JP3474368B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置Info
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Description
ド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置に関
し、特にノズル形成部材の表面に撥水性を有する表面処
理膜を形成したインクジェットヘッド及びその製造方法
並びにインクジェット記録装置に関する。
いられるドロップオンディマンド(DOD)型のインク
ジェット記録装置は、例えばインク滴を吐出する複数の
ノズルと、ノズルが連通する液室と、液室を加圧するた
めの圧電素子等の電気機械変換素子或いは熱抵抗体(ヒ
ータ)等の熱機械変換素子からなるアクチュエータ(駆
動源)とを備えたインクジェットヘッドを用いて、記録
信号が入力されたときにのみノズルからインク滴を吐出
飛翔させて、高速、高解像度の記録を行なうものであ
る。
ータ、圧電素子等のエネルギー発生手段(アクチュエー
タ)を駆動することによってノズルから液滴化したイン
ク(インク滴)を吐出飛翔させて記録を行うため、ノズ
ルの形状、精度等がインク滴の噴射特性(インク滴吐出
性能)に影響を与えると共に、ノズルを形成しているノ
ズル形成部材の表面の特性がインク滴の噴射特性に影響
を与える。例えば、ノズル形成部材表面のノズル周辺部
にインクが付着して不均一なインク溜り(所謂濡れム
ラ)が発生すると、インク滴の吐出方向が曲げられた
り、インク滴の大きさにバラツキが生じたり、インク滴
の飛翔速度が不安定になる等の不都合が生じることが知
られている。
ズルの吐出側面)に、撥水性(撥インク性)を有する表
面処理(撥水処理)を施すことで均一性を高めることが
知られている。この撥水処理としては、例えば特開平4
−294145号公報に記載されているように、インク
吐出面側にフッ素系高分子共析メッキ処理、例えばポリ
テトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」とい
う。)微粒子を分散させたニッケルメッキ(PTFE−
Ni共析メッキ)を施した後、350℃〜380℃で3
0分間加熱して、PTFE粒子を溶融させた表面処理膜
を形成することが知られている。
例としては、特開平1−280566号公報に記載され
ているように、ノズル形成部材の表面にPTFE−Ni
共析メッキを行って約300℃で熱処理するようにした
ものなどもある。このPTFE−Ni共析メッキについ
ては、メッキ後300〜400℃で熱処理することによ
って摩耗係数を低くすることができることも知られてい
る(上村工業株式会社発行のウエムラ・テクニカルレポ
ートNo.21参照)。
たようにPTFE−Ni共析メッキ後に熱を加えてPT
FEを溶融してノズル形成部材の表面を被覆した表面処
理膜を形成した場合、加熱後後の表面処理膜の表面状態
はPTFEが繊維状に局在化した状態になる。そのため
に、表面粗度が粗くなる。例えば、上記上村工業株式会
社発行のウエムラ・テクニカルレポートNo.21によれ
ば2μm厚みで表面粗度Ra=0.19μmになり、イ
ンクに対する撥水性がPTFE単体の場合よりも低下す
る。
加熱して表面処理膜を形成しても、なお十分な撥水性が
得られない。特に、高画質を実現するために必要な紙、
OHPシートなどの記録媒体に対する濡れ性を高くした
低表面張力インクを用いる場合には、インクに対する撥
水性が十分でないために高品質の画像を安定して記録す
ることができなくなる。
あり、高品質の画像を安定して記録可能なインクジェッ
トヘッドやインクジェット記録装置を提供することを目
的とする。
め、請求項1に記載のインクジェットヘッドは、インク
を吐出するノズルを形成するノズル形成部材の表面にフ
ッ素系樹脂と金属との共析メッキによって表面処理膜を
形成したインクジェットヘッドにおいて、前記表面処理
膜の表面積のうち前記フッ素系樹脂の面積が50%以上
であり、且つ、前記フッ素系樹脂が繊維状に局在化した
部分を形成していない構成とした。
請求項1のインクジェットヘッドにおいて、前記フッ素
系樹脂がポリテトラフルオロエチレンである構成とし
た。
請求項1又は2のインクジェットヘッドにおいて、前記
