JPH11147316A - インクジェット記録ヘッド及びノズル板の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びノズル板の製造方法

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JPH11147316A
JPH11147316A JP31489397A JP31489397A JPH11147316A JP H11147316 A JPH11147316 A JP H11147316A JP 31489397 A JP31489397 A JP 31489397A JP 31489397 A JP31489397 A JP 31489397A JP H11147316 A JPH11147316 A JP H11147316A
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ink
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録ヘッドに関し、微小な穴
径のノズルをもち、十分な厚さをもったノズル板を備え
たインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とす
る。 【解決手段】 複数のノズル32を有するノズル板34
と、該ノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室を形成す
る板部材と、該圧力室の外壁を形成する圧力板と、該圧
力板に圧力を印加して該圧力室のインクに圧力を付与す
るためのトランスデューサとを有し、該ノズル板34
は、金属板52と樹脂シート54の積層体からなり、ノ
ズル板34は、複数の穴を形成してある金属板52に樹
脂シート54を接合し、該金属板側よりレーザ照射を行
うことにより該樹脂シートに該金属板の穴56と連通す
る穴を形成することにより形成される構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプリンタやファクシ
ミリ等の画像記録装置に使用されるインクジェット記録
ヘッド及びそれに使用されるノズル板の製造方法に関す
る。特に、本発明はインクジェット記録ヘッドにおいて
一度に噴射されるインク量が微小(例えば20pl以
下)なノズルを有するノズル板に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばプリンタにおいては、ワイヤを駆
動し、インクリボン及び用紙を介してプラテンに押圧す
ることで印字を行うワイヤ駆動型の記録ヘッドと、イン
クをノズルから噴射するインクジェット記録ヘッドとが
ある。後者のタイプは前者のタイプと比べて騒音が発生
せず、オフィス内での使用に適しているとして注目され
ている。
【0003】従来のインクジェックト記録ヘッドは、ノ
ズルと、圧力室と、インク供給系と、インクタンクと、
トランスデューサとを備え、トランスデューサで発生し
た変位を圧力室に伝達することによってノズルからイン
クを噴射させ、紙等の記録媒体上に文字や画像を記録す
る。一般によく知られている方式は、トランスデューサ
として圧力室の外壁に接着された圧電素子ユニットを用
いる。この圧電素子ユニットにパルス状の電圧を加え、
圧力室の内壁を形成する加圧板を撓ませ、加圧板の撓み
を圧力室内に伝達するものである。
【0004】従来のインクジェット記録ヘッドに用いら
れるノズル板の製造方法の一例が図13に示されてい
る。図13に示されるノズル板1は電鋳法により製造さ
れる。すなわち、(A)に示されるように、導電性を有
する平板2の上に数μm以下の厚さの絶縁性のマスク
(レジスト)3を形成し、(B)に示されるように、オ
ーバーハングによる電鋳にてNiメッキ板4を形成し、
(C)に示されるようにNiメッキ板4を平板2及びマ
スク3から剥離してノズル板1とする。マスク3の跡の
部分がノズル5となる。
【0005】また、図14に示されるノズル板1はプレ
