JP5471646B2 - 液体吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
液体吐出ヘッドとしては、インク滴を吐出する複数の並列されたノズルに個別に対応して配置された複数の個別流路(加圧液室、圧力室などともいう。)内のインクを加圧する圧力を発生するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子などで構成される圧電アクチュエータを用いたもの、発熱抵抗体などで構成されるサーマルアクチュエータを用いたもの、静電力を発生する静電アクチュエータを用いたものなどが知られている。
液体吐出ヘッドは、ノズルからインクを液滴として吐出させるため、ノズルが形成されるノズル基材の液滴吐出側表面、即ちノズル板の用紙に対向する側の表面(これを、「吐出面」あるいは「ノズル形成面」という。)の表面特性が滴吐出特性に大きな影響を与える。例えば、ノズルの周辺部にインクが付着すると、液滴吐出方向が定まらないほか、付着したインクが固化してノズル径が縮小して液滴吐出量(液滴の大きさ)が減少したり、あるいは液滴吐出速度が不安定になる等の不具合が生じる。そのため、一般に、ノズル形成面の表面に撥水層(撥液層、撥インク層などともいう。)を形成し、ノズル周辺部のインクの付着を防止することにより液滴吐出特性を向上することが行われている。
一方、画像形成装置では、液体吐出ヘッドのノズルの目詰まり防止のために所要のタイミングでヘッドの維持回復を行う維持回復機構を備え、ヘッドのノズル形成面をワイパー部材で払拭して(ワイピングして)清浄化するようにしているため、ヘッドの撥水層は耐ワイピング性が求められる。
従来の液体吐出ヘッドとして、SiO膜をノズル板の液室面、吐出面及びノズル孔内壁を含む全面に成膜したものがある。
特開2006−44226号公報
ところで、最近の画像形成装置にあっては、画像解像度の向上を目的とし、浸透性の高いインク(高浸透性インク)が使用されるようになっている。この高浸透性インクは、その表面張力の低さから非常に濡れやすく、ノズル板の吐出面(ノズル形成面)を汚しやすい。また、上述したように、ワイピングによるノズル形成面の摺擦が装置本体の数年に及ぶ寿命期間内に何度も実施されるため、物理的摩擦に対し撥水膜は高耐久性である必要がある。
そこで、撥水材料として、主鎖あるいは複数の側鎖にフッ素系化合物を使用した比較的大きな分子であるオリゴマーないしはポリマーを用いて撥水膜を形成することで、撥水膜の撥水性の向上と耐久性の向上を図ることができる。なお、耐久性をより向上させるために、ノズル基材の表面にSiO膜を成膜し、このSiO表面のシラノール基に対し密着性を持たせるために分子内にアルコキシシランを有する撥水材料がしばしば利用される。
このような撥水材料によって撥水膜を成膜する場合、撥水材料を溶媒に希釈してディッピングする成膜方法が一般的であるが、近年、比較的低い分子量であることを利用して蒸着を用いた成膜がされるようになっている。蒸着による成膜は分子密度を高く成膜できるため高耐久の膜が得られる。
ところが、安定した吐出性能を得るには、ノズル内壁の親水化が必要であるが、蒸着による成膜ではノズル孔内に回った分子によりノズル内壁が撥水化してしまうことになる。
また、接液性の確保の観点から液室面にSiOが成膜された場合、ノズル内壁にもSiOが成膜されるため、上述したノズル孔内壁に付着した撥水材料の除去が困難となり、安定したメニスカスを形成できないため不吐出や吐出曲がり(吐出不良)が生じやすいという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ノズル孔内壁面の撥水材料の除去を容易に行なうことができるようにして、吐出不良や液体充填性を損なうことがないようにすること目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
ノズル基材の液室面から吐出面にかけてラウンド状に収縮する形状にノズル孔が形成されたノズル板を有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記液室面には、SiO膜が成膜され、
前記吐出面には、下地層、SiO膜、分子内にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテル膜の順にノズル基材表面から成膜されており、
前記ノズル孔の内壁の出口近傍には、前記液室面に形成されたSiO2膜の上に前記下地層が吐出面から連続して成膜されており、かつ、前記下地層が最表面に露出し
前記下地層はTi層である
構成とした。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えたものである。
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、ノズル孔内壁面の撥水材料の除去を容易に行なうことができるようにして、吐出不良や液体充填性を損なうことがないようにすることができる。
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、安定した滴吐出を行うことができて、安定した画像形成を行うことができる。
