JPH1024565A - 可動部材を備えた液体吐出ヘッド用液体と液体吐出ヘッド、画像形成方法および該液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジと記録装置 - Google Patents

可動部材を備えた液体吐出ヘッド用液体と液体吐出ヘッド、画像形成方法および該液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジと記録装置

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JPH1024565A
JPH1024565A JP8181890A JP18189096A JPH1024565A JP H1024565 A JPH1024565 A JP H1024565A JP 8181890 A JP8181890 A JP 8181890A JP 18189096 A JP18189096 A JP 18189096A JP H1024565 A JPH1024565 A JP H1024565A
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bubble generation
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Satoshi Nagashima
聡 永嶋
Mikifumi Ogasawara
幹史 小笠原
Toshio Kashino
俊雄 樫野
Yoshie Nakada
佳恵 中田
Hiroyuki Ishinaga
博之 石永
Sadayuki Sugama
定之 須釜
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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
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    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出口に目詰まりが生じることのない液体吐
出ヘッドを提供する。 【解決手段】 第1の液体を吐出する吐出口を備えた第
1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発
生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配
された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から
遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端よ
りも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡
発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第
1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該
可動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッド
に用いられる第1の液体のであって、該第1の液体は大
気下での状態変化が少ないことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異なる特性の2液
体を用いて画像を形成する液体吐出方法及び気泡の発生
を利用して変位する可動部材を有する液体吐出ヘッド、
液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジ、液体吐出
装置に関する。
【0002】また本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮革、
金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の
被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、通信
システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワ
ードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合
的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明であ
る。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、USP
4,723,129等の公報に開示されているように、
インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通す
るインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出
するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が
一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0007】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0008】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0009】この流路形状の内、流路構造として図40
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。この公報に記載されてい
る流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発
生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向
かう圧力、即ち、液室1012へ向かう圧力)に着目し
た発明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネ
ルギーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0010】図40、(a),(b)に示す発明は、発
熱素子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発
熱素子2に関して吐出口1011とは反対側に位置する
弁10を開示する。
【0011】図40(b)においては、この弁1010
は、板材等を利用する製造方法によって、流路1003
の天井に貼り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生
に伴って流路1003内へ垂れ下がるものとして開示さ
れている。この発明は、上述したバック波の一部を弁1
010によって制御することでエネルギー損失を抑制す
るものとして開示されている。
【0012】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路1003内部に、気泡が発生し
た際を検討するとわかるように、弁1010によるバッ
ク波の一部を抑制することは、液体吐出にとっては実用
的なものでないことがわかる。
【0013】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
1003内に発生した時点では、図40(a)に示すよ
うに、気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路
1003から液体を吐出可能状態にしている。従って、
バック波のうち、しかもその一部を抑制したからといっ
ても、吐出に大きな影響を与えないことは明らかであ
る。
【0014】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生す
ることで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なイ
ンクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐
出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十
分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出す
べき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望
まれていた。
【0015】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、USP4,48
0,259号等の公報に開示されている。これらの公報
では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムな
どの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接し
ないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可撓
性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。
このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防止
や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0016】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下
してしまう虞があった。
【0017】また、上記のような各種の記録装置に用い
られるインクとしては、分散剤染料や分散剤顔料のよう
に分散剤に色剤を分散させることで特別な色剤をインク
として利用することが筆記具として知られている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】分散型色剤を吐出液体
として用いる場合には、これが外気(大気)に触れると
比較的速やかに固着する傾向があり液体吐出ヘッドに用
いた場合には吐出口の管理が複雑になるという問題点が
ある。
【0019】本発明は、基本的に従来の気泡(特に膜沸
騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液体を吐出する方
式の、根本的な吐出特性を、従来では考えられなかった
観点から、従来では予想できない水準に高めることを主
たる課題とする。
【0020】発明者達は、液滴吐出の原理に立ち返り、
従来では得られなかった気泡を利用した新規な液滴吐出
方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく鋭意研
究を行った。このとき、流路中の可動部材の機構の原理
を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を起点と
する第1技術解析、及び気泡による液滴吐出原理を起点
とする第2技術解析、さらには、気泡形成用の発熱体の
気泡形成領域を起点とする第3解析を行うことにした。
【0021】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0022】つぎに、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮するこ
とが吐出特性を格段に向上できる要因として最大である
との知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を
吐出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出
速度の向上をもたらすことも判明した。このことから、
発明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材
の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比べ極
めて高い技術水準に至った。
【0023】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る
中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における面
積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流
路等の構造的要素を勘案することも好ましいということ
がわかった。
【0024】また、可動部材の配置と液供給路の構造を
考慮することで、リフィル速度を大幅に向上することが
できることがわかった。
【0025】発明者らは、このように研究で得られた知
見および、総合的観点から優れた液体の吐出原理を見い
だし本発明を成すに至った。
【0026】一方、もともと異なる液体を吐出して画像
を形成する場合、インクジェット方式では異なる吐出口
から吐出を行い、記録媒体に対して時間差をおいて与え
ることしか行われていない。この場合、互いの着弾精度
の低下や特性が発揮されるまでの時間の遅れから画質は
低水準となる。したがって、2つの異なる特性を略同時
に記録媒体上で発揮できれば画質自体を大蛇場に向上で
きるという知見により本発明は新たなる吐出方法をも提
起するものである。
【0027】本発明は前提として、 (1)吐出口に目詰まりが生じることのない液体吐出記
録ヘッドを提供すること。
【0028】(2)分散型色剤を用いて良好な画像を形
成する方法を提供すること。を目的とし、さらには以下
のようなことをも目的をとする。
【0029】第1の目的は、発生した気泡を根本的に制
御することで極めて新規な液体吐出原理を提供すること
にある。
【0030】本発明の第2の目的は、吐出効率、吐出圧
力の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に
軽減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図るこ
とで、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出方法、液体
吐出ヘッド等を提供することにある。
【0031】本発明の第3の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によって、メニスカス後退量を
低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピー
ド等を向上させた液体吐出ヘッド等を提供することにあ
る。
【0032】本発明の第4の目的は、発熱体上への堆積
物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広げること
ができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐出
方法、液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0033】本発明の第5の目的は、吐出する液体の選
択自由度を高くできる液体吐出方法、液体吐出ヘッド等
を提供することにある。
【0034】本発明の第6の目的は前述のような液体吐
出ヘッドの製造を容易に成しうる液体吐出ヘッドの製造
方法を提供することにある。
【0035】本発明の第7の目的は複数の液体を供給す
るための液体導入路を少ない部品点数で構成することで
製造が容易で安価なヘッドおよび装置を提供すること、
また小型化が図れた液体吐出ヘッド、装置等を提供する
ことである。
【0036】また本発明の第8の目的は、本発明の吐出
方法を用いて良好な画像の記録物を得ることにある。
【0037】また本発明の第9の目的は、本発明の液体
吐出ヘッドの再利用を容易にするためのヘッドキットを
提供することにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
【0039】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第1
領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発生
させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配さ
れた第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から遠
ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端より
も上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡発
生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第1
の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該可
動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッドに
用いられる第1の液体であって、該第1の液体は大気下
での状態変化が少ないことを特徴とする可動部材を備え
た液体吐出ヘッド用液体。
【0040】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出
ヘッドに用いられ、前記吐出口より吐出される第1、第
2の液体であって、前記第1の液体は相対的に大気下で
の状態変化が少なく、前記第2の液体は第1の液体に比
べて大気下での状態変化が大きいことを特徴とする可動
部材を備えた液体吐出ヘッド用液体。
【0041】または、前記第1および第2の液体の少な
くとも一方は、色剤を含有し、前記第2の液体は第1の
液体と一体となって飛翔されて画質を向上する特性を有
することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
可動部材を備えた液体吐出ヘッド用液体。
【0042】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出
ヘッドに用いられ、前記吐出口より吐出される第1、第
2の液体であって、前記第2の液体は色剤を含有し、前
記第1の液体は前記色剤を分散する分散剤を含有するこ
とを特徴とする可動部材を備えた液体吐出ヘッド用液
体。
【0043】または、インクジェットヘッドを用いた液
体記録方法において、蒸発粘度曲線の特性差がある第
1、第2の液体を実質的に分離状態で有し、該ヘッドか
ら吐出される1液滴が、第1液体と第2液体とがそれぞ
れの占有体積を略維持した状態で、1飛翔滴をなしてい
ることを特徴とする液体記録方法。
【0044】または、上記液滴は、吐出方向に関して先
行する領域に主として蒸発粘度曲線に置ける変化が相対
的に小さな第1液体を有し、後方追従する領域に蒸発粘
度曲線における変化が相対的に大きな第2液体を有して
いることを特徴とする液体記録方法。
【0045】または、上記第2液体は、大気に対して実
質的に密閉状態で上記ヘッド手段に保持されており、上
記第1液体は、吐出口において大気に開放された状態で
上記ヘッド手段に保持されていることを特徴とする液体
記録方法。
【0046】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出
ヘッドであって、前記第1の液体は大気下での状態変化
が少なく、前記第2の液体は吐出液によって形成される
画像を良好とする色剤を含有することを特徴とする可動
部材を備えた液体吐出ヘッド。
【0047】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出
ヘッドであって、前記第1の液体は大気下での状態変化
が少ない色剤を含有し、前記第2の液体は第1の液体に
よって形成される画像を良好とすることを特徴とする可
動部材を備えた液体吐出ヘッド。
【0048】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出
ヘッドであって、前記第1の液体は色剤を含有し、前記
第2の液体は前記色剤を分散する分散剤を含有すること
を特徴とする可動部材を備えた液体吐出ヘッド。
【0049】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を
吐出口領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッド
であって、前記第1の液体と第2の液体のうちの少なく
とも一方の液体は大気下での状態変化が少ないことを特
徴とする可動部材を備えた液体吐出ヘッド。
【0050】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を
吐出口領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッド
であって、前記第1の液体は大気下での状態変化が少な
く、前記第2の液体は吐出液によって形成される画像を
良好とする色剤を含有することを特徴とする可動部材を
備えた液体吐出ヘッド。
【0051】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を
吐出口領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッド
であって、前記第1の液体は大気下での状態変化が少な
い色剤を含有し、前記第2の液体は第1の液体によって
形成される画像を良好とすることを特徴とする可動部材
を備えた液体吐出ヘッド。
【0052】または、第1の液体を吐出する吐出口を備
えた第1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面
して配された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領
域から遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自
由端よりも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、
該気泡発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材
を該第1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると
共に該可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を
吐出口領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッド
であって、前記第1の液体は色剤を含有し、前記第2の
液体は前記色剤を分散する分散剤を含有することを特徴
とする可動部材を備えた液体吐出ヘッド。
【0053】または、上記の液体吐出ヘッドを用いた画
像形成方法であって、吐出液中の発泡液の割合を変化さ
せて液体を吐出させ、画像を形成する画像形成方法。
【0054】または、上記の液体吐出ヘッドと、該液体
吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを有
するヘッドカートリッジ。
【0055】または、上記の液体吐出ヘッドと、該液体
吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給
する駆動信号供給手段と、を有する記録装置。
【0056】または、上記の液体吐出ヘッドと、該液体
吐出ヘッドから吐出された液体を受ける被記録媒体を搬
送する被記録媒体搬送手段と、を有する記録装置。
【0057】上述したような、極めて新規な吐出原理に
基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等によると、発生
する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗効果
を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よく吐出で
きるため、従来のバブルジェット方式の吐出方法、ヘッ
ド等に比べて、吐出効率を向上できる。例えば本発明の
最も好ましい形態においては2倍以上という飛躍的な吐
出効率の向上を達成できた。
【0058】この発明の特徴的な構成によれば、低温や
低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出になるこ
とを防止でき、仮に不吐出になっても、予備吐出や吸引
回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態に
即座に復帰できる利点もある。
【0059】具体的には64個の吐出口を持つ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0060】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0061】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0062】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0063】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0064】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0065】また、本発明でいう「分離壁」とは、広義
では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区分
するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を意
味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直接
連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液体
の混合を防止するものを意味する。
【0066】さらに、「大気下での状態」として、固着
または増粘、または相対的蒸発粘度曲線における粘度変
化を含む。
【0067】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発の実施
例を詳細に説明する。
【0068】まず、本発明が適用される液体吐出ヘッド
にて、気泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を
制御することで吐出力や吐出効率の向上を図る場合の例
を説明する。
【0069】図1はこのような本実施例の液体吐出ヘッ
ドを液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図
2はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示してい
る。
【0070】本実施例の液体吐出ヘッドは、液体を吐出
するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エ
ネルギーを作用させる発熱体2(本実施例においては4
0μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1
に設けられており、この素子基板上に発熱体2に対応し
て液流路10が配されている。液流路10は吐出口18
に連通していると共に、複数の液流路10に液体を供給
するための共通液室13に連通しており、吐出口から吐
出された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から
受け取る。
【0071】この液流路10の素子基板上には、前述の
発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有す
る材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31
が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液
流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニ
ングして形成した土台(支持部材)34等に固定されて
いる。これによって、可動部材は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0072】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程
度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材
との間が気泡発生領域となる。なお発熱体、可動部材の
種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述
するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状お
よび配置であればよい。なお、上述した液流路10は、
後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材31
を境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の
液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を
有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明す
る。
【0073】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体にUSP4,723,129に記載されているような膜沸騰
現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧
力と気泡は可動部材に優先的に作用し、可動部材31は
図1(b)、(c)もしくは図2で示されるように支点
33を中心に吐出口側に大きく開くように変位する。可
動部材31の変位若しくは変位した状態によって気泡の
発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口側に
導かれる。
【0074】ここで、本発明の基本的な吐出原理の一つ
を説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、
気泡に対面するように配された可動部材が気泡の圧力あ
るいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1の位置から
変位後の位置である第2の位置へ変位し、この変位する
可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力や気泡自身
を吐出口18が配された下流側へ導くことである。
【0075】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図3と本発明の図4とを比較し
てさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への
圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をVB
として示した。
【0076】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1〜
V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を向い
ていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼすVA
方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4即ち気
泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力伝搬の
方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速度等に
直接寄与する重要な部分である。さらにV1は吐出方向V
Aの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4はVAに向
かう方向成分は比較的少ない。
【0077】これに対して、図4で示される本発明の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側(吐出
口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するものであ
り、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よく吐出
に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体も
圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流よ
り下流で大きく成長する。このように、気泡の成長方向
自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を
制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根
本的な向上を達成することができる。
【0078】次に図1に戻って、本実施例の液体吐出ヘ
ッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0079】図1(a)は、発熱体2に電気エネルギー
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が
熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可
動部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対
し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に
設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可
動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも
発熱体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通
って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで
可動部材31が配されている。
【0080】図1(b)は、発熱体2に電気エネルギー
等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0081】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。こ
こで重要なことは前述したように、可動部材31の自由
端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流
側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部材
の少なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下
流部分に対面させることである。
【0082】図1(c)は気泡40がさらに成長した状
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下
流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線
位置)を越えて大きく成長している。このように気泡4
0の成長に応じて可動部材31が徐々に変位して行くこ
とで気泡40の圧力伝搬方向や堆積移動のしやすい方
向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出口に均
一的に向かわせることができることも吐出効率を高める
と考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を吐出口方向へ
導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝
搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や
気泡の成長方向を制御することができる。
【0083】図1(d)は気泡40が、前述した膜沸騰
の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0084】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性によ
る復元力によって図1(a)の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側か
ら流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側から流れ
のVcのように液体が流れ込んでくる。
【0085】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明の液
体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく説
明する。
【0086】図1を用いて本発明における液供給メカニ
ズムをさらに詳しく説明する。
【0087】図1(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出
口18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込
む。可動部材31を持たない従来の液流路構造において
は、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液
室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に
近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起
因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものであ
る。)。
【0088】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0089】これに対して本実施例は可動部材31を設
けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境
に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、
消泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカス
の後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給
は主に第2流路16の流れVD2からの液供給によって成
される。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に
対応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対し
て、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量
に抑えることが可能になった。
【0090】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行う
ことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0091】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本実施例の高速リフィルにおいては可動部材
によって吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生
領域11との吐出口側での液体の流通が抑制されるため
メニスカスの振動を極めて少なくすることができること
である。
【0092】このように本発明は、第2流路16の液供
給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述
したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィル
を達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、ま
た記録の分野に用いた場合、画質の向上や高速記録を実
現することができる。
【0093】本発明の構成においてはさらに次のような
有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生によ
る圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することで
ある。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室13側
(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側に
向かって液体を押し戻す力(バック波)になっていた。
このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移動
量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これらは
液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の妨げ
にもなっていた。本発明においては、まず可動部材31
によって上流側へのこれらの作用を抑えることでもリフ
ィル供給性の向上をさらに図っている。
【0094】次に、本実施例の更なる特徴的な構造と効
果について、以下に説明する。
【0095】本実施例の第2液流路16は、発熱体2の
上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面
が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12
を有している。このような場合、気泡発生領域11およ
び発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の気
泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように行
われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀むこと
が抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡
できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、ま
た、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従っ
て、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うこと
ができる。なお、本実施例では実質的に平坦な内壁を持
つ液体供給路12を持つもので説明したが、これに限ら
ず、発熱体表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を
有する液供給路であればよく、発熱体上に液体の淀み
や、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であればよ
い。
【0096】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行われ
るものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有効
に吐出口に導くために図1で示すように気泡発生領域の
全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材を
用い、可動部材31が第1の位置へ復帰することで、気
泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い領域と
の液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、前述の
D1から気泡発生領域11に向かっての液体の流れが妨
げられる。しかし、本発明のヘッド構造においては、気
泡発生領域に液体を供給するための流れVD1があるた
め、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部材31で
気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を求めた構
造を取っても、液体の供給性能を落とすことがない。
【0097】ところで、可動部材31の自由端32と支
点33の位置は、例えば図5で示されるように、自由端
が相対的に支点より下流側にある。このような構成のた
