JP2017213713A - 液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置 Download PDF

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Takahiko Kuroda
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Abstract

【課題】振動板の膜厚の均一性が良好であり、振動板全体の応力バランスを自由に制御することができる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】ノズル6と、該ノズル6に連通する加圧液室5と、該加圧液室5の壁面の一部を構成する振動板3と、該振動板3を介して前記加圧液室5の反対側に設けられ、かつ、前記加圧液室5に圧力を発生させる圧力発生手段2と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記振動板3は、少なくとも2種類の膜を合計20層以上積層してなることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置に関する。
プリンタやファクシミリ装置、複写装置、プロッタ等の画像記録装置あるいは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液体吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧液室(吐出室、圧力室、インク流路とも称される)と、この加圧液室内のインクを加圧するエネルギーを発生する素子を備え、加圧するエネルギーによって液室内の記録液に圧力を作用させてノズルから液滴を吐出させる。
従来から、高画質なインクジェット記録装置を実現するために、ノズルを高密度化することがなされてきたが、高密度化に伴い、クロストークなどの解決すべき問題が生じている。この問題を解決するために、液体吐出ヘッドにおける振動板に着目した種々の技術が提案されている。
ノズル開口を高密度化に配列したインクジェットヘッドでは、各加圧液室隔壁幅が小さくなり、隔壁の剛性が低下し、隔壁が振動板の張力の影響を受けてクロストークが生じる。これを解決するために、加圧液室を形成した後、圧電素子を駆動していない状態で振動板の撓みを抑制することが求められる。
特許文献1では、クロストークの抑制を目的として、振動板(下部電極層も含む)の張力を規定しており、振動板層と下部電極層の圧縮応力の張力和と振動板の圧縮応力の張力和の差が大きい方の2割以内と規定している。つまり、引張と圧縮の応力和の差が大きくならないように、圧縮と引張の張力バランスをとり、加圧液室形成後の振動板撓みを抑制し、クロストークの抑制を図っている。
ノズル密度を高密度化するに当たり、振動板の厚みを薄くする必要があるが、これまでの方法(高濃度ボロン層を利用した異方性エッチ)では、薄い振動板(2μm以下程度)を精度よく撓みなく形成できない。
特許文献2では、薄い振動板を撓みなく成膜するために引張応力を有する膜と圧縮応力を有する膜を交互に積層し、4層構成とし、全体として引張り応力性を有するようにしている。
特許文献3では、特許文献2と同様に、加圧液室形成後に振動板の撓みと剛性のバランスを図れるように引張応力を有する膜と、圧縮応力を有する膜をLPCVD(Low Pressure CVD)法で3層以上積層することにより、所望の振動板剛性と撓みの制御を行う試みがなされている。
現行では、振動板は複数層から形成されており、例えば特許文献3における現行の薄膜PZTを有するアクチュエータの振動板は、LPCVD法で成膜されたシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、ポリシリコン膜の積層で例えば合計9層から形成されている。この場合、振動板剛性の均一性、コスト、歩留り等を考慮すると、なるべく層毎に装置を変えて成膜すること、及び積層数を減らすことが求められる。
しかし、振動板剛性を主に決めているシリコン窒化膜は、膜応力が1GPa以上あり、一度に厚く成膜することができず、バッファ層に圧縮応力を有するシリコン酸化膜やポリシリコン膜で応力を緩和する必要があり、結果的に多層膜となってしまっている。また、特にポリシリコン膜を積層することにより、PZT結晶性に影響を与える振動板最表面のラフネスも大きくなり、ラフネス制御する工程も必要となり、工程増加、特性バラツキを大きくする要因となっている。
また、振動板を構成する膜の膜厚について、ウェハ面内の膜厚(剛性)の均一性が液体吐出特性に影響していることから、チップ内で振動板の膜厚(剛性)の均一性が更に要求されており、現行の振動板の構成や成膜方法では、次世代ヘッドの要求値を満たすことはできていない。
以上のことから、振動板の膜厚が均一であり、振動板全体の応力バランスが制御された液体吐出ヘッドが求められていた。
そこで本発明は、振動板の膜厚の均一性が良好であり、振動板全体の応力バランスを自由に制御することができる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、ノズルと、該ノズルに連通する加圧液室と、該加圧液室の壁面の一部を構成する振動板と、該振動板を介して前記加圧液室の反対側に設けられ、かつ、前記加圧液室に圧力を発生させる圧力発生手段と、を有する液体吐出ヘッドであって、前記振動板は、少なくとも2種類の膜を合計20層以上積層してなることを特徴とする。
