JP2001225476A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置

Info

Publication number
JP2001225476A
JP2001225476A JP2000037192A JP2000037192A JP2001225476A JP 2001225476 A JP2001225476 A JP 2001225476A JP 2000037192 A JP2000037192 A JP 2000037192A JP 2000037192 A JP2000037192 A JP 2000037192A JP 2001225476 A JP2001225476 A JP 2001225476A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
movable member
liquid supply
supply port
discharge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000037192A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3619105B2 (ja
Inventor
Ryoji Inoue
良二 井上
Masahiko Kubota
雅彦 久保田
Kiyomitsu Kudo
清光 工藤
Masanori Takenouchi
雅典 竹之内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2000037192A priority Critical patent/JP3619105B2/ja
Priority to US09/781,442 priority patent/US6435670B1/en
Priority to EP01103456A priority patent/EP1125744A1/en
Publication of JP2001225476A publication Critical patent/JP2001225476A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3619105B2 publication Critical patent/JP3619105B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気泡によるインクの吐出パワーのロスが少な
く、吐出口率の高い液体吐出ヘッドを実現する。 【解決手段】 複数の液流路3がそれぞれ、液体供給口
5を介して共通液体供給室6に接続され、それぞれの液
流路3が吐出口7と連通している。液体供給口5の液流
路3側の少なくとも一部に対して微小な間隔を隔てて可
動部材8が片持ち支持され、可動部材8の自由端8B側
の端部が、液体供給口5の周囲にある供給部形成部材5
Aのストッパ部5bに接触している。液流路3の気泡発
生領域11で発熱体4により気泡21を発生させてイン
クを吐出させる動作で、気泡が発生してから、可動部材
8が変位して液体供給口5が可動部材8によって塞がれ
るまでの時間が短くなるので、液流路3から液体供給口
5へのインクの移動による吐出パワーのロスが減少し、
吐出効率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させて気泡を発生させることによって液体を吐
出する液体吐出ヘッド、およびその液体吐出ヘッドを用
いた液体吐出装置に関する。
【0002】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
【0003】なお、本発明における「記録」とは、文字
や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与す
ることだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を
付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】従来、プリンター等の記録装置におい
て、流路中の液体インクに熱等のエネルギーを与えて気
泡を発生させ、それに伴う急峻な体積変化に基づく作用
力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒
体上に付着させて画像形成を行なうインクジェット記録
方法、いわゆるバブルジェット記録方法が知られてい
る。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置に
は、米国特許第4,723,129号等に開示されてい
るように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出
口に連通する流路と、流路内に配されたインクを吐出す
るためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が一
般的に配されている。
【0005】このような記録方法によれば、品位の高い
画像を高速、低騒音で記録することができると共に、こ
の記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐
出口を高密度に配置することができるため、小型の装置
で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得
ることができるという多くの優れた点を有している。こ
のため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って様々な要求が高まっており、
例えば、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピ
ードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐
出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提
案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液
体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出
ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案され
ている。
【0007】このうち、ノズル内において気泡を発生さ
せ、この気泡成長に伴い液体を吐出させるヘッドにおい
て、吐出口とは反対方向への気泡成長およびこれによる
液流が吐出エネルギー効率およびリフィル特性を低下さ
せる要因として知られており、このような吐出エネルギ
ー効率およびリフィル特性を向上させる構造の発明がヨ
ーロッパ特許出願公開公報EP0436047A1に提案され
ている。
【0008】この公報に記載の発明は、吐出口近傍域と
気泡発生部との間にこれらを遮断する第1弁と、気泡発
生部とインク供給部との間にこれらを完全に遮断する第
2弁とを交互に開閉させるものである(EP43604
7A1の第4〜9図)。例えば同公報第7図の例では、
図27に示すように、インク流路112の内壁を形成す
る基板125上のインク槽116とノズル115との間
のインク流路112のほぼ中央に発熱体110が設けら
れている。発熱体110は、インク流路112内部の、
周囲を全て閉じた区画120内に在る。インク流路11
2は、基板125と、基板125上に直接積層した薄膜
123,126と、閉止体としての舌状片113、13
0とで構成されている。開放された舌状片は図27では
破線で示されている。基板125と平行な平面内に延在
してストッパ124で終結する別の薄膜123はインク
流路112上を遮蔽する。インク中に気泡が発生する
と、ノズル領域内の舌状片130の、静止状態でストッ
パ126に密着しているその自由端は、上に向かって変
位し、インク液は区画120からインク流路112中
へ、ついでノズル115を通じて射出される。このと
き、インク槽116の領域内に設けた舌状片113は静
止状態でストッパ124に密着しているため、区画12
0内のインク液はインク層116に向かうことはない。
インク中の気泡が消泡すると、舌状片130は下に向け
て変位し、ストッパ126に再び密着する。そして、舌
状片113はインク区画120内に倒れ落ち、これによ
りインク液が区画120中に流入する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、EP0436047
A1に記載の発明は、吐出口近傍域と気泡発生部とイン
