JPH1076682A - 液体吐出方法及び液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出方法及び液体吐出ヘッド

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JPH1076682A
JPH1076682A JP9179995A JP17999597A JPH1076682A JP H1076682 A JPH1076682 A JP H1076682A JP 9179995 A JP9179995 A JP 9179995A JP 17999597 A JP17999597 A JP 17999597A JP H1076682 A JPH1076682 A JP H1076682A
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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
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    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】気泡発生を利用して吐出口から液滴を吐出させ
る液体吐出方法、液体吐出ヘッドにおいて、吐出効率を
根本的に向上させるとともに、安定した吐出量や高速リ
フィル特性が得られるようにする。 【解決手段】発熱体2による気泡発生領域11に面し
て、吐出口18側に自由端を有する可動部材31を配
し、気泡発生に伴う可動部材31の変位により、気泡の
成長方向や気泡発生に伴う圧力波の伝搬方向を吐出口1
8側に向ける。発熱体2により液体に印加される吐出エ
ネルギーの上昇に対する吐出口18からの吐出量が、吐
出口18の面積Soと吐出口18から自由端の変位の軌
跡までの距離OEとの積で表わされる体積に実質的に等
しい値で飽和するように液体吐出ヘッドを構成し、この
飽和領域で吐出動作を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出方法、液体吐出ヘッド、ヘッ
ドカートリッジ及び液体吐出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】記録信号に応じて熱等のエネルギーをパ
ルス状にインクに与えることで、インクに急峻な体積変
化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態
変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出
し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行なう
インクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録
方法が従来より知られている。このバブルジェット記録
方法を用いる記録装置には、米国特許第4,723,12
9号明細書等の公報に開示されているように、インクを
吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク
流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するため
のエネルギー発生手段としての電気熱変換体が、一般的
に配されている。
【0003】このような記録方法によれば、品位の高い
画像を高速、低騒音で記録することができるとともに、
この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための
吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装
置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に
得ることができるという多くの優れた点を有している。
このため、このバブルジェット記録方法は、近年、プリ
ンター、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器
に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システ
ムにまで利用されるようになってきている。
【0004】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるにしたがって、近年、次のような要求
がさらに高まってきている。
【0005】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱のインク等の液体への伝搬効率を向上させる点で効果
がある。また、高品質の画像を得るために、インクの吐
出スピードが速くかつ安定した気泡発生に基づく良好な
インク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動
条件が提案されている。また、高速記録の観点から、吐
出後における液体の液流路内への充填(リフィル)速度
の大きい液体吐出ヘッドを得るために、流路形状を改良
したものも提案されている。
【0006】これら各種提案された流路形状の内、流路
構造として図36(a),(b)に示すものが、特開昭63−
199972号公報等に記載されている。この公報に記
載されている流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生
に伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆
の方向へ向かう圧力、すなわち、液室12の方向へ向か
う圧力)に着目した発明である。このバック波は、吐出
方向へ向かうエネルギーでないため、損失エネルギーと
して知られている。
【0007】図36(a),(b)に示す流路形状では、発熱
素子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ、かつ、発
熱素子2に関して吐出口11とは反対側に位置するに弁
10が設けられている。この弁10は、板材等を利用す
る製造方法によって、図36(b)に示すように、流路3
の天井に貼り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生
に伴って流路3内へ垂れ下がる。図36(a),(b)に示さ
れる発明では、上述したバック波の一部を弁10によっ
て制御し、上流側へのバック波の進行を抑えることで、
エネルギー損失を抑制するとされている。しかしなが
ら、気泡の発生する過程を詳細に検討すると分かるよう
に、吐出すべき液体を保持する流路3内部に弁10を設
けてバック波の一部を抑制することは、液体吐出にとっ
ては実用的なものでない。すなわち、もともとバック波
自体は、前述したように吐出に直接関係しないものであ
る。このバック波が流路3内に発生した時点では、図3
6(a)に示すように、気泡のうち吐出に直接関係する圧
力はすでに流路3から液体を吐出可能状態にしている。
したがって、バック波、しかもその一部を抑制したから
といっても、吐出に大きな影響を与えないことは明らか
である。
【0008】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
ることがあるが、インクの種類によっては、この堆積物
が多く発生することで気泡の発生を不安定にしてしま
い、良好なインクの吐出を行うことが困難な場合があっ
た。また、吐出すべき液体が熱によって劣化しやすい液
体の場合や十分に発泡が得られにくい液体の場合におい
ても、吐出すべき液体を変質させず、良好に吐出するた
めの方法が望まれていた。
【0009】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、米国特許第4,4
80,259号明細書等の公報に開示されている。これ
らの公報では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコ
ンゴムなどの可撓性膜で完全に分離し、発熱体に吐出液
が直接接しないようにするとともに、発泡液の発泡によ
る圧力を可撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成を
とっている。このような構成によって、発熱体表面の堆
積物の防止や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成し
ている。
【0010】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全に分離する構成のヘッドにおいては、発泡時
の圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構
成であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収
してしまい、また、可撓性膜の変形量もあまり大きくな
いため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を
得ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低
下してしまうおそれがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者ら
の一部は、液滴吐出の原理に立ち返り、気泡を利用した
新規な液滴吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提
供すべく、流路中の可動部材の機構の原理を解析すると
言った液流路中の可動部材の動作を起点とする第1の技
術解析、及び気泡による液滴吐出原理を起点とする第2
の技術解析、さらには、気泡形成用の発熱体の気泡形成
領域を起点とする第3の技術解析を行い、その結果、気
泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成して液体
を吐出する方法での根本的な吐出特性を、従来では考え
られなかった観点から、従来では予想できない水準に高
めることを可能にした。
【0012】すなわち本願出願人は、上述した各解析に
よって、可動部材の支点と自由端の配置関係を吐出口側
つまり下流側に自由端が位置する関係にすること、また
可動部材を発熱体もしくは、気泡発生領域に面して配す
ることで積極的に気泡を制御する全く新規な技術を確立
し、この新たに得られた技術に基づく発明を特許として
出願した。具体的には、気泡自体が吐出量に与えるエネ
ルギーを考慮すると、気泡の下流側の成長成分を考慮す
ることが吐出特性を格段に向上できる要因として最大で
あること、つまり、気泡の下流側の成長成分を吐出方向
へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出速度の向
上をもたらすことが判明し、このことから、気泡の下流
側の成長成分を積極的に可動部材の自由端側に移動させ
ることによって、従来の液体吐出方法に比べて極めて高
い技術水準の発明を完成させた。この発明では、気泡を
形成するための発熱領域、例えば電気熱変換体の液体の
流れ方向の面積中心を通る中心線から下流側、あるい
は、気泡形成を司る面における面積中心等の気泡下流側
の成長にかかわる可動部材や液流路等の構造的要素を勘
案することも好ましい。一方、可動部材の配置と液供給
路の構造を考慮することで、リフィル速度を大幅に向上
する。
【0013】本発明は、上述したように液路中において
気泡発生領域に対向して可動部材を配することで気泡の
成長方向を下流側に集中させるようにした液体吐出方法
及び液体吐出ヘッドを前提として、ここでの吐出原理に
よつ吐出効率の向上や安定性向上に加え、これらをさら
に有効に活用することを狙い、可動部材と流路構造に着
目し、新たな吐出量制御手段を見出し、さらに飛躍的に
安定した吐出性能を得るものであって、本発明の主たる
目的は以下の通りである。
【0014】第1の目的は、吐出口からの可動部材の自
由端までの体積を吐出量として制御した液体吐出方法及
び液体吐出ヘッドを提供することにある。
【0015】第2の目的は、吐出口から可動部材の自由
端までの体積を吐出させる以上の吐出エネルギーを印加
して、吐出性能をより安定させた液体吐出方法及び液体
吐出ヘッドを提供することにある。
【0016】本発明の第3の目的は、液滴吐出後のメニ
スカスのリフィル速度が向上した液体吐出方法及び液体
吐出ヘッドを提供することにある。
【0017】本発明の第4の目的は、発生した気泡を根
本的に制御することで極めて新規な液体吐出原理を提供
することにある。
【0018】本発明の第5の目的は、吐出効率、吐出圧
力の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に
軽減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図るこ
とで、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出方法、液体
吐出ヘッド等を提供することにある。
【0019】本発明の第6の目的は、バック波による液
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によってメニスカス後退量を低
減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピード
等を向上させた液体吐出ヘッド等を提供することにあ
る。
【0020】本発明の第7の目的は、発熱体上への堆積
物を低減するとともに、吐出用液の用途範囲を広げるこ
とができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐
出方法、液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0021】本発明の第8の目的は、吐出する液体の選
択自由度を高くできる液体吐出方法、液体吐出ヘッド等
を提供することにある。
【0022】本発明の第9の目的は複数の液体を供給す
るための液体導入路を少ない部品点数で構成することで
製造が容易で安価なヘッドおよび装置を提供すること、
また小型化が図れた液体吐出ヘッド、装置等を提供する
ことである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、液流路内
に可動部材を有し、気泡発生領域での気泡の発生によっ
てこの可動部材を変位させ、吐出口から液滴を吐出する
上述した液体吐出ヘッドにおいて、吐出のための印加エ
ネルギーの変化に対し、印加エネルギーがある値以上と
なると吐出量が飽和し、この飽和領域で吐出を行わせる
ことによって、安定した吐出量とさらなる高速リフィル
特性が得られることを見出し、本発明を完成させた。す
なわち、上述のような目的を達成するための本発明の代
表的な要件は、次のようなものである。
【0024】液体を吐出する吐出口と、液体に気泡を発
生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して配
され、第1の位置と該第1の位置よりも気泡発生領域か
ら遠い第2の位置との間を変位可能な可動部材とを有す
るヘッドを用い、気泡発生用のエネルギーを印加するこ
とによる前記気泡発生領域での気泡の発生に基づく圧力
によって前記可動部材を前記第1の位置から前記第2の
位置へ変位させ、前記可動部材の変位によって前記気泡
を吐出口に向かう方向の上流よりも下流に大きく膨張さ
せることで、前記吐出口から液体を吐出するための吐出
エネルギーを液体に印加して液体を吐出する液体吐出方
法において、前記可動部材は、支点に対し下流側に自由
端を有し、前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出
エネルギーの上昇に伴って実質的に飽和する飽和領域に
相当する吐出エネルギーを印加して液体の吐出を行う液
体吐出方法。
【0025】もしくは、液体を吐出する吐出口と、前記
吐出口に連通する第1の液流路と、気泡発生領域を有す
る第2の液流路と、前記吐出口側に自由端を有し前記第
1の液流路と前記気泡発生領域との間に配された可動部
材とを有するヘッドを用い、気泡発生用のエネルギーを
印加することによって前記気泡発生領域に気泡を発生さ
せ、該気泡の発生による圧力に基づいて前記可動部材の
自由端を前記第1の液流路側に変位させ、該可動部材の
変位によって前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に
導くことで前記吐出口から液体を吐出するための吐出エ
ネルギーを液体に印加して液体を吐出する液体吐出方法
において、前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出
エネルギーの上昇に伴って実質的に飽和するヘッドを使
用し、その飽和領域に相当する吐出エネルギーを印加し
て液体の吐出を行う液体吐出方法。
【0026】もしくは、気泡の発生によって吐出口から
液体を吐出する液体の吐出方法であって、流路中に配さ
れた発熱体に沿って該発熱体より上流側から液体を供給
し、気泡発生用のエネルギーを印加することによって前
記発熱体で発生した熱を供給された液体に作用させるこ
とで気泡を生じさせ、該気泡の発生に基づく圧力によっ
て、前記発熱体に面して配されかつ前記吐出口側に自由
端を有する可動部材の自由端を変位させ、該可動部材の
変位によって前記圧力を吐出口側に導くことで、前記吐
出口から液体を吐出するための吐出エネルギーを液体に
印加して液体を吐出する液体吐出方法において、前記吐
出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギーの上昇
に伴って実質的に飽和する領域で液体の吐出を行う液体
吐出方法。もしくは、変位する自由端を吐出口側に備え
た可動部材を使用するともに、気泡発生用のエネルギー
を印加することによって膜沸騰を生じさせ、少なくとも
液滴吐出に直接作用する圧力成分を有する気泡部分によ
って前記可動部材を変位させ、前記圧力成分を有する気
泡部分を吐出口側に導くことにより、前記吐出口から液
滴を吐出するための吐出エネルギーを液体に印加して液
体を吐出する液体吐出方法において、前記吐出口から吐
出する液体の量が前記吐出エネルギーの上昇に伴って実
質的に飽和する飽和領域に相当する吐出エネルギーを印
加して液体の吐出を行う液体吐出方法。
【0027】もしくは、エネルギーを印加したことによ
る気泡発生領域での気泡の発生に基づいて、該気泡発生
領域よりも液滴吐出方向に関して下流側であって該気泡
発生領域に対向しない位置にある吐出口から液滴を吐出
する液滴吐出方法であって、前記気泡発生領域の吐出口
側領域を前記吐出口に対して実質的に密閉状態とする自
由端部分と、該自由端部分に関して前記吐出口と反対側
に位置する支点部分から該自由端部分に至る面部分と、
を備える可動部材を用い、該気泡の発生によって、該実
質的に密閉状態の自由端を移動せしめて前記気泡発生領
域を吐出口に対して開放し液滴を吐出するための吐出エ
ネルギーを液体に印加して液体を吐出する液体吐出方法
において、前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出
エネルギーの上昇に伴って実質的に飽和する飽和領域に
相当する吐出エネルギーを印加して液体の吐出を行う液
体吐出方法。
【0028】もしくは、液体を吐出する吐出口と、液体
に気泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域
に面して配され、第1の位置と該第1の位置よりも前記
気泡発生領域から遠い第2の位置との間を変位可能な可
動部材とを有し、気泡発生用のパルスエネルギーを印加
することで前記気泡発生領域で気泡を発生させ、この気
