JP2001038908A - 液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジおよび液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジおよび液体吐出装置

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JP2001038908A JP11212906A JP21290699A JP2001038908A JP 2001038908 A JP2001038908 A JP 2001038908A JP 11212906 A JP11212906 A JP 11212906A JP 21290699 A JP21290699 A JP 21290699A JP 2001038908 A JP2001038908 A JP 2001038908A
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Yoichi Tanetani
陽一 種谷
Hiroyuki Ishinaga
博之 石永
Sadayuki Sugama
定之 須釜
Masao Mori
雅生 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液流路内の液体中の気泡の発生に伴い可動部
材がストッパに近接する際に、液流路内で上流側への液
体の移動が抑制され、可動部材の応答速度の低下が発生
することのない液体吐出ヘッドを実現する。 【解決手段】 素子基板1の天板2側の面上には、素子
基板1の発熱体3の上流側の部分と一部が対向する可動
部材11が片持ち梁状に取り付けられている。可動部材
11の自由端11b側の部分の上方に先端ストッパ12
aが設けられ、先端ストッパ12aの可動部材11側の
面に、液流路3の流路方向に沿って延びる複数の溝13
aが形成されている。発熱体1によるインク中の気泡の
発生により可動部材11が先端ストッパ12aに近付く
際に、先端ストッパ12aと可動部材11との間の領域
のインクが溝13aを通してその領域の外部に排出さ
れ、可動部材11が速やかに変位する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させて気泡を発生させることによって液体を吐
出する液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドを有するヘ
ッドカートリッジおよび液体吐出装置に関するものであ
り、特に、気泡の発生を利用して変位する可動部材を備
えた液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドを有するヘッ
ドカートリッジおよび液体吐出装置に関する。
【0002】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、プリンター等の記録装置におい
て、流路中の液体インクに熱等のエネルギーを与えて気
泡を発生させ、その気泡の発生に伴う急峻な体積変化に
基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これ
を被記録媒体上に付着させて画像形成を行なうインクジ
ェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が知
られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録
装置には、米国特許明細書第4,723,129号等に
開示されているように、インクを吐出するための吐出口
と、この吐出口に連通する流路と、流路内に配されたイ
ンクを吐出するためのエネルギー発生手段としての電気
熱変換体が一般的に配されている。
【0004】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0005】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
【0006】高画質な画像を得るために、インクの吐出
スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なイン
ク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件
が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐出され
た液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体
吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案
されている。
【0007】このような液体吐出ヘッドの他にも、気泡
の発生に伴って発生するバック波(吐出口へ向かう方向
とは逆の方向へ向かう圧力)に着目し、吐出において損
失エネルギーになるバック波を防止する構造の液体吐出
ヘッドが特開平6−31918号公報に開示されてい
る。この公報に記載された液体吐出ヘッドは、三角形状
の板状部材の三角形部分を、気泡を発生するヒーターに
対して対向させたものである。この液体吐出ヘッドで
は、板状部材によってバック波が一時的に且つわずかに
は抑えられている。しかし、気泡の成長と板状部材の三
角形部分との相関関係については全く触れられておら
ず、また、その着想もないため、上記の液体吐出ヘッド
は以下の問題点を含んでいる。
【0008】すなわち、上記公報に記載の発明では、ヒ
ーターが凹部の底に位置しており吐出口との直線的連通
状態をとれないため、液滴の形を安定させることができ
ず、さらに気泡の成長は三角形の頂点の部分の周囲から
許容されているため、気泡は三角形の板状部材の片側か
ら反対側全体まで成長し、結果的に板状部材が存在して
いないかのように液中における通常の気泡の成長が完成
してしまう。従って、成長した気泡にとって板状部材の
存在は何ら関係のないものとなってしまう。逆に、板状
部材の全体が気泡に囲まれるために、気泡の収縮段階に
おいて、凹部の底に位置するヒーターへのリフィルは乱
流を生じせしめ、その凹部内に微小気泡を蓄積する原因
となり、成長気泡に基づいて吐出を行う原理自体を乱す
ことになってしまう。
【0009】他方、EP公開公報436047A1で
は、吐出口近傍域と気泡発生部との間にこれらを遮断す
る第1弁と、気泡発生部とインク供給部との間にこれら
を完全に遮断する第2弁とを交互に開閉させる発明が提
案されている(EP436047A1の第4図〜第9
図)。しかし、この発明では、これら3つの部屋を2つ
づつに区分してしまうために、吐出時には液滴に追従す
るインクが大きな尾引きとなり、気泡成長・収縮・消泡
を行う通常の吐出方式に比べてサテライトドットがかな
り多くなってしまう。これは、消泡によるメニスカス後
退の効果を使えないと推定される。また、リフィル時
は、消泡に伴って気泡発生部に液体が供給されるが、吐
出口近傍域には次の発泡が生じるまで液体は供給できな
いので、吐出液滴のばらつきが大きいだけでなく、吐出
応答周波数が極めて小さく、実用レベルではない。
【0010】上述したそれぞれの液体吐出ヘッドとは全
く異なり、液滴の吐出に関し有効に貢献できる可動部材
(自由端を支点よりも吐出口側に有する板状部材等)を
用いた液体吐出ヘッドが、本願出願人によって数多く提
案されている。それらの液体吐出ヘッドのうち、特開平
9−48127号公報には、上記の可動部材の挙動がわ
ずかに乱れることを防止すべく、可動部材の変位の上限
を規制する液体吐出ヘッドが開示されている。また、特
開平9−323420号公報には、上記の可動部材に対
して、その可動部材の上流に形成された共通液室の位置
を、可動部材の利点を利用して可動部材の自由端側、つ
まり下流側にシフトさせてリフィル能力を高める液体吐
出ヘッドが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平9−4
8127号公報に記載の液体吐出ヘッドのように可動部
材の変位を規制する液体吐出ヘッドとして、液流路の内
壁における可動部材の自由端側の部分と対向する位置
に、気泡の発生に伴い変位した可動部材と近接するスト
ッパをその内壁面から突出するように形成し、そのスト
ッパによって可動部材の変位を規制するものが、本出願
人により出願されている。しかしながら、このような液
体吐出ヘッドでは、ヒータ面上の液体中での気泡の発生
により可動部材が変位して上昇し、ストッパの、可動部
材との当接面に接近してくる際に、可動部材とストッパ
との間の液層の存在により可動部材のストッパへの接近
速度が低下し、液流路内で上流側への液体の移動や、可
動部材の応答速度の低下が発生するという問題点があ
る。
【0012】本発明の目的は、液流路内に設けられた可
動部材の変位を所望の範囲に規制するためにその液流路
の内壁に規制部としてストッパが形成された液体吐出ヘ
ッドにおいて、液流路内の液体中の気泡の発生に伴い可
動部材がストッパに近接する際に、液流路内で上流側へ
の液体の移動が抑制され、また、可動部材の応答速度の
低下が発生することがなく、安定した記録品位が得られ
る液体吐出ヘッド、その液体吐出ヘッドの有するヘッド
カートリッジおよび液体吐出装置を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、液体中に気泡を発生させるための熱エネ
ルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分で
ある吐出口と、該吐出口に連通すると共に、前記液体中
に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する液流路
と、前記気泡発生領域に設けられ、前記気泡の成長に伴
い変位する可動部材と、前記可動部材の変位を所望の範
囲に規制する規制部とを備え、前記発熱体による前記気
泡発生時のエネルギーにより前記吐出口から前記液体を
吐出する液体吐出ヘッドであって、前記規制部は前記液
流路の前記気泡発生領域に対向して設けられ、前記気泡
の成長により変位した前記可動部材と前記規制部とが実
質的に接触することで、前記可動部材と前記規制部とに
より前記液流路の上流側と下流側を分断し、略密閉状態
を作る、前記可動部材および前記規制部の互いの面のう
ち少なくともいずれか一方に凹凸部が設けられている。
【0014】また、本発明は、液体中に気泡を発生させ
るための熱エネルギーを発生する発熱体と、前記液体を
吐出する部分である吐出口と、該吐出口に連通すると共
に、前記液体中に気泡を発生させるための気泡発生領域
を有する液流路と、前記気泡発生領域に設けられ、前記
気泡の成長に伴い変位する可動部材と、前記可動部材の
変位を所望の範囲に規制する規制部とを備え、前記発熱
体による前記気泡発生時のエネルギーにより前記吐出口
から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、前記
規制部は前記液流路の前記気泡発生領域に対向して設け
られ、前記気泡の成長により変位した前記可動部材と前
記規制部とが実質的に接触することで、前記可動部材と
前記規制部とにより前記液流路の上流側と下流側を分断
し、略密閉状態を作る、前記可動部材および前記規制部
の互いの面のうち少なくともいずれか一方に、前記可動
部材と前記規制部とが接触する前の、前記可動部材と前
記規制部との間の領域に存在する液体を該領域の外部に
排出する第1の排出促進構造を有する。
【0015】具体的には、前記第1の排出促進構造は、
前記気泡の成長により変位した前記可動部材と前記規制
部とが実質的に接触する、前記可動部材および前記規制
部の互いの面のうち少なくともいずれか一方に設けられ
た凹凸部である。
【0016】また、前記気泡の成長に伴い変位した前記
可動部材の側部に少なくとも一部が実質的に接触するサ
イド規制部をさらに有することが好ましい。
【0017】さらに、前記気泡の成長により変位した前