本発明によれば、振動板の膜厚の均一性が良好であり、振動板全体の応力バランスを自由に制御することができる。
本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における斜視図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における加圧液室長手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における加圧液室短手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの一例における振動板の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例における加圧液室長手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例における加圧液室長手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例における加圧液室長手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例における加圧液室短手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例における加圧液室短手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例における加圧液室短手方向の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例における振動板の断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例における振動板の断面図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの一例を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの他の例を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの他の例を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの他の例を示す模式図である。 インクジェット記録装置の構成の一例を示す斜視図である。 インクジェット記録装置の構成の一例を示す側面図である。
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明は、ノズルと、該ノズルに連通する加圧液室と、該加圧液室の壁面の一部を構成する振動板と、該振動板を介して前記加圧液室の反対側に設けられ、かつ、前記加圧液室に圧力を発生させる圧力発生手段と、を有する液体吐出ヘッドであって、前記振動板は、少なくとも2種類の膜を合計20層以上積層してなることを特徴とする。
(第1の実施形態)
本発明の詳細について、一実施形態を例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態の液体吐出ヘッドの斜視図である。図2は、本実施形態の液体吐出ヘッドにおける加圧液室長手方向の断面図である。図3は、本実施形態の液体吐出ヘッドにおける加圧液室短手方向の断面図である。
図示される液体吐出ヘッド1は、ノズル基板300の面部に設けたノズル孔6から液滴を吐出させるサイドシュータータイプのものであり、アクチュエータ基板100に液体吐出エネルギーを発生する圧電体素子2(圧力発生手段)、振動板3を備えている。また、加圧液室隔壁4、加圧液室5、流体抵抗部7、及び共通液室8が形成されており、各加圧液室5は、加圧液室隔壁4で仕切られている。
アクチュエータ基板100上に設けられるサブフレーム基板200には、外部から液滴を供給する液滴供給口66と共通液室流路9、及び振動板3が撓むことができるようにザグリ67が形成されている。
また、引き出し配線層(引き出し配線40)を保護する目的でパッシベーション膜50が形成されている。ノズル基板300には、個々の加圧液室5に対応した位置にノズル孔6(ノズル)が形成されている。
これらアクチュエータ基板100、サブフレーム基板200、及びノズル基板300を接合することにより、液体吐出ヘッド1が形成されている。
アクチュエータ基板100は、図1、図2、図3に示すように、加圧液室5の一部壁面を形成する振動板3と振動板3を介して加圧液室5と対向する側に圧電体素子2が形成されている。また、共通液室8の振動板3面は、共通液室流路9が形成されており、ここから液滴であるインクを外部から供給できるようになっている。
図2に示すように、圧電体素子2は振動板3を介して加圧液室5に対向する側に形成されており、共通電極10、個別電極11、圧電体12から形成されている。圧電体素子2は、振動板3を介して加圧液室5に圧力を発生させる。
このように形成された液体吐出ヘッド1においては、各加圧液室5内に液体、例えば記録液(インク)が満たされた状態で、制御部から画像データに基づいて、記録液の吐出を行いたいノズル孔6に対応する個別電極11に対してパルス電圧を印加する。この場合、電極には、発振回路により、引き出し配線40、層間絶縁膜45に形成された接続孔30を介して例えば20Vのパルス電圧が印加される。この電圧パルスを印加することにより、圧電体12は、電歪効果により圧電体12そのものが振動板3と平行方向に縮み、振動板3が加圧液室5方向に撓む。これにより、加圧液室5内の圧力が急激に上昇して、加圧液室5に連通するノズル孔6から記録液が吐出する。