泡の発生に基づく圧力によって、前記可動部材を前記第
1の位置から前記第2の位置へ変位させるとともに、前
記可動部材の変位によって前記気泡を吐出口に向かう方
向の上流よりも下流に大きく膨張させることで前記吐出
口から液体を吐出するための吐出エネルギーを液体に印
加して液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、前記吐
出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギーの上昇
に伴って実質的に飽和する飽和領域に相当する吐出エネ
ルギーを印加して液体の吐出を行う液体吐出ヘッド。
【0029】もしくは、吐出口に連通した第1の液流路
と、気泡発生用のエネルギーの印加によって液体に熱が
加えられ前記液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有
する第2の液流路と、前記第1の液流路と前記気泡発生
領域との間に配され、吐出口側に自由端を有し、前記気
泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基づいて該自
由端を前記第1の液流路側に変位させて前記圧力を前記
第1の液流路の吐出口側に可動部材によって導くことで
吐出エネルギーを液体に印加して液体を吐出する液体吐
出ヘッドにおいて、前記吐出口からの吐出する液体の量
が前記吐出エネルギーの上昇に伴って実質的に飽和する
液体吐出ヘッド。
【0030】もしくは、液体を吐出する吐出口と、液体
に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と
該発熱体に沿った該発熱体より上流側から前記発熱体上
に液体を供給するための供給路とを有する液流路と、前
記発熱体に面して設けられ前記吐出口側に自由端を有し
前記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位
させて前記圧力を前記吐出口側に導く可動部材と、を有
する液体吐出ヘッドにおいて、前記発熱体にエネルギー
を印加することで吐出エネルギーを発生させて液体を前
記吐出口から吐出させたときに、前記吐出口からの吐出
する液体の量が、前記吐出エネルギーの上昇に伴って実
質的に飽和する液体吐出ヘッド。
【0031】もしくは、液体を吐出する吐出口と、液体
に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体
と、前記発熱体に面して設けられ前記吐出口側に自由端
を有し前記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端
を変位させて前記圧力を前記吐出口側に導く可動部材
と、前記可動部材の前記発熱体に近い面に沿った上流側
から前記発熱体上に液体を供給する供給路と、を有する
液体吐出ヘッドにおいて、前記発熱体にエネルギーを印
加することで吐出エネルギーを発生させて液体を前記吐
出口から吐出させたときに、前記吐出口からの吐出する
液体の量が、前記吐出エネルギーの上昇に伴って実質的
に飽和する液体吐出ヘッド。
【0032】もしくは、液体を吐出するための複数の吐
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付部材と、液体に
熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数の
発熱体が配された素子基板と、前記溝付部材と該素子基
板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液流路
の壁の一部を構成するとともに、前記発熱体に面した位
置に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の液
流路側に変位する可動部材とを具備した分離壁と、を有
する液体吐出ヘッドにおいて、前記発熱体にエネルギー
を印加することで吐出エネルギーを発生させて液体を前
記吐出口から吐出させたときに、前記吐出口からの吐出
する液体の量が、前記吐出エネルギーの上昇に伴って実
質的に飽和する液体吐出ヘッド。
【0033】もしくは、上述の液体吐出ヘッドと、該液
体吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを
有するヘッドカートリッジ。
【0034】もしくは、上述の液体吐出ヘッドと、該液
体吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供
給する駆動信号供給手段と、を有する液体吐出装置。
【0035】もしくは、上述の液体吐出ヘッドと、該液
体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける被記録媒体を
搬送する被記録媒体搬送手段と、を有する液体吐出装置
である。
【0036】上述したような本発明の液体吐出方法、液
体吐出ヘッド等によると、発生する気泡とこれによって
変位する可動部材との相乗効果によって吐出効率が向上
するとともに、吐出口から吐出される液体の量が吐出エ
ネルギーの上昇にともなって実施鵜的に飽和する領域で
液体の吐出を行わせることによって、極めて安定した吐
出量が得られ、また、さらなる高速リフィル特性が得ら
れるようになり、気泡の安定成長、液滴の安定化を達成
して、高速液体吐出による高速記録また高画質記録が可
能になる。また、環境の変化やヘッド固有のばらつき特
性による吐出量の変動が極めて小さいため、画像の濃度
の変化やムラが極めて少ない良好な品位が得られる。
【0037】本発明のその他の効果については、以下の
発明の実施の形態の記載から理解される。
【0038】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0039】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0040】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0041】さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
【0042】本発明で用いる「可動部材の自由端の変位
の軌跡」とは、可動部材がその支点を中心に変位する
際、自由端が描く円弧状の面であり、円弧が小さい場
合、平面としての実質等価的に扱えるものである。
【0043】本発明でいう吐出量が「実質的に飽和して
いる飽和領域」は、吐出口面の吐出口面積So(μm2
×吐出口面から可動部材自由端がなす軌跡までの距離O
E(μm)の積が略一定となる完全飽和領域と、有効発
泡面積に対して吐出量が比例をなす領域から変化し始め
る変曲点から、この完全飽和領域に至る領域とを含むも
のである。この変曲点は、液体の条件やヘッド吐出口形
状または吐出口近傍の面積変化によってわずかに変化す
るものの、液体吐出ヘッドとして用いられる150μm
以下の範囲では、0.9So・OEとして代表できる。こ
の変曲点を物理的に補足すると、液体が吐出する際に、
ヘッド内部から吐出液を引き戻す作用成分であって、吐
出口の周囲で作用する引き戻し量に相当し、吐出口So
を半径Rの円とした場合、最大でも(2πR×1μm)
として考えることができる。したがって、上記変曲点を
含む実質的な飽和領域は、(So−2πR)×OEとな
る。
【0044】本発明における、「記録」とは、文字や図
形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与するこ
とだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与
することをも意味するものである。
【0045】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。まず、本発明の実施の形
態を説明するのに先立って、本発明が前提とするところ
の液体吐出原理について説明する。本発明が前提とする
液体吐出原理では、液路内に可動部材を配し、液体を吐
出するための、気泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成
長方向をこの可動部材によって制御し、これによって吐
出力や吐出効率の向上を図っている。
【0046】図1(a)〜(d)は、液体吐出ヘッドを液流路
方向で切断した断面模式図であって、この吐出原理によ
る液滴の吐出過程を順を追って示している。また、図2
はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
なお、図2の部分破断斜視図は、後述する本発明の第1
の実施の形態に液体吐出ヘッドの構成をも示している。
【0047】この液体吐出ヘッドは、液体を吐出するた
めの吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エネルギ
ーを作用させる発熱体2(ここでは、例えば、40μm
×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設け
られており、この素子基板1上に、発熱体2に対応して
液流路10が配されている。液流路10は、吐出口18
に連通しているととともに複数の液流路10に液体を供
給するための共通液室13に連通しており、吐出口18
から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室1
3から受け取るようになっている。
【0048】この液流路10の素子基板1上には、前述
の発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有
する材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材3
1が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端
は、液流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパ
ターニングして形成した土台(支持部材)34等に固定
されている。これによって、可動部材31は、保持され
るとともに支点(支点部分)33を構成している。
【0049】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で、例えば発熱体2から
15μm程度の距離を隔てて配されている。この発熱体
2と可動部材31との間が気泡発生領域となる。なお発
熱体2、可動部材31の種類や形状および配置はこれに
限られることなく、後述するように気泡の成長や圧力の
伝搬を制御しうる形状および配置であればよい。なお、
上述した液流路10は、後に取り上げる液体の流れの説
明のため、可動部材31を境にして吐出口18に直接連
通している部分を第1の液流路14とし、これに対して
気泡発生領域11や液体供給路12を有する部分を第2
の液流路16として、これら2つの領域(第1の液流路
14及び第2の液流路16)に分けて説明する。
【0050】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体に、米国特許第4,723,129号明細書に記
載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させ
る。気泡の発生に基づく圧力と気泡は、可動部材31に
優先的に作用し、可動部材31は図1(b),(c)もしくは
図2で示されるように、支点33を中心に吐出口側に大
きく開くように変位する。可動部材31の変位若しくは
変位した状態によって、気泡の発生に基づく圧力の伝搬
や気泡自身の成長が吐出口18側に導かれる。
【0051】ここで、本発明の基本的な吐出原理の一つ
を説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、
気泡に対面するように配された可動部材31が、気泡の
圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1の位
置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、この変
位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力や気
泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことであ
る。
【0052】この原理を、可動部材を用いない従来の液
流路構造を模式的に示した図3と本発明の図4とを比較
して、さらに詳しく説明する。なおここでは、吐出口方
向への圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方
向をVBとして示した。
【0053】図3で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の形成による圧力伝搬
方向は、V1〜V8に示すように、それぞれ気泡40の表
面の法線方向となり、さまざまな方向を向いていた。こ
のうち、液吐出に最も影響を及ぼすVA方向に圧力伝搬
方向の成分を持つものは、V1〜V4すなわち気泡のほぼ
半分の位置より吐出口に近い部分の圧力伝搬の方向成分
であり、これらは、液吐出効率、液吐出力、吐出速度等
に直接寄与する重要な部分である。さらにV1は吐出方
向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4は、
VAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0054】これに対して、図4で示される本発明の場
合には、図3に示す従来の場合ではさまざまな方向を向
いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4が、可動部材31
によって下流側(吐出口側)へ導かれ、VAの圧力伝搬
方向に変換され、これにより気泡40の圧力が直接的に
効率よく吐出に寄与することになる。そして、気泡の成
長方向自体も、圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向
に導かれ、上流より下流で大きく成長する。このよう
に、気泡の成長方向自体を可動部材によって制御し、気
泡の圧力伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力
また吐出速度等の根本的な向上を達成することができ
る。
【0055】図1に戻って、この液体吐出ヘッドの吐出
動作について詳しく説明する。
【0056】図1(a)は、発熱体2に電気エネルギー等
のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体が熱
を発生する前の状態である。ここで重要なことは、可動
部材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対
し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に
設けられていることである。つまり、気泡の下流側が可
動部材に作用するように、液流路構造上では少なくとも
発熱体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通
って流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで
可動部材31が配されている。
【0057】図1(b)は、発熱体2に電気エネルギーな
どが印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部が加熱され、膜
沸騰に伴う気泡が発生した状態を示している。このと
き、可動部材31は、気泡40の発生に基づく圧力によ
り、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口方向に導くよう
に、第1位置から第2位置へ変位する。ここで重要なこ
とは前述したように、可動部材31の自由端32を下流
側(吐出口側)に配置し、支点33を上流側(共通液室
側)に位置するように配置して、可動部材の少なくとも
一部を発熱体2の下流部分すなわち気泡の下流部分に対
面させることである。
【0058】図1(c)は、気泡40がさらに成長した状
態を示しているが、ここでは、気泡40の発生に伴う圧
力に応じて、可動部材31はさらに変位している。発生
した気泡は、上流より下流に大きく成長するとともに、
可動部材31の第1の位置(点線位置)を越えて大きく
成長している。このように気泡40の成長に応じて可動
部材31が徐々に変位して行くことで、気泡40の圧力
伝搬方向や体積移動のしやすい方向、すなわち自由端側
への気泡の成長方向を吐出口18に均一的に向かわせる
ことができることも、吐出効率を高めていると考えられ
る。可動部材31は、気泡や気泡形成に伴う圧力波を吐
出口方向へ導く際もこの伝達の妨げになることはほとん
どなく、伝搬する圧力の大きさに応じて、圧力の伝搬方
向や気泡の成長方向を効率よく制御することができる。
【0059】図1(d)は、気泡40が、前述した膜沸騰
の後、気泡内部の圧力の減少によって収縮し、消滅する
状態を示している。この状態では、もはや、発熱体2に
は電気エネルギーは印加されていない(少なくとも、気
泡を維持するのに必要な程度以上のエネルギーは供給さ
れていない)。第2の位置まで変位していた可動部材3
1は、気泡の収縮による負圧と可動部材31自身のばね
性による復元力によって、図1(a)の初期位置(第1の
位置)に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域1
1での気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液
体の体積分を補うために、上流側(図示B側)、すなわ
ち共通液室側から、流れVD1、VD2のように、また、吐
出口側から流れのVcのように、液体が流れ込んでく
る。
【0060】以上の吐出過程において、発熱体2にはパ
ルス状に電気的エネルギーが印加され、1回の気泡成長
とそれに結び付けられる液滴の吐出と、印加されるパル
ス(このパルスには気泡成長のためのパルスとそれに先
行しかつ気泡成長に至らない程度のパルスとが組み合わ
さっていてもよい)とが、対応付けられることになる。
このため、1回の液滴の吐出に対応するパルス(群)の
エネルギー量、すなわち、吐出のために投入したエネル
ギー量を、電気パルスの場合であれば、電流・電圧積を
パルスの持続時間にわたって積分することで求めること
が可能になる。
【0061】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下、この液体吐
出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく説明す
る。
【0062】図1(c)の状態の後、気泡40が最大体積
の状態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積
を補う体積の液体が、気泡発生領域11に、第1液流路
14の吐出口18側と第2液流路16の共通液室側13
から流れ込む。
【0063】可動部材31を持たない従来の液流路構造
においては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量
と共通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より
吐出口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大
きさに起因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくもので
ある)。このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さい場
合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ込
み、メニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0064】これに対して、上述した吐出原理を用いた
この液体吐出ヘッドでは、可動部材31を設けたため、
気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境に上側をW
1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消泡時に可動
部材31が元の位置に戻った時点でメニスカスの後退は
止まり、その後残ったW2の体積分の液体供給は、主に
第2流路16の流れVD2からの液供給によってなされ
る。これにより、従来は、気泡Wの体積の半分程度に対
応した量がメニスカスの後退量になっていたのに対し
て、ここでは、それより少ないW1の半分程度のメニス
カス後退量に抑えることが可能になった。さらに、W2
の体積分の液体供給は、消泡時の圧力を利用して、可動
部材31の発熱体側の面に沿って主に第2液流路16の
上流側(V D2)から強制的に行うことができるため、よ
り速いリフィルを実現できた。
【0065】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたのに対し、ここで述べる高速リフィルにおいて
は、可動部材31によって、吐出口側の第1液流路14
の領域と気泡発生領域11との吐出口側での液体の流通
が抑制されるため、メニスカスの振動を極めて少なくす
ることができることである。
【0066】このように、本発明が用いる吐出原理によ
れば、第2流路16の液供給路12を介しての気泡発生
領域11への強制的なリフィルと、上述したメニスカス
後退や振動の抑制によって高速リフィルを達成すること
で、吐出の安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に
用いた場合、画質の向上や高速記録を実現することがで
きる。
【0067】上述した液体吐出原理は、さらに次のよう
な有効な機能を兼ね備えている。すなわち、気泡の発生
による圧力の上流側への伝搬(バック波)が抑制される
ことである。従来、発熱体上で発生した気泡の内、共通
液室側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上
流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になって
いた。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液
移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これ
らは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の
妨げにもなっていた。上述した液体吐出原理によれば、
まず可動部材31によって上流側へのこれらの作用を抑
えられ、リフィル供給性の向上がさらに図られている。
【0068】上述のような液体吐出原理を踏まえ、以
下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0069】《第1の実施の形態》本発明の第1の実施
の形態の液体吐出ヘッドを説明する。液体吐出ヘッドと
しての構成は、上述の図2の部分破断斜視図に示したも
のと同一であるが、第1液流路における可動部材31の
自由端と吐出口18との間の距離をある程度長くし、か
つ、この自由端側からみて吐出口18の直前まで第1液
流路の断面の形状を変化させず、吐出口18の近傍で急
激に流路断面積を絞って吐出口18となるようにしてい
る。図5(a)はこの液体吐出ヘッドの吐出領域を示す模
式的に示す平面図であって、第1液流路14側からみた
図であり、図6は、図5のX−X'線での模式断面図で
あり、図7(a)〜(c)は、順を追ってこの液体吐出ヘッド
での液体吐出過程を示す図である。
【0070】この液体吐出ヘッドでは、吐出口18の
(開口)面積をSo(μm2)、吐出口面と可動部材31
の自由端の軌跡面までの距離をOE(μm)、1回の吐
出当りの吐出量Vd(μm3)としている。液体吐出ヘッ
ドとしては、一般に、So≦1000、OE≦150、
d≦100×103の上限範囲内で使用されるものが多
いと考えられる。そして、この液体吐出ヘッドを使用し
て吐出口18から液滴を吐出する場合には、吐出1回当
りの吐出量Vdが、 Vd = So × OE …(1a) なる値になるように、発熱体2、可動部材31や吐出液
路の設計をし、吐出エネルギーを十分に大きくすればよ
い。すなわち、吐出口18から可動部材31の自由端の
軌跡面までの体積(図示、斜線部の体積)で表わされる
ような吐出量Vdが得られるようにする。このとき、可
動部材31の自由端の幅が吐出口径より小さい場合は、
図5(b)のように、自由端軌跡面と吐出口を結ぶ体積と
なる。
【0071】いま、例えば、Vd=40×103の吐出量
を安定的に吐出しようとすると、S o=400、OE=
100とすればよい。この際、発熱体2は、Vd=40
×10 3以上を吐出するのに必要な面積で、幅36μ
m、長さ85μmのものを用いればよい。また、可動部
材31は、吐出口径及び発熱体幅以上であることが安定
性上好ましく、40μm幅のものを用いた。ただし、可
動部材31の幅は、発熱領域幅でもよいが、有効発泡領
域(発熱体周囲から1〜8μm内側の領域)幅以上とし
てもよい。
【0072】また、吐出口の外周部には、液体の粘性に
より、ほぼ吐出されない層の部分があり、この層の厚さ
は、液体の物性により、吐出口径の0〜10%の層とし
て考えられる。すなわち、この場合、 So×OE ≧Vd ≧ 0.9×So×OE …(1b) で表わされ、この液吐出量Vdを吐出する条件におい
て、吐出量変動率は少なくとも±5%に抑えることがで
きるのである。
【0073】また、図6における可動部材31の変位の
軌跡面は、吐出口の径より大きく、吐出口の投影面の全
域と交わっているが、変位が交わらない場合において
も、自由端が変位方向の液体を前後に分断するように作
用するため、吐出量制御の精度は小さくなるものの、制
御可能である。さらに、自由端領域の液体の動きは、自
由端の変位方向で前後に分断される場合と、変位の速度
や角度によりやや支点側に近い部分で液を分断する動き
がある。これは、自由端より約10μm支点方向になる
ため、 So×(OE+10μm)≧Vd≧So×OE …(1c) と表わされる範囲で制御可能となる。以下、図7を用い
てこのような吐出量が得られることを説明する。
【0074】図7(a)は、発熱体2にエネルギーが印加
される前の静止状態を示している。液流路内には例えば
インクなどの液体が満たされており、吐出口部でメニス
カスMを形成している。ここで重要なことは、発熱体2
の発熱によって形成された気泡に対し、上述したよう
に、可動部材31がこの気泡の少なくとも下流側部分に
対面する位置に設けられていることである。つまり、気
泡の下流側が可動部材31に作用するように、液流路構
造上では少なくとも発熱体2の面積中心よりも下流(発
熱体2の面積中心を通って流路の長さ方向に直交する線
(図6での破線C)より下流)の位置まで、可動部材3
1が配されている。
【0075】ここで、発熱体2に電気エネルギーが印加
されたとする。図7(b)は、発熱体2に電気エネルギー
が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって気
泡発生領域11内を満たす満たす液体の一部が加熱さ
れ、膜沸騰に伴う気泡が発生した状態を示している。こ
のとき可動部材31は、気泡の発生に基づく圧力によ
り、第1の液流路14側に変位する。この可動部材31
の変位に伴い、可動部材31の自由端の変位位置を基準
にして、自由端よりも下流側では吐出口側へ、自由端よ
りも上流側では共通液室側へ、それぞれ圧力が伝搬し始
める。気泡発生に伴う圧力は、液流路構成や液体の種
類、印加エネルギーにもよるが、典型的には、パルスの
印加開始から1μsよりも短い時間の間に最大に達し、
その後、減少する。すなわち、気泡の成長に比べて早い
段階で最大に達し、気泡成長中であっても、この波(圧
力波)として伝わる圧力は、減少に転じる。
【0076】図7(c)は、気泡がさらに成長した状態を
示しており、気泡発生に伴う圧力に応じて可動部材はさ
らに変位している。発生した気泡は上流側よりも下流側
に大きく成長するとともに、第1液流路側に延在する。
このように気泡の成長に応じて可動部材31が変位する
ことにで、気泡生成にともなう圧力伝搬方向や体積移動
のしやすい方向、すなわち自由端側への気泡の成長方向
を吐出口に向わせることができるのである。このとき、
可動部材31の自由端よりも下流側では、吐出口18の
方向に圧力が伝搬されるが、この液体吐出ヘッドでは、
図示されるように、流路構造が、可動部材31の自由端
位置から吐出口18に向けて断面積が小さくなる構造と
なっているため、吐出口18付近では流抵抗が大きくな
る。特に、上述したような極めて短い時間の圧力の作用
によって吐出口方向に加速をうける液体は、斜線で示さ
れるSo×OEの領域がほとんどであるため、それ以外
の部分にある液体は、吐出に伴う移動はあっても、ほと
んど吐出には至らない。このため、液流路中で可動部材
31の自由端よりも下流側にある第1の液流路14内の
全ての液体を吐出することはできず、吐出口18から自
由端軌跡までの体積に相当する量、すなわち式(1)で表
わされる吐出量Vdの液体のみが吐出されることにな
る。また、自由端の変位方向付近で、液体は、吐出口方
向と上流方向に分断され、別々の方向に移動するため、
結局、式(1a)また(1b),(1c)で表わされる液体のみが吐
出されることになる。
【0077】図8は、本発明のヘッドにおいて、液体を
吐出する吐出エネルギーを変化(上昇)させたときの吐
出量Vdの変化を示したもので、これにより、本発明の
特徴である吐出量飽和領域を説明する。
【0078】本実施の形態において、吐出エネルギーを
変化させる手段として、発熱体の面積を変化(増加)さ
せた。発熱体には、液体を発泡させる領域(発泡有効面
積H)と、発熱体外周部(本例の場合、外周から4μ
m)の温度分布の低くなる液体を発泡させない非発泡領
域とがある。吐出量Vdは、この他の設計パラメータが
一定の場合、この発泡有効面積Hにほぼ比例する傾向が
ある。しかし、発泡有効面積Hの増加にともなって増加
したVdが、HvでVd=So×OEとなると、前述した理
由により、吐出量が変化しない領域となる。したがっ
て、発熱体の面積を、発泡有効面積がHv以上となるよ
うにすることで、環境等によらず、安定した吐出量が得
られる。
【0079】すなわち、典型的には、Vd=So×OEで
安定した吐出量Vdが得られる。そして、液体の粘性の
効果が顕著な場合であってもSo×OE≧Vd≧0.9×
o×OEの範囲で、すなわち±5%の精度で安定した
吐出量Vdが得られ、可動部材の変位による液体の分断
箇所が自由端の軌跡面からずれた場合であってもSo×
(OE+10μm)≧Vd≧So×OEの範囲で安定した
吐出量が得られ、これらが複合した最悪に近い条件であ
っても、So×(OE+10μm)≧Vd≧0.9×So×
OEの範囲で安定した吐出量が得られるのである。
【0080】また、本実施の形態では、発熱体の面積を
変えることで、飽和領域の吐出量となる吐出エネルギー
としたが、他に、吐出流路や可動部材等の構造によって
調整してもよい。
【0081】図8に示すように、発泡有効面積H(すな
わち印加したエネルギー)の上昇に伴って吐出量Vd
飽和する傾向を示し、発泡有効面積がHvのときに、吐
出口18からの吐出量が式(1a)で表わされる吐出量(=
o×OE)となって、発泡有効面積がHv以上の領域で
は吐出量Vdが一定となって、発泡有効面積H(印加し
たエネルギー)によらず、一定の吐出量を得ることがで
きる。
【0082】さらに、本実施の形態においては、前述し
たように、吐出口18からの体積(=So×OE)に相
当する量の液体が吐出されるので、可動部材31の自由
端より下流側の第1液流路14内には、液流路の内壁に
沿って、吐出されない液体が残存することになる。この
ため、残存している液体の表面張力により、吐出後のリ
フィルがさらに行われやすくなる。
【0083】このように本実施の形態では、吐出口18
から可動部材31の自由端軌跡までの体積を吐出量とし
て規定できるので、吐出口面積So及び吐出口18から
の距離OEを変えることで所望の吐出量を得ることがで
きる。さらに、上記体積を吐出できる以上の吐出エネル
ギーを加えることで、環境条件や製造上等による吐出量
のばらつきが少なくなり、極めて安定した吐出量を得る
ことができる。また、吐出後のリフィルが行われやす
く、高速印字が可能となる。
【0084】次に、この実施の形態でのさらなる特徴的
な構造と効果について、以下に説明する。
【0085】本実施の形態の第2液流路16は、発熱体
2の上流に、発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱
体表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給
路12を有している。このような場合、気泡発生領域1
1および発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材3
1の気泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のよ
うに行われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀
むことが抑制され、液体中に溶存していた気体の析出
や、消泡できずに残ったいわゆる残留気泡が除去されや
すく、また、液体への蓄熱が高くなりすぎることもな
い。したがって、より安定した気泡の発生を高速に繰り
返し行うことができる。なお、ここでは実質的に平坦な
内壁を持つ液体供給路12を持つもので説明したが、こ
れに限らず、発熱体表面となだらかに繋がり、なだらか
な内壁を有する液供給路であればよく、発熱体上に液体
の淀みや、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であ
ればよい。
【0086】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行われ
るものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有効
に吐出口に導くために、図1ないし図7で示すように気
泡発生領域11の全体を覆う(発熱体面を覆う)ような
大きな可動部材を用い、可動部材31が第1の位置へ復
帰することで気泡発生領域11と第1液流路14の吐出
口に近い領域との液体の流抵抗が大きくなるような形態
を採用した場合、前述のVD1から気泡発生領域11に向
かっての液体の流れが妨げられる。しかし、本実施の形
態のヘッド構造においては、気泡発生領域11に液体を
供給するための流れVD1があるため、液体の供給性能が
非常に高くなり、可動部材31で気泡発生領域11を覆
うような吐出効率向上を求めた構造を取っても、液体の
供給性能を落とすことがない。
【0087】ところで、可動部材31の自由端32と支
点33の位置は、例えば図9で示されるように、自由端
32が相対的に支点33より下流側にある。このような
構成のため、前述した気体形成の際に気泡の圧力伝搬方
向や成長方向を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よ
く実現できるのである。さらに、この位置関係によれ
ば、吐出に対する機能や効果のみならず、液体の供給の
際にも液流路10を流れる液体に対する流抵抗を小さく
でき、高速にリフィルできるという効果を達成してい
る。これは図9に示すように、吐出によって後退したメ
ニスカスMが、毛管力により吐出口18へ復帰する際
や、消泡に対しての液供給が行われる場合に、液流路1
0(第1液流路14、第2液流路16を含む)内の流れ
S1、S2、S3に対し、逆らわないように自由端と支点
33とを配置しているためである。
【0088】補足すれば、この実施の態様においては、
前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を
上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱
体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交す
る線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対
して延在している。これによって、発熱体の面積中心位
置3より下流側で発生しかつ液体の吐出に大きく寄与す
る圧力または気泡を可動部材31が受け、この圧力及び
気泡を吐出口18側に導くことができ、吐出効率や吐出
力を根本的に向上させることができる。
【0089】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0090】また、本実施の形態の構成においては、可
動部材31の自由端32が瞬間的な機械的変位を行って
いることも、液体の吐出に対して有効に寄与している考
えられる。
【0091】《第2の実施の形態》図10は、本発明の
第2の実施の形態の液体吐出ヘッドを示している。図1
0において、Aは可動部材が変位している状態を示し
(気泡は図示せず)、Bは可動部材が初期位置(第1位
置)の状態を示し、このBの状態をもって、気泡発生領
域11を吐出口18に対して実質的に密閉しているとす
る。(ここでは、図示していないが、A、B間には流路
壁があり流路と流路を分離している。) 図10における可動部材31は、土台34を側部に2点
設け、その間に液供給路12を設けた構成となってい
る。これにより、可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、また、発熱体の面と実質的に平坦もしくは、なだら
かにつながる面を持つ液供給路から液体の供給をなすこ
とができる。
【0092】本実施の形態でも、吐出エネルギー量を、
吐出口18からの吐出量を飽和領域となるように設定
し、吐出口18から可動部材31の自由端軌跡までの体
積に相当する値としている。そこで、この液体吐出ヘッ
ドは、第1の実施の形態で示したものと同様にこの飽和
領域で使用するようにすることにより、安定した吐出量
と高速なリフィルとを両立させることができる。
【0093】ここで、可動部材31の初期位置(第1位
置)では、可動部材31は、発熱体2の下流側および横
方向に配された発熱体下流壁36と発熱体側壁37に近
接または密着しており、気泡発生領域11の吐出口18
側を実質的に密閉している。このため、発泡時の気泡の
圧力、特に気泡の下流側の圧力を逃がさず可動部材31
の自由端側に集中的に作用させることができる。
【0094】また、消泡時には可動部材31は第1位置
に戻り、発熱体2上への消泡時の液供給の際には、気泡
発生領域11の吐出口側が実質的に密閉状態になるた
め、メニスカスの後退抑制等、先の実施の形態で説明し
た種々の効果を得ることができる。また、リフィルに関
する効果においても、先の実施の形態と同様の機能、効
果を得ることができる。
【0095】また、この実施の形態においては、図2や
図10に示すように、可動部材31を支持固定する土台
34を発熱体2より離れた上流に設けるとともに、液流
路10よりも小さな幅の土台34とすることで、前述の
ような液供給路12への液体の供給を行っている。ま
た、土台34の形状はこれに限られず、リフィルをスム
ースに行えるものであればどのようなものでもよい。な