ス法により製造される。すなわち、(A)に示されるよ
うに、金属板6に所望の形を有するピン7をプレスし、
(B)に示されるように、金属板6の表面を研磨してプ
レスによるバリ等を除去してノズル板1とする。ピン7
の跡の部分がノズル5となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】いずれの場合にも、ノ
ズル板1のノズル5は非常に小さく、インク噴射側の穴
径が例えば35μm以下になる。このように非常に小さ
な穴径のノズル5を有するノズル板1を製造する場合、
ノズル板1の厚さをある程度に確保するのが難しかっ
た。所望の厚さのノズル板1を得ようとする場合、次の
ような問題点があった。
【0007】マスクを用いた電鋳法では、ノズル穴径の
制御はメッキ時間、電流、メッキ液内のNi濃度等を制
御しなければならず、全てを適切に制御することは非常
に困難である。ノズル板の厚さは形成するノズルの穴径
とノズルピッチにより一義的に決定されるので、ノズル
の穴径が小さいほど、ノズル板の厚さは薄くなる。ノズ
ル形状がホーン状に変化するため、設計が困難である。
また、ノズル形状はメッキ槽内の液の流れにより形が変
形する。
【0008】また、プレス法では、ノズルの穴径が小さ
いほど、プレス用のピンが細くなり、ピン先端の寿命が
短い。加工可能な金属板の厚さtmはプレスに用いるピ
ンの径dpに依存し、tm≦1.6×dpの式の範囲で
制限される。従って、ノズルの穴径が小さいと、金属板
の厚さを厚くすることができない。さらに、電鋳法及び
プレス法のどちらの方法においても、ノズル板のインク
飛翔側の表面に撥水膜を形成する場合、ノズル板のノズ
ル内に撥水膜の材料がつまらないようにしなければなら
ず、撥水膜を形成に際してノズル内にレジスト等を埋め
込むことが必要になる。これは、ノズル内でのレジスト
先端の位置制御が困難である。撥水膜形成後に穴内にレ
ジストが残留する。
【0009】また、ノズル板の厚さを増加するために、
穴あきの複数の板を積層してノズル板を形成した場合、
各板の穴を整合させるのが難しく、ノズル内に複数の板
を接合するときのずれからくる段差が発生するという問
題がある。本発明の目的は、微小な穴径のノズルをも
ち、十分な厚さをもったノズル板を備えたインクジェッ
ト記録ヘッドを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によるインクジェ
ット記録ヘッドは、複数のノズルを有するノズル板と、
該ノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室を形成する板
部材と、該圧力室の外壁を形成する圧力板と、該圧力板
に圧力を印加して該圧力室のインクに圧力を付与するた
めのトランスデューサとを有し、該ノズル板は、金属板
と樹脂シートの積層体からなることを特徴とするもので
ある。
【0011】ノズル板は、金属板と樹脂シートの積層体
からなる構成とすることにより、比較的に薄い金属板に
ノズルに相当する穴を形成し、この金属板に接合された
樹脂シートに金属板の穴に基づいて穴を形成して、ノズ
ル板のノズルとすることができる。こうして、微小な穴
径のノズルをもった、所望の厚さのノズル板を得ること
ができる。さらに、金属板と樹脂シートとを接合してノ
ズル板を形成し、樹脂シートを外面側に配置することに
より、ノズル板からインクを噴射した時にノズル板の表
面に付着したインクを除去する場合、金属単体のノズル
板よりも容易にインクを除去することができる。
【0012】該ノズル板は、該ノズルに相当する複数の
穴を形成してある該金属板に該樹脂シートを接合し、該
金属板側よりレーザ照射を行うことにより該樹脂シート
に該金属板の穴と連通する穴を形成することにより製造
されることができる。この場合、金属板に樹脂シートを
接合し、金属板側から全面にレーザー光を照射する。レ
ーザー光としてはエキシマレーザー等の加工性のあるも
のとし、金属板が樹脂シートへのレーザ照射の際のマス
クとして作用し、金属板の微小穴を通過したレーザ光が
接合してある樹脂シートに当たり、樹脂シートの照射さ
