JPH0948122A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出方法

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JPH0948122A
JPH0948122A JP8140553A JP14055396A JPH0948122A JP H0948122 A JPH0948122 A JP H0948122A JP 8140553 A JP8140553 A JP 8140553A JP 14055396 A JP14055396 A JP 14055396A JP H0948122 A JPH0948122 A JP H0948122A
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liquid
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bubbles
heating element
ejection
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Application number
JP8140553A
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English (en)
Inventor
Kiyomitsu Kudo
清光 工藤
Takeshi Okazaki
猛史 岡崎
Fumi Yoshihira
文 吉平
Yoshie Nakada
佳恵 中田
Toshio Kashino
俊雄 樫野
Makiko Kimura
牧子 木村
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
    • B41J2/14032Structure of the pressure chamber
    • B41J2/14048Movable member in the chamber

Abstract

(57)【要約】 【課題】 可動部材の耐久性を向上させつつ吐出効率、
吐出圧をさらに向上させた液体吐出ヘッド等の提供を目
的とする。 【解決手段】 液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出
口18に連通する液流路10と、液体に気泡を発生させ
る気泡発生領域11と、この領域11に面して配され、
支点33と自由端32とを備えた可動部材31を有し、
領域11での気泡40の発生に基づく圧力によって、可
動部材31を変位させ、この変位によって液体を吐出口
18から吐出する。可動部材11は、領域11に対向す
る部分に、自由端32側の可動部分が相対的に大きく変
位できることを許可する変化部を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを用
いたヘッドカートリッジ、液体吐出装置および液体吐出
方法に関する。さらに、これらの液体吐出ヘッドを有す
るインクジェットヘッドキットに関する。
【0002】特に本発明は、気泡の発生を利用して変位
する可動部材を用いる液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッド
を用いたヘッドカートリッジ、液体吐出装置に関する。
もしくは、気泡の発生を利用して可動部材を変位させて
液体を吐出する液体吐出方法、記録方法に関する。
【0003】また本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮革、
金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の
被記録媒体に対し記録を行う、プリンター、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
【0004】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0005】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許第4,723,129号等の公報に開示されているよ
うに、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に
連通するインク流路と、インク流路内に配されたインク
を吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変
換体が一般的に配されている。
【0006】このような記録方法によれば、品位の高い
画像を高速、低騒音で記録することができると共に、こ
の記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐
出口を高密度に配置することができるため、小型の装置
で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得
ることができるという多くの優れた点を有している。こ
のため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0007】このようにバブルジェット技術が多方面に
利用されるに従って、次のような様々な要求が近年さら
に高まっている。
【0008】例えば、エネルギー効率の向上の要求に対
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
【0009】また、高画質な画像を得るために、インク
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
【0010】この流路形状の内、流路構造として図1
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。これらの公報に記載され
ている流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴っ
て発生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向
へ向かう圧力、すなわち液室12へ向かう圧力)に着目
した発明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエ
ネルギーでないため損失エネルギーとして知られてい
る。
【0011】図1(a),(b)に示す発明は、発熱素
子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ、かつ発熱素
子2に関して吐出口11とは反対側に位置する弁10を
開示する。図1(b)においては、この弁10は、流路
3の天井に貼り付いたように初期位置を持ち、気泡の発
生に伴って流路3内へ垂れ下がるものとして開示されて
いる。この発明は、上述したバック波の一部を弁10に
よって抑制することでエネルギー損失を抑制するものと
して開示されている。
【0012】しかしながら、この構成において、吐出す
べき液体を保持する流路3内部に、気泡が発生した際を
検討するとわかるように、弁10によるバック波の一部
を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なもので
ないことがわかる。
【0013】もともとバック波自体は、前述したように
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
3内に発生した時点では、図1(b)に示すように、気
泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路3から液
体を吐出可能状態にしている。従って、バック波のう
ち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に
大きな影響を与えないことは明らかである。
【0014】他方、バブルジェット記録方法において
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生す
ることで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なイ
ンクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐
出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十
分に気泡が得られにくい液体の場合においても、吐出す
べき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望
まれていた。
【0015】このような観点から、熱により気泡を発生
させる液体液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)と
を別液体とし、発泡液の発泡による圧力を吐出液に伝達
することで吐出液を吐出する方法が、特開昭61−69
467号公報、特開昭55−81172号、米国特許第
4,480,259号等の公報に開示されている。これ
らの公報では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコ
ンゴムなどの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が
直接接しないようにすると共に、発泡液の発泡による圧
力を可撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとっ
ている。このような構成によって、発熱体表面の堆積物
の防止や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成してい
る。
【0016】しかしながら、このように吐出液と発泡液
とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の圧
力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成で
あるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収して
しまう。また、可撓性膜の変形量があまり大きくないた
め、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得る
ことはできるものの、かえってエネルギー効率や吐出力
が低下してしまっていた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基本的に従
来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成し
て液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来で
は考えられなかった観点から、従来では予想できない水
準に高めることを主たる背景課題とする。
【0018】発明者らは、液滴吐出の原理に立ち返り、
従来では得られなかった気泡を利用した新規な液滴吐出
方法およびそれに用いられるヘッド等を提供すべく鋭意
研究を行った。このとき、流路中の可動部材の機構の原
理を解析すると言った液流路中の可動部材の動作を起点
とする第1技術解析、および気泡による液滴吐出原理を
起点とする第2技術解析、さらには、気泡形成用の発熱
体の気泡形成領域を起点とする第3解析を行うことにし
た。
【0019】これらの解析によって、可動部材の支点と
自由点の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立するに至った。
【0020】次に、気泡自体が吐出量に与えるエネルギ
ーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮すること
が吐出特性を格段に向上できる要因として最大であると
の知見に至った。つまり、気泡の下流側の成長成分を吐
出方向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出速
度の向上をもたらすことも判明した。このことから、発
明者らは気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材の
自由端側に移動させることで従来の技術水準に比べて高
い技術水準に至った。
【0021】さらに、気泡を形成するための発熱領域例
えば電気熱変換体の液体の流れ方向の面積中心を通る中
心線から下流側、あるいは発泡を司る面における面積中
心等の気泡下流側の成長にかかわる可動部材や液流路等
の構造的要素を勘案することも好ましいということがわ
かった。
【0022】特に本発明で注目したことは、可動部材の
耐久性の向上についてである。
【0023】そこで、発明者らは、発泡領域に対向する
部分の可動部材の挙動について検討し、構造や可動部材
の全体の構造等を考慮することで、吐出効率、吐出力を
一層安定化かつ向上させ、さらに可動部材の耐久性を向
上させることもできるという画期的な技術を導き出すに
至った。
【0024】本発明の主たる目的は以下の通りである。
【0025】第1の目的は、可動部材を用いて発生した
気泡を制御することで、吐出効率や吐出速度の向上を図
った液体吐出ヘッドや液体吐出方法等に対して、可動部
材の変位領域中に変化点を与えることで、可動部材の耐
久性を向上させつつ吐出効率、吐出圧をさらに向上させ
ることにある。
【0026】本発明の第2の目的は、第1の目的に加え
て吐出効率、吐出力の向上を図りつつ、発熱体上の液体
への蓄熱を大幅に軽減できると共に、発熱体上の残留気
泡の低減を図ることで、良好な液体の吐出を行いうる液
体吐出方法、液体吐出ヘッド等を提供することにある。
【0027】本発明の第3の目的は、さらにバック波に
よる液体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑え
ると同時に、可動部材の弁機能によってメニスカス後退
量を低減させることで、リフィル周波数を高め、印字ス
ピード等を向上させた液体吐出ヘッド等を提供すること
にある。
【0028】加えて、本発明の第4の目的は、発熱体上
への堆積物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広
げることができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い
液体吐出方法、液体吐出ヘッド等を提供することにあ
る。
【0029】また、本発明の第5の目的は、吐出する液