め、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向
を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できる
のである。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や
効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れ
る液体に対する流抵抗を小さくしでき高速にリフィルで
きるという効果を達成している。これは図5に示すよう
に、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力により
吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行
われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流
路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対し、
逆らわないように自由端と支点33とを配置しているた
めである。
【0098】補足すれば、本実施例は図1においては、
前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を
上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱
体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交す
る線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対
して延在している。これによって発熱体の面積中心位置
3より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧
力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力及び気泡
を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根本
的に向上させることができる。
【0099】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0100】また、本実施例の構成においては可動部材
31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていること
も、液体の吐出に対して有効に寄与している考えられ
る。
【0101】(実施例2)図6に本発明の第2の実施例
を示す。この図6において、Aは可動部材が変位してい
る状態を示し(気泡は図示せず)、Bは可動部材が初期
位置(第1位置)の状態を示し、このBの状態をもっ
て、発泡領域11を吐出口18に対して実質的に密閉し
ているとする。(ここでは、図示していないがA、B間
には流路壁があり流路と流路を分離している。) 図6における可動部材31は土台34を側部に2点設
け、その間に液供給路12を設けている。これにより、
可動部材の発熱体側の面に沿って、また、発熱体の面と
実質的に平坦もしくは、なだらかにつながる面を持つ液
供給路から液体の供給を成すことができる。
【0102】ここで、可動部材31の初期位置(第1位
置)では、可動部材31は発熱体2の下流側および横方
向に配された発熱体下流壁36と発熱体側壁37に近接
または密着しており、気泡発生領域11の吐出口18側
に実質的に密閉されている。このため、発泡時の気泡の
圧力、特に気泡の下流側の圧力を逃がさず可動部材の自
由端側に集中的に作用させることができる。
【0103】また、消泡時には、可動部材31は第1位
置に戻り、発熱体上への消泡時の液供給は気泡発生領域
31の吐出口側が実質的に密閉状態になるため、メニス
カスの後退抑制等、先の実施例で説明した種々の効果を
得ることができる。また、リフィルに関する効果におい
ても先の実施例と同様の機能、効果を得ることができ
る。
【0104】また、本実施例においては、図2や図6の
ように、可動部材31を支持固定する土台34を発熱体
2より離れた上流に設けると共に液流路10より、小さ
な幅の土台34とすることで前述のような液供給路12
への液体の供給を行っている。また、土台34の形状の
これに限らず、リフィルをスムースに行えるものであれ
ばよい。
【0105】なお、本実施例においては可動部材31と
発熱体2の間隔を15μm程度としたが、気泡の発生に
基づく圧力が十分に可動部材に伝わる範囲であればよ
い。
【0106】(実施例3)図7は、本発明の基本的な概
念の一つを示すもので、本発明の第3実施例となる。図
7は、一つの液流路中に気泡発生領域、そこで発生する
気泡および可動部材との位置関係を示していると共に、
本発明の液体吐出方法やリフィル方法をより分かり易く
した実施例である。
【0107】前述の実施例の多くは、可動部材の自由端
に対して、発生する気泡の圧力を集中して、急峻な可動
部材の移動と同時に気泡の移動を吐出口側に集中させる
ことを達成している。これに対して、本実施例は、発生
する気泡の自由度を与えながら、滴吐出に直接作用する
気泡の吐出口側である気泡の下流側部分を可動部材の自
由端側で規制するものである。
【0108】構成上で説明すると、図7では、前述の図
2(第1実施例)に比較すると、図2の素子基板1上に
設けられた気泡発生領域の下流端に位置するバリヤーと
しての凸部(図の斜線部分)が本実施例では設けられて
いない。つまり、可動部材の自由端領域および両側端領
域は、吐出口領域に対して気泡発生領域を実質的に密閉
せずに開放しており、この構成が本実施例である。
【0109】本実施例では、気泡の液滴吐出に直接作用
する下流側部分のうち、下流側先端部の気泡成長が許容
されているので、その圧力成分を吐出に有効に利用して
いる。加えて少なくともこの下流側部分の上方へ向かう
圧力(図3のVB、VB、VBの分力)を可動部材の自由
端側部分が、この下流側先端部の気泡成長に加えられる
ように作用するため吐出効率を上述した実施例と同様に
向上する。前記実施例に比較して本実施例は、発熱体の
駆動に対する応答性が優れている。
【0110】また、本実施例は、構造上簡単であるため
製造上の利点がある。
【0111】本実施例の可動部材31の支点部は、可動
部材の面部に対して小さい幅の1つの土台34に固定さ
れている。従って、消泡時の気泡発生領域11への液体
供給は、この土台の両側を通って供給される(図の矢印
参照)。この土台は供給性を確保するものであればどの
ような構造でもよい。
【0112】液体の供給時におけるリフィルは、本実施
例の場合には、可動部材の存在によって気泡の消泡にと
もなって上方から気泡発生領域へ流れ込む流れが制御さ
れるので、従来の発熱体のみの気泡発生構造に対して優
れたものとなる。無論、これによって、メニスカスの後
退量を減じることもできる。
【0113】本第3実施例の変形実施例としては、可動
部材の自由端に対する両側端(一方でも可)のみを気泡
発生領域11に対して実質的に密閉状態とすることは好
ましいものとして挙げられる。この構成によれば、可動
部材の側方へ向かう圧力をも先に説明した気泡の吐出口
側端部の成長に変更して利用することができるので、一
層吐出効率が向上する。
【0114】(実施例4)前述した機械的変位による液
体の吐出力をさらに向上させた例を本実施例で説明す
る。図8はこのようなヘッド構造の横断面図である。図
8においては、可動部材31の自由端の位置が発熱体の
さらに下流側に位置するように、可動部材が延在してい
る実施例を示している。これによって自由端位置での可
動部材の変位速度を高くすることができ、可動部材の変
位による吐出力の発生をさらに向上させることができ
る。
【0115】また、自由端が先の実施例に比較して吐出
口側に近づくことになるので気泡の成長をより安定した
方向成分に集中できるので、より優れた吐出を行うこと
ができる。
【0116】また、気泡の圧力中心部の気泡成長速度に
応じて、可動部材31は変位速度R1で変位するが、こ
の位置より支点33に対して、遠い位置の自由端32は
さらに速い速度R2で変位する。これにより、自由端3
2を高い速度で機械的に液体に作用せしめ液移動を起こ
させることで吐出効率を高めている。
【0117】また、自由端形状は、図7と同じように液
流れに対して垂直な形状をすることにより、気泡の圧力
や可動部材の機械的な作用をより効率的に吐出に寄与さ
せることができる。
【0118】(実施例5)図9(a)、(b)、(c)
は本発明の第5実施例である。
【0119】本実施例の構造は先の実施例と異なり、吐
出口と直接連通する領域は液室側と連通した流路形状と
なっておらず、構造の簡略化が図れるものである。
【0120】液供給は全て、可動部材31の発泡領域側
の面に沿った液供給路12からのみ行われるもので、可
動部材31の自由端32や支点33の吐出口18に対す
る位置関係や発熱体2に面する構成は前述の実施例と同
様である。
【0121】本実施例は、吐出効率や液供給性等、前述
した効果を実現するものであるが、特にメニスカスの後
退を抑制し消泡時の圧力を利用して、ほとんど全ての液
供給を消泡時の圧力を利用して、強制リフィルを行うも
のである。
【0122】図9(a)は発熱体2により液体を発泡さ
せた状態を示しており、図9(b)は、前記発泡が収縮
しつつある状態で、このとき可動部材31の初期位置へ
の復帰とS3による液供給が行われる。
【0123】図9(c)では、可動部材が初期部材が初
期位置に復帰する際のわずかなメニスカス後退Mを、消
泡後に吐出口18付近の毛細管力によって、リフィルし
ている状態である。
【0124】(実施例6)以下、図面を参照して本発明
の実施例について説明する。
【0125】本実施例においても主たる液体の吐出原理
については先の実施例と同じであるが、本実施例におい
ては液流路を複流路構成にすることで、さらに熱を加え
ることで発泡させる液体(発泡液)と、主として吐出さ
れる液体(吐出液)とを分けることができるものであ
る。
【0126】図10は、本実施例の液体吐出ヘッドの流
路方向の断面模式図を示しており、図11はこの液体吐
出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0127】本実施例の液体吐出ヘッドは、液体に気泡
を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設
けられた素子基板1上に、発泡用の第2液流路16があ
り、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1
液流路14が配されている。
【0128】第1液流路の上流側は、複数の第1液流路
に吐出液を供給するための第1共通液室15に連通して
おり、第2液流路の上流側は、複数の第2液流路に発泡
液を供給するための第2共通液室に連通している。
【0129】但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場
合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0130】第1と第2の液流路の間には、金属等の弾
性を有する材料で構成された分離壁30が配されてお
り、第1液流路と第2の液流路とを区分している。な
お、発泡液と吐出液とができる限り混ざり合わない方が
よい液体の場合には、この分離壁によってできる限り完
全に第1液流路14と第2液流路16の液体の流通を分
離した方がよいが、発泡液と吐出液とがある程度混ざり
合っても、問題がない場合には、分離壁に完全分離の機
能を持たせなくてもよい。
【0131】発熱体の面方向上方への投影空間(以下吐
出圧発生領域という。;図10中のAの領域とBの気泡
発生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット3
5によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端
で、共通液室(15、17)側に支点33が位置する片
持梁形状の可動部材31となっている。この可動部材3
1は、気泡発生領域11(B)に面して配されているた
め、発泡液の発泡によって第1液流路側の吐出口側に向
けて開口するように動作する(図中矢印方向)。図11
においても、発熱体2としての発熱抵抗部と、この発熱
抵抗部に電気信号を印加するための配線電極5とが配さ
れた素子基板1上に、第2の液流路を構成する空間を介
して分離壁30が配置されている。
【0132】可動部材31の支点33、自由端32の配
置と、発熱体との配置の関係については、先の実施例と
同様にしている。
【0133】また、先の実施例で液供給路12と発熱体
2との構造の関係について説明したが、本実施例におい
ても第2液流路16と発熱体2との構造の関係を同じく
している。
【0134】次に図12を用いて本実施例の液体吐出ヘ
ッドの動作を説明する。
【0135】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給
される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。
【0136】発熱体2が発生した熱が、第2液流路の気
泡発生領域内の発泡液に作用することで、先の実施例で
説明したのと同様に発泡液にUSP4,723,129に記載されて
いるような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生させる。
【0137】本実施例においては、気泡発生領域の上流
側を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この気
泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動部
材6側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなって可動
部材6が図12(a)の状態から図12(b)のように
第1液流路側に変位する。この可動部材の動作によって
第1液流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気
泡の発生に基づく圧力が第1液流路の吐出口側の方向
(A方向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のよ
うな可動部材の機械的変位によって液体が吐出口から吐
出される。
【0138】次に、気泡が収縮するに伴って可動部材3
1が図12(a)の位置まで戻ると共に、第1液流路1
4では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が
上流側から供給される。本実施例においても、この吐出
液体の供給は前述の実施例と同様に可動部材が閉じる方
向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材で妨げる
ことがない。
【0139】本実施例は、可動部材の変位に伴う発泡圧
力の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止等に関する
主要部分の作用や効果については先の第1実施例等と同
じであるが、本実施例のような2流路構成をとることに
よって、さらに次のような長所がある。
【0140】すなわち、上述の実施例の構成によると、
吐出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた
圧力によって吐出液を吐出することができる。このため
従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が
不十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液
体であっても、この液体を第1の液流路に供給し、発泡
液に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=4:
6の混合液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第2の
液流路に供給することで良好に吐出させることができ
る。
【0141】また、発泡液として、熱を受けても発熱体
の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択すること
で、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0142】さらに、本発明のヘッドの構造においては
先の実施例で説明したような効果をも生じるため、さら
に高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐出す
ることができる。
【0143】また、加熱に弱い液体の場合においてもこ
の液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の液
流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を供
給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることな
く、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出す
ることができる。
【0144】(実施例7)次に、本発明の他の実施例の
吐出動作について説明する。
【0145】図13(a)〜(d)および図14(e)
〜(h)は本実施例による吐出動作を連続的に示す断面
図である。
【0146】本実施例は熱エネルギーを利用して形成し
た気泡を外気と連通させるものである。
【0147】図13(a)に示す状態は、発熱体2に電
気エネルギー等のエネルギーが印加される前であり、発
熱体2が熱を発生する前の状態の状態を示している。こ
こで重要なことは、可動部材31が、発熱体2の発熱に
よって発生した気泡に対し、この気泡の少なくとも下流
側部分に対面する位置に設けられていることである。つ
まり、気泡の下流側が可動部材に作用するように、液流
路構造上では少なくとも発熱体の面積中心3より下流
(発熱体2の面積中心3を通って流路の長さ方向に直交
する線より下流)の位置まで可動部材31が配されてい
る。特に可動部材によって気泡を吐出口側に導く本発明
においては発熱体の吐出口側端部の位置にまで可動部材
が設けられていることがさらに望ましい。
【0148】図13(b)は、発熱体2に電気エネルギ
ー等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によっ
て気泡発生領域内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸騰
に伴う気泡を発生させた状態である。
【0149】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
18(図1参照)方向に導くように第1位置から第2位
置へ向けて変位する。このとき、液体の流れる方向とし
ては、吐出口18方向であるA方向と上流側へ向うB方
向とがある。
【0150】ここで重要なことは前述したように、可動
部材31の自由端32を下流側(吐出口18側)に配置
し、図1に示した支点33を上流側(共通液室側)に位
置するように配置して、可動部材の少なくとも一部を発
熱体の下流部分すなわち気泡の下流部分に対面させるこ
とである。
【0151】図13(c)は気泡40がさらに成長した
状態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部
材31はさらに変位している。発生した気泡40は上流
より下流に大きく成長するとともに図19(a)に示し
た可動部材31の初期位置を越えて大きく成長してい
る。また、発熱体2を中心とする気泡の成長を1次波と
すると2次波が可動部材31の端部で発生するために気
泡40は図面上方に拡がり、吐出口に対して均一な形状
に成長する。可動部材31は気泡40や発泡圧を吐出口
18方向へ導く際もこの伝達の妨げになることはほとん
どなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の
伝搬方向や気泡40の成長方向を制御することができ
る。
【0152】上記のように気泡40の成長に応じて可動
部材31が徐々に変位して行くことで気泡40の圧力伝
搬方向や体積移動のしやすい方向、すなわち自由端側へ
の気泡の成長方向を吐出口18に向けて均一化して向か
わせることができる。また、これに伴って吐出口18方
向であるA方向に向って液体が移動する速度VAは上流
側へ向うB方向へ移動する速度VBよりも充分大きなも
のとなり、吐出効率が高いものとなっている。
【0153】図13(d)は気泡40が外気と連通する
直前の状態を示している。図中の速度VAU,VAC,VAL
のそれぞれは速度VAの分布を示すものであり、速度VA
Cを中心とし、その周囲の分布を上方および下方におけ
る速度VAU,VALを代表として示している。気泡40の
成長に示される液体の速度は、上述したように吐出口に
対して均一な形状に成長することから分かるように、中
心の速度VACの周囲の速度は均等なものとなり、この状
態で気泡が大気に連通するために液体は吐出面に対して
偏りを持つことなく吐出口から吐出される。この時点で
も液流路内の気泡40はその成長段階で液流路10(図
1参照)を完全に遮断することがないので、後続のイン
ク記録のためのリフィル特性が優れている。
【0154】本実施例において、発生する気泡40の形
状を決定するパラメータとしては、発熱体2が発生する
熱エネルギー量(発熱体2の構成、形成材料、駆動条
件、面積、発熱体2の設けられる基体の熱容量等)、イ
ンク物性、記録ヘッドの各部の大きさ(吐出口18と発
熱体2間の距離、吐出口18や液流路10の幅および高
さ)などの従来からのパラメータに加えて可動部材31
の材料および形状が挙げられ、これらを適宜選択するこ
とにより気泡40を所望の状態で外気と連通させること
ができる。
【0155】気泡40は外気と連通する際の内圧が外気
圧とほぼ等しい外気圧以下であることが好ましいがこの
ような状態とするためには、図13(d)に示すよう
に、発熱体2の吐出口18側端部から気泡40の吐出口
18側端部までの距離laと、発熱体2の吐出口18と
は反対側の端部から気泡40の吐出口18とは反対側の
端部までの距離lbとがla/lb≧1を満足する条件で
気泡40が形成されればよく、本実施例においては上記
条件を満たすように各パラメータが決定されている。気
泡40の形状を決定するパラメータとしては、可動部材
31の形状および材質が支配的であり、熱エネルギー
量、インク物性、記録ヘッドの各部の大きさ等のパラメ
ータによって形状を決定していた従来に比較するとはる
かに容易に距離lbとがla/lb≧1を満足する条件の
気泡40を形成させることができる。