共析メッキ中のフッ素系樹脂の体積含有率が30%以上
である構成とした。
請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記共析メッキが電解ニッケル共析メッキである
構成とした。
法は、上記請求項1のインクジェットヘッドを製造する
インクジェットヘッドの製造方法において、前記ノズル
形成部材の表面に表面処理膜を形成した後、この表面処
理膜の表面をワイピングして前記フッ素系樹脂の繊維状
局在部を拡散する構成とした。
クを吐出するノズルを形成するノズル形成部材の表面に
フッ素系樹脂と金属との共析メッキによって表面処理膜
を形成したインクジェットヘッドにおいて、前記表面処
理膜の表面積うち前記フッ素系樹脂の面積が50%以上
であり、且つ、前記表面処理膜の表面粗度Raが0.1
2μmを越えない構成とした。
記請求項1乃至4、6のいずれかのインクジェットヘッ
ドを備えるインクジェット記録装置であって、このイン
クジェット記録装置は表面張力33dyn/cm未満のインク
を使用可能な構成とした。
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用するイン
クジェットヘッドの外観斜視図、図2は図1の概略分解
斜視図、図3は図1のA−A線に沿う要部拡大断面図、
図4は図1のB−B線に沿う要部拡大断面図である。
ータユニット1と、このアクチュエータユニット1上に
接合した液室ユニット2とからなる。アクチュエータユ
ニット1は、絶縁性の基板3上に2列の積層型圧電素子
4,4を接着剤6で接合すると共に、これら2列の圧電
素子4,4の周囲を取り囲む絶縁性材料からなるフレー
ム5を接着剤によって接合している。圧電素子4は、イ
ンクを液滴化して飛翔させるための駆動パルスが与えら
れる複数のアクチュエータ素子となる駆動部7,7…
と、これらの駆動部7,7間に位置して、駆動パルスが
与えられない支柱部となる複数の非駆動部8,8…とを
交互に配置してなる。
有する振動板12上に感光性樹脂フィルム(ドライフィ
ルムレジスト)で形成した第1感光性樹脂層13、第2
感光性樹脂層14、第3感光性樹脂層15及びノズル1
6を有するノズル形成部材であるノズルプレート17を
順次積層して各駆動部7,7…に対応するインク流路で
ある複数の加圧液室18,18…、各加圧液室18,1
8…にインクを供給する複数の共通液室(共通インク流
路)19,19、共通液室19と加圧液室18を連通す
る流体抵抗部を兼ねたインク供給路20,20をそれぞ
れ形成している。この液室ユニット2はアクチュエータ
ユニット1に接合剤21で強固に接合している。
動部7の配列方向に沿ってすべての共通電極の導通をと
るための溝25を形成し、駆動部7の配列方向と直交す
る方向には圧電素子4及び圧電素子4に接続した個別電
極を分割しているスリット溝26を形成している。
10層以上の多層積層型圧電素子からなり、例えば厚さ
10〜50μm/1層のPZT(チタン酸ジルコン酸
鉛)27と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(A
gPd)からなる内部電極28とを交互に積層したもので
ある。圧電素子を、厚さ20〜50μm/1層の積層型
とすることによって駆動電圧の低電圧化を図れる。例え
ば、PZTの電界強度1000V/mmを得るには10〜
50Vのパルス電圧でよい。
きにAgPdからなる左右の外部電極である端面電極3
0,31に接続している。一方、基板3上には、積層型
圧電素子4,4間に位置して駆動部7に対して駆動波形
を印加するためのヘッド側電極となる共通電極パターン
32を形成すると共に、駆動部7に対して選択信号を与
えるためのヘッド側電極となる個別電極パターン33を
設けている。なお、共通電極パターン32及び個別電極
パターン33はNi−Ag又はAg−Pt等の合金の印
刷材料を印刷して形成しているが、これに限るものでは
ない。
性接着剤34で共通電極パターン32に接続し、端面電
極31を同じく導電性接着剤34で個別電極パターン3
3に接続している。なお、共通電極パターン32は基板
3の中央部に形成した前記溝部25表面に形成すること
で各駆動部7と導通を取るようにしている。そして、共
通電極パターン32及び個別電極パターン33にはそれ
