JP3592101B2 - 液体吐出方法及び液体吐出ヘッド並びに液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出方法及び液体吐出ヘッド並びに液体吐出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを液体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望の液体を吐出する液体吐出方法及び液体吐出ヘッド並びに液体吐出装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、気泡の発生を利用して変位する可動部材を用いた液体吐出方法及び液体吐出ヘッド並びに該吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジ及び液体吐出装置に関する。
【0003】
また本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明である。
【0004】
なお、本発明における、「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0005】
【従来の技術】
熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特許第4,723,129等の公報に開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が一般的に配されている。
【0006】
この様な記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができると共に、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンター、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0007】
このようにバブルジェット技術が多方面の製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近年さらにたかまっている。
【0008】
例えば、エネルギー効率の向上の要求に対する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0009】
また、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案されている。
【0010】
この流路形状の内、流路構造として図27(a),(b)に示すものが、特開昭63−199972号公報等に記載されている。この公報に記載されている流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向かう圧力、即ち、液室54へ向かう圧力)に着目した発明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0011】
図27(a),(b)に示す発明は、素子基板1に設けられている発熱体2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発熱体2に関して吐出口18とは反対側に位置する弁55を開示する。
【0012】
図27(b)においては、この弁55は、板材等を利用する製造方法によって、液流路10の天井に貼り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って液流路10内へ垂れ下がるものとして開示されている。この発明は、上述したバック波の一部を弁55によって制御することでエネルギー損失を抑制するものとして開示されている。
【0013】
しかしながら、この構成において、吐出すべき液体を保持する液流路10内部に、気泡が発生した際を検討するとわかるように、弁55によるバック波の一部を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なものでないことがわかる。
【0014】
もともとバック波自体は、前述したように吐出に直接関係しないものである。このバック波が液流路10内に発生した時点では、図27(b)に示すように、気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに液流路10から液体を吐出可能状態にしている。従って、バック波のうち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に大きな影響を与えないことは明らかである。
【0015】
他方、バブルジェット記録方法においては、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すため、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生するが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生することで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なインクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出すべき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望まれていた。
【0016】
このような観点から、熱により気泡を発生させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号、特開昭55−81172号、米国特許第4,480,259等の公報に開示されている。これらの公報では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムなどの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接しないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防止や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0017】
しかしながら、上述した吐出液と発泡液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収してしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくないため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下してしまっていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本出願人は、気泡発生領域に対面して可動部材を有する分離壁を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により可動部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出方法および液体吐出ヘッドを提案している。このヘッドにより、エネルギー効率や吐出力が向上すると共に、熱により焦げやすいインクや変質しやすいインクの使用が可能となった。しかし、このヘッドでも次のような問題が発生することがある。
【0019】
▲1▼ 可動部材の剛性や形状によっては、消泡時、気泡の負圧力によって吐出液が発熱体上(第2液流路側)へ混入して、発熱体の焦げやインクの変質が発生する場合がある。
【0020】
▲2▼ また、吐出液と発泡液に圧力差が生じた際、ヘツドを長期放置すると、第1液流路と第2液流路の開口部より吐出液と発泡液の混液が生じる場合がある。
【0021】
このように、発熱体の焦げやインクの変質、混液が発生すると発熱体の寿命低下、特性の変化、品質の信頼性低下などを招く。
【0022】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その主たる目的は、従来の吐出ヘッドと比較して吐出効率が優れている可動部材を有する液体吐出ヘッドにおいて、その優れた吐出効率を維持しつつ、消泡時の吐出液の発熱体上へのまわり込みや、長期放置での吐出液と発泡液の混液を防止するとが可能な液体吐出ヘッドを提供しょうとするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述した課題を次のようにして解決した。
【0024】
(a) 気泡発生領域に対面して可動部材を有する分離壁を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により可動部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出ヘッドにより、非吐出時に前記可動部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断すると共に、該遮断部を加圧手段で加圧する。
【0025】
(b) 気泡発生領域に対面してシール部材を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により前記シール部材を介して方向制御部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出ヘッドにより、 非吐出時に前記シール部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断すると共に、該遮断部を前記方向制御部材で加圧する。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明による液体吐出方法は、気泡発生領域に対面して可動部材を有する分離壁を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により可動部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出方法であって、非吐出時に前記可動部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断し、該遮断部を第2液流路に向けて加圧することを特徴とする。
【0027】