記可動部材と前記サイド規制部とが実質的に接触する、
前記可動部材および前記サイド規制部の互いの面のうち
少なくともいずれか一方に、前記可動部材と前記サイド
規制部とが接触する前の、前記可動部材と前記サイド規
制部との間の領域に存在する液体を該領域の外部に排出
する第2の排出促進構造をさらに有することが好まし
い。
【0018】さらに、前記第2の排出促進構造は、前記
気泡の成長により変位した前記可動部材と前記サイド規
制部とが実質的に接触する、前記可動部材および前記サ
イド規制部の互いの面のうち少なくともいずれか一方に
設けられた凹凸部であることが好ましい。
【0019】さらに、前記第1および第2の排出促進構
造のそれぞれの前記凹凸部は、前記凹凸部が設けられる
面に溝が形成されることによって構成されていることが
好ましく、さらに、前記凹凸部の形状が櫛歯状になって
いることが好ましい。さらに、櫛歯状の前記凹凸部は、
前記凹凸部が設けられる面に、前記液流路の流路方向に
延びる複数の溝が形成されることにより構成されている
ことが好ましい。さらに、この場合、前記複数の溝の長
さが同じであり、隣り合う2つの前記溝同士の長手方向
の位置が異なるように前記溝が前記液流路の流路方向に
対して垂直な方向に互い違いに並んでいてもよい。
【0020】さらに、前記凹凸部は、前記凹凸部が設け
られる面に島状の凸部が形成されることにより構成され
ていることが好ましく、あるいは、前記凹凸部の凹部が
穴であり、前記凹凸部が設けられた面とは異なる面に、
前記穴の開口端が形成されていることが好ましい。
【0021】上記の通りの発明では、可動部材の変位を
所望の範囲に規制する規制部とその可動部材とが実質的
に接触することで、可動部材と規制部とにより液流路の
上流側と下流側を分断し、略密閉状態を作る、可動部材
および規制部の互いの面のうち少なくともいずれか一方
に凹凸部が形成されて、その一方の面に第1の排出促進
構造を有することにより、規制部に可動部材が近付く際
に規制部と可動部材との間の領域の液体を、その凹凸部
の凹部を通してその領域の外部へと速やかに排出させる
ことができる。また、可動部材が規制部から離れる際に
も、凹凸部の凹部を通して規制部と可動部材との間の領
域へと液体を供給することができる。従って、可動部材
が変位する際に、規制部と可動部材との間の液層によ
る、可動部材への抵抗が小さくなる。これにより、発熱
体からの熱エネルギーによる、気泡発生領域での気泡の
発生によって、可動部材が規制部に向かう方向に変位し
た際に、規制部に可動部材が接触するまでの時間が短く
なる。このように規制部に可動部材が接触するまでの時
間が短くなることで、吐出動作において液流路内でのそ
の流路方向上流側への液体の移動を抑制することがで
き、発熱体による発泡エネルギーのロスを小さくするこ
とができる。また、可動部材が規制部に接触または近接
している状態から、可動部材が規制部から離れる方向に
変位する際に、可動部材が規制部から離れて初期状態の
位置に戻るまでの時間も短くなり、可動部材の応答速度
(応答周波数)の低下を防止することができる。さら
に、吐出口から液体を吐出させる動作において、液流路
内で上流側への液体の回り込みが抑制されることでメニ
スカスの振動も抑制され、低駆動周波数から高駆動周波
数まで安定した記録品位を得ることができる。
【0022】また、上述した液体吐出ヘッドが、前記気
泡の成長に伴い変位した前記可動部材の側部に少なくと
も一部が実質的に接触するサイド規制部をさらに有する
場合でも、気泡の成長により変位した可動部材とサイド
規制部とが実質的に接触する、可動部材およびサイド規
制部の互いの面のうち少なくともいずれか一方に、第2
の排出促進構造としての凹凸部が形成されることによ
り、可動部材が前記規制部およびサイド規制部に向かっ
て移動する際に、可動部材とサイド規制部とが接触する
前の、可動部材とサイド規制部との間の領域に存在する
液体をその領域の外部に排出させることができる。ま
た、可動部材がサイド規制部から離れる際にも、凹凸部
の凹部を通してサイド規制部と可動部材との間の領域へ
と液体を供給することができる。従って、可動部材が変
位する際に、サイド規制部と可動部材との間の液層によ
る、可動部材への抵抗が小さくなる。
【0023】さらに、本発明のヘッドカートリッジは、
上述したいずれかの液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッ
ドに供給される液体を保持する液体容器とを有する。
【0024】さらに、本発明の液体吐出装置は、上述し
たいずれかの液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから
液体を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供
給手段とを有する。
【0025】さらに、本発明の液体吐出装置は、上述し
たいずれかの液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから
吐出された液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒
体搬送手段とを有する。
【0026】これらの液体吐出装置は、前記液体吐出ヘ
ッドから液体を吐出して被記録媒体に前記液体を付着さ
せることで記録を行うものである。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0028】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施形態の液体吐出ヘッドについて説明するための
断面図である。図1(a)は、本実施形態の液体吐出ヘ
ッドの、流路方向に沿った断面図、図1(b)は図1
(a)のB−B’線断面図、図1(c)は図1(a)の
C−C’線断面図である。
【0029】図1に示すように本実施形態の液体吐出ヘ
ッドは、液体中に気泡を発生させるための熱エネルギー
を与える吐出エネルギー発生素子としての、複数個(図
1では、1つのみ示す)の発熱体10が並列に設けられ
た素子基板1と、この素子基板1上に積層状態で固着さ
れた天板2と、素子基板1および天板2の前端面に接合
されたオリフィスプレート8とを有している。素子基板
1および天板2との間に、複数の液流路3、およびそれ
ぞれの液流路3が連通した大容積の共通液室6が設けら
れている。それぞれの液流路3の形状は、素子基板1、
側壁7および天板(対向板)2に囲まれた細長いものと
なって、1個の液体吐出ヘッドに多数の液流路3が設け
られている。そして、この多数の液流路3の上流側でそ
れらの液流路3が同時に共通液室6と連通している。つ
まり、それぞれの液流路3は、単一の共通液室6から多
数の液流路3に分岐した形状となっている。そして、共
通液室6内の液室高さは、液流路3内の流路高さよりも
非常に高くなっている。また、多数の液流路3のそれぞ
れに対応して、素子基板1に電気熱変換素子等の発熱体
(気泡発生手段)10が形成され、さらに、素子基板1
の発熱体10側の面上に、それぞれの発熱体10に対応
する可動部材11が取付けられている。液流路3におけ
る発熱体10上の部分が、液流路3内にある、液体であ
るインク中に発熱体10によって気泡を発生させるため
の気泡発生領域となっている。
【0030】可動部材11は、一端支持の片持ち梁状で
あり、液流路3におけるインクの流れの上流側(図1
(a)における右側)で素子基板1に固定されている。
可動部材11の、素子基板1への接続部が支点11aと
なっていて、可動部材11の、支点11aより下流側
(図1(a)における左側)の部分が素子基板1に対し
て上下方向に移動可能となっている。そして、可動部材
11は、図1(a)に示す初期状態においては、素子基
板1との間にわずかな隙間を保ちつつ素子基板1に平行
に位置する。
【0031】本実施形態ではさらに、可動部材11の自
由端11bが発熱体10における流路方向のほぼ中央の
領域に位置するように可動部材11が配設され、可動部
材11の下流側の部分が、発熱体10上の気泡発生領域
に配置されている。この可動部材11の自由端11b
の、発熱体10側とは反対側、すなわちその自由端11
bの上方に、可動部材11の上方への移動を規制する規
制部である先端ストッパ12aが設けられている。先端
ストッパ12aの可動部材11側の面、すなわち先端ス
トッパ12aにおける可動部材11が実質的に接触する
面には、凹部として、液流路3の流路方向に沿って延び
る複数の溝13aが形成されている。このように複数の
溝13aが形成されることによって、隣り合う2つの溝
13a同士の間の部分が凸部となっており、これによ
り、先端ストッパ12aの可動部材11側の面に、第1
の排出促進構造としての凹凸部が設けられている。
【0032】図4は、図1に示した先端ストッパ12a
を素子基板1側から見た平面図である。図4では、先端
ストッパ12aの可動部材11側の面に形成された複数
の溝13aのそれぞれに斜線を付してある。図4に示す
ように複数の溝13aはそれぞれ、液流路3の流路方向
に沿って、先端ストッパ12aの共通液室6側の端面か
ら、先端ストッパ12aの吐出口4側の端面にまで延び
ている。これらの複数の溝13aが形成されることによ
って、先端ストッパ12aの可動部材11側の面は櫛歯
状の凹凸部となっている。
【0033】このように、先端ストッパ12aにおける
可動部材11との接触面に複数の溝13aが形成されて
いることにより、発熱体10上のインク中で発生した気
泡によって可動部材11が変位して先端ストッパ12a
の溝13a側の面に近付いた際に、先端ストッパ12a
と可動部材11との間の領域にあるインクが、それぞれ
の溝13aを通して上流側および下流側に速やかに排出
されると共に、可動部材11が先端ストッパ12aに対
して良好な接触状態を達成することができ、気泡発生領
域を略密閉状態とすることができる。なお、このときの
溝13aの幅は、実質的に気泡が先端ストッパ12aの
上流にいたらず、保持される間隔となっている。また、
可動部材11が先端ストッパ12aに接触または近接し
ている状態から、先端ストッパ12aから離れる方向に
可動部材11が移動する際にも、それぞれの溝13aを
通して先端ストッパ12aと可動部材11との間の領域
にインクが供給される。これにより、先端ストッパ12
aに可動部材11が近付く際、および先端ストッパ12
aから可動部材11が離れる際に、先端ストッパ12a
と可動部材11との間の液層による、可動部材11への
抵抗が小さくなる。よって、可動部材11が先端ストッ
パ12aに当接するまでの時間、および可動部材11が
先端ストッパ12aから離れて初期状態の位置に戻るま
での時間が短くなる。
【0034】その結果、先端ストッパ12aに可動部材
11が近付く際に液流路3内での上流側への液体の移動
が抑制され、また、可動部材11の応答速度(応答周波
数)の低下が防止される。また、吐出口4からインクを
吐出させる動作において、可動部材11と先端ストッパ
12aと天板2と素子基板1と側壁7とにより略密閉状
態を形成し、液流路3の上流側と下流側を分断すること
で、液流路3内で上流側への液体の回り込みが抑制され
るので、メニスカスの振動も抑制され、低駆動周波数か
ら高駆動周波数まで安定した記録品位が得られる。この
インクの吐出動作において、発熱体10による発泡エネ
ルギーのロスも小さくなる。さらに、可動部材11の応
答周波数を高くして、液体吐出ヘッドの駆動周波数を高
めることができるので、高速の記録が可能な液体吐出ヘ
ッドを実現することができる。
【0035】また、可動部材11の自由端11bの先端
面Yの位置と、先端ストッパ12aの吐出口4側の端面
Xとは、素子基板1に対して垂直な面上に配置されてい
ることが好ましい。さらに好ましくは、これら端面Xお
よび先端面Yの位置が、発熱体10における液流路3の
流路方向の長さの中心Zと共に、素子基板1に対して垂
直な面上に配置されていることが好ましい。
【0036】さらに、本実施形態の液体吐出ヘッドで