れた部分のみを加工する(削る)。よって、複数の微小
な穴径のノズルを有するノズル板がノズル内に段差がな
く得られる。
【0013】上記構成とともに次の構成を採用すること
ができる。該ノズル板の該金属板と該樹脂シートとの接
合部において、該ノズル板の表面と平行をなす該樹脂シ
ート面が該金属板の穴から露出していない。該樹脂シー
トの穴の内壁のノズルの中心と平行な線に対する角度と
該金属板の穴の内壁のノズルの中心と平行な線に対する
角度との差がが30度以下である。
【0014】該ノズル板の該金属板と該樹脂シートの厚
さの比は、50:1〜0.4:1の範囲内にある。該ノ
ズル板の該金属板の厚さ(tm)は、該ノズルとして形
成する穴の直径(D)に対して、0.002D≦tm≦
1.0×Dの範囲内の厚さである。該樹脂シートとして
用いる材料としては、PEN、PET、PES等の耐イ
ンク性のあるもの、並びにドライフィルムレジストのい
ずれかを用いる。
【0015】ドライフィルムレジストを用いる場合、該
樹脂シートを該金属板にラミネートし、加熱硬化を行っ
た後に、レーザ照射にてノズル穴形成を行う。該金属板
と該樹脂シートとの接合面に熱硬化性接着剤が塗布して
ある。該樹脂シートには該金属板とは反対側に撥水膜が
形成してある。
【0016】
【発明の実施の形態】図10は、インクジェット記録ヘ
ッド10を有するプリンタ12を示す側面図である。図
10において、プリンタ12はキャリッジ14を有し、
インクジェット記録ヘッド(以下単にヘッドと言う)1
0とインクタンク16とがキャリッジ14に取り付けら
れている。プリンタ12はさらに送りローラ18及びそ
のピンチローラ20、ヘッド10と対向するプラテン2
2、排出ローラ24及びそのピンチローラ26、並びに
スタッカ28を有する。印刷用紙等の記録媒体30は、
送りローラ18及びピンチローラ20によってヘッド1
0とプラテン22の間へ搬送され、ヘッド10によって
インクを噴射され、印字等の処理を行われた後、排出ロ
ーラ24及びそのピンチローラ26によってスタッカ2
8へ排出される。
【0017】図11はヘッド10を示す分解斜視図であ
る。図12はヘッド10を示す部分断面図である。図1
1において、ヘッド10は、ノズル32を有するノズル
板34と、インク流露形成板36、38と、加圧板40
と、トランスデューサとしての圧電素子ユニット42と
からなる。圧電素子ユニット42はホルダ44に配置さ
れ、ノズル板34とインク流露形成板36、38と加圧
板40は順番に重ねられてホルダ44に取り付けられ
る。ピン46はこれらの板部材をホルダ44に対して位
置決めする。
【0018】ホルダ44はインクタンク16に通じるイ
ンク通路48を含み、このインク通路48は加圧板40
に設けられた穴状のインク通路40a、流露形成板3
6、38に設けられた穴状のインク通路36a、38a
を介して、流露形成板36に設けられた溝状のインク通
路36iに連通する。さらに、流露形成板36、38は
ノズル板34のノズル32と対応して形成された小孔3
6p、38pを有し、これらの小孔36p、38pは図
12に示される圧力室Pを形成する。各圧力室Pは溝状
のインク通路36iに通じている加圧板40は切り欠き
によって分離された振動壁部40qを有する。加圧板4
0の振動壁部40qは図12に示されるように圧力室P
の外壁を形成し、隣接する振動壁部40qは弾性部40
rで接続される。圧電素子ユニット42は接着剤50に
よって振動壁部40qに固着される。
【0019】ホルダ30の圧電素子ユニット42の後側
にはプリント板が設けられており、図示しないインクジ
ェット記録装置本体からの印字信号がプリント板を介し
て圧電素子ユニット42へ伝えられる。圧電素子ユニッ
ト42に電圧を印加すると、圧電素子ユニット42は伸
縮し、加圧板40の振動壁部40qを動かして圧力室P
内のインクに圧力を発生させ、ノズル板34のノズル3
2からインク滴Iを噴射させる。図11及び図12にお
いては、ノズル板34は4列のノズル32を有する。
【0020】図1はヘッド10のノズル板34を製造す