ぞれ圧電素子4を駆動するための駆動波形及び選択信号
を出力する駆動手段(ヘッド駆動回路)にFPCケーブ
ル35を接続している。
電素子4の駆動部7に対応する独立した島状凸部12a
と、この島状凸部12aの周囲に位置して圧電素子4の
駆動部7の変位で変形する前記ダイアフラム部11と、
このダイアフラム部11の周囲に位置する厚肉剛体部1
2bが形成され、ダイアフラム部11と厚肉剛体部12
bとの間には逃げ領域12cが形成されている。ダイア
フラム部11は、最も厚みの薄い領域(薄肉部)であっ
て、厚さを3〜10μm程度にしている。また、島状凸
部12aは、厚みの厚い領域であり、駆動部7との接合
領域であると共に、チャンネル方向(図4に示す方向)
では厚肉剛体部となる。厚肉剛体部12bは液室ユニッ
ト2をフレーム5に接合するための領域である。ここで
は、島状凸部12aと厚肉剛体部12bとは同じ第2層
で形成し、例えば20μm以上の厚みにしている。
飛翔させるための微細孔である多数のノズル16を形成
しており、このノズル16の径はインク滴出口側の直径
で25〜35μmに形成し、またノズル16は加圧液室
18の中心近傍に対応させている。このノズルプレート
17はエレクトロンフォーミング工法(電鋳)によって
製造したNi(ニッケル)の金属プレートを用いている
が、Si、その他の金属材料を用いることもできる。
外部から供給されるインクを共通液室20に供給するた
めのインク供給孔37,38,39をそれぞれ形成し、
基板3のインク供給孔37に接続したインク供給パイプ
40を介してインクが供給される。また、このインクジ
ェットヘッドにおいては、予めアクチュエータユニット
1と液室ユニット2とを別々に組付けた後、接着剤21
によって両ユニット1,2を接着接合して製造してい
る。
について説明する。この実施例では、ノズルプレート1
7の表面に撥水性を有する表面処理膜41を形成してい
る。この表面処理膜41はノズル形成部材の表面にフッ
素系樹脂と金属との共析メッキ、例えば、PTFE−N
i共析によってメッキ膜を成膜し、このメッキ膜を加熱
した後表面処理膜表面をワイピングなどして形成したも
のである。この表面処理膜41は、その表面積のうちフ
ッ素系樹脂の面積が50%以上であり、且つ、フッ素系
樹脂が繊維状に局在化した部分を形成していないもので
ある。
ッ素系樹脂の面積が50%以上であり、且つ、フッ素系
樹脂が繊維状に局在化した部分を形成していない構成に
することによって、表面粗度が小さく(例えば2μm厚
みでRa=0.12μmを越えない)、濡れ性の高いイ
ンク、例えば低表面張力インクなどに対しても十分な撥
水性を持たせることができ、高品質の画像を安定して記
録することが可能になる。
系樹脂と金属との共析メッキとして、PTFE−Ni共
析メッキを行うことで、容易に、低コストで高い撥水性
の表面処理膜を得ることができる。さらに、この場合、
共析メッキ中のフッ素系樹脂の体積含有率は30%以上
にすることが好ましい。フッ素系樹脂の体積含有率は3
0%未満であると、表面処理膜表面のフッ素系樹脂被覆
率が少なくなり、容易にフッ素系樹脂を面積を50%以
上ですることが困難になる。また、共析メッキとして
は、電解ニッケル共析メッキをよることで、表面処理膜
のインクに対する耐溶解性を向上することができる。で
あることを特徴とするインクジェットヘッド。
いて図5を参照して説明する。同図(a)に示すように
エレクトロフォーミング(電鋳)工法によってノズル1
6を形成したノズル形成部材42を形成する。ノズル形
成部材を金属で形成することによって、表面処理にメッ
キ工法を採用することができる。また、電鋳工法を採用
することによって、ノズルがテーパ形状となり、ノズル
と表面処理部分の穴との段差を無くして滑らかにするこ
とが容易にできる。
成部材42の吐出面裏側(図2の加圧液室17側の面を
いう。)にネガ型ドライフィルムレジスト45をラミネ
ートする。このとき、ラミネート温度、圧力を調整し
て、同図(b)に示すようにドライフィルムレジスト4
5の一部がノズル16の穴部から吐出面側にはみ出たは
み出し部45aが形成されるようにする。このはみ出し
部45aの表面からのはみ出し量は形成する表面処理層
(撥水膜)の厚みに応じて設定する。
成部材42の吐出面裏側から紫外線(UV光)を照射し
