JP3652016B2 - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱エネルギーを液体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望の液体を吐出する液体吐出方法、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関し、特に、気泡の発生を利用して変位する可動部材を有する液体吐出方法、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
【0002】
また本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行う、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明である。
【0003】
なお、本発明における、「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】
熱等のエネルギーをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特許第4,723,129号明細書等の公報に開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が一般的に配されている。
【0005】
この様な記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができるとともに、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得ることができるという多くの優れた点を有している。このため、このバブルジェット記録方法は、近年、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムにまで利用されるようになってきている。
【0006】
このようにバブルジェット技術が多方面の製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近年さらにたかまっている。
【0007】
例えば、エネルギー効率の向上の要求に対する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0008】
また、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案されている。
【0009】
この流路形状の内、特開昭63−199972号公報等に記載されている流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向かう圧力、即ち、液室へ向かう圧力)に着目した発明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0010】
しかしながら、この構成において、吐出すべき液体を保持する流路内部に、気泡が発生した際を検討するとわかるように、バック波の一部を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なものでないことがわかる。
【0011】
もともとバック波自体は、前述したように吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路内に発生した時点では、気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路から液体に吐出可能状態にしている。従って、バック波のうち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に大きな影響を与えないことは明らかである。
【0012】
他方、バブルジェット記録方法においては、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すため、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生するが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生することで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なインクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出すべき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望まれていた。
【0013】
このような観点から、熱により気泡を発生させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公報、特開昭55−81172号公報、米国特許第4,480,259号明細書等の公報に開示されている。これらの公報では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムなどの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接しないようにするとともに、発泡液の発泡による圧力を可撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。このような構成によって、発熱体表面の堆積物の生成の防止や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0014】
しかしながら、前述のように吐出液と発泡液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収してしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくないため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下してしまうおそれがあった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本願出願人は、基本的に従来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来では考えられなかった観点から、従来では予想できない水準に高めることを主たる課題とし、気泡自体が吐出量に与えるエネルギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮することが吐出特性を格段に向上でき、気泡の下流側の成長成分を吐出方向へ効率よく変換させ、気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比べ極めて高い技術水準の発明を出願している。
【0016】
本発明は、先行発明の画期的な吐出原理や作用効果を一層優れたものにできる新たな吐出方法及び吐出原理を提供すべく新たな知見に基づいてなされた発明である。
【0017】
すなわち、新たな知見とは、可動部材の自由端の変位開始前の現象解析により変位環境をより良好にし、気泡発生領域から得られるパワーを所望の目的として有効利用できる構成をも含めて、総合的に形成される気泡及び液体の移動が吐出口側へより一層の成長あるいは誘導を可能ならしめたる技術を得たことである。
【0018】
本発明は、可動部材と気泡の物理的な状態関係に着目してなされた発明であり、新たな吐出原理、構造的特徴等多くの発明を含むものである。
【0019】
本発明の主たる目的は以下の通りである。その第1の目的は、発生した気泡を根本的に制御することで極めて新規な液体吐出原理を提供することにある。
【0020】
本発明の第2の目的は、気泡発生時に発生する液体中の圧力分布を改良し、吐出効率を一層向上でき、可動部材の自由端の変位環境を改良した上で、気泡を吐出口方向に向けることで優れた液体の吐出を行いうる液体吐出方法及び液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0021】
本発明の第3の目的は、バック波による液体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同時に、可動部材の弁機構によって、メニスカス後退量を低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピード等を向上することのできる液体吐出方法及び液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体が流れる液流路の下流側に配された吐出口と、前記液流路の内壁を構成する様に設けられ、前記吐出口から液体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体と、該電気熱変換体に対向する様に前記液流路内に配され、前記液流路の上流側に支点を、前記液流路の下流側に自由端を有する可動部材と、を有する。前記電気熱変換体は、発泡が初期に生じない面を除いた実質的に気泡を発生する面状の有効発泡領域を有する。前記可動部材の前記自由端は、前記有効発泡領域の中心部より下流側であって前記有効発泡領域の下流側の端部より上流側に対向する様に配されていることを特徴とする。
【0026】
また、前記気泡は、発熱体の有効発泡領域での膜沸騰現象によって発生することを特徴とする。
【0031】
また、前記気泡は、発熱体の有効発泡領域での膜沸騰現象によって発生することを特徴とする。
【0034】
また、前記液体吐出ヘッドを用いて液体を吐出する装置であって、前記液体吐出ヘッドから吐出する液体が付与される印字領域に被記録媒体を搬送する手段と、前記液体吐出ヘッドの電記熱変換体に膜沸騰を生じせしめる駆動条件を与える駆動手段とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る液体吐出方法は、前記液体吐出ヘッドを用いて液体を吐出する。
【0035】