は、液流路3における先端ストッパ12aから下流側の
部分の高さが急激に高くなる形状となっている。この構
成によって発熱体10上の気泡発生領域で発生した気泡
の下流側の部分は、可動部材11が先端ストッパ12a
によって規制された際にも十分な流路高さを有している
ため、気泡の成長が阻害されることがないので吐出口4
に向かって液体をスムーズに向かわせることができる。
それと共に、吐出口4の下端から上端までの高さ方向で
の圧力バランスの不均一が少なくなるため、良好な液体
の吐出を行うことができる。なお、可動部材をもたない
従来の液体吐出ヘッドにおいて、このように高さが急激
に高くなる流路構成を採った場合には、下流側で流路高
さが高くなっている部分でよどみが生じ、この部分に気
泡が滞留しやすくなり、好ましいものではなかったが、
本構成においては、上述したように液体の流れがこの部
分まで及ぶため気泡滞留の影響は極めて少なくなる。
【0037】さらに、共通液室6側の天井形状は急激に
たちあがるようになっている。このような共通液室6の
構成で可動部材11がない場合には、気泡発生領域の上
流側の流体抵抗が下流側の流体抵抗よりも小さくなるた
め、吐出に用いられる圧力は吐出口4側に向かいにくい
ものであったが、本実施形態においては、気泡形成時に
可動部材11により気泡発生領域の上流側への気泡の移
動が実質的に遮断されているため、吐出に用いられる圧
力は積極的に吐出口4側へ向かうと共に、インク供給時
においては気泡発生領域の上流側の流体抵抗が小さくな
っていることから、気泡発生領域へのインク供給が速や
かになされるようになっている。
【0038】なお、本実施形態においては、気泡の下流
側の部分と吐出口との間は液流に対しまっすぐな流路構
造を保っている「直線的連通状態」となっている。これ
は、より好ましくは、気泡の発生時に生じる圧力波の伝
播方向とそれに伴う液体の流動方向と吐出方向とを直線
的に一致させることで、吐出口4からの吐出滴の吐出方
向や吐出速度等の吐出状態をきわめて高いレベルで安定
化させるという理想状態を形成する上で望ましい。本発
明では、この理想状態を達成、または近似させるための
一つの定義として、吐出口4と発熱体10、特に気泡の
吐出口4側の部分に影響力を持つ発熱体10の吐出口4
側(下流側)の部分とが直線で直接結ばれる構成とすれ
ばよく、これは、液流路3内に流体がない状態であれ
ば、吐出口4の外側から見て発熱体10、特に発熱体1
0の下流側を観察することが可能な状態である。
【0039】次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの吐出
動作について図1〜図3を参照して詳しく説明する。図
2および図3は、図1に基づいて説明した液体吐出ヘッ
ドの吐出動作について説明するための図である。図3
(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)がそ
れぞれ、液体吐出ヘッドの流路方向に沿った断面図であ
り、図3(a’)が図3(a)のC−C’線断面図、図
3(b’)が図3(b)のC−C’線断面図、図4
(a’)が図4(a)のC−C’線断面図、図4
(b’)が図4(b)のC−C’線断面図である。
【0040】図1(a)〜図1(c)では、発熱体10
に電気エネルギー等のエネルギーが印加される前の状態
であり、発熱体10が熱を発生する前の状態を示す。こ
こで重要なことは、まず、可動部材11の幅が液流路3
の幅に比べ小さいことで可動部材11と、流路壁である
側壁7とのクリアランスが確保されていることと、発熱
体10の発熱によって発生する気泡に対して可動部材1
1がその気泡の上流側半分に対面して位置し、かつ、可
動部材11の変位を規制する先端ストッパ12aが液流
路3の内壁に設けられていることである。この先端スト
ッパ12aによって可動部材11の上方への変位の規制
が行われると共に、その可動部材11の上方への変位規
制時に可動部材11が先端ストッパ12aに接すること
によって気泡発生領域から上流側への液体の移動が抑制
される。
【0041】図2(a)および図2(a’)では、発熱
体10上の気泡発生領域内を満たす液体の一部が発熱体
10によって加熱され、膜沸騰に伴う気泡40が発泡し
始めた状態が示されている。図2(a)および図2
(a’)に示される状態のとき、膜沸騰による気泡40
の発生に基づく圧力波が液流路3内に伝播し、それに伴
って液体は気泡発生領域の中央領域を境に下流側および
上流側に移動し、上流側においては気泡40の成長に伴
う液体の流れにより可動部材11が変位し始める。ま
た、上流側への若干の液体の移動は可動部材11と側壁
7との間を通って共通液室6側に向かう。
【0042】図2(b)および図2(b’)では、可動
部材11が、図2(a)および図2(a’)に示した状
態よりも大きく変位し、先端ストッパ12aに可動部材
11が接近した状態が示されている。この状態では、気
泡40の発生に基づき液体がさらに移動することによ
り、気泡発生領域の上流側で可動部材11が先端ストッ
パ12aに接近し、下流側においては吐出口4から吐出
滴66が吐出しつつある。
【0043】このとき、先端ストッパ12aと可動部材
11とのクリアランスは狭いため、気泡発生領域より上
流側、すなわち、共通液室6側への液体の通り抜けはか
なり規制される。それに伴い可動部材11を境界として
気泡発生領域側と共通液室6側の圧力差が大きく生じ、
可動部材11の自由端11b側の部分は、先端ストッパ
12aに対してより密着するかたちで押しつけられる。
【0044】ここで、先端ストッパ12aと可動部材1
1との間の領域に存在するインクの一部は、先端ストッ
パ12aに形成された、排出路となる溝13aを通し
て、液流路3の上流側および下流側、すなわち先端スト
ッパ12aと可動部材11との間の領域の外部へと排出
される。従って、可動部材11が先端ストッパ12aに
向かって変位する際に、先端ストッパ12aと可動部材
11との間の液層による可動部材11への抵抗が抑制さ
れて、可動部材11が速やかに変位する。よって、先端
ストッパ12aに溝13aが形成されていない場合と比
較して、可動部材11が先端ストッパ12aに当接する
までの時間が短くなり、この段階における液流路3内で
の上流側へのインクの移動が抑制されるので、発熱体1
0による発泡エネルギーのロスが小さくなる。
【0045】図3(a)および図3(a’)の状態で
は、可動部材11が先端ストッパ12aに接近または接
触するまで変位すると、可動部材11の先端部における
それ以上の上方への変位が規制されるため、上流方向へ
の液体の移動もそこで大きく制限される。それに伴い気
泡40の上流側への成長も可動部材11で制限される。
しかしながら、上流方向への液体の移動力は大きいた
め、可動部材11は、上流方向へ引っ張られた形の応力
を大きく受けて、わずかながら上方に向かうかたちの凸
状に変形を生じる。なお、このとき、気泡40は成長を
続けているため、可動部材11によって規制された気泡
40の上流側成分における成長は、気泡の下流側へと成
長しようとするため、可動部材を設けない場合に比べ、
発熱体の下流側への気泡の成長高さが高くなっている。
【0046】一方、前述したように可動部材11の変位
は先端ストッパ12aによって規制されているため、気
泡40の上流側の部分が、上流側への液流の慣性力によ
って可動部材11を上流側へ凸形状に湾曲させ応力をチ
ャージさせるまでにとどまった状態で小さなサイズにな
っている。これによって、上流側への液流を大幅に規制
し、隣接した流路への流体クロストークや、高速リフィ
ルを阻害する供給路系における液の逆流や圧力振動を防
止する。
【0047】図3(b)および図3(b’)では、前述
した膜沸騰の後に気泡40の内部の負圧が液流路3内の
下流側への液体の移動に打ち勝って、気泡40の収縮が
開始された状態が示されている。
【0048】この状態では、気泡40の収縮に伴い、可
動部材11は下方に変位するが、可動部材11は、それ
自身の片持ち梁ばねによる応力と、前述した上方への凸
変形の応力とを持っており、それらの応力によって、可
動部材11の下方に変位する速度が高められている。そ
して、これに伴う低流路抵抗領域での下流方向への流れ
は流路抵抗が小さいため、急速に大きな流れとなって先
端ストッパ12aと可動部材11との間を通して液流路
3へと流れ込む。このように、これらの動作によって共
通液室6側の液体を液流路3内に誘導する。液流路3内
に導かれた液体は先端ストッパ12aと、下方に変位し
た可動部材11との間をそのまま通って、発熱体10の
下流側に流れ込むと同時に、まだ消泡しきっていない気
泡に対して消泡を加速するように作用する。この液体の
流れは、消泡を助けたあと、吐出口4に向かう方向にさ
らに流れを作って、メニスカスの復帰を助け、リフィル
速度を向上させる。
【0049】また、前述した可動部材11と先端ストッ
パ12aとの間の部分を介した液流路3への液体の流れ
込みは、図3(a)および図3(a’)に示すように液
流路3における天板2側の壁面での流速を高めるため、
この部分での微小泡等の残留も極めて少なく、吐出の安
定性に寄与している。
【0050】ここで、可動部材11が、先端ストッパ1
2aから離れる方向、すなわち下方に変位する際に、先
端ストッパ12aと可動部材11とのクリアランスが小
さいときには、先端ストッパ12aの溝13a側の部分
の近傍に存在するインクが、それぞれの溝13aを通し
て先端ストッパ12aと可動部材11との間の領域に供
給される。よって、先端ストッパ12aに可動部材11
が接触または近接している状態から、可動部材11が先
端ストッパ12aから離れて初期状態の位置に戻る際
に、可動部材11への抵抗が抑制されて、可動部材11
は速やかに変位する。従って、先端ストッパ12aに溝
13aが形成されていない場合と比較して、可動部材1
1が先端ストッパ12aから離れて初期状態の位置に戻
るまでの時間が短くなる。
【0051】このように、本実施形態の液体吐出ヘッド
では、先端ストッパ12aに溝13aが形成されていな
い場合と比較して、可動部材11が先端ストッパ12a
に当接するまでの時間、および可動部材11が先端スト
ッパ12aから離れて初期状態の位置に戻るまでの時間
が短くなるので、液流路3内に先端ストッパ12aが設
けられたことによる、可動部材11の応答速度(応答周
波数)の低下が防止される。
【0052】図5〜図7は、図1に示した先端ストッパ
12aの変形例を示す平面図である。図5〜図7のそれ
ぞれでは、先端ストッパ12aに形成された溝に斜線を
付してある。
【0053】図5に示される先端ストッパ12aの変形
例では、先端ストッパ12aの可動部材11側の面に、
先端ストッパ12aの吐出口4側の端面から流路方向に
沿って先端ストッパ12aの共通液室6側の端面の近傍
にまで延びる溝13bと、先端ストッパ12aの共通液
室6側の端面から流路方向に沿って先端ストッパ12a
の吐出口4側の端面の近傍にまで延びる溝13cとがそ
れぞれ複数形成されている。溝13b,13cの長さお
よび幅は同じであり、溝13bと13cは、液流路3の
流路方向と垂直な方向に交互に並んでいる。従って、図
5に示される可動部材11では、隣り合う2つの溝13
b,13c同士の長手方向の位置が異なるように、溝1
3b,13cが互い違いに並んでいる。
【0054】図6に示される先端ストッパ12aの変形
例では、先端ストッパ12aと、その両端の側壁7との
それぞれの間に隙間があり、先端ストッパ12aの可動
部材11側の面には、液流路3の流路方向と垂直な方向
に延びる溝13dが複数形成されている。このように、
先端ストッパ12aは、液流路3の幅全体に渡って形成
されていなくともよく、下流側から上流側への液体の流
れが生じない範囲で、先端ストッパ12aと側壁7との
間に隙間を設けることも可能である。ただし、図5に示
した変形例のように、排出路となる溝13b,13cが
液流路3の上流側および下流側の両方で連通しておら
ず、さらに、先端ストッパ12aと側壁7との間に隙間
がないことが好ましい。