体の選択自由度を高くできる液体吐出方法、液体吐出ヘ
ッド等を提供することにある。
【0030】また、本発明の第6の目的は、本発明の液
体吐出ヘッドに対し、供給される液体を充填することが
できるヘッドキットを提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
【0032】液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連
通する液流路と、液体に気泡を発生させる気泡発生領域
と、前記気泡発生領域に面して配され、支点と該支点に
対し相対的に吐出口側に位置した自由端とを備えた可動
部材を有し、前記気泡発生領域での気泡の発生に基づく
圧力によって、前記可動部材を変位させ、該可動部材の
変位によって液体を前記吐出口から吐出する液体吐出ヘ
ッドであって、前記可動部材は、前記気泡発生領域に対
向する部分に、自由端側の可動部分と支点側の可動部分
との相対的な変位の大きさを変える変曲部を有する液体
吐出ヘッド、もしくは、液体を吐出する吐出口と、前記
吐出口に連通する液流路と、液体に気泡を発生させる気
泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して配され、支点
と該支点に対し相対的に吐出口側に位置した自由端とを
備えた可動部材を有し、前記気泡発生領域での気泡の発
生に基づく圧力によって、前記可動部材を変位させ、該
可動部材の変位によって液体を前記吐出口から吐出する
液体吐出ヘッドであって、前記可動部材は支点部分の厚
みより厚みが薄い部分を有する液体吐出ヘッド、もしく
は、吐出口に連通した第1の液流路と、液体に熱を加え
ることで該液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有す
る第2の液流路と、前記第1の液流路と前記気泡発生領
域との間に配され、吐出口側に自由端を有し、前記気泡
発生領域内での気泡の発生による圧力に基づいて該自由
端を前記第1の液流路側に変位させて前記圧力を前記第
1の液流路の吐出口側に導く可動部材と、を有し、前記
可動部材は支点部分の厚みより厚みが薄い部分を有する
液体吐出ヘッド、もしくは、液体を吐出する吐出口と、
液体に気泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生
領域に面して配され、支点と該支点に対して相対的に吐
出口側に自由端を備えた可動部材とを有する液体吐出ヘ
ッドを用い、該可動部材の前記自由端を、前記気泡発生
領域での気泡の発生に基づく圧力によって変位させ、前
記可動部材の変位によって、前記吐出口から液体を吐出
する液体吐出方法であって、前記可動部材は前記気泡発
生領域に対向する位置に支点側の可動部分と相対的な変
位の大きさを変える変曲部が設けられており、この変化
部から自由端側を支点側より大きく変位させる液体吐出
方法、もしくは、気泡の発生によって液体を吐出する液
体吐出方法において、液体を吐出する吐出口と、液体に
気泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に
面して配され、支点と該支点に対して相対的に吐出口側
に自由端を備えた可動部材とを有する液体吐出ヘッドを
用い、該可動部材の前記自由端を、前記気泡発生領域で
の気泡の発生に基づく圧力によって変位させ、前記可動
部材の変位によって、前記吐出口から液体を吐出する液
体吐出方法であって、前記可動部材は前記気泡発生領域
に対向する位置に支点側の可動部分と相対的な変位の大
きさを変える変曲部が設けられており、この変曲部から
自由端側を支点側より大きく変位させる液体吐出方法、
もしくは、液体を吐出する吐出口と、液体に気泡を発生
させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して配さ
れ、支点と該支点に対して相対的に吐出口側に自由端を
備えた可動部材とを有する液体吐出ヘッドを用い、該可
動部材の前記自由端を、前記気泡発生領域での気泡の発
生に基づく圧力によって変位させ、前記可動部材の変位
によって、前記吐出口から液体を吐出する液体吐出方法
であって、前記可動部材が支点部分の厚みより、厚みが
薄い部分を有する液体吐出方法、もしくは、上述の液体
吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給される液体を保
持する液体容器とを有するヘッドカートリッジ、もしく
は、上述のヘッドカートリッジにおいて、前記液体吐出
ヘッドと、前記液体容器とは分離可能であるヘッドカー
トリッジ、もしくは、上述の液体吐出ヘッドと、該液体
吐出ヘッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給
する駆動信号供給手段と、を有する液体吐出装置、もし
くは、上記気泡発生領域には上記可動部材に少なくとも
一部が対向する発熱体を有し、該発熱体は駆動によって
膜沸騰を生じせしめ気泡を形成し、該発熱体の中央部に
対向する位置から上記支点に向かう上流域であって、か
つ発熱体に対向する位置の範囲内に上記変化部を有して
いる液体吐出ヘッド、もしくは、液体の吐出口と対面し
て配された、液体に気泡を生じさせるための熱を発生す
る発熱面を有する基板と、前記発熱面と前記吐出口との
間に介在するように設けられた、前記気泡によって変位
する自由端を有する可動部材と、前記可動部材は、前記
気泡発生領域に対向する部材に、自由端側の可動部分と
の支点側の可動部分との相対的な変位の大きさを変える
変曲部を有し、該可動部材の前記自由端が前記気泡によ
って変位した変位時に前記可動部材の前記発熱面側の面
と対向する対向部材であって、前記変位時に前記可動部
材と共働して前記気泡を前記吐出口の方へ導くための当
該対向部材と、を有する液体吐出ヘッド、もしくは、液
体に気泡を生じさせるための熱を発生する発熱面を有す
る基板と、液体の吐出口が設けられた吐出口部材と、が
自由端を有する可動部材を介して対面することにより、
前記基板と前記吐出口部材との間に液流路が形成されて
おり、前記基板の前記液流路側の面と前記吐出口部材の
前記液流路側の面とが前記液流路内において交差せず、
前記吐出口から前記気泡に基づいて液体を吐出する液体
吐出方法であって、前記液流路における前記吐出口への
液体の供給方向に関して下流側に前記可動部材の前記自
由端が配され、前記可動部材は、前記気泡発生領域に対
向する部材に、自由端側の可動部分と支点側の可動部分
との相対的な変位の大きさを変える変曲部を有し、前記
気泡が、前記可動部材の前記自由端を変位させ、該変位
に応じて前記吐出口の方へ成長することにより、液体を
吐出する液体吐出方法、もしくは、気泡の発生によって
液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体を吐出す
る吐出口と、前記吐出口に連通する液流路と、液体に気
泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面
して配され、支点と該支点に対し相対的に吐出口側に位
置した自由端とを備えた可動部材を有し、前記気泡発生
領域での気泡の発生に基づく圧力によって、前記可動部
材を変位させ、該可動部材の変位によって液体を前記吐
出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、気泡発生領
域に対向して配され、変位増進部がない場合に比べ、前
記可動部材の変位を大きくするための変位増進部を有す
る液体吐出ヘッド。
【0033】本発明中の代表的な発明においては、可動
部材の厚さを支点と自由端との間で薄くすることによっ
て、可動部材の耐久性を向上させつつ気泡発生領域で発
生した圧力による可動部材の変位を大きくすることがで
き、さらに吐出効率、吐出圧を向上させることができ
る。
【0034】加えて、上述したような、極めて新規な吐
出原理に基づく本発明の液体吐出方法、ヘッド等による
と、発生する気泡とこれによって変位する可動部材との
相乗効果を得ることができ、吐出口近傍の液体を効率よ
く吐出できるため、従来のバブルジェット方式の吐出方
法、ヘッド等に比べて、吐出効率を向上できる。例え
ば、本発明の最も好ましい形態においては、2倍以上と
いう飛躍的な吐出効率の向上を達成できた。
【0035】この発明のさらに特徴的な構成によれば、
低温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出に
なることを防止でき、仮に不吐出になっても、予備吐出
や吸引回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常
状態に即座に復帰できる利点もある。
【0036】具体的には64個の吐出口をもつ従来のバ
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
【0037】また、特に本発明のリフィル特性を向上し
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
【0038】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0039】なお、本発明でいう可動部材の「変曲部」
(変化部)とは、可動部材の支点とは異なる点で可動部
材の支点と自由端との間で、可動部材の動作時に支点側
と自由端側との間で相対的に変化しやすい部分を意味す
る。この具体的な構成は可動部材の厚みや材質、また、
これらに加えて幅が可動部材の変化部の前後の少なくと
も一方に対して、変形特性の変曲点となるように設けれ
ばよい。
【0040】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0041】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0042】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0043】さらに、本発明でいう「分離壁」とは、広
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
【0044】さらに、本発明でいう可動部材の「自由端
部」とは可動部材の下流側端部である自由端およびその
近傍を含み、また可動部材の下流側の角近傍を含むもの
を意味している。
【0045】さらに、本発明でいう可動部材の「自由端
領域」とは可動部材の下流側端部である自由端自体、あ
るいは自由端側端、自由端と側端を合わせた領域のいず
れかを意味している。
【0046】また、本発明でいう後述する図14
(a),(b)のように「可動部材に対する液流路の抵
抗」とは、可動部材が気泡の発生に伴って、気泡発生領
域から遠ざかる方向に移動する際に、液流路内の液体が
可動部材に与える抵抗を意味する。従って、本発明は、
この抵抗を変化させること、即ち抵抗勾配を持たせた
り、物理的なストッパによる抵抗や液体を介在させての
実質的なストッパによる抵抗等を用いることで、可動部
材の挙動を制御しようとする技術内容を全て含むもので
ある。以下、この抵抗を単に「抵抗」または「流抵抗」
と表現する。
【0047】
【発明の実施の形態】
(原理説明)以下、図面を参照して本発明に適用される
吐出原理について説明する。
【0048】図2は、液体吐出ヘッドを液流路方向で切
断した断面模式図を示しており、図3は、この液体吐出
ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0049】図2の液体吐出ヘッドは、液体を吐出する
ための吐出エネルギ発生素子として、液体に熱エネルギ
を作用させる発熱体2(図3においては、40μm×1
05μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1に設けられ
ており、この素子基板上に発熱体2に対応して液流路1
0が配されている。液流路10は吐出口18に連通して
いると共に、複数の液流路10に液体を供給するための
共通液室13に連通しており、吐出口から吐出された液
体に見合う量の液体をこの共通液室13から受け取る。
【0050】この液流路10の素子基板上には、前述の
発熱体2に対向するように面して、金属等の弾性を有す
る材料で構成され、平面部を有する板状の可動部材31
が片持梁状に設けられている。この可動部材の一端は液
流路10の壁や素子基板上に感光性樹脂などをパターニ
ングして形成した土台(支持部材)34等に固定されて
いる。これによって、可動部材は保持されると共に支点
(支点部分)33を構成している。
【0051】この可動部材31は、液体の吐出動作によ
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部分;固定
端)33を持ち、この支点33に対して下流側に自由端
(自由端部分)32を持つように、発熱体2に面した位
置に発熱体2を覆うような状態で発熱体から15μm程
度の距離を隔てて配されている。この発熱体と可動部材
との間が気泡発生領域となる。なお、発熱体、可動部材
の種類や形状および配置はこれに限られることなく、後
述するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状
および配置であればよい。なお、上述した液流路10
は、後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材
31を境にして直接吐出口18に連通している部分を第
1の液流路14とし、気泡発生領域11や液体供給路1
2を有する第2の液流路16の2つの領域に分けて説明
する。
【0052】発熱体2を発熱させることで可動部材31
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱を作用
し、液体に米国特許第4,723,129号明細書に記
載されているような膜沸騰現象に基づく気泡を発生させ
る。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動部材に優先的
に作用し、可動部材31は図2(b),(c)もしくは
図3で示されるように支点33を中心に吐出口側に大き
く開くように変位する。可動部材31の変位若しくは変
位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や気
泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0053】ここで、本発明に適用される基本的な吐出