(作用)本発明でいう「気泡の有効発泡領域」とは、電気熱変換体のうち、発泡を初期に生じさせることがない面を除いた領域のように、実質的に発泡を発生する領域を意味する。
【0036】
本発明によれば、可動部材の支点よりも自由端が吐出口側に位置する前提条件下で、有効発泡領域から発生する気泡のうち、吐出口へ直接導かれる部分がこの支点から自由端への方向に関して、有効発泡領域の中央から下流側の前方部分であることを、自由端の直接の移動をもたらす圧力勾配形成に対して、自由端が移動し易い環境形成に利用するということができ、総合的に吐出効率を向上できる。
【0039】
以下、本発明のさらなる利点や構成変形例は、以下の具体的な説明から理解されよう。
【0040】
なお、本発明の説明で用いる「上流」「下流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、又はこの構成上の方向に関しての表現として表されている。
【0041】
また、気泡自体に関する「下流側」とは、主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気泡を意味する。
【0042】
また、本発明の説明で用いる「実質的に密閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜けない程度の状態を意味する。
【0043】
さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液体の混合を防止するものを意味する。
【0044】
加えて、本発明でいう「実質的に接触」とは、物理的に気泡と可動部材とが少なくとも一部で接触している状態、及び、わずかな液膜が気泡と可動部材との間に介在するが、気泡の成長あるいは可動部材の移動を規制する状態をも含むものとする。
【0045】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を図1及び図4乃至図7を用いて詳細に説明する。
【0046】
まず本実施の形態では液体を吐出するための、気泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することで、吐出力や吐出効率の向上を図る場合の例を説明する。
【0047】
図1は、このような本形態の液体吐出ヘッド1を液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図1(B),(C)は、図1を模式化したモデル図を示し、図4は、この液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0048】
本実施の形態の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネルギーを作用させる発熱体2(本実施の形態においては40μm×115μmの有効発泡領域2H(図中の長さがL)を形成する電気熱変換体としての発熱抵抗体)が素子基板1に設けられており、この素子基板1上に発熱体2に対応して液流路が配されている。図4でわかるように、液流路10は不図示の吐出口18に連通している第1液流路を有し、複数の液流路に液体を供給するための共通液室13に連通しており、吐出口から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取る。図1に示すように、発熱体2は、電極2Aとともに保護層2Bを有しており、電極2Aを介して、膜沸騰を生じせしめる駆動パルスを受けて気泡40を発生せしめる。
【0049】
この液流路10の素子基板1上には、前述の発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有する(本形態では5μm厚のNi製)材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31が片持梁状に設けられている。この可動部材31の一端は液流路10の壁や素子基板1上に感光性樹脂などをパターニングして形成した土台(支持部材)34等に固定されている。これによって、可動部材は保持されるとともに支点(支点部分)33を構成している。
【0050】
この可動部材31は、液体の吐出動作によって共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位置に発熱体2を覆うような状態で発熱体2から所定の距離を隔てて配されている。この発熱体2と可動部材31との間が気泡発生領域となる。なお発熱体2、可動部材31の種類や形状および配置はこれに限られることなく、後述するように気泡の成長を吐出口側に導く形状や圧力の伝搬を制御しうる形状および配置であればよい。なお、上述した液流路10は、後に取り上げる液体の流れの説明のため、図1(A),(B),(C)に示される状態の可動部材31を境にして、吐出口18に直接連通している部分を第1の液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路12を有する部分を第2の液流路の2つの領域に分けて説明する。
【0051】
発熱体2を発熱させることで可動部材31と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用せしめ、液体に米国特許第4,723,129号明細書に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的に作用し、可動部材31は、もしくは図4で示されるように、支点33を中心に吐出口側に大きく開くように変位する。可動部材31の変位若しくは変位した状態によって、気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0052】
ここで、本発明の基本的な吐出原理の1つを説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、気泡発生領域に対面し、且つ中心3(CH)より下流側に配された可動部材の自由端が、気泡の発生に伴い気泡発生領域が可動部材に対面していない部分気泡発生領域Z(本形態では長さが10μm)により改善された気泡の発生時の圧力分布に基づいて、定常状態の第1の位置から最大変位後の位置である第2の位置へ優先的に変位し、液体の移動方向が異なる分断領域を可動部材の自由端32から支点33へシフトされることにより、液体が吐出口側へ多く移動せしめられるとともに、可動部材が変位しやすくなり、同時に気泡の成長方向を吐出口側へより確実に指向せしめることができることである。
【0053】
この原理を、可動部材を用いない従来の液流路構造を模式的に示した図5と本発明の図6とを比較して、さらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向への圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向をVBとして示した。
【0054】
図5で示されるような従来のヘッドにおいては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制する構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向は、V1〜V8のように気泡表面の法線方向となり、様々な方向を向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼすVA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4すなわち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速度等に直接寄与する重要な部分である。さらに、V1は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0055】
これに対して、図6で示される本発明の場合には、前述した部分気泡発生領域Zの存在により優先的に移動変位した自由端を含む可動部材31が、図5の場合のように様々な方向を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を効率良く下流側(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するものであり、これにより気泡40の成長が吐出口へ一層指向せしめられ、液体も吐出口側へ移動するので、部分気泡発生領域Zからの圧力分布形成が直接的に効率よく吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向自体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根本的な向上を達成することができる。
【0056】
図1及び図4では、可動部材31が、発熱体2の発熱によって発生した気泡に対し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に設けられていることである。つまり、気泡40の下流側が可動部材31に作用するように、液流路構造上では少なくとも発熱体2の面積中心3より下流(発熱体2の面積中心(CH)3を通って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで可動部材31が配されている。つまり、前述の部分気泡発生領域Zは、この面積中心CH(3)よりも下流側に位置し、この領域Zを決定する自由端32も中心CH(3)よりも下流側の発熱体2に対向している。
【0057】
上述したように、可動部材31は気泡や発泡圧を吐出口18方向へ導くのに積極的に寄与し、効率よく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することができる。この後、気泡40が、前述した膜沸騰の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅すると、可動部材31は、気泡の収縮による負圧と可動部材31自身のばね性による復元力によって、図1(B)の初期位置(第1の位置)に復帰する。この気泡の消泡時には、気泡発生領域11での気泡の収縮体積を補うため、また吐出された液体の体積分を補うために上流側の供給側LB、すなわち共通液室側から流れと、吐出口側LBからの流れとが発生し、液体が流れ込んでくる。