【0156】図14(e)は気泡40と外気が連通した
瞬間の状態を示す図である。図示するように、本実施例
においては可動部材31が設けられていることから気泡
40と外気が連通した状態においても吐出された液体は
吐出口周囲に対して片寄りがなく、均等バランスで吐出
口から離脱するため、安定した吐出方向性が得られる。
このとき、可動部材31の自由端の上側と下側にはメニ
スカスM1,M2がそれぞれ形成される。一般的に、気
泡が発生する可動部材31の下側は、吐出される液体貯
蔵部となる上側よりも小さく形成されるため、メニスカ
スM2の進行速度Mv2は上側のメニスカスM1の進行
速度Mv1よりも速くなる。しかしながら、本実施例に
おいては可動部材31が初期状態に戻るための速度Mv
3がメニスカスM1を進行させる方向に加わるため、各
メニスカスM1,M2の進行速度はバランスされたもの
となり、リフィル速度も速いものとなっている。
【0157】また、図14(f)に示す吐出液体は、気
泡40が大気と連通する以前に気泡40との界面を形成
していた部分の多くを含むものとなる。気泡40発生時
における液体の温度分布は気泡40との界面の温度が最
も高いものであり、本実施例においてはこの部分の液体
が吐出されるため、ヘッドの温度上昇を低く抑えられ
る。
【0158】この後、可動部材31は図14(g),
(h)のそれぞれに示すようにその変位が初期状態とな
るまで除々に戻るが、図14(f),(g)に示すよう
な初期状態となるまで可動部材31の自由端の上側と下
側には上述したメニスカスM1,M2がそれぞれ形成さ
れ、可動部材31は各メニスカスM1,M2の力がバラ
ンスするように変位しながら初期状態に戻り、液体のリ
フィルも完了する。
【0159】上記のリフィル動作について説明する。
【0160】まず、可動部材31の上側部分におけるリ
フィル動作について説明する。
【0161】図14(e)に示すように、気泡40と外
気が連通すると、外気圧は気泡40の内圧よりも高いこ
とから外気が吐出ノズル内に取り込まれる。このとき、
吐出ノズル内の液体は外気が吐出ノズル内に取り込まれ
る際の気流による力と、気泡40の発生により液体内に
発生し、気泡40が負圧であることから抑制されていた
上流方向へ戻ろうとする力とによる上流方向へ後退する
運動が大きくなり、これに従って後退しようとする。
【0162】外気の入り込みは図14(e)に示す状態
のときに始まり、これにより作用する力は同図の状態の
ときに最も大きい。このとき、可動部材31の変位も最
も大きく、外気の入り込みを妨げる状態となっており、
外気の入り込みによってメニスカスが後退することが抑
制されている。この後、可動部材31は図20(h)に
示す状態に戻ろうとする。上述したように可動部材31
の上下にそれぞれメニスカスM1,M2が形成されてお
り、可動部材31が初期状態に戻ろうとして除々に下側
へ向けて移動すると、ぬれ性により液体も可動部材31
に伴って移動する。この移動方向はリフィルが行われる
方向であるため、可動部材31の上側部分におけるリフ
ィル動作は速やかに行われるものとなっている。
【0163】なお、可動部材31の下側部分におけるリ
フィル動作は気泡40の発生により開始となるが、可動
部材31が上方に向けて除々に移動することにより液体
がリフィル方向に移動するため、可動部材31の下側部
分におけるリフィル動作も速やかに行われるものとなっ
ている。
【0164】上述したように本実施例においては、可動
部材31の上側および下側の各部分におけるリフィル動
作が速やかに行われるものとなっている。また、可動部
材31が介在することからリフィル時に振動が発生する
ことが抑えられ、初期状態に早期に復帰できるものとな
っている。
【0165】さらに、メニスカスが2つ形成されるため
メニスカスの大きくなることが防止されている。気泡の
内圧が外気圧とほぼ等しい好ましい条件においては、液
体の上流方向への運動量が大きくなることからメニスカ
スが大きくなり、その後のリフィルが円滑に行われない
虞があるが、上記のようにメニスカスが2つ形成されて
大きくなることが防止され、この点からも毛細管力によ
るリフィルがより良好に行われるものとなっている。
【0166】(実施例8)次に、本発明の他の実施例に
ついて説明する。
【0167】図15(a)〜(d)および図16(e)
〜(g)は本発明の第8の実施例による吐出動作を連続
的に示す断面図である。
【0168】第1の実施例が発熱体の長手方向に液体を
吐出するタイプ(エッジシュート)であったのに対し
て、本実施例は発熱体202が形成される面と平行な面
に吐出口を有し、発熱体に垂直な方向に液体を吐出する
タイプ(サイドシュート)の液体吐出ヘッドである。各
図には、共通液室を不図示としているが、共通液室は図
面右側に設けられ、液流路を屈曲した形状としているも
ので、屈曲部の基板201の面に発熱体202が設けら
れている。また、発熱体202の左側部分は、発熱体2
02の発熱によって発生する気泡による吐出力を有効に
吐出口205へ導くために壁面とされている。また、該
壁面の下部は吐出後に泡が残ることを防ぐことを目的と
し、吐出時にも液体が残すために基板201側に向けて
開口面が広くなるようなテーパ形状とされている。この
ようなテーパ形状とすることにより、この部分には吐出
動作が行われても常に液体が滞留することとなり、泡の
発生が防がれる。
【0169】吐出口205は、吐出方向に向けて面積が
減少する形状とされ、発熱体202に対向して配置され
ている。吐出口205と発熱体202との間には開閉可
能な可動部材231が設けられている。
【0170】図15(a)に示す状態は、発熱体202
に電気エネルギー等のエネルギーが印加される前であ
り、発熱体202が熱を発生する前の状態の状態を示し
ている。本実施例においても、可動部材231は発熱体
202の発熱によって発生した気泡に対し、この気泡の
少なくとも下流側部分に対面する位置に設けられ、気泡
の下流側が可動部材231に作用するように、液流路構
造上では少なくとも発熱体202の面積中心より下流
(発熱体の面積中心を通って流路の長さ方向に直交する
線より下流)の位置まで可動部材231が配されてい
る。特に可動部材によって気泡を吐出口側に導く本発明
においては発熱体の吐出口側端部の位置にまで可動部材
が設けられていることがさらに望ましい。
【0171】図15(b)は、発熱体202に電気エネ
ルギー等が印加されて発熱体202が発熱し、発生した
熱によって気泡発生領域内を満たす液体の一部を加熱
し、膜沸騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0172】このとき可動部材231は気泡240の発
生に基づく圧力により、気泡240の圧力の伝搬方向を
壁面を介して吐出口205方向に導くように変位する。
【0173】ここで重要なことは前述したように、可動
部材231の自由端を下流側(吐出口18側)に配置
し、可動部材231の変位支点を上流側(共通液室側)
に位置するように配置して、可動部材の少なくとも一部
を発熱体の下流部分すなわち気泡240の下流部分に対
面させることである。
【0174】図15(c)は気泡240がさらに成長し
た状態であるが、気泡240発生に伴う圧力に応じて可
動部材231はさらに変位している。発生した気泡24
0は上流より下流に大きく成長するとともに図21
(a)に示した可動部材231の初期位置を越えて大き
く成長している。可動部材231は気泡240や発泡圧
を吐出口205方向へ導く際にもこの伝達の妨げになる
ことはほとんどなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効
率よく圧力の伝搬方向や気泡240の成長方向を制御す
ることができる。
【0175】上記のように気泡240の成長に応じて可
動部材231が徐々に変位して行くことで気泡240の
圧力伝搬方向や体積移動のしやすい方向、すなわち自由
端側への気泡の成長方向を吐出口205に向けて均一的
に向かわせることができる。また、これに伴って吐出口
205方向であるA方向に向って液体が移動する速度V
Aは上流側へ向うB方向へ移動する速度VBよりも充分大
きなものとなり、吐出効率が高いものとなっている。
【0176】図15(d)は気泡240が外気と連通す
る直前の状態を示している。この時点でも液流路内の気
泡240はその成長段階で液流路を完全に遮断すること
がないので、後続のインク記録のためのリフィル特性が
優れている。また、気泡240は吐出口205に対して
平板状である可動部材231の平面に垂直な方向につい
ては対称形状をなすため、吐出される液体の方向性は安
定したものとなる。
【0177】本実施例における、発生する気泡240を
決定するパラメータとしては、発熱体202の発生する
熱エネルギー量(発熱体202の構成、形成材料、駆動
条件、面積、発熱体202の設けられる基体の熱容量
等)、インク物性、記録ヘッドの各部の大きさ(吐出口
205と発熱体202間の距離、吐出口205や液流路
の幅および高さ)などが挙げられ、これらを適宜選択す
ることにより気泡240を所望の状態で外気と連通させ
ることができる。
【0178】図16(e)は気泡240と外気が連通し
た瞬間の状態を示す図である。図示するように、本実施
例においては可動部材231が設けられていることから
気泡240と外気が連通した状態においても吐出された
液体は吐出口周囲に対して片寄りがなく、均等バランス
で吐出口から離脱するため、安定した吐出方向性が得ら
れる。
【0179】また、図16(f)に示す吐出液体は、気
泡240が大気と連通する以前に気泡240との界面を
形成していた部分の多くを含むものとなる。気泡240
発生時における液体の温度分布は気泡240との界面の
温度が最も高いものであり、本実施例においてはこの部
分の液体が吐出されるため、ヘッドの温度上昇が低く抑
えられる。
【0180】この後、可動部材31は図16(g)に示
すようにその変位が初期状態となるまで除々に戻るが、
図16(g)に示すような初期状態となるまで可動部材
231の自由端の上側と下側にはメニスカスM1,M2
がそれぞれ形成され、可動部材231は各メニスカスM
1,M2の力がバランスするように変位しながら初期状
態に戻り、液体のリフィルも完了する。
【0181】本実施例におけるリフィル動作も図13お
よび図14に示した実施例と同様のものであり、速やか
に行われるとともにリフィル時に振動が発生することが
抑えられ、初期状態に早期に復帰できるものとなってい
る。
【0182】(実施例9)次に、本発明のさらに他の実
施例について説明する。図17(a)〜(d)および図
18(e)〜(g)は本発明の第9の実施例による吐出
動作を連続的に示す断面図である。
【0183】本実施例は第2の実施例と同様の構成のも
のであり、壁面の下部に吐出後に泡が残ることを防ぐこ
とを目的として形成されるテーパ形状が、第2の実施例
においては基板201側に向けて開口面が広くなるよう
に形成されていたのに対し、基板201側に向けて開口
面が狭くなるように形成されている点で異なっている。
【0184】本実施例の吐出動作は第8の実施例とほぼ
同様であるために詳細な説明は省略する。
【0185】本実施例においては、上記のようなテーパ
形状とすることにより、可動部材231の変位後の復帰
時に気泡が大気に連通した後に侵入した大気が効率良く
吐出口205側に誘導されて可動部材の下側部部となる
液流路(第2液流路)に気泡を残すことなく吐出口20
5から排出され、同時にリフィル完成が向上されて高速
駆動が可能となっている。また、仮に液体に覆われて気
泡状になった気体があったとしても、可動部材231の
変位の傾斜とその圧変化及びこのテーパ部とで、気泡形
成領域から排出できるので、気泡形成及び吐出効率の安
定化が保たれる。
【0186】なお、第7乃至第9の実施例において、第
1流路および第2流路には、同じ液体または異なる液体
が供給のいずれでもよい。吐出原理自体は各流路に供給
される液体にされる関係なく、上述した説明のように吐
出動作が行われるため、使用目的に応じて供給液体を適
宜選択すればよい。
【0187】<その他の実施例>以上、本発明の液体吐
出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施例について説明を
行ったが、以下にこれらの実施例に好ましく適用できる
実施態様例について図面を用いて説明する。但し、以下
の説明においては前述の1流路形態の実施例と2流路形
態の実施例のいずれかを取り上げて説明する場合がある
が特に記載しない限り、両実施例に適用しうるものであ
る。
【0188】<液流路の天井形状>図19は本発明の液
体吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第1液流路1
3(若しくは図1における液流路10)を構成するため
の溝が設けられた溝付き部材50が分離壁30上に設け
られている。本実施例においては可動部材の自由端32
位置近傍の流路天井の高さが高くなっており、可動部材
の動作角度θをより大きく取れるようにしている。この
可動部材の動作範囲は、液流路の構造、可動部材の耐久
性や発泡力等を考慮して決定すればよいが、吐出口の軸
方向の角度を含む角度まで動作することが望ましいと考
えられる。
【0189】また、この図で示されるように吐出口の直
径より可動部材の自由端の変位高さを高くすることで、
より十分な吐出力の伝達が成される。また、この図で示
されるように、可動部材の自由端32位置の液流路天井
の高さより可動部材の支点33位置の液流路天井の高さ
の方が低くなっているため、可動部材の変位よる上流側
への圧力波の逃げがさらに有効に防止できる。
【0190】<第2液流路と可動部材との配置関係>図
20は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配
置関係を説明するための図であり、同図(a)は分離壁
30、可動部材31近傍を上方から見た図であり、同図
(b)は、分離壁30を外した第2液流路16を上方か
ら見た図である。そして、同図(c)は、可動部材6と
第2液流路16との配置関係を、これらの各要素を重ね
ることで模式的に示した図である。なお、いずれの図も
図面下方が吐出口が配されている前面側である。
【0191】本実施例の第2の液流路16は発熱体2の
上流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体
位置、可動部材、第1流路を経て吐出口に向う大きな流
れの中の上流側のことである。)に狭窄部19を持って
おり、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容易に
逃げることを抑制するような室(発泡室)構造となって
いる。
【0192】従来のヘッドのように、発泡する流路と液
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側
に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を
設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮し
て、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない
構成を採る必要があった。
【0193】しかし、本実施例の場合、吐出される液体
の多くを第1液流路内の吐出液とすることができ、発熱
体が設けられた第2液流路内の発泡液はあまり消費され
ないようにできるため、第2液流路の気泡発生領域11
への発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述の狭
窄部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に狭く
できるため、第2液流路で発生した発泡時の圧力をあま
り周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可動部
材側に向けることができる。そしてこの圧力を可動部材
31を介して吐出力として利用することができるため、
より高い吐出効率、吐出力を達成することができる。た
だ、第1液流路16の形状は上述の構造に限られるもの
ではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動部材側に
伝えられる形状であれば良い。
【0194】なお、図20(C)で示されるように可動
部材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を覆
っており、このことで、可動部材31の第2液流路への
落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液
と発泡液との分離性をさらに高めることができる。ま
た、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さ
らに吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、
前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果
を高めることができる。
【0195】なお、図12(b)や図19においては、
可動部材6の第1の液流路14側への変位に伴って第2
の液流路4の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第1
の液流路14側に延在しているが、この様に気泡が延在
するような第2流路の高さにすることで、気泡が延在し
ない場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。
この様に気泡が第1の液流路14に延在するようにする
ためには、第2の液流路16の高さを最大気泡の高さよ
り低くすることが望ましく、この高さを数μm〜30μ
mとすることが望ましい。なお、本実施例においてはこ
の高さを15μmとした。
【0196】<可動部材および分離壁>図21は可動部
材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設け
られたスリットであり、このスリットによって、可動部
材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状で
あり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材
の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広く
なっており、可動部材の耐久性が向上する形状である。
動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図20
(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっ
ている形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流
路側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、
耐久性に優れた形状であればよい。
【0197】先の実施例においては、板状可動部材31
をおよびこの可動部材を有する分離壁5は厚さ5μmの
ニッケルで構成したが、これに限られることなく可動部
材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液に対
して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するた
めの弾性を有し、微細なスリットが形成できるものであ
ればよい。
【0198】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラ
ミックおよびその化合物が望ましい。
【0199】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の
近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱
性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、
金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もし
くは表面にチタンや金をコーティングしたものが望まし
い。
【0200】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0201】なお、可動部材31を形成するためのスリ
ット35の幅は本実施例では2μmとしたが、発泡液と
吐出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止した
い場合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形
成する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑制す
ればよい。例えば、発泡液として2cP(センチポア
ズ)程度の液体を用い、吐出液として100cP以上の
液体を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液
を防止することができるが、3μm以下にすることが望
ましい。
【0202】本発明における可動部材としてはμmオー
ダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダー
の厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚
さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(W
μm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考
慮することが望ましい。
【0203】スリットを形成する可動部材の自由端ある
いは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚み
と同等の場合(図12、図19等)、スリット幅と厚み
の関係を製造のバラツキを考慮して以下のような範囲に
することで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制するこ
とができる。このことは限られた条件ではあるが設計上
の観点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して高粘
度インク(5cp、10cp等)を用いる場合、W/t
≦1を満足するようにすることで、2液の混合を長期に
わたって抑制することが可能な構成となった。
【0204】本発明の「実質的な密閉状態」を与えるス
リットとしては、このような数μmオーダであればより
