JPH0671892A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents
インクジェット記録ヘッドInfo
- Publication number
- JPH0671892A JPH0671892A JP23205792A JP23205792A JPH0671892A JP H0671892 A JPH0671892 A JP H0671892A JP 23205792 A JP23205792 A JP 23205792A JP 23205792 A JP23205792 A JP 23205792A JP H0671892 A JPH0671892 A JP H0671892A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- recording head
- ejection port
- discharge port
- recording
- Prior art date
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- Pending
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 インクジェット記録ヘッドのインク吐出口
に、持続性、耐摩耗性のある撥水処理を施す。 【構成】 エネルギー発生素子を具備したインク流路を
有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与しイ
ンクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端を吐出
口としてインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被
記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘ
ッドに於いて、前記吐出口が形成される面上に表面層を
形成後、イオン注入法で該表面層の上からイオンを注入
し該吐出口面の表面改質をしたことを特徴とするインク
ジェット記録ヘッド。
に、持続性、耐摩耗性のある撥水処理を施す。 【構成】 エネルギー発生素子を具備したインク流路を
有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与しイ
ンクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端を吐出
口としてインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被
記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘ
ッドに於いて、前記吐出口が形成される面上に表面層を
形成後、イオン注入法で該表面層の上からイオンを注入
し該吐出口面の表面改質をしたことを特徴とするインク
ジェット記録ヘッド。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを吐出口(オリ
フィス)から小滴として吐出、飛翔させ、この小滴の被
記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘ
ッドに関し、特に、吐出口が形成される面(以下、吐出
口面と記す)の撥水処理方法に関する。
フィス)から小滴として吐出、飛翔させ、この小滴の被
記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘ
ッドに関し、特に、吐出口が形成される面(以下、吐出
口面と記す)の撥水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録方式によ
るプリンタは、印字や画像が美しく、より精細であるこ
とが要求されている。そのため、インクジェット記録ヘ
ッドにおいては、高速度且つ高密度にインク吐出できる
ようにインク吐出口を小さく形成する方法、マイクロリ
ソグラフィ技術を用いた微細加工方式を用いて多数の小
さな吐出口を密接して製作する方法等が実施されてき
た。図8は、このような方法により製造された従来のイ
ンクジェット記録ヘッドの構成例を示す斜視図である。
図中、1はたとえばシリコンウエハー等で形成された第
1の基板、2は例えばSiO2 等により第1の基板1表
面に形成された層である。3はリソグラフィ等の手法で
形成されたノズル壁、4はたとえばガラス板で形成した
第2の基板、5は第2の基板4とノズル壁3の上部とを
接着する接着層、6はノズルのインク吐出口である。こ
のような記録ヘッドは、たとえばノズル壁3を高さ25
μm、幅20μmの寸法とし、吐出口6がノズル3と同
じ寸法となるように極めて精細に加工されている。
るプリンタは、印字や画像が美しく、より精細であるこ
とが要求されている。そのため、インクジェット記録ヘ
ッドにおいては、高速度且つ高密度にインク吐出できる
ようにインク吐出口を小さく形成する方法、マイクロリ
ソグラフィ技術を用いた微細加工方式を用いて多数の小
さな吐出口を密接して製作する方法等が実施されてき
た。図8は、このような方法により製造された従来のイ
ンクジェット記録ヘッドの構成例を示す斜視図である。
図中、1はたとえばシリコンウエハー等で形成された第
1の基板、2は例えばSiO2 等により第1の基板1表
面に形成された層である。3はリソグラフィ等の手法で
形成されたノズル壁、4はたとえばガラス板で形成した
第2の基板、5は第2の基板4とノズル壁3の上部とを
接着する接着層、6はノズルのインク吐出口である。こ
のような記録ヘッドは、たとえばノズル壁3を高さ25
μm、幅20μmの寸法とし、吐出口6がノズル3と同
じ寸法となるように極めて精細に加工されている。
【0003】図9は図8に示すインクジェット記録ヘッ
ドの吐出口近傍の側断面を示し、インク7が吐出されて
インク滴8を形成する状態2例を示している。ここで、
図9(A)は吐出口面9がインクに濡れることなくイン
ク滴が真直に吐出される状態、図9(B)は吐出口面9
の一部が吐出前にインクで濡れてしまうために曲がった
方向にインク滴が吐出されようとしている状態である。
ドの吐出口近傍の側断面を示し、インク7が吐出されて
インク滴8を形成する状態2例を示している。ここで、
図9(A)は吐出口面9がインクに濡れることなくイン
ク滴が真直に吐出される状態、図9(B)は吐出口面9
の一部が吐出前にインクで濡れてしまうために曲がった
方向にインク滴が吐出されようとしている状態である。
【0004】吐出口面9が濡れるのは、インク吐出時に
インクが濡れ広がる場合の他、キヤリッジにインクジェ
ット記録ヘッドを搭載して記録を行う状態の装置では、
ヘッドが印字を行いながら機械的に移動する際、あるい
はキヤリッジが記録媒体の端部に達して復帰動作を行う
際等に起こる機械的振動等によって、ノズル内のインク
7がノズル先端の吐出口面9へ溢れ出て該吐出口面を濡
らす場合等がある。
インクが濡れ広がる場合の他、キヤリッジにインクジェ
ット記録ヘッドを搭載して記録を行う状態の装置では、
ヘッドが印字を行いながら機械的に移動する際、あるい
はキヤリッジが記録媒体の端部に達して復帰動作を行う
際等に起こる機械的振動等によって、ノズル内のインク
7がノズル先端の吐出口面9へ溢れ出て該吐出口面を濡
らす場合等がある。
【0005】このように溢れ出て吐出口面9を濡らすイ
ンクが吐出口内に再び戻ってくる場合や吐出口周辺を均
一に濡らす場合には、吐出口インク滴8の吐出方向は図
9(A)に示すように真直となり、吐出状態すなわち記
録状態は安定する。
ンクが吐出口内に再び戻ってくる場合や吐出口周辺を均
一に濡らす場合には、吐出口インク滴8の吐出方向は図
9(A)に示すように真直となり、吐出状態すなわち記
録状態は安定する。
【0006】しかしながら、従来のインクジェット記録
ヘッドでは、第2の基板4と接着層5との濡れ性の相違
により、吐出口面9が不均一に濡れたり、あるいは、一
旦濡れた後に吐出口面9に不均一なインクの残留状態が
生じ、したがって図9(B)のような不安定な吐出状態
が生じることになる。
ヘッドでは、第2の基板4と接着層5との濡れ性の相違
により、吐出口面9が不均一に濡れたり、あるいは、一
旦濡れた後に吐出口面9に不均一なインクの残留状態が
生じ、したがって図9(B)のような不安定な吐出状態
が生じることになる。
【0007】すなわち、吐出口面の濡れと表面状態とは
強い関係があり、吐出口面の表面状態が適切でない場合
には不安定な吐出状態が生じることになり、したがって
良好な記録状態を維持できずに記録品位が低下すること
