JP2015160309A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、並びに液体カートリッジ及び液滴吐出記録装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法、並びに液体カートリッジ及び液滴吐出記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液滴吐出ヘッドにおいて、駆動素子基板と保護基板を接合するための接着剤が駆動素子基板の駆動部分に流れ込むことを防止する。
【解決手段】駆動素子基板112と保護基板113は接着剤125を介して接合されている。駆動素子基板112は、保護基板113と対向する面に保護基板113の保護基板側接合部分113aが接合される駆動素子基板側接合部分126を備えている。駆動素子基板側接合部分126は、接着剤125の塗布が予定される接着剤塗布領域126aと接着剤125の塗布が予定されない未塗布領域126bを備えている。駆動素子基板側接合部分126は、接着剤125の拡がりを制御するために接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界に表面性の変化点を備えている。
【選択図】図8

Description

本発明は、液滴吐出ヘッド及びその製造方法、並びに液体カートリッジ及び液滴吐出記録装置に関するものである。
液滴吐出ヘッドは、所定の形状に加工された複数の基板が接合されることによって形成されている。それらの基板には圧電体等の各種部材が形成された基板も含まれている。
近年、微細な液滴を精度良く吐出できる液滴吐出ヘッドが求められている。その要求に伴って、液滴吐出ヘッドを構成する基板について、微細な加工が行われ、各部材が小型化され、高密度な実装がされるようになってきている。このため、複数の基板を高精度で接合することが要求されている。
液滴吐出ヘッドを作成するために複数の基板が接合される際には、従来から接着剤が用いられている。しかし、接合部において基板間を十分な強度で接合するために接着剤の塗布量が多くされると、接着剤がはみ出し、他の部材の機能を阻害する虞があるという問題があった。また、接着剤の塗布量が少なくされると、基板間の接着強度が低下するという問題があった。
このような不具合を解決する方法としては、スクリーン印刷法などを用いて、接着剤が存在する部位と存在しない部位とが所定のパターン状で形成されるように接着剤を塗布することが既に知られている(例えば特許文献1を参照。)。
特許文献1には、塗布された接着剤の形状の最大径が1mm(ミリメートル)以下になるように接着剤の塗布領域を制御してスクリーン印刷法などで接着剤のパターンを形成して基板同士を接合することが開示されている。しかし、スクリーン印刷法などによる接着剤の塗布方法は、より微細な、例えば200μm(マイクロメートル)以下のパターン形状で接着剤を塗布することは困難である。
例えば、液滴吐出ヘッドを構成する複数の基板のうち、圧電素子等の駆動素子が形成された駆動素子基板と、駆動素子を保護するための保護基板との接合部分の幅寸法は例えば約10μmである。そうすると、従来の接合方法では接着剤のはみ出しを抑制することができない。
駆動素子基板と保護基板の接合部分から駆動素子基板の駆動部分へはみ出した接着剤は、駆動部分の動作の妨げになる。接着剤に起因して駆動部分の動作が妨げられると、液滴吐出ヘッドの吐出特性が不安定になるという問題があった。
本発明は、液滴吐出ヘッドにおいて、駆動素子基板と保護基板を接合するための接着剤が駆動素子基板の駆動部分に流れ込むことを防止することを目的とする。
本発明にかかる液滴吐出ヘッドは、ノズル孔を有するノズル板と、上記ノズル孔につながる液室内に振動板を介して圧力を発生させる駆動素子を有する駆動素子基板と、上記駆動素子基板に接着剤を介して接合された保護基板と、を備え、上記駆動素子基板は、上記保護基板と対向する面に上記保護基板の保護基板側接合部分が接合される駆動素子基板側接合部分を備え、上記駆動素子基板側接合部分は、上記接着剤の塗布が予定される接着剤塗布領域と上記接着剤の塗布が予定されない未塗布領域を備え、かつ、上記接着剤の拡がりを制御するために上記接着剤塗布領域と上記未塗布領域の境界に表面性の変化点を備えていることを特徴とするものである。
本発明の液滴吐出ヘッドは、駆動素子基板と保護基板を接合するための接着剤が駆動素子基板の駆動部分に流れ込むことを防止することができる。
液滴吐出ヘッドの一実施例を説明するための概略的な分解斜視図である。 同実施例を説明するための概略的な断面図である。 アクチュエータ板を示す概略的な斜視図である。 駆動素子基板と保護基板に分解された状態のアクチュエータ板を示す概略的な断面図である。 図3のB−B位置に対応する位置でのノズルとアクチュエータ基板を示す概略的な断面図である。 図3のC−C位置に対応する位置でのノズルとアクチュエータ基板を示す概略的な断面図である。 駆動素子基板と保護基板が接合したときの接着剤の拡がりによる不具合について説明するための概略的な断面図である。 駆動素子基板の駆動素子基板側接合部分における接着剤塗布領域と未塗布領域を参照するための概略的な断面図である。 液体カートリッジの一実施例を説明するための概略的な斜視図である。 液滴吐出記録装置の一実施例を説明するための概略的な斜視図である。 同実施例の機構部を説明するための概略的な側面図である。
本発明の液滴吐出ヘッドは、駆動素子基板と保護基板を接合するための接着剤が駆動素子基板の駆動部分に流れ込むことを防止することができるので、接着剤の流れ込みに起因する駆動素子基板の駆動部分の動作不良を防止できる。したがって、本発明の液滴吐出ヘッドは、液滴吐出ヘッドの吐出特性を安定させることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドにおいて、上記表面性の変化点は、上記接着剤塗布領域と上記未塗布領域に対する、上記駆動素子基板側接合部分の表面に形成された凹凸形状の有無又は上記駆動素子基板側接合部分の表面への不純物種の注入の有無によって形成されている例を挙げることができる。上記凹凸形状の有無及び上記不純物種の注入の有無は、駆動素子基板側接合部分の表面において、互いに濡れ性の異なる領域を形成することができる。ただし、上記表面性の変化点の構造はこれらに限定されない。