お、ここでは可動部材31と発熱体2の間隔を例えば1
5μm程度としたが、気泡の発生に基づく圧力が十分に
可動部材31に伝わる範囲であれば、可動部材31と発
熱体2との間隔はこれに限られるものではない。
【0096】《第3の実施の形態》図11は、本発明の
基本的な概念の一つを示すものであって、本発明の第3
の実施の形態の液体吐出ヘッドを示している。
【0097】上述の第1の実施の形態及び第2の実施の
形態では、可動部材31の自由端に対して発生する気泡
の圧力を集中して、急峻な可動部材31の移動と同時に
気泡の移動を吐出口18側に集中させることを達成して
いる。これに対してこの実施の形態では、発生する気泡
に自由度を与えながら、気泡のうち滴吐出に直接作用す
る吐出口側部分すなわち気泡の下流側部分を可動部材3
1の自由端側で規制するものである。すなわち、図11
に示す液体吐出ヘッドでは、第1の実施の形態の液体吐
出ヘッド(図2参照)に比べ、素子基板1上に設けられ
気泡発生領域11の下流端に位置するバリヤとしての凸
部(図の斜線部分)が設けられていない点で相違する。
つまり、可動部材31の自由端領域および両側端領域
は、吐出口領域に対して気泡発生領域11を実質的に密
閉せずに開放しており、これがこの実施の形態の構成の
特徴である。
【0098】本実施の形態でも、吐出エネルギー量を、
吐出口18からの吐出量を飽和領域となるように設定
し、吐出口18から可動部材31の自由端軌跡までの体
積に相当する値としている。そこで、この液体吐出ヘッ
ドは、上述の各実施の形態で示したものと同様にこの飽
和領域で使用するようにすることにより、安定した吐出
量と高速なリフィルとを両立させることができる。
【0099】またこの実施の形態では、気泡の液滴吐出
に直接作用する下流側部分のうち、下流側先端部の気泡
成長が許容されているので、その圧力成分を吐出に有効
に利用している。加えて、可動部材31の自由端側部分
が、少なくともこの下流側部分の上方へ向かう圧力(図
3のVB,VB,VBの分力)がこの下流側先端部の気泡成
長に加えられるように作用するため、吐出効率が上述し
た各実施の形態と同様に向上する。上述の各実施の形態
に比較して、本実施の形態は、発熱体の駆動に対する応
答性が優れているとともに、構造上簡単であるため製造
上の利点がある。
【0100】本実施の形態の可動部材31の支点部は、
可動部材31の面部に対して小さい幅の1つの土台34
に固定されている。したがって、消泡時の気泡発生領域
11への液体供給は、この土台の両側を通って供給され
る(図の矢印参照)。この土台は供給性を確保するもの
であれば、どのような構造でもよい。
【0101】液体の供給時におけるリフィルは、この実
施の形態の場合には、気泡の消泡にともない上方から気
泡発生領域11へ流れ込む流れが可動部材31の存在に
よって制御されるので、従来の発熱体のみの気泡発生構
造に対して優れたものとなる。むろん、これによって、
メニスカスの後退量を減じることもできる。
【0102】この第3の実施の形態の変形例としては、
可動部材の自由端に対する両側端(一方でも可)のみを
気泡発生領域11に対して実質的に密閉状態とする構成
が、好ましいものとして挙げられる。この構成によれ
ば、可動部材の側方へ向かう圧力をも先に説明した気泡
の吐出口側端部の成長に変更して利用することができる
ので、一層吐出効率が向上する。
【0103】《第4の実施の形態》ここでは、前述した
機械的変位によって液体の吐出力をさらに向上させた例
を説明する。図12は、このような液体吐出ヘッド構造
の横断面図であり、可動部材31の自由端の位置が発熱
体2のさらに下流側に位置するように、可動部材31が
吐出口18側に向ってさらに延在している。これによっ
て、自由端位置での可動部材31の変位速度を高くする
ことができ、可動部材31の変位による吐出力の発生を
さらに向上させることができる。
【0104】本実施の形態でも、吐出エネルギー量を、
吐出口18からの吐出量を飽和領域となるように設定
し、吐出口18から可動部材31の自由端軌跡までの体
積に相当する値としている。そこで、この液体吐出ヘッ
ドは、第1の実施の形態で示したものと同様にこの飽和
領域で使用するようにすることにより、安定した吐出量
と高速なリフィルとを両立させることができる。
【0105】また、この実施の形態では、可動部材31
の自由端が、上述の各実施の形態に比較して吐出口側に
近づくことになるので、気泡の成長をより安定した方向
成分に集中でき、より優れた吐出を行うことができる。
ここで、気泡の圧力中心部の気泡成長速度に応じて、可
動部材31は変位速度R1で変位するが、この位置より
も支点33に対して遠い位置の自由端32では、さらに
高い速度R2で変位が進行する。これにより、自由端3
2を高い速度で機械的に液体に作用せしめて液移動を起
こさせることで、吐出効率を高めている。さらに、自由
端形状は、図11と同じように液流れに対して垂直な形
状をすることにより、気泡の圧力や可動部材の機械的な
作用をより効率的に吐出に寄与させることができる。
【0106】《第5の実施の形態》次に、本発明の第5
の実施の形態の液体吐出ヘッドについて、図13(a)〜
(c)を用いて説明する。この液体吐出ヘッドは、上述の
各実施の形態での液体吐出ヘッドと異なり、吐出口と直
接連通する領域は液室側と連通した流路形状となってお
らず、構造の簡略化が図れるものである。すなわち、液
供給は全て、可動部材31の発泡領域側の面に沿った液
供給路12からのみ行われる。可動部材31の自由端3
2や支点33の吐出口18に対する位置関係や発熱体2
に面する構成は、前述の実施の形態と同様である。
【0107】本実施の形態でも、吐出エネルギー量を、
吐出口18からの吐出量を飽和領域となるように設定
し、吐出口18から可動部材31の自由端軌跡までの体
積に相当する値としている。そこで、この液体吐出ヘッ
ドは、第1の実施の形態で示したものと同様にこの飽和
領域で使用するようにすることにより、安定した吐出量
と高速なリフィルとを両立させることができる。
【0108】この実施例の形態は、高い吐出効率や良好
な液供給性等、前述した効果を実現するものであるが、
特にメニスカスの後退を抑制し消泡時の圧力を利用し
て、ほとんど全ての液供給を強制リフィルによって行う
ものである。図13(a)は発熱体2により液体を発泡さ
せた状態を示しており、図13(b)は前記発泡が収縮し
つつある状態を示している。このとき、可動部材31の
初期位置への復帰と流れS3による液供給が行われる。
図13(c)では、可動部材が可動部材31が初期位置に
復帰する際のわずかなメニスカスMの後退を、消泡後に
吐出口18付近の毛細管力によって、リフィルしている
状態を示している。
【0109】《第6の実施の形態》次に、本発明の第6
の実施の形態を説明する。この実施の形態でも、主たる
液体の吐出原理は上述の各実施の形態と同じであるが、
ここでは、液流路を複流路構成にすることで、熱を加え
ることで発泡させる液体(発泡液)と、主として吐出さ
れる液体(吐出液)とを分けることができるようにして
いる。図14は、本実施の形態の液体吐出ヘッドの流路
方向の断面模式図を示しており、図15はこの液体吐出
ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0110】この液体吐出ヘッドは、液体に気泡を発生
させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設けられ
た素子基板1上に、発泡液用の第2液流路16があり、
その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1液流
路14が配されている。第1液流路14の上流側は、複
数の第1液流路14に吐出液を供給するための第1共通
液室15に連通しており、第2液流路16の上流側は、
複数の第2液流路16に発泡液を供給するための第2共
通液室17に連通している。ただし、発泡液と吐出液を
同じ液体とする場合には、共通液室を一つにしてこれら
各液に共通のものとしてもよい。
【0111】第1液流路14及び第2液流路16の間に
は、金属等の弾性を有する材料で構成された分離壁30
が配されており、第1液流路14と第2の液流路16と
を区分している。なお、発泡液と吐出液とができる限り
混ざり合わない方がよい液体の場合には、この分離壁3
0によってできる限り完全に第1液流路14と第2液流
路16の液体の流通を分離した方がよいが、発泡液と吐
出液とがある程度混ざり合っても問題がない場合には、
分離壁30に完全分離の機能を持たせなくてもよい。
【0112】発熱体2の面方向上方への投影空間(以
下、吐出圧発生領域という。;図14中のAの領域とB
の気泡発生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリ
ット35によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自
由端で、共通液室15,17側に支点33が位置する片
持梁形状の可動部材31となっている。この可動部材3
1は、気泡発生領域11(B)に面して配されているた
め、発泡液の発泡によって第1液流路14側の吐出口1
8側に向けて開口するように動作する(図中矢印方
向)。図15においても、発熱体2としての発熱抵抗部
と、この発熱抵抗部に電気信号を印加するための配線電
極5とが配された素子基板1上に、第2液流路16を構
成する空間を介して分離壁30が配置されている。可動
部材31の支点33、自由端32の配置と、発熱体2と
の配置の関係については、上述の実施の形態と同様にし
ている。また、上述の実施の形態において、液供給路1
2と発熱体2との構造の関係について説明したが、この
実施の形態においても第2液流路16と発熱体2との構
造の関係は、それと同じくしている。
【0113】次に、図16を用いてこの液体吐出ヘッド
の動作を説明する。
【0114】液体吐出ヘッドを実際に駆動させるにあた
っては、第1液流路14に供給される吐出液と第2の液
流路16に供給される発泡液として同じ水系のインクを
用いて動作させた。発熱体2が発生した熱が、第2液流
路16の気泡発生領域11内の発泡液に作用すること
で、先の実施の形態で説明したのと同様に、米国特許第
4,723,129号明細書に記載されているような膜沸
騰現象に基づく気泡40が発泡液にする。この実施の形
態においては、気泡発生領域11の上流側を除く3方か
らの発泡圧の逃げがないため、この気泡発生にともなう
圧力は、吐出圧発生部に配された可動部材31側に集中
して伝搬し、気泡の成長をともなって可動部材31が図
16(a)の状態から図16(b)のように第1液流路14側
に変位する。この可動部材31の動作によって、第1液
流路14と第2液流路16とが大きく連通し、気泡の発
生に基づく圧力が第1液流路14の吐出口側の方向(A
方向)に主に伝わる。この圧力の伝搬と、前述のような
可動部材の機械的変位によって液体が吐出口18から吐
出される。
【0115】次に、気泡が収縮するにともなって可動部
材31が図16(a)の位置まで戻るとともに、第1液流
路14では、吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出
液体が上流側から供給される。本実施の形態において
も、この吐出液体の供給は、上述の各実施の形態と同様
に可動部材31が閉じる方向であるため、吐出液体のリ
フィルを可動部材31で妨げることがない。
【0116】本実施の形態でも、吐出エネルギー量を、
吐出口18からの吐出量を飽和領域となるように設定
し、吐出口18から可動部材31の自由端軌跡までの体
積に相当する値としている。そこで、この液体吐出ヘッ
ドは、第1の実施の形態で示したものと同様にこの飽和
領域で使用するようにすることにより、安定した吐出量
と高速なリフィルとを両立させることができる。
【0117】この実施の形態では、可動部材31の変位
に伴う発泡圧力の伝搬、気泡の成長方向、バック波の防
止等に関する主要部分の作用や効果については、第1の
実施例の形態等と同じであるが、このような2流路(複
流路)構成をとることによって、さらに次のような長所
がある。すなわち、この実施の形態の構成によると、吐
出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた圧
力によって吐出液を吐出することができる。このため従
来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が不
十分であったポリエチレングリコール等の高粘度の液体
であっても、この液体を第1液流路14に供給し、発泡
液として発泡が良好に行われる液体(エタノール:水=
4:6の混合液、粘度1〜2cP程度等)や低沸点の液
体を第2液流路16に供給することで、第1液流路14
に供給した液体を良好に吐出させることができる。ま
た、発泡液として、熱を受けても発熱体2の表面にコゲ
等の堆積物を生じない液体を選択することで、発泡を安
定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0118】さらに、この液体吐出ヘッドの構造におい
ては、上述の実施の形態で説明したような効果をも生じ
るため、さらに高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の
液体を吐出することができる。
【0119】加熱に弱い液体を吐出使用とする場合にお
いても、この液体を第1液流路14に吐出液として供給
し、第2液流路16には、熱的に変質しにくく良好に発
泡を生じる液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な
害を与えることなく、しかも上述のように高吐出効率、
高吐出力で吐出することができる。
【0120】《その他の実施の形態》以上、本発明の液
体吐出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施の形態につい
て説明したが、以下にこれらの実施の形態に好ましく適
用できる細部の構成について、図面を用いて説明する。
ただし、以下の説明においては、前述の1流路形態のも
のと2流路形態のものとののいずれかを取り上げて説明
する場合があるが、特に記載しない限り、両方の実施の
形態に適用しうるものである。
【0121】<液流路の天井形状>図17は、本発明に
基づく液体吐出ヘッドの流路方向断面図である。第1液
流路13(もしくは図1における液流路10)を構成す
るための溝が設けられた溝付き部材50が、分離壁30
上に設けられている。本実施例においては、可動部材3
1の自由端32位置の近傍で流路の天井が高くなってお
り、可動部材31の動作角度θ(自由端が変位したとき
の支点33から見た自由端の変位角度)をより大きく取
れるようにしている。この可動部材31の動作範囲は、
液流路の構造、可動部材31の耐久性や発泡力等を考慮
して決定すればよいが、吐出口18の軸方向の角度を含
む角度まで動作することが望ましいと考えられる。
【0122】また、この図で示されるように、吐出口1
8の直径より可動部材の自由端の変位高さを高くするこ
とで、より十分な吐出力の伝達がなされる。また、この
図で示されるように、可動部材31の自由端32位置の
液流路の天井の高さより可動部材31の支点33位置で
の液流路の天井の高さの方が低くなっているため、可動
部材31の変位よる上流側への圧力波の逃げがさらに有
効に防止できる。
【0123】<第2液流路と可動部材との配置関係>図
18は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配
置関係を説明するための図であり、図18(a)は、分離
壁30、可動部材31近傍を上方から見た図であり、図
18(b)は、分離壁30を外した第2液流路16を上方
から見た図である。そして、図18(c)は、可動部材3
1と第2液流路16との配置関係を、これらの各要素を
重ねることで模式的に示した図である。なお、いずれの
図も、図面下方が、吐出口が配されている前面側であ
る。
【0124】本実施例の第2の液流路16は、発熱体2
の上流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱
体位置、可動部材31、第1流路を経て吐出口に向う大
きな流れの中での上流側のことである。)に狭窄部19
を持っており、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側
に容易に逃げることを抑制するような、室(発泡室)構
造となっている。
【0125】従来の液体吐出ヘッドのように、発泡する
流路と液体を吐出するための流路とが同じであって発生
した圧力が共通液室側に逃げないような狭窄部を発熱体
より液室側に設けるヘッドの場合には、液体のリフィル
を充分考慮して、狭窄部における流路断面積があまり小
さくならない構成を採る必要があった。しかし、本実施
例の液体吐出ヘッドの場合、吐出される液体の多くを第
1液流路内の吐出液とすることができ、発熱体2が設け
られた第2液流路内の発泡液はあまり消費されないよう
にできるため、第2液流路16の気泡発生領域11への
発泡液の充填量は少なくてよい。したがって、上述の狭
窄部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に狭く
できるため、第2液流路16で発生した発泡時の圧力を
周囲に逃がすことをさらに抑制でき、この圧力を集中し
て可動部材31側に向けることができる。そしてこの圧
力を可動部材31を介して吐出力として利用することが
できるため、より高い吐出効率、吐出力を達成すること
ができる。ただし、第2液流路16の形状は上述の構造
に限られるものではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的
に可動部材31側に伝えられる形状であれば、任意の構
成を採用することができる。
【0126】なお、図18(c)で示されるように、可動
部材31の側方は、第2液流路16を構成する壁の一部
を覆っており、このことで、可動部材31の第2液流路
16への落ち込みが防止できる。これによって、前述し
た吐出液と発泡液との分離性をさらに高めることができ
る。また、スリット35からの気泡の逃げの抑制ができ
るため、さらに吐出圧や吐出効率を高めることができ
る。さらに、前述の消泡時の圧力による上流側からのリ
フィルの効果を高めることができる。
【0127】図16(b)や図17においては、可動部材
31の第1の液流路14側への変位にともなって、第2
の液流路16の気泡発生領域11で発生した気泡の一部
が第1の液流路14側に延在しているが、このように気
泡が延在するように第2流路の高さを設定することで、
気泡が延在しない場合に比べ、さらに吐出力を向上させ
ることができる。このように気泡が第1の液流路14に
延在するようにするためには、第2の液流路16の高さ
を最大気泡の高さより低くすることが望ましく、この高
さを数μm〜30μmとすることが望ましい。なお、本
実施例においてはこの高さを15μmとした。
【0128】<可動部材および分離壁>図19は、可動
部材31の他の形状を示すものであって、分離壁に設け
られたスリット35によって、可動部材31が形成され
ている。図19(a)は、長方形の形状の可動部材31を
示し、図19(b)は支点側が細くなって可動部材31の
動作が容易な形状を示し、図19(c)は支点側が広くな
って可動部材31の耐久性が向上する形状を示してい
る。動作が容易で耐久性が良好な形状として、図18
(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなって
いる形態が望ましいが、可動部材31の形状は第2の液
流路16側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形
状で、耐久性に優れた形状であれば、任意の形状とする
ことができる。
【0129】先の実施例においては、板状の可動部材3