る手順及びノズル板32の特徴を示す図である。図1に
おいては、(A)に示されるように、所定の厚さの金属
板52と所定の厚さの樹脂シート54とが準備される。
金属板52は製造すべきノズル板34のノズル32に相
当する複数の微小穴径の穴56と、位置決めピン46を
挿入するための位置決め穴58とを有する。樹脂シート
54は基本的に穴をもたない。
【0021】図1の(B)に示されるように、樹脂シー
ト54は金属板24に接合される。それから、図1の
(C)に示されるように、樹脂シート54と金属板24
との積層体に、金属板52側から全面にレーザー光
(L)を照射する。レーザー光としてはエキシマレーザ
ー等の加工性のあるものとする。金属板52が樹脂シー
ト54へのレーザ照射の際のマスクとして作用し、金属
板52の微小な穴56を通過したレーザ光が接合してあ
る樹脂シート54に当たり、金属板52の穴56を透過
したレーザ光が樹脂シート54を加工する(削る)。
【0022】よって、図2に示されるように、樹脂シー
ト54には金属板52の穴56と連通する穴60が形成
される。金属板52と樹脂シート54との積層体がノズ
ル板34となり、穴56と穴60がノズル32となる。
使用においては、樹脂シート54がヘッド10の表面
側、すなわちインクの飛翔側に配置される。このよう
に、ノズル板34は、金属板52と樹脂シート54の積
層体からなる構成とすることにより、比較的に薄い金属
板52にノズル32に相当する穴56を形成し、この金
属板52に接合された樹脂シート54に金属板52の穴
56に基づいて穴60を形成して、ノズル32をもった
ノズル板34を製造することができる。こうして、微小
な穴径のノズル32をもった、所望の厚さのノズル板3
4を得ることができる。これによって、ノズル板34の
ノズル32のインク噴射側の穴径が35μm以下であっ
ても、十分な厚さのノズル板34を得ることができる。
さらに、金属板52と樹脂シート54とを接合してノズ
ル板34を形成し、樹脂シート54を外面側に配置して
使用することにより、ノズル板34からインクを噴射し
た後にノズル板34の表面に付着したインクを除去する
場合、金属単体のノズル板よりも容易にインクを除去す
ることができる。
【0023】金属板52と樹脂シート54との接合部に
おいて、ノズル板34の表面と平行をなす樹脂シート面
が金属板52の穴56から露出していない。つまり、穴
56の内壁と穴60の内壁とは段差がなく連続する。も
しノズル32の内壁が連続でなく、金属板52と樹脂シ
ート54との接合面の一方がノズル32から露出してい
る場合は、樹脂シート54に形成した穴60と金属板5
2に形成した穴56との段差に気泡が残留したり、イン
クのメニスカスの移動時に段差部で挙動が不連続とな
り、安定したインク飛翔が得られない。
【0024】金属板52をマスクとしてレーザ光の照射
により形成された樹脂シート54の穴60は概してテー
パーをもつ形状になる。テーパーの角度はレーザ光の照
射の仕方によって制御できる。図2においては、金属板
52の穴56はテーパーをもつ形状に形成され、樹脂シ
ート54の穴60も金属板52の穴56のテーパーと同
様のテーパーをもつ形状に形成される。従って、金属板
52の穴56と樹脂シート54の穴60とはほぼ単一の
円錐面形状の内壁をもったノズル32を形成する。
【0025】図3においては、樹脂シート54の穴60
の内壁のノズル32の中心と平行な線に対する角度θp
と金属板52の穴56の内壁のノズル32の中心と平行
な線に対する角度θmとが異なっている。θm≧θpで
ある。図4においては、樹脂シート54の穴60の内壁
のノズル32の中心と平行な線に対する角度θpと金属
板52の穴56の内壁のノズル32の中心と平行な線に
対する角度θmとの差が30度以下である。すなわち、
(θm−θp)<30°である。
【0026】このように、ノズル板34における金属板
52の穴60の内壁と樹脂シート54の穴60の内壁と
の角度差を30度以下にすることで、インク噴射後のイ
ンク飛翔位置がノズル板34に形成したノズル32の中