例えば、上記接着剤は親水性接着剤であり、上記接着剤塗布領域の表面は上記未塗布領域の表面に比べて親水性度が高い例を挙げることができる。また、上記接着剤は疎水性接着剤であり、上記接着剤塗布領域の表面は上記未塗布領域の表面に比べて疎水性度が高い例を挙げることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドにおいて、上記表面性の変化点は、上記駆動素子基板側接合部分の一部分が除去されて形成された凹凸段差形状によって形成されている例を挙げることができる。上記凹凸段差形状は、大きな上記表面性の変化点を形成することができる。ただし、上記表面性の変化点の構造はこれに限定されない。
本発明にかかる液体カートリッジは、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに液体を供給する液体タンクを一体化した液体カートリッジであって、上記液滴吐出ヘッドは本発明の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするものである。液滴吐出ヘッドと液体タンクを一体化した液体カートリッジの場合、液滴吐出ヘッドの性能はただちに液体カートリッジ全体の性能につながる。本発明の液体カートリッジは本発明の液滴吐出ヘッドを備えているので、液滴吐出ヘッドに関する吐出特性の安定性が向上し、ひいては高画質、低コストの液体カートリッジを達成することができる。
本発明にかかる液滴吐出記録装置は、液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出記録装置であって、上記液滴吐出ヘッドは本発明の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするものである。本発明の液滴吐出記録装置は、本発明の液滴吐出ヘッドを備えているので、液滴吐出ヘッドに関する吐出特性の安定性が向上し、ひいては高画質、高速での記録を行うことができる。また高速であるので、インクジェット記録装置全体の消費電力も低減できる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、本発明の液滴吐出ヘッドを製造するための方法であって、上記保護基板の上記保護基板側接合部分が上記駆動素子基板の上記駆動素子基板側接合部分に上記接着剤を介して接合されたときに、上記接着剤の拡がりは上記駆動素子基板側接合部分の上記表面性の変化点によって制御されることを特徴とする。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、接着剤の拡がりを駆動素子基板側接合部分の上記表面性の変化点によって制御することによって、駆動素子基板と保護基板を接合するための接着剤が駆動素子基板の駆動部分に流れ込むことを防止することができる。これにより、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、接着剤の流れ込みに起因する駆動素子基板の駆動部分の動作不良を防止して、液滴吐出ヘッドの吐出特性を安定させることができる。
なお、本発明の液滴吐出ヘッドを製造するための方法は、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法に限定されず、他の方法であってもよい。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法において、上記表面性の変化点は、上記接着剤塗布領域と上記未塗布領域に対する、上記駆動素子基板側接合部分の表面に形成された凹凸形状の有無又は上記駆動素子基板側接合部分の表面への不純物種の注入の有無によって形成されている例を挙げることができる。上記凹凸形状の有無及び上記不純物種の注入の有無は、駆動素子基板側接合部分の表面において、互いに濡れ性の異なる領域を形成することができる。ただし、上記表面性の変化点の構造はこれらに限定されない。
例えば、上記接着剤は親水性接着剤であり、上記接着剤塗布領域の表面は親水性であり、かつ上記未塗布領域の表面は疎水性である例を挙げることができる。また、上記接着剤は疎水性接着剤であり、上記接着剤塗布領域の表面は疎水性であり、かつ上記未塗布領域の表面は親水性である例を挙げることができる。
本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法において、上記表面性の変化点は、上記駆動素子基板側接合部分の一部分が除去されて形成された凹凸段差形状によって形成されている例を挙げることができる。上記凹凸段差形状は、大きな上記表面性の変化点を形成することができる。ただし、上記表面性の変化点の構造はこれに限定されない。
以下に、図面を参照して本発明の実施例を説明する。本発明は、駆動素子基板と保護基板の接合において駆動素子近傍に形成される空間に関して、保護基板において上記空間を外部雰囲気に接続するための連通孔を備えていることが特徴になっている。
図1は、液滴吐出ヘッドの一実施例を説明するための概略的な分解斜視図である。図2は同実施例を説明するための概略的な断面図である。図2の断面は図1のA−A位置に対応している。図2の断面は便宜上図1に対して上下逆転している。図3はアクチュエータ板を示す概略的な斜視図である。図4は駆動素子基板と保護基板に分解された状態のアクチュエータ板を示す概略的な断面図である。図5は図3のB−B位置に対応する位置でのノズルとアクチュエータ基板を示す概略的な断面図である。図6は図3のC−C位置に対応する位置でのノズルとアクチュエータ基板を示す概略的な断面図である。図5及び図6の断面は便宜上図3に対して上下逆転している。
インクジェットヘッドである液滴吐出ヘッド101は、ノズルカバー102、ノズル板103、アクチュエータ基板104、バッキンプレート105、ダンパープレート106、フレーム107、FFC(Flexible Flat Cable)108を備えている。ノズル板103、アクチュエータ基板104、バッキンプレート105、ダンパープレート106はその順に積層されてノズルカバー102によってフレーム107に固定されている。