【0055】図7に示される先端ストッパ12aの変形
例では、先端ストッパ12aと、その両端の側壁7との
それぞれの間に隙間があり、先端ストッパ12aの可動
部材11側の面には、格子パターン状の溝13eが形成
されている。このように先端ストッパ12aに格子パタ
ーン状の溝13eが形成されることによって、先端スト
ッパ12aの可動部材11側の先端部には、島状の凸部
15が複数形成されている。従って、島状の凸部15が
複数形成されることによって、先端ストッパ12aの可
動部材11側の面に凹凸部が設けられている。この形態
の液体吐出ヘッドでは、可動部材11と先端ストッパ1
2aとの間のインクを排出する効果が高い。
【0056】(第2の実施の形態)図8は、本発明の第
2の実施形態の液体吐出ヘッドについて説明するための
断面図である。図9は図8のB−B’線断面図であり、
図10は図8のC−C’線断面図である。本実施形態の
液体吐出ヘッドでは、第1の実施形態のものと比較し
て、可動部材の変位を規制する先端ストッパの内部に液
流路が形成されている点が主に異なっている。図8〜図
10のそれぞれでは、第1の実施形態と同一の構成部品
に同一の符号を付してある。以下では、第1の実施形態
と異なる点を中心に説明する。
【0057】図8〜図10に示すように先端ストッパ1
2aの内部には複数の液流路14aが形成されており、
それぞれの液流路14aの一方の開口端が先端ストッパ
12aの可動部材11側の面に形成され、それぞれの液
流路14aの他方の開口端が先端ストッパ12aの吐出
口4側の面に形成されている。従って、本実施形態の液
体吐出ヘッドでは、先端ストッパ12aの可動部材11
側の面に、第1の排出構造である凹部としての、液流路
14aとなる穴が形成されている。
【0058】このような液体吐出ヘッドでは、先端スト
ッパ12a側に向かって可動部材11が変位する際に、
先端ストッパ12aと可動部材11との間の領域にある
インクの一部が、液流路14aを通して液流路14の吐
出口4側の開口端から液流路3の下流側へと排出され
る。また、先端ストッパ12aに可動部材11が接触ま
たは近接している状態から、可動部材11が先端ストッ
パ12aから離れる方向に変位する際に、先端ストッパ
12aの吐出口4側にあるインクが、液流路14aの吐
出口4側の開口端から液流路14aを通して、先端スト
ッパ12aと可動部材11との間の領域へと供給され
る。
【0059】よって、インクの吐出動作において、発熱
体10による発泡エネルギーのロスを小さくすることが
できる。また、第1の実施形態のように先端ストッパ1
2aに溝が形成された液体吐出ヘッドと同様に、気泡の
発生によって可動部材11が変位して先端ストッパ12
aに近付く際、および可動部材11が先端ストッパ12
aから離れる際の、先端ストッパ12aと可動部材11
との間の液層による抵抗が小さくなる。その結果、可動
部材11が先端ストッパ12aに当接するまでの時間、
および可動部材11が先端ストッパ12aから離れて初
期状態の位置に戻るまでの時間が短くなり、可動部材1
1の応答速度(応答周波数)の低下が防止される。ま
た、本実施形態では、先端ストッパ12aに、液流路の
上流側と下流側に連通する溝がないため、液流路3の上
流側と下流側を分断する効果が高い。
【0060】図11は、図8〜図10に基づいて説明し
た液体吐出ヘッドの変形例について説明するための断面
図である。図12は図11のB−B’線断面図であり、
図13は図10のC−C’線断面図である。図8〜図1
0に基づいて説明した液体吐出ヘッドでは、先端ストッ
パ12a内に形成された液流路14aが、液流路3にお
ける先端ストッパ12aよりも下流側の部分と連通して
いるが、図11〜図13に基づいて説明する液体吐出ヘ
ッドでは、先端ストッパ12a内に形成された液流路
が、液流路3における先端ストッパ12aよりも上流側
の部分と連通している。
【0061】図8〜図10に基づいて説明した液体吐出
ヘッドの変形例では、図11〜図13に示すように先端
ストッパ12aの内部に複数の液流路14bが形成され
ている。それぞれの液流路14bの一方の開口端は先端
ストッパ12aの可動部材11側の面に形成され、それ
ぞれの液流路14bの他方の開口端は先端ストッパ12
aの共通液室6側の面に形成されている。従って、この
液体吐出ヘッドでは、先端ストッパ12aの可動部材1
1側の面に、凹部としての、液流路14bとなる穴が形
成されている。
【0062】このような液体吐出ヘッドでは、先端スト
ッパ12a側に向かって可動部材11が変位する際に、
先端ストッパ12aと可動部材11との間の領域にある
インクの一部が、液流路14aを通して液流路14の共
通液室6側の開口端から液流路3の上流側へと、すなわ
ち低圧側へと速やかに排出される。また、先端ストッパ
12aに可動部材11が接触または近接している状態か
ら、可動部材11が先端ストッパ12aから離れる方向
に変位する際に、先端ストッパ12aの共通液室6側に
あるインクが、液流路14aの共通液室6側の開口端か
ら液流路14aを通して、先端ストッパ12aと可動部
材11との間の領域へと供給される。
【0063】よって、インクの吐出動作において、発熱
体10による発泡エネルギーのロスを小さくすることが
できる。また、第1の実施形態のように先端ストッパ1
2aに溝が形成された液体吐出ヘッドと同様に、気泡の
発生によって可動部材11が変位して先端ストッパ12
aに近付く際、および可動部材11が先端ストッパ12
aから離れる際の、先端ストッパ12aと可動部材11
との間の液層による抵抗が小さくなる。その結果、可動
部材11が先端ストッパ12aに当接するまでの時間、
および可動部材11が先端ストッパ12aから離れて初
期状態の位置に戻るまでの時間が短くなり、可動部材1
1の応答速度(応答周波数)の低下が防止される。
【0064】(第3の実施の形態)図14は、本発明の
第3の実施形態の液体吐出ヘッドについて説明するため
の断面図である。図14(a)は、本実施形態の液体吐
出ヘッドの、流路方向に沿った断面図、図14(b)は
図1(a)のB−B’線断面図、図14(c)は図1
(a)のC−C’線断面図である。
【0065】本実施形態の液体吐出ヘッドでは、第1の
実施形態のものと比較して、可動部材の素子基板側の面
に凸部が形成されている点が異なっている。図14で
は、第1の実施形態と同一の構成部品に同一の符号を付
してあり、以下では、第1の実施形態と異なる点を中心
に説明する。
【0066】本実施形態の液体吐出ヘッドでは図14に
示すように、素子基板1上に取り付けられた可動部材1
1の素子基板1側の面に、気泡発生領域に近接して素子
基板1側に突出した下側凸部11cが形成されている。
この下側凸部11cは、気泡発生領域で発生する気泡を
後方(上流側)に成長することを抑制するものである。
【0067】図15および図16は、図14に基づいて
説明した液体吐出ヘッドの吐出動作について説明するた
めの図である。図15(a)、図15(b)、図16
(a)および図16(b)がそれぞれ、液体吐出ヘッド
の流路方向に沿った断面図であり、図15(a’)が図
15(a)のC−C’線断面図、図15(b’)が図1
5(b)のC−C’線断面図、図16(a’)が図16
(a)のC−C’線断面図、図16(b’)が図16
(b)のC−C’線断面図である。
【0068】図15(a)および図15(a’)には、
発熱体10上の気泡発生領域内を満たす液体の一部が発
熱体10によって加熱され、膜沸騰に伴う気泡40が発
泡し始めた状態が示され、図15(b)および図15
(b’)には、可動部材11が、図15(a)および図
15(a’)に示した状態よりも大きく変位し、先端ス
トッパ12aに可動部材11が接近した状態が示されて
いる。また、図16(a)および図16(a’)には、
可動部材11が先端ストッパ12aに接近または接触す
るまで変位し、可動部材11の先端部におけるそれ以上
の上方への変位が先端ストッパ12aによって規制され
た状態が示され、図16(b)および図16(b’)で
は、前述した膜沸騰の後に気泡40の内部の負圧が液流
路3内の下流側への液体の移動に打ち勝って、気泡40
の収縮が開始された状態が示されている。
【0069】このような吐出動作では、上述したように
可動部材11に下側凸部11cを設けたことにより、図
15(a)、図15(b)、図16(a)およびず16
(b)のそれぞれに示されるように、第1の実施形態の
場合と比較して気泡40の後方(上流側)への成長が少
なくなっている。そして、この下側凸部11cは、後方
への気泡40の成長を抑制することで、吐出滴66を吐
出させるために利用する吐出エネルギーの向上に寄与す
るものである。
【0070】下側凸部11cが設けられる位置として
は、可動部材11が素子基板1側に変位した際に素子基
板1に下側凸部11cが当接することがあるため、少な
くとも発熱体10周囲の段差部分から離れた位置に設け
られることが望ましい。具体的には、有効発泡領域から
5μm以上離れていることが望ましい。また、あまりに
気泡発生領域から離れすぎると、気泡の後方への成長を
抑制する効果を発揮できなくなるため、発熱体10の有
効発泡領域から発熱体の長さの略半分までの距離内に設
けられていることが望ましい。すなわち、本実施形態に
おいては、有効発泡領域から下側凸部11cまでの距離
が約45μmであり、好ましくは30μm以内、さらに
好ましくは20μm以下となる。
【0071】また、下側凸部11cの高さは可動部材1
1と素子基板1間の距離とほぼ等しいかそれ以下であ
り、本実施形態においては、下側凸部11cの先端と素
子基板1との間にわずかにクリアランスを有している。
【0072】この下側凸部11cによって、気泡発生領
域で発生した気泡は、可動部材11と素子基板1との間
を上流方向へ伸延することが抑制され、第1の実施形態
の場合よりもさらに、上流方向への液体の移動が少なく
なり、結果的にリフィル特性をさらに向上させることが
できる。
【0073】(第4の実施の形態)図17は、本発明の
第4の実施形態の液体吐出ヘッドについて説明するため
の断面図である。図17(a)は、本実施形態の液体吐
出ヘッドの、流路方向に沿った断面図、図17(b)は
図17(a)のB−B’線断面図、図17(c)は図1
(a)のC−C’線断面図、図17(d)は図1(a)
のD−D’線断面図である。
【0074】本実施形態の液体吐出ヘッドは、第2の実
施形態と比較して、気泡の成長により変位した可動部材
の側部に実質的に接触する側方ストッパが液流路内に設
けられている点が異なっている。図17では、第2の実
施形態と同一の構成部品に同一の符号を付してあり、以
下では、第1および第2の実施形態と異なる点を中心に
説明する。
【0075】本実施形態の液体吐出ヘッドでは図17
(a)〜図17(d)に示すように、先端ストッパ12
aに加えて、可動部材11の両側の側部の上方にそれぞ
れ、サイド規制部である側方ストッパ12bが設けられ
ている。それぞれの側方ストッパ12bの可動部材11
側の面には、液層を排出し易い排出路として、液流路3
の流路方向に対して垂直な方向に延びる溝13fが複数
形成されている。このように側方ストッパ12bに複数
の溝13fが形成されることによって、隣り合う2つの
溝13f同士の間の部分が凸部となっており、これによ
り、側方ストッパ12bの可動部材11側の面に、第2
の排出促進構造としての凹凸部が設けられている。
【0076】このような側方ストッパ12bが設けられ
たことにより、先端ストッパ12aおよび側方ストッパ
12b側に変位した可動部材11を規制する時、すなわ
ち先端ストッパ12aおよび側方ストッパ12bに可動
部材11が接触した時に、可動部材11と流路壁とのク
リアランスが遮断される。また、側方ストッパ12bに
複数の溝13fが形成されていることにより、発熱体1
0上のインク中で発生した気泡によって可動部材11が
変位して側方ストッパ12bの溝13f側の面に近付い
た際に、側方ストッパ12bと可動部材11との間の領
域にあるインクが、それぞれの溝13fを通してその領