【0058】
本実施の形態では可動部材31を設けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1の位置を境に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消泡時に可動部材31が元の位置に戻った時点でメニスカスの後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給は主に第2の液流路16の流れからの液供給によってなされる。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対して、それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量に抑えることが可能になった。
【0059】
さらに、W2の体積分の液体供給は、消泡時の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿って、主に第2の液流路の上流側から強制的に行うことができるため、より速いリフィルを実現できた。
【0060】
ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカスの振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっていたが、本実施の形態の高速リフィルにおいては、可動部材31によって、吐出口側の第1の液流路14の領域と気泡発生領域11との吐出口側での液体の流通が抑制されるため、メニスカスの振動を極めて少なくすることができることである。
【0061】
このように本発明は、第2の液流路16の液供給路12を介しての発泡領域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や振動の抑制によって高速リフィルを達成することで、吐出の安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に用いた場合、画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0062】
本発明の構成においてはさらに次のような有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生による圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することである。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室13側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になっていた。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これらは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の妨げにもなっていた。本発明においては、まず可動部材31によって上流側へのこれらの作用を抑えることでもリフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0063】
次に、本実施の形態の更なる特徴的な構造と効果について、以下に説明する。本実施の形態の第2の液流路16は、発熱体2の上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12を有している。このような場合、気泡発生領域11及び発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡発生領域11に近い側の面に沿って行われる。このため、発熱体2の表面上に液体がよどむことが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去されやすく、また、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。なお、本実施の形態では実質的に平坦な内壁を持つ液体供給路12を持つもので説明したが、これに限らず、発熱体表面となだらかにつながり、なだらかな内壁を有する液供給路であればよく、発熱体上に液体のよどみや、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0064】
ところで、可動部材31の自由端32と支点33の位置は、例えば図1,図7で示されるように、自由端32が相対的に支点33より下流側にある。このような構成のため、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できるのである。さらに、この位置関係は、吐出に対する機能や効果のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れる液体に対する流抵抗を小さくでき高速にリフィルできるという効果を達成している。これは、図7に示すように、吐出によって後退したメニスカスが毛管力により吐出口18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行われる場合に、液流路10(第1の液流路14、第2の液流路16を含む)内を流れる流れS1、S2、S3に対し、逆らわないように自由端32と支点33とを配置しているためである。
【0065】
補足すれば、本実施の形態の図1,図4においては、前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交する線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対して延在している。これによって、発熱体2の面積中心位置3より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧力または気泡を可動部材31が受け、この圧力及び気泡を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根本的に向上させることができる。
【0066】
さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用して多くの効果を得ている。
【0067】
また、本実施の形態の構成においては、可動部材31の自由端32が瞬間的な機械的変位を行っていることも、液体の吐出に対して有効に寄与している考えられる。
【0068】
ここで、図1に戻り、部分有効発泡領域Zの構成条件及び作用について補足する。
【0069】
図中の発熱抵抗体2は、電極2A及び保護層2Bによって発熱体を形成するが、有効発泡領域2Hは、その発熱体2の長さをよりわずかに小さい長さLの領域となる。本実施の形態は、可動部材31に対向せずに第1液流路14と直接連通する連通部(図では分離壁32Aと自由端との間)を長さLで備え、この連通部に対向する発熱体2の有効発泡領域が部分有効発泡領域Zとなる。
【0070】
この部分発泡領域Zは、有効発泡領域2Hの下流側端部に近接した位置となっているが、より好ましくは、この下流側端部を含むことが、より吐出効率を向上できるもので好ましい。上記のように、領域Zの長さ(支点33から自由端32に向かう方向に関する)は、本形態では、L=115μmに対してZ=10μmであり、有効発泡領域の中心CH(図4の3)よりも下流側に位置している。従って、可動部材31の可動範囲に対しては、十分な有効発泡領域が対向しており、気泡40の吐出口側半分が可動部材に対向することになる。これにより、気泡の成長が可動部材により制御され、第1液流路14の吐出口側LFの方向へ、より確実に安定して導くことができる。
【0071】
図1(A)のように、上記部分有効発泡領域Zが上記連通部を介して第1液流路中にもたらす作用は、自由端32の直接の移動を支配する圧力勾配形成に対して、自由端が移動し易い環境形成に音響波の伝達を利用するということができ、総合的に吐出効率を向上できる。即ち、有効発泡領域から気泡発生時にもたらされる音響波(疎密波)が直接液体中を伝搬して、変位領域内の液体中に圧力勾配(分布)を、可動部材の変位領域(液流路)に対して早期且つ確実に形成する。この結果、可動部材の自由端及び自由端近傍の可動部材面の移動方向に位置する液体に吐出口へ移動する量を増大させることができる。
【0072】
この圧力勾配は、図1において、音響波P1(直接伝搬するもの),P2(可動部材を通過したもの)が気泡40が形成される前の0.2μsec時間中に略1000m/secの速度で伝達されるため、液流路内を(最大でも行程距離100μm以下)を往復することで形成される。この圧力分布を模式的に示したものが曲線PWである。音響波P1による圧力分布形成は、可動部材の自由端32の近傍で最大化し、ここから、可動部材の支点33側へ向かう可動部材の面に対応した第1液流路14内の液体を大きく移動せしめる環境を形成する。つまり、変位領域において吐出口側、支点側の夫々に液体の流れが分散される分断領域を可動部材の面領域の支点側へシフトできるので、液体の吐出量をより一層安定化でき、吐出効率を向上し、リフィル時のリフィル作用も合理的に行われ、リフィル時間を短時間化できる。
【0073】
なお、PWSは、この圧力分布P1が圧力勾配を強化した場合を示しており、可動部材の面の上方及び支点側へ液体の移動初期力が強く与えられる範囲が拡大できることを示している。この圧力分布の曲線PWSは、上述した連通部の長さLS(分離壁32Aと対向する可動部材の自由端との間)が増大するほど大きく得ることができるが、少なくとも自由端32が有効発泡領域の長さLの半分である中心CH(3)よりも上流側であることが必要であるから、L/2よりも小さい。実用上は、有効発泡領域の長さLにもよるが、5μmより大きく30μm以下の範囲内で設定することが好ましい。また、本実施の形態では、有効発泡領域Lの範囲の内側に上記連通部を対向させているが、効率としては、領域Lの下流端を含む領域に対向させるようにすることが好ましい。