次にパルス電圧印加後は、縮んだ圧電体12が元に戻ることから、撓んだ振動板3は元の位置に戻るため、加圧液室5内が共通液室8内に比べて負圧となる。そして、外部から液滴供給口66を介して供給されているインクが共通液室流路9、共通液室8から流体抵抗部7を介して加圧液室5に供給される。
これを繰り返すことにより、液滴を連続的に吐出でき、液体吐出ヘッドに対向して配置される被記録媒体(用紙)に画像を形成する。
ここで、本発明の特徴である振動板3は、ALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて少なくとも2種類の膜を合計20層以上積層してなる。
ALD法は、その成膜原理から、LPCVD(Low Pressure CVD)法に比べて、ウェハ面内の膜厚をより均一にすることができる。そのため、振動板の剛性、応力バランスの均一性が高くなり、ノズル列が300個程ある液体吐出ヘッドでは、ノズル間のインク吐出特性の精度が向上する。加えて、成膜表面のラフネス(粗さ)がLPCVD法に比べてスムースであるので、後に形成する圧電体の品質(結晶性)が向上し、精度よく、高精度なアクチュエータを形成できる。
また、LPCVD法では、各振動板構成層を形成するためには、1層毎に装置を変える必要があり、成膜後大気開放するため、各振動板構成膜の界面が、大気成分に汚染されたり、異物が介在したりしやすい。このため、界面の密着性に問題が生ずることがあり、歩留り、及び信頼性が懸念される場合がある。
これに対して、ALD法は、真空中で連続成膜されるため、LPCVD法に比べて膜間の介在物がほとんどなく、安定した振動板を形成することができ、信頼性が向上する。また、ALD法を用いることにより、1台の装置で一括して連続成膜が可能となり、大幅な工数コスト低減、プロセス時間短縮の効果が得られる。
本実施形態における振動板について、図4を用いて説明する。図4は、振動板3の断面模式図を示す図である。本実施形態における振動板3は、ALD法を用いて少なくとも2種類の膜を合計20層以上積層してなることを特徴とする。本実施形態における2種類の膜は、圧縮応力を有する膜60と、引張応力を有する膜61であり、圧縮応力を有する膜60と、引張応力を有する膜61は交互に成膜されている。
振動板3が圧縮応力を有する膜60と、引張応力を有する膜61との2種類の膜を有することにより、振動板全体の応力制御と振動板撓み量を制御できるため、ノズル孔を1単位としたビット間での変位量のバラツキを抑制することができ、信頼性をより向上させることができる。
また、圧縮応力を有する膜60と、引張応力を有する膜61を交互に成膜することにより、振動板の内部応力を厚さ方向に均一に分散できる。このため、振動板内の膜剥がれや割れが抑制でき、信頼性をより向上させ、安定した液体吐出ヘッドが実現できる。
附言すると、圧縮応力を有する膜60と、引張応力を有する膜61を交互に成膜することにより、界面での応力が抑えられるため、界面の応力によるストレスが緩和されるので、アクチュエータ駆動時の界面剥がれが抑制される。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一実施形態について図5A〜図5C及び図6A〜図6Cを用いて説明する。図5A〜図5Cは加圧液室長手方向の断面図であり、図6A〜図6Cは加圧液室短手方向の断面図である。図5A〜図5Cにおける(a)〜(j)と図6A〜図6Cにおける(a)〜(j)はそれぞれ対応している。
(a)アクチュエータ基板100として面方位(110)のシリコン単結晶基板(例えば厚さ400μm)上に振動板3を成膜する。この振動板3は、ALD法を用いて、圧縮応力を有する膜60として例えばシリコン酸化膜、引張応力を有する膜61として例えばアルミナ膜を成膜する。圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61の成膜は、振動板3全体で、所望の剛性が得られ、且つ撓まないように、応力バランスを考慮し、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61の膜厚を設定し成膜する。
このとき、図4のように圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61は、その膜厚とそれぞれの有する応力値の積が圧縮と、引張の膜で同じ値になるように設定し、交互に成膜する。
例えば、圧縮応力を有する膜60であるシリコン酸化膜の応力値は70GPa、引張応力値を有する膜61であるアルミナ膜の応力値は210GPa程度であるので、シリコン酸化膜とアルミナ膜の膜厚は、各々15nmと5nmとして交互に成膜する。
2種類の膜の膜厚としては、0.1nm以上50nm以下であることが好ましい。本実施形態において、圧縮応力を有する膜60及び引張応力を有する膜61の膜厚は、0.1nm以上50nm以下であることが好ましい。この場合、振動板の内部応力を厚さ方向に均一に分散できるため、振動板内の膜剥がれや割れがより抑制され、信頼性がより向上する。
ここで、圧縮応力を有する膜60や引張応力を有する膜61は、シリコン酸化膜やアルミナ膜に限らずALD法で成膜できる膜であれば、他の膜であってもよい。
