JPH07171969A - インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置

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JPH07171969A
JPH07171969A JP31986393A JP31986393A JPH07171969A JP H07171969 A JPH07171969 A JP H07171969A JP 31986393 A JP31986393 A JP 31986393A JP 31986393 A JP31986393 A JP 31986393A JP H07171969 A JPH07171969 A JP H07171969A
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ink
recording
liquid chamber
liquid
ink jet
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JP31986393A
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Masami Yokota
雅実 横田
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造プロセスが簡素化され、歩留りが良く、
またインク吐出時の液室方向への圧力を吸収することが
できるインクジェット記録ヘッドを提供する。 【構成】 第2の基板3に溝が設けられたインク液室9
の内部に発泡性可撓性材料層10が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッドおよびインクジェット記録装置に関し、より詳細に
は、フルマルチノズルタイプのインクジェット記録ヘッ
ドおよびこれを用いたインクジェット記録装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクをイ
ンク吐出用の微細な孔(以下、吐出口またはオリフィス
という)から記録液滴として吐出させて、この記録液滴
を紙等の被記録媒体に記録情報に応じて被着させて記録
を行なう記録方法であり、また、高速記録が可能であ
り、また普通紙等に手軽に記録できるといった種々の利
点を有する。
【0003】このインクジェット記録方法に用いられる
インクジェット記録装置は、吐出口と、吐出口に連通す
るインク流路と、このインク流路においてインクに作用
させ、インク滴を吐出するために利用されるエネルギー
を発生させるエネルギー発生体とを有するインクジェッ
ト記録ヘッドを備えている。
【0004】記録を実施する際には、エネルギー発生体
に吐出エネルギーを発生させ、これをインク流路内のイ
ンクに作用させて吐出するための圧力を発生させ、この
圧力を利用してインク滴を吐出口から吐出させる。
【0005】インクジェット記録に用いられるインクと
しては、顔料や染料などの記録剤成分を、水、水溶性有
機溶剤または非水溶性有機溶剤などの溶媒成分に溶解も
しくは分散した組成のものが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図7(A)および
(B)は、インクジェット記録ヘッドにおけるインク吐
出のメカニズムを説明するための図である。
【0007】図7(A)に示すようにインクジェット記
録ヘッドにおけるインク吐出のための圧力は、エネルギ
ー発生体703で発生したエネルギーがインク流路70
2内のインクに作用することにより生じ、その圧力はイ
ンク流路702内のインクを通じて吐出口706方向
と、吐出口706と反対方向にある液室704方向へ分
配されて伝達される。
【0008】吐出口706方向へ伝わった圧力の作用に
よって、インク流路702内のインクは吐出口706か
ら押し出され、押し出されたインクは飛翔吐出液滴を形
成する。
【0009】押し出されたインクが吐出液滴となって吐
出口706から離れる際、吐出液滴量に応じて吐出口7
06部のメニスカス707が図7(B)に示すように後
退し、このメニスカス707を吐出口706方向へ引き
戻そうとする張力の作用により、ある時間の経過後、イ
ンク流路702内のインクの充填状態は吐出前の状態に
復帰する。この現象はリフィールと呼ばれている。
【0010】実際の記録の際には以上の操作が繰り返さ
れ、良好なリフィールが行なわれることによって、安定
なインク吐出が持続して得られる。
【0011】ところが、リフィールが不完全な状態で吐
出を続けると、インク吐出後のメニスカス707の吐出
口706面への復帰が不完全な状態で、インク吐出を続
けることとなり、その結果吐出インク滴量の減少が起
き、例えば吐出インク滴によって被記録媒体に形成され