にもなる。このことは、図8に示したインクジェット記
録ヘッドのみならず他のインクジェット記録ヘッドにお
いても無論生じ得る問題であるが、図8に示したインク
ジェット記録ヘッドのようにインク吐出口が密接して設
けられている場合には、濡れは互いに隣接した吐出口周
辺で起こるので、濡れが隣接する吐出口同士で連結して
しまいその影響はますます大きくなる。その結果、記録
された文字が歪んだり画像に乱れが起こるなど、記録品
位や画質に一層著しい悪影響を与えることになるので、
吐出口面が一層厳格に管理される必要がある。
強い関係があり、吐出口面の表面状態が適切でない場合
には不安定な吐出状態が生じることになり、したがって
良好な記録状態を維持できずに記録品位が低下すること
にもなる。このことは、図8に示したインクジェット記
録ヘッドのみならず他のインクジェット記録ヘッドにお
いても無論生じ得る問題であるが、図8に示したインク
ジェット記録ヘッドのようにインク吐出口が密接して設
けられている場合には、濡れは互いに隣接した吐出口周
辺で起こるので、濡れが隣接する吐出口同士で連結して
しまいその影響はますます大きくなる。その結果、記録
された文字が歪んだり画像に乱れが起こるなど、記録品
位や画質に一層著しい悪影響を与えることになるので、
吐出口面が一層厳格に管理される必要がある。
【0008】又、最近のインクジェット記録方式への要
求として用紙選択性が広いことが挙げられる。即ち、ど
んな紙でも印字ができることである。ところが、ある種
の紙では、紙カス、紙紛が発生しやすく、それがインク
ジェット記録ヘッドの吐出口面に付着して印字を悪化さ
せる原因となる。そこで、このような紙カス、紙紛を処
理する方法として、ブレードを吐出口面に定期的にあ
て、紙カス、紙紛を取る方法が実施されている。
求として用紙選択性が広いことが挙げられる。即ち、ど
んな紙でも印字ができることである。ところが、ある種
の紙では、紙カス、紙紛が発生しやすく、それがインク
ジェット記録ヘッドの吐出口面に付着して印字を悪化さ
せる原因となる。そこで、このような紙カス、紙紛を処
理する方法として、ブレードを吐出口面に定期的にあ
て、紙カス、紙紛を取る方法が実施されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】高密度、高精細な画像
を実現するために、吐出口面がインクをはじいて濡れな
いように、該吐出口面に表面処理を施し、撥水性を持た
せることが従来より実施されている。
を実現するために、吐出口面がインクをはじいて濡れな
いように、該吐出口面に表面処理を施し、撥水性を持た
せることが従来より実施されている。
【0010】例えば、撥水性のあるフッ素樹脂等を塗布
して皮膜を形成する方法、又は、蒸着法もしくはスパッ
タリング法などにより撥水性のある有機高分子等をコー
ティングして皮膜を形成する方法などが従来より実施さ
れている。
して皮膜を形成する方法、又は、蒸着法もしくはスパッ
タリング法などにより撥水性のある有機高分子等をコー
ティングして皮膜を形成する方法などが従来より実施さ
れている。
【0011】しかしながら、これらの方法により形成さ
れた皮膜は吐出口面に対する密着性が不十分であり、こ
のため皮膜が吐出口面から剥離するという問題点があっ
た。
れた皮膜は吐出口面に対する密着性が不十分であり、こ
のため皮膜が吐出口面から剥離するという問題点があっ
た。
【0012】更に、吐出口面との密着性が不十分であ
り、且つ撥水材料により形成された皮膜の耐摩耗性が低
いために、吐出口面に付着した紙カス、紙粉等を取り除
くためのブレードの材料の選択に制約があった。したが
って、用紙選択性を広くすることに伴い、設計の自由度
を上げ、製造コストを低下させるために、ブレード材料
制約を低減することも要求される。そのためには、撥水
処理された吐出口面の耐摩耗性を向上することが要求さ
れる。
り、且つ撥水材料により形成された皮膜の耐摩耗性が低
いために、吐出口面に付着した紙カス、紙粉等を取り除
くためのブレードの材料の選択に制約があった。したが
って、用紙選択性を広くすることに伴い、設計の自由度
を上げ、製造コストを低下させるために、ブレード材料
制約を低減することも要求される。そのためには、撥水
処理された吐出口面の耐摩耗性を向上することが要求さ
れる。
【0013】ところで、インクジェット記録ヘッドを具
備するプリンターには、ブレードにより除去することが
困難なゴミまたはインク固着物等を吐出口面から除去す
るため、もしくは、液室内またはノズル内に溜った気泡
を除去するために、回復系が一般に設けられている。回
復系には、接触型と非接触型の2種類があり、前者は後
者より回復効果は高い。しかしながら、接触型回復系は
回復手段と吐出口面とが接触することにより、吐出口面
に設けられた撥水皮膜を傷つけるため、従来のインクジ
ェット記録ヘッドにおいては、非接触型回復系が多かっ
た。既に説明したように従来技術により形成した撥水皮
膜は吐出口面との密着性が不十分であり、撥水皮膜の耐
摩耗性が低いので非接触型にせざるを得ないからであ
る。従って、撥水処理面に耐摩耗性を持たせ、接触型回
復系を採用して、回復効果を向上することも要求されて
いる。
備するプリンターには、ブレードにより除去することが
困難なゴミまたはインク固着物等を吐出口面から除去す
るため、もしくは、液室内またはノズル内に溜った気泡
を除去するために、回復系が一般に設けられている。回
復系には、接触型と非接触型の2種類があり、前者は後
者より回復効果は高い。しかしながら、接触型回復系は
回復手段と吐出口面とが接触することにより、吐出口面
に設けられた撥水皮膜を傷つけるため、従来のインクジ
ェット記録ヘッドにおいては、非接触型回復系が多かっ
た。既に説明したように従来技術により形成した撥水皮
膜は吐出口面との密着性が不十分であり、撥水皮膜の耐
摩耗性が低いので非接触型にせざるを得ないからであ
る。従って、撥水処理面に耐摩耗性を持たせ、接触型回
復系を採用して、回復効果を向上することも要求されて
いる。
【0014】また、上記の紙カス、紙紛等は吐出口面が
絶縁性であるとさらに付着しやいという性質を持つ。こ
れは、吐出口面が絶縁性の場合、帯電しやすく、その結
果、紙カス、紙紛が引き寄せられると推定される。した
がって、吐出口面に導電性を付与することも要求されて
いる。
絶縁性であるとさらに付着しやいという性質を持つ。こ
れは、吐出口面が絶縁性の場合、帯電しやすく、その結
果、紙カス、紙紛が引き寄せられると推定される。した
がって、吐出口面に導電性を付与することも要求されて
いる。
【0015】本発明は、上記の問題点に鑑みなされたも
のであって、吐出口面に持続性のある撥水処理を施し
て、正確で安定したインク吐出を得ることを目的とす
る。
のであって、吐出口面に持続性のある撥水処理を施し
て、正確で安定したインク吐出を得ることを目的とす
る。
【0016】又、本発明は、該撥水処理面に耐摩耗性を
付与することにより、ブレード材料の選択の幅を広げる
こと、更に接触型回復系に好適なインクジェット記録ヘ
ッドを提供することも目的とする。
付与することにより、ブレード材料の選択の幅を広げる
こと、更に接触型回復系に好適なインクジェット記録ヘ
ッドを提供することも目的とする。
【0017】又、本発明は、該撥水処理面に導電性を付
与することにより、紙カス、紙粉等が付着しにくく、任
意の記録用紙に対して、正確で安定したインク吐出がで
きるインクジェット記録ヘッドを提供することも目的と
する。
与することにより、紙カス、紙粉等が付着しにくく、任
意の記録用紙に対して、正確で安定したインク吐出がで
きるインクジェット記録ヘッドを提供することも目的と
する。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、エネルギー発生素子を具備したインク流路を有
し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与しイン
クの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端を吐出口
としてインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記
録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘッ
ドにおいて、前記吐出口が形成される面上に表面層を形
成後、イオン注入法で該表面層の上からイオンを注入し
該吐出口面の表面改質をしたことを特徴とするインクジ
ェット記録ヘッドである。
明は、エネルギー発生素子を具備したインク流路を有
し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与しイン