心線上に集まり、記録媒体上の所望の位置に印字が可能
となる。金属板52の穴60の内壁と樹脂シート54の
穴60の内壁との角度差を小さくすることで、インク飛
翔位置のバラツキは小さくなる。
【0027】図5は、ノズル板34を形成するための金
属板52を形成する例を示す図である。図5において
は、金属板52は電鋳法により形成される。すなわち、
導電性の板62に絶縁性の突起64を形成しておき、導
電性の板62を一方の電極としてニッケルメッキを行う
と、ニッケルメッキ層として金属板52が形成される。
金属板52を導電性の板62の板から剥離すると、穴5
6は絶縁性の突起64の跡に形成される。
【0028】図6は、ノズル板34を形成するための金
属板52を電鋳法により形成する他の例を示す図であ
る。図6においては、導電性の板62に絶縁性の突起6
4を形成しておき、突起64が円錐形の形状を有するも
のとする。導電性の板62を一方の電極としてニッケル
メッキを行うと、ニッケルメッキ層として金属板52が
形成される。金属板52を導電性の板62の板から剥離
する、テーパーをもった穴56が絶縁性の突起64の跡
に形成される。金属板52の形成においては、ノズル板
34の金属板52がインクに接触してもインク内の成
分、例えば染料等に対してこれらを凝集もしくは析出さ
せないように、スルファミン酸系のメッキ液を用いるこ
ととする。
【0029】従来はノズル板全体を電鋳法のみによって
形成せしめようとしていたため、形成する所望の穴径に
対して板の厚さが得られず、ノズル部でのインク保持力
か小さくなっていた。これに対して、本発明では電鋳に
よる金属部分は微小穴径形成のみを目的とし、後に金属
板に樹脂シートを接合することから、ノズル部でのイン
ク保持力は接合し、微小穴形成をした樹脂シートから得
られることから、ノズルとして有効となる。
【0030】図7は、ノズル板34を形成するための金
属板52をプレス法により形成する例を示す図である。
図7においては、金属板52を先端がテーパー形状のピ
ン66でプレスする。テーパーをもった穴56がピン6
6の跡に形成される。本発明においては、ノズル板34
は金属板52と樹脂シート54との積層体として形成さ
れるので、金属板52自体には金属単体でノズル板を形
成する場合ほどの厚さは要求されない。そして、図2か
ら図4に示したようにノズルがテーパー形状に形成され
る場合、樹脂シート54の穴60が小さくても、金属板
52の穴56の大きさは金属単体でノズル板を形成する
場合よりも微小でなくてもよい。
【0031】ノズル板34の金属板52と樹脂シート5
4の厚さの比は、50:1〜0.4:1の範囲内にある
のが望ましい。ノズル32の穴56、60の内壁が形成
する角度差の上記条件内において、ノズル板34を形成
する金属板52の厚さtmの範囲は、5μm≦tm≦1
00μmにあるのが好ましい。金属板52の厚さが5μ
mより薄い場合は樹脂シート54を接合する時にしわや
変形が極端に増加し、100μmより厚い場合は微小穴
径の加工性が低下する。また、ノズル板34の金属板5
2に関し、金属板52の厚さtmは、ノズル32として
形成する穴56の最小直径(D)に対して、0.002
D≦tm≦1.02×D の範囲内の厚さであるのが好
ましい。
【0032】金属板52の加工範囲に対する樹脂シート
54の厚さの範囲は、金属板52と樹脂シート54との
形成するノズル32の毛管力等のインク保持力を考慮
し、金属板52の厚さが、50μm≦tm≦100μm
の場合には、樹脂シートの厚さtpの範囲は、2μm≦
tp≦50μmとするのがよい。また、金属板52の厚
さが、5μm≦tm≦50μmの場合には、樹脂シート
の厚さtpの範囲は、6μm≦tp≦100μmとする
のがよい。
【0033】樹脂シート54として用いる材料として
は、PEN、PET、PES等の耐インク性のあるも
の、もしくはドライフィルムレジストを用いるのがよ
い。樹脂シート54と金属板52との接合面に熱硬化性
接着剤が塗布してある。ドライフィルムレジストを用い
る場合、金属板52上にラミネート後、加熱硬化を行っ