ノズル板103に、インク滴を吐出させるための微細孔である多数のノズル孔109が形成されている。アクチュエータ基板104に、ノズル孔109に個別に連通する個別液室110を備えた液路基板部111が形成されている。個別液室110は加圧液室部110a(液室)、流体抵抗部110b、インク供給部110cを備えている。
ノズル孔109は、対応する個別液室110の加圧液室部110aの先端位置に対応して配置されている。ノズル孔109の径は例えば10〜35μm(マイクロメートル)である。
ノズル板103は、例えばポリイミド等の樹脂フィルムで形成されている。ノズル孔109は例えばレーザー加工によって形成される。また、ノズル板103の材料としては、例えば、電鋳工法によって製造したニッケルの金属プレートや、シリコン、その他金属材料などを用いることもできる。なお、ノズル板103には撥水性の表面処理膜が成膜されている。
アクチュエータ基板104は、大きく分けて、駆動素子基板112と保護基板113を備えている。駆動素子基板112は保護基板113と対向する面に駆動素子基板側接合部分126を備えている。保護基板113は駆動素子基板112と対向する面に保護基板側接合部分113aを備えている。駆動素子基板側接合部分126と保護基板側接合部分113aは接着剤125を介して接合されている。
駆動素子基板112は、ノズル孔109につながる加圧液室部110a内に振動板115を介して圧力を発生させる圧電素子116(駆動素子)を有している。保護基板113は圧電素子116との間に空間114を形成した状態で駆動素子基板112に接合されている。
アクチュエータ基板104において、個別液室110は、駆動素子基板112の一部として形成されている。個別液室110は例えばシリコンからなる液路基板部111が加工されて形成されている。個別液室110はノズル孔109ごとに設けられている。例えば、液路基板部111は、写真製版技術及びICP(Inductively Coupled Plasma)エッチャーによるフッ素系ガスを用いたシリコン深掘りドライエッチング技術によって形成される。通常、液路基板部111に個別液室110を形成するためのエッチング工程は、駆動素子基板112の表面側に圧電素子116等が形成され、さらに裏面研磨によりシリコン基板厚が100μm程度に薄膜化された後に行なわれる。
駆動素子基板112において、液路基板部111上に振動板115が配置されている。振動板115上に圧電素子116が形成されている。振動板115は圧電素子116により発生した圧力を加圧液室部110a内の液体に伝えるための部位である。
振動板115は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜などの単膜又は複合膜からなる。振動板115は、例えば拡散炉やCVD(Chemical Vapor Deposition)装置等を用いて形成される。振動板115の膜厚は、例えば積層膜の合計膜厚で0.5〜3μm程度である。
圧電素子116は、下部電極117と、下部電極117上に配置された圧電体118と、圧電体118上に配置された上部電極119とを備えている。この実施例では、下部電極117は複数の圧電素子116で共通の電極として用いられ、上部電極119は圧電素子116ごとで個別の電極として用いられる。
圧電素子116の圧電体118は、下部電極117及び上部電極119から供給される電圧によって変位(変形)する。圧電体118の変位によって振動板115が変位し、加圧液室部110a内の圧力が変化する。
圧電体118の材料は、例えばゾルゲル法によって形成されたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)である。圧電体118の膜厚は例えば1〜2μm程度である。ただし、圧電体118の材料及び膜厚はこれに限定されるものではない。例えば、圧電体118の材料として、PZTの他にBaTiO3(チタン酸バリウム)などがある。
下部電極117及び上部電極119の材料は、例えばPt(白金)、Au(金)、In(インジウム)等の低抵抗材料を挙げることができる。下部電極117及び上部電極119は例えばスパッタ法、写真製版技術及びエッチング技術によって形成される。下部電極117及び上部電極119の膜厚は例えば100〜200nm(ナノメートル)程度である。なお、下部電極117と上部電極119の材料は互いに異なっていてもよい。また、下部電極117の膜厚と上部電極119の膜厚は互いに異なっていてもよい。
振動板115上に圧電素子116を覆って圧電体保護膜120が形成されている。圧電体保護膜120は、例えば、ALD(atomic layer deposition)方式によって成膜されたAl23膜である。圧電体保護膜120の膜厚は例えば40〜60nmである。ただし、圧電体保護膜120はこれに限定されない。
圧電体保護膜120の上に層間絶縁膜121が形成されている。層間絶縁膜121上に配線122が形成されている。配線122と上部電極119は圧電体保護膜120及び層間絶縁膜121に設けられた接続孔を介して電気的に接続されている。また、図示しない領域において、配線122と同時に形成された下部電極用配線が形成されている。この下部電極用配線は圧電体保護膜120及び層間絶縁膜121に設けられた接続孔を介して下部電極117と電気的に接続されている。
層間絶縁膜121は、例えばプラズマCVD方式によって成膜されたシリコン酸化膜である。層間絶縁膜121の膜厚は例えば0.5〜1μmである。
配線122の材料は例えばアルミニウムである。配線122は例えばスパッタ法、写真製版技術及びエッチング技術によって形成される。配線122の膜厚は例えば1〜3μmである。
層間絶縁膜121上に配線122を覆ってパッシベーション膜123が形成されている。パッシベーション膜123は例えば窒化シリコン膜である。パッシベーション膜123は駆動素子基板112の表面を外気から遮断している。配線122のパッド部分上のパッシベーション膜123に、外部入力素子124と電気的接続をとるためのパッド開口部が形成されている。