圧縮応力を有する膜60としては、例えばその他にも、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)等を用いることができる。
引張応力を有する膜61としては、例えばその他にも、シリコン窒化膜、チタン窒化膜(TiN膜)等を用いることができる。
ALD法は、LPCVD法の気相反応ではなく、表面反応で、例えば「第1プリカーサー表面吸着⇒余剰プリカーサー除去(排気)⇒第2プリカーサー表面吸着⇒余剰プリカーサー除去⇒第1、第2プリカーサー反応⇒不要反応生成物除去反応」の1サイクルで、理想的には所望の分子層1層が成膜される。プリカーサー(前駆体)種を1サイクル毎に変えれば、最小単位である分子層1層毎に異種の膜を連続性膜できる。
プリカーサーとしては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能であり、例えばTMA(トリメチルアルミニウム)、水、オゾン等を用いることができる。
また、本実施形態のALD法の条件としては例えば以下のようにする。圧縮応力を有する膜60としてシリコン酸化膜、引張応力を有する膜61としてアルミナ膜を適用する。シリコン酸化膜のプリカーサーとしては、SAM.24(HSi(N(C)とオゾン、アルミナ膜膜のプリカーサーとしては、TMAとオゾンを用い、300℃の真空中で交互に各プリカーサーをチャンバー内へ導入させる。
本実施形態では、振動板3の内訳として、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61をALD法で成膜している。本実施形態では、振動板3全体で所望の剛性をもたせて、極力撓まないようにするために、圧縮応力を有する膜60の張力(膜厚×応力)と、引張応力を有する膜61の張力との差分が0に近くなるように各膜厚を設定する。すなわち、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61とを交互に成膜して形成した本実施形態における振動板3は張力に偏りを有していない。
そして、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61の1層ずつ成膜したものを1単位として、振動板3を所望の膜厚(剛性)にするために複数単位の成膜を連続的に行い、振動板3内部で応力の偏りがほぼない振動板を形成する。
振動板3を形成した後、振動板3の上に共通電極10を成膜する。共通電極10としては、例えば、Tiを30nm、Ptを150nm厚でスパッタ法により成膜する。
(b)次に、共通電極10上に圧電体12としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を例えばスピンコート法で複数回に分けて成膜し、最終的に2μm厚で成膜する。その上に、個別電極11(上部電極)として例えばPtをスパッタ法で100nm成膜する。
ここで、圧電体12の成膜方法は、スピンコート法に限らず、例えばスパッタ法、イオンプレーティング法、エアーゾル法、ゾルゲル法、あるいはインクジェット法等などで成膜してもよい。
そして、リソエッチ法により、後に形成する加圧液室5に対応する位置に圧電体素子2を形成するため、個別電極11と圧電体12をパターニングする。その後、共通電極10をリソエッチ法でパターニングする。このとき、後に共通液室流路9となる箇所の共通電極10もパターニングする。
(c)次に、共通電極10、圧電体12と後に形成する引き出し配線40とを絶縁するために、層間絶縁膜45を成膜する。層間絶縁膜45は、例えばプラズマCVD法でSiO膜を成膜する。層間絶縁膜45としては、圧電体12や電極材料に影響を及ぼさず、絶縁性を有する膜であれば、プラズマCVD法によるSiO膜以外の膜でもよい。
次に、個別電極11と引き出し配線40とを接続する接続孔30をリソエッチ法で形成する。なお、ここでは図示していないが、共通電極10も引き出し配線40と接続する場合は、同様に接続孔を形成する。
(d)次に、引き出し配線40として、例えばTiN/Alを各々膜厚30nm/1μmをスパッタ法で成膜する。TiNは、接続孔30の底部で、個別電極11、あるいは共通電極10の材料であるPtが、引き出し配線40の材料であるAlと直接接することにより、後の工程による熱履歴で合金化し、体積変化によるストレスによる膜剥がれ等を防止するために、合金化を防ぐバリア層として適用している。また、後のサブフレーム基板200との接合部48となる箇所にも配線パターン42を形成する。
(e)次に、パッシベーション膜50として、例えばプラズマCVD法でシリコン窒化膜を1000nm厚で成膜する。
(f)その後、リソエッチ法で、引き出し配線40の引き出し配線パッド部41とアクチュエータ部(圧電体素子2部分)、及び共通液室流路9部分の開口も行う。
(g)次に、リソエッチ法により、共通液室流路9部分、後の共通液室8部分になる箇所の振動板3を除去する。なお、図示される(g)は(f)と同じである。
(h)次に、アクチュエータ部に対応した位置にザグリ67を形成したサブフレーム基板200とアクチュエータ基板100の接合部48を介して、接着剤で接合する。このとき、接着剤は、一般的な薄膜転写装置により、サブフレーム基板200側に厚さ1〜4μm程度塗布している。
そして、その後の加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7を形成するためにアクチュエータ基板100を所望の厚さt(例えば厚さ80μm)になるように、公知の技術で研磨する。研磨法以外にもエッチングなどでもよい。