るインクドットの径の減少など所定のインク量での記録
ができなくなり、記録画像品位を極端に劣化させること
となる。このような現象は更に、吐出インク液の被記録
媒体上での着弾点の精度の悪化を招き、記録画像のボケ
や、ヨレ、スジ、白ヌケ等の発生の原因となり易い。
【0012】通常インクジェット記録方法のような流体
を用いた技術における上述のような問題の解決は、イン
ク流路等の構造の改良やインクの物性の調整によって行
なわれてきたが、多数の吐出口を配列したインクジェッ
ト記録ヘッドにおいては、このような改良や調整によっ
て充分な改善効果が得られない場合が多い。
【0013】すなわち、多数の吐出口706を有する記
録ヘッドにおいては、多数の吐出口706から同時にも
しくは若干時間差をもってインクを吐出させると、先に
述べたようなインク流路702から液室704方向への
図7(A)の矢印で示される圧力がインクに作用し、各
インク流路702での圧力が液室704で一体となって
1つの大きな圧力となる。これらのインク流路からの圧
力はインクを液室方向に押しやる力として作用し、その
力の総和は、吐出口706を1個だけ有するインクジェ
ット記録ヘッドの場合よりも数段大きなものとなる。そ
の結果、良好なリフィール状態を得るには、インクを急
激かつ大量に吐出口706の方向へ動かす必要があり、
そのためにはインクの移動方向の変更のための初期の大
きな慣性力に打ち勝つ圧力が必要とされる。
【0014】しかしながら、図7(B)に示すように、
各インク流路702におけるリフィールの原動力となる
吐出口706部でのメニスカス707の表面張力は、上
述したような液室704方向への総圧力に対抗してイン
クを瞬時に大量に吐出口706の方向へ移動させるのに
十分な作用を有していない。すなわち、上述したインク
の移動における初期の慣性力が大きくなるに従い、メニ
スカス707の復帰により長い時間が必要となってく
る。そこでメニスカス707の復帰のために十分な時間
を取ると、記録速度の低下を招き、またメニスカス70
7の復帰のために十分な時間が取れない場合には、所定
の吐出インク滴量が得られず良好な記録が行なえない。
このような現象は記録開始の初期に特に顕著である。
【0015】以上説明した現象のメカニズムを図8
(A)のメニスカス後退曲線で概略的に説明する。
【0016】図8(A)における縦軸に示されたメニス
カス後退量(μm)とは、図8(B)に示したインク流
路802の吐出口803側部分にLで示された長さで表
現されたものであり、具体的には吐出口803からイン
クのメニスカス801までの距離に相当する。
【0017】図8(A)に示したように吐出口803を
1個設けた記録ヘッド804の場合には、エネルギー発
生体(吐出ヒータ)805からのエネルギーがインク流
路802内のインクに付与される時刻t0 からある時間
経た時刻t0 ′、すなわち、インク吐出が行なわれた時
点にメニスカス801が流路の吐出口803部に形成さ
れ、それが急激に後退する。その後退量は時刻t1 ′で
最大となりその後しだいに表面張力による復元力の作用
によりメニスカス801は元の位置に戻り始め時刻t1
でリフィールが終了する。
【0018】これに対し、多数の吐出口を有するインク
ジェット記録ヘッドでは、t1 ′での最大値が小さく、
またリフィール速度も遅い。
【0019】これは多数のインク流路からのインクを後
方へ押しやる圧力の総和が、液室内でのインクの変形に
よる圧力の吸収容量を大幅に越えるために、インクの変
形で吸収しきれなかった圧力はインクを後方へ移動させ
ようとする力となって残され、この力が働くことによっ
てメニスカスの復帰のためのリフィール速度が初期にお
いて極端に遅くなることによる。
【0020】これらの現象は、連続して吐出が繰り返さ
れた後では、インク供給管から液室へのインクの定常的
な流れが形成されているので起りにくいが、吐出の初期
(特に200回吐出前後)において、すなわちインクの
流れが定常的となるまでの間に顕著である。
【0021】以上述べたような多数の吐出口を有する記
録ヘッドにおけるリフィール速度の低下は、エネルギー
発生体805への記録信号の印加の周期が図8(A)で
示した時刻t0 からt2 までの時間以上に設定されてい
れば問題を生じないが、高速記録のために時刻t0 から
2 までの時間よりも短い周期で記録信号を印加する
と、リフィールが完了していない時点、例えばメニスカ
ス801の後退量が30μm以上である状態で、次の信
号が印加されると、先に述べたような吐出されるインク
適量が減少し良好な記録ができなくなる。
【0022】このような問題を解決する手段として、米
国特許第4,578,687号により、液室の流路近傍
に大気開放部を設け、インク吐出時の液室方向への圧力
を吸収する構成が知られているが、この構成では大気開