確実である。
【0205】上述のように、発泡液と吐出液とに機能分
離させた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部材と
なる。この可動部材が気泡の生成に伴って移動する際に
吐出液に対して発泡液がわずかに混入することが見られ
る。画像を形成する吐出液は、インクジェット記録の場
合、色材濃度を3%乃至5%程度有するものが一般的で
あることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴に対して
20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化をもたら
さない。従って、このような混液としては、吐出液滴に
対して20%以下となるような発泡液と吐出液との混合
を本発明に含むものとする。
【0206】尚、上記構成例の実施では、粘性を変化さ
せても上限で15%の発泡液の混合であり、5cps以
下の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよる
が、10%程度を上限とするものであった。
【0207】特に、吐出液の粘度を20cps以下にす
ればする程、この混液は低減(例えば5%以下)でき
る。
【0208】次に、このヘッドにおける発熱体と可動部
材の配置関係について、図を用いて説明する。ただし、
可動部材と発熱体の形状および寸法,数は、以下に限定
されるものではない。発熱体と可動部材の最適な配置に
よって、発熱体による発泡時の圧力を吐出圧として有効
に利用することが可能となる。
【0209】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図2
2に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係
にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが
存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様
子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在し
ていることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の
約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
【0210】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材の可動領域で覆われるように、可動部
材を配置するのが効果的であると、言える。本実施例に
おいては、発泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上
内側としたが、発熱体の種類や形成方法によっては、こ
れに限定されるものではない。
【0211】図23に、58×150μmの発熱体2に
可動領域の総面積が異なる可動部材301(図23
(a)図)、可動部材302(図23(b)図)を配置
したときの上部から見た模式図を示す。
【0212】可動部材301の寸法は、53×145μ
mで、発熱体2の面積よりも小さいが、発熱体2の発泡
有効領域と同じ程度の寸法であり、該発泡有効領域を覆
うように、配置されている。一方、可動部材302の寸
法は、53×220μmで発熱体2の面積よりも大きく
(幅寸法を同じにした場合、支点〜可動先端間の寸法が
発熱体の長さよりも長い)、可動部材301と同じよう
に発泡有効領域を覆うように配置されている。上記2種
の可動部材301、302に対し、それらの耐久性と吐
出効率について測定を行った。測定条件は以下の通りで
ある。
【0213】 発泡液 : エタノール40%水溶液 吐出用インク: 染料インク 電圧 : 20.2V 周波数 : 3kHz この測定条件で実験を行った結果、可動部材の耐久性に
関しては、(a)可動部材301の方は、1×107
ルス印加したところで可動部材301の支点部分に損傷
が見られた。(b)可動部材302の方は、3×108
パルス印加しても、損傷は見られなかった。また、投入
エネルギーに対する吐出量と吐出速度からもとまる運動
エネルギーも約1.5〜2.5倍程度向上することが確
認された。
【0214】以上の結果から、耐久性、吐出効率の両面
からみても、発泡有効領域の真上を覆うように可動部材
を設け、該可動部材の面積が発熱体の面積よりも大きい
方が、優れていることがわかる。
【0215】図24に発熱体のエッジから可動部材の支
点までの距離と、可動部材の変位量の関係を示す。ま
た、図25に、発熱体2と可動部材31との位置関係を
側面方向から見た断面構成図を示す。発熱体2は40×
105μmのものを用いた。発熱体2のエッジから可動
部材31の支点33までの距離lが大きい程、変位量が
大きいことがわかる。したがって、要求されるインクの
吐出量や吐出液の流路構造および発熱体形状などによっ
て、最適変位量を求め、可動部材の支点の位置を決める
ことが望ましい。
【0216】また、可動部材の支点が発熱体の発泡有効
領域直上に位置する場合は、可動部材の変位による応力
に加え、発泡圧力が直接支点に加わるため可動部材の耐
久性が低下してしまう。本発明者の実験によると、発泡
有効領域の真上に支点を設けたものでは、1×106
ルス程度で、可動壁に損傷が生じており、耐久性が低下
してしまうことが分かっている。したがって、可動部材
の支点は、発熱体の発泡有効領域直上外に配置すること
で耐久性がそれ程高くない形状や材質の可動部材であっ
ても実用可能性が高くなる。ただし、前記発泡有効領域
直上に支点がある場合でも形状や材質を選択すれば、良
好に用いることができる。かかる構成において、高吐出
効率および耐久性に優れた液体吐出ヘッドが得られる。
【0217】<素子基板>以下に液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0218】図26は本発明の液体吐出ヘッドの縦断面
図を示したもので、図26(a)は後述する保護膜があ
るヘッド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0219】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0220】素子基板1には、シリコン等の気体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウ
ム等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図11のよ
うにパターニングされている。この2つの配線電極10
4から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流
し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコ
ンやチッ化シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚
で形成し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテー
ション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、
インク等の各種の液体から抵抗層105を保護してい
る。
【0221】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0222】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく
その例を図26(b)に示す。このような保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル
−アルミ合金等が挙げられる。
【0223】このように、前述の各実施例における発熱
体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だ
けででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもの
でもよい。
【0224】本実施例においては、発熱体として電気信
号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有する
ものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐
出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであ
ればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受ける
ことで発熱するような光熱変換体や高周波を受けること
で発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0225】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0226】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図27で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅
7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加
えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によっ
て、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかし
ながら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発
泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であれば
よい。
【0227】<2流路構成のヘッド構造>以下に、第
1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入
でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする
液体吐出ヘッドの構造例について説明する。
【0228】図28は、このような液体吐出ヘッドの構
造を示す模式図であり、先の実施例と同じ構成要素につ
いては同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省
略する。
【0229】本実施例においては、溝付き部材50は、
吐出口18を有するオリフィスプレート51と、複数の
第1液流路14を構成する複数の溝と、複数の液流路1
4に共通して連通し、各第1の液流路3に液体(吐出
液)を供給するための第1の共通液室15を構成する凹
部とから概略構成されている。
【0230】この溝付部材50の下側部分に分離壁30
を接合することにより複数の第1液流路14を形成する
ことができる。このような溝付部材50は、その上部か
ら第1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を
有している。また、溝付部材50は、その上部から分離
壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2
の液体供給路21を有している。
【0231】第1の液体(吐出液)は、図28の矢印C
で示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通
液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の
液体(発泡液)は、図28の矢印Dで示すように、第2
液体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで第2
液流路16に供給されるようになっている。
【0232】本実施形態例では、第2液体供給路21
は、第1液体供給路20と平行して配されているが、こ
れに限ることはなく、第1共通液室15の外側に配され
た分離壁30を貫通して、第2共通液室17に連通する
ように形成されればどのように配されてもよい。
【0233】また、第2液体供給路21の太さ(直径)
に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。
第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、
矩形状等でもよい。
【0234】また、第2共通液室17は、溝付部材50
を分離壁30で仕切ることによって形成することができ
る。形成の方法としては、図31で示す本実施例の分解
斜視図のように、素子基板上にドライフィルムで共通液
室枠と第2液流路壁を形成し、分離壁を固定した溝付部
材50と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り合
わせることにより第2共通液室17や第2液流路16を
形成してもよい。
【0235】本実施形態例では、アルミニュウム等の金
属で形成された支持体70上に、前述のように、発泡液
に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生
する発熱体としての電気熱変換素子が複数設けられた素
子基板1が配されている。
【0236】この素子基板1上には、第2液流路壁によ
り形成された液流路16を構成する複数の溝と、複数の
発泡液流路に連通し、それぞれの発泡液流路に発泡液を
供給するための第2共通液室(共通発泡液室)17を構
成する凹部と、前述した可動壁31が設けられた分離壁
30とが配されている。
【0237】符号50は、溝付部材である。この溝付部
材は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1
液流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、そ
れぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共
通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、
第1共通液室に吐出液を供給するための第1供給路(吐
出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液を供
給するための第2の供給路(発泡液供給路)21とを有
している。第2の供給路21は、第1の共通液室15の
外側に配された分離壁30を貫通して第2の共通液室1
7に連通する連通路に繋がっており、この連通路によっ
て吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室1
5に供給することができる。
【0238】なお、素子基板1、分離壁30、溝付天板
50の配置関係は、素子基板1の発熱体に対応して可動
部材31が配置されており、この可動部材31に対応し
て吐出液流路14が配されている。また、本実施形態例
では、第2の供給路を1つ溝付部材に配した例を示した
が、供給量に応じて複数設けてもよい。さらに吐出液供
給路20と発泡液供給路21の流路断面積は供給量に比
例して決めればよい。
【0239】このような流路断面積の最適化により溝付
部材50等を構成する部品をより小型化することも可能
である。
【0240】以上説明したように本実施例によれば、第
2液流路に第2液体を供給する第2の供給路と、第1液
流路に第1液体を供給する第1の供給路とが同一の溝付
部材としての溝付天板からなることにより部品点数が削
減でき、工程の短縮化とコストダウンが可能となる。
【0241】また第2液流路に連通した第2の共通液室
への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体を分離す
る分離壁を突き抜ける方向で第2液流路によって行なわ
れる構造であるため、前記分離壁と溝付部材と発熱体形
成基板との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが
向上すると共に、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐出
することができる。
【0242】また、第2液体は、分離壁を突き抜けて第
2液体共通液室へ供給されるため、第2液流路に第2液
体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、
安定した吐出が可能となる。
【0243】<吐出液体、発泡液体>先の実施例で説明
したように本発明においては、前述のような可動部材を
有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い
吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することが
できる。本実施例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を
用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化
せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにく
く、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うこと
が可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣
化させない液体であれば種々の液体を用いることができ
る。
【0244】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0245】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0246】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0247】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0248】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0249】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができる記録液体として以下のような組成
のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によっ
てインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度
が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0250】染料インク粘土2cP: (C.I.フードブラック2)染料 3wt% ジエチレングリコール 10wt% チオジギリコール 5wt% エタノール 3wt% 水 77wt% また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を
組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来
のヘッドでは吐出が困難であった十数cps粘度の液体
はもちろん150cPという非常に高い粘度の液体でさ
えも良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができ
た。
【0251】発泡液1: エタノール 40wt% 水 60wt% 発泡液2: 水 100wt% 発泡液3: イソプロピルアルコール 40wt% 水 60wt% 吐出液1〔顔料インク(粘土約15cP)〕: カーボンブラック5 5wt% スチレン−アクリル酸− アクリル酸エチル強重合体 1wt% (酸化140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25wt% グリセリン 69wt% チオジグリコール 5wt% エタノール 3wt% 水 16.75wt% 吐出液2(粘土55cP): ポリエチレングリコール200 100wt% 吐出液3(粘土150cP): ポリエチレングリコール600 100wt% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこ
れらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上
述の実施例の構成においては、気泡の発生を発泡液を用
いることで充分に、しかも安定して行うことができる。
このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定
化を図ることができ記録画像品位を著しく向上すること
ができた。
【0252】次に、吐出液と発泡液を共に吐出すること
によって安定な吐出を達成する例について説明する。
【0253】(構成例1)以下、本発明における吐出液
と発泡液との好適な混合割合につき説明する。
【0254】本発明においては、吐出液と発泡液を共に
吐出することによって安定な吐出を達成している。
【0255】本構成の液体吐出ヘッドにおいては、常に
安定した吐出を得るために可動部材を十分に吐出流路
(第1の液流路)側に変位させている。そして、吐出液
と発泡液とを、ある混合割合で吐出させるようにするに
は、前述の狭窄部の開口面積を調整すること、可動部材
の変位量を可動部材の材質や形状で調整すること、発熱
体に印加する信号のパルス幅や駆動周波数を変化させる
こと等により、行うことができる。本構成例ではパルス
幅を長くし、駆動周波数を高くすることで、両液コード
の混合割合を高くする方法を用いて実験を行った。以下
に発泡液と吐出液とが同時に吐出口から吐出する場合と
しない場合との叶出特性を調べた結果を表1に示す。
【0256】このときの液体吐出ヘッドの形態は以下の
とおりである。
【0257】 発熱体の大きさ :58μm×150μm 可動部材の大きさ :53μm×220μm 第2の液流路の高さ:15μm また、発熱体に印加する信号の電圧は23Vとした。
【0258】また、使用した吐出液(インク)の組成は
以下のとおりである。
【0259】 染料 3重量% エチレングリコール 6重量% グリセリン 4重量% 尿素 4重量% イソプロビルアルコール 5重量% 水 78重量% さらに、使用した発泡液の組成は以下のとおりである。
【0260】 エタノール 40重量% 水 60重量% また、吐出速度の測定は、顕微鏡で吐出を観察し、スト
ロボを同期させて発光さえたときの観察タイミングと吐
出された液体の移動距離とに基づき算出することで行っ
た。
【0261】また、光学的濃度(OD)の値は、紙面上
