がない場
合には、分離壁に完全分離の機能を持たせなくてもよ
い。
【0101】発熱体2の面方向上方への投影空間(図1
0中のAの領域とBの気泡発生領域11とに対応し、以
下、吐出圧発生領域と呼称する)に位置する部分の分離
壁は、スリット35によって吐出口18側(液体の流れ
の下流側)が自由端で、共通液室15, 17側に支点3
3が位置する片持ち梁形状の可動部材31となってい
る。この可動部材31は、気泡発生領域11(B)に面
して配されているため、発泡液の発泡によって第1液流
路14側の吐出口18側に向けて開口するように動作す
る(図中矢印方向)。図11においても、発熱体2とし
ての発熱抵抗部(電気熱変換体)と、この発熱抵抗部に
電気信号を印加するための配線電極5とが配された素子
基板1上に、第2液流路16を構成する空間を介して分
離壁30が配置されているのが理解されよう。
【0102】可動部材31の支点33および自由端32
の配置と、発熱体2との配置の関係については、先の実
施例と同様にしている。
【0103】また、先の実施例で液体供給路12と発熱
体2との構造の関係について説明したが、本実施例にお
いても第2液流路16と発熱体2との構造の関係を同じ
くしている。
【0104】次に、図12を用いて本実施例の液体吐出
ヘッドの動作を説明する。
【0105】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と、第2の液流路16に供
給される発泡液として同じ水系のインクとを用いて動作
させた。
【0106】発熱体2が発生した熱が、第2液流路の気
泡発生領域内の発泡液に作用することで、先の実施例で
説明したのと同様に、米国特許第4, 723, 129号
明細書に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡
40を発泡液に発生させる。
【0107】本実施例においては、気泡発生領域の上流
側を除く、三方からの発泡圧の逃げがないため、この気
泡発生に伴う圧力が吐出圧発生部に配された可動部材3
1側に集中して伝搬し、気泡の成長を伴って可動部材3
1が図12(a) の状態から図12(b) のように第1液流
路14側に変位する。この可動部材31の動作によって
第1液流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気
泡の発生に基づく圧力が第1液流路14の吐出口18側
の方向(A方向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前
述のような可動部材31の機械的変位によって液体が吐
出口18から吐出される。
【0108】次に、気泡が収縮するに伴って可動部材3
1が図12(a) の位置まで戻ると共に、第1液流路14
では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が上
流側から供給される。本実施例においても、この吐出液
体の供給は前述の実施例と同様に可動部材31が閉じる
方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材31で
妨げることがない。
【0109】本実施例は、可動部材31の変位に伴う発
泡圧力の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止などに
関する主要部分の作用や効果については、先の第1実施
例などと同じであるが、本実施例のような二流路構成を
とることによって、さらに次のような長所がある。
【0110】すなわち、上述の実施例の構成によると、
吐出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた
圧力によって吐出液を吐出することができる。このた
め、従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく、吐
出力が不十分であったポリエチレングリコールなどの高
粘度の液体であっても、この液体を第1の液流路に供給
し、発泡液に発泡が良好に行われる液体(エタノール:
水=4:6の混合液で1〜2cP程度など)や低沸点の
液体を第2の液流路に供給することで、良好に吐出させ
ることができる。
【0111】また、発泡液として、熱を受けても発熱体
2の表面に焦げなどの堆積物を生じない液体を選択する
ことで、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができ
る。
【0112】さらに、本発明のヘッドの構造において
は、先の実施例で説明したような効果をも生じるため、
さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体などの液体を
吐出することができる。
【0113】また、加熱に弱い液体の場合においても、
この液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の
液流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を
供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることな
く、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出す
ることができる。
【0114】<その他の実施例>以上、本発明の液体吐
出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施例について説明を
行ったが、以下にこれらの実施例に好ましく適用できる
実施例について図面を用いて説明する。ただし、以下の
説明においては、前述の一流路形態の実施例と二流路形
態の実施例の何れかを取り上げて説明する場合がある
が、特に記載しない限り、両実施例に適用し得るもので
ある。
【0115】<液流路の天井形状>図13は、本発明の
液体吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第1液流路
14(若しくは図1における液流路10)を構成するた
めの溝が設けられた溝付き部材50が分離壁30上に設
けられている。本実施例においては、可動部材31の自
由端位置近傍の流路天井の高さが高くなっており、可動
部材31の動作角度θをより大きく取れるようにしてい
る。この可動部材31の動作範囲は、液流路の構造、可
動部材31の耐久性や発泡力などを考慮して決定すれば
よいが、吐出口18の軸方向の角度を含む角度まで動作
することが望ましいと考えられる。
【0116】また、この図で示されるように吐出口18
の直径より可動部材31の自由端の変位高さを高くする
ことで、より十分な吐出力の伝達が成される。また、こ
の図で示されるように、可動部材31の自由端32位置
の液流路天井の高さより可動部材31の支点33位置の
液流路天井の高さの方が低くなっているため、可動部材
31の変位よる上流側への圧力波の逃げがさらに有効に
防止できる。
【0117】<第2液流路と可動部材31との配置関係
>図14は、上述の可動部材31と第2の液流路16と
の配置関係を説明するための図であり、同図(a) は分離
壁30および可動部材31近傍を上方から見た図であ
り、同図(b) は、分離壁30を外した第2液流路16を