原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理
の一つは、気泡に対面するように配された可動部材が気
泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1
の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、こ
の変位する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力
や気泡自身を吐出口18が配された下流側へ導くことで
ある。
【0054】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図4と本発明に適用される基本
原理を説明する図5とを比較してさらに詳しく説明す
る。なお、ここでは吐出口方向への圧力の伝搬方向をV
A,上流側への圧力の伝搬方向をVBとして示した。
【0055】図4で示されるような従来のヘッドにおい
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1
〜V8のように気泡表面の垂直方向となり様々な方向を
向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼす
VA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V
4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧
力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出
速度等に直接寄与する重要な部分である。さらに、V1
は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働き、逆
にV4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0056】これに対して、図5で示される本発明の場
合には、可動部材31が図3の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側
(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するも
のであり、これにより気泡40の圧力が直接的効率よく
吐出に寄与することになる。
【0057】そして、気泡の成長方向自体も圧力伝搬方
向V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流より下流
で大きく成長する。このように、気泡の成長方向自体を
可動部材によって制御し、気泡の圧力伝搬方向を制御す
ることで、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根本的な
向上を達成することができる。
【0058】次に、図2に戻って、上述した液体吐出ヘ
ッドの吐出動作について詳しく説明する。
【0059】図2(a)は、発熱体2に電気エネルギ等
のエネルギが印加される前の状態であり、発熱体が熱を
発生する前の状態である。ここで重要なことは、可動部
材31が、発熱体の発熱によって発生した気泡に対し、
この気泡の少なくとも下流側部分に対面する位置に設け
られていることである。つまり、気泡の下流側が可動部
材に作用するように、液流路構造上では少なくとも発熱
体の面積中心3より下流(発熱体の面積中心3を通って
流路の長さ方向に直交する線より下流)の位置まで可動
部材31が配されている。
【0060】図2(b)は、発熱体2に電気エネルギ等
が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって気
泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、発生し
た熱によって気泡発生領域11内を満たす液体の一部を
加熱し、膜沸騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0061】このとき可動部材31は気泡40の発生に
基づく圧力により、気泡の圧力の伝搬方向を吐出口方向
に導くように第1位置から第2位置へ変位する。ここで
重要なことは前述したように、可動部材31の自由端3
2を下流側(吐出口側)に配置し、支点33を上流側
(共通液室)に位置するように配置して、可動部材の少
なくとも一部を発熱体の下流部分すなわち気泡の下流部
分に対面させることである。
【0062】図2(c)は気泡40がさらに成長した状
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡は上流より下
流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位置(点線
位置)を越えて大きく成長している。
【0063】このように気泡40の成長に応じて可動部
材31が徐々に変位してゆくことで気泡40の圧力伝搬
方向や体積移動のしやすい方向、すなわち自由端側への
気泡の成長方向を吐出口に均一的に向かわせることがで
きることも吐出効率を高めると考えられる。可動部材は
気泡や発泡圧を吐出口方向へ導く際もこの伝達の妨げに
なることはほとんど伝搬する圧力の大きさに応じて効率
よく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することが
できる。
【0064】図2(d)は気泡40が、前述した膜沸騰
後、気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
【0065】第2の位置まで変位していた可動部材31
は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性によ
る復元力によって図2(a)の初期位置(第1の位置)
に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域11での
気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液体の体
積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液室側か
ら流れのVD1、VD2のように、また、吐出口側から
流れのVcのように液体が流れ込んでくる。
【0066】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明に適
用可能な液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについ
て説明する。
【0067】図2(c)の後、気泡40が最大体積の状
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域に、第1液流路14の吐出
口側と第2液流路16の共通液室13側から流れ込む。
可動部材31を持たない従来の液流路構造においては、
消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共通液室か
ら流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出口に近い
部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさに起因す
る(流路抵抗と液体の慣性に基づくものである)。
【0068】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量がおおきくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0069】これに対して本構成は可動部材31を設け
たため、気泡の体積Wを可動部材の第1位置を境に上側
をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、消泡時
に可動部材が元の位置に戻った時点でメニスカスの後退
はとまり、その後残ったW2の体積分の液体供給は主に
第2流路16の流れVD2からの液供給によって成され
る。これにより、従来、気泡Wの体積の半分程度に対応
した量がメニスカスの後退量になっていたのに対して、
それより少ないW1の半分程度のメニスカス後退量に抑
えることが可能になった。
【0070】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材31の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2液流路の上流側(VD2)から強制的に行
うことができるため、より速いリフィルを実現できた。
【0071】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本実施例のリフィルにおいては可動部材によ
って吐出口側の第1液流路14の領域と、気泡発生領域
11との吐出口側での液体の流通が抑制されるためメニ
スカスの振動を極めて少なくすることができることであ
る。
【0072】このように本発明に適用される上述した構
成は、第2液流路16の液供給路12を介しての発泡領
域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や振動
の要請によって高速リフィルを達成することで、吐出の
安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に用いた場
合、画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0073】本発明の上述した構成においては、さらに
次のような有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡
の発生による圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制
することである。発熱対2上で発生した気泡の内、共通
液室13側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが
上流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になっ
ていた。このバック波は、上流側の圧力と、それによる
液移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、こ
れらは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動
の妨げにもなっていた。本構成においては、まず可動部
材31によって上流側へのこれらの作用を抑えることで
もリフィル性の向上をさらに図っている。
【0074】次に、更なる特徴的な構造と効果につい
て、以下に説明する。
【0075】第2液流路16は、発熱体2の上流に発熱
体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面が大きく落
ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12を有してい
る。このような場合、気泡発生領域11および発熱体2
の表面への液体の供給は、可動部材31の気泡発生領域
11に近い側の面に沿って、VD2のように行われる。
このため、発熱体2の表面上に液体が淀むことが抑制さ
れ、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡できずに
残った、いわゆる残留気泡が除去され易く、また、液体
への蓄熱が高くなりすぎることもない。従って、より安
定した気泡の発生を高速に繰り返し行うことができる。
なお、本構成では、実質的に平坦な内壁を持つ液体供給
路12を持つもので説明したが、これに限らず、発熱体
表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を有する液供
給路であればよく、発熱体上に液体の淀みや、液体の供
給に大きな乱流を生じない形状であればよい。
【0076】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット35)を介してVD1から行わ
れるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに有
効に吐出口に導くために図2に示すように気泡発生領域
の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動部材
を用い、可動部材31が第1の位置への復帰すること
で、気泡発生領域11と第1液流路14の吐出口に近い
領域との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場合、
前述のVD1から気泡発生領域11に向かっての液体の
流れが妨げられる。しかし、本構成のヘッド構造におい
ては、気泡発生領域に液体を供給するための流れVD2
があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、可動部
材31で気泡発生領域11を覆うような吐出効率向上を
求めた構造を取っても、液体の供給性能を落とすことが
ない。
【0077】ところで、可動部材31の自由端32と支
点の位置は、例えば図6で示されるように、自由端が相
対的に支点より下流側にある。このような構成のため、
前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向や成長方向を吐
出口側に導く等の機能や効果を効率よく実現できるので
ある。さらに、この位置関係は吐出に対する機能や効果
のみならず、液体の供給の際にも液流路10を流れる液
体に対する流抵抗を小さくでき高速にリフィルできると
いう効果を達成している。これは図6に示すように、吐
出によって後退したメニスカスMが毛管力により吐出口
18へ復帰する際や、消泡に対しての液供給が行われる
場合に、液流路10(第1液流路14、第2液流路16
を含む)内を流れる流れS1,S2,S3に対し、逆ら
わないように自由端と支点33とを配置しているためで
ある。
【0078】補足すれば、本構成(図2)においては、
前述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を
上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱
体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方向に直交す