域の外部に速やかに排出される。また、可動部材11が
側方ストッパ12bに接触または近接している状態か
ら、側方ストッパ12bから離れる方向に可動部材11
が移動する際にも、それぞれの溝13fを通して側方ス
トッパ12bと可動部材11との間の領域にインクが供
給される。これにより、側方ストッパ12bに可動部材
11が近付く際、および側方ストッパ12bから可動部
材11が離れる際に、側方ストッパ12bと可動部材1
1との間の液層による、可動部材11への抵抗が小さく
なる。
【0077】よって、可動部材11が先端ストッパ12
aおよび側方ストッパ12bに当接するまでの時間、お
よび可動部材11が先端ストッパ12aおよび側方スト
ッパ12bから離れて初期状態の位置に戻るまでの時間
が短くなる。その結果、先端ストッパ12aおよび側方
ストッパ12bに可動部材11が近付く際に液流路3内
での上流側への液体の移動や、可動部材11の応答速度
(応答周波数)の低下が防止される。
【0078】上記の構成により、気泡の形状特性に対し
て、前後(上流下流)の機能の分断化を機械的な要素によ
り一層確実に達成することができる。そして、従来、流
路の前後の流路抵抗等のバランスを最重要として設計し
ていたものを、上記構成によれば機能分離化できること
により、設計の自由度を格段に向上させることができ
る。
【0079】なお、上述の構成では、側方ストッパ12
bが、対向板である天板2に設けられているものである
が、これに限られるものではなく、側方ストッパ12b
が側壁7のみに設けられるようにしても良い。
【0080】図18および図19は、図17に基づいて
説明した液体吐出ヘッドの吐出動作について説明するた
めの図である。図18(a)、図18(b)、図19
(a)および図19(b)がそれぞれ、液体吐出ヘッド
の流路方向に沿った断面図であり、図18(a’)が図
18(a)のC−C’線断面図、図18(b’)が図1
8(b)のC−C’線断面図、図19(a’)が図19
(a)のC−C’線断面図、図19(b’)が図19
(b)のC−C’線断面図である。
【0081】図18(a)および図18(a’)には、
発熱体10上の気泡発生領域内を満たす液体の一部が発
熱体10によって加熱され、膜沸騰に伴う気泡40が発
泡し始めた状態が示されている。図18(a)および図
18(a’)に示される状態のとき、この時点における
側方ストッパ12bと可動部材11との間のクリアラン
スは大きいが、そのクリアランスは、可動部材11が変
位するにつれ狭くなっていく。
【0082】図18(b)および図18(b’)には、
可動部材11が、図18(a)および図18(a’)に
示した状態よりも大きく変位し、先端ストッパ12aに
可動部材11が接近した状態が示されている。このと
き、先端ストッパ12aおよび側方ストッパ12bと可
動部材11とのクリアランスは狭いため、気泡発生領域
より上流側、すなわち、共通液室6側への液体の通り抜
けは、第1および第2の実施形態の場合よりもかなり規
制される。それに伴い可動部材11を境界として気泡発
生領域側と共通液室6側の圧力差が大きく生じ、可動部
材11は側方ストッパ12bに、より密着するかたちで
押しつけられる。従って、可動部材11と先端ストッパ
12aおよび側方ストッパ12bとの密着性が高まるた
め、可動部材11と流路壁とのクリアランスが十分に設
けられていても、このクリアランス部分からの液体の漏
れが少なくなる。この構成により、気泡発生領域の共通
液室6側に対する密閉性は高まり、共通液室6側に液体
が漏れて吐出力を損失することが少なくなる。
【0083】ここで、先端ストッパ12aと可動部材1
1との間の領域に存在するインクの一部は、先端ストッ
パ12aに形成された、排出路となる溝13aを通し
て、液流路3の上流側および下流側、すなわち先端スト
ッパ12aと可動部材11との間の領域の外部へと排出
される。それと同時に、側方ストッパ12bと可動部材
11との間の領域に存在するインクの一部は、側方スト
ッパ12bに形成された、排出路となる溝13fを通し
て、側方ストッパ12bと可動部材11との間の領域の
外部へと排出される。従って、可動部材11が先端スト
ッパ12aおよび側方ストッパ12bに向かって変位す
る際に、先端ストッパ12aと可動部材11との間の液
層、および側方ストッパ12bと可動部材11との間の
液層による可動部材11への抵抗が抑制されて、可動部
材11が速やかに変位する。よって、溝13a,13f
が形成されていない場合と比較して、可動部材11が先
端ストッパ12aおよび側方ストッパ12bに当接する
までの時間が短くなり、この段階における液流路3内で
の上流側へのインクの移動が抑制されるので、発熱体1
0による発泡エネルギーのロスが小さくなる。
【0084】図19(a)および図19(a’)には、
可動部材11が先端ストッパ12aおよび側方ストッパ
12bに接近または接触するまで変位し、可動部材11
の先端部におけるそれ以上の上方への変位が先端ストッ
パ12aおよび側方ストッパ12bによって規制された
状態が示されている。
【0085】一方、前述したように可動部材11の変位
が先端ストッパ12aおよび側方ストッパ12bによっ
て規制されているため、気泡40の上流側の部分が、上
流側への液流の慣性力によって可動部材11を上流側へ
凸形状に湾曲させ応力をチャージさせるまでにとどまっ
た状態で小さなサイズになっている。この部分全体とし
ては、先端ストッパ12a、側方ストッパ12b、側壁
7、可動部材11およびその支点11aとで上流側の領
域に進入する量をほとんど無にしている。これによっ
て、上流側への液流を大幅に規制し、隣接した流路への
流体クロストークや、高速リフィルを阻害する供給路系
における液の逆流や圧力振動を防止する。図19(b)
および図19(b’)では、前述した膜沸騰の後に気泡
40の内部の負圧が液流路3内の下流側への液体の移動
に打ち勝って、気泡40の収縮が開始された状態が示さ
れている。ここで、可動部材11と、先端ストッパ12
aおよび側方ストッパ12bとの間の部分を介した液流
路3への流れ込みは、図19(a)および図19
(a’)に示すように液流路3における天板2側の壁面
での流速を高めるため、この部分での微小泡等の残留も
極めて少なく、吐出の安定性に寄与している。
【0086】さらに、消泡によりキャビテーションが発
生するポイントも気泡発生領域の下流側にずれるため、
発熱体10に対するダメージが少なくなる。それと同時
に、そのようなキャビテーションの現象によりこの領域
での発熱体(ヒータ)10へのこげの付着も少なくなる
ため、吐出安定性が向上する。
【0087】ここで、可動部材11が、先端ストッパ1
2aおよび側方ストッパ12bから離れる方向、すなわ
ち下方に変位する際に、先端ストッパ12aおよび側方
ストッパ12bと、可動部材11とのクリアランスが小
さいときには、先端ストッパ12aの溝13a側の部分
の近傍に存在するインクが、それぞれの溝13aを通し
て先端ストッパ12aと可動部材11との間の領域に供
給される。それと共に、側方ストッパ12bの溝13f
側の部分の近傍に存在するインクが、それぞれの溝13
fを通して側方ストッパ12bと可動部材11との間の
領域に供給される。よって、先端ストッパ12aおよび
側方ストッパ12bに可動部材11が接触または近接し
ている状態から、可動部材11が先端ストッパ12aお
よび側方ストッパ12bから離れて初期状態の位置に戻
る際に、可動部材11への抵抗が抑制されて、可動部材
11は速やかに変位する。従って、溝13a,13fが
形成されていない場合と比較して、可動部材11が先端
ストッパ12aから離れて初期状態の位置に戻るまでの
時間が短くなる。
【0088】このように、本実施形態の液体吐出ヘッド
では、溝13a,13fが形成されていない場合と比較
して、可動部材11が先端ストッパ12aおよび側方ス
トッパ12bに当接するまでの時間、および可動部材1
1が先端ストッパ12aおよび側方ストッパ12bから
離れて初期状態の位置に戻るまでの時間が短くなるの
で、液流路3内に先端ストッパ12aおよび側方ストッ
パ12bが設けられたことによる、可動部材11の応答
速度(応答周波数)の低下が防止される。
【0089】本実施形態の液体吐出ヘッドでは、側方ス
トッパ12bの可動部材11側の面に、液流路3の流路
方向に対して垂直な方向に延びる溝13fが形成されて
いるが、それら溝13fの代わりに、液流路3の流路方
向に延びる溝を複数形成してもよい。また、それらの溝
13fを、第1の実施形態において図5に示した溝13
b,13cのパターンのように、隣り合う2つの溝13
f同士の長手方向の位置が異なるように互い違いに配置
させてもよい。さらに、側方ストッパ12bの可動部材
11側の面に設ける凹凸部として、第1の実施形態にお
いて図7に示した溝13eおよび凸部15のパターンと
同様な溝および島状の凸部を形成してもよい。さらに、
第2の実施形態の液体吐出ヘッドにおいて先端ストッパ
12a内に形成した液流路14a,14bのような液流
路を、排出路として側方ストッパ12bに設けてもよ
い。
【0090】(第5の実施の形態)図20は、本発明の
第5の実施形態に係る液体吐出ヘッドの、流路方向に沿
った断面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、共
通液室および液流路を形成するための溝付きの天板部
と、吐出口が形成されるオリフィスプレート部とが一体
となった溝付き天板が用いられたものである。
【0091】図20に示すように本実施形態の液体吐出
ヘッドでは、第1の実施形態で用いた素子基板1が用い
られており、素子基板1の発熱体10側の表面には、第
1の実施形態と同様に可動部材11が形成されている。
素子基板1のその表面には、天板部32およびオリフィ
スプレート部38から構成された溝付き天板32aが接
合されている。天板部32には、発熱体10が配置され
る液流路33を形成するための複数の溝と、それぞれの
液流路33と連通した共通液室36を形成するための溝
とが形成されている。オリフィスプレート部38には、
液流路33と連通した吐出口34が形成されており、吐
出口34は、オリフィスプレート部38に液流路33側
からレーザを照射することにより形成されたために素子
基板1に対して斜めに延びている。
【0092】液流路33内では、可動部材11の自由端
11bの、発熱体10側とは反対側、すなわちその自由
端11bの上方に、可動部材11の上方への移動を規制
する規制部である先端ストッパ42aが設けられ、先端
ストッパ42aの可動部材11側の面に、液流路33の
流路方向に延びる溝43aが複数形成されている。ま
た、先端ストッパ42aの上流側、かつ可動部材11の
上方には、気泡の成長により変位した可動部材11の側
部に実質的に接触する側方ストッパ42bが設けられて
おり、側方ストッパ42bの可動部材11側の面に、液
流路33の流路方向に対して垂直な方向に延びる溝43
fが複数形成されている。
【0093】このような液体吐出ヘッドにおいても、先
端ストッパ42aに複数の溝43aが形成され、側方ス
トッパ42bに溝43fが形成されていることにより、
可動部材11が先端ストッパ42aおよび側方ストッパ
42bに接触するまでの時間、および可動部材11が先
端ストッパ42aおよび側方ストッパ42bから離れて
初期状態の位置に戻るまでの時間が短くなり、可動部材
11の応答速度(応答周波数)の低下が防止される。ま
た、可動部材11が先端ストッパ42aおよび側方スト
ッパ42bに接触するまでの時間が短くなることによ
り、液流路33内での上流側へのインクの移動が抑制さ
れるので、発熱体10による発泡エネルギーのロスが小
さくなると共に、メニスカスの振動も抑制され、低駆動
周波数から高駆動周波数まで安定した記録品位が得られ
る。
【0094】(第6の実施の形態)図21は、本発明の
第6の実施形態に係る液体吐出ヘッドの、流路方向に沿
った断面図である。本実施形態の液体吐出ヘッドは、第
1の実施形態のものと比較して、溝が形成される部分