クの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端を吐出口
としてインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴の被記
録面への付着を以て記録を行うインクジェット記録ヘッ
ドにおいて、前記吐出口が形成される面上に表面層を形
成後、イオン注入法で該表面層の上からイオンを注入し
該吐出口面の表面改質をしたことを特徴とするインクジ
ェット記録ヘッドである。
【0019】又、上記インクジェット記録ヘッドにおい
ては、エネルギー発生素子が発熱抵抗層であることが好
ましい。
ては、エネルギー発生素子が発熱抵抗層であることが好
ましい。
【0020】又、本発明は、記録媒体の記録領域全幅に
わたってインク吐出口が複数設けられているフルライン
タイプのものである上記インクジェット記録ヘッドであ
る。
わたってインク吐出口が複数設けられているフルライン
タイプのものである上記インクジェット記録ヘッドであ
る。
【0021】又、本発明は、記録媒体の被記録面に対向
してインク吐出口が設けられている上記いずれか一に記
載のインクジェット記録ヘッドと、該ヘッドを載置する
ための部材とを少なくとも具備することを特徴とするイ
ンクジェット記録装置である。
してインク吐出口が設けられている上記いずれか一に記
載のインクジェット記録ヘッドと、該ヘッドを載置する
ための部材とを少なくとも具備することを特徴とするイ
ンクジェット記録装置である。
【0022】又、本発明は、エネルギー発生素子を具備
したインク流路を有し、該インク流路内でインクにエネ
ルギーを付与しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク
流路の一端を吐出口としてインクの小滴を吐出、飛翔さ
せ、この小滴の被記録面への付着を以て記録を行うイン
クジェット記録ヘッドを製造する方法において、前記吐
出口が形成される面上に表面層を形成した後、イオン注
入法で該表面層の上からイオンを注入し該吐出口面を表
面改質することを特徴とするインクジェット記録ヘッド
の製造方法である。
したインク流路を有し、該インク流路内でインクにエネ
ルギーを付与しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク
流路の一端を吐出口としてインクの小滴を吐出、飛翔さ
せ、この小滴の被記録面への付着を以て記録を行うイン
クジェット記録ヘッドを製造する方法において、前記吐
出口が形成される面上に表面層を形成した後、イオン注
入法で該表面層の上からイオンを注入し該吐出口面を表
面改質することを特徴とするインクジェット記録ヘッド
の製造方法である。
【0023】以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
【作用】本発明インクジェット記録ヘッドは、吐出口面
に表面層を形成した後、表面層の上からイオンを打ち込
むイオン注入法により撥水機能を付与する独自の方法に
より、以下の特徴を有する。 (1)表面層に必ずしも、撥水性材料を使用する必要が
なく、撥水性及び非撥水性の材料の中から広く選択する
ことができる。 (2)撥水性材料にこだわらなくてもよいので、吐出口
面との密着性が高い材料を表面層に用いることができ
る。 (3)表面層の上からイオンを打ち込むことにより、表
面層と吐出口面との密着性を更に向上させることができ
る。 (4)イオン注入により、表面層の表面改質を行って表
面硬度を向上することができる。 (5)イオン注入により、表面層に導電性を付与するこ
とができる。 (6)吐出口面が複数種の材料で構成されていても、表
面層を形成してからイオン注入を施すので、吐出口面の
平滑性及び撥水性が均一になり、非常に良好なインク吐
出が可能になる。
に表面層を形成した後、表面層の上からイオンを打ち込
むイオン注入法により撥水機能を付与する独自の方法に
より、以下の特徴を有する。 (1)表面層に必ずしも、撥水性材料を使用する必要が
なく、撥水性及び非撥水性の材料の中から広く選択する
ことができる。 (2)撥水性材料にこだわらなくてもよいので、吐出口
面との密着性が高い材料を表面層に用いることができ
る。 (3)表面層の上からイオンを打ち込むことにより、表
面層と吐出口面との密着性を更に向上させることができ
る。 (4)イオン注入により、表面層の表面改質を行って表
面硬度を向上することができる。 (5)イオン注入により、表面層に導電性を付与するこ
とができる。 (6)吐出口面が複数種の材料で構成されていても、表
面層を形成してからイオン注入を施すので、吐出口面の
平滑性及び撥水性が均一になり、非常に良好なインク吐
出が可能になる。
【0025】本発明においては、表面層と注入イオン種
との組合せにより、上記のように密着性、表面硬度、導
電性を適宜付与するここができる。
との組合せにより、上記のように密着性、表面硬度、導
電性を適宜付与するここができる。
【0026】表面層を構成する材料としては、イオン注
入時の高温に耐え得るもので、イオン注入後に吐出口面
と強固に結合するものの中から選択される。特に、A
u、Ni、Cr、Ti、Al、Ta、W、V等の金属、
もしくはC、SiO2、Ta2O 5Ta2N、BN等の無機
物、もしくは有機物は、主に吐出口面を構成する材料、
例えば、半導体(Siなど)、ガラス、セラミックス、
半導体の酸化物、有機高分子もしくは有機樹脂などの有
機化合物、又は無機化合物との密着性が高いので好適で
ある。
入時の高温に耐え得るもので、イオン注入後に吐出口面
と強固に結合するものの中から選択される。特に、A
u、Ni、Cr、Ti、Al、Ta、W、V等の金属、
もしくはC、SiO2、Ta2O 5Ta2N、BN等の無機
物、もしくは有機物は、主に吐出口面を構成する材料、
例えば、半導体(Siなど)、ガラス、セラミックス、
半導体の酸化物、有機高分子もしくは有機樹脂などの有
機化合物、又は無機化合物との密着性が高いので好適で
ある。
【0027】表面層の成膜方法は、蒸着法、スパッタ
法、CVD法等の真空成膜が好ましく、とりわけ、スパ
ッタ法が密着性の点から好ましい。又、塗布法によって
も形成可能であり、この場合、塗布した後に加熱を行え
ば、より密着性が高くなり好ましい。
法、CVD法等の真空成膜が好ましく、とりわけ、スパ
ッタ法が密着性の点から好ましい。又、塗布法によって
も形成可能であり、この場合、塗布した後に加熱を行え
ば、より密着性が高くなり好ましい。
【0028】表面層の膜厚は、0.05〜5μm、好ま
しくは、0.1〜3μmにする。なぜなら、5μm以上
では、残留応力が大きくなるので剥がれ易く、0.05
μm以下では、膜として成り立たないからである。
しくは、0.1〜3μmにする。なぜなら、5μm以上
では、残留応力が大きくなるので剥がれ易く、0.05
μm以下では、膜として成り立たないからである。
【0029】本発明においては、上記のごとく形成した
表面層にイオン注入法により撥水性を付与するものであ
るが、ここで、イオン注入法について説明する。
表面層にイオン注入法により撥水性を付与するものであ
るが、ここで、イオン注入法について説明する。
【0030】イオン注入法は、10〜数100keVに
加速されたイオンを固体表面に照射し、固体表面の物性
を制御する技術である。イオン注入法の適用例として
は、半導体素子の不純物ドーピングによる拡散層の形成
やキャリヤ濃度の調整などに実用化されている。また、
金属表面の改良を狙って、(例えば、ドリルの刃などの
硬度の上昇や、摩耗性の向上)検討が進められている。
加速されたイオンを固体表面に照射し、固体表面の物性
を制御する技術である。イオン注入法の適用例として
は、半導体素子の不純物ドーピングによる拡散層の形成
やキャリヤ濃度の調整などに実用化されている。また、
金属表面の改良を狙って、(例えば、ドリルの刃などの
硬度の上昇や、摩耗性の向上)検討が進められている。
【0031】イオン注入装置の代表的な構造例を図10
に示す。イオンは、イオン源で作製され引き出される
(例えば、ガスを10ー3Torr程度導入しDCやRF
放電によって生じるプラズマ中より引き出す)。引き出
されたイオンビームは、原子イオンや分子イオン、残留
ガスからのイオンなど種々の成分を含むため、質量分析
器によって必要イオン種のみを取り出す。
に示す。イオンは、イオン源で作製され引き出される
(例えば、ガスを10ー3Torr程度導入しDCやRF
放電によって生じるプラズマ中より引き出す)。引き出
されたイオンビームは、原子イオンや分子イオン、残留
ガスからのイオンなど種々の成分を含むため、質量分析
器によって必要イオン種のみを取り出す。