放のためインクの溶媒成分の蒸発を招き、記録ヘッド内
のインクの粘度の増加や、インク中での固形物の析出に
よる流路やオリフィスの詰りなどの問題が引き起され、
印字不良が発生し易い。更には、振動などの影響で液室
内に気泡が発生したり、大気開放部からの記録ヘッド内
へのゴミ等の混入を防ぐために特別な設計が必要となる
などの問題もあり、実用的に十分であるとはいえない。
【0023】そこで、特開平1−308644号公報に
おいては次のような構成が提案されている。すなわち、
記録ヘッドの形成時に、あるいは、液室にインクを充填
する際に、圧力−体積変換体を液室内もしくは液室に隣
接して設ける。ここで、圧力−体積変換体とは、熱エネ
ルギーによるインクの発泡による圧力を体積変化として
吸収し、上記の圧力の印加が解除された段階で、元の状
態に戻ることのできる性質を有するものを意味する。具
体的には、Arガス,O2 ガス,N2 ガス,H2 ガス,
空気等の、インクと反応しない、または、インクに悪影
響を及ぼさず、液室内に維持できる各種気体、または弾
力性を有し、変形量の大きい樹脂、ゴム等の有機材料、
あるいは、金属などの薄板である。
【0024】しかしながら、この公報に開示されている
構成では、液室あるいは液室に隣接した部分に、圧力−
体積変換体を設けているために、複雑な製造プロセスが
必要であるという問題点を有していた。
【0025】また、特開平1−308643号公報に開
示されている構成では、記録ヘッドの液室の形成時にそ
の一部を撥水処理し、もしくは撥水処理された表面と同
等の性質を有する材料を用いて液室の壁を撥水面とし、
かつ、液室内に圧力−体積変換体としての気体をインク
充填時にインク中に導入している。
【0026】しかしながら、この構成では、回復操作時
あるいはインク交換時に安定的に気体を導入することが
困難であった。また、平面を形成していない液室の壁を
部分的に撥水処理を施すことは製造上難かしく歩留りが
低いという問題点を有していた。
【0027】上記のような問題点を解決するために、本
出願人は共通液室の内壁の少なくとも一部に、シリコー
ンシーラントのようなゴム性材料を被覆する方法を提案
している。
【0028】ここでシリコーンシーラント等の液状シリ
コーンゴム材料としては、熱硬化型、常温硬化型、紫外
線硬化型のいずれかが用いられていた。なかでも、酢酸
型、アルコール型、付加型が好適に用いられていた。
【0029】しかしながら、上述のシリコーンシーラン
ト等のゴム系材料のみの層では、変形率が小さいため
に、いわゆる、フルマルチタイプの非常に多数の吐出口
を有するインクジェット記録装置の場合、熱エネルギー
によって記録液に生成する気泡による吐出口の後方への
圧力を吸収するには不充分であった。
【0030】そこで、本発明の目的は、上述した従来の
問題点を解消し、製造プロセスが簡素化され、歩留りが
良くまた、インク吐出時の液室方向への圧力を吸収する
ことができるインクジェット記録ヘッドおよびインクジ
ェット記録装置を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明のインクジェット記録ヘッドは、記録
液滴を吐出するための吐出口と、該吐出口に連通し前記
記録液滴を吐出するためのエネルギーを記録液に供給す
るエネルギー発生素子が設けられた流路と、該流路に連
通し、当該流路に供給する記録液を貯蔵する液室とを有
するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記液室の少
なくとも一部に発泡性弾性材料が設けられていることを
特徴とする。
【0032】また、本発明のインクジェット記録装置
は、記録液滴を吐出するための吐出口と、該吐出口に連
通し前記記録液滴を吐出するためのエネルギーを記録液
に供給するエネルギー発生素子が設けられた流路と、該
流路に連通し、当該流路に供給する記録液を貯蔵する液
室とを有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記
液室の少なくとも一部に発泡性弾性材料が設けられてい
ることを特徴とする発泡性弾性材料が設けられているイ
ンクジェット記録ヘッドを具備したことを特徴とする。
【0033】
【作用】本発明によれば、液室の少なくとも一部に発泡
性弾性材料が設けられているので、インク吐出時におけ
る後方の圧力を充分吸収することができる。これによ
り、リフィール特性が向上する。
【0034】
【実施例】以下、図面を参照しつつ本発明の実施例につ
いて詳細に説明する。
【0035】図1は本発明の一実施例に係るフルマルチ
タイプ型のインクジェット記録ヘッドの模式的斜視図で
ある。
【0036】図1において、1は例えばシリコーンから
なる基板上に電気熱変換体(吐出ヒータ,不図示)とこ
れに電力を供給するAl等の配線(不図示)とが成膜技