が、可動部材の変位を規制する先端ストッパではなく、
可動部材の、先端ストッパとの実質的な接触面に溝が形
成されている点が異なっている。図21では、第1の実
施形態と同一の構成部品に同一の符号を付してあり、以
下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0095】図21に示すように本実施形態の液体吐出
ヘッドでは、可動部材11の、先端ストッパ12aと実
質的に接触する面、すなわち可動部材11の吐出口4側
の先端部における先端ストッパ12a側の面に、液流路
3の流路方向に延びる溝13gが複数形成されている。
【0096】図22は、図21に示した可動部材11の
先端部の側面図および平面図である。図22(a)が、
可動部材11をその先端面側から見た側面図であり、図
22(b)が、可動部材11の先端部の平面図である。
図22(a)および図22(b)に示すように、可動部
材11の先端部に形成された複数の溝13gは、可動部
材11と平行、かつ液流路3の流路方向に対して垂直な
方向に並んでおり、それぞれの溝13gは、可動部材1
1の先端面から可動部材11の所定の位置にまで延びて
いる。このように複数の溝13gが形成されることによ
って、隣り合う2つの溝13g同士の間の部分が凸部と
なっており、これにより、可動部材11の吐出口4側の
先端部における先端ストッパ12a側の面に、第1の排
出促進構造としての凹凸部が設けられている。
【0097】そして、このように可動部材11に複数の
溝13gが形成されることによって、発熱体10上のイ
ンク中で発生した気泡によって可動部材11が変位して
先端ストッパ12aの溝13a側の面に近付いた際に、
先端ストッパ12aと可動部材11との間の領域にある
インクが、それぞれの溝13gを通してその領域の外部
に速やかに排出される。また、可動部材11が先端スト
ッパ12aに接触または近接している状態から、先端ス
トッパ12aから離れる方向に可動部材11が移動する
際にも、それぞれの溝13gを通して先端ストッパ12
aと可動部材11との間の領域にインクが供給される。
これにより、先端ストッパ12aに可動部材11が近付
く際、および先端ストッパ12aから可動部材11が離
れる際に、先端ストッパ12aと可動部材11との間の
液層による、可動部材11への抵抗が小さくなる。よっ
て、可動部材11が先端ストッパ12aに当接するまで
の時間、および可動部材11が先端ストッパ12aから
離れて初期状態の位置に戻るまでの時間が短くなる。
【0098】その結果、先端ストッパ12aに可動部材
11が近付く際に液流路3内での上流側への液体の移動
が抑制され、また、可動部材11の応答速度(応答周波
数)の低下が防止される。また、吐出口4からインクを
吐出させる動作において、液流路3内で上流側への液体
の回り込みが抑制されるので、メニスカスの振動も抑制
され、低駆動周波数から高駆動周波数まで安定した記録
品位が得られる。このインクの吐出動作において、発熱
体10による発泡エネルギーのロスも小さくなる。さら
に、可動部材11の応答周波数を高くして、液体吐出ヘ
ッドの駆動周波数を高めることができるので、高速の記
録が可能な液体吐出ヘッドを実現することができる。
【0099】図23〜図25は、図21および図22に
示した可動部材11の変形例について説明するための側
面図および平面図である。図23(a)、図24
(a)、図25b(a)が可動部材11の先端面側から
見た側面図であり、図23(b)、図24(b)、図2
5b(b)が可動部材11の先端部の平面図である。
【0100】図23(a)および図23(b)に示され
る可動部材11の変形例では、可動部材11の吐出口4
側の端部における先端ストッパ12a側の面に、可動部
材11の先端面より離れた位置から、流路方向に沿って
共通液室6側に所定の位置まで延びた溝13hと、可動
部材11の先端面から流路方向に沿って、溝13hと同
じ長さにまで延びた溝13iとがそれぞれ複数形成され
ている。溝13hと13iは、液流路3の流路方向と垂
直な方向に交互に並んでいる。従って、図23に示され
る可動部材11では、隣り合う2つの溝13h,13i
同士の長手方向の位置が異なるように、溝13h,13
iが互い違いに並んでいる。
【0101】図24(a)および図24(b)に示され
る可動部材11の変形例では、可動部材11の吐出口4
側の端部における先端ストッパ12a側の面に、液流路
3の流路方向と垂直な方向に延びる溝13jが複数形成
されている。
【0102】図25(a)および図25(b)に示され
る可動部材11の変形例では、可動部材11の吐出口4
側の端部における先端ストッパ12a側の面に、マトリ
クス状に配置された、複数の島状の凸部16が形成され
ている。これらの凸部16は、可動部材11のその面に
格子パターン状の溝13eを形成することによってでき
たものである。従って、島状の凸部16が複数形成され
ることによって、可動部材11の吐出口4側の先端部に
おける先端ストッパ12a側の面に凹凸部が設けられて
いる。
【0103】また、この可動部材11に、溝や凸部の代
わりに、第2の実施形態の液体吐出ヘッドにおいて先端
ストッパ12a内に形成した液流路14a,14bのよ
うな、排出路としての液流路を設けてもよい。この場
合、可動部材11に形成する液流路の一方の開口端を、
可動部材11の先端ストッパ12a側の面における先端
ストッパ12aと対向する位置に配置し、その液流路の
他方の開口端を、可動部材11の吐出口4側の先端面、
可動部材11の素子基板1側の面における支点11a近
傍の部分、あるいは可動部材11の先端ストッパ12a
側の面における先端ストッパ12aよりも上流側の部分
等に配置すればよい。
【0104】さらに、第4の実施形態の液体吐出ヘッド
のように側方ストッパ12bを設けた場合には、側方ス
トッパ12bに溝13fを形成せずに、可動部材11の
側部、すなわち側方ストッパ12bと接触する部分に、
排出路となる溝や液流路を形成してもよい。あるいは、
側方ストッパ12bおよび可動部材11の両方に、側方
ストッパ12bと可動部材11の間の領域のインクを排
出するための溝や液流路を形成してもよい。
【0105】(その他の実施形態) <サイドシュータタイプ>次に、本発明の液体吐出ヘッ
ドおよびその液体吐出原理を、互いに平行な2つの平面
上に発熱体と吐出口とが配置されて発熱体と吐出口とが
対面しているサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドに
適用したものについて図26〜図28を参照して説明す
る。図26は、このサイドシュータタイプの液体吐出ヘ
ッドについて説明するための図である。図26(a)
が、液体吐出ヘッドの流路方向に沿った断面図、図26
(b)が図26(a)のB−B’線断面図、図26
(c)が図26(a)のC−C’線断面図である。
【0106】図26において、素子基板1上の発熱体1
0と、天板2に形成された吐出口4とが相対するように
配設されている。吐出口4は発熱体10上を通る液流路
3と連通している。発熱体10と液体との接する面の近
傍領域には気泡発生領域が存在する。そして素子基板1
上に2つの可動部材11が支持され、各々の可動部材1
1は発熱体10の中心を通る面に対して面対称となるよ
うに形成されており、各々の可動部材11の自由端は発
熱体10上で向き合うように位置している。また、各々
の可動部材11は発熱体10への投影面積を等しくして
おり、各々の可動部材11の自由端同士は所望の寸法で
隔てられている。ここで、各可動部材11は発熱体10
の中心を通る面の分割壁で分割したと仮定した際、それ
ぞれの分割された発熱体10の中心付近に可動部材11
の自由端が位置するように設けられている。
【0107】天板2には各可動部材11の変位をある範
囲で規制する先端ストッパ12aおよび側方ストッパ1
2bが設けられている。各液流路3が連通した共通液室
6から吐出口4への流れにおいて、先端ストッパ12a
を境に上流側に、液流路3と比較して相対的に流路抵抗
の低い低流路抵抗領域が設けられている。この領域にお
ける流路構造は液流路3よりも流路断面積が大きいこと
で、液体の移動に対し流路から受ける抵抗を小さくして
いる。先端ストッパ12aの可動部材11側の面には、
液流路3の流路方向とほぼ平行な方向に延びる溝13a
が複数形成され、側方ストッパ12bの可動部材11側
の面には、液流路3の流路方向に対してほぼ垂直な方向
に延びる溝13fが複数形成されている。
【0108】このように溝13a,13fが形成されて
いることにより、上述したのと同様に可動部材11が速
やかに変位するので、吐出動作における液流路3の上流
側へのインクの移動が抑制され、可動部材11の応答速
度の低下が防止されている。図27および図28は、一
つの発熱体に対して一つの可動部材を設けた構成のサイ
ドシュータタイプの液体吐出ヘッドについて説明するた
めの図である。図27には、各可動部材の変位をある範
囲で規制する先端ストッパが天板に設けられた液体吐出
ヘッドが示され、図28には、その先端ストッパに加え
て側方ストッパが天板に設けられた液体吐出ヘッドが示
されている。図27(a)および図28(a)はそれぞ
れ、液体吐出ヘッドの流路方向に沿った断面図である。
図27(b)は、図27(a)に示した液体吐出ヘッド
において、気泡発生領域内を満たす液体の一部が発熱体
によって加熱され、膜沸騰に伴う気泡が最大に成長した
状態を示す断面図であり、図28(b)は、図28
(a)に示した液体吐出ヘッドにおいて、気泡発生領域
内を満たす液体の一部が発熱体によって加熱され、膜沸
騰に伴う気泡が最大に成長した状態を示す断面図であ
る。
【0109】なお、図28に示されるそれぞれの液体吐
出ヘッドでは、液流路方向の上流側への液体の慣性力を
抑制する効果を高めるために、液流路3内に設けられた
側方ストッパ12bの、可動部材11との接触面が、液
流路3の下流側に向かって素子基板1から離れる方向に
傾斜した傾斜部12dとなっている。この傾斜部12d
により、可動部材11が上昇したときに可動部材11
の、先端ストッパ12aおよび側方ストッパ12bへの
接触状態をより良好なものとすることができる。これに
よって、発泡時の上流側へのインク流がさらに減少し、
メニスカスの振動を抑制する効果がより高くなる。
【0110】次に、図27(a)および図27(b)に
示したそれぞれの液体吐出ヘッドの構造による特徴的な
作用効果について図27(b)および図28(b)を参
照して説明する。
【0111】図27(a)および図27(b)のそれぞ
れに示す状態では、発熱体10上の気泡発生領域内を満
たす液体の一部が発熱体10によって加熱され、膜沸騰
に伴う気泡40が最大に成長している。このとき、気泡
40の発生に基づく圧力により液流路3内の液体が吐出
口4に向かう方向に移動し、気泡40の成長により各可
動部材11が変位し、吐出口4から吐出滴66が飛び出
そうとしている。ここで、上流方向への液体の移動は低
流路抵抗領域によって大きな流れとなるが、可動部材1
1が先端ストッパ12aに接近または接触するまで変位
すると、可動部材11のそれ以上の変位が先端ストッパ
12aによって規制されるため、上流方向への液体の移
動もそこで大きく制限される。同時に気泡40の上流側
への成長も可動部材11で制限される。しかしながら、
図27(b)では、上流方向への液体の移動力は大きい
ため、可動部材11で成長を制限された気泡40の一部
は、液流路3を形成する側壁7と可動部材11の側面と
の間隙を通り、可動部材11の上面側に隆起している。
すなわち、可動部材11の上面側へと回り込む隆起気泡
41が形成されている。一方、図28(b)では、側方
ストッパ12bにより可動部材11と側壁7とのクリア
ランスが遮断されているため、可動部材11の上面側へ
と回り込む隆起気泡が形成されていない。
【0112】上記の膜沸騰の後に気泡40の収縮が開始
された場合、この時点では液体の上流方向への力が大き
く残るため、可動部材11は未だ先端ストッパ12aに
接触した状態であり、気泡40の収縮の多くは吐出口4
