JP3372758B2 - 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、液体容器およびヘッドカートリッジ - Google Patents

液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、液体容器およびヘッドカートリッジ

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JP3372758B2
JP3372758B2 JP14626896A JP14626896A JP3372758B2 JP 3372758 B2 JP3372758 B2 JP 3372758B2 JP 14626896 A JP14626896 A JP 14626896A JP 14626896 A JP14626896 A JP 14626896A JP 3372758 B2 JP3372758 B2 JP 3372758B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用
いたヘッドカートリッジ、液体吐出装置、液体吐出方法
に関する。さらにこれらの液体吐出ヘッドを有するイン
クジェットキットに関する。
【0002】特に、本発明は、気泡の発生を利用して変
位する可動部材を有する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッ
ドを用いたヘッドカートリッジ、液体吐出装置に関す
る。
【0003】さらに詳しくは、前述の可動部材を用いる
構成において、高粘度インクの安定供給を可能にし、気
泡を発生する液体の充填(リフィル)を向上させること
ができ、可動部材により上下に隔てられた上下の液体の
非駆動時における混液を防止でき、駆動中の発熱体に吐
出液体が可動部材を越えて流入するのを防止できる液体
吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリ
ッジ、液体吐出装置、液体吐出方法および記録方法に関
する。
【0004】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、
通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有す
るワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と
複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明
である。
【0005】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0006】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、USP
4,723,129等の公報に開示されているように、
インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通す
るインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出
するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が
一般的に配されている。
【0007】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は、近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0008】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0009】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0010】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0011】この流路形状の内、流路構造として図29
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。この公報に記載されてい
る流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発
生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向
かう圧力、即ち、液室12へ向かう圧力)に着目した発
明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギ
ーでないため損失エネルギーとして知られている。
【0012】図29(a),(b)に示す発明は、発熱
素子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発熱
素子2に関して吐出口11とは反対側に位置する弁10
を開示する。
【0013】図29(b)においては、この弁10は、
板材等を利用する製造方法によって、流路3の天井に貼
り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流
路3内へ垂れ下がるものとして開示されている。この発
明は、上述したバック波の一部を弁10によって制御す
ることでエネルギー損失を抑制するものとして開示され
ている。
【0014】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路3内部に、気泡が発生した際を
検討するとわかるように、弁10によるバック波の一部
を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なもので
ないことがわかる。
【0015】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
3内に発生した時点では、図29(a)に示すように、
気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路3から
液体を吐出可能状態にしている。従って、バック波のう
ち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に
大きな影響を与えないことは明らかである。
【0016】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によっては、この堆積物が多く発生
することで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好な
インクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、
吐出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や
十分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出
すべき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が
望まれていた。
【0017】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、USP4,48
0,259号等の公報に開示されている。これらの公報
では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコンゴムな
どの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接し
ないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可撓
性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっている。
このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防止
や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
【0018】しかしながら、前述のように吐出液と発泡
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下
してしまう虞があった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的に従
来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成し
て液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来で
は考えられなかった観点から、従来では予想できない水
準に高めることを主たる課題とする。
【0020】発明者達の一部は、液滴吐出の原理に立ち
返り、従来では得られなかった気泡を利用した新規な液
滴吐出方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく
鋭意研究を行った。このとき、流路中の可動部材の機構
の原理を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を
起点とする第1技術解析、及び気泡による液滴吐出原理
を起点とする第2技術解析、さらには、気泡形成用の発
熱体の気泡形成領域を起点とする第3解析を行うことに
した。
【0021】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0022】つぎに、気泡自体が吐出量に与えるエネル
ギーを考慮すると、気泡の下流側の成長成分を考慮する
ことが吐出特性を格段に向上できる要因として最大であ
るとの知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分
を吐出方向へ効率よく変換させることこそ、吐出効率、
吐出速度の向上をもたらすことも判明した。このことか
ら、発明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動
部材の自由端側に移動させるという従来の技術水準に比
べ極めて高い技術水準に至った。
【0023】さらに、気泡を形成するための発熱領域、
例えば、電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通
る中心線から下流側、あるいは、発泡を司る面における
面積中心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液
流路等の構造的要素を勘案することも好ましいというこ
とがわかった。
【0024】また、一方、可動部材の配置と液供給路の
構造を考慮することで、リフィル速度を大幅に向上でき
ることがわかった。
【0025】さらに、前記可動部材により隔てられた上
下の流路における相互の圧力バランスを制御することに
よって、高粘度インクの安定供給が可能になり、気泡を
発生する液体のリフィルを向上させることができ、増粘
したインクの吐出を容易にすることでき、可動部材によ
り隔てられた吐出用の液体と発泡用の液体との非駆動時
における混液を適切に防止でき、駆動中の発熱体上に吐
出用液体が可動部材を越えて流入するのを適切に防止で
きることが、判明した。
【0026】本願出願人は、このように本発明者達の一
部による研究で得られた知見および総合的観点から、優
れた液体の吐出原理を既に出願しており、本発明はかか
る液体の吐出原理を前提に、さらに本発明者達のより好
ましい着想により想起されたものである。
【0027】本発明者達が認識した点は、“可動部材の
挙動が本液体吐出ヘッドの性能に直接関わっており、こ
の可動部材の挙動をより確実にする必要がある。そのた
めには、可動部材で隔てられている二つの位置における
液体の諸条件を検討し、制御可能にすることが大切であ
る。”ということである。
【0028】本発明の主たる目的は、発生した気泡を根
本的に制御することで極めて新規な液体吐出原理、すな
わち、可動部材により気泡発生領域とこの気泡発生領域
から離れた領域とを隔てて、液体の吐出駆動力とする発
生気泡の膨張力を前記可動部材によって効率的に用いる
構成を提供することにあり、さらに、この特有な構成に
おいて、(1)高粘度インクの安定供給が可能とし、
(2)気泡を発生する液体のリフィルを向上させ、
(3)増粘したインクの吐出を容易にし、(4)可動部
材により隔てられた吐出用の液体と発泡用の液体との非
駆動時における混液を適切に防止し、(5)駆動中の発
熱体上に吐出用液体が可動部材を越えて流入するのを適
切に防止する、構成を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
【0030】吐出口に連通する第1の液流路と、気泡発
生領域を有する第2の液流路と、前記吐出口側に自由端
を有し前記第1の液流路と前記気泡発生領域との間に配
された可動部材とを有するヘッドを用い、前記気泡発生
領域に気泡を発生させ、該気泡の発生による圧力に基づ
いて前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変位
させ、該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1の
液流路の吐出口側に導くことで液体を吐出する液体吐出
方法であって、前記第1の液流路の内圧と、前記第2の
液流路の内圧とを異ならせることを特徴とする液体吐出
方法である。
【0031】もしくは、吐出口に連通した第1の液流路
と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
材とを有する液体吐出ヘッドであって、前記第1の液流
路の内圧と、前記第2の液流路の内圧とが異なっている
ことを特徴とする液体吐出ヘッドである。
【0032】もしくは、液体を吐出するための複数の吐
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体