術により形成された第1の基板としてのヒータボードで
ある。2はインク滴を吐出するために開口された吐出口
と、この吐出口に連通してインク滴を吐出するための熱
エネルギーの作用部を構成するインク流路(不図示)と
が形成された固体層である。3はインク流路に供給する
ためのインクを貯蔵し各々のインク流路と連通する共通
液室が設けられた第2の基板としての天板である。ヒー
タボード1には、固体層2のインク流路に対応して吐出
ヒータが形成されている。固体層2の上には天板3が積
層され、さらに、ヒータボード1はベースプレート5に
より保持されヒータボード1と天板3とは互いに位置決
めされ固定されている。また、インク滴を吐出するため
の電力や吐出信号等を外部からとり込むためのフレキシ
ブル基板4がヒータボード1の電気的接続パッドと正確
に位置決めされている。また、フレキシブル押さえ板8
をベースプレート5にねじ止め固定することにより、フ
レキシブル基板4とベースプレート5とが圧着接続され
る。
【0037】図2は図1のA−A′線に沿った模式的断
面図であり、図3は図1のB−B′線に沿った模式的断
面図である。
【0038】図1において、不図示のインクタンクから
インク供給路7a,7bを介してインク液室9(図2,
図3参照)内にインクが供給される。インク液室9,イ
ンク流路12にはインクが充填された状態で、上述の吐
出ヒータ(発熱抵抗素子)からなるエネルギー発生素子
に記録信号が送られる。吐出ヒータとしては圧電素子を
用いることもある。この時、このエネルギー発生素子に
より発生されるエネルギーが、インク流路12内のイン
クに作用して吐出口からインク滴が吐出される。
【0039】ここで、インク液室9の少なくとも一部
に、発泡性弾性材料層10を設ける。
【0040】ここで発泡性弾性材料層10に用いられる
材料としては、ブタジエン/スチレン共重合体(スチレ
ンブタジエンゴム),ポリブタジエン(ブタジエンゴ
ム),ポリクロロプレン(クロロプレンゴム),イソブ
チレン・イソプレン共重合体(ブチルゴム),ブタジエ
ン・アクリルニトリル共重合体(ニトリルゴム),エチ
レン・プロピレン共重合体(エチレン・プロプレンゴ
ム),エチレン・プロピレン三元共重合体(エチレン・
プロピレンゴム),ポリウレタン(ウレタンゴム),有
機ポリシロキサン(シリコーンゴム),パーフルオロプ
ロペン・フッ化ビニリデン共重合体(フッ素ゴム)の液
状ゴムまたは練りゴムを主成分とする発泡性ゴム材料を
例示することができる。これらの液状ゴムまたは練りゴ
ムに、所定の加硫温度において蒸発・膨張するフレオ
ン,酸化アルミニウム等の発泡剤あるいは化学的に分解
してガスを発生する炭酸アンモニウム,ジアゾアミノベ
ンゼン,ジニトロペンタメチレンテトラミン等の発泡剤
を添加することにより発泡性ゴム材料を得ることができ
る。
【0041】どのような発泡性ゴム材料を選択するかに
ついては、耐インク性、インクジェット記録装置の製造
過程における熱,溶剤,アルカリ溶液等に対する耐性を
考慮しなくてはならない。このような条件を満足する発
泡性ゴム材料の中では発泡性シリコーンゴム材料が好ま
しい。
【0042】この発泡性シリコーンゴム材料は、例え
ば、ジメチルシリコーンゴム,メチルビニルシリコーン
ゴム,メチルフェニルシリコーンゴム,フロロシリコー
ンゴム等のシリコーンゴム材料に前述した発泡剤を添加
することにより得ることができる。
【0043】この発泡性シリコーンゴム材料の具体的な
例としては、例えば、KE513(商品名、信越化学工
業(株)製)、KE521(商品名、信越化学工業
(株)製)の発泡性シリコーンゴム材料が挙げられる。
【0044】ここで、シリコーンゴム材料の種類、加硫
温度、発泡剤の種類と添加量を変化させることにより、
内部の気泡の大きさ、量および発泡性シリコーンゴム材
料の厚さ、硬度を変化させることができる。
【0045】この発泡性シリコーンゴム材料をディスペ
ンサー法、チューブ法等の公知の方法により適量塗布す
る。
【0046】この塗布の際には、発泡性シリコーンゴム
材料の硬化後の体積膨張量およびインク液室の容積に応
じて適宜に塗布量を変えることは勿論である。
【0047】その後、常温放置、加温放置あるいは加熱
等の処理を行って発泡性シリコーンゴム材料を硬化させ
る。
【0048】このようにインク液室9の内壁に発泡性シ
リコーンゴム材料が設けられた第2の基板3を、インク
液室9が所定の位置になるようにヒータボード1と位置
合わせをした後、固体層2上に天板3を設ける。
【0049】その後、インク液室9の両端部はインク供
給継手6a,6b(図1参照)を介してインク供給チュ
ーブ7a,7bとを接続し、不図示のインクタンクと接
続する。
【0050】このようにして得られたインクジェット記
録ヘッドからインク滴を吐出させた場合、図4(A)お