【0032】質量分析器は必ずしも必要なものではな
く、金属表面の表面改質装置の場合はほとんど設置され
ていない。一方半導体素子用装置の場合には全て取り付
けてある。イオンビームはX軸、Y軸にスキャニングさ
れウエハなどの基板に均一に走査される。装置によって
は、試料台を回転させて均一注入を行う場合もあるこの
ようなイオン注入法による撥水処理は、被加工材の表面
そのものの改質であるので、表面に皮膜を形成する方法
に比べて、密着性は良好である。また、注入するイオン
種を選択できるので、撥水性のみならず硬度アップ、導
電性付与なども容易にできる。
く、金属表面の表面改質装置の場合はほとんど設置され
ていない。一方半導体素子用装置の場合には全て取り付
けてある。イオンビームはX軸、Y軸にスキャニングさ
れウエハなどの基板に均一に走査される。装置によって
は、試料台を回転させて均一注入を行う場合もあるこの
ようなイオン注入法による撥水処理は、被加工材の表面
そのものの改質であるので、表面に皮膜を形成する方法
に比べて、密着性は良好である。また、注入するイオン
種を選択できるので、撥水性のみならず硬度アップ、導
電性付与なども容易にできる。
【0033】撥水性を付与するためのイオン源として
は、常圧及び減圧下でガス状であることが必要であり、
次のものが使用できる。
は、常圧及び減圧下でガス状であることが必要であり、
次のものが使用できる。
【0034】(1)CF4、C2F6、CHF3等の少なく
ともCとFとを含むガス、(2)フッ素ガスとメタンガ
スとの組合せに代表されるような、Fを含有するガス
と、Cを含有するガスとを併用する、(3)被イオン注
入材料がCを含有する場合は、フッ素ガスのみでもよ
い。
ともCとFとを含むガス、(2)フッ素ガスとメタンガ
スとの組合せに代表されるような、Fを含有するガス
と、Cを含有するガスとを併用する、(3)被イオン注
入材料がCを含有する場合は、フッ素ガスのみでもよ
い。
【0035】上記イオン源から引き出されるイオン種と
しては、次のものが使用できる。
しては、次のものが使用できる。
【0036】(1)CF3 +、C2F6 +、C2F3 +等に代表
されるC及びFを含有するイオン種 (2)F+とC+との組合せ、 (3)被イオン注入材料がCを含有する場合は、F+単
独でもよい。
されるC及びFを含有するイオン種 (2)F+とC+との組合せ、 (3)被イオン注入材料がCを含有する場合は、F+単
独でもよい。
【0037】又、吐出口表面の表面硬度を上げるための
イオン源としては、窒素ガス、SiF4もしくはSiC
l4等のSi含有ガス、BCl3ガスとNH3ガスとの組
合せ、などが使用でき、これらは、いずれも常圧及び減
圧下でガス状を呈する。
イオン源としては、窒素ガス、SiF4もしくはSiC
l4等のSi含有ガス、BCl3ガスとNH3ガスとの組
合せ、などが使用でき、これらは、いずれも常圧及び減
圧下でガス状を呈する。
【0038】上記イオン源から引き出されるイオン源と
しては、N+、Si+もしくはSiCl3 +等のSi含有イ
オン、B+とN+との組合せ等が使用できる。
しては、N+、Si+もしくはSiCl3 +等のSi含有イ
オン、B+とN+との組合せ等が使用できる。
【0039】又、導電性を付与するためのイオン源とし
ては、(C2H5)3Al、WF6、MoCl5 等の常圧及
び減圧下でガス状の金属化合物が使用できる。
ては、(C2H5)3Al、WF6、MoCl5 等の常圧及
び減圧下でガス状の金属化合物が使用できる。
【0040】上記イオン源から引き出されるイオン種と
しては、Al+、N+、Mo+ 等の金属イオンが使用でき
る。
しては、Al+、N+、Mo+ 等の金属イオンが使用でき
る。
【0041】イオン加速電圧は、5〜100keV、好
ましくは10〜60keVにする。被注入材料中におけ
る注入イオンの分布は、注入深度に対してガウス分布を
呈するため、上記範囲の中にイオン加速電圧の最適値が
存在する。5eVより小さい場合には、イオン加速の安
定性が失われ、100eVより大きい場合には、イオン
が被注入材料の奥深くまで進んでしまい、効率よく表面
改質を行うことができない。又、表面温度が上昇し過ぎ
る不都合もある。
ましくは10〜60keVにする。被注入材料中におけ
る注入イオンの分布は、注入深度に対してガウス分布を
呈するため、上記範囲の中にイオン加速電圧の最適値が
存在する。5eVより小さい場合には、イオン加速の安
定性が失われ、100eVより大きい場合には、イオン
が被注入材料の奥深くまで進んでしまい、効率よく表面
改質を行うことができない。又、表面温度が上昇し過ぎ
る不都合もある。
【0042】ドーズ量は、1×1014〜1×1018cm
-2、好ましくは1×1015〜1×1017cm-2とする。
1×1014cm-2より小さい場合は、撥水性を充分に付
与することができず、1×1018cm-2より大きい場合
は、温度が上昇し過ぎる不都合があるためである。
-2、好ましくは1×1015〜1×1017cm-2とする。
1×1014cm-2より小さい場合は、撥水性を充分に付
与することができず、1×1018cm-2より大きい場合
は、温度が上昇し過ぎる不都合があるためである。
【0043】尚、イオン注入による撥水性の付与は、イ
ンクジェット記録ヘッドを構成するあらゆる材料、例え
ば、半導体(Siなど)、ガラス、セラミックス、半導
体の酸化物、有機高分子や有機樹脂などの有機化合物、
また、無機化合物に対して行える。
ンクジェット記録ヘッドを構成するあらゆる材料、例え
ば、半導体(Siなど)、ガラス、セラミックス、半導
体の酸化物、有機高分子や有機樹脂などの有機化合物、
また、無機化合物に対して行える。
【0044】更に、イオン注入の後に、撥水作用を高め
るために熱処理を施しても良い。
るために熱処理を施しても良い。
【0045】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置において、優れた効果をもたらすものである。
中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置において、優れた効果をもたらすものである。
【0046】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいず
れにも適用可能である。
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行うものが好ましい。この記録方式
はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいず
れにも適用可能である。
【0047】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じるよ
うな急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆
動信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。こ
のように液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆
動信号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオ
ンデマンド型の記録法には有効である。この気泡の成
長、収縮により吐出口を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行わ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第43
45262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明
の米国特許第4313124号明細書に記載されている
条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができ
る。
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じるよ
うな急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆
動信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。こ
のように液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆
動信号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオ
ンデマンド型の記録法には有効である。この気泡の成