1とこの可動部材31を有する分離壁30は、厚さ5μ
mのニッケル板で構成したが、これに限られることな
く、可動部材31、分離30壁を構成する材質として
は、発泡液と吐出液に対して耐溶剤性があり、可動部材
31として良好に動作するための弾性を有し、微細なス
リット35が形成できるものであればよい。
【0130】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニウム、白金、
タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およびその
合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレ
ン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のアミド
基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシル基
を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ
樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、その
ほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐インク
性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケル、ス
テンレス、チタン等の金属、これらの合金および耐イン
ク性に関してはこれらを表面にコーティングしたもの若
しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリア
セタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエーテルエ
ーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイミド等
のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水酸基を
有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する樹脂、
ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポキシ樹
脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等のアミノ
基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を持つ樹
脂およびその化合物、さらに二酸化ケイ素等のセラミッ
クおよびその化合物が望ましい。
【0131】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等
の、近年のエンジニアリングプラスチックに代表される
耐熱性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化
合物、もしくは、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、ニッケ
ル、金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、
もしくは表面にチタンや金をコーティングしたものが望
ましい。
【0132】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0133】なお、本実施例では可動部材31を形成す
るためのスリット35の幅を2μmとしたが、発泡液と
吐出液とが異なる液体であって両液体の混液を防止した
い場合には、スリット35の幅を両液体間でメニスカス
が形成される程度の間隔として、夫々の液体同士の流通
を抑制すればよい。例えば、発泡液として2cP(セン
チポアズ)程度の液体を用い、吐出液として100cP
以上の液体を用いた場合には、5μm程度の幅のスリッ
トでも混液を防止することができるが、3μm以下にす
ることが望ましい。
【0134】本発明における可動部材としては、μmオ
ーダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダ
ーの厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの
厚さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅
(Wμm)を対象とする場合、製造上のばらつきをある
程度考慮することが望ましい。
【0135】スリットを形成する可動部材の自由端及び
/または側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚みと
同等の場合(図16、図17等)、製造上のばらつきを
考慮してスリット幅と厚みの関係を以下のような範囲に
することで、発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制する
ことができる。すなわち、限られた条件ではあるが、設
計上の観点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して
高粘度インク(5cp、10cp等)を用いる場合、W
/t≦1を満足するようにすることで、2液の混合を長
期にわたって抑制することが可能な構成となった。本発
明の「実質的な密閉状態」を与えるスリットとしては、
このような数μmオーダであればより確実である。
【0136】上述のように、発泡液と吐出液とに機能分
離を行わせた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部
材となるが、この可動部材が気泡の生成に伴って移動す
る際に、吐出液に対して発泡液がわずかに混入すること
が見られる。画像を形成する吐出液は、インクジェット
記録の場合、色材濃度を3%乃至5%程度有するものが
一般的であることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴
に対して20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化
をもたらさない。したがって、このような混液として
は、吐出液滴に対して20%以下となるような発泡液と
吐出液との混合を本発明に含むものとする。
【0137】なお、この構成で実際に吐出を行わせたと
ころ、粘性を変化させても上限で15%の発泡液の混合
であり、5cps以下の発泡液では、この混合比率は、
駆動周波数にもよるが、10%程度を上限とするもので
あった。特に、吐出液の粘度を20cps以下とし、粘
度を小さくすればするほど、この混液を低減(例えば5
%以下)できる。
【0138】次に、このヘッドにおける発熱体と可動部
材の配置関係について、図を用いて説明する。ただし、
可動部材と発熱体の形状および寸法,数は、以下に限定
されるものではない。発熱体と可動部材との最適な配置
によって、発熱体による発泡時の圧力を吐出圧として有
効に利用することが可能となる。
【0139】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図2
0に示すように、発熱体面積とインク吐出量とは直線関
係にあってほぼ比例関係となっているが、インク吐出に
寄与しない非発泡有効領域Sが存在していることが分か
っている。また、発熱体上のコゲの様子の観察から、こ
の非発泡有効領域Sが、発熱体の周囲に存在しているこ
とが分かっている。これらの結果から、発熱体周囲の約
4μm幅の領域は、発泡に関与されていないとされてい
る。
【0140】したがって、発泡圧を有効利用するために
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材の可動領域で覆われるように、可動部
材を配置するのが効果的であると、言える。本実施例に
おいては、発泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上
内側としたが、発熱体の種類や形成方法によっては、こ
れに限定されるものではない。
【0141】図21は、58×150μmの寸法の発熱
体2に、可動領域の総面積が異なる可動部材301(図
21(a))、可動部材302(図21(b))をそれぞれ配
置したときの上部から見た模式図である。図21(a)に
示す可動部材301は、その寸法が53×145μmで
あって発熱体2の面積よりも小さいが、発熱体2の発泡
有効領域と同じ程度の寸法であり、該発泡有効領域を覆
うように、配置されている。一方、図21(b)に示す可
動部材302は、寸法が53×220μmであって発熱
体2の面積よりも大きく(幅寸法を同じにした場合、支
点〜可動先端間の寸法が発熱体の長さよりも長い)、可
動部材301と同じように発泡有効領域を覆うように配
置されている。上記2種の可動部材301,302に対
し、それらの耐久性と吐出効率について測定を行った。
測定条件は以下の通りである。
【0142】 発泡液 : エタノール40%水溶液, 吐出用インク: 染料インク, 印加電圧 : 20.2V, 周波数 : 3kHz. この測定条件で実験を行った結果、可動部材の耐久性に
関しては、図21(a)に示す可動部材301の方は、1
×107パルス印加したところで可動部材301の支点
部分に損傷が見られた。一方、図21(b)に示す可動部
材302の方は、3×108パルス印加しても、損傷は
見られなかった。また、投入エネルギーに対する吐出量
と吐出速度から求められる運動エネルギーも、約1.5
〜2.5倍程度向上することが確認された。
【0143】以上の結果から、耐久性、吐出効率の両面
からみても、発泡有効領域の真上を覆うように可動部材
を設け、この可動部材の面積が発熱体の面積よりも大き
い方が、優れていることが分かる。
【0144】図20に、発熱体のエッジから可動部材の
支点までの距離と、可動部材の変位量との関係を示す。
また、図23に、発熱体2と可動部材31との位置関係
を側面方向から見た断面図を示す。発熱体2としては、
寸法が40×105μmのものを用いた。発熱体2のエ
ッジから可動部材31の支点33までの距離lが大きい
ほど、変位量が大きいことがわかる。したがって、要求
されるインクの吐出量や吐出液の流路構造および発熱体
形状などによって、最適変位量を求め、可動部材31の
支点33の位置を決めることが望ましい。
【0145】また、可動部材31の支点33が発熱体の
発泡有効領域直上に位置する場合は、可動部材の変位に
よる応力に加え、発泡圧力が支点33に直接加わるた
め、可動部材31の耐久性が低下してしまう。本発明者
らの実験によると、発泡有効領域の真上に支点を設けた
ものでは、1×106パルス程度で可動壁に損傷が生じ
ており、耐久性が低下してしまうことが分かっている。
したがって、可動部材31の支点33を発熱体2の発泡
有効領域の直上以外に配置することで、耐久性がそれほ
ど高くない形状や材質の可動部材であっても、実用可能
性が高くなる。ただし、前記発泡有効領域直上に支点3
3がある場合でも、形状や材質を選択すれば、良好に用
いることができる。かかる構成において、高吐出効率お
よび耐久性に優れた液体吐出ヘッドが得られる。
【0146】<素子基板>以下、液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について、説明す
る。
【0147】図24は、本発明に基づく液体吐出ヘッド
の縦断面図を示したもので、図24(a)は後述する保護
膜がある液体吐出ヘッド、図24(b)は保護膜がない液
体吐出ヘッドを示している。
【0148】第2液流路16、分離壁30、第1液流路
14及び第1液流路を構成する溝を設けた溝付き部材5
0が素子基板1上に対して配されている。また、素子基
板1には、シリコン等の基板107に絶縁および蓄熱を
目的としたシリコン酸化膜または窒化シリコン膜106
が成膜され、その上に、発熱体2を構成するホウ化ハフ
ニウム(HfB2)、窒化タンタル(TaN)、タンタ
ルアルミニウム(TaAl)等の電気抵抗層105
(0.01〜0.2μm厚)とアルミニウム等の配線電極
(0.2〜1.0μm厚)が図15のようにパターニング
されている。この2つの配線電極104から抵抗層10
5に電圧を印加し、抵抗層に電流を流すことで発熱す
る。配線電極104間の抵抗層上には、酸化シリコンや
窒化シリコン等の保護層104が0.1〜2.0μm厚で
形成され、さらにその上に、タンタル等の耐キャビテー
ション層(0.1〜0.6μm厚)103が成膜されてお
り、インク等の各種の液体から抵抗層105を保護して
いる。特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧力や衝
撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性を著し
く低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)等が耐
キャビテーション層103として用いられる。
【0149】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせによっては上述の保護層を必要としない構成でも
よく、図24(b)はそのような例を示している。このよ
うな保護層を必要としない抵抗層の材料としては、イリ
ジウム−タンタル−アルミ合金等が挙げられる。
【0150】このように、前述の各実施例における発熱
体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だ
けででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもの
でもよい。
【0151】上述の各実施の形態ないし各実施例におい
ては、発熱体として、電気信号に応じて発熱する抵抗層
で構成された発熱部を有するものを用いたが、本発明の
発熱体はこれに限られることなく、吐出液を吐出させる
のに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであればよ
い。例えば、レーザ等の光を受けることで発熱するよう
な光熱変換体を発熱部とする発熱体や、高周波を受ける
ことで発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0152】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子(発熱体2)を選択的に駆
動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフ
トレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程によ
って作り込まれていてもよい。
【0153】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図25で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
例の液体吐出ヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、
パルス幅7μsec、電流150mAの電気信号を繰返
し周波数6kHzで加えることで発熱体2を駆動し、前
述のような動作によって、吐出口から液体であるインク
を吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件はこれに
限られることなく、発泡液を適正に発泡させることがで
きる駆動信号であればよい。
【0154】<2流路構成のヘッド構造>以下に、第1
の共通液室及び第2の共通液室に異なる液体を良好に分
離して導入できて部品点数の削減を図れ、コストダウン
を可能とする液体吐出ヘッドの構造例について説明す
る。図26は、このような液体吐出ヘッドの構造を示す
模式図であり、先の実施の形態と同じ構成要素について
は同じ符号を用いており、それらについての詳しい説明
はここでは省略する。また、図27はこの液体吐出ヘッ
ドの分解斜視図である。
【0155】ここでは、溝付き部材50は、吐出口18
を有するオリフィスプレート51と、複数の第1液流路
14を構成する複数の溝と、複数の液流路14に共通し
て連通し、各第1液流路14に液体(吐出液)を供給す
るための第1の共通液室15を構成する凹部とから、概
略構成されている。この溝付き部材50の下側部分に、
分離壁30を接合することにより複数の第1液流路14
を形成することができる。このような溝付き部材50
は、その上部から第1共通液室15内に到達する第1液
体供給路20を有している。さらに溝付部材50は、そ
の上部から分離壁30を突き抜けて第2共通液室17内
に到達する第2の液体供給路21を有している。第1の
液体(吐出液)は、図26の矢印Cで示すように、第1
液体供給路20を経て、第1の共通液室15、次いで第
1の液流路14に供給され、第2の液体(発泡液)は、
図26の矢印Dで示すように、第2液体供給路21を経
て、第2共通液室17、次いで第2液流路16に供給さ
れるようになっている。
【0156】ここでは、第2液体供給路21は、第1液
体供給路20と平行して配されているが、これに限るこ
とはなく、第1共通液室15の外側に配された分離壁3
0を貫通して、第2共通液室17に連通するように形成
されれば、どのように配されてもよい。また、第2液体
供給路21の太さ(直径)は、第2液体の供給量を考慮
して決められる。第2液体供給路21の形状は円形であ
る必要はなく、矩形状等でもよい。また、第2共通液室
17は、溝付部材50を分離壁30で仕切ることによっ
て形成することができる。形成の方法としては、図27
で示すように、素子基板1上にドライフィルムによって
共通液室枠と第2液路壁とを形成し、分離壁を固定した
溝付部材50と分離壁30との結合体と素子基板1とを
貼り合わせることにより第2共通液室17や第2液流路
16を形成する方法を用いてもよい。
【0157】この液体吐出ヘッドでは、図27に示すよ
うに、アルミニウム等の金属で形成された支持体70上
に、発泡液に対して膜沸騰による気泡を発生させるため
の熱を発生する発熱体2としての電気熱変換素子が複数
設けられた前述の素子基板1が配されている。そしてこ
の素子基板1上には、第2液路壁により形成された第2
液流路16を構成する複数の溝と、複数の発泡液流路
(第2液流路16)に連通し、それぞれの発泡液路に発
泡液を供給するための第2共通液室(共通発泡液室)1
7を構成する凹部と、前述した可動壁31が設けられた
分離壁30とが配されている。
【0158】また、上述したように、溝付部材50に
は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1液
流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、それ
ぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共通
液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、第
1共通液室に吐出液を供給するための第1液体供給路
(吐出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液
を供給するための第2液体供給路(発泡液供給路)21
とが形成されている。第2の供給路21は、第1の共通
液室15の外側に配された分離壁30を貫通して第2の
共通液室17に連通する連通路に接続しており、この連
通路によって吐出液と混合することなく発泡液を第2の
共通液室15に供給することができる。
【0159】なお、素子基板1、分離壁30及び溝付天
板50の配置関係では、素子基板1の発熱体2に対応し