(i)次に、リソグラフィ法により、加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7以外の隔壁部をレジストで被覆する。その後、アルカリ溶液(KOH溶液、あるいはTMHA溶液)で異方性ウェットエッチを行い、加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7を形成する。なお、アルカリ溶液による異方エッチ以外にICPエッチャーを用いたドライエッチで加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7を形成してもよい。
(j)次に、別に形成した各加圧液室5に対応した位置にノズル孔6を開口したノズル基板300を接合と液滴供給口66、アクチュエータ部の位置に対応したザグリ67を備えたサブフレーム基板200をアクチュエータ基板100に接合することにより、液体吐出ヘッド1が完成する。
このように、本発明ではALD法を用いることにより、成膜種を分子層毎に成膜できることから、振動板全体の応力バランスもレシピの変更のみで自由に制御することができる。また、引張応力を有する膜や圧縮応力を有する膜の膜厚、成膜順番、及び積層数を自由に設定することができ、振動板剛性、応力のバランス設定の自由度を高くすることができる。
従来品の振動板は、LP−CVD法で成膜したポリシリコン膜(圧縮応力を有する膜)、シリコン窒化膜(引張応力を有する膜)、シリコン酸化膜(圧縮応力を有する膜)の3種類の膜種を厚さ100nmから600nm程度で9層積層している(例えば特許文献3参照)。また、特許文献2では、引張応力を有する膜と圧縮応力を有する膜を交互に合計4層積層している。
一方、本実施形態では、ALD法で成膜した厚さ数nm〜数十nm程度の圧縮応力を有する膜と引張応力を有する膜を合計100層以上積層している。本発明では少なくとも2種類の膜を合計20層以上積層してなることを特徴としているが、合計で100層以上積層していることが好ましい。この場合、振動板の膜厚の均一性をより向上させることができ、振動板全体の応力バランスをより自由に制御することができる。
振動板の積層数がおおよそ20層以上の場合は、従来の方法、例えばLPCVD法で数nm〜数十nm厚の成膜は現実的ではない。本発明のように、2種の非常に薄い膜を均一性良く成膜するには、ALD法で成膜するのが現実的である。
積層数や膜厚については、振動板の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)、あるいはTEM(透過型電子顕微鏡)分析することにより観測し、測定することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の詳細について、さらにその他の実施形態を例に挙げて説明する。上記の実施形態と共通する事項については説明を省略する。
本実施形態における振動板3は、上記第1の実施形態と同様に、図4に示されるように圧縮応力を有する膜60と、引張応力を有する膜61は交互に成膜されている。
本実施形態と上記第1の実施形態との相違を説明する。
第1の実施形態では、圧縮応力を有する膜60の張力(膜厚×応力)と、引張応力を有する膜61の張力との差分が0に近くなるように各膜厚を設定している。すなわち、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61とを交互に成膜して形成した振動板3は張力に偏りを有していない。
一方、本実施形態では、圧縮応力を有する膜60の張力(膜厚×応力)と、引張応力を有する膜61の張力との差分が0から外れている。すなわち、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61とを交互に成膜して形成した振動板3は張力に偏りを有している。
加圧液室加工後の振動板の撓み量は、液体吐出特性に影響を与える。本実施形態では、圧縮応力を有する膜と引張応力を有する膜の膜厚や応力を調整することにより、振動板の張力を所望の範囲になるように調整し、形成した振動板が所望の液体吐出特性を有する形状になるようにする。これにより、振動板全体の応力を任意に変更できるため、振動板上の下部電極、圧電体、及び上部電極を含めて、加圧液室加工後の振動板の撓みの効果を最適化することができ、より安定した信頼性の高い液体吐出ヘッドを得ることができる。
このように、本発明ではALD法を用いることにより、成膜種を分子層毎に成膜できることから、振動板全体の応力バランスもレシピの変更のみで自由に制御することができる。また、引張応力を有する膜や圧縮応力を有する膜の膜厚、成膜順番、及び積層数を自由に設定することができ、振動板剛性、応力のバランス設定の自由度を高くすることができる。
なお、本実施形態において、圧縮応力を有する膜60及び引張応力を有する膜61の膜厚は、0.1nm以上50nm以下であることが好ましい。この場合、振動板の内部応力を厚さ方向に均一に分散できるため、振動板内の膜剥がれや割れがより抑制され、信頼性がより向上する。
(第3の実施形態)
次に、本発明の詳細について、さらにその他の実施形態を例に挙げ、図7、図8を用いて説明する。図7、図8は、振動板3の断面模式図を示す図である。上記の実施形態と共通する事項については説明を省略する。
上記第1の実施形態では、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61とをお互いの張力がほぼつり合うように膜厚を設定し、交互に所望の膜厚まで成膜している。