長、収縮により吐出口を介して液体(インク)を吐出さ
せて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号を
パルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行わ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第43
45262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明
の米国特許第4313124号明細書に記載されている
条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができ
る。
【0048】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路または直角液流
路)の他に、米国特許第4558333号明細書、米国
特許第4459600号明細書に開示されているよう
に、熱作用部が屈曲する領域に配置された構成を持つも
のも本発明に含まれる。
書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成(直線状液流路または直角液流
路)の他に、米国特許第4558333号明細書、米国
特許第4459600号明細書に開示されているよう
に、熱作用部が屈曲する領域に配置された構成を持つも
のも本発明に含まれる。
【0049】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0050】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
ッドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅
に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがあ
る。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示さ
れているような記録ヘッドを複数組み合わせることによ
ってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された
一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0051】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0052】また、本発明の記録装置に、記録ヘッドに
対する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせによ
る予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モー
ドを行う手段を付加することも安定した記録を行うため
に有効である。
対する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせによ
る予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モー
ドを行う手段を付加することも安定した記録を行うため
に有効である。
【0053】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成したものか、複数個を組み合わせ
て構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色
カラーまたは、混色によるフルカラーの少なくとも一つ
を備えた装置にも本発明は極めて有効である。
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成したものか、複数個を組み合わせ
て構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色
カラーまたは、混色によるフルカラーの少なくとも一つ
を備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0054】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0055】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するかまたは、インクの蒸発防止を目的として放置
状態で固化するインクを用いることもできる。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化してインク液状として吐出するものや記録媒
体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するかまたは、インクの蒸発防止を目的として放置
状態で固化するインクを用いることもできる。いずれに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化してインク液状として吐出するものや記録媒
体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0056】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部または貫通孔に液
状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体
に対して対向するような形態としても良い。
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されるような、多孔質シートの凹部または貫通孔に液
状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体
に対して対向するような形態としても良い。
【0057】本発明において、上述した各インクに対し
て最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するも
のである。
て最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するも
のである。
【0058】図11は本発明により得られた記録ヘッド
をインクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として
装着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を
示す外観斜視図である。
をインクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として
装着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を
示す外観斜視図である。
【0059】図11において、120はプラテン124
上に送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐
出を行うノズル群を具えたインクジェットヘッドカート
リッジ(IJC)である。116はIJC120を保持
するキャリッジHCであり、駆動モータ117の駆動力
を伝達する駆動ベルト118の一部と連結し、互いに平
行に配設された2本のガイドシャフト119Aおよび1
19Bと摺動可能とすることにより、IJC120の記
録紙の全幅にわたる往復移動が可能となる。
上に送紙されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐
出を行うノズル群を具えたインクジェットヘッドカート
リッジ(IJC)である。116はIJC120を保持
するキャリッジHCであり、駆動モータ117の駆動力
を伝達する駆動ベルト118の一部と連結し、互いに平
行に配設された2本のガイドシャフト119Aおよび1
19Bと摺動可能とすることにより、IJC120の記
録紙の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0060】126はヘッド回復装置であり、IJC1
20の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構123を介したモータ
122の駆動力によって、ヘッド回復装置126を動作
せしめ、IJC120のキャッピングを行う。このヘッ
ド回復装置126のキャップ部126AによるIJC1
20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置1
