JP4743851B2 - 記録ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、フライングリードと基板とを電気接続したものに、弾性体などを押し付けることによって機械的にクランク状に折曲させるようになっているため、電気接続部に対して過大な負荷が掛かると共にフライングリード内に局部的に応力集中が生じる可能性がある。特に、基板における接続端子の高密度化に伴って、フライングリ−ドのピッチおよび幅が狭くなっている場合には、フライングリ−ドおよび電気接続部への負荷はさらに増大し、フライングリ−ドあるいはその接続部に亀裂や切断などの破壊を生じさせる可能性はさらに高まる。加えて、弾性体などを押し付ける場合は、その弾性体の耐久性も問題となる。
すなわち、本発明の第1の形態は、インクを吐出させるための吐出エネルギーを発生させる吐出エネルギー発生素子を有する基板と、該基板上に設けた電気接続端子に、電気配線基材に設けられた変形可能なフライングリードとを接続する接続工程と、該接続工程によって互いに接続された前記電気配線基材と前記基板とからなるユニットを、記録ヘッド本体に形成された異なる高さの第1面と第2面とにそれぞれ取り付ける取付工程と、を備えた記録ヘッドの製造方法であって、前記接続工程では、前記第1面と前記第2面との高さの差である段差量より、大きな段差量を介して前記基板の前記電気接続端子と前記配線基材の前記フライングリードとを接続することにより、前記取付工程において前記第1面に取り付けられた前記電気配線基材と、前記第2面に取り付けられた前記基板の前記電気接続端子とを接続する前記フライングリードに湾曲する弛み形状を形成し、前記取付工程では、前記基板と前記第2面とを固定した後に、前記電気配線基材と前記第1面とを固定することを特徴とする。
図1は本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す模式的平面図である。この記録装置は、記録ヘッドH1000およびH1001を位置決めして交換可能に搭載するキャリッジ102を有する。キャリッジ102には、記録ヘッドH1000およびH1001上の外部信号接続端子を介して各吐出部に駆動信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
本実施形態の記録ヘッドはインクタンクを分離不能に一体化してなるものであって、ブラックインクが充填されたインク収納部およびこのインク収納部から供給されるブラックインクを吐出する吐出部を有する第1の記録ヘッドH1000と、複数色のカラーインク(例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)がそれぞれ充填されたインク収納部および各インク収納部から供給されるカラーインクを吐出する各吐出部を有する第2の記録ヘッドH1001とを用いている。これら記録ヘッドH1000およびH1001は、キャリッジ102上に、位置決め手段および電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱可能なカートリッジの形態となっている。そして、充填されているインクが消費されてなくなった場合は、記録ヘッドを交換することができる。
本実施形態における記録ヘッドH1000はブラックのインクを吐出させるためのもので、図3の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1100、電気配線基材H1300、支持部材としての記録ヘッド本体H1500、フィルタH1700、インク吸収体H1600、蓋部材H1900、およびシール部材H1800から構成されている。以下、これらのうちの主たる構成要素について詳述する。
図4は、記録素子基板H1101の構成を説明するために一部を破断して示す斜視図である。本実施形態の記録素子基板は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子を用いたものである。また、電気熱変換素子とインク吐出口とが対向するように配置され、基板の主平面に対して垂直な方向にインクを吐出させる形態のもの(サイドシュータと称される)である。
電気配線基材である電気配線基材H1300は、記録素子基板H1101に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものであり、ポリイミドのベース基材上に銅箔の配線パターンを形成することで構成されている。電気配線基材H1300には、記録素子基板H1101を組み込むための開口部が形成されており、この開口部の縁付近には、記録素子基板H1101の電極部H1104に接続されるフライングリードH1304が形成されている。また、電気配線基材H1300には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号接続端子H1302が形成されており、この外部信号接続端子H1302は、フライングリードH1304を介して電気配線基材H1300上に形成された銅箔等の導電性の配線パターンにつながれている。
吐出部を構成する記録素子基板H1101および電気配線基材である電気配線基材H1300を支持する支持部材としての記録ヘッド本体H1500は、樹脂を成形することにより形成されている。樹脂材料には、形状的剛性を向上させるためにガラスフィラーを5〜40%混入した樹脂材料を使用することが望ましいが、樹脂内にフィラーを含有すると、フィラーの配向する向きによって線膨張率が変化するという特性を持っている。
図5に示すように、インク供給口H1200の周囲に形成される平面には、電気配線基材H1300の一部の裏面が第2の接着剤H1308により接着固定される。記録素子基板H1100と電気配線基材H1300との電気接続部分は、第1の封止剤H1307および第2の封止剤H1308により封止されており、これにより電気接続部分をインクによる腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤H1308は、主に電気配線基材H1300のフライングリードH1304と記録素子基板H1100のバンプH1105との接続部の裏面側と記録素子基板の外周部分を封止し、第2の封止剤H1308は、その接続部の表側を封止している。