実際の液体吐出ヘッドでは、振動板3の上に成膜される共通電極10、圧電体12、及び個別電極11の膜が成膜される。これにより、これら振動板3の上に成膜された膜の応力の影響を受けて、加圧液室5を形成した後、振動板3が撓む場合がある。振動板3の撓みは、液体吐出の効率に影響を与えるため、加圧液室5を形成した後の振動板3の撓み方向を制御することが好ましい。
本実施形態では、圧縮応力を有する膜60及び引張応力を有する膜61のうち一方を加圧液室5側又は圧電体素子2側(圧力発生手段側)に偏らせて成膜する。この場合、振動板3の張力を調整することにより、加圧液室5を加工した後の振動板3撓みを制御することができる。また、圧縮応力を有する膜60、引張応力を有する膜61の膜厚を各々厚くでき、また圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61の界面が少なくなるので、異種膜間で剥がれるリスクが低減され、より安定で信頼性の高い液体吐出ヘッドを得ることができる。
また、圧縮応力を有する膜60及び引張応力を有する膜61のうち一方を加圧液室5側又は圧電体素子2側に偏らせて成膜することで、圧縮応力を有する膜60の張力と引張応力を有する膜61の張力とに差が生じることとなる。この張力差を利用して、振動板3全体を所望の方向(圧電体素子側又は加圧液室側)に撓ませることができる。
振動板3全体を所望の方向に撓ませるには、例えば、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61を1層ずつ成膜した時に張力差を生じるように膜厚を最適化し、この2層を1単位として、必要な振動板3の剛性が得られる膜厚まで連続成膜する。
例えば、図7に示されるように、圧電体素子2側に凸となるように振動板3を撓ませたい場合は、加圧液室5側に引張応力を有する膜61のみを連続成膜し、その後に圧縮応力を有する膜60を所望の膜厚まで連続成膜する。なお、図7では、振動板3の面方向中央に対して、加圧液室5側に引張応力が強くなるように分布をもたせている。
また、図8に示されるように、加圧液室5側に凸となるように振動板3を撓ませたい場合は、図7とは逆に圧電体素子2側に引張応力を有する膜61のみを連続成膜し、その後圧縮応力を有する膜60を所望の膜厚まで連続成膜する。なお、図8では、振動板3の面方向中央に対して、圧電体素子2側に引張応力が強くなるように分布をもたせている。
図7及び図8では、圧縮応力を有する膜60と引張応力を有する膜61の上下にシリコン酸化膜60aを形成している。この場合、シリコン酸化膜60aは圧縮応力を有する膜となるが、圧電体素子側は、下部電極層との密着性層、加圧液室側は、加圧液室加工のエッチングストップ層の目的で形成される。
本実施形態のようにすることにより、加圧液室5を形成後に積極的に振動板3の撓み量を制御できるため、第1の実施形態に比べて、更に高品質で、信頼性の高い液体吐出ヘッドを歩留りよく実現できる。
なお、本実施形態において、圧縮応力を有する膜60及び引張応力を有する膜61の膜厚は、0.1nm以上50nm以下であることが好ましい。この場合、振動板の内部応力を厚さ方向に均一に分散できるため、振動板内の膜剥がれや割れがより抑制され、信頼性がより向上する。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る液体吐出ユニット、液体を吐出する装置について説明する。本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図9及び図10を参照して説明する。図9は同装置の要部平面説明図、図10は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズル11からなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズル11が形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図11を参照して説明する。図11は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図12を参照して説明する。図12は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図10で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図11で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、図12で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
(第5の実施形態)
次に、液体を吐出する装置の一例として、インクジェット記録装置の例を挙げて、図13の斜視図と図14の機構部の構成を示す側面図を参照して説明する。
このインクジェット記録装置90は、装置本体の内部に走査方向に移動可能なキャリッジ98とキャリッジ98に搭載した液体吐出ヘッド1及び液体吐出ヘッド1へインクを供給するインクカートリッジ99等で構成される印字機構部91等を収納し、装置本体の下方部には前方側から多数枚の用紙92を積載可能な給紙カセット(あるいは給紙トレイでもよい)93を抜き差し自在に装着されている。また、用紙92を手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ94を有し、給紙カセット93あるいは手差しトレイ94から給送される用紙92を取り込み、印字機構部91によって所要の画像を記録した後、後面側の装着された排紙トレイ95に排紙する。