る線)より下流側の位置に対向するように発熱体2に対
して延在している。これによって発熱体の面積中心位置
3より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与する圧
力、又は気泡を可動部材31が受け、この圧力および気
泡を吐出口側に導くことができ、吐出効率や吐出力を根
本的に向上させることができる。
【0079】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。また、本構成においては、
可動部材31の自由端が瞬間的に機械的変位を行ってい
ることも、液体の吐出に対して有効に寄与していると考
えられる。
【0080】
【実施例】以上、本発明に適用される液体吐出方法およ
び液体吐出ヘッドの基本原理について説明を行った。本
発明の主たる吐出原理および構成については先の説明と
同じであるが、本発明は、この液体吐出方法および液体
吐出ヘッドをさらに改良したものである。以下に、本発
明の各実施例について説明を行う。
【0081】なお、以下の各実施例を、第1液流路14
と第2液流路16とが以下に説明するように分離壁30
で区分されたヘッドを用いて説明するが、これに限ら
ず、前述した各形態のヘッドにおいても、以下の各実施
例の特徴を同様に適用できるものである。
【0082】(実施例1)図7は、本実施例の液体吐出
ヘッドの流路方向の断面模式図を示している。
【0083】本実施例の液体吐出ヘッドは、液体に気泡
を発生させるための熱エネルギを与える発熱体2(40
×100μm)が設けられた素子基板1上に、第2液流
路16があり、その上に吐出口18に直接連通した第1
液流路14が配されている。
【0084】ここで、第1液流路の上流側から下流側に
対しての構造は、図示されているように吐出口に向かっ
て可動部材31に対して高さが徐々に高くなっている。
【0085】第1液流路の上流側は、複数の第1液流路
に吐出液を供給するための第1共通液室15に連通して
おり、第2液流路の上流側は、複数の第2液流路に発泡
液を供給するための第2共通液室に連通している。
【0086】但し、発泡液と吐出液を同じ液体とする場
合には、共通液室を一つにして共通化させてもよい。
【0087】第1と第2の液流路の間、つまり、図8で
示されるように発熱体2としての発熱抵抗部と、この発
熱抵抗部に電気信号を印加するための配線電極(不図
示)とが配された素子基板1上に、第2の液流路を構成
する空間を介した位置には、金属等の弾性を有する材料
で構成された分離壁30が配されており、第1液流路と
第2液流路とを区分している。なお、発泡液と吐出液と
ができる限り混ざり合わない方がよい液体の場合には、
この分離壁によってできる限り完全に第1液流路14と
第2液流路16の液体の流通を分離した方がよいが、発
泡液と吐出液とがある程度混ざり合っても、問題がない
場合には、分離壁に完全分離の機能を持たせなくてもよ
い。
【0088】発熱体の面方向上方への投影空間(以下吐
出圧発生領域という。;図7中のAの領域とBの気泡発
生領域11)に位置する部分の分離壁は、スリット35
によって吐出口側(液体の流れの下流側)が自由端で、
共通液室(15、17)側に支点33が位置する片持梁
状の可動部材31(40×200μm)となっている。
この可動部材31は、気泡発生領域11(B)に面して
配されているため、発泡液の発泡によって第1液流路側
に向けて開口するように動作する(図中矢印方向)。
【0089】本実施例の可動部材31は、その厚みが支
点33から自由端32の間で支点部分より薄い部分を有
している。言い換えれば、変化部を連続して有する可動
部材である。本実施例では厚み5μmの支点部33から
自由端(厚み2μm)に向かって徐々に可動部材の厚み
が薄くなっている。このような構成によって、発熱体2
によって形成される気泡形成に基づいた可動部材の変位
状態は、自由端側で大きくそるようになる。これは、図
9で示すように、厚みが均一の可動部材の変化状態と比
較して同じ気泡に対して自由端が最大となるように全体
的に大きな変化を得ることができ、発泡時の圧力および
気泡の成長を吐出口側により効率よく導くことができ
る。
【0090】また、このとき支点部分に作用する応力
は、厚みの変化によって分散され、厚みが均一の可動部
材と比較して小さくなる。従って、可動部材の耐久性を
大きく向上することができる。従って、可動部材の耐久
性を向上させつつ、吐出効率や吐出圧をさらに向上させ
ることができる。
【0091】なお、図8に示すように、発熱体2に対向
して、上記可動部材31の上記変化点が存在している。
【0092】図10は、上述の可動部材31と第2の液
流路16との配置関係を説明するための図であり、同図
(a)は可動部材31を情報から見た図であり、同図
(b)は分離壁30を外した第2の液流路を情報から見
た図である。そして、同図(c)は、可動部材31と第
2の液流路16との配置関係をこれらと重ねることで模
式的に示した図である。
【0093】同図(d)は、本発明可動部材の変化点も
しくは変化部(変曲点もしくは変曲部ともいう。)を与
える実施例を示すもので、厚みは一定であるが、変化点
において材質が異なっている。この変化点は、前述した
ような厚み減少部分を作成した後で、この部分に可動部
材を構成する材質よりも弾性率が小さい、あるいは剛性
が小さい等のもので曲がり易い材質を埋め込んだもので
ある。本構成のものをさらに厚みや幅の大きさを小さく
して変化点としても良い。同図(d)も上記図7〜図9
で説明した応力分散効果を得ることができ、上記実施例
と同様の効果を得ることができる。
【0094】発熱体2としては、40×105μmの形
状のものを用い、可動部材はこの発熱体が配された前記
室をほぼ覆うような状態で配されている。なお、発熱体
や可動部の大きさや形状および配置は、これに限られる
ことなく、発泡時の圧力を吐出圧として有効に利用でき
る形状および配置にすればよい。
【0095】また、本実施例においては、厚さ15μm
のドライフィルムを基板上に配し、パターニングするこ
とで第2の液流路4を構成する流路壁を形成している
が、これに限られることなく、液流路の材質としては発
泡液に対しての耐溶剤性があり、流路壁形状を容易に形
成できるものであればよい。そのような材質として、上
述のドライフィルムに加えて、液体レジスト、ポリサル
フォン、ポリエチレン等の樹脂、金、シリコン、ニッケ
ル等の金属、ガラスなどが挙げられる。
【0096】また、本実施例では、第1液流路14や第
1共通液室15等は、吐出口18を有するオリフィスプ
レートと液流路14を構成する溝と、複数の液流路14
に共通に連通し液体を夫々の液流路に供給するための第
1共通液室15を構成する凹部とを有する溝付天板を分
離壁31と接合することで形成した。
【0097】上述のように本実施例においては、可動部
材の厚みが支点部より自由端側に向かって薄くなってい
るため、可動部材が変位する時、可動部材の自由端側が
大きく変位する。従って、前述したのと同様に、支点部
分の耐久性を向上させつつ、吐出効率および吐出力の向
上をさらに図ることができる。
【0098】(実施例2)図11は、可動部材の自由端
側が支点部より薄いヘッドの他の例を示したもので、同
図(a),(b),(c)は、それぞれ流路方向に切断
したヘッドの可動部材近傍の断面を示した図である。可
動部材31以外の構成は、実施例1と同様であるため説
明は省略する。図11(a)において、可動部材31
は、その厚みを支点部から自由端側に向けて段階的に薄
くなるように形成されており、複数の変化部を点在して
有している。本例では、自由端部32の近くに2μmの
厚みの領域と、これに変化部を介して3μmの厚み領
域、さらに変化部を介して4μmの厚み領域そして支点
部の5μmの厚さである分離壁域となっている。
【0099】このような構成によって、可動部材の変位
状態を可動部材の自由端側が最大となるように段階的な
変位量をもつことができる。また、図11(a)の可動
部材形状は、先の実施例の可動部材形状に比べて、厚み
の変化が段階的であるため、この厚みが変化した境界部
分が変化部となると共に製造も容易にすることができ
る。
【0100】図11(b)では、可動部材の厚みを支点
部の5μmから自由端部の2μmに支点部から自由端部
へ離れた変化部31Pで境界となるように1段で薄くし
ており、先端部分での変位を大きくすることができる。
この場合にも厚みが変化した境界部が変化部となってお
り、この変化部が気泡発生領域上にあるため、さらに吐
出効率を高めることができる。また、この例においては
さらに製造が容易である。
【0101】図11(c)では、可動部材の厚みを支点
部の5μmから自由端側に向かって2μmの厚みになる
まで薄くしているが、自由端部近傍では若干厚くなって
いる。この相対的に厚みが減少、増大するような構成に
よって、先端部分32を除いた部分全体で大きく可動部
材が変位する。先端部分32を除いた部分は、相対的に
大きく変位でき、先端部分32はその厚さが厚くなって
いるために相対的に変位の大きさが小さくなる。従っ
て、図11(c)では、本発明の変化部は先端部分32
の近傍となる。この場合、先の第1実施例に比べ先端部
分の変位量は小さくなるが、逆に発泡パワーを有効に吐
出口側へと導くことができる利点がある。先の第1実施
例に比べ変位量は小さくなるが、自由端部に重みがある
ため、鞭のように可動部材が変位し、可動部材の機械的
な作用による圧力の伝達を高めることができる。つま
り、先端である自由端域がわずかに気泡の成長方向を吐
出口側へ向ける制御を行うことにより、吐出口への吐出
効率をより安定させることができる。また、図11
(a)〜(c)のいずれも支点部以外に可動部材の長手
方向に関して「変曲部」を有しているので、応力集中を
分散できるので耐久性の向上を達成する。
【0102】(実施例3)図12は、可動部材の他の形
状を説明するための模式図であり、図12(a)は、流
路の長さ方向に切断したヘッドの可動部材近傍を示した
断面模式図であり、図12(b)は可動部材近傍を同
(a)図上方から見た模式図である。本実施例は、第1
実施例と同様に支点部の厚さ5μmに対し、自由端部3
2で2μmの厚さを持つ形状とし、さらに、発熱体に対
向する位置より上流側(気泡発生領域より上流側)で可
動部材の幅をそれ以外の幅40μmより、狭く(30μ
m)している。このような構造によりさらに可動部材が
変位し易くなり、吐出効率の向上、吐出力の向上をさら
に図ることができる。
【0103】図13(a),(b),(c)はそれぞれ
可動部材の形状を示した模式図である。図13において
も第1実施例と同様に、それぞれの可動部材は支点部3
3から自由端部32に向けて、自由端の厚みが徐々に薄
くなっている。さらに、それぞれ、自由端部32におけ
る可動部材の幅に比べ支点部33の幅が広くなっている
このような構成によって、可動部材の耐久性を向上させ
ると共に、可動部材の変位量を大きくすることができ吐
出効率、吐出効率を高くすることができる。
【0104】特に、図13(c)のように可動部材にく
びれた部分を設けることで、支点部の応力を高くするこ
となく可動部材の変位量をさらに大きくすることができ
る。
【0105】(実施例4)図14は、可動部材の他の形
状を示したもので、本実施例においては可動部材31の
発熱体に対向する位置(気泡発生領域に面した位置)の
一部のみが薄い変化部100となっている(図14
(a))。
【0106】このような構成によって、図14(b)で
示されるように、可動部材の自由端部32側を変位しや
すくすることができ発泡パワーを吐出口側により導くや
すくなる。また、このとき支点部にかかる応力は、変化
部を設けていない場合に比べ極めて小さくなるため、可
動部材の耐久性は向上することになる。
【0107】図14で、Sは前述定義文で説明した流路
内の「抵抗」に相当するストッパで可動部材31の変化
部100と支点33との間の部分が変位した際の上限規
制を行う。本実施例では、このストッパSにより、応力
分散を一層構成すると共に、気泡の成長方向をより吐出
口側へシフトせしめることもできる。この変化部100
は、気泡形成用の発熱体2の中央部に対向しており、気
泡成長のうち吐出に主として貢献する下流側部分の気泡
を自由端32を含む先端部の大きな変位により、効率よ
く第1液流路14側へ導くことができる。
【0108】従って、本実施例では、ストッパSと、変
化部100とで、より効率の良い吐出状態を得ることが
できる。無論本実施例からこのストッパSを除いた構成
および本例以外の構成例にこのストッパSの機能をもた
せた構成例も本発明に含まれるものである。
【0109】図15は、上述の変化部100を発熱体2
に対向する位置より上流側に設けたもので、図14の場
合に比べ可動部材31の変位を支点33に近い部分から
大きくすることができる。図15(a)は、発熱体に対
向する位置より上流側のみに設けたものであり、図15
(b)は、発熱体に対向する位置と発熱体に対向する位
置より上流側の2カ所に変化部を設けたものである。図
15(b)の場合には図15(a)の場合に比べ自由端
側の変位量を大きくすることができる。
【0110】なお本実施例においては、可動部材の変化
部における厚みを3μmとし、それ以外の厚みを5μm
とした。
【0111】図15(a),(b)では、模式図に加え
て、気泡の成長度合と可動部材の変位状態とを破線で示
すことで、(a),(b)の相対的な比較を可能にして
いる。
【0112】図15(a)の変化部100は、発熱体2
が発生する気泡の大半のものに対して対向していないた
め、変化部100と自由端部32との間の可動部が一層
大きく変位することができる。従って、可動部材の支点
部33を中心とした変位状態のうち、気泡全体をより効
率よく自由端側へ案内することができる。
【0113】この図15(a)に対して、図15(b)
では、上記変化部100に加えて、液流路の流れ方向に
関して、発熱体2の中心部Cに関して可動部材31の支
点部33側であって、発熱体2に対向する位置に別の変
化部1001を有している。この変化部1001は、気
泡の吐出に直接貢献できる下流側の気泡半分に加えて、
気泡の中央域の成長を可動部材の自由端側のより大きな
変位に占めることができるので、吐出効率のより一層の
向上はもちろんのことヘッド設計にとって有利な方法を
与えるものとなる。
【0114】従って、図15(b)では、この変化部1
001の機能・作用に加えて、図15(a)の変化部1
00による機能作用によって相剰的に優れたヘッドおよ
び吐出方法を得ることができる。
【0115】なお、変化部1001は、前記各実施例に
付加しても良く、また、図15(b)の構成から変化部