本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す分解斜視図である。 同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。 同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。 本発明に係るノズル板の平面説明図である。 同じく断面説明図である。 同じく1つのノズル部分の拡大断面説明図である。 同ヘッドの製造工程の説明に供する説明図である。 本発明に係る画像形成装置の一例の機構部の全体構成を説明する概略構成図である。 同機構部の要部平面説明図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図3は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、流路板(液室基板、流路部材)1と、この流路板1の下面に接合した振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル形成部材であるノズル板3とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル孔4がそれぞれノズル連通路5を介して連通する個別流路としての複数の液室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6と連通する連通部8を形成し、連通部8に振動板部材2に形成した供給口9を介して後述するフレーム部材17に形成した共通液室10からインクを供給する。
流路板1は、シリコン基板をエッチングして連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7などの開口をそれぞれ形成している。なお、流路板1は、例えば、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで形成することもできる。
振動板部材2は各液室6に対応してその壁面を形成する各振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、振動領域2aの面外側(液室6と反対面側)に島状凸部2bが設けられ、この島状凸部2bに振動領域2aを変形させ、液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての積層型圧電素子12、12の各圧電素子柱12Aの上端面(接合面)を接合している。また、積層型圧電素子12の下端面はベース部材13に接合している。
ここで、圧電素子12は、PZTなどの圧電材料層21と内部電極22a、22bとを交互に積層したものであり、内部電極22a、22bをそれぞれ端面、即ち圧電素子12の振動板2に略垂直な側面に引き出して、この側面に形成された端面電極(外部電極)23a、23bに接続し、端面電極(外部電極)23a、23bに電圧を印加することで積層方向の変位を生じる。この圧電素子12は、ハーフカットダイシングによる溝加工を施して1つの圧電素子部材に対して所要数の圧電素子柱12A、12Bを形成したものである。
なお、圧電素子12の圧電素子柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電素子柱を圧電素子柱12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電素子柱を圧電素子柱12Bとして区別している。この場合、図3に示すように、駆動用圧電素子柱12Aと支柱用圧電素子柱12Bとを交互に使用するバイピッチ構成でも、あるいは、すべての圧電素子柱を駆動用圧電素子柱12Aとして使用するノーマルピッチ構成のいずれでも採用できる。
これにより、ベース部材13上に駆動素子としての複数の駆動用圧電素子柱12Aが並べて配置された駆動素子列(駆動用圧電素子柱12Aの列)が2列設けられた構成としている。
また、積層型圧電素子12の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室6内インクを加圧する構成としているが、積層型圧電素子12の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室6内のインクを加圧する構成とすることもできる。
また、圧電素子として用いる材料についても本実施例に限られるものでなく、一般に圧電素子材料として用いられるBaTiO3、PbTiO3、(NaK)NbO3等の強誘電体などの電気機械変換素子を用いることもできる。さらに、圧電素子に積層型のものを用いているが、単板の圧電素子を用いても良い。単板の圧電素子としては切削加工したものや、スクリーン印刷して焼結した厚膜のものや、スパッタや蒸着、或いはゾルゲル法により形成する薄膜のものでも良い。また、1つのベース部材13に設けられる積層型圧電素子12は1列としても、複数列設けられた構造としてもよい。