から上流方向への液移動を生じさせる。従って、メニス
カスはこの時点で吐出口4から液流路3内に大きく引き
込まれ、吐出液滴66と繋がっている液柱を強い力です
ばやく切り離す。その結果、吐出口4の外側にとり残さ
れる液滴すなわちサテライトが少なくなる。
【0113】消泡工程がほぼ終了すると、低流路抵抗領
域では液体の上流方向の移動力に対し可動部材11の反
発力(復元力)が勝り、可動部材11の下方変位と、そ
れに伴う低流路抵抗領域での下流方向への流れとが開始
される。これと同時に、低流路抵抗領域での下流方向へ
の流れは流路抵抗が小さい為、急速に大きな流れとなっ
て先端ストッパ12a近傍の部分を介して液流路3へ流
れ込む。
【0114】このような形態の液体吐出ヘッドでは、吐
出用液体を低流路抵抗領域より供給することで、リフィ
ル性をより高速に高めている。また、低流路抵抗領域に
隣接する共通液室がさらに流路抵抗を小さくしているの
で、さらに高速リフィルを可能にしている。
【0115】さらに、気泡40の消泡工程において、側
方ストッパ12bと可動部材11との間隙が低流路抵抗
領域から発熱体10上の気泡発生領域への液流を促進さ
せると共に、可動部材11が先端ストッパ12aから離
間して生じる、可動部材11の表面を伝わる急速な液体
供給と相まって、消泡を速やかに完了させる。
【0116】また、このような液体吐出ヘッドにおいて
も、先端ストッパ12aに溝13aが形成され、図28
の液体吐出ヘッドにおいては側方ストッパ12bにも溝
13fが形成されていることにより、上述したのと同様
に可動部材11が速やかに変位するので、吐出動作にお
ける液流路3の上流側へのインクの移動が抑制され、可
動部材11の応答速度の低下が防止されている。
【0117】本発明の液体吐出ヘッドは、上述したそれ
ぞれの実施形態のものや、図26〜図28に示したサイ
ドシュータタイプのものに限られるものではなく、上述
したように可動部材が変位する際に、その可動部材の変
位を規制する規制部材と可動部材との間の液層による可
動部材への抵抗を小さくなるような構造を有するもので
あれば本発明に含まれるものである。従って、本発明の
液体吐出ヘッドは、例えば、上述したような効果が得ら
れるように可動部材および規制部材のそれぞれに溝が形
成されたものなど、上述したそれぞれの液体吐出ヘッド
の特徴を組み合わせて構成されたものも当然含んでい
る。
【0118】<可動部材>上述したそれぞれの実施形態
において、可動部材は厚さ5μmの窒化シリコンで構成
したが、これに限られることなく可動部材を構成する材
質としては吐出液に対して耐溶剤性があり、可動部材と
して良好に動作するための弾性を有しているものであれ
ばよい。
【0119】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素、チッ化
珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。本発
明における可動部材としてはμmオーダーの厚さを対象
にしている。
【0120】次に、発熱体と可動部材の配置関係につい
て説明する。発熱体と可動部材の最適な配置によって、
発熱体による発泡時の液の流れを適正に制御して有効に
利用することが可能となる。
【0121】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図2
9に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係
にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが
存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様
子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在し
ていることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の
約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
【0122】従って、発泡圧を有効利用するためには、
発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域の直
上が可動部材に対し有効に作用する領域であるが、本発
明の場合、気泡発生領域のほぼ中央領域(実際には中央
から液の流れ方向に±約10μmの範囲)の上流側と下
流側の気泡の液路内の液流に対する作用を独立的に作用
せしめる段階と、総合的に作用せしめる段階とを区分せ
しめることに着目し、該中央領域より上流側部分のみが
可動部材に対面するように、可動部材を配置するのが極
めて重要であると、言える。本実施形態においては、発
泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上内側とした
が、発熱体の種類や形成方法によっては、これに限定さ
れるものではない。
【0123】さらに、前述した実質的密閉空間を良好に
形成するために、待機状態における可動部材と発熱体の
距離は10μm以下とするのが好ましい。
【0124】<記録装置>図30は、本発明の液体吐出
ヘッドを搭載し、吐出液体としてインクを用いた液体吐
出装置が組み込まれて構成されたインクジェット記録装
置を示す斜視図である。キャリッジHCは、インクを収
容する液体タンク部90と、液体吐出装置である記録ヘ
ッド部200とが着脱可能なヘッドカートリッジを搭載
しており、被記録媒体搬送手段で搬送される記録紙等の
被記録媒体150の幅方向に往復移動する。
【0125】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
HC上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この
信号に応じて記録ヘッド部から被記録媒体に対してイン
ク(記録液体)が吐出される。
【0126】また、本実施形態の記録装置においては、
被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための駆動
源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャリッ
ジに伝えるためのギア112,113、キャリッジ軸1
15等を有している。この記録装置およびこの記録装置
で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対し
て液体を吐出することで良好な画像の記録物を得ること
ができた。
【0127】図31は、本発明の液体吐出装置によりイ
ンクジェット式記録を行なうための記録装置全体のブロ
ック図である。
【0128】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り記録情報を制御信号として受ける。記録情報は記録装
置内部の入力インターフェイス301に一時保存される
と同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、
ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU(中央処理装
置)302に入力される。CPU302はROM(リー
ド・オンリー・メモリー)303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM(ランダム・アクセス・メモリー)304
等の周辺ユニットを用いて処理し、記録するデータ(画
像データ)に変換する。
【0129】また、CPU302は前記画像データを記
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙および記録ヘッド部を搭載したキャリ
ッジHCを移動する駆動用モータ306を駆動するため
の駆動データを作る。画像データおよびモータ駆動デー
タは、各々ヘッドドライバ307と、モータドライバ3
05を介し、記録ヘッド部200および駆動用モータ3
06に伝達され、それぞれ制御されたタイミングで駆動
され画像を形成する。
【0130】このような記録装置に用いられ、インク等
の液体の付与が行われる被記録媒体150としては、各
種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等
に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅
等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合
板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポン
ジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0131】また、この記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、または布帛に記録を行う捺染装置
等をも含むものである。
【0132】また、これらの液体吐出装置に用いる吐出
液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0133】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、液流路内
での可動部材の変位を所望の範囲に規制する規制部とそ
の可動部材とが実質的に接触することで、可動部材と規
制部とにより液流路の上流側と下流側を分断し、略密閉
状態を作る、可動部材および規制部の互いの面のうち少
なくともいずれか一方に凹凸部が形成されていることに
より、規制部に可動部材が近付く際に、規制部と可動部
材との間の液層による可動部材への抵抗が小さくなり、
規制部に可動部材が接触するまでの時間が短くなる。よ
って、吐出動作において液流路内でのその流路方向上流
側への液体の移動を抑制することができ、発熱体による
発泡エネルギーのロスを小さくすることができるという
効果がある。また、可動部材が規制部から離れて初期状
態の位置に戻るまでの時間も短くなり、可動部材の応答
速度(応答周波数)の低下を防止することができるとい
う効果がある。さらに、吐出口から液体を吐出させる動
作において、メニスカスの振動も抑制され、低駆動周波
数から高駆動周波数まで安定した記録品位を得ることが
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドにつ
いて説明するための断面図である。
【図2】図1に基づいて説明した液体吐出ヘッドの吐出
動作について説明するための図である。
【図3】図1に基づいて説明した液体吐出ヘッドの吐出
動作について説明するための図である。
【図4】図1に示した先端ストッパを素子基板側から見
た平面図である。
【図5】図1に示した先端ストッパの変形例を示す平面
図である。
【図6】図1に示した先端ストッパの変形例を示す平面
図である。
【図7】図1に示した先端ストッパの変形例を示す平面
図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドにつ
いて説明するための断面図である。
【図9】図8のB−B’線断面図である。
【図10】図8のC−C’線断面図である。
【図11】図8〜図10に基づいて説明した液体吐出ヘ
ッドの変形例について説明するための断面図である。
【図12】図11のB−B’線断面図である。
【図13】図10のC−C’線断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態の液体吐出ヘッドに
ついて説明するための断面図である。
【図15】図13に基づいて説明した液体吐出ヘッドの
吐出動作について説明するための図である。
【図16】図13に基づいて説明した液体吐出ヘッドの
吐出動作について説明するための図である。
【図17】本発明の第4の実施形態の液体吐出ヘッドに