本発明による他の液体吐出方法は、気泡発生領域に対面してシール部材を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により前記シール部材を介して方向制御部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出方法であって、非吐出時に前記方向制御部材によって第1液流路と第2液流路の開口部をシール部材を介して遮断し、該遮断部を第2液流路に向けて加圧することを特徴とする。
【0028】
本発明による液体吐出ヘッドは、気泡発生領域に対面して可動部材を有する分離壁を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により可動部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、非吐出時に前記可動部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断すると共に、該遮断部を第2液流路に向けて加圧手段で加圧することを特徴とする。
【0029】
前記加圧手段として、前記可動部材をその支点を屈曲点として第2流路側に曲げることが好ましい。
【0030】
前記加圧手段として、前記記第1液流路の圧力を第2液流路の圧力より高くす.ことが好ましい。
【0031】
前記加圧手段として、前記可動部材の下方に磁力発生手段を配設することが好ましい。
【0032】
前記加圧手段として、前記可動部材の上部に前記遮断部を押える押え部材を配設することが好ましい。
【0033】
本発明による他の液体吐出ヘッドは、気泡発生領域に対面してシール部材を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により前記シール部材を介して方向制御部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、非吐出時に前記シール部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断すると共に、該遮断部を前記方向制御部材で加圧することを特徴とする。
【0034】
前記方向制御部材の下部に凸状ボッチを設けることが好ましい。
【0035】
前記方向制御部材は、前記シール部材の上部に配設され前記遮蔽部を押える押え部材と、該押え部材の上部に配設され気泡の圧力をシール部材を介して吐出口側に導く可動部材とから構成されることが好ましい。
【0037】
本発明による液体吐出装置は、上述した液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドを搭載し、被記録媒体の搬送方向と交差する走査方向に往復移動可能なキャリッジとを有し、被記録媒体への記録を行うことを特徴とする。
【0038】
なお、前記非吐出時とは、非発泡時または非動作時を含むものである。
【0039】
また、本発明の説明で用いる「上流」「下流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、又はこの構成上の方向に関しての表現として表されている。
【0040】
また、気泡自体に関する「下流側」とは、主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気泡を意味する。
【0041】
また、本発明の説明で用いる「実質的に密閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜けない程度の状態を意味する。
【0042】
また、本発明でいう「分離壁」とは、広義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液体の混合を防止するものを意味する。
【0043】
また、本発明でいう「可動部材に作用させる気泡の圧力」とは、気泡の発生および成長に伴う気泡から可動部材の伝搬する圧力波と気泡と可動部材の間に介在する液体の気泡の圧力に伴う移動が可動部材に作用する力の少なくともいずれかを含む。
【0044】
【実施例】
(原理説明)
以下、図面を参照して本発明に適用可能な吐出原理について詳細に説明する。
【0045】
図9は液体吐出ヘッドを液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図10はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0046】
図9の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネルギーを作用させる発熱体2(本実施例においては40μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設けられており、この素子基板上に発熱体2に対応して液流路10が配されている。液流路10は吐出口18に連通していると共に、複数の液流路10に液体を供給するための共通液室13に連通しており、吐出口から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取る。
【0047】
この液流路10の素子基板上には、前述の発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有する材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニングして形成した土台(支持部材)34等に固定されている。これによって、可動部材は保持されると共に支点(支点部分)33を構成している。
【0048】
この可動部材31は、液体の吐出動作によって共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材との間が気泡発生領域となる。なお発熱体、可動部材の種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状および配置であればよい。なお、上述した液流路10は、後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材31を境にして直接吐出口18に連通している部分を第1の液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明する。
【0049】
発熱体2を発熱させることで可動部材31と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用し、液体にUSP4,723,129に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的に作用し、可動部材31は図9(b)、(c)もしくは図10で示されるように支点33を中心に吐出口側に大きく開くように変位する。可動部材31の変位若しくは変位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0050】
ここで、本発明に適用される基本的な吐出原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、気泡に対面するように配された可動部材が気泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、この変位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力や気泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことである。
【0051】
この原理を可動部材を用いない従来の液流路構造を模式的に示した図11と本発明の図12とを比較してさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をVBとして示した。
【0052】
図11で示されるような従来のヘッドにおいては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制する構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼすVA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速度等に直接寄与する重要な部分である。さらにV1は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4はVAに向かう方向成分が比較的少ない。
【0053】
これに対して、図12で示される本発明の場合には、可動部材31が図11の場合のように様々な方向を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するものであり、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よく吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根本的な向上を達成することができる。
【0054】
次に図9に戻って、上述した液体吐出ヘッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0055】
図9(a)は、発熱体2に電気エネルギー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可動部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも発熱体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで可動部材31が配されている。
【0056】
図9(b)は、発熱体2に電気エネルギー等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0057】
このとき可動部材31は気泡40の発生に基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。ここで重要なことは前述したように、可動部材31の自由端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部材の少なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下流部分に対面させることである。