上方から見た図である。そして、同図(c) は、可動部材
31と第2液流路16との配置関係を、これらの各要素
を重ねることで模式的に示した図である。なお、いずれ
の図も図面下方が吐出口18を配した前面側である。
【0118】本実施例の第2の液流路16は、発熱体2
の上流側(ここでの上流側とは、第2共通液室側から発
熱体2位置、可動部材31、第1流路を経て吐出口18
に向かう大きな流れの中の上流側のことである)に狭窄
部19を持っており、発泡時の圧力が第2液流路16の
上流側に容易に逃げることを抑制するような室(発泡
室)構造となっている。
【0119】従来のヘッドのように、発泡する流路と液
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体2より液室
側に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部
19を設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分
考慮して、狭窄部19における流路断面積があまり小さ
くならない構成を採る必要があった。
【0120】しかし、本実施例の場合、吐出される液体
の多くを第1液流路内の吐出液とすることができ、発熱
体2が設けられた第2液流路内の発泡液はあまり消費さ
れないようにできるため、第2液流路の気泡発生領域1
1への発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述の
狭窄部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に狭
くできるため、第2液流路で発生した発泡時の圧力をあ
まり周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可動
部材31側に向けることができる。そしてこの圧力を可
動部材31を介して吐出力として利用することができる
ため、より高い吐出効率、吐出力を達成することができ
る。ただ、第1液流路16の形状は、上述の構造に限ら
れるものではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動
部材31側に伝えられる形状であれば良い。
【0121】なお、図14(c) で示されるように、可動
部材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を覆
っており、このことで、可動部材31の第2液流路への
落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液
と発泡液との分離性をさらに高めることができる。ま
た、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さ
らに吐出圧や吐出効率を高めることができる。しかも、
前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果
を高めることができる。
【0122】なお、図12(b) や図13においては、可
動部材31の第1の液流路14側への変位に伴って第2
の液流路16の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第
1の液流路14側に延在しているが、この様に気泡が延
在するような第2流路の高さにすることで、気泡が延在
しない場合に比べ、さらに吐出力を向上させることがで
きる。このように、気泡が第1の液流路14に延在する
ようにするためには、第2の液流路16の高さを最大気
泡の高さより低くすることが望ましく、この高さを数μ
m〜30μmとすることが望ましい。なお、本実施例に
おいてはこの高さを15μmとした。
【0123】<可動部材および分離壁>図15は、可動
部材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設
けられたスリットであり、このスリット35によって、
可動部材31が形成されている。同図(a) は長方形の形
状であり、同図(b) は支点側が細くなっている形状で可
動部材31の動作が容易な形状であり、同図(c) は支点
側が広くなっており、可動部材31の耐久性が向上する
形状である。動作の容易性および耐久性が良好な形状と
して、図14(a) で示したように、支点側の幅が円弧状
に狭くなっている形態が望ましいが、可動部材31の形
状は、第2の液流路側に入り込むことがなく、容易に動
作可能な形状で、耐久性に優れた形状であればよい。
【0124】先の実施例においては、板状の可動部材3
1をおよびこの可動部材31を有する分離壁5は、厚さ
5μmのニッケルで構成したが、これに限られることな
く、可動部材31および分離壁を構成する材質として
は、発泡液と吐出液に対して耐溶剤性があり、可動部材
31として良好に動作するための弾性を有し、微細なス
リットが形成できるものであればよい。
【0125】可動部材31の材料としては、耐久性の高
い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニウム、白
金、タンタル、ステンレス鋼、りん青銅などの金属、お
よびその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエ
ン、スチレンなどのニトリル基を有する樹脂、ポリアミ
ドなどのアミド基を有する樹脂、ポリカーボネイトなど
のカルボキシル基を有する樹脂、ポリアセタールなどの
アルデヒド基を持つ樹脂、ポリサルフォンなどのスルホ
ン基を持つ樹脂、そのほか液晶ポリマーなどの樹脂およ
びその化合物、耐インク性の高い、金、タングステン、
タンタル、ニッケル、ステンレス鋼、チタンなどの金
属、これらの合金および耐インク性に関してはこれらを
表面にコーティングしたもの若しくは、ポリアミドなど
のアミド基を有する樹脂、ポリアセタールなどのアルデ
ヒド基を持つ樹脂、ポリエーテルエーテルケトンなどの
ケトン基を有する樹脂、ポリイミドなどのイミド基を有
する樹脂、フェノール樹脂などの水酸基を有する樹脂、
ポリエチレンなどのエチル基を有する樹脂、ポリプロピ
レンなどのアルキル基を持つ樹脂、エポキシ樹脂などの
エポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂などのアミノ基を
持つ樹脂、キシレン樹脂などのメチロール基を持つ樹脂
およびその化合物、さらに二酸化珪素などのセラミック
スおよびその化合物が望ましい。
【0126】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)など
の近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐
熱性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ニッケル、
金、ステンレス鋼などの金属、合金およびその化合物、
もしくは表面にチタンや金をコーティングしたものが望
ましい。
【0127】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材31として良好に動作するとい
う観点から、その材質と形状などを考慮して決定すれば
よいが、0. 5μm〜10μm程度が望ましい。