に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数
の発熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素
子基板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液
流路の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した
位置に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の
液流路側に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有
する液体吐出ヘッドであって、前記第1の液流路の内圧
と、前記第2の液流路の内圧とが異なっていることを特
徴とする液体吐出ヘッドである。
【0033】もしくは、吐出口に連通した第1の液流路
と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
材とを有する液体吐出ヘッドと、前記第1の液流路の内
圧と、前記第2の液流路の内圧とを異ならせる内圧制御
手段と、を有することを特徴とする液体吐出装置であ
る。
【0034】もしくは、液体を吐出するための複数の吐
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体
に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数
の発熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素
子基板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液
流路の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した
位置に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の
液流路側に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有
する液体吐出ヘッドと、前記第1の液流路の内圧と、前
記第2の液流路の内圧とを異ならせる内圧制御手段と、
を有することを特徴とする液体吐出装置である。
【0035】もしくは、前述の液体吐出装置のいずれか
と、記録後の被記録媒体に対して、前記液体の定着を促
す後処理装置と、を有する記録システムである。
【0036】もしくは、前述の液体吐出装置のいずれか
と、記録前の被記録媒体に対して、前記液体の定着を増
すための前処理装置と、を有する記録システムである。
【0037】もしくは、吐出口に連通した第1の液流路
と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
材とを有する液体吐出ヘッドに用いられる液体容器であ
って、前記第1の液流路に供給される第1の液体を収容
する第1の収容部と、前記第2の液流路に供給される第
2の液体を収容する第2の収容部とを有し、前記第1の
収容部および第2の収容部から前記第1の液流路および
第2の液流路に供給する各液体の供給圧が異なっている
ことを特徴とする液体容器である。
【0038】もしくは、吐出口に連通した第1の液流路
と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
材とを有する液体吐出ヘッドと、前記第1の液流路に供
給される第1の液体を収容する第1の収容部と、前記第
2の液流路に供給される第2の液体を収容する第2の収
容部とを有し、前記第1の収容部および第2の収容部か
ら前記第1の液流路および第2の液流路に供給する各液
体の供給圧が異なっている液体容器と、を有することを
特徴とするヘッドカートリッジである。
【0039】もしくは、吐出口に連通する第1の液流路
と、気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記吐出口
側に自由端を有し前記第1の液流路と前記気泡発生領域
との間に配された可動部材とを有するヘッドを用い、前
記気泡発生領域に気泡を発生させ、該気泡の発生による
圧力に基づいて前記可動部材の自由端を前記第1の液流
路に変位させ、該可動部材の変位によって前記圧力を前
記第1の液流路の吐出口側に導くことで記録液体を吐出
する液体吐出記録方法であって、前記第1の液流路の内
圧と、前記第2の液流路の内圧とを異ならせることを特
徴とする液体吐出記録方法である。
【0040】上述したような、極めて新規な吐出原理に
基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等によると、発生
する気泡とこれによって変位する可動部材との相乗効果
を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よく吐出で
きるため、従来のバブルジェット方式の吐出方法、ヘッ
ド等に比べて、吐出効率を向上できる。例えば、本発明
の最も好ましい形態においては2倍以上という飛躍的な
吐出効率の向上を達成できた。
【0041】この発明の特徴的な構成、すなわち、可動
部材により互いに隔てられた第1の液流路と第2の液流
路の内圧を互いに異ならせる構成によれば、高粘度イン
クの安定供給を可能にし、気泡を発生する液体の充填
(リフィル)を向上させることができ、可動部材により
上下に隔てられた上下の液体の非駆動時における混液を
防止でき、記録開始時の吐出性能(発一性という)が向
上でき、駆動中の発熱体に吐出液体が可動部材を越えて
流入するのを防止できる(その結果、発熱体上に経時的
に焦げが発生することがなくなる)。
【0042】また、低温や低湿で長期放置を行った場合
であっても不吐出になることを防止でき、仮に不吐出に
なっても、予備吐出や吸引回復といった回復処理をわず
かに行うだけで正常状態に即座に復帰できる利点もあ
る。
【0043】具体的には64個の吐出口を持つ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0044】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0045】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0046】なお、本発明の説明で用いる「液体供給
圧」とは、液体収容部の負圧、水頭圧等をいう。
【0047】また、本発明の説明で用いる「液流路の内
圧」とは、可動部材近傍の液流路内での圧力を言い、圧
力の差は、可動部材近傍における第1と第2の液流路内
の圧力差のことを言う。
【0048】また、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(または可動
部材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関し
て、又はこの構成上の方向に関しての表現として表され
ている。
【0049】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0050】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0051】さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
【0052】
【発明の実施の形態】
(実施形態例1)以下、図面を参照して本発明の第1の
実施形態例について説明する。
【0053】本実施形態例においては液流路を複流路構
成にすることで、さらに熱を加えることで発泡させる液
体(発泡液)と、主として吐出される液体(吐出液)と
を分けることができるものである。
【0054】図1は、本実施形態例の液体吐出ヘッドの
流路方向の断面模式図を示しており、図2は、この液体
吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0055】本実施形態例の液体吐出ヘッドは、液体に
気泡を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2
が設けられた素子基板1上に、発泡用の第2の液流路1
6があり、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用
の第1の液流路14が配されている。
【0056】第1液流路14の上流側は、複数の第1液
流路14に吐出液を供給するための第1共通液室15に
連通しており、第2液流路16の上流側は、複数の第2
液流路16に発泡液を供給するための第2共通液室17
に連通している。
【0057】第1と第2の液流路14と16の間には、
金属等の弾性を有する材料で構成された分離壁30が配
されており、第1液流路14と第2の液流路16とを区
分している。なお、発泡液と吐出液とができる限り混ざ
り合わない方がよい液体の場合には、この分離壁30に
よってできる限り完全に第1液流路14と第2液流路1
6の液体の流通を分離した方がよいが、発泡液と吐出液
とがある程度混ざり合っても、問題がない場合や、発泡
液と吐出液とを同じ液体とする場合には、分離壁30に
完全分離の機能を持たせなくてもよい。
【0058】発熱体2の面方向上方への投影空間(以
下、吐出圧発生領域という。;図1中のAの領域とBの
気泡発生領域11)に位置する部分の分離壁30は、ス
リット35によって吐出口側(液体の流れの下流側)が
自由端32で、共通液室(15、17)側に支点33が
位置する片持梁形状の可動部材31となっている。この
可動部材31は、気泡発生領域11(B)に面して配さ
れているため、発泡液の発泡によって第1液流路14側
の吐出口18側に向けて開口するように動作する(図中
矢印方向)。図2においても、発熱体2としての発熱抵
抗部と、この発熱抵抗部に電気信号を印加するための配
線電極5とが配された素子基板1上に、第2の液流路を
構成する空間を介して分離壁30が配置されている。
【0059】次に、図3〜図6を用いて本実施形態例の
液体吐出ヘッドの動作を説明する。
【0060】ヘッドを駆動させるにあたっては、第1液
流路14に供給される吐出液と第2の液流路16に供給
される発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。
【0061】発熱体2が発生した熱が、第2液流路の気
泡発生領域内の発泡液に作用することで、発泡液にUS
P4,723,129に記載されているような膜沸騰現
象に基づく気泡40を発生させる。
【0062】本実施形態例においては、気泡発生領域1
1の上流側を除く、3方から発泡圧の逃げがないため、
この気泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された
可動部材31側に集中して伝搬し、気泡の成長をともな
って可動部材31が、図3の状態から図4に示すよう
に、第1液流路14側に変位する。この可動部材31の
動作によって第1液流路14と第2液流路16とが大き
く連通し、気泡の発生に基づく圧力が第1液流路14の
吐出口18側の方向(A方向)に主に伝わる。そして、
図5〜図6に示すように、さらに気泡40が成長する
と、その圧力の伝搬と、可動部材31の機械的変位によ
って液体が吐出口18から吐出される。
【0063】次に、気泡40が収縮するに伴って可動部
材31が、図6の状態を介して図3の位置にまで戻ると
共に、第1液流路14で吐出された吐出液体の量に見合
う量の吐出液体が上流側から供給される。この吐出液体
の供給は、可動部材31が閉じる方向であるため、吐出
液体のリフィルを可動部材31で妨げることがない。
【0064】ここで、本発明の基本的な吐出原理の一つ
を説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、
気泡に対面するように配された可動部材31が気泡の圧
力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1の位置
から変位後の位置である第2の位置へ変位し、この変位
する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力や気泡
自身を吐出口18が配された下流側へ導くことである。
【0065】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図7と本発明の図8とを比較し
てさらに詳しく説明する。なお、ここでは、吐出口方向
への圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向
をVBとして示した。
【0066】図7で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため、気泡40の圧力伝搬方向は、
V1〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方
向を向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及
ぼすVA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1
〜V4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分
の圧力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、
吐出速度等に直接寄与する重要な部分である。さらに、
V1は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働
き、逆にV4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0067】これに対して、図8で示される本発明の場
合には、可動部材31が図7の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側