ク供給部の3つの部屋を2つづつに区分してしまうため
に、吐出時には液滴に追従するインクが大きな尾引きと
なり、気泡成長・収縮・消泡を行う通常の吐出方式に比
べてサテライトドットがかなり多くなってしまう(消泡
によるメニスカス後退の効果を使えないと推定され
る)。また、気泡の吐出口側の弁は吐出エネルギーの多
大な損失を招く。さらに、リフィル時(ノズルへのイン
ク補充時)は、気泡発生部に液体が消泡に伴って供給さ
れるが、吐出口近傍域には次の発泡が生じるまで液体は
供給できないので、吐出液滴のばらつきが大きいだけで
なく、吐出応答周波数が極めて小さく、実用レベルでは
ない。
【0010】本発明は、吐出口とは反対方向への気泡成
長成分の抑制効率を向上し、これとは相反するリフィル
特性の高効率化を満足するための画期的な方法やヘッド
構成を見い出すべく新たな着想に基づいて吐出効率の向
上をも満足する発明を提案するものである。
【0011】本発明者達は鋭意研究の結果、直線状に形
成したノズル内で気泡を発生させ、この気泡成長に伴い
液体を吐出させる液体吐出ヘッドのノズル構造におい
て、特別な逆止弁の機能により、吐出口とは反対方向
(後方)への気泡成長を抑制し、後方への吐出エネルギ
ーを吐出口側に有効に利用できることを見い出した。そ
の上、特別な逆止弁の機能により後方への気泡成長成分
を抑制することで、吐出応答周波数が極めて高くできる
ことを見い出した。
【0012】本発明の目的は、上記のような研究過程で
得られた、新規な弁機能を有する液体吐出ヘッドにおい
て、発熱体により発生した気泡によって弁を変位させて
ノズルからのインクを吐出させる際に、その気泡による
インクの吐出パワーのロスが少なく、吐出口率の高い液
体吐出ヘッド、およびその液体吐出ヘッドを有する液体
吐出装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、液体を吐出するための複数の吐出口と、
前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、前記気
泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生する気泡
発生手段と、前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共
通液体供給室に連通する複数の液体供給口と、前記液体
供給口の前記液流路側の少なくとも一部分に対して微小
な隙間を隔てて支持された、自由端を有する可動部材と
を有し、前記可動部材の少なくとも自由端部およびそれ
に連続する両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液
流路に対する開口領域よりも大きくなっている液体吐出
ヘッドであって、前記可動部材が静止している状態で、
前記可動部材の前記吐出口側の部分が、前記液体供給口
を形成するための部材に接触すると共に、前記可動部材
の支点側の部分と前記液体供給口との間に微小な隙間を
有していることを特徴とする。
【0014】また、本発明は、液体を吐出するための複
数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が常に連通され、
液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する複数の液
流路と、前記気泡を発生し成長させるためのエネルギー
を発生する気泡発生手段と、前記複数の液流路にそれぞ
れ配設され、共通液体供給室に連通する複数の液体供給
口と、前記液体供給口の前記液流路側の少なくとも一部
分に対して微小な隙間を隔てて支持された、自由端を有
する可動部材とを有し、前記可動部材の少なくとも自由
端部およびそれに連続する両側部で囲まれる領域が前記
液体供給口の液流路に対する開口領域よりも大きくなっ
ている液体吐出ヘッドであって、前記可動部材が静止し
ている状態で、前記可動部材の前記吐出口側の部分が、
前記液体供給口を形成するための部材に接触すると共
に、前記可動部材の支点側の部分における側部と、前記
液体供給口を形成するための部材との間に微小な隙間を
有していることを特徴とする。
【0015】さらに、前記可動部材が静止している状態
で、前記可動部材の前記吐出口側の部分が、前記液体供
給口を形成するための部材を押圧することで、前記可動
部材が前記液体供給口側に向かって弾性的に凸状に湾曲
していてもよい。
【0016】さらに、本発明は、液体を吐出するための
複数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が常に連通さ
れ、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する複数
の液流路と、前記気泡を発生し成長させるためのエネル
ギーを発生する気泡発生手段と、前記複数の液流路にそ
れぞれ配設され、共通液体供給室に連通する複数の液体
供給口と、前記液体供給口の前記液流路側の少なくとも
一部分に対して微小な隙間を隔てて支持された、自由端
を有する可動部材とを有し、前記可動部材の少なくとも
自由端部およびそれに連続する両側部で囲まれる領域が
前記液体供給口の液流路に対する開口領域よりも大きく
なっている液体吐出ヘッドであって、前記可動部材が静
止している状態で、前記可動部材の前記吐出口側の部分
が、前記液体供給口を形成するための部材を押圧するこ
とで、前記可動部材が前記液体供給口側に向かって弾性
的に凸状に湾曲していると共に、前記可動部材の支点側
の部分と前記液体供給口との間に微小な隙間を有してい
ることを特徴とする。
【0017】上記の通りの発明では、気泡発生手段によ
り気泡発生領域で気泡を発生させて可動部材を変位さ
せ、可動部材によって液流路の液体供給口をほぼ閉じる
ことで液流路をほぼ密閉状態にしてから吐出口より液体
を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、可動部材が静止
している状態で、可動部材の吐出口側の部分が、液体供
給口を形成するための部材に接触していることにより、
気泡が発生してから液流路が吐出口を除いてほぼ密閉状
態になるまでの時間が短くなり、液流路から液体供給口
への液体の移動が最大限に抑えられる。これにより、吐
出動作において液流路から液体供給口への液体の移動に
よる吐出パワーのロスが減少し、液体吐出ヘッドの吐出
効率が向上する。また、それと共に、気泡の等方的な成
長から、気泡の吐出口側の部分が成長して気泡の液体供
給口側の部分が収縮するという部分成長部分収縮期間に
速く移行することが可能になる。さらに、可動部材が静
止している定常状態において可動部材の支点側の部分と
液体供給口との間に微小な隙間を有していたり、可動部
材の支点側の部分における側部と、液体供給口を形成す
るための部材との間に微小な隙間を有していたりするこ
とにより、可動部材の静止状態では、その微小な隙間を
通して液体供給口と液流路とが連通している。これによ
り、吐出動作で吐出口内のメニスカスが完全に復帰する
前に可動部材が静止したり、液流路への液体のリフィル
時のオーバーシュートでメニスカスが吐出口から突き出
た状態で可動部材が静止したりした場合でも、可動部材
の支点部分と液体供給口との間の微小な隙間を通して液
体が移動し、メニスカスが適切な位置に変位可能とな
る。
【0018】また、可動部材が静止している状態で可動
部材の吐出口側の部分が、液体供給口を形成するための
部材を押圧して可動部材が液体供給口側に向かって弾性
的に凸状に湾曲していることにより、発熱体により膜沸
騰が起こり気泡が等方的に成長する際に、可動部材が液
体供給口側へ凸状にさらに湾曲することで、液体供給口
が可動部材によって塞がれ、液流路が吐出口を除いて実
質的に密閉状態になる。この時、可動部材は、気泡が最
大に成長する前に上流側に向かって凸状に弾性的に湾曲
し、発熱体の発熱特性のばらつきや周囲の温度変化等に
よる発泡状態のばらつきが可動部材の湾曲によって吸収
される。その結果、発熱体による発泡状態のばらつきや
周囲の温度変化等に起因する吐出量のばらつきが抑制さ
れる。また、この場合には、可動部材が高次振動モード
で下方変位するために、可動部材の自由端の下方変位量
は大きいが、可動部材は速く開き、速く閉じる。そのた
め、リフィル時間の短縮が可能となる。
【0019】さらに、本発明の液体吐出装置は、上述し
たいずれかの液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから
吐出された液体を受け取る被記録媒体を搬送する被記録
媒体搬送手段とを備えている。
【0020】具体的には上記の液体吐出装置は、前記液
体吐出ヘッドからインクを吐出し、前記被記録媒体に該