て全面露光することにより、同図(d)に示すようにド
ライフィルムレジスト45が硬化して硬化ドライフィル
ムレジスト46となる。このとき、ノズル形成部材42
がマスクとなっているので、ノズル16の穴部から吐出
面側にはみ出しているはみ出し部45aはノズル16の
穴部に対向している部分のみが硬化されて硬化はみ出し
部46aとなる。
図(e)に示すようにノズル16から吐出面側にはみ出
したテーパ状の凸形状をなす突出部47aを有するドラ
イフィルムレジストパターン47ができ上がる。この場
合、露光量及び/又は現像時間を調整可能な露光装置や
現像装置を使用することによって、ドライフィルムレジ
ストパターン47の突出部47aの形状を容易に変更設
定することができる。
素樹脂−金属共析メッキを行ってメッキ被膜を形成し、
所定の温度−時間で加熱した後、更にワイピングなどの
フッ素樹脂拡散処理を行った表面処理膜41を形成す
る。なお、このときの表面処理膜41の厚みは、ドライ
フィルムレジストパターン47の突出部47aの厚み
(ノズル形成部材42表面からの高さ)より薄くなるよ
うにすることが好ましい。これは、表面処理膜41の厚
みが突出部47aの厚みより厚くなると、突出部47a
上に表面処理膜41が乗り上げてしまって、充分な精度
が得られず、かつフォトレジストパターン47の剥離時
に剥離不良を引き起こすおそれがあるからである。
離することによって、同図(g)に示すようにノズル1
6を形成したノズル形成部材42の表面にテーパ形状の
穴43aを形成した表面処理膜41を形成してなるノズ
ルプレート17が得られる。
(撥水膜)41の形成について説明する。先ず、上述し
たノズル形成部材42にPTFE−Ni電解共析メッキ
を施す。この実施例では、メタフロンFS(上村工業株
式会社製、商品名)をメッキ液に使用して、電流密度2
A/dm2で約2〜10μmの厚さのメッキを成膜した。
このPTFE−Ni電解共析メッキが終了した時点での
メッキ表面を電子顕微鏡の10000倍拡大写真(SE
M写真)を図6に示している。図中、粒子状に見えるP
TFE粒子が存在する。この段階では、PTFEの表面
被覆面積は共析メッキ中の体積含有率と略同等であり、
約30〜40%程度である。
て共析メッキ表面にPTFE粒子を析出させる。このと
きの熱処理温度は、PTFEの変性が起こらない上限温
度370℃以下にすることが好ましい。このような熱処
理後の共析メッキ表面の前同様の拡大写真をPTFEの
体積含有率を30%としている場合を図7(a)に、P
TFEの体積含有率を20%としている場合を図8
(a)に示している。なお、図7(b)及び図8(b)
は、いずれもメッキ表面に現出するPTFEの繊維状の
状態を分りやすく模式的に抽出した図である。
体積含有率が低い(図8の例)と、表面処理膜41の表
面積に占めるPTFE表面被覆率が非常に低くなるの
で、PTFE濃度は高い方が良く、体積含有率30%以
上が好ましい。
うと、メッキ膜表面にPTFEが数μm程度の繊維状に
局在化する。なお、このPTFEの局在化の度合いは、
加熱温度、時間、PTFE濃度等によって変動する。つ
まり、メッキ膜に熱処理を行うことによってPTFEを
メッキ膜表面に析出させることができ、熱処理前と比較
してPTFEが占める被覆面積は大きくなるが、PTF
Eが繊維状に局在化することで、却って表面粗度が大き
くなる。
リコンゴム等のゴムブレード、あるいあは不織布で約数
回〜数百回ワイピングする。このときの共析メッキ表面
の前同様の拡大写真を図9に示している。この図からも
分るように、ワイピングを行うことによってメッキ表面
のPTFEの繊維状局在部が拡散して少なくなり、ま
た、Ni母材の微小空孔もある程度埋められるので、表
面処理膜の表面粗度が小さくなって平滑性が向上する。
このときの表面粗度Raは、ワイピングの回数にもよる
が、Ra=0.12μmを越えない程度にする。また、
表面処理膜の表面積のうちのPTFEが占める表面被覆
率は50%以上にする。
の部品段階、ヘッドとして組み付けた後の最終段階、或
いは記録装置搭載段階のいずれで行ってもよい。また、
ワイピングに代えて、或いはワイピングと共に、PTF
E熱融点以下の温度で熱プレスを加えるなどしても表面
平滑性を向上することができる。
キを施し、加熱、ワイピングを行ったノズルプレートに