【0058】
図9(c)は気泡40がさらに成長した状態であるが、気泡40の発生に伴う圧力に応じて可動部材31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線位置)を越えて大きく成長している。このように気泡40の成長に応じて可動部材31が徐々に変位して行くことで気泡40の圧力伝搬方向や体積移動のしやすい方向、すなわち自由端側への気泡の成長方向を吐出口に均一的に向かわせることができることも吐出効率を高めると考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を吐出口方向へ導く際もこの伝達の妨げになることはほとんどなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することができる。
【0059】
図9(d)は気泡40が、前述した膜沸騰の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態を示している。
【0060】
第2の位置まで変位していた可動部材31は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性による復元力によって図9(a)の初期位置(第1の位置)に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側から流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側からの流れVcのように液体が流れ込んでくる。
【0061】
以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明に適用可能な液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく説明する。
【0062】
図9(c)の後、気泡40が最大体積の状態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出口18側と第2液流路16の共通液室側13から流れ込む。可動部材31を持たない従来の液流路構造においては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものである)。
【0063】
このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さい場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くなって高速印字を妨げることとなっていた。
【0064】
これに対して本構成は可動部材31を設けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカスの後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給は主に第2流路16の流れVD2からの液供給によって成される。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対して、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量に抑えることが可能になった。
【0065】
さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿って、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行うことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0066】
ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカスの振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっていたが、本構成の高速リフィルにおいては可動部材によって吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生領域11との吐出口側での液体の流通が抑制されるためメニスカスの振動を極めて少なくすることができることである。
【0067】
このように本発明に適用される上述した構成は、第2液流路16の液体供給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィルを達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に用いた場合、画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0068】
本発明に適用される上述した構成においてはさらに次のような有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生による圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することである。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室33側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になっていた。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これらは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の妨げにもなっていた。本構成においては、まず可動部材31によって上流側へのこれらの作用を抑えることでもリフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0069】
次に、更なる特徴的な構造と効果について、以下に説明する。
【0070】
第2液流路16は、発熱体2の上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12を有している。このような場合、気泡発生領域11および発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように行われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀むことが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、また、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。なお、上述した構成では実質的に平坦な内壁を持つ液体供給路12を持つもので説明したが、これに限らず、発熱体表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を有する液供給路であればよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0071】
また、気泡発生領域への液体の供給は、可動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行われるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有効に吐出口に導くために図9で示すように気泡発生領域の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材を用い、可動部材31が第1の位置へ復帰することで、気泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い領域との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、前述のVD1から気泡発生領域11に向かっての液体の流れが妨げられる。しかし、上述した構成のヘッド構造においては、気泡発生領域に液体を供給するための流れVD2があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部材31で気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を求めた構造を取っても、液体の供給性能を落とすことがない。
【0072】
ところで、可動部材31の自由端32と支点33の位置は、例えば図13で示されるように、自由端が相対的に支点より下流側にある。このような構成のため、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できるのである。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れる液体に対する流抵抗を小さくでき高速にリフィルできるという効果を達成している。これは図13に示すように、吐出によって後退したメニスカスMが毛管力により吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行われる場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対し、逆らわないように自由端と支点33とを配置しているためである。
【0073】
補足すれば、本構成の図9においては、前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交する線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対して延在している。これによって発熱体の面積中心位置3より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力及び気泡を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根本的に向上させることができる。
【0074】
さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用して多くの効果を得ている。
【0075】
また、本構成においては可動部材31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていることも、液体の吐出に対して有効に寄与している考えられる。