【0074】
また、31Sは、可動部材の変位の一部を示し、Xは自由端32の軌跡を示す。
【0075】
図1(B),(C)は、上述した音響波による圧力分布及び液体分断領域の形成を模式的に表現したもので、図1(A)の構成によるものである。
【0076】
図1(B)の状態で気泡が発生した状態では、液体を▲1▼〜▲6▼と6個の
【0077】
【外1】
Figure 0003652016
と6個の◎とで3段6列で示される粒子は上記圧力分布によって移動加速を与えられている。この後、可動部材が移動するとともに気泡40が体積増加をするが、その際、これらの粒子の大半は、吐出口側LFの方向へシフトし、▲6▼,
【0078】
【外2】
Figure 0003652016
,◎の列よりも支点側に液体分断領域が形成されていることがわかる。同時に、図1(C)の各粒子の移動方向でわかるように、分離壁32Aと自由端32との間の空間は、第1液流路内の上流側の液体が流れ込んで、高密度というような圧縮域となる一方で、気泡40にとって移動しやすい環境を形成している。この後、気泡40は、図6で示すように、吐出口側へ移動し、可動部材31によって実質的に制御されることになる。
【0079】
図1(A),(B),(C)はには、上記圧力分布をわずかに変化させる構造体として音響波反射用の傾斜面SWを第2液流路16に設けてある。この傾斜面SWは、気泡発生時の領域Lの端部から発生した音響波の一部PY,PZを上記連通部を介して可動部材の面の支点側の第1液流路へ導いている。この傾斜面SWによる圧力分布の修正効果は、環境変動によるばらつきを補う量の液体供給を行えるもので好ましいものである。
【0080】
この例のように、音響波反射または誘導構造自体によれば、単独でも上記の圧力勾配(分布)を強化でき、所望の液体の移動をもたらすことができる。本発明の変位領域直接対向の有効発泡領域に加えて、この反射または誘導構造によれば、さらに上記環境形成を確実で優れたものにできる。また、この構造を利用して上記吐出口側への気泡誘導を、より合理的に実施することも可能となり、上記請求項1の発明に加えた発明(後述)は総合的吐出効率を向上したものとなる。
【0081】
この反射または誘導構造は、可動部材自体の音響伝達係数を変えたり、自由端形状または自由端に対向し上記連通部を形成する部分、即ち、分離壁32Aの形状を変化させることも含むものである。
【0082】
図2,図3は、夫々図1の基本的構造である上記連通部(部分有効発泡領域Z)を持つことを前提とするヘッド構造例を示すものである。
【0083】
以下、簡単に図2,図3を説明する。
【0084】
図2(A)は、分離壁32、自由端32を共に吐出口側へ音響波を導くような方向に傾斜させたもので、相対的に吐出特性を向上できるものであり、図2(B)は、自由端32を自ら移動しやすい環境にするため、自由端32の形状を支点側に傾斜した斜面としている。
【0085】
図2(C)は、第1液流路側で上記連通部の長さLSが増加するように、分離壁32A,自由端32を異なる方向に傾斜させたもので、可動部材の長手方向にわたって大きな圧力分布の範囲を広げて自由端の移動を、より簡単に行わせる構造を示している。
【0086】
図2(D)は、図2(B)の構成に、図1(A)の傾斜面SWを加えた構造体で、図のように、圧力分布を改良でき、より好ましい環境を作ることができる。
【0087】
図3(A)は、可動部材31に対して、気泡発生領域を変化させたもので、吐出口側に向けて有効発泡領域全体の音響波伝搬を行わせしめると同時に、発生する気泡の成長方向をより吐出口側へ指向せしめる構成である。
【0088】
図3(B)は、可動部材自体が、音響波を屈折せしめて第1液流路内では吐出口側へ指向せしめる材質のもので構成されている。また、上記連通部は、図2(A)の構造としたもので、総合的に吐出性能を向上している。
【0089】
以上説明したように、本発明の吐出方法及びそれを実施する第1のヘッド形態においては、従来に比べて、格段に優れ、また、先願発明に対しても優れた効果を得ることができる。
【0090】
次に、図8乃至図20を用いて、本発明の別のヘッド形態及び装置の具体的な形態例を説明する。これらの実施例において、本発明の前記部分有効発泡領域と前記連通部の対向関係を満足していることはいうまでもなく、図面から理解できるので、構成及び作用の説明は省くことにする。
【0091】
(実施のヘッド形態2)
図8に、本発明の第2の実施のヘッド形態を示す。
【0092】
この図8において、Aは可動部材が変位している状態を示し(気泡は図示せず)、Bは可動部材が初期位置(第1の位置)の状態を示し、このBの状態をもって、気泡発生領域11を吐出口18に対して実質的に密閉しているとする(ここでは、図示していないがA、B間には流路壁があり流路と流路を分離している。)。
【0093】
図8における可動部材31は、土台34を側部に2点設け、その間に液供給路12を設けている。これにより、可動部材31の発熱体側の面に沿って、また、発熱体2の面と実質的に平坦もしくは、なだらかにつながる面を持つ液供給路から液体の供給を成すことができる。
【0094】
ここで、可動部材31の初期位置(第1の位置)では、可動部材31は発熱体2の下流側および横方向に配された発熱体下流壁36と発熱体側壁37に近接または密着している。このため、発泡時の気泡の圧力を可動部材31の自由端側に集中的に作用させることができる。
【0095】
また、消泡時には、可動部材31は第1の位置に戻り、発熱体2上への消泡時の液供給は気泡発生領域31の吐出口側が実質的に密閉状態になるため、メニスカスの後退抑制等、先の実施の形態で説明した種々の効果を得ることができる。また、リフィルに関する効果においても、先の実施の形態と同様の機能、効果を得ることができる。
【0096】
また、本実施の形態においては、図4や図8のように、可動部材31を支持固定する土台34を発熱体2より離れた上流に設けるとともに、液流路10より小さな幅の土台34とすることで、前述のような液供給路12への液体の供給を行っている。また、土台34の形状のこれに限らず、リフィルをスムースに行えるものであればよい。
【0097】
(実施のヘッド形態3)
図9は、本発明の基本的な概念の一つを示すもので、本発明の第3の実施のヘッド形態となる。
【0098】
図9は、一つの液流路中に気泡発生領域、そこで発生する気泡及び可動部材との位置関係を示しているとともに、本発明の液体吐出方法やリフィル方法をより分かり易くした実施の形態である。
【0099】
前述の実施の形態の多くは、可動部材の自由端に対して、発生する気泡の圧力を集中して、急峻な可動部材の移動と同時に気泡の移動を吐出口側に集中させることを達成している。これに対して、本実施の形態は、発生する気泡の自由度を与えながら、液滴吐出に直接作用する気泡の吐出口側である気泡の下流側部分を可動部材31の自由端側で規制するものである。
【0100】
構成上で説明すると、図9では、前述の図4(第1の実施の形態)に比較すると、図4の素子基板1上に設けられた気泡発生領域の下流端に位置するバリヤーとしての凸部(図4の24)が本実施の形態では設けられていない。つまり、可動部材31の自由端領域および両側端領域は、吐出口領域に対して気泡発生領域を実質的に密閉せずに開放しており、この構成が本実施の形態である。
【0101】
本実施の形態では、気泡の液滴吐出に直接作用する下流側部分のうち、下流側先端部の気泡成長が許容されているので、その圧力成分を吐出に有効に利用している。加えて少なくともこの下流側部分の上方へ向かう圧力(図5の 2 , 3 , 4 の分力)を可動部材31の自由端側部分が、この下流側先端部の気泡成長に加えられるように作用するため,吐出効率を上述した実施の形態と同様に向上する。前記実施の形態に比較して本実施の形態は、発熱体の駆動に対する応答性が優れている。
【0102】
また、本実施の形態は、構造上簡単であるため製造上の利点がある。
【0103】
本実施のヘッド形態の可動部材31の支点部は、可動部材の面部に対して小さい幅の1つの土台34に固定されている。従って、消泡時の気泡発生領域11への液体供給は、この土台34の両側を通って供給される(図の矢印参照)。この土台は、供給性を確保するものであればどのような構造でもよい。
【0104】
液体の供給時におけるリフィルは、本実施の形態の場合には、可動部材31の存在によって気泡の消泡にともなって上方から気泡発生領域11へ流れ込む流れが制御されるので、従来の発熱体のみの気泡発生構造に対して優れたものとなる。無論、これによって、メニスカスの後退量を減じることもできる。
【0105】
本第3の実施のヘッド形態の変形実施の形態としては、可動部材の自由端に対する両側端(一方でも可)のみを気泡発生領域11に対して実質的に密閉状態とすることは、好ましいものとして挙げられる。この構成によれば、可動部材31の側方へ向かう圧力をも先に説明した気泡の吐出口側端部の成長に変更して利用することができるので、一層吐出効率が向上する。
【0106】
(実施のヘッド形態4)
本実施の形態においても主たる液体の吐出原理については先の実施の形態と同じであるが、本実施の形態においては液流路を複流路構成にすることで、さらに熱を加えることで発泡させる液体(発泡液)と、主として吐出される液体(吐出液)とを分けることができるものである。
【0107】
図10は、本実施の形態の液体吐出ヘッドの流路方向の断面模式図を示しており、図11はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0108】
本実施の形態の液体吐出ヘッドは、液体に気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設けられた素子基板1上に、発泡用の第2の液流路16があり、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1の液流路14が配されている。