インクを付着させることで記録を行う。
【0021】上記の液体吐出装置では、上述したような
液体吐出ヘッドを備えたことにより、液体の吐出効率を
高くすると共に吐出量のばらつきを抑制して記録を行う
ことができる。
【0022】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0023】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向
に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の
領域で発生する気泡を意味する。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0025】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1
の実施の形態による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向
に沿った断面図、図2は図1のX−X’線断面図、図3
は図1の吐出口中心からY1点で天板2側へシフトした
Y−Y’線断面図である。
【0026】図1〜図3に示す複数液路−共通液室形態
の液体吐出ヘッドでは、素子基板1と天板2とが液路側
壁10を介して積層状態で固着され、両板1,2の間に
は、一端が吐出口7と連通し他端が閉じられた液流路3
が形成されている。この液流路3は1個のヘッドに多数
設けられている。また、素子基板1には各々の液流路3
に対し、液流路3に補充された液体に気泡を発生させる
気泡発生手段としての電気熱変換素子等の発熱体4が配
されている。発熱体4と吐出液との接する面の近傍領域
には、発熱体4が急速に加熱されて吐出液に発泡が生じ
る気泡発生領域11が存在する。
【0027】多数の液流路3の各々に、供給部形成部材
5Aに形成された液体供給口5が配設され、各液体供給
口5に連通する共通液体供給室6が設けられている。つ
まり、単一の共通液体供給室6から多数の液流路3に分
岐した形状となっており、各液流路3と連通する吐出口
7から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液体
供給室6から受け取る。
【0028】液体供給口5と液流路3との間には、可動
部材8が液体供給口5の開口領域Sに対して微小な隙間
を有して設けられている。可動部材8は素子基板1と平
行に位置する。可動部材8の一端は、素子基板1の発熱
体4側に位置する自由端8Bであり、その他端側は固定
部材9に支持されている。この固定部材9によって液流
路3の吐出口7と反対側端が閉じられている。
【0029】図1に示すように可動部材8が静止した状
態では、可動部材8の自由端8B側の先端部がその弾性
力によって、液体供給口5を形成するための部材である
供給部形成部材5Aに接触している。従って、供給部形
成部材5Aの吐出口7側の部分が、可動部材8の自由端
8B側の端部が当接して可動部材8によって押圧される
ストッパ部5bとなっている。可動部材8の、ストッパ
部5bに接触する部分と、固定部材9に固定された部分
との間の部分は、液体供給口5から微小な間隔だけ離れ
ており、可動部材8と液体供給口5との微小な隙間は、
自由端8Bから支点8A側に向かって徐々に広くなって
いる。
【0030】可動部材8の少なくとも自由端部およびそ
れに連続する両側部で囲まれる領域が液体供給口5の開
口領域Sよりも大きくなっており(図3参照)、かつ、
可動部材8の側部と両側の流路側壁10のそれぞれとの
間は微小な隙間βを有する(図2参照)。前述した供給
部形成部材5Aは、可動部材8に対して、図2に示すよ
うに隙間γを介している。隙間β、γは、流路のピッチ
によって異なるが、隙間γが大きければ可動部材8は開
口領域Sを遮断し易く、隙間βが大きければ可動部材8
は液体供給口5との隙間を介して位置する定常状態より
も消泡に伴って素子基板1側へ移動し易くなる。本実施
形態では、可動部材8の支点8Aと液体供給口5との隙
間、すなわち図2に示される隙間αは3μm、隙間βは
3μm、隙間γは4μmとした。
【0031】また、可動部材8は、流路側壁10の間の
幅方向で、上記開口領域Sの幅W2よりも大きい幅W1
を有しており、開口領域Sを十分密閉できる幅を有して
いる。可動部材8の支点8Aは、複数の可動部材が複数
液路に交差する方向に関して連続している連続部の自由
端側の端部延長線上で、液体供給口5の開口領域Sの上
流側端部を規定する(図3参照)。本実施形態では、図
2および図3に示すように流路側壁10自体の厚みより
も、供給部形成部材5Aの、可動部材8に沿っている部
分の厚みが小さく設定されており、流路側壁10に対し
て供給部形成部材5Aが積層されている。なお、供給部
形成部材5Aの、可動部材8の自由端8Bよりも吐出口
7側は、図3に示すように流路側壁10自体の厚みに対
して同じ厚さに設定されている。
【0032】以上により可動部材8は液流路3内で摩擦
抵抗なく可動できる一方で、開口領域S側への変位は開
口領域Sの周辺部で規制できる。これにより、開口領域
Sを実質的に塞いで液流路3内部から共通液体供給室6
への液流を防ぐことが可能となる一方で、気泡の消泡に
伴って、液流路側へ実質密閉状態からリフィル可能状態
へ移動可能となる。可動部材8が静止している状態で
は、上述したように可動部材8の自由端8B側の先端部
が供給部形成部材5Aのストッパ部5bに接触すると共
に、可動部材8の支点8A側の部分における側部と、供
給部形成部材5Aとの間に微小な隙間があり、その微小
な隙間を通して液体供給口5と液流路3とがわずかに連
通している。
【0033】なお、開口領域Sは、液体供給口5から液
流路3に向かって液体を供給する実質的な領域であり、
本実施形態においては図1および図3に示すように液体
供給口5の3辺と固体部材9の端部9Aで囲まれた領域
である。
【0034】また、図4に示すように本実施形態におい
ては、電気熱変換体としての発熱体4と吐出口7との間
は弁のような障害物は無く、液流に対し直線的な流路構
造を保っている「直線的連通状態」となっている。これ
は、より好ましくは、気泡の発生時に生じる圧力波の伝
播方向とそれに伴う液体の流動方向と吐出方向とを直線
的に一致させることで、吐出滴の吐出方向や吐出速度等
の吐出状態をきわめて高いレベルで安定化させるという
理想状態を形成することが望ましい。本発明では、この
理想状態を達成、または近似させるための一つの定義と
して、吐出口7と発熱体4、特に気泡の吐出口7側に影
響力を持つ発熱体4の吐出口7側(下流側)とが直接直線
で結ばれる構成とすればよく、これは、液流路3内の流
体がない状態であれば、吐出口7の外側から見て発熱体
4、特に発熱体4の下流側が観察することが可能な状態
である(図4参照)。
【0035】次に、本実施形態の液体吐出ヘッドにおけ
る可動部材8の動きについて詳しく説明する。図5〜図
8は図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドにおける
可動部材8の動きを説明するために、液体吐出ヘッドを
液流路方向に沿った切断図で示すと共に、特徴的な現象
を図5(a)〜図8(b)の8工程に分けて示したもの
である。
【0036】図5(a)では、発熱体4に電気エネルギ
ー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体
が熱を発生する前の状態を示す。この状態では、液体供
給口5と液流路3との間に設けられた可動部材8におけ
る中央部から支点側の部分にかけて、液体供給口5の形
成面との間には微小な隙間(10μm以下)が存在して
いる。
【0037】ここで重要なことは、可動部材8が、発熱
体4の発熱によって発生する気泡に対し、この気泡の上
流側ほぼ半分に対面する位置に設けられており、かつ、
可動部材8の自由端部と供給部形成部材5Aのストッパ
部5bとが気泡発生領域11の中央上方に配置されてお
り、気泡発生前に液流路構造、可動部材8の配置位置、
および可動部材8の弾性力により可動部材8がストッパ
部5bに接触していることである。
【0038】図5(b)では、液流路3を満たす液体の
一部が発熱体4によって加熱され、発熱体4上に膜沸騰
が起こり気泡21が等方的に成長した状態を示す。ここ
で、「気泡成長が等方的」とは、気泡表面の所々におい
て気泡表面の垂線方向を向いた気泡成長速度がそれぞれ
ほぼ等しい大きさである状態をいう。
【0039】この気泡発生初期の、気泡21の等方的な
成長過程において、可動部材8の、ストッパ部5bに接
触する部分と支点8A近傍の部分との間の部分が液体供
給口5側に変位することで可動部材8が液体供給口5の
周辺部と密着して液体供給口5を塞ぎ、液流路3内が、