【0076】
図14は他の実施例の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。同図において、Aは可動部材が変位している状態を示し(気泡は図示せず)、Bは可動部材が初期位置(第1位置)の状態を示し、このBの状態をもって、発泡領域11を吐出口18に対して実質的に密閉しているとする。(ここでは、図示していないがA、B間には流路壁があり流路と流路を分離している。)
図14における可動部材31は土台34を側部に2点設け、その間に液体供給路12を設けている。これにより、可動部材の発熱体側の面に沿って、また、発熱体の面と実質的に平坦もしくは、なだらかにつながる面を持つ液供給路から液体の供給を成すことができる。
【0077】
ここで、可動部材31の初期位置(第1位置)では、可動部材31は発熱体2の下流側および横方向に配された発熱体下流壁36と発熱体側壁37に近接または密着しており、気泡発生領域11の吐出口18側に実質的に密閉されている。このため、発泡時の気泡の圧力、特に気泡の下流側の圧力を逃がさず可動部材の自由端側に集中的に作用させることができる。
【0078】
また、消泡時には、可動部材31は第1位置に戻り、発熱体上への消泡時の液供給は気泡発生領域31の吐出口側が実質的に密閉状態になるため、メニスカスの後退抑制等、先の実施例で説明した種々の効果を得ることができる。また、リフィルに関する効果においても先の実施例と同様の機能、効果を得ることができる。
【0079】
また、本実施例においては、図10や図14のように、可動部材31を支持固定する土台34を発熱体2より離れた上流に設けると共に液流路10より、小さな幅の土台34とすることで前述のような液体供給路12への液体の供給を行っている。また、土台34の形状のこれに限らず、リフィルをスムースに行えるものであればよい。
【0080】
なお、本実施例においては可動部材31と発熱体2の間隔を15μm程度としたが、気泡の発生に基づく圧力が十分に可動部材に伝わる範囲であればよい。
【0081】
図15は、他の実施例の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であり、本発明の基本的な概念の一つを示すものである。図15は、一つの液流路中に気泡発生領域、そこで発生する気泡および可動部材との位置関係を示していると共に、本発明の液体吐出方法やリフィル方法をより分かり易く示したものでである。
【0082】
前述の実施例の多くは、可動部材の自由端に対して、発生する気泡の圧力を集中して、急峻な可動部材の移動と同時に気泡の移動を吐出口側に集中させることを達成している。これに対して、本実施例は、発生する気泡の自由度を与えながら、滴吐出に直接作用する気泡の吐出口側である気泡の下流側部分を可動部材の自由端側で規制するものである。
【0083】
構成上で説明すると、図15では、前述の図10の実施例に比較すると、図10の素子基板1上に設けられた気泡発生領域の下流端に位置するバリヤーとしての凸部が本実施例では設けられていない。つまり、可動部材の自由端領域および両側端領域は、吐出口領域に対して気泡発生領域を実質的に密閉せずに開放しており、この構成が本実施例である。
【0084】
本実施例では、気泡の液滴吐出に直接作用する下流側部分のうち、下流側先端部の気泡成長が許容されているので、その圧力成分を吐出に有効に利用している。加えて少なくともこの下流側部分の上方へ向かう圧力(図11のV2、V3、V4の分力)を可動部材の自由端側部分が、この下流側先端部の気泡成長に加えられるように作用するため吐出効率を上述した実施例と同様に向上する。前記実施例に比較して本実施例は、発熱体の駆動に対する応答性が優れている。
【0085】
また、本実施例は、構造上簡単であるため製造上の利点がある。
【0086】
本実施例の可動部材31の支点部は、可動部材の面部に対して小さい幅の1つの土台34に固定されている。従って、消泡時の気泡発生領域11への液体供給は、この土台の両側を通って供給される(図の矢印参照)。この土台は供給性を確保するものであればどのような構造でもよい。
【0087】
液体の供給時におけるリフィルは、本実施例の場合には、可動部材の存在によって気泡の消泡にともなって上方から気泡発生領域へ流れ込む流れが制御されるので、従来の発熱体のみの気泡発生構造に対して優れたものとなる。無論、これによって、メニスカスの後退量を減じることもできる。
【0088】
本実施例の変形実施例としては、可動部材の自由端に対する両側端(一方でも可)のみを気泡発生領域11に対して実質的に密閉状態とすることは好ましいものとして挙げられる。この構成によれば、可動部材の側方へ向かう圧力をも先に説明した気泡の吐出口側端部の成長に変更して利用することができるので、一層吐出効率が向上する。
【0089】
以上、本発明に適用可能な液体の吐出原理を、熱を加えることで発泡させる液体と吐出される液体が同じである1流路の液体吐出ヘッドによって説明したが、次に、主たる液体の吐出原理が同じである、熱を加えることで発泡させる液体(発泡液)と主として吐出される液体(吐出液)とを分けた2流路の液体吐出ヘッドによって説明する。
【0090】
図16は、2流路の液体吐出ヘッドの流路方向の断面模式図を示しており、図17はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0091】
2流路の液体吐出ヘッドは、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設けられた素子基板1上に、発泡用の第2液流路16があり、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1液流路14が配されている。 第1液流路の上流側は、複数の第1液流路に吐出液を供給するための第1共通液室15に連通しており、第2液流路の上流側は、複数の第2液流路に発泡液を供給するための第2共通液室17に連通している。
【0092】
ただし、発泡液と吐出液を同じ液体とする場合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0093】
第1と第2の液流路の間には、金属等の弾性を有する材料で構成された分離壁30が配されており、第1液流路と第2の液流路とを区分している。なお、発泡液と吐出液とができる限り混ざり合わない方がよい液体の場合には、この分離壁によってできる限り完全に第1液流路14と第2液流路16の液体の流通を分離した方がよいが、発泡液と吐出液とがある程度混ざり合っても、問題がない場合には、分離壁に完全分離の機能を持たせなくてもよい。
【0094】
発熱体の面方向上方への投影空間(以下吐出圧発生領域という。;図16中のAの領域とBの気泡発生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット35によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端で、共通液室(15、17)側に支点33が位置する片持梁形状の可動部材31となっている。この可動部材31は、気泡発生領域11(B)に面して配されているため、発泡液の発泡によって第1液流路側の吐出口側に向けて開口するように動作する(図中矢印方向)。
【0095】
図17においても、発熱体2としての発熱抵抗部と、この発熱抵抗部に電気信号を印加するための配線電極5とが配された素子基板1上に、第2の液流路を構成する空間を介して分離壁30が配置されている。
【0096】
可動部材31の支点33、自由端32の配置と、発熱体2との配置の関係については、上述した1流路のヘッドと同様にしている。また、1流路のヘッドにおいて、液体供給路12と発熱体2との構造の関係について説明したが、2流路のヘッドにおいても第2液流路16と発熱体2との構造の関係を同じくしている。
【0097】
次に図18を用いて2流路の液体吐出ヘッドの動作を説明する。
【0098】
ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させた。
【0099】
発熱体2が発生した熱が、第2液流路の気泡発生領域内の発泡液に作用することで、先の実施例で説明したのと同様に発泡液にUSP4,723,129に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生させる。
【0100】
2流路のヘッドおいては、気泡発生領域の上流側を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この気泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動部材6側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなって可動部材31が図18(a)の状態から図18(b)のように第1液流路側に変位する。この可動部材の動作によって第1液流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気泡の発生に基づく圧力が第1液流路の吐出口側の方向(A方向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のような可動部材の機械的変位によって液体が吐出口から吐出される。
【0101】
次に、気泡が収縮するに伴って可動部材31が図18(a)の位置まで戻ると共に、第1液流路14では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が上流側から供給される。2流路においても、この吐出液体の供給は前述の例と同様に可動部材が閉じる方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材で妨げることがない。
【0102】
2流路のヘッドは、可動部材の変位に伴う発泡圧力の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止等に関する主要部分の作用や効果については1流路のヘッドと同じであるが、2流路構成をとることによって、さらに次のような長所がある。すなわち、2流路の構成によると、吐出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた圧力によって吐出液を吐出することができる。このため従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液体であっても、この液体を第1の液流路に供給し、発泡液に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=4:6の混合液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第2の液流路に供給することで良好に吐出させることができる。