て可動部材31が配置されており、この可動部材31に
対応して吐出液流路14が配されている。ここでは、第
2液体供給路21を溝付部材50に1つ配した例を示し
たが、供給量に応じて第2液体供給路21を複数設けて
もよい。さらに吐出液供給路20と発泡液供給路21の
流路断面積は供給量に比例して決めればよい。このよう
な流路断面積の最適化により、溝付部材50等を構成す
る部品をより小型化することも可能である。
【0160】以上説明したように本実施例によれば、第
2液流路に第2液体を供給する第2液体供給路と、第1
液流路に第1液体を供給する第1液体供給路とが同一の
溝付部材としての溝付天板からなることにより、部品点
数が削減でき、工程の短縮化とコストダウンが可能とな
る。また第2液流路に連通した第2の共通液室への第2
液体の供給は、第1液体と第2液体を分離する分離壁を
突き抜ける方向で第2液体供給路によって行なわれる構
造であるため、前記分離壁と溝付部材と発熱体形成基板
との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさが向上す
ると共に、貼り合わせ精度が向上し、良好が吐出特性を
得ることができる。また、第2液体は、分離壁を突き抜
けて第2共通液室へ供給されるため、第2液流路への第
2液体の供給が確実となり、第2の液体の供給量が十分
確保できるため、安定した吐出が可能となる。
【0161】<吐出液体、発泡液体>上述したように本
発明においては、前述のような可動部材を有する構成に
よって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い吐出力や吐出
効率でしかも高速に液体を吐出することができる。発泡
液と吐出液とに同じ液体を用いる場合には、発熱体から
加えられる熱によって劣化せずに、また加熱によって発
熱体上に堆積物を生じにくく、かつ、熱によって気化、
凝縮の可逆的状態変化を行うことが可能であり、さらに
液流路や可動部材や分離壁等を劣化させない液体であれ
ば、種々の液体を用いることができる。
【0162】このような液体のうち、記録を行う上で用
いる液体(記録液体)としては、例えば、従来のバブル
ジェット装置で用いられていた組成のインクを用いるこ
とができる。
【0163】一方、上述の第6の実施の形態に示したよ
うな2流路構成の液体吐出ヘッドを用い、吐出液と発泡
液とを別の液体とした場合には、発泡液としては、前述
のような性質の液体を用いればよく、具体的には、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ト
ルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクロロエチレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等、およびこれらの
混合物が挙げられる。一方、吐出液としては、発泡性の
有無、熱的性質に関係なく様々な液体を用いることがで
きる。また、従来、吐出が困難であった発泡性が低い液
体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等
であっても、吐出液として利用できる。ただし、吐出液
の性質として、吐出液自身で、または発泡液との反応に
よって吐出や発泡または可動部材の動作等を妨げるよう
な液体でないことが望まれる。記録用の吐出液体として
は、高粘度インク等をも利用することができる。その他
の吐出液体としては、熱に弱い医薬品や香水等の液体が
挙げられる。
【0164】本実施例においては、吐出液と発泡液の両
方に用いることができる記録液体として以下のような組
成のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によ
ってインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精
度が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0165】
【表1】 また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を
組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来
の液体吐出ヘッドでは吐出が困難であった十数cps粘
度の液体はもちろん、150cPという非常に高い粘度
の液体でさえも良好に吐出でき、高画質な記録物を得る
ことができた。
【0166】
【表2】 ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、従来の液
体吐出ヘッドを用いた場合には、吐出方向性がばらつ
き、記録紙上でのドットの着弾精度が悪く、また吐出不
安定による吐出量のばらつきが生じ、これらのことで、
高品位画像が得にくかった。しかし、上述した実施の形
態の構成においては、発泡液を用いることで気泡の発生
を充分に、かつ安定して行うことができる。このこと
で、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定化を図る
ことができ、記録画像品位を著しく向上することができ
た。
【0167】<液体吐出ヘッドの製造>次に、本発明に
基づく液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
【0168】図2で示したような液体吐出ヘッドの場合
には、可動部材31を設けるための土台34を素子基板
1上にドライフィルム等をパターニングすることで形成
し、この土台34に可動部材31を接着、もしくは溶着
固定した。その後、各液流路10を構成する複数の溝と
吐出口18と共通液室13を構成する凹部を有する溝付
部材50を、溝と可動部材31が対応するような状態で
素子基板1に接合することで形成した。
【0169】次に、図14や図27で示されるような2
流路構成の液体吐出ヘッドの製造工程について説明す
る。
【0170】大まかには、素子基板1上に第2液流路1
6の壁を形成し、その上に分離壁30を取り付け、さら
にその上に第1液流路14を構成する溝等が設けられた
溝付部材50を取り付ける。もしくは、第2液流路16
の壁を形成した後、この壁の上に分離壁30を取り付け
た溝付部材50を接合することで、2流路構成の液体吐
出ヘッドの製造を行った。
【0171】さらに第2液流路の作製方法について詳し
く説明する。図28(a)〜(e)は、2流路構成の液体吐出
ヘッドの製造方法の第1の実施例を説明するための概略
断面図である。
【0172】この実施例においては、まず、図28(a)
に示すように、素子基板(シリコンウエハ)1上に、半
導体製造工程で用いるのと同様の製造装置を用いて、ホ
ウ化ハフニウムや窒化タンタル等からなる発熱体2を有
する電気熱変換用素子を形成した後、次工程における感
光性樹脂との密着性の向上を目的として、素子基板1の
表面に洗浄を施した。さらに密着性を向上させるには、
素子基板表面に紫外線−オゾン等による表面改質を施し
た後、例えばシランカップリング剤(日本ユニカ製:A
189)をエチルアルコールで1重量%に希釈した液を
上記改質表面上にスピンコートすることで、密着性にさ
らなる向上が達成される。
【0173】次に、表面洗浄を行い、密着性を向上した
基板1上に、図28(b)に示すように、紫外線感光性樹
脂フィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディル
SY−318)DFをラミネートした。
【0174】次に、図28(c)に示すように、ドライフ
ィルムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォトマ
スクPMを介してドライフィルムDFのうち、第2の流
路壁として残す部分に紫外線を照射した。この露光工程
は、露光装置(キヤノン(株)製:MPA−600)を用
いて、約600mJ/cm2の露光量で行った。
【0175】次に、図28(d)に示すように、ドライフ
ィルムDFを、キシレンとブチルセルソルブアセテート
との混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−
3)で現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化し
た部分を第2液流路16の壁部分として形成した。さら
に、素子基板1表面に残った残渣を酸素プラズマアッシ
ング装置(アルカンテック社製:MAS−800)で約
90秒間処理して取り除き、引き続き、150℃で2時
間、さらに紫外線照射100mJ/cm2を行って露光
部分を完全に硬化させた。
【0176】以上の方法により、上記シリコン基板から
分割、作製される複数のヒータボード(素子基板)に対
し、一様に第2の液流路を精度よく形成することができ
る。シリコン基板を、厚さ0.05mmのダイヤモンド
ブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密製:
AWD−4000)で各々のヒータボード(素子基板)
1に切断、分離した。分離されたヒータボード(素子基
板)1を接着剤(東レ製:SE4400)によってアル
ミニウム製の支持体(ベースプレート)70上に固定し
た(図31)。次いで、予め支持体70上に接合してお
いたプリント配線基板71と、素子基板1とを直径0.
05mmのアルミニウムワイヤ(図示略)で接続した。
【0177】次に、このようにして得られた素子基板1
に、図28(e)に示すように、上述の方法で溝付部材5
0と分離壁30との接合体を位置決め接合した。すなわ
ち、分離壁30を有する溝付部材と素子基板1とを位置
決めし、押さえバネ78により係合、固定した後、イン
ク・発泡液用供給部材80を支持体70上に接合固定
し、アルミニウムワイヤ間や、溝付部材50と素子基板
1とインク・発泡液用供給部材80との隙間をシリコー
ンシーラント(東芝シリコーン製:TSE399)で封
止して、液体吐出ヘッドを完成させた。
【0178】以上の製法で、第2の液流路を形成するこ
とにより、各素子基板のヒータ(発熱体)に対して位置
ずれのない精度の良い流路を得ることができる。特に、
溝付部材50と分離壁30とを先行する工程で予め接合
しておくことで、第1液流路14と可動部材31の位置
精度を高めることができる。そして、これらの高精度製
造技術によって、吐出安定化が図られ印字品位が向上す
る。また、ウエハ上に一括して素子基板で形成すること
が可能なため、多量に低コストで製造することが可能で
ある。
【0179】なお、本実施例では、第2の液流路を形成
するために紫外線硬化型のドライフィルムを用いたが、
紫外域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂を用
い、ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第2の
液流路となる部分の樹脂を直接除去することによって
も、第2の液流路を形成することが可能である。
【0180】図29(a)〜(d)は、2流路構成の液体吐出
ヘッドの製造方法の第2の実施例を説明するための概略
断面図である。
【0181】本実施例においては、まず、図29(a)に
示すように、SUS(ステンレス鋼)基板100上に厚
さ15μmのフォトレジスト101を第2の液流路の形
状でパターニングした。次に、図29(b)に示すよう
に、SUS基板100に対して電気メッキを行ってこの
SUS基板100上にニッケル層102を同じく15μ
m成長させた。メッキ液としては、スルフォミン酸ニッ
ケルに応力減少剤(ワールドメタル社製:ゼロオール)
とほう酸、ピット防止剤(ワールドメタル社製:NP−
APS)、塩化ニッケルを使用した。電着時の電界のか
け方としては、アノード側に電極を付け、カソード側に
既にパターニングしたSUS基板100を取り付け、メ
ッキ液の温度を50℃とし、電流密度を5A/cm2
した。次に、図29(c)に示すように、上記のようなメ
ッキを終了したSUS基板100に対し、超音波振動を
与え、ニッケル層102の部分をSUS基板100から
剥離し、所望の第2の液流路を得た。
【0182】一方、電気熱変換用素子を配設したヒータ
ボード(素子基板)1を、半導体装置と同様の製造装置
を用いて、シリコンウエハに形成した。このウエハを先
の実施例と同様に、ダイシングマシンで各々のヒータボ
ード(素子基板)1に分離した。この素子基板1を、予
めプリント基板104が接合されたアルミニウム製の支
持体70に接合し、プリント基板71とアルミニウムワ
イヤ(図示略)とを接続することで電気的配線を形成し
た。
【0183】このような状態の素子基板1上に、図29
(d)に示すように、先の工程で得た第2液流路を位置決
め固定した。後工程で第1の実施例と同様に分離壁を固
定した天板と押さえバネによって係合・密着されるた
め、この位置決め固定では、天板接合時に位置ズレが発
生しない程度に固定されていれば十分である。本実施例
では、上記位置決め固定に際し、紫外線硬化型接着剤
(グレースジャパン製:アミコンUV−300)を塗布
し、紫外線照射装置を用い、露光量を100mJ/cm
2として約3秒間で固定を完了した。
【0184】本実施例の製法によれば、発熱体に対して
位置ずれのない、精度の高い第2の液流路を得ることが
できることに加え、ニッケルで流路壁を形成しているた
め、アルカリ性の液体に強く、信頼性の高い液体吐出ヘ
ッドを提供することが可能となる。
【0185】図30(a)〜(d)は、2流路構成の液体吐出
ヘッドの製造方法の第3の実施例を説明するための概略
断面図である。
【0186】ここでは、まず、図30(a)に示すよう
に、アライメント穴あるいはマーク100aを有する厚
さ15μmのSUS基板100の両面にフォトレジスト
103を塗布した。フォトレジストとしては、東京応化
製のPMERP−AR900を使用した。その後、図3
0(b)に示すように、素子基板100のアライメント穴
100aに合わせて、露光装置(キヤノン(株)製:M
PA−600)を用いて露光し、第2の液流路を形成す
べき部分のフォトレジスト103を除去した。露光は8
00mJ/cm2の露光量で行った。次に、図30(c)に
示すように、両面のフォトレジスト103がパターニン
グされたSUS基板100を、エッチング液(塩化第2
鉄または塩化第2銅の水溶液)に浸漬し、フォトレジス
ト103から露出している部分をエッチングした後、フ
ォトレジストを剥離した。次に、図30(d)に示すよう
に、先の製造方法の実施例と同様に、ヒータボード1上
に、エッチングされたSUS基板100を位置決め固定
して、第2の液流路16を有する液体吐出ヘッドを組み
立てた。
【0187】本実施例の製法によれば、ヒータに対し位
置ズレのない精度の高い第2液流路16を得ることがで
きることに加え、ステンレス鋼で流路を形成しているた
め、酸やアルカリ性の液体に強く信頼性の高い液体吐出
ヘッドを提供することができる。
【0188】以上説明したように、上記各実施例の製造
方法によれば、素子基板上に予め第2液流路の流路壁を
配設することによって、電気熱変換体と第2液流路とを
高精度に位置決めすることが可能となる。また、切断、
分離前の基板上の多数の素子基板に対して第2の液流路
を同時に形成することができるので、多量に、かつ、低
コストの液体吐出ヘッドを提供することができる。ま
た、これらの製造方法を実施することによって得られた
液体吐出ヘッドは、発熱体と第2液流路とが高精度に位
置決めされているので、電気熱変換体の発熱による発泡
の圧力を効率よく受けることができ、吐出効率に優れた
ものとなる。
【0189】<液体吐出ヘッドカートリッジ>次に、上
記各実施の形態による液体吐出ヘッドを搭載した液体吐
出ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0190】図31は、前述した液体吐出ヘッドを含む
液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であ
る。この液体吐出ヘッドカートリッジは、大別して、液
体吐出ヘッド部200と液体容器80とから構成されて
いる。
【0191】液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、
分離壁30、溝付部材50、押さえバネ78、液体供給
部材90、支持体70などからなっている。前述のよう
に、素子基板1には発熱抵抗体(発熱体)が複数個、列
状に設けられており、また、この発熱抵抗体を選択的に
駆動するための機能素子が複数設けられている。この素
子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁30との間に発泡
液路が形成され、発泡液が流通する。この分離壁30と
溝付天板50との接合によって、吐出される吐出液体が
流通する吐出液流路(不図示)が形成される。押さえバ
ネ78は、溝付部材50に素子基板1方向への付勢力を
作用させる部材であり、この付勢力により素子基板1、
分離壁30及び溝付部材50と、後述する支持体70と
を良好に一体化させている。支持体70は、素子基板1
等を支持するためのものであり、この支持体70上に
は、さらに、素子基板1に接続し電気信号を供給するた
めの回路基板71や、装置側と接続することで装置側と
電気信号のやりとりを行うためのコンタクトパッド72
が配置されている。
【0192】液体容器90には、それぞれ液体吐出ヘッ
ドに供給される、インク等の吐出液体と気泡を発生させ
るための発泡液とが、内部に区分収容されている。液体
容器90の外側には、液体吐出ヘッドと液体容器90と
の接続を行う接続部材を配置するための位置決め部94
と、この接続部を固定するための固定軸95が設けられ
ている。吐出液体は、液体容器90の吐出液体供給路9
2から接続部材の供給路84を介して液体供給部材80
の吐出液体供給路81に供給され、各部材の吐出液体供
給路83,71,21を介して第1の共通液室に供給され
る。発泡液も同様に、液体容器90の供給路93から接
続部材の供給路を介して液体供給部材80の発泡液供給
路82に供給され、各部材の発泡液体供給路84,71,
22を介して第2の共通液室に供給される。
【0193】以上では、発泡液と吐出液が異なる液体で
あってこれら液体の供給を行いうる供給形態および液体
容器を有する液体吐出ヘッドカートリッジについて説明
したが、吐出液体と発泡液体とが同じである場合には、
発泡液と吐出液の供給経路および容器を分けなくてもよ
い。また、液体容器は、各液体の消費後に液体を再充填
して使用してもよい。このためには、液体容器に液体注
入口を設けておくことが望ましい。また、液体吐出ヘッ
ドと液体容器とは一体であってもよく、分離可能として
もよい。
【0194】<液体吐出装置>図32は、液体吐出ヘッ
ドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示している。こ
こでは、特に、吐出液体としてインクを用いたインク吐
出記録装置IJRAを用いて説明する。
【0195】液体吐出装置(インク吐出記録装置IJR
A)のキャリッジHCは、インクを収容する液体タンク
部90と液体吐出ヘッド部200とから構成された着脱
可能なヘッドカートリッジを搭載しており、被記録媒体
搬送手段で搬送される記録紙等の被記録媒体150の幅
方向に往復移動する。不図示の駆動信号供給手段からキ
ャリッジHC上の液体吐出ヘッド部に駆動信号が供給さ
れると、この信号に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒
体に対して記録液体が吐出される。また、この記録装置
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジHCを駆動するた
めの駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力を
キャリッジに伝えるためのギア112,113、キャリ