た後に、レーザ照射にてノズル穴形成を行う。また、樹
脂シート54の熱硬化性接着剤の塗布面とは反対側に撥
水膜が形成してある。
【0034】金属板52の形成に電鋳法を用いる場合、
図5及び図6に示されるように絶縁性の突起64を用い
る場合、形成する金属板52の厚さtmは所望のノズル
径に対応する絶縁性の突起(例えばレジスト)64の直
径drに対して、tm<drの範囲とする。従来よりの
問題点であったメッキ後の成長面の研磨は、電鋳による
金属板52の厚さをより厚くとろうとする場合に発生
し、本発明における板厚さの範囲内では、微小穴径が3
5μmの場合に絶縁性の突起64のまわりに形成される
金属の厚さの増加は3μm以下であり、これは、後の工
程で吸収可能な厚さである。また、本発明では樹脂シー
ト54接合後に金属板52側からレーザ照射を行うため
に、本過程において金属板52の微小穴内に残留したレ
ジストは除去することが可能である。
【0035】金属板52に形成する微小穴径に関し、前
記金属板52の厚さの範囲内で、金属製のピン66によ
るプレス加工で形成する場合、本発明では後に金属板5
2に樹脂シート54を接合することから、ノズル部での
インク保持力は接合し、微小品形成をした樹脂シート5
4により得られることから、ノズル32として有効にな
る。
【0036】従来よりの加工法であるプレス法による微
小穴に関し、金属板の厚さを最大限で得ようとするた
め、使用するピン66の寿命が短くなる。本発明では、
金属板52は樹脂シート54に微小穴を形成するために
レーザ照射用のマスクとして樹脂シート54上に接合し
ていればよいので、金属板52にノズル32の長さに対
応する厚さを必要としない。このため、微小な穴が精度
よく形成されていればよく、金属板52の厚さは使用す
るピン66に負担を与えない範囲とすることができる。
【0037】ノズル板34の樹脂シート54に用いる樹
脂は、常にインクと接触していることから、インクに対
して膨潤あるいは溶解等が発生してはいけない。インク
には数パーセント程度のアルコール分が入っており、耐
性のあるPEN、PET、PESあるいはインクジェッ
ト記録ヘッドのインク流露を形成するために用いるドラ
イフィルムレジストを用いることが望ましい。
【0038】樹脂シート54を用いる場合には、予め厚
さが均一で硬化後に耐インク性を有する接着剤が塗布し
てあるものとする。厚さの均一性は加工後のノズル32
の長さが接着剤部分でばらついた場合、ノズル32のイ
ンク保持力(液体の抵抗)がノズル32毎に異なり、結
果として噴射するインクの量、速度にバラツキが発生す
る。
【0039】図8はノズル板34を形成するための金属
板52を取り出すための基板70を示す図である。基板
70は複数の(4個の)金属板52を取り出すようにな
っている。基板70はステンレス板であり、各金属板5
2は穴56を有する。金属板52の厚さを20μmと
し、穴56の直径を20μmとし、穴56の内壁の角度
θpを0度として形成した。基板70は金属板52を切
り出すための弱め線68を形成してある。
【0040】図9は樹脂シート54の例を示す図であ
る。樹脂シート54はPEN#26(tp=16μm)
を基材とし、樹脂シート54の金属面板52との接合面
側にパナック(株)製のポリウレタン系熱硬化型接着剤
70を5μm塗布し、樹脂シート54の系熱硬化型接着
剤の塗布面とは反対側に(株)永井表面技術研究所製の
撥水性膜72を2μmコーティングした。基板70から
金属板52をを切り出した後、金属板52と樹脂シート
54とを熱硬化型接着剤70を介して接合し、120℃
・5kg/cm2 ・0.5m/分でラミネートし、後に
150℃にて2時間、10kg/cm2 の圧力下で硬化
接着を行った。
【0041】この金属板52と樹脂シート54との積層
体を金属板54側からエキシマレーザを用いて樹脂シー
ト54に微小穴60を形成した。エキシマレーザの条件
は以下である。出力:50W、パルス幅:16ns、光
強度:0.85J/cm2 ・パルスであった。これによ
り、樹脂シート54に金属板52に形成した微小穴56