パッシベーション膜123の材料は例えばプラズマCVD方式によるシリコン窒化膜である。パッシベーション膜123の膜厚は例えば0.7〜1.5μmである。
層間絶縁膜121及びパッシベーション膜123は、加圧液室部110aと重なる領域において、配線122を保護するための部分を除いて除去されている。これは、振動板115及び圧電素子116が層間絶縁膜121及びパッシベーション膜123で覆われている部分を少なくするためである。
振動板115及び圧電素子116が層間絶縁膜121及びパッシベーション膜123で覆われていると、層間絶縁膜121及びパッシベーション膜123に起因して振動板115及び圧電素子116の変位幅が小さくなる。この実施例では、加圧液室部110aと重なる領域で層間絶縁膜121及びパッシベーション膜123がなるべく除去されていることにより、これらの膜121,123に起因する振動板115及び圧電素子116の変位幅の減少が低減されている。
外部入力素子124は例えばIC(Integrated Circuit)チップである。外部入力素子124は配線122を介して圧電素子116への電圧印加を制御する。外部入力素子124は、図1に示されたFCP108を介して液滴吐出ヘッド101の外部と電気的に接続される。配線122のパッド部分と外部入力素子124との接続方法は例えばスタッドバンプ方式である。ただし、外部入力素子124及び接続方法はこれらに限定されない。
駆動素子基板112において、保護基板113が接着剤125を介して接合される領域に駆動素子基板側接合部分126が形成されている。駆動素子基板側接合部分126の上面は例えばパッシベーション膜123によって形成されている。駆動素子基板側接合部分126は、平面視して、加圧液室部110aを取り囲んで配置されている。
駆動素子基板側接合部分126は、接着剤125の塗布が予定される接着剤塗布領域と、接着剤125の塗布が予定されない未塗布領域を備えている。駆動素子基板側接合部分126は、接着剤塗布領域と未塗布領域の境界に表面性の変化点を備えている。この表面性の変化点は接着剤125の拡がりを制御するためのものである。この表面性の変化点は、例えば接着剤塗布領域と未塗布領域の接着剤125に対する濡れ性が互いに異なっていることによって形成される。駆動素子基板側接合部分126の接着剤塗布領域と未塗布領域の詳細については後述される。
パッシベーション膜123上に接着剤125を介して保護基板113が配置されている。保護基板113は駆動素子基板112の剛性を補完するためのものである。保護基板113は、保護基板側接合部分113aと、凹部113bと、インク供給孔113cと、外部入力素子配置孔113dを備えている。
保護基板側接合部分113aは駆動素子基板112の駆動素子基板側接合部分126と接着剤125を介して接合される部分である。保護基板側接合部分113aは、平面視して、加圧液室部110aを取り囲むようにして配置されている。
凹部113bは圧電素子116の形成領域を覆う位置に形成されている。凹部113bによって保護基板113と圧電素子116との間に空間114が形成されている。
インク供給孔113cは個別液室110のインク供給部110cに連通される貫通孔である。インク供給孔113cはパッシベーション膜123、層間絶縁膜121及び振動板115に形成された貫通孔を介してインク供給部110cに連通されている。
外部入力素子配置孔113dは外部入力素子124を配置するための貫通孔である。なお、図3において、外部入力素子配置孔113dの図示は省略されている。
保護基板113は、例えば厚みが400μm程度のシリコン基板が加工されて形成されたものである。例えば、保護基板113は、写真製版技術及びICPエッチャーによるフッ素系ガスを用いたシリコン深掘りドライエッチング技術によって形成される。
例えば、アクチュエータ基板104における駆動素子基板112と保護基板113の接合は接着剤125を用いた微細接合及び高温ベークにより行われている。また、アクチュエータ基板104(駆動素子基板112)とノズル板103の接合は接着剤(図示は省略)用いた微細接合及び高温ベークにより行われている。例えば、ノズル板103とアクチュエータ基板104は一体部品とされている。
次にインクの流れについて説明する。
インク供給孔113cに供給されたインクは、個別液室110のインク供給部110c、流体抵抗部110bを経由して加圧液室部110aに流入する。加圧液室部110aにインクが充填される。
アクチュエータ基板104に実装された外部入力素子124からの入力(電圧)が配線122を経由して圧電素子116の上部電極119に加わることで圧電体118に変位が発生する。下部電極117は電気的に接地された回路になっている(図示は省略。)。圧電体118の変位は振動板115を介して加圧液室部110a内に圧力を発生させる。これにより、ノズル孔109からインク滴127が射出される。
次に、駆動素子基板112と保護基板113の接合工程について説明する。
図7は、駆動素子基板と保護基板が接合したときの接着剤の拡がりによる不具合について説明するための概略的な断面図である。
例えば、印刷スクリーン印刷法や薄膜転写フレキソ印刷法などで、保護基板113に接着剤125が塗布される。その後、駆動素子基板112と保護基板113が相対的に位置合せされる。駆動素子基板112と保護基板113が互いに接近するように相対的に移動される。
駆動素子基板112の駆動素子基板側接合部分128と保護基板113の保護基板側接合部分113aが接着剤125を介して接続される。なお、駆動素子基板側接合部分128は接着剤塗布領域と未塗布領域を備えていない。その後、加圧処理と加温処理が施されて、駆動素子基板側接合部分127と保護基板側接合部分113aが接着剤125を介して接合される。
図7の下図に示されるように、接着剤125は、上記の加圧処理と加温処理のときに被接合面である駆動素子基板側接合部分128の表面性に起因して、駆動素子基板112側へ這い上がる。このとき、振動板115の振動部A1まで接着剤125が拡がると、振動部A1での振動板115の振動が阻害される。振動部A1まで拡がった接着剤125は、振動板115の変位特性に影響を与える。したがって、液滴吐出ヘッドの吐出特性が不安定となるという問題があった。