にベタ印字を行い反射濃度計であるマクベス濃度計RD
−918(Adivision of kollmor
gen Corporation製)を用いてベタ部の
反射濃度を測定することで求めた。
【0262】また、吐出された液体の重量は以下の様に
測定した。
【0263】まず、発泡液と吐出液それぞれの供給タン
ク側にメスシリンダーを用い液体吐出時に消費される液
体の体積の変化量を測定しさらに各液体の比重を考慮し
て吐出された液体の重量を算出することで吐出液に対す
る発泡液の混合割合を求めた。
【0264】本構成例においては1ノズル当り2000
00発吐出させて消費されたおのおのの液体の重量を上
述した方法で測定した。
【0265】
【表1】 吐出安定性 △:吐出速度がばらつく ○:吐出速度のばらつき少ない ◎:吐出速度のばらつきがほとんどない 表1の結果から、吐出液に対する発泡液の混合割合(発
泡液の重量/吐出液の重量)は、0重量%では長時間吐
出させていると、13m/s〜17m/sの間で吐出速
度にばらつきが生じているものもあったが、発泡液の吐
出液に対する混合比率を高めるほど吐出速度のばらつき
が少なくなった。特に吐出速度の安定性がより高いレベ
ルで求められる場合には、発泡液の混合割合を10重量
%以上とすることが好ましく、20重量%以上あるいは
20重量%より大にすることがより好ましいことがわか
った。
【0266】従来のバブルジェット記録ヘッドは、液体
を加熱発泡し、その発泡圧力で液体を吐出させる方法で
あるため、発泡時に加熱された液体がもとの温度に戻る
までには時間がかかり、液体の温度が上昇したまま次の
発泡を開始して、液体を吐出させると、吐出量が大きく
変化したり吐出特性が不安定になったりすることが知ら
れている。しかしながら本発明によれば、発泡液を吐出
液と共に吐出させることで温度上昇した発泡液を排出す
ることが出来るため、さらに新しい発抱液を補給するこ
とが出来、発泡液の温度上昇を抑え、吐出安定性を高め
ることが出来る。
【0267】また、発泡液中に空気等が溶存している場
合は、上述した加熱動作により気泡が析出することがあ
る。この発熱体上に析出した気泡は、発泡液の発泡をみ
だすことがある為、発泡が不安定となり、吐出量が変化
したり、吐出速度がばらついたりして吐出特性が不安定
になったりする場合がある。この場合も、上述した本発
明による吐出方法と同じように発泡液を吐出液と共に吐
出させ、発抱液の昇温を抑えることにより吐出安定性を
高めることが出来る。
【0268】さらに、発泡液の組成によっては、上述し
た加熱動作等により成分変化が起こる場合がある。発泡
液の成分変化が起こった場合、発泡状態が変化し、吐出
特性が不安定になったりする。この場合も、上述した本
発明による吐出方法と同じように、発泡液を吐出液と共
に吐出させて発泡液を排出することで新しい発泡液が補
給されるので発泡液の成分変化がほとんどない状態に保
っことが出来、吐出安定性を高めることができる。
【0269】また、表1の発泡液の吐出液に対する混合
割合と光学的濃度(OpticalDensity,以
下(OD)又はOD値と称す)の変化は、吐出液の染料
濃度が3重量%の場合、発泡液の混合割合が0重量%の
時の初期OD値に対し、発泡液を混合することにより、
多少のOD値低下はあるが、発泡液が50重量%までの
混合であれば、O.Dは1.25が維持できた。
【0270】OD値が1.25以上であれば、様々な文
字や画像を印字したときに、視覚的に黒と認識され、薄
いと感じない為、O.Dが1.25以上となるように発
泡液の混合比率を50重量%以下に抑えれば、画像品位
も十分高いレベルで維持できる。よって、画像濃度の観
点からは、発泡液の混合割合は50重量%以下とするの
が好ましい。より好ましくは画像濃度のバラツキ等を考
慮すると30重量%以下である。
【0271】従って、本構成例によれば、印字品位の観
点からは発泡液の吐出液に対する混合割合を10〜30
重量%とするのがよく、吐出安定性や印字品位の総合的
観点からは発泡液の吐出液に対する混合割合が10重量
%以上が好ましく20重量%以上50重量%以下とする
のがより好ましいことがわかった。
【0272】本構成例では、染料濃度3重量%のインク
を用いたが、染料濃度3重量%以上の吐出液を用いれ
ば、発泡液を混合しても一定値以上のOD値を常に保ち
やすくなり、より安定した高画質な画像を得ることがで
きる。したがって、吐出特性や吐出信頼性等がそこなわ
れなければ、染料濃度が高いほど安定した濃度を得るこ
とが出来、染料濃度が5重量%より大である場合、発泡
液の混合割合が150重量%となっても良好な画像濃度
が得られる。逆に、発泡液の混合比を20重量%にして
おけば染料濃度は2.4重量%まで下げてもO.Dは
1.25を維持できる。さらに発泡液と吐出液との組み
合わせによっては、吐出時の混合により吐出液の吐出特
性を向上させ、印字品位を高めることも可能である。発
泡液と吐出液とを最適な混合割合で使用する場合は、発
泡圧、可動部材の形状変位量および第2流路の高さや、
第2液流路と第1液流路の境界部で可動部材の変位によ
って開口する開口面積の大きさ、形状等によって調整す
ることが可能である。ここで、色材濃度が3〜5重量%
の場合、前記混合割合は20〜50重量%が好ましく、
色材濃度が5重量%を越える場合は前記混合割合を20
〜150重量%とするのがよい。
【0273】また、気泡発生手段としての発熱体上への
堆積物(コゲ等)が生じにくい液体を吐出液と発泡液の
両方に用いる場合にも、上述の効果を得ることが出来
る。
【0274】(構成例2)本構成例においては、顔料分
散系の吐出液を用いて構成例1と同様の実験を行った。
この結果を表2に示す。
【0275】顔料分散系吐出液の組成は以下のとおりで
ある。
【0276】 カーボンブラック 3重量% グリセリン 10重量% チオジグリコール 6重量% イソプロピルアルコール 2重量% 水 74重量% 分散剤 1重量% 発泡液は構成例1と同様に、エタノール40重量%水溶
液を用いた。
【0277】
【表2】 本構成例においても構成例1と同様の結果が得られ吐出
安定性が求められる場合には、発泡液の混合割合が10
重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20
重量%以上にすることがよい。
【0278】また画像品位の観点からはOD値が1.2
5以上を維持する為に、発泡液の混合割合を50重量%
以下とするのがよい。
【0279】よって発泡液の混合割合が10重量%以
上、特に20重量%以上、50重量%以下とすることに
より、より安定した高画質の画像を得ることができる。
【0280】本構成例の場合も、構成例1と同様に、発
泡液と吐出液との組み合わせによっては、吐出時の混合
により吐出液の吐出特性を向上させ印字品位を高めるこ
とも可能である。
【0281】発泡液と吐出液との最適な混合割合は発泡
圧、可動部材の形状、変位量および第2流路の高さや、
第2流路と第1流路の境界部で可動部材の変位によって
開口する開口面積の大きさ、形状等によって調整するこ
とが可能である。
【0282】また、気泡発生手段としての発熱体上への
堆積物(コゲ等)が生じにくい液体を吐出液と発泡液の
両方に用いる場合にも、上述の効果は得ることが出来
る。
【0283】(構成例3)図29は本発明における第3
の構成例を説明するための色材濃度とOD値の関係を示
したものである。
【0284】図29より色材濃度とOD値との関係にお
いては、色材濃度が3重量%以上でOD値の変化率が小
さく、OD値が飽和状態になり、3重量%未満ではOD
値の変化率が大きくなる傾向がある。この絶対値は色材
やそれを溶し込む吐出液としての溶剤の成分や、画像を
記録する記録媒体や単位面積あたりに打ち込む液量によ
って差があるものであるが、相対的には同様な傾向を示
すものである。
【0285】このような特性カーブを利用し、本構成例
においては、色材濃度が1重量%のものを用い、色材濃
度によるOD値の変化率が大きくなる特性領域を用いて
濃度階調性を実現した。
【0286】使用した液体吐出ヘッドの形態は構成例1
で用いた形態と同様であるが第2液流路の高さは30μ
mのものを用いた。
【0287】使用した吐出液の組成は以下のとおりであ
る。
【0288】 染料 1重量% エチレングリコール 6重量% グリセリン 4重量% 尿素 4重量% イソプロピルアルコール 5重量% 水 80重量% さらに使用した発泡液の組成は以下のとおりである。
【0289】 エタノール 40重量% 水 60重量% 表3は本構成例として、上記1重量%の染料の吐出液を
用い、吐出液に対する発泡液の混合割合を変化させたと
きの光学的濃度(OD)の変化を測定したものである。
【0290】
【表3】 表3の結果より染料濃度1重量%の吐出液を用いて、発
泡液の混合割合を変化させてOD値を大きく変化させる
ことで効率良く濃度階調を得ることが可能であり、例え
ば発泡液を混合していない場合に比ベて、発泡液を30
0重量%混合し場合には、約50%OD値を変化させる
ことができた。
【0291】前記表3の結果に基づき発泡液の混合割合
と光学的濃度(OD値)との関係を示したものが図30
である。
【0292】このように、OD値の異なる液体を吐出さ
せることにより階調のある画像を得ることができる。
【0293】また、本発明の濃度階調制御は、図29の
色材濃度−OD値特性カーブから明らかなように吐出液
の染料濃度が3重量%以下であれば、濃度変化が急激に
高くなるため制御効果を高めることができる。さらに、
濃度階調を有効に行なうためには色材濃度0.3重量%
以上の領域を用いることが重要で、0.3重量%未満で
あると、濃い部分の光学的濃度が十分得られなくなる場
合がある。
【0294】また、色材は染料に限らず、構成例2のよ
うに顔料であってもよい。
【0295】(構成例4)本構成例においては、構成例
1と同様のヘッドを使用して吐出液には顔料インクとし
て、C.Iピグメントレッド57を含むインク、発泡液
には染料インクとしてC.Iダイレクトレッドを含むイ
ンクを用いた。
【0296】各インクには分散剤、水または水混和性有
機溶剤の混合系その他従来公知の粘度調整剤、表面張力
調整剤、PH調整剤、バインダーなどを添加した。
【0297】バブルジエットヘッドは、液体を加熱発泡
させ、その発泡圧力によって液体を吐出させる方法であ
る為、液体に顔料インクを用いた場合、前述の加熱によ
り長期間駆動した場合、染料インクよりも発熱体上堆積
物を生じ易く、吐出が不安定になるおそれがある。しか
しながら、本構成例によれば、発泡液に染料インクを用
いることにより染料インクと同等の発熱体表面状態を保
つことができ、吐出状態の長期安定性が向上する。
【0298】また、顔料インクによる記録画像は、耐水
性、耐光性等の耐候性関しては、染料インクより優れて
いるが、彩度等の色味の点で劣るものがあるが、本実施
によれば、顔料インクと染料インクの両方を吐出動作に
伴って可動部材を介して、混合して吐出させることで、
顔料インクと染料インクの両方の特徴を生かした両像す
なわち、色再現性を向上させつつ耐候性の高い記録画像
を形成することができる。
【0299】しかも、本発明によれば、染料インクと顔
料インクを実質的に分離した状態で保持し、吐出時に混
合するため染料インク顔料インクの組合せによって、初
めから混合された状態で長期間放置しておくことで、顔
料の粒子が凝集が進み、粒径が大きくなってしまい、吐
出が不安定になったり場合によっては目詰まり等を起こ
し、不吐出になってしまうといったこともない。
【0300】吐出安定性や画像品位向上等にみられる顔
料インクと染料インクとの相乗効果が顕著に現れる組み
合わせとして、好ましい染料は、C.Iダイレクトレッ
ド2、20、31、46、75、83で示される直接染
料、C.Iアシッドレッド52、92、94、106、
133、154、155、249、265、274に示
される酸性染料、C.Iベーシックレッド1、2、1
2、13、14に示される塩基性染料が挙げられる。
【0301】同様に本発明に好適に使用される顔料は、
C.Iピグメントレッド5、11、48、49、57、
60、139、144、165、166で示されるアゾ
顔料、C.Iピグメントレッド122、209で示され
るキナクリドン系顔料、C.Iピグメントレッド123
で示されるペリレン系顔料などが挙げられる。
【0302】本構成例では構成例1、2で述べた吐出安
定性向上の効果に加えて染料インクの彩度の優れた点を
効果的に画像にいかす条件として、顔料インクに対する
染料インクの混合割合を10重量%以上とした。
【0303】吐出液と発泡液を同じ液体とする場合に
は、大気下での状態変化が少ない液体を用いることによ
り、吐出口に目詰まりが発生することができる。
【0304】本実施例においては、吐出液と発泡液とを
異なる液体とし、以下の表に示すように組み合せた。こ
れらの各組み合わせにおいては、非記録時に外気(大
気)と触れている吐出液としては、外気と触れても状態
の変化が少なく、信頼性の良好なインクを用いることと
し、発泡液としては画像を良好とする色剤を含有したイ
ンクを用いることとした。また、吐出液として信頼性の
良好な色剤を含有したインクを用いることとし、発泡液
としては画像を良好とするインクを用いることとした。
【0305】
【表4】 上記のような組み合せとすることによる効果について、
以下に説明する。
【0306】組み合せA 吐出液のクリアインクとして、高沸点有機溶剤を含んだ
固着しにくいインクを用い、発泡液の色剤を含んでいる
インクとして各種染料、顔料を含んだインクを用い、特
に、染料としてカウンターイオンが揮発性等、外気に触
れると固着しやすいものを用いることにより耐水性、信
頼性が向上する。
【0307】また、顔料は樹脂分散系、界面活性剤系等
が外気と直接触れないために、今まで固着が生じること
により問題点とされていた信頼性を向上することができ
る。具体的な組み合せの実施例としては以下に示すもの
が挙げられる。
【0308】吐出液1: グリセリン 10wt% エチレングリコール 10wt% 純水 80wt% 吐出液2: ジエチレングリコール 10wt% ポリエチレングリコール(分子量200)10wt% 発泡液2: 分散トナー*) 50wt% ジエチレングリコール 10wt% グリシン 10wt% 水 30wt% *)MCF88(商品名、カーボンブラック、三菱化学
株式会社)10重量部、スチレンアクリル共重合樹脂
(分子量8000、星光化学)10重量部及び水80重
量を混合調製した分散トナー組み合せB 吐出液の表面張力40〜20dyne/cuのインクとしてアニオ
ン、カチオン、ノニオン、両性界面活性剤等を含んだイ
ンクを用い、発泡液の色剤を含んでいるインクとして各
種染料、顔料を含んだインクを用いることにより、耐水
性、信頼性が向上する。
【0309】また、顔料は樹脂分散系、界面活性剤系等
が外気と直接触れないために、今まで固着が生じること
により問題点とされていた信頼性を向上することができ
る。
【0310】さらに、吐出液の表面張力が低いことから
色剤を含んだ発泡液が記録媒体に接する前に吐出液が届
き、記録面をぬれやすくする。このため、色剤を含有す
るインクが記録媒体に届いたときには速やかに浸透(定
着)する。
【0311】さらに、色剤を含有するインクが記録媒体
に届いたときに、インク中の溶剤が記録媒体内に浸透し
やすく、色剤は記録剤体表面に染着するため、発色が良
好となる。具体的な組み合せの実施例としては以下に示
すものが挙げられる。
【0312】吐出液3: グリセリン 5wt% エチレングリコール 5wt% 2ピロリドン 5wt% サーフィノール465 1.5wt% 純水 83.5wt% 吐出液4: グリセリン 5wt% エチレングリコール 5wt% 2ピロリドン 5wt% サーフィノール465 1.5wt% 純水 83.5wt% 発泡液4: 分散トナー*) 50wt% ジエチレングリコール 10wt% グリシン 10wt% 水 30wt% *)MCF88(商品名、カーボンブラック、三菱化学
株式会社)10重量部、スチレンアクリル共重合樹脂
(分子量8000、星光化学)10重量部及び水80重
量を混合調製した分散トナー組み合せC 吐出液の色剤を含んでいるインクとして各種染料、顔料
を含んだインクを用い、発泡液の水分を除去すると固体
となる水性インクとして樹脂(例えば、スチレンアクリ
ル酸共重合体等)等のアミン等で中性することにより、
水溶解となる物質を含んでいる水性インクを用いること
により、記録媒体定着時には光沢性等の樹脂独特の特性
が得られ、耐水性、信頼性を向上するとともに高画質と
することができる。具体的な組み合せの実施例としては
以下に示すものが挙げられる。
【0313】吐出液5: CIダイレクトブラック168 3wt% エチレングリコール 5wt% 尿素 5wt% チオジグリコール 5wt% 純粋 82wt% 上記のような組成の発泡液と吐出液を組み合わせて吐出
させて記録を行った。その結果、従来のヘッドでは吐出
が困難であった十数cps粘度の液体はもちろん150
cPという非常に高い粘度の液体でさえも良好に吐出で
き、高画質な記録物を得ることができた。
【0314】また、上記のような外気と触れたときの形
状安定性について、例えば金色等の特殊な色の記録を行
うための分散剤に色剤が分散された特殊なインクについ
て考えると、吐出液に色剤およびごく少量(または0)
の分散剤を含有させ、発泡液は分散剤のみを含有する構
成が考えられる。
【0315】上記のいずれの場合にも、吐出液体は吐出
液と発泡液が混ざって吐出されるが、吐出液中の発泡液
の割合を吐出エネルギーを調節することによって異なら
せることにより、階調表現を高くすることができる。
【0316】ところで、前述したような従来吐出されに
くいとされていた液体の場合には、吐出速度が低いため
に、吐出方向性のバラツキが助長され記録紙上のドット
の着弾精度が悪く、また吐出不安定による吐出量のバラ
ツキが生じこれらのことで、高品位画像が得にくかっ
た。しかし、上述の実施例の構成においては、気泡の発
生を発泡液を用いることで充分に、しかも安定して行う
ことができる。このことで、液滴の着弾精度向上とイン
ク吐出量の安定化を図ることができ記録画像品位を著し
く向上することができた。
【0317】なお、本発明に適用できる液体の種類は上
記実施例に限定されるものではなく、以下に、本発明に
好適な液体について述べる。
【0318】液体として水性液体を用いる場合は、水性
液媒体に、必要に応じて各種成分を溶解または分散させ
て水性の液体を調製することができる。この水性液媒体
としては、水、あるいは水と水溶性有機溶剤の混合物等
を挙げることができる。水溶性有機溶剤の具体例として
は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の
アミド類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリ
コール類;エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、
ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアル
キレングリコール類;エチレングリコールメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコー
ルの低級アルキルエーテル類;エタノール、イソプロピ
ルアルコール等の1価アルコール類;グリセリン;N−
メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン;トリエタノールアミン;スルホラン;ジ
メチルスルホキシド;及びシクロヘキサノール等を挙げ
ることができ、これらは単独で、あるいはこれらの2種
以上の組合せで用いることができる。
【0319】水溶性有機溶剤の含有量は、これを用いて
調製される液体の用途に応じて適宜選択されるが、例え
ば、液体中に1〜80重量%の量で配合することができ
る。
【0320】また、液体には、用いられる用途に応じ
て、染料、顔料、分散トナー等の色材、界面活性剤、p
H調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の種々の添加物の必要
量を、単独で、あるいはその2種以上を組合せて含有さ
せることができる。
【0321】染料、顔料、分散トナー等の色材として
は、各種の記録方法で用いられている公知のものから本
発明の目的に応じて選択して用いることができる。色材
の含有量も特に限定されないが、例えば、0.1〜20
重量%とすることができる。
【0322】表面張力調整剤として用いる界面活性剤と
しては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩、
アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン
酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン
類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤、
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフ
ェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオ
キサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エルテルエチレ
ンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキ
サイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加
物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加
物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールア
ミンの脂肪族アミド類等の非イオン性界面活性剤、アミ
ノ型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等を挙
げることができる。
【0323】液体の物性、例えば表面張力や粘度等は、
液体の用途に応じて、その組成を選択することで適宜調
整するとよい。
【0324】本発明で重要な点は、発泡液に対する吐出
液の増粘性が相対的に低いことであり、表現を変える
と、吐出液の、時間の経過に対する粘度の変化を表わす
蒸発粘度曲線が発泡液の蒸発粘度曲線よりも緩やかなも
のを用いればよい。
【0325】<液体吐出ヘッドの製造>次に、本発明の
液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
【0326】図2で示したような液体吐出ヘッドの場合
には、素子基板1上に可動部材31を設けるための土台
34をドライフィルム等をパターニングすることで形成
し、この土台34に可動部材31を接着、もしくは溶着