と同形状の微小穴60が同時に形成できた。
【0042】本発明のノズル板34を用いた場合、樹脂
シート54に形成したノズルの穴60が従来のノズル板
よりも長く形成できており、飛翔方向のバラツキも小さ
くなっている。特に、接着剤70は樹脂シート54に予
め塗布する接着剤であるため、接合時に熱により再び溶
解し、接着硬化が現れる熱硬化性接着剤であるのが好ま
しい。さらに、硬化後に耐インク性を有する接着剤とし
てはポリウレタン系が好ましい。
【0043】樹脂シート54が金属のみを用いたノズル
板よりも撥水性があり、ノズル表面に付着したインクを
容易に除去できるが、よりワイピング性を向上させるに
は、樹脂シート54上に撥水性膜72をコーティングす
ることが望ましい。この場合、樹脂シート54のノズル
板34のインク噴射側となる面の表面全部に予め撥水性
膜72を所望の厚さでコーティングしておき、金属板5
2との接合後、金属板52側からのレーザ照射にて樹脂
シート54に形成する穴加工時に同時に開口部を形成す
る。これにより、形成された微小穴60まわりに均一に
開口部のエッジるで撥水性膜72が覆うことになり、良
好なインク飛翔とワイピング特性が得られる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数の微小穴を有する金属板を用い、これに樹脂シート
を接合後、レーザ照射による微小穴形成によって、微小
で長いノズルをもつノズル板を得ることが可能となっ
た。また、加工前にノズル板前面に撥水膜を形成するこ
とで、微小穴形成後、穴近傍まで確実に撥水膜が形成さ
れ、且つ穴内部のレジスト等の有機付着物も確実に除去
可能である。さらに、プレスにて金属板に微小穴を形成
する場合でも、金属板の厚さが薄くてよいことからピン
の寿命を長くでき、結果としてノズル板のコスト低減に
も有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によりノズル板を製造する手順を示す図
である。
【図2】本発明により形成されたノズル板を示す断面図
である。
【図3】ノズル板の変化例を示す断面図である。
【図4】ノズル板の変化例を示す断面図である。
【図5】ノズル板を形成するための金属板を作る例を示
す図である。
【図6】金属板を作る他の例を示す図である。
【図7】金属板を作る他の例を示す図である。
【図8】ノズル板を形成するための金属板を形成するた
めの基板を示す図である。
【図9】接着剤と撥水性膜を塗布した樹脂シートを示す
断面図である。
【図10】インクジェット記録ヘッドを有するプリンタ
を示す図である。
【図11】インクジェット記録ヘッドを示す分解斜視図
である。
【図12】インクジェット記録ヘッドを示す部分断面図
である。
【図13】従来技術を説明する図である。
【図14】従来技術を説明する図である。
【符号の説明】
32…ノズル 34…ノズル板 36、38…インク流露形成板 40…加圧板 42…圧電素子ユニット 52…金属板 54…樹脂シート 56…穴 60…穴 70…接着剤 72…撥水性膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルを有するノズル板と、該ノズルに
    連通する圧力室を形成する部材と、該圧力室の外壁を形
    成する圧力板と、該圧力板に圧力を印加して該圧力室の
    インクに圧力を付与するためのトランスデューサとを有
    し、該ノズル板は、金属板と樹脂シートの積層体からな
    ることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 該ノズル板は、該ノズルに相当する複数
    の穴を形成してある該金属板に該樹脂シートを接合し、
    該金属板側よりレーザ照射を行うことにより該樹脂シー
    トに該金属板の穴と連通する穴を形成することにより形
    成されていることを特徴とする請求項1に記載のノズル
    板の製造方法。
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