そこで、本発明は、駆動素子基板の駆動素子基板側接合部分が、接着剤の塗布が予定される接着剤塗布領域と接着剤の塗布が予定されない未塗布領域を備えているようにした。ここで、駆動素子基板側接合部分は、接着剤の拡がりを制御するために接着剤塗布領域と未塗布領域の境界に表面性の変化点を備えている。これにより、駆動素子基板の駆動素子基板側接合部分からの接着剤のはみ出し領域が抑制される。また、本発明は、接着剤を塗れ拡がりさせない領域をより微細な領域レベルで制御可能である。
例えば、本発明と、接着剤塗布量を制御して所定の位置に塗布できる接着剤塗布方法とを組み合わせれば、接着剤が塗布される範囲をより高精度に制御できる。このような接着剤塗布方法として、例えばスクリーン印刷法や薄膜転写フレキソ印刷法などが挙げられる。
駆動素子基板の駆動素子基板側接合部分における接着剤塗布領域と未塗布領域について図8を参照して説明する。なお、図8では駆動素子基板側接合部分127,128について構造が簡略化されている。
図8(A)において、駆動素子基板側接合部分128は接着剤塗布領域と未塗布領域を備えていない。接着剤125は、駆動素子基板側接合部分128の表面を構成するパッシベーション膜の表面に拡がる。
図8(A)において、駆動素子基板側接合部分128は接着剤塗布領域と未塗布領域を備えていない。接着剤125は、接着剤125の量や塗れ性の違いなどによって、駆動素子基板側接合部分128の表面を構成するパッシベーション膜の表面に這い上がって拡がる。駆動素子基板側接合部分128は接着剤125が広がる範囲を制御できないので、図7の下図のように接着剤125が振動板115の振動部まで拡がる虞がある。
図8(A)において、駆動素子基板側接合部分126は、接着剤125の塗布が予定される接着剤塗布領域126aと、接着剤125の塗布が予定されない未塗布領域126bを備えている。接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bは接着剤125に対する表面特性が異なっている。駆動素子基板側接合部分126は、接着剤125の拡がりを制御するために接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界に表面性の変化点を備えている。
例えば、駆動素子基板側接合部分126の表面を構成するパッシベーション膜123は窒化シリコン膜である。接着剤塗布領域126aにおいて、パッシベーション膜123の表面に表面処理が施されている。この表面処理は、例えば感光レジストなどの写真製版技術によって形成されたマスクパターンを使用して、接着剤塗布領域126aに対して施される。この表面処理は未塗布領域126bに対しては施されない。この表面処理は、接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界位置の制御を精密に行うことができる。
この表面処理の1つの方法は、イオン注入法によって例えばPイオン、Asイオン、BF2などの不純物種を接着剤塗布領域126aのパッシベーション膜123に注入することによって行なわれる。
この表面処理の他の方法は、接着剤塗布領域126aのパッシベーション膜123の表面に凹凸形状を形成する(表面粗さを粗くする)ことによって行なわれる。この凹凸形状を形成する方法は、例えば、ArやO2などを用いたスパッタ法や、CF4、CHF3、C26、SF6など用いたエッチング法を挙げることができる。
この表面処理のさらに他の方法は、接着剤塗布領域126aのパッシベーション膜123の表面に凹凸形状が形成されない程度の低エネルギーで上記スパッタ法や上記エッチング法によって表面処理が施されることによって行われる。
なお、本発明において、表面処理の方法はこれらの方法に限定されない。
例えば、接着剤125は親水性である。上記表面処理によって接着剤塗布領域126aの表面は未塗布領域126bの表面に比べて親水性になっている。
駆動素子基板112と保護基板113の接合時に、接着剤125は駆動素子基板側接合部分126の表面に拡がる。駆動素子基板側接合部分126の表面に拡がる接着剤125の液体流動速度は、つまり塗れ性の変化点、接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界で急激に変化する。接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界近傍で接着剤125の盛り上がりが発生する。そして、接着剤125の塗れ拡がりは接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界で止まる。
これにより、この実施例は、振動板115及び圧電素子116の変位部分への接着剤125の流れ込みを防止することができる。したがって、この実施例は、液滴吐出ヘッド101の吐出特性を安定させることができる。
なお、本発明では、接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界に表面性の変化点が形成されていればよい。図8(B)では、接着剤塗布領域126aに対して表面処理が施されて、接着剤塗布領域126aと表面性と未塗布領域126bの表面性が互いに異なっている。これに対し、未塗布領域126bに対して表面処理が施されて、接着剤塗布領域126aと表面性と未塗布領域126bの表面性が互いに異なっていてもよい。また、接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bに対して異なる表面処理が施されて、接着剤塗布領域126aと表面性と未塗布領域126bの表面性が互いに異なっていてもよい。
接着剤125が親水性接着剤である場合、接着剤塗布領域126aの表面は未塗布領域126bの表面に比べて親水性度が高いことが好ましい。例えば、接着剤125が親水性接着剤である場合、接着剤塗布領域126aの表面は親水性であり、未塗布領域126bの表面は疎水性であることが好ましい。