ッジ軸115等を有している。この記録装置及びこの記
録装置で行う液体吐出方法を用いて各種の被記録媒体に
対して液体を吐出することによって、良好な画像の記録
物を得ることができた。
【0196】図33は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用してインク吐出記録を行う記録装置
全体のブロック図である。
【0197】この記録装置は、ホストコンピュータ30
0より、印字情報を制御信号として受け入れる。印字情
報は、記録装置内部の入力インタフェイス301に一時
保存されると同時に、記録装置内で処理可能なデータに
変換され、ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU30
2に入力される。CPU302は、ROM303に保存
されている制御プログラムに基づき、CPU302に入
力されたデータをRAM304等の周辺ユニットを用い
て処理し、印字するデータ(画像データ)に変換する。
またCPU302は、画像データを記録用紙上の適当な
位置に記録するために、画像データに同期して記録用紙
および記録ヘッドを移動する駆動用モータを駆動するた
めのモータ駆動データを作る。画像データおよびモータ
駆動データは、それぞれ、ヘッドドライバ307とモー
タドライバ305を介し、ヘッド200および駆動モー
タ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミングで
駆動され、画像を形成する。
【0198】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅等の
金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等
の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等
の三次元構造体等が挙げられる。また上述の記録装置と
しては、各種の紙やOHPシート等に対して記録を行う
プリンタ装置、コンパクトディスク等のプラスチック材
に記録を行うプラスチック用記録装置、金属板に記録を
行う金属用記録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装
置、木材に記録を行う木材用記録装置、セラミックス材
に記録を行うセラミックス用記録装置、スポンジ等の三
次元網状構造体に対して記録を行う記録装置、また、布
帛に記録を行う捺染装置等が含まれる。これらの液体吐
出装置に用いる吐出液としては、それぞれの被記録媒体
や記録条件に合わせた液体を用いればよい。
【0199】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い、被記録媒体に対して記
録を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。図34はこのインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。
【0200】このインクジェット記録システムにおける
液体吐出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対
応した長さに360dpi(25.4mm当り360ド
ット)の間隔(密度)で吐出口を複数配したフルライン
型のヘッドである。イエロー(Y),マゼンタ(M),
シアン(C),ブラック(Bk)の4色にそれぞれ対応
した4つの液体吐出ヘッド201a,201b,201
c,201dが、ホルダ202により、X方向に所定の
間隔を持って互いに平行に固定支持されている。これら
の液体吐出ヘッド201a〜201dに対して、駆動信
号供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が
供給され、この信号に基づいて各液体吐出ヘッド201
a〜201dの駆動がなされている。各液体吐出ヘッド
201a〜201dには、吐出液としてY,M,C,Bk
の4色のインクが、それぞれインク容器204a〜20
4dから供給されている。また、発泡液が、発泡液容器
204eに蓄えられ、各液体吐出ヘッド201a〜20
1d供給されるようになっている。また、各液体吐出ヘ
ッド201a〜201dの下方には、それぞれ、内部に
スポンジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ
203a〜203dが設けられており、非記録時に各液
体吐出ヘッド201a〜201dの吐出口をこnヘッド
キャップ203a〜203dで覆うことで、液体吐出ヘ
ッド201a〜201dの保守をなすことができる。
【0201】さらにこの記録システムには、先に説明し
たような各種の被記録媒体を搬送するための搬送手段を
構成する搬送ベルト206が設けられており、この搬送
ベルト206は、各種ローラにより所定の経路に引き回
されて、モータドライバ305に接続された駆動用ロー
ラにより駆動される。
【0202】さらにまたこのインクジェット記録システ
ムにおいては、被記録媒体に記録を行う前後に被記録媒
体に対して各種の処理を行う前処理装置251および後
処理装置252が、それぞれ、被記録媒体搬送経路の上
流と下流に設けられている。前処理と後処理は、被記録
媒体の種類やインクの種類に応じて処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体では、静電気によってそ
の表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって良好な
記録が妨げられる場合がある。このため、前処理として
イオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去するこ
とで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。また、
被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防止、染
着率の向上等の観点から、布帛にアルカリ性物質、水溶
性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチオ尿
素から選択される物質を付与する処理を前処理として行
えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記録媒
体の温度を記録に適切な温度にする処理等であってもよ
い。一方、後処理は、インクが付与された被記録媒体に
対して熱処理、紫外線照射等を施すことによるインクの
定着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残
った処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0203】ここでは、液体吐出ヘッドとしてフルライ
ンヘッドを用いた場合を説明したが、これに限らず、前
述したような小型の液体吐出ヘッドを被記録媒体の幅方
向に搬送して記録を行う形態のものであってもよい。
【0204】<ヘッドキット>以下に、本発明の液体吐
出ヘッドを有するヘッドキットを説明する。図35は、
このようなヘッドキットを示した模式図である。
【0205】このヘッドキットは、インクを吐出するイ
ンク吐出部511を有する液体吐出ヘッド510と、こ
の液体吐出ヘッド510と不可分もしくは分離可能な液
体容器であるインク容器520と、このインク容器52
0にインクを充填するためのインクを保持したインク充
填手段530とを、キット容器501内に収納したもの
である。インクを消費し終わった場合には、インク容器
520の大気連通口521やヘッドとの接続部や、もし
くはインク容器520の壁に開けた穴などに、インク充
填手段530の挿入部(注射針等)531の一部を挿入
し、この挿入部531を介してインク充填手段530内
のインクをインク容器内に充填すればよい。
【0206】このように、本発明の液体吐出ヘッドと、
インク容器やインク充填手段等を一つのキット容器内に
納めてキットにすることで、インクが消費されてしまっ
ても、前述のようにすぐに、また容易にインクをインク
容器内に充填することができ、記録の開始を迅速に行う
ことができる。
【0207】なお、ここでは、ヘッドキット内にインク
充填手段が含まれるものとして説明を行ったが、ヘッド
キットとしては、インク充填手段を持たず、インクが充
填された分離可能タイプのインク容器と液体吐出ヘッド
とがキット容器510内に納められている形態のもので
あってもよい。また、図35では、インク容器に対して
インクを充填するインク充填手段のみを示しているが、
インク容器の他に発泡液を発泡液容器に充填するための
発泡液充填手段をキット容器内に納めた形態のものであ
ってもよい。
【0208】以上、本発明について、気泡発生領域に対
して側方の位置に吐出口を有するエッジシュータータイ
プの液体吐出ヘッドの場合を中心に説明したが、本発明
が、気泡発生領域あるいは発熱部に対臆する位置に吐出
口を有するサイドシュータータイプの液体吐出ヘッドな
どにも適用可能であることは、いうまでもない。
【0209】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、可動部材
を用いる新規な吐出原理を使用することによって、極め
て優れた吐出効率、高速リフィル特性が得られるように
なるとともに、吐出口から可動部材の自由端変位軌跡ま
での体積を吐出量として規定し、この規定した量を吐出
するのに十分なエネルギーを印加するようにすることに
より、吐出量のコントロールが容易にでき、また、安定
した吐出量を得られ、さらに高速でのリフィルが可能に
なるという効果がある。
【0210】さらに本発明は、温度等の環境条件が変化
しても、安定した吐出量が得られる、という効果を奏す
る。
【0211】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0212】また、2流路構成の液体吐出ヘッドにおい
て、発泡液として、発泡しやすい液体や、発熱体上への
堆積物(こげ等)が生じにくい液体を用いることで、吐
出液の選択の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘
性液体、発熱体上に堆積物を生じやすい液体等、従来の
バブルジェット吐出方法で吐出することが困難であった
液体についても良好に吐出することができるようにな
り、さらに熱に弱い液体等も、この液体に熱による悪影
響を与えず吐出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明が基づく液体吐出原理によ
る液体吐出過程を示す模式断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の液体吐出ヘッドの
部分破断斜視図である。
【図3】従来の液体吐出ヘッドにおける気泡からの圧力
伝搬を示す模式図である。
【図4】図1に示す液体吐出原理を用いた液体吐出ヘッ
ドにおける気泡からの圧力伝搬を示す模式図である。
【図5】第1の実施の形態の液体吐出ヘッドの吐出領域
を模式的に示す平面図である。
【図6】図5のX−X'線での模式断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、第1の実施の形態での液体の吐出
過程を示す図である。
【図8】発熱体の発泡有効面積と液体の吐出量との関係
を示すグラフである。
【図9】第1の実施の形態での液体の流れを説明するた
めの模式図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の液体吐出ヘッド
の部分破断斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の液体吐出ヘッド
の部分破断斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の液体吐出ヘッド
の断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態の液体吐出ヘッド
の模式断面図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態の液体吐出ヘッド
(2流路)の断面図である。
【図15】第6の実施の形態の液体吐出ヘッドの部分破
断斜視図である。
【図16】(a),(b)は、可動部材の動作を説明するため
の模式断面図である。
【図17】可動部材と第1液流路の構造を説明するため
の縦断面図である。
【図18】(a)は可動部材の形状を示す平面図、(b)は液
流路の構造を示す平面図、(c)は可動部材と液流路の構
造との関係を模式的に説明する図である。
【図19】(a)〜(c)は、可動部材の他の形状例を示す平
面図である。
【図20】従来の液体吐出ヘッドでの発熱体面積とイン
ク吐出量の関係を示すグラフである。
【図21】(a),(b)は、可動部材と発熱体との配置関係
を示す平面図である。
【図22】発熱体のエッジから支点までの距離と可動部
材の変位量との関係を示すグラフである。
【図23】発熱体と可動部材との配置関係を説明するた
めの模式図である。
【図24】(a)は保護膜を有する液体吐出ヘッドの縦断
面図、(b)は保護膜を有しない液体吐出ヘッドの縦断面
図である。
【図25】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図26】2流路構成の液体吐出ヘッドの供給路を説明
するための断面図である。
【図27】図26の液体吐出ヘッドの分解斜視図であ
る。
【図28】(a)〜(e)は、液体吐出ヘッドの製造方法の第
1の実施例を説明するための工程図である。
【図29】(a)〜(d)は、液体吐出ヘッドの製造方法の第
2の実施例を説明するための工程図である。
【図30】(a)〜(d)は、液体吐出ヘッドの製造方法の第
3の実施例を説明するための工程図である。
【図31】液体吐出ヘッドカートリッジの分解斜視図で
ある。
【図32】液体吐出装置の構成を示す概略斜視図であ
る。
【図33】図32の装置の回路構成を示すブロック図で
ある。
【図34】インクジェット記録記録システムの構成を示
す図である。
【図35】ヘッドキットの模式図である。
【図36】(a),(b)は従来の液体吐出ヘッドの液流路構
造を説明するための図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 15 第1共通液室 16 第2液流路 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 36 気泡発生領域前壁 37 気泡発生領域側壁 40 気泡 45 液滴 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね 80 供給部材
フロントページの続き (72)発明者 吉平 文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 工藤 清光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (50)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出する吐出口と、液体に気泡を
    発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して
    配され、第1の位置と該第1の位置よりも気泡発生領域
    から遠い第2の位置との間を変位可能な可動部材とを有
    するヘッドを用い、気泡発生用のエネルギーを印加する
    ことによる前記気泡発生領域での気泡の発生に基づく圧
    力によって前記可動部材を前記第1の位置から前記第2
    の位置へ変位させ、前記可動部材の変位によって前記気
    泡を吐出口に向かう方向の上流よりも下流に大きく膨張
    させることで、前記吐出口から液体を吐出するための吐
    出エネルギーを液体に印加して液体を吐出する液体吐出
    方法において、 前記可動部材は、支点に対し下流側に自由端を有し、 前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギー
    の上昇に伴って実質的に飽和する飽和領域に相当する吐
    出エネルギーを印加して液体の吐出を行うことを特徴と
    する液体吐出方法。
  2. 【請求項2】 前記気泡を前記第1の位置を越えて膨張
    させるとともに前記可動部材を前記第2の位置に変位さ
    せ、前記可動部材の変位によって前記気泡の下流側部分
    を前記可動部材より下流に成長させる請求項1に記載の
    液体吐出方法。
  3. 【請求項3】 液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に
    連通する第1の液流路と、気泡発生領域を有する第2の
    液流路と、前記吐出口側に自由端を有し前記第1の液流
    路と前記気泡発生領域との間に配された可動部材とを有
    するヘッドを用い、気泡発生用のエネルギーを印加する
    ことによって前記気泡発生領域に気泡を発生させ、該気
    泡の発生による圧力に基づいて前記可動部材の自由端を
    前記第1の液流路側に変位させ、該可動部材の変位によ
    って前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導くこと
    で前記吐出口から液体を吐出するための吐出エネルギー
    を液体に印加して液体を吐出する液体吐出方法におい
    て、 前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギー
    の上昇に伴って実質的に飽和するヘッドを使用し、その
    飽和領域に相当する吐出エネルギーを印加して液体の吐
    出を行うことを特徴とする液体吐出方法。
  4. 【請求項4】 前記可動部材の変位にともなって、発生
    した気泡の一部が前記第1の液流路に延在する請求項3
    に記載の液体吐出方法。
  5. 【請求項5】 前記飽和領域での前記吐出エネルギーの
    印加による1回の吐出量が、前記吐出口の面積と前記吐
    出口から前記自由端の軌跡までの距離との積によって表
    わされる体積と実質的に等しい、請求項1乃至4いずれ
    か1項に記載の液体吐出方法。
  6. 【請求項6】 前記飽和領域での前記吐出エネルギーの
    印加による1回の吐出量が、前記吐出口の面積の90%
    と前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離の積以上
    であって、前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離
    に10μmを加えた値と前記吐出口の面積との積以下で
    ある、請求項1乃至4いずれか1項に記載の液体吐出方
    法。
  7. 【請求項7】 前記可動部材の変位量が、前記可動部材
    の変位方向への前記吐出口の開口長以上である、請求項
    1乃至6いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  8. 【請求項8】 前記可動部材に面した位置に発熱体が設
    けられており、該可動部材と該発熱体との間が前記気泡
    発生領域であり、前記気泡発生用のエネルギーが前記発
    熱体に印加される請求項1乃至7いずれか1項に記載の
    液体吐出方法。
  9. 【請求項9】 前記発熱体の面積中心より、液体の流れ
    の下流側に前記自由端が位置する請求項8に記載の液体
    吐出方法。
  10. 【請求項10】 前記気泡は、発熱体が発生した熱が液
    体に伝わることで前記液体に膜沸騰現象を生じさせ、該