【0128】なお、可動部材31を形成するためのスリ
ット35の幅は、本実施例では2μmとしたが、発泡液
と吐出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止し
たい場合には、スリット幅を両者の液体間でメニスカス
を形成する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑
制すればよい。例えば、発泡液として2cP程度の粘度
の液体を用い、吐出液として100cP以上の粘度の液
体を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液を
防止することができるが、3μm以下にすることが望ま
しい。
【0129】本発明における可動部材31としては、μ
mオーダーの厚さ(tμm)を対象としており、センチ
メートルオーダーの厚さの可動部材は意図していない。
μmオーダーの厚さの可動部材31にとって、μmオー
ダーのスリット幅(Wμm)を対象とする場合、製造の
ばらつきをある程度考慮することが望ましい。
【0130】スリットを形成する可動部材31の自由端
あるいは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材3
1の厚みと同等の場合(図12, 図13など)、スリッ
ト幅と厚みの関係を製造のばらつきを考慮して以下のよ
うな範囲にすることで、発泡液と吐出液の混液を安定的
に抑制することができる。このことは、限られた条件で
はあるが、設計上の観点として、3cP以下の粘度の発
泡液に対して高粘度インク(5cP, 10cPなど)を
用いる場合、W/t≦1を満足するようにすることで、
2液の混合を長期に亙って抑制することが可能な構成と
なった。
【0131】上述のように、発泡液と吐出液とに機能分
離させた場合、可動部材31がこれらの実質的な仕切部
材となる。この可動部材31が気泡の生成に伴って移動
する際に、吐出液に対して発泡液がわずかに混入するこ
とが見られる。画像を形成する吐出液は、インクジェッ
トプリントの場合、色材濃度を3%〜5%程度有するも
のが一般的であることを考慮すると、この発泡液が吐出
液滴に対して20%以下の範囲で含まれても、大きな濃
度変化をもたらさない。従って、このような混液として
は、吐出液滴に対して20%以下となるような発泡液と
吐出液との混合を本発明に含むものとする。
【0132】なお、上記構成例の実施では、粘性を変化
させても上限で15%の発泡液の混合であり、5cP以
下の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよる
が、10%程度を上限とするものであった。
【0133】特に、吐出液の粘度を20cP以下にすれ
ばする程、この混液を低減(例えば5%以下)できる。
【0134】次に、このヘッドにおける発熱体2と可動
部材31との配置関係について、図を用いて説明する。
ただし、可動部材31および発熱体2の形状および寸
法, 数は、以下に限定されるものではない。発熱体2お
よび可動部材31の最適な配置によって、発熱体2によ
る発泡時の圧力を吐出圧として有効に利用することが可
能となる。
【0135】熱などのエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口18からインクを吐出し、これをプリント媒体上
に付着させて画像形成を行うインクジェットプリント方
法、いわゆるバブルジェットプリント方法の従来技術に
おいては、図16に示すように、発熱体の面積とインク
吐出量とは比例関係にあるが、インク吐出に寄与しない
非発泡有効領域sが存在していることがわかる。また、
発熱体2上の焦げの様子から、この非発泡有効領域sが
発熱体2の周囲に存在していることがわかる。これらの
結果から、発熱体の周囲の約4μmの幅の領域は、発泡
に関与していないとされている。
【0136】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体2の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領
域の直上が可動部材31の可動領域で覆われるように、
可動部材31を配置するのが効果的であると言える。本
実施例においては、発泡有効領域を発熱体の周囲から約
4μm以上内側としたが、発熱体の種類や形成方法によ
っては、これに限定されるものではない。
【0137】図17に、58×150μmの発熱体2に
可動領域の総面積が異なる可動部材301(図17(a)
参照)、可動部材302(図17(b) 参照)を配置した
ときの上部から見た模式図を示す。
【0138】可動部材301の寸法は、53×145μ
mで、発熱体2の面積よりも小さいが、発熱体2の発泡
有効領域と同じ程度の寸法であり、この発泡有効領域を
覆うように配置されている。一方、可動部材302の寸
法は、53×220μmで発熱体2の面積よりも大きく
(幅寸法を同じにした場合、支点〜可動先端間の寸法が
発熱体2の長さよりも長い)、可動部材301と同じよ
うに発泡有効領域を覆うように配置されている。上記2
種の可動部材301、302に対し、それらの耐久性と
吐出効率について測定を行った。測定条件は以下の通り
である。
【0139】 発泡液 : エタノール40%水溶液 吐出用インク: 染料インク 電圧 : 20. 2V 周波数 : 3kHz この測定条件で実験を行った結果、可動部材301, 3
02の耐久性に関しては、 可動部材301の方は、
1×107 パルス印加したところで可動部材301の支
点部分に損傷が見られた。 可動部材302の方は、
3×108 パルス印加しても、損傷は見られなかった。
また、投入エネルギーに対する吐出量と吐出速度から求
まる運動エネルギーも約1. 5〜2. 5倍程度向上する
ことが確認された。
【0140】以上の結果から、耐久性、吐出効率の両面
からみても、発泡有効領域の真上を覆うように可動部材
を設け、この可動部材の面積が発熱体2の面積よりも大
きい方が優れていることがわかる。
【0141】図18に発熱体2のエッジから可動部材の
支点までの距離と、可動部材の変位量との関係を示す。
また、図19に、発熱体2と可動部材31との位置関係
を側面方向から見た断面構成図を示す。発熱体2は、4
0×105μmのものを用いた。発熱体2のエッジから
可動部材31の支点33までの距離lが大きい程、変位
量が大きいことがわかる。したがって、要求されるイン
クの吐出量や吐出液の流路構造および発熱体2形状など
によって、最適変位量を求め、可動部材31の支点33
の位置を決めることが望ましい。
【0142】また、可動部材31の支点33が発熱体2
の発泡有効領域直上に位置する場合は、可動部材31の
変位による応力に加え、発泡圧力が支点33に直接加わ
るため、可動部材31の耐久性が低下してしまう。本発
明者の実験によると、発泡有効領域の真上に支点33を
設けたものでは、1×106 パルス程度で、可動壁に損
傷が生じており、耐久性が低下してしまうことが分かっ
ている。従って、可動部材31の支点は、発熱体2の発
泡有効領域直上外に配置することで、耐久性がそれ程高
くない形状や材質の可動部材31であっても実用可能性
が高くなる。ただし、前記発泡有効領域直上に支点があ
る場合でも形状や材質を選択すれば、良好に用いること