100を除いた実施例としても十分効果があるもので、
本発明にとってより好ましい構成である。
【0116】以上の変化部100,1001は、前述し
た図10(d)のような材質を異ならせた変化部であっ
ても良いことは理解できよう。
【0117】以上の実施例では、吐出口の位置をエッジ
シュータタイプとしたが、吐出口と発熱体との位置関係
をサイドシュータタイプにしても応用ができる発熱であ
ることが理解できよう。
【0118】なお、以上の実施例、後述の実施例のいず
れも、応力集中を分散化して可動部材の耐久性をも向上
できる。
【0119】(その他の実施例)以上、本発明の液体吐
出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施例について説明を
行ったが、以下にこれらの実施例に好ましく適用できる
実施態様例について図面を用いて説明する。但し、以下
の説明においては前述の1流路形態の実施例と2流路形
態の実施例のいずれかを取り上げて説明する場合がある
が、特に記載しない限り、両実施例に適用しうるもので
ある。
【0120】(可動部材および分離壁)図16(a)、
(b)および(c)は、それぞれ可動部材31の幅方向
での他の形状を示す平面図であり、符号35は、分離壁
に設けられたスリットであり、このスリットによって可
動部材51が形成されている。同図(a)は長方形の形
状であり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動
部材の動作が容易な形状であり、(c)は支点側が広く
なっており、可動部材の耐久性が向上する形状である。
可動部材の形状は容易に動作可能な形状で、耐久性に優
れた形状であればよい。
【0121】先の実施例においては、板状可動部材31
を前述のような各実施例の厚さ、形状とし、この可動部
材を有する分離壁5の可動部材以外の領域を厚さ5μm
としてニッケルで構成したが、これに限られることなく
可動部材、分離壁を構成する材質としては発泡液と吐出
液に対して耐溶剤性があり、可動部材として良好に動作
するための弾性を有し、微細なスリットが形成できるも
のであればよい。
【0122】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニウム、白金、
タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およびその
合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレ
ン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のアミド
基を有する樹脂、ポリカーボネート等のカルボキシル基
を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ
樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、その
ほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐インク
性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケル、ス
テンレス、チタン等の金属、これらの合金および耐イン
ク性に関してはこれらを表面にコーティングしたもの若
しくはポリアミド等のアミド基を有する樹脂、ポリアセ
タール等のアルデヒドを持つ樹脂、ポリエーテルエーテ
ルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイミド等のイ
ミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水酸基を有す
る樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する樹脂、ポリ
プロピレン等のアルキル基を有する樹脂、エポキシ樹脂
等のエポキシ基を有する樹脂、メラミン樹脂等のアミノ
基を有する樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を有す
る樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等のセラミ
ックおよびその化合物が望ましい。
【0123】分離壁の材質としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレー
ト、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リブタジエン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエー
テルサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリサ
ルフォン、液晶ポリマー(LCP)等の近年のエンジニ
アリングプラスチックに代表される耐熱性、耐溶剤性、
成型性の良好な樹脂、およびその化合物、もしくは、二
酸化珪素、窒化珪素、ニッケル、金、ステンレス等の金
属、合金およびその化合物、もしくは表面にチタンや金
をコーティングしたものが望ましい。
【0124】また、分離壁の厚さは、分離壁としての強
度を達成でき、可動部材として良好に動作する観点から
その材質と形状等を考慮して決定すればよいが、0.5
μm〜10μm程度が望ましい。
【0125】なお可動部材31を形成するためのスリッ
ト35の幅は本実施例では2μmとしたが、発泡液と吐
出液とが異なる液体であり、両液体の混液を防止した場
合は、スリット幅を両者の液体間でメニスカスを形成す
る程度の間隔とし、各々の液体同士の流通を抑制すれば
よい。例えば、発泡液として2cP(センチポアズ)程
度の液体を用い、吐出液として100cP以上の液体を
用いた場合には、5μm程度のスリットでも混液を防止
することができるが、3μm以下にすることが望まし
い。
【0126】(素子基板)以下に液体に熱を与えるため
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
【0127】図17(a)および(b)は、それぞれ本
発明の液体吐出ヘッドの縦断面図を示したもので、同図
(a)は後述する保護膜があるヘッド、(b)は保護膜
がないものである。
【0128】素子基板1上に第2液流路16、分離壁3
0、第1液流路14、第1液流路を構成する溝を設けた
溝付き部材50が配されている。
【0129】素子基板1上には、シリコン等の基体10
7に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜または
窒化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体を構成
するハフニュウムボライド(HfB2 )、窒化タンタル
(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵抗
層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニウムの
配線電極(0.2〜1.0μm厚)を図8のようにパタ
ーニングされている。この2つの配線電極104から抵
抗層105に電圧を印加し、抵抗層に電流を流し発熱さ
せる。配線電極間の抵抗層上には、酸化シリコンや窒化
シリコン等の保護層を0.1〜2.0μm厚で形成し、
さらにその上にタンタル等の耐キャビテーション層
(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、インク等
の各種の液体から抵抗層105を保護している。
【0130】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等の耐キャビテーション層として用いられる。
【0131】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより上述の保護層を必要としない構成でもよ
く、その例を図17(b)に示す。このような保護層を
必要としない抵抗層の材料としてはインジュウム・タン
タル・アルミ合金等が挙げられる。
【0132】このように、前述の各実施例における発熱
体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だ
けでもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもので
もよい。
【0133】本実施例においては、発熱体として電気信
号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有する
ものを用いたが、これに限られることなく、吐出液を吐
出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせるものであ
ればよい。例えば、発熱部としてレーザ等の光を受ける
ことで発熱するような光熱変換体や高周波を受けること
で発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0134】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105と、この抵抗層に電気信号を
供給するための配線電極104で構成される電気熱変換
体の他に、この電気熱変換素子を選択的に駆動するため
のトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シフトレジスタ
等の機能素子が一体的に半導体製造工程によって作り込
まれていてもよい。
【0135】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の抵抗層105に配線電極104を介し
て図18で示されるような矩形パルスを印加し、配線電
極間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実施
例のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パルス幅
7μsec、電流150mA、電気信号を6kHzで加
えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作によっ
て、吐出口から液体であるインクを吐出させた。しかし
ながら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発
泡液を適正に発泡させることができる駆動信号であれば
よい。
【0136】(吐出液体、発泡液体)先の実施例で説明
したように本発明においては、前述のような可動部材を
有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い
吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することが
できる。本実施例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を
用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化
せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにく
く、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うこと
が可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣
化させない液体であれば種々の液体を用いることができ
る。
【0137】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0138】一方、本発明の2流路構成のヘッドを用
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
【0139】吐出液としては、発泡性の有無、熱的性質
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
【0140】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
【0141】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
【0142】本発明においては、吐出液と発泡液の両方
に用いることができる記録液体として以下のような組成
のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によっ
てインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度
が向上し非常に良好な記録画像をことができる。
【0143】 染料インク(粘度2cP)の組成 (C.I.フードブラック2)染料 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量% また、発泡液と吐出液に以下で示すような組成の液体を
組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来
のヘッドでは吐出が困難であった十数cP粘度の液体は
もちろん150cPという非常に高い粘度の液体で良好
に吐出でき、高画質な記録物を得ることができた。
【0144】 発泡液1の組成 エタノール 40重量% 水 60重量% 発泡液2の組成 水 100重量% 発泡液3の組成 イソプロピルアルコール 10重量% 水 90重量% 吐出液1顔料インク(粘度約15cP)の組成 カーボンブラック 5重量% スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 1重量% (酸価140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25重量% グリセリン 69重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 16.75重量% 吐出液2(粘度55cP)の組成 ポリエチレングリコール200 100重量% 吐出液3(粘度150cP)の組成 ポリエチレングリコール600 100重量% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じ、
これらのことで高品位画像が得られにくかった。しか
し、上述の実施例の構成においては、気泡の発生を発泡