固定した。その後、各液流路10を構成する複数の溝と
吐出口18と共通液室13を構成する凹部を有する溝付
部材を、溝と可動部材が対応するような状態で素子基板
1に接合することで形成した。
【0327】次に、図10や図31で示されるような2
流路構成の液体吐出ヘッドの製造工程について説明す
る。
【0328】大まかには、素子基板1上に第2液流路1
6の壁を形成し、その上に分離壁30を取り付け、さら
にその上に第1液流路14を構成する溝等が設けられた
溝付き部材50を取り付ける。もしくは、第2液流路1
6の壁を形成した後、この壁の上に分離壁30を取り付
けた溝付き部材50を接合することでヘッドの製造を行
った。
【0329】さらに第2液流路の作製方法について詳し
く説明する。
【0330】図32(a)〜(e)は、本発明の液体吐
出ヘッドの製造方法の第1の実施例を説明するための概
略断面図である。
【0331】本実施例においては、(a)に示すよう
に、素子基板(シリコンウエハ)1上に半導体製造工程
で用いるのと同様の製造装置を用いてハフニュウムボラ
イドやチッ化タンタル等からなる発熱体2を有する電気
熱変換用素子を形成した後、次工程における感光性樹脂
との密着性の向上を目的として素子基板1の表面に洗浄
を施した。さらに、密着性を向上させるには、素子基板
表面に紫外線−オゾン等による表面改質を行った後、例
えばシランカップリング剤(日本ユニカ製:A189)
をエチルアルコールで1重量%に希釈した液を上記改質
表面上にスピンコートすることで達成される。
【0332】次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した
基板1上に、(b)に示すように、紫外線感光性樹脂フ
ィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディルSY
−318)DFをラミネートした。
【0333】次に、(c)に示すように、ドライフィル
ムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォトマスク
PMを介してドライフィルムDFのうち、第2の流路壁
として残す部分に紫外線を照射した。この露光工程は、
キヤノン(株)製:MPA−600を用いて行い、約6
00mJ/cm2の露光量で行った。
【0334】次に、(d)に示すように、ドライフィル
ムDFを、キシレンとブチルセルソルブアセテートとの
混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−3)で
現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化した部分
を第2液流路16の壁部分として形成した。さらに、素
子基板1表面に残った残渣を酸素プラズマアッシング装
置(アルカンテック社製:MAS−800)で約90秒
間処理して取り除き、引き続き、150℃で2時間、さ
らに紫外線照射100mJ/cm2を行って露光部分を
完全に硬化させた。
【0335】以上の方法により、上記シリコン基板から
分割、作製される複数のヒータボード(素子基板)に対
し、一様に第2の液流路を精度よく形成することができ
る。シリコン基板を、厚さ0.05mmのダイヤモンド
ブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密製:
AWD−4000)で各々のヒータボード1に切断、分
離した。分離されたヒータボード1を接着剤(東レ製:
SE4400)でアルミベースプレート70上に固定し
た(図35)。次いで、予めアルミベースプレート70
上に接合しておいたプリント配線基板71と、ヒータボ
ード1とを直径0.05mmのアルミワイヤ(図示略)
で接続した。
【0336】次に、このようにして得られたヒータボー
ド1に、図32(e)に示すように、上述の方法で溝付
部材50と分離壁30との接合体を位置決め接合した。
すなわち、分離壁30を有する溝付部材とヒータボード
1とを位置決めし、押さえバネ78により係合、固定し
た後、インク・発泡液用供給部材80をアルミベースプ
レート70上に接合固定し、アルミワイヤ間、溝付部材
50とヒータボード1とインク・発泡液用供給部材80
との隙間をシリコーンシーラント(東芝シリコーン製:
TSE399)で封止して完成させた。
【0337】以上の製法で、第2の液流路を形成するこ
とにより、各ヒータボードのヒータに対して位置ズレの
ない精度の良い流路を得ることができる。特に、溝付部
材50と分離壁30とをあらかじめ先の工程で接合して
おくことで、第1液流路14と可動部材31の位置精度
を高めることができる。
【0338】そして、これらの高精度製造技術によっ
て、吐出安定化が図られ印字品位が向上する。また、ウ
エハ上に一括で形成することが可能なため、多量に低コ
ストで製造することが可能である。
【0339】なお、本実施例では、第2の液流路を形成
するために紫外線硬化型のドライフィルムを用いたが、
紫外域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂を用
い、ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第2の
液流路となる部分の樹脂を直接除去することによっても
得ることが可能である。
【0340】図33(a)〜(d)は、本発明の液体吐
出ヘッドの製造方法の第2の実施例を説明するための概
略断面図である。
【0341】本実施例においては、(a)に示すよう
に、SUS基板100上に厚さ15μmのレジスト10
1を第2の液流路の形状でパターニングした。
【0342】次に、(b)に示すように、SUS基板1
00に対して電気メッキを行ってSUS基板100上に
ニッケル層102を同じく15μm成長させた。メッキ
液としては、スルフォミン酸ニッケルに応力減少剤(ワ
ールドメタル社製:ゼロオール)とほう酸、ピット防止
剤(ワールドメタル社製:NP−APS)、塩化ニッケ
ルを使用した。電着時の電界のかけ方としては、アノー
ド側に電極を付け、カソード側に既にパターニングした
SUS基板100を取り付け、メッキ液の温度を50℃
とし、電流密度を5A/cm2とした。
【0343】次に、(c)に示すように、上記のような
メッキを終了したSUS基板100に超音波振動を与
え、ニッケル層102の部分をSUS基板100から剥
離し、所望の第2の液流路を得た。
【0344】一方、電気熱変換用素子を配設したヒータ
ボードを、半導体と同様の製造装置を用いてシリコンウ
エハに形成した。このウエハを先の実施例と同様に、ダ
イシングマシンで各々のヒータボードに分離した。この
ヒータボード1を、予めプリント基板104が接合され
たアルミベースプレート70に接合し、プリント基板7
1とアルミワイヤ(図示略)とを接続することで電気的
配線を形成した。このような状態のヒータボード1上
に、図33(d)に示すように、先の工程で得た第2液
流路と位置決め固定した。この固定に際しては、後工程
で第1の実施例と同様に分離壁を固定した天板と押さえ
バネによって係合・密着されるため、天板接合時に位置
ズレが発生しない程度に固定されていれば十分である。
【0345】本実施例では、上記位置決め固定に紫外線
硬化型接着剤(グレースジャパン製:アミコンUV−3
00)を塗布し、紫外線照射装置を用い、露光量を10
0mJ/cm2として約3秒間で固定を完了した。
【0346】本実施例の製法によれば、発熱体に対して
位置ズレのない精度の高い第2の液流路を得ることがで
きることに加え、ニッケルで流路壁を形成しているた
め、アルカリ性の液体に強く、信頼性の高いヘッドを提
供することが可能となる。
【0347】図34(a)〜(d)は、本発明の液体吐
出ヘッドの製造方法の第3の実施例を説明するための概
略断面図である。
【0348】本実施例においては、(a)に示すよう
に、アライメント穴あるいはマーク100aを有する厚
さ15μmのSUS基板100の両面にレジスト31を
塗布した。ここで、レジストとしては、東京応化製のP
MERP−AR900を使用した。
【0349】この後、(b)に示すように、素子基板1
00のアライメント穴100aに合わせて、露光装置
(キヤノン(株)製:MPA−600)を用いて露光
し、第2の液流路を形成すべき部分のレジスト103を
除去した。露光は800mJ/cm2の露光量で行っ
た。
【0350】次に、(c)に示すように、両面のレジス
ト103がパターニングされたSUS基板100を、エ
ッチング液(塩化第2鉄または塩化第2銅の水溶液)に
浸漬し、レジスト103から露出している部分をエッチ
ングした後、レジストを剥離した。
【0351】次に、(d)に示すように、先の製造方法
の実施例と同様に、ヒータボード1上に、エッチングさ
れたSUS基板100を位置決め固定して第2の液流路
4を有する液体吐出ヘッドを組み立てた。
【0352】本実施例の製法によれば、ヒータに対し位
置ズレのない精度の高い第2液流路4を得ることができ
ることに加え、SUSで流路を形成しているため、酸や
アルカリ性の液体に強く信頼性の高い液体吐出ヘッドを
提供することができる。
【0353】以上説明したように、本実施例の製造方法
によれば、素子基板状に予め第2液流路の壁を配設する
ことによって、電気熱変換体と第2液流路とが高精度に
位置決めすることが可能となる。また、切断、分離前の
基板上の多数の素子基板に対して第2の液流路を同時に
形成することができるので、多量に、かつ、低コストの
液体吐出ヘッドを提供することができる。
【0354】また、本実施例の製造方法の液体吐出ヘッ
ドの製造方法を実施することによって得られた液体吐出
ヘッドは、発熱体と第2液流路とが高精度に位置決めさ
れているので、電気熱変換体の発熱による発泡の圧力を
効率よく受けることができ、吐出効率に優れたものとな
る。
【0355】<液体吐出ヘッドカートリッジ>次に、上
記実施形態例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0356】図35は、前述した液体吐出ヘッドを含む
液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であ
り、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッ
ド部200と液体容器80とから概略構成されている。
【0357】液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、
分離壁30、溝付部材50、押さえバネ78、液体供給
部材90、支持体70等から成っている。素子基板1に
は、前述のように発泡液に熱を与えるための発熱抵抗体
が、複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵
抗体を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられ
ている。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁3
0との間に発泡液流路が形成され発泡液が流通する。こ
の分離壁30と溝付天板50との接合によって、吐出さ
れる吐出液体が流通する吐出流路(不図示)が形成され
る。
【0358】押さえバネ78は、溝付部材50に素子基
板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢
力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後
述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0359】支持体70は、素子基板1等を支持するた
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、
装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを
行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0360】液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給さ
れる、インク等の吐出液体と気泡を発生させるための発
泡液とを内部に区分収容している。液体容器90の外側
には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接続部
材を配置するための位置決め部94と接続部を固定する
ための固定軸95が設けられている。吐出液体の供給
は、液体容器の吐出液体供給路92から接続部材の供給
路84を介して液体供給部材80の吐出液体供給路81
に供給され、各部材の吐出液体供給路83,71,21
を介して第1の共通液室に供給される。発泡液も同様
に、液体容器の供給路93から接続部材の供給路を介し
て液体供給部材80の発泡液供給路82に供給され、各
部材の発泡液体供給路84,71,22を介して第2液
室に供給される。
【0361】以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおい
ては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給
を行いうる供給形態および液体容器で説明したが、吐出
液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と吐出
液の供給経路および容器を分けなくてもよい。
【0362】なお、この液体容器には、各液体の消費後
に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体
容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。又、液
体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよく、分離
可能としてもよい。
【0363】<液体吐出装置>図36は、前述の液体噴
射ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では特に吐出液体としてインクを用いたイ
ンク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置のキャ
リッジHCは、インクを収容する液体タンク部90と液
体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカートリッ
ジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送される記
録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動する。
【0364】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0365】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113キャリッジ軸
115等を有している。この記録装置及びこの記録装置
で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対し
て液体を吐出することで良好な画像の記録物を得ること
ができた。
【0366】図37は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0367】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0368】またCPU302は前記画像データを記録
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モー
タを駆動するための駆動データを作る。画像データおよ
びモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、
モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動
モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミン
グで駆動され画像を形成する。
【0369】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0370】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0371】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液
としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体
を用いればよい。
【0372】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0373】図38は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した
長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルラ
イン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ
(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定の
間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0374】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0375】各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,
Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜204dのイ
ンク容器から供給されている。なお、符号204eは発
泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘ
ッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0376】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0377】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0378】本実施例のインクジェット記録システムに
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置251および後処理装置252を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
【0379】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0380】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0381】なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラ
インヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述し
たような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して
記録を行う形態のものであってもよい。
【0382】<ヘッドキット>以下に、本発明の液体吐
出ヘッドを有するヘッドキットを説明する。図39は、
このようなヘッドキットを示した模式図であり、このヘ
ッドキットは、インクを吐出するインク吐出部511を
有する本発明のヘッド510と、このヘッドと不可分も
しくは分離可能な液体容器であるインク容器520と、
このインク容器にインクを充填するためのインクを保持
したインク充填手段とを、キット容器501内に納めた
ものである。
【0383】インクを消費し終わった場合には、インク
容器の大気連通口521やヘッドとの接続部や、もしく
はインク容器の壁に開けた穴などに、インク充填手段の
挿入部(注射針等)531の一部を挿入し、この挿入部
を介してインク充填手段内のインクをインク容器内に充
填すればよい。
【0384】このように、本発明の液体吐出ヘッドと、
インク容器やインク充填手段等を一つのキット容器内に
納めてキットにすることで、インクが消費されてしまっ
ても前述のようにすぐに、また容易にインクをインク容
器内に充填することができ、記録の開始を迅速に行うこ
とができる。
【0385】なお、本実施例のヘッドキットでは、イン
ク充填手段が含まれるもので説明を行ったが、ヘッドキ
ットとしては、インク充填手段を持たず、インクが充填
された分離可能タイプのインク容器とヘッドとがキット
容器510内に納められている形態のものであってもよ
い。
【0386】また、この図39では、インク容器に対し
てインクを充填するインク充填手段のみを示している
が、インク容器の他に発泡液を発泡液容器に充填するた
めの発泡液充填手段をキット容器内に納めた形態のもの
であってもよい。
【0387】
【発明の効果】本発明は上述したような吐出液体を用い
ることで、吐出口に目詰まりが発生することを防止する
ことができるとともに良好な画像を形成することができ
る効果がある。
【0388】また、可動部材を用いる新規な吐出原理に
基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等によると、発生
する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗効果
を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よく吐出で
きるため、従来のバブルジェット方式の吐出方法、ヘッ
ド等に比べて吐出効率を向上できる。
【0389】また、本発明の特徴的な構成によれば、低
温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出にな
ることを防止でき、仮に不吐出になっても予備吐出や吸
引回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態
に即座に復帰できる利点もある。これに伴い、回復時間
の短縮や回復による液体の損失を低減でき、ランニング
コストも大幅に下げることが可能である。
【0390】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0391】また、2流路構成のヘッドにおいて発泡液
として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物(こ
げ等)が生じにくい液体を用いることで、吐出液の選択