ができる。かかる構成において、高吐出効率および耐久
性に優れた液体吐出ヘッドが得られる。
【0143】<素子基板>以下に、液体に熱を与えるた
めの発熱体2が設けられた素子基板1の構成について説
明する。
【0144】図20は、本発明の液体吐出ヘッドの縦断
面図を示したもので、図20(a) は後述する保護膜があ
るヘッド、同図(b) は保護膜がないものである。
【0145】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0146】素子基板1には、シリコンなどの基体10
7に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜または
窒化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体2を構
成するハフニウムボライド(HfB2 )、窒化タンタル
(TaN)、タンタルアルミニウム(TaAl)などの
電気抵抗層105(0. 01〜0. 2μm厚)と、アル
ミニウムなどの配線電極104(0. 2〜1. 0μm
厚)とが図11のようにパターニングされている。この
2つの配線電極104から抵抗層105に電圧を印加
し、電気抵抗層105に電流を流し発熱させる。配線電
極104間の電気抵抗層105上には、酸化シリコンや
窒化シリコンなどの保護層103を0. 1〜2. 0μm
厚で形成し、さらにその上にタンタルなどの耐キャビテ
ーション層102(0. 1〜0. 6μm厚)が成膜され
ており、インクなどの各種の液体から抵抗層105を保
護している。
【0147】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
などが耐キャビテーション層102として用いられる。
【0148】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより、上述の保護層103を必要としない構成
でもよく、その例を図20(b) に示す。このような保護
層を必要としない抵抗層の材料としては、イリジウム−
タンタル−アルミニウム合金などが挙げられる。
【0149】このように、前述の各実施例における発熱
体2の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)
だけでもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもの
でもよい。
【0150】本実施例においては、発熱体2として電気
信号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有す
るものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を
吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるもので
あればよい。例えば、発熱部としてレーザなどの光を受
けることで発熱するような光熱変換体や、高周波を受け
ることで発熱するような発熱部を有する発熱体2でもよ
い。
【0151】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層105に電気信
号を供給するための配線電極104で構成される電気熱
変換体(素子)の他に、この電気熱変換素子を選択的に
駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シ
フトレジスタなどの機能素子が一体的に半導体製造工程
によって作り込まれていてもよい。
【0152】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図21で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅
7μsec 、電流150mAの電気信号を6kHz で加えるこ
とで発熱体2を駆動させ、前述のような動作によって、
吐出口18から液体であるインクを吐出させた。しかし
ながら、駆動信号の条件は、これに限られることなく、
発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であれ
ばよい。
【0153】<参考> 実施例1では、分離壁30を一つの部材で構成したが、
参考例では分離30が各素子基板1に対応して複数
の分割された構成となっている。
【0154】図26は、本参考例の全体の分解斜視図、
図27は図26のヘッドの発熱体部分を液流路に対して
垂直方向に切断した時の断面図である。
【0155】本参考例によると、分離30を比較的小
さな単位で作成することができるため、分離壁30の歩
留りを向上させることができ、ひいては液体吐出ヘッド
の歩留りをも向上させることが可能となる。また、分離
壁30をあらかじめ素子基板1に接合した状態で位置決
めを行うこともできるため、分離壁30の位置決めが容
易となる。
【0156】<実施例参考では、素子基板1の継ぎ目601が分離30
にて覆う構成になっていなかったが、図28に示すよう
に、複数の分離壁30を素子基板1の配列方向に沿って
例えば素子基板1の半ピッチずらした状態で配列し、各
分離壁30が素子基板1の継ぎ目601を跨ぐようにす
ることにより、素子基板1の継ぎ目601を分離壁30
にて覆うことができる。また、この場合には、分離壁3
0の数を素子基板1の数よりも少なくすることが可能と
なる。
【0157】<吐出液体、発泡液体>先の実施例で説明
したように本発明においては、前述のような可動部材3
1を有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも
高い吐出力や吐出効率で、しかも高速に液体を吐出する
ことができる。本実施例の内、発泡液と吐出液とに同じ
液体を用いる場合には、発熱体2から加えられる熱によ
って劣化せずに、また加熱によって発熱体2上に堆積物
を生じにくく、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化
を行うことが可能であり、さらに液流路や可動部材31
や分離壁30などを劣化させない液体であれば種々の液
体を用いることができる。
【0158】このような液体の内、プリントを行う上で
用いる液体(プリント液体)としては、従来のバブルジ
ェット装置で用いられていた組成のインクを用いること
ができる。
【0159】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水など、およびこれら
の混合物が挙げられる。
【0160】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質または劣化しやすい液体や、高粘度液体などであって
も利用できる。
【0161】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡、また可動部
材31の動作などを妨げるような液体でないことが望ま
れる。
【0162】プリント用の吐出液体としては、高粘度イ
ンクなどをも利用することができる。その他の吐出液体
としては、熱に弱い医薬品や香水などの液体を利用する
こともできる。
【0163】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができるプリント液体として、以下のよう