液を用いることで充分に、しかも安定して行うことがで
きる。このことで、液滴の着弾精度の向上とインク吐出
量の安定化を図ることができ、記録画像品位を著しく向
上させることができた。
【0145】(2流路構成のヘッド構造)図19は、本
発明の液体吐出ヘッドの内2流路構成のヘッドの全体構
造を示した分解斜視図である。なお、ここでは吐出口が
形成されたオリフィスプレートを取り除いた図で示して
いる。
【0146】アルミ等の支持体70上に前述の素子基板
1が配されている。この上に第2液流路16の壁16a
および第2共通液室17の壁17aが設けられており、
その上に可動部材31を有する分離壁30が設けられて
いる。さらに、この分離壁30の上に第1液流路14を
構成する複数の溝、第1共通液室15、この第1共通液
室15に第1の液体を供給するための供給路20および
第2共通液室17に第2の液体を供給するための供給路
21が設けられた溝付き部材50が設けられており、こ
のような構成によって2流路の液体吐出ヘッドを構成し
ている。
【0147】(液体吐出ヘッドカートリッジ)次に、上
記実施形態例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0148】図20は、前述した液体吐出ヘッドを含む
液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であ
り、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッ
ド部200と液体容器90とから概略構成されている。
【0149】液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、
分離壁30、溝付部材50、押さえバネ60、液体供給
部材80、支持体70等から成っている。素子基板1に
は、前述のように発泡液に熱を与えるための発熱抵抗体
が、複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵
抗体を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられ
ている。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁3
0との間に発泡液路が形成され発泡液が流通する。この
分離壁30と溝付部材50との接合によって、吐出され
る吐出液体が流通する吐出流路(不図示)が形成され
る。
【0150】押さえバネ60は、溝付部材50に素子基
板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢
力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後
述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0151】支持体70は、素子基板1等を支持するた
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、
装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを
行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0152】液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給さ
れる、インク等の吐出液体と気泡を発生させるための発
泡液とを内部に区分収容している。液体容器90の外側
には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接続部
材を配置するための位置決め部94と接続部を固定する
ための固定軸95が設けられている。吐出液体の供給
は、液体容器の吐出液体供給路92から接続部材の供給
路を介して液体供給部材80の吐出液体供給路81に供
給され、各部材の吐出液体供給路83,61,20を介
して第1の共通液室に供給される。発泡液も同様に、液
体容器の供給路93から接続部材の供給路を介して液体
供給部材80の発泡液供給路82に供給され、各部材の
発泡液体供給路84,61,21を介して第2液室に供
給される。
【0153】以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおい
ては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給
を行いうる供給形態および液体容器で説明したが、吐出
液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と吐出
液の供給経路および容器を分けなくてもよい。
【0154】なお、この液体容器には、各液体の消費後
に液体を再充填して使用してもよい。このためには、液
体容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。ま
た、液体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよ
く、分離可能としてもよい。
【0155】(液体吐出装置)図21は、前述の液体吐
出ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では、特に吐出液体としてインクを用いた
インク吐出記録装置を用いて説明する。液体吐出装置の
キャリッジHCは、インクを収容する液体タンク部90
と、液体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカー
トリッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送さ
れる記録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動す
る。
【0156】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録媒
体が吐出される。
【0157】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113、キャリッジ
軸115等を有している。この記録装置およびこの記録
装置で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に
対して液体を吐出することで良好な画像の記録物を得る
ことができた。
【0158】図22は、本発明の液体吐出方法および液
体吐出ヘッドを適用したインク吐出装置を動作させるた
めの装置全体のブロック図である。
【0159】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0160】また、CPU302は前記画像データを記
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モ
ータを駆動するための駆動データを作る。画像データお
よびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307
と、モータドライバ305を介し、ヘッド200および
駆動モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイ
ミングで駆動され画像を形成する。
【0161】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅等の
金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等
の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等
の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0162】また、上述の記録装置として、各種の紙や
OHPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コン
パクトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラス
チック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装
置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行
う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミ
ックス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対
して記録を行う記録装置、また布帛に記録を行う捺染装
置等をも含むものである。
【0163】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出液
としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせた
液体を用いればよい。
【0164】(記録システム)次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い、被記録媒体に対して記
録を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0165】図23は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した
長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルラ
イン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ
(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッドをホルダ1202によりX方向に所定
の間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0166】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0167】各ヘッドには、吐出液としてY,M,C,
Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜204dのイ
ンク容器から供給されている。なお、符号204eは発
泡液が蓄えられた発泡液容器であり、この容器から各ヘ
ッドに発泡液が供給される構成になっている。
【0168】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0169】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0170】本実施例のインクジェット記録システムに
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置251および後処理装置252を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
【0171】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にごみが付着しやすく、このごみによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0172】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0173】なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラ
インヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述し
たような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して
記録を行う形態のものであってもよい。
【0174】[ヘッドキット]以下に、本発明のインク
ジェットヘッドを有するインクジェットヘッドキットを
説明する。図24は、このようなインクジェットヘッド
キットを示した模式図であり、このインクジェットヘッ
ドキットは、インクを吐出するインク吐出部511を有
する本発明のインクジェットヘッド510と、このヘッ
ドと不可分もしくは分離可能な液体容器であるインク容
器520と、このインク容器にインクを充填するための
インクを保持したインク充填手段とを、キット容器50
1内に納めたものである。
【0175】インクを消費し終わった場合には、インク
容器の大気連通口521やインクジェットヘッドとの接
続部や、もしくはインク容器の壁に開けた穴などに、イ
ンク充填手段の挿入部(注射針等)531の一部を挿入
し、この挿入部を介してインク充填手段内のインクをイ
ンク容器内に充填すればよい。
【0176】このように、本発明のインクジェットヘッ
ドと、インク容器やインク充填手段等を一つのキット容
器内に納めてキットにすることで、インクが消費されて
しまっても前述のようにすぐに、また容易にインクをイ
ンク容器内に充填することができ、記録の開始を迅速に
行うことができる。
【0177】なお、本実施例のインクジェットヘッドキ
ットでは、インク充填手段が含まれるもので説明を行っ
たが、インクジェットヘッドキットとしては、インク充
填手段を持たず、インクが充填された分離可能タイプの
インク容器とヘッドとがキット容器510内に納められ
ている形態のものであってもよい。
【0178】また、図24では、インク容器に対してイ
ンクを充填するインク充填手段のみを示しているが、イ
ンク容器の他に発泡液を発泡液容器に充填するための発
泡液充填手段をキット容器内に納めた形態のものであっ
てもよい。
【0179】本発明は、上述したエッジシュータタイプ
のヘッドに限定されることなく、例えば図25,図26
に示すサイドシュータタイプのヘッドにも適用可能であ
る。図25,図26は同じヘッドであり、図25は非気
泡発生時、図26は気泡発生時の状態を示している。
【0180】図25,図26に示したサイドシュータタ
イプの液体吐出ヘッドは、各吐出口ごとに、液体に気泡
を発生させるための熱エネルギを与える発熱体2が設け
られた素子基板1上に、第2液流路16が形成され、そ
の上に吐出口11に直接連通した第1液流路14が形成
され、第1液流路14と第2液流路16とは、金属等の
弾性を有する材料で構成された分離壁30が設けられ、
第1液流路14内の液体と第2液流路16内の液体とが