【0103】
また、発泡液として、熱を受けても発熱体の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択することで、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0104】
さらに、2流路のヘッドの構造においては1流路のヘッドで説明したような効果をも生じるため、さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐出することができる。
【0105】
また、加熱に弱い液体の場合においてもこの液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の液流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることなく、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出することができる。
【0106】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0107】
以下の実施例においても、主たる液体の吐出原理については、上述した説明と同じである。なお、本発明は、上述した2流路のヘッドに適用されるものである。図22は代表的な2流路のヘッドを示す分解斜視図である。
【0108】
同図に示すように、アルミ等の支持体70上に素子基板1が配され、その上に発熱体2、第2液流路16の第2液流路壁23および第2共通液室17の壁が設けられており、その上に可動部材31を有する分離壁30が設けられている。さらに、分離壁30の上に第1液流路14を構成する複数の溝、第1共通液室15、第1共通液室15に第1の液体を供給するための供給路20および第2共通液室17に第2の液体を供給するための供給路21が形成された溝付部材50が設けられおり、これらによって、2流路のヘッドが構成されている。
【0109】
(実施例1)
図1は、第1の実施例の液体吐出ヘッドの分解斜視図である。本ヘッドの構成は、図22に示した2流路のヘッドと分離壁の構成を除き同一である。
【0110】
図2は、本実施例の可動部材を有する分離壁を示す図であり、図2(a)は分離壁の位置決め・固定工程を示す図であり、図2(b)は分離壁の側面図である。
【0111】
図2(a)に示すように、本ヘッドは、曲げられた可動部材31を有する分離壁30と、第1液流路14となる溝部を有する溝付き部材50と、発熱体2と第2液流路16となる溝部を有するヒータボードを設けた素子基板1を所定の位置に位置決めを行ない、接合し固定することにより製造される。
【0112】
図1および図2に示すように、分離壁30に設けられた可動部材31は、自己応力を発生させるため、可動部材31の支点を屈曲点として発熱体側(第2液流路側)に曲げられている。
【0113】
本実施例のヘッドでは、可動部材31が発熱体側に曲げられているので、可動部材31は第1液流路14と第2液流路16の開口部を遮断すると共に、その自己応力によって可動部材31と第2液流路23壁による遮蔽部を加圧密閉する。このように、可動部材31をあらかじめ曲げるだけて、従来の構成を変えることがないため、コスト的にメリットがある。
【0114】
(実施例2)
図3は、第2の実施例の液体吐出ヘッドの可動部材の遮蔽部を示す図である。
【0115】
同図に示すように、第1液流路14の圧力P1を第2液流路16の圧力P2よりも常に高くし、この圧力差(吐出液の水頭−発泡液の水頭)によって可動部材31と第2液流路壁23による遮蔽部を加圧している。
【0116】
本実施例のヘッドでは、圧力差によって可動部材全体に均一に加重を印加できるので、遮蔽部の遮蔽性を高めることができる。また、遮蔽部に加わる圧力は圧力差を変えることによって容易に変えることができる。
【0117】
(実施例3)
図4は、第3の実施例の液体吐出ヘッドの可動部材の遮蔽部を示す図である。図4(a)は、発熱体2の下方に可動部材31の幅方向全域に渡って磁力発生素子である磁石24が配されている例を示し、図4(b)は、遮断部の直下のみ磁石24が配せられている例を示している。後者は可動部材31の遮断部と重ならない領域にまで、磁力の影響が及ばないようにしている。
【0118】
同図に示すように、可動部材31は磁石24によって第2液流路壁23に引き付けられて遮蔽部を加圧密着している。なお、可動部材31には磁力によって反応する材料を用いる。
【0119】
本実施例のヘッドでは、磁石24によって遮蔽部を加圧しているので、吐出時は可動部材31が変化して磁石24との距離が大きくなり磁力が弱まり、非吐出時は磁石との距離が最も小さくなるので遮断性が高まる。本実施例は、特に、ヘッド放置時に可動部材31に磁力を加え第2液流路壁23に引き付けて遮蔽部を加圧密着するのに適している。なお、磁石24に電磁弁等を用いてON/OFF可能とすると、第1液流路14と第2液流路16の開口部の開閉制御可能となる。
【0120】
(実施例4)
図5は、第4の実施例の液体吐出ヘッドの模式図である。図5(a)はヘッドの1ノズル部の上面図であり、図5(b)はその流路方向の断面図であり、図5(c)は図5(a)のA−A線断面図であり可動部材の遮蔽部を示す図である。
【0121】
同図に示すように、可動部材31の上(発熱体2とは反対側)に遮断部を加圧するための押え部材25が設けられている。押え部材25の先端側の中央部は切り欠かれ、遮断部のみを押える形状をしている。
【0122】
本実施例のヘッドでは、押え部材25により可動部材全体ではなく遮断部のみを集中的に加圧できる。また、可動部材31の剛性や変位形状に大きな影響を与えないので、従来の可動部材を流用することができる。
【0123】
(実施例5)
図6は、第5の実施例の液体吐出ヘッドの模式図である。図6(a)は1ノズル部の流路方向の断面図であり、図6(b)はその上面図である。
【0124】
本実施例では、第4の実施例の図5に示すヘッド構造において、可動部材をシール部材26に変え、押え部材25の上に方向制御部材としての可動部材31を配している。
【0125】
前記シール部材26は、発泡により変位した場合でも、できるかぎり第1液流路14と第2液流路16の開口部を遮断する必要があるので開口部よりも大きくされている。前記シール部材26の剛性は、押え部材25の1/100程度と小さくしている。このように、シール部材26の剛性を極端に小さくすることによって、気泡の圧力に素早く反応し、例えば消泡時に、より早く閉じることができる。前記押え部材25は実施例4と同様、遮断部のみを押える形状をしている。また、前記可動部材31は、その自由端32が遮蔽部の吐出口側には配されないように構成されている。その理由は、気泡の圧力を積極的に吐出口側へ向けるためである。
【0126】
本実施例のヘッドでは、シール部材26を第1液流路14と第2液流路16の開口部の分離用として機能させ、可動部材31を吐出効率向上用として機能させているので、吐出液と発泡液の分離効果と、吐出効率効果をおのおの最適化することができる。
【0127】
なお、本実施例の変形例として、図6(c)に示すように、前記押え部材25と前記可動部材31を一体化し、押え機能付き方向制御部材27としてもよい。
【0128】
(実施例6)
図7は第6の実施例の液体吐出ヘッドの模式図であり、図8は図7に示す液体吐出ヘッドの動作模式図である。
【0129】
図7に示すように、本実施例は、第5の実施例に示すヘッドの押え部材25のシール部材側に凸状ボッチ28を設け、シール部材26と押え部材25が密着しないようにしている。前記凸状ボッチ28は、押え部材25がシール部材26を介して遮蔽部と接する領域に設けられ、遮蔽部をポイントで加圧する。
【0130】
次に、上記ヘッドの動作について、図8の(a)〜(b)に従って説明する。 (a) 初期状態では、剛性が小さいシール部材26は、押え部材25の凸状ボッチ28で加圧されている。
【0131】
(b) 気泡の発生により、シール部材26、押え部材25、可動部材31が変位し始める。気泡40は可動部材31の作用により吐出方向に向かう。また、シール部材26は剛性が小さいため気泡40の形状に沿うように変形し、自由端26aの変位は少ない。
【0132】
(c) 消泡時、凸状ボッチ28の隙間から、吐出液がシール部材26と押え部材25の間に入り込む。シール部材26は押え部材25と密着せず気泡40の圧力に素早く反応し、押え部材25、可動部材31よりも早く、第1液流路14と第2液流路16の開口部を遮蔽する。
【0133】
(d) 押え部材25、可動部材31はシール部材26よりも遅れて初期状態に戻る。
【0134】
本実施例のヘッドでは、シール部材26と押え部材25が凸状ボッチ28によって分離することで、シール部材26による第1液流路14と第2液流路16の分離機能と、可動部材31による吐出効率向上機能の両者を満足させることができる。
【0135】
なお、第6の実施例の変形例である図6(c)に示すヘッドにおいて、押え機能付き方向制御部材のシール部材側に凸状ボッチを設けても同様な効果が得られる。
【0136】
(その他の実施例)
以上、本発明の液体吐出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施例について説明を行ったが、以下にこれらの実施例に好ましく適用できる実施形態例について図面を用いて説明する。
【0137】
<可動部材および分離壁>
図19(a)、(b)および(c)は、それぞれ可動部材31の他の形状を示す平面図であり、符号35は、分離壁に設けられたスリットであり、このスリットによって、可動部材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状であり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材の動作が容易な形状であり、(c)は支点側が広くなっており、可動部材の耐久性が向上する形状である。可動部材の形状は容易に動作可能な形状で、耐久性に優れた形状であればよい。