ついて説明するための断面図である。
【図18】図17に基づいて説明した液体吐出ヘッドの
吐出動作について説明するための図である。
【図19】図17に基づいて説明した液体吐出ヘッドの
吐出動作について説明するための図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る液体吐出ヘッ
ドの、流路方向に沿った断面図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係る液体吐出ヘッ
ドの、流路方向に沿った断面図である。
【図22】図21に示した可動部材の先端部の側面図お
よび平面図である。
【図23】図21および図22に示した可動部材の変形
例について説明するための側面図および平面図である。
【図24】図21および図22に示した可動部材の変形
例について説明するための側面図および平面図である。
【図25】図21および図22に示した可動部材の変形
例について説明するための側面図および平面図である。
【図26】本発明の液体吐出ヘッドおよびその液体吐出
原理が適用されたサイドシュータタイプの液体吐出ヘッ
ドについて説明するための図である。
【図27】一つの発熱体に対して一つの可動部材を設け
た構成のサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドについ
て説明するための図である。
【図28】一つの発熱体に対して一つの可動部材を設け
た構成のサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドについ
て説明するための図である。
【図29】発熱体面積とインク吐出量との相対関係を示
す図である。
【図30】本発明の液体吐出ヘッドを搭載し、吐出液体
としてインクを用いた液体吐出装置が組み込まれて構成
されたインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図31】本発明の液体吐出装置によりインクジェット
式記録を行なうための記録装置全体のブロック図であ
る。
【符号の説明】
1 素子基板 2 天板 3、33 液流路 4、34 吐出口 6、36 共通液室 7 側壁 8 オリフィスプレート 10 発熱体 11 可動部材 11a 支点 11b 自由端 11c 凸部 12a、42a 先端ストッパ 12b、42b 側方ストッパ 12d 傾斜部 13a〜13j、43a、43f 溝 14a、14b 液流路 15、16 凸部 32 天板部 32a 溝付き天板 38 オリフィスプレート部 40 気泡 41 隆起気泡 66 吐出滴 90 液体タンク部 111 モータ 112、113 ギア 115 キャリッジ軸 150 被記録媒体 200 記録ヘッド部 300 ホストコンピュータ 301 入出力インターフェース 302 CPU 303 ROM 304 RAM 305 モータドライバ 306 駆動用モータ 307 ヘッドドライバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須釜 定之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 森 雅生 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA01 FA03 FA10 HA19 2C057 AF04 AF51 AG30 AG46 AN01 BA03 BA13

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体中に気泡を発生させるための熱エネ
    ルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分で
    ある吐出口と、該吐出口に連通すると共に、前記液体中
    に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する液流路
    と、前記気泡発生領域に設けられ、前記気泡の成長に伴
    い変位する可動部材と、前記可動部材の変位を所望の範
    囲に規制する規制部とを備え、前記発熱体による前記気
    泡発生時のエネルギーにより前記吐出口から前記液体を
    吐出する液体吐出ヘッドであって、 前記規制部は前記液流路の前記気泡発生領域に対向して
    設けられ、前記気泡の成長により変位した前記可動部材
    と前記規制部とが実質的に接触することで、前記可動部
    材と前記規制部とにより前記液流路の上流側と下流側を
    分断し、略密閉状態を作る、前記可動部材および前記規
    制部の互いの面のうち少なくともいずれか一方に凹凸部
    が設けられている液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 液体中に気泡を発生させるための熱エネ
    ルギーを発生する発熱体と、前記液体を吐出する部分で
    ある吐出口と、該吐出口に連通すると共に、前記液体中
    に気泡を発生させるための気泡発生領域を有する液流路
    と、前記気泡発生領域に設けられ、前記気泡の成長に伴
    い変位する可動部材と、前記可動部材の変位を所望の範
    囲に規制する規制部とを備え、前記発熱体による前記気
    泡発生時のエネルギーにより前記吐出口から前記液体を
    吐出する液体吐出ヘッドであって、 前記規制部は前記液流路の前記気泡発生領域に対向して
    設けられ、前記気泡の成長により変位した前記可動部材
    と前記規制部とが実質的に接触することで、前記可動部
    材と前記規制部とにより前記液流路の上流側と下流側を
    分断し、略密閉状態を作る、前記可動部材および前記規
    制部の互いの面のうち少なくともいずれか一方に、前記
    可動部材と前記規制部とが接触する前の、前記可動部材
    と前記規制部との間の領域に存在する液体を該領域の外
    部に排出する第1の排出促進構造を有する液体吐出ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記第1の排出促進構造は、前記気泡の
    成長により変位した前記可動部材と前記規制部とが実質
    的に接触する、前記可動部材および前記規制部の互いの
    面のうち少なくともいずれか一方に設けられた凹凸部で
    ある請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記凹凸部は、前記凹凸部が設けられる
    面に溝が形成されることによって構成されている請求項
    1または3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記凹凸部の形状が櫛歯状になっている
    請求項1または3に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 櫛歯状の前記凹凸部は、前記凹凸部が設
    けられる面に、前記液流路の流路方向に延びる複数の溝
    が形成されることにより構成されている請求項5に記載
    の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記複数の溝の長さが同じであり、隣り
    合う2つの前記溝同士の長手方向の位置が異なるように
    前記溝が前記液流路の流路方向に対して垂直な方向に互
    い違いに並んでいる請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記凹凸部は、前記凹凸部が設けられる
    面に島状の凸部が形成されることにより構成されている
    請求項1または3に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記凹凸部の凹部が穴であり、前記凹凸
    部が設けられた面とは異なる面に、前記穴の開口端が形
    成されている請求項1または3に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  10. 【請求項10】 前記気泡の成長に伴い変位した前記可
    動部材の側部に少なくとも一部が実質的に接触するサイ
    ド規制部をさらに有する請求項1〜9のいずれか1項に
    記載の液体吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記気泡の成長により変位した前記可
    動部材と前記サイド規制部とが実質的に接触する、前記
    可動部材および前記サイド規制部の互いの面のうち少な
    くともいずれか一方に、前記可動部材と前記サイド規制
    部とが接触する前の、前記可動部材と前記サイド規制部
    との間の領域に存在する液体を該領域の外部に排出する
    第2の排出促進構造をさらに有する請求項10に記載の
    液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記第2の排出促進構造は、前記気泡
    の成長により変位した前記可動部材と前記サイド規制部
    とが実質的に接触する、前記可動部材および前記サイド
    規制部の互いの面のうち少なくともいずれか一方に設け
    られた凹凸部である請求項11に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】 前記凹凸部は、前記凹凸部が設けられ
    る面に溝が形成されることによって構成されている請求
    項12に記載の液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記凹凸部の形状が櫛歯状になってい
    る請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 櫛歯状の前記凹凸部は、前記凹凸部が
    設けられる面に複数の溝が形成されることにより構成さ
    れている請求項14に記載の液体吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 隣り合う2つの前記溝同士の長手方向
    の位置が異なるように、前記溝が互い違いに並んでいる
    請求項15に記載の液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記凹凸部は、前記凹凸部が設けられ
    る面に島状の凸部が形成されることにより構成されてい
    る請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記凹凸部の凹部が穴であり、前記凹
    凸部が設けられた面とは異なる面に、前記穴の開口端が
    形成されている請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給される液
    体を保持する液体容器とを有するヘッドカートリッジ。
  20. 【請求項20】 請求項1〜18のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐出
    させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを
    有する液体吐出装置。
  21. 【請求項21】 請求項1〜18のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された
    液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
    とを有する液体吐出装置。
  22. 【請求項22】 前記液体吐出ヘッドから液体を吐出し
    て被記録媒体に前記液体を付着させることで記録を行う
    ものである請求項20または21に記載の液体吐出装
    置。
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