JP2013193445A - 液滴吐出装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出液の充填動作時にフィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に気泡が残留することを抑制できる液滴吐出装置及びこの液滴吐出装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】初期充填動作で、負圧発生手段によってキャッピング空間350aに発生させる負圧として、振動板フィルタ60の供給孔60aに対して空気は通過させることができるが、インクは通過させることできない吸引力を作用させる初期負圧P1を所定時間発生させた後に、供給孔60aに対してインクを通過させることができる吸引力を作用させる高速充填負圧P2を発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置、及び、これを用いて各ノズルから記録材に対して液滴を吐出して画像を形成する画像形成装置に関するものである。
この種の液滴吐出装置は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置のインク吐出機構として用いられる。ここでいう画像形成装置は、記録材上に画像を形成するものであるが、その記録材の材質は紙に限定されるものではなく、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等のあらゆる記録材に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。そして、画像形成とは、文字や図形等の意味を持つ画像を記録材に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を記録材に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。また、液滴として吐出される液体は、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。
画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置におけるインク吐出ヘッドは、インク滴を吐出する吐出孔と、この吐出孔によって外部と連通し、且つ、インク滴となるインクを収容する吐出液室と、この吐出液室内のインクを加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを備える。そして、圧力発生手段を駆動することで吐出液室内のインクを加圧して吐出孔からインク滴を吐出させる。このようなインクジェット記録装置としては、記録の必要なときにのみインク滴を吐出するインク・オン・デマンド方式のものが主流である。
また、このようなインクジェット記録装置では、インク吐出ヘッドに供給するインクを収容するインクカートリッジが装置本体に対して着脱可能となっており、インクカートリッジ交換後には、インク吐出ヘッド内にインクを充填する充填動作が実施される。充填動作を行う際は、インク吐出ヘッドにおける吐出孔が形成されたヘッド面をキャッピング部材によって密閉し、この密閉したヘッド面の吐出孔に対して、負圧発生手段である吸引ポンプによって負圧を作用させる。これにより、インク吐出ヘッド内の流路等を介して吐出孔と連通しているインクカートリッジ内のインクを吸引し、インク吐出ヘッド内の流路にインクを充填することができる。
また、インク吐出ヘッドの吐出孔は数十[μm]の大きさの非常に小さい内径で形成されており、インクカートリッジ交換時等にインク吐出ヘッド内に混入した異物が吐出液室に混入すると異物が吐出孔に詰まり吐出不良の原因となる。インク吐出ヘッドは近年の高速化への対応として吐出孔数の増加が求められ、吐出孔の大きさもより小さくなっているため、異物が吐出孔に詰まる可能性が高まっている。このため、異物が吐出液室に混入することを防止する異物除去手段の必要性は益々高まっている。
このような異物除去手段としてのフィルタ部を設けたインク吐出ヘッドを備えたインクジェット記録装置として、特許文献1や特許文献2に記載されたものがある。
特許文献1のインクジェット記録装置は、インク吐出ヘッドを備えた装置本体側のインクカートリッジとの接続部(インク供給針)内の流路と、装置本体(ヘッドケース)内の流路との境目にフィルタ部を設けたものである。このようなフィルタ部を設けることで、インクカートリッジ交換時に接続部から異物が混入してもインク吐出ヘッド内に到達することを防止でき、異物が吐出液室に混入することを防止できる。
しかし、特許文献1のインクジェット記録装置では、インクカートリッジとの接続部とインク吐出ヘッドとを備える機構の組立時に、フィルタ部よりも下流側の装置本体内の流路やインク吐出ヘッド内の流路に異物が混入すると、その異物が吐出液室に混入することを防止できない。詳しくは、インク吐出ヘッド内の流路の装置本体と連通する側は、インク吐出ヘッドを装置本体(ヘッドケース)に取り付けられるまでの間は開放された状態となっている。また、装置本体のフィルタ部よりも下流側の流路もフィルタ部及びインク吐出ヘッドが取り付けられるまでの間は開放された状態となっている。これらの流路は組み付けが完了した状態では、フィルタ部よりも下流側の流路となり、異物が混入すると吐出液室に異物が混入することを防止できない。
特許文献2のインクジェット記録装置は、吐出孔形成板、液室基板及び振動板を積層して構成され、液室基板と振動板とが積層されることで吐出液室と、複数の吐出液室と連通し、各吐出液室に供給する吐出液が通過する共通流路とが形成される。そして、共通流路の途中にフィルタ部を設けている。このような位置にフィルタ部を設けることで、インク吐出ヘッドを作成後はインク吐出ヘッド内の共通流路の装置本体と連通する側は、フィルタ部を設けた位置よりも上流側となる。また、インク吐出ヘッドとインクカートリッジとの間の装置本体内の流路も上述した機構を組み立てた後は共通流路よりも上流側となる。
このため、インク吐出ヘッドを作成してしまえば、その後の、組み付け工程完了前に、開放された状態のインク吐出ヘッド内の共通流路の装置本体と連通する側や、装置本体内の流路に異物が混入したとしても、これらの流路は組み付け完了後にはフィルタ部よりも上流側となる。フィルタ部よりも上流側の流路に異物が混入しても、組み付け後は、共通流路内に設けられたフィルタ部により、異物が共通流路よりも下流側にある吐出液室に混入することを防止できる。すなわち、インク吐出ヘッド内の共通流路を含めた吐出液室の入口よりも上流側の流路にフィルタ部を設けることにより、吐出液室に混入することを防止できる。
しかしながら、吐出液室の入口よりも上流側にフィルタ部を設けた構成では、インクカートリッジ交換後等にインク吐出ヘッド内にインクを充填する充填動作の際、フィルタ部よりも上流側のインク吐出ヘッドの流路内をインクで満たしきれず、気泡が残ることがあった。これは、以下の理由によるものと考えられる。
インク吐出ヘッドの流路内にインクが充填されてない状態から吸引ポンプを高出力で駆動し、吐出孔に大きな負圧を作用させると、フィルタ部の上流側でフィルタ部に隣接する流路内にインクが勢い良く流れ込み、フィルタ部の表面に到達する。ここで、フィルタ部の孔は内径が小さいため、流体抵抗が大きく、その表面に到達したインクは孔を通過し難く、その表面に沿って拡がっていき、フィルタ部より上流側のインク吐出ヘッドの流路内の空気を排出しきる前にフィルタ部の表面上にインクの液層を形成する。フィルタ表面上に液層が形成されると、空気はフィルタ部を通過できなくなり、フィルタ部よりも上流側で気泡を形成する。この気泡は液層を通過して流れないと吐出孔から排出されないので、一度形成されると排出され難く、充填動作が終了してもフィルタ部よりも上流側の流路内に気泡が残った状態となり易い。
フィルタ部よりも上流側の流路内に気泡が残ったままの状態でインク滴の吐出動作を行うと、この気泡が吐出液室に向かって供給されるインクとともにフィルタ部を通過して吐出液室に混入するおそれがある。吐出液室に気泡が混入すると、インク滴を吐出するために圧力発生手段が発生させた圧力変化を気泡が吸収して、所望のインク滴を吐出することが出来なくなる、という不具合が生じるおそれがある。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、吐出液の充填動作時にフィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に気泡が残留することを抑制できる液滴吐出装置及びこの液滴吐出装置を備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構と、複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、該共通流路と該吐出液室との間の流路に配置された複数の孔を有するフィルタ部と、を備えた液滴吐出ヘッドと、該液供給口から該液滴吐出ヘッド内に供給する吐出液を収容する吐出液収容部と、該液滴吐出ヘッドにおける該吐出孔が形成された吐出孔面側から該吐出孔に対して負圧を作用させる負圧発生手段とを備える液滴吐出装置において、上記液滴吐出ヘッド内に吐出液が充填されていない状態から、上記負圧発生手段によって上記吐出孔に対して負圧を作用させることにより、上記吐出液室及び上記共通流路を介して上記液供給口から上記吐出液収容部に負圧を作用させ、該吐出液収容部内の吐出液を該液滴吐出ヘッド内に充填させる充填動作を行う際に、該負圧発生手段は、上記フィルタ部の孔に対して気体は通過させることができるが、吐出液は通過させることできない吸引力を作用させる第一負圧を所定時間発生させた後に、該フィルタ部の孔に対して吐出液を通過させることができる吸引力を作用させる第二負圧を発生させることを特徴とするものである。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、充填動作の初期は、吐出液室にまで吐出液を充填し得る負圧よりも小さな負圧を負圧発生手段で発生させて、吐出液をフィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内にゆっくりと充填することで、フィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に気泡が残留することを抑制できることを見出した。