26内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC120へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行い、インクを吐出口より強制
的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除去
する等の吐出回復処理を行う。また、記録終了時等にキ
ャッピングを施すことによりIJCが保護される。
20の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向
する位置に配設される。伝動機構123を介したモータ
122の駆動力によって、ヘッド回復装置126を動作
せしめ、IJC120のキャッピングを行う。このヘッ
ド回復装置126のキャップ部126AによるIJC1
20へのキャッピングに関連させて、ヘッド回復装置1
26内に設けた適宜の吸引手段によるインク吸引もしく
はIJC120へのインク供給経路に設けた適宜の加圧
手段によるインク圧送を行い、インクを吐出口より強制
的に排出させることによりノズル内の増粘インクを除去
する等の吐出回復処理を行う。また、記録終了時等にキ
ャッピングを施すことによりIJCが保護される。
【0061】130はヘッド回復装置126の側面に配
設され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材とし
てのブレードである。ブレード130はブレード保持部
材130Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復
装置126と同様、モータ122および伝動機構123
によって動作し、IJC120の吐出面との係合が可能
となる。これにより、IJC120の記録動作における
適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置126を
用いた吐出回復処理後に、ブレード130をIJC12
0の移動経路中に突出させ、IJC120の移動動作に
伴ってIJC120の吐出面における結露、濡れあるい
は塵埃等をふきとるものである。
設され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材とし
てのブレードである。ブレード130はブレード保持部
材130Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復
装置126と同様、モータ122および伝動機構123
によって動作し、IJC120の吐出面との係合が可能
となる。これにより、IJC120の記録動作における
適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置126を
用いた吐出回復処理後に、ブレード130をIJC12
0の移動経路中に突出させ、IJC120の移動動作に
伴ってIJC120の吐出面における結露、濡れあるい
は塵埃等をふきとるものである。
【0062】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
る。
【0063】図1は本発明のインクジェット記録ヘッド
の1態様を示す斜視図である。図1において、3はノズ
ル壁、9は以下の工程で処理された吐出口面、6は吐出
口である。
の1態様を示す斜視図である。図1において、3はノズ
ル壁、9は以下の工程で処理された吐出口面、6は吐出
口である。
【0064】実施例1 図3に示されるような発熱素子を設けたヘッドに対し、
その吐出口面にNiを0.2μm蒸着した(図2)。次
にC2F4 + イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ
量1×1016cm-2の条件で吐出口面に対して垂直方向
から注入した。
その吐出口面にNiを0.2μm蒸着した(図2)。次
にC2F4 + イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ
量1×1016cm-2の条件で吐出口面に対して垂直方向
から注入した。
【0065】実施例2 実施例1と同様に、ヘッドの吐出口面にNi層を形成
し、次にヘッドの吐出口面にC2F4 + イオンを加速エネ
ルギー 20keV、ドーズ量 1×1016cm-2の条件
で吐出口面に対して垂直方向から注入した。次に、N+
イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量2×10
16cm-2の条件で同様に注入した。
し、次にヘッドの吐出口面にC2F4 + イオンを加速エネ
ルギー 20keV、ドーズ量 1×1016cm-2の条件
で吐出口面に対して垂直方向から注入した。次に、N+
イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量2×10
16cm-2の条件で同様に注入した。
【0066】実施例3 実施例1と同様に、ヘッドの吐出口面にNi層を形成
し、次にヘッドの吐出口面にC2F4 + イオンを加速エネ
ルギー 20keV、ドーズ量 1×1016cm-2の条件
で吐出口面に対して垂直方向から注入した。次に、Al
+ イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1×1
015cm-2の条件で同様に注入した。
し、次にヘッドの吐出口面にC2F4 + イオンを加速エネ
ルギー 20keV、ドーズ量 1×1016cm-2の条件
で吐出口面に対して垂直方向から注入した。次に、Al
+ イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1×1
015cm-2の条件で同様に注入した。
【0067】実施例4 実施例1と同様に、ヘッドの吐出口面にNi層を形成
し、次にヘッドの吐出口面にC2F4 + イオンを加速エネ
ルギー 20keV、ドーズ量 1×1016cm-2の条件
で吐出口面に対して垂直方向から注入した。次に、N+
イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1×10
16cm-2の条件で同様に注入した。更に、Al+ イオン
を加速エネルギー20keV、ドーズ量1×1015cm
-2の条件で注入した。
し、次にヘッドの吐出口面にC2F4 + イオンを加速エネ
ルギー 20keV、ドーズ量 1×1016cm-2の条件
で吐出口面に対して垂直方向から注入した。次に、N+
イオンを加速エネルギー20keV、ドーズ量1×10
16cm-2の条件で同様に注入した。更に、Al+ イオン
を加速エネルギー20keV、ドーズ量1×1015cm
-2の条件で注入した。
【0068】実施例5 図2に示されるような発熱素子を設けたヘッドに対し、
その吐出口面に炭素被膜をスパッタ法で0.2μm形成
した。次に、F+ イオンを加速エネルギー40keV、
ドーズ量5×1016cm-2の条件で同様に注入した。
その吐出口面に炭素被膜をスパッタ法で0.2μm形成
した。次に、F+ イオンを加速エネルギー40keV、
ドーズ量5×1016cm-2の条件で同様に注入した。
【0069】実施例6 まず図5に示すように、例えばステンレスでできたオリ
フィスプレート10にフォトリソ技術で吐出口を穴明け
したものに、図6に示すように炭素被膜をスパッタ法で
0.2μm形成した。次に図7に示すようにオリフィス
プレート表面に、F+ イオンを加速エネルギー40ke
V、ドーズ量5×1016cm-2の条件で同様に注入し
た。
フィスプレート10にフォトリソ技術で吐出口を穴明け
したものに、図6に示すように炭素被膜をスパッタ法で
0.2μm形成した。次に図7に示すようにオリフィス
プレート表面に、F+ イオンを加速エネルギー40ke
V、ドーズ量5×1016cm-2の条件で同様に注入し
た。
【0070】次に、ノズル壁等が形成されたインクジェ
ット記録ヘッド基板に前記オリフィスプレートを接着し
図4に示すインクジェット記録ヘッドを作製した。
ット記録ヘッド基板に前記オリフィスプレートを接着し
図4に示すインクジェット記録ヘッドを作製した。
【0071】比較例 フッ素樹脂「DEFEN7710」(DIK社製品の商
品名)をゴム状弾性体による転写法によって吐出口面に
転写し撥水面を形成した以外は、実施例1と同様に図3
に示されるような記録ヘッドを作製した。
品名)をゴム状弾性体による転写法によって吐出口面に
転写し撥水面を形成した以外は、実施例1と同様に図3
に示されるような記録ヘッドを作製した。
【0072】実施例7 以上作製したヘッドに対して、下記の条件、即ち、 〈信号パルス条件〉 印加パルス幅 10μsec パルス周波数 3kHz 印加エネルギー 0.02mJ/パルス(発熱素子一個あた
り) 〈インク組成〉 水 70% ジエチレングリコール 26% ダイレクトブラック 4% でインク吐出実験を行ったとき、109 パルス以上にわ
たり安定した吐出および着弾点精度の高いすぐれた記録
を行うことができた。
り) 〈インク組成〉 水 70% ジエチレングリコール 26% ダイレクトブラック 4% でインク吐出実験を行ったとき、109 パルス以上にわ
たり安定した吐出および着弾点精度の高いすぐれた記録
を行うことができた。
【0073】本実施例に関わる方法により処理された吐
出口面を有するインクジェット記録ヘッドでは、インク
吐出口面がインクにより不均一に濡れることがなく、イ
ンク滴の吐出方向が安定して、したがってすぐれた印字
品質、画質を得ることが可能となった。
出口面を有するインクジェット記録ヘッドでは、インク
吐出口面がインクにより不均一に濡れることがなく、イ
ンク滴の吐出方向が安定して、したがってすぐれた印字
品質、画質を得ることが可能となった。
【0074】更に、本実施例のインクジェット記録ヘッ
ドをプリンターに搭載し、ブレード材料にウレタンゴ
ム、シリコンゴム、ブチルゴムを用いて、これらブレー
ドにより吐出口面を複数回ワイピングして、印字性能を
評価するブレードワイピングテストを実施した。表1に
ウレタンブレードによる試験結果を示す。
ドをプリンターに搭載し、ブレード材料にウレタンゴ
ム、シリコンゴム、ブチルゴムを用いて、これらブレー
ドにより吐出口面を複数回ワイピングして、印字性能を
評価するブレードワイピングテストを実施した。表1に
ウレタンブレードによる試験結果を示す。
【0075】
【表1】 実施例A:実施例1、3、5、6 実施例B:実施例2、4 レベル1:ワイピング回数2000回 レベル2:ワイピング回数10000回 レベル3:ワイピング回数30000回 評価 ○:印字良好 ×:印字不良(ヨレが目立つ状態) 上記結果は、他のブレード材料においても同様であっ
た。記録ヘッドの撥水面の強度が向上し、耐摩耗性が向
上ことによるものと思われる。したがって、設計の自由
度が向上し、コストダウンにもなった。
た。記録ヘッドの撥水面の強度が向上し、耐摩耗性が向
上ことによるものと思われる。したがって、設計の自由
度が向上し、コストダウンにもなった。
【0076】更に、記録装置に搭載した記録ヘッドの吐
出口面に、スポンジを押し当ててこする回復操作を複数
回施し、印字性能を評価した。その結果を表2に示す。
出口面に、スポンジを押し当ててこする回復操作を複数
回施し、印字性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0077】
【表2】 実施例A:実施例1、3、5、6 実施例B:実施例2、4 レベル1:回復処理回数100回 レベル2:回復処理回数500回 レベル3:回復処理回数1000回 評価 ○:印字良好 ×:印字不良(ヨレが目立つ状態) 表2から判るように、接触型の回復系の実験でも撥水性
の低下がなく、回復系が吐出口面に接触するタイプが採
用できる。したがって確実に回復できる回復系が採用で
きる。
の低下がなく、回復系が吐出口面に接触するタイプが採
用できる。したがって確実に回復できる回復系が採用で
きる。
【0078】また、吐出口面が複数種の材料で構成され
ていても、表面層を形成してからイオン注入を施したの
で、吐出口面の平滑性及び撥水性が均一になり、非常に
良好な吐出が可能となった。
ていても、表面層を形成してからイオン注入を施したの
で、吐出口面の平滑性及び撥水性が均一になり、非常に
良好な吐出が可能となった。
【0079】また、実施例5、6のように吐出口面に最
初に炭素被膜を作成後、F+ イオンをイオン注入するこ
とにより、イオン注入のみでは撥水性が付与しにくい材
料でも十分撥水性を付与することができた。
初に炭素被膜を作成後、F+ イオンをイオン注入するこ
とにより、イオン注入のみでは撥水性が付与しにくい材
料でも十分撥水性を付与することができた。
【0080】また、実施例2〜4については、吐出口面
の撥水性に加え他の特性も付与したものであり、以下さ
らに説明を加える。
の撥水性に加え他の特性も付与したものであり、以下さ
らに説明を加える。
【0081】実施例2のヘッドにおいては、撥水性の付
与をC2F4 + イオンで行い、さらにN+ イオンを注入す
ることにより樹脂等で形成される吐出口面のノズル壁や
接着層、またオリフィスプレートなどの機械的強度が向
上する。したがって、実施例1以上に耐久性が向上し
た。
与をC2F4 + イオンで行い、さらにN+ イオンを注入す
ることにより樹脂等で形成される吐出口面のノズル壁や
接着層、またオリフィスプレートなどの機械的強度が向
上する。したがって、実施例1以上に耐久性が向上し
た。
【0082】更に、各実施例及び比較例において作製し
た記録ヘッドの吐出口面の抵抗値を測定したところ、実
施例1、2、5及び比較例の記録ヘッドにおいては、そ
の値はいずれも1013〜1014Ω/□の範囲にあった。
一方、実施例3及び4の記録ヘッドにおいては、いずれ
も108〜1010Ω/□ の範囲にあった。
た記録ヘッドの吐出口面の抵抗値を測定したところ、実
施例1、2、5及び比較例の記録ヘッドにおいては、そ
の値はいずれも1013〜1014Ω/□の範囲にあった。
一方、実施例3及び4の記録ヘッドにおいては、いずれ
も108〜1010Ω/□ の範囲にあった。
【0083】実施例3のヘッドにおいては、撥水性の付
与をC2F4 + イオンで行い、さらにAl+ イオンを注入
することにより吐出口面に導電性を付与させてある。こ
れにより、吐出口面が静電気による帯電がしにくく、紙
カス、紙紛が付着しにくくなった。これにより、紙カ
ス、紙紛による印字不良が改善された。
与をC2F4 + イオンで行い、さらにAl+ イオンを注入
することにより吐出口面に導電性を付与させてある。こ
れにより、吐出口面が静電気による帯電がしにくく、紙
カス、紙紛が付着しにくくなった。これにより、紙カ
ス、紙紛による印字不良が改善された。
【0084】実施例4のヘッドにおいては、実施例2と
3の組み合わせ効果により更に効果があがった。
3の組み合わせ効果により更に効果があがった。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、イオン注入法で吐
出口面に撥水性をもたせた本発明インクジェット記録ヘ
ッドは、常時所定の方向に実質的に均一な液体量を以て
安定した吐出を行うことが可能であり、高速記録に十分
対応できる。
出口面に撥水性をもたせた本発明インクジェット記録ヘ
ッドは、常時所定の方向に実質的に均一な液体量を以て
安定した吐出を行うことが可能であり、高速記録に十分
対応できる。
【0086】又、表面層を形成後、イオンを注入するこ
とにより、表面層及びイオン源となる材料の選択範囲が
広がり、且つ表面硬度の高い吐出口面を形成することが
できるため、紙粉等を除去するブレードの材料選択の幅
が広がり、更にブレードでは除去できないゴミや不用な
インク等を除去するための接触型回復系にも充分適応す
るものとなった。
とにより、表面層及びイオン源となる材料の選択範囲が
広がり、且つ表面硬度の高い吐出口面を形成することが
できるため、紙粉等を除去するブレードの材料選択の幅
が広がり、更にブレードでは除去できないゴミや不用な
インク等を除去するための接触型回復系にも充分適応す
るものとなった。
【0087】又、イオン注入によって、吐出口表面に導
電性を付与することにより、紙粉等が付着しにくくなる
と共に、除去回数も減少するので、長時間印字、高速印
字が可能となった。
電性を付与することにより、紙粉等が付着しにくくなる
と共に、除去回数も減少するので、長時間印字、高速印
字が可能となった。
【0088】その結果、インクジェット記録ヘッドとし
ての耐久性が向上すると共に、用紙選択性が広くなっ
た。
ての耐久性が向上すると共に、用紙選択性が広くなっ
た。
【図1】本発明の記録ヘッドの1態様を示す斜視図であ
る。
る。
【図2】図1に示される記録ヘッドの製造工程を示す説
明図である。
明図である。
【図3】図1に示される記録ヘッドの製造工程を示す説
明図である。
明図である。
【図4】本発明の記録ヘッドの他の態様を示す斜視図で
ある。
ある。
【図5】図4に示される記録ヘッドの製造工程を示す説
明図である。
明図である。
【図6】図4に示される記録ヘッドの製造工程を示す説
明図である。
明図である。
【図7】図4に示される記録ヘッドの製造工程を示す説
明図である。
明図である。
【図8】従来の記録ヘッドの1態様を示す斜視図であ
る。
る。