吐出口7を除いて実質的に密閉状態になる。この時、可
動部材8の支点近傍の部分が、液体供給口5側に最大変
位する量をh1とする。
【0040】本実施形態では、上述したように定常状態
で可動部材8の自由端部がストッパ部5bに接触してい
ることにより、定常状態で可動部材8の自由端部がスト
ッパ部5bから離れている場合と比較して、気泡が発生
してから可動部材8によって液体供給口5が塞がれるま
での時間が短くなり、液流路3から液体供給口5へのイ
ンクの移動が最大限に抑えられる。これにより、吐出動
作において液流路3から液体供給口5へのインクの移動
による吐出パワーのロスが減少し、液体吐出ヘッドの吐
出効率が向上する。また、それと共に、気泡の等方的な
成長から、後述するように気泡21の吐出口7側の部分
が成長して気泡21の液体供給口5側の部分が収縮する
という部分成長部分収縮期間に速く移行することが可能
となっている。
【0041】図6(a)は気泡21が成長し続けている
状態を示す。この状態では、上述のように液流路3内が
吐出口7を除いて実質的に密閉状態になっているので、
液体の流れが液体供給口5側には行かない。そのため、
気泡21は、吐出口7側へは大きく広がることができる
が、液体供給口5側へはあまり広がらない。そして、気
泡発生領域11の吐出口7側では気泡成長は続くが、逆
に、気泡発生領域11の液体供給口5側では気泡成長が
止まってしまう。つまり、この気泡成長停止状態が、気
泡発生領域11の液体供給口5側では、最大発泡状態に
なっている。この時の発泡体積をVrとする。
【0042】この時には、B領域の気泡成長が停止し、
可動部材8を液体供給口5に押圧している力が弱まる。
そうすると、可動部材8の弾性力によって、可動部材8
の中央部付近が定常状態に向かって下方変位を開始しよ
うとしている。
【0043】ここで、図5(a),(b)および図6
(a)における気泡の成長過程を図11に基づき詳述す
る。図11(a)に示すように発熱体4が加熱されると
発熱体4上に初期沸騰が生じ、その後図11(b)に示
すように発熱体4上を膜状の気泡が覆う膜沸騰に変化す
る。そして膜沸騰状態の気泡は図11(b)〜図11
(c)に示すように等方的に成長し続ける(このように
等方的に気泡成長している状態は半ピュロー状態と呼ば
れる。)。ところが図5(b)に示したように液流路3
内が、吐出口7を除いて実質的に密閉状態になると、上
流側への液移動ができなくなるため、半ピュロー状の気
泡において上流側(液体供給口5側)の気泡の一部があ
まり成長できなくなり、残りの下流側(吐出口7側)の
部分が大きく成長する。この状態を表したのが、図6
(a)や図11(d)、(e)である。ここで説明の便
宜上、発熱体4を加熱しているとき、発熱体4上におい
て気泡が成長しない領域をB領域とし、気泡が成長する
吐出口7側の領域をA領域とする。なお、図11(e)
に示すB領域では、発泡体積が最大となっており、この
ときの発泡体積をVrとした。
【0044】次に図6(b)は、A領域では気泡成長が
続いており、B領域では気泡収縮が始まっている状態を
示す。この状態では、A領域では吐出口側に向けて気泡
が大きく成長していく。そして、B領域における気泡の
体積は減少し始める。これにより、可動部材8の、スト
ッパ部5bに接触する部分と、固定部材9に固定された
部分との間の部分が、その剛性による復元力やB領域に
おける気泡の消泡力で定常状態位置へと下方変位し始め
る。その結果、可動部材8の支点部近傍で液体供給口5
が開き、可動部材8の支点部近傍の部分と液体供給口5
との微小な隙間を通して共通液体供給室6と液流路3が
連通状態となる。
【0045】この時、可動部材8の中央部分が先に下方
変位を始め、続いて可動部材8の自由端が下方変位す
る。このため、可動部材8は2次以上の高次振動モード
で変位する。高次振動モードについては図9および図1
0を参照して後述する。
【0046】図7(a)は、可動部材8の中央部分に続
いて自由端8Bも下方変位を開始し、それに伴い、液体
供給口5から液体の充填(リフィル)が開始した状態を
示している。その液体のリフィルに伴って、B領域の気
泡は収縮し始めているが、A領域の気泡はまだ成長を続
けている。この時、可動部材8の振動は高次モードのた
め、自由端8Bの変位速度は大きい。
【0047】ここで、高次振動モードについて図9およ
び図10を用いて詳述する。片側が支持され、片側が自
由端の片持ち梁の1次振動モードを図9に示し、2次振
動モードを図10に示す。1次振動モードに比べて2次
振動モードでは固有振動数が大きく、自由端の変位量も
大きい、従って、本実施形態において、可動部材8を2
次振動モードで振動させることにより、可動部材8の自
由端の変位量を大きくしながら、可動部材8の下方変位
の時間を短くし、リフィルを短時間で完了することが可
能となる。
【0048】図7(b)は、気泡21がほぼ最大に成長
した状態を示す。この状態では、A領域において気泡が
最大に成長し、液体供給口5からのリフィルによってB
領域における気泡はほとんど消泡する。さらに、可動部
材8の自由端の下方変位速度は小さくなり、その変位が
停止しようとしているが、可動部材8の中央部分付近は
既に上方変位を開始している。この時のA領域での最大
気泡体積をVfとする。また、吐出口7から吐出しつつ
ある吐出液は長い尾引の状態でメニスカスと未だ繋がっ
ている。
【0049】図8(a)は、気泡のA領域の消泡過程を
示す図である。液体供給口5からの液体のリフィルと共
に可動部材8の自由端8Bが素早く上方変位を開始し、
可動部材8が定常状態へ復帰しようとしている。
【0050】図8(b)は、気泡21の成長は止まり消
泡工程のみの段階である。A領域で気泡成長から消泡に
変わった直後は、気泡21の収縮エネルギーは全体バラ
ンスとして吐出口7近傍の液体を上流方向へ移動させる
力として働く。従って、メニスカスはこの時点で吐出口
7から液流路3内に引き込まれ、吐出液滴と繋がってい
る液柱を強い力ですばやく切り離すことになる。その一
方で、気泡の収縮に伴い、共通液体供給室6から液体供
給口5を介して液体が急速に大きな流れとなって液流路
3内へ流れ込む。これにより、メニスカスを液流路3内
へと急速に引き込む流れが急に低下するため、メニスカ
スは比較的低速で発泡前の位置へ戻り始めるので、本発
明に係る可動部材を備えていない液体吐出方式に比べて
メニスカスの振動の収束性が非常に良い。なお、可動部
材8の自由端が、気泡発生領域11側に最大変位する量
をh2(図7(b)参照)とする。
【0051】最後に、気泡21が完全に消泡すると、可
動部材8も図5(a)に示した定常状態位置に復帰す
る。この状態へは、可動部材8はその弾性力により上方
変位する(図8(a)の実線の矢印A方向)。また、こ
の状態では、メニスカスはすでに吐出口7近傍で復帰し
ている。ここで、上述したように可動部材8の支点部分
と液体供給口5との間には微小な隙間があり、可動部材
8が完全に静止している状態でも、その微小な隙間を通
して液体供給口5と液流路3とが連通している。これに
より、メニスカスが完全に復帰する前に可動部材8が静
止したり、液流路3へのインクのリフィル時のオーバー
シュートでメニスカスが吐出口7から突き出た状態で可
動部材8が静止したりした場合でも、可動部材8の支点
部分と液体供給口5との間の微小な隙間を通してインク
が移動し、メニスカスが適切な位置に変位可能となって
いる。
【0052】次に、図5〜図8におけるA領域とB領域
での気泡体積の時間変化と可動部材の挙動との相関関係
を図12を参照して説明する。図12はその相関関係を
表したグラフであり、曲線AはA領域における気泡体積
の時間変化を示し、曲線BはB領域における気泡体積の
時間変化を示す。
【0053】図12に示すように、A領域での気泡の成
長体積の時間変化は極大値をもつ放物線を描く。つま
り、発泡開始されてから消泡までにおいて気泡体積は時
間経過と共に増大して、ある時点で最大となり、その後
減少する。一方、B領域については、A領域の場合と比
べ、発泡開始されてから消泡までに要する時間が短く、
また気泡の最大成長体積も小さく、最大成長体積に達す
る時間も短い。つまり、A領域とB領域とでは、発泡開
始されてから消泡までに要する時間と気泡の成長体積変
化とが大きく異なっていて、B領域の方が小さい。
【0054】特に図12において、気泡の発生初期は同
じ時間変化で気泡体積が増大するため、曲線Aと曲線B
が重なってる。つまり、気泡の発生初期は気泡が等方的
に成長している(半ピュロー状の)期間が生じている。
その後、曲線Aが極大点まで増大する曲線を描くもの
の、ある時点で曲線Bは曲線Aから分岐し、気泡体積が
減少する曲線を描く。つまり、A領域では気泡の体積が