そして、圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aの外部電極23aには駆動信号を与えるために半田部材で配線手段としてのFPC15を直接接続し、このFPC15には圧電素子12の各駆動用圧電素子柱12Aに対して選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)16が実装されている。なお、すべての圧電素子柱12Aの外部電極23bは電気的に共通に接続されてFPC15の共通配線に同じく半田部材で接続される。また、ここでは、FPC15の圧電素子12と接合される出力端子部には半田メッキが施されており、半田接合を可能にしているが、FPC15ではなく圧電素子12側に半田メッキを施しても良い。また、接合方法についても半田接合の他に異方導電性膜による接合やワイヤボンディングを用いることもできる
ノズル板3は、各液室6に対応して直径10〜35μmのノズル孔4を構成する孔部が形成されたノズル基材31の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面、ノズル形成面)に撥水層32を形成して構成している。
また、FPC15を実装した(接続した)圧電素子12及びベース部材13などで構成される圧電型アクチュエータユニット100の外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。そして、このフレーム部材17には前述した共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部からインクを供給するための供給口19を形成し、この供給口19は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動用圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子柱12Aが収縮し、振動板部材2の振動領域2aが下降して液室6の容積が膨張することで、液室6内にインクが流入し、その後圧電素子柱12Aに印加する電圧を上げて圧電素子柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材2をノズル孔4方向に変形させて液室6の容積/体積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル孔4からインク滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2が初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル孔4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
次に、本発明に係るノズル板3の詳細について図4ないし図6を参照して説明する。なお、図4は同ノズル板の平面説明図、図5は同じく断面説明図、図6は1つのノズル部分の拡大断面説明図である。
ノズル板3は、例えばNi金属プレートからなるノズル基材31の吐出面31aに、下地層としてのTi層33、SiO膜34及び分子内にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテル膜(この膜を「撥水膜」という。)32の順にノズル基材31表面から成膜されている。そして、ノズル孔4の内壁面4aの出口近傍には、ノズル基材31の液室面31bに形成されたSiO膜35の上に下地層(Ti層)33が吐出面から連続して成膜されており、かつ、下地層(Ti層)33が最表面に露出している。
なお、ノズル基材31としては、Ni金属プレートで説明しているが、これに限るものではない。
ここで、ノズル板3の撥水層32は蒸着によって形成し、ノズル孔4の内壁面の出口近傍には撥水層32を形成する蒸着膜は形成されていない。これにより吐出不良や液体充填性を損なうことがなく、安定した滴吐出を行うことができる。
なお、ここでノズル孔4の内壁面4aの出口近傍とは、ノズル孔4の中心軸Oと、中心軸Oと同一平面上にあるノズル孔内壁の接線とのなす角が45度以下である領域であることが好ましい。なぜなら、45度以上の領域(吐出面に対して平行に近い領域)では後述する液室面からのプラズマ処理により蒸着膜の除去を比較的容易に行なえるのに対し、45度以下(吐出面に対して垂直に近い領域)では、酸素プラズマによる除去が困難であるためである。したがって、少なくともこの領域は下地層が露出した構成とすることが好ましい。
そこで、上述した液体吐出ヘッドの製造工程について図7を参照して説明する。なお、図7は同製造工程の説明に供する説明図である。
まず、図7(a)に示すように、Ni金属プレートからなるノズル基材31の液室面31bにSiO膜35をコーティングし、次いで、ノズル基材31の吐出面31aに下地層(Ti層)33をコーティングする。
次いで、図7(b)に示すように、ノズル基材31の吐出面31aにSiO膜34を成膜する。このとき、ノズル孔4の内壁面4aの出口近傍では、吐出面31aから成膜した下地層33が露出するようにSiO膜34を成膜する。
その後、図7(c)に示すように、ノズル基材31の吐出面31aから撥水膜32を蒸着により成膜する。このとき、撥水膜32の一部はノズル孔4の内壁面4aの出口近傍まで回り込む。