また、接着剤125が疎水性接着剤である場合、接着剤塗布領域126aの表面は未塗布領域126bの表面に比べて疎水性度が高いことが好ましい。例えば、接着剤125が疎水性接着剤である場合、接着剤塗布領域126aの表面は疎水性であり、未塗布領域126bの表面は親水性であることが好ましい。
また、駆動素子基板側接合部分126の表面は窒化シリコン膜からなるパッシベーション膜の表面であるが、本発明において駆動素子基板側接合部分の表面はこれに限定されない。本発明において駆動素子基板側接合部分の表面は、他の材料、例えば酸化シリコン膜やポリイミド膜、アルミナ(AlxOy)膜、窒化酸化(SiON)膜、樹脂系(SU−8、SOG)膜などの絶縁膜であってもよい。
図8(C)において、駆動素子基板側接合部分126の表面性の変化点は、駆動素子基板側接合部分126の一部分が除去されて形成された凹凸段差形状によって形成されている。駆動素子基板側接合部分126において、接着剤塗布領域126aはパッシベーション膜123の上面(保護基板113と対向する面)で形成されている。未塗布領域126bはパッシベーション膜123の側面で形成されている。
図8(C)において、駆動素子基板側接合部分126の表面性の変化点は、例えばパッシベーション膜123がパターンニング加工されることによって形成される。このパターンニング加工処理は、例えば、感光レジストなどの写真製版技術によって形成されたマスクパターンを使用して、パッシベーション膜123をエッチング加工することによって行われる。パッシベーション膜123が窒化シリコン膜の場合のエッチング方法は、例えば、熱燐酸やHFなどを用いたウェットエッチング法や、CF4、CHF3、C26、SF6など用いたドライエッチ法などが挙げられる。
図8(C)において、接着剤125の塗れ拡がりは接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界で止まる。これにより、この実施例は、振動板115及び圧電素子116の変位部分への接着剤125の流れ込みを防止することができる。
なお、駆動素子基板側接合部分126において、接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bを形成するための形状変化が形成されていればよい。したがって、駆動素子基板側接合部分126の形成領域外にパッシベーション膜123が完全には除去されずに残っていてもよい。
図8(D)において、駆動素子基板側接合部分126の表面性の変化点は、駆動素子基板側接合部分126の一部分が除去されて形成された凹凸段差形状によって形成されている。駆動素子基板側接合部分126において、接着剤塗布領域126aはパッシベーション膜123の上面で形成されている。接着剤塗布領域126aの表面に、図8(B)を参照して説明した表面処理が施されている。未塗布領域126bはパッシベーション膜123の側面で形成されている。
例えば、パッシベーション膜123が成膜された後に、図8(B)を参照して説明した表面処理がパッシベーション膜123全面に施される。その後、図8(C)を参照して説明したパターンニング加工処理がパッシベーション膜123に対して施されて、図8(D)に示された駆動素子基板側接合部分126が形成される。
図8(D)において、接着剤125の塗れ拡がりは接着剤塗布領域126aと未塗布領域126bの境界で止まる。これにより、この実施例は、振動板115及び圧電素子116の変位部分への接着剤125の流れ込みを防止することができる。
なお、駆動素子基板側接合部分126において、接着剤塗布領域126a及び未塗布領域126bは、少なくとも保護基板113の凹部113bに対向する領域に形成される。ただし、保護基板113の凹部113bに対向する領域以外の領域において、駆動素子基板側接合部分126に接着剤塗布領域126a及び未塗布領域126bが形成されていてもよい。その一例を図6を参照して説明する。
例えば、保護基板113の凹部113bとインク供給孔113cの間の保護基板側接合部分113aに対応する駆動素子基板側接合部分126は、凹部113bに対向する領域に図8(B)示された接着剤塗布領域126a及び未塗布領域126bを備えている。また、この部分の駆動素子基板側接合部分126は、インク供給孔113cに露出している領域に図8(C)又は図8(D)示された接着剤塗布領域126a及び未塗布領域126bを備えている。
また、保護基板113の凹部113bと外部入力素子配置孔113dの間の保護基板側接合部分113aに対応する駆動素子基板側接合部分126は、凹部113bに対向する領域に図8(B)示された接着剤塗布領域126a及び未塗布領域126bを備えている。また、この部分の駆動素子基板側接合部分126は、外部入力素子配置孔113dに露出している領域に図8(B)示された接着剤塗布領域126a及び未塗布領域126bを備えている。外部入力素子配置孔113dに露出している領域に設けられた接着剤塗布領域126a及び未塗布領域126bは、外部入力素子124が搭載される端子への接着剤125の流れ込みを防止する。
駆動素子基板側接合部分126の形成工程を含むアクチュエータ基板104の製造プロセスは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術、半導体に使用するシリコンウェハプロセスによって実現することが可能である。これにより、低コストの実現や寸法精度の向上による微細化の実現が可能となる。さらに、微細な吐出安定性のある液滴吐出ヘッド101の製造が可能となる。
図10は、液体カートリッジの一実施例を説明するための概略的な斜視図である。
液体カートリッジ201は、ノズル孔202等を有する上記実施例の液滴吐出ヘッド203と、液滴吐出ヘッド203に対して液体を供給する液体タンク204とを一体化したものである。
このように液体タンク一体型のヘッドの場合、液滴吐出ヘッド203の性能はただちに液体カートリッジ201全体の性能につながる。したがって、液滴吐出ヘッド203として高密度で信頼性の高い本発明の液滴吐出ヘッドを使用することにより、液滴吐出ヘッド203に関する吐出特性の安定性が向上し、信頼性の高い液体カートリッジ201を得ることができる。