(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するも
のであり、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よ
く吐出に寄与することになる。そして、気泡の成長方向
自体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向に導か
れ、上流より下流で大きく成長する。このように、気泡
の成長方向自体を可動部材によって制御し、気泡の圧力
伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力また吐出
速度等の根本的な向上を達成することができる。
【0068】次に、図3〜図6に戻って、本実施形態例
の液体吐出ヘッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0069】図3は、発熱体2に電気エネルギー等のエ
ネルギーが印加される前の状態であり、発熱体2が熱を
発生する前の状態である。
【0070】図4は、発熱体2に電気エネルギー等が印
加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって気泡発
生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸騰に伴
う気泡40を発生させた状態である。
【0071】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。こ
こで重要なことは、前述したように、可動部材31の自
由端32を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上
流側(共通液室側)に位置するように配置して、可動部
材31の少なくとも一部を発熱体2の下流部分すなわち
気泡の下流部分に対面させることである。
【0072】図5は、気泡40がさらに成長した状態で
あるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材31
はさらに変位している。発生した気泡40は上流より下
流に大きく成長すると共に、可動部材31の第1の位置
(点線位置)を越えて大きく成長している。このように
気泡40の成長に応じて可動部材31が徐々に変位して
行くことで、気泡40の圧力伝搬方向や堆積移動のしや
すい方向、すなわち自由端32側への気泡40の成長方
向を吐出口18に均一的に向かわせることができること
も、吐出効率を高めると考えられる。可動部材31は、
気泡40や発泡圧を吐出口18方向へ導く際も、この伝
達の妨げになることはほとんどなく、伝搬する圧力の大
きさに応じて効率よく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向
を制御することができる。
【0073】図6は、気泡40が、前述した膜沸騰の
後、気泡40の内部圧力の減少によって収縮し、消滅す
る状態を示している。
【0074】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡40の収縮による負圧と可動部材自身のばね性
による復元力によって、図3の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち、共通液室側
から流れのVD1、VD2のように、また、吐出口18
側から流れのVcのように液体が流れ込んでくる。
【0075】以上、気泡の発生に伴う可動部材31の動
作と液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明
の液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳し
く説明する。
【0076】図3〜図6を用いて本発明における液供給
メカニズムをさらに詳しく説明する。
【0077】図5の後、気泡40が最大体積の状態を経
て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補う体積
の液体が気泡発生領域11に、第1液流路14の吐出口
18側と第2液流路16の共通液室側から流れ込む。
【0078】可動部材31を持たない従来の液流路構造
においては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量
と共通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より
吐出口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大
きさに起因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくもので
ある。)。このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さい
場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ込
みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特に、
吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を小さ
くして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメニス
カスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くなって
高速印字を妨げることとなっていた。
【0079】これに対して、本実施形態例では可動部材
31を設けたため、気泡40の体積Wを、可動部材31
の第1位置を境に上側をW1、気泡発生領域11側をW
2とした場合、消泡時に可動部材31が元の位置に戻っ
た時点で吐出口18のメニスカスの後退は止まり、その
後に残ったW2の体積分の液体供給は、主に第2流路1
6の流れVD2からの液供給によって成される。これに
より、従来、気泡Wの体積の半分程度に対応した量がメ
ニスカスの後退量になっていたのに対して、それより少
ないW1の半分程度のメニスカス後退量に抑えることが
可能になった。
【0080】さらに、W2の体積分の液体供給は、消泡
時の圧力を利用して可動部材31の発熱体2側の面に沿
って、主に第2液流路16の上流側(VD2)から強制
的に行うことができるため、より速いリフィルを実現で
きる。
【0081】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本実施形態例の高速リフィルにおいては、可
動部材によって吐出口側の第1液流路14の領域と、気
泡発生領域11との吐出口側での液体の流通が抑制され
るため、吐出口18におけるメニスカスの振動を極めて
少なくすることができることである。
【0082】このように、本発明は、第2の液流路16
の液供給路12を介しての発泡領域11への強制リフィ
ルと、上述したメニスカス後退や振動の抑制によって高
速リフィルを達成することで、吐出の安定や高速繰り返
し吐出、また記録の分野に用いた場合、画質の向上や高
速記録を実現することができる。
【0083】前述の構成においては、さらに次のような
有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生によ
る圧力の上流側Bへの伝搬(バック波)を抑制すること
である。発熱体2上で発生した気泡の内、共通液室側
(上流側B)の気泡による圧力は、その多くが、上流B
側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になってい
た。このバック波は、上流B側の圧力と、それによる液
移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これ
らは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の
妨げにもなっていた。本発明においては、まず、可動部
材31によって上流B側へのこれらの作用を抑えること
でもリフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0084】さらに、本実施形態例においては、第2の
液流路16は、発熱体2の上流に発熱体2と実質的に平
坦につながる(発熱体表面が大きく落ち込んでいない)
内壁を持つ液体供給路12を有している。このような場
合、気泡発生領域11および発熱体2の表面への液体の
供給は、可動部材31の気泡発生領域11に近い側の面
に沿って、VD2のように行われる。このため、発熱体
2の表面上に液体が淀むことが抑制され、液体中に溶存
していた気体の析出や、消泡できずに残ったいわゆる残
留気泡が除去され易く、また、液体への蓄熱が高くなり
すぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を
高速に繰り返し行うことができる。なお、本実施形態例
では実質的に平坦な内壁を持つ液体供給路12を持つも
ので説明したが、これに限らず、発熱体2の表面となだ
らかに繋がり、なだらかな内壁を有する液供給路であれ
ばよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の供給に大きな
乱流を生じない形状であればよい。
【0085】ところで、可動部材31の自由端32と支
点33の位置は、例えば、図1で示されるように、自由
端32が相対的に支点33より下流側にある。このよう
な構成のため、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向
や成長方向を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく
実現できるのである。さらに、この位置関係は、吐出に
対する機能や効果のみならず、液体の供給の際にも液流
路を流れる液体に対する流抵抗を小さくしでき、高速に
リフィルできるという効果を達成している。これは、図
6に示すように、吐出によって後退したメニスカスMが
毛管力により吐出口18へ復帰する際や、消泡に対して
の液供給が行われる場合に、液流路(第1液流路14、
第2液流路16を含む)内を流れる流れに対し、逆らわ
ないように自由端32と支点33とを配置しているため
である。
【0086】また、本実施形態例のヘッドは、2流路構
成をとったものであるので、吐出液と発泡液とを別液体
とし、発泡液の発泡で生じた圧力によって吐出液を吐出
することができる。このため従来、熱を加えても発泡が
十分に行われにくく吐出力が不十分であったポリエチレ
ングリコール等の高粘度の液体であっても、この液体を
第1の液流路に供給し、発泡液に発泡が良好に行われる
液体(エタノール:水=4:6の混合液1〜2cP程度
等)や低沸点の液体を第2の液流路に供給することで良
好に吐出させることができる。
【0087】また、発泡液として、熱を受けても発熱体
の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択すること
で、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができる。
【0088】また、加熱に弱い液体の場合においても、
この液体を第1の液流路に吐出液として供給し、第2の
液流路で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体を
供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えることな
く、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出す
ることができる。
【0089】本実施形態例では、可動部材により得られ
る作用効果をより向上するための重要な機能が付随して
いる。この重要な機能は、可動部材により隔てた各液流
路における液体の条件を検討したところ、新たな好まし
い条件を見いだしてなされたものである。この機能は、
可動部材を取り囲む液体の条件として画期的な環境を与
えることで、可動部材の挙動をより確実なものにするこ
とにある。このような機能を、主に図3および図4を参
照して、以下に説明する。
【0090】この重要な機能とは、第1の液流路14の
内圧と、第2の液流路16の内圧を場合に応じて異なら
せることを特徴とするものである。
【0091】前述のように、第1の液流路14と第2の
液流路16は、可動部材31の周辺のスリット35のみ
を介して連通している。図3に示すように、第1の液流
路14内の液体、すなわち、吐出液は、通常、吐出口1
8でのメニスカスMを保持できるように、吐出口18お
よびスリット35に負圧がかかるように、内圧(水頭
圧)を設定する。同様に、第2の液流路16内の液体、
すなわち、発泡液も、スリット35でメニスカスを保持
するように、内圧(水頭圧)を設定する。発泡液と吐出
液ともに負圧に保ち、スリット35でメニスカスを保持
するが、長時間そのままに放置しておくと、一方の液体
がスリット35から隣接した液流路へ流入(拡散)する
可能性がある。
【0092】特に、吐出液として、発熱体2の熱によっ
てコゲを生じやすい液体を用いなければならない場合、
この吐出液が第2の液流路16側に流入してしまうと、
発熱体2上でコゲが生じやすく、コゲが生じると、記録
のための安定した吐出が得られなくなる。
【0093】そこで、本実施形態例では、発泡液の水頭
圧を吐出液の水頭圧よりも常に高く設定することによ
り、特に印字中に、吐出液が発熱体2が存在する第2の
液流路16側に流入するのを防ぐ機能が付随している。
その具体的手段、すなわち、内圧制御手段の一例を図9
に示す。
【0094】この内圧制御手段500は、吐出液および
発泡液をそれぞれ貯蔵するタンク511および512
と、これらタンク511、512内の各液体をヘッド5
13に供給するチューブ514a、514bと、各タン
ク511および512をそれぞれ独立に昇降させるステ