印字機後部91は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド96と従ガイドロッド97とキャリッジ98を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ98には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッド1を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ98には液体吐出ヘッドに各色のインクを供給するための各インクカートリッジ99を交換可能に装着している。
インクカートリッジ99は、上方に大気と連通する大気口、下方には液体吐出ヘッド1へインクを供給する供給口が設けられ、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液体吐出ヘッド1へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、液体吐出ヘッド1としては各色の液体吐出ヘッド1を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液出ヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ98は後方側(用紙搬送下流側)を主ガイドロッド96に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送上流側)を従ガイドロッド97に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ98を主走査方向に移動走査するため、主走査モーター101で回転駆動される駆動プーリ102と従動プーリ103との間にタイミングベルト104を張装し、このタイミングベルト104をキャリッジ98に固定しており、主走査モーター101の正逆回転によりキャリッジ98が往復駆動される。
一方、給紙カセット93にセットした用紙92を液体吐出ヘッド1に下方側に搬送するために、給紙カセット93から用紙92を分離給装する給紙ローラー105及びフリクションパッド106と、用紙92を案内するガイド部材107と、給紙された用紙92を反転させて搬送する搬送ローラー108と、この搬送ローラー108の周面に押し付けられる搬送コロ109及び搬送ローラー108からの用紙92の送り出し角度を規定する先端コロ110とを有する。搬送ローラー108は副走査モーターによってギア列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ98の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラー108から送り出された用紙92を液体吐出ヘッド1の下方側で案内するため用紙ガイド部材である印写受け部材111を設けている。この印写受け部材111の用紙搬送方向下流側には、用紙92を排紙方向へ送り出すための回転駆動される搬送コロ112と拍車113を設け、さらに用紙92を排紙トレイ95に送り出す排紙ローラー114と拍車115と排紙経路を形成するガイド部材116、117とを配設している。
このインクジェット記録装置90で記録時には、キャリッジ98を移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド1を駆動することにより、停止している用紙92にインクを吐出して1行分を記録し、その後、用紙92を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙92の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙92を排紙する。
また、キャリッジ98の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液体吐出ヘッドの吐出不良を回復するための回復装置118を配置している。回復装置118はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ98は印字待機中にはこの回復装置118側に移動されてキャッピン手段で液体吐出ヘッド1をキャッピングして吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係ないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出状態を維持する。
また、吐出不良が発生した場合等には、キャピング手段で液体吐出ヘッド1の吐出出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともの気泡等を吸出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置90においては本発明で製造された液体吐出ヘッド1を搭載しているので、安定したインク吐出特性が得られ、画像品質が向上する。前記説明ではインクジェット記録装置90に液体吐出ヘッド1を使用した場合について説明したが、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する装置に液体吐出ヘッド1を適用してもよい。