そして、上述した小さな負圧として、本願請求項1の第一負圧のように、フィルタ部の孔に対して気体は通過させることができるが、吐出液は通過させることできない吸引力を作用させる負圧を所定時間発生させることで、気泡がほとんど残留しない状態でフィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に吐出液を充填することが出来た。その後、フィルタ部の孔に対して吐出液を通過させることができる吸引力を作用させる第二負圧を発生させることで、フィルタ部よりも上流側の流路内に気泡が残留することを抑制した状態で吐出液室にも吐出液を充填することができる。
本発明によれば、吐出液の充填動作時にフィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に気泡が残留することを抑制できるという優れた効果がある。
実施形態の構成において、キャッピング空間内に初期負圧が発生している状態の記録ヘッドとキャッピング部材との模式図。 インクジェットプリンタの概略斜視図。 インクジェットプリンタの概略断面図。 液滴吐出ヘッドの分解斜視図、(a)はノズル基板の説明図、(b)は液室基板の説明図、(c)は保護基板の説明図。 液滴吐出ヘッドの断面説明図、(a)は、図4中のX−X’断面に対応する断面説明図、(b)は、図4に示したY−Y’断面に対応する断面説明図。 記録ヘッドの圧電アクチュエータの部分平面図。 本実施形態の記録ヘッドの製造工程を示す工程断面図。 本実施形態の記録ヘッドの製造工程の図7以降の工程を示す工程断面図。 主要部分に対して上部層を接合した状態の記録ヘッドの断面説明図。 記録ヘッドの上部層の斜視図。 フレームに対する記録ヘッドの接合状態を示す斜視説明図。 維持機構の説明図。 パルスモータに加える単位時間当たりのパルス数及びキャップ内圧力と経過時間との関係を示すグラフ。 共通液室の高さ方向で、端部に向かって絞る構成とした記録ヘッドの説明図。 変形例1における、パルスモータに加える単位時間当たりのパルス数及びキャップ内圧力と経過時間との関係を示すグラフ。 変形例2の構成において、キャッピング空間内に初期負圧が発生している状態の記録ヘッドとキャッピング部材との模式図。 変形例3の構成において、キャッピング空間内に初期負圧が発生している状態の記録ヘッドとキャッピング部材との模式図。 図1に示す記録ヘッドの共通液室に気泡が発生した状態を示す模式図。 図14に示す記録ヘッドの共通液室に気泡が発生した状態を示す模式図。
以下、本発明を適用可能な画像形成装置の一実施形態として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ100)について説明する。
まず、プリンタ100の基本的な構成について説明する。図2は、プリンタ100の斜視図であり、図3は、プリンタ100主走査方向の図2中の手前側から見たときのインクカートリッジ102を含む断面における概略断面図である。
プリンタ100は、キャリッジ101と、記録ヘッド51と、インクカートリッジ102とを含んで構成される印字機構部103を本体内部に有している。キャリッジ101は、プリンタ100本体内部において、用紙Sの搬送方向に対して直交方向である主走査方向に移動可能な部材である。記録ヘッド51は、キャリッジ101に搭載した液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドであり、インクカートリッジ102は後述する記録ヘッド51にタンク部102a内のインクを供給する。
図3に示すように、プリンタ100は、印字機構部103の下方に給紙機構部104を有している。プリンタ100は、詳細は後述するが、給紙機構部104の給紙トレイ230または手差しトレイ105から給送される用紙Sを取り込み、印字機構部103によって所定の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ106に排紙する。
記録ヘッド51は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のインクを吐出するインク吐出ヘッドであり、複数のインク吐出孔(後述する「ノズル孔20」)を、主走査方向(図2中の矢印A方向、図3中の紙面に直交する方向)に対して直交する方向(図中の矢印B方向)に配列している。また、記録ヘッド51は、インクの吐出方向が下方となるようにキャリッジ101に装着されている。
また、印字機構部103のキャリッジ101には、記録ヘッド51に供給するためのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び、ブラック(B)の各色のインクを収容した四つのインクカートリッジ102がそれぞれ交換可能に装着されている。
インクカートリッジ102のタンク部102aの上方(図3中の上方)には、大気と連通する不図示の大気口が備えられている。また、タンク部102aの下方には、タンク部102a内のインクを記録ヘッド51に向けて排出するインク排出口102bが設けられている。さらに、タンク部102aの内部には、インクが充填された不図示の多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により記録ヘッド51へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。
記録ヘッド51としては、本実施形態では、各色に対応した複数のヘッド部を用いる構成となっているが、各色のインクを吐出するノズル孔を有する一個のヘッド部でもよい。
印字機構部103はキャリッジ101を保持する保持手段として、プリンタ100本体の主走査方向の両側面板(100a及び100b)に横架したガイド部材として、主ガイドロッド107と従ガイドロッド108とを有する。主ガイドロッド107は、キャリッジ101の後方側(用紙搬送方向下流側、図3中の右側)を貫通する。また、従ガイドロッド108は、主ガイドロッド107と一定間隔をおいて並行に延在し、キャリッジ101の前方側(用紙搬送方向上流側、図3中の左側)が載置される。キャリッジ101は、主ガイドロッド107及び従ガイドロッド108によって主走査方向に移動可能なように摺動自在に保持されている。
また、印字機構部103は、キャリッジ101を主走査方向に移動走査するための移動手段として、タイミングベルト112と、タイミングベルト112を張架する駆動プーリ110及び従動プーリ111と、駆動プーリ110を回転駆動する主走査モータ109とを有している。図2に示すように、駆動プーリ110はプリンタ100本体の一方の側面板(100b)側に配置し、従動プーリ111は、本体の他方の側面板(100a)側に配置して、タイミングベルト112が主走査方向に平行に延在するようにしている。また、タイミングベルト112にはキャリッジ101が固定されている。
主走査モータ109は、駆動プーリ110を正逆回転させる駆動源であり、駆動プーリ110が回転すると、タイミングベルト112が主走査方向に無端移動する。キャリッジ101は、タイミングベルト112に固定されているため、タイミングベルト112とともに主走査方向に移動する。このため、主走査モータ109によって駆動プーリ110を正逆回転させることで、キャリッジ101が主走査方向に往復移動される。
一方、給紙機構部104には、用紙Sを積載した給紙トレイ230と、給紙ローラ113と、フリクションパッド114と、ガイド部材115と、搬送ローラ116とを備えている。給紙トレイ230は、図3中の右側から複数枚の用紙Sの束を積載可能となっており、プリンタ100本体に対して着脱可能に装着されている。
給紙ローラ113及びフリクションパッド114は、用紙Sを、記録ヘッド51の下方に搬送するために、給紙トレイ230内にセットした用紙Sの束の最上段の一枚を分離給紙する。ガイド部材115は、給紙トレイ230から分離給紙された用紙Sを搬送ローラ116によって搬送される領域に案内する。
搬送ローラ116は、給紙ローラ113によって給紙され、ガイド部材115によって案内された用紙Sを、反転させて記録ヘッド51の下面と対向する位置に搬送する。また、搬送ローラ116の周囲には、搬送コロ117及び先端コロ118が配置されている。搬送コロ117は用紙Sを搬送ローラ116に押し付けて、用紙Sが搬送ローラ116から分離することを防止している。先端コロ118は、記録ヘッド51の下面と対向する位置に所定の送り出し角度で用紙Sを送り出す。搬送ローラ116は、副走査モータ130によって不図示のギヤ列を介して回転駆動が伝達され、図3中の時計周り方向に回転する。
記録ヘッド51の下面と対向する位置には、キャリッジ101の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ116から送り出された用紙Sを記録ヘッド51の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材119が設けられている。この印写受け部材119の用紙搬送方向下流側には、用紙Sを排出方向に送り出すための排出ローラ120と、排出ローラ120に対向する排出拍車121とが配置されている。さらに、排出ローラ120によって送り出された用紙Sを排紙トレイ106に排出する排紙ローラ123と排紙ローラ123に対向する排紙拍車124とを備えている。また、排出ローラ120と排紙ローラ123との間には、排紙経路を形成する一対のガイド部材として下ガイド部材125及び上ガイド部材126が配設されている。