増加するものの、B領域では気泡体積が減少する期間
(部分成長部分収縮期間)が生じる。
【0055】そして、上記のような気泡成長の仕方に基
づき、図1に示したように発熱体の一部分を可動部材の
自由端が覆った形態では、可動部材は次のような挙動を
生じる。すなわち、図12のの期間では可動部材の、
自由端部と支点近傍の部分との間の部分が液体供給口に
向かって上方変位している。同図の期間では可動部材
が液体供給口に密着し、液流路内が吐出口を除いて実質
的に密閉状態となる。この密閉状態の開始は気泡が等方
的に成長している期間で行われる。次に同図の期間で
は、可動部材の、自由端部と支点近傍の部分との間の部
分が定常状態位置に向かって下方変位している。この可
動部材による液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮
期間開始から一定時間経過後に行われる。次に同図の
期間では、可動部材が定常状態からさらに下方変位して
いる。次に同図の期間では、可動部材の下方変位がほ
ぼ停止し、可動部材が開放位置で平衡状態になってい
る。最後に同図の期間では、可動部材が定常状態位置
に向かって上方変位している。
【0056】このような気泡成長と可動部材の挙動との
相関関係は、可動部材と発熱体との相対位置に影響され
る。そこで、図13および図14を参照し、本形態と異
なる相対位置の可動部材と発熱体を備えた液体吐出ヘッ
ドにおける気泡成長と可動部材の挙動との相関関係を説
明する。
【0057】図13は、発熱体全体を可動部材の自由端
が覆った形態における気泡成長と可動部材の挙動との相
関関係を説明するための図で、(a)はその形態を、
(b)はその相関関係のグラフを示している。図13の
(a)で示す形態のように発熱体と可動部材が重なって
いる面積が大きいと、図13のの期間が図1の形態の
場合と比べて短時間となり、発熱体を加熱してから短時
間で密閉状態になるので、より好ましい。なお、図13
の〜の各期間の可動部材の挙動は図12に基づいて
説明した挙動と同じである。また図13の形態をとる
と、可動部材が気泡の体積減少の影響を受けやすくなる
ため、同図の期間開始時点から判るように、可動部材
による液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開
始から即座に行われる。つまり、可動部材の開放タイミ
ングが図1の形態の場合と比べて早い。同様の理由で、
可動部材8の振幅が大きくなる。
【0058】また図14は、発熱体と可動部材が離れて
いる形態における気泡成長と可動部材の挙動との相関関
係を説明するための図で、(a)はその形態を、(b)
はその相関関係のグラフを示している。図14の(a)
で示す形態のように発熱体と可動部材とが離れている
と、可動部材が気泡の体積減少の影響を受けにくいた
め、同図の期間開始時点から判るように、可動部材に
よる液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開始
からかなり遅れて行われる。つまり、可動部材の開放タ
イミングが図1の形態の場合と比べて遅い。同様の理由
で、可動部材の振幅が小さくなる。なお、図14の〜
の各期間の可動部材の挙動は図12に基づいて説明し
た挙動と同じである。
【0059】なお、上記可動部材8と発熱体4との位置
関係は一般的な動作の説明をしたもので、可動部材の自
由端の位置、可動部材の剛性等によって各動作は異なっ
てくるものである。
【0060】また、図12〜図14から判るように、気
泡発生領域11の吐出口7側で成長する気泡(A領域の
気泡)の最大時の体積をVfとし、気泡発生領域11の
液体供給口5側で成長する気泡(B領域の気泡)の最大
時の体積をVrとすると、Vf>Vrの関係が本発明の
ヘッドでは常に成り立っている。さらに、気泡発生領域
11の吐出口7側で成長する泡(A領域の泡)のライフ
タイム(泡の発生から消泡までの時間)をTfとし、気
泡発生領域11の液体供給口5側で成長する泡(B領域
の泡)のライフタイムをTrとすると、Tf>Trの関
係が本発明のヘッドでは常に成り立つ。そして、上記の
ような関係となるため、気泡の消泡点は、気泡発生領域
11の中心付近より吐出口7側に位置することとなる。
【0061】さらに本ヘッド構成では、図5(b)およ
び図7(b)からも判るように、気泡の発生初期に可動
部材8の支点近傍の部分が液体供給口5側に最大変位す
る量h1よりも、気泡の消泡と共に可動部材8の自由端
が気泡発生手段4側に最大変位する量h2の方が大きい
という関係(h1<h2)にある。例えばh1は2μ
m、h2は10μmである。この関係が成り立つことに
より、発泡初期での発熱体後方(吐出口に対して反対方
向)への泡の成長を抑制し、発熱体前方(吐出口に向か
う方向)への泡の成長をより促進させることができる。
このことによって、発熱体で生じる発泡パワーを、液体
が吐出口から飛翔する液滴の運動エネルギーへ変換させ
る効率を向上させることができる。
【0062】本実施形態のヘッド構成および液体吐出動
作について説明したが、このような形態によれば、気泡
の下流側への成長成分と上流側への成長成分が均等では
なく、上流側への成長成分がほとんどなくなり上流側へ
の液体の移動が抑制される。上流側への液体の流れが抑
制されるため、上流側に気泡成長成分が損失することな
くそのほとんどが吐出口の方向に向けられ、吐出力が格
段に向上する。さらに、吐出後のメニスカスの後退量が
減少し、その分リフィル時にメニスカスがオリフィス面
よりも突出する量も減少する。そのためメニスカス振動
が抑制されることとなり、低周波数から高周波数まであ
らゆる駆動周波数において安定した吐出を行うことがで
きる。
【0063】以上で説明したように、本実施形態の液体
吐出ヘッドでは、可動部材8が静止した状態で可動部材
8の少なくとも自由端部が供給部形成部材5Aのストッ
パ部5bに接触している。これにより、気泡の発生か
ら、可動部材8により液体供給口5を塞いで液流路3を
ほぼ密閉状態にするまでの間で、液流路3から液体供給
口5へのインクの移動が最大限に抑えられる。その結
果、インク吐出動作において液流路3から液体供給口5
へのインクの移動による吐出パワーのロスが減少し、液
体吐出ヘッドの吐出効率が向上する。また、それと共
に、気泡の等方的な成長から、気泡21の吐出口7側の
部分が成長して気泡21の液体供給口5側の部分が収縮
するという部分成長部分収縮期間に速く移行することが
できる。
【0064】さらに、可動部材8の振動が2次以上の高
次振動モードになることにより、可動部材8の固有振動
数が大きく、可動部材8が速く開閉すると共に下方変位
量も大きい。その結果、短時間で大量のリフィルを可能
にしている。
【0065】(第2の実施の形態)図15は、本発明の
第2の実施の形態による液体吐出ヘッドの1つの液流路
方向に沿った断面図であり、図16は、図1の吐出口中
心からY1点で天板2側へシフトしたY−Y’線断面図
である。本実施形態の液体吐出ヘッドは第1の実施形態
のものと比較して、可動部材が静止した初期状態におい
て可動部材の自由端側の端部が液体供給口の周辺部を押
圧して可動部材が湾曲している点が主に異なっている。
図15および図16では、第1の実施形態と同一の構成
部品に同一の符号を付し、以下では、第1の実施形態と
異なる点を中心に説明する。
【0066】図15に示すように本実施形態の液体吐出
ヘッドでは、可動部材8が静止した初期状態で可動部材
8の自由端8B側の先端部が供給部形成部材5Aに接触
して供給部形成部材5Aを押圧すると共に、可動部材8
が液体供給口5側に向かって弾性的に凸状に湾曲して応
力をチャージさせるまでにとどまった状態にある。すな
わち、可動部材8が静止した状態でも可動部材8がその
弾性力によって供給部形成部材5Aに向かって力を加え
ていて、特に可動部材8の自由端8B側の先端部が液体
供給口5側に向かって弾性的に凸状に湾曲している。
【0067】この液体吐出ヘッドにおけるインクの吐出
動作では、発熱体4上に膜沸騰が起こり気泡が等方的に
成長した際に、可動部材8が液体供給口5側へ凸状にさ
らに湾曲する。可動部材8のさらなる湾曲に伴って、可
動部材8の、ストッパ部5bに接触した部分と支点8A
の部分との間の部分が上方変位し、可動部材8が液体供
給口5の周辺部と密着する。これにより、液体供給口5
の開口領域Sが可動部材8によって塞がれ、液流路3内
が、吐出口7を除いて実質的に密閉状態になる。この
時、可動部材8は、気泡が最大に成長する前に上流側に
向かって凸状に弾性的に湾曲するので、発熱体4の発熱
特性のばらつきや周囲の温度変化等による発泡状態のば
らつきが可動部材8の湾曲によって吸収される。その結
果、発熱体4による発泡状態のばらつきや周囲の温度変
化等に起因するインクの吐出量のばらつきが抑制され