な組成のインクを用いてプリントを行ったが、吐出力の
向上によってインクの吐出速度が高くなったため、液滴
の着弾精度が向上し非常に良好なプリント画像を得るこ
とができた。
【0164】 染料インク(粘度2cP)の組成 染料(C. I. フードブラック2) 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量% また、発泡液および吐出液に、以下で示すような組成の
液体を組み合わせて吐出させてプリントを行った。その
結果、従来のヘッドでは吐出が困難であった十数cPの
粘度の液体はもちろん、150cPという非常に高い粘
度の液体でさえも良好に吐出でき、高画質なプリント物
を得ることができた。
【0165】 発泡液1の組成 エタノール 40重量% 水 60重量% 発泡液2の組成 水 100重量% 発泡液3の組成 イソプロピルアルコール 10重量% 水 90重量% 吐出液1(粘度約15cPの顔料インク)の組成 カーボンブラック 5重量% スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 1重量% (酸価140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0. 25重量% グリセリン 69重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 16. 75重量% 吐出液2(粘度55cP)の組成 ポリエチレングリコール200 100重量% 吐出液3(粘度150cP)の組成 ポリエチレングリコール600 100重量% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いため、吐出方向性
のばらつきが助長され、プリント紙上のドットの着弾精
度が悪く、また吐出不安定による吐出量のばらつきが生
じ、これらに起因して高品位画像が得にくかった。しか
し、上述の実施例の構成においては、気泡の発生を発泡
液を用いることで、充分に、しかも安定して行うことが
できる。この結果、液滴の着弾精度向上とインク吐出量
の安定化を図ることができ、プリント画像品位を著しく
向上することができた。
【0166】<液体吐出ヘッドの製造>次に、本発明の
液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
【0167】図2で示したような液体吐出ヘッドの場合
には、素子基板1上に可動部材31を設けるための土台
34をドライフィルムなどをパターニングすることで形
成し、この土台34に可動部材31を接着、もしくは溶
着固定した。その後、各液流路10を構成する複数の溝
と、吐出口18と、共通液室15を構成する凹部とを有
する溝付部材を、溝と可動部材31とが対応するような
状態で素子基板1に接合することで形成した。
【0168】次に、図10や図22〜図28で示される
ような2流路構成の液体吐出ヘッドの製造工程について
説明する。
【0169】大まかには、素子基板1上に第2液流路1
6の壁72を形成し、その上に分離壁30を取り付け、
さらにその上に第1液流路14を構成する溝などが設け
られた溝付き部材50を取り付ける。もしくは、第2液
流路16の壁72を形成した後、この壁72の上に分離
壁30を取り付けた溝付き部材50を接合することでヘ
ッドの製造を行った。
【0170】さらに第2液流路の作製方法について詳し
く説明する。
【0171】図29(a) 〜(e) は、本発明の液体吐出ヘ
ッドの製造方法の第1の実施例を説明するための概略断
面図である。
【0172】本実施例においては、図29(a) に示すよ
うに、素子基板(シリコンウェハ)1上に半導体製造工
程で用いるのと同様の製造装置を用いてハフニウムボラ
イドや窒化タンタルなどからなる発熱体2を有する電気
熱変換用素子を形成した後、次工程における感光性樹脂
との密着性の向上を目的として、素子基板1の表面に洗
浄を施した。さらに、密着性を向上させるには、素子基
板1の表面に紫外線−オゾンなどによる表面改質を行っ
た後、例えばシランカップリング剤(日本ユニカ製:A
189)をエチルアルコールで1重量%に希釈した液を
上記改質表面上にスピンコートすることで達成される。
【0173】次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した
基板1上に、図29(b) に示すように、紫外線感光性樹
脂フィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディル
SY-318)DFをラミネートした。
【0174】次に、図29(c) に示すように、ドライフ
ィルムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォトマ
スクPMを介してドライフィルムDFのうち、第2の流
路壁として残す部分に紫外線を照射した。この露光工程
は、キヤノン(株)製:MPA-600 を用いて行い、約60
0mJ/cm2 の露光量で行った。
【0175】次に、図29(d) に示すように、ドライフ
ィルムDFを、キシレンとブチルセルソルブアセテート
との混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−3)で
現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化した部分
を第2液流路16の壁部分として形成した。さらに、素
子基板1表面に残った残渣を酸素プラズマアッシング装
置(アルカンテック社製:MAS-800 )で約90秒間処理
して取り除き、引き続き、150℃で2時間、さらに紫
外線照射100mJ/cm2 を行って露光部分を完全に硬化
させた。
【0176】以上の方法により、上記シリコン基板から
分割、作製される複数のヒータボード(素子基板1)に
対し、一様に第2の液流路を精度よく形成することがで
きる。シリコン基板を、厚さ0. 05mmのダイヤモンド
ブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密製:
AWD-4000)で各々のヒータボード1に切断、分離した。
分離されたヒータボード1を接着剤(東レ製:SE4400)
でアルミニウムベースプレート70上に固定した(図2
4参照)。次いで、予めアルミニウムベースプレート7
0上に接合しておいたプリント配線基板71と、ヒータ
ボード1とを直径0. 05mmのアルミニウムワイヤ
(図示略)で接続した。
【0177】次に、このようにして得られたヒータボー
ド1に、図29(e) に示すように、上述の方法で溝付部
材50と分離壁30との接合体を位置決め接合した。す
なわち、分離壁30を有する溝付部材とヒータボード1
とを位置決めし、押さえばね78により係合、固定した
後、インク・発泡液用供給部材80をアルミニウムベー
スプレート70上に接合固定し、アルミニウムワイヤ
間、溝付部材50とヒータボード1とインク・発泡液用
供給部材80との隙間をそれぞれシリコーンシーラント
(東芝シリコーン製:TSE399)で封止して完成させた。
【0178】以上の製法で、第2の液流路を形成するこ
とにより、各ヒータボード1のヒータに対して位置ズレ
のない精度の良い流路を得ることができる。特に、溝付