ージ515および516とから構成されている。この構
成では、チューブ514a、514bと、昇降ステージ
515、516を用いることによって、タンク511、
512の高さ位置を変えることが可能となっており、チ
ューブ514a、514bは、タンク511、512の
高さ変位量に充分な長さを与えられている。タンク51
1、512の昇降手段は、特に限定されるものではない
が、本実施形態例でのように、駆動モータによって垂直
方向に移動する昇降ステージ515、516上にタンク
511、512を装着することにより、実現できる。
【0095】前述の昇降ステージ515、516の相対
的垂直位置は、発泡液側の水頭圧が吐出液側の水頭圧よ
り常に高くなるように、設定されている。特に印字中
は、発熱体2上に熱が加わっており、吐出液が第2の液
流路16側に流入すると、吐出液の組成によっては、発
熱体2上でコゲが発生し、吐出が不安定になったり、不
吐出になってしまう。そこで、本実施形態例では、印字
中の発泡液の水頭圧を正圧とするとともに、吐出液の水
頭圧を負圧にして、吐出液の第2の液流路16側への流
入を防ぐように設定する。このように発泡液の水頭圧を
吐出液の水頭圧より高くすることにより、発泡液が第1
の液流路14側に流入する可能性が生じるが、発泡液が
吐出液中に流入しても少量であるため、問題ない。ま
た、その程度の圧力差になるように、前記内圧制御手段
500を動作させる。
【0096】(実施形態例2)この実施形態例では、吐
出液として高粘度インクを用いること、そして、第1の
液流路14の水頭圧を第2の液流路16の水頭圧より高
く設定することに特徴があり、それ以外の構成、すなわ
ち、ヘッドの構造、内圧制御手段などの他の構成は、実
施形態例1と同様である。
【0097】吐出液として、高粘度インクを用いると、
吐出液の流れ抵抗が大きいので、その供給圧(水頭圧)
が低いと、吐出口18でメニスカスMを保持しにくい。
これに比べ、発泡液は低粘度で流路内を流れやすい。し
たがって、高粘度インクの供給圧を高くすることによ
り、常に安定した吐出液の供給を実現する。
【0098】(実施形態例3)この実施形態例では、図
10に示すように、第2の液流路16の高さ寸法hを第
1の液流路14の高さ寸法Hより小さくするとともに、
第2の液流路16の上流側に狭窄部19を形成し、さら
に第2の液流路16の水頭圧を第1の液流路の水頭圧よ
り高く設定することに特徴があり、それ以外の構成、す
なわち、ヘッドの構造、内圧制御手段などの他の構成
は、実施形態例1と同様である。
【0099】この構成によれば、発泡時の気泡および膨
張エネルギーは、狭窄部19により上流B側には阻止さ
れ、吐出口18方向に効率的に集束される。その結果、
記録開始時の吐出性能(発一性)が高められる。また、
第2の液流路16の水頭圧を高く設定しているので、狭
窄部19があるにも関わらず、消泡に伴う発泡液のリフ
ィルも好適に行うことができる。なお、狭窄部19は、
図10に示すように、流路の高さ方向に狭窄したもので
あってもよいし、後述のように流路の幅方向を競作した
ものであってもよい。
【0100】(実施形態例4)この実施形態例では、ヘ
ッド内の温度、好ましくは第1の液流路14内の温度を
検知する温度検知手段を設け(不図示)、これら温度検
知手段により測定されたヘッド内の温度に応じて各液流
路14、16内の水頭圧を設定することに特徴があり、
それ以外の構成、すなわち、ヘッドの構造、内圧制御手
段などの他の構成は、実施形態例1と同様である。
【0101】液体吐出ヘッドでは、駆動源として発熱体
2を用いているので、経時的にヘッド内の液体の温度が
変化する。また、他の要因で液体の温度が変化する場合
もある。温度変化が生じると、液体の粘度が変化する。
吐出液は比較的粘度が高く、その温度が低いと、吐出に
適当な粘度よりさらに高い粘度になってしまう。吐出液
が増粘すると、発一性が悪くなる場合がある。そこで、
本実施形態例におけるように、好ましくは第1の液流路
14内の温度を検知する温度検知手段を設け、その温度
情報に基づき、各液流路の相対的水頭圧を変化させ、発
一性を向上させる。具体的には、吐出液の粘度が適正値
の限界を越える時の温度T以下に、ヘッド内の温度tが
なった場合、前記内圧制御手段により、第1の液流路1
4の水頭圧P1 を第2の液流路16の水頭圧P2 より大
きく設定する。それ以外の場合は、吐出液が発熱体2側
に流入しないように、P1 <P2 とする。この時の制御
を、図11に示した流れ図により説明する。まず、例え
ば、液体吐出ヘッドの駆動と同期して前記温度検知手段
をONにし、第1の液流路14内の温度を検知する(S
1 )。検知温度(t)が、吐出液の粘度が適正値の限界
を越える時の温度T以下になっていたら(S2 )、前記
内圧制御手段により、第1の液流路14の出納圧P1
第2の液流路16の出納圧P2 以上に設定する
(S3 )。これにより、高粘度状態の吐出液の発一性を
向上させる。次に、例えば、液体吐出ヘッドの継続使用
に伴って検知温度(t)が前述の温度Tに等しいかそれ
以上になったら(S4 )、第1の液流路14の出納圧P
1 を第2の液流路16の出納圧P2 より小さく設定する
(S5 )。これにより、粘性が低下した吐出液が発熱体
2側に流入し、発熱体2上でのコゲ発生等により吐出力
が低下してしまうのを防止する。その後、ヘッドの駆動
が終了されるのに同期して、温度検知手段もOFFとな
る(S6 )。次に、再びヘッドが駆動されると、前述の
一連の制御動作が繰り返される。
【0102】(実施形態例5)この実施形態例では、図
12に示すように、第2の液流路16の両側壁16a、
16aの間隔を、可動部材31の投影領域において狭め
るとともに、可動部材31の可動側先端に位置する第2
の液流路16の壁部(不図示)も可動部材31側に張り
出したこと、この構成において、第1の液流路14の内
圧P1 を第2の液流路16の内圧P2 より大きく設定す
ることに特徴があり、それ以外の構成、すなわち、ヘッ
ドの構造、内圧制御手段などの他の構成は、実施形態例
1と同様である。
【0103】前記実施形態例1では、図13に示すよう
に、第1の液流路14と第2の液流路16とを隔ててい
る可動部材31は、周囲の側壁16aとの間にスリット
35が存在しており、このスリット35により第1の液
流路14と第2の液流路16とは連通していた。そし
て、本明細書では、この状態を実質密閉されていると、
表現した。実施形態例1で述べたように、この状態で
は、スリット35でメニスカスを保持するが、長時間そ
のままに放置しておくと、一方の液体がスリット35か
ら隣接した液流路へ流入(拡散)する可能性がある。特
に、吐出液として、発熱体2の熱によってコゲを生じや
すい液体を用いなければならない場合、この吐出液が第
2の液流路16側に流入してしまうと、発熱体2上でコ
ゲが生じやすく、コゲが生じると、記録のための安定し
た吐出が得られなくなる。そこで、前記実施形態例1で
は、発泡液の内圧を吐出液の内圧よりも常に高く設定す
ることにより、特に印字中に、吐出液が発熱体2が存在
する第2の液流路16側に流入するのを防いでいる。
【0104】これに対し、本実施形態例5では、非駆動
状態にある可動部材31は、第2の液流路16の側壁1
6aに密着しており、しかも、第1の液流路14の内圧
P1第2の液流路16の内圧P2 に設定されている。し
たがって、長時間ヘッドを放置した状態であっても、可
動部材31は、第2の液流路16のストッパの役割を果
たす側壁16aに密着し続け、第1の液流路14と第2
の液流路16との間を完全に密閉するので、ヘッド放置
時に吐出液が発熱体2側に流入するのを確実に防止する
ことになる。
【0105】なお、前記実施形態例では、内圧制御手段
として、水頭圧を制御する機構を説明したが、この他の
機構としては、各液供給流路内にそれぞれポンプを設
け、このポンプによって、各液流路の内圧を制御する構
成のものが、採用できる。
【0106】また、前記構成において、ヘッドの放置時
と駆動時とで、各液の供給圧(内圧)を変える必要があ
る場合は、ヘッドを移動させるキャリッジの駆動に伴
い、タンクの垂直位置を変えるようにすればよい。例え
ば、図14(a)(b)に示すように、それぞれの液体
容器(タンク)T1 およびT2 がそれぞれレールL1
よびL2 に接続されていて、レールL1 、L2 の高さ
が、ホームポジションHPと、印字領域PAとで異な
り、接続されているキャリッジの駆動により液体容器T
1 、T2 の高さが変わる構成とする。 (実施形態例6)本実施形態例6、および以下の実施形
態例7、8は、前述のように液体吐出ヘッドの第1の液
流路と第2の液流路とのそれぞれの内圧を異ならせるた
めの液体容器(タンク)について、説明するものであ
る。
【0107】図15に示すように、本実施形態例6の液
体容器700は、上下に一体に連設された第1の収容部
701と第2の収容部702とから構成されており、前
述の液体吐出ヘッドの上に一体的に設置されている。前
記第1の収容部701は、液体吐出ヘッドの第1の液流
路14に接続され、吐出液が貯留されている。また、前
記第2の収容部702は、液体吐出ヘッドの第2の液流
路16に接続され、発泡液が貯留されている。
【0108】この図では、第2の収容部702が第1の
収容部701の上に位置しており、第2の液流路16内
の液体(発泡液)の水頭圧P2 が、第1の液流路14内
の液体(吐出液)の水頭圧P1 より大とする条件を、固
定的に実現する場合に対応している。ただし、第1の収
容部と第2の収容部との上下関係だけでなく、各収容部
の大きさの違いで負圧差を発生させても良い。水頭圧を
逆に設定したい場合では、前記第1の収容部701と第
2の収容部702との上下位置を逆に設定すればよい。
なお、この図15の形態は、液体吐出ヘッドと液体容器
とが一体に形成したインクカートリッジを構成してい
る。
【0109】(実施形態例7)図16に示す液体容器7
10は、前記実施形態例6と異なり、液体吐出ヘッドと
別体に設置する場合のもので、第1の収容部711と第
2の収容部712とは上下に一体に配置されている。こ
の液体容器710においては、それぞれの収容部71
1、712にそれぞれ接続口711a、712aが形成
されており、チューブを介して液体吐出ヘッドの各液流
路に連通される。この容器710では、各収容部を上下
に配置させることで、連通した各液流路内の液体の圧力
を異ならせる。
【0110】(実施形態例8)図17に示す液体容器7
20は、同様に前記実施形態例6と異なり、液体吐出ヘ
ッドと別体に設置する場合のもので、第1の収容部72
1と第2の収容部722とは同一水平位置に一体に配置
されており、その内容積が異なっている。図では、第1
の収容部721の内容積が第2の収容部722の内容積
より大となっている。この液体容器710においては、
それぞれの収容部721、722にそれぞれ接続口72
1a、722aが形成されており、チューブを介して液
体吐出ヘッドの各液流路に連通される。この容器720
では、各収容部における液体貯留量を異ならせること
で、連通した各液流路内の液体の圧力を異ならせる。
【0111】(実施形態例9)図18は、本発明にかか
るヘッドカートリッジの一例を示す斜視図である。この
ヘッドカートリッジでは、前記実施形態例8に説明した
形態の液体容器720を、液体吐出ヘッド201に一体
に組み付けたものである。
【0112】<その他の実施形態例>以上、本発明の液
体吐出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施形態例につい
て説明を行ったが、以下にこれらの実施形態例に好まし
く適用できる実施態様例について図面を用いて説明す
る。但し、以下の説明においては前述の1流路形態の実
施形態例と2流路形態の実施形態例のいずれかを取り上
げて説明する場合があるが特に記載しない限り、両実施
形態例に適用しうるものである。
【0113】<液流路の天井形状>図19は、本発明の
液体吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第1の液流
路14を構成するための溝が設けられた溝付き部材50
が分離壁30上に設けられている。本実施形態例におい
ては可動部材31の自由端32位置近傍の流路天井の高
さが高くなっており、可動部材の動作角度θをより大き
く取れるようにしている。この可動部材の動作範囲は、
液流路の構造、可動部材31の耐久性や発泡力等を考慮
して決定すればよいが、吐出口18の軸方向の角度を含
む角度まで動作することが望ましいと考えられる。
【0114】また、この図で示されるように、吐出口1
8の直径より可動部材31の自由端の変位高さを高くす
ることで、より十分な吐出力の伝達が成される。また、
この図で示されるように、可動部材31の自由端32位
置の液流路天井の高さより可動部材31の支点33位置
の液流路天井の高さの方が低くなっているため、可動部
材31の変位よる上流側への圧力波の逃げがさらに有効
に防止できる。
【0115】<第2液流路と可動部材との配置関係>図
20は、上述の可動部材31と第2の液流路16との配
置関係を説明するための図であり、同図(a)は分離壁
30、可動部材31近傍を上方から見た図であり、同図
(b)は、分離壁30を外した第2液流路16を上方か
ら見た図である。そして、同図(c)は、可動部材6と
第2液流路16との配置関係を、これらの各要素を重ね
ることで模式的に示した図である。なお、いずれの図も
図面下方が吐出口が配されている前面側である。
【0116】本実施形態例の第2の液流路16は発熱体
2の上流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発
熱体位置、可動部材、第1流路を経て吐出口に向う大き
な流れの中の上流側のことである。)に狭窄部19を持
っており、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容
易に逃げることを抑制するような室(発泡室)構造とな
っている。
【0117】従来のヘッドのように、発泡する流路と液
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側