【0138】
先の実施例においては、板状可動部材31をおよびこの可動部材を有する分離壁30は厚さ5μmのニッケルで構成したが、これに限られることなく可動部材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出液に対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するための弾性を有し、微細なスリットが形成できるものであればよい。
【0139】
可動部材の材料としては、耐久性の高い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およびその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐インク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングしたもの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。
【0140】
分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もしくは表面にチタンや金をコーティングしたものが望ましい。
【0141】
また、分離壁の厚さは、分離壁としての強度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0142】
なお、可動部材31を形成するためのスリット35の幅は本実施例では2μmとしたが、発泡液と吐出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止したい場合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形成する程度の間隔とし、夫々の液体同士の流通を抑制すればよい。例えば、発泡液として2cP(センチポアズ)程度の液体を用い、吐出液として100cP以上の液体を用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液を防止することができるが、3μm以下にすることが望ましい。
【0143】
本発明における可動部材としてはμmオーダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダーの厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(Wμm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考慮することが望ましい。
【0144】
スリットを形成する可動部材の自由端あるいは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚みと同等の場合(図17等)、スリット幅と厚みの関係を製造のバラツキを考慮して以下のような範囲にすることで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制することができる。このことは限られた条件ではあるが設計上の観点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して高粘度インク(5cp、10cp等)を用いる場合、W/t≦1を満足するようにすることで、2液の混合を長期にわたって抑制することが可能な構成となった。
【0145】
本発明の「実質的な密閉状態」を与えるスリットとしては、このような数μmオーダであればより確実である。
【0146】
上述のように、発泡液と吐出液とに機能分離させた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部材となる。この可動部材が気泡の生成に伴って移動する際に吐出液に対して発泡液がわずかに混入することが見られる。画像を形成する吐出液は、インクジェット記録の場合、色材濃度を3%乃至5%程度有するものが一般的であることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴に対して20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化をもたらさない。従って、このような混液としては、吐出液滴に対して20%以下となるような発泡液と吐出液との混合を本発明に含むものとする。
【0147】
なお、上記構成例の実施では、粘性を変化させても上限で15%の発泡液の混合であり、5cps以下の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよるが、10%程度を上限とするものであった。
【0148】
特に、吐出液の粘度を20cps以下にすればする程、この混液は低減(例えば5%以下)できる。
【0149】
<素子基板>
以下に液体に熱を与えるための発熱体が設けられた素子基板の構成について説明する。
【0150】
図20(a)および(b)は、それぞれ本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図を示したもので、同図(a)は後述する保護膜があるヘッド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0151】
素子基板1上に第2液流路16、分離壁30、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた溝付き部材50が配されている。
【0152】
素子基板1には、シリコン等の気体107に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タンタル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウム等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図13のようにパターニングされている。この2つの配線電極104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテーション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、インク等の各種の液体から抵抗層105を保護している。
【0153】
特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0154】
また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよくその例を図20(b)に示す。このような保護層を必要としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル−アルミ合金等が挙げられる。
【0155】
このように、前述の各実施例における発熱体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だけででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むものでもよい。
【0156】
本実施例においては、発熱体として電気信号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けることで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0157】
なお、前述の素子基板1には、前述の発熱部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供給するための配線電極104で構成される電気熱変換体の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0158】
また、前述のような素子基板1に設けられている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出するためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介して図21で示されるような矩形パルスを印加し、配線電極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によって、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であればよい。
【0159】
<吐出液体、発泡液体>
先の実施例で説明したように本発明においては、前述のような可動部材を有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することができる。本実施例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにくく、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うことが可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣化させない液体であれば種々の液体を用いることができる。
【0160】
このような液体の内、記録を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0161】
一方、本発明の2流路のヘッドを用い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液として前述のような性質の液体を用いればよく、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0162】
吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用できる。
【0163】
ただし、吐出液の性質として吐出液自身、又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0164】
記録用の吐出液体としては、高粘度インク等をも利用することができる。その他の吐出液体としては、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもできる。
【0165】
本発明においては、吐出液と発泡液の両方に用いることができる記録液体として以下のような組成のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し非常に良好な記録画像を得ることができる。
【0166】
Figure 0003592101
また、発泡液と吐出液に以下に示すような組成の液体を組み合せて吐出させて記録を行なった。その結果、従来のヘッドでは困難であった10cP粘度の液体はもちろん150cPという非常に高い粘度の液体で良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができた。
【0167】
Figure 0003592101
ところで、前述したような従来吐出されにくいとされていた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じ、これらのことで高品位画像が得られにくかった。しかし、上述の実施例の構成においては、気泡の発生を発泡液を用いることで充分に、しかも安定して行なうことができる。このことで、液滴の着弾精度の向上とインク吐出量の安定化を図ることができ、記録画像品位を著しく向上させることができた。
【0168】
<液体吐出ヘッドカートリッジ>
次に、上記実施形態例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0169】
図23は、前述した液体吐出ヘッドを含む液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であり、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッド部200と液体容器90とから概略構成されている。
【0170】
液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、分離壁30、溝付部材50、押さえバネ78、液体供給部材80、支持体70等から成っている。素子基板1には、前述のように発泡液に熱を与えるための発熱抵抗体が、複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵抗体を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられている。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁30との間に発泡液路が形成され発泡液が流通する。この分離壁30と溝付部材50との接合によって、吐出される吐出液体が流通する吐出流路(不図示)が形成される。
【0171】
押さえバネ78は、溝付部材50に素子基板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0172】
支持体70は、素子基板1等を支持するためのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0173】
液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給される、インク等の吐出液体と気泡を発生させるための発泡液とを内部に区分収容している。液体容器90の外側には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接続部材を配置するための位置決め部94と接続部を固定するための固定軸95が設けられている。吐出液体の供給は、液体容器の吐出液体供給路92から接続部材の供給路を介して液体供給部材80の吐出液体供給路81に供給され、各部材の吐出液体供給路83,73,20を介して第1の共通液室に供給される。発泡液も同様に、液体容器の供給路93から接続部材の供給路を介して液体供給部材80の発泡液供給路82に供給され、各部材の発泡液体供給路84,73,21を介して第2液室に供給される。
【0174】
以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおいては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給を行いうる供給形態および液体容器で説明したが、吐出液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と吐出液の供給経路および容器を分けなくてもよい。
【0175】
なお、この液体容器には、各液体の消費後に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。又、液体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよく、分離可能としてもよい。
【0176】
<液体吐出装置>
図24は、前述の液体噴射ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示している。本実施例では特に吐出液体としてインクを用いたインク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置のキャリッジHCは、インクを収容する液体タンク部90と液体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカートリッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送される記録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動する。
【0177】
不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液体が吐出される。
【0178】
また、本実施例の液体吐出装置においては、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャリッジに伝えるためのギア112、113、キャリッジ軸115等を有している。この記録装置及びこの記録装置で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対して液体を吐出することで良好な画像の記録物を得ることができた。
【0179】
図25は、本発明の液体吐出方法および液体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるための装置全体のブロック図である。
【0180】
記録装置は、ホストコンピュータ300より印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力される。CPU302はROM303に保存されている制御プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0181】
またCPU302は前記画像データを記録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モータを駆動するための駆動データを作る。画像データおよびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミングで駆動され画像を形成する。
【0182】
上述のような記録装置に適用でき、インク等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0183】
また上述の記録装置として、各種の紙やOHPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパクトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミックス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等をも含むものである。
【0184】
またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体を用いればよい。
【0185】
<記録システム>
次に、本発明の液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録を行う、インクジェット記録システムの一例を説明する。
【0186】
図26は、前述した本発明の液体吐出ヘッド201a〜201dを用いたインクジェット記録システムの構成を説明するための模式図である。本実施例における液体吐出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルライン型のヘッドであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色に対応した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定の間隔を持って互いに平行に固定支持されている。なお、ヘッドホルダー202にはヘッド移動手段224が接続されている。
【0187】
これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号供給手段を構成するヘッドドライバー307から信号が供給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成される。各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜204dのインク容器から供給されている。なお、符号204eは発泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0188】
また、各ヘッドの下方には、内部にスポンジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203a〜203dが設けられており、非記録時に、キャップ移動手段225により各ヘッドの吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0189】
符号206は、先の各実施例で説明したような各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ローラ等211〜213により所定の経路に引き回されており、モータードライバ305に接続された駆動用ローラ214により駆動される。