る。
【0068】本実施形態の液体吐出ヘッドの場合、発泡
時には可動部材8の凸状の湾曲以外の変位が行われな
い。そのため、液流路3内へのインクのリフィル時に
は、可動部材8が下方変位するためのエネルギーとして
可動部材31の復元力に気泡の消泡力が加わることにな
る。
【0069】さらに、気泡等方成長時に可動部材8の中
央部分の上方変位は第1の実施形態に比較して大きいた
めに、第1の実施形態に比較して、より大きな高次振動
モードで可動部材8が変位する。そのため、リフィル時
間を短縮することが可能となる。
【0070】これらによって、上流側への液流を大幅に
規制し、隣接したノズルへの液体クロストークや、液流
路3への高速なリフィルを阻害する供給路系における液
の逆流や圧力振動を防止すると共に、吐出量の変動が抑
えられている。
【0071】このような構成の液体吐出ヘッドの場合で
は、通常のインクの吐出動作を行っても可動部材8の下
方変位が小さく、可動部材8が定常状態の位置へと速く
移行する。従って、液流路3内にリフィルするインクの
量は少ないが、短時間で液流路3内へのインクのリフィ
ルが完了する。これにより、可動部材8が静止している
状態で可動部材8を弾性的に湾曲させている構成は、微
少な吐出量のインクを吐出する液体吐出ヘッドには有効
なものとなりうる。
【0072】(第3の実施の形態)第1の実施の形態の
ヘッド構造においては図1および図3に示したように、
可動部材8の、固定部材9に対して未接合となる(すな
わち、屈曲して立ち上がる)位置が固定部材9の端部9
Aとは同じでないため、開口領域Sは、液体供給口5の
3辺と固体部材9の端部9Aで囲まれた領域となった
が、図17および図18に示す形態のように、可動部材
8の固定部材9からの屈曲立ち上がり位置を固定部材9
の端部9Aとしてもよい。この形態の場合には、開口領
域Sは図17および図18に示すように、液体供給口5
の3辺と可動部材8の支点部8Aとで囲まれた領域とな
る。
【0073】また、第1の実施の形態のヘッド構造にお
いて液体供給口5は図3に示したように4つの壁面で囲
まれた開口としたが、図19および図20に示す形態の
ように、供給部形成部材5A(図1参照)のうち、吐出
口7側とは反対の液体供給室6側の壁面が開放されてい
てもよい。この形態の場合には、第1の実施の形態と同
様、開口領域Sは図19および図20に示すように、液
体供給口5の3辺と固定部材9の端部9Aとで囲まれた
領域となる。
【0074】これらの構成の液体吐出ヘッドにおいて
も、図17および図19に示されるように、可動部材8
が静止した状態で可動部材8の自由端8B側の先端部が
その弾性力によって供給部形成部材5Aのストッパ部5
bに接触している。これにより、インクの吐出動作にお
いて液流路3から液体供給口5へのインクの移動が最大
限に抑えられるので、液流路3から液体供給口5へのイ
ンクの移動による吐出パワーのロスが減少し、液体吐出
ヘッドの吐出効率が向上する。また、それと共に、気泡
の等方的な成長から、気泡21の吐出口7側の部分が成
長して気泡21の液体供給口5側の部分が収縮するとい
う部分成長部分収縮期間に速く移行することができる。
【0075】また、図17および図18に示される液体
吐出ヘッドや、図19および図20に示される液体吐出
ヘッドに、第2の実施形態における可動部材4を弾性的
に湾曲させた構成を適用してもよい。そのようにするこ
とにより、発熱体4による発泡状態のばらつきや周囲の
温度変化等に起因するインクの吐出量のばらつきを抑制
することができる。また、液流路3内にリフィルするイ
ンクの量が少なくとも、短時間で液流路3内へインクを
リフィルすることができ、微少な吐出量のインクを吐出
する液体吐出ヘッドを構成することができる。
【0076】(その他の実施の形態)以下、本発明の液
体吐出原理を用いたヘッドに好適な様々な形態例を説明
する。
【0077】<サイドシュータタイプ>図21はいわゆ
るサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドの断面図を示
したものである。この説明において、第1の実施の形態
と同一の構成要素には同一符号を用いる。この形態の液
体吐出ヘッドは、図21に示すように発熱体4と吐出口
7が平行平面上で対面し、液流路3が、吐出口7からの
液体の吐出方向に沿った軸方向と直角に連通している点
で、第1の実施の形態と異なっている。このような液体
吐出ヘッドにおいても第1の実施の形態と同様の吐出原
理に基づく効果を奏する。
【0078】<可動部材>上述の実施形態において、可
動部材を構成する材質としては吐出液に対して耐溶剤性
があり、可動部材として良好に動作するための弾性を有
しているものであればよい。
【0079】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水
酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有する
樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、エポ
キシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂等の
アミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール基を
持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素、チッ化
珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。本発
明における可動部材としてはμmオーダーの厚さを対象
にしている。
【0080】次に、発熱体と可動部材の配置関係につい
て説明する。発熱体と可動部材の最適な配置によって、
発熱体による発泡時の液の流れを適正し制御して有効に
利用することが可能となる。
【0081】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図2
2の破線に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比
例関係にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領
域Sが存在していることがわかる。また、発熱体上のコ
ゲの様子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に
存在していることがわかる。これらの結果から、発熱体
周囲の約4μm幅は、発泡に関与されていないとされて
いる。これに対し、本発明の液体吐出ヘッドは、気泡発
生手段を含む液流路が吐出口を除いて実質的に遮蔽され
ていることで最大の吐出量が規制されるため、図22の
実線で示すように、発熱体面積や発泡パワーのばらつき
が大きくても吐出量が変化しない領域があり、この領域
を利用することにより大ドットの吐出量安定化が図れ
る。
【0082】図23は本発明の液体吐出装置の要部の側
断面図を示したもので、図23(a)は後述する保護膜
があるヘッド、図23(b)は保護膜がないものであ
る。
【0083】素子基板1上には天板2が配され、素子基
板1と天板2の間に液流路3が形成されている。
【0084】素子基板1は、シリコン等の基体107に
絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ
化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体10を構
成するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タン
タル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気
抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュ
ウム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)を図
23(a)のようにパターニングしている。この配線電
極104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層10
5に電流を流し発熱させる。配線電極104間の抵抗層
105上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護
膜103を0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにその
うえにタンタル等の耐キャビテーション層102(0.