に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を
設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮し
て、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない
構成を採る必要があった。
【0118】しかし、本実施形態例の場合、吐出される
液体の多くを第1液流路内の吐出液とすることができ、
発熱体が設けられた第2液流路内の発泡液はあまり消費
されないようにできるため、第2液流路の気泡発生領域
11への発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上述
の狭窄部19における間隔を数μm〜十数μmと非常に
狭くできるため、第2液流路で発生した発泡時の圧力を
周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中して可動部材
31側に向けることができる。そして、この圧力を可動
部材31を介して吐出力として利用することができるた
め、より高い吐出効率、吐出力を達成することができ
る。ただ、第1液流路16の形状は上述の構造に限られ
るものではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的に可動部
材31側に伝えられる形状であれば良い。このような狭
窄部19を持つ構成と、各液流路14と16の内圧制御
との関係は、前述の実施形態例3に説明したようにする
ことにより、可動部材31の機能をより確実なものにす
ることができる。
【0119】なお、図20(c)で示されるように可動
部材31の側方は、第2液流路を構成する壁の一部を覆
っており、このことで、可動部材31の第2液流路への
落ち込みが防止できる。これによって、前述した吐出液
と発泡液との分離性をさらに高めることができる。ま
た、気泡のスリットからの逃げの抑制ができるため、さ
らに吐出圧や吐出効率を高めることができる。さらに、
前述の消泡時の圧力による上流側からのリフィルの効果
を高めることができる。
【0120】なお、図4や図19においては、可動部材
31の第1の液流路14側への変位に伴って第2の液流
路16の気泡発生領域で発生した気泡の一部が第1の液
流路14側に延在しているが、この様に気泡が延在する
ような第2流路の高さにすることで、気泡が延在しない
場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。この
様に気泡が第1の液流路14に延在するようにするため
には、第2の液流路16の高さを最大気泡の高さより低
くすることが望ましく、この高さを数μm〜30μmと
することが望ましい。なお、本実施形態例においてはこ
の高さを15μmとした。
【0121】<可動部材および分離壁>図21は、可動
部材31の他の形状を示すもので、35は、分離壁に設
けられたスリットであり、このスリットによって、可動
部材31が形成されている。同図(a)は長方形の形状
であり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部
材の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が広
くなっており、可動部材の耐久性が向上する形状であ
る。動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図20
(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭くなっ
ている形態が望ましいが、可動部材の形状は第2の液流
路側に入り込むことがなく、容易に動作可能な形状で、
耐久性に優れた形状であればよい。
【0122】先の実施形態例においては、板状可動部材
31をおよびこの可動部材を有する分離壁5は、厚さ5
μmのニッケルで構成したが、これに限られることなく
可動部材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出
液に対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作
するための弾性を有し、微細なスリットが形成できるも
のであればよい。
【0123】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラ
ミックおよびその化合物が望ましい。
【0124】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリ
イミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の
近年のエンジニアリングプラスチックに代表される耐熱
性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびその化合
物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケル、
金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、もし
くは表面にチタンや金をコーティングしたものが望まし
い。
【0125】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作するという観
点からその材質と形状等を考慮して決定すればよいが、
0.5μm〜10μm程度が望ましい。
【0126】本発明における可動部材としてはμmオー
ダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダー
の厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚
さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(W
μm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考
慮することが望ましい。
【0127】スリットを形成する可動部材の自由端ある
いは/かつ側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚み
と同等の場合(図3、図4、図19等)、スリット幅と
厚みの関係を製造のバラツキを考慮して以下のような範
囲にすることで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制す
ることができる。このことは限られた条件ではあるが設
計上の観点として、3cP以下の粘度の発泡液に対して
高粘度インク(5cP、10cP等)を用いる場合、W
/t≦1を満足するようにすることで、2液の混合を長
期にわたって抑制することが可能な構成となった。本発
明の「実質的な密閉状態」を与えるスリットとしては、
このような数μmオーダであればより確実である。
【0128】<素子基板>以下に、液体に熱を与えるた
めの発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0129】図22は、本発明の液体吐出ヘッドの縦断
面図を示したもので、図22(a)は後述する保護膜が
あるヘッド、同図(b)は保護膜がないものである。
【0130】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0131】素子基板1には、シリコン等の気体107
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2 )、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウ
ム等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図11のよ
うにパターニングされている。この2つの配線電極10
4から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流
し発熱させる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコ
ンやチッ化シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚
で形成し、さらにそのうえにタンタル等の耐キャビテー
ション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、
インク等の各種の液体から抵抗層105を保護してい
る。
【0132】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層として用いられる。
【0133】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよく
その例を図22(b)に示す。このような保護層を必要
としない抵抗層の材料としてはイリジュウム−タンタル
−アルミ合金等が挙げられる。
【0134】このように、前述の各実施形態例における
発熱体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱
部)だけででもよく、また、抵抗層を保護する保護層を
含むものでもよい。
【0135】本実施形態例においては、発熱体として電
気信号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有
するものを用いたが、これに限られることなく、吐出液
を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるもの
であればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受
けることで発熱するような光熱変換体や高周波を受ける
ことで発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0136】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層に電気信号を供
給するための配線電極104で構成される電気熱変換体
の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するための
トランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ等
の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込ま
れていてもよい。
【0137】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図23で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
形態例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パル
ス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHz
で加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作に
よって、吐出口から液体であるインクを吐出させた。し
かしながら、駆動信号の条件はこれに限られることな
く、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号で
あればよい。
【0138】<2流路構成のヘッド構造>以下に、第
1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入
でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする
液体吐出ヘッドの構造例について説明する。
【0139】図24は、このような液体吐出ヘッドの構
造を示す模式図、図25は、分解斜視図(オリフィスプ
レートは除く)であり、先の実施形態例と同じ構成要素
については同じ符号を用いており、詳しい説明はここで
は省略する。
【0140】本実施形態例においては、溝付き部材50
は、吐出口18を有するオリフィスプレート51と、複
数の第1液流路14を構成する複数の溝と、複数の液流
路14に共通して連通し、各第1の液流路3に液体(吐
出液)を供給するための第1の共通液室15を構成する
凹部とから概略構成されている。
【0141】この溝付部材50の下側部分に分離壁30
を接合することにより複数の第1液流路14を形成する
ことができる。このような溝付部材50は、その上部か
ら第1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を
有している。また、溝付部材50は、その上部から分離
壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2
の液体供給路21を有している。
【0142】第1の液体(吐出液)は、図24の矢印C
で示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通
液室15、次いで第1の液流路14に供給され、第2の
液体(発泡液)は、図24の矢印Dで示すように、第2
液体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで第2
液流路16に供給されるようになっている。
【0143】本実施形態例では、第2液体供給路21
は、第1液体供給路20と平行して配されているが、こ
れに限ることはなく、第1共通液室15の外側に配され
た分離壁30を貫通して、第2共通液室17に連通する
ように形成されればどのように配されてもよい。
【0144】また、第2液体供給路21の太さ(直径)
に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。
第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、