【0109】
第1の液流路14の上流側は、複数の第1の液流路に吐出液を供給するための第1の共通液室15に連通しており、第2の液流路16の上流側は、複数の第2の液流路に発泡液を供給するための第2の共通液室17に連通している。
【0110】
但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0111】
第1と第2の液流路の間には、金属等の弾性を有する材料で構成された分離壁30が配されており、第1の液流路14と第2の液流路16とを区分している。なお、発泡液と吐出液とができる限り混ざり合わない方がよい液体の場合には、この分離壁によってできる限り完全に第1の液流路14と第2の液流路16の液体の流通を分離した方がよいが、発泡液と吐出液とがある程度混ざり合っても、問題がない場合には、分離壁に完全分離の機能を持たせなくてもよい。
【0112】
発熱体の面方向上方への投影空間(以下吐出圧発生領域という。;図10中のAの領域とBの気泡発生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット35によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端で、共通液室(15、17)側に支点33が位置する片持梁形状の可動部材31となっている。この可動部材31は、気泡発生領域11(B)に面して配されているため、発泡液の発泡によって第1の液流路側の吐出口側に向けて開口するように動作する(図中矢印方向)。図11においても、発熱体2としての発熱抵抗部(電気熱変換体)と、この発熱抵抗部に電気信号を印加するための配線電極5とが配された素子基板1上に、第2の液流路を構成する空間を介して分離壁30が配置されている。
【0113】
可動部材31の支点33、自由端32の配置と、発熱体との配置の関係については、先の実施の形態と同様にしている。
【0114】
また、先の実施の形態で液供給路12と発熱体2との構造の関係について説明したが、本実施の形態においても、第2の液流路16と発熱体2との構造の関係を同じくしている。
【0115】
次に、図12を用いて本実施の形態の液体吐出ヘッドの動作を説明する。
【0116】
ヘッドを駆動させるにあたっては、第1の液流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給される発泡液として、同じ水系のインクを用いて動作させた。
【0117】
発熱体2が発生した熱が、第2の液流路16の気泡発生領域11内の発泡液に作用することで、先の実施の形態で説明したのと同様に、発泡液に米国特許第4,723,129号明細書に記載されているような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生させる。
【0118】
本実施のヘッド形態においては、気泡発生領域11の上流側を除く、3方からの発泡圧の逃げがないため、この気泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可動部材31側に集中して伝搬し、気泡の成長をともなって可動部材31が図12(a)の状態からその最大変位位置まで変位する。そして可動部材31は、その弾性力により、図12(b)のように第2の液流路側に戻り変位する。この可動部材31の一連の動作によって第1の液流路14と第2の液流路16とが大きく連通し、気泡の発生に基づく圧力が可動部材31の戻り変位に制御されて第1の液流路の吐出口側の方向に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のような可動部材31の機械的変位によって、液体が吐出口から吐出される。
【0119】
次に、気泡が収縮するに伴って可動部材31が図12(a)の位置まで戻るとともに、第1の液流路14では、吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液体が上流側から供給される。本実施の形態においても、この吐出液体の供給は前述の実施の形態と同様に可動部材31が閉じる方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材31で妨げることがない。
【0120】
本実施の形態は、可動部材31の変位に伴う発泡圧力の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防止等に関する主要部分の作用や効果については先の第1の実施の形態等と同じであるが、本実施の形態のような2流路構成をとることによって、さらに次のような長所がある。
【0121】
すなわち、上述の実施の形態の構成によると、吐出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた圧力によって吐出液を吐出することができる。このため従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液体であっても、この液体を第1の液流路に供給し、発泡液に発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=4:6の混合液1〜2cP程度等)や低沸点の液体を第2の液流路に供給することで、良好に吐出させることができる。
【0122】
また、発泡液として、熱を受けても発熱体の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択することで、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0123】
さらに、本発明のヘッドの構造においては先の実施の形態で説明したような効果をも生じるため、さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐出することができる。
【0124】
また、加熱に弱い液体の場合においてもこの液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の液流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることなく、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出することができる。
【0125】
<第2液流路と可動部材との配置関係>
図13は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配置関係を説明するための図であり、図13(a)は分離壁30、可動部材31近傍を上方から見た図であり、図13(b)は、分離壁30を外した第2の液流路16を上方から見た図である。そして、図13(c)は、可動部材6と第2の液流路16との配置関係を、これらの各要素を重ねることで模式的に示した図である。なお、いずれの図も図面下方が、吐出口が配されている前面側である。
【0126】
本実施の形態の第2の液流路16は、発熱体2の上流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体位置、可動部材、第1の液流路を経て吐出口に向う大きな流れの中の上流側のことである。)に狭窄部19を持っており、発泡時の圧力が第2の液流路16の上流側に容易に逃げることを抑制するような室(発泡室)構造となっている。
【0127】
従来のヘッドのように、発泡する流路と液体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮して、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない構成を採る必要があった。
【0128】
しかし、本実施の形態の場合、吐出される液体の多くを第1の液流路14内の吐出液とすることができ、発熱体2が設けられた第2の液流路16内の発泡液はあまり消費されないようにできるため、第2の液流路の気泡発生領域11への発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述の狭窄部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に狭くできるため、第2の液流路で発生した発泡時の圧力をあまり周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可動部材31側に向けることができる。そしてこの圧力を可動部材31を介して吐出力として利用することができるため、より高い吐出効率、吐出力を達成することができる。ただ、第2液流路の16の形状は上述の構造に限られるものではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動部材31側に伝えられる形状であれば良い。
【0129】
なお、図13(c)で示されるように可動部材31の側方は、第2の液流路16を構成する壁の一部を覆っており、このことで、可動部材31の第2の液流路への落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液と発泡液との分離性をさらに高めることができる。また、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さらに吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果を高めることができる。
【0130】
特に、本発明の可動部材の自由端の変位開始が、気泡が可動部材に接する前に生じるとする発明は、可動部材の弾性係数や吐出液体及び発泡液体の圧力伝達性能や気泡形成用の駆動条件あるいは各液路構造等の相互のバランスを考慮することで実施され、弾性変形しやすく、圧力伝達しやすく、気泡成長速度が速いほど、また、(可動部材の移動に対する)流路抵抗が小さいほど、得やすいものである。この発明では、気泡発生時の圧力波が吐出口側に導かれることになるので、追従してくる気泡の成長が、吐出口側に向って、より確実かつ効率よく案内できる。