部材50と分離壁30とをあらかじめ先の工程で接合し
ておくことで、第1液流路14と可動部材31の位置精
度を高めることができる。
【0179】そして、これらの高精度製造技術によっ
て、吐出安定化が図られ、印字品位が向上する。また、
ウェハ上に一括で形成することが可能なため、多量に低
コストで製造することが可能である。
【0180】なお、本実施例では、第2の液流路を形成
するために紫外線硬化型のドライフィルムを用いたが、
紫外域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂を用
い、ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第2の
液流路となる部分の樹脂を直接除去することによっても
得ることが可能である。
【0181】図30(a) 〜(d) は、本発明の液体吐出ヘ
ッドの製造方法の第2の実施例を説明するための概略断
面図である。
【0182】本実施例においては、(a) に示すように、
SUS基板100上に厚さ15μmのレジスト101を
第2の液流路の形状でパターニングした。
【0183】次に、図30(b) に示すように、SUS基
板100に対して電気メッキを行ってSUS基板100
上にニッケル層102を同じく15μm成長させた。メ
ッキ液としては、スルフォミン酸ニッケルに応力減少剤
(ワールドメタル社製:ゼロオール)とほう酸、ピット
防止剤(ワールドメタル社製:NP-APS)、塩化ニッケル
を使用した。電着時の電界のかけ方としては、アノード
側に電極を付け、カソード側に既にパターニングしたS
US基板100を取り付け、メッキ液の温度を50℃と
し、電流密度を5A/cm2 とした。
【0184】次に、図30(c) に示すように、上記のよ
うなメッキを終了したSUS基板100に超音波振動を
与え、所望の第2の液流路が形成されたニッケル層10
2の部分をSUS基板100から剥離した。
【0185】一方、電気熱変換用素子を配設したヒータ
ボードを、半導体と同様の製造装置を用いてシリコンウ
ェハに形成した。このウェハを先の実施例と同様に、ダ
イシングマシンで各々のヒータボードに分離した。この
ヒータボード1を、予めプリント配線基板が接合された
アルミニウムベースプレート70に接合し、プリント配
線基板とアルミニウムワイヤ(図示略)とを接続するこ
とで電気的配線を形成した。このような状態のヒータボ
ード1上に、図30(d) に示すように、先の工程で得た
第2液流路が形成されたニッケル層102を位置決め固
定した。この固定に際しては、後工程で第1の実施例と
同様に分離壁を固定した天板と押さえばねによって係合
・密着されるため、天板接合時に位置ずれが発生しない
程度に固定されていれば十分である。
【0186】本実施例では、上記位置決め固定に紫外線
硬化型接着剤(グレースジャパン製:アミコンUV-300)
を塗布し、紫外線照射装置を用い、露光量を100mJ/
cm2として約3秒間で固定を完了した。
【0187】本実施例の製法によれば、発熱体2に対し
て位置ずれのない精度の高い第2の液流路を形成するこ
とができることに加え、ニッケルで流路壁を形成してい
るため、アルカリ性の液体に強く、信頼性の高いヘッド
を提供することが可能となる。
【0188】図31(a) 〜(d) は、本発明の液体吐出ヘ
ッドの製造方法の第3の実施例を説明するための概略断
面図である。
【0189】本実施例においては、図31(a) に示すよ
うに、アライメント穴あるいはマーク100aを有する
厚さ15μmのSUS基板100の両面にレジスト10
30を塗布した。ここで、レジストとしては、東京応化
製のPMERP-AR900 を使用した。
【0190】この後、図31(b) に示すように、SUS
基板100のアライメント穴100aに合わせて、露光
装置(キヤノン(株)製:MPA-600 )を用いて露光し、
第2の液流路を形成すべき部分のレジスト1030を除
去した。露光は800mJ/cm2 の露光量で行った。
【0191】次に、図31(c) に示すように、両面のレ
ジスト1030がパターニングされたSUS基板100
を、エッチング液(塩化第2鉄または塩化第2銅の水溶
液)に浸漬し、レジスト1030から露出している部分
をエッチングした後、レジストを剥離した。
【0192】次に、図31(d) に示すように、先の製造
方法の実施例と同様に、ヒータボード1上に、エッチン
グされたSUS基板100を位置決め固定して第2の液
流路16を有する液体吐出ヘッドを組み立てた。
【0193】本実施例の製法によれば、ヒータに対し位
置ずれのない精度の高い第2液流路16を形成すること
ができることに加え、ステンレス鋼で流路を形成してい
るため、酸やアルカリ性の液体に強く信頼性の高い液体
吐出ヘッドを提供することができる。
【0194】以上説明したように、本実施例の製造方法
によれば、素子基板100の上に予め第2液流路の壁を
配設することによって、電気熱変換体と第2液流路とが
高精度に位置決めすることが可能となる。また、切断、
分離前の基板上の多数の素子基板に対して第2の液流路
を同時に形成することができるので、多量に、かつ、低
コストの液体吐出ヘッドを提供することができる。
【0195】また、本実施例の製造方法の液体吐出ヘッ
ドの製造方法を実施することによって得られた液体吐出
ヘッドは、発熱体2と第2液流路とを高精度に位置決め
されているので、電気熱変換体の発熱による発泡の圧力
を効率よく受けることができ、吐出効率に優れたものと
なる。
【0196】図32は、本発明の液体吐出ヘッドを適用
したインク吐出記録を動作させるための装置全体のブロ
ック図である。
【0197】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は、印字
装置内部の入力インタフェース301に一時保存される
と同時に、プリント装置内で処理可能なデータに変換さ
れ、ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入
力される。CPU302は、ROM303に保存されて
いる制御プログラムに基づき、前記CPU302に入力
されたデータをRAM304などの周辺ユニットを用い
て処理し、印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0198】また、CPU302は前記画像データをプ
リント用紙上の適当な位置にプリントするために、画像
データに同期してプリント用紙およびプリントヘッドを
移動する駆動用モータを駆動するための駆動データを作
る。画像データおよびモータ駆動データは、各々ヘッド
ドライバ307およびモータドライバ305を介し、ヘ
ッド200および駆動モータ306に伝達され、それぞ
れ制御されたタイミングで駆動され画像を形成する。
【0199】上述のようなプリント装置に適用でき、イ
ンクなどの液体の付与が行われるプリント媒体として
は、各種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装
飾板などに用いられるプラスチック材、布帛、アルミニ
ウムや銅などの金属材、牛皮、豚皮、人工皮革などの皮
革材、木、合板などの木材、竹材、タイルなどのセラミ
ックス材、スポンジなどの三次元構造体などを対象とす
ることができる。