次いで、図7(d)に示すように、酸素プラズマによりノズル孔4の内壁面4aに回り込んだ撥水膜32を除去する。このとき、ノズル孔4の内壁面4aに回り込んだ撥水膜32は指向性のあるラジカル、イオンにより叩かれて除去可能となる。このとき、ラウンド形状の内壁面のうちノズル孔4出口から離れた部位は、プラズマ照射方向に対して垂直に近い面となるため、プラズマの効果が有効に働き容易に除去可能となる。一方、ノズル孔4出口近傍部は、回り込んだ撥水膜32の下地はSiO膜35ではなく下地層33であることから、分子内のアルコキシシランがノズル基材表面と強固に結びつくことなく容易に除去可能であり、ノズル孔4の内壁面の撥水膜32を除去して親水化することができる。
このように形成されたノズル基材31は内壁に撥水膜の残りがなく、吐出が安定するとともに、液体に対する接液性も良好となる。なぜなら、内壁面にはSiO層が形成されており、たとえ下地層がなくなったとしてもこのSiO層が接液性を担保するためである。
なお、ここでは、SiO層35の厚みは100nm、下地層33の厚みは10nm、SiO層34の厚みは100nm、撥水層32の厚みは10nmとした。
ここで、SiO層34の成膜は、例えば、(1)SiOを真空中で蒸発させ基板に薄膜形成する。または、Siを蒸発させ酸素プラズマ中を通過させて誘電体を基板上で形成する真空蒸着法、(2)SiOをターゲット材料としてArプラズマなどで原子やクラスターをたたき出し基板上に薄膜形成する酸化物スパッタリング法、(3)Siターゲットを原料とし、酸素を含む反応性ガスで参加しながら基板上に薄膜形成する反応性スパッタリング法、(4)基板を回転しながら、Siターゲットでのスパッタ−金属薄膜形成と異なるゾーンでの酸化を繰り返し実施しSiO薄膜を形成するメタモードスパッタリング法、などが挙げられる。このとき、成膜不要領域にはマスクを施してもよいし、一度成膜したあとに除去してもよい。
また、撥水膜32は、オプツールDSX(ダイキン工業社製)を蒸着法で成膜した。蒸着法においては、蒸着の条件は、オプツールDSX原液をロータリーポンプにより10−1Pa程度まで減圧し、その状態で室温から徐々に約450℃まで昇温させることで蒸着している。オプツールDSXは下地のSiO層34に対し、余剰分が干渉縞として観察される程度に過剰に蒸着し、およそ70℃で10分間加熱乾燥処理を施すことで蒸着膜を得た。
また、撥水膜32の除去は、吐出面側にイクロステープ(三井化学社製)でラミネート保護し、PDC-510(ヤマト科学社製)にて液室面から酸素プラズマで50[sccm]・1分間、逆スパッタすることで、液室面及びノズル孔内壁面に付着した撥水膜32を除去した。
その後、図示しないが、上述したようにして得られたノズル板3と流路板1とを150〜400℃で加熱・加圧接合する。加圧・加熱接合の際、流路内を正圧にし、流路板1からノズル板3に向かって気流を発生させることで、加熱時に流路内に蒸発或いは拡散した撥水材料が再付着しないようにしている。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える画像形成装置の一例について図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図9は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク235a、235b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ36を介して、各色のインクカートリッジ210k、210c、210m、210yから各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288を配置し、このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド247で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、液滴吐出特性が安定し、安定して高画質画像を形成することができる。
1 流路部材(流路板)
2 振動板部材
3 ノズル板(ノズル形成部材)
4 ノズル
6 液室
12 圧電素子部材
31 ノズル基材
32 撥水膜
33 Ti層(下地層)
34 吐出面側のSiO
35 液室面側のSiO
233 キャリッジ
234、411 記録ヘッド

Claims (3)

  1. ノズル基材の液室面から吐出面にかけてラウンド状に収縮する形状にノズル孔が形成されたノズル板を有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記液室面には、SiO膜が成膜され、
    前記吐出面には、下地層、SiO膜、分子内にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテル膜の順にノズル基材表面から成膜されており、
    前記ノズル孔の内壁の出口近傍には、前記液室面に形成されたSiO2膜の上に前記下地層が吐出面から連続して成膜されており、かつ、前記下地層が最表面に露出し
    前記下地層はTi層である
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記出口近傍がノズル孔の中心軸と、前記中心軸と同一平面上にあるノズル孔内壁の接線とのなす角が45度以下である領域であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
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