ついて、低表面張力インク(表面張力29.8dyn/c
m)と比較インク(表面張力33.7dyn/cm)に対する
各工程ごとの共析メッキ表面の撥水性(撥インク性)に
ついて評価試験を行った。この評価試験の結果を表1に
示している。同表1中、「○」は、全面インク付着な
く、撥インク性が良好であること、「△」は、一部イン
ク付着があり、撥インク性は中程度であること、「×」
は、「ほど全面インク付着があり、撥インク性がほとん
どないこと、を意味している。
析出時のメッキ表面(図6)では、いずれのインクに対
しても容易に濡れてしまい撥インク性が低い。そして、
メッキ後加熱処理を行ったメッキ表面(図7)では、比
較インクに対しては撥インク性を持つが、より高画質を
実現するための表面張力の低いインクに対しては撥イン
ク斑を生じてしまい、また、濡れ性を示す動的後退接触
角の値も比較インクで32度あるものが、低表面張力イ
ンクでは20度程度と濡れやすい状態になっている。
ングしたメッキ表面(図9)では、いずれのインクに対
しても高い撥インク性を示している。動的後退接触角の
値も53度と非常に高く、濡れ性が低くなる。このよう
に動的接触角が小さくなっているのは、表面粗度が小さ
くなり、平滑性が上がっていることによる。
クチュエータ素子として圧電素子を用いるピエゾアクチ
ュエータ方式のインクジェットヘッドに適用した例につ
いて説明したが、発熱抵抗体を用いるいわゆるバブルジ
ェット方式のインクジェットヘッドにも適用することが
できる。さらに、ノズル形成部材としては加圧液室を形
成する部材と別体にした構造のものに限らず、加圧液室
を形成する部材と一体構造のものにも適用することがで
きる。
成部材としてプレート状のものを用いた例について説明
したが、複数の部材(例えば溝を形成した部材とその溝
を覆う部材)を組合わせてノズルを形成するものであっ
ても、本発明を同様に適用することができる。さらにま
た、ノズルの開口方向を圧電素子の変位方向と同じにし
たサイドシュータ方式のインクジェットヘッドで説明し
ているが、ノズルの開口方向を圧電素子の変位方向と直
交する方向にしたエッジシュータ方式のインクジェット
ヘッドにも適用することができる。
用した例で説明した、PTFE以外のフッ素系樹脂を用
いることもできる。
インクジェットヘッドによれば、インクを吐出するノズ
ルを形成するノズル形成部材の表面にフッ素系樹脂と金
属との共析メッキによって表面処理皮膜を形成したイン
クジェットヘッドにおいて、表面処理膜の表面積のうち
フッ素系樹脂皮膜の面積が50%以上であり、且つ、フ
ッ素系樹脂が繊維状に局在化した部分を形成していない
構成としたので、表面粗度が小さくなり、濡れ性の高い
インクに対しても良好な撥水性を得ることができ、高画
質の画像を安定して記録することがかのうになる。
ば、上記請求項1のインクジェットヘッドにおいて、フ
ッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレンである構成と
したので、インクに対する撥水性が向上し、低コスト化
を図ることができる。
ば、上記請求項1又は2のインクジェットヘッドにおい
て、共析メッキ中のフッ素系樹脂の体積含有率が30%
以上である構成としたので、フッ素系樹脂をメッキ表面
に露頭するための処理時間を短縮できると共に、表面被
覆面積を容易に50%以上にすることができる。
ば、上記請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、共析メッキが電解ニッケル共析メッキで
ある構成としたので、表面処理膜のインクに対する耐溶
解性が向上する。
法によれば、上記請求項1のインクジェットヘッドを製
造するインクジェットヘッドの製造方法において、ノズ
ル形成部材の表面に表面処理膜を形成した後、ノズル形
成部材の表面をワイピングしてフッ素系樹脂の繊維状局
在部を拡散する構成としたので、濡れ性の高いインクに
対しても良好な撥水性を得ることができ、高画質、高安
定化を図れるインクジェットヘッドを短時間で、低コス
トで製造することができる。
ば、インクを吐出するノズルを形成するノズル形成部材
の表面にフッ素系樹脂と金属との共析メッキによって表
面処理膜を形成したインクジェットヘッドにおいて、表
面処理膜の表面積のうちフッ素系樹脂の面積が50%以