よび図4(B)の矢印に示すように、各流路においてイ
ンク液室9の方向へインクを押しやる力が発生する。し
かしながら、インク液室9の内壁には、発泡性弾性材料
層10が設けられているので、上記の力は気泡の体積変
化となり、各流路からの圧力を吸収する。
【0051】その結果、流路12からインク液室9を経
てインク供給管7a,7bへインクを押しやる力の発生
が緩和されるかまたは防止される。
【0052】次に、この状態でリフィールが開始された
後の作用について説明する。
【0053】図5(A)は図1のA−A′線に沿った模
式的断面図であり、図5(B)は、図1(A)のB−
B′線に沿った模式的断面図である。
【0054】図5(A)および図5(B)に矢印で示す
ように、インク流路12の方向へインクを印加する力が
メニスカス15により引き起こされリフィールが開始さ
れると、発泡性弾性材料層10内の気泡の体積を元の体
積に復帰させようとする力がインク液室9内において働
く。これにより発泡性弾性材料中の気泡が吸収していた
圧力は放出され、その放出された圧力がリフィール時の
インクをオリフィスの方向へ移動するための圧力を補う
ように作用する。
【0055】従って、短時間でのリフィールが可能とな
る。その結果、高速記録のために短かい周期で記録信号
を印加しても吐出インク滴量は減少することなく良好な
記録が可能となる。
【0056】なお、本実施例においては、図3ないし図
5に示すように発泡性弾性材料層10をインク液室9の
内壁の一部に形成したが、インク液室9の内壁の全面に
形成することにより大きなリフィール改善効果が得られ
る。
【0057】また、発泡性弾性材料に内包されている気
泡の全体積が変わらない時には、小さい体積の気泡より
も大きい体積の気泡を形成した方がリフィール改善効果
が大きいことが実験的に確かめられた。このように大き
な体積の気泡を形成することは、発泡性弾性材料を硬化
させる際に、適度に減圧するか、または、発泡性弾性材
料の加熱の際に昇温曲線を適正化することにより達成で
きる。
【0058】以上のようなフルマルチタイプのインクジ
ェット記録ヘッドを用いて、例えば、図6に示すような
フルカラー記録が可能なラインプリンタを構成すること
ができる。
【0059】図6において、601Aおよび601B
は、記録媒体Rを副走査方向VS に挟持搬送するために
設けたローラ対である。602Bk,602Y,602
Mおよび602Cは、それぞれ、被記録媒体Rの全幅に
わたってノズルを配列したブラック,イエロー,マゼン
タおよびシアンの記録を行うフルマルチタイプの記録ヘ
ッドであり、その順に記録媒体搬送方向上流側より配置
してある。
【0060】600は回復系であり、吐出回復処理にあ
たっては被記録媒体Rに代って記録ヘッド602BK〜
602Cに対向にしている。
【0061】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0062】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0063】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0064】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとして本実施例のような一体的に形成された1個
の記録ヘッドの構成だけでなく複数記録ヘッドの組合せ
によってその長さを満たす構成においても本発明は有効
である。
【0065】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0066】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0067】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0068】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。本発明においては、上述した
各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方
式を実行するものである。
【0069】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液室の少なくとも一部に発泡性可撓性材料が設けられて
いるので、インク吐出時における後方の圧力を充分吸収
することができる。これにより、リフィール特性が向上
する。
【0071】その結果、信頼性の高いインクジェット記
録ヘッドを廉価で歩留まり良く提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録ヘッドの一実
施例を示す模式的斜視図である。
【図2】図1のA−A′線に沿った模式的断面図であ