図11は、画像形成装置の一実施例を説明するための概略的な斜視図である。図12はこの実施例の機構部を説明するための側面図である。
画像形成装置301は、記録装置本体302の内部に印字機構部303等を収納している。印字機構部303は、主走査方向に移動可能なキャリッジ310、キャリッジ310に搭載した本発明を実施した液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド311、記録ヘッド311へインクを供給するインクカートリッジ312等で構成されている。画像形成装置301は、記録装置本体302の下方部には前方側から多数枚の用紙304を積載可能な給紙カセット(又は給紙トレイでもよい。)305を抜き差し自在に装着することができる。また、画像形成装置301は、用紙304を手差しで給紙するための手差しトレイ306を開倒することができる。画像形成装置301は、給紙カセット305又は手差しトレイ306から給送される用紙304を取り込み、印字機構部303によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ307に排紙する。
印字機構部303は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド308と従ガイドロッド309とでキャリッジ310を主走査方向(図12で紙面垂直方向)に摺動自在に保持している。キャリッジ310にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッドが複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列されている。記録ヘッドはインク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。また、キャリッジ310には記録ヘッドに各色のインクを供給するための各インクカートリッジ312が交換可能に装着されている。
インクカートリッジ312は、上方に大気と連通する大気口を有し、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を有している。また、インクカートリッジ312は、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色の記録ヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ310は、後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド308に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド309に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ310を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ313で回転駆動される駆動プーリ314と従動プーリ315との間にタイミングベルト316が張装されている。キャリッジ310はタイミングベルト316に固定されており、主走査モータ313の正逆回転によりキャリッジ310が往復駆動される。
給紙カセット305にセットした用紙304を記録ヘッドの下方側に搬送するために、給紙ローラ317、フリクションパッド318、ガイド部材319、搬送ローラ320、搬送コロ321及び先端コロ322が設けられている。給紙ローラ317及びフリクションパッド318は給紙カセット305から用紙304を分離給装する。ガイド部材319は用紙304を案内する。搬送ローラ320は給紙された用紙304を反転させて搬送する。搬送コロ321は搬送ローラ320の周面に押し付けられる。先端コロ322は搬送ローラ320からの用紙304の送り出し角度を規定する。搬送ローラ320は副走査モータ323によってギヤ列を介して回転駆動される。
キャリッジ310の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ320から送り出された用紙304を記録ヘッド311の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材324が設けられている。印写受け部材324の用紙搬送方向下流側には、用紙304を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ325、拍車326が設けられている。さらに用紙304を排紙トレイ307に送り出す排紙ローラ327及び拍車328と、排紙経路を形成するガイド部材329,330が配設されている。
記録時には、キャリッジ310を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド311を駆動することにより、停止している用紙304にインクを吐出して1行分を記録し、用紙304を所定量搬送後次の行の記録を行なう。記録終了信号又は用紙304の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙304を排紙する。
また、キャリッジ310の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッドの吐出不良を回復するための回復装置331が配置されている。回復装置331はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ310は印字待機中にはこの回復装置331側に移動されてキャッピング手段で記録ヘッドをキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッドの吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示は省略)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、画像形成装置301においては本発明を実施した液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド311が搭載されているので、画像形成装置301は高画質、高速での記録を行うことができる。また高速であるので、画像形成装置301全体の消費電力も低減できる。記録ヘッド311の性能はただちに画像形成装置301全体の性能につながるので、本発明を実施した液滴吐出ヘッドからなる信頼性の高い記録ヘッド311を使用することにより、信頼性の高い画像形成装置301を得ることができる。
なお、本発明にかかる画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、これらの複合機などにも適用することができる。また、本発明にかかる画像形成装置は、インク以外の液体、例えばDNA試料やレジスト、パターン材料などを吐出する液滴吐出ヘッドや液滴吐出装置、又はこれらを備えた画像形成装置にも適用することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、上記実施例での数値、材料、配置、個数等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本発明の液滴吐出ヘッドは、上記実施例の液滴吐出ヘッドの構成に限定されない。本発明の液滴吐出ヘッドは、駆動素子基板と保持基板が接着剤によって接合された液滴吐出ヘッドであれば、どのような構成の液滴吐出ヘッドに対しても適用できる。
また、本発明の液滴吐出ヘッドにおいて、1つ液室に複数のノズル孔が配置されていてもよい。
101 液滴吐出ヘッド
103 ノズル板
109 ノズル孔
110a 加圧液室部(液室)
112 駆動素子基板
113 保護基板
113a 保護基板側接合部分
115 振動板
116 圧電素子(駆動素子)
125 接着剤
126 駆動素子基板側接合部分
126a 接着剤塗布領域
126b 未塗布領域
201 液体カートリッジ
202 ノズル孔
203 液滴吐出ヘッド
204 液体タンク
301 画像形成装置
311 記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
特許第4569201号公報

Claims (10)

  1. ノズル孔を有するノズル板と、
    前記ノズル孔につながる液室内に振動板を介して圧力を発生させる駆動素子を有する駆動素子基板と、
    前記駆動素子基板に接着剤を介して接合された保護基板と、を備え、
    前記駆動素子基板は、前記保護基板と対向する面に前記保護基板の保護基板側接合部分が接合される駆動素子基板側接合部分を備え、
    前記駆動素子基板側接合部分は、前記接着剤の塗布が予定される接着剤塗布領域と前記接着剤の塗布が予定されない未塗布領域を備え、かつ、前記接着剤の拡がりを制御するために前記接着剤塗布領域と前記未塗布領域の境界に表面性の変化点を備えていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記表面性の変化点は、前記接着剤塗布領域と前記未塗布領域に対する、前記駆動素子基板側接合部分の表面に形成された凹凸形状の有無又は前記駆動素子基板側接合部分の表面への不純物種の注入の有無によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記接着剤は親水性接着剤であり、前記接着剤塗布領域の表面は前記未塗布領域の表面に比べて親水性度が高く、又は、前記接着剤は疎水性接着剤であり、前記接着剤塗布領域の表面は前記未塗布領域の表面に比べて疎水性度が高いことを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記表面性の変化点は、前記駆動素子基板側接合部分の一部分が除去されて形成された凹凸段差形状によって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと該液滴吐出ヘッドに液体を供給する液体タンクを一体化した液体カートリッジにおいて、
    前記液滴吐出ヘッドは請求項1から4のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液体カートリッジ。
  6. 液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出記録装置において、
    前記液滴吐出ヘッドは請求項1から4のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする液滴吐出記録装置。
  7. 請求項1に記載された液滴吐出ヘッドを製造するための方法であって、
    前記保護基板の前記保護基板側接合部分が前記駆動素子基板の前記駆動素子基板側接合部分に前記接着剤を介して接合されたときに、前記接着剤の拡がりは前記駆動素子基板側接合部分の前記表面性の変化点によって制御されることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記表面性の変化点は、前記接着剤塗布領域と前記未塗布領域に対する、前記駆動素子基板側接合部分の表面に形成された凹凸形状の有無又は前記駆動素子基板側接合部分の表面への不純物種の注入の有無によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記接着剤は親水性接着剤であり、前記接着剤塗布領域の表面は親水性であり、かつ前記未塗布領域の表面は疎水性であり、又は、前記接着剤は疎水性接着剤であり、前記接着剤塗布領域の表面は疎水性であり、かつ前記未塗布領域の表面は親水性であることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記表面性の変化点は、前記駆動素子基板側接合部分の一部分が除去されて形成された凹凸段差形状によって形成されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
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