【0200】また上述のプリント装置として、各種の紙
やOHPシートなどに対してプリントを行うプリンタ装
置、コンパクトディスクなどのプラスチック材にプリン
トを行うプラスチック用プリント装置、金属板にプリン
トを行う金属用プリント装置、皮革にプリントを行う皮
革用プリント装置、木材にプリントを行う木材用プリン
ト装置、セラミックス材にプリントを行うセラミックス
用プリント装置、スポンジなどの三次元網状構造体に対
してプリントを行うプリント装置、又布帛にプリントを
行う捺染装置などをも含むものである。
【0201】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液
としては、夫々のプリント媒体やプリント条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0202】<プリントシステム>次に、本発明による
吐出ヘッドをプリントヘッドとして用い、プリント媒体
に対してプリントを行う、インクジェットプリントシス
テムの一例を説明する。
【0203】図33は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェットプリントシステムの構
成を説明するための模式図である。本実施例における液
体吐出ヘッド201a〜201dは、プリント媒体15
0のプリント可能幅に対応した長さに360dpi の間隔
で吐出口を複数配したフルライン型、つまりプリント媒
体のプリント領域の全幅(図中、Y方向)に亙って吐出
口が配列するものであり、イエロー(Y), マゼンタ
(M), シアン(C), ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッド201a〜201dをホルダ202に
よりX方向に所定の間隔を持って互いに平行に固定支持
されている。
【0204】これらのヘッド201a〜201dに対し
てそれぞれ駆動信号供給手段を構成するヘッドドライバ
307から信号が供給され、この信号に基づいて各ヘッ
ド201a〜201dの駆動がなされる。
【0205】各ヘッド201a〜201dには、吐出液
としてY, M, C, Bkの4色のインクがそれぞれ20
4a〜204dのインク容器から供給されている。な
お、符号204eは、発泡液が蓄えられた発泡液容器で
あり、この容器204eから各ヘッド201a〜201
dに発泡液が供給される構成になっている。
【0206】また、各ヘッド201a〜201dの下方
には、内部にスポンジなどのインク吸収部材が配された
ヘッドキャップ203a〜203dが設けられており、
非プリント時に各ヘッド201a〜201dの吐出口を
覆うことで、ヘッド201a〜201dの保守をなすこ
とができる。
【0207】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、プリント媒体を搬送するための搬送手段を構
成する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロ
ーラにより所定の経路に引き回されており、モータドラ
イバ305に接続された駆動用ローラにより駆動され
る。
【0208】本実施例のインクジェットプリントシステ
ムにおいては、プリントを行う前後にプリント媒体に対
して各種の処理を行う前処理装置251および後処理装
置252をそれぞれプリント媒体搬送経路の上流と下流
に設けている。
【0209】前処理と後処理は、プリントを行うプリン
ト媒体の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が
異なるが、例えば、金属、プラスチック、セラミックス
などのプリント媒体に対しては、前処理として、紫外線
とオゾンの照射を行い、その表面を活性化することでイ
ンクの付着性の向上を図ることができる。また、プラス
チックなどの静電気を生じやすいプリント媒体において
は、静電気によってその表面にゴミが付着しやすく、こ
のゴミによって良好なプリントが妨げられる場合があ
る。このため、前処理としてイオナイザ装置を用い、プ
リント媒体の静電気を除去することで、プリント媒体か
らごみの除去を行うとよい。また、プリント媒体として
布帛を用いる場合には、滲み防止、先着率の向上などの
観点から布帛にアルカリ性物質、水溶性物質、合成高分
子、水溶性金属塩、尿素およびチオ尿素から選択される
物質を付与する処理を前処理として行えばよい。前処理
としては、これらに限らず、プリント媒体の温度をプリ
ントに適切な温度にする処理などであってもよい。
【0210】一方、後処理は、インクが付与されたプリ
ント媒体に対して熱処理、紫外線照射などによるインク
の定着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で
残った処理剤を洗浄する処理などを行うものである。
【0211】
【発明の効果】本発明によると、複数の素子基板に第2
液流路の壁が発熱体毎に設けられているため、発泡パワ
ーを素子基板の継ぎ目で減少させることがなくなり、可
動部材により発泡パワーが吐出口側に向けられる結果、
吐出量不足によるプリント画像に白すじが発生するのを
防止することができる。また、ラインタイプヘッドに特
有の後方クロストークがなくなり、画像むらを低減でき
る。
【0212】さらに、発生する気泡とこれによって変位
する可動部材との相乗効果を得ることができ、吐出口近
傍の液体を効率よく吐出できるため、従来のバブルジェ
ット方式の吐出方法やヘッドなどに比べて吐出効率を向
上できる。また、低温や低湿で長期放置を行った場合で
あっても不吐出になることを防止でき、仮に不吐出にな
っても予備吐出や吸引回復といった回復処理をわずかに
行うだけで正常状態に即座に復帰できる。これに伴い、
回復時間の短縮や回復による液体の損失を低減でき、ラ
ンニングコストも大幅に下げることが可能である。さら
に、連続吐出時の応答性、気泡の安定成長、液滴の安定
化を達成して高速液体吐出による高速プリントまた高画
質プリントが可能となる。
【0213】しかも、2流路構成のヘッドにおいて発泡
液として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物
(焦げなど)が生じにくい液体を用いることで、吐出液
の選択の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液
体、発熱体上に堆積物を生じやすい液体など、従来のバ
ブルジェット吐出方法で吐出することが困難であった液
体についても良好に吐出することができる。また、熱に
弱い液体なども、この液体に熱による悪影響を与えず吐
出することができ、本発明の液体吐出ヘッドをプリント
用の液体吐出プリントヘッドとして用いた場合には、さ
らに高画質なプリントを達成することができる。
【0214】一方、本発明の液体吐出ヘッドを用い、液
体の吐出効率などがさらに向上した液体吐出装置やプリ
ントシステムなどを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面
図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であ
る。
【図3】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図である。