矩形状等でもよい。
【0145】また、第2共通液室17は、溝付部材50
を分離壁30で仕切ることによって形成することができ
る。形成の方法としては、図25で示す本実施形態例の
分解斜視図のように、素子基板上にドライフィルムで共
通液室枠と第2液路壁を形成し、分離壁を固定した溝付
部材50と分離壁30との結合体と素子基板1とを貼り
合わせることにより第2共通液室17や第2液流路16
を形成してもよい。
【0146】本実施形態例では、アルミニュウム等の金
属で形成された支持体70上に、前述のように、発泡液
に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生
する発熱体としての電気熱変換素子が複数設けられた素
子基板1が配されている。
【0147】この素子基板1上には、第2液路壁により
形成された液流路16を構成する複数の溝と、複数の発
泡液流路に連通し、それぞれの発泡液路に発泡液を供給
するための第2共通液室(共通発泡液室)17を構成す
る凹部と、前述した可動壁31が設けられた分離壁30
とが配されている。
【0148】符号50は、溝付部材である。この溝付部
材は、分離壁30と接合されることで吐出液流路(第1
液流路)14を構成する溝と、吐出液流路に連通し、そ
れぞれの吐出液流路に吐出液を供給するための第1の共
通液室(共通吐出液室)15を構成するための凹部と、
第1共通液室に吐出液を供給するための第1供給路(吐
出液供給路)20と、第2の共通液室17に発泡液を供
給するための第2の供給路(発泡液供給路)21とを有
している。第2の供給路21は、第1の共通液室15の
外側に配された分離壁30を貫通して第2の共通液室1
7に連通する連通路に繋がっており、この連通路によっ
て吐出液と混合することなく発泡液を第2の共通液室1
5に供給することができる。
【0149】なお、素子基板1、分離壁30、溝付天板
50の配置関係は、素子基板1の発熱体に対応して可動
部材31が配置されており、この可動部材31に対応し
て吐出液流路14が配されている。また、本実施形態例
では、第2の供給路を1つ溝付部材に配した例を示した
が、供給量に応じて複数設けてもよい。さらに吐出液供
給路20と発泡液供給路21の流路断面積は供給量に比
例して決めればよい。
【0150】このような流路断面積の最適化により溝付
部材50等を構成する部品をより小型化することも可能
である。
【0151】以上説明したように本実施形態例によれ
ば、第2液流路に第2液体を供給する第2の供給路と、
第1液流路に第1液体を供給する第1の供給路とが同一
の溝付部材としての溝付天板からなることにより部品点
数が削減でき、工程の短縮化とコストダウンが可能とな
る。
【0152】また、第2液流路に連通した第2の共通液
室への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体を分離
する分離壁を突き抜ける方向で第2液流路によって行な
われる構造であるため、前記分離壁と溝付部材と発熱体
形成基板との貼り合わせ工程が1度で済み、作りやすさ
が向上すると共に、貼り合わせ精度が向上し、良好に吐
出することができる。
【0153】また、第2液体は、分離壁を突き抜けて第
2液体共通液室へ供給されるため、第2液流路に第2液
体の供給が確実となり、供給量が十分確保できるため、
安定した吐出が可能となる。
【0154】<吐出液体、発泡液体>先の実施形態例で
説明したように本発明においては、前述のような可動部
材を有する構成およい各液流路の内圧の相対値の制御に
よって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い吐出力や吐出
効率でしかも高速に液体を吐出することができる。本実
施形態例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を用いる場
合には、発熱体から加えられる熱によって劣化せずに、
また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにくく、熱に
よって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うことが可能で
あり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣化させな
い液体であれば種々の液体を用いることができる。
【0155】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0156】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0157】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0158】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0159】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0160】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができる記録液体として、以下のような組
成のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によ
ってインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精
度が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
【0161】 染料インク(粘度2cP)の組成 (C.I.フードブラック2)染料 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量% また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を
組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来
のヘッドでは吐出が困難であった十数cP粘度の液体は
もちろん150cPという非常に高い粘度の液体でさえ
も良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができ
た。
【0162】 発泡液1の組成 エタノール 40重量% 水 60重量% 発泡液2の組成 水 100重量% 発泡液3の組成 イソプロピルアルコール 10重量% 水 90重量% 吐出液1顔料インク(粘度約15cP)の組成 カーボンブラック 5重量% スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 1重量% (酸価140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25重量% グリセリン 69重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 16.75重量% 吐出液2(粘度55cP)の組成 ポリエチレングリコール200 100重量% 吐出液3(粘度150cP)の組成 ポリエチレングリコール600 100重量% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこ
れらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上
述の実施形態例の構成においては、気泡の発生を発泡液
を用いることで充分に、しかも安定して行うことができ
る。このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の
安定化を図ることができ記録画像品位を著しく向上する
ことができた。
【0163】<液体吐出装置>図26は、前述の液体吐
出ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では特に吐出液体としてインクを用いたイ
ンク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置のキャ
リッジHCは、前述の液体吐出ヘッド513と内圧制御
手段500を搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送
される記録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動
する。
【0164】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0165】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113、キャリッジ
軸115等を有している。この記録装置及びこの記録装
置で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対
して液体を吐出することで良好な画像の記録物を得るこ
とができた。
【0166】図27は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0167】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0168】またCPU302は前記画像データを記録
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モー
タを駆動するための駆動データを作る。画像データおよ
びモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、
モータドライバ305を介し、ヘッド308および駆動
モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミン
グで駆動され画像を形成する。
【0169】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0170】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0171】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液
としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体
を用いればよい。
【0172】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0173】図28は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した
長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルラ
イン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ
(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定の
間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0174】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0175】各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,
Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜204dのイ
ンク容器から供給されている。なお、符号204eは発
泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘ
ッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0176】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0177】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0178】本実施例のインクジェット記録システムに
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置251および後処理装置252を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
【0179】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0180】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0181】なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラ
インヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述し
たような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して
記録を行う形態のものであってもよい。
【0182】
【発明の効果】上述したような、可動部材を用いる新規
な吐出原理に基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等に
よると、発生する気泡とこれによって変位する可動部材
との相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効
率よく吐出できるため、従来のバブルジェット方式の吐
出方法、ヘッド等に比べて吐出効率を向上できる。
【0183】また、この発明の特徴的な構成、すなわ
ち、可動部材により互いに隔てられた第1の液流路と第
2の液流路の内圧を互いに異ならせる構成によれば、高
粘度インクの安定供給を可能にし、気泡を発生する液体
の充填(リフィル)を向上させることができ、可動部材