図3(b)に示すように、蓋部材H1900は、記録ヘッド本体H1500の上部開口部に溶着されることで、記録ヘッド本体H1500内部の独立した空間をそれぞれ閉塞するものである。但し、蓋部材H1900にはインク供給保持部材H1500内部の圧力変動を逃がすための細口H1910と、これに連通した微細溝H1920とを有している。微細溝H1920の他端は、微細溝H1923の途中に合流している。さらに、微細溝H1923のほとんどと、細口H1910および微細溝H1920の全部とをシール部材H1800で覆い、微細溝H1923の他端部を開口することで大気連通口H1925を形成している。また、蓋部材H1900は、第2の記録ヘッドをインクジェット記録装置に固定するための係合部H1930を有している。
以下、本発明に係る記録ヘッドの特徴的構造およびその製造方法に関する実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
前述の基本構成でも述べたように、本実施形態における記録ヘッドH1000には、記録ヘッド本体H1500と、エネルギー発生素子を有する記録素子基板H1100と、この記録素子基板H1100の両端に設けられた電気接続端子部H1105に接続されるフライングリードH1304を備えた電気配線基材H1300とが設けられている。なお、図6(a)では、記録素子基板H1100の両端部に形成された電気接続端子H1105のうち、一方の電気接続端子H1105と一方の電気配線基材H1300との接続状態を示している。すなわち、図6(a)は図5の破断線の左側に示す部分を拡大して示している。
本工程では、まず、図7(a)に示すように、受治具101にフライングリードH1304を有する電気配線基材H1300を固定すると共に、受治具102に電気接続端子H1105を有する記録素子基板H1100を固定する。このとき、受治具101の上面は、受治具102の上面より上方に設定されており、その段差量Hg(図6参照)は、後述の関係式を満たす値に基づいて設定した値(0.85mm)となっている。
そして、図7(d)に示すように、記録素子基板H1100を記録ヘッド本体H1500に形成されている低部H1505の上面H1506に接着剤H1310を介して接着固定する。次いで、記録ヘッド本体H1500の段部1502の上面に接着剤H1309を塗布する。
本実施形態によれば、このような事態をは回避することができ、製造工程の簡略化および製造コストの低減を図りつつ、記録ヘッドとしての信頼性を大幅に向上させることができる。
まず、図6に示す各部の寸法を説明する。
LCは記録素子基板H1100の両端に設けられた電気接続端子H1105(図5では一方の電気接続端子のみを示す)のそれぞれに接続された左右のフライングリ−ドH1304の接続部における各端部間の距離(図5参照)を示している。また、Lmは記録ヘッド本体H1500の段部H1502の一方の側端面H1503と他方の側端面1503の距離(図5参照)を示している。
このHgに基づき上述の製造方法を実施した結果、ΔT=100℃の加熱キュア工程を行った場合にも、フライングリードH1304およびその電気接続部には悪影響が及ぶことはなくなり、適正な接続状態を得ることが確認された。
上記実施形態においては、フライングリ−ドと電気接続端子との電気接続部の周辺に熱硬化型の封止剤を塗布した場合を例に採り説明したが、封止剤はこれに限定されるものではなく、常温での硬化を可能とするものを使用することも可能である。この場合、封止剤を硬化させるための加熱キュア工程が不要となるため、上記関係式におけるΔTをその他の加熱環境に応じて設定すれば良い。
H1101 記録素子基板
H1103 電気熱変換素子
H1104 電極部
H1105 電気接続端子
H1107 吐出口
H1108 吐出部
H1110 Si基板
H1300 電気配線基材
H1304 フライングリード
H1307 第1の封止剤
H1308 第2の封止剤
H1309 接着剤
H1310 接着剤
H1311 熱硬化型の封止剤
H1500 記録ヘッド本体
H1502 段差部
H1505 低部
101 受治具
102 受治具
Claims (3)
- インクを吐出させるための吐出エネルギーを発生させる吐出エネルギー発生素子を有する基板と、該基板上に設けた電気接続端子に、電気配線基材に設けられた変形可能なフライングリードとを接続する接続工程と、該接続工程によって互いに接続された前記電気配線基材と前記基板とからなるユニットを、記録ヘッド本体に形成された異なる高さの第1面と第2面とにそれぞれ取り付ける取付工程と、を備えた記録ヘッドの製造方法であって、
前記接続工程では、前記第1面と前記第2面との高さの差である段差量より、大きな段差量を介して前記基板の前記電気接続端子と前記配線基材の前記フライングリードとを接続することにより、前記取付工程において前記第1面に取り付けられた前記電気配線基材と、前記第2面に取り付けられた前記基板の前記電気接続端子とを接続する前記フライングリードに湾曲する弛み形状を形成し、
前記取付工程では、前記基板と前記第2面とを固定した後に、前記電気配線基材と前記第1面とを固定することを特徴とする記録ヘッドの製造方法。 - 前記接続工程では、前記電気配線基材の前記フライングリードを、所定の段差量を介して前記基板の電気接続端子の上方空間に保持した状態で、前記電気接続端子との位置決めを行い、その後、前記フライングリードを前記接続端子に接続することを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッドの製造方法。
- 前記接続工程では、前記電気配線基材を保持する第1の受治具と、前記基板を保持する第2の受治具の少なくとも一方の高さを調整し、前記第1の受治具に前記電気配線基材を、前記第2の受治具に前記基板をそれぞれ保持させることにより前記電気配線基材と前記基板との段差量を設定した後、前記電気配線基材の前記フライングリードを前記基板の前記電気接続端子に接続することを特徴とする請求項1または2に記載の記録ヘッドの製造方法。
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