また、プリンタ100には、手差しで用紙Sを給紙するための手差しトレイ105が設けられており、手差しトレイ105は、トレイ開閉軸105bを中心にプリンタ100本体に対して開倒可能に取り付けられている。この手差しトレイ105上の用紙Sは、手差し給紙ローラ105aによって搬送ローラ116に搬送される。
印字機構部103における主走査方向のキャリッジ101の移動範囲の一端である、図2中の右手前側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド51の吐出不良を回復するための回復装置127を配置している。回復装置127は、後述するキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とを有している。キャリッジ101は、印字待機中にはこの回復装置127側に移動されて不図示のキャッピング手段で記録ヘッド51をキャッピングされ、ノズル孔が湿潤状態に保たれることによりインク乾燥による吐出不良を防止する構成となっている。また、記録途中などに回復装置127と対向する位置にキャリッジ101を移動させ、記録とは関係しないインクを吐出することにより、全てのノズル孔のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持することができる。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド51下面のノズル孔を密封し、キャッピング手段に設けられた不図示のチューブを通して、吸引手段でノズル孔からインクとともに気泡等を吸い出す。さらに、ノズル孔が開口しているヘッド面(下面)に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され、吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、プリンタ100本体下部に設置された不図示の廃インクタンクに排出され、廃インクタンク内部のインク吸収体に吸収保持される。
次に、プリンタ100のプリント動作について説明する。
プリンタ100は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から画像情報などの信号が送られ、プリント動作を実行する。プリント動作が実行されると、給紙トレイ230から給紙ローラ113によって、または、手差しトレイ105から手差し給紙ローラ105aによって、用紙Sが給紙される。給紙トレイ230から給紙された用紙Sは、ガイド部材115や搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されつつ反転し、記録ヘッド51と対向する位置に搬送される。一方、手差しトレイ105から供給された用紙Sは、搬送コロ117に案内されて、搬送ローラ116に搬送されて記録ヘッド51と対向する位置に搬送される。
記録ヘッド51に対向する位置に搬送された用紙Sが所定位置に達したら、搬送ローラ116の回転を停止して用紙Sの移動を停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら、停止した用紙Sの所定箇所に所定のインクを吐出して一行分の画像を用紙Sに形成する。ここで、一行とは、記録ヘッド51が用紙Sへ記録可能な副走査方向(記録ヘッド51に対向する位置での用紙Sの移動方向)の範囲を言う。
主走査方向に一行分の画像形成が終了したら、搬送ローラ116を所定時間回転させ、用紙Sを一行分、排紙トレイ106方向に移動させて停止する。そして、キャリッジ101が画像信号に応じて主走査方向に往復移動しながら一行分の画像を形成する。
このような工程を所定回数繰り返して行い、用紙Sに所望の画像をプリントする。外部装置から記録終了信号を受信して所望の画像がプリントされた場合、または、用紙Sの後端が記録領域に到達した信号を受信した場合に、用紙Sは、排出ローラ120及び排出拍車121と排紙ローラ123及び排紙拍車124とによって搬送され、排紙トレイ106に排出される。画像形成を終了したキャリッジ101は、図2中右手前側の回復装置127と対向する位置に移動して、図示しないキャッピング手段で記録ヘッド51のノズル孔をキャッピングする。
次に、記録ヘッド51について説明する。本実施形態の記録ヘッド51は、薄膜ピエゾヘッドである。
図4は、上述した記録ヘッド51の一部分の分解斜視図である。図4に示す記録ヘッド51は、圧電アクチュエータ200を用いたものであり、インク滴を基板の面部(ヘッド面)に設けたノズル孔から吐出させるサイドシューター方式の例を示すもので図示している。なお、図2及び図3ではインク吐出孔(「ノズル孔20」)が下方に向いて設置される記録ヘッド51を、図4では説明の都合上、上方に描いている。
図4に示すように、記録ヘッド51は、三枚の基板重ねて形成されている。図4(a)は、インクを吐出するノズル孔20を有するノズル基板2の説明図、図4(b)は、個別液室14、振動板層55、流体抵抗部15、個別インク供給室24及び圧電素子56等を形成した液室基板1の説明図、図4(c)は、圧電素子保護空間22や共通液室18を形成する保護基板3の説明図である。このように、記録ヘッド51は、ノズル基板2、液室基板1及び保護基板3の三枚の基板を重ねた積層構造となっている。また、図4(b)及び図4(c)は、一部断面図で示してある。
なお、図4では、一つの共通液室18と連通する個別液室14が六個のものを示しているが、これは便宜的に示したものであり、プリンタ100が備える記録ヘッド51は、一つの共通液室18に対してより多くの個別液室14が連通する構成となっている。
図5は、図4に示す記録ヘッド51の断面説明図である。図5(a)は、図4中のX−X’断面に対応する断面説明図であり、便宜上二つの個別液室14に対応する部分のみ示しており、一方の個別液室14内のインクがノズル孔20を通ってインク滴として用紙Sに向けて吐出されている様子を模式的に示している。図5(b)は、図4に示したY−Y’断面に対応する断面説明図である。図5(a)では、流路が狭くなっている流体抵抗部15に対応する領域を破線で示している。また、図6は、記録ヘッド51の圧電アクチュエータ200の部分平面図である。
液室基板1には、シリコン基板4が用いられ、個別液室14、流体抵抗部15などのインク流路となる溝部が形成されている。
液室基板1は、シリコン基板4上にシリコン酸化膜を介してシリコンが張り合わされたSOI基板を用いている。また、振動板層55は、SOI基板のシリコン層(Si層)表面にパイロ酸化法を適用し、シリコン酸化膜を形成したものである。そして、この振動板層55の上に圧電素子56を形成して、圧電アクチュエータ200を構成する。圧電素子56は、振動板層55の上に共通電極である下部電極層151となる白金膜、圧電体層152となるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の膜、個別電極である上部電極層153となる白金膜の多層構造を積層することで形成している。圧電素子56は、シリコン基板4をエッチングすることにより形成された個別液室14に対向する領域に形成されている。
液室基板1は、下部電極層151及び上部電極層153のそれぞれに電位を印加する配線部材154を備える。配線部材154としては、下部電極パッド部157を下部電極層151に電気的に接続する第一配線部材154aと、上部電極パッド部158を上部電極層153に電気的に接続する第二配線部材154bとが設けられている。また、液室基板1は、下部電極層151及び上部電極層153と配線部材54との層間に配置する層間絶縁膜155を備える。さらに、液室基板1には、配線部材154を保護するためのパッシベーション膜156が圧電アクチュエータ200の上面及び側面を覆うように配置されている。
ノズル基板2は、厚さ30〜50[μm]のSUS基板からなり、プレス加工と研磨加工とによりノズル孔20が形成されている。このノズル孔20はノズル基板2と液室基板1とを組み付けたときに、液室基板1の個別液室14と対向し、個別液室14と外部空間とを連通する。
保護基板3は、下部電極層151及び上部電極層153に電気的に接続される配線部材154を含めて圧電素子保護空間22を形成する基板である。この保護基板3には、共通液室18としてインク流路となる溝部と、圧電素子56の保護及び変位を妨げないための圧電素子保護空間22と、液室基板1の流路隔壁4aの剛性を高めるために振動板層55を介して流路隔壁4aを補強する補強壁23とが形成されている。
また、液室基板1は、保護基板3に形成された共通液室18から液室基板1に形成された個別液室14へインクを供給する流路となる部分に、振動板フィルタ60を設けている。この振動板フィルタ60は、振動板層55における各個別インク供給室24と対向する位置に、円形状の供給孔60aを複数作製して、共通液室18から個別インク供給室24への供給孔60aよりも大きな異物の移動を防ぐフィルタ部としている。
振動板フィルタ60の供給孔60aの直径は、ノズル孔20の直径よりも小さくなるように設計している。これにより、ノズル孔20よりも大きく、ノズル孔20を閉塞する可能性がある異物が個別液室14に侵入することを、振動板フィルタ60によって防止することができる。供給孔60aの内径より小さい異物は孔を通過して個別液室14に到達するが、この異物は供給孔60aよりも大きなノズル孔20を通過することができるため、不安定な吐出動作を回復させるため維持回復動作のときにノズル孔20から空吐出することで排出でき、異物がノズル孔20に詰まることを防止できる。
但し、振動板フィルタ60の供給孔60aの形状は、円に限ったものではない。三角形等の多角形の形状とする場合は、異物を通さないように、その多角形の内接円の直径がノズル孔20の直径よりも小さくなるような形状を選択することが好ましい。
次に、本実施形態の液滴吐出ヘッドの製造方法について、製造工程を示す工程断面図である図7及び図8に従って説明する。
先ず、図7(a)に示すように、厚み400[μm]の<100>シリコン層201(シリコン基板4)の表面にシリコン酸化膜202を0.2[μm]及びシリコンを2.0[μm]を張り合わせたSOI基板を用いる。このSOI基板表面にパイロ(Wet)酸化法によりシリコン酸化膜を0.3[μm]形成し、これを振動板層55とする。
その後、図7(b)に示すように、圧電素子56の下部電極層151となる下白金層203をスパッタ法により0.2[μm]成膜し、パターニングする。更に、図7(c)に示すように、ゾルゲル法により圧電体形成層204(圧電体層152)を2[μm]成膜し、さらに上部電極層153となる上白金層205を0.1[μm]成膜する。その後、リソエッチ法により上部電極層153及び圧電体層152をパターニングする。
次に、図7(d)に示すように、プラズマCVD法により絶縁体層206(層間絶縁膜155)を0.3[μm]成膜し、リソエッチ法により配線コンタクトを取るためのビアホール207を形成する。絶縁体層206には、上導通部208、下導通部209及び貫通部210がパターニングされている。上導通部208は、次に形成する配線部材154と上部電極層153との導通部である上導通部208であり、下導通部209は、バイパス配線部材である下部電極パッド部157と下部電極層151との導通部である。また、貫通部210は、共通液室18から各個別インク供給室24へのインク供給孔となる開口部である。
更に、図7(e)に示すように、アルミ材料により、引き出し電極層211(第二配線部材154b)を形成する。この引き出し電極層211によって形成される第二配線部材154bは、圧電素子56の駆動による振動板層55の振動による応力を受けるので、この振動により断線しないように、引き出し電極層211は、やわらかいアルミ材料を使い、1[μm]程度の厚い膜厚で形成されている。
次に、図7(f)に示すように、引き出し電極層211を保護するためのパッシベーション膜156としてプラズマCVD法によるシリコン窒化膜212を2[μm]成膜し、パターニングする。そして、振動板層55の供給孔60aとなる部分を事前にエッチングする。ここでのエッチングは、単に孔部を開口するのではなく、ノズル孔20の内径より小さい径の孔部を振動板層55に形成する。
このとき、供給孔60aを形成するマスクを変えるだけで、作製プロセスは、フィルタ部を備えない従来の大きな開口を作るものと同じであるため、コストアップすることなく異物侵入防止の振動板フィルタ60を作製することができる。
供給孔60aのエッチングプロセスには、誘導結合型プラズマ(Inductively Coupled Plasmas:ICP)ドライエッチングを用いた。
その後、図8(a)に示すように、金をメッキ法により積層して、上部電極パッド部158と下部電極パッド部157とを同時に形成する。上部電極パッド部158及び下部電極パッド部157を金で形成することで、図示しないドライバICとの電気的接続を低温のワイヤボンディングで接続している。また、金は抵抗値が低く、上部電極層153及び下部電極層151の抵抗値を下げる効果が大きい。更に、下部電極パッド部157は、上部電極パッド部158と形成工程を分けて形成してもよく、パッド部の材料として銅、アルミなどを使用することもできる。その場合は、外部と保護されていない上部電極パッド部158には腐食から保護する保護層が必要となる場合もある。
その後、図8(b)に示すように別途ガラス基板にブラスト加工で柱を形成した保護基板3を液室基板1となる部分の振動板層55を挟んでシリコン窒化膜212側に接合する。そして、図8(c)に示すように液室基板1となる部分の振動板層55を挟んで保護基板3を接合した側とは反対側のシリコン層201の表面を、シリコン層201が所望の厚さとなるまで研磨する。
保護基板3はシリコン製の板状部材にリソエッチ法で凹部を加工したものでも良く、シリコン製の板状部材をTMAH、KOHなどのアルカリエッチング液を用いたウェットエッチングにより加工したものでも構わない。また、樹脂モールドやメタルインジェクションモールドなどの成型部品でも構わない。また、ドライバ回路をアクチュエータ基板上に一体形成する際に、パイロ酸化法で形成した酸化膜をLOCOS酸化法で形成し、酸化膜の形成領域を選択することで、駆動回路を同一基板上に形成することもできる。
その後、図8(c)に示すように、シリコン層201の振動板層55(シリコン酸化膜202)とは反対側となる面に対して、ICPドライエッチングにより個別液室14、流体抵抗部15及び個別インク供給室24となる凹部を形成して、シリコン基板4として、液室基板1を形成する。
最後に、図8(d)に示すように、別途厚さ30〜50[μm]のSUS基板にプレス加工と研磨加工によりノズル孔20を形成したノズル基板2を液室基板1の流路隔壁形成面に接着、圧電素子56の上部電極層153及び下部電極層151に接続された上部電極パッド部158と下部電極パッド部157とを不図示の駆動回路に接続することで液滴吐出ヘッドとしての記録ヘッド51の主要部分が完成する。
図9は、図7及び図8を用いて説明した記録ヘッド51の主要部分に対して、さらに、バッキングプレート280、ダンパーフィルム300、ダンパー室形成部材302及びベースプレート310の順に接合した状態の記録ヘッド51の断面説明図である。
また、図10は、図9に示す記録ヘッド51の上部層(保護基板3〜ダンパー室形成部材302)の斜視図であり、手前側が断面図となっている。
図9に示すようように、記録ヘッド51では、保護基板3の上部にバッキングプレート280を二枚重ねて接合し、共通液室18の一部である共通液室上部領域28を形成している。ダンパー材であるダンパーフィルム300は樹脂フィルムを用いている。また、ダンパー室形成部材302は、ダンパーフィルム300の上方にダンパー室301となる空間を形成する。ベースプレート310は、記録ヘッド51を装置本体に組み付けるときに、キャリッジ101に対する位置決め機能を持つ部材である。
図9及び図10に示すように、共通液室18(共通液室上部領域28)の上方はダンパーフィルム300によって塞がれている。このダンパーフィルム300は、共通液室18における圧力緩和の機能(ダンパー)を果たすフィルムである。
また、ダンパーフィルム30の上部に設けられたダンパー室形成部材302は、共通液室18と対向する位置が開口部となって、ダンパー室301を形成する。このダンパー室形成部材302はダンパーフィルム300の撓みを補強し、ダンパーフィルム300の共通液室18と対向する部分の上下方向への可動域を確保している。
また、ダンパーフィルム300とダンパー室形成部材302には、インクカートリッジ102から共通液室18に供給されるインクが通過する供給口303が形成されている。
図11は、キャリッジ101側のフレーム400に対する記録ヘッド51の接合状態を示す斜視説明図である。フレーム400にはインクカートリッジ102のインク排出口102bと連通する供給路が形成されており、この供給路に記録ヘッド51の供給口303を接続することで、インクカートリッジ102のタンク部102aと記録ヘッド51の流路(共通液室18等)とが連通する。図9に示すように複数層を接合して形成した記録ヘッド51のベースプレート310を図11に示すように、ヘッド固定ネジ311によってフレーム400に固定する。これにより、印字機構部103が完成する。
本実施形態では、共通液室18からそれぞれの個別液室14に向かうように分岐する流路の入口部分にそれぞれそれぞれ複数の供給孔60a(振動板フィルタ60)を作製している。しかし、共通液室18の途中に振動板フィルタ60を配置し、振動板フィルタ60よりも下流側でそれぞれの個別液室14に向かう流路が分岐するように構成しても良い。このように、流路が分岐する位置よりも上流側に振動板フィルタ60を設ける構成であれば、供給孔60aのいくつかに異物が詰まってもインクの流路は確保し易い。
以下、記録ヘッド51の動作について説明する。
タンク部102a内からインク排出口102b及び供給口303を介して記録ヘッド51に供給されたインクは、共通液室18からそれぞれの個別インク供給室24を経由してそれぞれの個別液室14内にインクが供給される。
個別液室14内がインクにより満たされた状態で、圧電素子56の上部電極層153と下部電極層151との間に所定の駆動波形の電位を印加し、これにより圧電体層152が縮み、下部電極層151を挟んで圧電体層152と密着している部分の振動板層55全体が個別液室14側に凸形状に変形する。これにより、個別液室14の体積が減少し個別液室14内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔20よりインク滴を用紙Sに向けて吐出する。上部電極層153と下部電極層151との間にパルス電圧を連続的に繰り返して印加することによって、インク滴を連続的に吐出することが出来る。
図12は、記録ヘッド51の吐出状態の維持及び吐出不良の状態からの回復のための維持回復動作(以下、クリーニング動作ともいう)を行う維持機構の説明図である。
図12に示すように、印刷制御手段253は、プリンタ100の不図示のホストコンピュータからの印刷データに基づいてビットマップデータを生成し、このデータに基づいてヘッド制御手段252により駆動信号を発生させて、記録ヘッド51からからインクを吐出させるものである。
ヘッド制御手段252は、印刷制御手段253からの印刷データに基づく駆動信号の他に、フラッシング制御手段251からのフラッシング指令信号を受けてフラッシング操作のための駆動信号を記録ヘッド51に出力し、印字とは関係のないインクの空吐出を行なうことができるようにも構成されている。ここで、フラッシング操作とは、維持回復動作のうち、インクの吐出を含むものであり、ワイピングは含まない動作を意味する。
記録ヘッド51の維持機構はキャッピング手段であるキャッピング部材350、負圧発生手段である吸引ポンプ352及び大気開放バルブ351を備えた回復装置127と、ポンプ制御手段256、クリーニング制御手段257等を備える。また、回復装置127はヘッド面を払拭する図示しないワイピング機構を備えている。
クリーニング制御手段257は、このクリーニング制御手段257からの指令によりポンプ制御手段256、大気開放バルブ351が動作して、吸引ポンプ352が駆動制御されるように構成されている。
またクリーニング制御手段257には印刷制御手段253、クリーニング指令検知手段(CL指令検知手段258)、およびクリーニングモード選択手段254より、指令信号が供給されるように構成されている。
カートリッジ検出手段250には、黒用インクカートリッジ102K及びカラー用インクカートリッジ102Tががそれぞれ装着されているか否かを検出するスイッチ(図示せず)がキャリッジ101のカートリッジホルダであるフレーム400に配設され、この信号はホストコンピュータに供給されるように構成されている。
一方、クリーニングモード選択手段254には、カートリッジ数計測手段(図示せず)、経過時間計測手段(図示せず)、および環境温度記憶手段(図示せず)からのそれぞれのデータが供給されるように構成されている。
ここで、カートリッジ数計測手段は、インクを初めて記録ヘッド51の流路内へ充填する初期充填後において交換された使用カートリッジ数をカウントアップする機能を備えている。すなわち、上述したホストコンピュータにおいては、カートリッジ検出手段250において、カートリッジが装着されているか否かについての状態(ステータス)が把握されるようになされており、カートリッジ数計測手段は、このホストコンピュータにおける前記ステータス信号を読み込み、初期充填後において交換された使用カートリッジ数(N)をカウントアップするように作用する。
クリーニング動作時は、記録ヘッド51はキャッピング部材350上に移動し、記録ヘッド51のヘッド面はキャッピング部材350によって封止される。続いて吸引ポンプ352を所定時間作動させることにより、負圧を発生させ、インク吸引動作が実行される。なお、吸引ポンプ352は、例えばパルスモータ(図示せず)によって駆動されるように構成され、パルスモータに与える単位時間のパルス数を制御することで、前記吸引動作を制御することができる。
次に、キャッピング部材350によって封止されたキャッピング空間に連通された大気開放バルブ351が開弁され、キャッピング空間に連通する吸引ポンプ352が作動されることにより、キャッピング部材350内に吸引されたインクは廃インクタンク353に排出される。
続いて、大気開放バルブ351を閉めて、記録ヘッド51のヘッド面をキャッピング部材350が封止した状態のままで、記録ヘッド51に対してインクの少量吸引動作が実行される。これは記録ヘッド51のノズル孔20から個別液室14内に侵入した気泡を少ない吸引動作で泡立てないように吸引するものである。この少量吸引動作では、大気開放バルブ351を閉弁した状態で吸引ポンプ352を低速で駆動することにより吸引を行う。
少量吸引動作の後は、キャッピング部材350のキャッピング空間に連通された大気開放バルブ351が開弁され、キャッピング空間に連通する吸引ポンプ352が作動されることにより、キャップ空間内に吸引されたインクは廃インクタンク353に排出される。
さらに、記録ヘッド51は不図示のワイピング機構のワイピング部材上を通過することでワイピングされ、記録ヘッド51のヘッド面に付着したインク泡は、このワイピングにより取り除かれる。
次に、本発明の特徴部について説明する。
プリンタ100では、記録ヘッド51に最初にインクを充填する初期充填時に、クリーニング制御手段257はクリーニングモード選択手段254からの指令を受けて、吸引ポンプ352が発生させる負圧を2段階に変化させた充填処理を行う。以下、このような2段階の負圧の形成を二段吸引と呼ぶ。また、吸引ポンプ352はチューピングポンプを使用している。
図13は、吸引ポンプ352を駆動するために上述したパルスモータに加える単位時間当たりのパルス数及びキャッピング空間内の内圧(図中キャップ内圧力)と経過時間との関係で示したものである。図13(a)は、経過時間とパルス数との関係を示すグラフであり、図13(b)は、経過時間とキャップ内圧力との関係を示すグラフである。
二段吸引の開始時(T1)においては、吸引ポンプ352を駆動するパルスモータには、図13(a)に示すように周波数F1の駆動パルスが印加される。これによりキャップ内圧力は、図13(b)に示すように、初期負圧P1になっていく。その後、所定の時間経過時(T2)に、パルスモータに周波数F2の駆動パルスが印加されることで、吸引ポンプ352が発生する負圧が高速充填負圧P2となる。
図1は、キャッピング空間350a内に初期負圧P1が発生している状態の記録ヘッド51とキャッピング部材350との模式図である。
図1及び図4に示すように、一つの共通液室18からインクが供給される個別液室14は、主操作方向に対して直交する方向(図中の矢印B方向)に沿って直線状に並べて配置されている。そして、共通液室18は個別液室14の配置方向が長手方向となる細長い空間であり、この長手方向の一部に供給口303が設けられている。
また、図1では、個別液室14を共通液室18の長手方向の中央と両端部とにそれぞれ三つずつ記載しているが、これは便宜的に示したものであり、個別液室14は共通液室18の長手方向の全域に渡って配置されている。
振動板フィルタ60の供給孔60aは、径が小さいため通過する流体に作用する抵抗が大きくなり、空気よりも粘度が高いインクはより抵抗が大きくなる。そして、インクが供給孔60aにおける抵抗に抗して通過できない程度の負圧をキャッピング空間350aに発生させることで、共通液室18内の空気のみが供給孔60aする。
そして、初期負圧P1として、供給孔60aに対して空気等の気体は通過させることができるが、インクは通過させることできない吸引力を作用させ、初期負圧P1を所定時間(T2−T1)発生させた後、供給孔60aにインクを通過させることが出来る吸引力を作用させる高速充填負圧P2を発生させることで、共通液室18内に気泡が残留することを抑制することができた。
これは、以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、供給孔60aに対してインクは通過させることできないような、比較的小さな吸引力を作用させることで、後述する従来の構成よりもインクを共通液室18内にゆっくりと充填することとなる。
図1中の破線の矢印は供給口303から供給されるインクの流れを示す。ゆっくりと充填することで、インクが個別液室14の配置方向に延在する振動板フィルタ60の表面全体に一気に拡がらず、インク層βと空気層αとの境界γが、振動板フィルタ60の表面に沿って個別液室14の配置方向に徐々に供給口303から遠い側へと移動する。このとき、境界γよりも供給口303側の供給孔60aはインクによって塞がれ、インクも空気も通過しない状態となるが、境界γよりも供給口303から遠い側の供給孔60aから空気が排出され続ける。そして、境界γが共通液室18における供給口303から離れた端部(図1の構成では矢印B方向の両端部)に到達することで、共通液室18内のほとんどの空気が排出され、共通液室18内に気泡が残留することを抑制することができたものと考えられる。
このよう初期負圧P1を共通液室18の体積と同程度のインクが供給口303を通過するために要する時間(T2−T1)だけ発生させることで、気泡がほとんど残留しない状態で共通液室18にインクを充填することが出来た。その後、振動板フィルタ60の供給孔60aに対してインクを通過させることができる吸引力を作用させる高速充填負圧P2を発生させることで、共通液室18内に気泡が残留することを抑制した状態で個別液室14にもインクを充填することができる。
図14は、共通液室18の高さ方向で、端部に向かって絞る構成とした記録ヘッド51の説明図である。共通液室18の形状が異なる点以外は、図1に示すものと同様の構成である。図14に示す記録ヘッド51であっても、初期負圧P1を所定時間発生させた後に、高速充填負圧P2を発生させることで、共通液室18内に気泡が残留することを抑制した状態で個別液室14にもインクを充填することができる。
なお、本実施形態の記録ヘッド51では、バッキングプレート280を積層して共通液室18(28)を形成しているため、図14に示すように、端部に向かって絞る構成とするのは構造的、コスト的に困難である。バッキングプレート280を2枚積層しているので、段差を付けることは可能であるが、ダンパーフィルム300のダンパー部となる部分の面積が小さくなるので、本実施形態の記録ヘッド51は、図1に示すように、共通液室18の共通液室上部領域28の高さは、共通液室18の長手方向の全域に渡ってバッキングプレート280の二枚分の厚さになっている。
ここで従来のインク吐出ヘッドについて説明する。
インク吐出ヘッドとしては、インク滴を吐出させるための圧力発生手段の種類により、幾つかの方式に大別される。
特許文献4には、吐出液室の壁の一部を薄い振動板とし、これに対応して電気機械変換素子としての圧電素子を配置するピエゾ方式のものが記載されている。ピエゾ方式では、電圧印加に伴って発生する圧電素子の変形により振動板を変形させることで吐出液室内の圧力を変化させて、インク滴を吐出させる。
特許文献5には、吐出液室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向して配置された液室外の個別電極とを備えた静電方式のものが記載されている。静電方式では、振動板と電極との間に電界を印加することで発生する静電力により振動板を変形させ、吐出液室内の圧力/体積を変化させることにより吐出孔からインク滴を吐出させる。
また、吐出液室内部に発熱体素子を配置し、通電による発熱体の加熱によって気泡を発生させ、気泡の圧力によってインク滴を吐出させるバブルジェット(登録商標)方式のものも一般に良く知られている。
更にピエゾ方式のものには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものが実用化されている。
前者は圧電素子の端を吐出させるインクジェットの振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である。反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
後者の記録ヘッドの不都合を解消出来る構成として、特開平5−286131号公報では、振動板の表面全体にわたって成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案されている。これによれば圧電素子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
ところで、駆動方式に関らずインク吐出ヘッドは、数十[μm]の大きさで形成したノズル孔、及び加圧液室(吐出液室)により構成されているため、微細な異物の混入は、ノズル孔を詰まらせ、吐出不良の原因となる。インク吐出ヘッドは近年の高速化への対応としてノズル数の増加が求められ、それに伴って、吐出不良となる異物除去手段を改善する必要性はますます高まっている。
従来より、インクカートリッジからノズルにインクを供給するインク供給系中にフィルタを設置し、異物を排除する構成は取られている。しかし、空気中に浮遊するような微細な異物も問題となるため、インク吐出ヘッドの組立工程や、インク供給経路の組立工程で混入する異物を排除するのは容易ではなかった。
異物混入を防ぐにはできるだけ吐出液室に近い場所に対して、組立工程における出来るだけ早い工程でフィルタを設置することが好ましい。そこで、インク吐出ヘッドの構成部品の一部に、フィルタ機能を設けたインク吐出ヘッドも幾つか提案されている。
特許文献2では、振動板部材に複数の供給口を設けてフィルタとして、共通液室と吐出液室との間に設置している。但し、フィルタの下流に各吐出液室に向かう流路に分岐しているため、厳密な意味では共通液室と吐出液室との間との間ではなく、吐出液室毎のフィルタではない(特許文献2の図1及び図4等参照)。この構成では、フィルタ部分が小さく1箇所に集中しているので、フィルタを通るインクの流速はどの部分でも早く、フィルタ部への気泡トラップは考えなくても良い。しかし、共通液室のインク流路の高さは、吐出液室と同じ高さしかなく、流体抵抗値が大きい。また、フィルタ部の面積が小さいことも併せて、インクの最大流量を大きく取れないため、駆動周波数を上げることはできず、印刷の生産性が上がらない。
また、特許文献3では、各吐出室に向かうインクが通過する個別インク供給室にノズル孔より小さい開口面積を有する複数の供給孔(フィルタ)を配置している。複数の供給孔(フィルタ)は、振動板をNi電鋳で作製する過程で作製している。Ni電鋳液室は、振動板もNi電鋳で作製するため、マスクパターンで容易に複数の供給孔(フィルタ)を作製できる。
また、個別分かれた個別インク供給室にフィルタを作製することで、フィルタ部の機械強度を確保している。なお、本実施形態においても、個別分かれた個別インク供給室24に入口となる部分(共通液室18との境)に振動板フィルタ60を設けているため、特許文献3と同様に、フィルタ部の機械強度を確保できる。
特許文献2や特許文献3のように、振動板にノズルより小径の穴を複数設ける、いわゆる振動板フィルタでは、吐出液室内への異物浸入を防止する意味では機能するが、記録ヘッド51内のインクの流路に対するインク充填性が悪くなり、供給量確保が難しくなることが分かった。
この理由について図18及び図19を用いて説明する。
図18及び図19は、図1及び図14に示す記録ヘッド51と同様の形状の記録ヘッド51に対して、充填初期から高速充填負圧P2と同等の負圧を発生させたときの記録ヘッド51の模式図である。図18及び図19中の破線の矢印が供給口303から供給されるインクの流れを示す。また、図18及び図19に示す記録ヘッド51も特許文献2や特許文献3と同様に振動板フィルタ60を備える構成である。
初期充填時のように、共通液室18内に空気層αがある場合、吸引ポンプ352を高出力で駆動し、ノズル孔20に高速充填負圧P2のような大きな負圧を作用させると、個別液室14等を介してノズル孔20に連通する供給孔60aに対して大きな吸引力が作用する。これにより、振動板フィルタ60の上流側(上方)で振動板フィルタ60に隣接する流路である共通液室18内にインクが勢い良く流れ込み、振動板フィルタ60の表面に到達する。ここで、振動板フィルタ60の供給孔60aは内径が小さいため、流体抵抗が大きく、振動板フィルタ60の表面に到達したインクは表面張力等によって供給孔60aを通過し難い。このような振動板フィルタ60に向けてインクが勢い良く流れ込むと、振動板フィルタ60の表面に沿って拡がっていき、共通液室18内の空気を排出しきる前に振動板フィルタ60の表面上にインクの液層を形成する。
振動板フィルタ60の表面上に液層が形成されると、インクよりも比重が小さい空気は液層よりも上方に追いやられ、図18及び図19中の空気層αのように気泡を形成する。この気泡を形成する空気は液層を通過して流れないとノズル孔20から排出されないので、一度形成されると排出され難く、充填動作が終了しても共通液室18内に気泡が残った状態となり易い。また、気泡が振動板フィルタ60を通り抜けたとしても、供給孔60aの液相を破っていくので細かい泡を発泡し易い。
これに対して、本発明を適用した記録ヘッド51では、図1及び図14に示すように、共通液室18を充填する量のインクを供給口303から流入させるまで、すなわち、共通液室18にインクを充填するまでは、低い圧力である初期負圧P1でインクを充填して、空気層αを端に追いやる。これにより振動板フィルタ60の表面に液層ができるのを防止して、空気層αを形成する空気の抜け道を確保する。所定量のインクを充填して、共通液室18の空気層αがほぼ抜けたら、充填圧を高速充填負圧P2まで一気に上げて、各個別液室14内の充填を完了する。
このように、充填初期はゆっくりとインクを移動させることで、気泡排出する前に振動板フィルタ60の表面に液層が出来ないように充填することが、充填性を向上させる上で非常に重要である。
また、振動板フィルタを有するインク吐出ヘッドのインク充填性は、単純に振動板フィルタ部の流体抵抗値の問題では無く、振動板フィルタの孔のメニスカス(気相と液相の境界)を考慮した充填をしなければならないことが、種々の検討から明らかになった。
本実施形態における初期負圧P1は、充填する液(インク)が振動板フィルタ60の供給孔60aにメニスカスを形成したときに、メニスカス保持力とほぼ同等の圧力である。このような、初期負圧P1を印加することで、インクは共通液室18内を、空気層αとの境界γが個別液室14の列方向(図中の矢印B方向)に移動するように流れる。この時、圧力が小さいため、空気層αを端部に押し込むように流れるので、図18及び図19に示すように、空気層αを形成する空気を排出する前に振動板フィルタ60の表面に液層を作り、大きな気泡を共通液室18に残すことはない。
図13中の時刻T2は、初期負圧P1の圧力で、共通液室18をインクで満たすのに必要な時間(T2−T1)から算出している。そして、共通液室18がインクでほぼ満たされた状態にした後、吸引ポンプ352を駆動するパルスモータに印加する駆動パルスの周波数をF2に一気に上げて、共通液室18内のインクを個別液室14を通してノズル孔20から一気に吸い出すことで、個別液室14へのインクの充填を完了する。このとき、高速充填負圧P2は大きい方が良いため、駆動パルスの周波数F2は、吸引ポンプ352が最大負圧を発生させる周波数に設定する。ここで、吸引されてノズル孔20を通過してキャッピング部材350内に到達したインクは、吸引ポンプ352を通り、廃インクタンク353に排出される。
図13中の時刻T3で、吸引ポンプ352の動作を終了すると、インクが流れることでキャッピング空間350a内の負圧が小さくなってくる。所定圧力まで下がることを見込んで予め設定した時刻T4で大気開放バルブ351を開放することで、キャッピング空間350a内の負圧を開放すると共に、キャッピング空間350a内のインクを廃インクタンク353に排出する。
本発明を適用した記録ヘッド51では、共通液室18と個別液室14との間に振動板フィルタ60を設け、共通液室18内にインクを充填しきるまでは、空気層αをゆっくり押し出し、空気層αを形成する空気の排出経路をインクで閉じないようにしたことで、充填動作完了後、共通液室18に残留する気泡を極力少なくすることができる。
共通液室18に残留する気泡が多い状態で、記録ヘッド51から多くのインクを吐出した場合、共通液室18内に残留した気泡が個別液室14に侵入し、吐出が不安定になることがあった。これに対して、充填動作完了後の共通液室18に残留する気泡を極力少なくすることで、気泡が個別液室14に侵入することに起因して吐出が不安定になることを防止できる。言い換えると、吐出量を多くしても吐出が不安定になることを防止できるため、吐出流量を多くでき、印刷を早くでき、液滴吐出装置による生産性が向上する。
なお、特許文献1には、共通液室より上流側の、一般的なフィルタに対して、残留気泡を少なくするための吸引シーケンスとして、充填初期は負圧を小さくし、その後、負圧を大きくする構成が記載されている。しかし、インク吐出ヘッド内の流路に設けたフィルタに対する気泡排出について、開示したものではない。
特許文献1では、初めに低い吸引圧力で、気泡をフィルタ部中央に移動させ、移動させた状態で、吐出動作時のフルデューティーの条件と同じ流速となる吸引動作に切り替えることによって、気泡をフィルタから通過させ、ノズルから気泡を排出することで、吐出動作時に混入する可能性のある気泡を充填動作時に予め排出しておこうとするものである(特許文献1の図7及び図8等参照)。
これにより、フィルタ部よりも上流側の残留気泡を減らして、気泡が個別液室に入ることで生じる吐出不良を減少させることができる。
特許文献1の構成では、充填時の負圧を2段階に切り替えているが、インク吐出ヘッドの流路よりも上流側のフィルタ部であるため、初期充填時のように、インク吐出ヘッド内に空気がある状態でフィルタ部によって空気を抜くことが困難な構成とは異なる。また、インク吐出ヘッドを取り付ける装置本体側の部材(本実施形態ではフレーム400に相当)とインクカートリッジとの接続部にフィルタ部をもうけているため、インクカートリッジを組み付けるこの接続部よりも下流側に侵入した異物の混入を防止することは出来ない。
これに対して、本発明を適用した記録ヘッド51では、記録ヘッド51内の流路にフィルタ部を配置しているため、記録ヘッド51を作成してしまえば、その後の、組み付け工程において開放された流路となる部分に異物が混入しても個別液室14にまで異物が混入することは防止できる。
本実施形態のプリンタ100は、記録ヘッド51内の個別液室14の極近傍にフィルタ部(振動板フィルタ60)を配置しているので、個別液室14への異物浸入を防ぐことができる。さらに、更に、充填時の吸引を二段階吸引とすることで、振動板フィルタ60の表面を液層で塞ぐことがないので、共通液室18に気泡が残留する確率を下げ、残留気泡の大きさも小さくできた。これにより、初期の充填不良を防止し、吐出動作の最大流量発生時においても個別液室14への気泡浸入も防止できるので、印刷の生産性が高く、信頼性の高い液滴吐出装置を提供できる。
本実施形態のプリンタ100は、図2及び図3等に示すようにインクカートリッジ102を記録ヘッド51よりも上方に搭載している。このため、ノズル孔20のメニスカスが破れても重力によってインクが漏れないように、インクカートリッジ102には負圧発生機構を有する。通常は、多孔質体をインクカートリッジ102のタンク部102a内に設けて、多孔質体の毛管力で、負圧を発生し、インクを保持している。
このような構成の場合は、初期負圧P1は、インク供給系の負圧よりも大きい必要はあり、ほぼ同一の圧力にすることで、記録ヘッド51内の流路における毛管力でインクは共通液室18へ進入していく。このように、初期負圧P1をインクカートリッジ102の負圧発生機構と同等の負圧に設定することによっても共通液室18への充填が良好に実施される。
〔変形例1〕
次に、本発明に係る一つ目の変形例(以下、変形例1とよぶ)について説明する。
図15は、変形例1のパルスモータに加える単位時間当たりのパルス数及びキャッピング空間内の内圧(図中キャップ内圧力)と経過時間との関係で示したものである。図15(a)は、経過時間とパルス数との関係を示すグラフであり、図15(b)は、経過時間とキャップ内圧力との関係を示すグラフである。
変形例1は、吸引ポンプ352の動作制御以外は、上述した実施形態のプリンタ100と同様である。
変形例1では、図15(a)に示すように、二段吸引の開始時(T1)においては、吸引ポンプ352を駆動するパルスモータには、周波数F1の駆動パルスが印加され、これによりキャップ内圧力は、図15(b)に示すように、初期負圧P1になっていく。その後、共通液室18をインクが満たしたと想定される時間で、高速流で液を充填する高速充填負圧P2を発生させるように、吸引ポンプ352のパルス周波数をF2に変更するのものであるが、初期負圧P1と高速充填負圧P2との圧力の差は大きいので、初期負圧P1を精度良く発生させるのは難しい場合がある。
そこで、変形例1では、時刻T2で、一旦吸引ポンプ352の駆動を止めて、そのときのキャッピング空間350a内の負圧で、第一段階の吸引を実施する。第一段階ではキャッピング空間350a内にはまだ空気が多く残っているので負圧が形成できる。このように、一旦吸引ポンプ352を止めた方が、小さい圧力である初期負圧P1を安定して発生させることができ、共通液室18へのインクの充填が良好に実施できる。
その後、共通液室18へのインクの充填がほぼ完了した状態を見定めた時刻T3のタイミングで吸引ポンプ352の最大負圧になるように、吸引ポンプ352を駆動するパルスモータに印加する駆動パルスの周波数をF2に上昇する。これにより、一気に個別液室14へインクを流し、個別液室14への充填を完了する。
〔変形例2〕
次に、本発明に係る二つ目の変形例(以下、変形例2とよぶ)について説明する。
図16は、変形例2の構成でキャッピング空間350a内に初期負圧P1が発生している状態の記録ヘッド51とキャッピング部材350との模式図である。
変形例2では、共通液室18から連通する複数の個別液室14の配置方向について、インクが流れる方向の下流側端部にダミー液室140を設けている。この、ダミー液室140は、流体抵抗値を、個別液室14の流体抵抗値よりも小さく設定している。
図16に示す構成では、共通液室18の長手方向の中央部に供給口303があり、インクの流路は、供給口303と共通液室18とでT字型をしている。このため、ダミー液室140は、インクが流れる方向の下流側端部、すなわち、共通液室18の長手方向両端に、それぞれ二つずつ形成した。ダミー液室140の個数はこれに限ったものではない。
変形例2のダミー液室140は、(図示しないが)振動板フィルタ60の部分をフルに開口、すなわち、ノズル孔20よりも大きく、フィルタ部として機能しない孔を振動板層55に開けたことと、流体抵抗部15の絞りをなくしたことで、ダミー液室140全体の流体抵抗値を下げている。ダミー液室140は、吐出動作時には振動板が動作せず、インクの吐出動作を行わない液室である。
図16に示す記録ヘッド51を備えた構成の二段階吸引の方法は、図13及び図15のどちらでも良いが、変形例2では図15に示す二段階吸引を実施したところ、初期充填後の吐出不良に関して良好な結果を得ることが出来た。共通液室18の空気は共通液室18内のインクの移動方向下流側に移動して、最後はノズル孔20から排出される必要があるので、共通液室18におけるインク移動方向下流側端部に空気を排出しやすい流体抵抗値の低いダミー液室140を設けることは有効である。このような構成により、図1に示す構成よりも、さらに、共通液室18の残留気泡の確率を小さくすることが出来る。
〔変形例3〕
次に、本発明に係る三つ目の変形例(以下、変形例3とよぶ)について説明する。
図17は、変形例2の構成で、キャッピング空間350a内に初期負圧P1が発生している状態の記録ヘッド51とキャッピング部材350との模式図である。
変形例3の記録ヘッド51は、供給口303が共通液室18の長手方向の一端部にあり、インクの供給経路としては、供給口303と共通液室18とによってL字型をしている。
本発明は、上述した実施形態や変形例2のように、記録ヘッド51内の流路がT字型の構成に限るものではなく、変形例3のように流路がL字型の構成に対しても適用可能である。
また、変形例3では、共通液室18内のインクの流れる方向の下流側、すなわち、共通液室18における供給口303に対して長手方向の反対側端部にダミー液室140を設けている。変形例3のダミー液室140は、変形例2と同様に、個別液室14よりも流体抵抗値を下げた構成となっている。
図17に示す記録ヘッド51を備えた構成の二段階吸引の方法は、図13及び図15のどちらでも良いが、変形例3では図15に示す二段階吸引を実施した。また、供給口303から共通液室18における下流側端部までの長さが変形例2の記録ヘッド51とは異なるので、第1吸引後の待ち時間(T2からT3)を変形例2よりは長く設定したが、初期充填後の吐出不良に関して良好な結果を得ることが出来た。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
インク滴等の液滴を吐出するノズル孔20等の吐出孔と、吐出孔により外部と連通し、かつ、液滴となるインク等の吐出液を収容する個別液室14等の吐出液室と、吐出液室内に圧力を発生させる圧電アクチュエータ200等の圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構と、複数の液滴吐出機構のそれぞれの吐出液室に連通し、吐出液室に供給する吐出液が通過する共通液室18等の共通流路と、共通流路に該吐出液を供給する供給口303等の液供給口と、共通流路と吐出液室との間の流路に配置された供給孔60a等の複数の孔を有する振動板フィルタ60等のフィルタ部と、を備えた記録ヘッド51等の液滴吐出ヘッドと、液供給口から液滴吐出ヘッド内に供給する吐出液を収容するインクカートリッジ102等の吐出液収容部と、液滴吐出ヘッドにおける吐出孔が形成されたヘッド面等の吐出孔面側から吐出孔に対して負圧を作用させる吸引ポンプ352等の負圧発生手段とを備える印字機構部103等の液滴吐出装置において、液滴吐出ヘッド内に吐出液が充填されていない状態から、負圧発生手段によって吐出孔に対して負圧を作用させることにより、吐出液室及び共通流路を介して液供給口から吐出液収容部に負圧を作用させ、吐出液収容部内の吐出液を液滴吐出ヘッド内に充填させる充填動作を行う際に、負圧発生手段は、フィルタ部の孔に対して気体は通過させることができるが、吐出液は通過させることできない吸引力を作用させる初期負圧P1等の第一負圧を所定時間発生させた後に、フィルタ部の孔に対して吐出液を通過させることができる吸引力を作用させる高速充填負圧P2等の第二負圧を発生させる。これによれば、上記実施形態について説明したように、液滴吐出ヘッドに対する吐出液の充填動作時に、フィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に気泡が残留することを抑制できる。
(態様B)
インク滴等の液滴を吐出するノズル孔20等の吐出孔と、吐出孔により外部と連通し、かつ、液滴となるインク等の吐出液を収容する個別液室14等の吐出液室と、吐出液室内に圧力を発生させる圧電アクチュエータ200等の圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構と、複数の液滴吐出機構のそれぞれの吐出液室に連通し、吐出液室に供給する吐出液が通過する共通液室18等の共通流路と、共通流路に該吐出液を供給する供給口303等の液供給口と、共通流路と吐出液室との間の流路に配置された供給孔60a等の複数の孔を有する振動板フィルタ60等のフィルタ部と、を備えた記録ヘッド51等の液滴吐出ヘッドと、液供給口から液滴吐出ヘッド内に供給する吐出液を収容するインクカートリッジ102等の吐出液収容部と、液滴吐出ヘッドにおける吐出孔が形成されたヘッド面等の吐出孔面側から吐出孔に対して負圧を作用させる吸引ポンプ352等の負圧発生手段とを備える印字機構部103等の液滴吐出装置において、吐出液収容部は負圧によって吐出液を保持する多孔質体等の吐出液保持部材を備え、液滴吐出ヘッド内に吐出液が充填されていない状態から、負圧発生手段によって吐出孔に対して負圧を作用させることにより、吐出液室及び共通流路を介して液供給口から吐出液収容部に負圧を作用させ、吐出液収容部内の吐出液を液滴吐出ヘッド内に充填させる充填動作を行う際に、負圧発生手段は、吐出液保持部材の負圧と同等の初期負圧P1等の第一負圧を所定時間発生させた後に、吐出液保持部材の負圧に対して十分に大きく、フィルタ部の孔に対して吐出液を通過させることができる吸引力を作用させる高速充填負圧P2等の第二負圧を発生させる。これによれば、上記実施形態について説明したように、液滴吐出ヘッドに対する吐出液の充填動作時に、フィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に気泡が残留することを抑制できる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)の何れかの態様において、吸引ポンプ352等の負圧発生手段は、所定時間として初期負圧P1等の第一負圧の作用によって共通液室18等の共通流路の体積と同程度のインク等の吐出液が供給口303等の液供給口を通過するために要する時間だけ第一負圧を発生させる。これによれば、上記実施形態について説明したように、第一負圧を発生している間に共通流路内を吐出液で満たし、気泡がほとんど残留しない状態で共通流路に吐出液を充填することが出来る。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)の何れかの態様において、個別液室14等の吐出液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板層55が振動板が設けられ、供給孔60a等の孔は振動板に形成されている。これによれば、図7及び図8等を用いて上記実施形態について説明したように、製造が容易になる。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)の何れかの態様において、ノズル孔20等の吐出孔と、個別液室14等の吐出液室と、圧電アクチュエータ200等の圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構は、それぞれの吐出液室と共通液室18等の共通流路との連通部(個別インク供給室24等)が直線状に並ぶように配置され、複数の連通部の配列を挟んで供給口303液供給口とは反対側となる共通流路の端部と連通し、且つ、他の吐出液室に比して共通流路との連通部から吐出孔までの流体抵抗が小さくなるように形成されたダミー液室140等の小抵抗吐出液室を備える。これによれば、上記変形例2及び変形例3について説明したように、フィルタ部よりも上流側の流路の残留気泡の確率をより小さくすることが出来る。
(態様F)
(態様A)乃至(態様E)の何れかの態様において、吸引ポンプ352等の負圧発生手段は、チュービングポンプである。これによれば、上記実施形態について説明したように、パルスモータに与える単位時間のパルス数を制御することで、吸引動作を制御し、二段階吸引を実現できる。
(態様G)
インク滴を吐出するインク吐出機構を搭載したインクジェット方式のプリンタ100等の画像形成装置において、インク吐出機構として、態様A乃至態様Fの何れかの態様の印字機構部103等の液滴吐出装置を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、フィルタ部よりも上流側の液滴吐出ヘッドの流路内に気泡が残留することに起因して吐出が不安定になることを抑制できるため、安定した吐出を行うことができ、高品質の画像形成を行うことができる。
1 液室基板
2 ノズル基板
3 保護基板
4 シリコン基板
14 個別液室
15 流体抵抗部
18 共通液室
20 ノズル孔
24 個別インク供給室
28 共通液室上部領域
51 記録ヘッド
55 振動板層
56 圧電素子
60 振動板フィルタ
60a 供給孔
100 プリンタ
101 キャリッジ
102 インクカートリッジ
102a タンク部
102b インク排出口
103 印字機構部
112 タイミングベルト
116 搬送ローラ
127 回復装置
140 ダミー液室
200 圧電アクチュエータ
250 カートリッジ検出手段
251 フラッシング制御手段
252 ヘッド制御手段
253 印刷制御手段
254 クリーニングモード選択手段
256 ポンプ制御手段
257 クリーニング制御手段
258 指令検知手段
303 供給口
350 キャッピング部材
350a キャッピング空間
351 大気開放バルブ
352 吸引ポンプ
P 用紙
特許3642201号 特開平06−255101号公報 特許4394973号 特開平10−100401号公報 特開平2−289351号公報 特開平5−286131号公報

Claims (7)

  1. 液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構と、
    複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、
    該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、
    該共通流路と該吐出液室との間の流路に配置された複数の孔を有するフィルタ部と、を備えた液滴吐出ヘッドと、
    該液供給口から該液滴吐出ヘッド内に供給する吐出液を収容する吐出液収容部と、
    該液滴吐出ヘッドにおける該吐出孔が形成された吐出孔面側から該吐出孔に対して負圧を作用させる負圧発生手段とを備える液滴吐出装置において、
    上記液滴吐出ヘッド内に吐出液が充填されていない状態から、上記負圧発生手段によって上記吐出孔に対して負圧を作用させることにより、上記吐出液室及び上記共通流路を介して上記液供給口から上記吐出液収容部に負圧を作用させ、該吐出液収容部内の吐出液を該液滴吐出ヘッド内に充填させる充填動作を行う際に、
    該負圧発生手段は、上記フィルタ部の孔に対して気体は通過させることができるが、吐出液は通過させることできない吸引力を作用させる第一負圧を所定時間発生させた後に、
    該フィルタ部の孔に対して吐出液を通過させることができる吸引力を作用させる第二負圧を発生させることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 液滴を吐出する吐出孔と、該吐出孔により外部と連通し、かつ、該液滴となる吐出液を収容する吐出液室と、該吐出液室内に圧力を発生させる圧力発生手段と、からなる複数の液滴吐出機構と、
    複数の該液滴吐出機構のそれぞれの該吐出液室に連通し、該吐出液室に供給する該吐出液が通過する共通流路と、
    該共通流路に該吐出液を供給する液供給口と、
    該共通流路と該吐出液室との間の流路に配置された複数の孔を有するフィルタ部と、を備えた液滴吐出ヘッドと、
    該液供給口から該液滴吐出ヘッド内に供給する吐出液を収容する吐出液収容部と、
    該液滴吐出ヘッドにおける該吐出孔が形成された吐出孔面側から該吐出孔に対して負圧を作用させる負圧発生手段とを備える液滴吐出装置において、
    上記吐出液収容部は負圧によって吐出液を保持する吐出液保持部材を備え、
    上記液滴吐出ヘッド内に吐出液が充填されていない状態から、上記負圧発生手段によって上記吐出孔に対して負圧を作用させることにより、上記吐出液室及び上記共通流路を介して上記液供給口から上記吐出液収容部に負圧を作用させ、該吐出液収容部内の吐出液を該液滴吐出ヘッド内に充填させる充填動作を行う際に、
    該負圧発生手段は、上記吐出液保持部材の負圧と同等の第一負圧を所定時間発生させた後に、
    該吐出液保持部材の負圧に対して十分に大きく、上記フィルタ部の孔に対して吐出液を通過させることができる吸引力を作用させる第二負圧を発生させることを特徴とする液滴吐出装置。
  3. 請求項1または2の液滴吐出装置において、
    上記負圧発生手段は、上記所定時間として上記第一負圧の作用によって上記共通流路の体積と同程度の吐出液が上記液供給口を通過するために要する時間だけ該第一負圧を発生させることを特徴とする液滴吐出装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の液滴吐出装置において、
    上記吐出液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板が設けられ、前記孔は振動板に形成されていることを特徴とする液滴吐出装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の液滴吐出装置において、
    複数の液滴吐出機構は、それぞれの上記吐出液室と上記共通流路との連通部が直線状に並ぶように配置され、複数の該連通部の配列を挟んで上記液供給口とは反対側となる該共通流路の端部と連通し、且つ、他の吐出液室に比して該共通流路との連通部から上記吐出孔までの流体抵抗が小さくなるように形成された小抵抗吐出液室を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の液滴吐出装置において、
    上記負圧発生手段は、チュービングポンプであることを特徴とする液滴吐出装置。
  7. インク滴を吐出するインク吐出機構を搭載したインクジェット方式の画像形成装置において、
    上記インク吐出機構として請求項1乃至6の何れか1項に記載の液滴吐出装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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