【0131】
<可動部材および分離壁>
図14は可動部材31の他の形状を示すもので、符号35は分離壁に設けられたスリットであり、このスリット35によって、可動部材31が形成されている。図14(a)は長方形の形状であり、図14(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材の動作が容易な形状であり、図14(c)は支点側が広くなっており、可動部材の弾力性及び耐久性が向上する形状である。動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図13(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっている形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流路側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、耐久性に優れた形状であればよい。
【0132】
先の実施の形態においては、板状可動部材31及びこの可動部材31を有する分離壁30は厚さ3μmのニッケルで構成したが、これに限られることなく、可動部材、分離壁を構成する材質としては、発泡液と吐出液に対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作するための弾性を有しているものであればよい。
【0133】
可動部材の材料としては、耐久性の高い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニウム、白金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およびその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐インク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングしたもの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。
【0134】
分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もしくは表面にチタンや金をコーティングしたものが望ましい。
【0135】
本発明における可動部材としてはμmオーダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダーの厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(Wμm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考慮することが望ましい。
【0136】
本発明の「実質的な密閉状態」を与えるスリットとしては、このような数μmオーダであればより確実である。
【0137】
<素子基板>
以下に、液体に熱を与えるための発熱体が設けられた素子基板の構成について説明する。
【0138】
図15は本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図を示したもので、図15(a)は後述する保護膜があるヘッド、図17(b)は保護膜がないものである。
【0139】
素子基板1上に第2の液流路16、分離壁30、第1の液流路14を構成する溝を設けた溝付き部材50が配されている。
【0140】
素子基板1には、シリコン等の基板107に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成するハフニウムボライド(HfB2)、チッ化タンタル(TaN)、タンタルアルミニウム(TaAl)等の電気抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニウム等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図13のようにパターニングされている。この2つの配線電極104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護層103を0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにその上にタンタル等の耐キャビテーション層(0.1〜0.6μm厚)102が成膜されており、インク等の各種の液体から抵抗層105を保護している。
【0141】
特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0142】
また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく、その例を図15(b)に示す。このような保護層を必要としない抵抗層の材料としては、イリジウム−タンタル−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0143】
このように、前述の各実施の形態における発熱体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だけででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むものでもよい。
【0144】
本実施の形態においては、発熱体として電気信号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有するものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受けることで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0145】
なお、前述の素子基板1には、前述の発熱部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供給するための配線電極104で構成される電気熱変換体(素子)の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0146】
また、前述のような素子基板1に設けられている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出するためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介して図16で示されるような矩形パルスを印加し、配線電極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施の形態のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によって、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であればよい。
【0147】
<2流路構成のヘッド構造>
以下に、第1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする液体吐主tヘッドの構造例について説明する。
【0148】
図17は、このような液体吐出ヘッドの構造を示す模式図であり、先の実施形態例と同じ構成要素については同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省略する。
【0149】
本実施の形態においては、溝付き部材50は、吐出口18を有するオリフィスプレート51と、複数の第1液流路14を構成する複数の溝と、複数の液流路14に共通に連通し、各第1の液流路3に液体(吐出液)を供給するための第1の共通液室15を構成する凹部とから構成されている。
【0150】
この溝付き部材50の下側部分に分離壁30を接合することにより
複数の第1液流路14を形成することができる。このような溝付き部材50は、その上部から第1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を有している。また、溝付き部材50は、その上部から分離壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2の液体供給路21を有している。
【0151】
第1の液体(吐出液)は、図17の矢印Cで示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の液体(発泡液)は、図17の矢印Dで示すように、第2液体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで、第2液流路16に供給されるようになっている。
【0152】
本実施の形態では、第2液体供給路21は、第1液体供給路20と平行して配されているが、これに限られることはなく、第1共通液室15の外側に配された分離壁30を貫通して、第2共通液室17に連通するように形成されればどのように配されてもよい。
【0153】
また、第2液体供給路21の太さ(直径)に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、矩形状等でもよい。
【0154】
また、第2共通液室17は、溝付き部材50を分離壁30で仕切ることによって形成することができる。形成の方法としては、図18で示す本実施の形態の分解斜視図のように、素子基板1上にドライフィルムで共通液室枠71と第2液路壁72とを形成し、分離壁を固定した溝付き部材50と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り合わせることにより第2共通液室17や第2液流路16を形成してもよい。
【0155】
本実施の形態では、アルミニウム等の金属で形成された支持体70上に、前述のように、発泡液に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生する発熱体としての電気熱変換体が複数設けられた素子基板1が配されている。