    膜沸騰現象によって発生した気泡である請求項8または
    9に記載の液体吐出方法。
  11. 【請求項11】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが同じ液体である
    請求項3または4に記載の液体吐出方法。
  12. 【請求項12】 前記第1の液流路に供給される液体と
    前記第2の液流路に供給される液体とが異なる液体であ
    る請求項3または4に記載の液体吐出方法。
  13. 【請求項13】 気泡の発生によって吐出口から液体を
    吐出する液体の吐出方法であって、流路中に配された発
    熱体に沿って該発熱体より上流側から液体を供給し、気
    泡発生用のエネルギーを印加することによって前記発熱
    体で発生した熱を供給された液体に作用させることで気
    泡を生じさせ、該気泡の発生に基づく圧力によって、前
    記発熱体に面して配されかつ前記吐出口側に自由端を有
    する可動部材の自由端を変位させ、該可動部材の変位に
    よって前記圧力を吐出口側に導くことで、前記吐出口か
    ら液体を吐出するための吐出エネルギーを液体に印加し
    て液体を吐出する液体吐出方法において、 前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギー
    の上昇に伴って実質的に飽和する領域で液体の吐出を行
    うことを特徴とする液体吐出方法。
  14. 【請求項14】 変位する自由端を吐出口側に備えた可
    動部材を使用するともに、気泡発生用のエネルギーを印
    加することによって膜沸騰を生じさせ、少なくとも液滴
    吐出に直接作用する圧力成分を有する気泡部分によって
    前記可動部材を変位させ、前記圧力成分を有する気泡部
    分を吐出口側に導くことにより、前記吐出口から液滴を
    吐出するための吐出エネルギーを液体に印加して液体を
    吐出する液体吐出方法において、 前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギー
    の上昇に伴って実質的に飽和する飽和領域に相当する吐
    出エネルギーを印加して液体の吐出を行うことを特徴と
    する液体吐出方法。
  15. 【請求項15】 上記可動部材の自由端を含む先端領域
    は、上記膜沸騰によって生じる気泡の気泡発生領域を上
    記吐出口に対して実質的に密閉状態とする第1の位置か
    ら、上記気泡部分によって該気泡発生領域を上記吐出口
    に対して開放する第2の位置へ変位する、請求項14に
    記載の液滴吐出方法。
  16. 【請求項16】 エネルギーを印加したことによる気泡
    発生領域での気泡の発生に基づいて、該気泡発生領域よ
    りも液滴吐出方向に関して下流側であって該気泡発生領
    域に対向しない位置にある吐出口から液滴を吐出する液
    滴吐出方法であって、前記気泡発生領域の吐出口側領域
    を前記吐出口に対して実質的に密閉状態とする自由端部
    分と、該自由端部分に関して前記吐出口と反対側に位置
    する支点部分から該自由端部分に至る面部分と、を備え
    る可動部材を用い、該気泡の発生によって、該実質的に
    密閉状態の自由端を移動せしめて前記気泡発生領域を吐
    出口に対して開放し液滴を吐出するための吐出エネルギ
    ーを液体に印加して液体を吐出する液体吐出方法におい
    て、 前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギー
    の上昇に伴って実質的に飽和する飽和領域に相当する吐
    出エネルギーを印加して液体の吐出を行うことを特徴と
    する液体吐出方法。
  17. 【請求項17】 前記飽和領域での前記吐出エネルギー
    の印加による1回の吐出量が、前記吐出口の面積と前記
    吐出口から前記自由端の軌跡までの距離との積によって
    表わされる体積と実質的に等しい、請求項13乃至16
    いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  18. 【請求項18】 前記飽和領域での前記吐出エネルギー
    の印加による1回の吐出量が、前記吐出口の面積の90
    %と前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離の積以
    上であって、前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距
    離に10μmを加えた値と前記吐出口の面積との積以下
    である、請求項13乃至16いずれか1項に記載の液体
    吐出方法。
  19. 【請求項19】 前記可動部材の変位量が、前記可動部
    材の変位方向への前記吐出口の開口長以上である、請求
    項13乃至18いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  20. 【請求項20】 液体を吐出する吐出口と、液体に気泡
    を発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面し
    て配され、第1の位置と該第1の位置よりも前記気泡発
    生領域から遠い第2の位置との間を変位可能な可動部材
    とを有し、気泡発生用のパルスエネルギーを印加するこ
    とで前記気泡発生領域で気泡を発生させ、この気泡の発
    生に基づく圧力によって、前記可動部材を前記第1の位
    置から前記第2の位置へ変位させるとともに、前記可動
    部材の変位によって前記気泡を吐出口に向かう方向の上
    流よりも下流に大きく膨張させることで前記吐出口から
    液体を吐出するための吐出エネルギーを液体に印加して
    液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、 前記吐出口から吐出する液体の量が前記吐出エネルギー
    の上昇に伴って実質的に飽和する飽和領域に相当する吐
    出エネルギーを印加して液体の吐出を行うことを特徴と
    する液体吐出ヘッド。
  21. 【請求項21】 前記可動部材の変位によって、前記気
    泡の下流部分が前記可動部材より下流に成長する請求項
    16に記載の液体吐出ヘッド。
  22. 【請求項22】 吐出口に連通した第1の液流路と、気
    泡発生用のエネルギーの印加によって液体に熱が加えら
    れ前記液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する第
    2の液流路と、前記第1の液流路と前記気泡発生領域と
    の間に配され、吐出口側に自由端を有し、前記気泡発生
    領域内での気泡の発生による圧力に基づいて該自由端を
    前記第1の液流路側に変位させて前記圧力を前記第1の
    液流路の吐出口側に可動部材によって導くことで吐出エ
    ネルギーを液体に印加して液体を吐出する液体吐出ヘッ
    ドにおいて、 前記吐出口からの吐出する液体の量が前記吐出エネルギ
    ーの上昇に伴って実質的に飽和することを特徴とする液
    体吐出ヘッド。
  23. 【請求項23】 前記可動部材が、前記第1の液流路と
    第2の液流路との間に配された分離壁の一部として構成
    されている、請求項22に記載の液体吐出ヘッド。
  24. 【請求項24】 前記第1の液流路の複数に第1の液体
    を供給するための第1の共通液室と、前記第2の液流路
    の複数に第2の液体を供給するための第2の共通液室と
    が配されている請求項22または23に記載の液体吐出
    ヘッド。
  25. 【請求項25】 前記吐出口部分での流路断面積が、前
    記可動部材が配置されている位置を含む部分での前記第
    1の液流路の流路断面積より小さい、請求項20乃至2
    4いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  26. 【請求項26】 前記実質的に飽和したときの1回のエ
    ネルギーの印加当りの吐出量が、前記吐出口の面積と前
    記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離との積によっ
    て表わされる体積と実質的に等しい、請求項20乃至2
    5いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  27. 【請求項27】 前記実質的に飽和したときの1回のエ
    ネルギーの印加当りの吐出量が、前記吐出口の面積の9
    0%と前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離の積
    以上であって、前記吐出口から前記自由端の軌跡までの
    距離に10μmを加えた値と前記吐出口の面積との積以
    下である、請求項20乃至25いずれか1項に記載の液
    体吐出ヘッド。
  28. 【請求項28】 前記可動部材の変位量が、前記可動部
    材の変位方向への前記吐出口の開口長以上である、請求
    項20乃至27いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  29. 【請求項29】 前記可動部材は板状である請求項20
    乃至28いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  30. 【請求項30】 前記可動部材に面した位置に発熱体が
    設けられており、前記可動部材と前記発熱体との間が前
    記気泡発生領域である請求項20乃至29いずれか1項
    に記載の液体吐出ヘッド。
  31. 【請求項31】 前記可動部材の自由端は、前記発熱体
    の面積中心よりも下流に位置する請求項30に記載の液
    体吐出ヘッド。
  32. 【請求項32】 前記発熱体に沿って、前記発熱体より
    上流から前記発熱体上に液体を供給するための供給路を
    有する、請求項30または31に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  33. 【請求項33】 前記供給路は、前記発熱体より上流側
    に実質的に平坦、もしくはなだらかな内壁を有し、該内
    壁に沿って液体を前記発熱体上に供給する供給路であ
    る、請求項32に記載の液体吐出ヘッド。
  34. 【請求項34】 液体を吐出する吐出口と、液体に熱を
    加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と該発熱
    体に沿った該発熱体より上流側から前記発熱体上に液体
    を供給するための供給路とを有する液流路と、前記発熱
    体に面して設けられ前記吐出口側に自由端を有し前記気
    泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位させて
    前記圧力を前記吐出口側に導く可動部材と、を有する液
    体吐出ヘッドにおいて、 前記発熱体にエネルギーを印加することで吐出エネルギ
    ーを発生させて液体を前記吐出口から吐出させたとき
    に、前記吐出口からの吐出する液体の量が、前記吐出エ
    ネルギーの上昇に伴って実質的に飽和することを特徴と
    する液体吐出ヘッド。
  35. 【請求項35】 液体を吐出する吐出口と、液体に熱を
    加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と、前記
    発熱体に面して設けられ前記吐出口側に自由端を有し前
    記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位さ
    せて前記圧力を前記吐出口側に導く可動部材と、前記可
    動部材の前記発熱体に近い面に沿った上流側から前記発
    熱体上に液体を供給する供給路と、を有する液体吐出ヘ
    ッドにおいて、 前記発熱体にエネルギーを印加することで吐出エネルギ
    ーを発生させて液体を前記吐出口から吐出させたとき
    に、前記吐出口からの吐出する液体の量が、前記吐出エ
    ネルギーの上昇に伴って実質的に飽和することを特徴と
    する液体吐出ヘッド。
  36. 【請求項36】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第
    1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第
    1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構
    成する凹部とを一体的に有する溝付部材と、 液体に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための
    複数の発熱体が配された素子基板と、 前記溝付部材と該素子基板との間に配され、前記発熱体
    に対応した第2の液流路の壁の一部を構成するととも
    に、前記発熱体に面した位置に前記気泡の発生に基づく
    圧力によって前記第1の液流路側に変位する可動部材と
    を具備した分離壁と、を有する液体吐出ヘッドにおい
    て、 前記発熱体にエネルギーを印加することで吐出エネルギ
    ーを発生させて液体を前記吐出口から吐出させたとき
    に、前記吐出口からの吐出する液体の量が、前記吐出エ
    ネルギーの上昇に伴って実質的に飽和することを特徴と
    する液体吐出ヘッド。
  37. 【請求項37】 前記実質的に飽和したときの1回のエ
    ネルギーの印加当りの吐出量が、前記吐出口の面積と前
    記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離との積によっ
    て表わされる体積と実質的に等しい、請求項34乃至3
    6いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  38. 【請求項38】 前記実質的に飽和したときの1回のエ
    ネルギーの印加当りの吐出量が、前記吐出口の面積の9
    0%と前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離の積
    以上であって、前記吐出口から前記自由端の軌跡までの
    距離に10μmを加えた値と前記吐出口の面積との積以
    下である、請求項34乃至36いずれか1項に記載の液
    体吐出ヘッド。
  39. 【請求項39】 前記可動部材の変位量が、前記可動部
    材の変位方向への前記吐出口の開口長以上である、請求
    項34乃至38いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  40. 【請求項40】 前記気泡は前記発熱体が発生する熱に
    よって液体に膜沸騰を生じることで発生する気泡である
    請求項30乃至39いずれか1項に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  41. 【請求項41】 前記可動部材の自由端は前記発熱体の
    面積中心より下流側に位置する請求項34乃至36いず
    れか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  42. 【請求項42】 前記溝付部材には、前記第1の共通液
    室に液体を導入するための第1の導入路と、前記第2の
    共通液室に液体を導入するための第2の導入路とが設け
    られている、請求項36に記載の液体吐出ヘッド。
  43. 【請求項43】 前記発熱体が、電気信号を受けること
    で熱を発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体である
    請求項30乃至42いずれか1項に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  44. 【請求項44】 前記電気熱変換体が、前記発熱抵抗体
    上に保護膜を配したものである請求項43の液体吐出ヘ
    ッド。
  45. 【請求項45】 前記素子基板上に、前記電気熱変換体
    に電気信号を伝えるための配線と、前記電気熱変換体に
    選択的に電気信号を与えるための機能素子とが配されて
    いる、請求項43の液体吐出ヘッド。
  46. 【請求項46】 請求項20乃至45いずれか1項に記
    載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給される
    液体を保持する液体容器とを有するヘッドカートリッ
    ジ。
  47. 【請求項47】 請求項20乃至45いずれか1項に記
    載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐
    出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段
    と、を有する液体吐出装置。
  48. 【請求項48】 請求項20乃至45いずれか1項に記
    載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出され
    た液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手
    段と、を有する液体吐出装置。
  49. 【請求項49】 気泡の発生によって吐出口から液体を
    吐出する液体の吐出方法であって、流路中に配された発
    熱体に沿って該発熱体より上流側から液体を供給し、気
    泡発生用のエネルギーを印加することによって前記発熱
    体で発生した熱を供給された液体に作用させることで気
    泡を生じさせ、該気泡の発生に基づく圧力によって、前
    記発熱体に面して配されかつ前記吐出口側に自由端を有
    する可動部材の自由端を変位させ、該可動部材の変位に
    よって前記圧力を吐出口側に導くことで、前記吐出口か
    ら液体を吐出するための吐出エネルギーを液体に印加し
    て液体を吐出する液体吐出方法において、 前記吐出口から吐出する液体の量が、前記吐出口の面積
    と前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離との積に
    よって表わされる体積と実質的に等しい液体吐出方法。
  50. 【請求項50】 気泡の発生によって吐出口から液体を
    吐出する液体の吐出方法であって、流路中に配された発
    熱体に沿って該発熱体より上流側から液体を供給し、気
    泡発生用のエネルギーを印加することによって前記発熱
    体で発生した熱を供給された液体に作用させることで気
    泡を生じさせ、該気泡の発生に基づく圧力によって、前
    記発熱体に面して配されかつ前記吐出口側に自由端を有
    する可動部材の自由端を変位させ、該可動部材の変位に
    よって前記圧力を吐出口側に導くことで、前記吐出口か
    ら液体を吐出するための吐出エネルギーを液体に印加し
    て液体を吐出する液体吐出方法において、 前記吐出口から吐出する液体の量が、前記吐出口の面積
    の90%と前記吐出口から前記自由端の軌跡までの距離
    の積以上であって、前記吐出口から前記自由端の軌跡ま
    での距離に10μmを加えた値と前記吐出口の面積との
    積以下である液体吐出方法。
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