区分されている点で、上述のエッジシュータタイプの液
体吐出ヘッドと同様である。
【0181】サイドシュータタイプの液体吐出ヘッド
は、上記第1液流路14上に配されたオリフィスプレー
ト51のうち、発熱体2の直上の部分に吐出口18が設
けられている点に特徴がある。この吐出口18と発熱体
2との間の分離壁30には、幹音開きに開口する一対の
可動部材31が設けられている。すなわち、量可動部材
31は片持梁形状のもので、両方の自由端32同士は、
非吐出時においては、吐出口18の中央部分の直下に位
置するスリット35により僅かに離間して対向してい
る。吐出時においては、両可動部材31は、図26に示
すように、気泡発生領域における発泡液の発泡によって
第1液流路14側に開口する。
【0182】第1液流路14は、他の吐出口18の第1
液流路と共に、第1共通液室15を介して吐出液を貯留
するタンク(図示略)に連結しており、第2液流路16
も、他の吐出口18の第2液流路と共に、第2共通液室
17を介して発泡液を貯留するタンク(図示略)に連結
している。
【0183】図25,図26における可動部材31は、
支点部33から自由端32にかけて厚さが徐々に薄くな
る構造となっている。
【0184】図26からもわかるように、発熱体2の液
体への加熱によって発生した気泡40は、吐出口18へ
集中して安定的に導かれる。これは、可動部材31の自
由端32近傍が薄く、僅かな圧力で吐出口18方向へ変
位しやすくなっているために、気泡40の圧力伝搬方向
のうち吐出口18方向に直接向かうものやそれに近づく
圧力伝搬方向の制御が少なくとも吐出口方向に向かいや
すいものに対しては可動部材31を変位させること自体
に使われるエネルギーを最少限なものにすることができ
る。従って、中心的な気泡の成長を吐出口18へ向かわ
せることができる。また吐出口18方向とは大きく異な
る伝搬方向の圧力成分については可動部材31の厚い部
分によって、より効果的に吐出口18方向に向かわせる
こととなる。このように気泡40の圧力伝搬方向に応じ
た変位条件になっているためエネルギーロスが極めて少
なくなり、気泡全体の集中化を達成して高いレベルの吐
出効率が得られる。
【0185】図27は、上述の実施例の変形例の1つと
して、図15で示したように、可動部材31の一部に前
述した第1変化部100と前述した第2変化部1001
を設けたものである。本実施例も上述したように、気泡
の圧力伝搬のロスが少なく、より効率的に吐出口18方
向に導くことで、吐出効率を高めたものであるが、特に
発熱体2の中心の直上からズレたところにある第2変化
部1001は、気泡の吐出口18方向に向かう成分をロ
スなく効率よく吐出口18に導き、発熱体2の上部の外
側に設けた変位効果を高めた第1変化部100ととも
に、気泡を吐出口18へ集中的に安定して導き、吐出効
率を向上させている。このことは、図15で説明した気
泡の規制効果からも理解できよう。
【0186】以上説明した図25〜図27においても他
の実施例と同様に吐出効率を向上させるとともに、可動
部材31の変形を分散させることで極めて高い耐久性が
得られることはいうまでもない。
【0187】なお、図28は、可動部材の厚みを均一に
したもので、この図における可動部材の変位状態および
気泡の成長制御状態を示している。
【0188】図28と図26を比較するとわかるよう
に、図26,図27の本発明実施例では、効率のよい吐
出を達成していることが理解できよう。
【0189】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
可動部材の気泡発生領域に対向する部分に自由端側の可
動部分と支点側の可動部分との相対的な変位の大きさを
変える変曲部を設けること、もしくは、可動部材の厚さ
を支点と自由端との間で薄くすることによって、可動部
材の耐久性を向上させつつ、気泡発生領域で発生した圧
力による可動部材の変位を大きく、もしくは少なくする
ことができ、さらに吐出効率、吐出圧を向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は従来の2つのタイプの液体吐
出ヘッドの流路構造を説明するための模式図である。
【図2】(a),(b),(c),(d)は本発明に適
用される液体吐出ヘッドの一例を用いて吐出原理を説明
するための模式断面図である。
【図3】図1に示した液体吐出ヘッドの部分破断斜視図
である。
【図4】従来の液体吐出ヘッドにおける気泡からの圧力
伝搬を示す模式断面図である。
【図5】本発明に適用できる吐出原理における気泡から
の圧力伝搬を示す模式断面図である。
【図6】本発明に適用される吐出原理における液体の流
れを説明するための模式図である。
【図7】本発明の液体吐出ヘッドの第1実施例の模式断
面図である。
【図8】本発明の液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であ
る。
【図9】本発明の液体吐出ヘッドの動作状態を示す断面
模式図である。
【図10】(a),(b),(c)は本発明の液体吐出
ヘッドの一実施例における可動部材と第2液流路の構造
を説明するための平面図であり、(d)は可動部材の変
形例を示す図である。
【図11】(a),(b),(c)は本発明の可動部材
の他の形状例を説明するための断面模式図である。
【図12】(a)は本発明の可動部材の他の形状例を説
明するための断面模式図であり、(b)は平面模式図で
ある。
【図13】(a),(b),(c)は本発明の可動部材
の他の形状例を説明するための断面模式図である。
【図14】(a),(b)は本発明の変化部を有する可
動部材の形状例を説明するための断面模式図で、(a)
は静止状態を示し、(b)は作動状態を示す。
【図15】(a),(b)は本発明の変化部を有する可
動部材の他の形状を説明するための模式図である。
【図16】(a),(b),(c)は可動部材の他の形
状を説明するための平面図である。
【図17】(a),(b)は液体吐出ヘッドの断面の詳
細を説明するための断面模式図である。
【図18】駆動パルスの形状を示す模式図である。
【図19】本発明の液体吐出ヘッドの主要構成を説明す
るための模式的分解斜視図である。
【図20】本発明の液体吐出ヘッドを搭載したヘッドカ
ートリッジを説明するための模式的分解斜視図である。
【図21】本発明の液体吐出ヘッドを搭載できる液体吐
出装置の一例を示す概略斜視図である。
【図22】本発明を搭載できる液体吐出装置を駆動する
ための装置ブロック図である。
【図23】本発明の液体吐出ヘッドを用いたインクジェ
ット記録システムの構成を説明するための模式的斜視図
である。
【図24】本発明の液体吐出ヘッドを有するヘッドキッ
トを示す模式図である。
【図25】本発明をサイドシュータタイプのヘッドに適
用したヘッドの断面模式図であり、静止状態を示す。
【図26】本発明をサイドシュータタイプのヘッドに適
用したヘッドの断面模式図であり、作動状態を示す。
【図27】本発明をサイドシュータタイプのヘッドに適
用した他の形状例の断面模式図である。
【図28】サイドシュータタイプのヘッドで可動部材の
厚みが一定であるヘッドの断面模式図である。
【符号の説明】 1 素子基板 2 発熱体 3 流路 10 液流路 11 気泡発生領域 12 液体供給路 13 共通液室 14 第1の液流路 16 第2の液流路 18 吐出口 31 可動部材 32 自由端 33 支点 35 スリット 40 気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 佳恵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 樫野 俊雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 木村 牧子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (54)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気泡の発生によって液体を吐出する液体
    吐出ヘッドにおいて、 液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通する液流路
    と、液体に気泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡
    発生領域に面して配され、支点と該支点に対し相対的に
    吐出口側に位置した自由端とを備えた可動部材を有し、
    前記気泡発生領域での気泡の発生に基づく圧力によっ
    て、前記可動部材を変位させ、該可動部材の変位によっ
    て液体を前記吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記可動部材は、前記気泡発生領域に対向する部分に、
    自由端側の可動部分と支点側の可動部分との相対的な変
    位の大きさを変える変曲部を有することを特徴とする液
    体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 気泡の発生によって液体を吐出する液体
    吐出ヘッドにおいて、 液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通する液流路
    と、液体に気泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡
    発生領域に面して配され、支点と該支点に対し相対的に
    吐出口側に位置した自由端とを備えた可動部材を有し、
    前記気泡発生領域での気泡の発生に基づく圧力によっ
    て、前記可動部材を変位させ、該可動部材の変位によっ
    て液体を前記吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 前記可動部材は支点部分の厚みより厚みが薄い部分を有
    することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 気泡の発生によって液体を吐出する液体
    吐出ヘッドにおいて、 吐出口に連通した第1の液流路と、 液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡
    発生領域を有する第2の液流路と、 前記第1の液流路と前記気泡発生領域との間に配され、
    吐出口側に自由端を有し、前記気泡発生領域内での気泡
    の発生による圧力に基づいて該自由端を前記第1の液流
    路側に変位させて前記圧力を前記第1の液流路の吐出口
    側に導く可動部材と、を有し、 前記可動部材は支点部分の厚みより厚みが薄い部分を有
    することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項2または3の液体吐出ヘッドにお
    いて、前記可動部材は気泡発生領域に対向する位置に変
    位し易さが変化する変曲部が設けられていることを特徴
    とする液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1または4の液体吐出ヘッドにお
    いて、前記変曲部で局部的に厚みが薄くなっていること
    を特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項2または3の液体吐出ヘッドにお
    いて、前記可動部材の厚みは支点部から自由端部に向か
    って薄くなる形状であることを特徴とする液体吐出ヘッ
    ド。
  7. 【請求項7】 請求項2または3の液体吐出ヘッドにお
    いて、前記可動部材の厚みは、支点側から自由端側に向
    けて段階的に変化していることを特徴とする液体吐出ヘ
    ッド。
  8. 【請求項8】 請求項2または3の液体吐出ヘッドにお
    いて、前記可動部材の厚みは、前記気泡発生領域に面す
    る位置より上流側で局部的に薄くなっていることを特徴
    とする液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項2または3の液体吐出ヘッドにお
    いて、前記可動部材は前記支点部より可動部材の幅が狭
    い部分を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項9の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記可動部材の幅は自由端側に向けて狭くなる領域を有
    することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項9の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記可動部材の幅は局部的に狭くなっていることを特徴
    とする液体吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項9の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記気泡発生領域に面する部分より上流側で局部的に狭
    くなっていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項2または3の液体吐出ヘッドに
    おいて、前記変位によって前記気泡を吐出口に向かう上
    流よりも下流に大きく膨張させて前記可動部材を変位さ
    せることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項2または3の液体吐出ヘッドに
    おいて、前記可動部材に面した位置に発熱体が設けられ
    ており、該可動部材と該発熱体との間が前記気泡発生領
    域であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項14の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記液流路は、前記発熱体に沿った該発熱体より上
    流から前記発熱体上に液体を供給するための供給路を有
    することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項15の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記供給路は、前記発熱体より上流側に実質的に平
    坦、もしくはなだらかな内壁を有し、該内壁に沿って液