1〜0.6μm厚)が成膜されており、インク等の各種
の液体から抵抗層105を保護している。
【0085】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0086】また、液体、流路構成、抵抗材料の組み合
わせにより、上述の抵抗層105に保護膜103を必要
としない構成でもよくその例を図23(b)に示す。こ
のような保護膜103を必要としない抵抗層105の材
料としてはイリジュウム−タンタル−アルミ合金等が挙
げられる。
【0087】このように、前述の各実施形態における発
熱体4の構成としては、前述の電極104間の抵抗層1
05(発熱部)だけででもよく、また抵抗層105を保
護する保護膜103を含むものでもよい。
【0088】各実施形態においては、発熱体4として電
気信号に応じて発熱する抵抗層105で構成された発熱
部を有するものを用いたが、これに限られることなく、
吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせ
るものであればよい。例えば、レーザ等の光を受けるこ
とで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで
発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0089】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層105に電気信
号を供給するための配線電極104で構成される発熱体
10の他に、この発熱体4(電気熱変換素子)を選択的
に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、
シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程
によって作り込まれていてもよい。
【0090】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている発熱体4の発熱部を駆動し、液体を吐出するため
には、前述の抵抗層105に配線電極104を介して図
24に示されるような矩形パルスを印加し、配線電極1
04間の抵抗層105を急峻に発熱させる。前述の各実
施形態のヘッドにおいては、それぞれ電圧24V、パル
ス幅7μsec、電流150mA、電気信号を6kHz
で加えることで発熱体を駆動させ、前述のような動作に
よって、吐出口7から液体であるインクを吐出させた。
しかしながら、駆動信号の条件はこれに限られることな
く、発泡液を適正に発泡させることができる駆動信号で
あればよい。
【0091】<吐出液体>このような液体のうち、記録
を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブ
ルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いる
ことができる。
【0092】また、従来吐出が困難であった発泡性が低
い液体、熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液
体等であっても利用できる。
【0093】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
吐出や発泡または可動部材の動作等を妨げないような液
体でないことが望まれる。
【0094】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。
【0095】本発明においては、さらに吐出液に用いる
ことができる記録液体として以下のような組成のインク
を用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインク
の吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し
非常に良好な記録画像を得ることができる。
【0096】
【表1】 <液体吐出装置>図25は、上述の各種の実施形態で説
明した構造の液体吐出ヘッドを装着して適用することの
できる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装
置の概略構成を示している。図25に示されるインクジ
ェット記録装置600に搭載されたヘッドカートリッジ
601は、上述した構造の液体吐出ヘッドと、その液体
吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを有
するものである。ヘッドカートリッジ601は、図25
に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して
駆動力伝達ギヤ603および604を介して回転するリ
ードスクリュー605の螺旋溝606に対して係合する
キャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ60
2の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッ
ジ607ともとにガイド608に沿って矢印aおよびb
の方向に往復移動される。インクジェット記録装置60
0には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたイン
ク等の液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙P
を搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられて
いる。その被記録媒体搬送手段によってプラテン609
上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610は、
キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用紙P
をプラテン609に対して押圧する。
【0097】リードスクリュー605の一端の近傍に
は、フォトカプラ611および612が配設されてい
る。フォトカプラ611および612は、キャリッジ6
07のレバー607aの、フォトカプラ611および6
12の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転
方向の切り換え等を行うためのホームポジション検知手
段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッドカ
ートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ部
材614を支持する支持部材613が備えられている。
また、ヘッドカートリッジ601から空吐出等されてキ
ャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引するイ
ンク吸引手段615が備えられている。このインク吸引
手段615によりキャップ部材614の開口部を介して
ヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。
【0098】インクジェット記録装置600には本体支
持体619が備えられている。この本体支持体619に
は移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ6
07の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持さ
れている。移動部材618には、クリーニングブレード
617が取り付けられている。クリーニングブレード6
17はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニン
グブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段6
15による吸引回復操作にあたって吸引を開始するため
のレバー620が備えられており、レバー620は、キ
ャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移
動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換
え等の公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカート
リッジ601に設けられた発熱体に信号を付与したり、
前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェッ
ト記録制御部は記録装置本体側に設けられており、図2
5では示されていない。
【0099】上述した構成を有するインクジェット記録
装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラ
テン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘ
ッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわた
って往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給
手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給さ
れると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録
媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行
われる。
【0100】図26は、本発明の液体吐出装置によりイ
ンクジェット式記録を行なうための記録装置全体のブロ
ック図である。
【0101】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インターフェイス301に一時保存される
と同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、
ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU(中央処理装
置)302に入力される。CPU302はROM(リー
ド・オンリー・メモリー)303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM(ランダム・アクセス・メモリー)304
等の周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画
像データ)に変換する。
【0102】また、CPU302は前記画像データを記
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙およびヘッドカートリッジ601を搭
載したキャリッジ607を移動する駆動用モータ602
を駆動するための駆動データを作る。画像データおよび
モータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、モ
ータドライバ305を介し、ヘッドカートリッジ601
および駆動用モータ602に伝達され、それぞれ制御さ
れたタイミングで駆動され画像を形成する。
【0103】このような記録装置に用いられ、インク等
の液体の付与が行われる被記録媒体150としては、各
種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等
に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅
等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合
板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポン
ジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0104】また、この記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、または布帛に記録を行う捺染装置
等をも含むものである。
【0105】また、これらの液体吐出装置に用いる吐出
液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、気泡によ
り変位した可動部材によって液体供給口を閉じること
で、吐出口を除いて液流路をほぼ密閉状態にしてから吐
出口より液体を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、可
動部材が静止している状態で、可動部材の吐出口側の部
分が、液体供給口を形成するための部材に接触している
ことにより、吐出動作において液流路から液体供給口へ
の液体の移動による吐出パワーのロスが減少し、液体吐
出ヘッドの吐出効率が向上するという効果がある。ま
た、それと共に、気泡の等方的な成長から、気泡の吐出
口側の部分が成長して気泡の液体供給口側の部分が収縮
するという部分成長部分収縮期間に速く移行できるとい
う効果がある。さらに、可動部材が静止している定常状
態において可動部材の支点側の部分の近傍に、液体供給
口と液流路とが連通する微小な隙間があることにより、
吐出動作で吐出口内のメニスカスが完全に復帰する前に
可動部材が静止したり、液流路への液体のリフィル時の
オーバーシュートでメニスカスが吐出口から突き出た状
態で可動部材が静止したりした場合でも、その微小な隙
間を通して液体が移動し、メニスカスが適切な位置に変
位可能となる。
【0107】また、可動部材が静止している状態で可動
部材の吐出口側の部分が、液体供給口を形成するための
部材を押圧して可動部材が液体供給口側に向かって弾性
的に凸状に湾曲していることにより、発熱体による発泡
状態のばらつきや周囲の温度変化等に起因する吐出量の
ばらつきを抑制することが可能になるという効果があ
る。また、この場合、可動部材を高次振動モードで変位
させることにより、下方変位量を大きくすると共に下方
変位期間を短くすることができる。このため、リフィル
時間の短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による液体吐出ヘッ
ドの1つの液流路方向に沿った断面図である。
【図2】図1のX−X’線断面図である。
【図3】図1のY−Y’線断面図である。
【図4】「直線的連通状態」を説明する流路の断面図で
ある。
【図5】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの吐
出動作を説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向
に沿った切断図で示すと共に、特徴的な現象を分けて示
したものである。
【図6】図5の続きの吐出動作を説明するために、液体
吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したもので
ある。
【図7】図6の続きの吐出動作を説明するために、液体
吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したもので
ある。
【図8】図7の続きの吐出動作を説明するために、液体
吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したもので
ある。
【図9】片側が自由端の片持ち梁の1次振動モードを示
す図である。
【図10】片側が自由端の片持ち梁の2次振動モードを
示す図である。
【図11】図5(b)の気泡の等方的な成長状態を示す
図である。
【図12】図5〜図8におけるA領域とB領域での気泡
成長の時間変化と可動部材の挙動との相関関係を表した
グラフである。
【図13】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置と
は異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