により上下に隔てられた上下の液体の非駆動時における
混液を防止でき、記録開始時の吐出性能(発一性とい
う)が向上でき、駆動中の発熱体に吐出液体が可動部材
を越えて流入するのを防止できる(その結果、発熱体上
に経時的に焦げが発生することがなくなる)。
【0184】また、低温や低湿で長期放置を行った場合
であっても不吐出になることを防止でき、仮に不吐出に
なっても予備吐出や吸引回復といった回復処理をわずか
に行うだけで正常状態に即座に復帰できる利点もある。
これに伴い、回復時間の短縮や回復による液体の損失を
低減でき、ランニングコストも大幅に下げることが可能
である。
【0185】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0186】また、2流路構成のヘッドにおいて発泡液
として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物(こ
げ等)が生じにくい液体を用いることで、吐出液の選択
の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液体、発
熱体上に体積物を生じやすい液体等、従来のバブルジェ
ット吐出方法で吐出することが困難であった液体につい
ても良好に吐出することができた。
【0187】さらに熱に弱い液体等も、この液体に熱に
よる悪影響を与えず吐出することができた。
【0188】また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法
によると、上述のような液体吐出ヘッドを精度良く製造
でき、また部品点数を少なく、安価に、しかも容易に製
造することができる。
【0189】また、本発明の液体吐出ヘッドを記録用の
液体吐出記録ヘッドとして用いることで、さらに高画質
な記録を達成することができた。
【0190】また、本発明の液体吐出ヘッドを用い、液
体の吐出効率等がさらに向上した液体吐出装置や記録シ
ステム等を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一例を示す模式断面
図である。
【図2】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であ
る。
【図3】本発明のヘッドにおける動作を示す模式断面図
である。
【図4】本発明のヘッドにおける動作を示す模式断面図
である。
【図5】本発明のヘッドにおける動作を示す模式断面図
である。
【図6】本発明のヘッドにおける動作を示す模式断面図
である。
【図7】従来のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を示
す模式図である。
【図8】本発明のヘッドにおける気泡からの圧力伝搬を
示す模式図である。
【図9】本発明の液体吐出ヘッドに用いられる内圧制御
手段の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態例を示
す模式断面図である。
【図11】本発明の液体吐出方法の一実施形態例の制御
フロー図である。
【図12】本発明の液体吐出ヘッドの他の実施形態例を
示す要部の模式断面図である。
【図13】本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態例を示
す模式断面図である。
【図14】本発明の液体吐出ヘッドにおける各液流路の
内圧を液体容器の水平位置の変化により変える一例を示
す模式図であり、(a)正面模式図、(b)は平面模式
図である。
【図15】液体吐出ヘッドの各液流路の内圧を異ならせ
るための液体容器を液体吐出ヘッドに一体に設けた場合
の断面模式図である。
【図16】液体吐出ヘッドと別体とするとともに、各液
体の収容部の水平位置の差により内圧差を生じさせる形
態の液体容器の斜視図である。
【図17】液体吐出ヘッドと別体とするとともに、各液
体の収容部の貯留量の差により内圧差を生じさせる形態
の液体容器の斜視図である。
【図18】図17の形態の液体容器を液体吐出ヘッドの
一体に組み付けてなるヘッドカートリッジの斜視図であ
る。
【図19】可動部材と第1液流路の構造を説明するため
の図である。
【図20】可動部材と液流路の構造を説明するための図
である。
【図21】可動部材の他の形状を説明するための図であ
る。
【図22】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図である。
【図23】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図24】本発明の液体吐出ヘッドの供給路を説明する
ための断面図である。
【図25】本発明のヘッドの分解斜視図である。
【図26】液体吐出装置の斜視図である。
【図27】液体吐出記録装置のブロック図である。
【図28】液体吐出記録システムを示す図である。
【図29】従来の液体吐出ヘッドの液流路構造を説明す
るための図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱体 3 面積中心 10 液流路 11 気泡発生領域 12 供給路 13 共通液室 14 第1液流路 15 第1共通液室 16 第2液流路 16a 側壁 17 第2共通液室 18 吐出口 19 狭窄部 20 第1供給路 21 第2供給路 22 第1液流路壁 23 第2液流路壁 24 凸部 30 分離壁 31 可動部材 32 自由端 33 支点 34 支持部材 35 スリット 40 気泡 50 溝付き部材 51 オリフィスプレート 70 支持体 78 ばね 80 供給部材 500 内圧制御手段 511、512 タンク 513 ヘッド 514a、514b チューブ 515、516 昇降ステージ 700、710、720 液体容器 701、711、721 液体容器の第1の収容部 702、712、722 液体容器の第2の収容部 711a、712a、721a、722a 接続口 T1 、T2 液体容器 L1 、L2 レール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉平 文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 岡崎 猛史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−31918(JP,A) 特開 平6−79884(JP,A) 特開 平6−71887(JP,A) 特開 平6−226963(JP,A) 実開 平2−133341(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/05 B41J 2/125 B41J 2/175

Claims (47)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出口に連通する第1の液流路と、気泡
    発生領域を有する第2の液流路と、前記吐出口側に自由
    端を有し前記第1の液流路と前記気泡発生領域との間に
    配された可動部材とを有するヘッドを用い、前記気泡発
    生領域に気泡を発生させ、該気泡の発生による圧力に基
    づいて前記可動部材の自由端を前記第1の液流路側に変
    位させ、該可動部材の変位によって前記圧力を前記第1
    の液流路の吐出口側に導くことで液体を吐出する液体吐
    出方法であって、 前記第1の液流路の内圧と、前記第2の液流路の内圧と
    を異ならせることを特徴とする液体吐出方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の液流路に供給される液体が第
    2の液流路に供給される液体より高粘度であり、該第1
    の液流路の内圧を前記第2の液流路の内圧より大とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
  3. 【請求項3】 前記第1の液流路の高さ寸法を前記第2
    の液流路の高さ寸法より大きく設定し、前記第2の液流
    路の内圧を前記第1の液流路の内圧より大とすることを
    特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の液流路の温度と前記第2の液
    流路の温度とを検知し、それぞれの温度に基づいて前記
    第1の液流路の内圧と前記第2の液流路の内圧を設定す
    ることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の液流路の前記可動部材が位置
    する部分の両側壁間隔を前記可動部材の幅寸法より狭め
    て置き、前記第1の液流路の内圧を前記第2の液流路の
    内圧より大として、非駆動時にある可動部材が前記第1
    の液流路と第2の液流路とを密閉状態に置くことを特徴
    とする請求項1に記載の液体吐出方法。
  6. 【請求項6】 非駆動時の前記可動部材の周囲には、ス
    リット間隙が存在し、前記第2の液流路の内圧を第1の
    液流路の内圧より大に設定し、非駆動時における第1の
    液流路内の液体の第2の液流路内への流入を防止するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
  7. 【請求項7】 吐出口に連通した第1の液流路と、液体
    に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発生
    領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前記
    気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有
    し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基
    づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記
    圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材とを
    有する液体吐出ヘッドであって、 前記第1の液流路の内圧と、前記第2の液流路の内圧と
    が異なっていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第1の液流路の内圧と前記第2の液
    流路の内圧とは、内圧制御手段により異なるように設定
    されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出
    ヘッド。
  9. 【請求項9】 液体を吐出するための複数の吐出口と、
    それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第1の
    液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第1の
    液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構成す
    る凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体に熱を与
    えることで液体に気泡を発生させるための複数の発熱体
    が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素子基板と
    の間に配され、前記発熱体に対応した第2の液流路の壁
    の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した位置に前
    記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の液流路側
    に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有する液体
    吐出ヘッドであって、 前記第1の液流路の内圧と、前記第2の液流路の内圧と
    が異なっていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記第1の液流路の内圧と前記第2の
    液流路の内圧とは、内圧制御手段により異なるように設
    定されていることを特徴とする請求項9に記載の液体吐
    出ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記第1の液流路に供給される液体が
    前記第2の液流路に供給される液体より高粘度であり、
    前記内圧制御手段は前記第1の液流路の内圧を前記第2
    の液流路の内圧より大とすることを特徴とする請求項8
    または10に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記第1の液流路の高さ寸法が前記第
    2の液流路の高さ寸法より大きく設定され、前記内圧制
    御手段は前記第2の液流路の内圧を前記第1の液流路の
    内圧より大とすることを特徴とする請求項8または10
    に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 前記第1の液流路の温度と前記第2の
    液流路の温度とを検知する温度検知手段を有し、前記内
    圧制御手段は、前記温度検知手段により得た前記それぞ
    れの液流路の温度に基づいて、前記第1の液流路の内圧
    と前記第2の液流路の内圧を設定することを特徴とする
    請求項8または10に記載の液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記第2の液流路の前記可動部材が位
    置する部分の両側壁間隔が前記可動部材の幅寸法より狭
    められており、前記内圧制御手段は、前記第1の液流路
    の内圧を前記第2の液流路の内圧より大に設定して、非