【0190】
前記モータードライバー305、ヘッドドライバー307、ヘッド移動手段224およびキャップ移動手段は制御回路219に接続されている。
【0191】
本実施例のインクジェット記録システムにおいては、記録を行う前後に被記録媒体150に対して各種の処理を行う前処理装置251および後処理装置252をそれぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けている。
【0192】
前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なるが、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチオ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理として行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であってもよい。
【0193】
一方、後処理は、インクが付与された被記録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残った処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0194】
なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラインヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述したような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して記録を行う形態のものであってもよい。
【0195】
さらに、各実施例において、少なくとも2つを組み合わせて実施することにより発明の効果を高めることが可能である。
【0196】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、方向制御部材を有する2流路の液体吐出ヘッドにおいて、その優れた吐出効率を維持しつつ、消泡時の吐出液の発熱体上へのまわり込みや、長期放置での吐出液と発泡液の混液を防止するとができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の液体吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図2】第1の実施例の可動部材を有する分離壁を示す図である。図2(a)は分離壁の位置決め・固定工程を示す図であり、図2(b)は分離壁の側面図である。
【図3】第2の実施例の液体吐出ヘッドの可動部材の遮蔽部を示す図である。
【図4】第3の実施例の液体吐出ヘッドの可動部材の遮蔽部を示す図である。図4(a)は、発熱体の下方に可動部材の幅方向全域に渡って磁石が配されている例を示し、図4(b)は、遮断部の直下のみ磁石が配せられている例を示している。
【図5】第4の実施例の液体吐出ヘッドの模式図である。図5(a)はヘッドの1ノズル部の上面図であり、図5(b)はその流路方向の断面図であり、図5(c)は図5(a)のA−A線断面図であり可動部材の遮蔽部を示す図である。
【図6】第5の実施例の液体吐出ヘッドの模式図である。図6(a)は1ノズル部の流路方向の断面図であり、図6(b)はその上面図であり、図6(c)は第5の実施例の変形例の1ノズル部の上面図である。
【図7】第6の実施例の液体吐出ヘッドの模式図である。
【図8】図8は図7に示す液体吐出ヘッドの動作模式図である。
【図9】本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面図である。
【図10】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図11】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図12】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図13】本発明の液体の流れを説明するための模式図である。
【図14】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図15】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図16】本発明の液体吐出ヘッド(2流路)を示す模式断面図である。
【図17】本発明の液体吐出ヘッド(2流路)の部分破断斜視図である。
【図18】可動部材の動作を説明するための図である。
【図19】可動部材の他の形状を説明するための図である。
【図20】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図21】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図22】本発明のヘッドの分解斜視図である。
【図23】液体吐出ヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図24】液体吐出装置の概略構成図である。
【図25】装置ブロックである。
【図26】液体吐出記録システムを示す図である。
【図27】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造を説明するための図である。
【符号の説明】
1 素子基板
2 発熱体
3 面積中心
5 配線電極
10 液流路
11 気泡発生領域
12 供給路
13 共通液室
14 第1液流路
15 第1共通液室
16 第2液流路
17 第2共通液室
18 吐出口
20 第1供給部
21 第2供給部
23 第2液流路壁
24 磁石(磁力発生素子)
25 押え部材
26 シール部材
26a 自由端
27 押え機能付き方向制御部材(方向制御部材)
28 凸状ボッチ
30 分離壁
31 可動部材(方向制御部材)
32 自由端
33 支点
34 支持部材
35 スリット
36 気泡発生領域前壁
37 気泡発生領域側壁
40 気泡
45 液滴
50 溝付き部材
54 液室
55 弁
70 支持体
71 回路基板
72 コンタクトパッド
73 吐出液体供給路
78 ばね
80 液体供給部材

Claims (11)

  1. 気泡発生領域に対面して可動部材を有する分離壁を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により可動部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出方法であって、
    非吐出時に前記可動部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断し、該遮断部を第2液流路に向けて加圧することを特徴とする液体吐出方法。
  2. 気泡発生領域に対面してシール部材を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により前記シール部材を介して方向制御部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出方法であって、
    非吐出時に前記方向制御部材によって第1液流路と第2液流路の開口部をシール部材を介して遮断し、該遮断部を第2液流路に向けて加圧することを特徴とする液体吐出方法。
  3. 気泡発生領域に対面して可動部材を有する分離壁を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により可動部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
    非吐出時に前記可動部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断すると共に、該遮断部を第2液流路に向けて加圧手段で加圧することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 前記加圧手段として、前記可動部材をその支点を屈曲点として第2流路側に曲げることを特徴する請求項3記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記加圧手段として、前記記第1液流路の圧力を第2液流路の圧力より高くすることを特徴とする請求項3記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記加圧手段として、前記可動部材の下方に磁力発生手段を配設することを特徴とする請求項3記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記加圧手段として、前記可動部材の上部に前記遮断部を押える押え部材を配設することを特徴する請求項3記載の液体吐出ヘッド。
  8. 気泡発生領域に対面してシール部材を備え、吐出液の第1液流路と発泡液の第2液流路とを分離し、気泡の圧力により前記シール部材を介して方向制御部材の自由端を変位させて液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、 非吐出時に前記シール部材によって第1液流路と第2液流路の開口部を遮断すると共に、該遮断部を前記方向制御部材で加圧することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 前記方向制御部材の下部に凸状ボッチを設けることを特徴とする請求項8記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記方向制御部材は、前記シール部材の上部に配設され前記遮蔽部を押える押え部材と、該押え部材の上部に配設され気泡の圧力をシール部材を介して吐出口側に導く可動部材とから構成されることを特徴とする請求項8または9記載の液体吐出ヘッド。
  11. 請求項3〜10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドを搭載し、被記録媒体の搬送方向と交差する走査方向に往復移動可能なキャリッジとを有し、前記被記録媒体への記録を行うことを特徴とする液体吐出装置。
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