【図14】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置と
は異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
【図15】本発明の第2の実施の形態による液体吐出ヘ
ッドの1つの液流路方向に沿った断面図である。
【図16】図15のY−Y’線断面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態の第1変形例によ
る液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図で
ある。
【図18】図17のY−Y’線断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態の第2変形例によ
る液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図で
ある。
【図20】図19のY−Y’線断面図である。
【図21】本発明の液体吐出方法を適用したサイドシュ
ータタイプのヘッドの例を説明するための図である。
【図22】発熱体面積とインク吐出量との相対関係を示
すグラフである。
【図23】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図を示した
もので、(a)は保護膜があるもの、(b)は保護膜が
ないものである。
【図24】本発明に使用する発熱体を駆動する波形の図
である。
【図25】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
装置の概略構成を示す図である。
【図26】本発明の液体吐出方法および液体吐出ヘッド
において液体吐出記録を行なうための装置全体のブロッ
ク図である。
【図27】従来の液体吐出ヘッドにおける可動部材の様
子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 天板 3 液流路 4 発熱体(気泡発生手段) 5 液体供給口 5A 供給部形成部材 5b ストッパ部 6 共通液体供給室 7 吐出口 8 可動部材 8A 支点 8B 自由端 9 支持部材 9A 端部 10 流路側壁 11 気泡発生領域 21 気泡 102 耐キャビテーション層 103 保護膜 104 配線電極 105 抵抗層 106 チッ化シリコン膜 107 基体 201 シリコン基体 202 熱酸化膜 203 層間膜 204 抵抗層 205 配線 206 保護層 207 耐キャビテーション膜 208 熱作用部 300 ホストコンピュータ 301 入出力インターフェイス 302 CPU 303 ROM 304 RAM 305 モータドライバ 307 ヘッドドライバ 600 インクジェット記録装置 601 ヘッドカートリッジ 602 駆動モータ 603、604 駆動伝達ギア 605 リードスクリュー 606 螺旋溝 607 キャリッジ 607a レバー 608 ガイド 609 プラテン 610 紙押さえ板 611、612 フォトカプラ 613 支持部材 614 キャップ部材 615 インク吸引手段 617 クリーニングブレード 618 移動部材 619 本体支持体 620 レバー 621 カム α、β、γ 隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 清光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 竹之内 雅典 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA01 FA03 HA05 KB03 KB09 2C057 AF06 AF23 AF51 AG46 AG76 BA03 BA04 BA13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出するための複数の吐出口と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    に連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側の少なくとも一部分に対
    して微小な隙間を隔てて支持された、自由端を有する可
    動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部およびそれに連続す
    る両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対
    する開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドで
    あって、 前記可動部材が静止している状態で、前記可動部材の前
    記吐出口側の部分が、前記液体供給口を形成するための
    部材に接触すると共に、前記可動部材の支点側の部分と
    前記液体供給口との間に微小な隙間を有していることを
    特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 液体を吐出するための複数の吐出口と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    に連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側の少なくとも一部分に対
    して微小な隙間を隔てて支持された、自由端を有する可
    動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部およびそれに連続す
    る両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対
    する開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドで
    あって、 前記可動部材が静止している状態で、前記可動部材の前
    記吐出口側の部分が、前記液体供給口を形成するための
    部材に接触すると共に、前記可動部材の支点側の部分に
    おける側部と、前記液体供給口を形成するための部材と
    の間に微小な隙間を有していることを特徴とする液体吐
    出ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記可動部材が静止している状態で、前
    記可動部材の前記吐出口側の部分が、前記液体供給口を
    形成するための部材を押圧することで、前記可動部材が
    前記液体供給口側に向かって弾性的に凸状に湾曲してい
    る請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 液体を吐出するための複数の吐出口と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    に連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側の少なくとも一部分に対
    して微小な隙間を隔てて支持された、自由端を有する可
    動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部およびそれに連続す
    る両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対
    する開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドで
    あって、 前記可動部材が静止している状態で、前記可動部材の前
    記吐出口側の部分が、前記液体供給口を形成するための
    部材を押圧することで、前記可動部材が前記液体供給口
    側に向かって弾性的に凸状に湾曲していると共に、前記
    可動部材の支点側の部分と前記液体供給口との間に微小
    な隙間を有していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の液
    体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液体
    を受け取る被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
    と、を備えた液体吐出装置。
  6. 【請求項6】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
    し、前記被記録媒体に該インクを付着させることで記録
    を行うことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装
    置。
JP2000037192A 2000-02-15 2000-02-15 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置 Expired - Fee Related JP3619105B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000037192A JP3619105B2 (ja) 2000-02-15 2000-02-15 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
US09/781,442 US6435670B1 (en) 2000-02-15 2001-02-13 Liquid discharge head, liquid discharge method, liquid discharge apparatus, recovery method for liquid discharge head, and fluid structure body
EP01103456A EP1125744A1 (en) 2000-02-15 2001-02-14 Liquid discharge head, liquid discharge method, liquid discharge apparatus and recovery method for liquid discharge head

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000037192A JP3619105B2 (ja) 2000-02-15 2000-02-15 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001225476A true JP2001225476A (ja) 2001-08-21
JP3619105B2 JP3619105B2 (ja) 2005-02-09

Family

ID=18561117

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000037192A Expired - Fee Related JP3619105B2 (ja) 2000-02-15 2000-02-15 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3619105B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3619105B2 (ja) 2005-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3584193B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び前記液体吐出ヘッドの製造方法
JPH1024561A (ja) 液体吐出ヘッドの保存方法、液体吐出装置
US6533400B1 (en) Liquid discharging method
JP3619104B2 (ja) 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
JP3619105B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP2002046271A (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP3495920B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP3495921B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP3507390B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および流体素子
JP2000062180A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出方法、および液体吐出装置
JP3548485B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP2000085130A (ja) 液体吐出方法及び液体吐出ヘッド並びに該吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジ及び液体吐出装置
JP2001225474A (ja) 回復方法および液体吐出装置
JP4137681B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドカートリッジ、液体吐出装置およびインクジェット記録装置
JP3535816B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出方法
JP4194230B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP3706746B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出方法及び液体吐出装置
JP3706745B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
JP3535817B2 (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置
JP3507421B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法
JP3869948B2 (ja) 液体吐出方法
JP2001225473A (ja) 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、および液体吐出装置
JP2000062188A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出方法、および液体吐出装置
JP2000062175A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出方法、および液体吐出装置
JP2000062185A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出方法、および液体吐出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040714

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041111

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071119

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101119

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees