JP2013121700A - 液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液滴吐出特性と耐吸湿性を両立させることができる液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】液滴を吐出するノズル6と、内部に上記液を収納し上記ノズル6が連通する加圧液室5と、上記加圧液室5に積層配置された振動板2aと、上記振動板2aの上記加圧液室側と反対側の面に当接して、上記振動板2aを振動させる圧電素子2bなどの振動発生手段とを有する圧電型アクチェータ2などのアクチュエータ手段とを備えた液滴吐出ヘッド1において、上記振動板2aの上記加圧液室内の上記液と接する最外層または上記最外層から2層目に、LP−CVD法またはALD法により成膜した吸湿防止膜22を備えた。
【選択図】図5

Description

本発明は、液滴吐出ヘッド液体カートリッジおよび画像形成装置に関するものである。
インクの液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを備え、記録媒体を搬送しながら、インク滴を記録媒体に付着させて画像形成を行う画像形成装置が知られている。
「画像形成装置」とは、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の画像記録媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。ここでいう「画像形成」には、文字や図形等の意味を持つ画像を画像記録媒体に付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を画像記録媒体に付与すること(単に液滴を画像記録媒体に着弾させること)も含まれる。また、「インク」とは、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる液体の総称として用いる。更に、画像とは、平面に付与されるものに限らず、立体物に付与されるもの、あるいは、立体物自体を造形して形成される像も含まれる。
液滴吐出ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通し、内部にインク液を収納した加圧液室と、この加圧液室内を昇圧するエネルギーを発生するアクチュエータ手段と、加圧液室に連通しインクカートリッジ等のインクタンクからインクを供給する共通液室とを備えている。そして、アクチュエータ手段を駆動することで加圧液室内を昇圧してノズルからインク滴を吐出させ、吐出したインクの液量分のインクが共通液室から加圧液室に供給される。
アクチュエータ手段は、加圧液室上に載置されるようにして設けられた振動板と、この振動板を振動させる振動発生手段としての圧電素子と備えている。
振動板と圧電素子とで構成されたアクチュエータ手段では、振動板の剛性、及び膜応力が液滴吐出特性に大きく影響を与える。例えば、振動板構成膜の機械的特性が経時変化すると、振動特性が変動し液滴吐出特性が変動して、印字精度の再現性や画質に悪影響を及ぼす。上述した振動板構成膜の機械的特性に経時変化を及ぼす要因としては、吸湿による応力変動がある。例えば、振動板としてシリコン酸化膜などの非常に吸湿し易い材料を用いた場合、加圧液室内のインク液を吸湿して、振動板の応力変動が生じてしまう。
特許文献1には、耐吸湿性が得られるシリコン窒化膜を振動板の加圧液室側の最外層にした液滴吐出ヘッドが記載されている。このように、耐吸湿性のシリコン窒化膜を振動板の加圧液室側の最外層にすることで、振動板が加圧液室内のインク液を吸湿して、振動板構成膜の機械的特性に経時変化が生じるのを抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の液滴吐出ヘッドにおいては、シリコン窒化膜をプラズマCVD法で成膜されているため、緻密な(窒化珪素の分子が密な)膜が形成されず、分子間の隙間に加圧液室のインク液が入り込んでしまう場合があり、十分な耐吸湿性を得るには、1μm以上の膜厚が必要になる。このように、シリコン窒化膜などの吸湿防止膜が厚くなる結果、液滴吐出特性と耐吸湿性とを両立させるのが困難であるという課題がある。具体的に説明すると、耐吸湿性を得ようとすると、吸湿防止膜が厚くなり、吸湿防止膜が振動板の剛性及び膜応力に大きく影響する。その結果、吸湿防止膜として、シリコン窒化膜などのヤング率の高い材料を使用すると、振動板として液滴吐出特性を得るための振動板の剛性及び膜応力が得られなくなる。これとは逆に、液滴吐出特性が得られる振動板の剛性及び膜応力にすると、吸湿性膜の膜厚を薄くする必要があり耐吸湿性が十分に得られなくなってしまうのである。
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、液滴吐出特性と耐吸湿性を両立させることができる液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液滴を吐出するノズルと、内部に上記液を収納し上記ノズルが連通する加圧液室と、上記加圧液室を構成する内壁の一つとして用いられる振動板と、上記振動板の上記加圧液室側と反対側の面に当接して、上記振動板を振動させる振動発生手段とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、上記振動板は、複数の層で構成されており、上記加圧液室内の上記液と接する最外層または上記最外層から2層目に、LP−CVD法またはALD法により成膜した吸湿防止膜を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、LP−CVD法またはALD法により吸湿防止膜を成膜したので、プラズマCVD法で成膜したものに比べて、緻密な(吸湿防止膜を構成する分子が密な)膜を形成することができる。この緻密な膜が形成されるので、吸湿防止膜を構成する分子の隙間から加圧液室の液が入り込むのを抑制することができる。これにより、吸湿防止膜が薄くても、十分な耐吸湿性を得ることができる。また、膜厚が薄くできるので、吸湿防止膜の剛性や膜応力の影響を抑えることができ、振動板の剛性及び膜応力を所液滴吐出特性が得られる剛性及び膜応力にすることができる。
液滴吐出ヘッドの斜視図。 液滴吐出ヘッドの加圧液室の短辺長の断面図。 液滴吐出ヘッドの加圧液室の長辺方向の断面図。 液滴吐出ヘッドをノズル面側から見た平面図。 図4のX−X'断面図。 図4のY−Y'断面図。 図4のX−X'断面での液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図。 図4のY−Y'断面での液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図。 振動板の変形例を示す図。 インクカートリッジの斜視図。 インクジェット記録装置の斜視図。 インクジェット記録装置の機構部の構成を示す図。
図1は、本実施形態のアクチュエータ手段としての振動板2aと圧電素子2bとからなる圧電型アクチェータ2を有する液滴吐出ヘッド1の斜視図である。図2は、図1の加圧液室5の短辺長の断面図であり、図3は、図1の加圧液室5の長辺方向の断面(図1の点線)を示す。
図1〜図3に示すように、液滴吐出ヘッド1は、ノズル基板300に設けたノズル孔6から液滴を吐出させるサイドシュータータイプのものであり、ノズル基板300と、第1基板100と、第2基板200とを有している。具体的には、ノズル基板300上に第1基板100が積層形成されており、第1基板100上に第2基板200が積層形成されている。
第1基板100のベース部材100aには、加圧液室隔壁4により仕切られた複数の加圧液室5と、共通液室8と、各加圧液室5と共通液室8とを連通する流体抵抗部7とを有している。このベース部材100a上にアクチュエータ手段としての圧電型アクチェータ2が形成されている。具体的には、圧電型アクチェータ2の振動板2aが、ベース部材100aに形成されており、振動板2a上の各加圧液室5の上面を形成する箇所の反対側の箇所に振動発生手段としての圧電素子2bが形成されている。圧電素子2bは、図2に示すように、共通電極10と個別電極11と圧電体12から形成されている。各加圧液室5と流体抵抗部7の上部は、振動板2aに覆われているが、共通液室8の上部は、振動板2aに覆われておらず、開口している。
第1基板100の上に形成される第2基板200には、外部から液滴を供給する液滴供給口66と共通インク流路9(図3参照)、および振動板2aが撓むことができるように個々の加圧液室5に対応した位置にザグリ67が形成されている。共通インク流路9は、共通液室8の真上に形成されており、液滴供給口66、共通インク流路9を介して、液滴であるインクを外部から共通液室8へ供給できるようになっている。
ノズル基板300には、個々の加圧液室5に対応した位置にノズル孔(液滴吐出孔)6が形成されている。
このように形成された液滴吐出ヘッド1においては、各加圧液室5内に液体、例えば記録液(インク)が満たされた状態で、図示しない制御部から画像データに基づいて、記録液の吐出を行いたいノズル孔6に対応する圧電素子2bの個別電極11に対して、発振回路により、例えば20Vのパルス電圧を印加する。この電圧パルスを印加することにより、圧電体12は、電歪効果により圧電体12そのものが振動板2aと平行方向に縮むことにより、振動板2aが加圧液室5の方向に撓む。これにより、加圧液室5内の圧力が急激に上昇して、加圧液室5に連通するノズル孔6から記録液が吐出する。次にパルス電圧印加後は、縮んだ圧電体12が元に戻ることから撓んだ振動板2aは元の位置に戻るため、加圧液室5内が共通液室8内に比べて負圧となり、外部から液滴供給口66を介して供給されているインクが共通インク流路9、共通液室8から流体抵抗部7を介して加圧液室5に供給される。これを繰り返すことにより、液滴を連続的に吐出でき、液滴吐出ヘッドに対向して配置した被記録媒体(用紙)に画像を形成する。
図4は、液滴吐出ヘッド1をノズル面側から見た平面図であり、図5は、図4のX−X'断面図であり、図6は、図4のY−Y'断面図である。
図4〜6に示すように、振動板2aは、振動板構成膜として、加圧液室5から吸湿防止層(膜)22、振動板構成層(膜)23の少なくとも2層構成で形成されている。
次に、図7、図8を用いて、液滴吐出ヘッド1の製造工程について、説明する。
図7は、図4のX−X'断面での液滴吐出ヘッド1の製造工程を示す図であり、図8は、図4のY−Y'断面での液滴吐出ヘッドの製造工程を示す図である。
図7(a)、図8(a)に示すように、第1基板100のベース部材100aとしてのシリコン単結晶基板21(例えば板厚400μm)に振動板構成膜として、例えば吸湿防止膜22としてLP(Low pressure)−CVD法(減圧CVD法)でシリコン窒化膜(膜厚10nm)を成膜する。次に、振動板構成膜23を、例えば、LP−CVD法でシリコン酸化膜、ポリシリコン膜、あるいはアモルファスシリコン膜、シリコン窒化膜などを所望の振動板剛性になるように成膜する。ここで、振動板構成膜23は、単層でも、積層でも構わない。
ここで、LP−CVD法によるシリコン窒化膜の成膜について、説明する。
上記シリコン単結晶基板21が収納された反応炉を真空ポンプにより10〜100Pa(例えば、30Pa)の低圧状態にし、ヒータなどの加熱手段により反応炉内を600〜900℃(例えば、800℃)に加熱する。そして、SiH2Cl2(ジクロルシラン)とNH3(アンモニア)の原料ガスを反応炉に流し、反応炉内で気相反応させて、Si(窒化珪素)、HCl(塩素)、H(水素)を生成する。そして、気相反応により生成されたSi(窒化珪素)が、シリコン単結晶基板21と吸着反応して、シリコン窒化膜が形成される。
吸湿防止膜22の膜厚は、振動板剛性への影響を考慮すると膜厚は30nm以下が好適である。本実施形態においては、LP−CVD法により吸湿防止膜22を成膜することで、緻密な(窒化珪素の分子が密な)吸湿防止膜22を成膜することができる。これにより、10nm以上の膜厚で、吸湿防止機能を十分得ることができ、吸湿防止機能を得つつ、吸湿防止膜22を振動板剛性への影響が及ばない膜厚にすることができる。但し、吸湿防止膜22自体も吸湿防止機能だけでなく、振動板剛性に寄与させるのであれば、30nm以上の膜厚でもよい。
次に、図7(b)、図8(b)に示すように、例えば、TiとPtからなる共通電極10をスパッタ法で例えば各々30nmと100nm成膜する。次に共通電極10上に圧電体12としてPZTを例えばスパッタ法で2μm厚成膜し、その後、個別電極11となるPtをスパッタ法で100nm成膜する。ここで、圧電体12の成膜方法は、スパッタ法に限らず、例えばイオンプレーティング法、エアーゾル法、ゾルゲル法、あるいはインクジェット法等などで成膜してもよい。
次に、図7(c)、図8(c)に示すように、リソエッチ法により、後に形成する加圧液室5に対応する位置に圧電素子2bを形成する為、個別電極11と圧電体12をパターニングする。また、その後、共通電極10も同様にリソエッチ法でパターニングする。このとき、後の共通液室8と共通インク流路9が形成される部分の共通電極10もエッチングしておく。
次に、図7(d)、図8(d)に示すように、後の共通液室8になる箇所の振動板構成膜をリソエッチ法で除去する。そして次に、共通インク流路9、液滴供給口66、ザグリ67を形成した例えばガラス材で形成した第二の基板200を第1の基板100に接合する。接合には、接着剤による接合や直接接合等でもかまわないが、接着剤を使わない直接接合が好適である。ここで、第二の基板200としてガラス材を適用したが、シリコン単結晶基板等でもよい。但し、シリコン単結晶基板の場合、後の第一の基板100の加圧液室5等を形成するエッチングで基板がエッチングされないように耐性のある膜、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜を共通インク流路内壁(不図示)および、基板表面に形成しておく必要がある。次に、後の加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7を形成するために、シリコン基板21を所望の厚さt(例えば厚さ80μm)になるように、公知の技術で研磨する。研磨法以外にもエッチングなどでもよい。
次に、図7(e)、図8(e)に示すように、リソ法により、加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7以外の隔壁部をレジストで被覆する。その後、アルカリ溶液(KOH溶液、あるいはTMHA溶液)で異方性ウェットエッチをおこない加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7を形成する。この時、加圧液室5底部に露出する吸湿防止膜22は、アルカリ溶液に対して、ほとんどエッチングされない為、吸湿防止機能は損なわれることはない。
次に、図7(f)、図8(f)に示すように、別に形成した各加圧液室5に対応した位置にノズル孔6を開口したノズル基板300を接合して、液滴吐出ヘッド1が完成する。
このように、振動板2aを吸湿防止膜22と振動板構成層23との積層構成とすることにより、振動板(振動板構成層23)の吸湿による剛性変動が抑制、抑止できる。従って、経時にわたり振動板2aの振動特性の変動を抑えることができ、信頼性が高く安定した液滴吐出ヘッドを実現できる。また、本実施形態においては、振動板構成層23も、LP−CVD法で成膜している。このように、振動板構成層23を、LP−CVD法で成膜することで、均一な膜厚にすることができ、高精度な振動特性を実現することができる。これにより、高精度で信頼性が高く安定した液滴吐出性能が得られる液滴吐出ヘッド1を得ることができる。
上記では、加圧液室形成には、アルカリ溶液でのウェットエッチングを行ったが、ICPエッチャーを適用してドライエッチングで加圧液室5を形成してもよい。この時、振動板2aの構成、すなわち加圧液室5底部に吸湿防止膜22が露出すると、Siと吸湿防止膜22のエッチレート選択比がウェットエッチングより小さい為、エッチング時に吸湿防止膜22がエッチングされ、成膜時の膜厚より薄くなるか、最悪完全にエッチングされてしまう。これを、防止する為、図9に示すように液室加工時のエッチストップ層24を必要最小限の膜厚で、吸湿防止膜22の上層に形成する。こうすることにより、加圧液室5の加工時に振動板が露出しても、エッチストップ層24でエッチングがストップするため、吸湿防止膜22がエッチングされることがなく、吸湿防止効果を確保することができる。すなわち、この場合、振動板2aの加圧液室側の最外層が、エッチストップ層24となり、吸湿防止膜22が、最外層から2層目になる。
ICPエッチャーでSiとの選択比が十分確保できる膜種として、シリコン酸化膜が代表的な材料である。一般的には、Siとシリコン酸膜膜にエッチング選択比は、300程度であるから、例えば、加圧液室加工深さ80μmとして、オーバーエッチを10%行うとすると、この時、加圧液室5底部のエッチストップ層24であるシリコン酸化膜は、約30nm程度エッチングされることになる。従って、エッチストップ層24の成膜膜厚は、50〜80nm程度あれば十分である。シリコン酸化膜は、吸湿するが、この程度の膜厚であれば、加圧液室5内のインク液を吸湿して機械的特性が変動しても、振動板剛性にはほとんど寄与せず、振動板2aの振動特性が変動はほとんどない。
以上より、エッチストップ層24を吸湿防止膜22上にごく薄く成膜することにより、ICPエッチャーを適用してドライエッチングで加圧液室5を形成しても、吸湿防止膜22が成膜時よりも薄くなることはない。これにより、振動板構成層23への吸湿を確実に防止でき、信頼性が高く安定した液滴吐出性能が得られる液滴吐出ヘッドを実現できる。
また、上記では吸湿防止膜22は、振動板の機能や液吐出ヘッドの製造プロセスの整合性を鑑みて、LP−CVD法による成膜が可能なシリコン窒化膜としたが、吸湿防止機能を有し、LP−CVD法による成膜が可能な材料であればよい。また、製造プロセスの整合が得られれば、吸湿防止膜22を、例えばALD(atomic layer deposition)法で成膜したAl(アルミナ)膜でもよい。
ここで、ALD法によるアルミナ膜の成膜について説明する。
まず、シリコン単結晶基板21が収納された反応炉にAl(CH(トリメチルアルミニウム:TMA)ガスを流入させ、基板21上にTMAを化学吸着させる。次に、基板21上をTMAが十分に覆い尽くしたら、反応炉内の残留ガスを真空ポンプにより排出する。すると、基板21上のTMAのCH基の反発により基板21上には、1分子層のTMAだけが残り、残りの基板上のTMAは、反応炉から排出される。次に、反応炉内に水を導入すると、基板21上のTMAと化学反応起こして、Al(アルミナ)とCH(メタン)が生成される。そして、再び真空ポンプで反応炉内の残留物(メタン)を排出させると、基板21上に1分子層のアルミナ膜が成膜される。上記サイクルを繰り返し行うことで、所定の膜厚のアルミナ膜が、基板21上に成膜される。
ALD法により吸湿防止膜22を成膜することでも、緻密な(アルミナ分子が密な)吸湿防止膜22を成膜することができる。これにより、吸湿防止膜22が、30nm以下と薄い膜厚でも、十分な耐吸湿性を発揮することができ、吸湿防止膜22の膜厚が、振動板剛性へ影響を及ぼすことが抑制される。よって、振動板2aとして、所定の振動特性を確保しつつ、振動板(振動板構成層23)の吸湿による剛性変動が抑制、抑止できる。従って、経時にわたり振動板2aの振動特性の変動を抑えることができ、信頼性が高く安定した液滴吐出性能が得られる液滴吐出ヘッドを実現できる。
図10は、上述した液滴吐出ヘッド1を一体化した液体カートリッジとしてのインクカートリッジ80の斜視図である。
図10に示すように、インクカートリッジ80は、ノズル6等を有する液滴吐出ヘッド1と、この液滴吐出ヘッド1に対してインクを供給する液体タンクとしてのインクタンク82とを一体化したものである。このようにインクタンク82が一体型の液滴吐出ヘッド1の場合、圧電型アクチェータ2を高信頼化することで、インクカートリッジ80の信頼性を向上することができる。
図11は、上述した液滴吐出ヘッド1を搭載したインクジェット記録装置(画像形成装置)の斜視図であり、図12は、インクジェット記録装置の機構部の構成を示す図である。
図11、図12に示すように、インクジェット記録装置90は、記録装置本体の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ98とキャリッジ98に搭載した液滴吐出ヘッド1及び液滴吐出ヘッド1へインクを供給するインクカートリッジ99等で構成される印字機構部91等を収納している。また、記録装置本体の下方部には前方側から多数枚の用紙92を積載可能な給紙カセット(給紙トレイでもよい)93を抜き差し自在に装着されている。また、用紙92を手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ94を有し、給紙カセット93あるいは手差しトレイ94から給送される用紙92を取り込み、印字機構部91によって所要の画像を記録した後、後面側の装着された排紙トレイ95に排紙する。
印字機構部91は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド96と従ガイドロッド97とキャリッジ98を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ98には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッド1を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ98には液滴吐出ヘッド1に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ99を交換可能に装着している。
インクカートリッジ99は、上方に大気と連通する大気口、下方には液滴吐出ヘッド1へインクを供給する供給口が設けられ、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出ヘッド1へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、液滴吐出ヘッド1としては各色の液滴吐出ヘッド1を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液出ヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ98は後方側(用紙搬送下流側)を主ガイドロッド96に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送上流側)を従ガイドロッド97に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ98を主走査方向に移動走査するため、主走査モーター101で回転駆動される駆動プーリ102と従動プーリ103との間にタイミングベルト104を張装し、このタイミングベルト104をキャリッジ98に固定しており、主走査モーター101の正逆回転によりキャリッジ98が往復駆動される。
一方、給紙カセット93にセットした用紙92を液滴吐出ヘッド1に下方側に搬送するために、給紙カセット93から用紙92を分離給装する給紙ローラー105及びフリクションパッド106と、用紙92を案内するガイド部材107と、給紙された用紙92を反転させて搬送する搬送ローラー108と、この搬送ローラー108の周面に押し付けられる搬送コロ109及び搬送ローラー108からの用紙92の送り出し角度を規定する先端コロ110とを有する。搬送ローラー108は副走査モーターによってギア列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ98の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラー108から送り出された用紙92を液滴吐出ヘッド1の下方側で案内するため用紙ガイド部材である印写受け部材111を設けている。この印写受け部材111の用紙搬送方向下流側には、用紙92を排紙方向へ送り出すための回転駆動される搬送コロ112と拍車113を設け、さらに用紙92を排紙トレイ95に送り出す排紙ローラー114と拍車115と排紙経路を形成するガイド部材116、117とを配設している。
このインクジェット記録装置90で記録時には、キャリッジ98を移動させながら画像信号に応じて液滴吐出ヘッド1を駆動することにより、停止している用紙92にインクを吐出して1行分を記録し、その後、用紙92を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙92の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙92を排紙する。
また、キャリッジ98の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液滴吐出ヘッド1の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ98は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピン手段で液滴吐出ヘッド1をキャッピングして吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係ないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出状態を維持する。
また、吐出不良が発生した場合等には、キャピング手段で液滴吐出ヘッド1の吐出出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置90において、上述した液滴吐出ヘッド1を搭載しているので、経時にわたり安定したインク吐出特性が得られ、画像品質が向上する。インクジェット記録装置90に液滴吐出ヘッド1を使用した例を示したが、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド(スポッタ)などの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(6)態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
液滴を吐出するノズル6と、内部に上記液を収納し上記ノズル6が連通する加圧液室5と、上記加圧液室5に積層配置された振動板2aと、上記振動板2aの上記加圧液室側と反対側の面に当接して、上記振動板2aを振動させる圧電素子2bなどの振動発生手段とを有する圧電型アクチェータ2などのアクチュエータ手段とを備えた液滴吐出ヘッド1において、上記振動板2aの上記加圧液室内の上記液と接する最外層または上記最外層から2層目に、LP−CVD法またはALD法により成膜した吸湿防止膜22を備えた。
かかる構成とすることで、実施形態で説明したように、吸湿防止膜22が薄くても、十分な耐吸湿性を得ることができ、吸湿防止膜22が振動板2aの剛性に影響を及ぼすのを抑制することができる。これにより、振動板2aが、加圧液室5内のインクを吸湿して、振動板2aの振動特性が変動するのを抑制することができ、経時にわたり安定した吐出性能を維持することができる。
(2)
また、上記(1)に記載の態様の液滴吐出ヘッド1において、上記吸湿防止膜22の膜厚を、10nm以上、30nm以下にした。
かかる構成とすることで、十分な耐吸湿性を得つつ、吸湿防止膜22が振動板2aの剛性に影響を及ぼすのを抑制することができる。
(3)
また、上記(1)または(2)の液滴吐出ヘッド1において、上記吸湿防止膜22は、LP−CVD法によりにより成膜したシリコン窒化膜である。
かかる構成とすることで、十分な耐吸湿性を得ることができる。
(4)
また、上記(1)または(2)の液滴吐出ヘッド1において、上記吸湿防止膜22は、ALD法によりにより成膜したアルミナ膜である。
かかる構成とすることでも、十分な耐吸湿性を得ることができる。
(5)
また、液滴吐出ヘッド1と、この液滴吐出ヘッド1に液体を供給するインクタンク82などの液体タンクとが一体化されたインクカートリッジ80などの液体カートリッジにおいて、上記液滴吐出ヘッドとして、上記(1)乃至(4)いずれかに記載の態様の液滴吐出ヘッド1を用いた。
かかる構成とすることで、経時にわたり安定した吐出性能が得られ、液体カートリッジの信頼性を向上することができる。
(6)
また、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置などの画像形成装置において、上記液滴吐出ヘッドが上記(1)乃至(4)いずれかに記載の態様の液滴吐出ヘッド又は上記(5)に記載の態様の液体カートリッジの液滴吐出ヘッドである。
かかる構成とすることで、経時にわたり安定した印字性能を維持することができ、信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
1:液滴吐出ヘッド
2:圧電型アクチェータ
2a:振動板
2b:圧電素子
4:加圧液室隔壁
5:加圧液室
6:ノズル
7:流体抵抗部
8:共通液室
9:共通インク流路
10:共通電極
11:個別電極
12:圧電体
22:吸湿防止膜
23:振動板構成膜
24:エッチストップ層
66:液滴供給口
67:ザグリ
80:インクカートリッジ
82:インクタンク
90:インクジェット記録装置
91:印字機構部
100:第1基板
100a:ベース部材
200:第2基板
300:ノズル基板
特許3379538号公報

Claims (6)

  1. 液滴を吐出するノズルと、
    内部に上記液を収納し上記ノズルが連通する加圧液室と、
    上記加圧液室を構成する内壁の一つとして用いられる振動板と、
    上記振動板の上記加圧液室側と反対側の面に当接して、上記振動板を振動させる振動発生手段とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記振動板は、複数の層で構成されており、上記加圧液室内の上記液と接する最外層または上記最外層から2層目に、LP−CVD法またはALD法により成膜した吸湿防止膜を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項1の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吸湿防止膜の膜厚を、10nm以上、30nm以下にしたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項1または2の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吸湿防止膜は、LP−CVD法によりにより成膜したシリコン窒化膜であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項1または2の液滴吐出ヘッドにおいて、
    上記吸湿防止膜は、ALD法によりにより成膜したアルミナ膜であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 液滴吐出ヘッドと、該液滴吐出ヘッドに液体を供給する液体タンクとが一体化された液体カートリッジにおいて、
    上記液滴吐出ヘッドとして、請求項1乃至4いずれかの液滴吐出ヘッドを用いたことを特徴とする液体カートリッジ。
  6. 液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを搭載した画像形成装置において、
    上記液滴吐出ヘッドが請求項1至4いずれかの液滴吐出ヘッド又は請求項5の液体カートリッジの液滴吐出ヘッドであることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016074189A (ja) * 2014-10-08 2016-05-12 ローム株式会社 インクジェット装置

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