    駆動時にある可動部材が前記第1の液流路と第2の液流
    路とを密閉状態に置いていることを特徴とする請求項8
    または10に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 非駆動時の前記可動部材の周囲には、
    スリット間隙が存在しており、前記内圧制御手段は、前
    記第2の液流路の内圧を第1の液流路の内圧より大に設
    定し、非駆動時における第1の液流路内の液体の第2の
    液流路内への流入を防止していることを特徴とする請求
    項8または10に記載の液体吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記内圧制御手段は、前記各液流路へ
    の液体供給路にそれぞれ設けられたポンプにより構成さ
    れていることを特徴とする請求項8または10に記載の
    液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 吐出口に連通した第1の液流路と、液
    体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発
    生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前
    記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有
    し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基
    づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記
    圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材とを
    有する液体吐出ヘッドと、 前記第1の液流路の内圧と、前記第2の液流路の内圧と
    を異ならせる内圧制御手段と、を有することを特徴とす
    る液体吐出装置。
  18. 【請求項18】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第
    1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第
    1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構
    成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体に熱
    を与えることで液体に気泡を発生させるための複数の発
    熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素子基
    板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液流路
    の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した位置
    に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の液流
    路側に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有する
    液体吐出ヘッドと、 前記第1の液流路の内圧と、前記第2の液流路の内圧と
    を異ならせる内圧制御手段と、を有することを特徴とす
    る液体吐出装置。
  19. 【請求項19】 前記液体吐出ヘッドの第1の液流路に
    供給される液体が前記第2の液流路に供給される液体よ
    り高粘度であり、前記内圧制御手段は前記第1の液流路
    の内圧を前記第2の液流路の内圧より大とすることを特
    徴とする請求項17または18に記載の液体吐出装置。
  20. 【請求項20】 前記液体吐出ヘッドの第1の液流路の
    高さ寸法が前記第2の液流路の高さ寸法より大きく設定
    され、前記内圧制御手段は前記第2の液流路の内圧を前
    記第1の液流路の内圧より大とすることを特徴とする請
    求項17または18に記載の液体吐出装置。
  21. 【請求項21】 前記液体吐出ヘッドの第1の液流路の
    温度と前記第2の液流路の温度とを検知する温度検知手
    段を有し、前記内圧制御手段は、前記温度検知手段によ
    り得た前記それぞれの液流路の温度に基づいて、前記第
    1の液流路の内圧と前記第2の液流路の内圧を設定する
    ことを特徴とする請求項17または18に記載の液体吐
    出装置。
  22. 【請求項22】 前記液体吐出ヘッドの第2の液流路の
    前記可動部材が位置する部分の両側壁間隔が前記可動部
    材の幅寸法より狭められており、前記内圧制御手段は、
    前記第1の液流路の内圧を前記第2の液流路の内圧より
    大に設定して、非駆動時にある可動部材が前記第1の液
    流路と第2の液流路とを密閉状態に置いていることを特
    徴とする請求項17または18に記載の液体吐出装置。
  23. 【請求項23】 非駆動時の前記液体吐出ヘッドの可動
    部材の周囲には、スリット間隙が存在しており、前記内
    圧制御手段は、前記第2の液流路の内圧を第1の液流路
    の内圧より大に設定し、非駆動時における第1の液流路
    内の液体の第2の液流路内への流入を防止していること
    を特徴とする請求項17または18に記載の液体吐出装
    置。
  24. 【請求項24】 前記内圧制御手段は、前記各液流路に
    それぞれチューブを介して連結されている液体タンク
    と、これらタンクをそれぞれ載置させて独立に上下動さ
    せる昇降ステージとから構成されていることを特徴とす
    る請求項17または18に記載の液体吐出装置。
  25. 【請求項25】 前記内圧制御手段は、前記各液流路へ
    の液体供給路にそれぞれ設けられたポンプにより構成さ
    れていることを特徴とする請求項17または18に記載
    の液体吐出装置。
  26. 【請求項26】 前記液体吐出ヘッドから液体を吐出さ
    せるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段を、さ
    らに有することを特徴とする請求項17ないし25のい
    ずれかに記載の液体吐出装置。
  27. 【請求項27】 前記液体吐出ヘッドから吐出された液
    体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
    を、さらに有することを特徴とする請求項17ないし2
    6のいずれかに記載の液体吐出装置。
  28. 【請求項28】 請求項26若しくは請求項27に記載
    の液体吐出装置と、記録後の被記録媒体に対して、前記
    液体の定着を促す後処理装置と、を有することを特徴と
    する記録システム。
  29. 【請求項29】 請求項26若しくは請求項27に記載
    の液体吐出装置と、記録前の被記録媒体に対して、前記
    液体の定着を増すための前処理装置と、を有することを
    特徴とする記録システム。
  30. 【請求項30】 吐出口に連通した第1の液流路と、液
    体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発
    生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前
    記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有
    し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基
    づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記
    圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材とを
    有する液体吐出ヘッドに用いられる液体容器であって、 前記第1の液流路に供給される第1の液体を収容する第
    1の収容部と、前記第2の液流路に供給される第2の液
    体を収容する第2の収容部とを有し、 前記第1の収容部および第2の収容部から前記第1の液
    流路および第2の液流路に供給する各液体の供給圧が異
    なっていることを特徴とする液体容器。
  31. 【請求項31】 前記第1の収容部と第2の収容部とが
    互いに上下に配置されていることを特徴とする請求項3
    0に記載の液体容器。
  32. 【請求項32】 前記第1の収容部の内圧と第2の収容
    部の内圧とが互いに異なっていることを特徴とする請求
    項30に記載の液体容器。
  33. 【請求項33】 前記第1の収容部の内容積と第2の収
    容部の内容積とが互いに異なっていることを特徴とする
    請求項30に記載の液体容器。
  34. 【請求項34】 前記第1の収容部と第2の収容部とが
    一体であることを特徴とする請求項30に記載の液体容
    器。
  35. 【請求項35】 前記第1の収容部と第2の収容部とは
    別体であることを特徴とする請求項30に記載の液体容
    器。
  36. 【請求項36】 吐出口に連通した第1の液流路と、液
    体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡発
    生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流路と前
    記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由端を有
    し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧力に基
    づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させて前記
    圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部材とを
    有する液体吐出ヘッドと、 前記第1の液流路に供給される第1の液体を収容する第
    1の収容部と、前記第2の液流路に供給される第2の液
    体を収容する第2の収容部とを有し、前記第1の収容部
    および第2の収容部から前記第1の液流路および第2の
    液流路に供給する各液体の供給圧が異なっている液体容
    器と、を有することを特徴とするヘッドカートリッジ。
  37. 【請求項37】 前記液体容器の第1の収容部と第2の
    収容部とが互いに上下に配置されていることを特徴とす
    る請求項36に記載のヘッドカートリッジ。
  38. 【請求項38】 前記液体容器の第1の収容部の内圧と
    第2の収容部の内圧とが互いに異なっていることを特徴
    とする請求項36に記載のヘッドカートリッジ。
  39. 【請求項39】 前記液体容器の第1の収容部の内容積
    と第2の収容部の内容積とが互いに異なっていることを
    特徴とする請求項36に記載のヘッドカートリッジ。
  40. 【請求項40】 前記第1の収容部と第2の収容部とが
    一体であることを特徴とする請求項36に記載のヘッド
    カートリッジ。
  41. 【請求項41】 前記第1の収容部と第2の収容部とは
    別体であることを特徴とする請求項36に記載のヘッド
    カートリッジ。
  42. 【請求項42】 吐出口に連通する第1の液流路と、気
    泡発生領域を有する第2の液流路と、前記吐出口側に自
    由端を有し前記第1の液流路と前記気泡発生領域との間
    に配された可動部材とを有するヘッドを用い、 前記気泡発生領域に気泡を発生させ、該気泡の発生によ
    る圧力に基づいて前記可動部材の自由端を前記第1の液
    流路に変位させ、該可動部材の変位によって前記圧力を
    前記第1の液流路の吐出口側に導くことで記録液体を吐
    出する液体吐出記録方法であって、 前記第1の液流路の内圧と、前記第2の液流路の内圧と
    を異ならせることを特徴とする液体吐出記録方法。
  43. 【請求項43】 前記第1の液流路に供給される液体が
    高粘度であり、該第1の液流路の内圧を前記第2の液流
    路の内圧より大とすることを特徴とする請求項42に記
    載の液体吐出記録方法。
  44. 【請求項44】 前記第1の液流路の高さ寸法を前記第
    2の液流路の高さ寸法より大きく設定し、前記第2の液
    流路の内圧を前記第1の液流路の内圧より大とすること
    を特徴とする請求項42に記載の液体吐出記録方法。
  45. 【請求項45】 前記第1の液流路の温度と前記第2の
    液流路の温度とを検知し、それぞれの温度に基づいて前
    記第1の液流路の内圧と前記第2の液流路の内圧を設定
    することを特徴とする請求項42に記載の液体吐出記録
    方法。
  46. 【請求項46】 前記第2の液流路の前記可動部材が位
    置する部分の両側壁間隔を前記可動部材の幅寸法より狭
    めて置き、前記第1の液流路の内圧を前記第2の液流路
    の内圧より大として、非駆動時にある可動部材が前記第
    1の液流路と第2の液流路とを密閉状態に置くことを特
    徴とする請求項42に記載の液体吐出記録方法。
  47. 【請求項47】 非駆動時の前記可動部材の周囲には、
    スリット間隙が存在し、前記第2の液流路の内圧を第1
    の液流路の内圧より大に設定し、非駆動時における第1
    の液流路内の液体の第2の液流路内への流入を防止する
    ことを特徴とする請求項42に記載の液体吐出記録方
    法。
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