    体を前記発熱体上に供給する供給路であることを特徴と
    する液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 請求項14の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記可動部材の前記発熱体に近い面に沿った上流か
    ら前記発熱体上に液体を供給するための液流路を有する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 請求項14の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記可動部材の前記発熱体に近い面に沿った上流側
    から前記発熱体上に液体を供給する供給路を有すること
    を特徴とする液体吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 請求項2または3の液体吐出ヘッドに
    おいて、前記可動部材は板状であることを特徴とする液
    体吐出ヘッド。
  20. 【請求項20】 請求項19の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記発熱体の全面が前記可動部材に面していること
    を特徴とする液体吐出ヘッド。
  21. 【請求項21】 請求項19の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記可動部材の総面積が前記発熱体の総面積より大
    であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  22. 【請求項22】 請求項19の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記可動部材の支点が前記発熱体の直上から外れた
    位置に配されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  23. 【請求項23】 請求項19の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記可動部材の自由端は前記発熱体が配された液流
    路を実質的に直交する形状を有することを特徴とする液
    体吐出ヘッド。
  24. 【請求項24】 請求項19の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記可動部材の前記自由端は前記発熱体より吐出口
    に近い位置に配されていることを特徴とする液体吐出ヘ
    ッド。
  25. 【請求項25】 請求項19の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記可動部材は前記第1の液流路と前記第2の液流
    路との間に配された分離壁の一部として構成されている
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  26. 【請求項26】 請求項25の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記分離壁は、金属、樹脂、もしくはセラミックス
    で構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  27. 【請求項27】 請求項3の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記第1の液流路の複数に第1の液体を供給するための
    第1の共通液室と、前記第2の液流路の複数に第2の液
    体を供給するための第2の共通液室とが配されているこ
    とを特徴とする液体吐出ヘッド。
  28. 【請求項28】 請求項3の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記第1の液流路に供給される液体と前記第2の液流路
    に供給される液体とが同じ液体であることを特徴とする
    液体吐出ヘッド。
  29. 【請求項29】 請求項3の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記第1の液流路に供給される液体と前記第2の液流路
    に供給される液体とが異なる液体であることを特徴とす
    る液体吐出ヘッド。
  30. 【請求項30】 請求項14の液体吐出ヘッドにおい
    て、前記発熱体は電気信号を受けることで熱を発生する
    発熱抵抗体を有する電気熱変換体であることを特徴とす
    る液体吐出ヘッド。
  31. 【請求項31】 請求項3の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記発熱体が配された部分の前記第2液流路の形状は室
    形状であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  32. 【請求項32】 請求項3の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記第2流路の形状は、前記発熱体の上流で狭窄部を有
    する形状であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  33. 【請求項33】 請求項2または3の液体吐出ヘッドに
    おいて、前記発熱体の表面から前記可動部材までの距離
    が30μm以下であることを特徴とする液体吐出ヘッ
    ド。
  34. 【請求項34】 請求項2または3の液体吐出ヘッドに
    おいて、前記吐出口から吐出される液体はインクである
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  35. 【請求項35】 気泡の発生によって液体を吐出する液
    体吐出方法において、 液体を吐出する吐出口と、液体に気泡を発生させる気泡
    発生領域と、前記気泡発生領域に面して配され、支点と
    該支点に対して相対的に吐出口側に自由端を備えた可動
    部材とを有する液体吐出ヘッドを用い、 該可動部材の前記自由端を、前記気泡発生領域での気泡
    の発生に基づく圧力によって変位させ、前記可動部材の
    変位によって、前記吐出口から液体を吐出する液体吐出
    方法であって、前記可動部材は前記気泡発生領域に対向
    する位置に支点側の可動部分と相対的な変位の大きさを
    変える変曲部が設けられており、この変曲部から自由端
    側を支点側より大きく変位させることを特徴とする液体
    吐出方法。
  36. 【請求項36】 気泡の発生によって液体を吐出する液
    体吐出方法において、 液体を吐出する吐出口と、液体に気泡を発生させる気泡
    発生領域と、前記気泡発生領域に面して配され、支点と
    該支点に対して相対的に吐出口側に自由端を備えた可動
    部材とを有する液体吐出ヘッドを用い、 該可動部材の前記自由端を、前記気泡発生領域での気泡
    の発生に基づく圧力によって変位させ、前記可動部材の
    変位によって、前記吐出口から液体を吐出する液体吐出
    方法であって、前記可動部材が支点部分の厚みより、厚
    みが薄い部分を有することを特徴とする液体吐出方法。
  37. 【請求項37】 請求項35または36の液体吐出方法
    において、前記変位によって前記気泡を吐出口に向かう
    上流よりも下流に大きく膨張させて前記可動部材を変位
    させることを特徴とする液体吐出方法。
  38. 【請求項38】 請求項36の液体吐出方法において、
    前記気泡を第1の位置を越えて膨張させることを特徴と
    する液体吐出方法。
  39. 【請求項39】 請求項36の液体吐出方法において、
    前記可動部材の変位によって、前記気泡の下流側部分を
    前記可動部材より下流に成長させることを特徴とする液
    体吐出方法。
  40. 【請求項40】 請求項36の液体吐出方法において、
    前記可動部材に面した位置に発熱体が設けられており、
    該可動部材と該発熱体との間が前記気泡発生領域である
    ことを特徴とする液体吐出方法。
  41. 【請求項41】 請求項37の液体吐出方法において、
    発生した気泡の一部が前記可動部材に伴って、前記第1
    の液流路に延在することを特徴とする液体吐出方法。
  42. 【請求項42】 請求項40の液体吐出方法において、
    前記気泡は、発熱体が発生した熱が液体が伝わること
    で、液体に生じる膜沸騰現象によって発生した気泡であ
    ることを特徴とする液体吐出方法。
  43. 【請求項43】 請求項40の液体吐出方法において、
    前記発熱体上には、発熱体より上流側の実質的に平坦、
    もしくはなだらかな内壁に沿って液体が供給されること
    を特徴とする液体吐出方法。
  44. 【請求項44】 請求項36の液体吐出方法において、
    前記吐出口からはインクが吐出されることを特徴とする
    液体吐出方法。
  45. 【請求項45】 請求項1,2または3に記載の液体吐
    出ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給される液体を保持
    する液体容器とを有することを特徴とするヘッドカート
    リッジ。
  46. 【請求項46】 請求項45のヘッドカートリッジにお
    いて、前記液体吐出ヘッドと、前記液体容器とは分離可
    能であることを特徴とするヘッドカートリッジ。
  47. 【請求項47】 気泡の発生によって記録液体を吐出す
    る液体吐出装置において、請求項1,2または3のいず
    れかに記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから
    液体を吐出させるための駆動信号を供給する駆動信号供
    給手段と、を有することを特徴とする液体吐出装置。
  48. 【請求項48】 請求項47の液体吐出装置において、
    前記吐出口が被記録媒体の記録可能領域の全幅に渡っ
    て、複数配されていることを特徴とする液体吐出装置。
  49. 【請求項49】 請求項1の液体吐出ヘッドにおいて、 上記気泡発生領域には上記可動部材に少なくとも一部が
    対向する発熱体を有し、該発熱体は駆動によって膜沸騰
    を生じせしめ気泡を形成し、該発熱体の中央部に対向す
    る位置から上記支点に向かう上流域であって、かつ発熱
    体に対向する位置の範囲内に上記変化部を有しているこ
    とを特徴とする液体吐出ヘッド。
  50. 【請求項50】 請求項1または49の液体吐出ヘッド
    において、 上記可動部材は、上記気泡発生領域を上記液流路に対し
    て実質的に密閉しており、上記気泡の発生により、気泡
    発生領域を開放することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  51. 【請求項51】 請求項2の液体吐出ヘッドにおいて、 上記気泡発生領域には上記可動部材に少なくとも一部が
    対向する発熱体を有し、該発熱体は駆動によって膜沸騰
    を生じせしめ気泡を形成し、上記変化部は、上記発熱体
    に対向せず、上記支点と、上記発熱体対向域との間に位
    置することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  52. 【請求項52】 液体の吐出口と対面して配された、液
    体に気泡を生じさせるための熱を発生する発熱面を有す
    る基板と、 前記発熱面と前記吐出口との間に介在するように設けら
    れた、前記気泡によって変位する自由端を有する可動部
    材と、前記可動部材は、前記気泡発生領域に対向する部
    材に、自由端側の可動部分と支点側の可動部分との相対
    的な変位の大きさを変える変曲部を有し、 該可動部材の前記自由端が前記気泡によって変位した変
    位時に前記可動部材の前記発熱面側の面と対向する対向
    部材であって、前記変位時に前記可動部材と共働して前
    記気泡を前記吐出口の方へ導くための当該対向部材と、 を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  53. 【請求項53】 液体に気泡を生じさせるための熱を発
    生する発熱面を有する基板と、液体の吐出口が設けられ
    た吐出口部材と、が自由端を有する可動部材を介して対
    面することにより、前記基板と前記吐出口部材との間に
    液流路が形成されており、前記基板の前記液流路側の面
    と前記吐出口部材の前記液流路側の面とが前記液流路内
    において交差せず、前記吐出口から前記気泡に基づいて
    液体を吐出する液体吐出方法であって、 前記液流路における前記吐出口への液体の供給方向に関
    して下流側に前記可動部材の前記自由端が配され、 前記可動部材は、前記気泡発生領域に対向する部材に、
    自由端側の可動部分と支点側の可動部分との相対的な変
    位の大きさを変える変曲部を有し、 前記気泡が、前記可動部材の前記自由端を変位させ、該
    変位に応じて前記吐出口の方へ成長することにより、液
    体を吐出することを特徴とする液体吐出方法。
  54. 【請求項54】 気泡の発生によって液体を吐出する液
    体吐出ヘッドにおいて、 液体を吐出する吐出口と、前記吐出口に連通する液流路
    と、液体に気泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡
    発生領域に面して配され、支点と該支点に対し相対的に
    吐出口側に位置した自由端とを備えた可動部材を有し、
    前記気泡発生領域での気泡の発生に基づく圧力によっ
    て、前記可動部材を変位させ、該可動部材の変位によっ
    て液体を前記吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであっ
    て、 気泡発生領域に対向して配され、変位増進部がない場合
    に比べ、前記可動部材の変位を大きくするための変位増
    進部を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
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