【図9】インク滴の吐出状態の説明図である。
【図10】イオン注入装置の基本構成を示す模式図であ
る。
る。
【図11】本発明に係るインクジェット記録装置の1態
様を示す斜視図である。
様を示す斜視図である。
1 第1の基板 2 表面層 3 吐出ノズル壁 4 第2の基板 5 接着層 6 吐出口 7 インク 8 インク滴 9 吐出口面 10 オリフィスプレート 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A,119B ガイドシャフト 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 ヘッド回復装置 126A キャップ部 130 ブレード 130A ブレード保持部材
Claims (5)
- 【請求項1】 エネルギー発生素子を具備したインク流
路を有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与
しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端を
吐出口としてインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴
の被記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記
録ヘッドにおいて、前記吐出口が形成される面上に表面
層を形成後、イオン注入法で該表面層の上からイオンを
注入し該吐出口面の表面改質をしたことを特徴とするイ
ンクジェット記録ヘッド。 - 【請求項2】 エネルギー発生素子が発熱抵抗層である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録
ヘッド。 - 【請求項3】 記録媒体の記録領域全幅にわたってイン
ク吐出口が複数設けられているフルラインタイプのもの
であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク
ジェット記録ヘッド。 - 【請求項4】 記録媒体の被記録面に対向してインク吐
出口が設けられている請求項1乃至3いずれか一に記載
のインクジェット記録ヘッドと、該ヘッドを載置するた
めの部材とを少なくとも具備することを特徴とするイン
クジェット記録装置。 - 【請求項5】 エネルギー発生素子を具備したインク流
路を有し、該インク流路内でインクにエネルギーを付与
しインクの状態変化を生ぜしめ、該インク流路の一端を
吐出口としてインクの小滴を吐出、飛翔させ、この小滴
の被記録面への付着を以て記録を行うインクジェット記
録ヘッドを製造する方法において、前記吐出口が形成さ
れる面上に表面層を形成した後、イオン注入法で該表面
層の上からイオンを注入し該吐出口面を表面改質するこ
とを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23205792A JPH0671892A (ja) | 1992-08-31 | 1992-08-31 | インクジェット記録ヘッド |
EP93113841A EP0585854B1 (en) | 1992-08-31 | 1993-08-30 | Ink jet head manufacturing method using ion machining and ink jet head manufactured thereby |
DE69322025T DE69322025T2 (de) | 1992-08-31 | 1993-08-30 | Tintenstrahlkopfherstellungsverfahren mittels Bearbeitung durch Ionen und Tintenstrahlkopf |
AT93113841T ATE173197T1 (de) | 1992-08-31 | 1993-08-30 | Tintenstrahlkopfherstellungsverfahren mittels bearbeitung durch ionen und tintenstrahlkopf |
US08/531,903 US5649359A (en) | 1992-08-31 | 1995-09-21 | Ink jet head manufacturing method using ion machining and ink jet head manufactured thereby |
US08/758,466 US5703630A (en) | 1992-08-31 | 1996-12-02 | Ink jet head manufacturing method using ion machining and ink jet head manufactured thereby |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23205792A JPH0671892A (ja) | 1992-08-31 | 1992-08-31 | インクジェット記録ヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0671892A true JPH0671892A (ja) | 1994-03-15 |
Family
ID=16933302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23205792A Pending JPH0671892A (ja) | 1992-08-31 | 1992-08-31 | インクジェット記録ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0671892A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007290359A (ja) * | 2006-03-10 | 2007-11-08 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド基体、その基体を用いた液体吐出ヘッド及びそれらの製造方法 |
JP2010214654A (ja) * | 2009-03-13 | 2010-09-30 | Fujifilm Corp | 撥液処理方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器 |
JP2010221495A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Fujifilm Corp | 撥液処理方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器 |
US8087749B2 (en) | 2006-04-24 | 2012-01-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet recording head, ink jet cartridge, and method for manufacturing ink jet recording head |
-
1992
- 1992-08-31 JP JP23205792A patent/JPH0671892A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007290359A (ja) * | 2006-03-10 | 2007-11-08 | Canon Inc | 液体吐出ヘッド基体、その基体を用いた液体吐出ヘッド及びそれらの製造方法 |
US8087749B2 (en) | 2006-04-24 | 2012-01-03 | Canon Kabushiki Kaisha | Ink jet recording head, ink jet cartridge, and method for manufacturing ink jet recording head |
JP2010214654A (ja) * | 2009-03-13 | 2010-09-30 | Fujifilm Corp | 撥液処理方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器 |
JP2010221495A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Fujifilm Corp | 撥液処理方法、ノズルプレート、インクジェットヘッド、及び電子機器 |
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