1 液体吐出ヘッド
2 圧電体素子
3 振動板
4 加圧液室隔壁
5 加圧液室
6 ノズル孔
7 流体抵抗部
8 共通液室
9 共通液室流路
10 共通電極
11 個別電極
12 圧電体
30 接続孔
40 引き出し配線
41 引き出し配線パッド
42 配線パターン
45 層間絶縁膜
47 駆動領域
48 接合部
50 パッシベーション膜
60 圧縮応力を有する膜
61 引張応力を有する膜
66 液滴供給口
67 ザグリ
90 インクジェット記録装置
98 キャリッジ
99 インクカートリッジ
91 印字機構部
92 用紙
93 給紙カセット
94 手差しトレイ
95 排紙トレイ
96 主ガイドロッド
97 従ガイドロッド
98 キャリッジ
99 インクカートリッジ
100 アクチュエータ基板
101 主走査モーター
102 駆動プーリ
103 従動プーリ
104 タイミングベルト
105 給紙ローラー
106 フリクションパッド
107 ガイド部材
108 搬送ローラー
109 搬送コロ
110 先端コロ
111 印写受け部材
112 搬送コロ
113、115 拍車
114 排紙ローラー
116、117 ガイド部材
118 回復装置
200 サブフレーム基板
300 ノズル基板
401 ガイド部材
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
405 主走査モータ
406 駆動プーリ
407 従動プーリ
408 タイミングベルト
410 用紙
412 搬送ベルト
413 搬送ローラ
414 テンションローラ
416 副走査モータ
417 タイミングベルト
418 タイミングプーリ
420 維持回復機構
421 キャップ部材
422 ワイパ部材
440 液体吐出ユニット
441 ヘッドタンク
442 カバー
443 コネクタ
444 流路部品
450 液体カートリッジ
451 カートリッジホルダ
452 送液ユニット
456 チューブ
491A、491B 側板
491C 背板
493 主走査移動機構
494 供給機構
495 搬送機構
特許第3888454号公報 特許第4067737号公報 特許第5618208号公報

Claims (12)

  1. ノズルと、該ノズルに連通する加圧液室と、該加圧液室の壁面の一部を構成する振動板と、該振動板を介して前記加圧液室の反対側に設けられ、かつ、前記加圧液室に圧力を発生させる圧力発生手段と、を有する液体吐出ヘッドであって、
    前記振動板は、少なくとも2種類の膜を合計20層以上積層してなることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記2種類の膜は、圧縮応力を有する膜と引張応力を有する膜であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記圧縮応力を有する膜と前記引張応力を有する膜は、交互に成膜されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記圧縮応力を有する膜と引張応力を有する膜とを交互に成膜された前記振動板は、張力に偏りを有していないことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記圧縮応力を有する膜と引張応力を有する膜とを交互に成膜された前記振動板は、張力に偏りを有することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記圧縮応力を有する膜及び前記引張応力を有する膜のうち一方が前記加圧液室側又は前記圧力発生手段側に偏って成膜されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記2種類の膜の膜厚は、0.1nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  8. ノズルと、該ノズルに連通する加圧液室と、該加圧液室の壁面の一部を構成する振動板と、該振動板を介して前記加圧液室の反対側に設けられ、かつ、前記加圧液室に圧力を発生させる圧力発生手段と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記振動板は、ALD法を用いて少なくとも2種類の膜を積層させて形成することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記2種類の膜は、圧縮応力を有する膜と、引張応力を有する膜であり、合計20層以上積層させることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液体吐出ユニット。
  11. 前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化したことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ユニット。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項10若しくは11に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。

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