上であり、且つ、表面処理膜の表面粗度Raが0.12
μmを越えない構成としたので、濡れ性の高いインクに
対しても良好な撥水性を得ることができ、高画質の画像
を安定して記録することができる。
ば、上記請求項1乃至4、6のいずれかのインクジェッ
トヘッドを備えるインクジェット記録装置であって、こ
のインクジェット記録装置は表面張力33dyn/cm未満の
インクを使用可能な構成としたので、より高画質の画像
を安定して記録することができる。
斜視図
表面の電子顕微鏡写真
処理を行ったときのメッキ表面の電子顕微鏡写真、
(b)は同メッキ表面の繊維状PTFEを抽出して説明
するための模式的説明図
PTFE分散Niメッキを施し、加熱処理を行ったとき
のメッキ表面の電子顕微鏡写真、(b)は同メッキ表面
の繊維状PTFEを抽出して説明するための模式的説明
図
った後、ワイピングしたときのメッキ表面の電子顕微鏡
写真
圧電素子、7…駆動部、12…振動板、16…ノズル、
17…ノズルプレート、41…表面処理膜、42…ノズ
ル形成部材。
Claims (7)
- 【請求項1】 インクを吐出するノズルを形成するノズ
ル形成部材の表面にフッ素系樹脂と金属との共析メッキ
によって表面処理膜を形成したインクジェットヘッドに
おいて、前記表面処理膜の表面積のうち前記フッ素系樹
脂の面積が50%以上であり、且つ、前記フッ素系樹脂
が繊維状に局在化した部分を形成していないことを特徴
とするインクジェットヘッド。 - 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
において、前記フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチ
レンであることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のインクジェット
ヘッドにおいて、前記共析メッキ中のフッ素系樹脂の体
積含有率が30%以上であることを特徴とするインクジ
ェットヘッド。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
クジェットヘッドにおいて、前記共析メッキが電解ニッ
ケル共析メッキであることを特徴とするインクジェット
ヘッド。 - 【請求項5】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
を製造するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記ノズル形成部材の表面に表面処理膜を形成した後、
この表面処理膜の表面をワイピングして前記フッ素系樹
脂の繊維状局在部を拡散することを特徴とするインクジ
ェットヘッドの製造方法。 - 【請求項6】 インクを吐出するノズルを形成するノズ
ル形成部材の表面にフッ素系樹脂と金属との共析メッキ
によって表面処理皮膜を形成したインクジェットヘッド
において、前記表面処理膜の表面積のうち前記フッ素系
樹脂の面積が50%以上であり、且つ、前記表面処理膜
の表面粗度Raが0.12μmを越えないことを特徴と
するインクジェットヘッド。 - 【請求項7】 請求項1乃至4、6のいずれかに記載の
インクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置
であって、このインクジェット記録装置は表面張力33
dyn/cm未満のインクを使用可能なことを特徴とするイン
クジェット記録装置。
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---|---|---|---|
JP23051796A JP3474368B2 (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置 |
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-
1996
- 1996-08-30 JP JP23051796A patent/JP3474368B2/ja not_active Expired - Lifetime
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