【図4】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を
示す模式図である。
【図5】本発明の液体の流れを説明するための模式図で
ある。
【図6】本発明の第2の実施例における液体吐出ヘッド
の部分破断斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施例における液体吐出ヘッド
の部分破断斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施例における液体吐出ヘッド
の断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例における液体吐出ヘッド
の模式断面図である。
【図10】本発明の第6の実施例における液体吐出ヘッ
ド(2流路)の断面図である。
【図11】本発明の第6の実施例における液体吐出ヘッ
ドの部分破断斜視図である。
【図12】可動部材の動作を説明するための図である。
【図13】可動部材と第1液流路の構造を説明するため
の図である。
【図14】可動部材と液流路の構造を説明するための図
である。
【図15】可動部材の他の形状を説明するための図であ
る。
【図16】発熱体面積とインク吐出量の関係を示す図で
ある。
【図17】可動部材と発熱体との配置関係を示す図であ
る。
【図18】発熱体のエッジと支点までの距離と可動部材
の変位量の関係を示す図である。
【図19】発熱体と可動部材との配置関係を説明するた
めの図である。
【図20】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図21】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図22】本発明の液体吐出ヘッドの供給路を説明する
ための断面図である。
【図23】本発明によるヘッドの一実施例の一部の分解
斜視図である。
【図24】本発明によるヘッドの一実施例の全体の分解
斜視図である。
【図25】図24に示した実施例の抽出拡大断面図であ
る。
【図26】本発明の対象となった液体吐出ヘッドの参考
例の全体の分解斜視図である。
【図27】図26に示した参考例の抽出拡大断面図であ
る。
【図28】本発明による液体吐出ヘッドの別な実施例の
全体の分解斜視図である。
【図29】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図30】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図31】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図32】装置ブロック図である。
【図33】液体吐出プリントシステムを示す図である。
【図34】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 14a 溝 15 第1共通液室 15a 凹部 16 第2液流路 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 36 気泡発生領域前壁 37 気泡発生領域側壁 40 気泡 45 液滴 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね 80 供給部材 201a〜201d 液体吐出ヘッド 150 プリント媒体 203a〜203d ヘッドキャップ 251 前処理装置 252 後処理装置 601 継ぎ目
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉平 文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 中田 佳恵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−31918(JP,A) 特開 平7−266566(JP,A) 特開 平5−566(JP,A) 特開 平7−216400(JP,A) 実開 平2−133341(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/05 B41J 2/01 B41J 2/175

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出するための複数の吐出口,こ
    れら吐出口に直接連通する第1の液流路をそれぞれ構成
    するための複数の溝およびこれら複数の溝に連通して前
    記第1の液流路に液体をそれぞれ供給する第1の共通液
    室を構成するための凹部を有する一つの溝付き部材と、 液体に熱を与えることでこの液体に気泡を発生させるた
    めの複数の発熱体およびこれら発熱体毎に設けられる第
    2の液流路の壁をそれぞれ有し、前記溝付き部材の前記
    吐出口の配列方向に沿って配される複数の素子基板と、 これら素子基板と前記溝付き部材との間に配され、前記
    発熱体に面した位置に可動部材をそれぞれ有する分離壁
    とを具えた液体吐出ヘッドであって、 前記分離壁は、前記吐出口の配列方向に沿って前記可動
    部材を横切る位置において、隣接する前記素子基板の継
    ぎ目を跨ぐ部分を有し、この跨ぐ部分の前記吐出口の配
    列方向に沿った幅がここに接合される前記溝付き部材の
    部分の幅よりも広くなっており、 前記可動部材は、支点およびこの支点よりも下流側に位
    置する自由端をそれぞれ有し、前記気泡の発生に基づく
    圧力によって前記第1の液流路側にそれぞれ変位するこ
    とを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記吐出口の数は、500以上であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記吐出口は、プリント媒体の搬送方向
    に対して交差するその幅方向に沿ったプリント領域の全
    幅に亙って配列するものであることを特徴とする請求項
    1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記分離壁は、すべての前記素子基板に
    跨がって延びる一枚の材料にて構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記分離壁を複数具え、これら分離壁は
    隣接する2つの前記素子基板に跨がって配設されること
    を特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 表面に前記素子基板が接合される一枚の
    ベースプレートをさらに具えたことを特徴とする請求項
    1に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の液体吐出ヘッドと、 この液体吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信
    号を供給する駆動信号供給手段とを有することを特徴と
    する液体吐出装置。
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