【0156】
この素子基板1上には、第2液流路72により形成された液流路16を構成する複数の溝と、複数の発泡液流路に連通し、それぞれの発泡液流路に発泡液を供給するための第2共通液室(共通発泡液室)17を構成する凹部と、前述した可動壁31が設けられた分離壁30とが配されている。
【0157】
溝付き部材50は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1液流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、それぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、第1共通液室17に発泡液を供給するための第2の供給路(発泡液供給路)21とを有している。第2の供給路21は、第1の共通液室15の外側に配された分離壁30を貫通して第2の共通液室17に連通する連通路に繋がっており、この連通路によって吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室に供給することができる。
【0158】
なお、素子基板1、分離壁30、溝付き部材50の配置関係は、素子基板1の発熱体に対応して可動部材31が配置されており、この可動部材31に対応して吐出液流路14が配されている。また、本実施の形態では、第2の供給路を1つ溝付き部材に配した例を示したが、供給量に応じて複数設けてもよい。さらに吐出液流路20と発泡液供給路21の流路断面積は供給量に比例して決めればよい。
【0159】
このような流路断面積の最適化により溝付き部材50等を構成する部品をより小型化することも可能である。
【0160】
以上説明したように本実施の形態によれば、第2液流路に第2液体を供給する第2の供給路と、第1液流路に第1液体を供給する第1の供給路とが同一の溝付き部材としての溝付き天板からなることにより部品点数が削減でき、工程の短縮化とコストダウンが可能となる。
【0161】
また、第2液流路に連通した第2の共通液室への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体Tとを分離する分離壁を突き抜ける方向で第2液流路によって行われる構造であるため、前記分離壁と溝付き部材と発熱体形成基板との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが向上するとともに、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐出することができる。
【0162】
また、第2液体は、分離壁を突き抜けて第2液体共通液室17へ供給されるため、第2液流路に第2液体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、安定した吐出が可能となる。
【0163】
<吐出液体、発泡液体>
先の実施の形態で説明したように本発明においては、前述のような可動部材を有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することができる。本実施の形態の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにくく、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うことが可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣化させない液体であれば種々の液体を用いることができる。
【0164】
このような液体の内、記録を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0165】
一方、本発明の2流路構成のヘッドを用い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液として前述のような性質の液体を用いればよく、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0166】
吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用できる。
【0167】
ただし、吐出液の性質として吐出液自身、または発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0168】
記録用の吐出液体としては、高粘度インク等をも利用することができる。その他の吐出液体としては、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもできる。
【0169】
本発明においては、吐出液と発泡液の両方に用いることができる記録液体として以下のような組成のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0170】
染料インク(粘度2cP)の組成
(C.I.フードブラック2)染料 3重量%
ジエチレングリコール 10重量%
チオジグリコール 5重量%
エタノール 3重量%
水 77重量%
また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来のヘッドでは吐出が困難であった十数cP粘度の液体はもちろん、150cPという非常に高い粘度の液体でさえも良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができた。
【0171】
発泡液1の組成
エタノール 40重量%
水 60重量%
発泡液2の組成
水 100重量%
発泡液3の組成
イソプロピルアルコール 10重量%
水 90重量%
吐出液1顔料インク(粘度約15cPの組成)
カーボンブラック5 5重量%
スチレン−アクリル酸−エチル共重合体 1重量%
(酸価140、重量平均分子量8000)
モノエタノールアミン 0.25重量%
グリセリン 69重量%
チオジグリコール 5重量%
エタノール 3重量%
水 16.75重量%
吐出液2(粘度55cP)の組成
ポリエチレングリコール200 100重量%
吐出液3(粘度150cP)の組成
ポリエチレングリコール600 100重量%
ところで、前述したような従来吐出されにくいとされていた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じ、これらのことで高品位画像が得にくかった。しかし、上述の実施の形態の構成においては、気泡の発生を発泡液を用いることで充分に、しかも安定して行うことができる。このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定化を図ることができ、記録画像品位を著しく向上することができた。
【0172】
[ヘッドカートリッジ構成]
以下に、上述した本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出ヘッドカートリッジの概略説明を行う。
【0173】
図19は、液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であり、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッド部200と液体容器90とから構成されている。
【0174】
液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、分離壁30、溝付き部材50、押えバネ78、液体供給部材80、支持体70とから成っている。
【0175】
素子基板1には、前述のように発泡液に熱を与えるための発熱抵抗体が複数個列状に設けられており、また、この発熱抵抗体を選択的に駆動するためのきのう素子が複数設けられている。この素子基板1と可動部を持つ前述の分離壁30との間に発泡液路が形成され発泡液が流通する。この分離壁30と溝付き部材50との接合によって、吐出される吐出液体が流通する吐出流路(不図示)が形成される。
【0176】
押えバネ78は、溝付き部材50に素子基板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢力により素子基板1、分離壁30、溝付き部材50と、後述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0177】
支持体70は、素子基板1等を支持するためのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板に接続し、電気信号を供給するためのプリント配線基板73や、装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを行うためのコンタクトパッド74が配置されている。
【0178】
液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給される、インク等の吐出液体と気泡を発生させるための発泡液とを内部に収容している。液体容器の外側には、液体吐出ヘッド200と液体容器90との接続を行う位置決め部94と固定するための固定軸95が設けられている。吐出液体の供給は、液体容器90の吐出液体供給路92から接続部材の供給路84を介して液体供給部材80の吐出液体供給路81に供給され、各部材の吐出液体供給口83,79,20を介して第1の液室に供給される。発泡液の供給も同様に、液体容器90発泡液体供給路93から接続部材の供給路を介して液体供給部材80の発泡液供給路82に供給され、各部材の発泡液体供給口84,79,21を介して第2の液室に供給される。
【0179】
以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおいては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給を行いうる供給形態及び液体容器90で説明したが、吐出液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と吐出液の供給経路及び容器を分けなくてもよい。
【0180】
なお、この液体容器90には、各液体の消費後に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体容器90に液体注入口を設けておくことが望ましい、また、液体吐出ヘッド200と液体容器90とは一体であってもよく、分離可能としてもよい。
【0181】
[液体吐出ヘッド産業用装置・インクジェット記録システム]
次に、本発明の液体吐出装置によって被記録媒体に対して記録を行う、インクジェット記録システムの一例を説明する。
【0182】
図20は、前述した本発明の液体吐出ヘッドを用いたインクジェット記録システムの構成を説明するための模式図である。
【0183】
本実施例における液体吐出ヘッドは、被記録媒体150の記録幅に対応した長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルライン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応した4つのヘッド201a〜201dをホルダー202によりX方向に所定の間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0184】
これらのヘッドに対してそれぞれの駆動信号供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成される。
【0185】
各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,Bkの4色のインクがそれぞれインク容器204a〜204dから供給されている。なお、符号204eは発泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0186】
また、各ヘッドの下方には、内部にスポンジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの吐出口を覆うことでヘッドの保守をなすことができる。
【0187】
符号206は、先の各実施例で説明したような各種、被記録媒体を搬送するための搬送手段を構成する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ローラにより所定の経路に引き回されており、モータドライバ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0188】
本実施例のインクジェット記録システムにおいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の処理を行う前処理装置251及び後処理装置252をそれぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けている。
【0189】
前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なるが、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着製の向上を図ることができる。また、プラスチック等の静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によってその表面にごみが付着しやすく、このごみによって良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、にじみ防止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、水溶液物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素及びチオ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理として行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理などであってもよい。
【0190】
一方、本実施例では、ヘッドとしてのフルラインヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述したような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して記録を行う形態のものであってもよい。
【0191】
さらに、上述した実施例は、可動部材を気泡発生時の圧力に応じて変位せしめる最も合理的な構成であるが、本発明は、可動部材をわずかに変位せしめる別の手段によって移動せしめるか、あるいは、この手段によって先行して移動させつつ気泡生成時の圧力波によって移動せしめるようにしてもよい。この別の手段としては、バイメタル構造の可動部材とし、これを駆動して変位させる手段等、多くの可動部材変位手段を利用することができる。
【0192】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成される条件を有しているので、可動部材の自由端の変位開始が、早急且つ確実であり、気泡発生時の圧力波が吐出口側及び可動部材の支点側にも十分に導かれることになるので、追従してくる気泡の成長が吐出口側に向かって、より確実、かつ、効率良く案内できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面図であり、(B),(C)はヘッド内圧力分布の説明図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッド例の部分破断図である。
【図3】本発明の他の液体吐出ヘッド例の部分破断斜視図である。
【図4】図1に示した液体吐出ヘッド例の部分破断斜視図である。
【図5】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図6】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図7】本発明の液体の流れを説明するための模式図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態における液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。
【図10】本発明の液体吐出ヘッド例の流路方向の断面模式図である。
【図11】図10に示した液体吐出へっどの部分破断斜視図である。
【図12】可動部材の動作を説明するための図である。
【図13】可動部材と液流路の構造を説明するための図である。
【図14】可動部材の他の形状を説明するための図である。
【図15】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図16】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図17】本発明の液体吐出ヘッドの供給路を説明するための断面図である。
【図18】本発明の液体吐出ヘッドの分解斜視図である。
【図19】本発明の液体吐出ヘッドカートリッジの一実施例を示す模式的分解斜視図である。
【図20】本発明の液体吐出装置の一実施例によって記録を行うためのインクジェット記録システムの一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 素子基板
2 発熱体
3 面積中心
10 液流路
11 気泡発生領域
12 供給路
13 共通液室
14 第1の液流路
15 第1の共通液室
16 第2の液流路
17 第2の共通液室
18 吐出口
19 狭窄部
20 第1供給路
21 第2供給路
22 第1液流路壁
23 第2液流路壁
24 凸部
30 分離壁
31 可動部材
32 自由端
33 支点
34 支持部材
35 スリット
36 気泡発生領域前壁
37 気泡発生領域側壁
40 気泡
50 溝付き部材(天板)
51 オリフィスプレート
70,240 支持体(アルミベースプレート)
71 共通液室枠
72 第2液流路壁
80 供給部材
200 液体吐出ヘッド部
220 押えばね

Claims (4)

  1. 液体が流れる液流路の下流側に配された吐出口と、
    前記液流路の内壁を構成する様に設けられ、前記吐出口から液体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体と、
    該電気熱変換体に対向する様に前記液流路内に配され、前記液流路の上流側に支点を、前記液流路の下流側に自由端を有する可動部材と、を有し、
    前記電気熱変換体は、発泡が初期に生じない面を除いた実質的に気泡を発生する面状の有効発泡領域を有し、
    前記可動部材の前記自由端は、前記有効発泡領域の中心部より下流側であって前記有効発泡領域の下流側の端部より上流側に対向する様に配されていることを特徴とする液体吐出ヘッド
  2. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記気泡は、前記電気熱変換体の前記有効発泡領域での膜沸騰現象によって発生することを特徴とする液体吐出ヘッド
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッドを用いて液体を吐出する装置であって、
    前記液体吐出ヘッドから吐出する液体が付与される印字領域に被記録媒体を搬送する手段と、
    前記液体吐出ヘッドの前記電記熱変換体に膜沸騰を生じせしめる駆動条件を与える駆動手段とを有することを特徴とする液体吐出装置
  4. 請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッドを用いて液体を吐出する液体吐出方法。
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