る。
【図3】図1のB−B′線に沿った模式的断面図であ
る。
【図4】本発明に係るインクジェット記録ヘッドのイン
クの作用を説明するための図である。
【図5】本発明に係るインクジェット記録ヘッドのイン
クの作用を説明するための図である。
【図6】本発明によるフルマルチ型のインクジェット記
録装置を示す模式的斜視図である。
【図7】インクジェット記録ヘッドにおけるリフィール
のメカニズムを説明するための図である。
【図8】インクジェット記録ヘッドにおけるメニスカス
の様子を説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1の基板(ヒータボード) 2 固体層 3 第2の基板 3 第3の基板(天板) 4 フレキシブル基板 5 ベースプレート 6a,6b インク供給継手 7a,7b インク供給チューブ 8 フレキシブル押さえ板 9 インク液室 10 発泡性可撓性材料層 12 インク流路 15 メニスカス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録液滴を吐出するための吐出口と、該
    吐出口に連通し前記記録液滴を吐出するためのエネルギ
    ーを記録液に供給するエネルギー発生素子が設けられた
    流路と、該流路に連通し、当該流路に供給する記録液を
    貯蔵する液室とを有するインクジェット記録ヘッドにお
    いて、 前記液室の少なくとも一部に発泡性弾性材料が設けられ
    ていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記発泡性弾性材料が発泡性ゴム材料で
    あることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット
    記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記発泡性ゴム材料が発泡性シリコーン
    ゴム材料であることを特徴とする請求項2に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 記録液滴を吐出するための吐出口と、該
    吐出口に連通し前記記録液滴を吐出するためのエネルギ
    ーを記録液に供給するエネルギー発生素子が設けられた
    流路と、該流路に連通し、当該流路に供給する記録液を
    貯蔵する液室とを有するインクジェット記録ヘッドにお
    いて、 前記液室の少なくとも一部に発泡性弾性材料が設けられ
    ていることを特徴とする発泡性弾性材料が設けられてい
    るインクジェット記録ヘッドを具備したことを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記インクジェット記録装置は熱エネル
    ギーを利用して記録液に気泡を生成させ、該気泡の生成
    に基づいて記録液滴を吐出することを特徴とする請求項
    4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 記録液滴を吐出するための吐出口と、該
    吐出口に連通し前記記録液滴を吐出するためのエネルギ
    ーを記録液に供給するエネルギー発生素子が設けられた
    流路と、該流路に連通し、当該流路に供給する記録液を
    貯蔵する液室とを有するインクジェット記録ヘッドの製
    造方法において、 前記液室内に液状の発泡性ゴム材料を塗布し、 該塗布された発泡性ゴム材料を硬化させることにより、
    前記液室の少なくとも一部に発泡性弾性材料を設ける各
    工程を有したことを特徴とするインクジェット記録方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004085161A1 (en) 2003-03-24 2004-10-07 Ricoh Company, Ltd. Recording head, carriage and image forming apparatus
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US7438403B2 (en) 2004-07-20 2008-10-21 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Inkjet printhead with compensating member
US8197048B2 (en) 2006-04-26 2012-06-12 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus

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