の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液体、発
熱体上に体積物を生じやすい液体等、従来のバブルジェ
ット吐出方法で吐出することが困難であった液体につい
ても良好に吐出することができた。
【0392】さらに熱に弱い液体等も、この液体に熱に
よる悪影響を与えず吐出することができた。
【0393】また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法
によると、上述のような液体吐出ヘッドを精度良く製造
でき、また部品点数を少なく、安価に、しかも容易に製
造することができる。
【0394】また、本発明の液体吐出ヘッドを記録用の
液体吐出記録ヘッドとして用いることで、さらに高画質
な記録を達成することができた。
【0395】また、本発明の液体吐出ヘッドを用い、液
体の吐出効率等がさらに向上した液体吐出装置や記録シ
ステム等を提供することができた。
【0396】また、本発明のヘッドカートリッジやヘッ
ドキットを用いることで、ヘッドの利用、再利用を容易
に成すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面
図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であ
る。
【図3】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図である。
【図4】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を
示す模式図である。
【図5】本発明の液体の流れを説明するための模式図で
ある。
【図6】本発明の第2の実施例における液体吐出ヘッド
の部分破断斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施例における液体吐出ヘッド
の部分破断斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施例における液体吐出ヘッド
の断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例における液体吐出ヘッド
の模式断面図である。
【図10】本発明の第6の実施例における液体吐出ヘッ
ド(2流路)の断面図である。
【図11】本発明の第6の実施例における液体吐出ヘッ
ドの部分破断斜視図である。
【図12】可動部材の動作を説明するための図である。
【図13】(a)〜(d)のそれぞれは本発明の第7の
実施例による吐出動作を連続的に示す断面図である。
【図14】(e)〜(h)のそれぞれは本発明の第7の
実施例による吐出動作を連続的に示す断面図である。
【図15】(a)〜(d)のそれぞれは本発明の第8の
実施例による吐出動作を連続的に示す断面図である。
【図16】(e)〜(g)のそれぞれは本発明の第8の
実施例による吐出動作を連続的に示す断面図である。
【図17】(a)〜(d)のそれぞれは本発明の第9の
実施例による吐出動作を連続的に示す断面図である。
【図18】(e)〜(g)のそれぞれは本発明の第9の
実施例による吐出動作を連続的に示す断面図である。
【図19】可動部材と第1液流路の構造を説明するため
の図である。
【図20】可動部材と液流路の構造を説明するための図
である。
【図21】可動部材の他の形状を説明するための図であ
る。
【図22】発熱体面積とインク吐出量の関係を示す図で
ある。
【図23】可動部材と発熱体との配置関係を示す図であ
る。
【図24】発熱体のエッジと支点までの距離と可動部材
の変位量の関係を示す図である。
【図25】発熱体と可動部材との配置関係を説明するた
めの図である。
【図26】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図27】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図28】本発明の液体吐出ヘッドの供給路を説明する
ための断面図である。
【図29】色材濃度とOD値の関係を示す図である。
【図30】OD値と発泡液の混合割合の関係を示す図で
ある。
【図31】本発明のヘッドの分解斜視図である。
【図32】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図33】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図34】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法を説明す
るための工程図である。
【図35】液体吐出ヘッドカートリッジの分解斜視図で
ある。
【図36】液体吐出装置の概略構成図である。
【図37】装置ブロック図である。
【図38】液体吐出記録システムを示す図である。
【図39】ヘッドキットの模式図である。
【図40】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 15 第1共通液室 16 第2液流路 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 36 気泡発生領域前壁 37 気泡発生領域側壁 40 気泡 45 液滴 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね 80 供給部材
フロントページの続き (72)発明者 中田 佳恵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 石永 博之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須釜 定之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第1
    領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発生
    させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配さ
    れた第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から遠
    ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端より
    も上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡発
    生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第1
    の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該可
    動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッドに
    用いられる第1の液体であって、 該第1の液体は大気下での状態変化が少ないことを特徴
    とする可動部材を備えた液体吐出ヘッド用液体。
  2. 【請求項2】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第1
    領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発生
    させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配さ
    れた第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から遠
    ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端より
    も上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡発
    生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第1
    の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該可
    動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッドに
    用いられ、前記吐出口より吐出される第1、第2の液体
    であって、 前記第1の液体は相対的に大気下での状態変化が少な
    く、前記第2の液体は第1の液体に比べて大気下での状
    態変化が大きいことを特徴とする可動部材を備えた液体
    吐出ヘッド用液体。
  3. 【請求項3】前記第1および第2の液体の少なくとも一
    方は、色剤を含有し、前記第2の液体は第1の液体と一
    体となって飛翔されて画質を向上する特性を有すること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の可動部材
    を備えた液体吐出ヘッド用液体。
  4. 【請求項4】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第1
    領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発生
    させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配さ
    れた第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から遠
    ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端より
    も上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡発
    生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第1
    の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該可
    動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッドに
    用いられ、前記吐出口より吐出される第1、第2の液体
    であって、 前記第2の液体は色剤を含有し、前記第1の液体は前記
    色剤を分散する分散剤を含有することを特徴とする可動
    部材を備えた液体吐出ヘッド用液体。
  5. 【請求項5】インクジェットヘッドを用いた液体記録方
    法において、 蒸発粘度曲線の特性差がある第1、第2の液体を実質的
    に分離状態で有し、該ヘッドから吐出される1液滴が、
    第1液体と第2液体とがそれぞれの占有体積を略維持し
    た状態で、1飛翔滴をなしていることを特徴とする液体
    記録方法。
  6. 【請求項6】上記液滴は、吐出方向に関して先行する領
    域に主として蒸発粘度曲線に置ける変化が相対的に小さ
    な第1液体を有し、後方追従する領域に蒸発粘度曲線に
    おける変化が相対的に大きな第2液体を有していること
    を特徴とする請求項5に記載の液体記録方法。
  7. 【請求項7】上記第2液体は、大気に対して実質的に密
    閉状態で上記ヘッド手段に保持されており、上記第1液
    体は、吐出口において大気に開放された状態で上記ヘッ
    ド手段に保持されていることを特徴とする請求項6に記
    載の液体記録方法。
  8. 【請求項8】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第1
    領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発生
    させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配さ
    れた第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から遠
    ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端より
    も上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡発
    生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第1
    の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該可
    動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッドで
    あって、 前記第1の液体は大気下での状態変化が少なく、前記第
    2の液体は吐出液によって形成される画像を良好とする
    色剤を含有することを特徴とする可動部材を備えた液体
    吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第1
    領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発生
    させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配さ
    れた第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から遠
    ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端より
    も上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡発
    生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第1
    の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該可
    動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッドで
    あって、 前記第1の液体は大気下での状態変化が少ない色剤を含
    有し、前記第2の液体は第1の液体によって形成される
    画像を良好とすることを特徴とする可動部材を備えた液
    体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第
    1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配
    された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から
    遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端よ
    りも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡
    発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第
    1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該
    可動部材により該気泡を吐出口側へ導く液体吐出ヘッド
    であって、 前記第1の液体は色剤を含有し、前記第2の液体は前記
    色剤を分散する分散剤を含有することを特徴とする可動
    部材を備えた液体吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第
    1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配
    された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から
    遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端よ
    りも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡
    発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第
    1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該
    可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を吐出口
    領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記第1の液体と第2の液体のうちの少なくとも一方の
    液体は大気下での状態変化が少ないことを特徴とする可
    動部材を備えた液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第
    1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配
    された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から
    遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端よ
    りも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡
    発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第
    1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該
    可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を吐出口
    領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記第1の液体は大気下での状態変化が少なく、前記第
    2の液体は吐出液によって形成される画像を良好とする
    色剤を含有することを特徴とする可動部材を備えた液体
    吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第
    1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配
    された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から
    遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端よ
    りも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡
    発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第
    1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該
    可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を吐出口
    領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記第1の液体は大気下での状態変化が少ない色剤を含
    有し、前記第2の液体は第1の液体によって形成される
    画像を良好とすることを特徴とする可動部材を備えた液
    体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】第1の液体を吐出する吐出口を備えた第
    1領域と、第2の液体を備え、該第2の液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域と、該気泡発生領域に対面して配
    された第1の位置と該第1領域内で該気泡発生領域から
    遠ざかる第2の位置との間を変位可能であって自由端よ
    りも上流側に支点部を有する可動部材とを備え、該気泡
    発生領域における気泡の発生に伴って該可動部材を該第
    1の位置から該第2の位置の方向へ変位させると共に該
    可動部材により該気泡を吐出口側へ導いて液体を吐出口
    領域で外気に連通させて吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記第1の液体は色剤を含有し、前記第2の液体は前記
    色剤を分散する分散剤を含有することを特徴とする可動
    部材を備えた液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】請求項8乃至請求項14のいずれかに記
    載の液体吐出ヘッドを用いた画像形成方法であって、 吐出液中の発泡液の割合を変化させて液体を吐出させ、
    画像を形成する画像形成方法。
  16. 【請求項16】 請求項8乃至請求項14のいずれかに
    記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給され
    る液体を保持する液体容器とを有するヘッドカートリッ
    ジ。
  17. 【請求項17】 請求項8乃至請求項14のいずれかに
    記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を
    吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段
    と、を有する記録装置。
  18. 【請求項18】 請求項8乃至請求項14のいずれかに
    記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出さ
    れた液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送
    手段と、を有する記録装置。
JP8181890A 1996-07-11 1996-07-11 可動部材を備えた液体吐出ヘッド用液体と液体吐出ヘッド、画像形成方法および該液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジと記録装置 Pending JPH1024565A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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